説明

義歯の製造方法、義歯、そのための部材及びブランク

義歯(1)は少なくとも1つの構成要素からなるフレーム(2)を第1の部材として有し、かつ前記フレームは前装されるべき外側面(6)を有する義歯(1)の製造方法において、前記前装は他の部材としての別々に製造された前装部(3)により行われ、前記前装部は場合により他の部材(3′)の介在でフレーム(2)の外側面(6)に取り付けるための当接面(5)を有しかつフレーム(2)に固定されている。さらに、前記の方法により製造された、義歯(1)、この種の義歯のための部材(3)及びこのような義歯(1)を製造するためのブランク(41)が請求されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の部材と他の部材とから構成されていて、前記の他の部材は場合により他の部材の介在で第1の部材に固定されている義歯の製造方法に関する。第1の部材として、少なくとも1つの構成要素からなるフレームを考慮することができ、この場合、前記のフレームは他の部材として解釈される前装で前装されていることができる。例えばクラウンキャップは1つの構成要素からなるフレームとして見なすことができ、複数の構成要素からなるフレームは少なくとも2つの歯の位置にわたり延在している。
【0002】
他の方法の場合に、前記フレームは前装されるべき外側面を有し、その際前記前装は他の部材としての別々に製造された前装部により行われ、前記前装部は場合により他の部材の介在で前記フレームに固定され、その際、前記のフレームと前記の前装部との間に分離面が存在し、前記分離面は一方で前装部の内側の表面により形成されていて、他方では前記フレームの外側の表面により形成されている。
【0003】
本発明は、さらに、少なくとも1つの構成要素からなるフレームを第1の部材として有し、前記フレームは前装されている外側面と、義歯を作成するための部材とを有し、その際、前記義歯は少なくとも1つの構成要素からなるフレームを第1の部材として有する義歯に関する。
【0004】
本発明は、最後に、材料除去する加工法を用いて少なくとも2つの部材から構成された義歯を製造するためのブランクに関する。
【背景技術】
【0005】
クラウン及びブリッジは、異なる特性を有する2つの材料からなり、前記材料は多様な方法で相互に結合されている。
【0006】
典型的な歯科技術の場合には、クラウン及びブリッジは、まずフレームが作成され、審美的に高い効果を達成するために、引き続き前記フレームは前装され製造される。前記フレームの製造は、部分的にCAD/CAM法により行われるが、前装はマニュアルで行われている。
【0007】
フレームは金属から鋳造されること、また、前記フレームをセラミックで前装することは特に公知であり、その際、前記前装はマニュアルで湿ったセラミック粉末を一層ずつ塗布することが行われ、前記粉末は引き続き所望の強度を達成するために焼成される。フレームはマニュアルの工程で前装材料と共にプレス成形されることも公知である。
【0008】
さらに、所望の色彩効果を達成し、かつCADデータセットから予め決定された形にまでCAM法で除去するために前記フレームに多様な色調のセラミック材料を自動的に過剰に塗布することは公知である。
【0009】
フレームの鋳造の代わりに、他の製造方法、例えばCAD/CAM法も使用することができる。さらに、前記フレームをセラミックから製造することも公知である。
【0010】
前記の全ての方法は、第1に破壊強度の特性を最適に満たすコア材料と、第1に審美的特性及び対応する歯に対する摩耗挙動を考慮した外皮材料とが存在することが共通している。典型的な外皮材料は長石類の材料である。典型的なコア材料は金属又は酸化物セラミックである。
【0011】
さらに、クラウンを均質なセラミックブロックからCAD/CAM法で製造し、その場合、前記ブランクは色彩の変化を有することができ、それにより製造されたクラウンの彩色がいくらか改善されることは公知である。
【発明の開示】
【0012】
本発明の基本思想は、一方でフレーム部及び他方で前記フレーム部に適合する前装部を作成し、引き続き相互に結合して義歯にすることにある。
【0013】
第1の部材と他の部材とから構成されていて、前記の他の部材は場合により他の部材を介在して前記の第1の部材に固定されている義歯の本発明による製造方法の場合に、前記義歯を第1の部材と第2の部材とに分割することは所定の構造アルゴリズムによる自動的な分解として行われる。この場合、補修箇所の3Dデータセット又は前記補修箇所のモデルから出発し完全な義歯を3Dデータセットとして準備し、前記義歯は一方で前記補修箇所に適合する外側輪郭を有し、かつ他方で補修箇所に適合する接合輪郭を有し、その結果、第1の部材の3Dデータセットと他の部材の3Dデータセットとが作成される。
【0014】
これにより両方の部分は1つの最適化された過程で構築することが可能になる。
【0015】
有利な実施態様の場合に、第1の部材と他の部材との間に分離面を作成することができ、この分離面は一方で他の部材の内側の表面により形成され、他方では第1の部材の外側の表面により形成され、その際、前記分離面の曲面は自動的に必要な構造パラメーターを考慮しながら決定される。
【0016】
義歯が少なくとも1つの構成要素からなるフレームを第1の部材として有し、前記フレームは外装されるべき外側面を有する義歯を製造するための本発明による更なる方法は、前装が他の部材としての別々に製造された前装部により行われ、前記の他の部材は場合により他の部材を介在して前記フレームに固定されることにある。前記フレームと前装部との間に分離面が存在し、前記分離面は一方で前記前装部の内側の表面により形成され、他方で前記フレームの外側の表面により形成され、その際、前記分離面の曲面はCADプログラムにより必要な構造パラメーターを考慮しながら自動的に決定される。
【0017】
この場合でも両方の部分は1つの最適化された過程で構築することが可能になる。
【0018】
第1の部材と他の部材とから構成され、前記の他の部材は場合により他の部材を介在して前記第1の部材と固定されている義歯の本発明による他の製造方法の場合に、補修箇所の3Dデータセット又は前記補修箇所のモデルから出発して、第1の部材との接続面を決定するために前記第1の部材の3Dデータセットを考慮しかつ第2の外輪郭を決定するために前記補修箇所の3Dデータセットを考慮して前記第2の部材用の3DデータセットをCADプロセスで作成し、その際、前記第1の部材の前記3Dデータセットは、3Dデータセットとして存在する補修箇所に仮想的に置かれ、それにより修正された3Dデータセットが作成される。
【0019】
この場合、例えば前装部を作成するために、例えばフレームの物理的モデルを製造し、前記モデルを補修箇所中へ導入し、このモデルと一緒に測定することは必要ない。
【0020】
この方法のそれぞれは、手作業だけによる方法と比較して効率のよいCAD/CAM法を使用して2つの材料タイプからなる義歯の製造を可能にする。前記前装部は、それ自体複数の構成要素からなることができ、つまりフレームに中間部材を介して固定されていてもよい。
【0021】
有利に、他の部材は第1の部材の外側面に取り付けるための当接面を有する。それにより、他の部材を第1の部材に正確に位置調整することができる。
【0022】
有利に前記固定は接合により行われる。この場合、少なくとも2つの部材を接着材料によって相互に結合することができるか又は熱処理によって組み合わせることができる。
【0023】
有利に、この両方の部材はCAD/CAM法で製造されるため、前記の両方の部材の3Dデータセット及びこの両者の相互の関係はさらに測定せずに既知である。
【0024】
本発明の実施態様の場合に、この2つの部材は異なる材料からなり、それにより前記の個々の部材について異なる要求に適合させることが可能である。
【0025】
有利に、前装部の材料は審美的であり、フレームの材料は強度に関して最適化されていて、材料の選択においても当てはまる。この観点に基づき、前記材料の構成を最適化することも可能である。
【0026】
有利に、接着材料は所望の光学的効果を達成するために着色されている。接着材料を配置する幾何学的曲面は、さらに色彩効果を作成するために特別に構成されていてもよい。
【0027】
有利に、内部の表面と外部の表面との間に間隙が設けられていて、その間隙に接着材料が充填される。この場合、前記間隙は異なる厚さで構成されていてもよい。それにより、着色された接着材料を有する位置に応じて、義歯の異なる彩色が可能となる。前記間隙の寸法形状及び彩色は、他の部材を作成するためのCADプロセスの構成要素であることができる。
【0028】
有利に、接着材料のための材料としてガラスハンダ、低融点セラミック又は有機接着剤が使用される。ガラスハンダの場合には、結合すべき部材はその膨張係数に関して有利に相互に適合するように選択される。
【0029】
接着材料として、固定後に着色を例えば光の作用により行うことができる材料を使用することも可能である。さらに、存在する歯に対して最適な色合わせを達成するために、患者の口腔内へ装着する間又は装着した後に前記義歯の色彩の調節を光の作用により行うことも有利である。
【0030】
本発明の他の主題は、少なくとも1つの構成要素からなるフレームを第1の部材として有し、その際、前記フレームは前装されている外側面を有する義歯である。さらに、第2の部材としての別々に製造された前装部は、場合により他の別々に製造された部材の介在で、前記フレームに取り付けるための接続面が設られ、かつ前記フレームに固定されている。
【0031】
有利に、少なくとも2つの部材は接着材料で相互に結合されている。
【0032】
有利に少なくとも2つの部材はCAD/CAM法で製造されている。
【0033】
有利に、少なくとも2つの部材は異なる材料からなる。
【0034】
有利に、前記前装部は審美的に最適化されていて、前記フレームは強度に関して最適化されている。
【0035】
有利に、接着材料は所望の光学的効果を達成するために着色されている。
【0036】
有利に、結合層のための材料はガラスハンダ、低融点セラミック又は有機接着剤であり、接着すべき部材はその膨張係数に関して相互に適合するように選択されている。
【0037】
有利に少なくとも2つの部材は熱処理により組み合わせられている。
【0038】
有利に第1の部材と第2の部材との間には第3の部材としての少なくとも1つの中間部材が、一方で接続面で第1の部材に、他方で接続面で第2の部材に配置されている。
【0039】
前記接着材料は、所望の光学効果を達成するために着色されていてもよく、かつ多様な厚さに構成されている間隙中に配置されていることができる。
【0040】
本発明の他の主題は、義歯を作成するための部材であり、この場合、前記義歯は少なくとも1つの構成要素からなるフレームを第1の部材として有する。前記フレームの前装のために、別々に製造された前装部が第2の部材として構成されていて、場合により別々に製造された他の部材を介在して、前記フレームとの結合のための接続面を有する。
【0041】
有利に、前記部材はCAD/CAM法で製造されている。
【0042】
有利に前記部材は、審美的に最適化されている。
【0043】
有利に、前記材料は、ガラスハンダ、低融点セラミック又は有機接着剤との結合のために適している。
【0044】
有利に、前記材料は、熱処理を用いた結合のために適している。
【0045】
本発明の他の主題は、ブランクから材料除去する加工法により製造される、第1の部材と少なくとも1つの他の部材とから構成された義歯を製造するためのブランクである。前記ブランクは、第1の部材用の第1の材料からなる第1の部分と、他の部材用の第2の材料からなる第2の部分とからなる。
【0046】
これは、操作員による更なる干渉なしで同じ作業機械中で1回の処理で両方の部材を同時に連続して作成することを可能にする。
【0047】
有利に、第1の材料のための材料としてAl又はZrOが使用され、第2の部材の材料として長石セラミックが使用される。両方の材料は、それぞれの適用目的にとって、つまり一方でフレームにとって、かつ他方で前装にとって特に適している。
【0048】
特に有利な実施態様の場合に、義歯を製造するための前記ブランクの少なくとも1つの部分は、異なる色彩を有する領域を有する。着色された接着材料と共に、最終的な義歯を更に審美的に最適化することができる。
【0049】
有利に、前記ブランクは保持部分と、前記保持部分と結合するブランクボディとを有することができ、前記ブランクボディは第1の部分と第2の部分を形成し、その際、前記第1の部分は前記保持部分に配置されていて、かつ前記第2の部分は前記第1の部分に配置されている。
【0050】
これは、ブランクの唯一の取り付けで義歯の両方の部材を製造できるという利点を有する。

【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
図1には、ブリッジの形の、製造すべき完全な義歯1が示されていて、前記義歯は、フレーム2の形の第1の部材と、前装3の形の本発明による第2の部材とから構成されている。前記前装3と前記フレーム2との間に分離面4が存在し、前記分離面は一方で前記前装3の内側の表面5から形成され、他方で前記フレーム2の外側の表面6から形成されている。前記分離面4の曲面は、有利にCADプログラムにより自動的に必要な構造パラメータを考慮しながら決定される。
【0052】
前記前装3は、半透明でかつ前記前装3の下にある層が透けて見える材料から製造される。
【0053】
前記フレーム2は、図示されていない支台又は図示されていない残歯に固定するためのそれ自身の内側の表面7を有することができる。
【0054】
前記義歯1は、例えば前記前装部3と前記フレームとの間に中間部材3′が装入されている場合に、2つ以上の部分からなることもできる。さらに、複数の構成要素からなる義歯の場合に、前記前装部3は唯一の構成要素又は隣接する構成要素のグループに分けることができる。
【0055】
前記フレーム及び前装部の構造は、一般に、1つの装着方向だけが存在するために、前装部だけが必要であるように設計される。フレームの部分、例えばブリッジ構成要素の下部が露出したままである場合には、一般に無害である。
【0056】
図2には、前記分離面の曲面が詳細に示されていて、この場合、前装部3の内側の表面5と、フレーム2の外側の表面6との間で、結合層には空隙8が設けられていて、前記空隙は接着材料9で充填されている。
【0057】
結合層の定義された層厚を達成するために、前記空隙8中に突出部10が設けられていてもよく、前記突出部の当接面11が前記外側の表面6に当接する。
【0058】
前記接着材料9は着色されていてもよく、かつ結合層の厚さに依存する色彩強度及び/又は彩色を有していてもよい。層厚が増加する場合に、色彩強度は増大しかつ結合層はより暗色に見える。層厚が減少する場合には、色彩強度も低下し、結合層はより明色に見える。
【0059】
もちろん、前記接着材料9自体は多様な基本色で存在してもよく、前記空隙へ埋め込むことにより所望の色彩効果を達成するために適当な方法で選択することができる。接着材料9中に存在する色彩は、半透明の前装3を通して透けて見える。
【0060】
図3では、内側部分32上に外側部分33が設置されている歯の修復部を示す。この場合、間隙8は接着材料9で充填されていて、前記接着材料の下側領域における厚さtは、上側領域における厚さtよりも厚い。
【0061】
内側部分32の対応する切欠部12中に嵌り込む外側部分33のスペーサーエレメント10を介して、前記外側部分は内側部分に位置決めされ、所定の間隔が保たれる。
【0062】
前記間隙8の厚さ及びそれによる結合層の厚さは、コンストラクションソフトウェアにより、所望の色の推移に応じて合わせることができるため、義歯に接着材料を適用する場合にまず最初にできる限り充分な量で塗布される。外側部分33を内側部分32に押し付ける場合に、過剰量の接着材料は分離継ぎ目から押し出され、除去することができる。押し付けの際に、当接位置が実際に達成されて、結合層の所定の厚も達成されかつその厚さを越えないように考慮しなければならない。
【0063】
前記接着材料9は原則として有機又は無機であることができる。無機接着材料の場合には、材料として例えば着色されたガラスハンダが挙げられる。
【0064】
図4には、複数の部材からなる義歯を製造するためのブランクが図示されていて、その際、前記ブランク40は図示されていない加工装置中に固定するための保持部分41と前記保持部分41と結合したブランクボディ42とを有する。
【0065】
前記ブランクボディ42は、2つの相互に隣り合う、異なる材料組成を有する部分領域43,44を有し、その際、前記部分領域43は保持部分41と部分領域44との間に配置されている。材料組成は、光学的特性、例えば色彩又は半透明性、特に強度値でも相違するため、ワークピースを取り換えずに唯一の取り付けで、複数の部材からなる義歯の一方の部材は部分領域43の一方の材料から製造し、他方の部材は部分領域44の他方の部材から製造することができる。このために、工具45の相対運動は矢印46,47の方向でブランクボディ42に沿って行うことができる。
【0066】
この方法の図示された経過を次に詳説する。出発点は、作成すべき義歯をコア部と外皮部としての形で描いたCADデータセットである。
【0067】
第1の部材としてのワークフレームについてのデータセットは、存在するワークフレームの計測によって作成することができる。しかしながらこのデータセットは、データセットとして存在する補修箇所又は前記補修箇所のモデルに基づきワークフレームを構築することにより、CADプロセスにより作成することもできる。
【0068】
第2の部材としての前装部のためのデータセットは、CADプロセスで、前記ワークフレームへの接続面の決定のために前記ワークフレームについてのデータセットから出発し、かつ外輪郭の決定のために補修箇所のデータセットから出発して作成される。この場合、補修箇所に配置されたワークフレーム(コア部材)に基づき、計測によりデータセットを作成するか又は前記ワークフレームを仮想上でのみデータセットとして存在する補修箇所に定めかつそれからデータセットを作成することが可能である。
【0069】
それとは別に、このために補修箇所又は前記補修箇所のモデルのデータセットから出発し、完全な義歯を構築することもでき、つまり、一方で外輪郭を用いて、他方で補修箇所での接続輪郭を用いて構築することができ、かつそれに引き続き初めて義歯はコア若しくはワークフレーム及び外皮若しくは前装部用の第1の部材及び第2の部材に分割される。この分割は自動的に行われる。
【0070】
引き続きCAMプロセスにおいて、両方の形状をこのために適当な材料から製造し、その際、前記形状のコアの上側は皮膜の下側のネガティブに対応し、両方の形状の間には公差の補償のため及び接着材料の導入のために数10μmの間隙がある。
【0071】
それにより、両方の部分の持続的な結合が行われる。異なる結合技術も考えられる。
【0072】
表面処理されたコア部材上に外皮を被せ、前記外皮部材の融点のわずかに下まで加熱することで前記コア部材上に融着させる。
【0073】
これとは別に、コア部材に低融点のセラミックを吹き付け均一な薄い層を形成させ、引き続き外皮部材を被せる。吹き付けられたセラミックの融点を超えるまで加熱することにより、外皮部材とコア部材との結合が生じる。前記吹き付けは、この場合にセラミック粉末を用いたスプレーにより行うことができる。
【0074】
低融点のセラミックを吹き付ける代わりに、ガラスハンダ又は金属ハンダ又は他の無機材料を前記の接合間隙中に導入することもできる。
【0075】
この種の全ての結合は、典型的に熱処理が行われ、その熱処理の際に生成物は耐熱性であり、つまり他の熱処理プロセス、例えば釉掛けを行うことができる。
【0076】
さらに、有機接着材料を用いて接合することもできる。この有機接着材料は化学的に又は光によって硬化される。
【0077】
接合材料の色調及び半透明性は、修復の全体の印象を最適化するために意識的に選択することができる。接合間隙の形状は審美的な結果を最適化するために利用することもできる。後からの光の作用によって着色される接合材料を利用することも考えられる。
【0078】
この方法は、コア部材と外皮部材とのための両方の材料が一つのホルダーに取り付けられる特別なブランクにより支持することができ、両方の部材は、前記装置によって更なる利用者の相互作用なしで十分に削り出しすることができる。
【0079】
この種のブランクは、しかしながら、複数のブランクを用いて、もちろん僅かなオートメーション化度の場合で機能する方法を実施するための必然的な前提条件はない。
【0080】
全体像をフレームと前装とに分ける規則は、前記フレームが同じ層厚でかつ比較的薄い、例えば0.5mmで構成されことであり、このことは、義歯のできる限り大部分が審美的に適した材料からなるという利点を有する。
【0081】
全体像をフレームと前装とに分ける他の規則は、前装がほぼ均一な層厚でかつ比較的薄く、例えば1mmで構成されることであり、このことは、前装部の僅かな固体材料中であまり応力が生じないという利点を有する。
【0082】
さらに、CADソフトウェアにおいて例えばマニュアルで変更される中間領域を前記規則に適用することができる。
【0083】
ブランクの第1の部分43のための材料としてAl又はZrOを挙げることができ、第2の部分44のための材料として長石セラミック又は同等のガラスセラミック、特にリューサイトを含有するガラスセラミックを挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図面で本発明の実施例を説明する。図1は、フレームと前装とを備えた義歯を示す図である。
【0085】
図2は図1の内部の分離面の領域の詳細を示す図である。
【0086】
図3は、他の義歯を示す図である。
【0087】
図4は、義歯の部材を製造するための多様な材料特性を有するブランクを示す図である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材(2)と他の部材(3)とから構成されていて、前記の他の部材(3)は場合により他の部材(3′)が介在して前記第2の部材(2)側に固定されている完全な義歯(1)の製造方法において、補修箇所の3Dデータセット又は前記補修箇所のモデルから出発し、完全な義歯(1)を3Dデータセットとして準備し、前記完全な義歯は一方で前記補修箇所に適合した外輪郭を有し、かつ他方で前記補修箇所に適合した接続輪郭を有し、その際、前記義歯(1)を第1の部材と他の部材(2,3)とに分割することは所定の構造アルゴリズムに従って自動的分解により行い、それにより第1の部材の3Dデータセットと他の部材の3Dデータセットが作成されることを特徴とする、完全な義歯の製造方法。
【請求項2】
第1の部材(2)と他の部材(3)との間に分離面(4)を作成し、前記分裏面は一方で前記の他の部材(3)の内側の表面(5)により形成され、他方で第1の部材(2)の外側の表面(6)により形成され、その際、前記分裏面(4)の曲面は必要な構造パラメーターを考慮しながら自動的に決定されることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
義歯(1)は少なくとも1つの構成要素からなるフレーム(2)を第1の部材として有し、かつ前記フレームは前装されるべき外側面(6)を有し、その際、前記の前装は他の部材として別個に製造された前装部(3)により行われ、前記前装部は場合により他の部材(3′)が介在して前記のフレーム(2)に固定され、その際、前記のフレーム(2)と前記の前装部(3)との間には分離面(4)が存在し、前記分離面は一方で前記前装部(3)の内側の表面(5)により形成されていて、かつ他方で前記フレーム(2)の外側の表面(6)により形成されている義歯(1)の製造方法において、前記分離面(4)の曲面をCADプログラムにより必要な構造パラメーターを考慮しながら自動的に決定することを特徴とする、義歯の製造方法。
【請求項4】
第1の部材(2)と他の部材(3)とから構成され、前記の他の部材(3)は場合により他の部材(3′)を介在して前記第1の部材(2)に固定されている完全な義歯(1)の製造方法において、補修箇所の3Dデータセット又は前記補修箇所のモデルから出発して、第1の部材との接続面を決定するために前記第1の部材の3Dデータセットを考慮しかつ第2の外輪郭を決定するために前記補修箇所の3Dデータセットを考慮して前記第2の部材用の3DデータセットをCADプロセスで作成し、その際、前記第1の部材の前記3Dデータセットは、3Dデータセットとして存在する補修箇所に仮想的に置かれ、それにより修正された3Dデータセットが作成されることを特徴とする、完全な義歯の製造方法。
【請求項5】
他の部材(3)は第1の部材(2)の外側面(6)に取り付けるための当接面(11)を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも2つの部材(2,3)は接着材料(9)により相互に結合されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも2つの部材(2,3)はCAD/CAMプロセスで製造されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
2つの部材(2,3)は異なる材料からなることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前装部(3)の材料は審美的に最適化されていて、フレーム(2)の材料は強度に関して最適化されていることを特徴とする、請求項3及び8項に記載の方法。
【請求項10】
接着材料(9)は所望の光学的効果を達成するために着色されていることを特徴とする、請求項6から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
内側の表面(5)と外側の表面(6)との間に間隙(8)を設け、前記間隙が接着材料(9)で充填されることを特徴とする、請求項6から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
間隙(8)は異なる厚さに構成されることを特徴とする、請求項5及び11項に記載の方法。
【請求項13】
接着材料(9)のために、ガラスハンダ、低融点セラミック又は有機接着剤が使用されることを特徴とする、請求項6から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
接着材料(9)は固定の後に付加的に着色されることを特徴とする、請求項6から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも2つの部材(2,3)は熱処理により接合されることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの構成要素からなるフレームを第1の部材(2)として有し、前記のフレームは前装されている外側面(6)を有する義歯において、第2の部材として別個に製造された前装部(3)は、場合により別個に製造された他の部材(3′)を介在して、前記フレームに取り付けるために当接面(5)を備え、前記フレーム(2)に固定されている、義歯。
【請求項17】
少なくとも2つの部材(2,3)は接着材料(9)により相互に結合されていることを特徴とする、請求項16に記載の義歯。
【請求項18】
少なくとも2つの部材(2,3)はCAD/CAMプロセスで製造されていることを特徴とする、請求項16又は17に記載の義歯。
【請求項19】
少なくとも2つの部材(2,3)は異なる材料からなることを特徴とする、請求項16から18までのいずれか1項に記載の義歯。
【請求項20】
前装部(3)のための材料は審美的に最適化されていて、フレーム(2)のための材料は強度に関して最適化されていることを特徴とする、請求項19に記載の義歯。
【請求項21】
接着材料(9)は所望の光学的効果を達成するために着色されていることを特徴とする、請求項17から20までのいずれか1項に記載の義歯。
【請求項22】
接着材料(9)は、ガラスハンダ、低融点セラミック又は有機接着剤であることを特徴とする、請求項17から21までのいずれか1項に記載の義歯。
【請求項23】
少なくとも2つの部材(2,3)は熱処理により接合されていることを特徴とする、請求項16から22までのいずれか1項に記載の義歯。
【請求項24】
第1の部材と第2の部材(2,3)の間に、少なくとも1つの中間部材(3′)が、一方で第1の部材(2)との当接面を有しかつ他方で第2の部材(3)との当接面を有する第3の部材として配置されていることを特徴とする、請求項16から23までのいずれか1項に記載の義歯。
【請求項25】
接着材料(9)は所望の光学的効果を達成するために着色されていることを特徴とする、請求項16から24までのいずれか1項に記載の義歯。
【請求項26】
接着材料(9)は、異なる厚さに構成されている間隙(8)中に配置されていることを特徴とする、請求項16から25までのいずれか1項に記載の義歯。
【請求項27】
少なくとも1つの構成要素からなるフレーム(2)を第1の部材として有する義歯(1)を製造するための部材において、前記フレーム(2)の前装のために別個に製造された前装部(3)が第2の部材として構成されていて、かつ場合により別個に製造された他の部材(3′)が介在して、前記フレーム(2)との結合のための当接面(5)を有することを特徴とする、義歯を製造するための部材。
【請求項28】
CAD/CAMプロセスにおいて製造されていることを特徴とする、請求項27に記載の部材。
【請求項29】
審美的に最適化されていることを特徴とする、請求項27又は28に記載の部材。
【請求項30】
接着のための材料は、ガラスハンダ、低融点セラミック又は有機接着剤が適していることを特徴とする、請求項27から29までのいずれか1項に記載の部材。
【請求項31】
接着のための材料は、熱処理を用いることが適していることを特徴とする、請求項27から30までのいずれか1項に記載の部材。
【請求項32】
材料除去する加工法を用いた、第1の部材と少なくとも1つの他の部材とから構成された義歯(2,3)の製造のためのブランクにおいて、前記ブランク(42)の第1の部分(43)は第1の部材(2)のための第1の材料からなり、前記ブランクの第2の部分(44)は他の部材(3)のための第2の材料からなることを特徴とする、ブランク。
【請求項33】
第1の部分(43)のための材料としてAl又はZrOが使用され、第2の部分(44)のための材料として長石セラミック又は同等のガラスセラミック、特にリューサイトを含有するガラスセラミックが使用されていることを特徴とする、請求項32に記載のブランク。
【請求項34】
第2の部材(3)を製造するための部分(44)が異なる色調の領域(44.1〜44.3)を有することを特徴とする、請求項32又は33に記載のブランク。
【請求項35】
ブランク(40)が保持部分(41)と前記保持部分に結合するブランクボディ(42)とを有し、前記ブランクボディは第1の部分と第2の部分(43,44)とを形成し、その際、第1の部分(43)は前記保持部分(41)に配置され、第2の部分(44)は前記第1の部分(43)に配置されていることを特徴とする、請求項32から34までのいずれか1項に記載のブランク

【公表番号】特表2008−539920(P2008−539920A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510597(P2008−510597)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062303
【国際公開番号】WO2006/120255
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(500058187)シロナ・デンタル・システムズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (32)
【Fターム(参考)】