説明

美肌用組成物

【課題】新規なコラーゲン産生遺伝子発現促進剤及びコラゲナーゼ遺伝子発現抑制剤を提供することを目的とする。
【解決手段】上記課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
1.サクラの抽出物を有効成分とするコラーゲン産生遺伝子発現促進剤。
2.サクラの抽出物を有効成分とするコラゲナーゼ遺伝子発現抑制剤。
3.サクラの抽出物を有効成分とするコラーゲン産生促進剤。
4.サクラの抽出物を有効成分とするコラーゲン格子形成促進剤。
5.前記サクラとしてサクラの花を用いることを特徴とする上記1.〜4.に記載の剤。
6.カフェオイルグルコースを有効成分とするコラーゲン格子形成促進剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コラーゲン産生遺伝子発現促進剤及びコラゲナーゼ遺伝子発現抑制剤に関する。本発明は、食品、医薬品等に広く利用される。
【背景技術】
【0002】
加齢に伴い発生するしわやたるみを予防・改善することは、美容上の重要な課題である。しわやたるみは日光に曝される部分に著しく、日光に曝された皮膚にしわやたるみが発生する現象を特に光老化と呼んでいる。光老化したしわ部分では、真皮中のコラーゲン量が著しく減少していることが知られている。一方、コラーゲンは真皮マトリックスの90%以上を占め、紫外線によって活性化されるコラゲナーゼによって分解が亢進されることも知られている。これらのことから、皮膚中のコラーゲンの減少が、皮膚のしわやたるみを引き起す主な原因であると考えられている。従って、コラーゲンの減少を抑制し得る剤を提供できれば、光老化のみならず、加齢に伴うしわやたるみを予防・改善することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような背景の下、サクラ、特にサクラの花についてI型コラーゲン産生遺伝子の発現を促進し、且つコラゲナーゼ遺伝子の発現を抑制することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、新規なコラーゲン産生遺伝子発現促進剤及びコラゲナーゼ遺伝子発現抑制剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための本発明の技術的特徴は以下の通りである。
1.サクラの抽出物を有効成分とするコラーゲン産生遺伝子発現促進剤。
2.サクラの抽出物を有効成分とするコラゲナーゼ遺伝子発現抑制剤。
3.サクラの抽出物を有効成分とするコラーゲン産生促進剤。
4.サクラの花の抽出物を有効成分とするコラーゲン格子形成促進剤。
5.前記サクラとしてサクラの花を用いることを特徴とする上記1.〜5.に記載の剤。
6.カフェオイルグルコースを有効成分とするコラーゲン格子形成促進剤。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】線維芽細胞内のコラーゲン産生促進作用の評価を示す図面代用写真である。
【図2】正常線維芽細胞のコラーゲン格子形成に及ぼす作用の評価方法を示すフローチャートである。
【図3】正常線維芽細胞のコラーゲン格子形成に及ぼす作用の評価の結果を示す図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明はサクラの抽出物を用いることを特徴とする。
サクラ(桜、櫻)は、バラ科サクラ属の植物のうち、ウメ、モモ、アンズなどを除いた総称であり、一般にはサクラ亜属 (Subgen. Cerasus) に属するものを指す。
【0007】
本発明で用いる桜の種は特に限定されず、例えば、ヤマザクラ群、エドヒガン群、マメザクラ群、チョウジザクラ群、ミヤマザクラ群、シナミザクラ群等の群に属する桜を用いることができ、更にこれらの群に限定されない。
【0008】
本発明の原料で用いる桜の部位は特に限定されず、葉、茎、幹、花、根、果実等が挙げられるが、葉又は花を用いることが好ましい。特に花を用いることが好ましい。
【0009】
ここで、極性溶媒抽出にて抽出する場合、用いる極性溶媒は特に限定されないが、たとえば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸、酢酸エチル、エーテル、ヘキサン等が挙げられる。これらのうち、水、メタノール、エタノールが好ましい。有効成分を効率よく抽出できるからである。尚、これらは1種のみ用いても良いし、2種以上併用しても良い。
【0010】
抽出溶媒として水を使用する場合には、抽出温度20〜100℃、好ましくは40〜70℃程度で行うとよい。これは、抽出温度が低すぎると、有効成分が抽出されにくく、抽出温度が高すぎると桜に含有している、シアン化合物が残留しやすくなり、また、有効成分が分解されやすくなるため、好ましくない。抽出用の水の種類は、特に限定されず、水道水、蒸留水、ミネラル水、アルカリイオン水等を使用することができる。
【0011】
抽出溶媒として含水アルコールを使用する場合、アルコール濃度20wt%以上、好ましくは25〜50wt%であることが好ましい。20wt%未満の場合、高い抽出量の有効成分を得ることが困難だからである。また、アルコール濃度が30wt%以上の場合、抽出温度は、0〜95℃、好ましくは0〜50℃程度で行うとよい。なお、含水エタノール抽出は、有効成分の含有率を向上させるため、種々の濃度で繰り返すとよい。
【0012】
また、極性溶媒にて抽出する場合、その抽出方法は特に限定されず、例えば、連続抽出、浸漬抽出、向流抽出等任意の方法を採用することができ、室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用することができる。尚、上述した方法にて抽出を行う場合、これらのうちの1つのみを行っても良いし、これらの方法を組み合わせても良い。また、これらの抽出は、1回のみ行っても良いし、2回以上行っても良い。
【0013】
具体的な方法としては、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料を投入し、攪拌しながら有効成分を溶出させる。例えば、抽出溶媒として水または含水アルコールを用いる場合には、抽出原料の3〜100倍量程度(重量比)の極性溶媒を使用し、1分〜150時間程度抽出を行う。溶媒中に有効成分を溶出させた後、ろ過して抽出残渣を除くことによって、抽出液を得る。その後、常法に従って抽出液に希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施すことによりサクラの抽出物を得ることができる。
なお、精製方法としては、例えば、活性炭処理、樹脂吸着処理、シリカゲル処理、イオン交換樹脂、液−液向流分配、膜分離等の方法が挙げられる。
【0014】
更に、超臨界抽出により抽出を行う場合、このときに用いる超臨界流体は特に限定されないが、たとえば、二酸化炭素及び窒素等が挙げられる。尚、これらは1種のみを用いても良いし、2種類以上併用しても良い。また、これらのうち特に二酸化炭素が好ましい。より容易に有効成分を抽出することができるからである。また、このときの抽出方法は、公知の方法にて行えばよい。その後、常法に従って抽出液に希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施すことによりサクラの抽出物を得ることができる。
【0015】
本発明のコラーゲン産生遺伝子発現促進剤、コラゲナーゼ遺伝子発現抑制剤及びこれー原産製促進剤(以下、単に「コラーゲン産生遺伝子発現促進剤等」という。)は、各種飲食品の素材として使用することができる。飲食品としては、例えば、食用油(サラダ油、菓子類(ガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナック、ゼリー、グミ、錠菓等)、麺類(そば、うどん、ラーメン等)、乳製品(ミルク、アイスクリーム、ヨーグルト等)、調味料(味噌、醤油等)、スープ類、飲料(ジュース、コーヒー、紅茶、茶、炭酸飲料、スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や、健康食品(錠剤、カプセル等)、栄養補助食品(栄養ドリンク等)が挙げられる。これらの飲食品に本発明のコラーゲン産生遺伝子発現促進剤等を適宜配合するとよい。
【0016】
これら飲食品には、その種類に応じて種々の成分を配合することができ、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤等の食品素材を使用することができる。さらに、健康維持機能をもった本コラーゲン産生遺伝子発現促進剤等には、他の抗酸化物質や健康食品素材など、例えば、還元型アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンE、還元型グルタチン、トコトリエノール、ビタミンA誘導体、リコピン、β−クリプトキサンチン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、フコキサンチン、尿酸、ユビキノン、コエンザイムQ10、葉酸、ニンニクエキス、アリシン、セサミン、リグナン類、カテキン、イソフラボン、カルコン、タンニン類、フラボノイド類、クマリン、イソクマリン類、ブルーベリーエキス、健康食品素材)V.(ビタミン)A、V.B1、V.B2、V.B6、V.B12、V.C、V.D、V.E、V.P、コリン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸カルシウム、EPA、オリゴ糖、食物繊維、スクアレン、大豆レシチン、タウリン、ドナリエラ、プロテイン、オクタコサノール、DHA、卵黄レシチン、リノール酸、ラクトフェリン、マグネシウム、亜鉛、クロム、セレン、カリウム、ヘム鉄、カキ肉エキス、キトサン、キチンオリゴ糖、コラーゲン、コンドロイチン、エラスチン、ウコン、カンゾウ、クコシ、ケイヒ、サンザシ、生姜、霊芝、シジミエキス、スッポン、カンゾウ、クコシ、ケイヒ、セイヨウ、サンザシ、生姜、霊芝、オオバコ、カミツレ、カモミール、セイヨウタンポポ、ハイビスカス、ハチミツ、ボーレン、ローヤルゼリー、ライム、ラベンダー、ローズヒップ、ローズマリー、セージ、ビフィズス菌、フェーカリス菌、ラクリス、小麦胚芽油、ゴマ油、シソ油、大豆油、中鎖脂肪酸、アガリクス、イチョウ葉エキス、コンドロイチン、玄米胚芽エキス、レイシ、タマネギ、DHA、EPA、DPA、甜茶、冬虫夏草、ニンニク、蜂の子、パパイヤ、プーアル、プロポリス、メグスリの木、ヤブシタケ、ロイヤルゼリー、ノコギリヤシ、ヒアルロン酸、ギャバ、ハープシールオイル、サメ軟骨、グルコサミン、レシチン、ホスファチジルセリン、田七ニンジン、桑葉、大豆抽出物、エキナセア、エゾウコギ、大麦抽出物、オリーブ葉、オリーブ実、ギムネマ、バナバ、サラシア、ガルシニア、キトサン、セントジョーンズワート、ナツメ、ニンジン、パッションフラワー、ブロッコリー、プラセンタ、ハトムギ、ブドウ種子、ピーナッツ種皮、ビルベリー、ブラックコホシュ、マリアアザミ、月桂樹、セージ、ローズマリー、ラフマ、黒酢、ゴーヤー、マカ、紅花、亜麻、ウーロン茶、花棘、カフェイン、カプサイシン、キシロオリゴ糖、グルコサミン、ソバ、シトラス、食物繊維、プロテイン、プルーン、スピルリナ、大麦若葉、核酸、酵母、椎茸、梅肉、アミノ酸、深海鮫抽出物、ノニ、カキ肉、スッポン、シャンピニオン、オオバコ、アセロラ、パイナップル、バナナ、モモ、アンズ、メロン、イチゴ、ラズベリー、オレンジ、フコイダン、メシマコブ、クランベリー、亜鉛、鉄、シルクペプチド、グリシン、ナイアシン、チェストツリー、セラミド、L−システイン、赤ワイン果汁、ミレット、ホーステール、ビオチン、センテラアジアティカ、ハスカップ、ピクノジェノール、フキ、ルバーブ、クローブ、プーアル、クエン酸、ビール酵母、メリロート、ブラックジンガー、ショウガ、ガジュツ、ナットウキナーゼ、ベニコウジ、トコトリエノール、ラクトフェリン、韃靼ソバ、ココア、ドクダミ、キウイ、ヒハツ、ハスの葉、パフィア、スターフルーツなども配合することができる。
【0017】
具体的な製法としては、サクラの抽出物(コラーゲン産生遺伝子発現促進剤等)を粉末セルロースとともにスプレードライまたは凍結乾燥し、これを粉末、顆粒、打錠または溶液にすることで容易に飲食品(インスタント食品等)に含有させることができる。
サクラの抽出物(コラーゲン産生遺伝子発現促進剤等)を、例えば、油脂、エタノール、グリセリンあるいはこれらの混合物に溶解して液状にし、飲料に添加するか、固形食品に添加することが可能である。必要に応じてアラビアガム、デキストリン等のバインダーと混合して粉末状あるいは顆粒状にし、飲料に添加するか固形食品に添加することも可能である。
【0018】
本発明のコラーゲン産生遺伝子発現促進剤等を飲食品に適用する場合の添加量としては、病気予防や健康維持が主な目的であるので、飲食品に対して有効成分の含量が合計1〜20wt%以下であるのが好ましい。
【0019】
本発明のコラーゲン産生遺伝子発現促進剤等は、薬品(医薬品および医薬部外品を含む。)の素材として用いてもよい。薬品製剤用の原料に、本発明のコラーゲン産生遺伝子発現促進剤等を適宜配合して製造することができる。本発明のコラーゲン産生遺伝子発現促進剤等に配合しうる製剤原料としては、例えば、賦形剤(ブドウ糖、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等)、結合剤(蒸留水、生理食塩水、エタノール水、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等)、崩壊剤(アルギン酸ナトリウム、カンテン、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖、アラビアゴム末、ゼラチン、エタノール等)、崩壊抑制剤(白糖、ステアリン、カカオ脂、水素添加油等)、吸収促進剤(第四級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等)、吸着剤(グリセリン、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、硅酸等)、滑沢剤(精製タルク、ステアリン酸塩、ポリエチレングリコール等)などが挙げられる。
【0020】
本発明によるコラーゲン産生遺伝子発現促進剤等の投与方法は、一般的には、錠剤、丸剤、軟・硬カプセル剤、細粒剤、散剤、顆粒剤、液剤等の形態で経口投与することができるが、非経口投与であってもよい。非経口剤として投与する場合は、溶液の状態、または分散剤、懸濁剤、安定剤などを添加した状態で、ハップ剤、ローション剤、軟膏剤、チンキ剤、クリーム剤などの剤形で適用することができる。
【0021】
投与量は、投与方法、病状、患者の年齢等によって変化し得るが、大人では、通常、1日当たり有効成分として1〜1000mg、子供では通常0.5〜500mg程度投与することができる。
コラーゲン産生遺伝子発現促進剤等の配合比は、剤型によって適宜変更することが可能であるが、通常、経口または粘膜吸収により投与される場合は約0.3〜15.0wt%、非経口投与による場合は、0.01〜10wt%程度にするとよい。なお、投与量は種々の条件で異なるので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また、範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の実施例を説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明によって得られる組成物のコラーゲン産生遺伝子発現促進作用及びコラゲナーゼ遺伝子発現抑制作用の確認をするために説明するもので、本発明の範囲は、これらの製品および製法に限定されるものではない。
【0023】
1.桜の抽出物(葉、花)の製造
桜[ヤエザクラ (カンザン), Prunus lannesiana
Wils. cv. Sekiyama]の花部を30%(W/W)含水エタノールで1時間抽出(60℃)を行った。その後、ろ過、濃縮を行い、桜の花の抽出物(以下、桜の花エキスという。)を得た(収率5%)。
【0024】
試験例1:サクラの花エキスにおけるコラーゲン遺伝子及びコラゲナーゼ遺伝子発現に及ぼす作用に関する評価
方法
へアレスマウス(Hos; HR-1, ♀, 6週齢)に,桜の花エキス(brix)50または100 mg/kgを1日1回12日間経口投与した。この間,UV-B(320 mJ/cm2)を1日1回照射した。試験最終日においては,桜の花エキスを経口投与1時間後にUV-Bを照射し,その1時間後に紫外線照射部位と非照射部位の皮膚を採取した。常法にしたがってRNAを抽出し,c-DNA合成後リアルタイムRT-PCRにより,I型コラーゲンおよびコラゲナーゼ(マトリックスメタロプロテイナーゼ (MMP)-10)の発現を調べた。その結果を表1に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
結果及び実施例の効果
表1に示すように,桜の花エキス(100 mg/kg)の経口投与によりI型コラーゲンのmRNA発現促進がUV照射部位,非照射部位ともに認められた。一方,コラーゲンを分解するMMP-10のmRNA発現は100 mg/kgの経口投与で抑制された。これにより、本実施例の桜の花エキスは、コラーゲン産生遺伝子発現促進作用及びコラゲナーゼ遺伝子発現抑制作用があることが確認された。
【0027】
試験例2:線維芽細胞内のコラーゲン産生促進作用の評価
方法 線維芽細胞(TIG108)をφ14 cmディッシュに播種(1×106/20
mL)し,24時間培養後にサンプルを添加して3日間培養した。細胞をPBSで洗浄後,lysis bufferで細胞を回収した。回収物について,ウェスタンブロッティングによりI型コラーゲンα1の発現を調べた。その結果を図1に示す。
【0028】
結果及び試験例2の効果
細胞を桜の花エキス(10, 30 mg/mL)と培養することで,細胞外に分泌されたコラーゲンは明らかに増加した(図1上段のバンドが濃度依存的に濃くなっている)。また,細胞内のコラーゲンも桜の花エキス(30, 100 mg/mL)により,タンパクレベルで増加が確認された(図1中段のバンドが10, 30 mg/mLで濃くなっている,下段のGAPDHは比較対照タンパク)。以上により線維芽細胞において、コラーゲンの産生を促進することが確認された。
【0029】
試験例3:正常線維芽細胞のコラーゲン格子形成に及ぼす作用の評価
方法
図2に示されたフローチャートに基づいて、正常線維芽細胞のコラーゲン格子形成に及ぼす作用の評価を行った。サクラの花エキス及びカフェオイルグルコースを実施例サンプルとして行った。その結果を図3に示す。
【0030】
結果及び試験例3の実施例の効果
図3に示すように,Controlの格子がリング状に広がるのに対し,桜花エキス(CBE)やカフェオイルグルコース(CaG)で処理した線維芽細胞の格子は,凝集し強固なものになった。この結果より,桜花エキスと主成分は糖化に関係なく線維芽細胞の格子形成を促進することが判明した。

【0031】
本発明によるコラーゲン産生遺伝子発現促進剤等(桜の花エキス)の配合例を示す。
配合例1:チューインガム
砂糖 53.0wt%
ガムベース 20.0
グルコース 10.0
水飴 16.0
香料 0.5
桜の花エキス 0.5
100.0wt%
【0032】
配合例2:グミ
還元水飴 40.0wt%
グラニュー糖 20.0
ブトウ糖 20.0
ゼラチン 4.7
水 9.68
ユズ果汁 4.0
ユズフレーバー 0.6
色素 0.02
桜の花エキス 1.0
100.0wt%
【0033】
配合例3:キャンディー
砂糖 50.0wt%
水飴 33.0
水 14.4
有機酸 2.0
香料 0.2
桜の花エキス 0.4
100.0wt%
【0034】
配合例4:ヨーグルト(ハード・ソフト)
牛乳 41.5wt%
脱脂粉乳 5.8
砂糖 8.0
寒天 0.15
ゼラチン 0.1
乳酸菌 0.005
桜の花エキス 0.4
香料 微量
水 残余
100.0wt%
【0035】
配合例5:清涼飲料
果糖ブドウ糖液糖 30.0wt%
乳化剤 0.5
桜の花エキス 0.3
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
【0036】
配合例6:錠菓
砂糖 76.4wt%
グルコース 19.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
桜の花エキス 0.5
精製水 3.9
100.0wt%
【0037】
配合例7:ソフトカプセル
玄米胚芽油 47.0wt%
ユズ種子油 40.0
乳化剤 12.0
桜の花エキス 1.0
100.0wt%
【0038】
配合例8:錠剤
乳糖 54.0wt%
結晶セルロース 30.0
澱粉分解物 10.0
グリセリン脂肪酸エステル 5.0
桜の花エキス 1.0
100.0wt%
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上により、本発明は、I型コラーゲン産生遺伝子の発現を促進し、且つ、コラゲナーゼ遺伝子の発現を促進し、更に線維芽細胞内のコラーゲンの産生を促進し、コラーゲン格子の形成を促進するため、皮膚の老化を予防することができる新規な成分を有する美肌用組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
.サクラの抽出物を有効成分とするコラーゲン産生遺伝子発現促進剤。
【請求項2】
サクラの抽出物を有効成分とするコラゲナーゼ遺伝子発現抑制剤。
【請求項3】
サクラの抽出物を有効成分とするコラーゲン産生促進剤。
【請求項4】
サクラの抽出物を有効成分とするコラーゲン格子形成促進剤。
【請求項5】
前記サクラとしてサクラの花を用いることを特徴とする請求項1〜請求項4に記載の剤。
【請求項6】
カフェオイルグルコースを有効成分とするコラーゲン格子形成促進剤。



【図2】
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【図1】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−6905(P2012−6905A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217051(P2010−217051)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(594045089)オリザ油化株式会社 (96)
【Fターム(参考)】