説明

繊維製品用液体処理剤組成物及び繊維製品処理方法

【課題】消臭効果に優れ、しかも組成物中における金属酸化物粒子の分散安定性が改善された繊維製品用液体処理剤組成物及び繊維製品の処理方法を提供すること。
【解決手段】(A)平均粒子径が0.1nm以上〜1000nm未満の金属酸化物粒子であって、物理的消臭作用と化学的消臭作用を併有する少なくとも1種の金属酸化物粒子、
(B)カチオン性を有する高分子、及び
(C)HLB値が6〜16である、高級アルコール又は高級アルキルアミン又は高級脂肪酸のアルキレンオキシド付加物を含有することを特徴とする繊維製品用液体処理剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の繊維製品の消臭効果に優れ、且つ組成物中における金属酸化物粒子の分散安定性を改善した繊維製品用液体処理剤組成物及び繊維製品の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属酸化物を用いた消臭技術としては、酸化マグネシウム等の物質吸着を利用した消臭(物理的消臭作用)と酸化チタン等の光触媒作用を利用した消臭(化学的消臭作用)が報告されている。物理的消臭技術は、主に制汗剤などの化粧品分野で利用されることが多いが、繊維製品分野でも、酸化亜鉛と二酸化ケイ素等の機能性粒子を水中である一定の大きさ以上に、すなわち0.1mm以上に顆粒化凝集させて調製される基剤を配合した消臭組成物が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、化学的消臭技術は、繊維製品分野でも利用されている。光触媒作用について最も研究がなされている酸化チタンは、特にエネルギーの高い短波長側の紫外線UV−B(290〜320nm)を吸収して光触媒作用を奏するため悪臭や汚れの分解力は高い。しかしながら、紫外線を照射することにより繊維を劣化するおそれがある。この問題を解決すべく、粘土系鉱物やアルミノ珪酸塩などの層状物質や多孔質物質に光触媒を含浸させた化合物の繊維処理剤(例えば、特許文献2、3参照)、洗浄剤(例えば、特許文献4参照)が報告されている。ところが、得られる繊維処理剤及び洗浄剤の粒径がマイクロメートルオーダーとなるため、繊維製品に組成物が残留し、濃色の繊維製品は白化のおそれがある。
【0004】
また、物理的消臭技術を利用した組成物では悪臭の吸着に限界があり、化学的消臭技術を利用した組成物では光触媒の効果は日光(紫外線)があたり続ける限り悪臭の分解は行われるが、一般的に悪臭が付着した繊維製品に必ずしも日光(紫外線)が照射されるとは限らない。
【0005】
また、金属酸化物粒子とポリエーテル化合物を含有する繊維製品用液状消臭剤組成物(特許文献5)として、酸化亜鉛/ポリエーテル変性シリコーン(HLB5)/カチオン性高分子/POEアルキルエーテル(トリデシルアルコールのEO40モル付加体、HLB18)の併用系や、酸化チタン/酸化マグネシウム/ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(EO20モル付加体、HLB9)/カチオン性高分子/POEアルキルエーテル(トリデシルアルコールのEO40モル付加体、HLB18)から成る組成物が提案されているが、いずれも金属酸化物粒子の分散安定性を保証していない。
一方、金属酸化物粒子とカチオン界面活性剤混合物を含有する繊維製品用液状仕上げ剤組成物(特許文献6)、衣類洗濯用黄ばみ防止剤(特許文献7)、織物材料をUV保護加工する方法(特許文献8)、洗浄剤(特許文献9)、繊維製品処理剤組成物、洗剤組成物及び繊維製品処理方法(特許文献10)等が報告されているが、いずれもカチオン性物質による金属酸化物粒子の分散安定性向上効果を述べてはいない。また、ポリエーテル基を有するシリコーン化合物とカチオン性を有する水溶性高分子化合物を特定の比率で併用し、さらにシリカ微粒子を用いる透明又は半透明な液体柔軟剤組成物(特許文献11)も開示されているが、消臭効果は不十分であった。
【0006】
【特許文献1】特開2001−198202号公報 請求項1
【特許文献2】特開2000−355872号公報 段落0025
【特許文献3】特開2001−303434号公報 実施例1
【特許文献4】特開2002−12891号公報
【特許文献5】特開2005−207002号公報
【特許文献6】特開2006−63499号公報
【特許文献7】特開2003−176495号公報
【特許文献8】特表2004−528486号公報
【特許文献9】特開2005−82708号公報
【特許文献10】特開2005−154921号公報
【特許文献11】特開2006−77336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、消臭効果に優れ、しかも組成物中における金属酸化物粒子の分散安定性が改善された繊維製品用液体処理剤組成物及び繊維製品の処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(A)平均粒子径が0.1nm以上〜1000nm未満の金属酸化物粒子であって、物理的消臭作用と化学的消臭作用を併有する少なくとも1種の金属酸化物粒子、及び(B)カチオン性を有する水溶性高分子、及び(C)HLB値が6〜16である高級アルコール又は高級アルキルアミン又は高級脂肪酸のアルキレンオキシド付加物を含有することを特徴とする繊維製品用液体処理剤組成物を提供する。
本発明はまた、(A)平均粒子径が0.1nm以上〜1000nm未満の金属酸化物粒子であって、物理的消臭作用と化学的消臭作用を併有する少なくとも1種の金属酸化物粒子、及び(B)カチオン性を有する水溶性高分子、及び(C)HLB値が6〜16である高級アルコール又は高級アルキルアミン又は高級脂肪酸のアルキレンオキシド付加物を含有する処理液を用いて繊維製品を処理することを特徴とする繊維製品の処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の繊維製品用液体処理剤組成物及び繊維製品の処理方法は、優れた消臭効果と改善された分散安定性を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(A)金属酸化物粒子
本発明で用いることのできる(A)金属酸化物粒子としては、物理的消臭作用を有するものとして、(a−1)酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び酸化カルシウム等、化学的消臭作用を有するものとして、(a−2)酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化ビスマス及び酸化インジウム等があげられる。これらを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。併用する場合、(a−1)の群から選ばれる1種以上と、(a−2)の群から選ばれる1種以上とを組み合わせて使用するのが好ましい。特に、酸化亜鉛を単独で使用する場合、酸化マグネシウムと酸化チタンとを組み合わせて使用する場合に高い消臭効果が得られるので好ましい。酸化亜鉛を単独で使用するのが最も好ましい。(a−1)の群から選ばれる1種以上と、(a−2)の群から選ばれる1種以上とを組み合わせて使用する場合、(a−1)の群の合計と(a−2)の群の合計との比((a−1)/(a−2))が、質量比にして、下限値は10/90以上、より好ましくは20/80以上、特に好ましくは40/60以上であって、上限値は90/10以下、より好ましくは80/20以下、特に好ましくは60/40以下であることが好ましい。
【0011】
本発明で用いることのできる金属酸化物粒子は、電子顕微鏡により観察した平均的な粒子サイズ(以下、平均粒子径と記す)が、下限値は0.1nm以上、好ましくは0.2nm以上、より好ましくは0.5nm以上、特に好ましくは1nm以上、さらに特に好ましくは10nm以上であって、上限値は1000nm未満、好ましくは500nm未満、より好ましくは300nm未満、特に好ましくは200nm未満であることが好ましい。平均粒子径がこのような範囲内にあると、金属酸化物粒子同士が組成物中で凝集するのを抑制することができ、繊維製品表面に対する吸着力が向上するので好ましい。
【0012】
上記金属酸化物の平均粒子径は、金属酸化物粒子を回転数10000rpm以上の回転が可能なホモジナイザーを用いて99容量%以上のエタノール溶液中で分散し、試料台の上で風乾した後、数十万倍の倍率で使用可能な走査型電子顕微鏡により測定することができる。より詳細には、試料5gに99.5容量%エタノール200mLを加え、ハイドルフ社製パワフルホモジナイザーDIAX900(シャフトジェネレーター18F)を用いて、回転数10000rpmで5分間攪拌分散させた後、直ちに、試料台に数滴垂らして風乾する。風乾後の試料を白金パラジウム、好ましくは、白金で蒸着し、日立製走査透過電子顕微鏡装置H−8010を用いて、10万倍の倍率で平均粒子径を測定する。5万倍の場合20個、10万倍の場合10個の粒子の粒径を測定し、その平均値を求める。ただし、粒子径が10nm未満であれば電子顕微鏡の倍率を上げ、100nmを超える場合は倍率を下げて測定することが望ましい。尚、本発明で用いる金属酸化物粒子を、後述するように表面処理して用いる場合、平均粒子径は、表面処理後の粒子径を意味する。
【0013】
本発明で用いることのできる金属酸化物粒子は、物理的消臭作用と化学的消臭作用とを併有するものである。ここで、物理的消臭作用とは、金属酸化物へ悪臭物質を、ファンデルワールス力、水素結合等で吸着させることにより消臭する作用をいう。化学的消臭作用とは、金属酸化物の光触媒作用により悪臭物質を分解することにより消臭する作用をいう。本発明では、物理的消臭作用と化学的消臭作用は、以下のように定義される。
【0014】
物理的消臭作用
物理的消臭作用は、以下の方法により測定することができる。すなわち、合成繊維類の布0.1gに、金属酸化物粒子を99.5容量%エタノールに分散して得られた0.1%溶液を0.05%owf付着させて、室温25℃、湿度65%RHの室内で12時間乾燥したものを評価布とする。金属酸化物分散液はそのまま0.05%owf付着させる。また、金属酸化物粒子を付着させていないこと以外は同条件で準備した布をブランク布とする。評価布及びブランク布をそれぞれ20mLのバイヤル瓶に入れ、各バイヤルの容積に対して悪臭物質0.1ppm相当を添加後、密栓して40℃で遮光しながら1時間静置し、そのヘッドスペースの悪臭物質をGC−MSにて測定する。
【0015】
化学的消臭作用
化学的消臭作用は、以下の方法により測定することができる。すなわち、既述のようにして準備した評価布及びブランク布をそれぞれ20mLのバイヤル瓶に入れ、該バイヤルの容積に対して悪臭物質0.1ppm相当を添加後、密栓して40℃で2mW/cm2の紫外線を照射しながら1時間静置し、そのヘッドスペースの悪臭物質をGC−MSにて測定する。
【0016】
消臭率の算出
上記の物理的消臭作用および化学的消臭作用において測定したトータルイオンガスクロマトグラムからm/Z=60のマスクロマトグラムのピークエリアより、以下の計算式(1)から消臭率を求める。
【0017】
消臭率(%)=100−(評価布のピークエリア)×100/(ブランク布のピークエリア) …式(1)
【0018】
本発明に用いることのできる(a)成分の金属酸化物粒子は、悪臭に対する物理的消臭作用の消臭率が30%以上であり、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であるのが好ましい。
【0019】
本発明に用いることのできる(a)成分の金属酸化物粒子は、悪臭に対する化学的消臭作用の消臭率が50%以上であり、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であるのが好ましい。
【0020】
金属酸化物粒子の表面処理
本発明に用いることのできる金属酸化物粒子は、表面を疎水性有機化合物(脂肪酸、シリコーン)、各種界面活性剤(カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤など)、水不溶性無機化合物で処理することができる。表面処理により、水中における粒子の安定性、凝集抑制、繊維吸着性を更に向上させることができるので好ましい。
具体的には、脂肪酸として、炭素数8〜18、好ましくは12〜18の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和脂肪酸を使用することができる。この脂肪酸は、二塩基酸であってもよく、ヒドロキシル基等で置換されていてもよい。脂肪酸としては、公知の方法により合成したものを用いてもよく、商業的に入手できるものを用いてもよい。例えば、原料としてヤシ油を用い、慣用の方法で処理することにより得られるものを用いることができる。市販品としては、例えば新日本理化株式会社から商品名ヤシ脂肪酸DCで販売されている。
シリコーンとしては、例えばMw(重量平均分子量)が3000〜200,000の、繰り返し単位が40〜2700のもの等を使用することができる。例えば、メチコン(メチルポリシロキサン)を使用することができる。
カチオン界面活性剤としては、モノアルキルカチオン、ジアルキルカチオン等を使用することができる。
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等を使用することができる。
また、金属酸化物粒子は、溶媒に分散させた形態で用いても良い。溶媒としては、水、エタノール等があげられる。分散液濃度は、0.01〜30質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましい。このような金属酸化物粒子としては、例えば住友大阪セメント株式会社から商品名ZE−143、ZW−143として市販されている。
【0021】
金属酸化物粒子に対する表面処理剤の割合(質量比)は、好ましくは、金属酸化物粒子:表面処理剤=99.9:0.1〜60:40、より好ましくは99:1〜90:10の範囲内であることが好ましい。このような範囲内にあると、水中における粒子の安定性、凝集抑制、繊維吸着性が更に増大されるので好ましい。
上記金属酸化物粒子の表面処理方法は、例えば以下のようにすることができる。
水系または有機媒体中で、表面処理物質を含有する溶液又は分散液を調製する。この溶液又は分散液を、金属酸化物粒子と混合するか、または金属酸化物粒子にスプレーすることにより、金属酸化物粒子の表面にコーティングさせた後、濃縮または濾過乾燥または焼結して、表面処理金属酸化物粒子を得ることができる。
本発明において用いることの出来る金属酸化物粒子は、25℃の水100gに対する溶解度が0.5g未満であることが望ましい。この場合、組成物中で金属酸化物粒子の結晶構造が維持できることで消臭効果が失われないので好ましい。
【0022】
本発明において使用できる金属酸化物粒子としては、商業的に入手できるものを使用することができる。例えば、酸化亜鉛は、テイカから商品名MZ300で市販されている。酸化マグネシウムは、宇部マテリアルズから商品名気相法高純度マグネシアで市販されている。
【0023】
これらの(A)成分である金属酸化物粒子は、通常、組成物全体に対して下限値は0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上、特に好ましくは1質量%以上であって、上限値は20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下の量で含まれることが好ましい。(A)成分の配合量が0.1質量%未満の場合には、消臭効果などの効果を十分なものとすることが出来ない場合があり、また20質量%を超える場合には、分散安定性が低下する場合がある。
【0024】
(B)カチオン性を有する水溶性高分子
本発明の(B)成分は、(A)成分の金属酸化物粒子を繊維へ吸着させる効果を有するカチオン性を有する水溶性高分子である。カチオン性を有する水溶性高分子化合物としては、アミノ基、アミン基、第4級アンモニウム基から選ばれる1種以上のカチオン性基を有する水溶性高分子化合物が好ましい。なお、本発明において、水溶性高分子とは、25℃の水100gに対し、水溶性高分子化合物1gを加えたときに、その液が濁らず透明であるものをいう。
【0025】
(B)成分のカチオン性を有する水溶性高分子は、カチオン化度が0.1%以上のものが好ましく、2.5%以上が好ましい。カチオン化度がこのような条件を満たすことにより、共存するシリコーン化合物を繊維へ吸着させる効果を優秀なものとすることができ、かつ、多量の配合が必要となって経済的でないケースを防止することができる。カチオン化度の上限は35以下であるのが好ましく、15であるのがより好ましい。
ここで、カチオン化度とは、高分子化合物がカチオン性モノマーの重合体、カチオン性モノマーとノニオン性モノマーの共重合体、及びノニオン性重合体の一部をカチオン性基で変性又は置換したもの(カチオン化セルロースなど)の場合には下記式(2)により、また、高分子化合物がカチオン性モノマーとアニオン性モノマーの共重合体、及びカチオン性モノマーとアニオン性モノマーとノニオン性モノマーの共重合体の場合には、下記式(3)により算出される値と定義する。
【0026】
カチオン化度(%)=X×Y×100・・・式(2)
[X:高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
Y:高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数]
【0027】
カチオン化度(%)=X×(Y−Z)×100・・・式(3)
[X:高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
Y:高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数
Z:高分子化合物1g中に含まれるアニオン性基のモル数
(Zのアニオン性基とは、高分子鎖中のモノマー単位に含まれるカルボキシル基、スルホン酸基などが挙げられる。具体的には、アクリル酸中のカルボン酸などである。ただし、カチオン性基の対イオンは含まない。)]
【0028】
カチオン化度の算出例として、下記式(I)で表されるMERQUAT280(calgon社製)の場合を示す。
X:14(窒素原子の原子量)
Y:4.95×10-3(カチオン性基の1g中の重量:0.8gとカチオン性基の分子量より算出)
Z:2.78×10-3(アニオン性基の1g中の重量:0.2gとアニオン性基の分子量より算出)
式(2)より、
カチオン化度(%)=
14×(4.95×10-3−2.78×10-3)×100=3.0
である。

【0029】
【化1】

【0030】
塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリル酸との質量比=80:20
よって、上記記載のカチオン化度の算出法によれば、ノニオン性モノマーの重合体やアニオン性モノマーの重合体のカチオン化度は0となる。
【0031】
(B)成分のカチオン性を有する高分子は、ポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーメーションクロマトグラフ法で測定される重量平均分子量が、1,000〜5,000,000であることが好ましく、より好ましくは3,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは5,000〜500,000である。これにより臭気を良好に防止することができ、かつ、粘度の上昇を抑えて使用性を優秀なものとすることが可能となる。
【0032】
(B)成分の例としては、MERQUAT100(Calgon社製)、アデカカチオエースPD−50(旭電化工業(株))、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業(株)製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、MERQUAT550 JL5(Calgon社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、MERQUAT280(Calgon社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、レオガードKGP、レオガードMLP(ライオン(株)製)等のカチオン化セルロース、LUVIQUAT−FC905、LUVIQUAT−FC370、LUVIQUAT−FC550(B・A・S・F社製)等の塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重合体、LUGALVAN−G15000(B・A・S・F社製)等のポリエチレンイミン、ポバールCM318((株)クラレ製)等のカチオン化ポリビニルアルコール、キトサン等のアミノ基を有する天然系の高分子誘導体、ジエチルアミノメタクリレート・エチレンオキシド等が付加された親水基を有するビニルモノマーとの共重合体等が挙げられるが、水に溶解または分散時にカチオン性を有する高分子化合物であればよく、本例に限定されるものではない。
【0033】
本発明で用いることのできるカチオン性を有する水溶性高分子の主鎖は、高いカチオン化度を与えるために、主鎖自体がカチオン性基を有するモノマーから構成されていることが効率的であり、この観点から、ジメチルジアリルアンモニウム塩、メタクリルアミドプロピルアンモニウム塩、ビニルイミダゾリウム塩等のモノマーから構成されるのが好ましい。
【0034】
特に好ましい高分子としては、下記一般式(II)に示すジメチルジアリルアンモニウム塩を重合して得られるカチオン性高分子である。この高分子の構造は、通常、下記一般式(III)又は下記一般式(IV)で表わされる。また、一般式(III)の構造単位と一般式(IV)の構造単位が共に含まれていてもよい。
【0035】
【化2】

【0036】
【化3】

【0037】
【化4】

【0038】
(式中、c、dは、各々平均重合度であり、各々6〜30000の範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜6000、さらに好ましくは30〜3000の範囲である。)
【0039】
このような高分子の例としては、MERQUAT100(Calgon社製)、アデカカチオエースPD−50(旭電化工業(株)製)、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業(株)製)等が挙げられる。
本発明の(B)成分としては、上記のカチオン性を有する高分子化合物を1種単独で用いてもよいし、混合物として用いることもできる。
これらの(B)成分であるカチオン性を有する高分子は、通常、組成物全体に対して下限値は0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、特に好ましくは1質量%以上であって、上限値は20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下の量で含まれることが好ましい。(B)成分の配合量が0.1質量%未満の場合には、(A)成分である金属酸化物粒子の吸着促進効果が不十分であり、消臭効果などの効果を十分なものとすることが出来ない場合があり、また20質量%を超える場合には、組成物の粘度が上昇して使用性の面で不都合となる場合がある。
【0040】
(A)成分と(B)成分の最適な比率
本発明の繊維製品用処理剤組成物中において、(A)成分:(B)成分の質量比は、99:1〜50:50の範囲内である。好ましくは95:5〜60:40、さらに好ましくは90:10〜70:30の範囲である。このような範囲内の比とすることにより、(A)成分である金属酸化物粒子の繊維への吸着性を良好なものとすることができる。
【0041】
また、本発明の繊維製品用処理剤組成物は、実際に繊維製品の柔軟仕上げを行う際の全使用水量に対し、(A)成分の濃度が5ppm〜500ppmとなるような量で使用するのが好ましく、さらに好ましくは10ppm〜300ppmとなるような量で使用され、(B)成分の濃度は0.5ppm〜100ppmとなるような量で使用するのが好ましく、さらに好ましくは3ppm〜30ppmとなるような量で使用される。
【0042】
(C)高級アルコール又は高級アルキルアミン又は高級脂肪酸のアルキレンオキシド付加物
本発明の(C)成分は、HLB値が6〜16である高級アルコール又は高級アルキルアミン又は高級脂肪酸のアルキレンオキシド付加物である。
通常、HLB値の下限値は6以上、好ましくは7以上、より好ましくは8以上であって、上限値は16以下、好ましくは15以下、より好ましくは14以下であることが好ましく、HLB値がこの範囲にあることにより、分散安定性を改善することが可能となり、特に構造は限定されない。
尚、本発明における「非イオン界面活性剤のHLB値」とは、Griffinの方法により求められた値である(吉田、進藤、大垣、山中共編、「新版界面活性剤ハンドブック」、工業図書株式会社、1991年、第234頁参照)。
【0043】
(C)成分としては、具体的には以下のものを用いることができる。即ち、炭化水素鎖は分岐していても直鎖でもよく、不飽和があってもよい。また、炭化水素鎖に分布があってもよい。炭化水素鎖は、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは8〜18である。炭素鎖が直鎖である場合には炭素数6〜16のものが好ましく,より好ましくは8〜14、最も好ましくは11〜13である。炭素鎖が分岐鎖である場合には、炭素数6〜18のものが好ましく、より好ましくは9〜18、最も好ましくは13である。
【0044】
(C)成分の原料としては、エクソン化学製エクサール、BASF社製LUTENSOLシリーズ、協和発酵工業製オキソコール、HoechstAG社製GENAPOLシリーズ、Shell社製DOBANOLシリーズ、サソール社製SAFOLシリーズ、ECOGREEEN社製ECOROLシリーズ、P&Gケミカルズ社製COシリーズ、TAシリーズなどを使用することができる。また、特にアルコールのアルキレンオキシド付加物の場合には1級アルコールでも2級アルコールでも使用できるが1級アルコールを用いたほうが処理剤組成物の分散性が良好である。炭素数が13のトリデシルアルコールは、例えばドデセンを原料に製造されるが、その出発原料としてはブチレンでもプロピレンでもよい。一方、炭素鎖が不飽和基を含む場合には、炭素数は18であるものが特に好ましく、不飽和基の立体異性体構造は、シス体又はトランス体であっても、両者の混合物であってもよいが、特にシス体/トランス体の比率が25/75〜100/0(質量比)であることが好ましい。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(EO)が好ましいが、エチレンオキサイドとともにプロピレンオキサイド(PO)またはブチレンオキサイド(BO)を付加したものであってもよい。EOの平均付加モル数としては2〜30モルが好適であり、より好ましくは3〜20モル、特に好ましくは5〜15モルである。また、EOとともに付加するPO又はBOの平均付加モル数としては1〜5が好適であり、より好ましくは1〜3モルである。この際、EOを付加した後、PO又はBOを付加しても、あるいはPO又はBOを付加した後、EOを付加してもよい。
【0045】
(C)成分の市販品としては、日本エマルジョン製エマレックスシリーズ、三洋化成製エマルミンシリーズ、ライオン製TDAシリーズ、エソミンシリーズ、日本触媒製ソフタノールシリーズ、BASF社製LUTENSOLシリーズ、P&Gケミカルズ社製COシリーズなどを使用することができる。
(C)成分の中でも、炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を1つ以上有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、特にオキシアルキレン基が平均2〜30モル付加されたものが好ましい。さらに下記一般式(C-1)で表される非イオン界面活性剤が好ましい。
1−T−[(R2O)p−H]q (C-1)
(式中、R1は、炭素数10〜18、好ましくは12〜16のアルキル基又はアルケニル基であり、R2は炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。pは平均付加モル数であり、2〜30、好ましくは3〜20、特に好ましくは5〜15の数を示す。Tは−O−、−N−、−NH−、−N(C24OH)−、−CON−、−CONH−又はCON(C24OH)−であり、Tが−O−、−NH−、−N(C24OH)−、−CONH−、又は−CON(C24OH)−の場合は、qは1であり、Tが−N−又は−CON−の場合は、qは2である。)
【0046】
上記一般式(C-1)の化合物の具体例として、下記一般式(C-2)、(C-3)で表される化合物を挙げることができる。
1−O−(C24O)r−H (C-2)
(式中、R1は前記と同じ意味であり、rは平均付加モル数であり、2〜30、好ましくは5〜15の数である。)
1−O−(C24O)s(C36O)t−H (C-3)
(式中、R1は前記と同じ意味であり、s及びtは平均付加モル数であり、sは2〜30、好ましくは5〜15の数であり、tは1〜5、好ましくは1〜3の数である。(C24O)と(C36O)はランダム又はブロック付加体であってもよい。)
【0047】
本発明で用いる(C)成分である高級アルコール又は高級アルキルアミン又は高級脂肪酸のアルキレンオキシド付加物の配合量は特に限定されないが、分散安定性の点から、通常、組成物全体に対して下限値は0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、特に好ましくは1質量%以上であって、上限値は20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、特に好ましくは10質量%以下の量で含まれることが好ましい。これにより、分散安定性を優れたものとすることができ、かつ、効果が飽和に達した際の余分な添加を抑えて経済性を図ることが可能となる。
【0048】
さらに、本発明には、繊維製品用処理剤組成物の保存安定性を確保するため、上記成分に加えて、シリコーン化合物や水溶性溶剤を含有するほうが好ましい。
【0049】
シリコーン化合物
シリコーン化合物は特にポリエーテル基を有するシリコーン化合物が好ましく、ポリエーテル基を有していれば、アミノ基、アルキル基、カルボキシル基、エポキシ基などの有機官能基を含有していてもよい。該シリコーン化合物の分子構造は、直鎖状であっても分岐や架橋していてもよい。また、変性シリコーン化合物は1種類の有機官能基により変性されていても構わないし、2種以上の有機官能基により変性されていてもよい。
該シリコーン化合物はオイルとして使用でき、また任意の乳化剤によって分散された乳化物としても使用できる。特に、処理した繊維製品の黄変を防止するために、アミノ基を含有しないシリコーン化合物であることが好ましい。さらに、(A)成分の繊維へ吸着させる効果を高める点から、シリコーン化合物は、非イオン性であることが好ましく、より好ましい例としては、エポキシポリエーテル変性シリコーン、アルキルポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンが挙げられる。
【0050】
このなかでも特に好ましいシリコーン化合物として、分散安定性を高めることができる等の観点から、ポリエーテル変性シリコーンを挙げることができる。好ましいポリエーテル変性シリコーンとしては、アルキル(炭素数1〜3)シロキサンとポリオキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜5が好ましい)の共重合体が挙げられる。このうち、ジメチルシロキサンとポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム又はブロック共重合体など)の共重合体が好ましい。このようなものとして、下記一般式(V)又は (VI)で表される化合物が挙げられる。
【0051】
【化5】

【0052】
(式中、M、N、a及びbは平均重合度であり、Rは水素又はアルキル基を表す。)
ここで、Mは10〜10000、好ましくは50〜1000、より好ましくは100〜300、Nは1〜1000、好ましくは5〜300、より好ましくは5〜50、かつM>Nであることが好ましく、aは2〜100、好ましくは5〜50、より好ましくは5〜20、bは0〜50、好ましくは0〜10が好ましい。Rとしては水素又は炭素数1〜4のアルキル基であり、水素であるのが好ましい。
一般式(V)で表されるポリエーテル変性シリコーンは、一般に、Si−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、例えばポリオキシアルキレンアリルエーテル等の、炭素−炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルとを付加反応させることにより製造することができる。
【0053】
【化6】

【0054】
(式中、A、B、h、及びiは平均重合度であり、Rはアルキル基を表し、R’は水素又はアルキル基を表す。)
ここで、Aは5〜10000、Bは2〜10000であることが好ましく、hは2〜100、iは0〜50が好ましい。Rとしては炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。R’としては水素又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。また、式(VI)で表わされるブロック共重合体の重量平均分子量は、分散安定性の観点から15,000〜100,000,000であることが好ましい。
上記線状ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンブロック共重合体は、反応性末端基を有するポリオキシアルキレン化合物と、該化合物の反応性末端基と反応する末端基を有するジヒドロカルビルシロキサンとを反応させることにより製造することができる。
【0055】
本発明で用いるポリエーテル変性シリコーンオイルの具体的な例としては、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のSH3772M、SH3775M、SH3748、SH3749、SF8410、SH8700、BY22−008、SF8421、信越化学工業(株)製のKF352A、KF6008、KF615A、KF6016、KF6017、GE東芝シリコーン(株)製のTSF4450、TSF4452、日本ユニカー(株)製のSILWET L−7001、SILWET L−7002、SILWET L−7602、SILWET L−7604、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2120、SILWET FZ−2161、SILWET FZ−2162、SILWET FZ−2164、SILWET FZ−2171、ABN SILWET FZ−F1−009−01、ABN SILWET FZ−F1−009−02、ABN SILWET FZ−F1−009−03、ABN SILWET FZ−F1−009−05、ABN SILWET FZ−F1−009−09、ABN SILWET FZ−F1−009−11、ABN SILWET FZ−F1−009−13、ABN SILWET FZ−F1−009−54、ABN SILWET FZ−2222等が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0056】
本発明で用いるシリコーン化合物の配合量は特に限定されないが、分散安定性及び組成物の粘度の点から、通常、組成物全体に対して下限値は1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、特に好ましくは5質量%以上であって、上限値は70質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、特に好ましくは40質量%以下の量で含まれることが好ましい。これにより、分散安定性を優れたものとすることができ、かつ、粘度の上昇を抑えて使用性を良好なものとすることができる。
【0057】
本発明の繊維製品用液体処理剤組成物中において、シリコーン化合物と(B)成分の質量比は、99:1〜50:50、好ましくは95:5〜60:40、さらに好ましくは90:10〜70:30の範囲であるとよい。このような範囲内の比とすることにより、ポリエステル、綿等の衣類に対し柔軟性、滑らかさ等の風合いの優れた機能が得られる。尚、(B)成分の割合がこの範囲内にあることにより、シリコーンの繊維への吸着性を良好なものとすることができる。
【0058】
水溶性溶剤
水溶性溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、及び下記一般式で表わされる水溶性溶剤から選ばれる溶媒成分を配合することが好ましい。
R3−O−(C24O)y−(C36O)z−H
(式中、R3は、炭素数1〜5、好ましくは2〜4のアルキル基又はアルケニル基である。y及びzは平均付加モル数であり、yは2〜50、好ましくは2〜30、zは0〜50、好ましくは0〜20の数を示す。)
中でも好ましい例としては、エタノール、エチレングリコール、ブチルカルビトール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノプロピレングリコールモノブチルエーテル[C49(C36O)(C24O)2H]等が挙げられる。
これらの水溶性溶剤は、通常、組成物全体に対して下限値は0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、特に好ましくは3質量%以上であって、上限値は30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、特に好ましくは12質量%以下の量で含まれることが好ましい。
【0059】
さらに、本発明には、必要に応じて以下の成分を含有することができる。
香料
本発明では、組成物の芳香のために香料を添加することができる。使用される香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994 )および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等で見られ、それぞれを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。
これらの香料は、通常、組成物全体に対して下限値は0.01質量%以上、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、特に好ましくは0.1質量%以上であって、上限値は3質量%以下、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下の量で含まれることが好ましい。
【0060】
染料
本発明では、組成物の着色のために染料を添加することができる。染料は特に限定されないが、添加の容易さから水溶性染料が好ましく、中でも酸性染料、直接染料から選ばれる水溶性染料の1種又は2種以上であることが好ましい。添加できる染料の具体例は、例えば染料便覧(有機合成化学協会編、昭和45年7月20日発行、丸善(株))、染料ノート第22版((株)色染社)、法定色素ハンドブック(日本化粧品工業連合会編、1988年11月28日発行、(株)薬事日報社)等に記載されており、それらを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。
これらの染料は、通常、組成物全体に対して下限値は0.01ppm以上、好ましくは0.02ppm以上、より好ましくは0.05ppm以上、特に好ましくは0.1ppm以上であって、上限値は50ppm以下、好ましくは40ppm以下、より好ましくは30ppm以下、特に好ましくは20ppm以下の量で含まれることが好ましい。
このような配合量とすることにより、繊維製品用処理剤組成物に着色された色が非常に薄くなるのを防止でき、着色効果を充分なものとすることができる一方で、繊維製品用処理剤組成物に着色された色が濃くなりすぎるのを防止できる。
【0061】
酸化防止剤
本発明では、組成物の香気安定性や色調安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、一般に知られている天然系酸化防止剤、合成系酸化防止剤ともに使用できる。具体的には、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、没食子酸プロピルの混合物、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、没食子酸プロピル、及びクエン酸の混合物、ハイドロキノン、三級ブチルハイドロキノン、天然のトコフェロール系化合物、没食子酸の長鎖エステル(C8〜C22)、例えば没食子酸ドデシル、チバスペシャルティケミカル(株)から入手可能なイルガノックス系化合物、クエン酸及び/またはクエン酸イソプロピル、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(エチドロン酸)、4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンスルホン酸/ナトリウム塩、ジメトキシフェノール、カテコール、メトキシフェノール、カロチノイド、フラン類、アミノ酸類等が挙げられる。
この中で、繊維製品用処理剤組成物の外観や保存安定性の観点から、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、メトキシフェノール、トコフェロール系化合物等が好ましい。
これらの酸化防止剤は、通常、組成物全体に対して下限値は0.00001質量%以上、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上、特に好ましくは0.01質量%以上であって、上限値は3質量%以下、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下の量で含まれることが好ましい。また、使用に際しては、組成物の製造前後など、本発明の効果を妨げない範囲で任意の場所に、何回に分けて添加しても良い。
【0062】
防腐剤
本発明には、組成物の防腐力、殺菌力を強化する目的で以下の化合物の1種または1種以上を併用して用いることができる。
1)イソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、3−イソチアゾロン基を含む化合物が好ましい。これらの化合物は、例えば米国特許第4,265,899号公報に開示されている。その例としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、およびそれらの混合物があげられる。より好ましい防腐・殺菌剤は、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物であり、さらに好ましくは約77質量%の5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと約23質量%の2−メチル-4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物である。ローム・アンド・ハース社のケーソンCG/ICP(約1.5質量%水溶液)、純正化学社製のジュンサイド5などのジュンサイドシリーズなど、市販されているものを使用することができる。
2)ベンズイソチアゾリン系の有機硫黄化合物としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、ジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)などが使用でき、それらを任意の混合比で使用することができる。このような化合物としては、アビシア(株)製のプロキセルシリーズ〔 BDN(有効分33質量%)、 BD20(有効分20質量%)、 XL−2(有効分10質量%)、GXL(有効分20質量%)、 LV(有効分20質量%)、TN(有効分60質量%)〕、デニサイドBIT/NIPA等の市販品を用いることができる。
3)5−ブロモー5−ニトロー1,3−ジオキサンまたは2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールまたは5−クロロー5−ニトロー1,3−ジオキサン、または2−クロロ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール等を用いることができる。Henkel社製Bronidox L、Inolex社製Bronopol、吉富製薬社製ブロノポール、ブーツ社製マイアサイドBT、BASF社製マイアサイドファーマBPなどの市販品を用いることができる。
4)安息香酸類またはフェノール化合物としては、安息香酸又はその塩、サリチル酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル、3−メチル−3−イソプロピルフェノール、o−フェニルフェノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、レゾルシン、クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等を使用することができる。
【0063】
1)〜3)の化合物は、組成物に対して0〜0.1質量%配合される。好ましい配合量は、0.00001〜0.03質量%、より好ましくは0.00005〜0.02質量%である。4)の化合物は、組成物に対して0〜3質量%配合される。好ましい配合量は、0.01〜1.5質量%である。また、上記1)〜4)の化合物の2種以上を併用することにより防腐力、殺菌力を強化することができ、上記化合物の使用量を削減することも可能で経済的に有利である。ケーソンCG/ICP、プロキセルシリーズBDN、マイアサイドBT、安息香酸の2種以上を併用することが特に好ましく、その配合量は0.00001〜2質量%が好ましい。さらに好ましくは、0.00002〜1質量%、より好ましくは0.00005〜0.5質量%である。上記1)〜3)の化合物は安定化のために、亜鉛、銅、カルシウム、マグネシウムなどの金属イオンと共存させるか、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール溶液として組成物に添加されることが好ましい。
【0064】
消泡剤
本発明では、消泡剤を配合することができる。消泡剤としては、例えばシリコーン系消泡剤、アルコール系消泡剤、エステル系消泡剤、鉱油系消泡剤、植物油系消泡剤、及び合成油系消泡剤等が挙げられるが、柔軟剤計量時の泡立ちを抑えて計量性を向上させる観点からシリコーン系の消泡剤が好ましい。シリコーン系消泡剤としては、オイル型消泡剤、コンパウンド型消泡剤、自己乳化型消泡剤、エマルション型消泡剤、粉末型消泡剤及び固形型消泡剤等が挙げられ、この中でも、自己乳化型消泡剤及びエマルション型消泡剤が好ましい。
消泡剤の配合量は特に限定されないが、通常、組成物全体に対して下限値は0.1ppm以上、好ましくは0.2ppm以上、より好ましくは0.5ppm以上、特に好ましくは1ppm以上であって、上限値は1質量%以下、好ましくは0.8質量%以下、より好ましくは0.7質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下の量で含まれることが好ましい。
【0065】
pH調整剤
本発明の繊維製品用液体処理剤組成物のpHは特に限定されないが、5〜10の範囲であることが好ましく、6〜8の範囲であることがより好ましい。必要に応じて、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。尚、本発明におけるpHはJISK3362−1998に準じて、溶液温度を20℃にして測定するものとする。
【0066】
紫外線吸収剤
紫外線吸収剤としてチバスペシャルティケミカルズ(株)製Ciba(登録商標)TINOSORB(登録商標)FR,FD、CIBAFAST(登録商標)などを0.01〜5質量%配合することができる。
【0067】
本発明の繊維製品用液体処理剤組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、通常の家庭用洗浄剤または仕上げ剤に使用されている添加剤などを使用することができる。そのような添加剤として、具体的には、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、上記(C)成分以外の非イオン界面活性剤、ヘキサン酸とグリセリンまたはペンタエリスリトールとの部分エステル化物や、食塩、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム等の水溶性塩、流動パラフィン、高級アルコールなどの油剤、尿素、炭化水素、アニオン性高分子化合物、非イオン性セルロース誘導体などの非イオン性高分子化合物、蛍光増白剤、酵素、乳濁剤、蛍光増白剤、コロイダルシリカ等のシリカ微粒子等が挙げられる。
【0068】
なお、アニオン界面活性剤、アニオン性高分子化合物を配合する場合には、(A)成分である金属酸化物粒子の吸着効果を考慮して、(B)成分のカチオン性を有する高分子化合物の含有量よりも低い量で配合するのが好ましい。
【0069】
本発明の繊維製品用液体処理剤組成物は、上記(A)〜(C)成分及び場合により任意成分を含有し、通常、残部は水である。本発明の繊維製品用液体処理剤組成物の製造は、上記各成分を容器に充填し、これを十分に撹拌した後に水を添加して均一になるまで十分に撹拌することにより行うことができる。これらの成分の添加は、一緒に又は任意の順序で行うことができるが、例えば、(A)成分及び(C)成分を添加・撹拌した後、水を添加して撹拌し、次いで、成分(B)を添加・撹拌することにより本発明の繊維製品用処理剤組成物を製造することができる。製造に用いる攪拌機・分散機などは特に制限されないが、ホモジナイザー、超音波分散機、ビーズミル等を用いて攪拌することにより調製することができる。
【0070】
本発明の繊維製品用液体処理剤組成物は、その剤型及び使用方法が特に制限されるものではない。本発明の繊維製品用処理剤液体組成物は、適度な濃度に希釈して使用される。使用方法は特に限定されないが、衣料を通常の洗濯を行い、すすぎの段階ですすぎ水に本発明の組成物を溶解させて処理を行ったり、また、たらいのような容器を用い本発明の組成物を水に溶解させ、更に衣料を入れて浸漬処理する方法などが挙げられる。繊維製品の処理はいずれの方法で行ってもよいが、浴比(繊維製品に対する処理液の比率)は3〜100倍、特に5〜50倍であることが好ましい。このように希釈して使用される場合は、液状組成物または液状組成物を水溶性フィルム、シートなどで個別包装した分包型として使用するのがよい。繊維製品用処理剤組成物を希釈して水中で使用する場合、上記金属酸化物粒子の濃度が、好ましくは0.1〜100ppm、より好ましくは1〜10ppmになるように調製するのが好ましい。
【0071】
また、トリガー容器やエアゾール容器に充填し、繊維製品に直接スプレーすることもできる。繊維製品用処理剤液体組成物を繊維製品に直接スプレーする場合、上記(a)成分である金属酸化物粒子の濃度が、好ましくは0.004〜4%owf、より好ましくは0.04〜0.4%owfになるように、適宜水やエタノール等を添加することにより調製する。また、不織布等のシート材料に、例えば60〜80質量%の量の本発明の組成物を含浸させ、得られたシート材料を乾燥機に投入して使用することもできる。
【0072】
本発明の組成物は、繊維製品の原料が天然繊維でも合成繊維でも区別なく使用することができるが、特に木綿等の天然繊維に使用した場合に、金属酸化物粒子を効率的に吸着させることができ、悪臭を効果的に消臭できるので好ましい。
【実施例】
【0073】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をさらに詳しく具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、「%」は特に断りがない限り「質量%」を示し、比率は質量比を示す。表2中の成分量は特に断りが無い限り純分の質量%を示す。
表1に実施例及び比較例で使用した金属酸化物粒子を示す。尚、表1中のA−1〜A−7のいずれも表面処理は施されてはいない。


【0074】
【表1】

【0075】
尚、平均粒子径は、以下のように測定した。金属酸化物粒子5gに99.5容量%エタノール200mLを加え、ハイドルフ社製パワフルホモジナイザーDIAX900(シャフトジェネレーター18F)を用いて、回転数10000rpmで5分間攪拌分散させた後、直ちに、試料台に数滴垂らして風乾し、風乾後の試料を白金で蒸着し、日立製走査透過電子顕微鏡装置H−8010を用いて、10万倍の倍率で粒子径を測定した粒子10個の平均値である。
物理的消臭率及び化学的消臭率は、以下の方法により測定した。
【0076】
評価布及びブランク布の作成
新品のポリエステルジャージ布1kgを二槽式洗濯機(三菱電機株式会社、CW−C30A1−H)を用いて、50℃の温水30L、非イオン界面活性剤(エマレックス715、日本エマルジョン製)7.5g、洗浄15分、すすぎ15分+脱水1分×8回の条件で処理し、室温25℃、湿度65%RHの室内で乾燥した。乾燥後の布を2cm×2cm(0.1g)に切り分け、0.1%金属酸化物粒子/エタノール分散液を50μL添加し、金属酸化物として0.05%owf(対象繊維の質量に対する質量%)を布に付着させ、室温25℃、湿度65%RHの室内で12時間乾燥したものを評価布とした。なお、上記条件において、金属酸化物粒子を添加しないこと以外は全て同様にして作成したものをブランク布とした。
【0077】
物理的消臭率の測定
評価布及びブランク布をそれぞれ20mLのバイヤル瓶に入れ、40℃、1時間で0.1ppmになる量のイソ吉草酸水溶液を添加後、密栓して40℃の遮光した恒温槽内で1時間静置し、そのヘッドスペースをスペルコ社製の固相マイクロ抽出SPME(ファイバー:Stable Flex CW/DVB、70μm film)で10分間抽出した。抽出後のSPMEをHEWLETT PACKARD社製GC−MS装置(HP6890 Series GC System+Mass Selective Detector)を用いて、カラム:HP−INNOWAX(30m×0.2mm×0.2μm)、測定温度80〜180℃、昇温速度10℃/min.、キャリアガス:ヘリウム、注入口250℃、注入法:スプリットレスの条件にて測定した。
【0078】
化学的消臭率の測定
評価布またはブランク布をそれぞれ20mLのバイヤル瓶に入れ、40℃、1時間で0.1ppmになる量のイソ吉草酸水溶液を添加後、密栓して東芝製ブラックライト(EFD15BLB)を用いて、365nmの紫外線2mW/cm2を照射しながら40℃の恒温槽内で1時間静置し、そのヘッドスペースをスペルコ社製の固相マイクロ抽出SPME(ファイバー:Stable Flex CW/DVB、70μm film)で10分間抽出した。抽出後のSPMEをHEWLETT PACKARD社製GC−MS装置(HP6890 Series GC System+Mass Selective Detector)を用いて、カラム:HP−INNOWAX(30m×0.2mm×0.2μm)、測定温度80〜180℃、昇温速度10℃/min.、キャリアガス:ヘリウム、注入口250℃、注入法:スプリットレスの条件にて測定した。
【0079】
物理的消臭率および化学的消臭率について、上記の方法で測定したトータルイオンガスクロマトグラムのm/Z=60のマスクロマトグラムのピークエリアより、以下の計算式から消臭率を求めた。
消臭率=100−(評価布のピークエリア)×100/(ブランク布のピークエリア)
なお、表1の金属酸化物粒子の25℃の水100gに対する溶解度は、A−1から順に、5×10-4g、3×10-4g、不溶、不溶、9×10-4g、7×10-4g、5×10-4gである。
【0080】
繊維製品用処理剤組成物の調製方法および評価方法を以下に示す。
繊維製品用処理剤組成物の調製方法
表1に記載の(A)金属酸化物粒子、及び表2に記載のシリコーン、非イオン界面活性剤、ブチルカルビトール、エタノール、香料、及び場合により塩化ジデシルジメチルアンモニウムを、500mLビーカーに充填し、これを撹拌羽を用いて十分に撹拌した。次に、撹拌しながら、イオン交換水を添加し、さらに撹拌しながら、表2に記載の(B)カチオン性を有する高分子を添加し撹拌後、均一になるまで十分に撹拌して、400gの繊維処理用処理剤組成物を調製した。いずれの組成物もpHは6〜8であった。尚、各成分の配合量は、表2に示す組成物に準じた。
このようにして得た各繊維製品用処理剤組成物(実施例1〜10及び比較例1〜4)について、以下に記載する(1)消臭評価、(2)分散安定性評価に従って、消臭効果及び分散安定性を評価した。
【0081】
(1)消臭評価
試験布の調整
新品の綿100%製肌シャツ5枚または新品のポリエステル100%製レースカーテン30cm×60cm10枚を市販衣料用粒状洗剤「トップ」(ライオン(株)製、成分:界面活性剤(アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、水軟化剤、アルカリ剤、溶解促進剤、酵素、蛍光増白剤)により、家庭用二槽式洗濯機(三菱電機株式会社、CW−C30A1−H)を用いて洗浄15分(洗剤は標準量使用、浴比30倍、45℃水道水)→脱水5分の工程を2サイクル繰り返した後、流水すすぎ15分→脱水5分の工程を5回繰り返し、自然乾燥したものを試験布とした。
【0082】
消臭評価1−物理的消臭作用の評価
上記処理を行った、綿肌シャツ14枚を半裁し、市販衣料用粒状洗剤「トップ」(ライオン(株)製、成分:界面活性剤(アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、水軟化剤、アルカリ剤、溶解促進剤、酵素、蛍光増白剤)により、家庭用二槽式洗濯機(三菱電機株式会社、CW−C30A1−H)を用いて洗浄し(洗剤は標準量使用、浴比30倍、20℃の水道水使用、10分)、半裁した肌シャツの片側のみに対して、ためすすぎ2回目に表2に示す実施例及び比較例の繊維製品処理剤組成物を水量30Lに対して10mL加えて、処理(浴比30倍、20℃の水道水使用、3分)を行った。その後、20℃、40%RHの条件で自然乾燥した。乾燥後の肌シャツを縫い合わせ、14名の被験者に1日着用してもらい、着用終了後、直ちに縫い合わせていた肌シャツを引き離して評価布とし、以下の評価を行った。結果を表2に併記する。
【0083】
消臭評価2−化学的消臭作用の評価
上記処理を行った、レースカーテン10枚を半裁し、市販衣料用粒状洗剤「トップ」(ライオン(株)製、成分:界面活性剤(アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、水軟化剤、アルカリ剤、溶解促進剤、酵素、蛍光増白剤)により、家庭用二槽式洗濯機(三菱電機株式会社、CW−C30A1−H)を用いて洗浄し(洗剤は標準量使用、浴比30倍、20℃の水道水使用、10分)、半裁したレースカーテンの片側のみに対して、ためすすぎ2回目に表2に示す実施例及び比較例の繊維製品処理剤組成物を水量30Lに対して10mL加えて、処理(浴比30倍、20℃の水道水使用、3分)を行った。その後、20℃、40%RHの条件で自然乾燥した。乾燥後の各レースカーテンを煙草1本の煙を3秒間入れた密閉容器内に入れ、室温25℃で365nmの紫外線2mW/cm2を24時間照射して評価布とし、以下の評価を行った。結果を表2に併記する。
【0084】
評価方法
上記評価布の臭いを10人の専門パネラーによる判定により、「工業における官能検査ハンドブック」(日科技連官能検査委員会編、日科技連出版社刊、1963年)第300〜309ページに記載されている方法に従って測定した。即ち、シェッフェ(Scheffe)の一対比較法により、2つの評価布の臭いにはっきりと差があれば、臭わない方の評価布に+2点、臭う方の評価布に−2点を与え、やや差があるときにはそれぞれ+1点、−1点を与え、全く差が無ければ両者に0点を与えた。こうして得た配点をコンピューターで統計的に処理し、下記の評価基準で評価を行った。結果を表2に併記する。

評価基準

【0085】
(2)分散安定性評価
上記の様に調製した処理剤組成物を100mLのフタつき瓶に取り、25℃の恒温室に1ヵ月間放置し、その分散状態を目視で判定した。結果を表2に併記する。

評価基準









【0086】
【表2】

【0087】
なお、表2中の略号の意味及び詳細は以下の通りである。
B−1:ジメチルジアリル型高分子、商品名:MERQUAT100(Calgon社製、カチオン化度8.7)
B−2:ジメチルジアリル型高分子、商品名:アデカカチオエースPD−50(旭電化工業(株)社製)
C−1:POEトリデシルエーテル、商品名:TAG−90(ライオン(株)製、EO=7モル付加、HLB=12)
C’−2:POEトリデシルエーテル、商品名:レオコールTDA400−75(ライオン(株)製、EO=40モル付加、HLB=18)
塩化ジデシルジメチルアンモニウム:商品名:アーカード210−80E(ライオンアクゾ社製)
シリコーン:ポリエーテル変性シリコーン、商品名SH3749(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)
ブチルカルビトール:商品名:ブチルジオキシトール(95)(シェルケミカルズ社製)
エタノール:試薬
香料A:特開2004−131895号公報の表6記載の香料組成物A
香料B:特開2004−131895号公報の表6記載の香料組成物B

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)平均粒子径が0.1nm以上〜1000nm未満の金属酸化物粒子であって、物理的消臭作用と化学的消臭作用を併有する少なくとも1種の金属酸化物粒子、
(B)カチオン性を有する水溶性高分子、及び
(C)HLB値が6〜16である、高級アルコール又は高級アルキルアミン又は高級脂肪酸のアルキレンオキシド付加物を含有することを特徴とする繊維製品用液体処理剤組成物。
【請求項2】
金属酸化物粒子が、70%以上の物理的消臭作用及び70%以上の化学的消臭作用を有する請求項1記載の繊維製品用液体処理剤組成物。
【請求項3】
(A)平均粒子径が0.1nm以上〜1000nm未満の金属酸化物粒子であって、物理的消臭作用と化学的消臭作用を併有する少なくとも1種の金属酸化物粒子、
(B)カチオン性を有する水溶性高分子、及び
(C)HLB値が6〜16である、高級アルコール又は高級アルキルアミン又は高級脂肪酸のアルキレンオキシド付加物を含有する処理液を用いて繊維製品を処理することを特徴とする繊維製品の処理方法。

【公開番号】特開2008−2024(P2008−2024A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−173690(P2006−173690)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】