説明

繋留施錠装置

【課題】従前のセキュリティワイヤロックの使用における煩わしさを解消する。
【解決手段】静止物8に可動物7を繋留するためのものとして、前記静止物8への接続に用いられる繋留部材2と、前記繋留部材2を前記可動物7に設けられたセキュリティスロットより離脱し得ないようロックするロック状態と離脱し得るよう解放するアンロック状態との間で作動するロック機構と、前記可動物7を持ち去ろうとする者がこの可動物7に対する正当な権限を有する特定者であるか否かを認証する認証手段と、前記可動物7を持ち去ろうとする者が前記特定者であることを前記認証手段で認証した場合に、前記ロック機構を自動的に前記アンロック状態に切り替えるロック制御手段とを具備する繋留施錠装置1を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にオフィス等においてセキュリティ向上を図るべく使用される繋留施錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、各種の組織運営において、情報漏洩の問題が大きくクローズアップされており、組織の信頼性を維持するためにセキュリティ対策の改善が喫緊の課題となっている。とりわけ、昨今の組織内オフィスにおける構成員の多様化は急速に進んでおり、いわゆる正社員や契約社員等のメインワーカー以外にも派遣社員、アルバイター、外部のメンテナンス業者等のサブワーカーが比較的自由に活動できる環境が成立している。そして、かかる環境を利用して何らの権限も持たない者が外部から侵入する可能性も無視できない状況となっている。
【0003】
このような環境の下で、重要情報を保持しているノートブック型コンピュータ、外付けハードディスクドライブ等が不正に持ち出されてしまうと、それらに保存されている情報が漏洩してしまう可能性がある。対策としては、ノートブック型コンピュータその他の可動の監護対象物を什器や建築構造物等の静止物に繋留しておくことが考えられ、そのための製品、いわゆるセキュリティワイヤロック(例えば、下記特許文献を参照)も市場に流通している。セキュリティワイヤロックは、一端側を静止物に繋止し、他端側を監護対象物に取着して使用される。詳細には、他端側に設けられたラッチを、ノートブック型コンピュータ等の外側面に予め形成されているセキュリティスロットに挿入し、キーロック装置を以てセキュリティスロットより離脱し得ないように拘束する。
【特許文献1】実登3062010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従前のセキュリティワイヤロックでは、監護対象物に対する取り付け/取り外しの作業をユーザ自身の手で意識的に行うことが必須となる。言うまでもなく、手動のキーロック装置における施解錠は、鍵を手に取り、その鍵を錠シリンダーに差し入れ、錠を操作してボルトを駆動し、しかる後鍵を錠シリンダーより抜き出すという比較的煩瑣な手順を伴う。故に、ノートブック型コンピュータ等を持ち運ぶ頻度の高いユーザにとっては、持ち運びの度に施解錠操作を強制されることになる。そして、つい面倒になって施錠を行わなかったり、施錠を忘れたり、あるいは鍵を錠シリンダーに差しっぱなしにしてしまったりすることが多くなり、現実にはセキュリティの向上につながらないというケースがままある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するべく、本発明では、他の物に監護対象物を繋留するためのものとして、前記他の物への接続に用いられる繋留部材と、前記繋留部材を前記監護対象物に設けられた拘束部より離脱し得ないようロックするロック状態と繋留部材を前記拘束部より離脱し得るよう解放するアンロック状態との間で作動するロック機構と、前記監護対象物及び前記他の物の関与を受けることなく、監護対象物を持ち去ろうとする者がこの監護対象物に対する正当な権限を有する特定者であるか否かを認証する認証手段と、前記監護対象物を持ち去ろうとする者が前記特定者であることを前記認証手段で認証した場合に、前記ロック機構を自動的に前記アンロック状態に切り替えるロック制御手段とを具備した繋留施錠装置を構成した。
【0006】
つまり、正当な権限を有する特定者の認証に成功した暁には、ロック機構を作動させて自動的にアンロックするようにしたのである。このようなものであれば、ユーザが自身の手で行ってきた操作の少なくとも一部を肩代わりして自動化してくれることから、ユーザに煩わしさを強いることがなく、実効的なセキュリティ向上に大いに寄与し得ることとなる。また、特定者の認証処理を監護対象物及び他の物の各々から独立した形で実行することから、監護対象物やこれを繋いでおく物を選ばない。
【0007】
ここで、監護対象物とは、ノートブック型コンピュータ等の携行可能な情報処理装置、外付けハードディスクドライブ等の記憶装置やその他の持ち出し可能であって監護対象となる物一般をいう。また、他の物とは、デスク、ワゴン等の什器や、建築構造物の柱等の、監護対象物を繋ぎ止めてその持ち出しを抑止する役割を担い得る物一般をいう。前記他の物は、原則的には静止物であるが、監護対象物が携帯電話端末等である場合にこれを繋いでおく鞄等であってもよく、必ずしも静止物には限定されない。繋留部材は、監護対象物を他の物に繋留するワイヤ、ロープ、鎖、ストラップ等であるが、長尺なものとも限られなければ、変形容易なものとも限られない。拘束部は、監護対象物自体に形成された溝穴(セキュリティスロット)等であることもあれば、監護対象物に対して取着されたワイヤ、ストラップ等であることもある。そして、ロック機構の具体的態様は、監護対象物に設けられている拘束部の態様に依存する。
【0008】
前記認証手段が、微弱無線通信を利用した認証識別子の授受を通じて前記特定者を認証するものであれば、ロックを解除しようとするユーザがロック機構や認証手段に対し自身の手で行う手動操作を省くことができる。但し、認証手段は、無線交信によるユーザ認証を実行するものには限定されず、指紋認証その他のバイオメトリクスを用いたもの等であっても構わない。
【0009】
前記特定者の動作に起因して前記認証手段による認証処理を実行開始させる認証処理起動手段をさらに具備していれば、特定者または特定者以外の者による積極動作が感知されない限り無線交信及び認証処理が発生しない。よって、電力消費を可及的に抑制することができる。また、限定された空間領域内を電磁波が頻繁に伝搬する状況を回避でき、電磁波障害を予防することにもつながる。
【0010】
前記認証処理起動手段は、前記ロック機構によるロックを解除しようとする者によって操作される解錠スイッチを要素とすることが簡便である。
【0011】
前記解除スイッチが、上下動可能に支持され少なくとも前記認証手段を包囲するカバー体と、前記カバー体が押下されたことを検知するセンサデバイスとを備えてなり、カバー体が押下された場合に認証手段による認証処理を実行開始させるものであるならば、認証手段を保護しつつカバー体を大きくすることができ、より操作しやすいものとなる。
【0012】
または、前記認証処理起動手段を、前記ロック機構によるロックを解除しようとする者の存在を検知する人感センサを要素とするものとしてもよい。人感センサを採用する場合には、ユーザが解除スイッチを操作する手間をも省くことができる。
【0013】
並びに、前記認証処理起動手段を、前記ロック機構によるロックを解除しようとする者が可動物を操作する動作を検知する動作検知センサを要素とするものとしてもよい。この場合にも、ユーザが解除スイッチを操作する手間をも省くことができる。
【0014】
少なくとも前記認証手段及び前記認証処理起動手段を有する本体部と前記ロック機構を有するロック端部との間に、両者を連結する変形可能な連結部を介在させているならば、当該繋留施錠装置の配設位置の柔軟性が確保され、利便性が向上する。
【0015】
前記ロック制御手段が、前記ロック機構を作動させるための作動力を出力する電動アクチュエータと、電動アクチュエータが出力する作動力をロック機構に伝達するワイヤとを要素とするものであり、前記連結部が、前記ワイヤを挿通するチューブであるならば、電動アクチュエータとロック機構とを空間的に引き離すことができる。そして、本体部に認証手段、認証処理起動手段や電動アクチュエータ、バッテリーないし電気回路等を集約でき、メンテナンスがより容易になる。また、ロック端部を小型にできるため、用途や適用範囲が拡がる。ここで、電動アクチュエータとは、電気エネルギーを機械エネルギーに変換して回転動作または進退動作を行う出力端を備えたものをおしなべて包括する概念である。
【0016】
前記ロック機構が、通常時はロック状態に維持されるノーマリーロック仕様のものであり、前記ロック制御手段が、前記監護対象物を持ち去ろうとする者が前記特定者であることを前記認証手段で認証した場合に、前記ロック機構を一定時間だけ前記アンロック状態に切り替えるものであるならば、特定者自身が意識的にロック機構をロック状態とする操作を行わずともよくなる。また、バッテリー切れや電気回路の故障等が起こったときにロック機構が不用意にアンロック状態とならず、セキュリティが一層向上する。
【0017】
あるいは、前記ロック機構が、一旦アンロック状態に遷移するとそのアンロック状態が維持されるとともに、施錠トリガを備え、この施錠トリガに作用する操作力を利用してアンロック状態からロック状態に切り替わるものとしてもよく、その場合には持ち出した監護対象物を再度他の物に繋留する作業が簡便となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る繋留施錠装置によれば、従前のセキュリティワイヤロックを使用するユーザが自身の手で行ってきた操作手順の少なくとも一部を肩代わりして自動化することから、ユーザに煩わしさを強いることがなく、実効的なセキュリティ向上が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本実施形態の繋留施錠装置1は、ノートブック型コンピュータ、外付けハードディスクドライブ等の監護対象物となる可動物7を、什器、建築構造物等の他の物となる静止物8に繋留して不正な持ち出しを抑止するべく使用されるものである。図1に示すように、本実施形態の繋留施錠装置1は、繋留部材2、本体部3、連結部4及びロック端部5を主要な構成要素とする。
【0020】
繋留部材2は、長尺で撓み変形可能、かつ容易に切断し得ない材質の部材とし、その基端側を本体部3に固定している。静止物8に巻き掛けて繋止できるように、繋留部材2の先端側にはロック端部5及び連結部4をくぐらせる環状部21を設けている。
【0021】
本体部3は、ユーザ認証を実施し、可動物7を持ち出す正当な権限を有する特定者の認証に成功した場合にロックを解除して可動物7を静止物8より解き放つ機能を具現する。図2、図3、図4に示すように、本体部3は、後述するロック機構を作動させる作動力を出力する電動アクチュエータ31、電動アクチュエータ31を制御する制御モジュール32、ユーザ認証を司る認証判断モジュール33、電力を供給するバッテリー34(その種類は問わない)等をベース35に装着し、これらをカバー体36で被覆してなるものである。なお、本実施形態ではバッテリー駆動するものとしているが、外部の給電コンセントより電力供給を受ける態様を妨げない。
【0022】
本実施形態における電動アクチュエータは、出力端となるプランジャ311を突没させるソレノイド31である。このソレノイド31は、非通電時にプランジャ311を突出させ、通電時にプランジャ311を没入させる。
【0023】
制御モジュール32は、ソレノイド31に通電することでプランジャ311の没入動作を惹起するもので、図5に示すように、ソレノイド31及び認証判断モジュール33と電気的に接続している。制御モジュール32に実装しているアクチュエータ制御回路は、ユーザ認証に成功した旨を示す信号を認証判断モジュール33より受け取ったときに、ロック解除信号即ちソレノイド31に印加すべき電気信号を出力する。
【0024】
認証判断モジュール33は、予め各ユーザに供与されている認証用キー要素6と微弱無線にて無線交信し、認証の対象となる認証識別子を授受してユーザ認証を行う。認証判断モジュール33は、例えば、プロセッサ、メインメモリ、フラッシュメモリ(不揮発性メモリ)及び/またはROM(Read Only Memory)等を内包するプロセッサユニットと、アンテナ、アンプ、復調回路、変調回路等を有してなる微弱無線通信ユニットとを備えている。プロセッサによって実行されるべきプログラムは、フラッシュメモリまたはROMに格納され、その実行時にメインメモリに読み込まれ、プロセッサによって解読される。認証判断モジュール33は、当該プログラムに従ってハードウェア資源を作動し、ユーザ認証に必要な処理を実行する。認証判断モジュール33は、少なくとも、可動物7を持ち出す権限を有するユーザの認証に成功した場合に、その旨を示す信号を制御モジュール32に入力する。
【0025】
ベース35は、下向きに開口する箱体の後端壁を上方に延出させた例えば樹脂成形品である。図示例では、制御モジュール32や認証判断モジュール33等の回路基板を内部に配置し、ソレノイド31、バッテリー34等を上面に配置している。プランジャ311はソレノイド31より後方に突出しており、通電時にはソレノイド31に吸引されて前方に没入する。プランジャ311には、リンクワイヤ51を接続してある。このリンクワイヤ51は、ソレノイド31が出力する作動力をロック端部5側へ伝達するものである。
【0026】
カバー体36は、ベース35を前方、側方及び上方より遮蔽する例えば樹脂成形品であり、その後端部位をヒンジ361を介してベース35の後端壁に揺動可能に支持させている。カバー体36の下向面には、下方に突出する棒状突起362を設けてある。しかして、棒状突起362の先端近傍に、センサデバイスとして、待機電力を必要としない態様のメカニカルスイッチ37を実装している。メカニカルスイッチ37は、何人かがカバー体36を押下する操作を行ったことを検知するためのもので、押下されたカバー体36の下動に伴って降下する棒状突起362により押圧される。押圧されたメカニカルスイッチ37は、その旨を示す信号を認証判断モジュール33に入力する。
【0027】
連結部4は、本体部3とロック端部5との間に介在して両者を連結する。連結部4の基端側は、繋留部材2とともに本体部3のベース35の後端壁に固定してある。繋留部材2と同様に、連結部4も長尺で撓み変形可能、かつ容易に切断し得ない材質の部材であることが望ましい。本実施形態では、連結部4をチューブ形状とし、その内に先に述べたリンクワイヤ51を挿通している。
【0028】
ロック端部5は、可動物7に設けられた拘束部、即ち可動物7に予め形成されている溝穴71を利用して可動物7に取着される。図4、図6、図7に示すように、ロック端部5は、小形箱状をなす基体52の一端面より固定ロック爪53を突出させて設け、かつ固定ロック爪53に対して相対変位する可動ロック爪54を設けたものである。
【0029】
詳述すると、固定ロック爪53は、基体52の一端面の法線方向に延伸し、その先端で外側方に屈曲した略L字型をなすもので、一対を離間させて対向配置してある。固定ロック爪53の屈曲端部の反基体52側にはテーパ面531を形成し、さらに両固定ロック爪53の対向面を一部切り欠いている。
【0030】
他方、可動ロック爪54は、基体52の一端面の法線方向に延伸し、その先端で固定ロック爪53とは逆方向に屈曲した略L字型をなすもので、両固定ロック爪53間に収まる位置に配置してある。可動ロック爪54の屈曲端部の反基体52側にもやはりテーパ面541を形成するとともに、その端縁542を両固定ロック爪53の対向方向に沿って拡張させている。可動ロック爪54は、中間部位をピン55を介して基体52に回動可能に軸支させる。この可動ロック爪54は、図示しない付勢手段(例えば、ねじりばね)によって固定ロック爪53より離反する方向に付勢してあって、外力が作用しない状態ではロック位置X即ち固定ロック爪53に対して略平行に直立しその屈曲端部が固定ロック爪53の屈曲端部と重なり合わない位置に保たれる。
【0031】
また、連結部たるチューブ4は基体52に接合し、その内側を基体52の内部空間に連通させる。チューブ4内に挿通しているリンクワイヤ51は基体52の内部空間に導き入れ、可動ロック爪54のピン55よりも根本側の部位に直結している。リンクワイヤ51は、ソレノイド31が出力する作動力を可動ロック爪54に伝達する。ソレノイド31に通電されると、プランジャ311が没入してリンクワイヤ51を引っ張り、このリンクワイヤ51が可動ロック爪54を付勢手段による付勢力に抗して固定ロック爪53に接近する方向に回動させる。リンクワイヤ51を介して作動力の伝達を受けた可動ロック爪54は、アンロック位置Y即ち固定ロック爪53に対し傾倒してその屈曲端部が固定ロック爪53の屈曲端部と重なり合う位置に変位する。このとき、可動ロック爪54の屈曲端部の反基体52側の端縁542が、固定ロック爪53の対向面の切欠縁532に当接または近接する。
【0032】
本実施形態の繋留施錠装置1を使用して可動物7を静止物8に繋留する際には、図1に示しているように、繋留部材2を静止物8(例えば、デスクの脚)に巻き掛け、環状部21にロック端部5及び連結部4をくぐらせてから、ロック端部5を可動物7に取着する。ロック端部5を可動物7に取着するには、基体52より突出している固定ロック爪53及び可動ロック爪54を、可動物7に形成されている溝穴71に挿入すればよい。可動ロック爪54は、屈曲端部のテーパ面541と溝穴71の周縁との係わり合いにより、言い換えるならば可動ロック爪54を溝穴71に挿入しようとする力を利用して一旦アンロック位置Yに変位し、屈曲端部が溝穴71内に完全に収容されたときに再びロック位置Xに復帰する。結果、図8に示すように、固定ロック爪53及び可動ロック爪54のそれぞれの屈曲端部が抜け止めとなって、両爪53、54の抜出が阻まれるロック状態となる。なお、このときに、基体52の一端面が可動物7の溝穴71の開口する側面に密接または極近接して可動ロック爪54が外部から操作困難となるよう、固定ロック爪53及び可動ロック爪54の寸法を設計しておく。
【0033】
ロック端部5を取り外して可動物7を静止物8より解き放つには、ソレノイド31に通電してリンクワイヤ51を引っ張り可動ロック爪54をアンロック位置Yに変位させる必要がある。そして、ソレノイド31に通電するには、可動物7を持ち出そうとする者が正当な権限を有する特定者であることが認証されなくてはならない。可動物7を持ち出す権限を有しているユーザは、それぞれ認証用キー要素6を所持している。認証用キー要素6は、ロックを解除するための鍵の役目を果たす。認証用キー要素6は、例えば、図9に示すように、プロセッサ、メインメモリ、フラッシュメモリ及び/またはROM等を内包するプロセッサユニットと、アンテナ、アンプ、復調回路、変調回路等を有してなる微弱無線通信ユニットとを備えている。プロセッサによって実行されるべきプログラムは、フラッシュメモリまたはROMに格納されており、その実行時にメインメモリに読み込まれ、プロセッサによって解読される。認証用キー要素6は、当該プログラムに従ってハードウェア資源を作動し、繋留施錠装置1の本体部3の認証判断モジュール33と微弱無線にて無線交信する。認証用キー要素6は、通常、バッテリー駆動される。認証用キー要素6の外形は、特に限定されない。認証用キー要素6は、タグ状またはカード状であるとは限られず、これらよりも大きい形状(例えば、フォルダ、ファイル等)をなすものとしてもよく、これらよりも小さな形状(例えば、クリップ、リング、ステープル、チップ等)をなすものとしてもよい。
【0034】
バッテリー寿命をでき得る限り引き延ばす観点から、認証判断モジュール33が認証用キー要素6と無線交信して認証を行う機会は制限している。具体的には、何人かが所定の積極動作を行ったことを感知してはじめて、無線交信を開始するものとしている。本実施形態において、可動物7を持ち出そうとする者は、積極動作として、本体部3のカバー体36を押下する。カバー体36が押下されると、メカニカルスイッチ37がその旨を示す信号を出力する。メカニカルスイッチ37と認証判断モジュール33とは電気的に接続しており、認証判断モジュール33はメカニカルスイッチ37より送出される信号を受け取ることができる。認証判断モジュール33は、メカニカルスイッチ37が出力する信号を受け取った場合に、認証用キー要素6との無線交信及びユーザ認証を実施するプログラムルーチンを実行開始する。
【0035】
以降、ユーザ認証に関して述べる。ユーザがそれぞれ所持する認証用キー要素6には、予め認証識別子が割り当てられている。認証識別子は、ユーザ個人または複数人を包括するグループを識別するものであって、各人または各グループについて所定長(例えば、4バイト)の値としている。認証用キー要素6に実装されたフラッシュメモリまたはROMには、当該認証用キー要素6に割り当てられた認証識別子が記憶されている。
【0036】
他方、本体部3の認証判断モジュール33に実装されたフラッシュメモリまたはROMには、認証の対象となる認証識別子が記憶されている。認証の対象となる認証識別子とは、即ち可動物7を持ち出す権能を有する特定者またはグループに係る認証識別子である。
【0037】
ユーザ認証の手順を、図10、図11のフローチャートに示す。図10は、認証判断モジュール33が実行する処理手順を示しており、図11は、認証用キー要素6が実行する処理手順を示している。認証判断モジュール33は、何人かにより積極動作が行われるまで待機状態にある。メカニカルスイッチ37が出力する信号を受け取ることで積極動作を検知した認証判断モジュール33は、認証の対象となる認証識別子の一部分(例えば、後半2バイト)を含む要求信号を認証用キー要素6に向けて無線にて発信する(ステップS1)。
【0038】
要求信号を受信した(ステップS5)認証用キー要素6は、その要求信号に含まれる認証識別子の一部分が自身に割り当てられている認証識別子に内在しているか否かを判断し(ステップS6)、内在している場合には自身に割り当てられている認証識別子の残存部分(例えば、前半2バイト)を含む応答信号を認証判断モジュール33に向けて無線にて返信する(ステップS7)。内在していない場合には応答信号の返信は行わない。
【0039】
要求信号を発信した認証判断モジュール33は、認証用キー要素6より返信される応答信号の受信を待ち受ける。そして、応答信号を受信したとき(ステップS2)、その応答信号に含まれる認証識別子の残存部分が認証の対象となる認証識別子に対応しているか否かを判断し(ステップS3)、対応している場合には認証が成功したとしてロックを解除させる(ステップS4)。具体的には、特定者の認証に成功した旨を示す信号を出力して制御モジュール32に通知し、ソレノイド31に通電させる。なお、要求信号を発信した後、所定の制限時間内に、認証の対象となっている認証識別子を割り当てられた認証用キー要素6による応答信号を受信できなければ、認証の不成功、即ち正当な権限を有する特定者が近傍に存在しないとしてロックを解除しない。
【0040】
ユーザ認証の一例を、図12に示している。図示例では、正当な権限を有する特定者またはグループに係る認証識別子「00 11 22 22」が認証判断モジュール33に記憶されているとともに、当該ユーザが所持する認証用キー要素6(6K)にも記憶されている。ユーザ認証の開始にあたり、認証判断モジュール33は、認証の対象となる認証識別子の一部分たる後半2バイト「22 22」を含む要求信号を発信する。
【0041】
認証判断モジュール33と無線交信可能な位置にある認証用キー要素6(6J、6K、6L、6M、6N)は、それぞれ要求信号を受信して、応答信号を返信すべきか否かを判断する。つまり、各認証用キー要素6J、6K、6L、6M、6Nにおいて、自身が記憶している認証識別子の後半2バイトと要求信号に含まれる認証識別子の後半2バイトとが合致するか否かを判断する。これら認証用キー要素6のうち、応答信号を返信するのは、認証用キー要素6K及び6Nである。認証用キー要素6Kは、自身に割り当てられている認証識別子の残存部分たる前半2バイト「00 11」を含む応答信号を返信し、認証用キー要素6Nは、自身に割り当てられている認証識別子の前半2バイト「33 44」を含む応答信号を返信する。その他の認証用キー要素6J、6L、6Mは、応答信号を返信しない。
【0042】
しかして、認証判断モジュール33は、認証用キー要素6K及び6Nが返信する応答信号をそれぞれ受信して、最終的な認証判断を行う。本例では、認証用キー要素6Kよりもたらされた応答信号に含まれる認証識別子の前半2バイトが、認証対象である認証識別子「00 11 22 22」の前半2バイトに合致している。従って、正当な権限を有する特定者が近傍に存在しており、ロックを解除すべきと判断される。
【0043】
上記例からも明らかなように、認証判断モジュール33が発信した要求信号に対して複数の認証用キー要素6が応答することがあり得る。従って、認証用キー要素6は、ステップS7において、乱数を発生させてこれを基にウェイト時間を決定し、決定したウェイト時間が経過してから応答信号の返信を実行することが好ましい。これにより、要求信号に対して応答信号を返信する認証用キー要素6が複数あったとしても、互いに応答信号の返信タイミングをずらすことが可能となる。
【0044】
既に述べたように、ユーザ認証に成功した暁には、認証判断モジュール33がその旨を示す信号を出力する。認証判断モジュール33と制御モジュール32とは電気的に接続しており、制御モジュール32は認証判断モジュール33より送出される信号を受け取ることができる。制御モジュール32のアクチュエータ制御回路は、認証判断モジュール33が出力する信号を受け取った場合に、ソレノイド31に通電してプランジャ311を没入させ、可動ロック爪54をロック位置Xからアンロック位置Yに変位させる。結果、固定ロック爪53及び可動ロック爪54を溝穴71より抜出することが可能なアンロック状態となる。なお、制御モジュール32がソレノイド31に通電する時間は、一定時間(例えば、数秒間)に制限する。即ち、特定者による積極動作の後、ユーザ認証を経て可動ロック爪54がアンロック位置Yに変位する時間を有限とし、その時間の経過後にはソレノイド31への通電を遮断して可動ロック爪54を再びロック位置Xに復帰させる。ロック端部5を可動物7より取り外す際には、アンロック状態に切り替わる上記時間内に、固定ロック爪53及び可動ロック爪54を溝穴71より抜出する。
【0045】
総じて言えば、本体部3の認証判断モジュール33が認証手段の役割を担い、カバー体36及びメカニカルスイッチ37が解除スイッチひいては認証処理起動手段の役割を担う。並びに、制御モジュール32、ソレノイド31及びリンクワイヤ51が協働してロック制御手段の役割を担い、固定ロック爪53及び可動ロック爪54によってなるロック機構のロック/アンロック状態の切り替えを行う。
【0046】
因みに、バッテリー切れによる給電の遮断や電気回路の故障等が発生したときのために、鍵を使用して操作する手動の錠(図示せず)を本体部3に設けておくことも好ましい。この錠は、鍵を使用した操作を通じてボルトを駆動させ、ソレノイド31のプランジャ311またはリンクワイヤ51を変位させて可動ロック爪54を強制的にアンロック位置Yに変位させるものである。
【0047】
繋留施錠装置1の実際の使用法としては、例えば、就業時間中等のユーザが在席している間は認証処理及びロック解除を行い得るようにし、就業時間外や出張時等のユーザが在席していない間は図示しない電源スイッチをオフにする等してユーザ認証及びロック解除が行われないようにすることが考えられる。
【0048】
本実施形態によれば、可動の監護対象物7を他の物8を繋留するためのものとして、前記他の物8への接続に用いられる繋留部材2と、前記繋留部材2を前記監護対象物7に設けられた拘束部71より離脱し得ないようロックするロック状態と繋留部材2を前記拘束部71より離脱し得るよう解放するアンロック状態との間で作動するロック機構と、前記監護対象物7及び前記他の物8の関与を受けることなく、前記監護対象物7を持ち去ろうとする者がこの監護対象物7に対する正当な権限を有する特定者であるか否かを認証する認証手段と、前記監護対象物7を持ち去ろうとする者が前記特定者であることを前記認証手段で認証した場合に、前記ロック機構を自動的に前記アンロック状態に切り替えるロック制御手段とを具備した繋留施錠装置1を構成したため、このようなものであれば、ユーザが自身の手で行ってきた操作の少なくとも一部を肩代わりして自動化してくれることから、ユーザに煩わしさを強いることがなく、実効的なセキュリティ向上に大いに寄与し得る。また、認証判断モジュール33がユーザ認証処理を監護対象物7及び他の物8の各々から独立した形で実行することから、監護対象物7やこれを繋いでおく物8を選ばないという優れた効用がもたらされる。
【0049】
前記認証手段が、微弱無線通信を利用した認証識別子の授受を通じて前記特定者を認証するものであるため、ロックを解除しようとするユーザがロック機構や認証手段に対し自身の手で行う手動操作を省くことができる。
【0050】
前記特定者の動作に起因して前記認証手段による認証処理を実行開始させる認証処理起動手段をさらに具備しているため、特定者または特定者以外の者による積極動作が感知されない限り無線交信及び認証処理が発生しない。よって、電力消費を可及的に抑制することができる。また、限定された空間領域内を電磁波が頻繁に伝搬する状況を回避でき、電磁波障害を予防することにもつながる。
【0051】
前記認証処理起動手段は、前記ロック機構によるロックを解除しようとする者によって操作される解錠スイッチを要素とするため、簡便である。
【0052】
前記解除スイッチが、上下動可能に支持され少なくとも前記認証手段を包囲するカバー体36と、前記カバー体36が押下されたことを検知するセンサデバイス37とを備えてなり、カバー体36が押下された場合に認証手段による認証処理を実行開始させるものであるため、認証判断モジュール33、制御モジュール32、ソレノイド31等を保護しつつカバー体36を大きくすることができ、より操作しやすいものとなる。
【0053】
少なくとも前記認証手段及び前記認証処理起動手段を有する本体部3と前記ロック機構を有するロック端部5との間に、両者を連結する変形可能な連結部4を介在させているため、当該繋留施錠装置1の配設位置の柔軟性が確保され、利便性が向上する。
【0054】
前記ロック制御手段が、前記ロック機構を作動させるための作動力を出力する電動アクチュエータ31と、電動アクチュエータ31が出力する作動力をロック機構に伝達するリンクワイヤ51とを要素とするものであり、前記連結部が、前記リンクワイヤ51を挿通するチューブ4であるならば、電動アクチュエータ31とロック機構とを空間的に引き離すことができる。そして、本体部3に認証判断モジュール33、制御モジュール32、メカニカルスイッチ37、電動アクチュエータ31、バッテリー34ないし電気回路等を集約でき、メンテナンスがより容易になる。また、ロック端部5を小型にできるため、用途や適用範囲が拡がる。加えて、認証判断モジュール33が認証用キー要素6と無線交信して認証処理を実施することから、ユーザ認証時には両者をある程度接近させる必要に迫られるが、カバー体36の内側に認証判断モジュール33を配置していることで、ユーザがこれを押下する際に自然に認証判断モジュール33と認証用キー要素6とを接近させることが可能となる。
【0055】
前記ロック機構が、通常時はロック状態に維持されるノーマリーロック仕様のものであり、前記ロック制御手段が、前記監護対象物7を持ち去ろうとする者が前記特定者であることを前記認証手段で認証した場合に、前記ロック機構を一定時間だけ前記アンロック状態に切り替えるものであるため、特定者自身が意識的にロック機構をロック状態とする操作を行わずともよくなる。また、バッテリー切れや電気回路の故障等が起こったときにロック機構が不用意にアンロック状態とならず、セキュリティが一層向上する。
【0056】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。まず、ユーザ認証処理を起動するきっかけとなる認証処理起動手段は、手指で操作される解除スイッチを要素とするものには限られない。上記実施形態における解除スイッチ(カバー体36及びメカニカルスイッチ37)に替えて、人感センサ(図示せず。赤外線センサ、超音波センサ等)を本体部3等に設けて、人感センサの近傍に何人かの存在を検知したときに認証処理を実行開始するようにしてもよい。このようなものであれば、ユーザ自身が解除スイッチを操作する手間をも省くことができる。さらに、解除スイッチに替えて、何人かが監護対象物7を操作する動作を検知する動作検知センサ(図示せず。振動センサ、加速度センサ、傾斜センサ等)をロック端部5等に設けることも考えられる。動作検知センサをロック端部5等に実装する場合、この動作検知センサと認証判断モジュール33との電気的接続には例えばチューブ4内の中空通路を利用すればよい。
【0057】
ユーザ認証の方式は、認証判断モジュール33と認証用キー要素6との無線交信による認証識別子の授受には限られない。指紋認証等のバイオメトリクスを採用してもよく、あるいはその他の既知の方式を採用しても構わない。
【0058】
次に、監護対象物7側の拘束部は、監護対象物7に予め形成されているセキュリティスロット等であるとは限られない。ノートブック型コンピュータ等のセキュリティスロットに既製のワイヤロック72を取着している場合に、このワイヤロック72の先端側に設けられている環状部721を拘束部として繋留施錠装置1を適用することも可能である。例えば、図13に示すように、繋留施錠装置1の本体部3等にセキュリティスロットに相似する溝穴351を形成しておけば、ロック端部5及び連結部4をワイヤロック72の環状部721にくぐらせてそのロック爪53、54を溝穴351に係わり合わせることによりロック端部5を本体部3に取着し、監護対象物7を繋留し得る。本例におけるロック機構は、本体部3に形成した溝穴351を利用する点を除き、上記実施形態と同等である。このように、監護対象物7側の拘束部が既製のワイヤロック72等である場合には、繋留施錠装置1の監護対象物7に対する相対位置を(既製のワイヤロック72の態様によって)変更し得る。
【0059】
あるいは、図14に示すように、既製のワイヤロック72の環状部721に挿通されてこれを繋止するロック位置Xとワイヤロック72の抜出を許容するアンロック位置Yとの間で変位するロックボルト38を主体とするロック機構を構成してもよい。本例では、ワイヤロック72の環状部721を差し入れることができるスリット352を繋留施錠装置1の本体部3等に成形し、かつスリット352の対向面間で突没進退するロックボルト38を設けている。ロックボルト38における、スリット352の開口側の側面には、テーパ面381を形成してある。また、ばね382等の付勢手段によりロックボルト38をロック位置Xに向かう方向に付勢するとともに、その付勢力に抗してロックボルト38をアンロック位置Yに変位させる作動力を出力する電動アクチュエータ(特に、ソレノイド)31を実装しておく。認証判断モジュール33によるユーザ認証が成功し、制御モジュール32が電動アクチュエータ31に電気信号を印加する一定時間、ロックボルト38はアンロック位置Yに退避してアンロック状態となる。制御モジュール32が電動アクチュエータ31に電気信号を印加していないときには、ロックボルト38がロック位置Xに復帰してロック状態となる。つまり、本例のロック機構も、通常時にはロック状態に維持されるノーマリーロック仕様である。監護対象物7の繋留に際しては、監護対象物7に取着したワイヤロック72の環状部721をスリット352内に差し入れる。環状部721がテーパ面381に押し当てられると、その力でロックボルト38がロック位置Xからアンロック位置Yに向けて変位する。環状部721がロックボルト38を挿通し得る位置に至ると、ロックボルト38が再びロック位置Xに戻ってワイヤロック72を繋止する。因みに、このロックボルト38で、他の物8に接続する繋留部材2の環状部21をも繋止することができる。
【0060】
さらには、非ノーマリーロック仕様のロック機構を構成することも考えられる。図15に示す例は、スリット352内に差し入れたワイヤロック72の環状部721が施錠トリガ39に係合してこれを駆動したときに、はじめてロックボルト38がロック位置Xに変位してワイヤロック72を繋止するものである。本例では、アンロック位置Yに変位したロックボルト38をアンロック位置Yに止めておくメカストッパー391を設け、かつ施錠トリガ39に作用する操作力をメカストッパー391を解除する力に変換する機構を構築している。一旦ロック状態からアンロック状態に遷移したロック機構は、施錠トリガ39が駆動されない限りアンロック状態を保ち続ける。監護対象物7の繋留に際しては、やはり監護対象物7に取着したワイヤロック72の環状部721をスリット352内に差し入れる。環状部721が施錠トリガ39に押し当てられると、ばね392の付勢力に抗して施錠トリガ39が移動してメカストッパー391が解除され、アンロック位置Yに止められていたロックボルト38がロック位置Xに変位する。このようなものであると、持ち出した監護対象物7を再び他の物8に繋留するときに便利である。
【0061】
その他、各部の具体的構成や詳細な処理手順等は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態の繋留施錠装置を示す斜視図。
【図2】同実施形態の繋留施錠装置の本体部を示す要部斜視図。
【図3】同要部側断面図。
【図4】同実施形態の繋留施錠装置の本体部、連結部、ロック端部を示す要部側断面図。
【図5】同実施形態における認証判断モジュール、制御モジュールのハードウェア資源構成図。
【図6】同実施形態の繋留施錠装置のロック端部を示す要部斜視図。
【図7】同要部分解斜視図。
【図8】可動物の拘束部にロック端部を取着した状態を示す要部断面図。
【図9】同実施形態における認証用キー要素のハードウェア資源構成図
【図10】認証判断モジュールが実行する処理の手順を示すフローチャート。
【図11】認証用キー要素が実行する処理の手順を示すフローチャート。
【図12】無線交信方式による本人認証の実施例を示す図。
【図13】本発明の変形例の一を示す斜視図。
【図14】本発明の変形例の一を示す要部側断面図。
【図15】本発明の変形例の一を示す要部側断面図。
【符号の説明】
【0063】
1…繋留施錠装置
2…繋留部材
3…本体部
31…電動アクチュエータ
32…制御モジュール
33…認証判断モジュール
36…カバー体
37…センサデバイス
39…施錠トリガ
4…連結部
5…ロック端部
51…ワイヤ
54…可動ロック爪
7…可動物
71…拘束部
8…静止物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監護対象物を他の物に繋留するためのものであって、
前記他の物への接続に用いられる繋留部材と、
前記繋留部材を前記監護対象物に設けられた拘束部より離脱し得ないようロックするロック状態と繋留部材を前記拘束部より離脱し得るよう解放するアンロック状態との間で作動するロック機構と、
前記監護対象物及び前記他の物の関与を受けることなく、監護対象物を持ち去ろうとする者がこの監護対象物に対する正当な権限を有する特定者であるか否かを認証する認証手段と、
前記監護対象物を持ち去ろうとする者が前記特定者であることを前記認証手段で認証した場合に、前記ロック機構を自動的に前記アンロック状態に切り替えるロック制御手段と
を具備してなる繋留施錠装置。
【請求項2】
前記認証手段は、微弱無線通信を利用した認証識別子の授受を通じて前記特定者を認証するものである請求項1記載の繋留施錠装置。
【請求項3】
前記特定者の動作に起因して前記認証手段による認証処理を実行開始させる認証処理起動手段をさらに具備する請求項1または2記載の繋留施錠装置。
【請求項4】
前記認証処理起動手段は、前記ロック機構によるロックを解除しようとする者によって操作される解錠スイッチを要素とするものである請求項3記載の繋留施錠装置。
【請求項5】
前記解除スイッチは、上下動可能に支持され少なくとも前記認証手段を包囲するカバー体と、前記カバー体が押下されたことを検知するセンサデバイスとを備えてなり、カバー体が押下された場合に認証手段による認証処理を実行開始させるものである請求項4記載の繋留施錠装置。
【請求項6】
前記認証処理起動手段は、前記ロック機構によるロックを解除しようとする者の存在を検知する人感センサを要素とするものである請求項3記載の繋留施錠装置。
【請求項7】
前記認証処理起動手段は、前記ロック機構によるロックを解除しようとする者が可動物を操作する動作を検知する動作検知センサを要素とするものである請求項3記載の繋留施錠装置。
【請求項8】
少なくとも前記認証手段及び前記認証処理起動手段を有する本体部と前記ロック機構を有するロック端部との間に、両者を連結する変形可能な連結部を介在させている請求項3、4、5、6または7記載の繋留施錠装置。
【請求項9】
前記ロック制御手段は、前記ロック機構を作動させるための作動力を出力する電動アクチュエータと、電動アクチュエータが出力する作動力をロック機構に伝達するワイヤとを要素とするものであり、
前記連結部は、前記ワイヤを挿通するチューブである請求項8記載の繋留施錠装置。
【請求項10】
前記ロック機構は、通常時はロック状態に維持されるように構成されたものであり、
前記ロック制御手段は、前記監護対象物を持ち去ろうとする者が前記特定者であることを前記認証手段で認証した場合に、前記ロック機構を一定時間だけ前記アンロック状態に切り替えるものである請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の繋留施錠装置。
【請求項11】
前記ロック機構は、一旦アンロック状態に遷移するとそのアンロック状態が維持されるとともに、施錠トリガを備え、この施錠トリガに作用する操作力を利用してアンロック状態からロック状態に切り替わるように構成されたものである請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の繋留施錠装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2006−241758(P2006−241758A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−56636(P2005−56636)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】