縫製物ガイド
【課題】この発明は、縫製用ミシンによる縫製時において、被縫製物を所望する複数パターンの縫い方にて縫製する作業が正確に行え、縫製作業の向上を図ることができる縫製物ガイドの提供を目的とする。
【解決手段】縫製物ガイド10の本体部20を縫製用ミシンAの針落ち位置Bに固定する際、本体部20のマグネット21及び滑り止め部材22を針落ち位置Bの一側部送り面Baに接地し、本体部20を、マグネット21により吸着可能な部分には該マグネット21の磁力にて吸着固定する。また、マグネット21により吸着不可能な部分には滑り止め部材22の接触抵抗にて滑り止め固定する。縫製時において、縫製物ガイド10の本体部20及びガイド部30Aの向きや位置が変位することがなく、ガイド部30Aによってガイドされる被縫製物Cの縫付け側縁部をステッチ縫いする作業が正確に行える。
【解決手段】縫製物ガイド10の本体部20を縫製用ミシンAの針落ち位置Bに固定する際、本体部20のマグネット21及び滑り止め部材22を針落ち位置Bの一側部送り面Baに接地し、本体部20を、マグネット21により吸着可能な部分には該マグネット21の磁力にて吸着固定する。また、マグネット21により吸着不可能な部分には滑り止め部材22の接触抵抗にて滑り止め固定する。縫製時において、縫製物ガイド10の本体部20及びガイド部30Aの向きや位置が変位することがなく、ガイド部30Aによってガイドされる被縫製物Cの縫付け側縁部をステッチ縫いする作業が正確に行える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、縫製用ミシンによる縫製時において、例えばステッチ縫い、三つ巻き縫い、重ね合わせ縫い等の所望する複数パターンの縫い方にて縫製する際に用いられる縫製物ガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述の被縫製物をガイドするものとしては、例えばミシンの台に対しマグネットにより吸着固定される定規本体に、布の端が押し当てられる布当て面を一体的に形成した縫製用マグネット定規(特許文献1参照)が提案されている。
【0003】
詳しく述べると、特許文献1の縫製用マグネット定規は、定規本体をマグネットの磁力によりミシンの台に吸着固定し、定規本体に形成した布当て面に布の端を押し当てながらミシン掛けする。
【0004】
しかし、布の端を押し当てるための布当て面が定規本体に対し一体的に形成されているので、特定の縫い方、すなわち、ステッチ縫いする作業だけにしか用いることができない。例えば三つ巻き縫い、重ね合わせ縫い等の所望する縫い方にて縫製作業を行う場合、各縫い方に対応した大きさ及び形状を有する定規に全体を取り替えなければならず、定規の取り替え作業に手間及び時間が掛かる。また、各縫い方に対応した定規を複数タイプ製作するため、製作コストが高くなるだけでなく、定規の種類が多くなるため、管理及び取扱いが大変煩わしくなるという問題がある。
【0005】
また、ミシンの台がマグネットにより吸着可能な金属で構成されていれば、定規本体を台上に固定することができるが、台が、例えばプラスチックや木材等のマグネットにより吸着不可能な材質で構成されていると、定規本体を台上に固定することが不可能であり、縫製用マグネット定規を装着することのできるミシンの機種が限られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−41676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、縫製用ミシンによる縫製時において、被縫製物を所望する複数パターンの縫い方にて縫製する作業が正確に行え、縫製作業の向上を図ることができる縫製物ガイドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、縫製用ミシンに設定した針落ち位置の一側部送り面に固定され、該針落ち位置に向けて被縫製物の縫付け側縁部をガイドする縫製物ガイドであって、前記針落ち位置の一側部送り面に配置される本体部と、前記被縫製物の縫付け側縁部を前記針落ち位置に向けてガイドするガイド部と、前記本体部と前記ガイド部との間に設けられ、該ガイド部を前記本体部に対し着脱可能に固定するガイド部固定手段と、前記本体部の前記一側部送り面と対向する部分に設けられ、該本体部を前記一側部送り面に対し固定する本体部固定手段とを備えた縫製物ガイドであることを特徴とする。
【0009】
上述の被縫製物を所望する縫い方にて縫製する際、ガイド部固定手段による固定を解除して縫製物ガイドの本体部からガイド部を分離した後、例えばステッチ縫い、三つ巻き縫い、重ね合わせ縫い等の複数タイプの中から選択した縫い方と対応する大きさ及び形状のガイド部を、ガイド部固定手段により本体部に固定する。また、本体部を、本体部固定手段により縫製用ミシンの針落ち位置の一側部送り面に固定する。
【0010】
上述の被縫製物の縫付け側縁部を、縫製物ガイドのガイド部によって針落ち位置に向けてガイドするので、被縫製物を所望する縫い方にて縫製する作業が正確に行える。
【0011】
また、所望する縫い方に応じて、本体部に固定したガイド部を、複数タイプの中から選択した一つのガイド部に取り替えれば、縫製物ガイドを、被縫製物を所望する縫い方にて縫製する際のガイドとして用いることができる。
【0012】
また、縫製物ガイドを、本体部固定手段によって本体部を針落ち位置の一側部送り面に固定するので、例えば工業用ミシン、家庭用ミシン等の縫製用ミシンを縫い方に応じて使い分けることがなく、両ミシンのどちらにも固定することができる。
【0013】
この結果、縫製物ガイドの用途が工業用ミシン又は家庭用ミシンのいずれか一方に限定されることがなく、両ミシンの針落ち位置の一側部送り面に固定することができるので、一方又は両方のミシンを用いて所望する縫い方にて縫製作業を行うことができる。
【0014】
また、この発明の態様として、前記ガイド部を、前記被縫製物を縫製する複数パターンの縫い方と対応して大きさ及び形状が異なる複数タイプのガイド部で構成することができる。
【0015】
上述の被縫製物の縫い方を変更する際、ガイド部を、例えばステッチ縫い、三つ巻き縫い、重ね合わせ縫い等の複数パターンの縫い方に対応して、各縫い方と対応する複数タイプの中から選択した一つのガイド部に取り替えるだけで、所望する縫い方にて縫製を行うことができる。また、ガイド部のみを取り替えて本体部を兼用するので、縫製物ガイドの全体を取り替えるような手間及び作業が省ける。
【0016】
この結果、各縫い方と対応するガイド部を複数タイプ製作するだけで済むため、縫製物ガイドを複数タイプ製作するのに比べて、縫製物ガイドの製作コストを低減することができる。
【0017】
また、この発明の態様として、前記ガイド部固定手段を、前記本体部と前記ガイド部との対向面に設けられ、互いに係合する凹部と凸部とで構成することができる。
【0018】
上述のガイド部を本体部に固定する際、本体部とガイド部との対向面に設けられた凹部及び凸部を互いに係合して、本体部とガイド部とをガタ付きなく固定する。また、凹部及び凸部の係合を解除すれば、本体部とガイド部とを簡単に分離することができる。
【0019】
すなわち、被縫製物の縫い方を変更する際、本体部に固定したガイド部を、縫い方に応じて複数タイプの中から選択した一つのガイド部に取り替えるだけで、被縫製物を所望する縫い方にて縫製することができる。
この結果、縫い方に応じて、ガイド部を取り替える作業が簡単且つ容易に行える。
【0020】
また、この発明の態様として、前記ガイド部固定手段を、前記本体部と前記ガイド部との対向面に設けられ、該本体部とガイド部とを磁力にて吸着固定するマグネットで構成することができる。
【0021】
上述のガイド部を本体部に固定する際、本体部とガイド部とをマグネットの磁力によって互いに吸着固定する。また、マグネットの磁力に抗して本体部とガイド部とを分離すれば、ガイド部を本体部から取り外すことができる。
【0022】
すなわち、被縫製物の縫い方を変更する際、本体部に固定したガイド部を、縫い方に応じて複数タイプの中から選択した一つのガイド部に取り替えるだけで、被縫製物を所望する縫い方にて縫製することができる。
この結果、縫い方に応じて、ガイド部を取り替える作業が簡単且つ容易に行える。
【0023】
また、この発明の態様として、前記本体部固定手段を、前記針落ち位置の一側部送り面に対し磁力にて吸着固定されるマグネットと、前記針落ち位置の一側部送り面に対し接触抵抗にて滑り止めされる滑り止め部材とで構成することができる。
【0024】
上述の本体部を、マグネットの磁力及び/又は滑り止め部材の接触抵抗によって針落ち位置の一側部送り面に固定する。また、本体部に固定したガイド部によって被縫製物の縫付け側縁部を針落ち位置に向けてガイドしながら縫製用ミシンにより縫製する。
【0025】
すなわち、マグネットの磁力により吸着固定が可能な部分には、本体部をマグネットの磁力によって吸着固定する。また、マグネットの磁力により吸着固定が不可能な部分には、本体部を滑り止め部材の接触抵抗によって滑り止め固定する。或いは、マグネットの磁力と滑り止め部材の接触抵抗との相乗作用によって固定する。
【0026】
つまり、針落ち位置の一側部送り面が、マグネットにより吸着固定が可能或いは吸着固定が不可能な材質で構成されていても、マグネット及び/又は滑り止め部材によって本体部を確実に固定することができる。
【0027】
これにより、縫製用ミシンによる縫製時において発生する機械的な振動が付与されるか、被縫製物の送り力や引張り力が付与されるなどしても、縫製物ガイドの本体部及びガイド部の向きや位置が変位することがなく、被縫製物の縫付け側縁部を、縫製用ガイドによりガイドしながら縫製用ミシンの針落ち位置に向けて正確に供給することができる。
この結果、被縫製物を所望する縫い方にて縫製する作業が正確に行える。
【0028】
また、この発明の態様として、前記本体部固定手段を、前記針落ち位置の一側部送り面に対し磁力にて吸着固定されるマグネットと、前記針落ち位置の一側部送り面に対し負圧にて吸着固定される吸着子又は粘着力にて粘着固定される粘着体のいずれか一方とで構成することができる。
【0029】
上述の本体部を、マグネットの磁力と、吸着子の負圧又は粘着体の粘着力によって針落ち位置の一側部送り面に固定する。また、本体部に固定したガイド部によって被縫製物の縫付け側縁部を針落ち位置に向けてガイドしながら縫製用ミシンにより縫製する。
【0030】
すなわち、マグネットの磁力により吸着固定が可能な部分には、本体部をマグネットの磁力によって吸着固定する。また、マグネットの磁力により吸着固定が不可能な部分には、本体部を吸着子の負圧又は粘着体の粘着力によって固定する。或いは、マグネットの磁力と、吸着子の負圧又は粘着体の粘着力との相乗作用によって固定する。
【0031】
つまり、針落ち位置の一側部送り面が、マグネットにより吸着固定が可能或いは吸着固定が不可能な材質で構成されていても、マグネット及び吸着子又は粘着体によって本体部を確実に固定することができる。
【0032】
これにより、縫製用ミシンによる縫製時において発生する機械的な振動が付与されるか、被縫製物の送り力や引張り力が付与されるなどしても、縫製物ガイドの本体部及びガイド部の向きや位置が変位することがなく、被縫製物の縫付け側縁部を、縫製用ガイドによりガイドしながら縫製用ミシンの針落ち位置に向けて正確に供給することができる。
この結果、被縫製物を所望する縫い方にて縫製する作業が正確に行える。
【0033】
上述の縫い方は、例えばステッチ縫い、二つ巻き縫い、三つ巻き縫い、四つ折り縫い、重ね合わせ縫い等の複数パターンの縫い方にて構成することができる。
また、ガイド部は、上述の各縫い方に対応して大きさ及び形状が異なる複数タイプのアタッチメントで構成することができる。さらに詳しくは、アタッチメントは、例えばステッチ縫い用ガイド、三つ巻き縫い用ガイド、重ね合わせ縫い用ガイド等に対応する。
【0034】
また、ガイド部固定手段は、例えば凸状の突起と凹状の溝部、半球形状の凹部と凸部、或いはマグネット、ネジ部材等で構成することができる。
また、本体部固定手段は、例えばマグネット、吸着子等の吸着手段、或いは、粘着体、粘着剤、両面粘着テープ等の粘着手段で構成することができる。
【発明の効果】
【0035】
この発明によれば、縫製用ミシンによる縫製時において、被縫製物を所望する複数パターンの縫い方にて縫製する作業が正確に行え、縫製作業の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】薄地用の短尺ガイド板を備えた縫製物ガイドの組付け斜視図。
【図2】図1の本体部とガイド部とを分離した斜視図。
【図3】図2の本体部とガイド部とを下面から見た底面斜視図。
【図4】図1の本体部にガイド部を装着した部分のZ−Z線矢視断面図。
【図5】薄地用の長尺ガイド板を備えた縫製物ガイドの組付け斜視図。
【図6】図5の本体部とガイド部とを分離した斜視図。
【図7】厚地用のガイド板を備えた縫製物ガイドの組付け斜視図。
【図8】図7の本体部とガイド部とを分離した斜視図。
【図9】三つ巻き用の巻回板を備えた縫製物ガイドの組付け斜視図。
【図10】図9の本体部とガイド部とを分離した斜視図。
【図11】重ね合わせ板を備えた縫製物ガイドの組付け斜視図。
【図12】図11の本体部とガイド部とを分離した斜視図。
【図13】本体部を吸着子或いは粘着体にて固定した縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図1は薄地用の短尺ガイド板32Aを備えた縫製物ガイド10の組付け斜視図、図2は図1の本体部20とガイド部30Aとを分離した斜視図、図3は図2の本体部20とガイド部30Aとを下面から見た斜視図、図4は図1の本体部20にガイド部30Aを装着した部分のZ−Z線矢視断面図である。
【0038】
本実施形態の縫製物ガイド10は、縫製用ミシンAに設定された針落ち位置Bの一側部送り面Baに固定される本体部20と、該針落ち位置Bの上流側から下流側に向けて薄地の被縫製物Cを送り方向Yにガイドするガイド部30Aとで構成している。なお、針落ち位置Bは、針板(図示せず)上に設定されている。
【0039】
本体部20は、ステンレス製の板を用いて下面全体のみを開放した下面開放形状に形成している。また、本体部20の下面側に形成した凹状の収納部20aには、フェライト焼結マグネットにより形成した直方体形状のマグネット21と、接触抵抗が大きい合成ゴム(シリコンゴム)により形成した下面から見てコ字形状の滑り止め部材22とを収納している。
【0040】
マグネット21は、収納部20aの下面側中央部に対し1個収納している。また、マグネット21の略平坦に形成した下端側吸着面は、収納部20aの下面側周縁部よりも下方に突出している。
なお、マグネット21の吸着面は、収納部20aの下面側周縁部と同一高さに形成してもよい。
【0041】
滑り止め部材22は、直方体形状のマグネット21を取り囲むようにして周囲に配置され、マグネット21と収納部20aとの間に収納している。また、滑り止め部材22の略平坦に形成した下端側接地面は、収納部20aの下面側周縁部及びマグネット21の吸着面よりも下方に突出している。
【0042】
本体部20の後端には、人の指が掛けられる指掛け片20bを後方に向けて水平に連設している。また、指掛け片20bは、指の引っ掛けが許容される大きさ及び形状に形成され、本体部20に装着される後述する装着部31Aの後端側縁部よりも後方に向けて所定長さ突出する大きさ及び形状に形成している。
【0043】
本体部20の前面には、マグネット21が収納された収納部20aと連通して開口部20cを形成している。開口部20cには、収納部20aに収納されたマグネット21の前端側吸着面を前方に露出している。
【0044】
つまり、ガイド部30Aの装着部31Aを本体部20に装着した際、本体部20の開口部20cに露出したマグネット21の磁力によって、ガイド部30Aの装着部31Aが本体部20に対し吸着固定される。
【0045】
これにより、本体部20とガイド部30Aとをガタ付きなく固定することができるとともに、ネジ等の部材を用いる必要がないため、ガイド部30Aの着脱が迅速且つ簡単に行える。
【0046】
ガイド部30Aは、針落ち位置Bの一側部に固定された本体部20の外面に対し装着される装着部31Aと、針落ち位置Bの上流側から下流側に向けて薄地の被縫製物Cをガイドする横長短尺のガイド板32Aとで構成している。
【0047】
装着部31Aは、ステンレス製の板を用いて下面全体と後面全体とを開放した2面開放形状に形成している。また、装着部31Aの下面及び後面を除く残り4面の内壁にて形成された凹状の内面は、本体部20の下面及び後面を除く4面の外壁からなる外面と合致する大きさ及び形状に形成している。
【0048】
ガイド板32Aは、縫製用ミシンAの送り方向Yと平行して装着部31Aの前端側に連設され、該装着部31Aの上流側端部及び下流側端部よりも前後に突出する長さ形成している。また、ガイド板32Aの板幅h1は、薄地の被縫製物Cの厚さw1と対応する寸法に形成している。
【0049】
ガイド板32Aの上流側端部及び下流側端部は、被縫製物Cの縫付け側縁部が押し当てられる平坦なガイド面よりも後側に向けて滑らかな曲面形状に折曲げている。
【0050】
本体部20の両側外面と装着部31Aの両側内面との対向面には、互いに係合する凹状の溝部23と凸状の突起33とを形成している。
凹状の溝部23は、本体部20の両側外面に沿って前後方向Xに平行して形成している。また、凸状の突起33は、装着部31Aの両側端部を内側に向けてL字状に折り曲げて前後方向Xに平行して形成している。
【0051】
つまり、ガイド部30Aの装着部31Aを本体部20に装着する際、ガイド部30Aを構成する装着部31Aの突起33を本体部20の溝部23に対し前方から係合しつつ、装着部31Aの内面を本体部20の外面に嵌合して、ガイド部30Aを本体部20に対し前方から装着する。
【0052】
また、本体部20の上面と装着部31Aの下面との対向面に、互いに係合する滑らかな曲面を有する半球形状の凸部24と凹部34とを形成しているので、ガイド部30Aの装着部31Aを本体部20に装着した際、本体部20の上面に形成した凸部24と、装着部31Aの下面に形成した凹部34とが互いに係合する。
【0053】
これにより、マグネット21の磁力によって吸着固定される本体部20とガイド部30Aとをより確実に固定することができ、本体部20とガイド部30Aとの嵌合位置が前後方向Xに変位するのを防止することができる。
【0054】
上述の本体部20とガイド部30Aとからなる縫製物ガイド10を用いて、薄地の被縫製物Cをステッチ縫いする縫製方法を説明する。
先ず、図1に示すように、縫製物ガイド10を、縫製用ミシンAに設定された針落ち位置Bの一側部送り面Baに固定する際、本体部20を、収納部20aに収納したマグネット21及び滑り止め部材22が下向きとなる姿勢に保持して、マグネット21の吸着面及び滑り止め部材22の接地面を針落ち位置Bの一側部送り面Baに接地する。
【0055】
針落ち位置Bの一側部送り面Baがマグネット21の磁力により吸着可能な金属で構成されていれば、本体部20が、マグネット21の磁力によって針落ち位置Bの一側部送り面Baに対し吸着固定される(図4参照)。
【0056】
また、針落ち位置Bの一側部送り面Baがマグネット21により吸着不可能な材質(例えばプラスチック、セラミックス等)で構成されていても、滑り止め部材22の接地面が針落ち位置Bの一側部送り面Baに接地されることにより、滑り止め部材22の接触抵抗が一側部送り面Baに対し面方向に付与される。
【0057】
つまり、本体部20が、滑り止め部材22の接触抵抗によって針落ち位置Bの一側部送り面Baに対し水平移動不可に滑り止め固定される。
【0058】
次に、図2、図3に示すように、薄地用のガイド部30Aを本体部20に装着する際、ガイド部30Aに形成した装着部31Aの突起33を本体部20の溝部23に対し前方から係合しつつ、装着部31Aを本体部20の外面に嵌合して、ガイド部30Aを本体部20に対し前方から装着する。
【0059】
また、装着部31Aを本体部20の外面に対し合致する状態に装着した際、本体部20の凸部24と装着部31Aの凹部34とを互いに係合して、本体部20とガイド部30Aとをガタ付きの無い状態に固定する。
【0060】
この後、縫製物ガイド10の全体を送り方向Yと直交する方向或いは平行する方向に水平移動して、縫製用ミシンAの押え金(図示せず)に対しガイド部30Aのガイド板32Aを沿わせた状態に位置調節する(図1参照)。
なお、ガイド部30Aを本体部20に装着したまま、縫製物ガイド10の全体を針落ち位置Bの一側部送り面Baに固定してもよい。
【0061】
上述のように、本体部20が、マグネット21の磁力及び/又は滑り止め部材22の接触抵抗によって針落ち位置Bの一側部送り面Baに対し固定されるので、縫製物ガイド10に対し縫製用ミシンAによる縫製時において発生する機械的な振動が付与されるか、針落ち位置Bに供給される被縫製物Cの送り力や引張り力が付与されるなどしても、縫製物ガイド10の本体部20及びガイド部30Aの向きや位置が変位することがなく、これを防止することができる。
【0062】
薄地の被縫製物Cをステッチ縫いする際、被縫製物Cの縫付け側縁部を、本体部20に装着したガイド部30Aのガイド板32Aに押し当てて、該ガイド板32Aに沿って針落ち位置Bに供給しながら縫製用ミシンAによりステッチ縫いする(図1参照)。
【0063】
この結果、被縫製物Cの縫付け側縁部を、縫製用ミシンAに設定された針落ち位置Bに対し真っ直ぐにガイドすることができ、被縫製物Cをステッチ縫いする作業が正確に行え、綺麗に縫製することができる。
【0064】
また、本体部20を、マグネット21の磁力及び/又は滑り止め部材22の接触抵抗を利用して針落ち位置Bの一側部送り面Baに固定するので、針落ち位置Bの一側部送り面Baが、マグネット21により吸着固定が可能或いは吸着固定が不可能な材質で構成されていても、マグネット21の磁力及び/又は滑り止め部材22の接触抵抗によって本体部20を確実に固定することができる。
【0065】
この結果、縫製物ガイド10の用途が工業用ミシン又は家庭用ミシンのいずれか一方に限定されることがなく、両ミシンの針落ち位置Bの一側部送り面Baに固定することができるので、一方又は両方のミシンを用いて複数パターンの縫い方にて縫製作業を行うことができる。
【0066】
次に、上述したガイド部30Aを、薄地用の長尺ガイド板32Bを備えたガイド部30Bに取り替えてステッチ縫いする方法を説明する。図5は横長長尺のガイド板32Bを備えた縫製物ガイド10の組付け斜視図、図6は図5の本体部20とガイド部30Bとを分離した斜視図である。
【0067】
ガイド部30Bのガイド板32Bは、上述したガイド部30Aのガイド板32Aよりも横長長尺に形成している。また、ガイド板32Bの上流側端部は、ガイド板32Aの上流側端部よりも上流側に向けて所定長さ突出している。
【0068】
なお、装着部31Bは、前記実施形態の装着部31Aと同一の構造を有しているので、同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
【0069】
次に、ガイド部30Bを用いてステッチ縫いする際、ガイド部30Bを、針落ち位置Bの一側部送り面Baに固定された兼用型の本体部20に装着した後、薄地の被縫製物Cの縫付け側縁部をガイド部30Bのガイド板32Bに押し当てて、該ガイド板32bに沿って針落ち位置Bに供給しながら縫製用ミシンAによりステッチ縫いする。
【0070】
上述と同様に、ステッチ縫い時において、縫製物ガイド10の本体部20及びガイド部30Bの向きや位置が変位することがなく、これを防止することができる。この結果、薄地の被縫製物Cをステッチ縫いする作業が正確に行え、綺麗に縫製することができる。
【0071】
次に、上述したガイド部30A,30Bのいずれか一方を厚地用のガイド部30Cに取り替えてステッチ縫いする方法を説明する。図7は厚地用のガイド板32Cを備えた縫製物ガイド30の組付け斜視図、図8は図7の本体部20とガイド部30Cとを分離した斜視図である。
【0072】
ガイド部30Cのガイド板32Cは、上述したガイド板32A,32Bよりも幅広に形成している。また、ガイド板32Cの板幅h2は、厚地の被縫製物Cの厚さw2と対応する寸法に形成している。
【0073】
なお、装着部31Cは、前記実施形態の装着部31Aと同一の構造を有しているので、同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
【0074】
次に、ガイド部30Cを用いてステッチ縫いする際、ガイド部30Cを針落ち位置Bの一側部送り面Baに固定された兼用型の本体部20に装着した後、厚地の被縫製物Cの縫付け側縁部をガイド部30Cのガイド板32Cに押し当てて、該ガイド板32Cに沿って針落ち位置Bに供給しながら縫製用ミシンAによりステッチ縫いする。
【0075】
上述と同様に、ステッチ縫い時において、縫製物ガイド10の本体部20及びガイド部30Cの向きや位置が変位することがなく、これを防止することができる。この結果、厚地の被縫製物Cをステッチ縫いする作業が正確に行え、綺麗に縫製することができる。
【0076】
次に、上述したガイド部30A,30B,30Cのいずれか一つを、三つ巻き用のガイド部30Dに取り替えて三つ巻き縫いする方法を説明する。図9三つ巻き用の巻回板32Dを備えた縫製物ガイド10の組付け斜視図、図10は図9の本体部20とガイド部30Dとを分離した斜視図である。
【0077】
三つ巻き用のガイド部30Dは、兼用型である本体部20の外面に対し装着される装着部31Dと、装着部31Dの前面に固定され、被縫製物Cの縫付け側縁部を三つ巻きする巻回板32Dとで構成している。
【0078】
なお、装着部31Dは、前記実施形態の装着部31Aと同一の構造を有しているので、同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
【0079】
巻回板32Dは、被縫製物Cの下面側を支持する下板32aと、被縫製物Cの上面側を支持する上板32bと、下板32aと上板32bの間に形成された被縫製物Cの縫付け側縁部を送り方向Yと直交する方向に向けて巻回する巻回溝32cとで構成している。
【0080】
巻回溝32cは、送り方向Yの上流側から下流側に向けて徐々に狭くなるような略ラッパ形状に形成している。
巻回溝32cの上流側入口部は、被縫製物Cの縫付け側縁部を、送り方向Yと直交する方向に向けて三つ巻きガイドする滑らかな曲面形状に形成している。また、巻回溝32cの下流側出口部は、三つ巻き状態の被縫製物Cを巻回した状態に規制する大きさ及び形状に形成している。
【0081】
次に、三つ巻き用のガイド部30Dを用いて三つ巻き縫いする際、ガイド部30Dを、針落ち位置Bの一側部送り面Baに固定された兼用型の本体部20に装着した後、被縫製物Cの縫付け側縁部をガイド部30Dの巻回板32Dに挿入して三つ巻き状態に巻回するとともに、巻回板32Dの下流側出口部から送り出される三つ巻き状態の被縫製物Cを針落ち位置Bに供給しながら縫製用ミシンAにより三つ巻き縫いする。
【0082】
上述と同様に、三つ巻き縫い時において、縫製物ガイド10の本体部20及びガイド部30Dの向きや位置が変位することがなく、これを防止することができる。この結果、薄地や厚地の被縫製物Cを三つ巻き縫いする作業が正確に行え、所望する三つ巻き状態に縫製することができる。
【0083】
次に、上述したガイド部30A〜30Dのいずれか一つを重ね合わせ縫い用のガイド部30Eに取り替えて重ね合わせ縫いする方法を説明する。図11重ね合わせ縫い用の重ね合わせ板32Eを備えた縫製物ガイド30の組付け斜視図、図12は図11の本体部20とガイド部30Eとを分離した斜視図である。
【0084】
重ね合わせ縫い用のガイド部30Eは、兼用型である本体部20の外面に対し装着される装着部31Eと、装着部31Eの前面に固定され、上下2枚の被縫製物Cを所定の縫付け幅に重ね合わせた状態にガイドする重ね合わせ板32Eとで構成している。
【0085】
なお、装着部31Eは、前記実施形態の装着部31Aと同一の構造を有しているので、同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
【0086】
重ね合わせ板32Eは、最下段に配置される下板32dと、中段に配置される中板32eと、最上段に配置される上板32fとで構成している。
【0087】
板32e〜32fの間は、被縫製物Cの縫付け側縁部の挿入が許容される間隔を隔てられている。また、板32e〜32fの基端部分に取り付けた調節ネジ32gは、板32e〜32fの間を被縫製物Cの厚みに応じて拡縮調節するためのものである。なお、板32e〜32fの間には単数又は複数のスペーサ(図示せず)を挟み込まれる。
【0088】
次に、重ね合わせ縫い用のガイド部30Eを用いて重ね合わせ縫いする際、ガイド部30Eを、針落ち位置Bの一側部送り面Baに固定された兼用型の本体部20に装着した後、上下2枚の被縫製物Cの縫付け側縁部を、重ね合わせ板32Eの板32e〜32f間に上流側から挿入して所定の縫付け幅に重ね合わせた状態にガイドする。
【0089】
板32e〜32fの間から下流側に向けて送り出される上下2枚の被縫製物Cの縫付け側縁部を、針落ち位置Bに供給しながら縫製用ミシンAにより所定の縫付け幅に重ね合わせたまま重ね合わせ縫いする。
【0090】
上述と同様に、重ね合わせ縫い時において、縫製物ガイド10及びガイド部30Eの向きや位置が変位することがなく、これを防止することができる。この結果、上下2枚の被縫製物Cを所定の縫付け幅に重ね合わせ縫いする作業が正確に行え、所望する重ね合わせ状態に縫製することができる。
【0091】
次に、上述の本体部20を、マグネット21により吸着可能な部分に対し吸着子40或いは粘着体50にて固定する方法を説明する。図13の(a)は本体部20を吸着子40にて吸着固定した縦断面図、同図の(b)は本体部20を粘着体50にて粘着固定した縦断面図である。
【0092】
同図(a)の吸着子40は、柔軟性を有する合成ゴムにより形成され、本体部20の下面側両端部に対し下向きに取り付けている。
同図(b)の粘着体50は、粘着力を有するゲル状の粘着剤で構成され、本体部20の下面側両端部に塗布又は貼着している。
【0093】
先ず、本体部20を吸着子40にて吸着固定する際、本体部20を、吸着子40が下向きとなる姿勢に保持して針落ち位置Bの一側部送り面Baに押し付ける。本体部20は、吸着子40の吸着面に生じる負圧によって針落ち位置Bの一側部送り面Baに対し吸着固定される(図13の(a)参照)。
【0094】
また、本体部20を粘着体50にて粘着固定する際、本体部20を、粘着体50が下向きとなる姿勢に保持して針落ち位置Bの一側部送り面Baに押し付ける。本体部20は、粘着体50の粘着力によって針落ち位置Bの一側部送り面Baに対し粘着固定される(図13の(b)参照)。
【0095】
これにより、縫製時において、縫製物ガイド10の本体部20及びガイド部30Aの向きや位置が変位することがなく、所望する縫い方で縫製する作業が正確に行えるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
また、マグネット21により吸着可能な部分には、吸着子40或いは粘着体50の相乗作用にて固定することができる。
【0096】
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明のガイド部固定手段は、溝部23及び突起33と、凸部24及び凹部34に対応し、
以下同様に、
本体部固定手段は、マグネット21と、滑り止め部材22と、吸着子40と、粘着体50に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0097】
なお、兼用型の本体部20に対しガイド部30A〜30Eの装着部31A〜31Eをネジ止めしてもよい。
また、上述したマグネット21の配置数、大きさ、形状は、前記実施形態の構成のみに限定されるものではなく、例えば収納部20aの前後に配置するか、左右に配置する等してもよい。
【符号の説明】
【0098】
A…縫製用ミシン
B…針落ち位置
Ba…送り面
C…被縫製物
10…縫製物ガイド
20…本体部
20a…収納部
21…マグネット
22…滑り止め部材
23…溝部
24…凸部
30A〜30E…ガイド部
31A〜31E…装着部
32A〜32C…ガイド板
32D…巻回板
32E…重ね合わせ板
33…突起
34…凹部
40…吸着子
50…粘着体
60…マグネット
【技術分野】
【0001】
この発明は、縫製用ミシンによる縫製時において、例えばステッチ縫い、三つ巻き縫い、重ね合わせ縫い等の所望する複数パターンの縫い方にて縫製する際に用いられる縫製物ガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述の被縫製物をガイドするものとしては、例えばミシンの台に対しマグネットにより吸着固定される定規本体に、布の端が押し当てられる布当て面を一体的に形成した縫製用マグネット定規(特許文献1参照)が提案されている。
【0003】
詳しく述べると、特許文献1の縫製用マグネット定規は、定規本体をマグネットの磁力によりミシンの台に吸着固定し、定規本体に形成した布当て面に布の端を押し当てながらミシン掛けする。
【0004】
しかし、布の端を押し当てるための布当て面が定規本体に対し一体的に形成されているので、特定の縫い方、すなわち、ステッチ縫いする作業だけにしか用いることができない。例えば三つ巻き縫い、重ね合わせ縫い等の所望する縫い方にて縫製作業を行う場合、各縫い方に対応した大きさ及び形状を有する定規に全体を取り替えなければならず、定規の取り替え作業に手間及び時間が掛かる。また、各縫い方に対応した定規を複数タイプ製作するため、製作コストが高くなるだけでなく、定規の種類が多くなるため、管理及び取扱いが大変煩わしくなるという問題がある。
【0005】
また、ミシンの台がマグネットにより吸着可能な金属で構成されていれば、定規本体を台上に固定することができるが、台が、例えばプラスチックや木材等のマグネットにより吸着不可能な材質で構成されていると、定規本体を台上に固定することが不可能であり、縫製用マグネット定規を装着することのできるミシンの機種が限られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−41676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、縫製用ミシンによる縫製時において、被縫製物を所望する複数パターンの縫い方にて縫製する作業が正確に行え、縫製作業の向上を図ることができる縫製物ガイドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、縫製用ミシンに設定した針落ち位置の一側部送り面に固定され、該針落ち位置に向けて被縫製物の縫付け側縁部をガイドする縫製物ガイドであって、前記針落ち位置の一側部送り面に配置される本体部と、前記被縫製物の縫付け側縁部を前記針落ち位置に向けてガイドするガイド部と、前記本体部と前記ガイド部との間に設けられ、該ガイド部を前記本体部に対し着脱可能に固定するガイド部固定手段と、前記本体部の前記一側部送り面と対向する部分に設けられ、該本体部を前記一側部送り面に対し固定する本体部固定手段とを備えた縫製物ガイドであることを特徴とする。
【0009】
上述の被縫製物を所望する縫い方にて縫製する際、ガイド部固定手段による固定を解除して縫製物ガイドの本体部からガイド部を分離した後、例えばステッチ縫い、三つ巻き縫い、重ね合わせ縫い等の複数タイプの中から選択した縫い方と対応する大きさ及び形状のガイド部を、ガイド部固定手段により本体部に固定する。また、本体部を、本体部固定手段により縫製用ミシンの針落ち位置の一側部送り面に固定する。
【0010】
上述の被縫製物の縫付け側縁部を、縫製物ガイドのガイド部によって針落ち位置に向けてガイドするので、被縫製物を所望する縫い方にて縫製する作業が正確に行える。
【0011】
また、所望する縫い方に応じて、本体部に固定したガイド部を、複数タイプの中から選択した一つのガイド部に取り替えれば、縫製物ガイドを、被縫製物を所望する縫い方にて縫製する際のガイドとして用いることができる。
【0012】
また、縫製物ガイドを、本体部固定手段によって本体部を針落ち位置の一側部送り面に固定するので、例えば工業用ミシン、家庭用ミシン等の縫製用ミシンを縫い方に応じて使い分けることがなく、両ミシンのどちらにも固定することができる。
【0013】
この結果、縫製物ガイドの用途が工業用ミシン又は家庭用ミシンのいずれか一方に限定されることがなく、両ミシンの針落ち位置の一側部送り面に固定することができるので、一方又は両方のミシンを用いて所望する縫い方にて縫製作業を行うことができる。
【0014】
また、この発明の態様として、前記ガイド部を、前記被縫製物を縫製する複数パターンの縫い方と対応して大きさ及び形状が異なる複数タイプのガイド部で構成することができる。
【0015】
上述の被縫製物の縫い方を変更する際、ガイド部を、例えばステッチ縫い、三つ巻き縫い、重ね合わせ縫い等の複数パターンの縫い方に対応して、各縫い方と対応する複数タイプの中から選択した一つのガイド部に取り替えるだけで、所望する縫い方にて縫製を行うことができる。また、ガイド部のみを取り替えて本体部を兼用するので、縫製物ガイドの全体を取り替えるような手間及び作業が省ける。
【0016】
この結果、各縫い方と対応するガイド部を複数タイプ製作するだけで済むため、縫製物ガイドを複数タイプ製作するのに比べて、縫製物ガイドの製作コストを低減することができる。
【0017】
また、この発明の態様として、前記ガイド部固定手段を、前記本体部と前記ガイド部との対向面に設けられ、互いに係合する凹部と凸部とで構成することができる。
【0018】
上述のガイド部を本体部に固定する際、本体部とガイド部との対向面に設けられた凹部及び凸部を互いに係合して、本体部とガイド部とをガタ付きなく固定する。また、凹部及び凸部の係合を解除すれば、本体部とガイド部とを簡単に分離することができる。
【0019】
すなわち、被縫製物の縫い方を変更する際、本体部に固定したガイド部を、縫い方に応じて複数タイプの中から選択した一つのガイド部に取り替えるだけで、被縫製物を所望する縫い方にて縫製することができる。
この結果、縫い方に応じて、ガイド部を取り替える作業が簡単且つ容易に行える。
【0020】
また、この発明の態様として、前記ガイド部固定手段を、前記本体部と前記ガイド部との対向面に設けられ、該本体部とガイド部とを磁力にて吸着固定するマグネットで構成することができる。
【0021】
上述のガイド部を本体部に固定する際、本体部とガイド部とをマグネットの磁力によって互いに吸着固定する。また、マグネットの磁力に抗して本体部とガイド部とを分離すれば、ガイド部を本体部から取り外すことができる。
【0022】
すなわち、被縫製物の縫い方を変更する際、本体部に固定したガイド部を、縫い方に応じて複数タイプの中から選択した一つのガイド部に取り替えるだけで、被縫製物を所望する縫い方にて縫製することができる。
この結果、縫い方に応じて、ガイド部を取り替える作業が簡単且つ容易に行える。
【0023】
また、この発明の態様として、前記本体部固定手段を、前記針落ち位置の一側部送り面に対し磁力にて吸着固定されるマグネットと、前記針落ち位置の一側部送り面に対し接触抵抗にて滑り止めされる滑り止め部材とで構成することができる。
【0024】
上述の本体部を、マグネットの磁力及び/又は滑り止め部材の接触抵抗によって針落ち位置の一側部送り面に固定する。また、本体部に固定したガイド部によって被縫製物の縫付け側縁部を針落ち位置に向けてガイドしながら縫製用ミシンにより縫製する。
【0025】
すなわち、マグネットの磁力により吸着固定が可能な部分には、本体部をマグネットの磁力によって吸着固定する。また、マグネットの磁力により吸着固定が不可能な部分には、本体部を滑り止め部材の接触抵抗によって滑り止め固定する。或いは、マグネットの磁力と滑り止め部材の接触抵抗との相乗作用によって固定する。
【0026】
つまり、針落ち位置の一側部送り面が、マグネットにより吸着固定が可能或いは吸着固定が不可能な材質で構成されていても、マグネット及び/又は滑り止め部材によって本体部を確実に固定することができる。
【0027】
これにより、縫製用ミシンによる縫製時において発生する機械的な振動が付与されるか、被縫製物の送り力や引張り力が付与されるなどしても、縫製物ガイドの本体部及びガイド部の向きや位置が変位することがなく、被縫製物の縫付け側縁部を、縫製用ガイドによりガイドしながら縫製用ミシンの針落ち位置に向けて正確に供給することができる。
この結果、被縫製物を所望する縫い方にて縫製する作業が正確に行える。
【0028】
また、この発明の態様として、前記本体部固定手段を、前記針落ち位置の一側部送り面に対し磁力にて吸着固定されるマグネットと、前記針落ち位置の一側部送り面に対し負圧にて吸着固定される吸着子又は粘着力にて粘着固定される粘着体のいずれか一方とで構成することができる。
【0029】
上述の本体部を、マグネットの磁力と、吸着子の負圧又は粘着体の粘着力によって針落ち位置の一側部送り面に固定する。また、本体部に固定したガイド部によって被縫製物の縫付け側縁部を針落ち位置に向けてガイドしながら縫製用ミシンにより縫製する。
【0030】
すなわち、マグネットの磁力により吸着固定が可能な部分には、本体部をマグネットの磁力によって吸着固定する。また、マグネットの磁力により吸着固定が不可能な部分には、本体部を吸着子の負圧又は粘着体の粘着力によって固定する。或いは、マグネットの磁力と、吸着子の負圧又は粘着体の粘着力との相乗作用によって固定する。
【0031】
つまり、針落ち位置の一側部送り面が、マグネットにより吸着固定が可能或いは吸着固定が不可能な材質で構成されていても、マグネット及び吸着子又は粘着体によって本体部を確実に固定することができる。
【0032】
これにより、縫製用ミシンによる縫製時において発生する機械的な振動が付与されるか、被縫製物の送り力や引張り力が付与されるなどしても、縫製物ガイドの本体部及びガイド部の向きや位置が変位することがなく、被縫製物の縫付け側縁部を、縫製用ガイドによりガイドしながら縫製用ミシンの針落ち位置に向けて正確に供給することができる。
この結果、被縫製物を所望する縫い方にて縫製する作業が正確に行える。
【0033】
上述の縫い方は、例えばステッチ縫い、二つ巻き縫い、三つ巻き縫い、四つ折り縫い、重ね合わせ縫い等の複数パターンの縫い方にて構成することができる。
また、ガイド部は、上述の各縫い方に対応して大きさ及び形状が異なる複数タイプのアタッチメントで構成することができる。さらに詳しくは、アタッチメントは、例えばステッチ縫い用ガイド、三つ巻き縫い用ガイド、重ね合わせ縫い用ガイド等に対応する。
【0034】
また、ガイド部固定手段は、例えば凸状の突起と凹状の溝部、半球形状の凹部と凸部、或いはマグネット、ネジ部材等で構成することができる。
また、本体部固定手段は、例えばマグネット、吸着子等の吸着手段、或いは、粘着体、粘着剤、両面粘着テープ等の粘着手段で構成することができる。
【発明の効果】
【0035】
この発明によれば、縫製用ミシンによる縫製時において、被縫製物を所望する複数パターンの縫い方にて縫製する作業が正確に行え、縫製作業の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】薄地用の短尺ガイド板を備えた縫製物ガイドの組付け斜視図。
【図2】図1の本体部とガイド部とを分離した斜視図。
【図3】図2の本体部とガイド部とを下面から見た底面斜視図。
【図4】図1の本体部にガイド部を装着した部分のZ−Z線矢視断面図。
【図5】薄地用の長尺ガイド板を備えた縫製物ガイドの組付け斜視図。
【図6】図5の本体部とガイド部とを分離した斜視図。
【図7】厚地用のガイド板を備えた縫製物ガイドの組付け斜視図。
【図8】図7の本体部とガイド部とを分離した斜視図。
【図9】三つ巻き用の巻回板を備えた縫製物ガイドの組付け斜視図。
【図10】図9の本体部とガイド部とを分離した斜視図。
【図11】重ね合わせ板を備えた縫製物ガイドの組付け斜視図。
【図12】図11の本体部とガイド部とを分離した斜視図。
【図13】本体部を吸着子或いは粘着体にて固定した縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図1は薄地用の短尺ガイド板32Aを備えた縫製物ガイド10の組付け斜視図、図2は図1の本体部20とガイド部30Aとを分離した斜視図、図3は図2の本体部20とガイド部30Aとを下面から見た斜視図、図4は図1の本体部20にガイド部30Aを装着した部分のZ−Z線矢視断面図である。
【0038】
本実施形態の縫製物ガイド10は、縫製用ミシンAに設定された針落ち位置Bの一側部送り面Baに固定される本体部20と、該針落ち位置Bの上流側から下流側に向けて薄地の被縫製物Cを送り方向Yにガイドするガイド部30Aとで構成している。なお、針落ち位置Bは、針板(図示せず)上に設定されている。
【0039】
本体部20は、ステンレス製の板を用いて下面全体のみを開放した下面開放形状に形成している。また、本体部20の下面側に形成した凹状の収納部20aには、フェライト焼結マグネットにより形成した直方体形状のマグネット21と、接触抵抗が大きい合成ゴム(シリコンゴム)により形成した下面から見てコ字形状の滑り止め部材22とを収納している。
【0040】
マグネット21は、収納部20aの下面側中央部に対し1個収納している。また、マグネット21の略平坦に形成した下端側吸着面は、収納部20aの下面側周縁部よりも下方に突出している。
なお、マグネット21の吸着面は、収納部20aの下面側周縁部と同一高さに形成してもよい。
【0041】
滑り止め部材22は、直方体形状のマグネット21を取り囲むようにして周囲に配置され、マグネット21と収納部20aとの間に収納している。また、滑り止め部材22の略平坦に形成した下端側接地面は、収納部20aの下面側周縁部及びマグネット21の吸着面よりも下方に突出している。
【0042】
本体部20の後端には、人の指が掛けられる指掛け片20bを後方に向けて水平に連設している。また、指掛け片20bは、指の引っ掛けが許容される大きさ及び形状に形成され、本体部20に装着される後述する装着部31Aの後端側縁部よりも後方に向けて所定長さ突出する大きさ及び形状に形成している。
【0043】
本体部20の前面には、マグネット21が収納された収納部20aと連通して開口部20cを形成している。開口部20cには、収納部20aに収納されたマグネット21の前端側吸着面を前方に露出している。
【0044】
つまり、ガイド部30Aの装着部31Aを本体部20に装着した際、本体部20の開口部20cに露出したマグネット21の磁力によって、ガイド部30Aの装着部31Aが本体部20に対し吸着固定される。
【0045】
これにより、本体部20とガイド部30Aとをガタ付きなく固定することができるとともに、ネジ等の部材を用いる必要がないため、ガイド部30Aの着脱が迅速且つ簡単に行える。
【0046】
ガイド部30Aは、針落ち位置Bの一側部に固定された本体部20の外面に対し装着される装着部31Aと、針落ち位置Bの上流側から下流側に向けて薄地の被縫製物Cをガイドする横長短尺のガイド板32Aとで構成している。
【0047】
装着部31Aは、ステンレス製の板を用いて下面全体と後面全体とを開放した2面開放形状に形成している。また、装着部31Aの下面及び後面を除く残り4面の内壁にて形成された凹状の内面は、本体部20の下面及び後面を除く4面の外壁からなる外面と合致する大きさ及び形状に形成している。
【0048】
ガイド板32Aは、縫製用ミシンAの送り方向Yと平行して装着部31Aの前端側に連設され、該装着部31Aの上流側端部及び下流側端部よりも前後に突出する長さ形成している。また、ガイド板32Aの板幅h1は、薄地の被縫製物Cの厚さw1と対応する寸法に形成している。
【0049】
ガイド板32Aの上流側端部及び下流側端部は、被縫製物Cの縫付け側縁部が押し当てられる平坦なガイド面よりも後側に向けて滑らかな曲面形状に折曲げている。
【0050】
本体部20の両側外面と装着部31Aの両側内面との対向面には、互いに係合する凹状の溝部23と凸状の突起33とを形成している。
凹状の溝部23は、本体部20の両側外面に沿って前後方向Xに平行して形成している。また、凸状の突起33は、装着部31Aの両側端部を内側に向けてL字状に折り曲げて前後方向Xに平行して形成している。
【0051】
つまり、ガイド部30Aの装着部31Aを本体部20に装着する際、ガイド部30Aを構成する装着部31Aの突起33を本体部20の溝部23に対し前方から係合しつつ、装着部31Aの内面を本体部20の外面に嵌合して、ガイド部30Aを本体部20に対し前方から装着する。
【0052】
また、本体部20の上面と装着部31Aの下面との対向面に、互いに係合する滑らかな曲面を有する半球形状の凸部24と凹部34とを形成しているので、ガイド部30Aの装着部31Aを本体部20に装着した際、本体部20の上面に形成した凸部24と、装着部31Aの下面に形成した凹部34とが互いに係合する。
【0053】
これにより、マグネット21の磁力によって吸着固定される本体部20とガイド部30Aとをより確実に固定することができ、本体部20とガイド部30Aとの嵌合位置が前後方向Xに変位するのを防止することができる。
【0054】
上述の本体部20とガイド部30Aとからなる縫製物ガイド10を用いて、薄地の被縫製物Cをステッチ縫いする縫製方法を説明する。
先ず、図1に示すように、縫製物ガイド10を、縫製用ミシンAに設定された針落ち位置Bの一側部送り面Baに固定する際、本体部20を、収納部20aに収納したマグネット21及び滑り止め部材22が下向きとなる姿勢に保持して、マグネット21の吸着面及び滑り止め部材22の接地面を針落ち位置Bの一側部送り面Baに接地する。
【0055】
針落ち位置Bの一側部送り面Baがマグネット21の磁力により吸着可能な金属で構成されていれば、本体部20が、マグネット21の磁力によって針落ち位置Bの一側部送り面Baに対し吸着固定される(図4参照)。
【0056】
また、針落ち位置Bの一側部送り面Baがマグネット21により吸着不可能な材質(例えばプラスチック、セラミックス等)で構成されていても、滑り止め部材22の接地面が針落ち位置Bの一側部送り面Baに接地されることにより、滑り止め部材22の接触抵抗が一側部送り面Baに対し面方向に付与される。
【0057】
つまり、本体部20が、滑り止め部材22の接触抵抗によって針落ち位置Bの一側部送り面Baに対し水平移動不可に滑り止め固定される。
【0058】
次に、図2、図3に示すように、薄地用のガイド部30Aを本体部20に装着する際、ガイド部30Aに形成した装着部31Aの突起33を本体部20の溝部23に対し前方から係合しつつ、装着部31Aを本体部20の外面に嵌合して、ガイド部30Aを本体部20に対し前方から装着する。
【0059】
また、装着部31Aを本体部20の外面に対し合致する状態に装着した際、本体部20の凸部24と装着部31Aの凹部34とを互いに係合して、本体部20とガイド部30Aとをガタ付きの無い状態に固定する。
【0060】
この後、縫製物ガイド10の全体を送り方向Yと直交する方向或いは平行する方向に水平移動して、縫製用ミシンAの押え金(図示せず)に対しガイド部30Aのガイド板32Aを沿わせた状態に位置調節する(図1参照)。
なお、ガイド部30Aを本体部20に装着したまま、縫製物ガイド10の全体を針落ち位置Bの一側部送り面Baに固定してもよい。
【0061】
上述のように、本体部20が、マグネット21の磁力及び/又は滑り止め部材22の接触抵抗によって針落ち位置Bの一側部送り面Baに対し固定されるので、縫製物ガイド10に対し縫製用ミシンAによる縫製時において発生する機械的な振動が付与されるか、針落ち位置Bに供給される被縫製物Cの送り力や引張り力が付与されるなどしても、縫製物ガイド10の本体部20及びガイド部30Aの向きや位置が変位することがなく、これを防止することができる。
【0062】
薄地の被縫製物Cをステッチ縫いする際、被縫製物Cの縫付け側縁部を、本体部20に装着したガイド部30Aのガイド板32Aに押し当てて、該ガイド板32Aに沿って針落ち位置Bに供給しながら縫製用ミシンAによりステッチ縫いする(図1参照)。
【0063】
この結果、被縫製物Cの縫付け側縁部を、縫製用ミシンAに設定された針落ち位置Bに対し真っ直ぐにガイドすることができ、被縫製物Cをステッチ縫いする作業が正確に行え、綺麗に縫製することができる。
【0064】
また、本体部20を、マグネット21の磁力及び/又は滑り止め部材22の接触抵抗を利用して針落ち位置Bの一側部送り面Baに固定するので、針落ち位置Bの一側部送り面Baが、マグネット21により吸着固定が可能或いは吸着固定が不可能な材質で構成されていても、マグネット21の磁力及び/又は滑り止め部材22の接触抵抗によって本体部20を確実に固定することができる。
【0065】
この結果、縫製物ガイド10の用途が工業用ミシン又は家庭用ミシンのいずれか一方に限定されることがなく、両ミシンの針落ち位置Bの一側部送り面Baに固定することができるので、一方又は両方のミシンを用いて複数パターンの縫い方にて縫製作業を行うことができる。
【0066】
次に、上述したガイド部30Aを、薄地用の長尺ガイド板32Bを備えたガイド部30Bに取り替えてステッチ縫いする方法を説明する。図5は横長長尺のガイド板32Bを備えた縫製物ガイド10の組付け斜視図、図6は図5の本体部20とガイド部30Bとを分離した斜視図である。
【0067】
ガイド部30Bのガイド板32Bは、上述したガイド部30Aのガイド板32Aよりも横長長尺に形成している。また、ガイド板32Bの上流側端部は、ガイド板32Aの上流側端部よりも上流側に向けて所定長さ突出している。
【0068】
なお、装着部31Bは、前記実施形態の装着部31Aと同一の構造を有しているので、同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
【0069】
次に、ガイド部30Bを用いてステッチ縫いする際、ガイド部30Bを、針落ち位置Bの一側部送り面Baに固定された兼用型の本体部20に装着した後、薄地の被縫製物Cの縫付け側縁部をガイド部30Bのガイド板32Bに押し当てて、該ガイド板32bに沿って針落ち位置Bに供給しながら縫製用ミシンAによりステッチ縫いする。
【0070】
上述と同様に、ステッチ縫い時において、縫製物ガイド10の本体部20及びガイド部30Bの向きや位置が変位することがなく、これを防止することができる。この結果、薄地の被縫製物Cをステッチ縫いする作業が正確に行え、綺麗に縫製することができる。
【0071】
次に、上述したガイド部30A,30Bのいずれか一方を厚地用のガイド部30Cに取り替えてステッチ縫いする方法を説明する。図7は厚地用のガイド板32Cを備えた縫製物ガイド30の組付け斜視図、図8は図7の本体部20とガイド部30Cとを分離した斜視図である。
【0072】
ガイド部30Cのガイド板32Cは、上述したガイド板32A,32Bよりも幅広に形成している。また、ガイド板32Cの板幅h2は、厚地の被縫製物Cの厚さw2と対応する寸法に形成している。
【0073】
なお、装着部31Cは、前記実施形態の装着部31Aと同一の構造を有しているので、同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
【0074】
次に、ガイド部30Cを用いてステッチ縫いする際、ガイド部30Cを針落ち位置Bの一側部送り面Baに固定された兼用型の本体部20に装着した後、厚地の被縫製物Cの縫付け側縁部をガイド部30Cのガイド板32Cに押し当てて、該ガイド板32Cに沿って針落ち位置Bに供給しながら縫製用ミシンAによりステッチ縫いする。
【0075】
上述と同様に、ステッチ縫い時において、縫製物ガイド10の本体部20及びガイド部30Cの向きや位置が変位することがなく、これを防止することができる。この結果、厚地の被縫製物Cをステッチ縫いする作業が正確に行え、綺麗に縫製することができる。
【0076】
次に、上述したガイド部30A,30B,30Cのいずれか一つを、三つ巻き用のガイド部30Dに取り替えて三つ巻き縫いする方法を説明する。図9三つ巻き用の巻回板32Dを備えた縫製物ガイド10の組付け斜視図、図10は図9の本体部20とガイド部30Dとを分離した斜視図である。
【0077】
三つ巻き用のガイド部30Dは、兼用型である本体部20の外面に対し装着される装着部31Dと、装着部31Dの前面に固定され、被縫製物Cの縫付け側縁部を三つ巻きする巻回板32Dとで構成している。
【0078】
なお、装着部31Dは、前記実施形態の装着部31Aと同一の構造を有しているので、同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
【0079】
巻回板32Dは、被縫製物Cの下面側を支持する下板32aと、被縫製物Cの上面側を支持する上板32bと、下板32aと上板32bの間に形成された被縫製物Cの縫付け側縁部を送り方向Yと直交する方向に向けて巻回する巻回溝32cとで構成している。
【0080】
巻回溝32cは、送り方向Yの上流側から下流側に向けて徐々に狭くなるような略ラッパ形状に形成している。
巻回溝32cの上流側入口部は、被縫製物Cの縫付け側縁部を、送り方向Yと直交する方向に向けて三つ巻きガイドする滑らかな曲面形状に形成している。また、巻回溝32cの下流側出口部は、三つ巻き状態の被縫製物Cを巻回した状態に規制する大きさ及び形状に形成している。
【0081】
次に、三つ巻き用のガイド部30Dを用いて三つ巻き縫いする際、ガイド部30Dを、針落ち位置Bの一側部送り面Baに固定された兼用型の本体部20に装着した後、被縫製物Cの縫付け側縁部をガイド部30Dの巻回板32Dに挿入して三つ巻き状態に巻回するとともに、巻回板32Dの下流側出口部から送り出される三つ巻き状態の被縫製物Cを針落ち位置Bに供給しながら縫製用ミシンAにより三つ巻き縫いする。
【0082】
上述と同様に、三つ巻き縫い時において、縫製物ガイド10の本体部20及びガイド部30Dの向きや位置が変位することがなく、これを防止することができる。この結果、薄地や厚地の被縫製物Cを三つ巻き縫いする作業が正確に行え、所望する三つ巻き状態に縫製することができる。
【0083】
次に、上述したガイド部30A〜30Dのいずれか一つを重ね合わせ縫い用のガイド部30Eに取り替えて重ね合わせ縫いする方法を説明する。図11重ね合わせ縫い用の重ね合わせ板32Eを備えた縫製物ガイド30の組付け斜視図、図12は図11の本体部20とガイド部30Eとを分離した斜視図である。
【0084】
重ね合わせ縫い用のガイド部30Eは、兼用型である本体部20の外面に対し装着される装着部31Eと、装着部31Eの前面に固定され、上下2枚の被縫製物Cを所定の縫付け幅に重ね合わせた状態にガイドする重ね合わせ板32Eとで構成している。
【0085】
なお、装着部31Eは、前記実施形態の装着部31Aと同一の構造を有しているので、同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
【0086】
重ね合わせ板32Eは、最下段に配置される下板32dと、中段に配置される中板32eと、最上段に配置される上板32fとで構成している。
【0087】
板32e〜32fの間は、被縫製物Cの縫付け側縁部の挿入が許容される間隔を隔てられている。また、板32e〜32fの基端部分に取り付けた調節ネジ32gは、板32e〜32fの間を被縫製物Cの厚みに応じて拡縮調節するためのものである。なお、板32e〜32fの間には単数又は複数のスペーサ(図示せず)を挟み込まれる。
【0088】
次に、重ね合わせ縫い用のガイド部30Eを用いて重ね合わせ縫いする際、ガイド部30Eを、針落ち位置Bの一側部送り面Baに固定された兼用型の本体部20に装着した後、上下2枚の被縫製物Cの縫付け側縁部を、重ね合わせ板32Eの板32e〜32f間に上流側から挿入して所定の縫付け幅に重ね合わせた状態にガイドする。
【0089】
板32e〜32fの間から下流側に向けて送り出される上下2枚の被縫製物Cの縫付け側縁部を、針落ち位置Bに供給しながら縫製用ミシンAにより所定の縫付け幅に重ね合わせたまま重ね合わせ縫いする。
【0090】
上述と同様に、重ね合わせ縫い時において、縫製物ガイド10及びガイド部30Eの向きや位置が変位することがなく、これを防止することができる。この結果、上下2枚の被縫製物Cを所定の縫付け幅に重ね合わせ縫いする作業が正確に行え、所望する重ね合わせ状態に縫製することができる。
【0091】
次に、上述の本体部20を、マグネット21により吸着可能な部分に対し吸着子40或いは粘着体50にて固定する方法を説明する。図13の(a)は本体部20を吸着子40にて吸着固定した縦断面図、同図の(b)は本体部20を粘着体50にて粘着固定した縦断面図である。
【0092】
同図(a)の吸着子40は、柔軟性を有する合成ゴムにより形成され、本体部20の下面側両端部に対し下向きに取り付けている。
同図(b)の粘着体50は、粘着力を有するゲル状の粘着剤で構成され、本体部20の下面側両端部に塗布又は貼着している。
【0093】
先ず、本体部20を吸着子40にて吸着固定する際、本体部20を、吸着子40が下向きとなる姿勢に保持して針落ち位置Bの一側部送り面Baに押し付ける。本体部20は、吸着子40の吸着面に生じる負圧によって針落ち位置Bの一側部送り面Baに対し吸着固定される(図13の(a)参照)。
【0094】
また、本体部20を粘着体50にて粘着固定する際、本体部20を、粘着体50が下向きとなる姿勢に保持して針落ち位置Bの一側部送り面Baに押し付ける。本体部20は、粘着体50の粘着力によって針落ち位置Bの一側部送り面Baに対し粘着固定される(図13の(b)参照)。
【0095】
これにより、縫製時において、縫製物ガイド10の本体部20及びガイド部30Aの向きや位置が変位することがなく、所望する縫い方で縫製する作業が正確に行えるので、前記実施形態と略同等の作用及び効果を奏することができる。
また、マグネット21により吸着可能な部分には、吸着子40或いは粘着体50の相乗作用にて固定することができる。
【0096】
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明のガイド部固定手段は、溝部23及び突起33と、凸部24及び凹部34に対応し、
以下同様に、
本体部固定手段は、マグネット21と、滑り止め部材22と、吸着子40と、粘着体50に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0097】
なお、兼用型の本体部20に対しガイド部30A〜30Eの装着部31A〜31Eをネジ止めしてもよい。
また、上述したマグネット21の配置数、大きさ、形状は、前記実施形態の構成のみに限定されるものではなく、例えば収納部20aの前後に配置するか、左右に配置する等してもよい。
【符号の説明】
【0098】
A…縫製用ミシン
B…針落ち位置
Ba…送り面
C…被縫製物
10…縫製物ガイド
20…本体部
20a…収納部
21…マグネット
22…滑り止め部材
23…溝部
24…凸部
30A〜30E…ガイド部
31A〜31E…装着部
32A〜32C…ガイド板
32D…巻回板
32E…重ね合わせ板
33…突起
34…凹部
40…吸着子
50…粘着体
60…マグネット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫製用ミシンに設定した針落ち位置の一側部送り面に固定され、該針落ち位置に向けて被縫製物の縫付け側縁部をガイドする縫製物ガイドであって、
前記針落ち位置の一側部送り面に配置される本体部と、
前記被縫製物の縫付け側縁部を前記針落ち位置に向けてガイドするガイド部と、
前記本体部と前記ガイド部との間に設けられ、該ガイド部を前記本体部に対し着脱可能に固定するガイド部固定手段と、
前記本体部の前記一側部送り面と対向する部分に設けられ、該本体部を前記一側部送り面に対し固定する本体部固定手段とを備えた
縫製物ガイド。
【請求項2】
前記ガイド部を、
前記被縫製物を縫製する複数パターンの縫い方と対応して大きさ及び形状が異なる複数タイプのガイド部で構成した、
請求項1に記載の縫製物ガイド。
【請求項3】
前記ガイド部固定手段を、
前記本体部と前記ガイド部との対向面に設けられ、互いに係合する凹部と凸部とで構成した
請求項1又は2に記載の縫製物ガイド。
【請求項4】
前記ガイド部固定手段を、
前記本体部と前記ガイド部との対向面に設けられ、該本体部とガイド部とを磁力にて吸着固定するマグネットで構成した
請求項1〜3のいずれか一つに記載の縫製物ガイド。
【請求項5】
前記本体部固定手段を、
前記針落ち位置の一側部送り面に対し磁力にて吸着固定されるマグネットと、
前記針落ち位置の一側部送り面に対し接触抵抗にて滑り止め固定される滑り止め部材とで構成した
請求項1〜4のいずれか一つに記載の縫製物ガイド。
【請求項6】
前記本体部固定手段を、
前記針落ち位置の一側部送り面に対し磁力にて吸着固定されるマグネットと、
前記針落ち位置の一側部送り面に対し負圧にて吸着固定される吸着子又は粘着力にて粘着固定される粘着体のいずれか一方とで構成した
請求項1〜4のいずれか一つに記載の縫製物ガイド。
【請求項1】
縫製用ミシンに設定した針落ち位置の一側部送り面に固定され、該針落ち位置に向けて被縫製物の縫付け側縁部をガイドする縫製物ガイドであって、
前記針落ち位置の一側部送り面に配置される本体部と、
前記被縫製物の縫付け側縁部を前記針落ち位置に向けてガイドするガイド部と、
前記本体部と前記ガイド部との間に設けられ、該ガイド部を前記本体部に対し着脱可能に固定するガイド部固定手段と、
前記本体部の前記一側部送り面と対向する部分に設けられ、該本体部を前記一側部送り面に対し固定する本体部固定手段とを備えた
縫製物ガイド。
【請求項2】
前記ガイド部を、
前記被縫製物を縫製する複数パターンの縫い方と対応して大きさ及び形状が異なる複数タイプのガイド部で構成した、
請求項1に記載の縫製物ガイド。
【請求項3】
前記ガイド部固定手段を、
前記本体部と前記ガイド部との対向面に設けられ、互いに係合する凹部と凸部とで構成した
請求項1又は2に記載の縫製物ガイド。
【請求項4】
前記ガイド部固定手段を、
前記本体部と前記ガイド部との対向面に設けられ、該本体部とガイド部とを磁力にて吸着固定するマグネットで構成した
請求項1〜3のいずれか一つに記載の縫製物ガイド。
【請求項5】
前記本体部固定手段を、
前記針落ち位置の一側部送り面に対し磁力にて吸着固定されるマグネットと、
前記針落ち位置の一側部送り面に対し接触抵抗にて滑り止め固定される滑り止め部材とで構成した
請求項1〜4のいずれか一つに記載の縫製物ガイド。
【請求項6】
前記本体部固定手段を、
前記針落ち位置の一側部送り面に対し磁力にて吸着固定されるマグネットと、
前記針落ち位置の一側部送り面に対し負圧にて吸着固定される吸着子又は粘着力にて粘着固定される粘着体のいずれか一方とで構成した
請求項1〜4のいずれか一つに記載の縫製物ガイド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−100964(P2012−100964A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253572(P2010−253572)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000227700)日邦ミシン株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000227700)日邦ミシン株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
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