説明

縦仕切板固定具及びこれを備えた収納装置

【課題】縦仕切板部材の固定強度を向上し得るとともに施工性を向上し得る縦仕切板固定具及びこれを備えた収納装置を提供する。
【解決手段】収納空間2の後方側壁4に沿うように上下に配設される縦仕切板部材16の下端部17を固定する縦仕切板固定具30であって、前記収納空間の底面5に固定される固定片部31と、この固定片部から立ち上がるように設けられ、前記縦仕切板部材の下端部を厚さ方向両側から挟むように保持する一対の挟持片部33,35と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住居等の建物の収納空間の後方側壁に沿うように上下に配設される縦仕切板部材の下端部を固定する縦仕切板固定具及びこれを備えた収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より住居等の建物内に形成されたクローゼットや押入れ等の収納空間の後方側壁に沿うように上下に縦仕切板を配設した収納構造が知られている。
このような縦仕切板を固定する際には、従来、収納空間の底面となる床面や後方側壁に縦仕切板の下端部や後端部を、L字形ブラケット等を用いてねじ等によって固定する態様とされていた(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−63793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したような縦仕切板の固定態様では、縦仕切板の厚さ方向に外力が加わった場合には、縦仕切板が厚さ方向に位置ズレしたり、L字形ブラケット等から外れたりすることが考えられる。このような問題は、縦仕切板の両側にL字形ブラケットを固定することで解消することも考えられるが、部品点数が増加し、また、面倒な作業となり、更なる改善が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、縦仕切板部材の固定強度を向上し得るとともに施工性を向上し得る縦仕切板固定具及びこれを備えた収納装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る縦仕切板固定具は、収納空間の後方側壁に沿うように上下に配設される縦仕切板部材の下端部を固定する縦仕切板固定具であって、前記収納空間の底面に固定される固定片部と、この固定片部から立ち上がるように設けられ、前記縦仕切板部材の下端部を厚さ方向両側から挟むように保持する一対の挟持片部と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明においては、前記一対の挟持片部を、前後方向で異なる位置となるように前記固定片部から切り起こすようにして形成してもよい。
また、本発明においては、前記固定片部に、前記縦仕切板部材の厚さ方向に沿って長尺の止具挿通長孔を設けてもよい。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る収納装置は、収納空間の両側壁間に架け渡されるようにして配設される横板部材と、前記収納空間の開口幅方向途中部位において後方側壁に沿うように上下に配設され、上端部が前記横板部材に固定される縦仕切板部材と、前記収納空間の底面に固定され、前記縦仕切板部材の下端部を固定する本発明に係る縦仕切板固定具と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る縦仕切板固定具及びこれを備えた収納装置は、上述のような構成としたことで、縦仕切板部材の固定強度を向上させることができるとともに施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態に係る収納装置の一例が備える横板固定具の一例を模式的に示し、図2におけるX1部に対応させた概略拡大斜視図、(b)は、同収納装置が備える縦仕切板固定具の一例を模式的に示し、図2におけるX2部に対応させた概略拡大斜視図である。
【図2】同収納装置が施工された状態を模式的に示す概略斜視図である。
【図3】図2に対応させた概略拡大正面図である。
【図4】図2におけるY−Y線矢視に対応させた概略拡大側面図である。
【図5】図2に対応させた概略拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
また、以下の実施形態では、縦仕切板固定具及び収納装置が施工された状態において、収納空間の開口側を前方側、その逆側を後方側として説明し、また、施工された状態を基準として上下方向等の方向を説明する。
【0012】
図1〜図5は、本実施形態に係る縦仕切板固定具及びこれを備えた収納装置の一例について説明するための概念的な説明図である。
本実施形態に係る収納装置1は、図2に示すように、収納空間2の両側壁3,3間に架け渡されるようにして配設される横板部材10と、この横板部材10の側端部11を支持する横板固定具20とを備えている。また、収納装置1は、横板部材10に上端部18(図3参照)が固定され、上下に配設される縦仕切板部材16と、この縦仕切板部材16の下端部17を固定する縦仕切板固定具30とを備えている。
【0013】
収納空間2は、住居等の建物内に形成されたクローゼットや押入れ等とされ、左右の両側壁3,3、後方側壁4、天面(不図示)及び底面5によって区画されており、前方側(例えば、室内空間側)に向けて開口している。図例では、収納空間2の底面が床面5とされたいわゆるウォークインクローゼット状の収納空間2を例示している。
両側壁3,3及び後方側壁4は、図5に示すように、内壁材から構成され、この内壁材の裏面側には、壁下地としての間柱6や隅柱7等が設けられている。この壁下地としては、その他、胴縁や桟部材等としてもよい。
【0014】
横板部材10は、図2〜図4に示すように、略矩形平板状とされ、収納空間2の開口幅寸法に応じた長さ寸法(左右寸法)とされている。図例では、横板部材10を後方側壁4に沿わせるように配設し、横板部材10の前後寸法(幅寸法)を、収納空間2の前後寸法(奥行き寸法)よりも小さくした例を示している。この横板部材10は、収納空間2に天板や枕棚、その他の棚板として設けられるものとしてもよい。
【0015】
縦仕切板部材16は、図2〜図4に示すように、収納空間2の開口幅方向途中部位において後方側壁4に沿うように配設され、図例では、二枚の縦仕切板部材16,16を横板部材10の下面13側に配設した例を示している。この縦仕切板部材16は、図3及び図4に示すように、略矩形平板状とされ、横板部材10の下面13から床面5までの高さ寸法に応じた長さ寸法(上下寸法)とされている。また、図例では、この縦仕切板部材16の前後寸法(幅寸法)を、横板部材10の前後寸法よりも小さくした例を示している。つまり、本実施形態では、図4に示すように、横板部材10を、縦仕切板部材16の前端面よりも前方に延出するように配設した例を示している。
【0016】
縦仕切板部材16は、横板部材10によって上下に区画された収納空間2の下側空間を左右に仕切る機能に加えて、横板部材10の左右方向の途中部位を支持する機能を備えたものとしてもよい。また、図例のように複数枚(図例では二枚)の縦仕切板部材16,16を配設した場合には、これらの間に棚板や引出等を配設し、これら縦仕切板部材16,16を側板として機能させるようにしてもよい。さらには、このような態様に代えて、縦仕切板部材16と側壁3との間に棚板や引出を設けるようにしてもよい。これらの態様では、必要に応じて、縦仕切板部材16の側面19や側壁3等に、棚板を支持する突起等の棚板受部や、引出を出し入れ自在に支持するレール等を設けるようにすればよい。
また、本実施形態では、横板部材10の下方側にハンガー等が掛けられるパイプ部材29を配設した例を示している。図例では、各側壁3と各縦仕切板部材16との間にそれぞれパイプ部材29,29を配設し、二枚の縦仕切板部材16,16間に一本のパイプ部材29を配設した例を示している。
【0017】
横板固定具20は、図1(a)及び図3に示すように、横板部材10の側端面12に対面配置され、側壁3に固定される側片部21と、横板部材10の下面13に当接され、この横板部材10の側端部11に固定される下片部25とを備えている。
側片部21は、図4及び図5に示すように、横板部材10の側端面12の概ね全体を覆うように、その前後寸法が形成されており、図例では、横板部材10の後端近傍の側端面12の一部を除いて、横板部材10の側端面12を覆う形状とされている。また、側片部21の上下寸法は、本実施形態では、横板部材10の厚さ寸法よりも大きい寸法とされている。つまり、横板部材10を下片部25に載置した状態で、横板部材10の上面14よりも上方に向けて延出する延出部を有している。
本実施形態では、この側片部21の延出部に、前後方向に沿って長尺の止具挿通長孔22を設けている。この止具挿通長孔22は、図1(a)及び図4に示すように側片部21の前側半部の略全長に亘って設けられている。また、側片部21の延出部の後端部近傍には、丸孔状の止具挿通孔21aが設けられている。
【0018】
また、本実施形態では、この側片部21に、横板部材10の上面14に当接される押え片部23を設けている。
押え片部23は、本実施形態では、図1(a)及び図5に示すように、側片部21の後端部から収納空間2の開口幅方向中央側に向けて屈曲されるように側片部21に設けられ、横板部材10の後端側の上面14に当接される構成とされている。図例では、上記のように延出された側片部21の延出部の後端部に一連にこの押え片部23を設けた例を示しており、横板部材10の上面14から横板部材10の厚さ方向に沿って立ち上がるように設けた例を示している。つまり、押え片部23の板厚方向と横板部材10の厚さ方向とが略直交するように設けた例を示している。
【0019】
この押え片部23は、上記延出部の後端部から上記開口幅方向中央側かつ後方側に向けて傾斜状に形成された隅押え片23aと、この隅押え片23aの後端から開口幅方向中央側に向けて延びるように形成された後端押え片23bとを有している。
これら隅押え片23a及び後端押え片23bには、丸孔状の止具挿通孔23c,23dがそれぞれに設けられている。隅押え片23aに設けられた止具挿通孔23cは、図例では、バーリング状のものとされている。
隅押え片23aは、横板部材10の後端側出隅部上面に当接するように配設される。後端押え片23bは、横板部材10の後端部上面に当接するように配設され、その背面が後方側壁4に近接乃至は当接するように配設される。
【0020】
また、側片部21の上記延出部と隅押え片23aとに亘って補強リブが設けられ、隅押え片23aと後端押え片23bとに亘って補強リブが設けられている。
この押え片部23の側片部21の内方側面(上記開口幅方向中央側に向く面)から上記開口幅方向中央側への突出寸法は、後記するように横板部材10の後端側を安定的に保持し得るような寸法としてもよい。この突出寸法は、安定的な保持や見栄え上の観点等から20mm〜100mm程度の突出寸法としてもよく、50mm前後の突出寸法としてもよい。
【0021】
また、本実施形態では、側片部21の前端部に、横板部材10の前端面15に対面配置される前端片部24を設けている。この前端片部24は、側片部21の前端部から収納空間2の開口幅方向中央側に向けて屈曲されるように側片部21に設けられている。図例では、この前端片部24は、横板部材10の厚さ寸法に応じた高さ寸法とされている。つまり、側片部21の延出部には前端片部を設けていない例を示している。なお、延出部も含み、側片部21の高さ方向の全体に亘って前端片部を設けるようにしてもよい。また、この前端片部24の幅寸法(左右寸法)は、後記するように横板部材10を施工する際に、加工誤差や施工誤差等を吸収し得るような寸法としてもよく、このような誤差吸収や見栄え上の観点等から数mm〜20mm程度の比較的に小さい幅寸法としてもよい。
【0022】
下片部25は、側片部21の下端縁から上記開口幅方向中央側に向けて屈曲されるように設けられている。この下片部25は、横板部材10の側端面12近傍の下面13の前後方向の概ね全体を覆うように、その前後寸法が形成されており、図例では、横板部材10の後端及び前端近傍の一部を除いて、横板部材10の側端面12近傍の下面13を覆う形状とされている。この下片部25の幅寸法(左右寸法)は、横板部材10を安定的に支持し得るような寸法としてもよく、このような安定的な支持や見栄え上の観点、製造コスト等の観点等から20mm〜50mm程度の幅寸法としてもよい。
【0023】
この下片部25には、前後方向に沿って間隔を空けて複数(図例では3つ)の丸孔状の止具挿通孔25aが設けられている。
また、本実施形態では、この下片部25に、横板部材10の下方側に配設されるパイプ部材29の側壁3側の長手方向一端部が取り付けられるパイプ取付具27を保持する係合保持部26を設けている。
係合保持部26は、図1(a)及び図4に示すように、前後方向に隙間を形成し、前後方向に向かい合うように設けられた一対の係合保持片26a,26aを備えている。これら係合保持片26a,26aは、下片部25の上面から段下がり状に形成されている。また、これら係合保持片26a,26aには、バーリング状の止具挿通孔が形成されている。
なお、この横板固定具20は、鋼板等の金属板を切削や切断、折り曲げ、切り起こし、絞り、バーリング等の加工を施して上記形状とされたものとしてもよい。
【0024】
パイプ取付具27は、図3〜図5に示すように、横板固定具20の係合保持部26に係合し、保持される上端に設けられた係合片27bと、この係合片27bから垂れ下がるように形成され、一対の係合保持片26a,26aの上記隙間に挿入される垂下片とを有している。この垂下片の下端部には、上記開口幅方向中央側に向けて開口するパイプ端部保持凹部27aが設けられている。このパイプ端部保持凹部27aにパイプ部材29の長手方向一端部が嵌め込まれるようにして取り付けられる。なお、図例では、上方側にも開口したパイプ端部保持凹部27aを例示しているが、パイプ部材29の断面形状に合せた有底筒状のパイプ端部保持凹部27aとしてもよい。また、係合片27bには、横板固定具20の一対の係合保持片26a,26aに設けられた止具挿通孔に一致するように止具挿通孔が設けられている。
このパイプ取付具27は、係合片27bを横板固定具20の一対の係合保持片26a,26aに載置するようにして係合保持させ、これら係合保持片26a,26a及び係合片27bに設けられた止具挿通孔を介して、ねじや釘等の固定止具によって固定される。この固定止具を横板部材10にも捩じ込む(または打ち込む)ようにしてもよい。
【0025】
上記のように長手方向一端部が横板固定具20に係合保持されたパイプ取付具27に取り付けられたパイプ部材29の長手方向他端部は、縦仕切板部材16の側面19に固定されるパイプ保持具28に取り付けるようにしてもよい。
パイプ保持具28は、図3及び図5に示すように、上記同様のパイプ端部保持凹部28aを有し、縦仕切板部材16の側面19に向く面に、ダボ状の突起を有している。
このパイプ保持具28は、縦仕切板部材16の側面19に形成されたダボ穴に上記突起を圧入するようにして係合させ、ねじや釘等の固定止具によって縦仕切板部材16の側面19に固定するようにしてもよい。
また、二枚の縦仕切板部材16,16間に架け渡すように設けられたパイプ部材29の長手方向両端部は、縦仕切板部材16,16の対向する側面19,19にそれぞれ固定された上記同様のパイプ保持具28,28に取り付けられ、支持されている。
【0026】
縦仕切板固定具30は、図1(b)及び図3に示すように、収納空間2の底面(図例では床面)5に固定される固定片部31と、この固定片部31から立ち上がるように設けられた一対の挟持片部33,35とを備えている。これら一対の挟持片部33,35は、縦仕切板部材16の下端部17を厚さ方向(左右方向)両側から挟むように保持する構成とされている。
固定片部31には、図5に示すように、本実施形態では、縦仕切板部材16の厚さ方向(左右方向、収納空間2の開口幅方向)に沿って長尺の止具挿通長孔32が設けられている。また、本実施形態では、この固定片部31を、縦仕切板部材16の左右方向一方側の側面19側にのみ露出するように設けた例を示している。
【0027】
一対の挟持片部33,35は、図1(b)及び図4に示すように、本実施形態では、前後方向で異なる位置となるように固定片部31から切り起こされるようにして形成されている。これら挟持片部33,35は、本実施形態では、縦仕切板部材16の一方の側面19に当接する第1切起片部33と、縦仕切板部材16の他方の側面19に当接する第2切起片部35とからなる。これら第1切起片部33と第2切起片部35との左右方向に沿う間隔は、これらが縦仕切板部材16の各側面19,19に当接し得るように、縦仕切板部材16の厚さ寸法に応じた間隔とされている。
【0028】
第1切起片部33は、上記のように露出する固定片部31側に設けられ、この固定片部31の前後方向略中央部位から立ち上がるように形成されている。
この第1切起片部33の前後方向両側には、固定片部31に連なるように形成され、縦仕切板部材16の下端面に当接する端面片部34,34がそれぞれ設けられている。本実施形態では、これら端面片部34,34のそれぞれから立ち上がるように第2切起片部35,35を設けた例を示している。つまり、本実施形態では、前後方向に沿って縦仕切板部材16の両側で互い違いとなるように少なくとも一方の切起片部(図例では第2切起片部35,35)を複数設けた例を示している。
【0029】
これら第1切起片部33及び第2切起片部35の立ち上り寸法(高さ寸法)や幅寸法(前後寸法)は、縦仕切板部材16の下端部17を安定的に保持し得るような寸法としてもよい。例えば、このような安定的な保持や見栄え上の観点、製造コスト等の観点等から上記立ち上がり寸法を、5mm〜20mm程度とし、上記幅寸法を、10mm〜30mm程度としてもよい。
なお、この縦仕切板固定具30は、上記した横板固定具20と略同様、鋼板等の金属板を切削や切断、折り曲げ、切り起こし等の加工を施して上記形状とされたものとしてもよい。
また、図例では、単一の第1切起片部33を設けた例を示しているが、複数の第1切起片部33を設けるようにしてもよい。この場合、第2切起片部35を単一のものとしてもよく、上記同様、複数のものとしてもよい。この場合は、固定片部31や端面片部34等を適宜、変形するようにすればよい。
【0030】
次に、上記構成とされた本実施形態に係る収納装置1の施工手順の一例について説明する。
まず、横板部材10の配設高さに応じて、収納空間2の両側壁3,3にそれぞれ横板固定具20,20を固定する。この際、横板固定具20の押え片部23の後端押え片23bを後方側壁4に当接させて前後方向の位置決めを行うようにしてもよい。この横板固定具20の固定は、図5に示すように、収納空間2を区画する壁面材の裏面側に配設された間柱6の前後位置に応じて、側片部21の止具挿通長孔22を利用してねじや釘等の固定止具8によって側壁3に側片部21の前側部位を固定するようにしてもよい。上述のように、この止具挿通長孔22は、前後方向に沿って長尺に形成されているので、収納空間2を区画する側壁3の壁下地としての間柱6等が配設された位置に合わせて固定することができる。これにより、胴縁等の固定下地等を設けないようにすることもできる。
【0031】
また、側片部21の後側部位は、上記した後端部に設けられた丸孔状の止具挿通孔21aを利用して固定するようにしてもよい。または、これに代えて若しくは加えて、図5に示すように、壁面材の隅部裏面側に隅柱7が配設されている場合には、この隅柱7に対して、押え片部23を固定するようにしてもよい。この場合は、押え片部23の隅押え片23aに設けられた止具挿通孔23cを利用して固定止具8を隅柱7に対して斜め状に捩じ込んで(または打ち込んで)、押え片部23を壁下地としての隅柱7に固定するようにしてもよい。さらには、後方側壁4の壁面材の隅部近傍裏面側に間柱等が配設されている場合には、この間柱等に対して、押え片部23を固定するようにしてもよい。この場合は、押え片部23の後端押え片23bに設けられた止具挿通孔23dを利用して固定止具8を間柱等に捩じ込んで(または打ち込んで)、押え片部23を壁下地としての間柱等に固定するようにしてもよい。また、壁面材の裏面側に壁下地としての胴縁等が配設されている場合には、この胴縁等に対して、上記した少なくともいずれかの止具挿通孔を利用して、固定止具8を捩じ込んで(または打ち込んで)、側片部21の後側部位を胴縁等に固定するようにしてもよい。
また、パイプ部材29を横板部材10の下方側に配設する場合には、横板固定具20の係合保持部26に上記したパイプ取付具27を係合保持させておくようにしてもよい。
【0032】
次いで、上記のように両側壁3,3にそれぞれ固定された一対の横板固定具20,20のそれぞれの下片部25,25に、両側端部11,11を載置するようにして、横板部材10を取り付ける。この際、横板部材10の側端部11の後端側隅部を、横板固定具20の下片部25と押え片部23との間に挿入するようにして、また、横板部材10の後端面を後方側壁4に当接させるようにして、横板部材10の側端部11を下片部25に載置するようにしてもよい。そして、横板固定具20の下片部25の下方側からこの下片部25に設けられた複数の止具挿通孔25aを利用して、横板部材10の側端部11に対して、固定止具8を捩じ込んで(または打ち込んで)、横板固定具20と横板部材10とを固定するようにしてもよい。
【0033】
また、横板部材10の下面13側に上下方向に沿って縦仕切板部材16を配設する場合には、横板部材10の長手方向途中部位の下面13と縦仕切板部材16の上端部18とを固定するようにしてもよい。この縦仕切板部材16は、上記のように横板部材10の側端部11を横板固定具20に支持させた後に行うようにしてもよい。または、縦仕切板部材16を横板部材10に固定した後に、横板部材10の側端部11を横板固定具20に支持させ、固定するようにしてもよい。
なお、縦仕切板部材16の上端部18の横板部材10の下面13への固定態様としては、図3に示すように、横板部材10の上面14側から、ねじや釘等の固定止具を縦仕切板部材16の上端部18に捩じ込む(または打ち込む)ことで固定する態様としてもよい。また、このような固定止具による固定態様に代えてまたは加えて、一方に設けたダボと他方に設けたダボ穴とをダボ組みすることで固定する態様としてもよい。この場合は、適宜、接着剤などを併用するようにしてもよい。または、このような固定態様に代えて若しくは加えて、L型金具等を用いて固定止具によって縦仕切板部材16の上端部18と横板部材10の下面13とを固定する態様としてもよい。
【0034】
また、縦仕切板部材16の下端部17を、縦仕切板固定具30を用いて床面5に対して固定する。この縦仕切板固定具30は、縦仕切板部材16を横板部材10に固定する前に、第1切起片部33と第2切起片部35との間に縦仕切板部材16の下端部17を嵌め込むようにして取り付けておくようにしてもよい。そして、縦仕切板固定具30の固定片部31に設けられた止具挿通長孔32を利用して、収納空間2の床面5にねじや釘等の固定止具8によって縦仕切板固定具30を固定する。この際、固定片部31の止具挿通長孔32は、縦仕切板部材16の厚さ方向に沿って長尺に形成されているので、例えば、固定止具8を仮止め等した後、縦仕切板部材16が垂直となるように位置合わせを容易に行うことができる。
【0035】
そして、縦仕切板部材16の側面19に、パイプ保持具28を固定し、パイプ部材29を取り付けて、当該収納装置1を施工するようにしてもよい。
なお、上記施工手順は一例に過ぎず、別手順で行うようにしてもよい。例えば、横板固定具20を横板部材10の側端部11に固定した後に、横板固定具20を側壁3等に固定する態様としてもよい。この場合は、横板部材10の前端面15を、横板固定具20の前端片部24に当接させて、前後方向の位置決めを行うようにしてもよい。つまり、横板固定具20の前端片部24を位置決め片部として機能させるようにしてもよい。また、このような施工手順によっても、本実施形態では、側片部21に延出部を設け、この延出部に止具挿通長孔22及び止具挿通孔21a並びに止具挿通孔23c,23dを設けた押え片部23を設けているので、これらを利用して横板固定具20を固定することができる。
【0036】
上記構成とされた本実施形態に係る収納装置1によれば、横板固定具20を備えているので、横板部材10の固定強度を向上させることができる。つまり、横板部材10の側端部11を、この側端部11が固定される横板固定具20の下片部25によって支持することができる。また、横板固定具20は、横板部材10の上面14に当接される押え片部23を備えているので、上方側等への外力が加わった場合にもこの押え片部23によって横板部材10の下片部25からの浮き上がり等を抑制することができる。従って、横板部材10の固定強度を向上させることができる。
【0037】
また、本実施形態では、横板固定具20の押え片部23を、側片部21の後端部から収納空間2の開口幅方向中央側に向けて屈曲されるように側片部21に設けているので、横板部材10の後端側の浮き上がり等を当該押え片部23によって抑制することができる。これにより、横板部材10の下面13側に、上記のように横板部材10よりも前後寸法の短い縦仕切板部材16の上端18が固定されて配設される場合にも好適なものとなる。つまり、横板部材10の手前側が下方側等に向けて引っ張られて後方側に浮き上がり方向の荷重が掛かるような場合にも横板部材10の後端側が下片部25から浮き上がったり、外れたりするようなことを抑制することができる。
さらに、本実施形態では、押え片部23の板厚方向と横板部材10の厚さ方向とが略直交するように押え片部23を形成しているので、当該押え片部23が側片部21に対して上下方向に変形し難く、撓み難くなり、横板部材10の後端側の浮き上がり等をより効果的に抑制することができる。さらにまた、本実施形態では、押え片部23に固定止具8が挿通される止具挿通孔23c,23dを設けているので、これらを利用して、上記のように押え片部23を壁下地に固定する態様とすれば、横板部材10の後端側の浮き上がり等をさらに効果的に抑制することができる。
【0038】
さらにまた、本実施形態では、横板固定具20の側片部21の前端部に、横板部材10の前端面15に対面配置される前端片部24を設けている。従って、横板部材10の側端面12と横板固定具20の側片部21との間に隙間が形成されるような場合にも前端片部24によってこの隙間の前方側を覆い隠すことができ、横板部材10の側端部11を見栄え良く納めることができる。また、これにより、横板部材10の収納空間2の開口幅方向に沿う寸法の微調整を高精度に行う必要性が低減され、施工性を向上させることができる。
【0039】
また、本実施形態では、横板固定具20の下片部25に、横板部材10の下方側に配設されるパイプ部材29の端部が取り付けられるパイプ取付具27を保持する係合保持部26を設けている。従って、横板固定具20をパイプ取付具27の保持手段として兼用することができる。これにより、上記のようなパイプ保持具28を別途、側壁3や受け桟等に固定する必要があるものと比べて、施工性を向上させることができる。
【0040】
また、上記構成とされた本実施形態に係る収納装置1によれば、縦仕切板固定具30を備えているので、縦仕切板部材16の固定強度を向上させることができるとともに施工性を向上させることができる。つまり、縦仕切板部材16の下端部17を厚さ方向両側から挟むように保持する一対の挟持片部としての第1切起片部33と第2切起片部35とを備えているので、縦仕切板部材16の厚さ方向への位置ズレ等を抑制することができ、縦仕切板部材16の固定強度を向上させることができる。
さらに、これら第1切起片部33及び第2切起片部35は、収納空間2の床面5に固定される固定片部31から立ち上がるように設けられている。従って、例えば、両側にL型金具等を固定するようなものと比べて、部品点数を増加させることなく施工でき、施工性を向上させることができる。
さらにまた、本実施形態では、固定片部31を、縦仕切板部材16の左右方向一方側の側面19側にのみ露出するように設けているので、縦仕切板部材16の左右方向他方側の側面19側では縦仕切板固定具30が目立ち難くなり、見栄えを向上させることができる。
【0041】
また、縦仕切板固定具30の第1切起片部33及び第2切起片部35は、前後方向で異なる位置となるように固定片部31から切り起こされるようにして形成されているので、簡易な構造とでき、加工コストや製造コストを抑えることができる。
さらに、本実施形態では、前後方向に沿って縦仕切板部材16の両側で互い違いとなるように少なくとも一方の切起片部(図例では第2切起片部35,35)を複数設けている。従って、縦仕切板部材16の下端部17の水平面域方向への回動乃至は揺動(垂直軸廻りの回動乃至は揺動)を、部品点数を増加させることなく効果的に抑制することができる。つまり、図例のように縦仕切板部材16の前後方向途中部位に単一の縦仕切板固定具30を設けた場合において、第1切起片部33及び第2切起片部35を、前後方向で異なる位置となるようにそれぞれ単一とした場合には、縦仕切板部材16の下端部17が水平面域方向に回動等し易い傾向があるが、このような回動等を抑制することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、横板固定具20の側片部21に延出部を設け、この延出部に止具挿通長孔22を設けた例を示しているが、このような延出部を設けずに、横板部材10の側端面12に対面配置される部位に止具挿通長孔を設けるようにしてもよい。この場合は、固定止具8の頭部等と横板部材10とが干渉しないように、横板部材10の左右寸法を適宜の寸法としてもよく、また、それに応じて前端片部24の幅寸法を比較的に大きくするような態様としてもよい。または、このような止具挿通長孔22を上記延出部や上記対面配置される部位に設けずに、これらの前後方向に沿って間隔を空けて複数の丸孔状の止具挿通孔を設けるようにしてもよい。さらには、このような止具挿通孔を側片部21や押え片部23に設けずに、例えば、施工現場等において下孔加工等が施されるものとしてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、横板固定具20の側片部21の前端部に、前端片部24を設けた例を示しているが、このような前端片部24を設けないようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、横板固定具20の側片部21の後端部に、押え片部23の板厚方向と横板部材10の厚さ方向とが略直交するように押え片部23を設けた例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、押え片部23の板厚方向と横板部材10の厚さ方向とが略平行となるように、つまり、下片部25と平行となるように押え片部23を設ける態様としてもよい。また、このように横板固定具20の側片部21の後端部に押え片部23を設ける態様に代えてまたは加えて、側片部21の前端部や前後方向途中部位等に押え片部を設けるようにしてもよい。
さらにまた、本実施形態では、横板固定具20の下片部25に、パイプ取付具27を保持する係合保持部26を設けた例を示しているが、このような係合保持部26を設けないようにしてもよい。この場合は、別途、上記同様のパイプ保持具を設け、側壁3等に固定するようにしてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、横板固定具20に押え片部23を設けた例を示しているが、このような押え片部23を設けないようにしてもよい。
さらには、横板部材10を支持する固定具としては、上記のような横板固定具20に限られず、他の固定具を採用するようにしてもよい。例えば、両側壁3,3に、横板部材10の両側端部11,11を支持する受け桟を固定し、この受け桟に対して直接乃至はL型金具等を用いて、固定止具によって横板部材10を固定する態様としてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、縦仕切板固定具30の固定片部31を、縦仕切板部材16の左右方向一方側の側面19側にのみ露出するように設けた例を示しているが、縦仕切板部材16の両側面19,19側に露出するように固定片部をそれぞれ設けるようにしてもよい。この場合は、各固定片部に上記同様の止具挿通長孔を設けるようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、縦仕切板固定具30の一対の挟持片部として、前後方向に沿って縦仕切板部材16の両側で互い違いとなるように少なくとも一方の切起片部を複数設けたものを示しているが、これらをそれぞれ単一のものとしてもよい。このような態様によっても縦仕切板部材16の厚さ方向への位置ズレ等を抑制することができ、縦仕切板部材16の固定強度を向上させることができる。このような場合において上記のような縦仕切板部材16の下端部17の回動を抑制する必要がある場合には、縦仕切板部材16の前後方向に沿って複数の縦仕切板固定具30を設けるようにしてもよい。
【0046】
さらにまた、本実施形態では、縦仕切板固定具30の一対の挟持片部33,35を、前後方向で異なる位置となるように固定片部31から切り起こすようにして形成したものとした例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、これら一対の挟持片部を、前後方向で略同位置となるように固定片部31から立ち上がるように形成したものとしてもよい。
また、本実施形態では、縦仕切板固定具30の一対の挟持片部33,35に縦仕切板部材16の下端部17を嵌め込むことで、縦仕切板部材16の下端部17を縦仕切板固定具30に固定した例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、これら一対の挟持片部33,35の少なくとも一方を介して固定止具を縦仕切板部材16の下端部17の厚さ方向に捩じ込む(または打ち込む)ことで、これらを固定する態様としてもよい。この場合は、一対の挟持片部33,35の少なくとも一方に止具挿通孔を設けるようにしてもよい。
【0047】
さらに、本実施形態では、縦仕切板固定具30の固定片部31に、縦仕切板部材16の厚さ方向に沿って長尺の止具挿通長孔32を設けた例を示しているが、このような態様に代えて、丸孔状の止具挿通孔を固定片部31に設ける態様としてもよい。さらには、このような止具挿通孔を固定片部31に設けずに、例えば、施工現場等において下孔加工等が施されるものとしてもよい。
さらにまた、本実施形態では、縦仕切板部材16の上端部18を、横板部材10の下面13に固定した例を示しているが、縦仕切板部材16の上端部18を、後方側壁4等に固定する態様としてもよい。この場合は、適宜、L型金具等を用いて固定するようにしてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、床面5と略同一平面状とされた面を収納空間2の底面としたウォークインクローゼット状の収納空間2とした例を示しているが、地板や棚板等の上面を収納空間の底面として把握するようにしてもよい。また、図例では、前方側に向けて開口した収納空間2を例示しているが、この前方側開口を開閉する折戸や引戸、開き戸等の扉部材を更に設けるようにしてもよい。この場合は、前方側開口縁に沿って適宜、必要に応じて扉部材を建て付けるための開口枠等を設けるようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、両側壁3,3及び後方側壁4を内壁材によって構成し、その裏側に壁下地としての間柱6や隅柱7等が配設された木造の建物の収納空間2に収納装置1を施工した例を示しているが、このような態様に限られない。壁下地が軽量鉄骨柱からなる軽量鉄骨造や、コンクリートからなる鉄筋コンクリート造等の建物の収納空間2に収納装置1を施工する態様としてもよい。この場合は、収納装置1が備える各固定具20,30を固定する固定止具を、固定対象となる壁下地に応じて適宜のものを採用するようにすればよい。
【0049】
さらにまた、本実施形態では、内壁材からなる側壁3を横板部材10(横板固定具20)の固定対象とした例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、縦仕切板部材16,16間または縦仕切板部材16と側壁3との間に横板部材10を架け渡すようにして配設する際には、縦仕切板部材16を収納空間の側壁として把握するようにしてもよい。
また、本実施形態では、収納空間2の開口幅寸法に応じた一枚からなる横板部材10を例示しているが、複数枚からなる横板を長手方向にジョイント金具等によって接合したものとしてもよい。
【0050】
さらに、本実施形態では、二枚の縦仕切板部材16,16を配設した例を示しているが、一枚または三枚以上の縦仕切板部材を設ける態様としてもよい。
さらにまた、本実施形態では、パイプ部材29を横板部材10の下方側に配設した例を示しているが、このようなパイプ部材29を設けないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 収納装置
2 収納空間
3 側壁
4 後方側壁
5 床面(底面)
10 横板部材
16 縦仕切板部材
17 下端部
18 上端部
30 縦仕切板固定具
31 固定片部
32 止具挿通長孔
33 第1切起片部(挟持片部)
35 第2切起片部(挟持片部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納空間の後方側壁に沿うように上下に配設される縦仕切板部材の下端部を固定する縦仕切板固定具であって、
前記収納空間の底面に固定される固定片部と、
この固定片部から立ち上がるように設けられ、前記縦仕切板部材の下端部を厚さ方向両側から挟むように保持する一対の挟持片部と、
を備えていることを特徴とする縦仕切板固定具。
【請求項2】
請求項1において、
前記一対の挟持片部は、前後方向で異なる位置となるように前記固定片部から切り起こされるようにして形成されていることを特徴とする縦仕切板固定具。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記固定片部には、前記縦仕切板部材の厚さ方向に沿って長尺の止具挿通長孔が形成されていることを特徴とする縦仕切板固定具。
【請求項4】
収納空間の両側壁間に架け渡されるようにして配設される横板部材と、
前記収納空間の開口幅方向途中部位において後方側壁に沿うように上下に配設され、上端部が前記横板部材に固定される縦仕切板部材と、
前記収納空間の底面に固定され、前記縦仕切板部材の下端部を固定する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の縦仕切板固定具と、
を備えていることを特徴とする収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−225067(P2012−225067A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94200(P2011−94200)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】