説明

耐摩耗性光学層及び成形体

【課題】組成物は、表面上に、活性水素又はその前駆体、特にヒドロキシル基及び/又はエポキシ基を有する基を持つ有機基を有する表面改質ナノスケール固体粒子、及びイソシアネート基がブロックされ得るイソシアネートの少なくとも1種を含むと記載される。
【解決手段】該組成物によって得ることが可能な成形体又は被覆基材は、高い透明性及び高い耐摩耗性(attrition resistance)を示し、従って、特に光学用途に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性水素又はその前駆体を有する基、好ましくはヒドロキシル基及び/又はエポキシ基を持つ表面改質ナノスケール固体粒子、ならびに必要に応じてブロックされた少なくとも1種のイソシアネート化合物を含む組成物、ならびにこれらの組成物から作製され得、硬化されてウレタン結合又は対応する結合を形成する、コーティング及び成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
光学部品用の高い光学的透明性を有する耐摩耗性層又は光学部品上の透明性の高い層は、研究の重要な分野となった。ゾルゲル法に基づいたナノコンポジットコーティング(ここで、オルガノシランは、ナノ粒子と共に共縮合(cocondensed)され、硬い層を形成する)が、重要であることが見出された。重合可能な基(メタクリレート又はエポキシド)を含むシランが使用される場合、そのような層は、UV硬化性および光構造性(photostructurable)であり得る。しかしながら、そのようなコーティングの欠点は、UV安定性の欠如であり、また高い脆性に関連した不十分な耐引掻性である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的は、高い透明性を有し、加えて高い耐摩耗性を示すコーティング又は成形体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くべきことに、本発明の目的は、表面上に、活性水素又はその前駆体を有する基、好ましくはヒドロキシル基及び/又はエポキシ基を持つ有機基を有する表面改質ナノスケール固体粒子、ならびにイソシアネート基がブロックされ得る少なくとも1種のイソシアネートを含む組成物によって達成される。
【0005】
この組成物の硬化は、例えば、レンズ及び他の光学的成形体のコーティングに使用することができる、高い光学的品質の層又は成形体を形成する。驚くべきことに、摩耗試験は、本発明によって使用されるナノスケール固体粒子を有さない同程度のポリウレタンと比べ、そのような層が、20倍まで改善された耐摩耗性を有することを示した。例えば、ナノ粒子を有さない従来のポリウレタンは、標準Taber試験により、およそ40mg重量損失の耐摩耗性を生じる一方、本発明のナノ粒子含有ポリウレタン層は、標準Taber摩耗試験機試験により、2mgまでの耐摩耗性を示す。
【0006】
該組成物は、表面改質されたナノスケール固体粒子を含む。以下にナノ粒子とも呼ばれるナノスケール固体粒子は、例えば、プラスチックから作製された有機粒子であってもよいが、好ましくは無機ナノ粒子である。ナノ粒子は、好ましくは、合金、金属化合物、特に金属カルコゲニド、より好ましくは酸化物及び硫化物ならびに半導体化合物を包含する金属で作られる。1つのタイプのナノスケール固体粒子、又は異なるナノスケール固体粒子の混合物を使用することが可能である。
【0007】
金属ナノ粒子の例は、銅、銀、金、プラチナ、パラジウム、ニッケル、クロム及びチタン、また、これらの金属を含む合金、例えば(ステンレス)鋼、真鍮及びブロンズで作られたものである。
【0008】
半導体特性を有し得るナノ粒子の例は、シリコン又はゲルマニウムで作られたものである。加えて、下記の金属化合物のうちのいくつか、例えば主族(main group)III及びV(例えば、GaAs又はInP)、遷移族(transition group)II及び主族VI(例えば、O、S、Se又はTeを有する、Zn又はCdの化合物)又は混合酸化物(例えば、インジウムスズオキサイド(ITO)、アンチモンスズオキサイド(ATO)又はフッ素ドープされたスズ酸化物(FTO)等の金属スズオキサイド)の元素の化合物)は、半導体特性を有し得る。半導体特性を有する材料は、当業者に公知であり、以下の記載において例を見出すことも可能である。
【0009】
ナノスケール無機固体粒子は、あらゆる金属化合物で作られることができ、ここで金属は、シリコン及びホウ素を含む。例としては、ZnO、CdO、SiO、GeO、TiO、ZrO、CeO、SnO、Al(特に、ベーマイト、AlO(OH)、さらに水酸化アルミニウムの形態)、B、In、La、Fe、Fe、CuO、Ta、Nb、V、MoO又はWO等の(必要に応じて水和された)酸化物;さらに、例えば、硫化物(例えば、CdS、ZnS、PbS及びAgS)、セレン化物(例えば、GaSe、CdSe及びZnSe)及びテルル化物(例えば、ZnTe又はCdTe)等のカルコゲニド;AgCl、AgBr、AgI、CuCl、CuBr、CdI及びPbI等のハロゲン化物;CdC又はSiC等のカーバイド;AlAs、GaAs及びGeAs等のヒ化物;InSb等のアンチモン化物;BN、AlN、Si及びTi等の窒化物;GaP、InP、Zn及びCd等のリン化物;リン酸塩、ケイ酸塩、ジルコン酸塩、アルミン酸塩、スズ酸塩及び対応する混合酸化物(Y−又はEu−含有合成物を有する発光顔料、スピネル、フェライト又はBaTiOとPbTiO等のペロブスカイト構造を有する混合酸化物)である。
【0010】
ナノスケール無機固体微粒子は、好ましくはSi、Ge、Al、B、Zn、Cd、Ti、Zr、Ce、Sn、In、La、Fe、Cu、Ta、Nb、V、Mo又はW、より好ましくはSi、Al、B、Ti及びZrの酸化物又はオキシドヒドレート(oxide hydrate)である。特に好ましくは、酸化物又はオキシドヒドレートを使用することである。好ましいナノスケール無機固体粒子は、SiO、Al、ITO、ATO、AlOOH、Ta、ZrO、及びTiO、特に好ましくはSiOである。
【0011】
これらのナノスケール粒子は、例えば、炎熱分解、プラズマ法、コロイド技術、ゾルゲル法、制御された核形成及び成長法(controlled nucleation and growth process)、MOCVD法及びエマルジョン法の従来の方法によって製造され得る。これらの方法は、文献に包括的に記載される。ゾルゲル法は、下記に詳細に説明される。
【0012】
粒子は、粉末形態又は分散剤中のディスパージョンとして直接使用され得る。商業的に入手可能なディスパージョンの例は、Bayer AG(Levasils(登録商標))の水性シリカゾル、また日産ケミカルズのコロイダルオルガノゾル(IPA-ST、MA-ST、MEK-ST、MIBK-ST)である。入手可能な粉末は、例えば、Degussa(Aerosil製品)の熱分解法シリカである。
【0013】
ナノスケール固体粒子は、(容量平均、測定:可能な場合、X線、そうでなければ、(超微粒子アナライザ(UPA)を用いた)動的光散乱)1μm未満、通常500nm未満の平均粒径を有する。ナノスケール固体粒子は、好ましくは300nm以下、好ましくは200nm以下及び特に50nm以下、ならびに1nm超及び好ましくは2nm超、例えば、1〜20nmの平均粒径を有する。この材料は粉末形態で使用され得るが、ゾル又は懸濁液の形態で使用されるのが好ましい。
【0014】
本発明によって使用されるナノスケール固体粒子は、有機表面基によって改質された固体粒子であり、該有機表面基は、活性水素又はその前駆体を有する基であり、特に、ヒドロキシル基及び/又はエポキシ基である。ナノスケール固体粒子の表面改質は、例えば、WO93/21127(DE4212633)、WO96/31572又はWO98/51747(DE19746885)において本出願人によって記載されるように、公知の方法である。ナノスケール固体粒子及びその表面改質に関し、これらの文献の全てが参照される。
【0015】
表面改質ナノスケール粒子の製造は、原理上、2つの異なる方法、第1は、すでに製造されたナノスケール固体粒子を表面改質することにより、第2は、表面改質に適切な部分(moieties)を有する1以上の化合物を使用するこれらのナノスケール固体粒子の製造によって行われることが可能である。これらの2つのルートは、上述の特許出願に詳細に示される。
【0016】
好適な表面改質剤は、特に既存のナノスケール粒子の表面改質に対し、ナノスケール固体粒子の表面上に存在する反応性基(reactive group)(付着基)(attachment group)と反応するか、又は少なくとも相互作用し得る1以上の基を有し、第2に、活性水素又はその前駆体、特に少なくとも1つのヒドロキシル基又はエポキシ基を有する基を少なくとも1つの基を持つ、全ての(好ましくは低分子量の)表面改質剤としての化合物である。例えば、ナノ粒子上に存在する表面基は、例えば金属酸化物の場合ヒドロキシル基及びオキシ基、例えば金属硫化物の場合チオール基及びチオ基であり、あるいは例えば窒化物の場合アミノ基、アミド基及びイミド基等の残留原子価(residual valence)としての反応性基である。
【0017】
例えば、溶剤中及び触媒の存在下において適切であれば、以下に示される好適な表面改質剤とナノスケール粒子を混合することにより、ナノスケール粒子を表面改質することができる。表面改質剤がシランの場合、改質するために、例えば、数時間室温でナノスケール粒子と攪拌すれば充分である。もちろん、温度、量的比率、反応の持続時間等の適切な条件は、各ケースの特定の反応物及び所望の被覆度に依存する。
【0018】
表面改質剤は、例えば、ナノスケール固体粒子の表面に対し、共有結合又はイオン(塩様)結合、あるいは配位結合のいずれかを形成することができる一方、純粋な相互作用のうち、双極子間相互作用、水素結合及びファンデルワールス相互作用が例として挙げられる。共有結合、イオン結合及び/又は配位結合が好ましい。配位結合は、錯形成(complex formation)を意味すると理解される。表面改質剤と粒子の間で、ブレンステッド又はルイス酸/塩基反応、錯形成或いはエステル化が起こり得る。
【0019】
また、本発明によれば、表面改質剤が比較的低い分子量を持っていることが好ましい。例えば、分子量は、1500未満、特に1000未満及び好ましくは500未満又は400未満、さらに300未満である。これは、もちろん明らかに高分子量の化合物(例えば2000まで又はそれより多い)を除外するものではない。
【0020】
さらに、表面改質剤は、特に、活性水素又はその前駆体を有する官能基を持つ。イソシアネートは、活性水素を有する基と反応し得ることが知られている。表面改質剤によるナノ粒子へのH−活性基又はその前駆体の結合は、硬化におけるナノ粒子とイソシアネート間の架橋反応を可能にする。
【0021】
活性水素を有する基は、好ましくはヒドロキシル基(OH)、チオール基(−SH)、アミノ基(NHR’、ここでR’は、例えばH、アルキル、特にC1−4−アルキル、シクロアルキル(例えば、シクロヘキサニル)、アリール、特にフェニル及びナフチル等のC6−10−アリール、ならびにトリル及びベンジル等の対応するアラルキル基及びアルカリール基)、あるいはカルボキシル基(−COOH)である。イソシアネートとの反応で形成された反応生成物は、ウレタン(ヒドロキシル及びカルボキシルの場合)、チオウレタン(チオールの場合)又は尿素(アミンの場合)である。
【0022】
活性水素を有する基の前駆体は、ここでは、硬化の前又は硬化中に、組成物中において活性水素を有する基に変換され得る基を指す。これらの前駆体の重要な代表例は、エポキシ基及び無水カルボン酸基であり、それは、例えば、加水分解の反応によってヒドロキシル基及びカルボキシル基にそれぞれ変換され得る。ヒドロキシル基へのエポキシ基の変換は、より詳細に以下に説明される。
【0023】
活性水素を有する基又は前駆体を有する有機基によって表面改質を調製するために好適な表面改質剤は、ナノ粒子に対して結合するための結合基を有する表面改質剤であり、それは、もちろんナノ粒子の化学的性質によって選択されるべきである。さらに、表面改質剤は、官能基として、活性水素又はその前駆体を有する少なくとも1つの基を持つ。
【0024】
特に好ましく使用されるエポキシ基は、組成物中においてヒドロキシル基に変換され得る前駆体であり、すなわち、組成物中において、硬化の前又は硬化中に、硬化工程において進行するウレタン結合形成に利用可能にするため、エポキシ基はヒドロキシル基に変換され得る。例えば、加水分解によって、その変換を達成することができる。この目的のために、例えば、活性水素原子を有する水又は他の化合物、適切であるならば、触媒(例えば、酸又は塩基)が組成物中に存在し得る。エポキシ基が存在するならば、特に硬化前又は硬化中に、その後、イソシアネートとの反応でウレタン結合を形成し得るヒドロキシル基に変換される。エポキシ基のヒドロキシ基への変換は、例えば、表面改質が行われた直後、あるいは単に硬化の直前又は硬化中、例えば、基材に組成物が塗布された後又は金型に導入された後に行われ得る。例えば、加熱することによって、ヒドロキシル基への変換を開始できる。当業者は、変換のための手段に精通しており、変換が所望の時間で起こるように条件を選択することができる。また、他の前駆体、特にカルボキシル基のための前駆体としての無水物基に対して、同じことが当てはまる。
【0025】
改質剤が含む結合基は、例えばカルボン酸基、酸塩化物基、エステル基、ニトリル基及びイソニトリル基、OH基、SH基、エポキシ基、無水物基、アミド基、第1級、第2級及び第3級アミノ基、Si−OH基、シランの加水分解性残基(以下に示されるSiX基)又はβ−ジカルボニル化合物のようなC−H−酸性部分(acidic moieties)である。使用される結合基は、例えば、カルボン酸基、及び特にシランの加水分解性基であり、結合基は、もちろん使用されるナノ粒子の特性によって選択される。
【0026】
好ましい表面改質剤は、加水分解性シランであり、その結果ナノスケール固体粒子が、好ましくは、非加水分解性置換基上に活性水素又はその前駆体、好ましくはエポキシ基又はヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、あるいはカルボキシル基又は無水カルボン酸基、を有する基を持つ加水分解性シランによって表面改質される。
【0027】
従って、好ましい表面改質剤は、エポキシシラン及び少なくとも1つのヒドロキシル基を有するシランである。ヒドロキシル基を有するシランは、エステル交換によって縮合する傾向にあるため、しばしばあまり安定ではなく、エポキシシランの使用が好ましい。従って、好ましい実施態様においては、ヒドロキシル基又はエポキシ基を有する有機基は、非加水分解性の置換基上にエポキシド基を有するシランによる表面改質から誘導される。
【0028】
シランは、好ましくは下記一般式の1以上のシランである。
Rh(R)SiX(3−b) (I)
式中、Rh基は、エポキシ基又はヒドロキシル基を有する非加水分解性の置換基を表し、R基は、同一又は異なって、それぞれ非加水分解性置換基であり、X基は、同一又は異なって、それぞれ加水分解性基又はヒドロキシル基であり、bは0、1又は2である。値bは、好ましくは0、すなわち、式RhSiXのシランが好ましい。
【0029】
一般式(I)において、互いに同一又は異なり得る加水分解性X基は、例えば、水素、ヒドロキシル又はハロゲン(F、Cl、Br又はI)、アルコキシ(好ましくは、C1−6−アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ及びブトキシ)、アリールオキシ(好ましくは、C6−10アリールオキシ、例えば、フェノキシ)、アシルオキシ(好ましくは、C1−6−アシルオキシ、例えば、アセトキシ又はプロピオニルオキシ)、アルキルカルボニル(好ましくは、C2−7−アルキルカルボニル、例えば、アセチル)、アミノ、好ましくは1〜12、特に1〜6の炭素原子を有するモノアルキルアミノ又はジアルキルアミノである。好ましい加水分解性基は、ハロゲン、アルコキシ基及びアシルオキシ基である。特に好ましい加水分解性基は、C1−4−アルコキシ基、特にメトキシ及びエトキシである。
【0030】
非加水分解性R基は、官能基を有する非加水分解性R基、又はそのような官能基を有さない非加水分解性R基である。上記のように、R基は、これらのシラン中に存在しない方が好ましい。それが存在する場合は、官能基を有さないのが好ましい。
【0031】
式(I)の非加水分解性R基は、例えば、アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル等のC1−20−アルキル、特にC1−4−アルキル)、アルケニル(例えば、ビニル、1−プロペニル及び2−プロペニル等のC2−20−アルケニル、特にC2−6−アルケニル)、アルキニル(例えば、アセチレニル又はプロパルギル等のC2−20−アルキニル、特にC2−4−アルキニル)、アリール(例、フェニル及びナフチル等の特にC6−10−アリール)、及びトリル及びベンジル等の対応するアラルキル基及びアルカリール基、ならびにシクロプロピル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等のサイクリックC3−12−アルキル基及びアルケニル基である。R及びX基は、それぞれ必要に応じて、1以上の典型的な置換基、例えば、ハロゲン又はアルコキシを有し得る。
【0032】
官能基を有する非加水分解性R基は、例えば、官能基として、エーテル、ジアルキルアミノ、必要に応じて置換されたアニリン、アミド、アクリロイル、アクリロイルオキシ、メタクリロイル、メタクリロイルオキシ、シアノ、アルコキシ、アルデヒド、アルキルカルボニル及びリン酸基を含み得る。これらの官能基は、酸素又は−NH−基(Hは、アルキル基によっても置換され得る)によって割り込まれ(interrupt)得る、アルキレン、アルケニレン又はアリーレン架橋基を介してシリコン原子と結合する。架橋基は、好ましくは1〜18、好ましくは1〜8、特に1〜6の炭素原子を含む。
【0033】
上記の二価の架橋基及び存在するあらゆる置換基は、アルキルアミノ基の場合のように、例えば、上述の1価のアルキル、アルケニル又はアリール基に由来する。R基は、もちろん1以上の官能基をも有し得る。
【0034】
Rh基は、エポキシ基又はヒドロキシル基を有する、非加水分解性置換基である。RhはR基に相当し、官能基はエポキシ又はヒドロキシル基であり、Rに対し上記に定義された全てのものは、同様に適用される。エポキシ基を有する非加水分解性Rh基の好ましい例は、β−グリシジルオキシエチル、γ−グリシジルオキシプロピル、δ−グリシジルオキシブチル、ε−グリシジルオキシペンチル、ω−グリシジルオキシヘキシル、エポキシブチル、エポキシプロピル及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチル等のエポキシ−又はグリシジルオキシ−(C1−20)−アルキル基、あるいはヒドロキシル−(C1−20)−アルキル基であり、ここで、アルキル基は、必要に応じて置換されたアミノ基によって割り込まれ得る。特にγ−グリシジルオキシプロピルが好ましい。
【0035】
好ましい化合物は、γ−グリシジルオキシアルキルトリアルコキシシラン、エポキシアルキルトリ(メ)エトキシシラン又は2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アルキルトリ(メ)エトキシシラン((メ)エトキシ=メトキシ又はエトキシ)、ここで、アルキル基は、2〜6の炭素原子を有し得る。対応するシランの具体例は、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPT)、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(GPTES)、3,4−エポキシブチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、ビス(ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン及びN−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノプロピルトリエトキシシランである。本発明に従う特に好適な式(I)のシランは、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)及びγ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(GPTES)である。
【0036】
アミノ、チオあるいはカルボキシル又は無水カルボン酸基を導入するための対応する方法において好適なものは、下記一般式の1以上のシランである:
Ra(R)SiX(3−b) (Ia)
式中、Ra基はアミノ(例えば、上記−NHR’基)、チオあるいはカルボキシル又は無水カルボン酸基を有する非加水分解性置換基を表し、R、X及びbは、それぞれ式(I)において定義される通りである。Raは、式(I)のR基に対応し、官能基は、アミノ、チオあるいはカルボキシル又は無水カルボン酸基であり、式(I)においてRに対して定義された全てのものが、同様に適用される。
【0037】
アミノシランの具体例は、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミド、N−(6−アミノヘキシル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェニルエチルトリメトキシシラン及びアミノフェニルトリメトキシシランである。
【0038】
チオシラン(メルカプトシラン)の具体例は、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、1,2−ジメルカプトエチルトリメトキシシラン及びp−メルカプトフェニルトリメトキシシランである。例えば、ここに参照されるDE−A−40 25 866において、さらなる例が見出され得る。
【0039】
無水物基は、無水コハク酸、無水マレイン酸又は無水フタル酸等のカルボン酸無水物由来の基であり得、前記基、特にC−Cアルキレンの1つを介してシリコン原子に結合する。[3−(トリエトキシシリル)プロピル]無水コハク酸、(ジヒドロ−3−(3−トリエトキシシリル)プロピル)−2,5−フランジオン及び[3−(トリメトキシシリル)プロピル]無水コハク酸が例示される。
【0040】
例えば、参照されるDE−A−100 54 248又はWO01/40394(DE−A−199 58 336)において、エポキシシラン、アミノシラン、メルカプトシラン及びカルボキシルシラン又はカルボン酸無水物シランのさらなる例が見出され得る。
【0041】
活性水素又は前駆体を有する基を持つ有機基は、活性水素又は前駆体を有する少なくとも1つの基を含む;好ましい実施態様において、表面改質は、活性水素又は前駆体を有する1を超える基を含む有機基を生じる。例えば、エポキシシランが1つの加水分解性基によってナノ粒子上に縮合され、そしてさらなる加水分解性基によって第二のエポキシシランと共に縮合された場合、活性水素を有する少なくとも2つの基を持つそのような有機基が生じる。2以上のエポキシ基又は変換の後に2以上のヒドロキシル基が、1つの有機基上で得られるように、この反応はさらに進むことが可能である。また、これに関連し、この好ましい実施態様において、ナノ粒子上のポリオール、ポリチオール、ポリアミン又はポリカルボキシル基、あるいはその前駆体を参照することが可能である。もちろん、活性水素を有する異なる基を持つナノ粒子が、その結果、例えば、アミノ基及びヒドロキシル基を有する有機基になる場合、2つの異なる官能基を有する表面改質剤又は異なる表面改質剤の混合物の使用が可能である。
【0042】
他の実施態様において、ナノ粒子は、まず、ナノ粒子の表面上に新た官能基を形成する第1表面改質を受け、それにより、活性水素又はその前駆体を有する基を持つ有機基が、第2表面改質剤に結合され得る。この方法において、活性水素又はその前駆体、特に、ヒドロキシル基又はエポキシ基を有する基は、間接的にナノ粒子に適用(applied)され、そして2層構造が得られる。この追加の処理は、高い多様性を可能にする。従って、例えば、活性水素又はその前駆体を有する基を持つ表面改質剤を結合させることが可能であり、前記表面改質剤は、特定の関係(specific interest)の非改質ナノ粒子に対する結合基を有さないが、第1表面改質剤によって適用された官能基を介して結合可能である。例えば、官能基として、第1表面改質剤によってカルボン酸基を表面に導入することができ、その後、第2表面改質剤としてポリオールと反応することが可能である。
【0043】
第1及び第2表面改質剤による表面改質は、上記の全てが同様に適用できるように、上記の直接表面修飾と全く同じ方法で達成される。活性水素を有する基を持つ(第2)表面改質剤は、上記のものである。好適な第1表面改質剤は、二官能性化合物であり、その1つの官能基は、ナノ粒子への結合基としてはたらき、第2の官能基は、第2表面改質剤への結合のためにはたらく。ナノ粒子に対する好適な結合基、分子量及び結合タイプの例は、上記の活性水素又はその前駆体を有する基を持つ有機基による表面改質のための表面改質剤と同一である。また、官能基は、結合基、官能基及び同一又は異なる結合基に対して記載された基から選択され得る。
【0044】
他の実施態様において使用される第1表面改質剤の例は、直接結合に対して既に記載された改質剤であるが、もちろん、官能基として、活性水素又はその前駆体を有する基を持たない表面改質剤を使用することもできる。その例は、不飽和カルボン酸、β−ジカルボニル化合物(例えば、β−ジケトン又はβ−カルボニルカルボン酸)、エチレン性(ethylenically)不飽和アミン又はアミノ酸等のさらなる官能基を有するアミンである。これらの改質剤及び以下の改質剤は、もちろん、活性水素を有する基又は前駆体の直接結合にも、これらの基を有する場合には、使用され得る。
【0045】
表面改質に使用される化合物の例は、例えば、1〜12炭素原子を有する飽和又は不飽和モノ−及びポリカルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、シュウ酸、マレイン酸及びフマル酸)、ならびにそれらの無水物、エステル(好ましくはC−C−アルキルエステル)及びアミドである。
【0046】
さらに好適な表面改質剤の例は、式NR4+の第四級アンモニウム塩であり、式中、R〜Rはそれぞれ同一又は異なって、好ましくは1〜12、特に1〜8の炭素原子を有する脂肪族、芳香族又は脂環式基であり、例えば、1〜12、特に、1〜8及びより好ましくは1〜6の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−及びi−プロピル、ブチル又はヘキシル)であり、Xは無機又は有機アニオン(例えば、アセテート、OH、Cl、Br又はI);モノ−及びポリアミン、特に一般式R’3−nNHのものであり、式中、n=0、1又は2、ならびにR’基は、それぞれ独立して1〜12、特に1〜8、より好ましくは1〜6の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−及びi−プロピル、ブチル又はヘキシル)、ならびにエチレンポリアミン(例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等);アミノ酸;イミン;4〜12、特に5〜8の炭素原子を有するβ−ジカルボニル化合物、例えば、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、アセト酢酸及びC−C−アルキルアセトアセテート;ならびに、シラン、例えば、少なくとも1つの上記式(I)又は下記式(II)及び(III)の非加水分解性基を有する加水分解性シラン、官能基を有する非加水分解性基である。
【0047】
また、該組成物は、イソシアネートを含む。それは、当業者に公知の従来のイソシアネートであり得る。イソシアネートは、1、2以上のイソシアネート基;又は好ましくは、少なくとも2つのイソシアネート基を有し得る。イソシアネートは、例えば、脂肪族、脂環式、芳香族、あるいは複素環式、単環式又は多環式であり得る。
【0048】
イソシアネートは、表面改質されたナノ粒子を架橋するためにはたらく。イソシアネートは、制御されていない迅速な反応が始まるのを防ぐために、ブロックされた形態で好ましく使用される。例えば加熱による、選択的な脱ブロックは、ポリウレタンを与えるように、活性H(例えばヒドロキシル官能基(function))を有する基をイソシアネート官能基と選択的に架橋を行うために使用され得る。
【0049】
イソシアネートのブロッキングは、当業者に公知のイソシアネートの反応性を可逆的に低下させる方法である。イソシアネートをブロックするために、全ての一般的なブロッキング剤、例えば、アセトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、メチルエチルケトオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム、3,5−ジメチルピラゾール、1,2,4−トリアゾール、エチルマロネート、エチルアセトアセテート、ε−カプロラクタム、フェノール、エタノールが有用であり、本発明によれば、好ましくは1,2,4−トリアゾールである。ブロッキング剤を溶解させること及びイソシアネートを添加することによって、溶媒なしでブロッキングを達成できるが、室温にて溶媒を用い、触媒の添加によっても達成できる。この目的に好適である非プロトン性溶媒は、例えば、アセトン、ジオキサン、エチルアセテート、ブチルアセテート又はトルエンである。
【0050】
イソシアネートは、イソシアナートシラン又は通常、有機ポリイソシアネートである。それらは、イソシアナートシランであることが好ましい。イソシアネートシランは、特に、非加水分解性基上にイソシアネート基を有する加水分解性シラン、又はその縮合物である。モノマー(monomeric)イソシアネートシランが使用された場合、組成物中において、in situで二官能性又は多官能性縮合物を形成することが可能である。
【0051】
イソシアンネートシランもまた、好ましくはブロックされた形態で使用される。縮合物は、好ましくは、モノマーイソシアネートシランから、上記のゾルゲル法によって調製される。縮合物形成において副反応が起こることを防ぐため、しばしば出発モノマーをブロックした方がよく、実質的に必要である。
【0052】
イソシアナートシランは、好ましくは下記一般式の1以上のシランである:
Ri(R)SiX(3−b) (II)
式中、Ri基は、イソシアネート基を有する非加水分解性置換基を表し、R基は、同一又は異なって、他の非加水分解性置換基であり、X基は、同一又は異なって、加水分解性基又はヒドロキシル基であり、bは、0、1又は2、あるいはこれらのイソシアナートシランに基づく縮合物である。置換基RおよびXは、それぞれ、式(I)において定義され、Rは好ましくは官能基を有さない非加水分解性置換基であり、より好ましくは1〜10の炭素原子を有するアルキル基であり、Xは好ましくは1〜10の炭素原子を有するアルコキシ基であり、好ましくはメトキシ又はエトキシである。
【0053】
Riは、R基に対応し、官能基はイソシアネート基であり、Rに対して上記に定義されたすべてのものが対応して適用される。イソシアネート基を有する非加水分解性Ri基の好ましい例は、イソシアナート−(C1−12)−アルキル基(例えば、3−イソシアナートプロピル基)である。対応するシランの具体例は、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン及び3−イソシアナートプロピルジメチルクロロシランである。
【0054】
有機イソシアネートは、通常、ポリイソシアネート、例えば、モノマーポリイソシアネート、ポリイソシアネート付加物、いわゆる改質ポリイソシアネート又はその混合物である。ポリイソシアネートは、好ましくは、少なくとも2つのイソシアネート基を含む。これらは、当業者に公知であって、商業的に入手可能であり、例えば、G. Oertel, Polyurethane Handbook, Hanser-Verlag 1993 及び”Methoden der organishen Chemie” [Methods of organic chemistry] (Houben-Weyl), Vol. 14/2, Thieme Verlag, 1963において記載されている。該付加物は、例えば、2〜6、好ましくは2.4〜4の平均NCO官能性(mean NCO functionality)を有し得る。モノマーポリイソシアネート及びポリイソシアネート付加物の混合物は、上記範囲内の平均官能性を生じる。
【0055】
ポリイソシアネート付加物は、例えば、通常、二成分ウレタンコーティング用の硬化剤としての使用を見出すものであり、“Lackharze: Chemie, Eigenschaften und Anwendungen” [Coating resins: chemistry, properties and applications], EdsD. Stoye, W. Freitag, Hanser Verlag Munich, Vienna, 1996に記載されている。これらのポリイソシアネート付加物は、好ましくは、イソシアヌレート、ビウレット、アロファネート及び/又はウレトジオン基を含み、例えば、2〜6の平均NCO官能性及び例えば5〜30重量%のNCO含有率(content)を有する。さらに、ポリイソシアネートは、モノマーポリイソシアネート及び/又は例えば、ウレタン、カルボジイミド及び/又はイミノキサジアジンジオン構造を有する他のポリイソシアネート付加物を含み得る。それらは、例えば、3〜4の平均NCO官能性及び15〜25重量%のNCO含有率を有するヘキサメチレン1,6−ジイソシアネートの三量体(イソシアヌレート)であり得る。
【0056】
モノマーポリイソシアネートは、2以上のイソシアネート基を含むイソシアネートであり、好ましくは、2つのイソシアネート基を有するものである。3以上のイソシアネート基を含むモノマーイソシアネートの例は、4−イソシアナートメチルオクタン 1,8−ジイソシアネート及びトリフェニルメタン 4,4’4’’−トリイソシアネート又はポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネートである。
【0057】
2つのイソシアネート基を含むモノマーイソシアネートは、通常、一般式Z(NCO)によって示され、式中、Zは例えば50〜1000、好ましくは70〜320の分子量を有する二官能性有機基である。好ましくはジイソシアネートであり、ここで、Zは二官能性C−C40炭化水素基、好ましくは二官能性脂肪族C−C18基、二官能性脂環式C−C15基、二官能性アラリファティック(araliphatic)C−C15基又は二官能性芳香族C−C15基である。
【0058】
好適なイソシアネートの例は、ポリウレタン化学より公知のジイソシアネートであり、例えば、1,3−ジイソシアナートベンゼン、トリレン2,4−及び2,6−ジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HMDI)、ジフェニルメタン4,4’−及び2,4−ジイソシアネート(MDI)、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、パラフェニルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、ポリメチルポリフェニルイソシアネート、ドデカメチレン1,6−ジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアナートシクロヘキシル)メタン、ペンタメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネートであり、例えば、イソシアヌレート、ウレトジオン、アロファネート及びビウレットに基づくこれらのジイソシアネート由来のより大きい分子量のポリイソシアネートである。イソシアネートは、例えば、Desmodur(登録商標)及びBaymidur(登録商標)(Bayerより)、CARADATE(登録商標)(Shellより)、TEDIMON(登録商標)(Enichemより)及びLUPRANAT(登録商標)(BASFより)の商品名のもと、入手可能である。
【0059】
(表面改質されていない)ナノ粒子は、組成物の固形分に基づいて、組成物中に1〜40重量%、好ましくは10〜30重量%の割合で存在し得る。ナノ粒子/表面改質剤の重量比は、一般に、1:1〜1:7、好ましくは1:1〜1:2である。(必要に応じてブロックされた)イソシアネート基/活性水素(特にヒドロキシル基)を有する基のモル比は、一般に、例えば、1/9〜8/2;好ましくは、この比は、反応性の基に対しておおまかに、化学量論比(stoichiometric ratio)が存在するように選択される(NCO/活性H、例えば、NCO/OH、およそ1、例えば0.9〜1.1)。
【0060】
組成物は、目的及び所望の特性により、産業においてコーティング組成物又は成形体用組成物に通常添加されるさらなる添加剤を含み得る。具体例としては、チキソトロープ剤、溶媒又は分散剤、他のマトリクス形成成分、ポリオール、有機及び無機有色顔料(ナノスケール範囲に含まれる)、例えば、光学的機能のキャリアとしての金属コロイド、染料、UV吸収剤、滑剤、レベリング剤、湿潤剤、接着促進剤及び触媒である。
【0061】
使用される溶媒(分散剤)は、例えば、コーティングに通常使用される溶媒である。特に好ましい溶媒は、水、特に脱イオン水である。好適な有機溶媒は、極性及び非極性の両方、ならびに非プロトン性溶媒である。その例としては、アルコール、好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、i−プロパノール及び1−ブタノール等の低級脂肪族アルコール(C1−C8アルコール)、ケトン、好ましくはアセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等の脂肪族ケトン、2−メトキシプロピルアセテート、ブチルアセテート及びエチルアセテート等のエステル、エーテル、好ましくはジエチルエーテル等の低級ジアルキルエーテル、ジオキサン又はTHF等の環状エーテル、C1−C8アルコールを有するエチレングリコール又はプロピレングリコール等のジオールのモノエーテル、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、トルエン及びキシレン等の芳香族又は脂肪族炭化水素、ジメチルホルムアミド等のアミド、ならびにこれらの混合物である。プロトン性溶媒は、副反応を最小化するためにブロックされたイソシアネートの脱ブロック温度より低い沸点を有するべきである。例としては、1〜4の炭素原子を有する脂肪族アルコールである。
【0062】
結果として得られた層又は成形体の特性(例えば可撓性)が、直接的に調整され得るように、イソシアネートとの架橋部分を獲得し得る有機ポリオールを添加することも可能である。ポリオールは、組成物における有機フラクションを増加する。それらの使用は、経済的に有利でもあり得る。使用されるポリオール化合物は、単純なジオール、トリオール及び高級アルコールであり得る。それらは、例えば、脂肪族、脂環式又は芳香族であり得る。使用可能なポリオールの例は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−、1,3−及び1,4−ブタンジオール、1,5−及び2,4−ペンタンジオール、1,6−及び2,5−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、グリセロール,トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニルプロパン)(ビスフェノールA)、トリスヒドロキシ-フェニルエタン、ペンタエリスリトール及びポリエチレングリコールである。
【0063】
該組成物は、ウレタン形成反応用又は対応する反応用の触媒を含み得る。例としては、ポリウレタン化学から公知のスズ化合物(例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、スズオクトエート(tin octoate))又はアミン(例えば、トリエチルアミン、キヌクリジン、DABCO)である。
【0064】
該組成物は、さらに、マトリクス形成成分として、有機的に改質された無機又は純粋な無機重縮合物又はその前駆体を含み得る。その場合、硬化後に、そこ(ナノマーコンポジット)に含有されるポリイソシアネート成分を介して架橋されたナノスケール固体粒子と有機的に改質された無機又は純粋な無機重縮合物とのマトリクスを生じる組成物が得られる。
【0065】
有機的に改質された無機又は純粋な無機重縮合物は、ゾル−ゲル法による加水分解性出発化合物の加水分解及び縮合によって得られ得る。これは、組成物のさらなる成分の添加の前又は組成物の1以上の成分が存在している状態でin situで行われ得る。
【0066】
有機的に改質された無機重縮合物又はその前駆体は、好ましくは、ポリオルガノシロキサン又はその前駆体を含む。また、有機的に改質された無機重縮合物又はその前駆体は、官能基を有する有機基を含み得る。有機的に改質された無機重縮合物に基づくコーティング組成物は、例えば、DE19613645、WO92/21729及びWO98/51747に記載され、その全てが参考として援用される。
【0067】
有機的に改質された無機重縮合物又はその前駆体は、好ましくは、ゾル−ゲル法によって、加水分解性出発化合物の加水分解及び縮合によって調製される。特に、前駆体は、低縮合度の加水分解性出発化合物の前加水分解物及び/又は前縮合物を示す。ゾル−ゲル法において、加水分解性化合物は、必要に応じて加熱或いは酸性又は塩基性触媒によって水を用いて加水分解され、部分的に縮合される。化学量論的量の水を使用することが可能であるが、より少ない又は多い量を使用することも可能である。形成するゾルは、好適なパラメーター(例えば、縮合度、溶媒又はpH)によって、組成物に対して望ましい粘度に調整され得る。ゾル−ゲル法のさらなる詳細は、例えば、C.J.Brinker, G.W.Scherer: “Sol-Gel Science - The Physics and Chemistry of Sol-Gel Processing”, Academic Press, Boston, San Diego, New York, Sydney (1990)に記載される。
【0068】
加水分解性出発化合物は、加水分解性基を有し、また適切には、これらの化合物の少なくとも一部(例えば少なくとも10%)は非加水分解性基を含む化合物である。非加水分解性基を有する化合物が全く使用されなかった場合、純粋に無機の重縮合物が得られる。原理的には、イソシアネート基を有さないシランは、改質されたイソシアネートシラン縮合物が得られるように、上記のイソシアネートシランと共に縮合され得る。
【0069】
使用される少なくとも1つの非加水分解性基を有する加水分解性出発化合物は、好ましくは加水分解性オルガノシラン又はそのオリゴマーである。従って、例えば、ゾル−ゲル法によって得られ得る重縮合物、または以下の一般式の1以上のシランに基づく、その前駆体:
SiX(4−a)(III)
式中、R基は同一又は異なって、非加水分解性基であり、X基は、同一又は異なって、加水分解性基又はヒドロキシル基であり、aは1、2又は3、あるいはそれから得られたオリゴマーである。aは好ましくは1である。R及びX基は、上記式(I)及び(II)に定義される通りである。非加水分解性R基は、互いに同一又は異なって、官能基を有する非加水分解性R基又は好ましくはそのような官能基を有さない非加水分解性R基であり得る。
【0070】
フッ素で置換された少なくとも部分的に有機基を有する、有機的に改質された無機重縮合物又はその前駆体を使用することも可能である。そのようなシランは、WO92/21729に詳細に記載されている。この目的のため、好ましくは、以下の一般式を有する、少なくとも1つの非加水分解基を持つ加水分解性シラン化合物を使用することが可能である。
【0071】
Rf(R)SiX(3−b)(IV)
式中、X及びRは、それぞれ式(I)に定義されるとおりであり、Rfは、好ましくは、少なくとも2つの原子によってSiから分離された炭素原子に結合した1〜30のフッ素原子を有する非加水分解性基、好ましくはエチレン基であり、bは0、1又は2である。Rは、特に、官能基を有さない基であり、好ましくはメチル又はエチル等のアルキル基である。
【0072】
有機的に改質された無機重縮合物又はその前駆体を調製するために使用される加水分解性出発化合物のうち、必要に応じて、非加水分解性基を有さない化合物を一部使用することも可能である。これらは、特に、ガラス又はセラミック形成元素の化合物であり、特に、元素の周期表の主族III〜V、特にIII及びIV、及び/又は遷移族II〜V由来の少なくとも1つの金属Mの化合物である。それらは、好ましくは、Si、Al、B、Sn、Ti、Zr、V又はZn、特にSi、Al、Ti又はZr、あるいはこれら金属の2以上の混合物の加水分解性化合物である。少量にて(重縮合物の40mol%以下、特に20mol%以下)、全般的に用いられる他の加水分解性モノマー化合物、他の加水分解性化合物、特に周期表の主族I及びIIの元素(例えば、Na、K、Ca及びMg)ならびに周期表の遷移族V〜VIIIの元素(例えば、Mn、Cr、Fe及びNi)のものを使用することも可能である。ランタノイドの加水分解性化合物の使用も可能である。高反応性加水分解性化合物(例えば、アルミニウム化合物)を使用する場合、水の添加後に対応する加水分解物の自発的な沈殿を防止する、錯化剤を使用することが推奨される。WO92/21729は、反応性加水分解性化合物の場合に使用され得る好適な錯化剤を記載する。非加水分解性基を有さない加水分解性化合物のみが使用される場合、結果物は、純粋な無機縮合物である。
【0073】
これらの化合物は、特に、一般式MXを有し、式中、Mは上記に定義される金属であり、Xは、式(I)に定義される通りであり、2つのX基が1つのオキソ基によって置換され得、nは元素の原子価に対応し、通常3又は4である。Si、Zr及びTiのアルコキシドであることが好ましい。非加水分解性基を有する加水分解性化合物及び非加水分解性基を有さない加水分解性化合物に基づく組成物は、例えば、WO95/31413(DE4417405)に記載され、本明細書において参照される。
【0074】
好適な非加水分解性基を有さない追加の又は単一化合物は、特に、例えば以下の式を有する加水分解性シランである:
SiX (V)
式中、Xは式(I)において定義される通りである。具体例としては、Si(OCH、Si(OC、Si(O−n−又はi−C、Si(OC、SiCl、HSiCl、Si(OOCCH)である。これらのシランのうち、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランが好ましい。しばしば、式(III)のシラン、特にアルキルトリアルコキシシラン、及び式(V)のシランに基づく重縮合物が好ましい。
【0075】
他の金属Mの使用可能な加水分解性化合物の例は、Al(OCH、Al(OC、Al(O−n−C、Al(O−i−C、Al(OC、AlCl、AlCl(OH)、Al(OCOC、TiCl、Ti(OC、Ti(O−n−C、Ti(O−i−C、Ti(OC、Ti(2−エチルヘキソキシ)、ZrCl、Zr(OC、Zr(O−n−C、Zr(O−i−C、Zr(OC、ZrOCl、Zr(2−エチルヘキソキシ)及び、例えば、β−ジケトン及び(メタ)アクリロイル基のような錯形成基を有するZr化合物、BCl、B(OCH、B(OC、SnCl、Sn(OCH、Sn(OC、VOCl及びVO(OCHである。
【0076】
組成物は、好ましくは、コーティングとして使用される。組成物がコーティング組成物として使用される場合、全ての従来の材料がコーティングされ得る。好適な基材の例は、金属、半導体、ガラス、セラミック、ガラス−セラミック、プラスチック、木、紙又は無機−有機複合材料で作られた基材である。高温硬化組成物の場合、温度安定性基材(少なくとも130℃で少なくとも15分間安定)が適切に使用され、例えば、金属、ガラス、セラミック又は耐熱性プラスチックである。
【0077】
金属基材の例は、例えば、銅、アルミニウム、真ちゅう、鉄、スチール及び亜鉛を含む。半導体の例は、シリコンであり、例えば、ウェハの形態、ガラス上の酸化インジウムスズ層(ITO層)である。使用されるガラスは、全ての従来タイプのガラスでよく、例えば、シリカガラス、ホウケイ酸ガラス又はソーダ石灰シリケートガラスである。プラスチック基材の例は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエチレンテレフタレートである。特に、光学的又はオプトエレクトロニクス適用に対しては、好適な基材は、透明な基材であり、例えば、ガラス又はプラスチックで作られたものである。基材は、例えば、クリーニング、コロナ処理又は予備コーティング(例えば、ラッカー又は金属化表面(metallized surface))によって前処理され得る。
【0078】
組成物は、あらゆる好適な方法によって基材に塗布され得る。全ての通常の湿式化学コーティング法を使用することが可能である。例としては、スピンコーティング ディップ−(エレクトロ)コーティング、ナイフコーティング、スプレー、スクワイア(squirting)、キャスティング、ペインティング、フローコーティング、ナイフキャスティング、スロットコーティング、メニスカスコーティング、カーテンコーティング及びロール塗布である。
【0079】
成形体又は被覆基材は、a)イソシアネート、必要に応じて組成物に添加される上記の添加剤と表面改質ナノ粒子を混合すること、b)基材に組成物を塗布すること又は金型中に導入すること、ならびにc)ウレタン、チオウレタン又はウレア架橋を形成するために硬化すること、によって得られ、ブロックされたイソシアネートが使用された場合に、硬化前又は硬化中にイソシアネートの脱ブロックが達成され、表面改質ナノ粒子がエポキシ基又は無水カルボン酸基を含む場合、エポキシ基又は無水カルボン酸基がそれぞれヒドロキシル基及びカルボキシル基に変換される。
【0080】
脱ブロック、変換及び硬化(ウレタン結合を形成する架橋等)は、従来の方法、例えば、放射線照射又は加熱によって実施され得る。必要なエネルギーのインプットは、もちろん、それぞれの場合に使用される具体的な化合物及び存在するあらゆる触媒によって決まる。一般に、(例えば、100℃より高く、好ましくは130℃より高い温度での)熱硬化が好ましい。
【0081】
硬化工程の間、必要とされ得る脱ブロック及び変換工程を実施することも可能である。これらは、硬化工程前にも行われ得る。例えば、エポキシド又は無水物の加水分解は、適切であるならば触媒の添加と共に、硬化に充分でない低い温度にて、実施され得る。ブロックされていないイソシアネートを使用する場合、より穏やかな硬化条件が可能である。硬化において、架橋は、結合、特にナノ粒子及びイソシアネート間のウレタン、チオウレタン又はウレア結合の形成によって実施される。
【発明の効果】
【0082】
それらの高い透明性及び耐摩耗性により、結果として得られるコーティング及び成形体は、特に、光学用途に好適である。それらは、例えば、光学部品又は光学部品上の透明層として使用され得る。特に好適な使用分野は、レンズのコーティングである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0083】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するものである。
【実施例】
【0084】
実施例において、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(GPTES)によって改質されたSiOナノ粒子を、ブロックされたイソシアネートと反応させる。ブロックされたイソシアネートを、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(ICPTES)と1,2,4−トリアゾールを反応させることによって得る。ブロッキング剤を、完全な変換を確実にするために、わずかに超化学量論的量(superstoichiometric amount)(1:1.1)で使用する。1,2,4−トリアゾールを、最初に、窒素雰囲気下にて装填(charge)し、温度135℃のオイルバスにて溶解する。ICPTESを、徐々に漏斗で滴下する。反応時間は、6時間である。反応は、イソシアネートバンドを用いて、IRスペクトロスコピーによってモニターする。1.25gのLevasil(登録商標)200S/30(Bayer AG、水中のシリコンジオキサイドの30%コロイド溶液)を、2.5gの3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(9mmol)に激しく攪拌しながら添加する。この懸濁液を24時間攪拌する。その後、2.84gのトリアゾールブロックICPTES(9mmol)を、0.24gの0.1N塩酸で30分間、前加水分解(predydrolyzed)し、懸濁液に添加する。ゾルの固形分が39.6%になるように、2.7gの脱ミネラル水を、この混合物に添加する。固体状態における理論的なSiO含有率は、10重量%である。コーティング材料は、スピンコーティング技術を用いてアルミニウムシートに塗布され、100℃にて10分間、前硬化された後、180℃で30分間完全に硬化された。コーティングは、堅く、透明であった;層の厚さは、10μmであった。固体状態において0〜40重量%のSiOを有するコーティングの機械的特徴を、微小硬さ試験及びTaber摩耗試験機試験(ロール当たりの負荷:500g、CS−10Fロール、1000サイクル)を用いて測定した。層の厚さは、10〜11μmであった。機械的特性は、SiO含有率の増加と共に向上した(表1)。
【0085】
【表1】

【0086】
システムは、極めて優れた機械的強度を特徴付ける:IPDIに基づく従来のウレタンシステムは、Taber摩耗試験機試験においておよそ40mgの重量損失を有する(文献:Baumbach, B., Dearth, M., Kuttner, R.S., Noble, K.L., FATIPEC Congress 1998, 24, A−405)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上に、活性水素又はその前駆体を有する基を持つ有機基を有する表面改質されたナノスケール固体粒子、及びイソシアネート基がブロックされ得る少なくとも1種のイソシアネートを含む組成物。
【請求項2】
活性水素又はその前駆体を有する基が、ヒドロキシル基及び/又はエポキシ基、チオール基、アミノ基、あるいはカルボキシル基及び/又は無水カルボン酸基であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
活性水素又はその前駆体を有する基が、ヒドロキシル基及び/又はエポキシ基であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
ナノスケール固体粒子が、非加水分解性置換基上に、エポキシ又はヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、あるいはカルボキシル基又は無水カルボン酸基を有する加水分解性シランによって表面改質されたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
表面改質ナノスケール固体粒子が、第1表面改質剤で処理され、その後、活性水素又はその前駆体を有する基を持つ有機基を提供する第2表面改質剤で処理されたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
ヒドロキシル基及び/又はエポキシ基を有する有機基が、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3,4−エポキシブチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシブチルトリエトキシシラン及び/又は2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランに由来することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
ナノスケール固体粒子が、無機ナノスケール固体粒子であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
ナノスケール固体粒子が、金属粒子、酸化物(oxidic)粒子又は硫化物(sulfidic)粒子或いは半導体粒子であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
ナノスケール粒子が、SiO、Al、ITO、ATO、AlOOH、Ta、ZrO及び/又はTiOの金属酸化物粒子であることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1つのイソシアネートがブロックされていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
イソシアネートが、有機ポリイソシアネート又はイソシアネートシラン或いはそれらの縮合物であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
さらに、有機ポリオールを含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
さらに、有機的に改質された無機重縮合物を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
さらに、活性水素を有する基とイソシアネート間の反応のための触媒を含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
エポキシ基を有する有機表面基が存在する場合、これらのエポキシ基がウレタン結合形成のためのヒドロキシル基に変換され得ることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
ナノスケール固体粒子が、表面上に、活性水素又はその前駆体を有する少なくとも2つの基を持つ有機基を有することを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
成形体(molding)又は被覆基材であって、前記成形体又は前記被覆基材の層が、請求項1〜16のいずれかに記載の硬化組成物であり、固体粒子の表面上に存在するエポキシ基又は無水カルボン酸基が、存在する場合には、硬化前又は硬化中にさらなる反応のためにヒドロキシル基及びカルボキシル基にそれぞれ変換された、成形体又は被覆基材。
【請求項18】
光学部品(optical component)又は光学部品上の透明層を含む、請求項17に記載の成形体又は被覆基材。
【請求項19】
基材が、金属、ガラス、プラスチック、木又は紙で作られている、請求項17又は18に記載の被覆基材。
【請求項20】
基材がレンズである、請求項17〜19のいずれかに記載の被覆基材。
【請求項21】
請求項17〜20のいずれかに記載の成形体又は被覆基材の製造方法であって、ここで、
a)表面上に、活性水素又はその前駆体を有する基を持つ有機基を有する表面改質ナノスケール固体粒子を、イソシアネート基がブロックされ得る少なくとも1種のイソシアネートと混合する、
b)結果として得られた組成物を、基材に塗布又は金型中に導入する、及び
c)ナノ粒子上の活性水素を有する基とイソシアネート間の結合形成によって、硬化が起こり、
ブロックされたイソシアネートが用いられる場合、硬化前又は硬化中にイソシアネートが脱ブロック(deblock)され、表面改質ナノ粒子が前駆体を含む場合、前駆体が活性水素を有する基に変換される、成形体又は被覆基材の製造方法。
【請求項22】
有機基が、ヒドロキシル基及び/又はエポキシ基、チオール基、アミノ基、あるいはカルボキシル基及び/又は無水カルボン酸基を含み、ウレタン、チオウレタン又はウレア架橋を形成するために硬化され、表面改質ナノ粒子がエポキシ基又は無水カルボン酸基を含む場合、エポキシ基がヒドロキシル基に変換され、無水カルボン酸基がカルボキシル基に変換されることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
光学的用途のための請求項17〜20のいずれかに記載の成形体又は被覆基材の使用。
【請求項24】
光学的ハイバリュー層で基材をコーティングするための請求項1〜16のいずれかに記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2006−527293(P2006−527293A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515901(P2006−515901)
【出願日】平成16年6月11日(2004.6.11)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006325
【国際公開番号】WO2004/110926
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(500449008)ライプニッツ−インスティトゥート フィア ノイエ マテリアーリエン ゲマインニュッツィゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクタ ハフトゥンク (22)
【Fターム(参考)】