説明

耐熱性菌類の検出方法

【課題】野菜・果物等の農作物を原材料とする飲食品の汚染で問題となる、耐熱性菌類を特異的、簡便かつ迅速に検出、識別できる方法を提供する。
【解決手段】Loop mediated isothermal amplification(LAMP)法によって、耐熱性菌類のβ−チューブリン遺伝子、または28S rDNAのD1/D2領域及びITS領域の遺伝子中の標的領域を含むDNA断片を増幅させ、増幅産物の有無を確認する工程を含む耐熱性菌類の検出方法。対象菌種は、ビソクラミス(Byssochlamys)属の菌類、タラロマイセス(Talaromyces)属の菌類、ネオサルトリア(Neosartorya)属の菌類、ハミゲラ(Hamigera)属の菌類、およびアスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)から選ばれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性菌類の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
耐熱性の菌類(真菌類)は自然界に広く分布し、野菜、果物等の農作物で繁殖し、これらの農作物を原材料とした飲食品を汚染する。しかも、菌類のうち耐熱性の菌類は通常の他の菌類に比べて高い耐熱性を有する。例えば酸性飲料の加熱殺菌処理を行ったとしても耐熱性を有する菌類が生存、増殖し、カビの発生原因となることがある。このため、耐熱性菌類は重大な事故を引き起こす重要危害菌として警戒されている。
【0003】
加熱殺菌処理後の飲食品からも検出されることがある汚染事故の原因菌の主な耐熱性菌類として、ビソクラミス(Byssochlamys)属、タラロマイセス(Talaromyces)属、ネオサルトリア(Neosartorya)属およびハミゲラ(Hamigera)属に属する耐熱性菌類が知られている。子のう胞子を形成する他の耐熱性菌類と比べ、上記4属に属する菌類は耐熱性が突出して高く、加熱殺菌後に生存する可能性が高い。一方、上記4属以外の耐熱性菌類は、通常の殺菌条件で殺滅できるため、殺菌不良などが無い限りは事故を引き起こす可能性は低い。従って、飲食品およびこれらの原材料中の耐熱性菌類による事故防止のためには、これら4属に属する耐熱性菌類等の検出、識別が特に重要である。
さらに、危害事故発生時における事故原因究明及び対策のためには、事故原因菌の同定が必要となる。従って、上記4属の耐熱性菌類を識別することができれば、より迅速な事故原因菌の検出、識別が可能となる。
【0004】
一方、従来の耐熱性の菌類を検出、識別する方法としては、検体をPDA培地等で培養して検出、識別する方法がある。しかし、この方法ではコロニーが確認されるまでに約7日間を要する。しかも、菌種の同定は、菌の特徴的な器官の形態に基づいて行うので、形態学的な特徴が認められるまでさらに約7日間の培養を必要としている。したがって、この方法によると、耐熱性菌類の検出、識別に約14日間もの時間を要する。このように耐熱性菌類の検出、識別に長期間を要することは飲食品の衛生管理、原材料の鮮度確保、流通上の制約など観点から、必ずしも満足できるものではない。そのため、より迅速な耐熱性菌類の検出、識別方法の確立が求められている。
【0005】
菌類の迅速な検出、識別方法としては、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法を利用した検出方法が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。しかし、従来公知のプライマーでは擬陽性や擬陰性の結果が出る場合があるという問題がある。これは、耐熱性菌類の遺伝子のデータベースが脆弱であり、耐熱性菌類の属レベルで保存されている遺伝子領域が正確にわかっていないためである。そのため、特定の耐熱性菌類を特異的にかつ迅速に検出、識別するための高感度のプライマーの設計が困難となっている。
【0006】
【特許文献1】特表平11−505728号公報
【特許文献2】特開2006−61152号公報
【特許文献3】特開2006−304763号公報
【特許文献4】特開2007−174903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、飲食品汚染の主な原因菌である耐熱性菌類を特異的、簡便かつ迅速に検出、識別できる方法を提供することを目的とする。また、本発明の目的は、この方法に適用可能なプライマーセット、オリゴヌクレオチドおよび検出キットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑み、本発明者等は、β−チューブリン遺伝子または28S rDNA中の特定の領域に着目して、鋭意検討を行った。その結果、耐熱性菌類のβ−チューブリン遺伝子、または28S rDNAのD1/D2領域及びITS領域に、他の菌類のものとは明確に区別しうる、特異的な塩基配列を有する領域(以下、「可変領域」ともいう)が存在することを見い出した。また、この可変領域をターゲットとすることで、上記耐熱性特定の菌類を特異的かつ迅速に検出できることを見い出した。本発明はこの知見に基づき完成するに至った。
【0009】
本発明は、Loop mediated isothermal amplification(LAMP)法によって耐熱性菌類の遺伝子中の標的領域のDNA断片を増幅させ、増幅産物の有無を確認する工程を含む耐熱性菌類の検出方法に関する。
【0010】
また、本発明は、ビソクラミス(Byssochlamys)属の菌類、タラロマイセス(Talaromyces)属の菌類、ネオサルトリア(Neosartorya)属の菌類、ハミゲラ(Hamigera)属の菌類および/またはアスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)の耐熱性菌類をLoop mediated isothermal amplification(LAMP)法で検出するのに用いるプライマーセットに関する。
【0011】
また、本発明は、前記耐熱性菌類を検出するのに用いるオリゴヌクレオチドに関する。
【0012】
さらに、本発明は、前記プライマーセットまたはオリゴヌクレオチドと、
DNAポリメラーゼと、
dATP、dCTP、dGTP及びdTTPを含むdNTPと、
を含む耐熱性菌類検出キットに関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、飲食品の汚染事故の主な原因菌である耐熱性菌類を特異的にかつ迅速に検出、識別できる方法を提供することができる。また、本発明によれば、この方法に適用可能なプライマーセット、オリゴヌクレオチドおよび検出キットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、Loop mediated isothermal amplification(LAMP)法によって耐熱性菌類の遺伝子中の標的領域のDNA断片を増幅させ、増幅産物の有無を確認する工程を含む耐熱性菌類の検出方法である。本発明において、前記標的領域がβ−チューブリン遺伝子、または28S rDNAのD1/D2領域及びITS(内部転写スペーサー、internal transcribed spacer)領域の塩基配列から選択されることが好ましい。ここで、「β−チューブリン」とはa-チューブリンとともに真核細胞の微小管を形成しているタンパク質であり、「β−チューブリン遺伝子」とは、β−チューブリンをコードする遺伝子である。また、「28S rDNA」とはタンパク質への変換の場であるリボゾームの遺伝情報をコードするDNAである。
また、本発明の耐熱性菌類の検出方法において、遺伝子中の標的領域としてβ−チューブリン遺伝子または28S rDNAの特定領域を増幅する。これは、β−チューブリン遺伝子と28S rDNAは共に、コードする蛋白質自体は真菌に普遍的に存在するが、遺伝子中には塩基の変異が蓄積しやすく、属や種のレベルで保存されているため、遺伝子内の特定の領域に他属他種との識別に用いることができる塩基配列が存在する可能性が高いという共通点があるからである。
【0015】
本発明において、標的領域のDNA断片の増幅はLAMP(Loop mediated isothermal amplification)法により行う。しかし、PCR(Polymerase Chain Reaction)法、LCR(Ligase Chain Reaction)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法、NASBA(Nucleic Acid Sequence-based Amplification)法、RCA(Rolling-circle amplification)法など通常の方法を用いてもよい。標的領域のDNA断片をLAMP法によって増幅させれば、PCR法で不可欠とされる周期的な温度変化制御が不要となるため、等温での相補鎖合成反応を可能にする。このため、PCR装置等の特殊な装置を用いることなく、検体中に含まれる特定の菌類を簡便かつ迅速に検出できる。
【0016】
LAMP法は、PCR法で不可欠とされる周期的な温度変化制御が不要なループ媒介等温増幅法(国際公開第00/28082号パンフレット)であって、鋳型となるヌクレオチドにプライマーの3’側をアニールさせて相補鎖合成の起点とすると共に、このとき形成されるループにアニールするプライマーを組み合わせることにより、等温での相補鎖合成反応を可能にする。このLAMP法では、鋳型となる核酸の6つの塩基配列領域を認識する少なくとも4つのプライマーが必要とされる。これらのプライマーは、3’側が常に鋳型となるヌクレオチドにアニールするように設計されるため、塩基配列の相補的結合によるチェック機構が繰り返し機能することになり、高感度でかつ特異性の高い核酸の増幅反応が可能となる。
【0017】
LAMP法に用いられるプライマーが認識する6つの塩基配列領域は、鋳型となるヌクレオチドの5’側から順にF3、F2、F1と呼び、3’側から順にB3c、B2c、B1cと呼び、さらに、F1、F2、F3の相補的な塩基配列をそれぞれF1c、F2c、F3cと呼び、B1c、B2c、B3cの相補的な塩基配列をそれぞれB1、B2、B3と呼ぶ。
上記6つの塩基配列領域は、以下のように選定することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
検出対象となる菌種の塩基配列を用いてアライメントを行う。アライメントには、例えば、Clustal X等のソフトを用いることができる。次いで、得られたアライメント情報をもとに、Primer Explorer V4(栄研化学株式会社社製)等のソフトを用いて上記6つの塩基配列領域を選定し、LAMP法のプライマーを設計する。
【0018】
本発明の耐熱性菌類検出用のプライマーの設計は、まず、標的領域の塩基配列から上記の6つの塩基配列領域を決定し、その後、後述するインナープライマーF及びB並びにアウタープライマーF及びBを設計する。
【0019】
LAMP法に用いられる「インナープライマー」とは、標的塩基配列上のある特定のヌクレオチド配列領域を認識し、かつ合成起点を与える塩基配列を3’側に有し、同時にこのプライマーを起点とする核酸合成反応生成物の任意の領域に対して相補的な塩基配列を5’側に有するオリゴヌクレオチドのことをいう。このうち、前記F2領域を3’側に有し、前記F1c領域を5’側に有する塩基配列を含むプライマーをインナープライマーF(以下、FIP)と呼び、前記B2領域を3’側に有し、前記B1c領域を5’側に有する塩基配列を含むプライマーをインナープライマーB(以下、BIP)と呼ぶ。このインナープライマーは、F2領域とF1c領域の間、またはB2領域とB1c領域の間に、塩基数0〜50のいずれかの長さの任意の塩基配列を有していてもよい。
一方、「アウタープライマー」とは、標的塩基配列上の『「ある特定のヌクレオチド配列領域」(例えば前記F2領域またはB2領域)の5'末端側に存在するある特定のヌクレオチド配列領域』を認識かつ合成起点を与える塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであり、F3領域より選ばれた塩基配列を含むプライマーおよびB3領域より選ばれた塩基配列を含むプライマーが挙げられる。ここで、F3領域より選ばれた塩基配列を含むプライマーをアウタープライマーF(以下、F3プライマー)、B3領域より選ばれた塩基配列を含むプライマーをアウタープライマーB(以下、B3プライマー)と呼ぶ。
ここで、各プライマーにおけるFとは、標的塩基配列のアンチセンス鎖と相補的に結合し、合成起点を提供することを意味するプライマー表示であり、各プライマーにおけるBとは、標的塩基配列のセンス鎖と相補的に結合し、合成起点を提供することを意味するプライマー表示である。
【0020】
LAMP法における核酸の増幅では、インナープライマー及びアウタープライマーに加え、さらにループプライマー(以下、LF、LB)を好ましく用いることができる。ループプライマーは、LAMP法による増幅生成物の同一鎖上に生じる相補的配列が互いにアニールしてループを形成するとき、このループ内の配列に相補的な塩基配列をその3’側に含むプライマー(二本鎖を構成する各々について1つずつ)のことをいう。すなわち、ダンベル構造の5’側のループ構造の一本鎖部分の塩基配列に相補的な塩基配列を持つプライマーである。このプライマーを用いれば、核酸合成の起点が増加するため、反応時間の短縮と検出感度の上昇が可能となる(国際公開第02/24902号パンフレット)。
ループプライマーの塩基配列は、上記ダンベル構造の5’側のループ構造の一本鎖部分の塩基配列に相補的であれば、標的領域の塩基配列又はその相補鎖から選択されてもよく、他の塩基配列でもよい。また、ループプライマーは1種類であっても、2種類であってもよい。
【0021】
本発明のプライマーを用いて、標的領域のDNA断片を増幅すれば、当該DNA断片を特異的かつ効率的に検出可能な量まで増幅することが可能である。このため、増幅産物の有無を確認することによって、特定の菌類を検出することができる。
【0022】
本発明に用いることができるプライマーは、15塩基以上であることが好ましく、20塩基以上であることがさらに好ましい。また、各プライマーは、単一の塩基配列のオリゴヌクレオチドであってもよく、複数の塩基配列のオリゴヌクレオチドの混合物であってもよい。
【0023】
各プライマーは、設計した配列を基にして化学合成したり、試薬メーカーから購入することができる。具体的には、オリゴヌクレオチド合成装置等を用いて合成することができる。また、合成後に吸着カラム、高速液体クロマトグラフィー、または電気泳動法を用いて精製したものを用いることもできる。また、1ないし数個の塩基が置換、欠失、挿入もしくは付加された塩基配列を有するオリゴヌクレオチドについても、公知の方法を使用して合成できる。
【0024】
さらに、LAMP法に用いることができるアウタープライマーは、標的領域のDNA断片を増幅するために、LAMP法のみでなく、PCR法にも使用できる。PCR法では、上記プライマーを用いて、検体中のβ−チューブリン遺伝子または28S rDNAのD1/D2領域及びITS領域を鋳型に耐熱性のDNAポリメラーゼでPCRを行えば、目的とするDNA断片を増幅させることが可能である。
【0025】
本発明によれば、ビソクラミス属の菌類、タラロマイセス属の菌類、ネオサルトリア属の菌類、ハミゲラ属の菌類、アスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)等の菌類を検出することができる。
本明細書におけるビソクラミス属、タラロマイセス属、ネオサルトリア属およびハミゲラ属等の「耐熱性菌類」とは、マユハキタケ科(Trichocomaceae)に属する不整子嚢菌類であり、75℃、30分間の加熱処理後であっても生存可能な耐熱性菌類である。ビソクラミス属の菌類の例として、ビソクラミス ファルバ(Byssochlamys fulva)、ビソクラミス ニベア(Byssochlamys nivea)が挙げられる。タラロマイセス属の菌類の例として、タラロマイセス フラバス(Talaromyces flavus)、タラロマイセス ルテウス(Talaromyces luteus)、タラロマイセス トラキスペルムス(Talaromyces trachyspermus)、タラロマイセス ウォルトマニー(Talaromyces wortmannii)が挙げられる。ネオサルトリア属の菌類の例として、ネオサルトリア スピノサ(Neosartorya spinosa)、ネオサルトリア フィシェリ(Neosartorya ficheri)、ネオサルトリア グラブラ(Neosartorya glabra)、ネオサルトリア ヒラツカエ(Neosartorya hiratsukae)が挙げられる。ハミゲラ属の菌類の例として、ハミゲラ アベラネア(Hamigera avellanea)が挙げられる。
本発明における「アスペルギルス フミガタス」とは、テレオモルフ(有性世代)が発見されていない不完全菌類の一種であり、ネオサルトリア フィシェリとは、系統的に近縁である。
【0026】
本発明の検出方法において、増幅される耐熱性菌類の遺伝子中の標的領域を含むDNA断片は、配列番号44に記載の塩基配列の一部であって当該塩基配列の400〜600位の塩基配列の全部又は一部を含む塩基配列、配列番号45に記載の塩基配列の一部であって当該塩基配列の10〜250位及び/又は350〜559位の塩基配列の全部又は一部を含む塩基配列、配列番号46に記載の塩基配列の一部であって当該塩基配列の10〜250位及び/又は350〜559位の塩基配列の全部又は一部を含む塩基配列、配列番号47に記載の塩基配列の一部であって当該塩基配列の300〜550位の塩基配列の全部又は一部を含む塩基配列、配列番号48に記載の塩基配列の一部であって当該塩基配列の200〜450位の塩基配列の全部又は一部を含む塩基配列、配列番号49に記載の塩基配列の一部であって当該塩基配列の150〜420位の塩基配列の全部又は一部を含む塩基配列、配列番号50に記載の塩基配列の一部であって当該塩基配列の150〜450位の塩基配列の全部又は一部を含む塩基配列、配列番号51に記載の塩基配列の一部であって当該塩基配列の250〜550位の塩基配列の全部又は一部を含む塩基配列、配列番号52に記載の塩基配列の一部であって当該塩基配列の250〜550位の塩基配列の全部又は一部を含む塩基配列、またはこれらの塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を含むことが好ましい。
【0027】
次に、上記各菌類をLAMP法により検出する場合に好ましく用いられるプライマーセットについて説明する。
【0028】
ビソクラミス属の菌類のうち、ビソクラミス ファルバの28S rDNAのITS領域及びD1/D2領域の塩基配列を配列番号44に示す。ビソクラミス属の菌類を特異的に検出するプライマーの設計するために、配列表の配列番号44に記載の塩基配列のうち、配列表の塩基番号400〜600に含まれる範囲から上記の6つの塩基配列領域を決定するのが好ましい。具体的には、ビソクラミス属の菌類を特異的に検出するために、以下のプライマーセットを用いるのがより好ましい。

ビソクラミス属の菌類検出用プライマーセット(LB1プライマーセット)
LB1F3プライマー:CGGTCCTCGAGCGTATGG(配列番号1)
LB1B3プライマー:CCGTTACTGGGGCAATCC(配列番号2)
LB1FIPプライマー:AGTTAGGTGACCGTGAGGTCGTCTTTGTCACGCGCTCTGG(配列番号3)
LB1BIPプライマー:GGATCAGGTAGGGATACCCGCTGTTGGTTTCTTTTCCTCCGC(配列番号4)

図1に、ビソクラミス属の28S rDNAのITS領域及びD1/D2領域の塩基配列における、上記プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す。
【0029】
ネオサルトリア属の菌類のうち、ネオサルトリア グラブラのβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列を配列番号45に示す。アスペルギルス フミガタスのβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列を配列番号46に示す。ネオサルトリア属の菌類およびアスペルギルス フミガタスを特異的に検出するプライマーの設計するために、配列表の配列番号45及び配列番号46に記載の塩基配列のうち、それぞれ配列表の塩基番号350〜559および配列表の塩基番号10〜250に含まれる範囲から上記の6つの塩基配列領域を決定するのが好ましい。具体的には、ネオサルトリア属の菌類およびアスペルギルス フミガタスを特異的に検出するために、以下のプライマーセットを用いるのがより好ましい。

ネオサルトリア属の菌類およびアスペルギルス フミガタス検出用プライマーセット(LN1プライマーセット)
LN1F3プライマー:GGCAACATCTCACGATCTGA(配列番号5)
LN1B3プライマー:CCCTCAGTGTAGTGACCCTT(配列番号6)
LN1FIPプライマー:ATGGTACCAGGCTCGAGATCGATACTAGGCCAACGGTGACA(配列番号7)
LN1BIPプライマー:GTCCCTTCGGCGAGCTCTTCGTTGTTACCAGCACCAGACT(配列番号8)

ネオサルトリア属の菌類およびアスペルギルス フミガタスを検出するために、上記プライマーに加えてループプライマーを用いるのが好ましい。ループプライマーとしては、以下のプライマーを用いるのが好ましい。

ネオサルトリア属の菌類およびアスペルギルス フミガタス検出用ループプライマー(LN1ループプライマー)
LN1LFループプライマー:ACGGCACGAGGAACATACT(配列番号9)
LN1LBループプライマー:CGATAACTTCGTCTTCGGCC(配列番号10)

図2に、ネオサルトリア グラブラと同じネオサルトリア属のネオサルトリア フィシェリのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における、上記プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す。
【0030】
アスペルギルス フミガタスを検出するために、上記プライマーセットの他に、以下のプライマーセットも用いることができる。

アスペルギルス フミガタス検出用プライマーセット(LAf2プライマーセット)
LAf2F3プライマー:GCCGCTTTCTGGTATGTCT(配列番号11)
LAf2B3プライマー:CGCTTCTTCCTTGTTTTCCG(配列番号12)
LAf2FIPプライマー:CCATGACAGTGAGGCTGAACCCCGGGTGATTGGGATCTCTCA(配列番号13)
LAf2BIPプライマー:ACCATCTCTGGTGAGCATGGCTTTCCGCCGCTTTCTCAA(配列番号14)

アスペルギルス フミガタスを検出するために、上記プライマーに加えてループプライマーを用いるのが好ましい。ループプライマーとしては、以下のプライマーを用いるのが好ましい。

アスペルギルス フミガタス検出用ループプライマー(LAf2ループプライマー)
LAf2LBループプライマー:AGTAAGTTCGACCTATATCCTCCC(配列番号15)

図3に、アスペルギルス フミガタスのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における、上記プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す。
なお、上記プライマーセットを用いた場合、アスペルギルス フミガタスを特異的に検出することはできるが、ネオサルトリア属の菌類を検出することはできない。従って、前記ネオサルトリア属の菌類およびアスペルギルス フミガタス検出用プライマーセット(LN1プライマーセット)と、上記アスペルギルス フミガタス検出用プライマーセット(LAf2プライマーセット)を組み合わせて用いることにより、ネオサルトリア属の菌類とアスペルギルス フミガタスとを識別することができる。
【0031】
ハミゲラ属の菌類のうち、ハミゲラ アベラネアのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列を配列番号47に示す。ハミゲラ属の菌類を特異的に検出するプライマーの設計するために、配列表の配列番号47に記載の塩基配列のうち、配列表の塩基番号300〜550に含まれる範囲から上記の6つの塩基配列領域を決定するのが好ましい。具体的には、ハミゲラ属の菌類を特異的に検出するプライマーとして、以下のプライマーセットを用いるのがより好ましい。

ハミゲラ属の菌類検出用プライマーセット(LH2プライマーセット)
LH2F3プライマー:GGATCCGAATACGACGTGTC(配列番号16)
LH2B3プライマー:CCCTCAGTGTAGTGACCCTT(配列番号17)
LH2FIPプライマー:CATGGTGCCAGGCTCGAGATCCAGGCCAGCGGTAACAAG(配列番号18)
LH2BIPプライマー:CCGGTCCTTTTGGCCAGCTCTGTTACCGGCACCAGACT(配列番号19)

ハミゲラ属の菌類を検出するために、上記プライマーに加えてループプライマーを用いるのが好ましい。ループプライマーとしては、以下のプライマーを用いるのが好ましい。

ハミゲラ属の菌類検出用ループプライマー(LH2ループプライマー)
LH2LFループプライマー:ACGGCACGGGGGACATA(配列番号20)
LH2LBループプライマー:TTCCGCCCAGACAACTTCG(配列番号21)

図4に、ハミゲラ属のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における、上記プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す。
【0032】
タラロマイセス属の菌類のうち、タラロマイセス フラバスのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列を配列番号48に示す。タラロマイセス フラバスを特異的に検出するプライマーの設計するために、配列表の配列番号48に記載の塩基配列のうち、配列表の塩基番号200〜450に含まれる範囲から上記の6つの塩基配列領域を決定するのが好ましい。具体的には、タラロマイセス フラバスを特異的に検出するために、以下のプライマーセットを用いるのがより好ましい。

タラロマイセス フラバス検出用プライマーセット(LTf2プライマーセット)
LTf2F3プライマー:CCAGTTGGAGCGTATGAACG(配列番号22)
LTf2B3プライマー:CCCAGTTGTTACCAGCACCG(配列番号23)
LTf2FIPプライマー:TTGTTGCCGGAGGCCTACACTTTACTTCAACGAGGTGCGT(配列番号24)
LTf2BIPプライマー:CGACTTGGAGCCCGGTACCAAAAGTTGTCGGGACGGAAGA(配列番号25)

タラロマイセス フラバスを検出するために、上記プライマーに加えてループプライマーを用いるのが好ましい。ループプライマーとしては、以下のプライマーを用いるのが好ましい。

タラロマイセス フラバス検出用ループプライマー(LTf2ループプライマー)
LTf2LBループプライマー:GCTGGTCCCTTTGGTCAGC(配列番号26)

図5に、タラロマイセス フラバスのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における、上記プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す。
【0033】
タラロマイセス属の菌類のうち、タラロマイセス ウォルトマニーのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列を配列番号49に示す。タラロマイセス ウォルトマニーを特異的に検出するプライマーの設計するために、配列表の配列番号49に記載の塩基配列のうち、配列表の塩基番号150〜420に含まれる範囲から上記の6つの塩基配列領域を決定するのが好ましい。具体的には、タラロマイセス ウォルトマニーを特異的に検出するために、以下のプライマーセットを用いるのがより好ましい。

タラロマイセス ウォルトマニー検出用プライマーセット(LTw4−3プライマーセット)
LTw4F3プライマー:TGGCTCCGGAATGTGAGTT(配列番号27)
LTw3B3プライマー:CAAATCGACGAGGACGGC(配列番号28)
LTw4FIPプライマー:CGCTCCAACTGGAGGTCGGAAAATTTCGACATCCCACCCT(配列番号29)
LTw3BIPプライマー:GGAATCTGCCCCGCGACATTCCGGGGGACGTACTTGTTG(配列番号30)

タラロマイセス ウォルトマニーを検出するために、上記プライマーに加えてループプライマーを用いるのが好ましい。ループプライマーとしては、以下のプライマーを用いるのが好ましい。

タラロマイセス ウォルトマニー検出用ループプライマー(LTw4−3ループプライマー)
LTw4LFループプライマー:GGTGCCATTGTAACTGGAAATGA(配列番号31)
LTw3LBループプライマー:ACTCATATCGTATAGGCTAGCGG(配列番号32)

図6に、タラロマイセス ウォルトマニーのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における、上記プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す。
【0034】
タラロマイセス属の菌類のうち、タラロマイセス ルテウスのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列を配列番号50に示す。タラロマイセス ルテウスを特異的に検出するプライマーの設計するために、配列表の配列番号50に記載の塩基配列のうち、配列表の塩基番号150〜450に含まれる範囲から上記の6つの塩基配列領域を決定するのが好ましい。具体的には、タラロマイセス ルテウスを特異的に検出するために、以下のプライマーセットを用いるのがより好ましい。

タラロマイセス ルテウス検出用プライマーセット(LTl1プライマーセット)
LTl1F3プライマー:CGAATCACCACTGATGGGAA(配列番号33)
LTl1B3プライマー:GAAGAGCTGACCGAAAGGAC(配列番号34)
LTl1FIPプライマー:TTCGTGCTGTCGGTCGGTAATGTTCCGACCTCCAGTTAGAGC(配列番号35)
LTl1BIPプライマー:TAGGCTAGCGGCAACAAGTACGATAGTACCGGGCTCCAGATC(配列番号36)

タラロマイセス ルテウスを検出するために、上記プライマーに加えてループプライマーを用いるのが好ましい。ループプライマーとしては、以下のプライマーを用いるのが好ましい。

タラロマイセス ルテウス検出用ループプライマー(LTl1ループプライマー)
LTl1LFループプライマー:ACCTCGTTGAAATAGACGTTCA(配列番号37)

図7に、タラロマイセス ルテウスのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における、上記プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す。
【0035】
タラロマイセス属の菌類のうち、タラロマイセス フラバスの28S rDNAのITS領域及びD1/D2領域の塩基配列を配列番号51に、タラロマイセス トラキスパーマムの28S rDNAのITS領域及びD1/D2領域の塩基配列を配列番号52に示す。タラロマイセス フラバスおよびタラロマイセス トラキスパーマムを特異的に検出するプライマーの設計するために、配列表の配列番号51および配列番号52に記載の塩基配列のうち、それぞれ配列表の塩基番号250〜550に含まれる範囲から上記の6つの塩基配列領域を決定するのが好ましい。具体的には、タラロマイセス フラバスおよびタラロマイセス トラキスパーマムを特異的に検出するために、以下のプライマーセットを用いるのがより好ましい。

タラロマイセス フラバスおよびタラロマイセス トラキスパーマム検出用プライマーセット(LT1プライマーセット)
LT1F3プライマー:GCGTCATTTCTGCCCTCAA(配列番号38)
LT1B3プライマー:AGTTCAGCGGGTAACTCCT(配列番号39)
LT1FIPプライマー:TACGCTCGAGGACCAGACGGCGGCTTGTGTGTTGGGTG(配列番号40)
LT1BIPプライマー:TCTGTCACTCGCTCGGGAAGGACCTGATCCGAGGTCAACC(配列番号41)

タラロマイセス フラバスおよびタラロマイセス トラキスパーマムを検出するために、上記プライマーに加えてループプライマーを用いるのが好ましい。ループプライマーとしては、以下のプライマーを用いるのが好ましい。

タラロマイセス フラバスおよびタラロマイセス トラキスパーマム検出用ループプライマー(LT1ループプライマー)
LT1LFループプライマー:GCTGCCTTTTGGGCAGGTC(配列番号42)
LT1LBループプライマー:TGGTCACACCACTATATTTTACCAC(配列番号43)

図8、図9及び図9−1に、タラロマイセス フラバスおよびタラロマイセス トラキスパーマムの28S rDNAのITS領域及びD1/D2領域の塩基配列における、上記プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す。
【0036】
本発明のビソクラミス属の菌類検出用プライマーセットは、LAMP法で検出するのに用いるプライマーセットであって、配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号3に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーとを含むことを特徴とする。このプライマーセットを用いることにより、ビソクラミス属の菌類の28S rDNAのITS領域及びD1/D2領域の標的領域のDNA断片をLAMP法により特異的、迅速かつ高感度に増幅することができる。このため、当該DNA断片の増幅が確認された場合には、検体中にビソクラミス属の菌類が存在すると判断できる。
【0037】
本発明のネオサルトリア属の菌類およびアスペルギルス フミガタス検出用プライマーセットは、LAMP法で検出するのに用いるプライマーセットであって、配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号6に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号7に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーとを含むことを特徴とし、このプライマーセットは、配列番号9及び配列番号10に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーをさらに含むことが好ましい。このプライマーセットを用いることにより、ネオサルトリア属の菌類およびアスペルギルス フミガタスのβ−チューブリン遺伝子の標的領域のDNA断片をLAMP法により特異的、迅速かつ高感度に増幅することができる。このため、当該DNA断片の増幅が確認された場合には、検体中にネオサルトリア属の菌類および/またはアスペルギルス フミガタスが存在すると判断できる。
【0038】
本発明のアスペルギルス フミガタス検出用プライマーセットは、LAMP法で検出するのに用いるプライマーセットであって、配列番号11に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号13に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号14に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーとを含むことを特徴とし、このプライマーセットは、配列番号15に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーをさらに含むことが好ましい。このプライマーセットを用いることにより、アスペルギルス フミガタスのβ−チューブリン遺伝子の標的領域のDNA断片をLAMP法により特異的、迅速かつ高感度に増幅することができる。このため、当該DNA断片の増幅が確認された場合には、検体中にアスペルギルス フミガタスが存在すると判断できる。
【0039】
本発明のハミゲラ属の菌類検出用プライマーセットは、LAMP法で検出するのに用いるプライマーセットであって、配列番号16に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号17に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号18に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号19に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーとを含むことを特徴とし、このプライマーセットは、配列番号20及び配列番号21に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーをさらに含むことが好ましい。このプライマーセットを用いることにより、ハミゲラ属の菌類のβ−チューブリン遺伝子の標的領域のDNA断片をLAMP法により特異的、迅速かつ高感度に増幅することができる。このため、当該DNA断片の増幅が確認された場合には、検体中にハミゲラ属の菌類が存在すると判断できる。
【0040】
本発明のタラロマイセス フラバス検出用プライマーセットは、LAMP法で検出するのに用いるプライマーセットであって、配列番号22に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号23に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号24に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号25に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーとを含むことを特徴とし、このプライマーセットは、配列番号26に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーをさらに含むことが好ましい。このプライマーセットを用いることにより、タラロマイセス フラバスのβ−チューブリン遺伝子の標的領域のDNA断片をLAMP法により特異的、迅速かつ高感度に増幅することができる。このため、当該DNA断片の増幅が確認された場合には、検体中にタラロマイセス フラバスが存在すると判断できる。
【0041】
本発明のタラロマイセス ウォルトマニー検出用プライマーセットは、LAMP法で検出するのに用いるプライマーセットであって、配列番号27に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号28に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号29に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号30に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーとを含むことを特徴とし、このプライマーセットは、配列番号31および配列番号32に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーをさらに含むことが好ましい。このプライマーセットを用いることにより、タラロマイセス ウォルトマニーのβ−チューブリン遺伝子の標的領域のDNA断片をLAMP法により特異的、迅速かつ高感度に増幅することができる。このため、当該DNA断片の増幅が確認された場合には、検体中にタラロマイセス ウォルトマニーが存在すると判断できる。
【0042】
本発明のタラロマイセス ルテウス検出用プライマーセットは、LAMP法で検出するのに用いるプライマーセットであって、配列番号33に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号34に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号35に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号36に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーとを含むことを特徴とし、このプライマーセットは、配列番号37に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーをさらに含むことが好ましい。このプライマーセットを用いることにより、タラロマイセス ルテウスのβ−チューブリン遺伝子の標的領域のDNA断片をLAMP法により特異的、迅速かつ高感度に増幅することができる。このため、当該DNA断片の増幅が確認された場合には、検体中にタラロマイセス ルテウスが存在すると判断できる。
【0043】
本発明のタラロマイセス フラバスおよびタラロマイセス トラキスパーマム検出用プライマーセットは、LAMP法で検出するのに用いるプライマーセットであって、配列番号38に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号39に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号40に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号41に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーとを含むことを特徴とし、このプライマーセットは、配列番号42および配列番号43に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーをさらに含むことが好ましい。このプライマーセットを用いることにより、タラロマイセス フラバスおよびタラロマイセス トラキスパーマムの28S rDNAのITS領域及びD1/D2領域の標的領域のDNA断片をLAMP法により特異的、迅速かつ高感度に増幅することができる。このため、当該DNA断片の増幅が確認された場合には、検体中にタラロマイセス フラバスおよび/またはタラロマイセス トラキスパーマムが存在すると判断できる。
【0044】
上記プライマーセットを構成する各アウタープライマーは、標的領域のDNA断片を増幅するために、LAMP法のみでなく、PCR法にも使用できる。PCR法では、上記プライマーを用いて、検体中のβ−チューブリン遺伝子または28S rDNAのITS領域及びD1/D2領域を鋳型に耐熱性のDNAポリメラーゼでPCRを行えば、目的とするDNA断片を増幅させることが可能である。
【0045】
本発明で用いることができるプライマーは、配列番号1から43のいずれかで示される塩基配列に対して70%以上の相同性を有する塩基配列からなるオリゴヌクレオチドであってもよく、相同性が75%以上であることがさらに好ましく、相同性が80%以上であることがさらに好ましく、相同性が85%以上であることがさらに好ましく、相同性が90%以上であることがさらに好ましく、相同性が95%以上であることが特に好ましい。また、本発明で用いることができるプライマーには、配列番号1から43のいずれかで示される塩基配列において1または数個、好ましくは1から5個、より好ましくは1から4個、さらに好ましくは1から3個、よりさらに好ましくは1から2個、特に好ましくは1個の塩基の欠失、挿入あるいは置換といった変異や、修飾された塩基配列からなるオリゴヌクレオチドも包含される。また、配列番号1から43のいずれかで示される塩基配列に、適当な塩基配列を付加してもよい。塩基配列の相同性については、Lipman−Pearson法(Science,227,1435,1985)等によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx−Win(ソフトウェア開発製)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、パラメーターであるUnit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出することができる。
【0046】
本発明の耐熱性菌類検出用オリゴヌクレオチドは、耐熱性菌類のβ−チューブリン遺伝子または28S rDNAのITS領域及びD1/D2領域の塩基配列から選択される標的領域の5’側から、塩基配列領域としてF3、F2及びF1を選択し、前記標的領域の3’側から、塩基配列領域としてB3c、B2c及びB1cを選択し、前記B3c、B2c及びB1cの相補的塩基配列を、それぞれB3、B2及びB1とし、前記F3、F2及びF1に相補的な塩基配列を、それぞれF3c、F2c及びF1cとしたとき、以下の(a)〜(f)のいずれかに該当する塩基配列からなるオリゴヌクレオチドであることが好ましい。
(a)前記B2領域を3’側に有し、前記B1c領域を5’側に有する塩基配列
(b)前記B3領域を有する塩基配列
(c)前記F2領域を3’側に有し、前記F1c領域を5’側に有する塩基配列
(d)前記F3領域を有する塩基配列
(e)前記B1領域と前記B2領域の間の部分と相補的な配列を有する塩基配列
(f)前記F1領域と前記F2領域の間の部分と相補的な配列を有する塩基配列
本発明のオリゴヌクレオチドは、LAMP法で用いられるプライマーとしてだけではなく、PCR法等のプライマー、核酸検出用プローブなどとしても用いることができる。
【0047】
上記プライマーまたはオリゴヌクレオチドの結合様式は、天然の核酸に存在するホスホジエステル結合だけでなく、例えばホスホロアミデート結合、ホスホロチオエート結合等であってもよい。
【0048】
標的領域のDNA断片の増幅に用いられる酵素は、通常用いられるものであれば特に制限はない。前記標的領域のDNA断片をLAMP法によって増幅させる場合には、鎖置換活性を有する鋳型依存性核酸合成酵素が好ましい。このような酵素としては、Bst DNAポリメラーゼ(ラージフラグメント)、Bca(exo−)DNAポリメラーゼ、大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント等が挙げられ、好ましくはBst DNAポリメラーゼ(ラージフラグメント)が挙げられる。本発明に用いることができる酵素は、ウイルスや細菌等から精製されたものでもよく、遺伝子組換え技術によって作製されたものでもよい。またこれらの酵素はフラグメント化やアミノ酸の置換等の改変をされたものでもよい。
【0049】
標的領域のDNA断片を増幅させるときの温度に特に制限はないが、60〜65℃であることが好ましい。
【0050】
本発明において使用される検体としては特に制限はなく、飲食品自体、飲食品の原材料、単離菌体、培養菌体等を用いることができる。
検体からDNAを調製する方法としては、耐熱性菌類の検出を行うのに十分な精製度および量のDNAが得られるのであれば特に制限されず、未精製の状態でも使用できるが、さらに分離、抽出、濃縮、精製等の前処理をして使用することもできる。例えば、フェノール及びクロロホルム抽出を行って精製したり、市販の抽出キットを用いて精製して、核酸の純度を高めて使用することができる。
【0051】
標的領域のDNA断片の増幅は通常の方法により確認することができる。前記標的領域のDNA断片をLAMP法によって増幅させる場合には、例えば、増幅された塩基配列を特異的に認識する標識オリゴヌクレオチドをプローブに用いてハイブリダイゼーションを行ったり、蛍光性インターカレーター法(特開2001−242169号公報)で検出したり、あるいは、反応終了後の反応液をそのままアガロースゲルで電気泳動してバンドとして検出することもできる。アガロースゲル電気泳動では、LAMP増幅産物は、塩基長の異なる多数のバンドがラダー(はしご)状に検出される。
また、LAMP法では核酸の合成により基質が大量に消費され、副産物であるピロリン酸イオンが、共存するマグネシウムイオンと反応してピロリン酸マグネシウムが算出される。ピロリン酸マグネシウムが算出されると、反応液が肉眼で確認できる程度にまで白濁する。この白濁を指標として、反応終了後あるいは反応中の濁度上昇を経時的に光学的に観察できる測定機器を用いて検出できる。例えば、分光光度計を用いて400nmにおける吸光度の変化を確認することによって、核酸の増幅反応を検出することができる(国際公開第01/83817号パンフレット)。
【0052】
本発明のプライマーを用いて標的領域のDNA断片の増幅を行う際に必要な各種の試薬類は、予めパッケージングしてキット化することができる。本発明のキットには、上記プライマーセットまたはオリゴヌクレオチドと、DNAポリメラーゼと、dATP、dCTP、dGTP及びdTTPを含むdNTPとを含有する。好ましくは、本発明のプライマー、ループプライマーとして必要な各種のオリゴヌクレオチド、核酸合成の基質となる4種類のdNTP(dATP、dCTP、dGTP及びdTTP)、鎖置換活性を有する鋳型依存性核酸合成酵素などのDNAポリメラーゼと、酵素反応に好適な条件を与える緩衝液、補助因子としての塩類(マグネシウム塩又はマンガン塩等)、酵素や鋳型を安定化する保護剤、さらに必要に応じて反応生成物の検出に必要な試薬類がキットとして含有される。本発明のキットには、本発明のプライマーによってLAMP反応が正常に進行することを確認するための陽性対照(ポジティブコントロール)を含んでいてもよい。陽性対照としては、例えば、本発明のプライマーにより増幅される領域を含んだDNAが挙げられる。
【0053】
本発明の方法によれば、検体の調製工程から菌類の検出工程までを約60〜120分という短時間で行うことが可能である。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0055】
実施例1 ビソクラミス属の菌類の検出
(1)プライマーの設計及び合成
シークエンシング法により決定した各種菌類(パエシロマイセス バリオッティー、ハミゲラ アベラネラ、タラロマイセス フラバス、タラロマイセス ルテウス、タラロマイセス トラキスパーマム、ビソクラミス ニベア、ビソクラミス フルバ、ネオサルトリア フィシェリ)の28SrDNAのITS領域及びD1/D2領域の塩基配列情報をもとに、DNA解析ソフトウエア(商品名:DNAsis pro、日立ソフトウエア社製)を用いてアライメント解析を行い、ビソクラミス属の菌類に特異的な塩基配列を特定した。特定した塩基配列をもとに、配列番号1〜4の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーを設計し、E Genome order(株式会社富士通システムソリューションズ、配列番号1,2;5pmolスケール、配列番号3,4;40pmolスケール;全てカラム精製品)に合成依頼し、購入した。
【0056】
(2)検体の調製
ビソクラミス属の菌類としては、ビソクラミス ファルバおよびビソクラミス ニベアを使用した。ビソクラミス属の菌類の28SrDNAのITS領域及びD1/D2領域に対する配列番号1〜4の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーの特異性を確かめるために、表1に示す菌類も使用した。これらの菌類は千葉大学医学部真菌医学研究センターが保管し、IFMナンバーなどにより管理されているものを入手し、使用した。
各菌体を至適条件下で培養した。培養条件についてはポテトデキストロース培地(商品名:パールコア ポテトデキストロース寒天培地、栄研化学株式会社製)を用いて25℃で7日間培養した。
【0057】
【表1】

【0058】
(3)ゲノムDNAの調製
ゲノムDNA調製用キット(商品名 PrepMan ultra、アプライドバイオ社製)を用いて、菌体からゲノムDNA溶液を調製した。具体的には、各培地から数個のコロニーを採取し、キットの付属試薬200μlに菌体を懸濁し、100℃、10分間の加熱処理で菌体を溶解させ、14800rpmで5分間遠心分離した後、上清を回収した。得られたゲノムDNA溶液の濃度を50ng/μlに調製した。このゲノムDNA溶液を鋳型DNAとして、以下のLAMP反応に用いた。
【0059】
(4)LAMP反応のための反応液調製
2x Reaction Mix(Tris−HCl(pH8.8) 40mM、KCl 20mM、MgSO16mM、(NHSO20mM、0.2%Tween20、Betaine 1.6M、dNTPs 2.8mM:栄研化学株式会社製;Loopamp DNA増幅試薬キット)12.5μl、配列番号1で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LB1F3プライマー:5pmol/μl)1μl、配列番号2で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LB1B3プライマー:5poml/μl)1μl、配列番号3で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LB1FIPプライマー:40pmol/μl)1μl、配列番号4で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LB1BIPプライマー:40pmol/μl)1μl、Bst DNA Polymerase(8U/25μL、栄研化学株式会社製)1μl、および上記で調製した鋳型DNA 1μlを混合し、蒸留水を加えて全量25μlの反応液とした。
【0060】
(5)LAMP反応
上記で調製した反応液を、リアルタイム濁度測定装置Loopamp RT−160C(栄研化学株式会社製)にて、63±2℃で60分間DNAの増幅反応を行った。同時に反応液の濁度を測定した(波長:400nm)。
【0061】
(6)DNA増幅確認
DNAの増幅の有無は、反応液の濁度が上昇しているかによって判断した。反応液の濁度の測定結果を、図10(a)及び図10(b)に示す。なお、図10(a)は表1の試料番号1〜8、図10(b)は表1の試料番号9〜16の結果を示す。
その結果、ビソクラミス属の菌類のゲノムDNAを鋳型とした系のみで、反応開始30分後から濁度の上昇、すなわちDNAの合成・増幅反応が認められた。濁度の上昇は反応開始後60〜70分後にピークとなりその後穏やかに下降した。
一方、ビソクラミス属以外の菌類のゲノムDNAを用いた系では、反応開始後90分までの間、反応液の濁度の上昇は認められなかった。なお、反応開始100分前後から、ビソクラミス属以外の菌類のゲノムDNAを用いた系においても反応液の濁度上昇が観察されたが、これはプライマー同士が反応して増幅してしまうこと、または、反応時間が長くなるにつれて標的配列以外の配列にも少数のプライマーがアニールしてしまうこと等が原因であると考えられる。
以上の結果から、本発明の方法によれば、簡便、迅速かつ特異的にビソクラミス属の菌類を検出することが可能である。
【0062】
実施例2 ネオサルトリア属の菌類及びアスペルギルス・フミガタスの検出
(1)プライマーの設計及び合成
シークエンシング法により決定した各種菌類(ネオサルトリア フィシェリ、ネオサルトリア・グラブラ、パエシロマイセス バリオッティー、ハミゲラ アベラネラ、タラロマイセス フラバス、タラロマイセス ルテウス、タラロマイセス トラキスパーマム、ビソクラミス ニベア、ビソクラミス フルバ)のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列情報をもとに、DNA解析ソフトウエア(商品名:DNAsis pro、日立ソフトウエア社製)を用いてアライメント解析を行い、ネオサルトリア属の菌類およびアスペルギルス・フミガタスに特異的な塩基配列を特定した。特定した塩基配列をもとに、配列番号5〜10の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーを設計し、E Genome order(株式会社富士通システムソリューションズ、配列番号5,6;5pmolスケール、配列番号7,8;40pmolスケール、配列番号9,10;20pmolスケール;全てカラム精製品)に合成依頼し、購入した。
【0063】
(2)検体の調製
ネオサルトリア属の菌類およびアスペルギルス フミガタスとしては、表2および表2−1に記載の菌類を使用した。これらの菌類のβ−チューブリン遺伝子に対する配列番号5〜10の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーの特異性を確かめるために、表2および表2−1に示す菌類も使用した。これらの菌類は千葉大学医学部真菌医学研究センターが保管し、IFMナンバーなどにより管理されているものを入手し、使用した。
各菌体を至適条件下で培養した。培養条件についてはポテトデキストロース培地(商品名:パールコア ポテトデキストロース寒天培地、栄研化学株式会社製)を用いて25℃で7日間培養した。
【0064】
【表2】

【0065】
【表2−1】

【0066】
(3)ゲノムDNAの調製
ゲノムDNA調製用キット(商品名 PrepMan ultra、アプライドバイオ社製)を用いて、菌体からゲノムDNA溶液を調製した。具体的には、各培地から数個のコロニーを採取し、キットの付属試薬200μlに菌体を懸濁し、100℃、10分間の加熱処理で菌体を溶解させ、14800rpmで5分間遠心分離した後、上清を回収した。得られたゲノムDNA溶液の濃度を50ng/μlに調製した。このゲノムDNA溶液を鋳型DNAとして、以下のLAMP反応に用いた。
【0067】
(4)LAMP反応のための反応液調製
2x Reaction Mix(Tris−HCl(pH8.8) 40mM、KCl 20mM、MgSO16mM、(NHSO20mM、0.2%Tween20、Betaine 1.6M、dNTPs 2.8mM:栄研化学株式会社製;Loopamp DNA増幅試薬キット)12.5μl、配列番号5で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LN1F3プライマー:5pmol/μl)1μl、配列番号6で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LN1B3プライマー:5pmol/μl)1μl、配列番号7で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LN1FIPプライマー:40pmol/μl)1μl、配列番号8で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LN1BIPプライマー:40pmol/μl)1μl、配列番号9で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LN1LFループプライマー:20pmol/μl)1μl、配列番号10で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LN1LBループプライマー:20pmol/μl)1μl、Bst DNA Polymerase(8U/25μL、栄研化学株式会社製)1μl、および上記で調製した鋳型DNA 1μlを混合し、蒸留水を加えて全量25μlの反応液とした。
【0068】
(5)LAMP反応
上記で調製した反応液を、リアルタイム濁度測定装置Loopamp RT−160C(栄研化学株式会社製)にて、63±2℃で60分間DNAの増幅反応を行った。同時に反応液の濁度を測定した(波長:400nm)。
【0069】
(6)DNA増幅確認
DNAの増幅の有無は、反応液の濁度が上昇しているかによって判断した。反応液の濁度の測定結果を、図11および図11−1に示す。
その結果、ネオサルトリア属の菌類(ネオサルトリア・スピノサ、ネオサルトリア・ヒラツカエ、ネオサルトリア・フィシェリ、ネオサルトリア・グラブラ)及びアスペルギルス・フミガタスのゲノムDNAを鋳型とした系のみで、反応開始20分前後から濁度の上昇、すなわちDNAの合成・増幅反応が認められた。
一方、その他の菌類のゲノムDNAを用いた系では、反応開始後50分までの間、反応液の濁度の上昇は認められなかった。なお、反応開始60分前後から、ネオサルトリア属の菌類及びアスペルギルス・フミガタス以外のゲノムDNAを用いた系においても反応液の濁度上昇が観察されたが、これはプライマー同士が反応して増幅してしまうこと、または、反応時間が長くなるにつれて標的配列以外の配列にも少数のプライマーがアニールしてしまうこと等が原因であると考えられる。
以上の結果から、本発明の方法によれば、簡便、迅速かつ特異的にネオサルトリア属の菌類及びアスペルギルス・フミガタスを検出することが可能である。
【0070】
実施例3 ハミゲラ属の菌類の検出
(1)プライマーの設計及び合成
シークエンシング法により決定した各種菌類(パエシロマイセス バリオッティー、ハミゲラ アベラネラ、タラロマイセス フラバス、タラロマイセス ルテウス、タラロマイセス トラキスパーマム、ビソクラミス ニベア、ビソクラミス フルバ、ネオサルトリア フィシェリ)のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列情報をもとに、DNA解析ソフトウエア(商品名:DNAsis pro、日立ソフトウエア社製)を用いてアライメント解析を行い、ハミゲラ属の菌類に特異的な塩基配列を特定した。特定した塩基配列をもとに、配列番号16〜21の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーを設計し、E Genome order(株式会社富士通システムソリューションズ、配列番号16,17;5pmolスケール、配列番号18,19;40pmolスケール、配列番号20,21;20pmolスケール;全てカラム精製品)に合成依頼し、購入した。
【0071】
(2)検体の調製
ハミゲラ属の菌類としては、表3に記載のハミゲラ アベラネア(Hamigera avellanea)を使用した。これらの菌類のβ−チューブリン遺伝子に対する配列番号16〜21の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーのハミゲラ属の菌類特異性を示すために、表3に示す他の菌類も使用した。これらの菌類は千葉大学医学部真菌医学研究センターが保管し、IFMナンバーなどにより管理されているものを入手し、使用した。
各菌体を至適条件下で培養した。培養条件についてはポテトデキストロース培地(商品名:パールコア ポテトデキストロース寒天培地、栄研化学株式会社製)を用いて25℃で7日間培養した。
【0072】
【表3】

【0073】
(3)ゲノムDNAの調製
ゲノムDNA調製用キット(商品名 PrepMan ultra、アプライドバイオ社製)を用いて、菌体からゲノムDNA溶液を調製した。具体的には、各培地から数個のコロニーを採取し、キットの付属試薬200μlに菌体を懸濁し、100℃、10分間の加熱処理で菌体を溶解させ、14800rpmで5分間遠心分離した後、上清を回収した。得られたゲノムDNA溶液の濃度を50ng/μlに調製した。このゲノムDNA溶液を鋳型DNAとして、以下のLAMP反応に用いた。
【0074】
(4)LAMP反応のための反応液調製
2x Reaction Mix(Tris−HCl(pH8.8) 40mM、KCl 20mM、MgSO16mM、(NHSO20mM、0.2%Tween20、Betaine 1.6M、dNTPs 2.8mM:栄研化学株式会社製;Loopamp DNA増幅試薬キット)12.5μl、配列番号16で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LH2F3プライマー:5pmol/μl)1μl、配列番号17で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LH2B3プライマー:5pmol/μl)1μl、配列番号18で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LH2FIPプライマー:40pmol/μl)1μl、配列番号19で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LH2BIPプライマー:40pmol/μl)1μl、配列番号20で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LH2LFループプライマー:20pmol/μl)1μl、配列番号21で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LH2LBループプライマー:20pmol/μl)1μl、Bst DNA Polymerase(8U/25μL、栄研化学株式会社製)1μl、および上記で調製した鋳型DNA 1μlを混合し、蒸留水を加えて全量25μlの反応液とした。
【0075】
(5)LAMP反応
上記で調製した反応液を、リアルタイム濁度測定装置Loopamp RT−160C(栄研化学株式会社製)にて、63±2℃で60分間DNAの増幅反応を行った。同時に反応液の濁度を測定した(波長:400nm)。
【0076】
(6)DNA増幅確認
DNAの増幅の有無は、反応液の濁度が上昇しているかによって判断した。反応液の濁度の測定結果を、図12に示す。
その結果、ハミゲラ属の菌類(ハミゲラ アベラネア)のゲノムDNAを鋳型とした系のみで、反応開始25分前後から濁度の上昇、すなわちDNAの合成・増幅反応が認められた。
一方、ハミゲラ属以外の菌類のゲノムDNAを用いた系では、反応開始後100分までの間、反応液の濁度の上昇は認められなかった。なお、反応開始110分前後から、ハミゲラ属以外の菌類のゲノムDNAを用いた系においても反応液の濁度上昇が観察されたが、これはプライマー同士が反応して増幅してしまうこと、または、反応時間が長くなるにつれて標的配列以外の配列にも少数のプライマーがアニールしてしまうこと等が原因であると考えられる。
以上の結果から、本発明の方法によれば、簡便、迅速かつ特異的にハミゲラ属の菌類を検出することが可能である。
【0077】
実施例4 アスペルギルス・フミガタスの検出(ネオサルトリア属の菌類とアスペルギルス・フミガタスの識別)
(1)プライマーの設計及び調整
シークエンシング法により決定した各種菌類(アスペルギルス・フミガタス、ネオサルトリア フィシェリ、ネオサルトリア スピノサ)のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列情報をもとに、DNA解析ソフトウエア(商品名:DNAsis pro、日立ソフトウエア社製)を用いてアライメント解析を行い、アスペルギルス・フミガタスに特異的な塩基配列を特定した。特定した塩基配列をもとに、配列番号11〜15の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーを設計し、E Genome order(株式会社富士通システムソリューションズ、配列番号11,12;5pmolスケール、配列番号13,14;40pmolスケール、配列番号15;20pmolスケール;全てカラム精製品)に合成依頼し、購入した。
【0078】
(2)検体の調製
ネオサルトリア属に属する菌類およびアスペルギルス・フミガタスとしては、表4に記載の菌類を使用した。これらの菌類は千葉大学医学部真菌医学研究センターが保管し、IFMナンバーなどにより管理されているものを入手し、使用した。
各菌体を至適条件下で培養した。培養条件についてはポテトデキストロース培地(商品名:パールコア ポテトデキストロース寒天培地、栄研化学株式会社製)を用いて25℃で7日間培養した。
【0079】
【表4】

【0080】
(3)ゲノムDNAの調製
ゲノムDNA調製用キット(商品名 PrepMan ultra、アプライドバイオ社製)を用いて、菌体からゲノムDNA溶液を調製した。具体的には、各培地から数個のコロニーを採取し、キットの付属試薬200μlに菌体を懸濁し、100℃、10分間の加熱処理で菌体を溶解させ、14800rpmで5分間遠心分離した後、上清を回収した。得られたゲノムDNA溶液の濃度を50ng/μlに調製した。このゲノムDNA溶液を鋳型DNAとして、以下のLAMP反応に用いた。
【0081】
(4)LAMP反応のための反応液調製
2x Reaction Mix(Tris−HCl(pH8.8) 40mM、KCl 20mM、MgSO 16mM、(NHSO 20mM、0.2%Tween20、Betaine 1.6M、dNTPs 2.8mM:栄研化学株式会社製;Loopamp DNA増幅試薬キット)12.5μl、配列番号11で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LAf2F3プライマー:5pmol/μl)1μl、配列番号12で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LAf2B3プライマー:5pmol/μl)1μl、配列番号13で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LAf2FIPプライマー:40pmol/μl)1μl、配列番号14で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LAf2BIPプライマー:40pmol/μl)1μl、配列番号15で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LAf2LBループプライマー:20pmol/μl)1μl、Bst DNA Polymerase((8U/25μL)栄研化学株式会社製)1μl、鋳型DNA 1μl、及び蒸留水で全量を25μlに調製した。
【0082】
(5)LAMP反応
上記で調製した反応液を、リアルタイム濁度測定装置Loopamp RT−160C(栄研化学株式会社製)にて、63±2℃で60分間DNAの増幅反応を行った。同時に反応液の濁度を測定した(波長:400nm)。
【0083】
(6)DNA増幅確認
DNAの増幅の有無は、反応液の濁度が上昇しているかによって判断した。反応液の濁度の測定結果を、図13に示す。
その結果、アスペルギルス・フミガタスのゲノムDNAを鋳型とした系のみで、反応開始45分前後から濁度の上昇、すなわちDNAの合成・増幅反応が認められた。
一方、ネオサルトリア属の菌類のゲノムDNAを用いた系では、反応開始後90分までの間、反応液の濁度の上昇は認められなかった。なお、反応開始100分前後から、ネオサルトリア属の菌類のゲノムDNAを用いた系においても反応液の濁度上昇が観察されたが、これはプライマー同士が反応して増幅してしまうこと、または、反応時間が長くなるにつれて標的配列以外の配列にも少数のプライマーがアニールしてしまうこと等が原因であると考えられる。
以上の結果から、本発明の方法によれば、簡便、迅速かつ特異的にアスペルギルス・フミガタスを同定することが可能である。
また、本実施例のアスペルギルス・フミガタスの検出方法と、実施例2に示した配列番号5〜10で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーを用いた方法とを組合わせることで、ネオサルトリア属の菌類とアスペルギルス・フミガタスとを識別することも可能となる。
【0084】
実施例5 タラロマイセス・フラバスの検出
(1)プライマーの設計及び合成
シークエンシング法により決定した各種菌類(パエシロマイセス バリオッティー、ハミゲラ アベラネラ、タラロマイセス フラバス、タラロマイセス ルテウス、タラロマイセス トラキスパーマム、ビソクラミス ニベア、ビソクラミス フルバ、ネオサルトリア フィシェリ)のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列情報をもとに、DNA解析ソフトウエア(商品名:DNAsis pro、日立ソフトウエア社製)を用いてアライメント解析を行い、タラロマイセス・フラバスに特異的な塩基配列を特定した。特定した塩基配列をもとに、配列番号22〜26の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーを設計し、E Genome order(株式会社富士通システムソリューションズ、配列番号22,23;5pmolスケール、配列番号24,25;40pmolスケール、配列番号26;20pmolスケール;全てカラム精製品)に合成依頼し、購入した。
【0085】
(2)検体の調製
表5に記載のタラロマイセス・フラバスを使用した。タラロマイセス・フラバスのβ−チューブリン遺伝子に対する配列番号22〜26の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーの特異性を示すために、表5に示す他の菌類も使用した。これらの菌類は千葉大学医学部真菌医学研究センターが保管し、IFMナンバーなどにより管理されているものを入手し、使用した。
各菌体を至適条件下で培養した。培養条件についてはポテトデキストロース培地(商品名:パールコア ポテトデキストロース寒天培地、栄研化学株式会社製)を用いて25℃で7日間培養した。
【0086】
【表5】

【0087】
(3)ゲノムDNAの調製
ゲノムDNA調製用キット(商品名 PrepMan ultra、アプライドバイオ社製)を用いて、菌体からゲノムDNA溶液を調製した。具体的には、各培地から数個のコロニーを採取し、キットの付属試薬200μlに菌体を懸濁し、100℃、10分間の加熱処理で菌体を溶解させ、14800rpmで5分間遠心分離した後、上清を回収した。得られたゲノムDNA溶液の濃度を50ng/μlに調製した。このゲノムDNA溶液を鋳型DNAとして、以下のLAMP反応に用いた。
【0088】
(4)LAMP反応のための反応液調製
2x Reaction Mix(Tris−HCl(pH8.8) 40mM、KCl 20mM、MgSO 16mM、(NHSO 20mM、0.2%Tween20、Betaine 1.6M、dNTPs 2.8mM:栄研化学株式会社製;Loopamp DNA増幅試薬キット)12.5μl、配列番号22で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LTf2F3プライマー:5pmol/μl)1μl、配列番号23で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LTf2B3プライマー:5pmol/μl)1μl、配列番号24で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LTf2FIPプライマー:40pmol/μl)1μl、配列番号25で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LTf2BIPプライマー:40pmol/μl)1μl、配列番号26で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LTf2LBループプライマー:20pmol/μl)1μl、Bst DNA Polymerase(8U/25μL、栄研化学株式会社製)1μl、および上記で調製した鋳型DNA 1μlを混合し、蒸留水を加えて全量25μlの反応液とした。
【0089】
(5)LAMP反応
上記で調製した反応液を、リアルタイム濁度測定装置Loopamp RT−160C(栄研化学株式会社製)にて、63±2℃で60分間DNAの増幅反応を行った。同時に反応液の濁度を測定した(波長:400nm)。
【0090】
(6)DNA増幅確認
DNAの増幅の有無は、反応液の濁度が上昇しているかによって判断した。反応液の濁度の測定結果を、図14(a)及び図14(b)に示す。なお、図14(a)は表5の試料番号1〜8、図14(b)は表5の試料番号9〜16の結果を示す。
その結果、タラロマイセス・フラバスのゲノムDNAを鋳型とした系のみで、反応開始30分前後から濁度の上昇、すなわちDNAの合成・増幅反応が認められた。
一方、タラロマイセス・フラバス以外の菌類のゲノムDNAを用いた系では、反応開始後70分までの間、反応液の濁度の上昇は認められなかった。なお、反応開始80分前後から、タラロマイセス・フラバス以外の菌類のゲノムDNAを用いた系においても反応液の濁度上昇が観察されたが、これはプライマー同士が反応して増幅してしまうこと、または、反応時間が長くなるにつれて標的配列以外の配列にも少数のプライマーがアニールしてしまうこと等が原因であると考えられる。
以上の結果から、本発明の方法によれば、タラロマイセス・フラバスのDNAのみが増幅され、かつ増幅による濁度の上昇が顕著な反応開始60分前後の時点までの反応液の濁度を計測することで、簡便かつ迅速にタラロマイセス・フラバスを検出することが可能である。
【0091】
実施例6 タラロマイセス・ウォルトマニーの検出
(1)プライマーの設計及び合成
シークエンシング法により決定した各種菌類(タラロマイセス ウォルトマンニー、パエシロマイセス バリオッティー、ハミゲラ アベラネラ、タラロマイセス フラバス、タラロマイセス ルテウス、タラロマイセス トラキスパーマム、ビソクラミス ニベア、ビソクラミス フルバ、ネオサルトリア フィシェリ)のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列情報をもとに、DNA解析ソフトウエア(商品名:DNAsis pro、日立ソフトウエア社製)を用いてアライメント解析を行い、タラロマイセス・ウォルトマニーに特異的な塩基配列を特定した。特定した塩基配列をもとに、配列番号27〜32の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーを設計し、E Genome order(株式会社富士通システムソリューションズ、配列番号27,28;5pmolスケール、配列番号29,30;40pmolスケール、配列番号31,32;20pmolスケール;全てカラム精製品)に合成依頼し、購入した。
【0092】
(2)検体の調製
表6に記載のタラロマイセス・ウォルトマニーを使用した。タラロマイセス・ウォルトマニーのβ−チューブリン遺伝子に対する配列番号27〜32の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーの特異性を示すために、表6に示す他の菌類も使用した。これらの菌類は千葉大学医学部真菌医学研究センターが保管し、IFMナンバーなどにより管理されているものを入手し、使用した。
各菌体を至適条件下で培養した。培養条件についてはポテトデキストロース培地(商品名:パールコア ポテトデキストロース寒天培地、栄研化学株式会社製)を用いて25℃で7日間培養した。
【0093】
【表6】

【0094】
(3)ゲノムDNAの調整
ゲノムDNA調製用キット(商品名 PrepMan ultra、アプライドバイオ社製)を用いて、菌体からゲノムDNA溶液を調製した。具体的には、各培地から数個のコロニーを採取し、キットの付属試薬200μlに菌体を懸濁し、100℃、10分間の加熱処理で菌体を溶解させ、14800rpmで5分間遠心分離した後、上清を回収した。得られたゲノムDNA溶液の濃度を50ng/μlに調製した。このゲノムDNA溶液を鋳型DNAとして、以下のLAMP反応に用いた。
【0095】
(4)LAMP反応のための反応液調製
2x Reaction Mix(Tris−HCl(pH8.8) 40mM、KCl 20mM、MgSO 16mM、(NHSO 20mM、0.2%Tween20、Betaine 1.6M、dNTPs 2.8mM:栄研化学株式会社製;Loopamp DNA増幅試薬キット)12.5μl、配列番号27で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LTw4F3プライマー:5pmol/μl)1μl、配列番号28で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LTw3B3プライマー:5pmol/μl)1μl、配列番号29で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LTw4FIPプライマー:40pmol/μl)1μl、配列番号30で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LTw3BIPプライマー:40pmol/μl)1μl、配列番号31で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LTw4LFループプライマー:20pmol/μl)1μl、配列番号32で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LTw3LBループプライマー:20pmol/μl)1μl、Bst DNA Polymerase(8U/25μL、栄研化学株式会社製)1μl、および上記で調製した鋳型DNA 1μlを混合し、蒸留水を加えて全量25μlの反応液とした。
【0096】
(5)LAMP反応
上記で調製した反応液を、リアルタイム濁度測定装置Loopamp RT−160C(栄研化学株式会社製)にて、63±2℃で60分間DNAの増幅反応を行った。同時に反応液の濁度を測定した(波長:400nm)。
【0097】
(6)DNA増幅確認
DNAの増幅の有無は、反応液の濁度が上昇しているかによって判断した。反応液の濁度の測定結果を、図15に示す。
その結果、タラロマイセス・ウォルトマニーのゲノムDNAを鋳型とした系のみで、反応開始20分前後から濁度の上昇、すなわちDNAの合成・増幅反応が認められた。
一方、タラロマイセス・ウォルトマニー以外の菌類のゲノムDNAを用いた系では、反応開始後40分までの間、反応液の濁度の上昇は認められなかった。なお、反応開始50分前後から、タラロマイセス・ウォルトマニー以外の菌類のゲノムDNAを用いた系においても反応液の濁度上昇が観察されたが、これはプライマー同士が反応して増幅してしまうこと、または、反応時間が長くなるにつれて標的配列以外の配列にも少数のプライマーがアニールしてしまうこと等が原因であると考えられる。
以上の結果から、簡便、迅速かつ特異的にタラロマイセス・ウォルトマニーを検出することが可能である。
【0098】
実施例7 タラロマイセス・ルテウスの検出
(1)プライマーの設計及び合成
シークエンシング法により決定した各種菌類(タラロマイセス ルテウス、パエシロマイセス バリオッティー、ハミゲラ アベラネラ、タラロマイセス フラバス、タラロマイセス ウォルトマンニー、タラロマイセス トラキスパーマム、ビソクラミス ニベア、ビソクラミス フルバ、ネオサルトリア フィシェリ)のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列情報をもとに、DNA解析ソフトウエア(商品名:DNAsis pro、日立ソフトウエア社製)を用いてアライメント解析を行い、タラロマイセス・ルテウスに特異的な塩基配列を特定した。特定した塩基配列をもとに、配列番号33〜37の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーを設計し、E Genome order(株式会社富士通システムソリューションズ、配列番号33,34;5pmolスケール、配列番号35,36;40pmolスケール、配列番号37;20pmolスケール;全てカラム精製品)に合成依頼し、購入した。
【0099】
(2)検体の調製
表7に記載のタラロマイセス・ルテウスを使用した。タラロマイセス・ルテウスのβ−チューブリン遺伝子に対する配列番号33〜37の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーの特異性を示すために、表7に示す他の菌類も使用した。これらの菌類は千葉大学医学部真菌医学研究センターが保管し、IFMナンバーなどにより管理されているものを入手し、使用した。
各菌体を至適条件下で培養した。培養条件についてはポテトデキストロース培地(商品名:パールコア ポテトデキストロース寒天培地、栄研化学株式会社製)を用いて25℃で7日間培養した。
【0100】
【表7】

【0101】
(3)ゲノムDNAの調製
ゲノムDNA調製用キット(商品名 PrepMan ultra、アプライドバイオ社製)を用いて、菌体からゲノムDNA溶液を調製した。具体的には、各培地から数個のコロニーを採取し、キットの付属試薬200μlに菌体を懸濁し、100℃、10分間の加熱処理で菌体を溶解させ、14800rpmで5分間遠心分離した後、上清を回収した。得られたゲノムDNA溶液の濃度を50ng/μlに調製した。このゲノムDNA溶液を鋳型DNAとして、以下のLAMP反応に用いた。
【0102】
(4)LAMP反応のための反応液調製
2x Reaction Mix(Tris−HCl(pH8.8) 40mM、KCl 20mM、MgSO 16mM、(NHSO 20mM、0.2%Tween20、Betaine 1.6M、dNTPs 2.8mM:栄研化学株式会社製;Loopamp DNA増幅試薬キット)12.5μl、配列番号33で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LTl1F3プライマー:5pmol)1μl、配列番号34で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LTl1B3プライマー:5pmol)1μl、配列番号35で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LTl1FIPプライマー:40pmol)1μl、配列番号36で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LTl1BIPプライマー:40pmol)1μl、配列番号37で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LTl1LFループプライマー:20pmol)1μl、Bst DNA Polymerase(8U/25μL、栄研化学株式会社製)1μl、および上記で調製した鋳型DNA 1μlを混合し、蒸留水を加えて全量25μlの反応液とした。
【0103】
(5)LAMP反応
上記で調製した反応液を、リアルタイム濁度測定装置Loopamp RT−160C(栄研化学株式会社製)にて、63±2℃で60分間DNAの増幅反応を行った。同時に反応液の濁度を測定した(波長:400nm)。
【0104】
(6)DNA増幅確認
DNAの増幅の有無は、反応液の濁度が上昇しているかによって判断した。反応液の濁度の測定結果を、図16(a)及び図16(b)に示す。なお、図16(a)は表7の試料番号1〜8、図16(b)は表7の試料番号9〜16の結果を示す。
その結果、タラロマイセス・ルテウスのゲノムDNAを鋳型とした系のみで、反応開始25分前後から濁度の急激な上昇、すなわちDNAの合成・増幅反応が認められた。
一方、タラロマイセス・ルテウス以外の菌類のゲノムDNAを用いた系では、反応開始後80分までの間、反応液の濁度の上昇は認められなかった。なお、反応開始90分前後から、タラロマイセス・ルテウス以外の菌類のゲノムDNAを用いた系においても反応液の濁度上昇が観察されたが、これはプライマー同士が反応して増幅してしまうこと、または、反応時間が長くなるにつれて標的配列以外の配列にも少数のプライマーがアニールしてしまうこと等が原因であると考えられる。また、試料番号8では、反応開始10分後から徐々に濁度の上昇が見られたが、これはゲノムDNAの特異的な塩基配列に対応した遺伝子の増幅ではなく、プライマー同士が反応した緩慢な遺伝子増幅であることが理由であると考えられる。この緩慢な遺伝子増幅は濁度の測定結果に上昇ピークが見られない等、プライマーが鋳型DNAにアニールして増幅反応が起こる本来のLAMP反応とは測定結果等において明らかに相違し、明確に区別することができる。
以上の結果から、本発明の方法によれば、簡便、迅速かつ特異的にタラロマイセス・ルテウスを同定することが可能である。
【0105】
実施例8 タラロマイセス・フラバスおよびタラロマイセス・トラキスパーマムの検出
(1)プライマーの設計及び合成
シークエンシング法により決定した各種菌類(タラロマイセス フラバス、タラロマイセス トラキスパーマム、パエシロマイセス バリオッティー、ハミゲラ アベラネラ、タラロマイセス ウォルトマンニー、ビソクラミス ニベア、ビソクラミス フルバ、ネオサルトリア フィシェリ)の28SrDNA遺伝子のITS領域及びD1/D2領域の塩基配列情報をもとに、DNA解析ソフトウエア(商品名:DNAsis pro、日立ソフトウエア社製)を用いてアライメント解析を行い、タラロマイセス・フラバスおよびタラロマイセス・トラキスパーマムに特異的な塩基配列を特定した。特定した塩基配列をもとに、配列番号38〜43の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーを設計し、E Genome order(株式会社富士通システムソリューションズ、配列番号38,39;5pmolスケール、配列番号40,41;40pmolスケール、配列番号42,43;20pmolスケール;全てカラム精製品)に合成依頼し、購入した。
【0106】
(2)検体の調製
表8に記載のタラロマイセス・フラバスおよびタラロマイセス・トラキスパーマムを使用した。これらの菌類の28SrDNAのITS領域及びD1/D2領域に対する配列番号38〜43の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーの特異性を示すために、表8に示す他の菌類も使用した。これらの菌類は千葉大学医学部真菌医学研究センターが保管し、IFMナンバーなどにより管理されているものを入手し、使用した。
各菌体を至適条件下で培養した。培養条件についてはポテトデキストロース培地(商品名:パールコア ポテトデキストロース寒天培地、栄研化学株式会社製)を用いて25℃で7日間培養した。
【0107】
【表8】

【0108】
(3)ゲノムDNAの調製
ゲノムDNA調製用キット(商品名 PrepMan ultra、アプライドバイオ社製)を用いて、菌体からゲノムDNA溶液を調製した。具体的には、各培地から数個のコロニーを採取し、キットの付属試薬200μlに菌体を懸濁し、100℃、10分間の加熱処理で菌体を溶解させ、14800rpmで5分間遠心分離した後、上清を回収した。得られたゲノムDNA溶液の濃度を50ng/μlに調製した。このゲノムDNA溶液を鋳型DNAとして、以下のLAMP反応に用いた。
【0109】
(4)LAMP反応のための反応液調製
2x Reaction Mix(Tris−HCl(pH8.8) 40mM、KCl 20mM、MgSO 16mM、(NHSO 20mM、0.2%Tween20、Betaine 1.6M、dNTPs 2.8mM:栄研化学株式会社製;Loopamp DNA増幅試薬キット)12.5μl、配列番号38で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LT1F3プライマー:5pmol/μl)1μl、配列番号39で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LT1B3プライマー:5poml/μl)1μl、配列番号40で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LT1FIPプライマー:40pmol/μl)1μl、配列番号41で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LT1BIPプライマー:40pmol/μl)1μl、配列番号42で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LT1LFプライマー:20pmol/μl)1μl、配列番号43で示される塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LT1LBループプライマー:20pmol/μl)1μl、Bst DNA Polymerase(8U/25μL、栄研化学株式会社製)1μl、および上記で調製した鋳型DNA 1μlを混合し、蒸留水を加えて全量25μlの反応液とした。
【0110】
(5)LAMP反応
上記で調製した反応液を、リアルタイム濁度測定装置Loopamp RT−160C(栄研化学株式会社製)にて、63±2℃で60分間DNAの増幅反応を行った。同時に反応液の濁度を測定した(波長:400nm)。
【0111】
(6)DNA増幅確認
DNAの増幅の有無は、反応液の濁度が上昇しているかによって判断した。反応液の濁度の測定結果を、図17に示す。
その結果、タラロマイセス・フラバスおよびタラロマイセス・トラキスパーマムのゲノムDNAを鋳型とした系のみで、反応開始40分前後から濁度の上昇、すなわちDNAの合成・増幅反応が認められた。
一方、タラロマイセス・フラバスおよびタラロマイセス・トラキスパーマム以外の菌類のゲノムDNAを用いた系では、反応開始後45分までの間、反応液の濁度の上昇は認められなかった。なお、反応開始50分後から、タラロマイセス・フラバスおよびタラロマイセス・トラキスパーマム以外の菌類のゲノムDNAを用いた系においても反応液の濁度上昇が観察されたが、これはプライマー同士が反応して増幅してしまうこと、または、反応時間が長くなるにつれて標的配列以外の配列にも少数のプライマーがアニールしてしまうこと等が原因であると考えられる。
以上の結果から、本発明の方法によれば、簡便、迅速かつ特異的にタラロマイセス・フラバスおよびタラロマイセス・トラキスパーマムを検出することが可能である。
【0112】
実施例5〜8に示すように、タラロマイセス属の菌類に関しては、本発明の方法によれば種レベルでの菌類の検出が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】ビソクラミス属の28S rDNAのITS領域及びD1/D2領域の塩基配列における、ビソクラミス属検出用プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す。
【図2】ネオサルトリア属のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における、ネオサルトリア属検出用プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す。
【図3】アスペルギルス フミガタスのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における、アスペルギルス フミガタス検出用プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す。
【図4】ハミゲラ属のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における、ハミゲラ属検出用プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す。
【図5】タラロマイセス フラバスのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における、タラロマイセス フラバス検出用プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す。
【図6】タラロマイセス ウォルトマニーのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における、タラロマイセス ウォルトマニー検出用プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す。
【図7】タラロマイセス ルテウスのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における、タラロマイセス ルテウス検出用プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す。
【図8】タラロマイセス フラバスの28S rDNAのITS領域及びD1/D2領域の塩基配列における、タラロマイセス フラバス検出用プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す。
【図9】タラロマイセス トラキスパーマム及びタラロマイセス フラバスの28S rDNAのITS領域及びD1/D2領域の塩基配列における、タラロマイセス トラキスパーマム及びタラロマイセス フラバス検出用プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す。
【図9−1】タラロマイセス トラキスパーマム及びタラロマイセス フラバスの28S rDNAのITS領域及びD1/D2領域の塩基配列における、タラロマイセス トラキスパーマム及びタラロマイセス フラバス検出用プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す(図9の続き)。
【図10】実施例1における、リアルタイム濁度法によるビソクラミス属の菌類の28S rDNAのITS領域及びD1/D2領域の検出感度を示す図である。1はByssochlamys fulva IFM48421株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、2はByssochlamys nivea IFM51244株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、4はTalaromyces luteus IFM53241株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、6はTalaromyces wortmannii IFM52262株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、7はNeosartorya ficheri IFM46945株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示す。
【図11】実施例2における、リアルタイム濁度法によるネオサルトリア属の菌類のβ−チューブリン遺伝子の検出感度を示す図である。1はNeosartorya ficheri IFM46945株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、2はNeosartorya spinosa IFM46967株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、3はNeosartorya glabra IFM46949株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、4はNeosartorya hiratsukae IFM47036株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、5はTalaromyces flavus IFM42243株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、6はTalaromyces luteus IFM53242株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、7はTalaromyces trachyspermus IFM42247株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、9はByssochlamys fulva IFM48421株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、11はAlternaria alternate IFM41348株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、14はFusarium oxysporium IFM50002株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示す。
【図11−1】実施例2における、リアルタイム濁度法によるネオサルトリア属およびアスペルギルス・フミガタスの菌類のβ−チューブリン遺伝子の検出感度を示す図である。
【図12】実施例3における、リアルタイム濁度法によるハミゲラ属の菌類のβ−チューブリン遺伝子の検出感度を示す図である。1はHamigera avellanea IFM42323株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、2はHamigera avellanea IFM52241株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、3はHamigera avellanea IFM52957株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、4はByssochlamys fulva IFM51213株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、5はByssochlamys nivea IFM51245株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、6はPaecilomyces variotii IFM40913株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、7はPaecilomyces variotii IFM40915株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示す。
【図13】実施例4における、リアルタイム濁度法によるアスペルギルス・フミガタスのβ−チューブリン遺伝子の検出感度を示す図である。1はAspergillus fumigatus A209株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、2はAspergillus fumigatus A213株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、3はAspergillus fumigatus A215株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、6はNeosartorya spinosa IFM46967株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示す。
【図14】実施例5における、リアルタイム濁度法によるタラロマイセス・フラバスのβ−チューブリン遺伝子の検出感度を示す図である。1はTalaromyces flavus IFM42243株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、2はTalaromyces flavus IFM52233株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、6はTalaromyces trachyspermus IFM52252株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、7はTalaromyces wortmannii IFM52255株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、9はByssochlamys fulva IFM48421株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示す。
【図15】実施例6における、リアルタイム濁度法によるタラロマイセス・ウォルトマニーのβ−チューブリン遺伝子の検出感度を示す図である。1はTalaromyces wortmannii IFM52255株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、2はTalaromyces wortmannii IFM52262株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、3はTalaromyces flavus IFM42243株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、4はTalaromyces luteus IFM53241株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、5はTalaromyces trachyspermus IFM42247株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、7はByssochlamys nivea IFM51244株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、8はHamigera avellanea IFM42323株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示す。
【図16】実施例7における、リアルタイム濁度法によるタラロマイセス・ルテウスのβ−チューブリン遺伝子の検出感度を示す図である。1はTalaromyces luteus IFM53242株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、2はTalaromyces luteus IFM53241株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、5はTalaromyces wortmannii IFM52262株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、8はNeosartorya spinosa IFM46967株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示す。
【図17】実施例8における、リアルタイム濁度法によるタラロマイセス・フラバスおよびタラロマイセス・トラキスパーマムの28S rDNAのITS領域及びD1/D2領域の検出感度を示す図である。1はTalaromyces flavus IFM42243株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、2はTalaromyces flavus IFM52233株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、3はTalaromyces flavus T38株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、6はTalaromyces trachyspermus IFM42247株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、7はTalaromyces trachyspermus IFM52252株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、9はTalaromyces wortmannii IFM52255株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、10はByssochlamys fulva IFM48421株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、12はPenicillium griseofulvum IFM54313株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、13はPenicillium citirinum IFM54314株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、15はNeosartorya ficheri IFM46945株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、16はネガティブコントロールとしてDWを用いたサンプルの検出感度を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Loop mediated isothermal amplification(LAMP)法によって耐熱性菌類の遺伝子中の標的領域を含むDNA断片を増幅させ、増幅産物の有無を確認する工程を含む耐熱性菌類の検出方法。
【請求項2】
前記標的領域がβ−チューブリン遺伝子、または28S rDNAのD1/D2領域及びITS領域の塩基配列から選択される請求項1記載の検出方法。
【請求項3】
前記耐熱性菌類がビソクラミス(Byssochlamys)属の菌類、タラロマイセス(Talaromyces)属の菌類、ネオサルトリア(Neosartorya)属の菌類、ハミゲラ(Hamigera)属の菌類、およびアスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の検出方法。
【請求項4】
前記標的領域を含むDNA断片が、
配列番号44に記載の塩基配列の一部であって当該塩基配列の400〜600位の塩基配列の全部又は一部を含む塩基配列、
配列番号45に記載の塩基配列の一部であって当該塩基配列の10〜250位及び/又は350〜559位の塩基配列の全部又は一部を含む塩基配列、
配列番号46に記載の塩基配列の一部であって当該塩基配列の10〜250位及び/又は350〜559位の塩基配列の全部又は一部を含む塩基配列、
配列番号47に記載の塩基配列の一部であって当該塩基配列の300〜550位の塩基配列の全部又は一部を含む塩基配列、
配列番号48に記載の塩基配列の一部であって当該塩基配列の200〜450位の塩基配列の全部又は一部を含む塩基配列、
配列番号49に記載の塩基配列の一部であって当該塩基配列の150〜420位の塩基配列の全部又は一部を含む塩基配列、
配列番号50に記載の塩基配列の一部であって当該塩基配列の150〜450位の塩基配列の全部又は一部を含む塩基配列、
配列番号51に記載の塩基配列の一部であって当該塩基配列の250〜550位の塩基配列の全部又は一部を含む塩基配列、
配列番号52に記載の塩基配列の一部であって当該塩基配列の250〜550位の塩基配列の全部又は一部を含む塩基配列、および
これらの塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列、
からなる群より選ばれる塩基配列を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の検出方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか記載の検出方法であって、ビソクラミス属の菌類検出用プライマーセットとして配列番号1〜4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを用いてLAMP法により28S rDNAのD1/D2領域及びITS領域中の標的領域を含むDNA断片を増幅する請求項1〜3のいずれか記載の検出方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか記載の検出方法であって、ネオサルトリア属の菌類およびアスペルギルス フミガタス検出用プライマーセットとして配列番号5〜8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを用いてLAMP法によりβ−チューブリン遺伝子中の標的領域を含むDNA断片を増幅する請求項1〜3のいずれか記載の検出方法。
【請求項7】
請求項6記載の検出方法であって、さらに配列番号9に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号10に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーのうちの少なくとも一方を用いる請求項6記載の検出方法。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか記載の検出方法であって、アスペルギルス フミガタス検出用プライマーセットとして配列番号11〜14に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを用いてLAMP法によりβ−チューブリン遺伝子中の標的領域を含むDNA断片を増幅する請求項1〜3のいずれか記載の検出方法。
【請求項9】
請求項8記載の検出方法であって、さらに配列番号15に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーを用いる請求項8記載の検出方法。
【請求項10】
請求項1〜3のいずれか記載の検出方法であって、ハミゲラ属の菌類検出用プライマーセットとして配列番号16〜19に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを用いてLAMP法によりβ−チューブリン遺伝子中の標的領域を含むDNA断片を増幅する請求項1〜3のいずれか記載の検出方法。
【請求項11】
請求項10記載の検出方法であって、さらに配列番号20に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号21に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーのうちの少なくとも一方を用いる請求項10記載の検出方法。
【請求項12】
請求項1〜3のいずれか記載の検出方法であって、タラロマイセス属の菌類のうちタラロマイセス フラバス(Talaromyces flavus)を検出するためのプライマーセットとして配列番号22〜25に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを用いてLAMP法によりβ−チューブリン遺伝子中の標的領域を含むDNA断片を増幅する請求項1〜3のいずれか記載の検出方法。
【請求項13】
請求項12記載の検出方法であって、さらに配列番号26に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーを用いる請求項12記載の検出方法。
【請求項14】
請求項1〜3のいずれか記載の検出方法であって、タラロマイセス属の菌類のうちタラロマイセス ウォルトマニー(Talaromyces wortmannii)を検出するためのプライマーセットとして配列番号27〜30に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを用いてLAMP法によりβ−チューブリン遺伝子中の標的領域を含むDNA断片を増幅する請求項1〜3のいずれか記載の検出方法。
【請求項15】
請求項14記載の検出方法であって、さらに配列番号31に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号32に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーのうちの少なくとも一方を用いる請求項14記載の検出方法。
【請求項16】
請求項1〜3のいずれか記載の検出方法であって、タラロマイセス属の菌類のうちタラロマイセス ルテウス(Talaromyces luteus)を検出するためのプライマーセットとして配列番号33〜36に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを用いてLAMP法によりβ−チューブリン遺伝子中の標的領域を含むDNA断片を増幅する請求項1〜3のいずれか記載の検出方法。
【請求項17】
請求項16記載の検出方法であって、さらに配列番号37に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーを用いる請求項16記載の検出方法。
【請求項18】
請求項1〜3のいずれか記載の検出方法であって、タラロマイセス属の菌類のうちタラロマイセス フラバス(Talaromyces flavus)及び/またはタラロマイセス トラキスパーマム(Talaromyces trachyspermus)を検出するためのプライマーセットとして配列番号38〜41に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを用いてLAMP法により28S rDNAのD1/D2領域及びITS領域中の標的領域を含むDNA断片を増幅する請求項1〜3のいずれか記載の検出方法。
【請求項19】
請求項18記載の検出方法であって、さらに配列番号42に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号43に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーのうちの少なくとも一方を用いる請求項18記載の検出方法。
【請求項20】
ビソクラミス(Byssochlamys)属の菌類をLoop mediated isothermal amplification(LAMP)法で検出するのに用いるプライマーセットであって、
配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号3に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、および
配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
を含むプライマーセット。
【請求項21】
ネオサルトリア(Neosartorya)属の菌類およびアスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)をLoop mediated isothermal amplification(LAMP)法で検出するのに用いるプライマーセットであって、
配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号6に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号7に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、および
配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
を含むプライマーセット。
【請求項22】
ネオサルトリア(Neosartorya)属の菌類およびアスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)をLoop mediated isothermal amplification(LAMP)法で検出するのに用いるプライマーセットであって、
配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号6に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号7に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号9に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、および
配列番号10に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
を含むプライマーセット。
【請求項23】
アスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)をLoop mediated isothermal amplification(LAMP)法で検出するのに用いるプライマーセットであって、
配列番号11に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号13に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、および
配列番号14に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
を含むプライマーセット。
【請求項24】
アスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)をLoop mediated isothermal amplification(LAMP)法で検出するのに用いるプライマーセットであって、
配列番号11に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号13に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号14に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、および
配列番号15に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
を含むプライマーセット。
【請求項25】
ハミゲラ(Hamigera)属の菌類をLoop mediated isothermal amplification(LAMP)法で検出するのに用いるプライマーセットであって、
配列番号16に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号17に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号18に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、および
配列番号19に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
を含むプライマーセット。
【請求項26】
ハミゲラ(Hamigera)属の菌類をLoop mediated isothermal amplification(LAMP)法で検出するのに用いるプライマーセットであって、
配列番号16に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号17に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号18に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号19に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号20に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、および
配列番号21に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
を含むプライマーセット。
【請求項27】
タラロマイセス フラバス(Talaromyces flavus)をLoop mediated isothermal amplification(LAMP)法で検出するのに用いるプライマーセットであって、
配列番号22に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号23に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号24に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、および
配列番号25に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
を含むプライマーセット。
【請求項28】
タラロマイセス フラバス(Talaromyces flavus)をLoop mediated isothermal amplification(LAMP)法で検出するのに用いるプライマーセットであって、
配列番号22に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号23に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号24に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号25に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、および
配列番号26に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
を含むプライマーセット。
【請求項29】
タラロマイセス ウォルトマニー(Talaromyces wortmannii)をLoop mediated isothermal amplification(LAMP)法で検出するのに用いるプライマーセットであって、
配列番号27に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号28に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号29に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、および
配列番号30に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
を含むプライマーセット。
【請求項30】
タラロマイセス ウォルトマニー(Talaromyces wortmannii)をLoop mediated isothermal amplification(LAMP)法で検出するのに用いるプライマーセットであって、
配列番号27に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号28に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号29に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号30に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号31に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、および
配列番号32に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
を含むプライマーセット。
【請求項31】
タラロマイセス ルテウス(Talaromyces luteus)をLoop mediated isothermal amplification(LAMP)法で検出するのに用いるプライマーセットであって、
配列番号33に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号34に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号35に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、および
配列番号36に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
を含むプライマーセット。
【請求項32】
タラロマイセス ルテウス(Talaromyces luteus)をLoop mediated isothermal amplification(LAMP)法で検出するのに用いるプライマーセットであって、
配列番号33に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号34に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号35に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号36に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、および
配列番号37に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
を含むプライマーセット。
【請求項33】
タラロマイセス フラバス(Byssochlamys fulva)及び/またはタラロマイセス トラキスパーマム(Talaromyces trachyspermus)をLoop mediated isothermal amplification(LAMP)法で検出するのに用いるプライマーセットであって、
配列番号38に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号39に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号40に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、および
配列番号41に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
を含むプライマーセット。
【請求項34】
タラロマイセス フラバス(Byssochlamys fulva)及び/またはタラロマイセス トラキスパーマム(Talaromyces trachyspermus)をLoop mediated isothermal amplification(LAMP)法で検出するのに用いるプライマーセットであって、
配列番号38に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号39に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号40に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号41に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、
配列番号42に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー、および
配列番号43に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
を含むプライマーセット。
【請求項35】
ビソクラミス(Byssochlamys)属の菌類検出用オリゴヌクレオチドであって、配列番号1〜4のいずれかの配列番号に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、または当該塩基配列に対して70%以上の相同性を有しかつプライマーとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド。
【請求項36】
ネオサルトリア(Neosartorya)属の菌類およびアスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)検出用オリゴヌクレオチドであって、配列番号5〜10のいずれかの配列番号に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、または当該塩基配列に対して70%以上の相同性を有しかつプライマーとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド。
【請求項37】
アスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)検出用オリゴヌクレオチドであって、配列番号11〜15のいずれかの配列番号に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、または当該塩基配列に対して70%以上の相同性を有しかつプライマーとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド。
【請求項38】
ハミゲラ(Hamigera)属の菌類検出用オリゴヌクレオチドであって、配列番号16〜21のいずれかの配列番号に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、または当該塩基配列に対して70%以上の相同性を有しかつプライマーとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド。
【請求項39】
タラロマイセス フラバス(Talaromyces flavus)検出用オリゴヌクレオチドであって、配列番号22〜26のいずれかの配列番号に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、または当該塩基配列に対して70%以上の相同性を有しかつプライマーとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド。
【請求項40】
タラロマイセス ウォルトマニー(Talaromyces wortmannii)検出用オリゴヌクレオチドであって、配列番号27〜32のいずれかの配列番号に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、または当該塩基配列に対して70%以上の相同性を有しかつプライマーとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド。
【請求項41】
タラロマイセス ルテウス(Talaromyces luteus)検出用オリゴヌクレオチドであって、配列番号33〜37のいずれかの配列番号に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、または当該塩基配列に対して70%以上の相同性を有しかつプライマーとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド。
【請求項42】
タラロマイセス フラバス(Talaromyces flavus)及び/またはタラロマイセス トラキスパーマム(Talaromyces trachyspermus)検出用オリゴヌクレオチドであって、配列番号38〜43のいずれかの配列番号に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、または当該塩基配列に対して70%以上の相同性を有しかつプライマーとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド。
【請求項43】
β−チューブリン遺伝子、または28S rDNAのD1/D2領域及びITS領域の塩基配列から選択される標的領域において、配列の5’側から順に、塩基配列領域としてF3、F2及びF1を選択し、
前記標的領域の3’側から順に、塩基配列領域としてB3c、B2c及びB1cを選択し、
前記F3、F2及びF1の相補的塩基配列を、それぞれF3c、F2c及びF1cとし、
前記B3c、B2c及びB1cに相補的な塩基配列を、それぞれB3、B2及びB1としたとき、
以下の(a)〜(f)のいずれかに該当する塩基配列からなる、耐熱性菌類検出用のオリゴヌクレオチド。
(a)前記B2領域を3’側に有し、前記B1c領域を5’側に有する塩基配列
(b)前記B3領域を有する塩基配列
(c)前記F2領域を3’側に有し、前記F1c領域を5’側に有する塩基配列
(d)前記F3領域を有する塩基配列
(e)前記B1領域と前記B2領域の間の部分と相補的な配列を有する塩基配列
(f)前記F1領域と前記F2領域の間の部分と相補的な配列を有する塩基配列
【請求項44】
請求項20〜34のいずれか記載のプライマーセットまたは請求項35〜43のいずれか記載のオリゴヌクレオチドと、
DNAポリメラーゼと、
dATP、dCTP、dGTP及びdTTPを含むdNTPと
を含む耐熱性菌類検出キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図9−1】
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【図10】
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【図11】
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【図11−1】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−284832(P2009−284832A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141499(P2008−141499)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(304021831)国立大学法人 千葉大学 (601)
【Fターム(参考)】