説明

耐久処理木材、耐久処理木材の製造方法、木材処理用燻液の採取装置、木材処理用液の採取装置、木材浸漬・煮付け装置及び耐久処理木材の製造装置

【課題】本発明は、耐久性に優れた新規で斬新な耐久処理木材を製造可能な製造装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る耐久処理木材の製造方法は、素材としての木材101を、燻煙乾燥に用いた炭化木材又は当該素材としての木材以外の木材の燃焼により生じる燻煙120によって燻煙乾燥する燻煙乾燥装置1と、燻液110の採取装置20と、木材浸漬・煮付け装置40とを備え、素材としての木材101の燻煙乾燥、燻煙120からの燻液110の採取、採取した燻液110を使用しての燻煙乾燥した木材102の浸漬、煮付けを行い、耐久性に優れた耐久処理木材100を製造するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な耐久処理木材、耐久処理木材の製造方法、木材処理用燻液の採取装置、木材浸漬・煮付け装置及び耐久処理木材の製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、地球温暖化等、地球規模での環境問題が叫ばれている中、建築材料等として多用される木材の防虫、防腐、着色に関しては殆ど化学薬品に依存しているのが現状である。
【0003】
木材資源の見直しと間伐材の利用促進のために、公園のベンチや遊具等を木材を用いて作成することも行われているが、この場合、化学薬品を用いて防虫、防腐処理等を行った木材からなるベンチや遊具等々では、子供達の手に触れ口の中に入ることが当然に予想され、この結果、子供達の体内に有害物質が蓄積されてしまい、各種疾病の要因となってしまう。
【0004】
また、河川等の護岸用の堤防等に着目すると、従来コンクリート構造を採用することが殆どであり、コンクリートから発生するラドンガス等のよって生態系の異変を来し、河川等に生息する生物の絶滅種の増加、生物の自然繁殖の低下等を将来し、本来あるべき地球の姿を損ねている。
【0005】
特許文献1には、木材資源の見直し、活用を図るべく、燻煙乾燥から生じる燻液に対して乾燥処理前の木材を浸した後、低温で燻煙乾燥し構築材等として使用するようにした木材の燻煙乾燥方法が開示されている。
【0006】
しかし、この特許文献1の木材の燻煙乾燥方法の場合、乾燥処理前の木材を燻液に浸した後に燻煙乾燥するものであるため、燻煙乾燥時に燻液成分の一部が乾燥除去されて、木材の木質内への燻液の浸透が必ずしも十分に行われないというおそれがある。
【0007】
特許文献2には、乾燥処理済みの木材の外周面に木酢液を塗布した後、低温で燻煙乾燥して得られる耐久性改善処理木材が開示されている。
【0008】
しかし、この特許文献2の耐久性改善処理木材の場合においても、乾燥処理済みの木材の外周面に木酢液を塗布した後、燻煙乾燥するものであるため、燻煙乾燥時に木酢液の成分の一部が乾燥除去されて、木材の木質内への木酢液の浸透が必ずしも十分に行われないというおそれがある。
【特許文献1】特開2001−133147号公報
【特許文献2】特開2003−311712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする問題点は、木質内に木材の燃焼による煙から得た採取液、主として燻液が十分に浸透して優れた新規で斬新な耐久性を発揮する耐久処理木材が存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の耐久処理木材は、乾燥済みの素材としての木材を、当該素材としての木材以外の木材の燃焼による煙から得た採取液に浸漬、煮付けして得られたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
請求項1乃至3記載の発明によれば、乾燥済みの素材としての木材を、当該素材としての木材以外の木材の燃焼による煙から得た採取液に、又は採取液に着色剤を添加した液に浸漬、煮付けして得られたものであるから、添加した着色剤の色(例えば黒色、赤色、青色、黄色等)を呈し、且つ、木質内に十分に採取液が浸透して優れた耐久性を発揮する耐久処理木材を提供できる。この場合、採取液への浸漬時間を30分間以上(採取液で浸漬、煮付けされる素材として木材の種類、太さ、サイズ等に応じて浸漬時間は異なる)、煮付け温度は60℃乃至80℃とすることで、種々の寸法の乾燥済みの木材を基にした種々の寸法の優れた耐久性を発揮する耐久処理木材を提供できる。
【0012】
請求項4乃至6記載の発明によれば、燻煙乾燥済みの素材としての木材を、当該燻煙乾燥に用いた炭化木材又は当該素材としての木材以外の木材の燃焼による燻煙から得た燻液に、又は燻煙に着色剤を添加した燻液に浸漬、煮付けして得られたものであるから、添加した着色剤の色(例えば、黒色、赤色、青色、黄色等)を呈し、且つ、木質内に十分に燻液が浸透して優れた耐久性を発揮する耐久処理木材を提供できる。この場合、燻液への浸漬時間を30分間以上(採取液で浸漬、煮付けされる素材として木材の種類、太さ、サイズ等に応じて浸漬時間は異なる)、煮付け温度は60℃乃至80℃とすることで、種々の寸法の乾燥済みの木材を基にした種々の寸法の優れた耐久性を発揮する耐久処理木材を提供できる。
【0013】
請求項7乃至9記載の発明によれば、素材としての木材の乾燥と、乾燥済みの木材の前記採取液への浸漬及び煮付け、又は採取液に着色剤を添加した液への浸漬及び煮付けによって、添加した着色剤の色(例えば、黒色、赤色、青色、黄色等)を呈し、且つ、木質内に十分に採取液が浸透して優れた耐久性を発揮する耐久処理木材を製造することができる。この場合、採取液への浸漬時間を30分間以上(採取液で浸漬、煮付けされる素材として木材の種類、太さ、サイズ等に応じて浸漬時間は異なる)、煮付け温度は60℃乃至80℃とすることで、種々の寸法の乾燥済みの木材を基にした種々の寸法の優れた耐久性を発揮する耐久処理木材を製造することができる。
【0014】
請求項10乃至12記載の発明によれば、素材としての木材の燻煙乾燥と、燻煙乾燥済みの木材の当該燻煙乾燥に用いた炭化木材又は当該素材としての木材以外の木材の燃焼による燻液への浸漬及び煮付け、又は前記燻液に着色剤を添加した液への浸漬及び煮付けによって、添加した着色剤の色(例えば、黒色、赤色、青色、黄色等)を呈し、且つ、木質内に十分に燻液が浸透して優れた耐久性を発揮する耐久処理木材を製造することができる。この場合に、燻液への浸漬時間を30分間以上(採取液で浸漬、煮付けされる素材として木材の種類、太さ、サイズ等に応じて浸漬時間は異なる)、煮付け温度は60℃乃至80℃とすることで、種々の寸法の乾燥済みの木材を基にした種々の寸法の優れた耐久性を発揮する耐久処理木材を製造することができる。
【0015】
請求項13、14記載の発明によれば、水槽と、この水槽内部への燻煙の流入側が水槽からの流出側よりも低くなるように該水槽に貫通配置した煙筒とを備え、更には水槽への燻煙の流入側の煙筒に配置した採取弁を備えた構成で、水槽内部での燻煙の冷却により生成し煙筒内を流下する燻液を効率よく採取することができる木材処理用燻液の採取装置を提供できる。
【0016】
請求項15、16記載の発明によれば、煮付け槽内に燻煙から採取される燻液を貯留し、煮付け手段により、煮付け槽内に入れられ、燻液に浸漬される乾燥済み木材の煮付けを行うことで、乾燥済み木材の木質に十分に燻液を浸透させ、耐久性に優れた耐久処理木材とすることができる木材浸漬・煮付け装置を提供できる。この場合に、乾燥済み木材の燻液への浸漬時間を30分間以上(採取液で浸漬、煮付けされる素材として木材の種類、太さ、サイズ等に応じて浸漬時間は異なる)、煮付け温度は60℃乃至80℃とすることで、種々の寸法の乾燥済みの木材を基にし、種々の寸法の優れた耐久性を発揮する耐久処理木材とすることができる。
【0017】
請求項17乃至19記載の発明によれば、素材としての木材を、当該燻煙乾燥に用いた炭化木材又は当該素材としての木材以外の木材の燃焼により生じる燻煙により燻煙乾燥する燻煙乾燥装置と、上述した請求項13記載の採取装置と、上述した請求項15記載の木材浸漬・煮付け装置とを備えた構成で、素材としての木材の燻煙乾燥、燻煙から得た燻液の採取、採取した燻液を使用しての燻煙乾燥した木材の浸漬、煮付けを行い、耐久性に優れた耐久処理木材を製造可能な耐久処理木材の製造装置を提供できる。この場合に、燻煙乾燥済み木材の燻液への浸漬時間を30分間以上(採取液で浸漬、煮付けされる素材として木材の種類、太さ、サイズ等に応じて浸漬時間は異なる)、煮付け温度は60℃乃至80℃とすることで、種々の寸法の燻煙乾燥済みの木材を基にし、種々の寸法の優れた耐久性を発揮する耐久処理木材とすることができる。
【0018】
請求項20乃至22記載の発明によれば、炭化乾燥済みの素材としての木材を、木材の炭化による煙からの液に、又は前記液に黒色液を添加した液に浸漬、煮付けして得られたものであるから、灰色又は黒色を呈し、且つ、木質内に十分に液が浸透して優れた耐久性を発揮する耐久処理木材を提供できる。この場合、前記液への浸漬時間を30分乃至数時間、煮付け温度は60乃至80℃とすることで、種々の寸法の炭化乾燥済みの炭化木材を基にした種々の寸法の優れた耐久性を発揮する耐久処理木材を提供できる。
【0019】
請求項23乃至25記載の発明によれば、素材としての木材の炭化乾燥と、炭化乾燥済みの木材の木材の炭化による液への浸漬及び煮付け、又は前記液に黒色液を添加した液への浸漬及び煮付けによって、灰色又は黒色を呈し、且つ、木質内に十分に前記液が浸透して優れた耐久性を発揮する耐久処理木材を製造することができる。この場合に、前記液への浸漬時間を30分乃至数時間、煮付け温度は60乃至80℃とすることで、種々の寸法の乾燥済みの炭化木材を基にした種々の寸法の優れた耐久性を発揮する耐久処理木材を製造することができる。
【0020】
請求項26、27記載の発明によれば、水槽と、この水槽内部への木材の炭化による煙の流入側が水槽からの流出側よりも低くなるように該水槽に貫通配置した煙筒とを備え、更には水槽への煙の流入側の煙筒に配置した採取弁を備えた構成で、水槽内部での煙の冷却により生成し煙筒内を流下する液を効率よく採取することができる木材処理用液の採取装置を提供できる。
【0021】
請求項28、29記載の発明によれば、煮付け槽内に木材の炭化による煙から採取される液を貯留し、煮付け手段により、煮付け槽内に入れられ、液に浸漬される炭化乾燥済み木材の煮付けを行うことで、乾燥済み木材の木質に十分に液を浸透させ、耐久性に優れた耐久処理木材とすることができる木材浸漬・煮付け装置を提供できる。この場合に、炭化乾燥済み木材の液への浸漬時間を30分乃至数時間、煮付け温度は60乃至80℃とすることで、種々の寸法の乾燥済みの木材を基にし、種々の寸法の優れた耐久性を発揮する耐久処理木材とすることができる。
【0022】
請求項30乃至32記載の発明によれば、素材としての木材の炭化乾燥を行う炭化炉乾燥装置と、上述した請求項26記載の採取装置と、上述した請求項28記載の木材浸漬・煮付け装置とを備えた構成で、素材としての木材の炭化乾燥、木材の炭化による煙からの液の採取、採取した液を使用しての炭化乾燥した木材の浸漬、煮付けを行い、耐久性に優れた耐久処理木材を製造可能な耐久処理木材の製造装置を提供できる。この場合に、炭化乾燥済み木材の前記液への浸漬時間を30分乃至数時間、煮付け温度は60乃至80℃とすることで、種々の寸法の炭化乾燥済みの木材を基にし、種々の寸法の優れた耐久性を発揮する耐久処理木材とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、木質内に十分に燻液が浸透して優れた耐久性を発揮する耐久処理木材を提供するという目的を、燻煙乾燥済みの素材としての木材を、当該燻煙乾燥に用いた炭化木材又は当該素材としての木材以外の木材の燃焼による燻煙から採取した燻液に浸漬、煮付けることにより実現した。
【実施例】
【0024】
以下に本発明の実施例を詳細に説明する。
図1は、本実施例に係る耐久処理木材100の製造装置50の全体構成を示すものである。
【0025】
この製造装置50は、素材としての木材101を燻煙120により乾燥する燻煙乾燥装置1と、木材処理用の燻液110を採取する採取装置20と、採取装置20から排出される燻煙120の消臭を行う消臭装置30と、前記燻液110を利用して乾燥済み木材102の燻液110への浸漬とその煮付けを行う木材浸漬・煮付け装置40とを有している。
【0026】
前記燻煙乾燥装置1は、例えば耐火レンガ等を用いて内部が空洞の箱型状に構築した耐火構造の装置本体2と、この装置本体2の底部に配置した木材の燃焼 により燻煙120を発生する炭化炉3と、装置本体2内で炭化炉3の上方に設けた素材としての木材101を所要数耐火性を有する積み上げ部材5上に積層収容する所定の容積(素材としての木材101を多数積層可能な容積)を持った燻煙乾燥部4とを具備している。
【0027】
前記装置本体2内の上部及び一方の側壁部には、装置本体2外に配置した空気圧源(例えば空気ポンプ)8から送風管6を経て送風されてくる空気を装置本体2内へ吐出する複数個(図1では5個のみ示す)の空気吐出口7が設けられ、燻煙乾燥部4における素材としての木材101の燻煙乾燥処理時に空気吐出口7から吐出する空気により装置本体2内における燻煙120の対流を促進するように構成している。
【0028】
前記炭化炉3は、例えばおが屑、木屑、木材端等の燃焼用木材を炭化し、炭化木材を燃焼させて燻煙乾燥部4の素材としての木材101に燻煙を供給し、この木材101を燻して乾燥させるようになっている。また、前記炭化炉3は、その側部に炭化木材の燃焼状態を調整する燃焼制御装置9を備えている。
【0029】
前記装置本体2の他方の側壁部を貫いて燻煙120の排出用の煙筒10が側方に向けて配置され、装置本体2内から採取装置20に向けて燻煙120を排出するようになっている。
【0030】
次に、前記採取装置20について、図1、図2をも参照して説明する。
前記採取装置20は、内部に冷却用の水を貯留するように構成した例えば直方体状の水槽21と、この水槽21を直線的に貫通する前記煙筒10と、燻液110を取り出す採取弁22とを有している。
【0031】
前記煙筒10は、水槽21の内部への燻煙120の流入側が、流出側よりも低くなるように、すなわち、水槽21における一方の側壁21a側の煙筒10の位置が、他方の側壁21b側の煙筒10の位置よりも低くなるように水槽21に対して貫通状態で、且つ、傾斜配置に取り付けている。
【0032】
また、煙筒10の水槽21内を通過する部分の内壁上部には、図1に示すように、燻煙120の通過速度を低減させ、水槽21内での燻煙120の冷却により生じる燻液110の採取量をより高めるために、小突片状のヒダ部10aを多数突設している。
【0033】
前記水槽21の一方の側壁21aの手前には、燻液110を取り出す採取弁22を取り付けており、またこの採取弁22の下方には、煙筒10内を流下してくる燻液110用の上部が開口した受皿体23を配置するようになっている。
【0034】
前記消臭装置30は、前記採取装置20から煙筒10を経て送られてくる燻煙120を内部に流入させ、環境問題を考慮してその消臭を行い、垂直煙筒31により消臭済みの燻煙120を外部に排出するようになっている。
【0035】
次に、上述した採取装置20により採取される燻液110を利用し、乾燥済み木材102の燻液110への浸漬とその煮付けを行う木材浸漬・煮付け装置40について図1、図3を参照して説明する。
【0036】
木材浸漬・煮付け装置40は、燻煙120から採取される燻液110を貯留する所定の寸法、容積を有する例えば釜状の煮付け槽41と、この煮付け槽41内に入れられ、燻液110に浸漬される乾燥済み木材102の煮付けを行う煮付け手段42とを有している。
煮付け手段42は、例えば前記煮付け槽41の下部に配置した加熱用バーナー43及び燃焼室44により構成している。前記煮付け槽41の寸法としては、例えば幅6m50cm、奥行1m、深さ1m20cmのものを挙げることができるが、その寸法は種々に設定できる。
【0037】
前記木材浸漬・煮付け装置40における乾燥済み木材102の煮付け時間としては、本実施例では例えば中高温である60℃乃至80℃としている。また、木材浸漬・煮付け装置40における乾燥済み木材102の燻液110への浸漬時間としては例えば30分以上数時間(5時間程度まで)としている。なお、採取液で浸漬、煮付けされる素材として木材102の種類、太さ、サイズ等に応じて浸漬時間は異なる。
【0038】
前記煮付け槽41に対する燻液110の供給は、前記燻液110が溜まった受皿体23を煮付け槽41の位置まで運んでこの受皿体23から煮付け槽41に供給する他、前記採取弁22から煮付け槽41まで配管し、ポンプを用いて燻液110を自動供給する構成とすることも可能である。
【0039】
次に、本発明の実施例における耐久処理木材100の製造方法について、図4をも参照して説明する。
本実施例の耐久処理木材100の製造方法は、素材としての木材101(例えば、建築材、外構材等)を乾燥した乾燥済み木材102を、上述したような燻液110内に浸漬し、煮付けて耐久処理木材100とすることを基本的な構成とするものである。建築材としては、例えば、土台、柱、大引、外壁材等として使用するものを用いる。また、外構材としては、例えば枕木、チップ、デッキ、フェンス、ベンチやテーブル等として使用するものを用いる。
【0040】
本実施例の製造方法を実施する前提となる乾燥済み木材102を得るためには、図1に示す燻煙乾燥装置1内に素材としての木材101を入れて燻煙乾燥し、乾燥済み木材102とする場合の他、自然乾燥法、電気やガス、水蒸気等を用いた人工乾燥法、高周波加熱乾燥法等種々の形態の公知の乾燥法を採用することができる。
【0041】
図1に示す燻煙乾燥装置1、採取装置20及び木材浸漬・煮付け装置40を使用する場合の本実施例の製造方法について、図4を参照して詳述する。
【0042】
まず、燻煙乾燥装置1の燻煙乾燥部4内に、建築材、外構材、土木材等として用いる素材としての木材101を所要数配置し、炭化炉3における炭化木材の燃焼により燻煙120を発生させて、燻煙乾燥部4内の素材としての木材101を燻し、これにより、素材としての木材101を燻煙乾燥させ、乾燥済み木材102とする。この時、装置本体2外に配置した空気圧源8から送風管6を経て送られる空気を空気吐出口7から装置本体2内に吐出し、燻煙120を好適に対流させ燻煙乾燥を促進させる。また、上述した燻煙乾燥時に、装置本体2内から採取装置20に向けて燻煙120を排出する。
【0043】
採取装置20は、装置本体2から送られてくる燻煙120から木材浸漬・煮付け装置40にて使用するための燻液110を採取する。
すなわち、採取装置20においては、水槽21の内部への燻煙120の流入側が、流出側よりも低くなるように傾斜配置した煙筒10内をヒダ部10aにより速度を低められつつ通過する燻煙120が水槽21の水により冷却され、これにより、燻煙120の冷却により効率よく生じる燻液110が煙筒10内を流下し採取弁22を経て受皿体23内に溜められる。受皿体23内に溜められた燻液110は、木材浸漬・煮付け装置40の煮付け槽41に供給する。
【0044】
次に、上述のようにして乾燥済み木材102を得た後、この乾燥済み木材102を燻液110を貯留した煮付け槽41内に入れ、燻液110に浸漬させるとともに、加熱用バーナー43及び燃焼室44からなる煮付け手段42により乾燥済み木材102の煮付けを行う。
【0045】
この場合の乾燥済み木材102の煮付け時間としては、例えば中高温である60℃乃至80℃とし、また、乾燥済み木材102の燻液110への浸漬時間は例えば30分以上数時間(5時間程度)とする。
煮付け時間や浸漬時間は、乾燥済み木材102の寸法(太さ、長さ等)に応じて種々に設定するものであり、これにより、個々の乾燥済み木材102の寸法の相違に対応して煮付け時間や浸漬時間を最適化して浸漬・煮付け処理を実行できる。なお、採取液で浸漬、煮付けされる素材として木材102の種類、太さ、サイズ等に応じて浸漬時間は異なる。
【0046】
このような木材浸漬・煮付け装置40における乾燥済み木材102に対する浸漬・煮付け処理により、燻液110に含まれるアルデヒド類、フェノール類が乾燥済み木材102の木質内に浸透し、アルデヒド類による防腐作用、フェノール類による防虫、抗カビ作用を的確に発揮する所望の耐久処理木材100を得ることができる。
この場合、前記燻液110を使用した乾燥済み木材102の浸漬・煮付け処理では、通常得られる耐久処理木材100の色は薄い灰色を呈するものとなる。
【0047】
本実施例においては、上述した燻液110に、着色剤、例えば黒色液(例えば墨汁又は黒色染料等)、赤色液、青色液、黄色液等々のいずれかの色の染料を添加した液を前記煮付け槽41に貯留し、この液内で乾燥済み木材102の浸漬・煮付け処理を行う構成を採用することもできる。本発明では、上記添加する染料の色を限定するものではない。
この場合には、得られる耐久処理木材100の色は、添加した着色剤の色(例えば、黒色、赤色、青色、黄色等)を呈するものとなり、各種の用途に応じた使い分けが可能となる。
【0048】
前記燻煙乾燥装置1以外で乾燥処理した乾燥済み木材102に対する浸漬・煮付け処理を前記木材浸漬・煮付け装置40で行う場合も既述した場合と同様である。
【0049】
次に、本発明の他の実施例について図5、図6参照して説明する。
図5は、他の実施例に係る耐久処理木材100aの製造装置50Aの全体構成を示すものである。
【0050】
この製造装置50Aは、素材としての木材101を炭化乾燥する炭化炉乾燥装置1Aと、木材処理用の液110aを採取する採取装置20Aと、採取装置20Aから排出される煙120aの消臭を行う消臭装置30と、前記液110aを利用して炭化乾燥済み木材102aの液110aへの浸漬とその煮付けを行う木材浸漬・煮付け装置40Aと、を有している。上記煙120aは、燻液が採取されて消臭後の無臭に近い状態となった煙である。
【0051】
前記炭化炉乾燥装置1Aは、例えば耐火レンガ等を用いて内部が空洞の箱型状に構築した耐火構造の装置本体2と、この装置本体2の底部に配置した木材の炭化のための煙120aを発生する炭化炉3と、装置本体2内で炭化炉3の上方に設けた素材としての木材101を所要数耐火性を有する積み上げ部材5上に積層収容する所定の容積(素材としての木材101を多数積層可能な容積)を持った炭化炉乾燥部4Aとを具備している。
【0052】
前記装置本体2内の上部(天井部)には、温度拡散用の例えば8個の各ファン121が所定の間隔で設置されていて、装置本体2内における煙120aの拡散を行うようになっている。前記煙(燻液が採取されて消臭後の無臭に近い状態となった煙)120aは、いったん装置本体2内の上部(天井部)に行き、ファン121によって下方に降りてきて煙筒10に入るようになっている。
【0053】
前記炭化炉3は、例えばおが屑、木屑、木材端等の燃焼用木材を炭化し、炭化木材を燃焼させて炭化炉乾燥部4A内の素材としての木材101に煙120aを供給し、この木材101を炭化乾燥させるようになっている。また、前記炭化炉3は、その側壁部を隔てて木材の燃焼状態を調整する燃焼制御装置(温度管理室)9を備え、燃焼制御装置9から風量調整用のダンパー123付きの空気管122により炭化炉3内に必要な空気を供給するように構成している。
【0054】
前記装置本体2の他方の側壁部を貫いて煙120aの排出用の煙筒10が側方に向けて配置され、装置本体2内から燻液の採取装置20Aに向けて煙120aを排出するようになっている。
【0055】
次に、前記採取装置20Aは、図1、図2に示す採取装置20と同様な構成となっている。すなわち、採取装置20Aは、内部に冷却用の水を貯留するように構成した例えば直方体状の水槽21と、この水槽21を直線的に貫通する前記煙筒10と、液110a(燻液又は燻液に着色剤を付加した液)を取り出す採取弁22とを有している。
【0056】
前記煙筒10は、水槽21の内部への煙120aの流入側が、流出側よりも低くなるように、すなわち、水槽21における一方の側壁21a側の煙筒10の位置が、他方の側壁21b側の煙筒10の位置よりも低くなるように水槽21に対して貫通状態で、且つ、傾斜配置に取り付けている。
【0057】
また、煙筒10の水槽21内を通過する部分の内壁上部には、図5に示すように、煙120aの通過速度を低減させ、水槽21内での煙120aの冷却により生じる液110aの採取量をより高めるために、小突片状のヒダ部10aを多数突設している。
【0058】
前記水槽21の一方の側壁21aの手前には、液110aを取り出す採取弁22を取り付けており、またこの採取弁22の下方には、煙筒10内を流下してくる液110a用の上部が開口した受皿体23を配置するようになっている。
【0059】
前記消臭装置30は、図1に示す消臭装置30と同一の構成からなり、前記採取装置20Aから煙筒10を経て送られてくる煙120aを内部に流入させ、環境問題を考慮してその消臭を行い、垂直煙筒31により消臭済みの煙120aを外部に排出するようになっている。
【0060】
次に、上述した採取装置20Aにより採取される液110aを利用し、炭化乾燥済み木材102aの液110への浸漬とその煮付けを行う木材浸漬・煮付け装置40Aについて説明する。
【0061】
前記木材浸漬・煮付け装置40Aは、図5に示す煙120aから採取される液110aを貯留する所定の寸法、容積を有する例えば釜状の煮付け槽41と、この煮付け槽41内に入れられ、液110aに浸漬される炭化乾燥済み木材102aの煮付けを行う煮付け手段(例えば木屑、おが屑、枝等を燃やして加熱)42とを有している。煮付け手段42は、例えば前記煮付け槽41の下部に配置した加熱用バーナー43及び燃焼室44により構成している。前記煮付け槽41の寸法としては、例えば幅6m50cm、奥行1m、深さ1m20cmのものを挙げることができるが、その寸法は種々に設定できる。
【0062】
前記木材浸漬・煮付け装置40Aにおける炭化乾燥済み木材102aの煮付け時間としては、例えば中高温である60乃至80℃としている。また、木材浸漬・煮付け装置40Aにおける乾燥済み木材102の液110aへの浸漬時間としては例えば30分以上数時間(5時間程度まで)としている。
【0063】
尚、煮付け槽41に対する液110aの供給は、前記液110aが溜まった受皿体23を煮付け槽41の位置まで運んでこの受皿体23から煮付け槽41に供給する他、前記採取弁22から煮付け槽41まで配管し、ポンプを用いて液110aを自動供給する構成とすることも可能である。
【0064】
次に、本発明の他の実施例における耐久処理木材100aの製造方法について、図6をも参照して説明する。他の実施例に係る耐久処理木材100aの製造方法は、素材としての木材101(例えば、建築材、外構材等)を炭化乾燥した炭化乾燥済み木材102aを、上述したような液110a内に浸漬し、煮付けて耐久処理木材100aとすることを基本的な構成とするものである。建築材としては、例えば、土台、柱、大引、外壁材等として使用するものを用いる。また、外構材としては、例えば、枕木、チップ、デッキ、フェンス、ベンチ、テーブル等として使用するものを用いる。
【0065】
他の実施例の製造方法を実施する前提となる炭化乾燥済み木材102aを得るためには、図5に示す炭化炉乾燥装置1A内に素材としての木材101を入れて炭化乾燥し、炭化乾燥済み木材102aとする場合の他、電気やガス、水蒸気等を用いた人工乾燥法、高周波加熱乾燥法等種々の形態に係る公知の乾燥法を採用することができる。
【0066】
次に、図5に示す炭化炉乾燥装置1A、採取装置20A及び木材浸漬・煮付け装置40Aを使用する場合の他の実施例に係る具体的製造方法について、図6をも参照して詳述する。
【0067】
まず、炭化炉乾燥装置1Aの炭化炉乾燥部4A内に、建築材、外構材、土木材等として用いる素材としての木材101を所要数配置し、炭化炉3における木材の燃焼により煙120aを発生させ、また前記ファン121を回転させて煙120aの拡散を行い、炭化炉乾燥部4A内の素材としての木材101を炭化乾燥させて炭化乾燥済み木材102aとする。このとき、前記燃焼制御装置9により炭化炉3に空気管122を介して適量の空気を供給し燃焼制御を行う。また、上述した炭化乾燥時に、装置本体2内から採取装置20Aに向けて煙120aを排出する。
【0068】
採取装置20Aは、装置本体2から送られてくる煙120aから木材浸漬・煮付け装置40にて使用するための液110aを採取する。すなわち、採取装置20Aにおいては、水槽21の内部への煙120aの流入側が、流出側よりも低くなるように傾斜配置した煙筒10内をヒダ部10aにより速度を低められつつ通過する煙120aが水槽21の水により冷却され、これにより、煙120aの冷却により効率よく生じる液110aが煙筒10内を流下し採取弁22を経て受皿体23内に溜められる。受皿体23内に溜められた液110aは、木材浸漬・煮付け装置40Aの煮付け槽41に供給する。
なお、炭化炉乾燥装置1Aの炭化炉乾燥部4A内に配置される対象物がチップである場合には、自然乾燥後に、燻液にて煮漬けるという処理工程とする。
【0069】
次に、上述のようにして炭化乾燥済み木材102aを得た後、この炭化乾燥済み木材102aを、液110aを貯留した煮付け槽41内に入れ、液110aに浸漬させるとともに、加熱用バーナー43及び燃焼室44からなる煮付け手段42により炭化乾燥済み木材102の煮付けを行う。
【0070】
この場合の炭化乾燥済み木材102aの煮付け時間としては、例えば中高温である60乃至80℃とし、また、炭化乾燥済み木材102aの液110aへの浸漬時間は例えば30分以上数時間(5時間程度)とする。煮付け時間や浸漬時間は、炭化乾燥済み木材102aの寸法(太さ、長さ等)に応じて種々に設定するものであり、これにより、個々の炭化乾燥済み木材102aの寸法の相違に対応して煮付け時間や浸漬時間を最適化して浸漬・煮付け処理を実行できる。
【0071】
このような木材浸漬・煮付け装置40Aにおける炭化乾燥済み木材102aに対する浸漬・煮付け処理により、液110aに含まれるアルデヒド類、フェノール類が乾燥済み木材102の木質内に浸透し、アルデヒド類による防腐作用、フェノール類による防虫、抗カビ作用を的確に発揮する所望の耐久処理木材100aを得ることができる。この場合、前記液110aを使用した炭化乾燥済み木材102aの浸漬・煮付け処理では、通常得られる耐久処理木材100aの色は薄い灰色を呈するものとなる。
【0072】
他の実施例においても、上述した液110aに黒色液、例えば墨汁又は黒色染料等を添加した液を前記煮付け槽41に貯留し、この液110a内で炭化乾燥済み木材102aの浸漬・煮付け処理を行う構成を採用することもできる。この場合には、得られる耐久処理木材100aの色は略黒色を呈するものとなり、その用途に応じた使い分けが可能となる。
【0073】
前記炭化炉乾燥装置1A以外で乾燥処理した炭化乾燥済み木材102aに対する浸漬・煮付け処理を前記木材浸漬・煮付け装置40Aで行う場合も既述した場合と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、上述した場合の他、護岸材、土留め材、砂防ダム材等として使用する土木材用の材木等に対しても幅広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施例に係る耐久処理木材の製造装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例に係る採取装置の概略斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係る木材浸漬・煮付け装置の概略斜視図である。
【図4】本発明の実施例に係る耐久処理木材の製造工程を説明して示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施例に係る耐久処理木材の製造装置の全体構成を示す図である。
【図6】本発明の他の実施例に係る耐久処理木材の製造工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
1 燻煙乾燥装置
1A 炭化炉乾燥装置
2 装置本体
3 炭化炉
4 燻煙乾燥部
4A 炭化炉乾燥部
5 積み上げ部材
6 送風管
7 空気吐出口
8 空気圧源
9 燃焼制御装置(温度管理室)
10 煙筒
10a ヒダ部
20 採取装置
20A 採取装置
21 水槽
21a 側壁
21b 側壁
22 採取弁
23 受皿体
30 消臭装置
31 垂直煙筒
40 木材浸漬・煮付け装置
40A 木材浸漬・煮付け装置
41 煮付け槽
42 煮付け手段
43 加熱用バーナー
44 燃焼室
50 製造装置
50A 製造装置
100 耐久処理木材
100a 耐久処理木材
101 木材
102 乾燥済み木材
102a 炭化乾燥済み木材
110 燻液
110a 液
120 燻煙
120a 煙
121 ファン
122 空気管
123 ダンパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥済みの素材としての木材を、当該素材としての木材以外の木材の燃焼による煙から得た採取液に浸漬、煮付けして得られたことを特徴とする耐久処理木材。
【請求項2】
乾燥済みの素材としての木材を、当該素材としての木材以外の木材の燃焼による煙から得た採取液に着色剤を添加した液に浸漬、煮付けして得られたことを特徴とする耐久処理木材。
【請求項3】
前記採取液への浸漬時間は30分間以上であり、煮付け温度は60℃乃至80℃である請求項1又は2記載の耐久処理木材。
【請求項4】
燻煙乾燥済みの素材としての木材を、当該燻煙乾燥に用いた炭化木材又は当該素材としての木材以外の木材の燃焼による燻煙から採取した燻液に浸漬、煮付けして得られたことを特徴とする耐久処理木材。
【請求項5】
燻煙乾燥済みの素材としての木材を、当該燻煙乾燥に用いた炭化木材又は当該素材としての木材以外の木材の燃焼による燻煙から採取され着色剤を添加した燻液に浸漬、煮付けして得られたことを特徴とする耐久処理木材。
【請求項6】
前記燻液への浸漬時間は30分間以上であり、煮付け温度は60℃乃至80℃である請求項4又は5記載の耐久処理木材。
【請求項7】
素材としての木材を乾燥する工程と、
前記乾燥済みの木材を、当該素材としての木材以外の木材の燃焼による煙から得た採取液に浸漬、煮付けして耐久処理木材とする工程と、
を含むことを特徴とする耐久処理木材の製造方法。
【請求項8】
素材としての木材を乾燥する工程と、
前記乾燥済みの木材を、当該素材としての木材以外の木材の燃焼による煙から採取液に着色剤を添加した液に浸漬、煮付けして耐久処理木材とする工程と、
を含むことを特徴とする耐久処理木材の製造方法。
【請求項9】
前記採取液への浸漬時間は30分間以上であり、煮付け温度は60℃乃至80℃である請求項7又は8記載の耐久処理木材の製造方法。
【請求項10】
素材としての木材を燻煙乾燥する工程と、
前記燻煙乾燥済みの木材を、当該燻煙乾燥に用いた炭化木材又は当該素材としての木材以外の木材の燃焼による燻煙から採取した燻液に浸漬、煮付けして耐久処理木材とする工程と、
を含むことを特徴とする耐久処理木材の製造方法。
【請求項11】
素材としての木材を燻煙乾燥する工程と、
前記燻煙乾燥済みの木材を、当該燻煙乾燥に用いた炭化木材又は当該素材としての木材以外の木材の燃焼による燻煙から採取され、着色剤を添加した燻液に浸漬、煮付けして耐久処理木材とする工程と、
を含むことを特徴とする耐久処理木材の製造方法。
【請求項12】
前記燻液への浸漬時間は30分間以上であり、煮付け温度は60℃乃至80℃である請求項10又は11記載の耐久処理木材の製造方法。
【請求項13】
水槽と、
前記水槽内部への燻煙の流入側が水槽からの流出側よりも低くなるように該水槽に貫通配置した煙筒と、
を有し、
前記水槽内部での燻煙の冷却により生成し煙筒内を流下する燻液を前記水槽への燻煙の流入側で採取するようにしたことを特徴とする木材処理用燻液の採取装置。
【請求項14】
水槽と、
前記水槽内部への燻煙の流入側が水槽からの流出側よりも低くなるように該水槽に貫通配置した煙筒と、
前記水槽への燻煙の流入側の煙筒に配置され、前記水槽内部での燻煙の冷却により生成し煙筒内を流下する燻液を取り出す採取弁と、
を有することを特徴とする木材処理用燻液の採取装置。
【請求項15】
燻煙から採取される燻液を貯留する煮付け槽と、
前記煮付け槽内に入れられ、燻液に浸漬される乾燥済み木材の煮付けを行う煮付け手段と、
を有することを特徴とする木材浸漬・煮付け装置。
【請求項16】
前記燻液への浸漬時間は30分間以上であり、煮付け温度は60℃乃至80℃である請求項15記載の木材浸漬・煮付け装置。
【請求項17】
素材としての木材の燻煙乾燥を行う燻煙乾燥装置と、
該燻煙乾燥装置から排出される燻煙から燻液を採取する木材処理用燻液の採取装置と、
前記採取装置により採取した燻液に乾燥済み木材を浸漬させ煮付けて耐久処理木材とする木材浸漬・煮付け装置と、
を有することを特徴とする耐久処理木材の製造装置。
【請求項18】
素材としての木材を、当該燻煙乾燥に用いた炭化木材又は当該素材としての木材以外の木材の燃焼により生じる燻煙により燻煙乾燥する燻煙乾燥装置と、
水槽と、この水槽内部への燻煙の流入側が水槽からの流出側よりも低くなるように該水槽に貫通配置した煙筒と、前記水槽への燻煙の流入側の煙筒に配置され、前記水槽内部での燻煙の冷却により生成し煙筒内を流下する燻液を取り出す採取弁と、を有する木材処理用燻液の採取装置と、
前記燻煙から採取される燻液を貯留する煮付け槽と、この煮付け槽内に入れられて、燻液に浸漬される乾燥済み木材の煮付けを行う煮付け手段と、を有する木材浸漬・煮付け装置と、
を有することを特徴とする耐久処理木材の製造装置。
【請求項19】
前記燻液への浸漬時間は30分間以上であり、煮付け温度は60℃乃至80℃である請求項17又は18記載の耐久処理木材の製造装置。
【請求項20】
炭化乾燥済みの素材としての木材を、木材の炭化による煙から採取した液に浸漬、煮付けして得られたことを特徴とする耐久処理木材。
【請求項21】
炭化乾燥済みの素材としての木材を、木材の炭化による煙から採取され黒色液を添加した液に浸漬、煮付けして得られたことを特徴とする耐久処理木材。
【請求項22】
前記液への浸漬時間は30分乃至数時間であり、煮付け温度は60乃至80℃である請求項20又は21記載の耐久処理木材。
【請求項23】
素材としての木材を炭化乾燥する工程と、
炭化乾燥済みの木材を、木材の炭化による煙から採取した液に浸漬、煮付けして耐久処理木材とする工程と、
を含むことを特徴とする耐久処理木材の製造方法。
【請求項24】
素材としての木材を炭化乾燥する工程と、
炭化乾燥済みの木材を、木材の炭化による煙から採取され黒色液を添加した液に浸漬、煮付けして耐久処理木材とする工程と、
を含むことを特徴とする耐久処理木材の製造方法。
【請求項25】
前記液への浸漬時間は30分乃至数時間であり、煮付け温度は60乃至80℃である請求項23又は24記載の耐久処理木材の製造方法。
【請求項26】
水槽と、
この水槽内部への木材の炭化による煙の流入側が水槽からの流出側よりも低くなるように該水槽に貫通配置した煙筒と、
を有し、前記水槽内部での煙の冷却により生成し煙筒内を流下する液を前記水槽への煙の流入側で採取するようにしたことを特徴とする木材処理用液の採取装置。
【請求項27】
水槽と、
この水槽内部への木材の炭化による煙の流入側が水槽からの流出側よりも低くなるように該水槽に貫通配置した煙筒と、
前記水槽への煙の流入側の煙筒に配置され、前記水槽内部での煙の冷却により生成し煙筒内を流下する液を取り出す採取弁と、
を有することを特徴とする木材処理用液の採取装置。
【請求項28】
木材の炭化による煙から採取される液を貯留する煮付け槽と、
この煮付け槽内に入れられ、液に浸漬される炭化乾燥済み木材の煮付けを行う煮付け手段と、
を有することを特徴とする木材浸漬・煮付け装置。
【請求項29】
前記液への浸漬時間は30分乃至数時間であり、煮付け温度は60乃至80℃である請求項28記載の木材浸漬・煮付け装置。
【請求項30】
素材としての木材の炭化乾燥を行う炭化炉乾燥装置と、
炭化炉乾燥装置から排出される煙から液を採取する木材処理用液の採取装置と、
前記採取装置により採取した液に炭化乾燥済み木材を浸漬させ煮付けて耐久処理木材とする木材浸漬・煮付け装置と、
を有することを特徴とする耐久処理木材の製造装置。
【請求項31】
素材としての木材を炭化乾燥する燻煙乾燥装置と、
水槽と、この水槽内部への煙の流入側が水槽からの流出側よりも低くなるように該水槽に貫通配置した煙筒と、前記水槽への煙の流入側の煙筒に配置され、前記水槽内部での煙の冷却により生成し煙筒内を流下する液を取り出す採取弁と、を有する木材処理用液の採取装置と、
前記液を貯留する煮付け槽と、この煮付け槽内に入れられ、前記液に浸漬される炭化乾燥済み木材の煮付けを行う煮付け手段とを具備する木材浸漬・煮付け装置と、
を有することを特徴とする耐久処理木材の製造装置。
【請求項32】
前記液への浸漬時間は30分乃至数時間であり、煮付け温度は60乃至80℃である請求項30又は31記載の耐久処理木材の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−289931(P2006−289931A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−190086(P2005−190086)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(505102588)株式会社斉藤林業 (1)
【Fターム(参考)】