説明

耐アルカリ性ガラスコーティング用有機−無機ハイブリッド体

【課題】ガラスカレットとして再利用する際にも、着色することがなく、また耐アルカリ性に優れたガラスコーティング用材料を提供する。
【解決手段】主鎖骨格にエーテル結合、ウレタン結合、カーボネート結合及び炭素−炭素結合からなる群より選ばれる1種以上の結合を有し、かつ、水酸基を有する有機成分と、TiO2系、ZrO2系及びこれらの混合系からなる群より選ばれる無機成分とを含む有機−無機ハイブリッド体であって、有機成分と無機成分の一部が共有結合している有機−無機ハイブリッド体、前記有機−無機ハイブリッド体を含む耐アルカリ性被覆体、前記耐アルカリ性被覆体で外面及び/又は内面を被覆したガラスびん、前記有機−無機ハイブリッド体を含むコーティング液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐アルカリ性に優れたガラスコーティング用有機−無機ハイブリッド体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、着色又は破壊防止や傷付き防止を目的としてガラスびんにセラミックスや樹脂をコーティングすることが広く行われている。例えば、繰り返して使用される牛乳びんやビールびんなどのリターナブルびんは、繰り返し使用する間に強度が低下し、また外観品質が劣化するなどの不具合を生じることがあり、ガラスびんの外表面全体にセラミックスや樹脂のコーティング膜を形成することが行われている。
具体的には、SnO2などのセラミックス膜を応用した耐傷性表面保護コートしたものや、セラミックス膜の上にさらにポリエチレン等の滑性層をコートしたいわゆるデュアルコートがある。さらに、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アクリル系樹脂やポリプロピレン系樹脂等の樹脂コートも行われており、牛乳びんなどのリターナブルびんにはスチレンブタジエンゴム(SBR)をアンダーコートした上にポリウレタン系樹脂をオーバーコートした2層コーティングしたものも知られている。
【0003】
しかしながら、SnO2などのセラミックス膜は屈折率が高く表面の反射率が大きいため、膜厚が厚くなる(40〜100nm)と虹彩色が現れ、無色透明なびんに応用した場合ガラスの透過率が低下するためびんの透明感を損なうなどの問題点がある。また、セラミックス膜の上にさらにポリエチレン等の滑性層をコートしたデュアルコートの場合には、セラミックス層を20nm以下と薄くできるために外観上への影響は小さいが、リターナブルびんで使用されるアルカリ洗浄での耐久性が小さく、耐傷効果が長続きしないという問題点がある。また、ポリウレタン系樹脂などの樹脂コーティング膜の場合、十分な接着性がなく、アルカリ洗浄でコーティング膜の端面で界面剥離や膜が白化し、さらに耐傷性にも問題がある。
一方、スチレンブタジエンゴムとポリウレタン系樹脂の2層コーティング膜は、耐アルカリ性が高く、透明であるために外観上の問題はないものの、2層コートであるため樹脂コーティング工程が複雑になるという問題点がある。さらに、2層コートであるために膜厚が70〜150μmと厚くなり、このためガラスカレットとして再利用する場合に細かく粉砕することが困難であり、またガラスへの着色性のため使用に制限があるなどの問題点もある。
【0004】
【特許文献1】特開2002−347770号公報
【特許文献2】特表平6−509131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、ガラスカレットとして再利用する際にも、着色することがなく、また耐アルカリ性に優れたガラスコーティング用材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、主鎖骨格にエーテル結合、ウレタン結合、カーボネート結合及び炭素−炭素結合からなる群より選ばれる1種以上の結合を有し、かつ、水酸基を有する有機成分と、TiO2系、ZrO2系及びこれらの混合系からなる群より選ばれる無機成分とを含む有機−無機ハイブリッド体であって、有機成分と無機成分の一部が共有結合している有機−無機ハイブリッド体を提供する。
また、本発明は、前記有機−無機ハイブリッド体を含む耐アルカリ性被覆体を提供する。
また、本発明は、前記耐アルカリ性被覆体で外面及び/又は内面を被覆したガラスびんを提供する。
また、本発明は、前記有機−無機ハイブリッド体を含むコーティング液を提供する。
また、本発明は、主鎖骨格にエーテル結合、ウレタン結合、カーボネート結合及び炭素−炭素結合からなる群より選ばれる1種以上の結合を有し、かつ、水酸基を有する有機成分と、Ti又はZr系アルコキシドのアルコキシド基の一部又は全部が塩素に置換された化合物とを反応させてC−O−Ti又はZr結合を生成させることを含む有機−無機ハイブリッド体の製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の有機−無機ハイブリッド体は、主鎖骨格にエーテル結合、ウレタン結合、カーボネート結合及び炭素−炭素結合からなる群より選ばれる1種以上の結合を有し、かつ、水酸基を有する有機成分を含む。この有機成分は、低分子化合物であってもよく、又は高分子化合物であってもよい。成膜性の観点から、高分子化合物であるのが好ましい。より好ましくは、分子量が500〜500000である高分子化合物である。
有機成分の主鎖骨格には、エーテル結合、ウレタン結合、カーボネート結合及び炭素−炭素結合からなる群より選ばれる1種以上の結合が存在する。これにより、ガラスびんなどに被覆したときに耐アルカリ性を有する被覆体となる。前記結合は高分子の重合の際生成される主鎖中の結合の主要部分であり、その割合は50〜100mol%であるのが好ましい。より好ましくは、70〜100mol%である。また、有機成分は水酸基を有する。これにより、有機成分と無機成分とが共有結合を介して結合することができ、有機成分と無機成分との相溶性を高め、ガラスびんなどに被覆したときに均質な被覆体とすることができる。水酸基の量は、水酸基価として3〜1300であるのが好ましい。より好ましくは、5〜400である。
具体的な有機成分としては、アクリル系ポリマー、フルオロオレフィン系ポリマー、ビニルエステル系ポリマー、芳香族ビニル系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエーテル系ポリマーなどが挙げられ、さらにこれらの混合系、コポリマーなどであってもよい。好ましくは、アクリル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエーテル系ポリマーである。
【0008】
本発明の有機−無機ハイブリッド体は、さらにTiO2系、ZrO2系及びこれらの混合系からなる群より選ばれる無機成分を含む。無機成分としては、Ti又はZr原子に結合した水酸基及び/又はTi又はZr原子に結合した加水分解性基を有するもの、さらにはこれらの加水分解重合物が挙げられる。加水分解性基は加水分解されて水酸基を生成する基であり、例えばハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。
好ましいTiO2系無機成分としては、以下の化合物が挙げられる。
(R1aTi(OR24-a
(式中、R1は、ハロゲン原子又は水酸基を表し、R2はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表し、aは0〜3の整数である。)
【0009】
具体的には、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラn−ブトキシド、チタンテトライソプロポキシドなどのチタンテトラアルコキシド、チタンクロロトリメトキシド、チタンクロロトリエトキシド、チタンクロロトリn−ブトキシド、チタンクロロトリイソプロポキシドなどのチタンクロロトリアルコキシド、チタンジクロロジメトキシド、チタンジクロロジエトキシド、チタンジクロロジn−ブトキシド、チタンジクロロジソプロポキシドなどのチタンジクロロジアルコキシドなどが挙げられる。好ましくは、チタンオルガノトリアルコキシド又はチタンジオルガノジアルコキシドである。
また、TiO2系無機成分としては、上述のTiO2系無機成分を加水分解重合させて得られる無機重合体が好ましい。
【0010】
また、好ましいZrO2系無機成分としては、以下の化合物が挙げられる。
(R1aZr(OR24-a
(式中、R1は、ハロゲン原子又は水酸基を表し、R2はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表し、aは0〜3の整数である。)
【0011】
具体的には、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラn−ブトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシドなどのジルコニウムテトラアルコキシド、ジルコニウムクロロトリメトキシド、ジルコニウムクロロトリエトキシド、ジルコニウムクロロトリn−ブトキシド、ジルコニウムクロロトリイソプロポキシドなどのジルコニウムクロロトリアルコキシド、ジルコニウムジクロロジメトキシド、ジルコニウムジクロロジエトキシド、ジルコニウムジクロロジn−ブトキシド、ジルコニウムジクロロジソプロポキシドなどのジルコニウムジクロロジアルコキシドなどが挙げられる。好ましくは、ジルコニウムオルガノトリアルコキシド又はジルコニウムジオルガノジアルコキシドである。
また、ZrO2系無機成分としては、上述のZrO2系無機成分を加水分解重合させて得られる無機重合体が好ましい。
【0012】
本発明の有機−無機ハイブリッド体は、さらに有機成分と無機成分の一部が共有結合しているものである。共有結合は、有機成分の炭素原子と無機成分のTi又はZrが直接結合しているものであってもよく、又は酸素を介して結合しているものであってもよい。好ましくは、酸素を介して結合しているものである。
本発明の有機−無機ハイブリッド体において、有機成分と無機成分との成分比は、10:90〜90:10(重量)である。好ましくは、40:60〜90:10(重量)である。優れた耐アルカリ性を付与することができ、ガラスカレットとして再利用する際の着色を防止することもできる。
【0013】
本発明の有機−無機ハイブリッド体を製造する方法は、特定の方法に限定されるものではない。例えば、有機成分と、Ti又はZr系アルコキシドのアルコキシド基の一部又は全部が塩素に置換された化合物とを反応させてC−O−Ti又はZr結合を生成させることによって本発明の有機−無機ハイブリッド体を製造することが好ましい。さらに、Ti又はZr系アルコキシドを加水分解重合させることによって、相溶性に優れ、ガラスびんなどに被覆したときに均質な被覆体とすることができる。
【0014】
本発明の有機−無機ハイブリッド体は、さらに無機微粒子を含有していてもよい。無機微粒子としては、層状化合物、金属酸化物、金属などが挙げられる。好ましくは層状化合物又は金属酸化物である。これらの無機微粒子を含有させることによって、密着性を高め、クラックなどのないより均質な被覆物を形成することができる。
層状化合物とは、層状結晶構造をもつ無機物質のことをいう。例えば、グラファイト、NbSe2、TiS2、MoS2などの遷移金属ジカルコゲン化物、CrPS4などの二価金属リンカルコゲン化物、V25、MoO3などの遷移金属の酸化物、FeOCl、VOCl、CrOClなどのオキシハロゲン化物、Cu(OH)2、Zn(OH)2などの水酸化物、Zr(HPO42・nH2O、Ti(HPO43・nH2O、Na(UO2PO43・nH2Oなどのリン酸塩、Na2Ti37、KTiNbO5、RbxMnxTi2-x4などのチタン酸塩、Na227、K227などのウラン酸塩、KV38、K3514、CaV616・nH2O、Na(UO239)・nH2Oなどのバナジン酸塩、KNb33、K4Nb617などのニオブ酸塩、Na2413、Ag41013などのタングステン酸塩、Mg2Mo27・Cs2Mo516、Cs2Mo722、Ag4Mo1033などのモリブデン酸塩、モンモリロナイト、ノントロナイト、ヘクトライト、サポナイト、ハイデライト、スティブンサイト、バイオタイト、トリオクタヘドラルバーミキュライト、ジオクタヘドラルバーミキュライト、テトラシリシックマイト、マスコバイト、フィロゴバイト、レピドライト、バラゴナイト、カオリナイト、ハロイサイト、ディッカイト、H2SiO5、H2Si1429・5H2Oなどの珪酸塩又はこの珪酸塩により構成される鉱物類などが挙げられる。これらの層状化合物 は2種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましい層状化合物の大きさは、平均粒径5μm以下、厚み500nm以下である。また、本発明の有機−無機ハイブリッド体における層状化合物の含有量は、好ましくは40重量%以下であり、より好ましくは5〜30重量%である。
金属酸化物としては、Si、Al、Ti、Zr、Ta、Fe、Sn、Sb、Ce、La、Zn、W及びInからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物又は複合酸化物などが挙げられる。これらの金属酸化物は2種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましい金属酸化物の大きさは、平均粒径10μm以下である。また、本発明の有機−無機ハイブリッド体における金属酸化物の含有量は、好ましくは40重量%以下であり、より好ましくは5〜30重量%である。
【0015】
本発明のコーティング液は、溶媒中に上記の有機−無機ハイブリッド体を含む。適した溶媒としては、水、メチルアルコール等アルコール類、エチレングリコール等グリコール類、ブチルセロソルブ等多価アルコール誘導体、環状エーテルなどが挙げられる。これらの溶媒は、単独で、又は混合して用いることができる。
本発明のコーティング液は、当業者に公知の方法を用いてガラスびんに適用してもよく、得られた被覆体は優れた耐アルカリ性を有する。また、本発明のコーティング液はガラスびんの外面及び内面の両方に適用できる。
本発明のコーティング液を適用するガラスびんは、公知の任意のガラス素材に対しても適用することができる。具体的なガラス素材としては、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、鉛ガラスなどが挙げられる。
【0016】
本発明の耐アルカリ性被覆物は、耐アルカリ性、耐熱水性、耐候性及び耐傷付性に優れるものであり、ガラスカレットとして再利用する際にも、着色することがない。また、本発明の耐アルカリ性被覆物は、ガラス基材との密着性に優れるが、さらにガラス基材との密着性を高めるためにガラス基材にアンカー層を設けることもできる。アンカー層は、極性基、たとえばヒドロキシル基、カルボキシル基および炭素・炭素二重結合などの不飽和基を有する化合物を含み、例えばポリエスエルポリオールやポリエーテルポリオール等のポリオール成分とポリイソシアネート成分との架橋物より構成される。
【実施例】
【0017】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
(アンカー層形成用コーティング液)
イソフタル酸/1,3−ブタンジオール共重合体(東洋紡績株式会社製:商品名バイロン200、Mn=17000、水酸基価=6)を酢酸エチルエステル/メチルエチルケトン=65/35混合溶媒に溶解したものに前記共重合体60重量部に対して40重量部のポリイソシアネート(住友バイエルウレタン株式会社製:商品名スミジュール N3300)及び0.5重量部のジラウリン酸ジブチル錫(和光純薬工業株式会社製)を混合し、酢酸エチル/MEK=65/35混合溶媒にて調整し固形分約14.2重量%のアンカー層形成用コーティング液を得た。
【0018】
(塗装基板の作成)
アセトンで脱脂洗浄したガラス板にアンカー層形成用コーティング液を#5のバーコーターにて塗装し、120℃に設定した電気オーブンにて3分間熱処理をし、塗装基板を作成した。
【0019】
(実施例1)
50mLのスクリュー管に撹拌子を入れ、テトラヒドロフラン(以下THF)で30重量%に希釈したポリブチルアクリレート/メルカプトエタノール付加物(綜研化学株式会社製:商品名アクトフローUMB2005、Mn=2200、水酸基価=89)10gを加えた。マグネチックスターラーを用い10分間撹拌した後、1.25Mのチタニウムクロライドテトライソプロポキシド/THF溶液(Gelest社製)を3mL加え更に30分撹拌を続けた。続いて、チタンイソプロポキシド(Gelest社製)2gを加え、10分間撹拌の後、重量比で2/98に混合した水/THF溶液を0.2gゆっくり滴下の後30分間撹拌を続けた。得られた溶液を塗装基板に#24のバーコーターにて塗装し、120℃に設定した電気オーブンで10分間、更に170℃で10分間熱処理を行った。得られた塗装膜は均一で無色透明であった。耐アルカリ性評価のため、この塗装板を80℃に保温した4%水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸漬した結果、白化、剥離等の変化は観察されず、良好なアルカリ耐性が確認された。
【0020】
(比較例1)
50mLのスクリュー管に撹拌子を入れ、テトラヒドロフラン(以下THF)で30重量%に溶解したイソフタル酸/1,3−ブタンジオール共重合体(東洋紡績株式会社製:商品名バイロン200、Mn=17000、水酸基価=6)10gを加えた。マグネチックスターラーを用い10分間撹拌した後、1.25Mのチタニウムクロライドテトライソプロポキシド/THF溶液(Gelest社製)を0.3mL加え更に30分撹拌を続けた。続いて、チタンイソプロポキシド(Gelest社製)3gを加え、10分間撹拌の後、重量比で2/98に混合した水/THF溶液を0.2gゆっくり滴下の後30分間撹拌を続けた。得られた溶液を塗装基板に#20のバーコーターにて塗装し、120℃に設定した電気オーブンで10分間、更に170℃で10分間熱処理を行った。得られた塗装膜は均一で無色透明であった。耐アルカリ性評価のため、この塗装板を80℃に保温した4%水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸漬したところ、塗膜は白化し、アルカリ耐性に劣る結果となった。
【0021】
(比較例2)
50mLのスクリュー管に撹拌子を入れ、テトラヒドロフラン(以下THF)で30重量%に希釈したポリブチルアクリレート/メルカプトエタノール付加物(綜研化学株式会社製:商品名アクトフローUMB2005、Mn=2200、水酸基価=89)10gを加えた。マグネチックスターラーを用い10分間撹拌した後、ジエトキシジクロロシラン(Gelest社製)を1g加え更に30分撹拌を続けた。続いて、テトラエトキシシラン(Gelest社製)2gを加え、10分間撹拌の後、重量比で2/98に混合した水/THF溶液を0.2gゆっくり滴下の後30分間撹拌を続けた。得られた溶液を塗装基板に#20のバーコーターにて塗装し、120℃に設定した電気オーブンで10分間、更に170℃で10分間熱処理を行った。得られた塗装膜は均一で無色透明であった。耐アルカリ性評価のため、この塗装板を80℃に保温した4%水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸漬したところ、塗膜は白化し、アルカリ耐性に劣る結果となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主鎖骨格にエーテル結合、ウレタン結合、カーボネート結合及び炭素−炭素結合からなる群より選ばれる1種以上の結合を有し、かつ、水酸基を有する有機成分と、TiO2系、ZrO2系及びこれらの混合系からなる群より選ばれる無機成分とを含む有機−無機ハイブリッド体であって、有機成分と無機成分の一部が共有結合している有機−無機ハイブリッド体。
【請求項2】
無機微粒子を含む請求項1記載の有機−無機ハイブリッド体。
【請求項3】
無機微粒子が層状化合物である、請求項2記載の有機−無機ハイブリッド体。
【請求項4】
無機微粒子が金属酸化物である、請求項2記載の有機−無機ハイブリッド体。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の有機−無機ハイブリッド体を含む耐アルカリ性被覆体。
【請求項6】
請求項5記載の耐アルカリ性被覆体で外面及び/又は内面を被覆したガラスびん。
【請求項7】
請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の有機−無機ハイブリッド体を含むコーティング液。
【請求項8】
主鎖骨格にエーテル結合、ウレタン結合、カーボネート結合及び炭素−炭素結合からなる群より選ばれる1種以上の結合を有し、かつ、水酸基を有する有機成分と、Ti又はZr系アルコキシドのアルコキシド基の一部又は全部が塩素に置換された化合物とを反応させてC−O−Ti又はZr結合を生成させることを含む有機−無機ハイブリッド体の製造方法。
【請求項9】
さらに、Ti又はZr系アルコキシドを加水分解重合させることを含む請求項8記載の製造方法。

【公開番号】特開2007−186598(P2007−186598A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−5862(P2006−5862)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】