説明

耐摩耗性コーティング組成物およびコーティングされた物品

アルコキシド、ならびにシリカナノ粒子および重合可能な(メタ)アクリレート結合剤を含むシリカゾルを含むコーティング組成物が開示される。この重合可能な(メタ)アクリレート結合剤は、コーティング組成物が硬化されてハードコートを形成した後に実質的に架橋されないままである。このようなコーティング組成物から堆積されるハードコートで少なくとも部分的にコーティングされた物品、プラスチック基材の少なくとも一部の上にハードコートを堆積するための方法、およびコーティング組成物の接着性および耐摩耗性の改善のための方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐摩耗性コーティング組成物に関する。より詳細には、本発明は、重合可能な(メタ)アクリレート結合剤中に分散したシリカナノ粒子を含むシリカゾルを含む、耐摩耗性コーティング組成物であって、上記重合可能な(メタ)アクリレートは、上記コーティング組成物が硬化されてハードコートを形成した後に実質的に架橋されないままである、耐磨耗性コーティング組成物に関する。このコーティング組成物はしばしば、プライマーを用いることなく、有機基材(例えば、ポリカーボネート)に対する良好な接着性を示す。
【背景技術】
【0002】
透明プラスチック基材を含むプラスチック基材は、いくつかの用途、とりわけ、例えば、風防ガラス、レンズ、および家庭用電化製品などに望まれている。引っかき傷、ならびに他の形態の劣化を最小限にするために、透明な「ハードコート」が、基材に対する保護層として、しばしば施される。ハードコートと基材との間の接着性を高めるために、プライマーがしばしば用いられる。その耐摩耗特性を維持すると同時に、プライマーを用いることなく、これらの基材に接着するハードコートが望まれている。さらに、他にも理由はあるが、生産性のために、化学線に曝されると急速に硬化可能なハードコートも望まれている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の要旨)
ある特定の観点では、本発明は、(a)一般式RM(OR’)z−xのアルコキシド(式中、Rは有機基であり、Mはケイ素、アルミニウム、チタン、および/またはジルコニウムであり、各R’は、独立して、アルキル基であり、zはMの原子価であり、xはz未満の数値であり、かつゼロであり得る);および(b)シリカナノ粒子および重合可能な(メタ)アクリレート結合剤を含むシリカゾル、を含むコーティング組成物に関する。これらのコーティング組成物において、上記重合可能な(メタ)アクリレート結合剤は、上記コーティング組成物が硬化されてハードコートを形成した後に実質的に架橋されないままである。
【0004】
他の観点では、本発明は、ハードコートで少なくとも部分的にコーティングされた物品に関する。このハードコートは、(a)一般式RM(OR’)z−xのアルコキシド(式中、Rは有機基であり、Mはケイ素、アルミニウム、チタン、および/またはジルコニウムであり、各R’は、独立して、アルキル基であり、zはMの原子価であり、xはz未満の数値であり、かつゼロであり得る);および(b)シリカナノ粒子および重合可能な(メタ)アクリレート結合剤を含むシリカゾル、を含むコーティング組成物から堆積される。これらの物品において、上記ハードコート中の上記重合可能な(メタ)アクリレート結合剤は、実質的に架橋されないままである。
【0005】
さらに他の観点では、本発明は、プラスチック基材の少なくとも一部の上にハードコートを堆積するための方法に関する。これらの方法は、(a)一般式RM(OR’)z−xのアルコキシド(式中、Rは有機基であり、Mはケイ素、アルミニウム、チタン、および/またはジルコニウムであり、各R’は、独立して、アルキル基であり、zはMの原子価であり、xはz未満の数値であり、かつゼロであり得る)を少なくとも部分的に加水分解するステップ、(b)シリカナノ粒子および重合可能な(メタ)アクリレート結合剤を含むシリカゾルを上記少なくとも部分的に加水分解されたアルコキシドに加えてコーティング組成物を形成するステップ、(c)上記基材の少なくとも一部の上に上記コーティング組成物を堆積するステップ、および(d)上記コーティング組成物を硬化させるステップ、を含む。これらの実施形態では、上記重合可能な(メタ)アクリレート結合剤は、上記硬化ステップの後に実質的に架橋されないままである。
【0006】
さらに他の観点では、本発明は、コーティング組成物の接着性および耐摩耗性を改善するための方法に関する。これらの方法は、上記コーティング組成物中の、シリカナノ粒子および重合可能な(メタ)アクリレート結合剤を含むシリカゾルを含むことを包含し、ここで上記重合可能な(メタ)アクリレート結合剤は、上記コーティング組成物が硬化されてハードコートを形成した後に実質的に架橋されないままである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(発明の実施形態の詳細な説明)
以下の詳細な説明の目的に関して、本発明は、反対に特に指定された場合を除き、様々な代替の改変およびステップ順序を想定し得る、ということが理解されるべきである。さらに、任意の実施例以外に、または他に示された場合、例えば、本明細書および特許請求の範囲において用いられる成分の量を表すすべての数値は、すべての場合において、用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、反対に示されていない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に示される数値パラメーターは、本発明によって得られる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。最低限でも、および特許請求の範囲に対する均等物の原則の適用を限定する試みとしてではなく、それぞれの数値パラメーターは、報告される有効桁の数値を踏まえて、および通常の丸めの技法(rounding technique)を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。
【0008】
本発明の広い範囲を示す数値範囲およびパラメーターは近似値であることにもかかわらず、具体例に示される数値は、可能な限り正確に報告される。しかし、あらゆる数値は、そのそれぞれの試験測定において見出される標準偏差に必然的に起因する、ある特定の誤差を本質的に含む。
【0009】
また、本明細書で述べられるあらゆる数値範囲は、そこに包含されるすべての部分範囲を含むことが意図されることが理解されるべきである。例えば、「1から10」の範囲は、述べられた最小値の1と述べられた最大値の10との間の(およびこれらの値を含む)、すなわち、1に等しいか、1を超える最小値および10に等しいか、10未満の最大値を有する、すべての部分範囲を含むことが意図される。
【0010】
本願では、他に特に明言されていない限り、単数形の使用は、複数形を含み、複数形は、単数形を包含する。例えば、限定することなく、本願は、「アルコキシド」を含むコーティング組成物に言及する。このような「アルコキシド」への言及は、1種のアルコキシドを含むコーティング組成物ならびに2種以上の異なるアルコキシドの混合物を含むコーティング組成物を包含することを意味する。さらに、本願では、「または」の使用は、他に特に明言されていない限り、「および/または」を意味するが、「および/または」は、ある特定の場合において明確に用いられる場合もある。
【0011】
示したように、本発明のある特定の実施形態は、コーティング組成物、例えば、ハードコートを生成するのに適したコーティング組成物などに関する。本明細書で用いる場合、用語「ハードコート」は、耐衝撃性(chip resistance)、耐衝撃性(impact resistance)、耐摩耗性、耐UV劣化性、耐湿性、および/または耐化学性のうちの1つまたは複数を提供する、コーティング、例えば、クリアコートなどを指す。
【0012】
ある特定の実施形態では、本発明のコーティング組成物は、一般式RM(OR’)z−xのアルコキシド(式中、Rは有機基であり、Mはケイ素、アルミニウム、チタン、および/またはジルコニウムであり、各R’は、独立して、アルキル基であり、zはMの原子価であり、xはz未満の数値であり、かつゼロであり得る)を含む。適切な有機基の例としては、それだけに限らないが、アルキル、ビニル、メトキシアルキル、フェニル、γ−グリシドキシプロピルおよびγ−メタクリルオキシプロピルが挙げられる。アルコキシドは、当技術分野で公知の、他の化合物および/もしくはポリマーとさらに混合する、ならびに/または反応させることができる。オルガノアルコキシシラン、例えば上記式の中のものなどを少なくとも部分的に加水分解することから形成されるシロキサンを含む組成物は、特に適している。適切なアルコキシド含有化合物およびその作製方法の例は、米国特許第6,355,189号;同第6,264,859号;同第6,469,119号;同第6,180,248号;同第5,916,686号;同第5,401,579号;同第4,799,963号;同第5,344,712号;同第4,731,264号;同第4,753,827号;同第4,754,012号;同第4,814,017号;同第5,115,023号;同第5,035,745号;同第5,231,156号;同第5,199,979号;および同第6,106,605号に記載されており、そのすべては、本明細書中で参考として援用する。
【0013】
ある特定の実施形態では、アルコキシドは、グリシドキシ[(C〜C)アルキル]トリ(C〜C)アルコキシシランモノマーおよびテトラ(C〜C)アルコキシシランモノマーの組み合わせを含む。本発明のコーティング組成物に用いるのに適したグリシドキシ[(C〜C)アルキル]トリ(C〜C)アルコキシシランモノマーとして、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピル−トリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、その加水分解産物またはそのようなシランモノマーの混合物が挙げられる。
【0014】
本発明のコーティング組成物中で、グリシドキシ[(C〜C)アルキル]トリ(C〜C)アルコキシシランと組み合わせて用いられ得る、適切なテトラ(C〜C)アルコキシシランとして、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラペンチルオキシシラン、テトラヘキシルオキシシランおよびそれらの混合物などの材料が挙げられる。
【0015】
ある特定の実施形態では、本発明のコーティング組成物中で用いられるグリシドキシ[(C〜C)アルキル]トリ(C〜C)アルコキシシランモノマーおよびテトラ(C〜C)アルコキシシランモノマーは、0.5:1から100:1、例えば0.75:1から50:1など、および場合によって、1:1から5:1の、グリシドキシ[(C〜C)アルキル]トリ(C〜C)アルコキシシランとテトラ(C〜C)アルコキシシランの重量比で存在する。
【0016】
ある特定の実施形態では、アルコキシド(または上述したその2種以上の組合せ)は、組成物の全重量に基づいた重量パーセントで、5から75重量パーセント、例えば、10から70重量パーセントなど、または場合によって、20から65重量パーセント、またはさらに他の場合では、25から60重量パーセントの量で、コーティング組成物中に存在する。
【0017】
ある特定の実施形態では、本発明のコーティング組成物は、シリカナノ粒子および重合可能な(メタ)アクリレート結合剤を含むシリカゾルを含む。本明細書で用いる場合、用語「シリカゾル」は、本発明では、重合可能な(メタ)アクリレートを含む結合剤中に分散した微粉化シリカ粒子のコロイド分散物を指す。本明細書で用いる場合、用語「シリカ」は、SiOを指す。本明細書で用いる場合、用語「ナノ粒子」は、1ミクロン未満の平均一次粒径を有する粒子を指す。ある特定の実施形態では、本発明で用いられるナノ粒子は、300ナノメートル以下、例えば、200ナノメートル以下、または場合によっては100ナノメートル以下、またはさらに他の場合では、50ナノメートル以下、または場合によっては20ナノメートル以下の平均一次粒径を有する。
【0018】
本発明の目的に関して、平均粒径は、公知のレーザー散乱技法によって測定され得る。例えば、平均粒径は、Horiba Model LA 900レーザー回折粒度計を用いて決定され得、これは、633nmの波長を有するヘリウム−ネオンレーザーを用いることによって粒子のサイズを測定し、粒子は球形を有すると想定し、すなわち、「粒径」は、粒子を完全に囲むことになる最小の球を指す。平均粒径は、粒子の代表的な試料の透過型電子顕微鏡(TEM)像の電子顕微鏡写真を視覚的に検査し、像内で粒子の直径を測定し、TEM像の拡大率に基づいて、測定した粒子の平均一次粒径を計算することによっても決定され得る。当業者は、そのようなTEM像を作製し、拡大率に基づいて一次粒径を決定する方法を理解するだろう。粒子の一次粒径は、粒子を完全に囲むことになる最小直径の球を指す。本明細書で用いる場合、用語「一次粒径(primary particle size)」は、粒子の凝集に対するものとして、個々の粒子のサイズを指す。
【0019】
示したように、シリカゾルは、重合可能な(メタ)アクリレート結合剤を含む。本明細書で用いる場合、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの両方を含むことを意味する。本発明のコーティング組成物中に存在するシリカゾル中の結合剤として用いるのに適した重合可能な(メタ)アクリレートとして、不飽和(メタ)アクリレートモノマーおよびオリゴマー、例えば、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、およびペンタ−(メタ)アクリレートなどが挙げられる。そのような材料の限定されない特定の例としては、とりわけ、ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンホルマルアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリントリアクリレート、および/またはペンタエリトリトールテトラアクリレートが挙げられる。
【0020】
本発明で用いるのに適したシリカゾルは、市販されている。例としては、Hanse chemie AG、Geesthacht、Germanyから入手可能なNanocryl(登録商標)ラインの製品が挙げられる。これらの製品は、50重量%までのシリカ含有量を有する低粘性ゾルである。
【0021】
特定の実施形態では、シリカゾルはさらに有機溶媒を含む。適切な有機溶媒は、コーティング組成物中でシリカゾルを安定化するものである。コーティング組成物中に存在する溶媒の最小量は、溶媒和する量、すなわちコーティング組成物中でシリカゾルが溶解する、または分散するのに十分な量である。例えば、溶媒の存在量は、コーティング組成物の全重量に基づいて20から90重量パーセントに及び得る。適切な溶媒としては、それだけに限らないが、以下:ベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、エタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピルアルコール、プロピレンカーボネート、N−メチルピロリジノン、N−ビニルピロリジノン、N−アセチルピロリジノン、N−ヒドロキシメチルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−(N−オクチル)ピロリジノン、N−(n−ドデシル)ピロリジノン、2−メトキシエチルエーテル、キシレン、シクロヘキサン、3−メチルシクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、メタノール、プロピオン酸アミル、プロピオン酸メチル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、Union CarbideによってCELLOSOLVE工業用溶媒として販売されている、エチレングリコールのモノ−およびジアルキルエーテル、およびその誘導体、Dow Chemicalによって、それぞれDOWANOL(登録商標)PMおよびDOWANOL(登録商標)PMA溶媒として販売されている、プロピレングリコールメチルエーテルおよびプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ならびにこのような列挙した溶媒の混合物、が挙げられる。
【0022】
結果として、特定の実施形態では、シリカゾルが上記に記載の市販のNanocryl(登録商標)シリカゾルのうちの1つである場合などは、シリカゾルは、本明細書中に記載の少なくとも部分的に加水分解された型のアルコキシドと組み合わせる前に、最初に有機溶媒で希釈される。
【0023】
ある特定の実施形態では、シリカゾルは、組成物の全重量に基づいた重量パーセントで、1から20重量パーセント、例えば、5から15重量パーセントの量で、コーティング組成物中に存在する。
【0024】
ある特定の実施形態では、アルコキシドは、シリカゾルと組み合わせる前に、少なくとも部分的に加水分解される。そのような加水分解反応は、米国特許第6,355,189号の第3欄、7から28行に記載されており、その引用された部分を、本明細書中で参考として援用する。
【0025】
ある特定の実施形態では、水は加水分解性アルコキシド(複数も含む)を加水分解するのに必要な量で提供される。例えば、ある特定の実施形態では、水は、1モルの加水分解性アルコキシド当たり少なくとも1.5モルの水の量で存在する。ある特定の実施形態では、十分な場合、大気水分で適切となり得る。
【0026】
ある特定の実施形態では、加水分解および縮合反応を触媒する触媒が提供される。ある特定の実施形態では、触媒は、酸性物質、および/または、酸性物質とは異なる物質であって、化学線に曝されると酸を生成する物質である。ある特定の実施形態では、酸性物質は、有機酸、無機酸、またはそれらの混合物から選ばれる。そのような物質の限定されない例としては、酢酸、ギ酸、グルタル酸、マレイン酸、硝酸、塩酸、リン酸、フッ化水素酸、硫酸またはそれらの混合物が挙げられる。
【0027】
例えば、ルイス酸および/またはブレンステッド酸などの、化学線に曝されると酸を生成する任意の物質は、本発明のコーティング組成物中で、加水分解および縮合触媒として使用され得る。酸生成化合物の限定されない例としては、オニウム塩およびヨードシル塩、芳香族ジアゾニウム塩、メタロセニウム塩、o−ニトロベンズアルデヒド、米国特許第3,991,033号に記載されている、ポリオキシメチレンポリマー、米国特許第3,849,137号に記載されている、o−ニトロカルビノールエステル、米国特許第4,086,210号に記載されている、o−ニトロフェニルアセタール、そのポリエステルおよびエンドキャップ誘導体(end−capped derivative)、スルホン酸エステルまたはスルホン酸エステル基に対してα位もしくはβ位にカルボニル基を含有する芳香族アルコール、芳香族アミドもしくはイミドのN−スルホニルオキシ誘導体、芳香族オキシムスルホネート、キノンジアジド、ならびに鎖中にベンゾイン基を含有する樹脂、例えば、米国特許第4,368,253号に記載されているものなどが挙げられる。これらの放射線活性酸触媒の例は、米国特許第5,451,345号にも開示されている。
【0028】
ある特定の実施形態では、上記酸生成化合物は、カチオン性光開始剤、例えばオニウム塩などである。そのような物質の限定されない例としては、ジアリールヨードニウム塩およびトリアリールスルホニウム塩が挙げられ、これらは、Sartomer CompanyからSarCat(登録商標)CD−1012およびCD−1011として市販されている。他の適当なオニウム塩は、米国特許第5,639,802号の第8欄、第59行から第10欄、第46行に記載されている。そのようなオニウム塩の例としては、4,4’−ジメチルジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、フェニル−4−オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ドデシルジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、[4−[(2−テトラデカノール)オキシ]フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0029】
本発明のコーティング組成物中に用いられる触媒の量は、広く変動し、用いられる特定の材料に依存し得る。加水分解および縮合反応を触媒する、および/または開始するのに必要な量のみ、例えば触媒量が必要とされる。ある特定の実施形態では、酸性物質および/または酸生成物質は、組成物の全重量に基づいて、0.01から5重量パーセントの量で用いられ得る。
【0030】
ある特定の実施形態では、本発明のコーティング組成物は他の追加の材料(例えば、染料(tint)もしくは着色剤)、および/または、米国特許出願公開第2002/00651407号の[0051]から[0056]に記載されているものを含む、フォトクロミック化合物を含む(この引用した部分を本明細書中で参考として援用する)。
【0031】
本発明のコーティング組成物は、1種または複数種の標準的な添加剤、例えば、流動添加剤(flow additive)、レオロジー調節剤、接着性促進剤なども含み得る。ある特定の実施形態では、本発明のコーティング組成物は、UV吸収材を含む。
【0032】
ある特定の実施形態では、本発明のコーティング組成物は、米国特許出願第11/116,552号の[0004]から[0007]に記載されている種類のオルガノシロキサンポリオールを含む(この引用した部分を、本明細書中で参考として援用する)。このような材料は、用いられる場合、コーティング組成物の全固体重量に基づいて、1から25重量パーセント、例えば、2から15重量パーセントまたは5から10重量パーセントの量で、コーティング組成物中にしばしば存在する。
【0033】
ある特定の実施形態では、本発明のコーティング組成物は、上記シリカゾルの一部として上記コーティング組成物に導入される材料を除いて、任意のフリーラジカル重合可能な材料を実質的に含まないか、または場合によって、完全に含まない。そのような材料の例は、一官能性、二官能性、三官能性、四官能性、または五官能性モノマーもしくはオリゴマー脂肪族、脂環式、または芳香族の(メタ)アクリレートである。本明細書で用いる場合、用語「実質的に含まない」は、考察中の材料は、仮にあったとしても、偶発的な不純物として組成物中に存在するだけであることを意味する。言い換えれば、この材料は、組成物の特性に影響しない。本明細書で用いる場合、用語「完全に含まない」は、この材料が、組成物中に全く存在しないことを意味する。
【0034】
ある特定の実施形態では、本発明のコーティング組成物は、任意のフリーラジカル重合開始剤を、実質的に含まないか、または場合によって、完全に含まない。そのような材料には、化学線に曝されるとフリーラジカルを形成する任意の化合物が含まれる。そのような材料の具体的な例としては、ある特定の実施形態では、本発明のコーティング組成物に実質的にまたは完全に存在しないが、ベンゾイン、ベンジル、ベンジルケタール、アントラキノン、チオキサントン、キサントン、アクリジン誘導体、フェナゼン誘導体、キノキサリン誘導体、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾイルオキシム、1−アミノフェニルケトン、1−ヒドロキシフェニルケトン、およびトリアジン化合物である。他のフリーラジカル重合開始剤は、ある特定の実施形態では、本発明のコーティング組成物に実質的にまたは完全に存在しないが、アセトフェノン、ベンジルケタールおよびベンゾイルホスフィンオキシドである。別の分類のフリーラジカル重合開始剤は、ある特定の実施形態では、本発明のコーティング組成物に実質的にまたは完全に存在しないが、化学線を吸収し、フリーラジカルを生成することのできる、イオン染料−対イオン化合物(ionic dye−counter ion compound)、例えば、欧州特許出願EP223587および米国特許第4,751,102号、同第4,772,530号および同第4,772,541号に記載されている材料などである。結果として、本発明のある特定の実施形態には、コーティング組成物の全重量に基づく重量パーセントで、1重量パーセント以下、または場合によって、0.5重量パーセント以下、またはさらに他の場合では、0.1重量パーセント以下のフリーラジカル重合開始剤しか含まれない。
【0035】
本発明のコーティング組成物は、任意の適切な方法によって調製され得、本明細書の実施例は、そのような一方法を例示する。例えば、コーティング組成物は、前述したアルコキシドを少なくとも部分的に加水分解し、次いでこの少なくとも部分的に加水分解された材料にシリカゾルを加えることによって調製され得る。
【0036】
本発明のコーティング組成物は、任意の適切な基材に塗布され得るが、多くの場合、基材は、熱可塑性基材などのプラスチック基材、例えば、それだけに限らないが、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリフェニレンエーテルとポリスチレンのブレンド、ポリエーテルイミド、ポリエステル、ポリスルホン、アクリル、およびこれらのコポリマーならびに/またはブレンドが挙げられる。
【0037】
そのような基材にコーティング組成物を塗布する前に、基材表面は洗浄によって処理され得る。プラスチックについての有効な処理技法として、超音波洗浄;有機溶媒の水性混合物、例えば50:50のイソプロパノール:水またはエタノール:水の混合物を用いた洗浄;UV処理;活性ガス処理、例えば、低温プラズマまたはコロナ放電を用いた処理、および化学処理、例えば、ヒドロキシ化、すなわち、フルオロ界面活性もまた含有し得る、アルカリ(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム)の水溶液を用いた表面のエッチングなどが挙げられる。ポリマー有機材料の表面処理が記載される、米国特許第3,971,872号の第3欄、第13行から第25行;米国特許第4,904,525号の第6欄、第10行から第48行;および米国特許第5,104,692号の第13欄、第10号から第59行を参照せよ。
【0038】
本発明のコーティング組成物は、例えば、フローコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、ロールコーティング、カーテンコーティングおよびスプレーコーティングを含めた、任意の従来のコーティング技法を用いて、基材に塗布され得る。コーティング組成物の基材への塗布は、必要に応じて、粉塵または汚染物質を実質的に含まない環境、例えばクリーンルームで行われ得る。本発明のプロセスによって作製されるコーティングは、0.1から50ミクロン(μm)、例えば、2から20μmなど、および場合によって、2から10μm、例えば5μmの厚さの範囲であり得る。
【0039】
本発明のコーティング組成物を基材に塗布した後、周囲温度で最大1時間、コーティングを光に曝し、次いで、用いられている特定のコーティングおよび/または基材に基づいて当業者より決定され得る、適切な温度および時間でコーティングをベーキングすることなどによって、コーティングが硬化される。本明細書で用いる場合、用語「硬化した」および「硬化すること」は、硬化される、すなわち架橋されるように意図されたコーティングの成分の、少なくとも部分的な架橋を指す。ある特定の実施形態では、架橋密度、すなわち架橋の程度は、完全な架橋の35から100パーセントの範囲である。架橋の存在および程度、すなわち架橋密度は、様々な方法、例えば、米国特許第6,803,408号の第7欄、第66行から第8欄、第18行に記載されているような、Polymer Laboratories MK III DMTA分析計を用いた動的機械熱分析(DMTA)などによって求めることができる(この引用した部分を本明細書中で参考として援用する)。
【0040】
ある特定の実施形態では、前述したように、化学線に曝されると酸を生成する物質が本発明のコーティング組成物中に存在する場合、このコーティング組成物は、熱的にコーティングを硬化した後に、熱硬化プロセスの間に同時に、または熱硬化プロセスの代わりに、コーティングされた基材に硬化量の紫外光を照射することによって、少なくとも部分的に硬化され得る。照射ステップの間、コーティングされた基材は、室温、例えば22℃に維持され得るか、または基材への損傷が起こる温度未満の高温に加熱され得る。
【0041】
本発明のコーティング組成物のある特定の実施形態の1つの特徴は、シリカゾル中に存在する重合可能な(メタ)アクリレート結合剤が、コーティング組成物が硬化されてハードコートを形成した後に、すなわち前述のハードコート樹脂マトリックスを硬化する硬化ステップの後に、実質的に架橋されないままであることである。本明細書中で用いる場合、用語「実質的に架橋されない」は、上記コーティング組成物が硬化してハードコートを形成する際に、上記重合可能な(メタ)アクリレートが、ポリカーボネート基材上の生じたハードコートの接着が否定的に影響する、すなわち、以下に記載のとおりに測定される場合に上記ハードコートが低下した接着率を示す程度まで、それ自身ともしくは他の組成物成分と反応しないことを意味する。
【0042】
ある特定の実施形態では、本発明のコーティング組成物は、本明細書中に記載のシリカゾルを含まない類似のコーティング比べて、生じたコーティングの耐摩擦性を保ちながら、ならびにある場合には、有意に改善しながら、プライマーの使用なしでポリカーボネート基材への改善された接着性を示す。本発明の目的に関して、耐摩擦性は、標準テーバー磨耗試験(ANSI/SAE 26.1−1996)に従い、300テーバー磨耗サイクルの後に%ヘーズで測定される。本発明の目的に関して、コーティングの耐摩耗性は、別のコーティングと比較して、300テーバー磨耗サイクルの後のコーティング%ヘーズが比較されるコーティングより低い場合、「改善される」とする。本発明の目的に関して、接着性は、クロスハッチ(Crosshatch)接着試験を用いて測定され、ここで、マルチ−ブレードカッター(Paul N.Gardner Company,Inc.)が使用される。具体的には、コーティングされたパネルは、2度けがきされ(90度で)、刃が基材に切り入ることを確実にする。コーティング接着性は、Nichiban LP−24テープ(1つの引き手は基材に接する)を用いて測定される。接着性は0−5の尺度(5=100%接着性、0=0%接着性)で評価される。本発明の目的に関して、コーティングの接着性は、別のコーティングと比較して、接着率が比較されるコーティングより高い場合、「改善される」とする。結果として、本発明はまた、コーティング組成物の接着性および耐摩耗性の改善のための方法であって、コーティング組成物中にシリカナノ粒子および重合可能な(メタ)アクリレート結合剤を含むシリカゾルを含む工程を含み、ここで上記重合可能な(メタ)アクリレート結合剤は、上記コーティング組成物が硬化されてハードコートを形成した後に実質的に架橋されないままである、方法に関する。
【0043】
前述の説明より明らかなように、本発明はまた、コーティング組成物から堆積されるハードコートで少なくとも部分的にコーティングされた物品であって、上記コーティング組成物が以下:(a)一般式RM(OR’)z−xのアルコキシド(式中、Rは有機基であり、Mはケイ素、アルミニウム、チタン、および/またはジルコニウムであり、各R’は、独立して、アルキル基であり、zはMの原子価であり、xはz未満の数値であり、かつゼロであり得る);および(b)シリカナノ粒子および重合可能な(メタ)アクリレート結合剤を含むシリカゾルを含み、上記重合可能な(メタ)アクリレート結合剤は、実質的に架橋されていない、物品に関する。
【0044】
本発明はまた、プラスチック基材の少なくとも一部の上にハードコートを堆積するための方法に関する。これらの方法は、以下:(a)一般式RM(OR’)z−xのアルコキシド(式中、Rは有機基であり、Mはケイ素、アルミニウム、チタン、および/またはジルコニウムであり、各R’は、独立して、アルキル基であり、zはMの原子価であり、xはz未満の数値であり、かつゼロであり得る)を少なくとも部分的に加水分解する工程;(b)シリカナノ粒子および重合可能な(メタ)アクリレート結合剤を含むシリカゾルを少なくとも部分的に加水分解されたアルコキシドに加えてコーティング組成物を形成する工程;
(c)上記基材の少なくとも一部の上に上記コーティング組成物を堆積する工程;および
(d)上記コーティング組成物を硬化する工程、を包含し、上記重合可能な(メタ)アクリレート結合剤は、硬化の工程の後に実質的に架橋されないままである。ある特定の実施形態では、このような方法は、コーティング組成物を塗布する前にプライマーを塗布する工程を含まない。
【0045】
以下の実施例は、本発明を例示しているが、本発明を、この実施例の細部に限定するものとして見なされるべきではない。別段の指定のない限り、以下の実施例において、ならびに本明細書全体にわたって、すべての部およびパーセンテージは重量による。
【実施例】
【0046】
(実施例1 コーティング組成物の調製)
1.05グラムの70%硝酸を7000.00グラムのDI水と混合することによって希硝酸溶液を調製した。
【0047】
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(326.4グラム)およびテトラメチルオルトシラン(186.0グラム)を、清潔な反応容器中で混合した。内容物を、氷/水浴を用いて冷却した。反応容器中のシラン混合物の温度が、10〜15℃の間に達したとき、あらかじめ希釈した硝酸溶液(80.5グラム)を、撹拌しながらすばやく反応容器に加えた。発熱反応の結果として、温度の上昇が観察された。氷/水浴により、最高反応温度を15〜20℃の間に保持した。最高温度は、酸性溶液を加えた後、5〜10分で到達した。最高温度に達した後、追加のあらかじめ希釈した硝酸溶液(80.5グラム)を、撹拌しながら反応容器に加えた。最高温度は、第二の酸性溶液を加えた後、5〜10分で到達した。氷/水浴により最高反応温度は20〜25℃の間に保持されるべきである。最高温度に到達した後、水浴を除き、反応容器を室温で3時間撹拌した。この時間の後、混合物のpHは1.9〜2.0の間であった。次に、25%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドのメタノール溶液数滴を反応容器中に徐々に加えることによって、pHを5.5に調節した。pH調整後、Dowanol(登録商標)PM(264.5グラム)、BYK−306(1.2グラム)、およびカチオン性光開始剤として50%のトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩のプロピレンカーボネート溶液(12.1グラム)を反応容器に加え、そして反応混合物を室温で10〜20分撹拌した。
【0048】
別の容器に、Nanocryl(登録商標)140(42.40グラム)、Dowanol(登録商標)PM(42.40グラム)およびジアセトンアルコール(590.00グラム)を混合した。この混合物を次に上記反応容器に加え、そして反応混合物を室温でさらに30分撹拌した。このコーティング溶液を次に公称0.45ミクロンのカプセルフィルターを通して、単独パスで濾過した。
【0049】
(実施例2)
Mokrolon(登録商標)透明ポリカーボネート基材(Bayer AG)を、2−プロパノールでリンスし、ふき取った。コーティングを下塗りされていない基材にスピン塗布し、そして6〜8J/cmのUVA量で、Dバルブ(D bulb)を用いて大気下で硬化した。最終の乾燥フィルム厚さは、3〜5μmであった。コーティングされたサンプルは、視覚的外観、接着性、およびテーバー耐磨耗性で評価された。
【0050】
表1に記載されるように、シリカゾルのないコーティングは、許容可能な接着性を提供しなかった。シリカゾルを有するコーティングは、優れた接着性と耐摩耗性を提供した。シリカゾルおよびフリーラジカル開始剤を有するコーティングは、許容可能な接着性を提供しなかった。許容可能な接着性がなくては、コーティングは耐摩耗性を示さない。
【0051】
【表1】

ハードコートの全固体量に基づいた重量パーセント。
Nanocryl 140、Hanse Chemieより市販されている。
フリーラジカル光開始剤、Ciba Specialty Chemicals Corporationより市販されている。
コーティングの外観は、UV硬化後に評価された。
初期透過度はHunter Lab分光光度計により測定した。
接着性:クロスハッチ、Nichibon LP−24接着テープ。接着尺度は0〜5(テープを引き剥がした後、接着なし〜100%接着)。
テーバー磨耗性:テーバー5150磨耗試験機,CS−10ホイール、500重量グラム。ヘーズ%は300テーバーサイクル後に測定した。
300テーバーサイクル後にヘーズが<7%の場合、サンプルに対して追加の200磨耗サイクルを実施し、全体で500磨耗サイクルを完了した。
耐摩耗性に必要な値は、300テーバーサイクル後に<7%ヘーズである。
【0052】
前述の説明において開示した概念から逸脱することなく、本発明に対して改変を行われ得る、ということが当業者によって容易に理解される。そのような改変は、特許請求の範囲に、その言語によって、別に特に明言されていない限り、添付の特許請求の範囲内に含まれると見なされるべきである。したがって、本明細書に詳細に説明した特定の実施形態は、例示的であるだけであり、添付の特許請求の範囲の全範囲およびそのあらゆる均等物に与えられる本発明の範囲を限定しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング組成物であって、:
(a)一般式RM(OR’)z−xのアルコキシド(式中、Rは有機基であり、Mはケイ素、アルミニウム、チタン、および/またはジルコニウムであり、各R’は、独立して、アルキル基であり、zはMの原子価であり、xはz未満の数値であり、かつゼロであり得る);および
(b)シリカナノ粒子および重合可能な(メタ)アクリレート結合剤を含むシリカゾルを含み、
該重合可能な(メタ)アクリレート結合剤は、該コーティング組成物が硬化されてハードコートを形成した後に実質的に架橋されないままである、コーティング組成物。
【請求項2】
前記アルコキシドが、グリシドキシ[(C〜C)アルキル]トリ(C〜C)アルコキシシランモノマーおよびテトラ(C〜C)アルコキシシランモノマーの組み合わせを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記グリシドキシ[(C〜C)アルキル]トリ(C〜C)アルコキシシランモノマーが、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含む、請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記テトラ(C〜C)アルコキシシランモノマーが、テトラメトキシシランおよび/またはテトラエトキシシランを含む、請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記シリカナノ粒子が、100ナノメートル以下の平均一次粒径を有する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記重合可能な(メタ)アクリレート結合剤が、ヘキサンジオールジアクリレートを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
触媒をさらに含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
前記触媒が、酸性物質、および/または化学線に曝されると酸を生成する物質を含む、請求項7に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
化学線に曝されると酸を生成する前記物質が、カチオン性光開始剤を含む、請求項8に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
請求項1に記載のコーティング組成物であって、前記シリカゾルの一部として該コーティング組成物に導入される材料を除いて、該組成物が、フリーラジカル重合可能な材料を実質的に含まない、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
前記組成物が、フリーラジカル重合開始剤を実質的に含まない、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
請求項1に記載のコーティング組成物から堆積されるハードコートで少なくとも部分的にコーティングされたプラスチック基材。
【請求項13】
前記基材がポリカーボネートである、請求項12に記載のプラスチック基材。
【請求項14】
前記基材が、プライマー層を伴わない、請求項13に記載のプラスチック基材。
【請求項15】
コーティング組成物から堆積されるハードコートで少なくとも部分的にコーティングされた物品であって、該コーティング組成物が以下:
(a)一般式RM(OR’)z−xのアルコキシド(式中、Rは有機基であり、Mはケイ素、アルミニウム、チタン、および/またはジルコニウムであり、各R’は、独立して、アルキル基であり、zはMの原子価であり、xはz未満の数値であり、かつゼロであり得る);および
(b)シリカナノ粒子および重合可能な(メタ)アクリレート結合剤を含むシリカゾルを含み、
該重合可能な(メタ)アクリレート結合剤は、実質的に架橋していない、物品。
【請求項16】
プラスチック基材の少なくとも一部の上にハードコートを堆積するための方法であって、
以下:
(a)一般式RM(OR’)z−xのアルコキシド(式中、Rは有機基であり、Mはケイ素、アルミニウム、チタン、および/またはジルコニウムであり、各R’は、独立して、アルキル基であり、zはMの原子価であり、xはz未満の数値であり、かつゼロであり得る)を少なくとも部分的に加水分解する工程、および
(b)シリカナノ粒子および重合可能な(メタ)アクリレート結合剤を含むシリカゾルを少なくとも部分的に加水分解されたアルコキシドに加えてコーティング組成物を形成する工程、
(c)該基材の少なくとも一部の上に該コーティング組成物を堆積する工程、および
(d)該コーティング組成物を硬化する工程を含み、
該重合可能な(メタ)アクリレート結合剤は、工程(d)の後に実質的に架橋されないままである、方法。
【請求項17】
コーティング組成物の接着性および耐摩耗性を改善するための方法であって、該方法は、該コーティング組成物中にシリカナノ粒子および重合可能な(メタ)アクリレート結合剤を含むシリカゾルを含む工程を含み、ここで該重合可能な(メタ)アクリレート結合剤は、該コーティング組成物が硬化されてハードコートを形成した後に実質的に架橋されないままである、方法。

【公表番号】特表2009−532561(P2009−532561A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504214(P2009−504214)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/007883
【国際公開番号】WO2008/060321
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ インコーポレーテツド (267)
【Fターム(参考)】