説明

緩衝材ブロックの製造装置および緩衝材ブロックの製造方法

【課題】転圧エネルギーの残留が少ない緩衝材ブロックを効率的に製造する緩衝材ブロックの製造方法を提供すること。
【解決手段】円筒状の型枠の内部に撒き出した緩衝材を締め固めた緩衝材ブロックを製造する緩衝材ブロックの製造方法において、緩衝材ブロックに螺旋状の層を形成するように、緩衝材を型枠の円周方向に連続して撒き出すとともに、撒き出した緩衝材を前記方向に連続して締め固める。これにより、転圧エネルギーの残留が少ない緩衝材ブロック、すなわち、転圧装置4が一回に締め固める緩衝材の層厚を薄くした緩衝材ブロックを効率的に製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝材ブロックを製造する緩衝材ブロックの製造装置および緩衝材ブロックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に廃棄体を収容する廃棄体パッケージを構成する緩衝体は、一対の円盤状の緩衝材ブロックと複数の円環状の緩衝材ブロックとにより構成される。そして、円盤状の緩衝材ブロックと円環状の緩衝材ブロックは、円筒形の型枠を固定する一方、緩衝材を締め固める転圧装置を回転移動させることにより、型枠の内部に撒き出した緩衝材を締め固めて製造する。具体的には、型枠の内部に緩衝材を撒き出す撒き出し工程と、撒き出した緩衝材を締め固める転圧工程とを交互に繰り返すことにより、緩衝材ブロックを製造する(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−69112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一回の撒き出し工程において撒き出す緩衝材の量が多いと、転圧工程において緩衝材に加えた転圧エネルギーが締め固めた層に残留することになる。これにより、緩衝材ブロックの製造後しばらくすると、締め固めた層ごとに残留した転圧エネルギーが解放され、締め固めた層ごとにその形状が変形する。そして、この変形は、緩衝材ブロックにおける層の剥離の原因となる。
【0005】
一方、一回の撒き出し工程において撒き出す緩衝材の量を少なくすると、転圧工程において緩衝材に加えた転圧エネルギーが締め固めた層に残留しにくくなるとともに、上下の層の密着性が向上する。これにより、締め固めた層ごとに残留した転圧エネルギーが解放されても、緩衝材ブロックにおいて層が剥離することがない。
【0006】
しかしながら、一回の撒き出し工程において撒き出す緩衝材の量を少なくすると、撒き出し工程と転圧工程の回数が増え、緩衝材ブロックを効率的に製造することができない。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、転圧エネルギーの残留が少なく、かつ、上下の層の密着性に優れた緩衝材ブロックを効率的に製造する緩衝材ブロックの製造装置および緩衝材ブロックの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、円筒形の型枠が搭載可能であって、搭載した型枠を回転させるテーブル装置と、前記テーブル装置の回転方向上流域に設置され、前記テーブル装置に搭載した型枠の内部に緩衝材を撒き出す撒き出し装置と、前記テーブル装置の回転方向下流域に設置され、前記撒き出し装置が撒き出した緩衝材を締め固める転圧装置とを備え、前記テーブル装置に搭載した型枠を前記テーブル装置が回転させ、かつ、前記テーブル装置の回転方向上流域において前記撒き出し装置が型枠の内部に緩衝材を連続して撒き出すとともに、前記テーブル装置の回転方向下流域において前記転圧装置が型枠の内部に撒き出された緩衝材を連続して締め固めることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、円筒状の型枠の内部に撒き出した緩衝材を締め固めた緩衝材ブロックを製造する緩衝材ブロックの製造方法において、前記緩衝材ブロックに螺旋状の層を形成するように、前記緩衝材を前記型枠の円周方向に連続して撒き出すとともに、撒き出した緩衝材を前記方向に連続して締め固めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる緩衝材ブロックの製造装置は、テーブル装置に搭載した型枠をテーブル装置が回転させ、かつ、テーブル装置の回転方向上流域において撒き出し装置が型枠の内部に緩衝材を連続して撒き出すとともに、テーブル装置の回転方向下流域において転圧装置が型枠の内部に撒き出された緩衝材を連続して締め固めるので、転圧エネルギーの残留が少なく、上下の層の密着性に優れた緩衝材ブロックを効率的に製造できる。
【0011】
本発明にかかる緩衝材ブロックの製造方法は、緩衝材ブロックに螺旋状の層を形成するように、緩衝材を型枠の円周方向に連続して撒き出すとともに、撒き出した緩衝材を前記方向に連続して締め固めるので、転圧エネルギーの残留が少なく、上下の層の密着性に優れた緩衝材ブロックを効率的に製造できる。また、上述した特許文献1に記載された緩衝材ブロックの製造方法では、多層に分割して一層分に相当する緩衝材を計量し、撒き出し、敷き均し、その後に転圧するという工程を繰り返すために、緩衝材ブロックの製造に長時間を要していたが、本発明にかかる緩衝材ブロックの製造方法では、これらの工程が連続し、かつ、緩衝材の撒き出しと緩衝材の締め固めとが並行して行われるので、効率的なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、廃棄体パッケージの構成を示す縦断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造装置を示す概念図であって、円盤状の緩衝材ブロックの製造に用いる円筒かつ有底の型枠を搭載した状態を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造装置を示す概念図であって、円環状の緩衝材ブロックの製造に用いる一対の円筒形の型枠を搭載した状態を示す図である。
【図4】図4は、図2および図3に示した緩衝材ブロックの製造装置の転圧体を示す概念図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造方法を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明にかかる緩衝材ブロックの製造装置および緩衝材ブロックの製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
図1は、廃棄体パッケージの構成を示す縦断面図である。図1に示すように、廃棄体パッケージは、廃棄物が封入された廃棄体を緩衝材が囲繞したもので、廃棄体と廃棄体を囲繞する緩衝体とにより構成される。廃棄体は、円柱状に形成され、廃棄体の軸方向を鉛直方向に向けた状態で緩衝体に囲繞される。緩衝体は、粘土系遮水材料(緩衝材)を締め固めたもので、内部に廃棄体を収納する収納空間を有しており、収納空間の軸方向を鉛直方向に向けた状態で設置される。なお、廃棄体の軸方向を水平方向に向けた状態で設置してもよく、この場合に緩衝体は、収納空間の軸方向を水平方向に向けた状態で設置され、廃棄体は緩衝体に囲繞される。
【0015】
緩衝体は、円盤状に形成された一対の緩衝材ブロック100と、円環状に形成された複数の緩衝材ブロック200とにより構成される。そして、複数の円環状ブロック200を連結することにより、内部に上述した収納空間が形成され、一対の円盤状の緩衝材ブロック100が収納空間の一方と他方とを閉塞する。円盤状の緩衝材ブロック100は、円筒かつ有底の外型枠110(図2参照)の内部に撒き出した緩衝材(粘土系遮水材料)を締め固めたものであり、締め固めた緩衝材は上述した緩衝体を構成する。そして、外型枠110はそのまま円盤状の緩衝材ブロック100の外殻を構成する。したがって、外型枠110は緩衝材の外周を被覆することになり、円盤状の緩衝材ブロック100の搬送作業や円盤状の緩衝材ブロック100の定置作業における緩衝材の損傷を防止する。円環状ブロック200は、円筒の外型枠210(図3参照)と円筒の内型枠220(図3参照)との間に撒き出した緩衝材(粘土系遮水材料)を締め固めたものであり、締め固めた緩衝材は、上述した緩衝体を構成する。そして、外型枠210はそのまま円環状の緩衝材ブロック200の外郭を構成する。したがって、外型枠210は緩衝材の外周を被覆することになり、円環状の緩衝材ブロック200の搬送作業や円環状の緩衝材ブロック200の定置作業における緩衝材の損傷を防止する。
【0016】
つぎに、図2〜図4に基づいて、本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造装置を説明する。なお、図2および図3は、本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造装置を示す図であって、図2は、円盤状の緩衝材ブロックの製造に用いる円筒かつ有底の型枠を搭載した状態を示す図、図3は、円環状の緩衝材ブロックの製造に用いる一対の円筒形の型枠を搭載した状態を示す図である。また、図4は、図2および図3に示した緩衝材ブロックの製造装置の転圧体を示す概念図である。
【0017】
図2および図3に示す緩衝材ブロックの製造装置1は、円盤状の緩衝材ブロック100と円環状の緩衝材ブロック200とを製造するためのもので、この緩衝材ブロックの製造装置1により製造された一対の円盤状の緩衝材ブロック100と複数の円環状の緩衝材ブロック200とを組み合わせることにより、内部に廃棄体を収容する緩衝体を構成する。
【0018】
図2および図3に示すように、緩衝材ブロックの製造装置1は、テーブル装置2、撒き出し装置3および転圧装置4を備えている。
【0019】
図2および図3に示すように、テーブル装置2は、搭載された円筒形の型枠を回転させるためのもので、円筒形の型枠110(210,220)が搭載可能であって、搭載された型枠110(210,220)を水平面上で回転させることが可能である。
【0020】
テーブル装置2は、駆動軸(図示せず)と、駆動軸に取り付けられ、駆動軸を中心に回転するターンテーブル(図示せず)と、ターンテーブルの下方域に設けられ、ターンテーブルを支持するガイドローラ(図示せず)とを備えている。ターンテーブルは、円筒形の型枠110(210,220)が搭載可能であって、ターンテーブルを回転させる駆動モータ(図示せず)は、インバータ(図示せず)により速度制御される。ターンテーブルは、円筒形の型枠110(210,220)を搭載した状態で任意の速度で回転させることが可能である。たとえば、ターンテーブルを60秒で周回(1回転)するように設定することもできれば、90秒で周回するように設定することもできる。また、45秒で周回するように設定することもできる。
【0021】
ターンテーブルに搭載する型枠110(210,220)は、円盤状の緩衝材ブロック100を製造するのか、円環状の緩衝材ブロック200を製造するのかで異なり、円盤状の緩衝材ブロック100を製造する場合には、図2に示すように、円筒かつ有底の外型枠110を用い、円環状の緩衝材ブロック200を製造する場合には、図3に示すように、円筒形の外型枠210と円筒形の内型枠220とを用いる。
【0022】
円盤状の緩衝材ブロック100を製造する場合に用いる外型枠110は、金属製、より具体的には、鋼製であり、そのまま円盤状の緩衝材ブロック100の外殻(鋼殻)となる。これにより、外型枠110の外周径が円盤状の緩衝材ブロック100の外周径となるので、外型枠110の外周径は、廃棄体を定置する処分孔の内周径よりも小さく設定される。そして、円盤状の緩衝材ブロック100を製造する場合には、外型枠110の中心(軸心)がターンテーブルの回転軸と一致するように、外型枠110をターンテーブルの上に設置する。
【0023】
円環状の緩衝材ブロック200を製造する場合に用いる外型枠210は、金属製、より具体的には、鋼製であり、そのまま円環状の緩衝材ブロック200の外殻(鋼殻)となる。これにより、外型枠210の外周径が円環状の緩衝材ブロック200の外周径となるので、外型枠210の外周径は、上述した円盤状の緩衝材ブロック100を製造する場合に用いる外型枠110の外周径と同一に設定される。また、円環状の緩衝材ブロック200を製造する場合に用いる内型枠220は、金属製、より具体的には、鋼製であり、そのまま円環状の緩衝材ブロックの内殻(鋼殻)としてもよい。この場合に、内型枠220の内周径が円環状の緩衝材ブロック200の内周径となるので、内型枠220の内周径は、廃棄体(図示せず)の外周径よりも大きく設定される。なお、内型枠220は、緩衝材を締め固めた後に取り外すものとしてもよい。この場合に、内型枠220の外周径が円環状の緩衝材ブロック200の内周径となるので、内型枠220の外周径は、廃棄体の外周径よりも大きく設定される。そして、円環状の緩衝材ブロック200を製造する場合には、外型枠210の中心(軸心)と内型枠220の中心(軸心)とがターンテーブルの回転軸と一致し、外型枠210と内型枠220とが同心円を成すように、外型枠210と内型枠220とをターンテーブルの上に設置する。
【0024】
図2および図3に示すように、撒き出し装置3は、テーブル装置2に搭載した円筒形の型枠110(210,220)の内部に緩衝材を撒き出すためのもので、ターンテーブル(テーブル装置2)の回転方向上流域に設置されている。撒き出し装置3は、ホッパー(図示せず)とフィーダとを有している。ホッパーは、撒き出す緩衝材が供給される部分であり、緩衝材をフィーダに供給する。フィーダは、たとえば、振動により緩衝材を送出する振動フィーダにより構成してあり、ホッパーから供給された緩衝材を一様な厚みとした後に円筒形の型枠110(210,220)の内部に単位時間当たり所定の一定量を撒き出すことになる。
【0025】
図2および図3に示すように、転圧装置4は、撒き出し装置3がテーブル装置2に搭載した円筒形の型枠の内部に撒き出した緩衝材を締め固めるためのもので、ターンテーブル(テーブル装置2)の回転方向下流域に設置されている。転圧装置4は、フレーム41と、フレーム41に昇降可能に取り付けられた支持部材42と、支持部材42に取り付けられ、複数の転圧体43(後述する転圧体43B,43C,43D(図4参照))をそれぞれ任意のタイミングで繰り出す複数のランマ44とを備えている。また、支持部材42の中央部には、独立して昇降可能な支持部材45が取り付けてあり、支持部材45に取り付けられ、複数の転圧体43(後述する一対の転圧体43A(図4参照))を任意のタイミングで繰り出す一対のランマ44が支持部材45とともに昇降する。
【0026】
図2および図3に示すように、フレーム41は、門型に構成してあり、上述したテーブル装置2を挟むように、設置してある。フレーム41は、テーブル装置2の両脇に設置する左右一対となる基台部41Aと、各基台部41Aの上面に立設され、前後一対となる支柱41Bと、一方の基台部41Aに立設された一対の支柱41Bと他方の基台部41Aに立設された一対の支柱41Bとを相互に接続する梁部材41Cとを備えている。
【0027】
支持部材42は、ランマ44が繰り出した転圧体43が緩衝材を締め固めるのに適した位置となるように取り付けられ、積層された緩衝材の高さ位置に応じて取付位置を決定する。
【0028】
図4に示すように、複数の転圧体43は、型枠の内部に撒き出された緩衝材を均一に締め固めるように、転圧体43ごとに緩衝材に作用する転圧面の形状(転圧体の底面形状)が設定してある。たとえば、上述したテーブル装置2のように、型枠に撒き出された緩衝材をターンテーブルの回転軸を中心に回転させる場合には、ターンテーブルの回転軸からの距離(半径r)に比例して緩衝材の移動量(2πrωt(ω:角速度、t:時間))が大きくなる。このため、ターンテーブルの回転軸からの距離(半径r)を考慮することなく、複数台の転圧体43の半径方向の幅r1,r2−r1,r3−r2,r4−r3を同一に設定すると、緩衝材に加えられる単位面積あたりの転圧エネルギーは、ターンテーブルの回転軸からの距離に比例して減少することになる(反比例)。そこで、本発明の実施の形態にかかる複数の転圧体43は、全体で扇形を構成し、ターンテーブルの回転軸からの距離(半径r)に反比例して半径方向の幅r1,r2−r1,r3−r2,r4−r3が減少するように、転圧面の形状が設定してある。
【0029】
図4に示す例では、一つの扇形の領域を七台の転圧体43で転圧しており、同時に二つの扇形の領域を転圧している。一つの扇形の領域は、中心角が20度で、ターンテーブルの回転軸からの距離により、内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域の四つの領域から構成され、内周領域は、一台の転圧体43Aで転圧し、中央内側領域、中央外側領域、外周領域は、それぞれ二台の転圧体43B,43C,43Dで転圧する。
【0030】
また、扇形の領域は、ターンテーブルの回転軸から半径方向に向けて漸次幅広となるので、ターンテーブルの回転軸からの距離(半径r)に反比例して転圧体43の半径方向の幅r1,r2−r1,r3−r2,r4−r3が減少する。
【0031】
そして、図2に示すように、円盤状の緩衝材ブロック100を製造する場合には、二つの扇形の内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域に配設した計十四台の転圧体43A,43B,43C,43Dが外型枠110の内部に撒き出された緩衝材を締め固める。
【0032】
一方、図3に示すように、円環状の緩衝材ブロック200を製造する場合には、二つの扇形の中央内側領域、中央外側領域、外周領域に配設した計12台の転圧体43B,43C,43Dが外型枠210と内型枠220との間に撒き出された緩衝材を締め固める。なお、円環状の緩衝材ブロックを製造する場合には、内周領域に配設した計二台の転圧体43Aは、支持部材45を上昇させることによって内型枠220の上方位置に移動させ、使うことはない。
【0033】
図2および図3に示すように、転圧装置4は、転圧体43ごとにランマ44を備えている。ランマ44は、転圧体43を繰り出すためのもので、シリンダ(図示せず)と、シリンダに収容され、供給された圧縮空気により繰り出されるロッド(図示せず)とを備えており、供給された圧縮空気によりロッドが繰り出されると、ロッドに取り付けられた転圧体43が繰り出され、緩衝材を締め固める。
【0034】
また、転圧装置4は、ランマ44ごとに圧力調整器(図示せず)を備えている。圧力調整器は、ランマ44に供給する圧縮空気の圧力を調整するためのもので、圧力調整器を操作すると、ランマ44に供給する圧縮空気の圧力が調整され、圧縮空気によって繰り出されるロッドの繰り出し力(転圧力)が調整される。
【0035】
つぎに、図5に基づいて、本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造方法を説明する。ここでは、円環状の緩衝材ブロックの製造方法を例に説明するが、円盤状の緩衝材ブロックの製造方法においても異なるところはない。
【0036】
本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造方法は、緩衝材ブロックに螺旋状の層を形成するように、緩衝材を連続して撒き出すとともに、撒き出した緩衝材を前記方向に連続して締め固めるものである。
【0037】
このように、螺旋状の層を形成するように、緩衝材ブロックを製造する場合には、まず、テーブル装置2に型枠110(210,220)を搭載する。ここでは、円環状の緩衝材ブロックを製造するため、円筒形の外型枠210と円筒形の内型枠220とを用いる。
【0038】
具体的には、外型枠210の中心と内型枠220の中心とがターンテーブルの回転軸と一致し、外型枠210と内型枠220とが同心円を成すように、ターンテーブルの上に外型枠210と内型枠とを設置する。
【0039】
つぎに、テーブル装置2を駆動し、ターンテーブルに搭載した外型枠210と内型枠220とを図5において反時計方向に回転させる。ここでは、外型枠210と内型枠220との間に緩衝材を均等に撒き出すとともに、撒き出した緩衝材を均等に締め固めるために、ターンテーブルを等速度で回転させる。
【0040】
つぎに、テーブル装置2を駆動した状態で、撒き出し装置3と転圧装置4とを駆動する。テーブル装置2を駆動した状態で撒き出し装置3を駆動すると、ターンテーブルの回転方向上流域において、外型枠210と内型枠220との間に緩衝材が撒き出される。緩衝材は、たとえば、あらかじめ設定した配合率と含水比で混練したもので、たとえば、Na型ベントナイト70wt%とケイ砂30wt%とを混合したベントナイト系土質材料が用いられる。また、ここでは、緩衝材を締め固める時に残留する転圧エネルギーが少なくなるように、緩衝材の撒き出し厚を設定する。緩衝材の撒き出し厚は、たとえば、1cm程度が好ましく、上述したテーブル装置2の回転速度と撒き出し装置3の撒き出し速度を調整することにより、任意の撒き出し厚に設定することができる。
【0041】
テーブル装置2を駆動した状態で、転圧装置4を駆動すると、ターンテーブルの回転方向下流域において、緩衝材が締め固められる。具体的には、緩衝材を均等かつ所望の密度となるように、緩衝材が所定の厚み(あるいは所定の密度)となるまで締め固められる。ここでは、テーブル装置2の回転速度を調整することにより、任意の締め固め厚み(あるいは任意の密度)となるように転圧することができる。また、圧力調整器を操作し、ランマ44の転圧力を調整することにより、任意の締め固め厚み(あるいは任意の密度)となるように転圧することもできる。
【0042】
テーブル装置2を駆動した状態で撒き出し装置3と転圧装置4とを駆動すると、ターンテーブルの回転方向上流域において、外型枠210と内型枠220との間に緩衝材が撒き出され、ターンテーブルの回転方向下流域において、外型枠210と内型枠220との間に撒き出された緩衝材が締め固められる。このように、ターンテーブルの回転方向上流域において撒き出され、ターンテーブルの回転方向下流域において締め固めた緩衝材は、連続した螺旋状の層を形成する。
【0043】
そして、このように、テーブル装置2を駆動した状態で撒き出し装置3と転圧装置4の駆動を継続すると、連続した螺旋状の層を有する緩衝材ブロックが製造される。
【0044】
上述した本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造装置1は、ターンテーブルに搭載した型枠110(210,220)をテーブル装置2が回転させ、かつ、ターンテーブルの回転方向上流域において撒き出し装置3が型枠110(210,220)の内部に緩衝材を連続して撒き出すとともに、ターンテーブルの回転方向下流域において転圧装置4が型枠110(210,220)の内部に撒き出された緩衝材を締め固める。これにより、転圧エネルギーの残留が少なく、上下の層の密着性に優れた緩衝材ブロック、すなわち、転圧装置4が一回に締め固める緩衝材の層厚を薄くした緩衝材ブロックを効率的に製造できる。
【0045】
また、本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造方法は、緩衝材ブロック100(200)に螺旋状の層を形成するように、緩衝材を型枠110(210,220)の円周方向に連続して撒き出すとともに、撒き出した緩衝材を前記方向に連続して締め固める。これにより、転圧エネルギーの残留が少なく、上下の層の密着性に優れた緩衝材ブロック、すなわち、転圧装置4が一回に締め固める緩衝材の層厚を薄くした緩衝材ブロックを効率的に製造できる。
【0046】
さらに、上下方向、下方に向けて、直下の一層目よりも二層目、二層目よりも三層目、三層目よりも四層目、と緩衝材の密度は次第に高くなり、かつ、上下の層の密着性が向上するとともに、密度が均一な一体化した緩衝材ブロックとなる。
【符号の説明】
【0047】
1 緩衝材ブロックの製造装置
2 テーブル装置
3 撒き出し装置
4 転圧装置
41 フレーム
41A 基台部
41B 支柱
41C 梁部材
42 支持部材
43 転圧体
43A,43B,43C,43D 転圧体
44 ランマ
100 円盤状の緩衝材ブロック
110 外型枠(型枠)
200 円環状の緩衝材ブロック
210 外型枠(型枠)
220 内型枠(型枠)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形の型枠が搭載可能であって、搭載した型枠を回転させるテーブル装置と、
前記テーブル装置の回転方向上流域に設置され、前記テーブル装置に搭載した型枠の内部に緩衝材を撒き出す撒き出し装置と、
前記テーブル装置の回転方向下流域に設置され、前記撒き出し装置が撒き出した緩衝材を締め固める転圧装置と
を備え、
前記テーブル装置に搭載した型枠を前記テーブル装置が回転させ、かつ、前記テーブル装置の回転方向上流域において前記撒き出し装置が型枠の内部に緩衝材を連続して撒き出すとともに、前記テーブル装置の回転方向下流域において前記転圧装置が型枠の内部に撒き出された緩衝材を連続して締め固めることを特徴とする緩衝材ブロックの製造装置。
【請求項2】
円筒状の型枠の内部に撒き出した緩衝材を締め固めた緩衝材ブロックを製造する緩衝材ブロックの製造方法において、
前記緩衝材ブロックに螺旋状の層を形成するように、前記緩衝材を前記型枠の円周方向に連続して撒き出すとともに、撒き出した緩衝材を前記方向に連続して締め固めることを特徴とする緩衝材ブロックの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−218201(P2012−218201A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83435(P2011−83435)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】