説明

縦形製袋充填包装機

【課題】袋幅を変更することなく自立袋の内容量が調整できる。
【解決手段】縦形製袋充填包装機1は、縦形製袋充填装置3にフィルムfを搬送する途中で、底部材形成装置25で形成した底部材bを底部材搬送装置28で搬送してフィルムfの幅方向中央領域で自立袋の底部になる位置に底部材仮付け装置29で仮付けする。底部材形成装置25は、底部材フィルムb′から2つ折りして切断刃で所定長さに切断して底部材bを形成する。超音波シーラ22で底部材bの両端に開き抑制部を形成する。製袋チューブ6の下側に設けた横シーラ10は、自立袋の頂部シール部と底部シール部を溶着する頂部ヒータ部と底部ヒータ部を有すると共に斜めヒータ部を有する。底部ヒータ部と斜めヒータ部は底部材本付け手段を兼ねている。フィルムfの搬送方向での底部材bの配置間隔によって自立袋Fの長さと容量を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立性を有する自立袋を製造する縦形製袋充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、茶や洗剤等の各種内容物を収納し、底部を着座させて自立可能な自立袋を製造する縦形製袋充填包装機として、例えば下記特許文献1に記載されたものがある。
この縦形製袋充填包装機では、シート状のフィルムを製袋チューブに沿って挿通させて筒状フィルムに形成する。製袋チューブの下部には、筒状フィルムの側部に自立袋の底部構造であるマチ即ちガセットを形成するための成形装置が配設されている。この成形装置の下流側には横シーラが配設されている。成形装置によってマチを形成すると共に、横シーラによってマチを挟むように上下方向に側面シール部を形成し、横シーラに設けた切断刃で分断して自立袋が製造される。
得られた自立袋は底部構造であるマチを水平面に置くことで自立する。そのため、自立袋の袋長が筒状フィルムの幅によって決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−190908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された縦形製袋充填包装機では、自立袋の袋長がフィルムの幅によって決定されるから、袋の幅を変更しないで袋の内容量を変更する場合、フィルムの幅を変更する必要があるため、フィルムを巻回するフィルムリールとフィルムをシート状から筒状に成形するセーラ(フォーマ)と製袋チューブとを変更しなければならず、自立袋の袋長や容量の変更は煩雑でコスト高になる不具合があった。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みて、フィルムリールやセーラや製袋チューブ等を交換することなく、自立袋の長さや容量を調整可能とした縦形製袋充填包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による縦形製袋充填包装機は、連続する帯状の包材をセーラに通して製袋チューブに沿って搬送しながら略筒状に成形すると共に筒状の包材に自立するための底部を形成して自立袋を製作するようにした縦形製袋充填包装機において、包材の搬送方向に略直交する方向に底部材を仮付けする底部材仮付け手段と、略筒状とされた包材と仮付けされた底部材とを溶着して底部材を自立袋の底部として形成する底部材本付け手段とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、搬送される包材の搬送方向に直交する方向に底部材を仮付けすることで、包材の搬送方向における予め設定した1袋分の長さ毎に、包材搬送方向に略直交する位置に底部材を仮付けし、この包材を製袋チューブで筒状に成形して底部材本付け手段によって筒状の包材を挟持し圧着することで、底部材を自立袋の底部として貼り付けて自立袋を製造できる。しかも製作される自立袋は、その長さが包材の搬送方向に対する底部材の仮付け位置の間隔で決定できる。そのため、自立袋の容量を、自立袋の幅を変更することなく且つフィルムリールやセーラや製袋チューブ等の部品を交換することなく、包材の搬送方向に対する底部材の配置間隔と横シール及び底部材本付け手段によるシールのタイミング等を適宜調整して製造できる。
【0007】
また、本発明による縦形製袋充填包装機は、帯状の底部材用包材を繰り出して2つに折り込んで所定長さに切断して底部材を形成する底部材形成手段と、
形成された底部材を帯状の包材の搬送方向に略直交する方向に搬送して仮付け位置に配置する底部材搬送手段とを更に備えていることが好ましい。
本発明によれば、底部材形成手段と底部材搬送手段とが個々に備えられているから、上述した縦形製袋充填包装機にそれぞれを装着することで、帯状の包材から内容物を充填した袋を製造する場合に、底部材の製作と包材上への搬送とを行うことができて、自動的に自立袋の製造を行うことができる。
【0008】
また、底部材本付け手段は、筒状の包材及び底部材をシールする横シーラと一体に形成されていることが好ましい。
これにより、横シーラによって、筒状の包材に底部シール部を形成することと、底部材と筒状の包材とを溶着シールして底部材を自立袋の底部として形成することとを同時に行える。
【0009】
また、2つ折りした底部材の両端部をそれぞれ係止させる係止手段を備えていることが好ましい。
底部材の折り目と反対側の2つ折りした側縁の両端部を係止手段でそれぞれ係止させることで、包材に仮付けされた底部材が、セーラを介して縦形方向の製袋チューブに移送される際、底部材の中央領域は包材に密着させられて折り曲げられ、広がりやすい両端部は係止によって広がることなく折り曲げられることで、底部材は包材と共にセーラに引っかかることなくスムーズに製袋チューブに移送して底部材を囲うように略筒状に成形される。
しかも、底部材を2つ折りしたことで、製袋チューブで略筒状に成形される包材の内側が底部材の2つ折りした両面に対向することになり、横シーラと底部材本付け手段による自立袋の底部材と包材のシールによる溶着と底部の成形とをスムーズに行える。
【0010】
2つ折りした底部材の折り目を形成する折り目付け手段を備えていることが好ましい。
2つ折りした底部材に折り目を形成することで、その後に包材に仮付けされてセーラ及び製袋チューブで搬送方向の変換をさせられる際、底部材は包材と共にセーラに密着して折り曲げられて縦形をなす製袋チューブを滑らかに通過できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明による縦形製袋充填包装機によれば、包材の搬送方向に底部を設けた自立袋を製造できるので、包材の幅を変えることなく自立袋の長さの変更と容量の変更を容易に行うことができて汎用性が高い。しかも、自立袋でない一般の袋を製造するための縦形製袋充填包装機に、底部材仮付け手段と底部材本付け手段を付設することで、本発明による自立袋を製造可能な縦形製袋充填包装機を製造できるから、多種の袋形態に対応できて、この点でも汎用性が高い。
また、底部材本付け手段により、略筒状の包材を横シーラのシール動作に連動して底部材の本付けを行えるので、構造が簡単で制御も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態による縦形製袋充填包装機で製造した自立袋を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【図2】本発明の実施形態による縦形製袋充填包装機の斜視図である。
【図3】横シーラのヒータ部を示す正面図である。
【図4】図2に示す縦形製袋充填包装機において底部材形成装置と底部材搬送装置と底部材仮付け装置の拡大斜視図である。
【図5】底部材フィルムとこれを切断した底部材を示す斜視図である。
【図6】略筒状のフィルムを横シーラで熱溶着する状態を示す断面図である。
【図7】図6において、略筒状のフィルムを横シーラで熱溶着した状態を示す断面図である。
【図8】図1に示す自立袋の変形例を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態による縦形製袋充填包装機を図1乃至図6により説明する。
図1に示す自立袋Fは、後述するフィルムfと別部材の底部材フィルムb′とで形成されている。自立袋Fの底部101が底部材bで形成された船底形状であり、フィルムfからなる前壁102、後壁102′は略長方形状に形成されている。後壁102′にはその中央に縦シール部103が形成されている。
前壁102,後壁102′の上下端部は頂部シール部105と底部シール部104とで気密に封止されている。
底部材bは折り目101aで2つ折りされており、その各半折り部101b、101bにおいて、前壁102、後壁102′と対向する側の面にシール材が塗布されている。そのため、前壁102、後壁102′を挟み込んで加熱シールすることにより、底部材bの半折り部101b、101bはそれぞれ前壁102、後壁102′のみに加熱シールされて底部シール部104を形成する。
【0014】
両側部106、106は前壁102,後壁102′の折り目からなる稜線で形成されている。前壁102、後壁102′は底部シール部104の途中部分から側部106に向けて三角形をなす斜めシール部108、108が形成されている。
この斜めシール部108、108は前壁102,後壁102′と底部101(底部材b)の折り目101aを境界とした半折り部101b、101bとを加熱シールして形成され、しかも斜めシール部108、108の上端で底部101の半折り部101b、101bを超えて前壁102、後壁102′同士が熱溶着で封止されている。これによって、自立袋Fはその平面視と底面視で略船底形状を呈することになる。
これによって自立袋Fに気密性を有する船底形状の底部101が形成される。
【0015】
次に、縦形製袋充填包装機1について図2により説明する。
図2に示す縦形製袋充填包装機1は、フィルムリール2から繰り出される連続する帯状のフィルムfを縦形製袋充填装置3に供給する。この縦形製袋充填装置3では、製造される自立袋F内に内容物を充填するホッパ4の下側に、フィルムfの送り方向を水平方向から垂直方向に方向転換してフィルムfを略筒状に成形するガイドとしてのセーラ5が製袋チューブ6の上部周囲に形成されている。
製袋チューブ6は、例えば断面略円形(断面略四角形でもよい)をなしていてセーラ5からその下側に垂直方向に配設され、セーラ5の下側には略筒状に成形されたフィルムfの両端の合掌部を加熱シールする縦ヒータ8とフィルムfを下方に送る繰り出しベルト9とが周方向に配設されている。製袋チューブ6の下方には、略筒状のフィルムfで形成された先行する自立袋Fの頂部と後続の自立袋Fの底部を同時に加熱シールすると共にカッタで切断する横シーラ10が開閉可能に配設されている。
【0016】
図3に示すように、横シーラ10は断面略コの字形状をなす一対のヒータブロック11、11の各端面にヒータ部12が形成されている。ヒータ部12は、例えば自立袋Fの頂部シール部105を形成する頂部ヒータ部12aと、底部シール部104を形成する底部ヒータ部12bと、斜めシール部108を形成する斜めヒータ部12cとで構成されている。
横シーラ10で自立袋Fの底部材bを略筒状フィルムfの内面に加熱シールして底部101を形成する際、図6、7に示すように、二つ折りした底部材bの各対向面b1と筒状のフィルムfの内面とを加熱シールする。そのため、底部材b(底部101)の対向面b1、b1にはシール材がそれぞれ塗布されており、その反対側の内側面b2、b2にはシール材を塗布しない。底部材bの対向面b1、b1の下部と略筒状のフィルムfの内面とは熱溶着されるが、底部材bの反対側の内側面b2、b2同士は互いに当接しても溶着されずに開閉可能な底部101を構成する。
そのため、ヒータ部12の底部ヒータ部12bと斜めヒータ部12cは底部材本付け手段を兼用する。また横シーラ10の頂部ヒータ部12aと底部ヒータ部12bとの間にはカッタ13が進退する凹部が形成されている。
【0017】
次にフィルムリール2から縦形製袋充填装置3にフィルムfを供給する途中で、自立袋Fの底部101を形成するための底部材形成装置25と底部材bをフィルムfに取り付ける位置まで搬送する底部材搬送装置28と底部材bをフィルムfに仮付けする底部材仮付け装置29とについて説明する。なお、本実施形態では、自立袋Fは前壁102,後壁102′等の領域がフィルムfで形成され、底部101はフィルムfとは別フィルムの底部材bで形成されている。
図2及び図4において、底部材形成装置25は三角ガイド17と一対の折りローラ18,18、折り目付け部材20、超音波シーラ22、切断刃24等を備えている。帯状の底部材フィルムb′は底部材フィルムリール16から繰り出され、三角ガイド17を通過しながら搬送方向両側部同士が向かいあうように徐々に折り曲げられ、一対の折りローラ18,18で2つ折り状態になる。その後、底部材フィルムb′は次のガイドローラ19との間で折り目付け部材20で押圧されて略直角に曲げられる。折り目付け部材20を経由することで底部材フィルムb′に明瞭な折り目が連続して形成される。
【0018】
ガイドローラ19に対して底部材フィルムb′の搬送方向前方側には、二つ折りされた底部材フィルムb′について幅方向の折り目のない側の一端縁を超音波によって所定間隔で接着する(図5参照)超音波シーラ22が設けられている。図5には超音波シーラ22によって底部材フィルムb′の一端縁を超音波で溶着した開き抑制部23が所定間隔で形成されている。開き抑制部23は超音波シーラ22に限定されることなく、溶着や凹凸係合等の係合手段を用いてもよく、フィルムfに仮付けされた底部材bが本付けまでのフィルムfの搬送経路で開いて他の部材に引っかかったりしなければよい。
超音波シーラ22に対して底部材フィルムb′の搬送方向前方側には、底部材フィルムb′を所定間隔で切断する切断刃24が設けられている。
切断刃24はフィルムfの搬送位置の近傍に設けられている。超音波シーラ22を経由した底部材フィルムb′は、これを挟持する一対の繰り出しローラ26、26によって切断刃24の下側を通過して繰り出される。
そして、底部材フィルムb′は切断刃24によって各開き抑制部23の中央を切断するように制御され、切断後の1枚の底部材bは図5に示すように長手方向両端部が開き抑制部23、23によって接着された構成を有している。
【0019】
また、底部材形成装置25の切断刃24に直交する方向には、フィルムfを支持するための支持板27が配設されている。フィルムfを挟んで支持板27と対向する位置には、支持板27に沿う方向であって切断刃24に直交する方向に挟持部を有する底部材搬送装置28が配設されている。底部材搬送装置28は支持板27に沿って切断刃24近傍の位置からフィルムfの幅方向中央部までの間を往復動可能とされている。
底部材搬送装置28は繰り出しローラ26,26によって切断刃24の下側を通過する底部材フィルムb′を把持して切断刃24近傍の位置からフィルムfの幅方向に所定距離移動した時点で停止して切断刃24によって底部材フィルムb′を開き抑制部23の中央で所定長さに切断する。これによって1枚の底部材bを得る。得られた底部材bは底部材搬送装置28に把持されてフィルムfの幅方向中央に搬送され保持されることになる。
【0020】
底部材搬送装置28に隣接するフィルムfの幅方向中央領域には底部材仮付け装置29が配設され、底部材搬送装置28でフィルムfの幅方向中央に搬送された底部材bをフィルムfに仮止めすることになる。底部材仮付け装置29による仮止めの手法として、搬送される底部材bの端縁に対して任意の所定間隔で例えばドット状に超音波、溶着、凹凸嵌合等を付与して仮止めが行われる。
帯状のフィルムfの幅方向中央部に仮止めされる2つ折りされた底部材bは、フィルムfが縦形製袋充填装置3に搬送されて製袋されることで、自立袋Fの底部101を形成され、フィルムfはその周囲を囲う前壁102,後壁102′、側部106を形成することになる。そして、自立袋Fの容量を変える場合には、底部材仮付け装置29によってフィルムfに仮付けされる底部材b同士のフィルムf搬送方向における間隔を調整すればよい。
ここで、底部材形成装置25,底部材搬送装置28、底部材仮付け装置29の作動と停止について、そのタイミングが制御される。また、底部材フィルムb′の間欠搬送についても、図示しない駆動源としてのモータの回転と停止を制御して、一対の折りローラ18,18や繰り出しローラ26,26を間欠的に駆動して底部材フィルムb′の間欠的繰り出しが行われる。
【0021】
本実施形態による縦形製袋充填包装機1は上述の構成を備えており、次にその制御方法を説明する。
図1において、フィルムロール2から間欠的に繰り出されたフィルムfは縦形製袋充填装置3に向けて搬送される。一方、底部材形成装置25では、図1及び図2に示すように、底部材フィルムリール16から帯状の底部材フィルムb′が繰り出され、三角ガイド17を経由して搬送される底部材フィルムb′が側端部同士が向かい合うように折り曲げられて一対の折りローラ18,18間で2つ折りされた状態になる。
2つ折りされた底部材フィルムb′は、次のガイドローラ19との間で折り目付け部材20で押圧されて略直角に曲げられ、2つ折りした底部材フィルムb′に強い折り目が連続して形成される。
【0022】
折り目付け部材20を経由した底部材フィルムb′は、図5に示すように、折り目のない一方の側縁に超音波シーラ22によって、折られた2枚の底部材フィルムb′を溶着する開き抑制部23が搬送方向に所定間隔で順次形成される。次いで、開き抑制部23が形成された底部材フィルムb′は、一対の繰り出しローラ26,26間に挟持されて切断刃24の下側から、搬送されるフィルムfの幅方向に繰り出される。
切断刃24の近傍では底部材搬送装置28が待ちかまえていて、繰り出される底部材フィルムb′を把持する。そして、底部材搬送装置28は底部材フィルムb′を把持してフィルムfの幅方向に所定距離移動して停止し、この状態で切断刃24によって底部材フィルムb′を開き抑制部23の中央で切断する。これにより、2つ折りされた1枚の底部材bが形成される。切断された底部材bの長さは自立袋Fの略幅の長さに設定されている。
【0023】
底部材bは、その折り目と反対側の側縁は底部材bのフィルムが重ねられて開かないように両端部に開き抑制部23、23が形成されている(図5参照)。
このような底部材bは底部材搬送装置28によって支持板27に沿ってフィルムfの幅方向に搬送されて、幅方向中央領域に保持される。底部材bは隣接して設けられた底部材仮付け装置29によってフィルムfの幅方向中央に仮止めされる。
フィルムfは繰出しベルト等により間欠的に搬送されている。フィルムfは1袋分の長さだけ搬送した位置で停止させ、この状態で底部材bを底部材搬送装置28によってフィルムfの幅方向中央領域に搬送して停止させ、底部材仮付け装置29で仮止めする。この動作を繰り返して行う。
【0024】
このようにして底部材bが幅方向に仮止めされたフィルムfは縦形製袋充填装置3に搬送される。縦形製袋充填装置3では、フィルムfがセーラ5にガイドされて水平方向から略垂直方向に方向変換させられると共に、セーラ5と製袋チューブ6との間の空間を通って略筒状に成形される。
このとき、フィルムfに仮止めされた底部材bは、開き抑制部23のない中央領域がセーラ5の最も曲率半径が小さく急峻に折れ曲がる中央部分で折り曲げられるが、フィルムfに押し付けられてスムーズに乗り越える。そのため、底部材bの中央領域では仮止めの必要がない。また、底部材bに折り目が付けられていることによってもセーラ5や製袋チューブ6を滑らかに通過できる。
一方、底部材bの両端は折り曲げた2枚の端縁が広がり易くセーラ5に引っかかり易いが、この両端縁を開き抑制部23,23で止められているので広がることなく折り曲げられてセーラ5と製袋チューブ6との間の空間に滑らかに進入する。
【0025】
セーラ5と製袋チューブ6によって略筒状に成形されたフィルムfは底部材bを下方側として降下し、フィルムfの幅方向両端部が合掌状態となって縦シール部8で合掌シールされ縦シール部103を形成する。また、略筒状のフィルムfは繰り出しベルト9によって下方に搬送される。この状態で、フィルムfの幅方向中央領域に2つ折りの底部材bが仮止めされており、筒状に成形されるフィルムfは底部材bの両側部分が内側に湾曲させられて底部材bの対向面b1に対向する(図6参照)。
そして、製袋チューブ6の下方には横シーラ10が配設されており、図6に示すように、略筒状のフィルムfが下方移動を停止した状態で、横シーラ10の一対のヒータブロック11、11における各ヒータ部12において、頂部ヒータ部12aは既に底部101が形成されて内容物が充填された先行する自立袋Fの頂部に対向し、底部ヒータ部12bと斜めヒータ部12cは後続の自立袋Fを形成する略筒状フィルムfの内面に仮付けされた底部材bに対向して位置する。
【0026】
この状態から、横ヒータ10の各ヒータブロック11、11の閉移動により、略筒状のフィルムfがヒータ部12,12で挟持されて圧着され、加熱シールされる。このとき、底部材bの略筒状フィルムfに対向する対向面b1、b1にはシール材が塗布されているために底部材bとフィルムfは溶着されて、自立袋Fの底部シール部104と斜めシール部108を形成すると共に底部101を形成する。しかしながら、底部材bの内側面b2、b2同士はシール材が塗布されていないので、互いに溶着することはなく折り目から広げることが可能である。また、先行する自立袋Fの頂部はフィルムfが溶着されて頂部シール部105を形成する。
そして、図7に示すように、二つの自立袋Fの境界を横シーラ10の凹部に設けたカッタ13で分断する。
【0027】
ここで、縦形製袋充填包装機1で製造する自立袋Fについて、セーラ5や製袋チューブ6を交換しないで容量を変更する場合、袋長を変更する必要がある。袋長を変更するには底部材bの配置間隔を変更することに加えて、自立袋Fの1袋を製造する1サイクルで繰り出されるフィルムfの長さを変える必要があり、そのためにはフィルムfの繰り出し長さを変更するか横シーラ10のシールタイミングを変更することによって行う。これによって、自立袋Fの底部と頂部との間の長さを調整して容量の異なる自立袋Fを製造できる。
【0028】
上述のように本実施形態による縦形製袋充填包装機1は、自立袋Fの底部101をフィルムfの搬送方向に位置させたから、自立袋Fの長さの変更を容易に行えて容量を変更させた自立袋Fを容易に製造できる。
しかも、既存の一般的な縦形製袋充填装置3に、底部材形成装置25や底部材搬送装置28や底部材仮付け装置29等を組み合わせることで、本実施形態による縦形製袋充填包装機1を製作できるから、多種の袋形態に対応できて汎用性が高い。
また、横シーラ10を用いた自立袋Fのシール作業に連動してヒータ部12で底部材bの自立袋Fへの本付け溶着ができるから、構造が簡単で制御も容易である。
また、底部材bを仮付けしたフィルムfがセーラ通過時にひっかかることがないから、縦形製袋充填包装機1を安定して運転できて稼働率が高くなる。
【0029】
本発明による縦形製袋充填包装機は、上述の実施形態による縦形製袋充填包装機1のみに限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更が可能である。
即ち、図8に示す自立袋F1は、底部101が底部材bで形成された略船底形状であり、前壁102、後壁102´は略長方形状に形成されている。前壁102、後壁102′の上下端部は底部シール部104と頂部シール部105とで気密に封止されている。底部材bと両前壁102、後壁102′とは底部シール部104によって気密にシールされている。
両前壁102、後壁102′の両側部は側部シール部109,109で気密にシールされて底部101(底部材b)も気密にシールされている。
このような自立袋F1を製造するには、図2に示す縦形製袋充填包装機1において、縦形製袋充填包装装置3の製袋チューブ6に対して対向する両側に一対の縦シーラ8,8を配設する。そして、横シーラ10を図2に示す配置から90°水平方向に回動させて、一対の縦シーラ8,8を間に挟んで対向してヒータブロック11,11を配設した構成を採用すればよい。その余の構成は上述した第一実施形態による縦形製袋充填包装機1と同一の構成を採用できる。
【0030】
なお、上述の縦形製袋充填包装機1では、帯状の底部材フィルムb′を供給して所定長さ毎に切断して底部材bを製作して、フィルムfに供給して仮止めするようにしたが、これに代えて予め所定長さに切断すると共に、2つ折りして折り目と反対側の両端部に開き抑制部23、23を形成した底部材bを別個に製造しておいてもよい。そして、この底部材bを順次フィルムf上における底部材搬送装置28に供給するようにしてもよい。
また、セーラ5、製袋チューブ6はフィルムfを略円筒状に形成したが、これに代えて四角筒等の多角筒形状に形成してもよい。
また、2つ折りした底部材bの両端部をそれぞれ係止させる係止手段としての超音波シーラは必ずしも設けなくてもよい。開き抑制部23は底部材bをフィルムfに仮止めしてから本付けシールするまでの経路で、底部材bが開いて経路中の部品に引っかかったりしなければよいので、必ずしも完全に溶着する必要はない。
更に、2つ折りした底部材bの折り目を形成する折り目付け部材20は設けなくてもよく、一対の折ローラ18,18で挟持した状態で底部材bを通過させることで2つ折りの折り目を形成してもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 縦形製袋充填包装機
3 縦形製袋充填装置
6 製袋チューブ
10 横シーラ
11 ヒータブロック
12 ヒータ部
12a 頂部ヒータ部
12b 底部ヒータ部(底部本付け手段)
12c 斜めヒータ部(底部本付け手段)
18 折りローラ
20 折り目付け部材(折り目付け手段)
22 超音波シーラ
23 開き抑制部(係止手段)
24 切断刃
25 底部材形成装置(底部材形成手段)
28 底部材搬送装置(底部材搬送手段)
29 底部材仮付け装置(底部材仮付け手段)
b 底部材
b1 対向面
b2 内側面
b′ 底部材フィルム
f フィルム(包材)
F、F1 自立袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続する帯状の包材をセーラを通して製袋チューブに沿って搬送しながら略筒状に成形して、略筒状の包材に自立するための底部を形成して自立袋を製作するようにした縦形製袋充填包装機において、
連続する帯状の前記包材の搬送方向に略直交する方向に底部材を仮付けする底部材仮付け手段と、
略筒状とされた包材と仮付けされた前記底部材とを溶着して該底部材を自立袋の底部として形成する底部材本付け手段と
を備えたことを特徴とする縦形製袋充填包装機。
【請求項2】
帯状の底部材用包材を繰り出して2つに折り込んで切断して前記底部材を形成する底部材形成手段と、
形成された前記底部材を帯状の前記包材の搬送方向に略直交する方向に搬送して仮付け位置に配置する底部材搬送手段と
を更に備えている請求項1に記載された縦形製袋充填包装機。
【請求項3】
前記底部材本付け手段は、前記筒状の包材及び底部材をシールする横シーラと一体に形成されている請求項1または2に記載された縦形製袋充填包装機。
【請求項4】
2つ折りした前記底部材の両端部をそれぞれ係止させる係止手段を備えている請求項1乃至3のいずれかに記載された縦形製袋充填包装機。
【請求項5】
2つ折りした前記底部材の折り目を形成する折り目付け手段を備えている請求項1乃至4のいずれかに記載された縦形製袋充填包装機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−269810(P2010−269810A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121893(P2009−121893)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】