説明

耐候性の改善されたポリエステル樹脂製容器

【課題】 耐候性が付与され、さらに着色性及び耐熱性にも十分優れるポリエステル樹脂製容器を提供すること。
【解決手段】 (A)ポリエステル樹脂100重量部に、(B)下記一般式(I)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤0.01〜10重量部を添加してなるポリエステル樹脂組成物で形成されたポリエステル樹脂製容器。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル樹脂に特定の紫外線吸収剤を添加してなるポリエステル樹脂組成物で形成されたポリエステル樹脂製容器に関し、より詳細には、ポリエステル樹脂に特定のトリアジン系紫外線吸収剤を配合してなるポリエステル樹脂組成物で形成され、耐熱性、着色性及び耐候性に優れるポリエステル樹脂製容器に関する。本発明のポリエステル樹脂製容器は、清涼飲料水用ボトル等の熱殺菌処理が必要な食品包装容器として好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂は、優れた透明性、ガスバリアー性等を有することから、飲料用ボトル、化粧品・医薬品容器、洗剤・シャンプー容器等に広く用いられている。
【0003】
食品包装容器は、屋外で長期に放置されることは稀で、高度の耐候性は要求されないものの、販売店の店頭等では太陽光や蛍光灯の光に曝されるため、審美的な理由から、特に耐候性の付与が要求されている。
【0004】
各種合成樹脂の光安定化方法としては、紫外線吸収剤、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等の酸化防止剤、ヒンダードアミン系安定剤等の各種添加剤を樹脂に添加することが知られている。トリアジン系の化合物は、紫外線吸収剤として優れた効果を発揮することが知られており、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4等に報告されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−238857号公報
【特許文献2】特開2001−302926号公報
【特許文献3】特開2003−192830号公報
【特許文献4】特開2003−261725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、耐候性が付与され、さらに着色性及び耐熱性にも十分優れるポリエステル樹脂製容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリエチレンテレフタレート樹脂に、特定の構造を有するトリアジン系紫外線吸収剤を添加することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は、(A)ポリエステル樹脂100重量部に、(B)下記一般式(I)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤0.01〜10重量部を添加してなるポリエステル樹脂組成物で形成されたポリエステル樹脂製容器を提供するものである。
【0009】
【化1】

【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ポリエステル樹脂を着色することなく、飲料等を包装する食品包装容器として用いた場合に添加物が抽出されることなく衛生的で且つ優れた耐候性が付与されたポリエステル樹脂製容器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
【0012】
本発明のポリエステル樹脂製容器に用いられる(A)ポリエステル樹脂としては、汎用ボトル材料として用いられているポリエチレンテレフタレート樹脂が代表例として挙げられるほか、高価格であるがリターナブルボトル材料として知られるポリエチレンナフタレート樹脂等も挙げられる。
【0013】
上記ポリエチレンテレフタレート樹脂としては、テレフタル酸及びエチレングリコールを主重合成分とし、必要に応じて、イソフタル酸やナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸成分、p−ヒドロキシ安息香酸やヒドロキシナフタレンカルボン酸等のオキシカルボン酸成分、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体、ビスフェノールSのエチレンオキシド付加体、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン等のジオール成分等を他の重合成分として用いたものを使用することができる。ただし、他の重合成分が多くなるとポリエチレンテレフタレート樹脂の物性が損なわれる恐れがあるので、他の重合成分の使用量は、全重合成分中、好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満とする。
【0014】
ポリエチレンテレフタレート樹脂の重合方法としては、公知の重合方法のいずれを用いてもよく、例えば、ジメチルテレフタレート及びエチレングリコールのエステル交換反応によりポリマーを得ることができ、また、テレフタル酸及びエチレングリコールの直接エステル化反応により前駆体としてのビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを合成した後、該前駆体をゲルマニウム化合物等の重縮合触媒で溶融重合することによりポリマーを得ることもできる。ボトル等の容器用には高重合度のものが好ましく使用されるので、例えば、溶融重合することにより得られたポリマーは、融点より20〜50℃低い温度でさらに固相重合させることが好ましい。
【0015】
直接エステル化反応によりポリエチレンテレフタレート樹脂を製造する場合に用いることができるエステル化触媒としては、例えば、ナトリウム、マグネシウム等のメチラート;ホウ酸亜鉛、酢酸亜鉛等、亜鉛、カドミウム、マンガン、コバルト、カルシウム、バリウム等の脂肪酸塩又は炭酸塩;金属マグネシウム;鉛、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム等の酸化物が挙げられる。
【0016】
上記ポリエチレンナフタレート樹脂は、上記ポリエチレンテレフタレート樹脂におけるテレフタル酸の代わりに、ナフタレンジカルボン酸を用いることにより得ることができる。
【0017】
本発明に用いられるポリエステル樹脂として市販品を用いる場合は、容器用グレードを使用するのが好ましい。また、ポリエステル樹脂の極限粘度(I.V.)は、0.5〜1.5、特に0.6〜1.1が好ましく、非結晶品では0.65〜0.75、結晶品では0.7〜1.05、共重合品では0.7〜0.8のものが好ましく使用される。
【0018】
次に、本発明のポリエステル樹脂製容器に用いられる(B)上記一般式(I)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤について詳細に説明する。
【0019】
上記一般式(I)中、R1で表される炭素原子数1〜17のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ドデシル(ラウリル)、トリデシル、テトラデシル(ミリスチル)、ペンタデシル、ヘキサデシル(パルミチル)、へプタデシル、シクロペンチル、2−シクロペンチルエチル、3−シクロペンチルプロピル、4−シクロペンチルブチル、5−シクロペンチルペンチル、シクロヘキシル、2−シクロヘキシルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、4−シクロヘキシルブチル、5−シクロヘキシルペンチル、8−シクロヘキシルオクチル、10−シクロヘキシルデシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロヘキシル、ビシクロヘプチル、ビシクロオクチル、2−メチルシクロヘキシル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、2,4−ジメチルシクロヘキシル、2,5−ジメチルシクロヘキシル、2,6−ジメチルシクロヘキシル、3,4−ジメチルシクロヘキシル、4,5−ジメチルシクロヘキシル、4−エチルシクロヘキシル、4−プロピルシクロヘキシル、4−イソプロピルシクロヘキシル、4−ブチルシクロヘキシル、4−第三ブチルシクロヘキシル、4−ヘキシルシクロオクチル、4−シクロヘキシルデシル、(4−メチルシクロヘキシル)メチル、2−(4−エチルシクロヘキシル)エチル、3−(4−イソプロピルシクロヘキシル)プロピル等が挙げられ、これらの中でも、炭素原子数1〜10のものが好ましい。
【0020】
上記一般式(I)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤の具体例としては、以下の化合物No.1〜9が挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物により何ら制限を受けるものではない。
【0021】
【化2】

【0022】
【化3】

【0023】
【化4】

【0024】
【化5】

【0025】
【化6】

【0026】
【化7】

【0027】
【化8】

【0028】
【化9】

【0029】
【化10】

【0030】
(B)上記一般式(I)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤は、(A)ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部添加される。0.01重量部より少ないと十分な安定化効果が得られず、10重量部より多いと樹脂表面に浮出したり、ポリエステル樹脂組成物の物性が低下する等、得られる容器の商品性を低下させる。
【0031】
上記一般式(I)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤は、その製造方法に特に制限されることなく、周知一般の方法により製造されたものを用いることができる。該製造方法としては、例えば、アルコール成分としての2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジンと、該当する一価カルボン酸のエステル誘導性化合物(一価カルボン酸、一価カルボン酸ハライド又は一価カルボン酸エステル)とのエステル化反応又はエステル交換反応が挙げられ、これらの反応は、逐次反応でもよく、一括反応でもよい。
【0032】
本発明のポリエステル樹脂製容器の加工方法は、特に限定されず、例えば、シングルステージ法、ツーステージ法、2軸延伸ブロー法、無延伸法等のいずれでもよい。シングルステージ法は、押出ブロー、射出ブロー、射出2軸延伸ブロー(ホットパリソン法)のいずれでもよく、ツーステージ法は、押出プリフォームのブロー成形でも射出プリフォームのブロー成形でもよい。
【0033】
また、ポリエチレンテレフタレート樹脂製容器は、酸素や二酸化炭素に対するガスバリアー性が不十分な場合があるので、ジュースの色が変色したりビタミンが減るような恐れがある場合には、本発明のポリエステル樹脂製容器は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(例えばクラレ(株)製エバール)や芳香族ポリアミド(例えば三菱ガス化学(株)製MXナイロン)等を中間層に入れた共押出成形品であってもよい。
【0034】
また、本発明のポリエステル樹脂製容器を形成するポリエステル樹脂組成物には、必要に応じて、(C)着色防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、上記一般式(I)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤、リン系、フェノール系又は硫黄系の酸化防止剤、造核剤、難燃剤、金属石けん、加工助剤、顔料、充填剤、滑剤等の周知一般に用いられている添加剤等を併用することができる。
【0035】
上記(C)着色防止剤としては、好ましくはリン系酸化防止剤が用いられ、さらに好ましくは下記一般式(II)で表される亜リン酸エステル化合物が用いられる。該亜リン酸エステル化合物としては、具体的には、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。(C)着色防止剤としては、リン系酸化防止剤の他に、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等を用いることもできる。(C)着色防止剤の使用量は、(A)ポリエステル樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
【0036】
【化11】

【0037】
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−[トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−[トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン等が挙げられる。
【0038】
上記一般式(I)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−C12〜13混合アルコキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシ−3−アリルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジアリール−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;各種の金属塩又は金属キレート、特にニッケル又はクロムの塩又はキレート類等が挙げられる。
【0039】
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルオクチルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスフィト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12−15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[2,2’−メチレンビス(4,6−ジアミルフェニル)]・イソプロピリデンジフェニルホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、トリス(2−〔(2,4,7,9−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ第三ブチルフェノールモノホスファイト等が挙げられる。
【0040】
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル・3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス (4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
【0041】
上記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル又はジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類、及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
【0042】
上記各種添加剤それぞれの添加量は、(A)ポリエステル樹脂100重量部に対し、好ましくは0.001〜10重量部、さらに好ましくは0.01〜5重量部の範囲である。
【0043】
上記ポリエステル樹脂組成物で形成される本発明のポリエステル樹脂製容器は、ボトルの他、トレー、ボックス等の所望の形状の容器として得ることができる。その主な用途としては食品包装容器が挙げられ、特に、ジュース、炭酸飲料、お茶、調味料、食用油、アルコール飲料等の液状飲食物用の容器として好適である。また、本発明のポリエステル樹脂製容器は、洗剤等の非食品の包装用途や工業用容器へも使用可能である。
【0044】
また、本発明のポリエステル樹脂製容器には、内容物が、常温常圧下のみならず、加圧、低圧、高温で充填されたり保存されたりしてもよい。また、本発明のポリエステル樹脂製容器には、常法により熱殺菌処理を施すこともできる。
【0045】
本発明のポリエステル樹脂製容器は、後述する耐候性試験による耐候性が好ましくは7,000時間以上、さらに好ましくは8,000時間以上である。耐候性が上記時間より短いと、内容物の賞味期限内において容器の機械強度が十分保持できずに破損したり、色調が保持できずに商品性が失われる等の問題が生じ易い。また、本発明のポリエステル樹脂製容器は、色調が無色であることが好ましい。無色でないと、内容物が本来の色調とは異なる色調に誤解されて、商品性を損なうことがある。
【実施例】
【0046】
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0047】
以下に、実施例及び比較例に用いた(A)ポリエステル樹脂、(C)着色防止剤及びヒンダードアミン化合物(HALS)、並びに比較例に用いた紫外線吸収剤(比較化合物)を示す。
(A)ポリエステル樹脂:ポリエチレンテレフタレート樹脂(帝人(株)製TR−8550)
(C)着色防止剤:ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト
HALS:テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート
紫外線吸収剤:下記〔化12〕に示す構造を持つ比較化合物No.1〜4
【0048】
【化12】

【0049】
実施例及び比較例において、得られたポリエステル樹脂製容器の試験は、以下のようにして行った。
<耐候性試験>
得られた容器の側面から2cm×4cmの試験片を各容器ごとに5枚切り取り、サンシャインウエザオメータをヘーズが50%になるまで照射し、その時間を耐候性とした。
<着色性試験>
耐候性試験に用いた試験片5枚を重ねて、目視によりその色調を観察した。
【0050】
〔実施例1〜8及び比較例1〜6〕
ポリエステル樹脂100重量部に、表1記載の紫外線吸収剤0.1重量部、HALS0.1重量部(実施例3、8及び比較例2のみ)、及び着色防止剤0.05重量部を添加して、日本製鋼所製ダイレクトブロー成形機「電動式小形中空成形機JEB−7/P50/WS60S」を使用して、シリンダー温度280℃、金型温度15℃、13秒サイクルで容量700mlの容器(ボトル)を作成し、該容器について耐候性試験及び着色性試験を行った。結果を表1に示す。尚、表1中の波長は、紫外線吸収剤の吸収極大波長を示す。
【0051】
【表1】

【0052】
表1から明らかなように、本発明に係る特定の紫外線吸収剤を添加した実施例1〜8は、着色がなく、比較化合物の紫外線吸収剤を添加した比較例3〜6より耐候性に優れ、容器に用いるのに適当である。
また、実施例1〜8のポリエステル樹脂製容器は、常法により熱殺菌処理を施したところ、熱殺菌処理に耐え得る良好な耐熱性を示すことが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリエステル樹脂100重量部に、(B)下記一般式(I)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤0.01〜10重量部を添加してなるポリエステル樹脂組成物で形成されたポリエステル樹脂製容器。
【化1】

【請求項2】
上記(A)ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂である請求項1記載のポリエステル樹脂製容器。
【請求項3】
上記ポリエステル樹脂組成物が、さらに(C)着色防止剤を添加してなる請求項1又は2記載のポリエステル樹脂製容器。
【請求項4】
上記(C)着色防止剤が、リン系酸化防止剤である請求項3記載のポリエステル樹脂製容器。
【請求項5】
上記リン系酸化防止剤が、下記一般式(II)で表される亜リン酸エステル化合物である請求項4記載のポリエステル樹脂製容器。
【化2】

【請求項6】
ブローボトルである請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂製容器。
【請求項7】
熱殺菌処理を施された食品包装容器である請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル樹脂製容器。

【公開番号】特開2006−1568(P2006−1568A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178048(P2004−178048)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000000387)旭電化工業株式会社 (987)
【Fターム(参考)】