説明

耐引裂性接着テープ

【課題】
できる限り簡単に設計されそしてそれ故に価格的に有利に製造でき、その結果長手方向(機械方向;md)における高い抗張力を持つのと同時に横方向(cd)において非常に高い引裂強度を持つ接着テープの提供。
【解決方法】
少なくとも片面に接着剤、特に粘着剤が塗布されている支持体材料を有する接着テープであって、支持体材料が少なくとも1種類のテープよりなる、該接着テープにおいて、フィルムが接着テープの長手方向に伸びる少なくとも1つの切り込み線を持ち、該切り込み線は支持体の厚みの少なくとも半分に及んでいることを特徴とする、上記接着テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも片面に接着剤が塗布されている支持体材料を持つ接着テープに関し、該支持体材料が少なくとも1枚のフィルムよりなる、上記接着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
接着テープを用いる場合に、長手方向において十分な抗張力を保証する他に横方向において十分な引裂強度がしばしば要求される。この性質は、一般に特定の理由からテープの側端部に損傷が生じ得る用途において重要である。
【0003】
延伸されていない、すなわち無配向のフィルム、例えばポリオレフィン又はポリアミドよりなるフィルムがある程度の引裂抵抗のあるそれらの強靱さを有していることは公知である。しかしながらこの種類のフィルムはこの系における固有の高い延伸性のために長手方向での高い負荷を持つ用途のための接着テープ用支持体として使用するのに余り適していない。
【0004】
これに対して、高い抗張力を達成するために一軸又は二軸延伸されたフィルムは一般に極めて低い引裂強度まで劇的に低下するという欠点を有している。
【0005】
高い引裂強度を持つ接着テープを得るための沢山のアプローチがある。特にしばしば利用される解決法は支持体材料の繊維強化である。典型的なテープは、撚った又は絡んだ糸よりなる縦一方向不織布スクリム又は両方向織製物又は不織スクリムを有するいわゆる“フィラメント”系接着テープを含む。これらの糸は例えば連続する合成繊維又は天然繊維で作製されていてもよい。この種類の接着テープの繊維はしばしば、局所的に固定された繊維又はフィラメント結束物にまとめられている。
【0006】
このように組み入れられた繊維は引き裂き強度を高める機能に加えて抗張力の可変成分の役割もし得る。
【0007】
更に、一般に異なるフィルムの積層によって製造できる支持体フィルムの多層構造によって引き裂き強度を高めることもできる。しかしながら層の数の増加に連れて上昇するコスト及び繊維の強化に比較して達成できる引き裂き強度のレベルに限界があるという欠点がある。
【0008】
別の解決法は、例えばドイツ特許出願公開第19,955,610A1号明細書に記載されているような、不規則な内部構造を持つ少なくとも2つの共押出成形された異なる組成の層よりなる配向したフィルムがある。この配列において、これらの層の一つの厚さは、全厚は一定している接着テープの幅方向を横切る第二の層に反比例して変化する。これらの層の異なる機械的性質の結果として、横方向で始まる裂け目は長手方向に転換される。しかしながらここに開示した実施態様の明らかな欠点はこの種類のフィルムの製造に必要とされる多大なコスト及び煩雑な機械設備にある。
【0009】
引裂強度を改善する別の方法が例えばヨーロッパ特許出願公開第0,411,820A1号明細書、ヨーロッパ特許出願公開第0,343,896A1号明細書、米国特許第5,145,544A号明細書及び米国特許第5,173,141A号明細書に開示されているような補強するリブ構造である。これらの変法も、ドイツ特許出願公開第19,955,610 A1号明細書で既に十分に示されている種々の欠点を有している。
【0010】
ヨーロッパ特許出願公開第1,775,331 A1号明細書は、複数の個々のフィルム−ストライプ状物をベース支持体の上に平行に積層することによって引裂強度を生じさせる方法を教示している。この場合には、損傷した辺縁部から始まる積層体の裂け目の伝播が次の個別ストライプ状物の無傷の側端部で留められるという原理を利用している。この解決法も、一方においては製造工程への高度な要求があること及びもう一方においては多層構造のために少なくとも2つの別々の製造段階が予めに必要とされるので不利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、できる限り簡単に設計されそしてそれ故に価格的に有利に製造でき、その結果長手方向(機械方向;md)における高い抗張力を持つのと同時に横方向(cd)において非常に高い引裂強度を持つ接着テープを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は請求項1に記載の接着テープによって解決される。従属形式の請求項に記載の発明は本発明の接着テープ並びにその用途の実施態様である。
【0013】
従って本発明は、少なくとも片面に接着剤、特に粘着剤が塗布されている支持体材料を有する接着テープであって、支持体材料が少なくとも1種類のフィルムよりなる、該接着テープにおいて、フィルムが接着テープの長手方向に伸びる少なくとも1つの切り込み線を持ち、それによって2つの側端部に加えてフィルム内に少なくとも1つの別の縁部を生じている、上記接着テープに関する。該切り込み線は支持体の厚みの少なくとも半分に及んでいる。
【0014】
横方向(フィルム横方向)に十分な強度を得るためには、切り込み線の真下にフィルムの厚みの少なくとも8%の層を残すのが有利である。すなわち、切り込み線はフィルムの全厚みの少なくとも50%と最大92%との間に及んでいる。
【0015】
切り込みは支持体材料の表面から始まっており、その上に接着剤が塗布されるので、支持体材料の露出表面には傷がない。
【0016】
切り込み線(或いは複数存在する場合には切り込み線群)は連続線として又は破線として設けられており、後者は好ましくは規則的な間隔で設けられている、
フィルムの材料としては当業者に知られるあらゆるフィルム材料を使用することができる。該フィルムは機械的性質、例えば抗張力、剛性等に従って選択される。
【0017】
使用可能なフィルム材料の例にはPP、PE、PET、PA、PU、PVC又はポリエステルがある。一般にポリオレフィン、エチレンと極性モノマー、例えばスチレン、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート又はアクリル酸とのコポリマー、HDPE,LDPE、MDPEのようなホモポリマー又はエチレンと他のオレフィン、例えばプロピレン、ブチレン、ヘキセン又はオクテンとのコポリマー(例えば、LLDPE、VLLDE)又はポリプロピレン、例えばポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレン−ランダムコポリマー又はポリプロピレン−ブロックコポリマー並びに前記各ポリマーのブレンドを使用することができる。
【0018】
ポリプロピレン、ポリエステル及びH−PVCよりなる、高い剛性がありかつ高い抗張力のある支持体を使用するのが特に有利である。この場合、一軸方向配向した状態の支持体が特に適している。
【0019】
例えばPP−支持体の場合には1:4〜1:10、特に1:6〜1:8.5の延伸比が適している。他のポリマーの場合には、延伸比は相応して選択され、当業者なら知っていることである。
【0020】
本発明の接着テープ支持体の長所のまさに一つが、引裂強度を既に単一層材料で獲得できることにあるといえども、本発明の対象のために、異なる層において前述の材料の組合せを持つ、すなわち、例えば共押出成形又は積層によって製造されているフィルムも適していることを明らかに指し示している。
【0021】
フィルムの厚さは有利には15μm〜130μmに亙っている。更に厚い厚さも使用してもよい。
【0022】
フィルムは更に、例えば金属層を適用して化学薬品に対する保護手段として又は遮断フィルムとしても役立ち得る。フィルムは紫外線吸収剤の混入によって接着剤を紫外線から保護することを保証し得る。このものは例えば着色フィルムを使用することによって光沢又は色のような光学的性質を決めることができる。
【0023】
少なくとも一つの切り込み線を持つ本発明の接着テープは、二つの側端部の一つに傷が付いた場合には、生じるひび割れがこの切り込み線に出会うまで、機械方向に対して横方向に伝播する。そこにおいてひび割れは接着テープの長手方向に方向転換される。支持体はこのひび割れによって正に切り込み線の所で長手方向で区分され、その際に区分の末端はひび割れ停止手段としての切り込み線によって又は接着テープの側端部によって示される。
【0024】
切り込み線及び側端部によって又は二つの互いに隣接する切り込み線によって側方が区切られている長手方向に走る無傷の支持体の領域を、以下において細長い片(ストリップ)と称する。
【0025】
支持体材料の特に有利な一つの実施態様においては、支持体には二つの辺縁ストリップが切り込みされている。辺縁ストリップの幅はここでは最大で接着テープの全幅の1/3である。辺縁ストリップは、最大の侵入深さを持つ予めに計算可能な側端損傷に対して保護する。
【0026】
ストリップは互いに異なる幅を有していてもよい。しかしながらストリップが同じ幅を有する場合が特に有利である。製造方法の結果として、2つの外側のストリップは異なる幅を有していてもよい。
【0027】
ストリップによって追加的に内部辺縁を造るためには、少なくとも2つ想定される。切り込み線辺縁部が中心に配置されていてもよく、従って両方のストリップは同じ幅である。しかしながら“非対称”のフィルムを製造することもできる。一方がもう一方よりも幅広でありそしてそれ故に狭いストリップの側の引き裂けの最大の幅が結果として少ない。
【0028】
ストリップの数は原則として任意に増やすことができる。そのとき、接着テープの幅及びストリップ幅によってストリップ数の上限が決まる。例えば三つのストリップを有する対称の又は非対称のスリット状フィルム、例えば接着テープの辺縁の近くに内部辺縁を引き裂け境界として備えるものが製造される。
【0029】
ストリップの幅は1〜4mm、中でも約2mmであるのが特に有利である。接着テープの幅、例えば19mmに比べて小さい幅(例えば1〜4mm)を有するストリップの場合には、同じストリップ幅であるのが有利である。
【0030】
特に有利な実施態様は、接着テープの支持体に切り込み線があるものである。更に好ましくは対称に配置されている2つの切り込み線があり、しかもこれらの内の一つが支持体材料の両側端の一つの近くに配置されているのが有利であることが分かっている。例えば接着テープが15mmの幅の場合には、フィルムに全部で三つのストライプが存在し、それらが左から右に4/7/4mmの幅を有しているのが特に有利である。19mmの幅の場合には、有利には4/11/4又は4.5/5/4.5の配置を選択するのが有利である。
【0031】
切り込み線の深さを選択する場合には、当業者に知られる添加物及びフィラーを含む使用されるフィルム材料次第で及びフィルムの配向度に従って裂け目を確実に方向転換させるのに十分な最低限の深さを達成するように注意するべきである。同時に、切り込み深さが大きければ大きい程、支持体の強度が横方向での低下を伴うので、裂け目の方向転換作用のために正に必要な深さよりも実質的に深くない深さを選択する。横方向での支持体の十分な強度は、例えば適用する間に接着テープが凸面ロールの上を通るとき、支持体にベルト張力によって横方向に負荷が掛かる場合に役割を果たす。特に有利な一つの実施態様においては、一軸配向したPPよりなる接着テープ支持体を使用し及び/又は切り込み深さが支持体の全厚の50〜92%である。特に有利には、該深さは支持体厚の60〜75%である。
【0032】
このようにして、その厚さにおいて対応する用途分野のための従来技術の接着テープより薄い接着テープが製造される。こうして、特に50〜150μmの厚さ、中でも130μm以下の厚さの接着テープが製造される。支持体材料の強度は、(50〜150μmの支持体厚さの範囲を基準として)好ましくは少なくとも250N/cm、中でも300N/cmが有利である。それぞれの切り込み線の所での正確な裂け目の方向転換によって引裂強度は無傷のフィルム辺縁のものと同じか又はそれに近い値を達成する。
【0033】
切り込み線のあるこの支持体は、摩擦又は剥離効果のような表面特性を片面接着剤塗布接着テープの場合に決定的な影響を及ぼし得る剥離層を備えていてもよい。
【0034】
本発明の接着テープの接着剤は、天然ゴム又は合成ゴム又は天然ゴム及び/又は合成ゴムよりなる任意のブレンドよりなる(自己)接着剤でもよい。その際に天然ゴム又は天然ゴム類は原則として必要とされる純度及び粘度水準次第で例えばクレープタイプ、RSSタイプ、ADSタイプ、TSRタイプ又はCVタイプのあらゆる入手可能なグレードから選択できそして合成ゴム又は合成ゴム類はランダム共重合されたスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(XIIR)、アクリレートゴム(ACM)、エチル−酢酸ビニル共重合体(EVA)及びポリウレタン及び/又はそれらのブレンドよりなる群から選択することができる。
【0035】
更に加工性を改善するためのゴムには、全エラストマー成分を基準として10〜50重量%の重量割合で熱可塑性エラストマーを添加してもよい。
【0036】
この点で挙げることのできる代表例には特に相容性のあるスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)タイプ及びスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)タイプが含まれる。
【0037】
その他にスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)タイプをベースとする100%系も適していることが分かっている。
【0038】
粘着付与性樹脂としてはすでに公知であり文献に開示されているあらゆる粘着樹脂が例外なく使用可能である。挙げられる代表例にはロジン、不均化された、水素化された、重合された、エステル化されたそれの誘導体及び塩、脂肪族及び芳香族炭化水素、テルペン樹脂及びテルペンフェノール樹脂がある。これらの樹脂及び他の樹脂の任意の組合せ物も、得られる接着剤の性質を所望の通りに調整するために使用することができる。明らかな例が、Donatas Satas の''Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology(感圧接着剤技術ハンドブック)''(van Nostrand,1989)によって説明されている。
【0039】
使用後に接着テープの再現性を向上させるためには架橋が有利であり、これは熱的に又は紫外線又は電子線の照射で行うことができる。
【0040】
熱で誘発される化学的架橋の目的のためには公知のあらゆる熱活性化可能な化学的架橋剤、例えば促進硫黄系、硫黄供与系、イソシアネート、反応性メラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂及び(場合によってはハロゲン化された)フェノールホルムアルデヒド樹脂或いは適当な活性剤を含有する反応性フェノール樹脂系又はジイソシアネート架橋性系、エポキシ化されたポリエステル及びアクリレート樹脂並びにそれらの組合せを使用することができる。
【0041】
架橋剤は50℃以上の温度、特に100〜160℃の温度、中でも110〜140℃の温度で活性になるのが有利である。
【0042】
架橋剤の熱的な励起はIR線又は高エネルギー交番磁界によっても行うことができる。
【0043】
適する接着剤はアクリレートホットメルト系、溶剤系又は水性系をベースとするものであり、アクリルホットメルト系は少なくとも20のK−値を有し、特に30より大きいK−値を有していてもよく、そしてホットメルトとして加工できる系をもたらす接着剤の溶液を濃縮することによって得ることができる。
【0044】
この濃縮は適当に装備したタンク又は押出機で行うことができ、特にこれに伴い脱気する場合には脱気式押出機が有利である。
【0045】
この種の接着剤はドイツ特許出願公開第4,313,008A1号明細書に記載されており、その内容をここに記載したものとしそしてその内容は本発明の一部となる。アクリレートホットメルトをベースとする接着剤は化学的に架橋していてもよい。
【0046】
別の一つの実施態様においては粘着剤として(メタ)アクリル酸とそれの炭素原子数1〜25のエステル、マレイン酸、フマル酸及び/又はイタコン酸及び/又はそれのエステルよりなる共重合体、置換された(メタ)アクリルアミド、無水マレイン酸及び他のビニル化合物、例えばビニルエステル、特に酢酸ビニル、ビニルアルコール及び/又はビニルエーテルよりなる共重合体を使用する。残留溶剤含有量は1重量%以下とするべきである。
【0047】
特に適する接着剤には低分子量アクリレートホットメルト接着剤、例えばacResin UV 又は Acronal(R)、特にAcronal(R) DS3458の名称でBASF社から市販されるものがある。低いK−値を持つこれらの接着剤はその用途上の性質を最終的に放射線で誘発された化学架橋によって得られる。
【0048】
最後にポリウレタンをベースとする接着剤も適していることを記載する。
【0049】
片面に接着剤を塗布した接着テープを使用するのが有利である。その際に、接着剤の塗布量は15〜60g/m、更に好ましくは20〜40g/mである。
【0050】
更に接着テープは、使用するまで片面又は両面の接着層を覆っているライナーを有していてもよい。ライナー材料としては前記の全ての材料も適している。しかしながら合成樹脂フィルム又は良好にサイズ剤を塗布した長繊維紙の様な毛羽立ちのない材料が特に有利である。
【0051】
フィルムの切り込みは製造工程のさまざまな地点で行うことができる。支持体は接着剤塗布の前又は後で切り込み線を付けることができる。この目的のためにはあらゆる一般的な慣用のカッティング、スリット入れ又はパンチング工程を利用することができる。これらの工程は切り込みに必要な精度を有しそしてこの様な僅かな間隔で使用するのに適している。スタンピング軸の近くを案内して通す。
【0052】
この目的のためには、回転式スタンピング工程は接着剤の塗布後であるのが特に適している。この場合には上記の性質を持つ接着テープを製造しそして回転式スタンピング手段によって切り込み線を入れるか又は同時に既製品化する。上向き側に接着剤を有する接着テープを、適切な加工幅を持つスタンピング軸の真下に案内して通す。軸の真下を通るときに、色々な深さのスリットを機械方向に沿ってマトリックス中に作製する。配向したフィルムの場合には、フィルムの主要配向方向に平行してこれを行う。スリットの幾つかは材料を分断し、他のスリットは該材料に切り込み線を入れるだけである。このように問題の接着テープは所望の幅に切り下げられそして同時に支持体は接着剤を通して切り込まれる。この場合、回転式スタンピングは、支持体材料を正確に決められた通りに十分に正確に切り込ませる。この方法は用途において予想された接着テープへの側端部損傷を考慮して、テープの側端部に切り込み線を入れる位置を正確にすることを許容する。
【0053】
別の可能な一つの方法は、接着剤を塗工する前に回転式スタンピングを行うことである。この場合には、支持体材料を1つの又は2つ以上のスタンピング軸の組合せの前を通す。このようにして未加工支持体は均一な間隔で切り込まれる。更にこの支持体は他のあらゆるフィルム状支持体と同様に更に加工されそして既製品化することができる。
【0054】
耐引裂性の接着テープの古来の用途には例えば結束、包装、パレット搬送又は緊張ベルトの類似の用途が包含されそして米国特許第2,750,315A号明細書に記載されている。それらの共通点は1つ以上の対象物それ自身、それら相互又は他の物質と固定することである。
【0055】
そこに記載された全ての用途は本発明によって同様の効率で満足される。
【0056】
上記の用途の他に本発明の接着テープは、負荷の掛かる要素の補強効果を必要とするあらゆる作用にとって、抗張力及び引裂強度によって、組み合わで又は場合によっては個別に十分に適している。
【0057】
補強され得る材料には例えば紙、ダンボール又は同質板紙のようなもの、好ましくは露出部位、例えば握り、ハンドル及び切り出し部の所でのそれを包含する。更に、接着テープは、例えば比較的に重い荷物がばらつくのを防止するために、構成要素として使用することもできる。
【0058】
これらのことから以下のような長所が生じる:
− 比較的に高い応力に対して包装物を整備すること;
− 負荷の掛かる領域を周到に強化する結果として、使用される材料の総量の低減;
− 包装物の使用耐久性の向上。
【0059】
公知の解決法と反対に本発明は補強用フィラメントを必要としていない。
【0060】
本発明は、フィルム状支持体の側部ひび割れが長手方向で留められそして、完全に切れているスリットだけでなく既に十分な深さで切り込まれたスリットの一部だけによって方向転換され、その結果支持体材料の残りの部分が張力を吸収しそしてそれを塑性変形に転化することができるという予期しえない所見に基づいている。残りのストリップは広がる。MOPP又はPETの様な剛直で薄いフィルムは引っ張り歪みのもとで、側端部が傷つくやいなやただちに引き裂けに反応する。この場合、乱れた切り傷又は簡単な掠り傷が、張力の負荷のもとで接着テープの完全破壊をもたらすこのような損傷であり得る。
【0061】
しかしながら今や、支持体材料の切り込み線によって上述の所見に基づいて自由に選択可能な間隔でひび割れ停止手段を組み入れて、側端部が傷ついた場合に完全に裂けるのを防止しそして破壊を阻止することが可能である。
【0062】
支持体材料中には好ましくは複数の切り込み線が互いに平行に配置されている。辺縁領域が傷ついた場合、そのひび割れを切り込み線の所で停止される。換言すれば、裂け目の発生した端部の直ぐ近くで停止される(損傷の深さはひび割れの最終的深さに相当する)。
【0063】
本発明は、規定の長手方向に切り込まれたフィルムを持つ接着テープが横方向において高い引裂強度という長所をもたらしそして同時にフィルム接着テープの長所、すなわち平らで一様な構造及び高い抗張力との関係での低い密度を有することを示している。このことは例えばフィラメントで補強された接着テープと反対に、同様な性能のもとで120μm以下の非常に平らな構造をもたらす。更に織製物及び編製物の場合のような、接着剤を充填しなければならない空洞が決して生じない。このことは接着剤の著しい節約をもたらす。
【0064】
本発明の別の長所は、中でもフィルムを使用することにある。このことは、例えばフィラメントで補強された接着テープと違い、同様な性能で100μm以下の非常に平らな構造をもたらす。更に織製物及び編製物の場合のような、接着剤を充填しなければならない空洞を決して生じない。このことは接着剤の著しい節約をもたらす。
【0065】
添付の図面によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの図面に記載の接着テープに限定されない。
図1a フィルムの方に目を向けて見た接着テープを図示しており、切り込み線は連続して設けられている。
図1b フィルムの方に目を向けて見た接着テープを図示しており、切り込み線は規則的な破線で示している。
図2 接着テープの長手方向を横切る断面図で図1aの接着テープを図示している。
図3 接着テープを製造するための切り込み法を図示している。
図4 切り込み法を実施するために必要な装置部分を図示している。
図5 切り込み線の断面の顕微鏡写真を示している。
【0066】
図1aによれば、接着テープは支持体材料としてフィルム(1)を有しており、そのフィルムには2つの辺縁ストリップ(11、13)並びに結果的に得られる中間のストリップ(12)が切り込まれている。辺縁ストリップ(11、13)の幅は接着テープ全体の幅の1/3である。フィルム(1)の上に接着剤(2)が塗布されている。この場合、切り込み線は連続線として設けられている。
【0067】
図1bでは、切り込み線が連続線で設けられているのでなく規則的な破線であることを除いて、図1aのものと同じ接着テープを図示している。
【0068】
図2は接着テープの長手方向を横切る断面で図1の接着テープを図示している。ストリップ(11、12、13)を形成する切り込み線はフィルム(1)の全体厚を超えることなく切り下げされているが、80%以上である。切り込み線はフィルム(1)の表面で始まっており、その上に接着剤(2)が塗布されている。その結果、支持体材料の露出表面は無傷である。
【0069】
図3には、接着テープを製造するための切り込み法が図示されている。接着テープは、2つの層、すなわちフィルム(1)と接着剤(2)とで構成されておりそして回転式スタンピング装置軸(21)及びカッティング用対向シリンダー(22)との間を送られる。回転する切断線(23)(図3参照)は、一方においてはフィルム(1)がスタンピングされて(25)、フィルム(1)が切り込まれることを保証し、同時に接着テープをフィルム(1)と接着剤(2)が打ち抜かれる(26)ことによってその幅に切断される。
【0070】
図4は回転式スタンピング軸(21)と対向スタンピングシリンダー(22)との相互作用を図示している。
【0071】
図5には約86μmの厚さのPP−フィルムの切り込み線部の切断面を1:200の倍率で示している。パンチングダイスが突いた点の所での変形及び切り込み線の下部領域の近くに接する実際の切り込み線の側端部を良好に示している。切り込み線の真下に残る連結部は約30μmの厚さを有している。同様に突いた点の反対側のフィルムの側に僅かな変形が見られるが、これは恐らく支持体材料への力の負荷に対して支持体材料が反応した塑性成分に起因するものである。
【0072】
切り込み線を作製するためには、非常に小さい切断角、特に10°の切断角を持つ極めて鋭い刃を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1a】はフィルムの方に目を向けて見た接着テープを図示しており、切り込み線は連続して設けられている。
【図1b】はフィルムの方に目を向けて見た接着テープを図示しており、切り込み線は規則的な破線で示している。
【図2】は接着テープの長手方向を横切る断面図で図1aの接着テープを図示している。
【図3】接着テープを製造するための切り込み法を図示している。
【図4】切り込み法を実施するために必要な装置部分を図示している。
【図5】切り込み線の断面の顕微鏡写真を示している。
【符号の説明】
【0074】
1・・・フィルム
2・・・接着剤層
11、12、13・・・ストリップ
21・・・回転式スタンピング装置軸
22・・・カッティング用対向シリンダー
23・・・回転する切断線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも片面に接着剤、特に粘着剤が塗布されている支持体材料を有する接着テープであって、支持体材料が少なくとも1種類のフィルムよりなる、該接着テープにおいて、フィルムが接着テープの長手方向に伸びる少なくとも1つの切り込み線を持ち、該切り込み線は支持体の厚みの少なくとも半分に及んでいることを特徴とする、上記接着テープ。
【請求項2】
切り込み線の深さが支持体の全厚みの50〜92%、好ましくは60〜75%である、請求項1に記載の接着テープ。
【請求項3】
切り込み線が連続線として又は破線として設けられており、後者は好ましくは規則的な間隔で設けられている、請求項1又は2に記載の接着テープ。
【請求項4】
支持体材料が2つの切り込み線を有し、それの一本がいずれの場合にも支持体材料の両側端の一つの近くに配置されている、請求項1〜3のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項5】
切り込み線が支持体材料の表面から始まっており、それの上に接着剤が塗布されており、その結果支持体材料の解放面は無傷の状態である、請求項1〜4のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項6】
フィルムがPP、PE、PET、PA、PU、PVC又はポリエステルよりなり及び/又は15μm〜130μmの厚みを有している、請求項1〜5のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項7】
フィルムが剛性がありかつ高抗張力の支持体、例えばポリプロピレン、ポリエステル及びH−PVCよりなり及び/又は一軸延伸されており、特に好ましくは一軸延伸されたPPである、請求項1〜6のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項8】
支持体材料への接着剤の塗布量が15〜60g/m2 、好ましくは20〜40g/m2 である、請求項1〜7のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項9】
支持体材料の強度が少なくとも250N/cm、特に好ましくは300N/cmである、請求項1〜8のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一つに記載の接着テープの、結束、包装、パレット搬送のための用途。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一つに記載の接着テープの、紙、ダンボール又は同質板紙上の補強テープ、好ましくは露出部位、例えば握り、ハンドル及び切り出し部の所での補強テープとしての用途。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−30057(P2009−30057A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191288(P2008−191288)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(507249591)テーザ・アクチエンゲゼルシャフト (52)
【Fターム(参考)】