説明

置換テトラサイクリン化合物を合成するための方法

【課題】置換テトラサイクリン化合物を合成するための方法を提供すること。
【解決手段】カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物を合成するための方法であって、前記カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物が合成されるように、テトラサイクリン反応中間体を、一酸化炭素、パラジウム触媒、ホスフィン配位子、シランおよび塩基と適切な条件下で反応させることを含む方法。パラジウム触媒は、PdCl2(tBu2PhP)2ジクロロビス(ジ−tert−ブチルフェニルホスフィンパラジウム(II)]またはPdCl2(DPEPhos)[ビス(ジフェニルホスフィノフェニル)エーテルパラジウム(II)クロリド]から選択される。テトラサイクリン反応中間体は、ハロゲン類およびトリフラート類から選択される部分を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2007年7月6日に出願された米国仮特許出願第60/948,385号、および2008年6月10日に出願された米国仮特許出願第61/060,351号の利益を主張し、この米国仮特許出願の各々の全体の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
テトラサイクリン系抗生物質の開発は、殺菌性および/または静菌性組成物を生成することができる微生物の証拠用に世界の多くの地域から収集された土壌試料の系統的スクリーニングの直接の結果であった。これら新規化合物の第1号は、クロロテトラサイクリンの名で1948年に導入された。2年後、オキシテトラサイクリンが入手可能となった。これらの化合物の化学構造の解明により、それら化合物の類似性が確認され、1952年にこの群の第3のメンバー、テトラサイクリンの生成のための解析的基礎が提供された。早期のテトラサイクリンには存在する環に結合したメチル基がない新たなテトラサイクリン化合物群が1957年に調製され、1967年に公的に入手可能となり、ミノサイクリンが1972年から使用された。
【0003】
最近、研究の努力は、様々な治療条件および投与経路の下で有効な新たなテトラサイクリン抗生物質組成物を開発することに焦点を合わせている。最初に紹介したテトラサイクリン化合物に匹敵する、または最初に紹介したテトラサイクリン化合物よりも効果的であることがわかる新たなテトラサイクリン類似体も調査されている。例として、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10および特許文献11が挙げられる。これらの特許は、医薬的に活性なテトラサイクリンおよびテトラサイクリン類似体組成物の範囲を代表している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第2,980,584号明細書
【特許文献2】米国特許第2,990,331号明細書
【特許文献3】米国特許第3,062,717号明細書
【特許文献4】米国特許第3,165,531号明細書
【特許文献5】米国特許第3,454,697号明細書
【特許文献6】米国特許第3,557,280号明細書
【特許文献7】米国特許第3,674,859号明細書
【特許文献8】米国特許第3,957,980号明細書
【特許文献9】米国特許第4,018,889号明細書
【特許文献10】米国特許第4,024,272号明細書
【特許文献11】米国特許第4,126,680号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
歴史的には、それらテトラサイクリンの最初の開発および紹介の後間もなく、テトラサイクリンは、リケッチア、多くのグラム陽性およびグラム陰性菌、ならびに性病性リンパ肉芽腫、封入体性結膜炎およびオウム病に関与する病原体に対して医薬的に非常に有効であることがわかった。したがって、テトラサイクリンは、「広域」抗生物質として知られるようになった。それらテトラサイクリンの生体外抗菌作用、実験感染における有効性および薬理学的性質のその後の確立により、一群としてのテトラサイクリンは、治療目的で急速に広く使用されるようになった。しかしながら、大小の疾病に対しても大小の疾患に対してもテトラサイクリンをこのように広範囲に使用することにより、非常に感受性の高い片利共生および病原性の両細菌種(例えば、肺炎球菌およびSalmonella)の間でさえも、これらの抗生物質に対する耐性が直接出現した。テトラサイクリン耐性微生物の台頭により、最適な抗生物質としてのテトラサイクリンおよびテトラサイクリン類似体組成物の使用が全般的に落ち込んでいる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、一般的に置換テトラサイクリン化合物を合成するための方法に関する。一実施形態においては、本発明は少なくとも部分的に、カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物が合成されるように、テトラサイクリン反応中間体を、一酸化炭素、パラジウム触媒、ホスフィン配位子、シランおよび塩基と適切な条件下で反応させることによって、カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物を合成するための方法に関する。一部の諸実施形態においては、カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物が7−、9−および/または10−カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物である。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物を合成するための方法であって、前記カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物が合成されるように、テトラサイクリン反応中間体を、一酸化炭素、パラジウム触媒、ホスフィン配位子、シランおよび塩基と適切な条件下で反応させることを含む方法。
(項目2)
前記カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物が7−、9−および/または10−カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記テトラサイクリン反応中間体が、ハロゲン化テトラサイクリン中間体またはトリフラート置換テトラサイクリン中間体である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記ハロゲン化テトラサイクリン中間体が、ヨウ素置換テトラサイクリン中間体、塩素置換テトラサイクリン中間体、臭素置換テトラサイクリン中間体、ヨウ素および塩素置換テトラサイクリン中間体あるいは臭素およびヨウ素置換テトラサイクリン中間体である、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記ハロゲン化テトラサイクリン中間体が、7−ヨードサンサイクリン、9−ヨードドキシサイクリン、7−クロロ−9−ヨードサンサイクリンまたは7−ブロモ−9−ヨードサンサイクリンである、項目4に記載の方法。
(項目6)
置換テトラサイクリン化合物を合成する方法であって、パラジウム触媒カップリング条件、水素化分解条件または還元的アミノ化条件下で、項目1に記載の前記カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物を反応させることを含む方法。
(項目7)
前記反応テトラサイクリン中間体は、第1の反応部分がカルボキシアルデヒド置換基で置き換えられ、第2の反応部分が未反応であるように、第1の位置で前記第1の反応部分により置換され、第2の位置で前記第2の反応部分により置換されている、項目1に記載の方法。
(項目8)
水素化分解条件またはパラジウム触媒カップリング条件下で前記第2の反応部分を反応させるステップをさらに含む、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記第1および第2の反応部分が、ハロゲン類およびトリフラート類から選択される、項目7に記載の方法。
(項目10)
前記カルボキシアルデヒド置換基を還元的アミノ化条件下でさらに反応させて、アミノメチル置換テトラサイクリン化合物を生成し、前記第2の反応部分をパラジウムカップリング条件下または水素化分解条件下でさらに反応させる、項目7に記載の方法。
(項目11)
前記アミノメチル置換テトラサイクリン化合物が、7−または9−アミノメチル置換テトラサイクリン化合物である、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記第1の反応部分がヨウ素であり、前記第2の反応部分が臭素である、項目7に記載の方法。
(項目13)
前記反応テトラサイクリン中間体が7−ブロモ−9−ヨードサンサイクリンである、項目7に記載の方法。
(項目14)
カルボキシアルデヒド置換ミノサイクリン化合物を合成するための方法であって、前記カルボキシアルデヒド置換ミノサイクリン化合物が合成されるように、ミノサイクリン反応中間体を、一酸化炭素、パラジウム触媒、シランおよび塩基と適切な条件下で反応させることを含む方法。
(項目15)
前記ミノサイクリン反応中間体が9−ハロゲン化ミノサイクリン中間体である、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記ハロゲン化ミノサイクリン中間体が、ヨウ素置換ミノサイクリン中間体、塩素置換ミノサイクリン中間体または臭素置換ミノサイクリン中間体である、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記パラジウム触媒がPdCl(tBuPhP)ジクロロビス(ジ−tert−ブチルフェニルホスフィンパラジウム(II)]またはPdCl(DPEPhos)[ビス(ジフェニルホスフィノフェニル)エーテルパラジウム(II)クロリド]である、項目14に記載の方法。
(項目18)
置換ミノサイクリン化合物を合成する方法であって、パラジウム触媒カップリング条件、水素化分解条件または還元的アミノ化条件下で、項目14に記載の前記カルボキシアルデヒド置換ミノサイクリン化合物を反応させることを含む方法。
(項目19)
アミノメチル置換ミノサイクリン化合物を合成するための方法であって、還元的アミノ化条件下で、項目14に記載の前記カルボキシアルデヒドミノサイクリンを反応させるステップを含む方法。
(項目20)
前記アミノメチル置換ミノサイクリン化合物が、9−アミノメチル置換ミノサイクリン化合物である、項目19に記載の方法。
【0007】
例えば、テトラサイクリン中間体は、ハロゲン化テトラサイクリン中間体またはトリフラート置換テトラサイクリン中間体である。例として、ヨウ素置換テトラサイクリン中間体、塩素置換テトラサイクリン中間体、臭素置換テトラサイクリン中間体、ヨウ素および塩素置換テトラサイクリン中間体あるいは臭素およびヨウ素置換テトラサイクリン中間体が挙げられる。一実施形態においては、化合物が10−トリフラート置換テトラサイクリン中間体である。他の典型的な中間体として、7−ヨードサンサイクリン、9−ヨードドキシサイクリン、7−クロロ−9−ヨードサンサイクリンまたは7−ブロモ−9−ヨードサンサイクリンが挙げられる。
【0008】
一実施形態においては、この方法が、非極性溶媒などの溶媒中でカルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物を沈殿させるステップをさらに含む。非極性溶媒の例としては、ジエチルエーテル、MBTE、ヘプタンおよびこれらの組合せが挙げられる。
【0009】
一部の諸実施形態においては、この方法が、パラジウム触媒カップリング条件、水素化分解条件または還元的アミノ化条件下で、カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物を反応させることをさらに含む。
【0010】
別の実施形態においては、本発明は少なくとも部分的に、置換テトラサイクリン化合物を合成するための方法に関する。この方法は、反応テトラサイクリン中間体を、一酸化炭素、パラジウム触媒、ホスフィン配位子、シランおよび塩基と適切な条件下で反応させることを含む。反応テトラサイクリン中間体は、第1の反応部分がカルボキシアルデヒド置換基で置き換えられ、第2の反応部分が未反応であるように、第1の位置で第1の反応部分により置換され、第2の位置で第2の反応部分により置換されている。典型的には、これら第1および第2の反応部分が、ハロゲン類およびトリフラート類から選択される。例えば、第1の反応部分がヨウ素であり、第2の反応部分が臭素である。一実施形態においては、反応テトラサイクリン中間体が7−ブロモ−9−ヨードサンサイクリンである。
【0011】
一実施形態においては、この方法が、非極性溶媒などの溶媒中でカルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物を沈殿させるステップをさらに含む。非極性溶媒の例としては、ジエチルエーテル、MBTE、ヘプタンおよびこれらの組合せが挙げられる。
【0012】
一部の諸実施形態においては、この方法がさらに、水素化分解条件またはパラジウム触媒カップリング条件下で第2の反応部分を反応させるステップを含む。
【0013】
一部の諸実施形態においては、カルボキシアルデヒド置換基を還元的アミノ化条件下でさらに反応させて、アミノメチル置換テトラサイクリン化合物を生成し、第2の反応部分をパラジウムカップリング条件下または水素化分解条件下でさらに反応させる。例えば、アミノメチル置換テトラサイクリン化合物は、7−または9−アミノメチル置換テトラサイクリン化合物である。
【0014】
本発明は、アミノメチル置換テトラサイクリン化合物を合成するための方法にも関する。この方法は、反応テトラサイクリン中間体を、一酸化炭素、パラジウム触媒、ホスフィン配位子、シランおよび塩基と適切な条件下で反応させるステップa)であって、反応テトラサイクリン中間体が、第1の位置で第1の反応部分により置換され、第2の位置で第2の反応部分により置換され、第1の反応部分がカルボキシアルデヒド置換基で置き換えられるステップa)と、還元的アミノ化条件下でカルボキシアルデヒド置換基を反応させるステップb)と、パラジウムカップリング条件下または水素化分解条件下で第2の反応部分を反応させるステップc)とを含む。
【0015】
例えば、第1の反応部分がヨウ素であり、第2の反応部分が臭素である。一実施形態においては、反応テトラサイクリン中間体が7−ブロモ−9−ヨードサンサイクリンである。例えば、アミノメチル置換テトラサイクリン化合物は、7−または9−アミノメチル置換テトラサイクリン化合物である。
【0016】
一実施形態においては、この方法が、非極性溶媒などの溶媒中でカルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物を沈殿させるステップをさらに含む。非極性溶媒の例としては、ジエチルエーテル、MBTE、ヘプタンおよびこれらの組合せが挙げられる。
【0017】
一部の諸実施形態においては、本発明の方法はさらに、一酸化炭素、パラジウム触媒、ホスフィン配位子、シランおよび塩基と共にルイス酸を添加することを含む。例えば、ルイス酸はInClである。一部の諸実施形態においては、トリアルキルアミン塩基の存在下でルイス酸を使用する。
【0018】
パラジウム触媒の一例は、Pd(OAc)である。ホスフィン配位子の一例は、キサントホスなどのキサントホス配位子である。シランの例としては、PhSiHおよびEtSiHが挙げられる。塩基の例としては、カーボネート塩基およびトリアルキルアミン塩基が挙げられる。例えば、この塩基は炭酸ナトリウムまたはジイソプロピルエチルアミンでよい。
【0019】
本発明の様々な諸実施形態において、置換テトラサイクリン化合物は、少なくとも収率約90%で合成される。他の例においては、置換テトラサイクリン化合物は収率約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%で合成される。
【0020】
本発明は一般に、置換ミノサイクリン化合物を合成するための方法に関する。一実施形態においては、本発明は少なくとも部分的に、カルボキシアルデヒド置換ミノサイクリン化合物が合成されるように、ミノサイクリン反応中間体を、一酸化炭素、パラジウム触媒、シランおよび塩基と適切な条件下で反応させることによって、カルボキシアルデヒド置換ミノサイクリン化合物を合成するための方法に関する。
【0021】
例えば、パラジウム触媒は、PdCl(tBuPhP)ジクロロビス(ジ−tertブチルフェニルホスフィンパラジウム(II)]またはPdCl(DPEPhos)[ビス(ジフェニルホスフィノフェニル)エーテルパラジウム(II)クロリド]である。
【0022】
一実施形態においては、シランはEtSiHである。一実施形態においては、塩基がカーボネート塩基、例えば炭酸ナトリウムである。
【0023】
一実施形態においては、この方法が、非極性溶媒などの溶媒中でカルボキシアルデヒド置換ミノサイクリン化合物を沈殿させるステップをさらに含む。非極性溶媒の例としては、ジエチルエーテル、MBTE、ヘプタンおよびこれらの組合せが挙げられる。
【0024】
例えば、ミノサイクリン反応中間体が、ヨウ素置換ミノサイクリン中間体、塩素置換ミノサイクリン中間体、または臭素置換ミノサイクリン中間体などのハロゲン化ミノサイクリン中間体である。例えば、この化合物は9−ハロゲン化ミノサイクリンである。一例が9−ヨウ素ミノサイクリンである。
【0025】
例えば、パラジウム触媒は、PdCl(tBuPhP)ジクロロビス(ジ−tertブチルフェニルホスフィンパラジウム(II)]またはPdCl(DPEPhos)[ビス(ジフェニルホスフィノフェニル)エーテルパラジウム(II)クロリド]である。
【0026】
一実施形態においては、シランはEtSiHである。一実施形態においては、塩基がカーボネート塩基、例えば炭酸ナトリウムである。
【0027】
さらに別の実施形態においては、本発明は少なくとも部分的に、パラジウム触媒カップリング条件、水素化分解条件または還元的アミノ化条件下で、カルボキシアルデヒド置換ミノサイクリン化合物を反応させることによって置換ミノサイクリン化合物を合成するための方法に関する。
【0028】
本発明はまた、少なくとも部分的に、アミノメチル置換ミノサイクリン化合物を合成するための方法にも関する。この方法は、反応ミノサイクリン中間体を、一酸化炭素、パラジウム触媒、シランおよび塩基と適切な条件下で反応させて、カルボキシアルデヒド置換ミノサイクリンを形成するステップa)と、還元的アミノ化条件下でカルボキシアルデヒド置換ミノサイクリンを反応させて、アミノメチル置換ミノサイクリン化合物を形成するステップb)とを含む。
【0029】
一実施形態においては、アミノメチル置換ミノサイクリン化合物が、9−アミノメチル置換ミノサイクリン化合物である。
【0030】
例えば、パラジウム触媒は、PdCl(tBuPhP)ジクロロビス(ジ−tertブチルフェニルホスフィンパラジウム(II)]またはPdCl(DPEPhos)[ビス(ジフェニルホスフィノフェニル)エーテルパラジウム(II)クロリド]である。
【0031】
一実施形態においては、シランはEtSiHである。一実施形態においては、塩基がカーボネート塩基、例えば炭酸ナトリウムである。
【0032】
一実施形態においては、この方法が、非極性溶媒などの溶媒中でカルボキシアルデヒド置換ミノサイクリン化合物を沈殿させるステップをさらに含む。非極性溶媒の例としては、ジエチルエーテル、MBTE、ヘプタンおよびこれらの組合せが挙げられる。
【0033】
一実施形態においては、置換ミノサイクリン化合物の純度が少なくとも約51%である。例えば、置換ミノサイクリン化合物の純度は約55%、60%、65%、69%または70%である。
【0034】
本発明では、例えば化合物1などの9−アミノ−メチル−置換ミノサイクリンの合成向けに効率的な経路が特定される。
【0035】
【化1】

【発明を実施するための形態】
【0036】
(発明の詳細な説明)
テトラサイクリン群の治療薬におけるD環部位のレジオ選択的官能化は、実用的な合成法の開発において克服すべき大きな障害となっている。選択的官能化により実現することができる化学的多様性は、医薬的に興味深い新規化合物の発見において大きな影響を及ぼすことがある。テトラサイクリン類のD環の位置C7およびC9へのレジオ選択的化学「ハンドル(handle)」の取付けにおける従来の技法は、典型的に一時的な保護基または他の官能基(例えば、NH基)の使用を伴うが、この基はレジオ選択性、収率および実用性の点で大きな欠点を有することがある。その点において、これらの問題を克服することができ、また既に確立されている変換(well−established transformation)を補完することができる方法の必要性が、新しい化学的に多様なテトラサイクリン化合物の開発に大きな利益をもたらすはずである。
【0037】
パラジウムカップリング反応の開発における進歩は、特にD環の位置C7およびC9における、実際のテトラサイクリンの誘導体化に大きな影響を及ぼす。テトラサイクリン類の実際の大規模なカルボキシアルデヒド官能化は、現在の方法がプロセススケールで助けとならないため、大きな障害に直面している。位置C7およびC9においてカルボキシアルデヒドで置換されたテトラサイクリン化合物は、広範囲にわたるライブラリーの合成において重要な中間体であるため、プロセススケールで助けとなる改善された方法の必要性が最重要事項である。テトラサイクリン類の従来のカルボニル化では、還元剤としてBuSnHを使用するが、この方法にはプロセススケールで大きな欠点があり、通常この方法の使用は医薬品の合成においては避けられる。その点において、スズベースの試薬に固有の問題を克服することができる代替の還元剤、パラジウム触媒および添加剤を使用するプロセスを開発することが重要である。
【0038】
パラジウム触媒カルボニル化におけるシリコンベースの還元剤の使用は、有機スズ還元剤の実行可能な代替案である。コストの点で、シリコンベースの還元剤はBuSnHに代わる魅力的な代替品であり、テトラサイクリン化合物を伴うカルボキシアルデヒド形成において満足できるものであることがわかっている。BuSnH法の条件と同様の条件を使用すると、所望のカルボキシアルデヒドテトラサイクリン化合物を高収率で得ることができる。シリコンベースの還元剤は、BuSnH反応においてかなりの程度観測される早期の還元副生成物よりも所望のカルボキシアルデヒドの形成が非常に促進され、BuSnHと比較して良質を示す。さらに、位置C4のエピマー化の発生が、テトラサイクリンの誘導体化において大きな問題となっており、全収率を減少させる際に甚大な影響を及ぼすことがある。キレートルイス酸の添加剤としての使用により、エピマー化を防止することができ、保護作用が示される。
【0039】
BuSnH法における従来の水系ワークアップ(aqueous workup)により、典型的にはいくらかの分解および高速エピマー化が生じ、さらに全収率を減少させる際に悪影響が組み合わされる。したがって、従来の有機スズ法と比較してシリコンベースの還元剤を使用する際の別の改善された進展は、非極性溶媒中での所望の生成物の分離しやすさにあり、それにより時間のかかるクロマトグラフィが回避される。
【0040】
置換テトラサイクリンを合成するためのこの新たな方法では、毒性の少ない還元剤を使用し、また触媒使用量も少なく、所望のエピマー純度および収率で生成物がもたらされる。向上した収率、より優れた毒性プロファイルおよび削減された労務費の組合せは、置換テトラサイクリンのプロセススケールの合成に甚大な影響を及ぼすはずである。
【0041】
スズベースの試薬に固有の問題を克服することができる代替の還元剤を調査した。容易に入手可能なヨードテトラサイクリンは、テトラサイクリンカルボキシアルデヒドへの転化のための物質である。C10トリフラート中間体を介して、同じ触媒カルボニル化反応を用いてC10位をカルボキシアルデヒド官能基に転移させる。
【0042】
例えば、Pd(OAc)から得られる触媒と、配位子キサントホスとを、数種の一般的なシランを用いるホルミル化プロセスにおいて使用する。スズの方法と同様の条件下で様々なシリコン試薬を使用して、所望のカルボキシアルデヒドテトラサイクリンを単純なワークアップにより高収率で生成することができる。カルボキシアルデヒドの形成が有利であるという属性により収率が著しく向上し、反応時間がより短くなり、これにより所望の生成物のエピマー化が回避される。MTBEとヘプタンとの混合物中で生成物を沈殿させることによって、生成物を許容可能な純度で容易に分離することができる。このワークアップにより面倒なろ過およびクロマトグラフィが回避され、水系ワークアップにより、BuSnH法においてよりも分解およびエピマー化が少なくなる(それにより収率が向上する)。向上した収率、より優れた毒性プロファイルおよび削減された労務費の組合せは、カルボキシアルデヒドテトラサイクリンのプロセス合成に甚大な影響を及ぼすはずである。
【0043】
9−ヨードミノサイクリンについてパラジウム触媒カルボニル化反応を行った。これにより、エピマー化が生じても少しのエピマー化で高収率が得られた。以下の、7−ヨードササイクリン、9−ヨードドキシサイクリン、7−クロロ−9−ヨードサンサイクリン、7−ブロモ−9−ヨードサンサイクリン、ならびに他のC7およびまたはC9の組合せのテトラサイクリンを含めたヨードテトラサイクリンから、数多くの他のカルボキシアルデヒドテトラサイクリンを生成することもできる。7−ブロモ−9−ヨードサンサイクリンの場合、C7のブロモ基が指示した条件下で未反応である場合に、C9のヨード基がレジオ選択的にカルボニル化されている。この反応は優れた収率で進行し、医薬的に興味深い様々な新規化合物の調製において有用な中間体である7−ブロモ−9−カルボキシアルデヒドサンサイクリン化合物が生成される。
【0044】
本発明は一般に、置換テトラサイクリン化合物を合成する方法に関する。一実施形態においては、本発明は少なくとも部分的に、カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物を合成するための方法に関する。
【0045】
本発明は一般に、置換ミノサイクリン化合物を合成する方法に関する。一実施形態においては、本発明は少なくとも部分的に、カルボキシアルデヒド置換ミノサイクリン化合物を合成するための方法に関する。
【0046】
用語「テトラサイクリン化合物」には、置換または無置換テトラサイクリン化合物またはテトラサイクリンと類似の環構造を有する化合物が含まれる。テトラサイクリン化合物の例として、クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、メタサイクリン、サンサイクリン、ケロカルジン、ロリテトラサイクリン、リメサイクリン、アピサイクリン、クロモサイクリン、グアメサイクリン、メグルサイクリン、メピルサイクリン、ミノサイクリン、ペニメピサイクリン、ピパサイクリン、エタモサイクリン、ペニモサイクリン等が挙げられる。類似の4環構造を備える他の誘導体おおよび類似体も含まれる(その内容全体が参照により本明細書中に援用される、Rogalski、「Chemical
Modifications of Tetracyclines」を参照のこと)。表1は、テトラサイクリンおよび
他の数種の公知のテトラサイクリン誘導体を示す。
【0047】
【表1】

本発明の方法を用いて改質することができる他のテトラサイクリン化合物として、6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン;テトラサイクリノ−ピラゾール;7−クロロ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン;4−ヒドロキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン;12α−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン;5−ヒドロキシ−6α−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン;4−デジメチルアミノ−12α−デオキシアンヒドロテトラサイクリン;7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン;テトラサイクリノニトリル;4−オキソ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン4,6−ヘミケタール;4−オキソ−11aCl−4−デジメチルアミノテトラサイクリン−4,6−ヘミケタール;5a,6−アンヒドロ−4−ヒドラゾン−4−デジメチルアミノテトラサイクリン;4−ヒドロキシイミノ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン;4−ヒドロキシイミノ−4−デジメチルアミノ5a,6−アンヒドロテトラサイクリン;4−アミノ−4−デジメチルアミノ−5a,6アンヒドロテトラサイクリン;4−メチルアミノ−4−デジメチルアミノテトラサイクリン;4−ヒドラゾノ−11a−クロロ−6−デオキシ−6−デメチル−6−メチレン−4−デジメチルアミノテトラサイクリン;テトラサイクリン第四級アンモニウム化合物;アンヒドロテトラサイクリンベタイン;4−ヒドロキシ−6−メチルプレテトラアミド;4−ケトテトラサイクリン;5−ケトテトラサイクリン;5a,11aデヒドロテトラサイクリン;11aCl−6,12ヘミケタールテトラサイクリン;11aCl−6−メチレンテトラサイクリン;6,13ジオールテトラサイクリン;6−ベンジルチオメチレンテトラサイクリン;7,11a−ジクロロ−6−フルオロ−メチル−6−デオキシテトラサイクリン;6−フルオロ(α)−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリン;6−フルオロ(β)−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリン;6−αアセトキシ−6−デメチルテトラサイクリン;6−βアセトキシ−6−デメチルテトラサイクリン;7,13−エピチオテトラサイクリン;オキシテトラサイクリン;ピラゾロテトラサイクリン;テトラサイクリンの11aハロゲン;テトラサイクリンの12aホルミルおよびその他のエステル;テトラサイクリンの5,12aエステル;テトラサイクリンの10,12a−ジエステル;イソテトラサイクリン;12−a−デオキシアンヒドロテトラサイクリン;6−デメチル−12a−デオキシ−7−クロロアンヒドロテトラサイクリン;B−ノルテトラサイクリン;7−メトキシ−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリン;6−デメチル−6−デオキシ−5a−エピテトラサイクリン;8−ヒドロキシ−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリン;モナルデン;クロモサイクリン;5aメチル−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリン;6−オキサテトラサイクリン、および6チアテトラサイクリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
用語「置換テトラサイクリン化合物」には、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、11a、12、12aもしくは13位に、または本発明の置換テトラサイクリン化合物がその意図した機能を果たすことを可能にする他の任意の位置に、1つまたは複数の追加の置換基を有するテトラサイクリン化合物が含まれる。
【0049】
用語「カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物」には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、11a、12、12aもしくは13位において、または本発明の置換テトラサイクリン化合物がその意図した機能を果たすことを可能にする他の任意の位置において、1つまたは複数のアルテヒド部分(例えば、−C(O)H)で置換されているテトラサイクリン化合物が含まれる。一実施形態においては、このカルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物が7−、9−および/または10−カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物である。
【0050】
一実施形態においては、本発明は、適切な条件下でテトラサイクリン反応中間体を反応させることによってカルボキシアルデヒド置換テトラサイクリンを合成するための方法に関する。用語「適切な条件」には、テトラサイクリン反応中間体をカルボキシアルデヒド置換テトラサイクリンに転化する反応を行うために適切である任意の条件が含まれる。適切な条件としては、任意の適切な溶媒、温度、触媒および試薬が挙げられる。当業者は、本発明の方法を実施するための適切な条件を容易に決定することができよう。
【0051】
用語「テトラサイクリン反応中間体」には、化学的に反応性であり、かつ所望の反応を受けて本発明の置換テトラサイクリン化合物を形成するテトラサイクリン化合物が含まれる。一実施形態においては、テトラサイクリン反応中間体は、ヨウ素置換テトラサイクリン中間体(例えば、7−ヨードサンサイクリン、9−ヨードドキシサイクリン)、塩素置換テトラサイクリン中間体、臭素置換テトラサイクリン中間体、ヨウ素および塩素置換テトラサイクリン中間体(例えば、7−クロロ−9−ヨードサンサイクリン)、あるいは臭素およびヨウ素置換テトラサイクリン中間体(例えば、7−ブロモ−9−ヨードサンサイクリン)を含めたハロゲン化テトラサイクリン中間体である。別の実施形態においては、このテトラサイクリン反応中間体が、トリフラート置換テトラサイクリン中間体(例えば、10−トリフラート置換テトラサイクリン中間体)である。用語トリフラートには、トリフルオロメタンスルホン酸塩部分が含まれ、トリフラートは構造CFSO−を有する。別の実施形態においては、テトラサイクリン反応中間体が、ヨウ素、塩素または臭素置換テトラサイクリン中間体(例えば、9−ヨードミノサイクリン)を含めたハロゲン化ミノサイクリン中間体である。
【0052】
一実施形態においては、本発明は、カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリンが合成されるように、テトラサイクリン反応中間体を、一酸化炭素、パラジウム触媒、ホスフィン配位子、シランおよび塩基と適切な条件下で反応させることによって、カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物を合成するための方法に関する。
【0053】
一実施形態においては、本発明は、カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリンが合成されるように、テトラサイクリン反応中間体を、一酸化炭素、パラジウム触媒、シランおよび塩基と適切な条件下で反応させることによって、カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物を合成するための方法に関する。
【0054】
用語「パラジウム触媒」には、パラジウム(II)クロリド(PdCl)、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)錯体、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジアセテート、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、アリルパラジウムクロリドダイマー、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス[トリス(4−(ヘプタデカフルオロオクチル)フェニル)ホスフィン]パラジウム(II)ジクロリドまたはビス[トリス(3−(1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデシル)フェニル)ホスフィン]パラジウム(II)ジクロリドが含まれる。用語「パラジウム触媒」には、テトラサイクリン反応中間体のカルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物への転化を触媒するために適していることがある任意のパラジウム触媒も含まれる。特定の一実施形態においては、パラジウム触媒が酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))である。
【0055】
用語「パラジウム触媒」には、PdCl(tBuPhP)ジクロロビス(ジ−tert−ブチルフェニルホスフィンパラジウム(II)]やPdCl(DPEPhos)[ビス(ジフェニルホスフィノフェニル)エーテルパラジウム(II)クロリド]などのホスフィン含有パラジウム(II)触媒も含まれる。用語「パラジウム触媒」には、ミノサイクリン反応中間体のカルボキシアルデヒド置換ミノサイクリン化合物への転化を触媒するために適していることがある任意のパラジウム触媒も含まれる。
【0056】
用語「ホスフィン配位子」には、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリール基と三価で結合している1つまたは複数のリン原子を含むキレート非キラルおよびキラルホスフィン配位子が含まれる。用語「ホスフィン配位子」には、テトラサイクリン反応中間体のカルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物への転化における使用に適していることがある任意のホスフィン配位子も含まれる。一実施形態においては、ホスフィン配位子がキサントホス配位子である。キサントホス配位子の例を表2に示す。特定の一実施形態においては、キサントホス配位子はキサントホスである。
【0057】
【表2】

用語「シラン」には、各Rが独立にC〜C10の分岐もしくは直鎖アルキルまたはC〜C14のアリールである化学式RSiHまたはRSiHの化合物が含まれる。シランの例としては、例えば、トリプロピルシラン(PrSiH)、トリイソプロピルシラン(iPrSiH)、ベンジルジメチルシラン、ジ−tert−ブチルシラン(tBuSiH)、トリエチルシラン(EtSiH)、シクロヘキシルジメチルシラン、ジメチルフェニルシラン、ジエチルイソプロピルシラン、メチルフェニルシラン、ジメチルイソプロピルシラン、ジエチルメチルシラン、ジメチルエチルシラン、ジエチルシラン(EtSiH)、トリオクチルシラン、ジメチルオクタデシルシラン、トリヘキシルシラン、トリフェニルシラン(PhSiH)、ジイソプロピルオクチルシラン、メチルジフェニルシラン、トリイソブチルシラン(iBuSiH)、トリブチルシラン(BuSiH)、ジフェニルシラン(PhSiH)およびジメチルフェネチルシランが挙げられる。特定の一実施形態においては、シランがPhSiHまたはEtSiHである。
【0058】
用語「塩基」には、カーボネート塩基やトリアルキルアミンなどのプロトンを受容する化学種が含まれる。カーボネート塩基の例としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウムおよび炭酸ランタンが挙げられる。一実施形態においては、このカーボネート塩基が炭酸ナトリウムである。トリアルキルアミンの例としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジメチルエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジエジルメチルアミン、ジメチルイソプロピルアミンおよびジメチルブチルアミンが挙げられる。一実施形態においては、トリアルキルアミンがジイソプロピルエチルアミンである。
【0059】
本発明はまた、少なくとも部分的に、パラジウム触媒カップリング条件、水素化分解条件または還元的アミノ化条件下で、カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物を反応させることによって置換テトラサイクリン化合物を合成するための方法に関する。
【0060】
例えば、7−ブロモ−9−ヨードサンサイクリンのC9位は、選択的にパラジウム触媒還元的カルボニル化反応において、カルボキシアルデヒド基に選択的に転化することができる。この反応のレジオ選択性は、C9ヨード基が70℃のNMP中でPd(PPh、BuSnHおよびCOと優先的に反応する場合に優れている。この反応は優れた収率で進行し、様々な新規化合物の調製において有用な中間体である7−ブロモ−9−カルボキシアルデヒドサンサイクリン化合物が生成される。
【0061】
この7−ブロモ−9−カルボキシアルデヒドサンサイクリン化合物は、還元的アルキル化反応に関与して、C9位アミノメチル誘導体を提供することができる。別の順序では、C7ブロモ基を次いで水素化分解下で還元することができ、またはこのブロモ基は様々なパラジウム触媒カップリングプロセスに関与して、多数のC7官能性C9アミノメチルサンサイクリン誘導体を提供することができる。
【0062】
パラジウム触媒カップリング反応を利用する際、C9位を適切なレジオ選択的触媒と選択的に結合させて、9位のアルキル、アリール、複素環、カルボニルまたは他種の官能基を提供することができる。上述のとおり、C7ブロモ基を還元または結合させて、様々なC7置換サンサイクリン誘導体を生成することができる。7−ブロモ−9−カルボキシアルデヒドサンサイクリン化合物のブロモ基にカップリングプロセスを施す際には、様々なC7位およびC9位の組合せの置換化合物を生成することができる。
【0063】
一実施形態においては、本発明は、反応ミノサイクリン中間体を、一酸化炭素、パラジウム触媒、シランおよび塩基と適切な条件下で反応させることによって9−置換ミノサイクリン化合物を合成するための方法に関する。この方法においては、反応部分がカルボキシアルデヒド置換基に置き換わるように、反応ミノサイクリン中間体が9位で反応部分により置換される。
【0064】
語句「パラジウム触媒カップリング条件」は、パラジウム触媒を含み、またテトラサイクリン化合物の7、8、9および/または10位における、あるいは本発明の置換テトラサイクリン化合物がその意図した機能を果たすことを可能にする他の任意の位置における炭素−炭素結合の形成によって、本発明のテトラサイクリン化合物を置換テトラサイクリン化合物に転化する反応条件を指す。パラジウム触媒カップリング条件の例として、還元的アミノ化、Stille反応、Suzukiカップリング反応およびHeck反応が挙げられる。当業者は、本発明のテトラサイクリン化合物の置換テトラサイクリン化合物への転化のための、他の適用可能なパラジウム触媒カップリング条件を容易に決定することができよう。一実施形態においては、パラジウム触媒カップリング条件に、有機スズ化合物(例えば、R’がC〜C10の直鎖もしくは枝分れ鎖アルキル、C〜C10の枝分れ鎖もしくは直鎖アルケニルもしくはアルキニル、またはC〜C14のアリール基であるBuSnR’)と、ハロゲンまたはトリフラート置換化合物(例えば、ハロゲン置換テトラサイクリン化合物またはトリフラート置換テトラサイクリン化合物)と、パラジウム触媒(例えば、Pd/C、Pd(PPh、Pd(OAc)またはPd(dba))と、溶媒とが含まれる。別の実施形態においては、パラジウム触媒カップリング条件に、アルケン(例えば、RおよびRがそれぞれ独立に水素、C〜C10の直鎖もしくは枝分れ鎖アルキル、C〜C10の枝分れ鎖もしくは直鎖アルケニルもしくはアルキニル、またはC〜C14のアリール基であるRC=CR)と、ハロゲンまたはトリフラート置換化合物(例えば、アリール、ベンジル、またはビニルハロゲンもしくはトリフラート化合物、例えばハロゲン置換テトラサイクリン化合物やトリフラート置換テトラサイクリン化合物など)と、パラジウム触媒(例えば、Pd/C、Pd(PPh、PdClまたはPd(OAc))と、ホスフィン配位子(例えば、トリフェニルホスフィンまたは2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP))と、塩基(例えば、トリエチルアミン、炭酸カリウムまたは酢酸ナトリウム)と、溶媒とが含まれる。さらに別の実施形態では、パラジウム触媒カップリング反応に、アリールまたはビニルボロン酸(例えば、Rが、例えば、C〜C10の枝分れ鎖もしくは直鎖アルケニルもしくはアルキニル、またはC〜C14のアリール基でもよい式RB(OH)の化合物)と、アリールまたはビニルハライドまたはトリフラート(例えば、ハライドもしくはトリフラート置換C〜C10枝分れ鎖もしくは直鎖アルケニル、ハライドもしくはトリフラート置換C〜C14のアリール基、またはハロゲン置換テトラサイクリン化合物もしくはトリフラート置換テトラサイクリン化合物)と、パラジウム触媒(例えば、Pd(PPh)と、溶媒とが含まれる。
【0065】
語句「水素化分解条件」は、テトラサイクリン化合物の7、8、9および/または10位における、あるいは本発明の置換テトラサイクリン化合物がその意図した機能を果たすことを可能にする他の任意の位置における水素分子の添加によって、本発明のテトラサイクリン化合物を置換テトラサイクリン化合物に転化する反応条件を指す。当業者は、本発明のテトラサイクリン化合物の置換テトラサイクリン化合物への転化のための、他の適用可能な水素化分解条件を容易に決定することができよう。一実施形態においては、水素化分解条件に、パラジウム触媒(例えば、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)錯体(ClPd(dppf)))と、アンモニウム化合物(例えば、ギ酸アンモニウム)と、1種または複数種の溶媒(例えば、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)および水)とが含まれる。一部の例においては、炭素上パラジウム(Pd/C)が水素化分解触媒である。他の例においては、ホウ化水素剤が水素化分解触媒である。
【0066】
語句「還元的アミノ化条件」は、テトラサイクリン化合物の7、8、9および/または10位における、あるいは本発明の置換テトラサイクリン化合物がその意図した機能を果たすことを可能にする他の任意の位置におけるカルボニル基(例えば、カルボキシアルデヒド部分)のアミンへの転化を伴う反応条件を指す。当業者は、本発明のテトラサイクリン化合物の置換テトラサイクリン化合物への転化のための、他の適用可能な還元的アミノ化条件を容易に決定することができよう。一実施形態においては、還元的アミノ化条件に、還元剤(例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたは三酢酸水素化ホウ素ナトリウム)と、C〜C10の枝分れ鎖もしくは直鎖アルキルアミン(例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、t−ブチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等)またはC〜C14のアリールアミン(例えば、フェニルアミン、ジフェニルアミン等)である第一級または第二級アミンと、溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)または1,2−ジクロロエタン)とが含まれる。一部の諸実施形態においては、Pd/Cの存在下還元的アミノ化を行う。一部の反応においては、還元的アミノ化反応にPd/Cは含まれない。
【0067】
一実施形態においては、本発明は、反応テトラサイクリン中間体を、一酸化炭素、パラジウム触媒、ホスフィン配位子、シランおよび塩基と適切な条件下で反応させることによって置換テトラサイクリン化合物を合成するための方法に関する。この方法においては、反応テトラサイクリン中間体は、第1の反応部分の1つがカルボキシアルデヒド置換基で置き換えられ、第2の反応部分が未反応であるように、第1の位置で第1の反応部分により置換され、第2の位置で第2の反応部分により置換されている。
【0068】
一実施形態においては、本発明は、反応ミノサイクリン中間体を、一酸化炭素、パラジウム触媒、シランおよび塩基と適切な条件下で反応させることによって9−置換ミノサイクリン化合物を合成するための方法に関する。この方法においては、反応部分がカルボキシアルデヒド置換基に置き換わるように、反応ミノサイクリン中間体が9位で反応部分により置換される。
【0069】
一実施形態においては、置換テトラサイクリン化合物を合成するための方法により、所望の置換テトラサイクリン化合物が高収率で得られる。例えば、この収率は少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%である。別の実施形態においては、所望の置換テトラサイクリンをほぼ定量的収率で合成する。
【0070】
一実施形態においては、置換ミノサイクリン化合物を合成するための方法により、所望の置換テトラサイクリン化合物が高収率で得られる。例えば、この収率は少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%である。別の実施形態においては、所望の置換テトラサイクリンをほぼ定量的収率で合成する。
【0071】
別の実施形態においては、本発明はまた、アミノメチル置換テトラサイクリン化合物を合成するための方法にも関する。この方法は、反応テトラサイクリン中間体を、一酸化炭素、パラジウム触媒、シランおよび塩基と適切な条件下で反応させるステップa)であって、反応テトラサイクリン中間体が9位で反応部分により置換され、反応部分がカルボキシアルデヒド置換基で置き換えられるステップa)と、還元的アミノ化条件下でカルボキシアルデヒド置換基を反応させるステップb)とを含む。
【0072】
例えば、アミノメチル置換テトラサイクリン化合物は、9−アミノメチル置換ミノサイクリン化合物である。
【0073】
一実施形態においては、本発明の方法によって合成される9−アミノメチルミノサイクリン化合物は実質的に純粋である。例えば、純度は50%を超え、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%または少なくとも約99%である。
【0074】
さらに別の実施形態においては、本発明のテトラサイクリン化合物を合成するための方法が、例えば非極性溶媒などの溶媒中で置換テトラサイクリン化合物を沈殿させるステップをさらに含む。用語「非極性溶媒」には、誘電率が約15未満であるそれらの溶媒が含まれる。非極性溶媒の例としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル(EtO)、クロロホルム、酢酸エチル、ジクロロメタンおよびメチルt−ブチルエーテル(MBTEまたはTMBE)あるいはこれらの組合せが挙げられる。一実施形態においては、溶媒がEtO、MBTE、ヘプタンまたはこれらの組合せである。
【0075】
本発明では、例えば化合物1などの9−アミノ−メチル−置換ミノサイクリンの合成向けに効率的な経路が特定される。
【0076】
【化2】

本発明の方法では、9−ヨード化合物を9−ホルミル化合物に転化するために、PdCl(tBuPhP)またはPdCl(DPEPhos)などの選択的パラジウム−ホスフィン触媒を使用する。この方法により、先に説明した合成に対してはるかに高くまた選択的な、ヨードミノサイクリンのホルミルミノサイクリンへの転化がもたらされる。これらの方法によって生成されるホルミルミノサイクリンの高い品質により、後の還元的アミノ化の品質および収率が対応して向上する。還元的アミノ化は様々なアミンを用いて行うことができ、例えば、ネオペンチルアミンを使用して化合物1を生成することができる。
【0077】
一実施形態においては、置換テトラサイクリン化合物が式(I)となる。
【0078】
【化3】

式中、
XはCHC(R13Y’Y)、CR6’、S、NRまたはOであり、
、R2’、R4’およびR4”はそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環式化合物、複素環式芳香族化合物またはプロドラッグ部分であり、
は、NR4’4”、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲンまたは水素であり、
、R11およびR12はそれぞれ水素またはプロドラッグ部分であり、
はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族化合物、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシまたはアリールカルボニルオキシであり、
およびR6’はそれぞれ独立に水素、メチレン、存在せず、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり、
はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニルもしくはアリールアルキニル、ホルミルまたはカルボニルであり、
はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニルもしくはアリールアルキニル、ホルミルまたはカルボニルであり、
はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニルもしくはアリールアルキニル、ホルミルまたはカルボニルであり、
10はヒドロキシル、アルコキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ホルミルまたはカルボニルであり、
13は水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり、
Y’およびYはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキル、ならびにこれらの医薬的に受け入れ可能な塩である。
【0079】
別の実施形態においては、本発明は、アミノメチル置換テトラサイクリン化合物を合成するための方法に関する。この方法は、反応テトラサイクリン中間体を、一酸化炭素、パラジウム触媒、ホスフィン配位子、シランおよび塩基と適切な条件下で反応させるステップa)であって、反応テトラサイクリン中間体が、第1の位置で第1の反応部分により置換され、第2の位置で第2の反応部分により置換され、第1の反応部分がカルボキシアルデヒド置換基で置き換えられるステップa)と、還元的アミノ化条件下でカルボキシアルデヒド置換基を反応させるステップb)と、パラジウムカップリング条件下または水素化分解条件下で第2の反応部分を反応させるステップc)とを含む。
【0080】
一実施形態においては、アミノメチル置換テトラサイクリン化合物が、式(II)の9−アミノメチル置換化合物である。
【0081】
【化4】

式中、
およびJはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、スルホニル、アシル、アルコキシカルボニル、アルカミノカルボニル、アルカミノチオカルボニル、置換チオカルボニル、置換カルボニル、アルコキシチオカルボニルであり、または結合して環を形成し、
およびJはそれぞれアルキル、ハロゲンまたは水素であり、
XはCHC(R13Y’Y)、CR6’、C=CR6’、S、NRまたはOであり、
、R2’、R4’およびR4”はそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環式化合物、複素環式芳香族化合物またはプロドラッグ部分であり、
は、NR4’4”、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲンまたは水素であり、
、R11およびR12はそれぞれ水素またはプロドラッグ部分であり、
はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族化合物、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシまたはアリールカルボニルオキシであり、
およびR6’はそれぞれ独立に水素、メチレン、存在せず、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり、
はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニルもしくはアリールアルキニル、ホルミルまたはカルボニルであり、
はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニルもしくはアリールアルキニル、ホルミルまたはカルボニルであり、
10はヒドロキシル、アルコキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ホルミルまたはカルボニルであり、
13は水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり、
Y’およびYはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキル、ならびにこれらの医薬的に受け入れ可能な塩である。
【0082】
別の実施形態においては、アミノメチル置換テトラサイクリン化合物が、式(III)の7−アミノメチル置換化合物である。
【0083】
【化5】

式中、
およびJはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、スルホニル、アシル、アルコキシカルボニル、アルカミノカルボニル、アルカミノチオカルボニル、置換チオカルボニル、置換カルボニル、アルコキシチオカルボニルであり、または結合して環を形成し、
およびJはそれぞれアルキル、ハロゲンまたは水素であり、
XはCHC(R13Y’Y)、CR6’、C=CR6’、S、NRまたはOであり、
、R2’、R4’およびR4”はそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環式化合物、複素環式芳香族化合物またはプロドラッグ部分であり、
は、NR4’4”、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲンまたは水素であり、
、R11およびR12はそれぞれ水素またはプロドラッグ部分であり、
はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、複素環式芳香族化合物、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシまたはアリールカルボニルオキシであり、
およびR6’はそれぞれ独立に水素、メチレン、存在せず、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり、
はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニルもしくはアリールアルキニル、ホルミルまたはカルボニルであり、
はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニルもしくはアリールアルキニル、ホルミルまたはカルボニルであり、
10はヒドロキシル、アルコキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ホルミルまたはカルボニルであり、
13は水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキルであり、
Y’およびYはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノまたはアリールアルキル、ならびにこれらの医薬的に受け入れ可能な塩、エステル、プロドラッグである。
【0084】
本明細書中で開示されている方法によって合成することができる置換テトラサイクリン化合物の例は、米国特許第6,818,634号、第6,642,270号、第6,500,812号、第6,849,615号、第6,818,635号、第6,683,068号、第6,846,939号、第7,208,482号、第7,001,918号、第6,617,318号、第7,067,681号、第7,202,235号、第6,833,365号、第6,624,168号および第7,094,806号に、また米国特許出願公開第20040176334号、第2006−0148765号、第20050143353号、第2007−0072834号、第20040138183号、第20040214801号、第2005−0288262号、第2006−0084634号、第20040266740号、第20050026875号、第20050038002号、第20050026876号、第20050143352号、第2006−0003971号、第20050137174号、第2006−0166945号、第2006−0166944号、第2006−0281717号、第2007−0093455号、第20040157807号、第20050250744号、第20050187198号、第20050119235号、第2006−0234988号、第2006−0229282号、第2006−0205698号に見ることができる。これらの特許および特許出願それぞれの内容全体が参照により本明細書中に援用される。
【0085】
一実施形態においては、本発明のテトラサイクリン化合物を合成するための方法がさらに、一酸化炭素、パラジウム触媒、ホスフィン配位子、シランおよび塩基と共にルイス酸を添加することを含む。用語「ルイス酸」には、臭化アルミニウム(III)(AlBr)、塩化アルミニウム(III)(AlCl)、塩化ホウ素(III)(BCl)、フッ化ホウ素(III)(BF)、臭化鉄(III)、塩化鉄(III)、塩化スズ(IV)(SnCl)、塩化チタン(IV)(TiCl)、または塩化インジウム(III)(InCl)が含まれる。一実施形態においては、ルイス酸がInClである。別の実施形態においては、塩基がトリアルキルアミン(例えば、ジイソプロピルエチルアミン)である場合にルイス酸を使用する。
【0086】
さらに別の実施形態においては、本発明のテトラサイクリン化合物を合成するための方法が、例えば非極性溶媒などの溶媒中で置換テトラサイクリン化合物を沈殿させるステップをさらに含む。用語「非極性溶媒」には、誘電率が約15未満であるそれらの溶媒が含まれる。非極性溶媒の例としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル(EtO)、クロロホルム、酢酸エチル、ジクロロメタンおよびメチルt−ブチルエーテル(MBTE)あるいはこれらの組合せが挙げられる。一実施形態においては、溶媒がEtO、MBTE、ヘプタンまたはこれらの組合せである。
【0087】
用語「アルキル」には、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等)、枝分れ鎖アルキル基(イソプロピル、tert−ブチル、イソブチル等)、シクロアルキル(脂環式)基(シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基を含めた置換脂肪族基が含まれる。用語アルキルはさらに、炭化水素骨格の1個または複数個の炭素を置き換える酸素、窒素、硫黄またはリン原子をさらに含むことができるアルキル基を含む。一定の諸実施形態においては、直鎖または枝分れ鎖アルキルが、その骨格中に10個以下の炭素原子を有する(例えば、直鎖ではC〜C10、枝分れ鎖ではC〜C10)。用語C〜C10には、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基が含まれる。
【0088】
用語置換アルキルには、炭化水素骨格の1個または複数個の炭素上の水素を置き換える置換基を有するアルキル部分が含まれる。このような置換基として、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸塩、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸塩、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、硫酸塩、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環式芳香族部分を挙げることができる。シクロアルキルを、例えば上記置換基でさらに置換することができる。「アルキルアリール」または「アリールアルキル」部分は、アリール(例えば、フェニルメチル(ベンジル))で置換されたアルキルである。用語「アルキル」には、天然および非天然アミノ酸の側鎖も含まれる。
【0089】
用語「アリール」には、0〜4個のヘテロ原子を含むことができる5および6員環単環芳香族基、例えば、ベンゼン、フェニル、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジン等を含めた基が含まれる。さらに、用語「アリール」には、多環アリール基、例えば、三環式、二環式、例えば、ナフタレン、ベンゾオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン(napthridine)、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリンまたはインドリジンが含まれる。環構造中にヘテロ原子を有するそれらアリール基は、「アリール複素環」、「複素環」、「ヘテロアリール」または「複素環式芳香族化合物」と称することもできる。芳香族環は、1つまたは複数の環位において、上記のような置換基で、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸塩、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、リン酸塩、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、硫酸塩、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環式芳香族部分で置換することができる。アリール基を、多環(例えば、テトラリン)が形成されるように、芳香族ではない脂環式環または複素環と縮合または架橋させることもできる。
【0090】
用語「アルケニル」には、長さが類似し上述のアルキル類と置換可能であるが、少なくとも1つの二重結合を含む不飽和脂肪族基が含まれる。
【0091】
例えば、用語「アルケニル」には、直鎖アルケニル基(例えば、エチレニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル等)、枝分れ鎖アルケニル基、シクロアルケニル(脂環式)基(シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル)、アルキルまたはアルケニル置換シクロアルケニル基、ならびにシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルケニル基が含まれる。用語アルケニルにはさらに、炭化水素骨格の1個または複数個の炭素を置き換える酸素、窒素、硫黄またはリン原子を含むアルケニル基が含まれる。一定の諸実施形態においては、直鎖または枝分れ鎖アルケニル基が、その骨格中に10個以下の炭素原子を有する(例えば、C〜C10または直鎖、枝分れ鎖ではC〜C10)。同様に、シクロアルケニル基は、それらの環構造中に3〜10個の炭素原子を有することができる。用語C〜C10には、2〜10個の炭素原子を含むアルケニル基が含まれる。
【0092】
用語置換アルケニルには、炭化水素骨格の1個または複数個の炭素上の水素を置き換える置換基を有するアルケニル部分が含まれる。このような置換基として、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸塩、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸塩、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、硫酸塩、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環式芳香族部分を挙げることができる。
【0093】
用語「アシル」には、アシル基(CHCO−)またはカルボニル基を含む化合物および部分が含まれる。この用語には、置換アシル部分が含まれる。用語「置換アシル」には、水素原子の1個または複数個が、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸塩、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸塩、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、硫酸塩、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環式芳香族部分に置き換えられているアシル基が含まれる。
【0094】
用語「アシルアミノ」には、アシル部分がアミノ基に結合している部分が含まれる。例えば、この用語には、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイド基が含まれる。
【0095】
用語「アロイル」には、カルボニル基と結合しているアリールまたは複素環式芳香族部分を有する化合物および部分が含まれる。アロイル基の例として、フェニルカルボキシ、ナフチルカルボキシ等が挙げられる。
【0096】
用語「アルコキシアルキル」、「アルキルアミノアルキル」および「チオアルコキシアルキル」には、炭化水素骨格の1個または複数個の炭素を置き換える酸素、窒素または硫黄原子、例えば酸素、窒素または硫黄原子をさらに含む、上述のようなアルキル基が含まれる。
【0097】
用語「アルコキシ」には、酸素原子と共有結合している置換および無置換アルキル、アルケニルおよびアルキニル基が含まれる。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシおよびペントキシ基が含まれる。置換アルコキシ基の例としては、ハロゲン化アルコキシ基が挙げられる。アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸塩、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸塩、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、硫酸塩、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環式芳香族部分などの基で、これらのアルコキシ基を置換することができる。ハロゲン置換アルコキシ基の例としては、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
用語「アミン」または「アミノ」には、窒素原子が少なくとも1個の炭素またはヘテロ原子と共有結合している化合物が含まれる。用語「アルキルアミノ」には、窒素が少なくとも1つの追加のアルキル基と結合している基および化合物が含まれる。用語「ジアルキルアミノ」には、窒素原子が少なくとも2つの追加のアルキル基と結合している基が含まれる。用語「アリールアミノ」および「ジアリールアミノ」には、それぞれ窒素が少なくとも1つまたは2つのアリール基と結合している基が含まれる。用語「アルキルアリールアミノ」、「アルキルアミノアリール」または「アリールアミノアルキル」とは、少なくとも1つのアルキル基および少なくとも1つのアリール基に結合しているアミノ基を指す。用語「アルカミノアルキル」とは、アルキル基にも結合している窒素原子に結合しているアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を指す。
【0099】
用語「アミド」または「アミノカルボニル」には、カルボニルまたはチオカルボニル基の炭素と結合している窒素原子を含む化合物または部分が含まれる。この用語には、カルボニル基に結合しているアミノ基に結合しているアルキル、アルケニル、アリールまたはアルキニル基を含む「アルカミノカルボニル」または「アルキルアミノカルボニル」基が含まれる。この用語には、カルボニルまたはチオカルボニル基の炭素に結合しているアミノ基に結合しているアリールまたはヘテロアリール部分を含むアリールアミノカルボニル基が含まれる。用語「アルキルアミノカルボニル」、「アルケニルアミノカルボニル」、「アルキニルアミノカルボニル」、「アリールアミノカルボニル」、「アルキルカルボニルアミノ」、「アルケニルカルボニルアミノ」、「アルキニルカルボニルアミノ」および「アリールカルボニルアミノ」は、用語「アミド」に含まれる。アミド類には、尿素基(アミノカルボニルアミノ)およびカルバミン酸塩(オキシカルボニルアミノ)も含まれる。
【0100】
用語「カルボニル」または「カルボキシ」には、酸素原子と二重結合で連結している炭素を含む化合物および部分が含まれる。このカルボニルは、本発明の化合物がその意図した機能を果たすことを可能にする任意の部分でさらに置換することができる。例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アミノ等でカルボニル部分を置換することができる。カルボニルを含む部分の例として、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、アミド、エステル、無水物等が挙げられる。用語「ホルミル」には、式−C(O)Hの化合物が含まれる。
【0101】
用語「チオカルボニル」または「チオカルボキシ」には、硫黄原子と二重結合で連結している炭素を含む化合物および部分が含まれる。
【0102】
用語「エーテル」には、2種の異なる炭素原子またはヘテロ原子に結合している酸素を含む化合物または部分が含まれる。例えば、この用語には、別のアルキル基に共有結合している酸素原子に共有結合しているアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を指す「アルコキシアルキル」が含まれる。
【0103】
用語「エステル」には、カルボニル基の炭素に結合している酸素原子に結合している炭素またはヘテロ原子を含む化合物および部分が含まれる。用語「エステル」には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニルなどのアルコキシカルボキシ基が含まれる。アルキル、アルケニルまたはアルキニル基は上で定義したとおりである。
【0104】
用語「チオエーテル」には、2種の異なる炭素またはヘテロ原子に結合している硫黄原子を含む化合物および部分が含まれる。チオエーテルの例として、アルキルチオ(alkthio)アルキル、アルキルチオアルケニルおよびアルキルチオアルキニルが挙げられるが、これらに限定されない。用語「アルキルチオアルキル」には、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基が、アルキル基に結合している硫黄原子に結合している化合物が含まれる。同様に、用語「アルキルチオアルケニル」および「アルキルチオアルキニル」とは、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基が、アルキニル基と共有結合している硫黄原子と結合している化合物または部分を指す。
【0105】
用語「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」には、−OHまたは−Oを有する基が含まれる。
【0106】
用語「ハロゲン」には、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素等が含まれる。用語「ペルハロゲン化」とは一般に、すべての水素がハロゲン原子に置き換わっている部分を指す。
【0107】
用語「多環式」または「多環式基」は、2個またはそれ以上の炭素が2つの隣接する環に共通している2つまたそれ以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロシクリル)を指し、例えば、これらの環は「縮合環」である。非隣接原子を介して連結している環は、「架橋」環と呼ばれる。多環の環それぞれは、上述のような置換基で、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸塩、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノアカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸塩、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、硫酸塩、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環式芳香族部分で置換することができる。
【0108】
用語「ヘテロ原子」には、炭素または水素以外の任意の元素の原子が含まれる。好適なヘテロ原子は窒素、酸素、硫黄およびリンである。
【実施例】
【0109】
(実施例1)
9−カルボキシアルデヒドミノサイクリンの調製
【0110】
【化6】

方法A。内部温度計付きの乾燥した三つ口フラスコ中の、無水9−ヨードミノサイクリン遊離塩基(14.6g、25.0mmol)と、無水InCl(11.1g、50.0mmol)と、無水iPrNEt(8.73mL、50.0mmol)と、Pd(OAc)(0.11g、0.50mmol)と、キサントホス(0.29g、0.50mmol)との無水NMP(100mL)溶液を、COでパージして溶液を飽和させ、次いで一酸化炭素の大きなバルーンをフラスコの上端に取り付けて、正圧を維持した。この溶液を加熱して70℃の内部温度を得たが、このとき、シリンジポンプにより90分間かけてEtSiH(4.44mL、27.5mmol)を添加した。反応の完了後、反応生成物を周囲温度まで冷却し、CHCN(50mL)で希釈した。この溶液を別のフラスコに移し、激しく攪拌しながらEtO(約500mL)をゆっくりと添加して生成物を沈殿させた。得られた懸濁液を細かいフリット漏斗上に収集し、EtOですすいだ。生成物を高真空下でさらに乾燥させて、99%の収率で12.1gを得た。
【0111】
方法B。内部温度計付きの乾燥した三つ口フラスコ中の、無水9−ヨードミノサイクリン遊離塩基(14.6g、25.0mmol)と、無水NaCO(10.6g、100.0mmol)と、Pd(OAc)(0.11g、0.50mmol)と、キサントホス(0.29g、0.50mmol)との無水NMP(100mL)溶液を、COでパージして溶液を飽和させ、次いで一酸化炭素の大きなバルーンをフラスコの上端に取り付けて、正圧を維持した。この溶液を加熱して70℃の内部温度を得たが、このとき、シリンジポンプにより90分間かけてEtSiH(4.44mL、27.5mmol)を添加した。反応の完了後、反応生成物を周囲温度まで冷却し、CHCN(50mL)で希釈し、フリット漏斗を通してろ過した。この溶液を別のフラスコに移し、激しく攪拌しながら1:1のMTBE/ヘプタン(約500mL)をゆっくりと添加して生成物を沈殿させた。得られた懸濁液を細かいフリット漏斗上に収集し、1:1のMTBE/ヘプタンですすいだ。生成物を高真空下でさらに乾燥させて、99%の収率で12.1gを得た。
【0112】
(実施例2)
9−カルボキシアルデヒドサンサイクリンの合成
【0113】
【化7】

方法A。内部温度計付きの乾燥した三つ口フラスコ中の、無水9−ヨードサンサイクリン遊離塩基(13.5g、25.0mmol)と、Pd(OAc)(0.11g、0.50mmol)と、キサントホス(0.29g、0.50mmol)との無水NMP(100mL)溶液を、COでパージして溶液を飽和させ、次いで一酸化炭素の大きなバルーンをフラスコの上端に取り付けて、正圧を維持した。この溶液を加熱して70℃の内部温度を得たが、このとき、シリンジポンプにより90分間かけてEtSiH(4.44mL、27.5mmol)を添加した。反応の完了後、反応生成物を周囲温度まで冷却し、CHCN(50mL)で希釈した。この溶液を別のフラスコに移し、激しく攪拌しながらEtO(約500mL)をゆっくりと添加して生成物を沈殿させた。得られた懸濁液を細かいフリット漏斗上に収集し、EtOですすいだ。生成物を高真空下でさらに乾燥させて、99%の収率で11.1gを得た。
【0114】
方法B。内部温度計付きの乾燥した三つ口フラスコ中の、無水9−ヨードサンサイクリン遊離塩基(13.5g、25.0mmol)と、無水NaCO(10.6g、100.0mmol)と、Pd(OAc)(0.11g、0.50mmol)と、キサントホス(0.29g、0.50mmol)との無水NMP(100mL)溶液を、COでパージして溶液を飽和させ、次いで一酸化炭素の大きなバルーンをフラスコの上端に取り付けて、正圧を維持した。この溶液を加熱して70℃の内部温度を得たが、このとき、シリンジポンプにより90分間かけてEtSiH(4.44mL、27.5mmol)を添加した。反応の完了後、反応生成物を周囲温度まで冷却し、CHCN(50mL)で希釈し、フリット漏斗を通してろ過した。この溶液を別のフラスコに移し、激しく攪拌しながら1:1のMTBE/ヘプタン(約500mL)をゆっくりと添加して生成物を沈殿させた。得られた懸濁液を細かいフリット漏斗上に収集し、1:1のMTBE/ヘプタンですすいだ。生成物を高真空下でさらに乾燥させて、99%の収率で11.1gを得た。
【0115】
(実施例3)
7−ブロモ−9−カルボキシアルデヒドサンサイクリンの調製
【0116】
【化8】

方法A。内部温度計付きの乾燥した三つ口フラスコ中の、無水7−ブロモ−9−ヨードサンサイクリン遊離塩基(15.5g、25.0mmol)と、無水InCl(11.1g、50.0mmol)と、無水iPrNEt(8.73mL、50.0mmol)と、Pd(OAc)(0.11g、0.50mmol)と、キサントホス(0.58g、1.00mmol)との無水NMP(100mL)溶液を、COでパージして溶液を飽和させ、次いで一酸化炭素の大きなバルーンをフラスコの上端に取り付けて、正圧を維持した。この溶液を加熱して70℃の内部温度を得たが、このとき、シリンジポンプにより90分間かけてEtSiH(4.44mL、27.5mmol)を添加した。反応の完了後、反応生成物を周囲温度まで冷却し、CHCN(50mL)で希釈した。この溶液を別のフラスコに移し、激しく攪拌しながらEtO(約500mL)をゆっくりと添加して生成物を沈殿させた。得られた懸濁液を細かいフリット漏斗上に収集し、EtOですすいだ。生成物を高真空下でさらに乾燥させて、99%の収率で13.0gを得た。
【0117】
方法B。内部温度計付きの乾燥した三つ口フラスコ中の、無水7−ブロモ−9−ヨードサンサイクリン遊離塩基(15.5g、25.0mmol)と、無水NaCO(10.6g、100.0mmol)と、Pd(OAc)(0.11g、0.50mmol)と、キサントホス(0.58g、1.00mmol)との無水NMP(100mL)溶液を、COでパージして溶液を飽和させ、次いで一酸化炭素の大きなバルーンをフラスコの上端に取り付けて、正圧を維持した。この溶液を加熱して70℃の内部温度を得たが、このとき、シリンジポンプにより90分間かけてEtSiH(4.44mL、27.5mmol)を添加した。反応の完了後、反応生成物を周囲温度まで冷却し、CHCN(50mL)で希釈し、フリット漏斗を通してろ過した。この溶液を別のフラスコに移し、激しく攪拌しながら1:1のMTBE/ヘプタン(約500mL)をゆっくりと添加して生成物を沈殿させた。得られた懸濁液を細かいフリット漏斗上に収集し、1:1のMTBE/ヘプタンですすいだ。生成物を高真空下でさらに乾燥させて、99%の収率で13.0gを得た。
【0118】
(実施例4)
9−アミノメチルサンサイクリン誘導体の調製
【0119】
【化9】

ある量の9−カルボキアルデヒド−7−ブロモテトラサイクリン(1)を、還元的アミノ化条件(例えば、第一級または第二級アミンと、DMFまたは1,2−ジクロロエタンと、NaCNBHまたはNa(OAc)と)の下で反応させて、9−アミノメチル−7−ブロモテトラサイクリン(2)を形成する。臭素化中間体をパラジウム触媒カップリング条件(有機スズ試薬、パラジウム触媒および溶媒;アルケン、パラジウム触媒、ホスフィン配位子および塩基;あるいはアリールまたはビニルボロン酸およびパラジウム触媒)と、溶媒とにさらして、9−アミノメチル−7−置換テトラサイクリン化合物(3)を形成する。あるいは、9−アミノメチル−7−ブロモテトラサイクリン(2)を水素化分解条件(例えば、パラジウム触媒と、ギ酸アンモニウムと、1種または複数種溶媒)にさらして、9−アミノメチルサンサイクリン化合物を形成することもできる。
【0120】
(実施例5)
化合物1の調製
【0121】
【化10】

方法A 9−カルボキシアルデヒドミノサイクリンの調製のための手順
内部温度計付きの乾燥した三つ口フラスコ中の、無水9−ヨードミノサイクリン遊離塩基(14.6g、25.0mmol)と、無水InCl(11.1g、50.0mmol)と、無水iPrNEt(8.73mL、50.0mmol)と、Pd(OAc)(0.11g、0.50mmol)と、キサントホス(0.29g、0.50mmol)との無水NMP(100mL)溶液を、COでパージして溶液を飽和させ、次いで一酸化炭素の大きなバルーンをフラスコの上端に取り付けて、正圧を維持した。この溶液を加熱して70℃の内部温度を得たが、このとき、シリンジポンプにより90分間かけてEtSiH(4.44mL、27.5mmol)を添加した。反応の完了後、反応生成物を周囲温度まで冷却し、CHCN(50mL)で希釈した。この溶液を別のフラスコに移し、激しく攪拌しながらEtO(約500mL)をゆっくりと添加して生成物を沈殿させた。得られた懸濁液を細かいフリット漏斗上に収集し、EtOですすいだ。生成物を高真空下でさらに乾燥させて、99%の収率で12.1gを得た。
【0122】
方法B 9−カルボキシアルデヒドミノサイクリンの調製のための手順
内部温度計付きの乾燥した三つ口フラスコ中の、無水9−ヨードミノサイクリン遊離塩基(14.6g、25.0mmol)と、無水NaCO(10.6g、100.0mmol)と、Pd(OAc)(0.11g、0.50mmol)と、キサントホス(0.29g、0.50mmol)との無水NMP(100mL)溶液を、COでパージして溶液を飽和させ、次いで一酸化炭素の大きなバルーンをフラスコの上端に取り付けて、正圧を維持した。この溶液を加熱して70℃の内部温度を得たが、このとき、シリンジポンプにより90分間かけてEtSiH(4.44mL、27.5mmol)を添加した。反応の完了後、反応生成物を周囲温度まで冷却し、CHCN(50mL)で希釈し、フリット漏斗を通してろ過した。この溶液を別のフラスコに移し、激しく攪拌しながら1:1のMTBE/ヘプタン(約500mL)をゆっくりと添加して生成物を沈殿させた。得られた懸濁液を細かいフリット漏斗上に収集し、1:1のMTBE/ヘプタンですすいだ。生成物を高真空下でさらに乾燥させて、99%の収率で12.1gを得た。
【0123】
方法A 9−カルボキシアルデヒドサンサイクリンの調製のための手順
内部温度計付きの乾燥した三つ口フラスコ中の、無水9−ヨードサンサイクリン遊離塩基(13.5g、25.0mmol)と、Pd(OAc)(0.11g、0.50mmol)と、キサントホス(0.29g、0.50mmol)との無水NMP(100mL)溶液を、COでパージして溶液を飽和させ、次いで一酸化炭素の大きなバルーンをフラスコの上端に取り付けて、正圧を維持した。この溶液を加熱して70℃の内部温度を得たが、このとき、シリンジポンプにより90分間かけてEtSiH(4.44mL、27.5mmol)を添加した。反応の完了後、反応生成物を周囲温度まで冷却し、CHCN(50mL)で希釈した。この溶液を別のフラスコに移し、激しく攪拌しながらEtO(約500mL)をゆっくりと添加して生成物を沈殿させた。得られた懸濁液を細かいフリット漏斗上に収集し、EtOですすいだ。生成物を高真空下でさらに乾燥させて、99%の収率で11.1gを得た。
【0124】
方法B 9−カルボキシアルデヒドサンサイクリンの調製のための手順
内部温度計付きの乾燥した三つ口フラスコ中の、無水9−ヨードサンサイクリン遊離塩基(13.5g、25.0mmol)と、無水NaCO(10.6g、100.0mmol)と、Pd(OAc)(0.11g、0.50mmol)と、キサントホス(0.29g、0.50mmol)との無水NMP(100mL)溶液を、COでパージして溶液を飽和させ、次いで一酸化炭素の大きなバルーンをフラスコの上端に取り付けて、正圧を維持した。この溶液を加熱して70℃の内部温度を得たが、このとき、シリンジポンプにより90分間かけてEtSiH(4.44mL、27.5mmol)を添加した。反応の完了後、反応生成物を周囲温度まで冷却し、CHCN(50mL)で希釈し、フリット漏斗を通してろ過した。この溶液を別のフラスコに移し、激しく攪拌しながら1:1のMTBE/ヘプタン(約500mL)をゆっくりと添加して生成物を沈殿させた。得られた懸濁液を細かいフリット漏斗上に収集し、1:1のMTBE/ヘプタンですすいだ。生成物を高真空下でさらに乾燥させて、99%の収率で11.1gを得た。
【0125】
方法A 7−ブロモ−9−カルボキシアルデヒドサンサイクリンの調製のための手順
内部温度計付きの乾燥した三つ口フラスコ中の、無水7−ブロモ−9−ヨードサンサイクリン遊離塩基(15.5g、25.0mmol)と、無水InCl(11.1g、50.0mmol)と、無水iPrNEt(8.73mL、50.0mmol)と、Pd(OAc)(0.11g、0.50mmol)と、キサントホス(0.58g、1.00mmol)との無水NMP(100mL)溶液を、COでパージして溶液を飽和させ、次いで一酸化炭素の大きなバルーンをフラスコの上端に取り付けて、正圧を維持した。この溶液を加熱して70℃の内部温度を得たが、このとき、シリンジポンプにより90分間かけてEtSiH(4.44mL、27.5mmol)を添加した。反応の完了後、反応生成物を周囲温度まで冷却し、CHCN(50mL)で希釈した。この溶液を別のフラスコに移し、激しく攪拌しながらEtO(約500mL)をゆっくりと添加して生成物を沈殿させた。得られた懸濁液を細かいフリット漏斗上に収集し、EtOですすいだ。生成物を高真空下でさらに乾燥させて、99%の収率で13.0gを得た。
【0126】
方法B 7−ブロモ−9−カルボキシアルデヒドサンサイクリンの調製のための手順
内部温度計付きの乾燥した三つ口フラスコ中の、無水7−ブロモ−9−ヨードサンサイクリン遊離塩基(15.5g、25.0mmol)と、無水NaCO(10.6g、100.0mmol)と、Pd(OAc)(0.11g、0.50mmol)と、キサントホス(0.58g、1.00mmol)との無水NMP(100mL)溶液を、COでパージして溶液を飽和させ、次いで一酸化炭素の大きなバルーンをフラスコの上端に取り付けて、正圧を維持した。この溶液を加熱して70℃の内部温度を得たが、このとき、シリンジポンプにより90分間かけてEtSiH(4.44mL、27.5mmol)を添加した。反応の完了後、反応生成物を周囲温度まで冷却し、CHCN(50mL)で希釈し、フリット漏斗を通してろ過した。この溶液を別のフラスコに移し、激しく攪拌しながら1:1のMTBE/ヘプタン(約500mL)をゆっくりと添加して生成物を沈殿させた。得られた懸濁液を細かいフリット漏斗上に収集し、1:1のMTBE/ヘプタンですすいだ。生成物を高真空下でさらに乾燥させて、99%の収率で13.0gを得た。
【0127】
(実施例6)
化合物1の代替調製
9−カルボキシアルデヒドミノサイクリン
【0128】
【化11】

加熱マントルと、機械的攪拌棒および攪拌器軸受け(stirrer bearing)と、温度プローブと、添加漏斗(addition funnel)と、凝縮器と、ガスマニホルド入口弁とが装備されている2Lの加圧反応器を、CO(g)でパージした。4/1のTHF/DMF625mLを加圧反応器に入れ、その後9−ヨードミノサイクリン70g(120mmol)と、NaCO24.18g(228mmol)と、PdCl[tBuPhP]0.76g(1.2mmol)とを入れ、しっかりとかき混ぜながら攪拌した。トリエチルシラン15.32g(132mmol)を添加漏斗に入れ、反応混合物を30psiのCO(g)で3回パージし、その後攪拌しながら30psiまで加圧し70℃まで加熱した。温度が70℃に達したら、添加漏斗を開けて、2時間かけてトリエチルシランを液滴添加し、反応生成物を30psiのCO(g)下70℃で一晩攪拌した。
【0129】
LCMSによって反応完了を確認し、反応溶液を徐々に室温へ戻した後、セライトを敷いた上でろ過した。セライトケーキを1000mLのTHFで洗浄し、12Lの丸底フラスコ中の8000mLのTBME(tertブチルメチルエーテル)ろ液をゆっくりと添加して、粗9−ホルミルミノサイクリンを沈殿させた。この溶液を攪拌し、氷浴を用いて30分間冷却し、その後ろ過した。ろ過ケークを1000mLのTBMEですすぎ、次いでラテックスデンタルダムを備えるブフナー漏斗上でドリップドライし、その後室温の真空オーブン内で一晩乾燥させた。理論収率=58.2g、実際の収量=90.4g、LCMSについてのAUCによる純度=97%。
【0130】
9−アミノメチルミノサイクリン誘導体の調製
【0131】
【化12】

9−ホルミルミノサイクリン、ネオペンチルアミン(9.34mL)と、5%のPd−C(Degussa E−196)と、水分(10g)と、メタノール(100mL)との混合物を、Paarシェーカー(Paar shaker)内30psiで水素化した。18時間後、13%の転化率を得た後、追加の触媒(5g)を添加し、反応をさらに24時間継続させた。この後転化を完了させた。
【0132】
この反応混合物を10%のNaCOで希釈し、ろ過した。漏斗をMeOHおよび水で洗浄し、これにより全体として300mLのろ液が得られた。
【0133】
ろ液のpHを4.5に調整し、ジクロロメタン(DCM)(2×100mL)で抽出し、抽出物を廃棄し、水相のpHを7.5とする。
【0134】
この溶液を再度DCM(4×180mL)で抽出し、混合抽出物を蒸発乾固させて、黄緑の固体(5.41g)を得た。
【0135】
この固体の一部をDCMに再溶解させ、TBME/ペンタンから沈殿させ、ろ過し、乾燥させ、分析した。純度(w/w%)=64.91%。
【0136】
本発明を適用すると、公知のヒドロキシメチルフタルアミドプロセスにおけるミノサイクリンの対応する投入量からの粗化合物の収量44gと比較して、100gのミノサイクリンから収量59gで粗化合物1が得られた。アッセイの補正後には、化合物1の出力が、ヒドロキシメチルフタルアミドプロセスにおける22gと比較して38gである。
【0137】
本発明によって生成される粗化合物1のアッセイは、ヒドロキシメチルフタルアミドプロセスによる50%と比較して69%であった。
【0138】
【化13】

均等物
本明細書中に記載した具体的な手順の数多くの等価物が、通常の実験を用いるだけで当業者には理解され、またはそれら等価物を当業者は確認することができるであろう。このような均等物は、本発明の範囲内にあるものとされ、以下の特許請求の範囲に包含される。本願中で引用されているすべての参考文献、特許および特許出願の内容は、参照により本明細書中に援用される。それら特許、出願および他の文献の適切な成分、プロセスおよび方法を、本発明およびその諸実施形態のために選択することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの7−、9−および/または10−置換テトラサイクリン化合物あるいはその医薬として受け入れ可能な塩またはエステルを合成するための方法であって:
【化21】

a)反応テトラサイクリン中間体を、適切な条件下で、一酸化炭素、パラジウム触媒、ホスフィン配位子、シランおよび塩基と反応させて、7−、9−および/または10−カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物を生成するステップ;および
b)ステップa)からの該7−、9−および/または10−カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物を、パラジウム触媒カップリング条件、水素化分解条件または還元的アミノ化条件下で反応させて、該式Iの7−、9−および/または10−置換テトラサイクリン化合物を生成するステップであって、式中:
Xは、CHC(R13Y’Y)、CR6’、S、NRまたはOであり;
,R2’,R4’およびR4”はそれぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環、またはプロドラッグ部分であり;
はNR4’4”、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲンまたは水素であり;
、R11およびR12はぞれぞれ、水素またはプロドラッグ部分であり;
は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシまたはアリールカルボニルオキシであり;
およびR6’はそれぞれ独立に、水素、メチレン、非存在、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアミノまたはアリールアルキルであり;
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ホルミルまたはカルボニルであり;
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ホルミルまたはカルボニルであり;
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ホルミル、カルボニルであり;
10は、ヒドロキシル、アルコキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ホルミルまたはカルボニルであり;
13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアミノまたはアリールアルキルであり;そして
Y’およびYは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフニドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル,アリールアミノ,またはアリールアルキルである、ステップ
を含み、但し、該7−、9−および/または10−置換テトラサイクリン化合物は以下の式:
【化22】

を有さない、方法。
【請求項2】
式IIの7−、9−および/または10−置換テトラサイクリン化合物あるいはその医薬として受け入れ可能な塩またはエステルを合成するための方法であって:
【化23】

a)反応テトラサイクリン中間体を、適切な条件下で、一酸化炭素、パラジウム触媒、ホスフィン配位子、シランおよび塩基と反応させ、7−、9−および/または10−カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物を生成するステップ;ならびに
b)ステップa)からの該7−、9−および/または10−カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物を、パラジウム触媒カップリング条件、水素化分解条件または還元的アミノ化条件下で反応させ、式IIの7−、9−および/または10−置換テトラサイクリン化合物を生成する工程であって:
およびJは、それぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、スルホニル、アシル、アルコキシカルボニル、アルカミノチオカルボニル、アルコキシチオカルボニル、置換カルボニルもしくは置換チオカルボニルであるか、または結合して環を形成し;
およびJは、それぞれアルキル、ハロゲンまたは水素であり;
Xは、CHC(R13Y’Y)、CR6’、C=CR6’、S、NRまたはOであり;
、R2’、R4’およびR4”は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環または芳香族複素環であり;
はNR4’4”、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲンまたは水素であり;
11およびR12は、それぞれ水素であり;
は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシまたはアリールカルボニルオキシであり;
およびR6’は、それぞれ独立に、水素、メチレン、非存在、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアミノまたはアリールアルキルであり;
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ホルミルまたはカルボニルであり;
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ホルミルまたはカルボニルであり;
10は、ヒドロキシル、アルコキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ホルミルまたはカルボニルであり;
13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアミノまたはアリールアルキルであり;そして
Y’およびYは、それぞれ独立に水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフニドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアミノまたはアリールアルキルである、ステップ
を含み、但し、該7−、9−および/または10−置換テトラサイクリン化合物は以下の式:
【化24】

を有さない、方法。
【請求項3】
式IIIの7−、9−および/または10−置換テトラサイクリン化合物あるいはその医薬として受け入れ可能な塩、エステル、またはプロドラッグを合成する方法であって:
【化25】

a)反応テトラサイクリン中間体を、適切な条件下で、一酸化炭素、パラジウム触媒、ホスフィン配位子、シランおよび塩基と反応させて、7−、9−および/または10−カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物を生成するステップ;および
b)ステップa)からの該7−、9−および/または10−カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物を、パラジウム触媒カップリング条件、水素化分解条件、または還元的アミノ化条件下で反応させて、式IIIの7−、9−および/または10−置換テトラサイクリン化合物を生成するステップであって:
およびJは、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、スルホニル、アシル、アルコキシカルボニル、アルカミノカルボニル、アルカミノチオカルボニル、置換チオカルボニル、置換カルボニル、アルコキシチオカルボニルであるか、または結合して環を形成し;
およびJはそれぞれ、アルキル、ハロゲンまたは水素であり;
Xは、CHC(R13Y’Y)、CR6’、C=CR6’、S、NRまたはOであり;
、R2’、R4’およびR4”は、それぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環またはプロドラッグ部分であり;
は、NR4’4”、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲンまたは水素であり;
、R11およびR12は、それぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシまたはアリールカルボニルオキシであり;
およびR6’は、それぞれ独立に、水素、メチレン、非存在、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアミノまたはアリールアルキルであり;
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ホルミルまたはカルボニルであり;
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ホルミルまたはカルボニルであり;
10は、ヒドロキシル、アルコキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ホルミルまたはカルボニルであり;
13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアミノまたはアリールアルキルであり;そして
Y’およびYは、それぞれ独立に水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフニドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアミノまたはアリールアルキルである、ステップ
を含み、但し、該7−、9−および/または10−置換テトラサイクリン化合物は以下の式:
【化26】

を有さない、方法。
【請求項4】
前記反応テトラサイクリン中間体が、7−,9−および/または10−ハロゲン化テトラサイクリン中間体、あるいは7−,9−および/または10−トリフラート置換テトラサイクリン中間体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記7−,9−および/または10−ハロゲン化テトラサイクリン中間体が、7−,9−および/または10−ヨウ素置換テトラサイクリン中間体、7−,9−および/または10−塩素置換テトラサイクリン中間体、7−,9−および/または10−臭素置換テトラサイクリン中間体、7−塩素および9−ヨウ素置換テトラサイクリン中間体、あるいは7−臭素および9−ヨウ素置換テトラサイクリン中間体である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記7−,9−および/または10−ハロゲン化テトラサイクリン中間体が、7−ヨードサンサイクリン、7−クロロ−9−ヨードサンサイクリンまたは7−ブロモ−9−ヨードサンサイクリンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップa)からの前記7−、9−および/または10−カルボキシアルデヒド置換テトラサイクリン化合物を、還元的アミノ化条件下で反応させるステップを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記反応テトラサイクリン中間体は、第1の反応部分がカルボキシアルデヒド置換基で置き換えられ、第2の反応部分が未反応であるように、第1の位置で該第1の反応部分により置換され、第2の位置で該第2の反応部分により置換されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の反応部分が、ハロゲン類から選択され、前記第2の反応部分が、トリフラート類から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記カルボキシアルデヒド置換基を還元的アミノ化条件下でさらに反応させて、7−アミノメチル置換テトラサイクリン化合物を生成し、前記第2の反応部分をパラジウムカップリング条件下または水素化分解条件下でさらに反応させる、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の反応部分がヨウ素であり、前記第2の反応部分が臭素である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記反応テトラサイクリン中間体が7−ブロモ−9−ヨードサンサイクリンである、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記パラジウム触媒が、PdCl(tBuPhP)ジクロロビス(ジ−tert−ブチルフェニルホスフィンパラジウム(II)]またはPdCl(DPEPhos)[ビス(ジフェニルホスフィノフェニル)エーテルパラジウム(II)クロリド]である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。

【公開番号】特開2011−20996(P2011−20996A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48260(P2010−48260)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【分割の表示】特願2010−514886(P2010−514886)の分割
【原出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(500127209)パラテック ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (50)
【Fターム(参考)】