説明

繊維結合体又はその製造方法

【課題】 強度や靱性などがより改善された繊維結合体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 ポリシラン又はその加熱反応物に金属元素を含有する化合物を添加し、不活性ガス中で加熱反応して金属元素含有有機ケイ素重合体を調製し、前記金属元素含有有機ケイ素重合体から紡糸繊維を調製し、前記紡糸繊維を酸素含有ガス中において加熱処理して不融化繊維を調製し、前記不融化繊維を不活性ガス中で加熱処理することにより無機化繊維を作製し、複数の前記無機化繊維と複数の前記強化繊維又はその束とを混合して予備形状物を作製し、前記予備形状物を型内に仕込み、不活性ガス等のガス中で高温加圧処理することにより、強度や靱性などがより改善された繊維結合体を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円柱状の断面形状が多角形状に変形し得る変形繊維及び強化繊維を含んで構成される繊維結合体又はその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、ガスタービン等の高温構造材料への適用を目的として、割れにくいセラミックス材料の開発がなされており、近年、耐熱衝撃性、高温下での強度特性、相安定性、及び耐酸化性に優れ、セラミックス材料の欠点である脆さが改善された焼結SiC繊維結合体が報告されている(特許文献1参照)。この焼結SiC繊維結合体は、繊維同士が炭素を主成分とする境界層を介してほぼ最密に充填・結合した組織を有し、この結合体を構成する無機化繊維は、型内に仕込んで高温加圧することにより、円形状の断面が多角形状に変形することが知られている。
【特許文献1】特開平11−92227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のように、焼結SiC繊維結合体は優れた特性を有する材料であるが、材料の信頼性を向上させ、実機の適用を図るために、強度や靱性などがさらに改善された材料の開発が求められている。
【0004】
そこで、本発明は、強度や靱性などがより改善された繊維結合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らの研究により、上述の焼結SiC繊維結合体は、断面が円形状から多角形状に変形した変形繊維を有するので、欠陥(亀裂)部で変形繊維が架橋したり、変形繊維が欠陥部から引き抜けたりする際に、変形繊維が有する角に応力が集中して繊維の破壊を助長し、焼結SiC繊維結合体の強度発現を制約しているのではないかと考えられた。
【0006】
以上のことから、本発明者らは、変形繊維と、断面形状が変形し難い円形断面状の強化繊維と、を混合することにより、応力集中源となる変形繊維の角の数を強化繊維を混合しない場合に比べて相対的に少なくして、繊維結合体の強度を高めることができるのではないかと考え、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明に係る製造方法は、複数の、断面形状が多角形に変形し得る変形繊維と、複数の、円形断面状の強化繊維又はその束とを含む繊維結合体の製造方法であって、ケイ素原子に対する炭素原子の割合がモル比で1.5以上であるポリシラン又はその加熱反応物に、2A族、3A族、及び3B族からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有する化合物を添加し、不活性ガス中、加熱反応して金属元素含有有機ケイ素重合体を調製する第1の工程と、前記金属元素含有有機ケイ素重合体を溶融紡糸又は乾式紡糸することにより紡糸繊維を調製する第2の工程と、前記紡糸繊維を酸素含有ガス中において、50〜170℃の範囲内の温度で加熱して不融化繊維を調製する第3の工程と、前記不融化繊維を不活性ガス中で加熱処理することにより無機化して無機化繊維を作製する第4の工程と、複数の前記無機化繊維と複数の前記強化繊維又はその束とを混合して予備形状物を作製する第5の工程と、前記予備形状物を型内に仕込み、真空、あるいは、不活性ガス、還元ガス、及び炭化水素ガスからなる群から選ばれる少なくとも1種からなるガス中で、1700〜2200℃の範囲内の温度で加圧する第6の工程と、を含む。なお、本発明に係る製造方法は、前記第3の工程後に、複数の前記不融化繊維と複数の前記強化繊維又はその束とを混合して予備形状物を作製する第4の工程と、前記予備形状物を型内に仕込み、不活性ガス中で加熱処理することにより前記予備形状物中の不融化繊維を無機化した後、真空、あるいは、不活性ガス、還元ガス、及び炭化水素ガスからなる群から選ばれる少なくとも1種からなるガス中で、1700〜2200℃の範囲内の温度で加圧する第5の工程と、を含むこととしてもよい。前記強化繊維の束は、予めSiC前駆体樹脂又はセラミックスゾルに含浸することが望ましい。
【0008】
また、本発明に係る繊維結合体は、実質的に最密充填構造で、複数の、円柱状の断面形状が多角形状に変形した変形繊維と、複数の、円形断面状の強化繊維又はその束とが結合した繊維結合体であって、前記変形繊維は、2A族、3A族、及び3B族からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有し、主としてSiCの焼結構造からなる無機繊維であり、前記変形繊維の表面に炭素を主成分とする境界層が形成されていることを特徴とする。
【0009】
なお、前記予備形状物中の前記強化繊維同士は、相互に離間するように構成されていることが好ましい。また、前記強化繊維は、当該繊維の表面に滑り層を有することが好ましい。前記強化繊維としては、例えば、セラミックス繊維、炭素繊維、及び高融点金属製の繊維からなる群から選ばれる1又は2以上の繊維であることが好ましい。さらに、前記予備形状物は、複数の前記無機化繊維又は不融化繊維と、複数の前記強化繊維又はその束とが、1方向に引き揃えられているもの、あるいは、織り込まれているものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、強度や靱性などがより改善された繊維結合体及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、好ましい実施の形態につき、図面を用いて詳細に説明する。
本発明に係る繊維結合体は、実質的に、複数の変形繊維と複数の強化繊維又はその束とが最密充填構造で結合しており、前記変形繊維の表面には炭素を主成分とする境界層が形成されていることを特徴とする。このように、繊維結合体に強化繊維を含ませることにより、従来の焼結SiC繊維結合体に比べ、優れた強度及び靱性を得ることが可能となる。また、本発明に係る繊維結合体は、変形繊維の表面に炭素を主成分とする境界層が形成されていることから、破壊時に滑り層として働き、変形繊維がクラックを架橋したり繊維結合体から引抜けたりすることで材料が即時破断することを抑制することが可能となる。
【0012】
前記変形繊維としては、金属を含み、主としてSiCの焼結構造からなる無機化繊維であって、断面形状が円形から多角形に変形するものであればどのようなものでもよいが、55〜70重量%のSiと、30〜45重量%のCと、0.05〜4.0重量%(好ましくは、0.1〜2.0%重量%)の金属とが含まれているものが好ましい。前記金属としては、2A族(例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Raなど)、3A族(例えば、Sc、Y、La、Ceなど)、及び3B族(例えば、B、Al、Ga、In、Tlなど)からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属であれば特に制限されるものではないが、SiCの焼結助剤として知られており、有機ケイ素ポリマーのSi−H結合と反応し得るキレート化合物やアルコキシド化合物が存在する、Be、Mg、Y、Ce、B、Al等であることが好ましい。
【0013】
また、前記強化繊維としては、型内で高温加圧しても断面形状が変形し難い円形断面形状の繊維であれば特に制限されるものではないが、例えば、炭素繊維、セラミックス繊維(例えば、Si-C 、Si-Ti-C-O、Si-Zr-C-O、Si-Al-C-O、Si-C-O、Si-C-O-B、Si-C-N等の炭化物系セラミックス繊維、Al2O3等の酸化物系セラミックス繊維、Si3N4等の窒化物系セラミックス繊維など)、高融点金属製繊維(例えば、MoやW等からなる繊維)などを用いることができる。
【0014】
なお、前記強化繊維は、表面に炭素、窒化ホウ素等によって形成された滑り層、または炭素、窒化ホウ素等の物質と耐酸化性の優れる炭化ケイ素等を層状に形成された滑り層を有することが好ましい。このように強化繊維に滑り層を形成させることにより、破壊時に、前記強化繊維がクラックを架橋したり繊維結合体から引抜けたりすることを助長して前記変形繊維からなる繊維結合体の場合に比べて材料が即時破断することをさらに抑制することが可能となる。前記滑り層は、強化繊維の表面に炭素、窒化ホウ素等の滑り層形成物質を用いて化学的気相蒸着(CVD)法により形成することとしてもよいが、滑り層形成物質を溶媒中に分散させたスラリー中に強化繊維を浸すことにより、強化繊維の表面に滑り層形成物質を付着させて形成することとしてもよい。
【0015】
本発明においては、強化繊維同士の接触を防止するために、前記強化繊維同士が相互に離間するように構成されている繊維結合体が好ましい。また、強化繊維の代わりに強化繊維の束を用いる場合には、その束中の強化繊維同士が接触しないように相互に離間して構成されていることが好ましい。このように、強化繊維同士の接触を防止することにより、強化繊維の表面に対する損傷の発生を防止することが可能になる。なお、強化繊維同士が接触しないように相互に離間して構成された強化繊維の束は、例えば、ポリビニルシラン、ポリメチルシラン、ポリジメチルシラン等の公知のSiC前駆体樹脂溶液やセラミックスゾルに含浸させた後、加圧熱処理することにより製造することができる。
【0016】
また、本発明においては、強度が最も優れている点で、図1に示すような、前記強化繊維2同士が接触しない範囲内で多くの前記強化繊維2と前記変形繊維1とが含まれている繊維結合体10や、図2に示すような、強化繊維2同士が接触しないように構成された強化繊維の束3と、変形繊維1とが含まれている繊維結合体10が最も好ましい。
【0017】
なお、上述においては、複数の変形繊維と複数の強化繊維又はその束とが1方向に引き揃えられた繊維結合体について説明したが、複数の変形繊維と複数の強化繊維又はその束とが多次元に織り込まれた繊維結合体であっても構わない。
【0018】
以下、本発明に係る結合繊維体の製造方法について説明する。上述のような結合繊維体は、例えば、ケイ素原子に対する炭素原子の割合がモル比で1.5以上であるポリシラン又はその加熱反応物に、2A族、3A族、及び3B族からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有する化合物を添加し、不活性ガス中、加熱反応して金属元素含有有機ケイ素重合体を調製し、前記金属元素含有有機ケイ素重合体を溶融紡糸又は乾式紡糸することにより紡糸繊維を調製し、前記紡糸繊維を酸素含有ガス中において、50〜170℃の範囲内の温度で加熱して不融化繊維を調製し、前記不融化繊維を不活性ガス中で予め無機化して無機化繊維を作製し、複数の前記無機化繊維と複数の前記強化繊維とを混合して予備形状物を作製し、前記予備形状物を型内に仕込み、真空、あるいは、不活性ガス、還元ガス、及び炭化水素ガスからなる群から選ばれる少なくとも1種からなるガス中で、1700〜2200℃の範囲内の温度で加圧することにより製造することができる。また、複数の前記不融化繊維と複数の前記強化繊維又はその束とを混合して予備形状物を作製した後、前記予備形状物を型内に仕込み、真空、あるいは、不活性ガス、還元ガス、及び炭化水素ガスからなる群から選ばれる少なくとも1種からなるガス中で無機化し、更にそのまま1700〜2200℃の範囲内の温度で加圧することにより製造することもできる。
【0019】
ここで、前記金属元素含有有機ケイ素重合体の調製において用いられるポリシランとしては、例えば、数平均分子量が300〜1000の鎖状又は環状の重合体を挙げることができる。前記ポリシランのケイ素の側鎖としては、例えば、水素原子、低級アルキル基、アリール基、フェニル基、シリル基などであっても構わないが、変形繊維の表面に境界炭素層を形成させるために、いずれのポリシランもケイ素原子に対する炭素原子の割合がモル比で1.5以上であることが必要である。なお、前記ポリシランは、上記の鎖状又は環状のポリシランを加熱して得られる、ポリシラン結合単位に加えて一部にカルボシラン結合を含む有機ケイ素重合体であっても構わない。
【0020】
また、前記金属元素含有有機ケイ素重合体の調製において用いられる金属元素を含有する化合物としては、上述の2A族、3A族、及び3B族からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むものであって、ポリシラン或いはその加熱反応物によって生成される有機ケイ素ポリマー中のSi−H結合と反応して、各金属元素がSiと直接あるいは他の元素を介して結合するものであればどのようなものでもよく、例えば、前記金属元素を有するアルコキシド、アセチルアセトキシド化合物、カルボニル化合物、シクロペンタジエニル化合物等を用いることができ、より具体的には、ベリリウムアセチルアセトナート、マグネシウムアセチルアセトナート、イットリウムアセチルアセトナート、セリウムアセチルアセトナート、ほう酸ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート等を挙げることができる。
【0021】
なお、前記金属元素含有有機ケイ素重合体の調製は、上述のポリシラン又はその加熱反応物に、上述の金属元素を含有する化合物を添加し、不活性ガス中で250〜350℃の範囲の温度で1〜10時間加熱反応することにより行うことができる。以上のようにして得られる金属含有有機ケイ素重合体は、ポリシランのケイ素原子の少なくとも一部が、金属原子と酸素原子を介してあるいは介さずに結合された構造を有する、橋かけ重合体となる。
【0022】
前記紡糸繊維の調製は、上述のように、前記金属元素含有有機ケイ素重合体を溶融紡糸することにより行ってもよいし、前記金属元素含有有機ケイ素重合体を有機溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)に溶解した後、乾式紡糸することにより行ってもよい。
【0023】
前記紡糸繊維から不融化繊維を調製する処理は、紡糸繊維を構成するポリマー間に酸素原子による橋かけ点を形成させ、後述する無機化処理において不融化繊維が溶融せず、かつ隣接する繊維同士が融着しないようにするために行う。この処理において用いる酸素含有ガスとしては、例えば、空気、酸素、オゾン等を挙げることができる。
【0024】
前記不融化繊維の無機化処理は、連続式又は回分式で、不融化繊維をアルゴン、窒素、空気等の不活性ガス中で、1000〜1700℃の範囲内の温度で加熱処理することにより行うことができる。ここで、無機化処理する不融化繊維としては、8〜16重量%の酸素を含有するものが好ましい。このように不融化繊維に酸素を含有することにより、無機化された繊維中に存在する余剰炭素をCO又はCOガスとして離脱することができるようになる。なお、酸素の含有量が8重量%より少ない場合は、無機化繊維中の余剰炭素が必要以上に残存し、昇温過程においてSiC結晶の回りに偏析して安定化するためSiCの焼結を阻害し、また、16重量%よりも多い場合は、無機化繊維中の余剰炭素が完全に脱離して繊維間の境界炭素層が生成しないので、材料の力学的特性に悪影響を及ぼすものと考えられる。
【0025】
なお、前記不融化繊維は、無機化処理する前に予め不活性ガス中で150〜800℃で加熱処理することが望ましい。これにより、繊維への酸素の取り込みを防止しつつ、繊維を構成するポリマーの橋かけ反応をより進行させ、前駆体金属重合体からの不融化繊維の優れた伸びを維持しつつ、強度をより向上させることができる。従って、無機化処理を効率よく安定に行うことが可能となる。
【0026】
前記予備形状物は、本発明に係る結合繊維体を得ることができるように、強化繊維又はその束と、無機化繊維又は不融化繊維とを混合したものである。
【0027】
以上のようにして、本発明に係る繊維結合体を製造することができる。なお、本実施の形態においては、滑り層形成物質を用いて化学的気相蒸着法等によって強化繊維の表面に滑り層を形成させることとしているが、予備形状物の加熱反応において強化繊維から発生した炭素により当該繊維表面に滑り層を形成させることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施の形態の一例として説明する、強化繊維2と変形繊維1とを含む繊維結合体の構成を示す図である。
【図2】本実施の形態の一例として説明する、強化繊維の束3と変形繊維1とを含む繊維結合体の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
1 変形繊維
2 強化繊維
3 強化繊維の束
10 繊維結合体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の、断面形状が多角形に変形し得る変形繊維と、複数の、円形断面状の強化繊維又はその束とを含む繊維結合体の製造方法であって、
ケイ素原子に対する炭素原子の割合がモル比で1.5以上であるポリシラン又はその加熱反応物に、2A族、3A族、及び3B族からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有する化合物を添加し、不活性ガス中、加熱反応して金属元素含有有機ケイ素重合体を調製する第1の工程と、
前記金属元素含有有機ケイ素重合体を溶融紡糸又は乾式紡糸することにより紡糸繊維を調製する第2の工程と、
前記紡糸繊維を酸素含有ガス中において、50〜170℃の範囲内の温度で加熱して不融化繊維を調製する第3の工程と、
前記不融化繊維を不活性ガス中で加熱処理することにより無機化して無機化繊維を作製する第4の工程と、
複数の前記無機化繊維と複数の前記強化繊維又はその束とを混合して予備形状物を作製する第5の工程と、
前記予備形状物を型内に仕込み、真空、あるいは、不活性ガス、還元ガス、及び炭化水素ガスからなる群から選ばれる少なくとも1種からなるガス中で、1700〜2200℃の範囲内の温度で加圧する第6の工程と、
を含むことを特徴とする繊維結合体の製造方法。
【請求項2】
複数の、断面形状が多角形に変形し得る変形繊維と、複数の、円形断面状の強化繊維又はその束とを含む繊維結合体の製造方法であって、
ケイ素原子に対する炭素原子の割合がモル比で1.5以上であるポリシラン又はその加熱反応物に、2A族、3A族、及び3B族からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有する化合物を添加し、不活性ガス中、加熱反応して金属元素含有有機ケイ素重合体を調製する第1の工程と、
前記金属元素含有有機ケイ素重合体を溶融紡糸又は乾式紡糸することにより紡糸繊維を調製する第2の工程と、
前記紡糸繊維を酸素含有ガス中において、50〜170℃の範囲内の温度で加熱して不融化繊維を調製する第3の工程と、
複数の前記不融化繊維と複数の前記強化繊維又はその束とを混合して予備形状物を作製する第4の工程と、
前記予備形状物を型内に仕込み、不活性ガス中で加熱処理することにより前記予備形状物中の不融化繊維を無機化した後、真空、あるいは、不活性ガス、還元ガス、及び炭化水素ガスからなる群から選ばれる少なくとも1種からなるガス中で、1700〜2200℃の範囲内の温度で加圧する第5の工程と、
を含むことを特徴とする繊維結合体の製造方法。
【請求項3】
前記予備形状物中の前記強化繊維同士が相互に離間するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維結合体の製造方法。
【請求項4】
前記強化繊維の束を予めSiC前駆体樹脂又はセラミックスゾルに含浸することを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維結合体の製造方法。
【請求項5】
前記強化繊維が、当該繊維の表面に滑り層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維結合体の製造方法。
【請求項6】
前記強化繊維は、セラミックス繊維、炭素繊維、及び高融点金属製の繊維からなる群から選ばれる1又は2以上の繊維であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の繊維結合体の製造方法。
【請求項7】
前記予備形状物は、複数の前記無機化繊維又は不融化繊維と、複数の前記強化繊維又はその束とが、1方向に引き揃えられていること、あるいは、織り込まれていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の繊維結合体の製造方法。
【請求項8】
実質的に最密充填構造で、複数の、円柱状の断面形状が多角形状に変形した変形繊維と、複数の、円形断面状の強化繊維又はその束とが結合した繊維結合体であって、
前記変形繊維は、2A族、3A族、及び3B族からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有し、主としてSiCの焼結構造からなる無機繊維であり、
前記変形繊維の表面に炭素を主成分とする境界層が形成されていることを特徴とする繊維結合体。
【請求項9】
前記強化繊維同士が相互に離間するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の繊維結合体。
【請求項10】
前記強化繊維の束中の個々の強化繊維間に、SiC前駆体樹脂又はセラミックスゾルを無機化することによって得られる無機物が存在することを特徴とする請求項8に記載の繊維結合体。
【請求項11】
前記強化繊維が、当該繊維の表面に滑り層を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の繊維結合体。
【請求項12】
前記強化繊維は、セラミックス繊維、炭素繊維、及び高融点金属製の繊維からなる群から選ばれる1又は2以上の繊維であることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の繊維結合体の製造方法。
【請求項13】
複数の前記変形繊維と、複数の前記強化繊維又はその束とが、1方向に引き揃えられていること、あるいは、織り込まれていることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の繊維結合体。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−31186(P2007−31186A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−214222(P2005−214222)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】