説明

耐火コーティングを有するデータ伝送ケーブルおよび/または電力伝送ケーブル、並びに該コーティングの耐火処理方法

【課題】耐火コーティングを有するデータ伝送ケーブルおよび/または電力伝送ケーブル、並びに該コーティングの耐火処理方法。
【解決手段】本発明は、少なくとも1つの燃焼抑制剤をコーティングに取り込ませることによりデータ伝送ケーブルおよび/または電力伝送ケーブルの耐火処理を行う方法に関し、該方法では、取り込みが、前記コーティングが製造された後に、超臨界流体によって行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火コーティングを有するデータ伝送ケーブルおよび/または電力伝送ケーブル、並びにデータ伝送ケーブルおよび/または電力伝送ケーブルのコーティングの耐火処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、電力を伝達し及び/または情報を伝送する、電気ケーブルおよび/または光ケーブルに火事が起きた場合、鉛直に置かれているときであっても、ケーブルに沿って火炎が伝播されることを回避し、ケーブルのコアを被覆している絶縁体および/またはシースが滴として流れ出すことを防止することが要求される。
【0003】
ケーブルの耐火特性を向上させるために、第1の従来の方法は、ケーブルが設置された後、そのケーブルに耐火性(膨張性)の有るペイントを塗布することで構成される。そのような方法では、浸透する深さが小さいため、処理は皮相的にしか維持されず、コーティングを、そのコアまで耐火処理することはできない。
【0004】
また、充填された組成物は高い粘性を示して、たびたび作業することを困難にし、さらに、用いられた有機溶媒は高価であって、環境を汚染することがある。
【0005】
第2の従来の方法は、ケーブルを製造する間に、通常、絶縁材料を得るために用いられるポリマー組成物が未だ液体であるときに、絶縁材料にハロゲン化燃焼抑制剤または非ハロゲン化燃焼抑制剤を取り込ませることを含む。
【0006】
そのような取り込み技法は、そのような燃焼抑制剤の分布方式を制御することが不可能であり、特定の充填材の濃度下では、ケーブルの耐火特性と機械的特性のいずれも満足されなくなる。耐火の程度が満足されるためには、充填材を約60%の濃度で取り込ませる必要性があり、これは、機械的特性を減少させる。
【0007】
さらに、ケーブルを製造する有効温度が、しばしば160℃よりも高いことから、高温に耐えられる能力の弱い耐火剤は、用いることができない。例えば、水酸化アルミニウムは、200℃から劣化し始めるため、製造に用いることのできる温度範囲を制限する。水酸化マグネシウムは、より高温で用いることはできるものの、混合物の粘性が大きく増加するため、製造速度が制限される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ケーブルのコーティングにおいて、少なくとも1つの燃焼抑制剤を取り込ませる方法を提供しようとするものであり、該方法は、コーティングにおける燃焼抑制剤の分布をより良好に制御するようにし、好ましくは安価であって、その効率性の点で最適化され、さらに、環境への影響が無いものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的を達成するために、本発明は、データ伝送コーティングおよび/または電力伝送コーティングに少なくとも1つの燃焼抑制剤を取り込ませる方法を提案し、この方法では、取り込みが、前記コーティングが製造された後に、超臨界流体によって行われる。
【0010】
超臨界流体技術は、いずれのケーブルコーティングに対しても、コーティングが行われた後、シースおよび/または絶縁材料において、ケーブルが設置される前に、耐火の特性を付与し、あるいは向上させることを可能とする。
【0011】
取り込みは、例えば、オートクレーブのような閉鎖された周囲において遂行され、したがって、大気中への漏れは殆ど無い。
【0012】
好ましくは、超臨界流体は、二酸化炭素(CO)であってもよい。
【0013】
好ましい実施形態において、燃焼抑制剤は、以下の非ハロゲン化合物、すなわち、金属水酸化物、金属ヒドロキシカーボネート、シリカ、フィロシリケート、ヒドロキシスズ酸亜鉛及びスズ酸亜鉛、リン誘導体、及びホウ素化合物、のうち少なくとも1つから選択される。
【0014】
金属水酸化物の中で、例えば、水酸化マグネシウム、アルミニウム三水和物、ハイドロマグネサイト、水酸化カルシウム、及びクエン酸マグネシウムを挙げることができる。金属水酸化物は、天然由来のものであるかまたは合成物であって、表面が処理されてもあるいはされていなくてもよく、異なる粒子サイズを有する。
【0015】
金属ハイドロカーボネートのうち、例えば、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムを挙げることができる。
【0016】
このような燃焼抑制剤は、得ようとする耐火性と材料の劣化温度との関数として、それ自体で、あるいは組み合わせて用いることができる。
【0017】
リン誘導体は、保護炭化層を形成することにより、材料が火災に耐えられるような能力を向上させる。
【0018】
同様に、ホウ酸金属(例えば、ホウ酸亜鉛、ホウ酸カルシウム)のようなホウ素化合物は、有効な燃焼抑制剤である。
【0019】
ホウ素化合物は、金属水酸化物と組み合わせて用いられる場合に、相乗効果を有する。金属水酸化物のような無機化合物は、吸熱によって分解されて、水分子を放出し、それにより、結果として材料の温度を下げるようになり、したがって、その劣化率を低くする。
【0020】
他の好ましい実施形態において、前記燃焼抑制剤は、以下のハロゲン化合物、すなわち、塩素系ハロゲン化合物及び臭素系ハロゲン化合物の少なくとも1つから選択することができる。
【0021】
好ましい実施形態において、160℃よりも低い取り込み温度が選択される。
【0022】
このような構成において、処理浴を加熱するのに必要とされるエネルギー消費は、特に低い。
【0023】
取り込み温度は、例えば、160℃で分解されるクエン酸塩のような水和物が高温において作用しにくいことに適応するために、非常に低めに選択される。
【0024】
耐火処理を行う方法は、
前記コーティングへの取り込みが行われるように、前記超臨界流体を所定の期間超臨界状態で保持する工程と、
前記超臨界流体を除去する工程と、
耐火処理したコーティングのケーブルを得る工程と、
を備えることができる。
【0025】
本発明の他の目的は、耐火性であり、優れた機械的特性を持つコーティングを有するケーブルを開発することにあり、そのケーブルは、好ましくは安価で、さらに容易に且つ迅速に製造することができるものである。
【0026】
このような目的のために、本発明は、少なくとも1つの燃焼抑制剤を取り込ませた材料からなる耐火コーティングを含むデータ伝送ケーブルおよび/または電力伝送ケーブルを提供し、このケーブルでは、前記コーティングは、前記コーティングの外部表面における少なくとも1つの燃焼抑制剤の濃度が、前記コーティングの内部表面における少なくとも1つの燃焼抑制剤の濃度よりも大きくなるような濃度勾配を示す。
【0027】
「外部表面」という用語は、前記ケーブルの軸からより遠いコーティングの表面と定義される。
【0028】
それに対比して、「内部表面」という用語は、前記ケーブルの軸により近いコーティングの表面に対応する。
【0029】
このように、本発明のコーティングは、その表面における高濃度の燃焼抑制剤に起因する耐火特性と、それの体積を通して濃度が減少することによって強化された機械的特性とを示す。
【0030】
第1実施形態において、前記燃焼抑制剤は、以下の非ハロゲン化合物、すなわち、金属水酸化物、金属ヒドロキシカーボネート、シリカ、フィロシリケート、ヒドロキシスズ酸亜鉛及びスズ酸亜鉛、リン誘導体、及びホウ素化合物のうち少なくとも1つから選択することができる。
【0031】
他の実施形態において、前記燃焼抑制剤は、例えば、ポリブロモジフェニル、及びポリブロモジフェニルエーテル等の、塩素系または臭素系ハロゲン化合物から選択することができる。
【0032】
本発明の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、以下の実施例に関する説明により明確に現われる。なお、この実施例は、例示的なものであって、本発明を何ら制限するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1は、例えば、シース3でコーティングされ、例えば銅からなる電気導体のような伝送エレメント2を含む電力伝送ケーブル1の断面図であって、シース3そのものは、例えば、好ましくは金属クエン酸塩とホウ素化合物の混合体である燃焼抑制剤5を含む、ポリエチレンタイプのポリマーである絶縁材料からなるコーティング4によりコートされている。
【0034】
前記コーティング4は、前記シース3と当接する内部表面42と、外部表面41とを含み、前記外部表面41は、電気導体2の軸から前記内部表面42よりも遠くに離れている。
【0035】
本発明の目的に応じて、燃焼抑制剤5の濃度は、コーティング4の内部表面42におけるそれよりも、コーティング4の外周、すなわち外部表面41においてより大きい。
【0036】
例えば、前記コーティングの外部表面における濃度は、前記コーティングの全体組成に対して充填材40重量%、つまり外周におけるコーティングの立方センチメートル(cm)当たり0.80グラム(g)の燃焼抑制剤であり、前記濃度は徐々に減少して、前記コーティングのコアでは、前記コーティングの全体組成に対して充填材10重量%、つまりコアにおいて、コーティングのcm当たり0.20gの燃焼抑制剤に到逹し、前記コーティングの内部表面では、前記コーティングの全体組成に対して充填材0重量%に到逹してもよい。
【0037】
より一般に、本発明は、電力伝送ケーブルと通信ケーブル、データケーブル、電気ケーブル、または光ファイバケーブルにも同様によく適用される。
【0038】
本発明の方法は、超臨界流体を用いてコーティングに少なくとも1つの燃焼抑制剤を取り込ませることにより、電力ケーブルまたはデータケーブルのコーティングの耐火処理を行うことに関するものである。コーティングの材料は、絶縁材料および/またはシース(被覆)材料である。超臨界流体、好ましくはCOが、コーティングに燃焼抑制剤を取り込ませるベクトル溶媒として用いられる。これは、有利なことに、ケーブルが設置された後に通常の含浸処理において用いられ、さらに、しばしば高価の再処理を必要とする非水性有機溶媒を代替する。
【0039】
超臨界状態は、液体の分子密度と気体の分子移動度とを組み合わせており、2つのパラメータは、界面での反応メカニズムに必須である。また、超臨界流体の表面張力は無視できる程度であるため、超臨界流体は、ポリマー材料により一層容易に浸透することができる。
【0040】
超臨界流体技法は、燃焼抑制剤の濃度勾配を用いて、本発明によって教示される耐火特性の最適化の達成を可能とする。超臨界状態における流体の温度及び圧力の条件は、流体の臨界点、コーティング材料の性質、及び、取り込ませるために選択された燃焼抑制剤によって異なる。
【0041】
超臨界流体の溶解能力は、主に、その圧力、温度、密度、及び化学的性質、特に分極率によって記述される物理的な状態に依存する。超臨界流体の密度が増大すると、分子間の平均距離は減少し、それにより、溶媒と燃焼抑制剤との間の特有の相互反応を促進する。
【0042】
処理の持続期間は、超臨界状態にある流体の温度及び圧力、コーティング材料の性質、並びに取り込ませるために選択された燃焼抑制剤、さらに、深さにおける所望の量及び勾配にも依存する。
【0043】
一定の温度で、超臨界流体の密度は、圧力とともに増加する。所定の圧力において、温度の増加は燃焼抑制剤の蒸気圧の増加を招き、それによって、その揮発性の増加をもたらす。同時に、このことは、溶媒の密度の減少を招き、それによって、その溶解能力の減少をもたらす。このように、溶解度に関する2つの競合効果がある。低い圧力において、溶解度は温度の増加とともに減少し、その効果は、高い圧力においては逆転される。
【0044】
高い圧力及び相対的に低い温度にて実施する方が有利である。
【0045】
また、これは、反応器に導入された量をすべて使い尽くすまでその方法を遂行することを可能とするため、燃焼抑制剤の量を効率的に使用することができ、結果として損失及び無駄使いを防止する。効率は最大であり、いずれにしろ、取り込まれずに残っている燃焼抑制剤は、容易に回収することができる。
【0046】
図2及び図3は、超臨界流体を用いて少なくとも1つの燃焼抑制剤をコーティングに取り込ませることにより、電力ケーブルまたはデータケーブルを耐火性に製造する本発明の方法を具現する装置の図である。
【0047】
この装置は、ポンプ11に連結されたCOのソース10を含み、ポンプ11それ自体は、調整可能な温度及び圧力を有するオートクレーブのような管状反応器6に連結される。
【0048】
バルブ12は、ソース10を、ポンプ11及び反応器6から隔離させることができる。
【0049】
反応器6は、管状本体61と、底面62と、COを導入する手段(図示省略)が設けられ、ポンプ11に連結されているカバー63と、を備える。
【0050】
図3に示されているように、カバー63は、温度プローブ7と、圧力プローブ8と、底面62に近接して設けられた攪拌器91を駆動する駆動システム90と、を通すように配置される。
【0051】
管状本体61の内部には、耐火処理されるべき外部コーティング4を有したエネルギーケーブルまたはデータケーブルが位置しており、コーティングに取り込ませるための少なくとも1つの燃焼抑制剤5が底面62に位置している。
【0052】
燃焼抑制剤5は、好ましくは、以下の非ハロゲン化合物、すなわち、金属水酸化物、金属ヒドロキシカーボネート、シリカ、フィロシリケート、ヒドロキシスズ酸亜鉛及びスズ酸亜鉛、リン誘導体、及びホウ素化合物のうちから選択される。
【0053】
変形として、反応器は、2種類の燃焼抑制剤を含み、第1の燃焼抑制剤は、ホウ素化合物であり、第2の燃焼抑制剤は、以下の無機化合物、すなわち、金属水和物、金属水酸化物、及び、好ましくは、金属クエン酸塩のうちの1つである。
【0054】
操作中に、COが、ソース10から反応器内に導入される。
【0055】
COは、その臨界パラメータ(31℃に相当する臨界温度、及び73バールに相当する臨界圧力)のために、特に有利な超臨界流体となる。
【0056】
化学種を溶解するための超臨界COの特性は、調整することができる。超臨界COは、商業的に入手可能な最も安い有機溶媒であり、毒性がなく、環境に影響を与えず、ポリマータイプの材料に対して非活性である。
【0057】
さらに、COは、単純に反応器の圧力を低減することだけで浄化することができる。
【0058】
COは、選択された超臨界条件、好ましくは165℃未満の温度、例えば約100℃、そして、例えば約7.38メガパスカル(MPa)に相当するように選択された圧力で取り入れられて、維持され、これは、0.132g/cmの密度を示す。
【0059】
COの粘性は、約10−7パスカル・秒(Pa・s)である。そのような低い粘性のために、大量の移送が促進される。
【0060】
取り込ませる目的から、圧力及び温度を周囲の圧力及び温度となるようにし、そのような条件下で、COがコーティングから逃げ出すのを許容することによって、COは、反応器及びコーティング4から除去される。このようにして、そのコーティングが耐火処理されたケーブル、例えば、図1に示されているようなケーブルが得られる。
【0061】
比較例
耐火の観点でその性能を比較するために、3個のケーブルのサンプルが用意された。該サンプルは、すべて電力ケーブルおよび/または通信ケーブルとしての使用に適合したものであった。
【0062】
3個のサンプルのそれぞれは、厚さ500マイクロメーターのポリエチレン絶縁シースで被覆された、1ミリメートルの直径を有する銅導体と、厚さ1ミリメートルのコーティングとを備えていた。
【0063】
絶縁シースを構成するポリマーは、3個のサンプルの全てに対して共通であった。具体的に、絶縁シースは、ポリエチレン製であった。
【0064】
3個のサンプルのコーティングは、異なる組成を有していた。
【0065】
サンプル1のコーティングは、エチレン・酢酸ビニル(EVA)共重合体の100重量%化合物であり、いずれの燃焼抑制剤も含有していなかった。
【0066】
サンプル2のコーティングは、エチレン・酢酸ビニル(EVA)共重合体(全体組成に対して)50重量%、及び水酸化マグネシウム(全体組成に対して)50重量%で構成された均一な混合物であった。コーティングの材料は、Evatane 28−03という商品名でArkemaという供給者によって販売される製品であって、28重量%の酢酸ビニルを含むエチレン・酢酸ビニル(EVA)共重合体500gと、Magnifin H10という商品名でAlbemarleという供給者によって販売される、水酸化マグネシウム500gとを混合することによって製造された。混合は、シリンダミキサーにて、160℃の温度で、1分当たり30回の回転速度で、20分間の間に行われた。
【0067】
サンプル3のコーティングは、最初は、エチレン・酢酸ビニル(EVA)共重合体100%で構成された。その後、超臨界CO処理にかけるために、Magnifin H10という商品名でAlbemarleという供給者によって販売される、水酸化マグネシウム500gの存在下でオートクレーブにサンプル3を置いた。その操作は、上述した方法を応用して行われた。オートクレーブにおいて、COは、100℃の温度及び7.38メガ・パスカル(MPa)の圧力で、超臨界条件として取り入れられ、この条件は、約2時間の間維持された。処理の終わりに、圧力及び温度を周囲の圧力及び温度に戻し、COが、そのような条件下で逃げ出すことを許容することで、COを反応器から除去した。そのような処理後に、サンプル3のコーティングは、エチレン・酢酸ビニル(EVA)共重合体と水酸化マグネシウムとを含む不均一な混合物で構成され、燃焼抑制剤(水酸化マグネシウム)の濃度は、コーティングの外部表面においてより大きかった。前記コーティング内部の水酸化マグネシウムの濃度は、コーティングの外部表面において(全体組成に対して)65重量%、そして、その内部表面において0%と測定された。
【0068】
燃焼挙動は、3個のサンプルのすべてに対して、IEC60332−1規格に従って測定された。表1は、3個のサンプルのそれぞれから得られた燃焼性能をまとめたものである。それぞれのテストは、10分間の最大持続期間を有して、伝播時間を測定するように機能し、該伝播時間は、できるだけ長くなるべきである。
【表1】

【0069】
まず、サンプル2が、参照サンプル1よりも良好な性能を提供することに注目しなければならない。伝播時間は、205秒延長された。サンプル2のコーティングは燃焼抑制剤を含むが、サンプル1のコーティングはいずれの燃焼抑制剤も含有していないため、このような結果は、驚くべきことではない。
【0070】
サンプル2及びサンプル3は、共に同一の耐火性充填材を含むコーティングを有するため、サンプル3は、サンプル2と比較することができる。サンプル3の伝播時間は、サンプル2と比べて、150秒延長されたことが分かる。このように、超臨界COによる処理の使用は、コーティングの外部表面における燃焼抑制剤の濃度をより高くし、伝播時間において大きな向上を達成することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の好ましい実施形態に係わる、本発明の電力伝送ケーブルを概念的に示す断面図である。
【図2】コーティングに少なくとも1つの燃焼抑制剤を取り込ませることによって、エネルギー伝送ケーブルまたはデータ伝送ケーブルのコーティングの耐火処理を行う本発明の方法を遂行する装置を示す図である。
【図3】コーティングに少なくとも1つの燃焼抑制剤を取り込ませることによって、エネルギー伝送ケーブルまたはデータ伝送ケーブルのコーティングの耐火処理を行う本発明の方法を遂行する装置を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの燃焼抑制剤をコーティングに取り込ませることによるデータ伝送ケーブルおよび/または電力伝送ケーブルのコーティングの耐火処理方法であって、
取り込みは、前記コーティングが製造された後に、超臨界流体によって行われる、方法。
【請求項2】
前記超臨界流体は二酸化炭素である、請求項1に記載のケーブルのコーティングの耐火処理方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの燃焼抑制剤は、以下の非ハロゲン化合物、すなわち、金属水酸化物、金属ヒドロキシカーボネート、シリカ、フィロシリケート、ヒドロキシスズ酸亜鉛及びスズ酸亜鉛、リン誘導体、及びホウ素化合物、のうち少なくとも1つから選択される、請求項1または2に記載のケーブルのコーティングの耐火処理方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの燃焼抑制剤は、以下のハロゲン化合物、すなわち、塩素系ハロゲン化合物及び臭素系ハロゲン化合物、のうち少なくとも1つから選択される、請求項1または2に記載のケーブルのコーティングの耐火処理方法。
【請求項5】
取り込み温度が160℃未満である、請求項1から4のいずれか1項に記載のケーブルコーティングの耐火処理方法。
【請求項6】
前記コーティングへの取り込みが行われるように、前記超臨界流体を所定の期間超臨界状態で保持する工程と、
前記超臨界流体を除去する工程と、
耐火処理したコーティングのケーブルを得る工程と、
を備える、請求項1から5のいずれか1項に記載のケーブルのコーティングの耐火処理方法。
【請求項7】
少なくとも1つの燃焼抑制剤(5)を取り込ませた材料からなる耐火コーティング(4)を含むデータ伝送ケーブルおよび/または電力伝送ケーブルであって、
前記コーティング(4)は、前記コーティングの外部表面(41)における前記少なくとも1つの燃焼抑制剤の濃度が、前記コーティングの内部表面(42)における前記少なくとも1つの燃焼抑制剤の濃度よりも大きくなるような濃度勾配を示す、データ伝送ケーブルおよび/または電力伝送ケーブル。
【請求項8】
前記少なくとも1つの燃焼抑制剤は、以下の非ハロゲン化合物、すなわち、金属水酸化物、金属ヒドロキシカーボネート、シリカ、フィロシリケート、ヒドロキシスズ酸亜鉛及びスズ酸亜鉛、リン誘導体、及びホウ素化合物、のうち少なくとも1つから選択される、請求項7に記載のデータ伝送ケーブルおよび/または電力伝送ケーブル。
【請求項9】
前記少なくとも1つの燃焼抑制剤は、塩素系ハロゲン化合物または臭素系ハロゲン化合物から選択される、請求項7に記載のデータ伝送ケーブルおよび/または電力伝送ケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−510682(P2009−510682A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532845(P2008−532845)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050967
【国際公開番号】WO2007/042699
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(501044725)ネクサン (81)
【Fターム(参考)】