説明

繊維性基体の表面を被覆する方法

テキスタイル基体及び革から選ばれる繊維性基体が、少なくとも1種のヒドロホビンを使用して被覆される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テキスタイル基体及び革から選ばれる繊維性基体の表面を、少なくとも1種のヒドロホビンを使用して被覆する方法に関する。更に、本発明は、テキスタイル基体及び革から選ばれる、被覆された繊維性基体に関し、及び本発明に従う繊維性基体を使用してガーメントを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テキスタイル、例えば、ポリエステル、ポリアクリル、ポリアミドを、「ふわふわ」した感触で使用するために、プロテイン(protein)又はポリペプチド、特に水中に溶解した酸化ウールで処理することが、特許文献1(WO02/59413)から公知である。しかし、特許文献1(WO02/59413)に従って仕上られたテキスタイルが、第1に、不愉快な手触りを有していることがしばしば観察されている。また、一工程製造(単独工程での製造)で、均一な塗装(施し)を行なうことが困難であることも観察されている(10頁)。均一な塗装を行う上での、この困難性を回避するために、特にエピクロロヒドリンを使用した非常に複雑な多工程が提案されている。しかしながら、エピクロロヒドリンの使用は、通常、望ましくない。
【0003】
【特許文献1】WO02/59413
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術の不利な点が回避可能な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、冒頭に述べた方法によって達成されることが見出された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
冒頭に定義した方法は、1つ以上の表面(この表面は、平坦であって良く、又は織られたものであって良い。)から開始される。被覆されるべき表面は、テキスタイル基体及び革から選ばれる繊維性基体の一部を形成する。
【0007】
本発明の目的のためのテキスタイル基体は、テキスタイルファイバー、テキスタイル中間体、及び最終製造物及びこれらから製造された、仕上られた製品であり、これらには、服装工業用のテキスタイルと同様、例えば、カーペット及び他のホームテキスタイル及び工業的な目的のためのテキスタイル構造物が含まれる。これらは、例えば、ステープル等の形ができあがっていない構造物、ツイン、フィラメント、ヤーン、ライン、ストリング、レース、ブライド、縄類等の線状構造物、及び例えば、フェルト、織布(woven)、形成−ループニット、不織布、及び詰綿等の3次元構造物を含む。テキスタイル基体は、天然由来の材料であって良く、例えば、コットン、ウール、又は亜麻、又はブレンドの材料であって良く、例えば、コットン/ポリエステル、コットン/ポリアミドであって良い。好ましくは、本発明の目的のために、テキスタイル/複数種類のテキスタイルは、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、及び特に、ポリエステル、又は以下のブレンド、すなわち、天然由来の材料とポリアクリロニトリル、ポリアミド及び特にポリエステルのブレンドである。
【0008】
本発明の目的のための革は、なめした、又は仕上られた動物の皮(hide)が好ましく、及びいわゆるスプリットレザー(split leather)も好ましい。
【0009】
本発明の目的のための被覆は、本発明に従い被覆されるべき基体の面積の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、及びより好ましくは少なくとも50%を覆う(カバーする)少なくとも1種のヒドロホビンの単分子層(monomolecular layer)を意味する。繊維性基体の被覆の程度は、通常の方法、例えば顕微鏡による手法によって測定される。
【0010】
本発明は、繊維性基体の被覆表面用に、少なくとも1種のヒドロホビンを使用する。単一種のヒドロホビンを使用可能であり、又は異なる複数種類のヒドロホビンを使用することが可能である。
【0011】
ヒドロホビンは、公知のプロテイン(protein)であり、好ましくは小ペプチド(スモールペプチド)で、糸状菌(filamentous fungi)例えば、シゾフィラムコムネ(Schizophyllum commune)に特有のものである。通常、これらは8個のシステインを有している。ヒドロホビンは、天然の原料から単離することができる。しかし、ヒドロホビンは、化学的及び/又は生物工学的な生成手段で、非天然由来(non-naturally-occurring)のヒドロホビンを合成することもできる。
【0012】
ここで使用される「ヒドロホビン」という用語は、一般構造式(I)、
n−C1−X1-50−C2−X0-5−C3−X1-100−C4−X1-100−C5−X1-50−C6−X0-5−C7−X1-50−C8−Xm (I)
(但し、Xは、20種の天然由来のアミノ酸(Phe、Leu、Ser、Tyr、Cys、Trp、Pro、His、Gln、Arg、Ile、Met、Thr、Asn、Lys、Val、Ala、Asp、Glu、Gly)であって良い。)のプロテインを意味することが好ましい。各Xは、同一であって良く、異なっていても良い。Xに続く指数(indice)は、各場合においてアミノ酸の数を表し、Cは、システイン、アラニン、セリン、グリシン、メチオニン、又はトレオニンを表し(但し、Cで定義されるアミノ酸の少なくとも4個がシステインである。)、そして、指数n及びmは、独立して0〜500の範囲の自然数、好ましくは15〜300の範囲の自然数である。
【0013】
本発明の1実施の形態では、使用するヒドロホビンは、ガラス表面にヒドロホビンを被覆した後、水の滴(5μl)の接触角度が、少なくとも20°、好ましくは25°、及び特に好ましくは30°増加する(各場合、室温で測定)という特性によって特徴づけられる(但し、上記接触角度の増加は、同一の大きさの水の滴と、被覆を行なっていないガラス表面との接触角度と比較してのものである。)。
【0014】
1〜C8で表されたアミノ酸は、システインが好ましいが、しかし、これらは、内容(bulk)が類似した他のアミノ酸であっても良く、好ましくは、アラニン、セリン、トレオニン、メチオニン又はグリシンであっても良い。しかしながら、C1〜C8の箇所の、少なくとも4箇所、好ましくは少なくとも5箇所、より好ましくは少なくとも6箇所、及び特に7箇所が、システインで構成されているべきである。本発明に従うプロテイン中のシステインは、還元された状態で存在して良く、又は互いに二硫化ブリッジを形成して存在して良い。C−Cブリッジを分子間で形成することが特に好ましく、特に少なくとも1個、好ましくは2個、より好ましくは3個及び最も好ましくは4個の分子間二硫化ブリッジを含むものである。上述した、システインを、内容(bulk)が類似したアミノ酸で交換する場合、互いに二硫化ブリッジを形成可能なものが、そのようなC−箇所に、対となって交換されることが有利である。
【0015】
従って、システイン、セリン(serine)、アラニン、グリシン、メチオニン、又はトレオノンがXで示された位置にも使用される場合、一般式における、個々のC−箇所の番号付けは、変化して良い。
【0016】
一般式(II)、
n−C1−X3-25−C2−X0-2−C3−X5-50−C4−X2-35−C5−X2-15−C6−X0-2−C7−X3-35−C8−Xm (II)
(但し、X、C及びXとCに続く指数は、上記に定義したものであり、しかし、指数nとmは、0〜300の範囲の数を表す。)のプロテインを使用することが好ましく、そしてこのプロテインは、更に上述した接触角の変化で区別可能であり、そして、更に、Cで定義される(表される)アミノ酸の内、少なくとも6個がシステインである。Cで表されるアミノ酸の全てがシステインであることが特に好ましい。
【0017】
一般式(III)、
n−C1−X5-9−C2−C3−X11-39−C4−X2-23−C5−X5-9−C6−C7−X6-18−C8−Xm (III)
(但し、X、C及びXとCに続く指数は、上記に定義したものであり、しかし、指数nとmは、0〜200の範囲の数を表す。)のプロテインを使用することが好ましく、そしてこのプロテインは、更に上述した接触角の変化で区別可能なものである。
【0018】
残基(残留物:residue)、Xn及びXmは、ペプチド配列であって良く、このペプチド配列は、ヒドロホビンに自然に結合していても良い。しかしながら、残基XnとXmの何れか、又は両方がペプチド配列と自然には結合しないペプチド配列であっても良い。ここで、XnとXm内で、ヒドロホビン中に自然に発生(存在)するペプチド配列が、ヒドロホビン中には自然には発生しないペプチド配列によって延長(増量)されている場合も含まれる。
【0019】
n及び/又はXmが、ヒドロホビンと自然には結合しないペプチド配列である場合、このような配列(シーケンス)の長さは通常、少なくとも20アミノ酸であり、この長さは、少なくとも35アミノ酸であることが好ましく、少なくとも50アミノ酸であることがより好ましく、そして、少なくとも100アミノ酸であることが最も好ましい。ヒドロホビンと自然には結合しないこの種の残基は、以降、融合相手部分(fusion partner portion)とも称される。このことは、本発明に従い使用されるプロテインは、少なくとも1種のヒドロホビン部分(hidorohobin portion)と、融合相手部分(これらは、この状態では自然には一緒に発生しない。)とから構成されて良いことを説明することを意図している。
【0020】
この融合相手部分は、多種のプロテインから選ばれて良い。複数の融合相手部分が1個のヒドロホビン部分、例えば、ヒドロホビン部分のアミノ末端基(アミノ末端部分)(Xn)、又はカルボキシル末端基(Xm)と結合することも可能である。しかし、例えば、2個の融合相手部分が、本発明に従い使用されるプロテインの1箇所(Xn又はXm)と結合することも可能である。
【0021】
特に適切な融合相手部分は、微生物(microorganismus)、特にE.コイル又はバチルスサブチリス中に天然に発生するプロテインである。このような融合相手部分の例は、配列yaad(SEQ ID NO:15及び16)、yaae(SEQ ID NO:17及び18)及びチオレドキシン(thioredoxin)である。同様に、非常に適切なものは、上述した配列の断片又は誘導体で、これは、上述した配列の1部分のみ、好ましくは70%〜99%及び、より好ましくは80〜98%のものを含み、又は、上述した配列に対して、個々のアミノ酸又はヌクレオチドが取替えられているものであっても良い(なお、百分率は、全てアミノ酸の数に対してである)。
【0022】
本発明に従い使用されるプロテインは、そのポリペプチド配列において、例えば、グリコシル化、アセチル化によって、又は他に、例えばグルタルアルデヒドでの化学的な架橋によって、追加的に修飾(改変:modify)されていても良い。
【0023】
本発明に従い使用されるプロテインの特性の一つには、表面(surface)がこのプロテインで被覆された場合には、表面特性が変化することが挙げられる。表面特性の変化は、表面をプロテインで被覆する前と後で、水の滴の接触角を測定し、そしてこの2つの測定値の差を測定(計算)することにより、実験的に確かめることができる。
【0024】
この技術分野の当業者は、接触角の測定を行う方法を知っているものと考えられる。この説明した接触角の測定の正確な実験条件は、実施例部分に記載されている。
【0025】
今日までに知られているヒドロホビンのヒドロホビン部分には、極性及び非極性(apolar)アミノ酸の部分(箇所:position)が含まれて(保存されて)おり、これは、特徴的なヒドロホビンプロット(hydrophobicity plot)を提供する。生物物理的特長及び疎水性(hudrophobicity)の差異により、今日までに知られているヒドロホビンは、クラスIとII(Wassels et al., Ann. Rev.Phytopathol.,1994,32,413−437)の2種類に分けられる。
【0026】
クラスIのヒドロホビンの(集められた)被膜は、不溶性の傾向が非常に強く(例えば、ナトリウムn−ドデシルサルフェート(SDS)の1質量%の水溶液に、80℃に昇温させても不溶性である。)であり、そして、濃縮トリフルオロ酢酸(TFA)又は蟻酸でのみ解離可能である。これに対して、クラスIIのヒドロホビンの(集められた)型は、より不安定である(安定性に劣る)。これらは、エタノールの60質量%(溶液)又はSDSの1質量%(溶液)(それぞれ、水中のもので、室温である。)に溶解可能である。
【0027】
アミノ酸配列を比較した場合、システインC3とシステインC4との間の領域の長さは、クラスIのヒドロホビンよりもクラスIIのヒドロホビンの方が明らかに短いことがわかる。更に、クラスIIのヒドロホビンは、クラスIのヒドロホビンよりも、より荷電された(charged)アミノ酸を有している。
【0028】
本発明を実施するための、特に好ましいヒドロホビンは、タイプdewA、rodA、hypA、hypB、sc3、basf1、basf2のもので、これらは以下に列挙する配列に構造的な特徴を有している。これら(上記好ましいヒドロホビン)は一部分のみ、又はこれらの誘導体であって良い。ヒドロホビン部分の複数を結合させることも可能であり、これについては、2又は3個の同一又は異なる構造物を一緒に、及び対応する適切なポリペプチド配列(このポリペプチド配列は、自然にはヒドロホビンと結合しないものである。)に結合することが好ましい。
【0029】
本発明を行うために適切なものは、更に、SEQ ID NO:20,22,24中に示されたポリペルチド配列を有する融合プロテイン(fusion protein)、及びそのためにコードする核酸配列(nucleic acid sequence)を有する融合プロテインであり、特にSEQ ID NO:19,21,23に従う配列を有するものである。特に好ましい実施の形態として、更に、プロテインは、SEQ ID NO:22,22又は24中に示されたポリペプチド配列から出発して、全てのアミノ酸の、少なくとも1から10以下、好ましくは5以下、特に好ましくは5%を、変換(置換)、挿入(差込:insertion)又は削除(deletion)することにより得られ、且つ出発プロテインの生物学的特性を少なくとも50%有しているプロテインを含む。本発明に従い使用されるプロテインの生物学的特性は、ここでは、上述した接触角度が少なくとも20°変化することを意味するものとして理解される。
【0030】
本発明に従い使用されるプロテインは、ペプチド合成の通常の技術(例えば、メリフィールド(Merrifield)固相合成)によって化学的に製造可能である。
【0031】
自然に発生するヒドロホビンは、適切な方法を使用して、天然原料から分離することができる。例えば、Wosten et. al.,Eur.J Cell Bio.63,122−129(1994)又はWO96/41882が参照可能である。
【0032】
融合プロテインは、遺伝子工学法によって製造可能であることが好ましく、この遺伝子工学法では、融合相手のため、及びヒドロホビン部分のためにコードする核酸配列、特にDNA配列が(互いに)組合され、これにより、ホスト有機体(宿主有機体:host organism)中で、組合された核酸配列の遺伝子発現(expression)により、所望のプロテインが形成されるものである。このような製造方法は、本願の出願人による、先願のDE102005007480.4に開示されている。
【0033】
上述した製造方法のために適切なホスト有機体(生成有機体)は、原核生物(prokaryotes)(始原(Archaea)を含む)又は真核生物(eukaryotes)であって良く、特にハロバクテリア含有バクテリア及びmetanococci、フンギ(菌)、インセクトセル(昆虫細胞)、植物細胞、及び哺乳類細胞、より好ましくはEscerichiaコイル、バチルスサブチリス、バチルスメガテリウム(megaterium)、アスペルギルスオリジア(Aspergillus oryzea)、アスペルギルスニドランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルスニガー(Aspergillus niger)、ピキアパトリス(Pichia pastoris)、シュードモナス(Pseudomonas)種(spec.)、ラクトバシリ(Lactobaclli)、ハンセヌラポリモルファ(Hansenula polymorpha)、トリコデルマレーゼイ(Trichoderma reesei)、SF9(及び関連する細胞)等であって良い。
【0034】
更に、本発明の枠内で、ヒドロホビンとして、更に遺伝子発現構築体(expression construct)を使用可能であり、この遺伝子発現構築体は、遺伝子制御下に調節(規定)される核酸配列、本発明に従い使用されるプロテインをコードする核酸配列、及びこれら遺伝子発現構築体を少なくとも1種含むベクターを含むものである。
【0035】
使用する遺伝子発現構築体は、好ましくは、それぞれコード配列(暗号配列:coding sequence)の5’−上流側に、(1つの)プロモーター(promoter)を含み、及び(それぞれコード配列の)3’−下流側に、末端配列(ターミネーター配列)を含み、及び所望により、通常の別の調節エレメント(regulatory element)を含み、それぞれは、実質的に(操作上)、コード配列と結合している。
【0036】
上記「実質的に(操作上)結合」された状態では、プロモーター、コード配列(コード化配列:coding sequence)、ターミネーター、及び所望により別の調節エレメントの配列的な配置が、以下のようになっている、すなわち、コード配列の遺伝子発現において、各調節エレメントが、その機能を規定に従い発揮され得る(満たされ得る)ようになっていると理解される。
【0037】
結合可能なことが明らかな配列の例は、標的(targeting)配列、及びエンハンサー(enhancer)、ポリアデニル化シグナル等である。更なる調節エレメントは、選択性(selectable)マーカー、増幅(amplification)シグナル、複製の原点(origin)等である。適切な調節エレメント配列は、例えば、Goeddel,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA(1990)に記載されている。
【0038】
これらの調節配列(regulatory sequence)に加え、これら配列の自然の調節(regulation)が、実際の構造遺伝子の上流(upstream)に存在しても良く、及び適切であれば、自然調節が排除(スイッチオフ)され、そして遺伝子の発現が、高められるように遺伝子上、修飾(改変)されて良い。
【0039】
好ましい核酸構築体は、上述したエンハンサーの配列を1種以上含むことが有利であっても良い。ここで、このエンハンサーの配列は、プロモーターと機能的に結合しており、そして、核酸配列の発現を高めることができるものである。また、DNA配列の3’エンドに、更に、調節エレメント又はターミネータ等の、有利な配列が挿入されても良い。
【0040】
核酸は、1個以上のコピーの状態で構築体中に含まれても良い。構築体(construct)は、更に、抗生物質耐性(antibiotic resistance)又は栄養要求性相補遺伝子(auxotrophy−complemeting gene)等の付加的なマーカー(marker)を(場合により、構築体上で選択するために)含んでも良い。
【0041】
この方法のために有利な調節配列は、例えば、cos、tac、trp、tet、trp、tet、lpp、lac、lpp−lac、laclq−T7、T5、T3、gal、trc、ara、rhaP(rhaPBAD)SP6、lambda−PR又はimlambda−Pプロモーター等のプロモーター中に存在する(ここで、プロモーターは、グラム陰性(Gram−negative)バクテリア中に使用することが有利である)。更に、有利な調節配列は、例えば、グラム陽性(Gram−positive)プロモーターのamy及びSP02中に、イースト(yeast)又は菌(fungal)プロモーターADC1、MFalpha、AC、P−60、CYC1、GAPDH、TEF、rp28、ADH中に存在する。
【0042】
調節のために、人工的なプロモーターを使用することも可能である。
【0043】
ホスト有機体(宿主有機体)中で発現するために、核酸構築体は、ベクター中に有利に装入される。ここで、このベクターは、例えば、プラスミド又はファージ(phage)等のものであり、これらは、ホスト(宿主:host)中に遺伝子の最適な発現を可能にするものである。
【0044】
ベクターは、プラスミド(plasmid)及びファージと同様、更に、それ自身公知のベクターを含む。この公知のベクターは、例えば、SV40、CMV等のウィルス、バキョロウィルス(baculovirus)及びアデノウィルス(adenovirus)、トランスポゾン(transposons)、IS要素、ファスミド(phasmids)、コスミド(cosmids)、及び直線状又は環式DNA、及び又、アグロバクテリウム(Agrobacterium)系である。
【0045】
これらのベクターは、ホスト有機体内で、内因的に再現(複製)されて良く、又は染色体的に再現されて良い。これらベクターは、本発明の別の形態を構成する。適切なプラスミド(plasmid)の例は、Eコイル、pLG338、pACYC184、pBR322、pUC18、pUC19、pKC30、pRep4、pHS1、pKK223−3、pDHE19.2、pHS2、pPLc236、pMBL24、pLG200、pUR290、plN−III”3−B1、tgt11又はpBdCl中のもの、ストレプトミセス(Streptomyces)、plJ101、plJ364、plJ702、又はplJ361中のもの、バチウス(Bacillus) pUB110、pC194、又はpBD214中のもの、コリネバクテリウム(Corynebacterium) pSA77又はpAJ667中のもの、菌(フンギ)pALS1、plL2又はpBB116中のもの、イースト(yeasts)2アルファ、pAG−1、YEp6、YEp13、又はpEMBLYe23中のもの、又は植物pLGV23、pGHlac+、pBIN19、pAK2004又はpDH51中のものである。上述したプラスミドは、可能なプラスミドの小部分を選択して示したものである。更なるプラスミドは、それ自身公知であり、そして、例えば、book Cloning Vectors(Eds.Pouwels P.H.et al. Elsevier, Amsterdam−New York−Oxford、1985、ISBN 0444904018)に見出される。
【0046】
存在する他の遺伝子を発現させるために、核酸構築体は、更に、3’−及び/又は5’−ターミナル調節配列を含み、ホスト又は遺伝子(遺伝子は複数種類の場合を含む)の選択に従い、最適の発現のために選択された発現を高めることが有利である。
【0047】
これら調節配列は、目標とする遺伝子の発現とプロテイン発現を可能にすることを意図している。ホスト有機体に依存して、このことは、例えば、遺伝子が、誘導(induction)の後にのみ発現又は過剰発現(overexpress)されて良いことを意味して良く、又は直ちに発現又は過剰発現されて良いことを意味して良い。
【0048】
調節配列或いはファクター(因子:factor)は、これにより好ましくは、導入された遺伝子発現に積極的な影響を及ぼすことが可能であり、そしてこれにより、高めることができる。従って、転写シグナル、例えばプロモーター及び/又はエンハンサーを使用することにより、調節エレメントの強化を転写領域(transcription level)上で有利に行うことができる。しかしながら、これに加え、例えば、mRNAの安定性を改良することにより、翻訳を高めることも可能である。
【0049】
ベクターの他の形態では、核酸構築体又は核酸を含むベクターは、直線状(直鎖状)DNAの状態で、微生物中に有利に導入されても良く、そしてヘテローグ(異種又は相異:heterologous)又はホモローグ(同種又は相同:homologous)の組換えを介して、ホスト有機体のゲノムに統合されても良い。この直線状DNAは、プラスミド等の直線化ベクターで構成されて良く、又は核酸構築体又は核酸のみよって構成されても良い。
【0050】
ヘテローグ遺伝子の、有機体中での最適の発現のために、有機体中で使用される特定の「コドン(codon)使用」に従い、核酸配列を修飾することが有利である。「コドン使用」は、対象となる有機体の、他の既に知られている遺伝子をコンピュータ解析することにより容易に決定することができる。
【0051】
発現カセットは、適切なプロモーターを適切なコード核酸配列(coding nucleotide sequenve)及びターミネータ又はポリアデニル化シグナルに融合されることにより製造される。例えば、T.Maniatis,E.F.Fritsch andJ.Sambrook, Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY(1989)に、及びまた、T.J.Silhavy,M.L.Berman and L.W.Enquist, Experiments with Gene Fusions, Cold Spring Harbor laboratory, Cold Spring Harbor,NY(1984)中に、及びAusubel, F.M.etal., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience(1987)中に記載された、通常の組換え及びクローン技術がこの目的のために使用される。
【0052】
適切なホスト有機体内で発現を達成するために、組換え核酸構築体又は遺伝子構築体が、ホスト中で遺伝子の最適の発現を提供するホスト特殊ベクター(host-specific vector)に有利に挿入される。ベクターは、それ自身は公知であり、そして例えば、「Cloning Vectors」(Pouwels P.H. etal.,Eds,Elsevier,Amsterdam−New York−Oxford,1985)から得ることができる。
【0053】
例えば、少なくとも1種のベクターで形質転換(transform)され、そして、本発明に従い使用されるプロテインを製造するために使用されて良い組換え微生物を、ベクターの補助下に製造することができる。有利なことに、上述した組換え発現構築体は、適切なホストシステム(宿主系)に導入され、そして発現される。これに関連して、特定の発現系中に発現するべき核酸を発生させるために、当業者にとって公知の、通常のクローン化法及びトランスフェクション法、例えば、共析出(coprecipitation)、プロトプラスト融合、エレクトロポーレイション、レトロウィルストランスフェクション等の方法を使用することが好ましい。適切な系(system)は、例えば、Current Protocols in Molecular Biology、 F.Ausubel et al., Eds.,Wiley Interscience,New York 1997又はSambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual. 2nd edition,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor,NY,1989に記載されている。
【0054】
ホモローグに組換えられた微生物を製造することも可能である。この目的のために、本発明に従い使用される遺伝子の少なくとも1切片(区分:section)又は、コード配列の1切片を含むベクターが、このために製造される。ここで、適切であれば、この配列を修飾(改変)、例えば機能的に分解(disrupt)するために(ノックアウトベクター)、少なくとも1種のアミノ酸−削除、−付加、又は−置換が導入される。導入された配列は、例えば、関連する微生物からのホモローグ(ホモログ変換)であっても良く、又哺乳類、イースト、又はインセクトのソース(供給源)から誘導されても良い。この代わりに、ホモローグ性組換えのために使用されるベクターは、以下のように設計されて良い。すなわち、ホモローグ性組換えの場合、内生的な遺伝子が、変異(mutate)するか、又は他に、代えられるが、しかし機能プロテインをなおエンコード(encode)するように設計されて良い(例えば、上流の調節領域が、これにより内生的なプロテインの発現が代えられるように、代えられていても良い。)。本発明に従い使用される遺伝子の、代えられた切片は、ホモローグ性組換えベクター中に存在する。ホモローグ性組換えのために適切なベクターの構成は、例えば、Thomas,K.R.及びCapecchi,M.R.(1987)Cell51:503に記載されている。
【0055】
本発明に従い使用される核酸、又は核酸構築体のために適切な、組換えホスト有機体は、原則として、何れの原核性又は真核性有機体であっても良い。有利なことに、バクテリア、菌(フンギ)、又はイースト等の微生物が、ホスト有機体として使用される。グラム陽性又はグラム陰性バクテリア、好ましくは、科(ファミリー)、腸内細菌(Enterobacteriaceae)、シュードモナス(Pseudomonadaceae)、リゾビアセー(Rhizobiaceae)、ストレプミセトアセー(Streptomycetaceae)又はノカルジセアエ(Nocardiceae)、特に好ましくは、類(genera)、エシェキアノ(大腸菌:Escherichia)、シュードモナス(Pseudomonas)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、ノルカルディア(Nocardia)、バークホルディア(Burkholderia)、サルモネラ(Salmonella)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)又はロドコッカス(Rhdococcus)が有利に使用される。
【0056】
融合プロテインの製造方法に使用される有機体は、ホスト有機体に依存して、当業者にとって公知の方法で栽培(飼育)又は培養される。微生物は、通常、炭素供給源(通常は砂糖の状態)、窒素供給源(通常は、イースト抽出物、又は硫化アンモニウムの塩等の有機窒素供給源の状態)、鉄塩、マンガン塩等の少量の要素(元素)、及び適切な場合には、ビタミンを含む液体媒体中で、0℃〜100℃の温度、好ましくは10℃〜60℃の温度で、酸素の供給下に栽培(飼育)される。これに関連し、栄養液体のpHは、一定の値に維持されて良く、すなわち、培養の間調節しても、調節しなくても良い。培養は、非連続的(バッチ式:batchwise)、準バッチ式、又は連続的に行って良い。栄養剤は、発酵の初期に導入して良く、又、後に、準連続的又は連続的な方法で導入して良い。酵素は、実施例に記載した方法で有機体から分離して良く、又粗製抽出物として反応に使用して良い。
【0057】
本発明に従い使用されるプロテイン又は機能的(functional)、生物学的に活性な部分は、組換え製造方法によって製造されても良く、ここで、この製造方法では、プロテインを製造する微生物が培養され、適切であれば、プロテインの発現が誘導され、そして上述したプロテインが培養から分離される。本発明に従い使用されるプロテインは、所望する場合には、この方法により工業規模で製造されて良い。組換え微生物は、公知の方法で培養され、そして、発酵されて良い。バクテリアは、例えば、TB媒体又はLB媒体中で、及び20℃〜40℃の温度で、及び6〜9のpHで繁殖させて良い。適切な培養条件は、例えば、T.Maniatis,E.F.Fritsch and J.Sambrook, Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY(1989)に詳細に記載されている。
【0058】
本発明に従い使用されるプロテインが、培養媒体に分泌(secrete)されない場合、細胞は分解(崩壊)され、そして、公知のプロテイン分離法により、生成物がリゼイド(溶解質:lysate)から得られる。細胞は、所望するように分解して良く、この分解は、高周波超音波を使用して、高圧を使用して、例えば、French圧力セル中で、osmolysisを使用して、洗浄剤(detergent)、溶菌(lytic)酵素又は有機溶媒の作用で、同質器(ホモナイザー)を使用して、又は上述した方法の2種以上を組合わせて行われる。
【0059】
本発明に従い使用されるプロテインは、分子篩クロマトグラフィ(ゲル濾過)、例えばQ Sepharoseクロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、及び疎水性クロマトグラフィ等の公知のクロマトグラフィ法、及びウルトラ濾過、結晶化、塩化分離(salting-out)、透析(dialysis)及び自然ゲル電気泳動等の他の通常の方法を使用して精製して良い。適切な方法は、例えば、Cooper,F.G.Biochemische Arbeitsmethoden, Verlag Walter de Gruyter, Berlin, New Yorkに、又はScopes、R.,Protein Purification,Springer Verlag, New York, Heidelberg, Berlinに記載されている。
【0060】
ベクター系(vector system)又はオリゴヌクレオチドを使用して組換えプロテインを分離(単離)することが有利であって良い。ここで、オリゴヌクレオチドは、(所定のヌクレオチド配列分)cDNAを延長させる。そして、延長したcDNAで、変えられたポリペプチド又は融合プロテインをコードするもので、これは、例えば精製の簡素化に役立つ。この種の適切な修飾(modification)の例は、アンカーとして機能する、いわゆる「tags」(例えば、ヘキサ−ヒスチジンアンカーとして公知の修飾)、又は、抗体の抗原として識別されているエピトピ(epitopes)(例えば、Harlow, E.and Lane,D.,1988,Antibodies:A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor(N.Y.) Pressに記載されている。)を含む。他の適切なtagは、例えば、HA、calmodulin−BD、GST、MBD;chitin−BD、steptavidin−BD−avi−tag、Flag−tag、T7等である。これらのアンカーは、プロテインを、例えば、ポリマーマトリックス(ポリマーマトリックスは、例えば、クロマトグラフィカラムに詰め込まれても良い。)等の固定の基体(support)に留めるために使用されて良く、又は、微小滴定(microtiter)プレート又は他の基体に留めるために使用されても良い。対応する精製施行例(プロトコール)は、市販の類似するtagの提供者から得られる。
【0061】
上述のように製造されるプロテインは、融合プロテインとして直接的に使用して良く、又は切断(cleaving off)し、及び融合相手部分を除去した後、「純粋」なヒドロホビンとして使用しても良い。
【0062】
融合相手部分の除去が意図される場合、可能な切断部位(cleavage site)(プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)のための、特定の認識部位)を、融合プロテイン中、ヒドロホビン部分と、融合相手部分との間に挿入する(移入する)ことが有利である。適切な切断部位は、特に、他の場合では、ヒドロホビン部分中にも、融合相手部分中にも発生しないペプチド配列を含む。このことは、生命情報学機器を使用して容易に調査(確認)可能である。特に好ましくは、例えば、メチオニン上のBrCN切断、又はファクター(因子)Xa、エンテロキナーゼ(enterokonase)を有する切断を有するプロテアーゼ媒介(protease−mediated)切断、トロンビン(thrombin)、TEV−切断(tabacco etch ウィルスプロテアーゼ)である。
【0063】
表面を被覆するために、本発明に従い、ヒドロホビンを実質的に使用可能である。ヒドロホビンは水性処方物の状態で使用されることが好ましい。
【0064】
本発明を行うためのヒドロホビンの選択は、基本的に制限されるものではない。1種のヒドロホビンを使用することが可能であり、又他に異なる複数種類のヒドロホビンを使用することも可能である。例えば、融合プロテイン、例えばyaad−Xa−dewA−his(SEQ ID NO:19)又はyaad−Xa−rodA−his(SEQ ID NO:21)を使用することができる。
【0065】
ヒドロホビンは、上述したように、本発明に従い、テキスタイル基体及び革から選ばれる繊維性基体の表面を被覆するために使用される。
【0066】
ヒドロホビンは上述したように、本発明に従い、テキスタイル基体及び革から選ばれる繊維性基体の表面を被覆するために使用される(この場合、エピクロロヒドリン等のアルキル化に強く作用する化合物、又はDMDHEU等の架橋剤は用いられない)。
【0067】
更に、本発明はテキスタイル基体及び革から選ばれる繊維性基体の表面を、少なくとも1種のヒドロホビンを使用して被覆する方法を提供する。ヒドロホビン、繊維性基体、テキスタイル基体及び革及び被覆は、全て上記に定義したものである。
【0068】
本発明の1実施の形態では、本発明の方法は、被覆の対象となる繊維性基体を少なくとも1種の水性処方物、好ましくは、少なくとも1種のヒドロホビンを含む水溶液(aueous liquor)で被覆することにより行われる。
【0069】
水溶液割合(liquor ratio)は、例えば、10:1〜1000:1であり、及び好ましくは70:1〜500:1の範囲である。
【0070】
本発明の1実施の形態では、被覆の対象となる繊維性基体を、少なくとも1種のヒドロホビンを含む、少なくとも1種の水性処方物、好ましくは水溶液と、排出工程(exhaust process)により接触させることを含む。
【0071】
本発明の他の実施の形態では、被覆の対象となる繊維性基体を、少なくとも1種のヒドロホビンを含む、少なくとも1種の水性処方物、好ましくは水溶液と、パッディング工程(padding process)により接触させることを含む。
【0072】
本発明の1実施の形態では、繊維性基体、特にテキスタイル基体をヒドロホビンと、タンク中で、又は好ましくはパッドマングルを使用して接触させることを含む。
【0073】
本発明の1実施の形態では、繊維性基体、特にテキスタイル基体をヒドロホビンと、0℃〜90℃の温度範囲、好ましくは室温〜85℃の温度範囲で接触させることを含む。
【0074】
本発明の1実施の形態では、繊維性基体、特にテキスタイル基体をヒドロホビンと、タンク中で、又は好ましくはパッドマングルを使用して接触させ、そして次に、例えば20〜120℃の温度範囲で乾燥させることを含む。
【0075】
本発明の1実施の形態では、繊維性基体、特にテキスタイル基体をヒドロホビンと、タンク中で、又は好ましくはパッドマングルを使用して接触させ、そして次に、例えば20〜120℃の温度範囲で、及び、5秒〜15分の期間、及び好ましくは5分以下の期間乾燥させることを含む。適切な乾燥温度範囲は、例えば、20℃〜120℃であり、そして好ましくは105℃以下である。温度が低くなる程、乾燥時間が長くなり、そしてこの逆も当てはまる。
【0076】
本発明に従い、パッドマングルを使用して、繊維性基体をヒドロホビンと接触させるために、例えば、供給速度(適用速度)を0.1〜10m/分の範囲、及び好ましくは1〜5m/分の範囲に選択し、及びロールの押圧力を0.5〜4バールの範囲、及び好ましくは1〜3バールの範囲に選択することが可能である。
【0077】
本発明の1実施の形態では、繊維性基体(特に革)をヒドロホビンと、例えば、スプレーがけにより、少なくとも1種のヒドロホビンを含む水性処方物で、1回以上、繊維性基体を覆う(カバーする)ことにより接触させることを含む。
【0078】
水性処方物は、1〜24時間の範囲、及び好ましくは12〜17時間の範囲で繊維性基体に作用させて良い。
【0079】
本発明の方法に使用される水性処方物は、溶媒又は水の混合物及び水混和性有機溶媒として、水を使用して製造することが好ましい。水混和性有機溶媒の例は、水混和性モノヒロリック(一価)又はポリヒドリック(多価)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、又はグリセロールを含む。これらは、エーテルアルコールであっても良い。例は、(ポリ)エチレンのモノアルキルエーテル又は、(ポリ)プロピレングリコール、例えばエチレングリコールモノブチルエーテルを含む。水溶性有機溶媒の特性(identity)と量は、それ自体は重要ではなく、そして、例えば、本発明に従い使用される水性処方物に対して1質量%〜50質量%の範囲であって良い。
【0080】
本発明の方法のために使用される水性処方物は、更に、本発明に従い使用される水性処方物に対して、0.1〜5質量%の無機塩、例えばNaClを含んでも良い。
【0081】
本発明の好ましい1実施の形態では、本発明の方法を行うために、エピクロロヒドリン等の強いアルキル化合物を使用しないことを含む。
【0082】
本発明の好ましい1実施の形態では、本発明の方法を行うために、例えば、N,N−ジメチルオール−4,5−ジヒドロキシエチレンウレア(DMDHEU)等の架橋剤を使用しないことを含む。
【0083】
本発明に従う方法に使用される水性処方物及び好ましくは水溶液(liqur)を製造するために、合成、分離(単離)及び/又は精製に、ヒドロホビンを含んだ(ヒドロホビンの)水溶液を使用することが好ましい。これらは、なお、その純度に依存して、合成からの助剤(auxiliary)の残留分を含んでも良い。しかし、当然、物質として、例えば、フリーズ乾燥により最初にヒドロホビンを分離し、そして次の工程で初めてこれらを処方しても良い。
【0084】
本発明に従い使用される水性処方物中に要求されるヒドロホビンの濃度は、被覆されるべき表面の特性及び/又は意図された使用に従い、決定することができる。しかし、ヒドロホビンが比較的低い濃度であることも、意図された効果を達成するのに充分であると考えられる。
【0085】
本発明の1実施の形態では、本発明の方法は、少なくとも1種のヒドロホビンを1mg/l〜10g/l含む、少なくとも1種の水性処方物を使用する。
【0086】
本発明の1実施の形態では、本発明の方法で使用される水性処方物、及び特に水溶液は、そのpHが、3〜9の範囲であり、及び好ましくは4〜8の範囲である。
【0087】
本発明の1実施の形態では、被覆される繊維性基体が、ヒドロホビンと接触される前に前処理され、そしてこの後に初めて、ヒドロホビンと接触されることを含む。
【0088】
前処理(予備処理)の例は、水で数分間リンスすることであり、完全にイオン除去された水でリンスすることが好ましく、5分〜5時間の範囲の期間リンスすることがより好ましい。
【0089】
本発明の1実施の形態では、本発明に従い被覆される繊維性基体の表面を、少なくとも1種の活性物質を含む他の水性処方物で接触させて前処理することを含む。活性物質は、有機化学物質、例えば、アニオン性、カチオン性又は非イオン性洗浄剤、又は例えば、プロテアーゼ又はリパーゼ等の酵素から選ぶことができる。
【0090】
本発明の1実施の形態では、本発明に従う前処理を、本発明に従い被覆される繊維性基体を漂白する(bleaching)ことにより行うことを含む。この実施の形態は、被覆される繊維性基体がコットン又はコットン合成繊維ブレンドを含む場合に好ましい。
【0091】
本発明に従い使用される水性処方物は、更に、任意に、別の成分、例えば、添加剤及び/又は助剤を含んでも良い。このような成分の例は、酸又は塩基、例えば、カルボン酸、又はアンモニア、緩衝剤系、ポリマー、SiO2又はシリケート等の無機粒子、例えば染料等の着色剤、香水又は殺生物剤を含む。添加剤の更なる例は、DE−A10160993、特に段落「0074」〜「0131」に挙げられている。
【0092】
本発明の方法は、繊維性基体の被覆された表面、及び好ましくは被覆されたテキスタイル基体又は革を提供し、ここで、被覆(被膜)は、少なくとも1種のヒドロホビンを含んだ汚れ防止(soil-repellent)被覆を含む。
【0093】
被覆物(被膜)は、通常、被覆される表面上に、ヒドロホビンの少なくとも1種の単分子層(monomolecular layer)が含まれる。
【0094】
本発明に従い処理された繊維性基体表面(繊維性基体は、テキスタイル基体及び革から選ばれる)は、柔らかい手触りと視覚的な均一被覆が改良されるだけでなく、汚れ防止性も改良する。
【0095】
「汚れ」は、通常、公知の方法で、堅い(hard)表面が、固体及び/又は液体物質により、望ましくない汚れ(汚染)(汚れは、全ての種類を含む。)を受けることを意味している。汚れ(汚染物)の例は、脂肪、オイル、プロテイン、食品の残り物、ダスト又は土を含む。しかし、汚れは、例えば、水の硬度に由来する、水の乾燥後の「跡」等の石灰堆積物を含んでも良い。更なる例は、人用の洗浄及びケア組成物の残留物又は他に不溶性石灰石鹸(lime soap)の残留物であり、不溶性石灰石鹸は、水の硬度と結びついて、このような洗浄及びケア組成物から形成可能なもので、例えば、テキスタイル基体又は革等の繊維性基体の表面に堆積物を形成するものである。
【0096】
汚れ防止効果は、原則として公知の方法で測定可能であり、この公知の方法は、例えば、ヒドロホビンで処理されていない表面と、ヒドロホビンで処理されている表面とを、リンス(すすぐこと)して、「汚れ」の分離性を比較することにより行われる。
【0097】
本発明に従い使用される水性処方物は、例えば、1種以上のヒドロホビンを水及び/又は1種以上の上述した溶媒と混合させることにより製造可能である。所望により、更なる成分、例えば、添加剤及び/又は助剤を添加することが可能であり、この場合、ヒドロホビン及び水、所望により溶媒、及び所望により1種以上の更なる成分が加えられる順序は重要ではない。
【0098】
本発明に従う処方物は、通常、エピクロロヒドリン等の強アルキル化合物、又は例えばDMDHEU等の架橋剤を有しておらず、そして、分解することなく長期間、保存可能である。
【0099】
本発明は、更に、テキスタイル基体及び革から選択され、且つ本発明に従い上述した方法により被覆された繊維性基体を提供する。これら(繊維性基体)は、卓越した汚れ防止特性を有しているだけでなく、良好な洗浄性、及び摩擦強さ、及び快適な手感触をも有している。これらは、例えば、ベッディング、掛け布、及びカーテン等のホームテキスタイル、浴室及び衛生テキスタイル、及びテーブルクロスを製造するのに有用であり、及び、更に、例えば、雨おおい(awing)、テント、ボートカバー、トラック防水布、自動車の屋根(cabriolet roof)等のアウトドア部門用のテキスタイルを製造するのに有利であり、及び特に、靴、ジャケット、コート、ズボン、プルオーバー、ストッキング、ベルト等の衣服用品、及び又例えば、ベッディング、掛け布、及びカーテン等のホームテキスタイル、浴室及び衛生テキスタイル、及びテーブルクロスを製造するのに有用である。本発明に従い被覆される革は、ブーツ等の衣服用品を製造するために、及びまた、工業的に使用するための革製品(empty article)を製造するために有用である。
【0100】
以下に実施例を使用して本発明を説明する。
パートA
本発明に従い使用されるヒドロホビンの製造と試験
実施例1
yaad−His6/yaaE−His6のクローニングのための前処理
オリゴヌクレオチド Hal570及びHal571(Hal572/Hal573)の補助下に、ポリメラーゼ鎖反応を行った。使用したテンプレートDNAは、バクテリアバチルスサブチリスのゲノムのDNAであった。得られたPCR断片(フラグメント)は、バチルスサブチルスの遺伝子yaaD/yaaEのコード配列を含み、及び末端に、(各場合に)Ncol及びBgIII制限切断部位(restriction cleavage site)を含んでいた。このPCR部分を精製し、そして制限酵素Ncol及びBglllでカット(cut)した。このDNA部分は、「挿入(insert)」として使用され、そして、制限酵素Ncol及びBgIIIで、事前に直線化(直鎖化)されたベクターpQE60(Qiagen社より)内でクローン化された。このように得られたベクターpQE60YAAD#2/pQE60YaaE#5は、プロテイン(このプロテインは、YAAD::HIS6及びYAAE::HIS6で構成されている。)の発現に使用された。
【0101】
Hal570:gcgcgcccatggctcaaacaggtactga
Hal571:gcagatctccagccgcgttcttgcatac
Hal572:ggccatgggattaacaataggtgtactagg
Hal573:gcagatcttacaagtgccttttgcttatattcc
【0102】
実施例2
yaadヒドロホビンDewA−His6のクローン化
オリゴヌクレオチドKaM416及びKaM417でポリメラーゼ連鎖反応(chain reaction)を行った。使用したテンプレートDNAは、糸状菌アスペルギルスニドランス(Aspergilus nidulans)のゲノムのDNAであった。得られたPCRフラグメントは、ヒドロホビン遺伝子dewAのコード配列、及びN−末端ファクターXaプロテイナーゼ切断部位を含んでいた。このPCRフラグメントを精製し、そして制限エンドヌクレアーザ(endonucleases)BamHlでカットした。このDNAフラグメントは、「挿入」として使用され、そして、制限エンドヌクレアーザBgIIIで、事前に直線化(直鎖化)されたベクターpQE60YAAD#2内でクローン化された。
【0103】
このように得られたベクター#508は、融合プロテイン(この融合プロテインは、YAAD::Xa::dewA::HIS6で構成されている。)の発現に使用された。
【0104】
KaM416:GCAGCCCATCAGGGATCCCTCAGCCTTGGTACCAGCGC
KaM417:CCCGTAGCTAGTGGATCCATTGAAGGCCGCATGAAGTTCTCCGTCTCCGC
【0105】
実施例3
yaadヒドロホビンRodA−His6のクローン化(クローニング)
プラスミド#513を、オリゴヌクレオチドKaM434及びKaM435を使用して、プラスミド#508に類似してクローン化した。
【0106】
KaM434:GCTAAGCGGATCCATTGAAGGCCGCATGAAGTTCTCCATTGCTGC
KaM435:CCAATGGGGATCCGAGGATGGAGCCAAGGG
【0107】
実施例4
yaadヒドロホビンBASF1−His6のクローン化
プラスミド#507を、オリゴヌクレオチドKaM417及びKaM418を使用して、プラスミド#508に類似してクローン化した。テンプレートDNAは、人工的に合成したDNA配列ヒドロホビンBASF1であった(アッペンディックス参照)。
【0108】
KaM417:
CCCGTAGCTAGTGGATCCATTGAAGGCCGCATGAAGTTCTCCGTCTCCGC
KaM418:CTGCCATTCAGGGGATCCCATATGGAGGAGGGAGACAG
【0109】
実施例5
yaadヒドロホビンBASF2−His6のクローン化
プラスミド#506を、オリゴヌクレオチドKaM417及びKaM418を使用して、プラスミド#508に類似してクローン化した。テンプレートDNAは、人工的に合成したDNA配列ヒドロホビンBASF2であった(アッペンディックス参照)。
【0110】
KaM417:
CCCGTAGCTAGTGGATCCATTGAAGGCCGCATGAAGTTCTCCGTCTCCGC
KaM418:CTGCCATTCAGGGGATCCCATATGGAGGAGGGAGACAG
【0111】
実施例6
yaadヒドロホビンSC3−His6のクローン化
プラスミド#526を、オリゴヌクレオチドKaM464及びKaM465を使用して、プラスミド#508に類似してクローン化した。使用したテンプレートDNAは、Schyzophyllum commune cDNAであった(アッペンディックス参照)。
【0112】
KaM464:CGTTAAGGATCCGAGGATGTTGATGGGGGTGC
KaM465:GCTAACAGATCTATGTTCGCCCGTCTCCCCGTCGT
【0113】
実施例7
組換えE.coil菌株yaadヒドロホビンDewA−His6の発酵
15mlGreinerチューブにおける、yaadヒドロホビンDewA−His6発現Ecoil菌株を使用した、3mlのLB液体媒体の接種(植え付け)。200rpm、37℃で、シェーカー上で8時間にわたり培養。各場合、バッフル(baffle)が設けられた21l(21リットル)のErlenmeyerフラスコを使用し、そして、250mlのLB媒体(+100μ/ml アンピシリン(ampicillin))に、1mlの前培養(preculture)を接種し、そして、シェーカー上において、180rpm、37℃で9時間培養した。20lの発酵器(fermenter)において、13.5lのLB媒体(+100μg/ml アンピシリン(ampicillin))に、0.5lの前培養で接種した。〜3.5のOD60nmで、140mlの100mM IPTGを付加した。3時間後、発酵器を10℃にまで冷却し、そして、遠心分離により、発酵器のブロース(培養液)を除去した。
【0114】
実施例8
組換えヒドロホビン融合プロテインの精製(C末端His6tagを有する、ヒドロホビン−融合プロテインの精製)
100gのセルペレット(100〜500mgのヒドロホビン)を、50mMナトリウムホスフェート緩衝液(バッファー)、pH7.5で、合計体積が200mlとし、そして、懸濁させた。懸濁を、Ultraturrax type T25(Janke and Kunkel;IKA−Labortechnik)で10分間処理し、そして、次に、核酸を分解(degrade)するために、500単位のベンゾナーゼ(benzonase)(Merk,Darmstadt;order No.1.01697.0001)で、室温で1時間培養した。セル破壊の前に、ガラスカートリッジ(P1)を使用して、濾過を行った。セルの破壊と残っているゲノムDNAのせん断を目的として、1500バールでホモナイザー器(Microfluidizer M−110EH;Microfluidics Corp.)を2回作動させた。ホモジェネートを遠心分離(Sorvall RC−5B,GSA Rotor、250ml遠心ブレーカー、60分、4℃、12000rpm、23000g)し、上澄液(supernatant)を氷上に置き、そして、ペレットを100mlのナトリウムホスフェート緩衝液、pH7.5中に懸濁させた。遠心分離と懸濁を3回繰り返し、ここで、ナトリウムホスフェート環緩衝液は、3回目の繰り返し時に、1%SDSを含んでいた。再懸濁の後、この溶液を1時間攪拌させ、次に最終的な遠心分離を行った(Sorvall RC−5B,GSA Rotor,200ml遠心分離ブレーカー、60分、4℃、12000rpm、23000g)。SDS−PAGE分析に従い、ヒドロホビンは、最終的な遠心分離の後、上澄液中に存在した(図1)。実験から、ヒドロホビンは、おそらく、対応するE.coil中に、封入体(inclusion body)の状態で存在していると考えられる。50mlのヒドロホビン含上澄液を、50mlのnickel−Sepharose High Performance 17−5268−02カラム(Amersham)に導入し、これを、50mM Tris−Cl緩衝液、pH8.0と平衡させた。カラムを50mM Tris−Cl緩衝液、pH8.0で洗浄し、そして次に、ヒドロホビンを、200mlのイミダゾールを含む、50mM Tris−Cl緩衝液、pH8.0で溶出(elute)した。イミダゾールを除去するために、この溶液を、50mM Tris−Cl緩衝液、pH8.0に対して透析した。
【0115】
図1は、このように製造されたヒドロホビンHP1の精製を示している。
【0116】
レーン1: ニッケル−セファロース(nickel−Sepharose)カラム(1:10希釈)に供給した溶液
レーン2: 流通(Flow-through)=洗浄工程の溶出
レーン3〜5: 溶出(elution)部分のOD280ピーク
図1に示したヒドロホビンは、分子量が約53kDである。
【0117】
小さなバンドが、ヒドロホビンの分解生成物(減生生成物)を、部分的に示している。
【0118】
実施例9
技術試験;ガラス上での水滴の接触角度を変化させることによるヒドロホビンHP1の特徴付
基体(substrate)
ガラス(ウィンドウガラス、南ドイツガラス、マンハイム、ドイツ):
ヒドロホビン濃度:100mg/l
50mMナトリウムアセテート(pH4)+0.1質量%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノロレート(sorbitan monolaurate)(水中)中で、15時間(温度80℃)、ガラス板について培養、次に、被覆、蒸留水での洗浄、
次に、培養:10分/80℃/1質量%の水性ナトリウムn−ドデシルスルフェート溶液(SDS)、蒸留水での洗浄。
【0119】
このように得られた試料は、空気乾燥(室温)されて、そして室温で、5μlの水滴の接触角(度)の測定に付された。
【0120】
接触角度の測定は、Dataphysics Contact Angle System OCA15+,Software SCA20.2.0.(2002年11月)で行った。測定は、製造者の指導に従い行われた。
【0121】
未処理のガラスは、接触角度が30±5°であり;実施例8の機能性(官能性:functional)ヒドロホビン(yaad−dewA−his6)での被覆では、接触角度が67±5°であった。
【0122】
パートB
繊維性基体の表面を被覆するためのヒドロホビンHP1の使用
実施例8に記載したように製造したヒドロホビン(溶融プロテイン)HP1(yaad−Xa−dewA−his)(SEQ ID NO:19)の溶液を使用試験に使用した。溶液中、ヒドロホビンHP1の濃度:100mg/l(0.02質量%)。
B.1 テキスタイル基体の、本発明による被覆
ホワイト織ポリエステルファブリック、ベース質量226g/m2を、最初に、完全にイオン除去された水で、45分間すすぎ、そして次に、水中0.02質量%のHP1の水溶液中に浸し、そして80℃で17時間、処理した。この後、このように処理したポリエステルファブリックを、完全にイオン除去した水で1分間すすぎ、そして室温で乾燥させて、処理された、本発明に従う基体PES−HP1を得た。この基体は、非常に心地よい手感触を有していた。
【0123】
B.2 テキスタイル基体の、本発明による被覆
処理を、80℃ではなく、室温で行ったこと以外は、B.1を繰り返した。それぞれが処理された基体PES−HP2を得た。この基体は、非常に心地よい手感触を有していた。
【0124】
使用した「汚れ(soil)」
試験のために、「汚れ」として以下のものを使用した:
トリオレイン
口紅
使用済エンジンオイル
それぞれが処理された基体PES−HP1を複数、それぞれ、上述した「汚れ」で18時間、汚した(「汚れ」は、dm2当たり約0.1g使用)。
【0125】
試験洗浄剤の製造、及び本発明に従うPES−HP1の洗浄
以下のものを一緒に混合した:
5gのナトリウムn−ドセシルベンゼンスルホネート
5gのC13−C15オキソプロセスアルコール混合物(この混合物は、平均7等量のエチレンオキシド/モルでエトキシル化されている。)
5.8gの、(アクリル酸(70質量%)とマレイン酸(30質量%)のランダムコポリマーの)40質量%の水溶液、NaOHで中和、pH7.9、Mw70000g/モルで中和。
【0126】
1.4gの凝乳状石鹸
1.2gのTylose CR1500pカルボキシメチルセルロース
14gのNa2CO3
30gのゼオライトA
21gのナトリウムペルボレートテトラヒドレート
6gのテトラナトリウムエチレンジアミンテトラアセテート
3.6gのナトリウムメタシリケートペンタヒドレート
7gのNa2SO4
これにより、洗浄剤1を得た。
【0127】
本発明に従い処理され、そしてその後に「汚れ」を付けられたPES−HP1を洗浄した。この洗浄は、タイプLaunder−O−Meter(Atlas,USA)の洗浄器内で行った。そして、この洗浄は、3回の予備洗浄サイクルと1回のメイン洗浄サイクルを使用して行った。硬度が3mmol(Ca:Mg:HCO3 4:1:8)の水を使用した(溶液比(liquor ratio)12.5:1、4.5gの試験洗浄剤の添加 1/l、水温40℃)。合計洗浄時間:30分。
【0128】
トリオレイン及びエンジンオイルの「汚れ」は、完全に除去され、口紅の残留物は、非常に僅かなもので、そして、拡大鏡を使用して初めて確認可能であった。
【0129】
表1
配列ネームのDNAへの割当及び配列リスト中のポリペプチド配列
【0130】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】ヒドロホビンHP1の精製を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テキスタイル基体及び革から選ばれる繊維性基体を、少なくとも1種のヒドロホビンを使用して被覆する方法。
【請求項2】
少なくとも1種のヒドロホビンを含む、少なくとも1種の水性処方物に、繊維性材料を接触させることにより行なわれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
パッドマングルを使用して行なわれることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
1mg/l〜10g/lの範囲で、少なくとも1種のヒドロホビンを含む、少なくとも1種の水性処方物を使用することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記繊維性基体を前処理した後にヒドロホビンと接触させることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記繊維性基体をヒドロホビンと接触させた後に、20℃〜120℃の範囲の温度で乾燥させることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の方法に従い被覆された繊維性基体。
【請求項8】
少なくとも請求項7に記載の繊維性基体を使用して製造された、衣服又は工業的に使用されるためのガーメント、ホームテキスタイル、工業用テキスタイル、革製品。
【請求項9】
テキスタイル基体及び革から選ばれる繊維性基体の表面を被覆するために、ヒドロホビンを使用する方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−545895(P2008−545895A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515193(P2008−515193)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062785
【国際公開番号】WO2006/131478
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】