説明

耐衝撃性ポリマー中間層

本発明は、高レベルの衝撃に対する防御を必要とする複数層ガラスパネル型の用途、例えば台風に対する防御の用途または防弾ガラスの用途に使用できる複数ポリ(ビニルブチラール)層中間層を提供する。この効果は、二つの比較的柔軟な外側ポリ(ビニルブチラール)層の間に配置された比較的剛性のポリ(ビニルブチラール)内側層を有するポリ(ビニルブチラール)中間層を形成することによって達成され、この剛性の差は、ポリ(ビニルブチラール)層の間の残留ヒドロキシル基含有量の差によって少なくとも大部分達成される可塑剤の差によって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリマー中間層およびポリマー中間層を含む複数層ガラスパネルの分野の発明であり、より詳しくのべると、本発明は複数熱可塑性層を含むポリマー中間層の分野の発明である。
【背景技術】
【0002】
安全ガラスまたはポリマー積層板などの光透過性積層板の中間層として使用できるポリマー層を製造するのに、通常、ポリ(ビニルブチラール)(PVB)が使用されている。安全ガラスは、二枚のガラスシートの間に配置されたポリ(ビニルブチラール)の層を含む透明積層体を意味することが多い。安全ガラスは、建築物および自動車の開口部に透明バリヤーを設けるために使用されることが多い。この主な機能は、例えば物体からの打撃で起こるエネルギーを吸収して、ガラスの破片が開口から侵入または散乱すること無しに、閉じ込められた領域内の物体またはヒトが損傷または破損することを最小限に留めることである。また安全ガラスは、その他の有利な作用、例えば音響雑音を弱める、紫外線および/または赤外線の透過を少なくするおよび/または窓の開口の外観と美的魅力を高める作用を提供するために使用できる。
【0003】
安全ガラスは、台風が活動する領域で使用することを目的とする建築物グレージングの用途に特に望ましい。台風の最中には、風が運ぶ破片が存在する。台風時に、建造物が損傷しないように保護するため、窓および扉といった一般に建造物の外周部の最も弱い連結部分は、風の運ぶ破片が貫通しないように保護しなければならず、および嵐が滞留している間、所定の位置に留まっていなければならない。従って、窓を有意な衝撃に耐えるように保護し、およびたとえガラスにひびが入っても、周期的な風の負荷がかかっている間、開口に留まっていることができる中間層が特に望ましい。
【0004】
台風に対して防御するためのこのような中間層を創製する試みは、通常、比較的柔軟でガラスに対する接着性が比較的低いポリマー中間層を使用して得られる高い耐衝撃性の利点と、剛性でおよびガラスに対する接着性が高いポリマー中間層を使って得られる、ガラスに亀裂が生じた後の周期的風の荷重に対する高い耐性の利点との間の釣り合いを取る必要がある。
【0005】
中間層が柔軟すぎる、またはガラスに対する接着性が低すぎると、この中間層には、衝撃を受けた後の風の高い荷重に対する抵抗力がなくなる。一方、中間層の剛性が高すぎる、およびガラスに対する接着性が高すぎると、この中間層には、高レベルの耐衝撃性がなくなり、即ち貫通抵抗性が低くなる。
【0006】
従って、とりわけ台風に対して保護するため、耐衝撃性が高くおよび周期的風の荷重に対する耐性が高い複数層安全ガラスを提供するには、さらに改良された中間層の組成物が必要である。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、例えば台風に対して保護するための用途または防弾ガラスの用途における、高レベルの耐衝撃性を必要とする複数層ガラスパネル型用途に使用できる複数ポリ(ビニルブチラール)層中間層を提供するものである。この効果は、剛性の差がポリ(ビニルブチラール)層間の残留ヒドロキシル基含有量の差によって少なくとも大部分達成される可塑剤の差で達成される、二つの比較的柔軟なポリ(ビニルブチラール)外側層の間に配置された比較的剛性のポリ(ビニルブチラール)内側層を有するポリ(ビニルブチラール)中間層を形成することによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の複数のマニホールドを有する同時押出し装置の概略断面図を示す。
【図2】本発明の三つの試料の中間層の実施形態および対照の中間層の落球耐衝撃性試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
驚くべきことに、本発明によって、異なるレベルの残留ヒドロキシル基含有量のポリ(ビニルブチラール)層を配合することによって安定して達成される異なる可塑剤の濃度を有する三つのポリ(ビニルブチラール)層を含む複数層中間層を複数層グレージングパネルに組み込むことによって、このパネルに優れた耐衝撃および高い剛性特性を付与できることが発見された。
【0010】
ポリ(ビニルブチラール)層の組成物は、一つのポリ(ビニルブチラール)層からもう一つのポリ(ビニルブチラール)層への可塑剤の正味の移行量が無視できるかまたはゼロなので可塑剤の差が保持される組成物である。
【0011】
「可塑剤含有量」は、本明細書で利用する場合、重量/重量ベースで、樹脂100量部当たりの量部(phr)として測定できる。例えば、可塑剤30gをポリマー樹脂100gに添加すると、生成する可塑化ポリマーの可塑剤含有量は30phrになる。本明細書で利用する場合はすべて、ポリマー層の可塑剤含有量が指定されると、この特定層の可塑剤含有量は、この特定層を製造するのに使用された溶融体中の可塑剤のphrを参照して決定される。
【0012】
可塑剤含有量が未知の層の場合、可塑剤含有量は、適切な溶媒または溶媒混合物を使って層から可塑剤を抽出する湿式化学的方法によって測定できる。試料層の重量および抽出された層の重量を知ることによって、可塑剤の含有量(phr)を計算できる。複数ポリマー層中間層の場合は、個々のポリマー層は、各ポリマー層の可塑剤含有量を測定する前は、物理的に互いに分離されていてもよい。
【0013】
本発明の各種実施形態では、複数層ガラスパネルに優れた耐衝撃性および高い剛性特性を付与する複数層中間層は、剛性が異なる三つのポリマー層を含んでいる。この二つのスキン層の剛性は同一でも異なっていてもよい。
【0014】
本明細書で使用する場合、用語「中間層」は、ウインドシールドおよび建築物の窓の安全ガラスなどの複数層ガラスの用途に使用できる任意の熱可塑性構造体であり、および用語「複数層」中間層は、二つ以上の個々の層を通常、積層工程または同時押出しによって組み合わせて単一中間層にすることによって製造される任意の中間層である。
【0015】
本発明の各種実施形態において、複数層中間層は、互いに接触して配置された三つのポリマー層を含み、この各ポリマー層は本明細書の他の部分で詳細に述べるように熱可塑性ポリマーを含んでいる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の三層中間層は、二つのポリ(ビニルブチラール)外側層および一つのポリ(ビニルブチラール)内側層を有し、この外側層は可塑剤含有量が比較的高くおよび残留ヒドロキシル基含有量(本明細書の他のところで詳細に述べる。)が低く、および内側層は可塑剤含有量が比較的低くおよび残留ヒドロキシル基含有量が高い。
【0017】
所与のタイプの可塑剤の場合、この可塑剤のポリ(ビニルブチラール)中の相溶性は、残留ヒドロキシル基含有量または酢酸ビニル基含有量によってほとんど決定される。一般に、残留ヒドロキシル基含有量または酢酸ビニル基含有量の大きいポリ(ビニルブチラール)は、所与の可塑剤との相溶性またはこの可塑剤に対する容量が、残留ヒドロキシル基含有量および酢酸ビニル基含有量の小さいポリ(ビニルブチラール)とは異なる。これらの特性を利用して、各ポリ(ビニルブチラール)ポリマーのヒドロキシル基または酢酸ビニル基の含有量を選択し、次いで各ポリマー層を配合し、適切に可塑剤を添加して、ポリマー層間の可塑剤含有量の差を安定して維持することができる。
【0018】
本発明の各種実施形態において、外側層の可塑剤含有量は各々、内側ポリマー層の可塑剤含有量より、少なくとも2phr、5phr、8phr、10phr、12phr、15phr、18phr、20phrまたは25phr大きい。外側層は、例えば、10から75phrの可塑剤を有し、一方、内側層は例えば0から50phrの可塑剤を有してよい。上記のように、これらの層の間の可塑剤の差は、残留ヒドロキシル基含有量または酢酸ビニル基含有量の差によって、最終製品の積層中間層または同時押出し中間層に保持される。
【0019】
「残留ヒドロキシルの含有量(ビニルヒドロキシルの含有量またはポリ(ビニルアルコール)(PVOH)基含有量として)」は、本明細書で使用する場合、加工が完了した後、ポリマー連鎖の側基として残留しているヒドロキシル基の量を意味する。例えばポリ(ビニルブチラール)は、ポリ(酢酸ビニル)を加水分解してポリ(ビニルアルコール)とし、このポリ(ビニルアルコール)をブチルアルデヒドと反応させてポリ(ビニルブチラール)を形成することによって製造できる。ポリ(酢酸ビニル)を加水分解する工程では、一般に、すべてのアセテートの側基がヒドロキシル基で変換されるわけではない。さらに、ブチルアルデヒドとの反応で、一般に、すべてのヒドロキシル基がアセタール基に変換されるわけではない。その結果、任意の最終のポリ(ビニルブチラール)内には、一般に、ポリマー連鎖の側基として残留アセテート基(酢酸ビニル基として)および残留ヒドロキシル基(ビニルヒドロキシル基として)が存在している。「残留ヒドロキシルの含有量」は本明細書で使用する場合、ASTM 1396に基づいて、重量%ベースで測定される。
【0020】
本発明の各種実施形態において、内側ポリマー層の残留ヒドロキシ基含有量は、二つの外側ポリマー層の残留ヒドロキシ基含有量より、少なくとも0.5%、1.5%、1.8%、2.0%、2.2%、2.5%、3.0%、4.0%、5.0%、7.5%または少なくとも10%大きくてよい。この差は、残留ヒドロキシル含有量の高い層の残留ヒドロキシル含有量から、残留ヒドロキシル含有量の低い層の残留ヒドロキシル含有量を引き算することによって計算される。例えば中央ポリマー層の残留ヒドロキシル基含有量が20%で、外側ポリマー層の残留ヒドロキシル基含有量が17%であれば、中央層の残留ヒドロキシル基含有量は、外側層の残留ヒドロキシル基含有量より3%大きい。
【0021】
当分野で公知のように、ポリ(ビニルブチラール)樹脂中の残留ヒドロキシル基含有量は、製造工程のブチルアルデヒドの濃度、反応時間および他の変数を制御することによって制御できる。各種実施形態において、上記層の残留ヒドロキシル基含有量は以下の通りである。即ち30%未満の中央層および28%未満の外側層;25%未満の中央層および23%未満の外側層;23%未満の中央層および21%未満の外側層;21%未満の中央層および19%未満の外側層;21%未満の中央層および17%未満の外側層;21%未満の中央層および15%未満の外側層;21%未満の中央層および12%未満の外側層;20%未満の中央層および17未満の外側層;18%未満の中央層および15%未満の外側層;および15%未満の中央層および12%未満の外側層である。これらのいずれの実施形態でも、層の間のヒドロキシル基含有量の差について、上記パラグラフに示した任意の適切な値を利用できる。
【0022】
用語「ポリマー層の引張り破断応力または引張り強さ」は、本明細書で使用する場合、JIS K6771に記載の方法によって定義され測定される。本発明の各種実施形態において、ポリマー層の引張り破断応力は下記の通りであり、下記リストの中央ポリマー層は可塑剤含有量の低いポリマー層である。即ち、135kg/cmより大きい中央層および120kg/cm未満の外側ポリマー層;150kg/cmより大きい中央層および135kg/cm未満の外側ポリマー層;165kg/cmより大きい中央層および150kg/cm未満の外側ポリマー層;180kg/cmより大きい中央層および165kg/cm未満の外側ポリマー層もしくは350kg/cmより大きい中央層および100kg/cm2未満の外側ポリマー層であり;または一般にこれら二つのポリマー層は引っ張り破断応力が少なくとも15kg/cm異なる。さらに別の実施形態では、中央層の引張り破断応力は230kg/cmより大きく、外側ポリマー層の引張り破断応力は230kg/cm未満である。
【0023】
本発明の各種実施形態では、本発明の二つの隣接ポリマー層は、上記のように可塑剤含有量および残留ヒドロキシル基含有量が異なり、およびさらに各層の残留アセテート基含有量は、5モル%未満、4モル%未満、3モル%未満、2モル%未満または1モル%未満である。これらの残留アセテート基濃度は、上記残留ヒドロキシル基含有量とどのようにも組み合わせて、可塑剤含有量と残留ヒドロキシル基含有量の差が上記の通りで残留アセテート基含有量がほとんどゼロもしくは全くゼロの本発明のポリマー層を製造することができる。
【0024】
本発明の三層の実施形態では、この外側の二層は、組成が同じでも異なっていてもよい。例えば、第一外側ポリマー層は、可塑剤濃度が、中央ポリマー層と10phr差があってもよく、一方、第二外側ポリマー層は、可塑剤濃度が、中央ポリマー層と20phrの差があってもよい。このような差は、複数層中間層が間に積層されている二つの剛性グレージング基板が異なっている、または表面処理が異なっている実施形態で、限定無しで有用である。
【0025】
本明細書に記載されている三層の実施形態に加えて、別の実施形態として、四層以上を有する中間層がある。例えば、三層の実施形態の三つのポリマー層はいずれも、個々のポリマー層の厚さがほぼ同じの複数の薄いポリマー層で置換できる。このような構造は、例えば、限定されないが、紫外線吸収剤などの改質剤が中間層の薄い断面にのみ必要な場合に望ましい。ポリマー層に加えて、下記のようなポリマーフィルムも、必要に応じて付け加えてもよい。例えば、ポリマーフィルムを、三層の実施形態の中央ポリマー層と外側ポリマー層の間に付け加えて、赤外線遮断などの所望な機能を提供できる。本発明の中間層は、個々の層を例えば、4、5、6または10枚まで有していてもよい。
【0026】
当分野で公知の他の従来の層は、本発明の中間層に組み入れることができる。例えば金属蒸着層、赤外線反射スタックまたはその他の性能層を上に被着させたポリ(エチレンテレフタレート)のようなポリエステルなどのポリマーフィルム(本明細書の他の部分で詳細に述べる。)を、本発明のポリマー層のいずれかの二つの層の間に含ませることが可能である。一般に、ポリ(ビニルブチラール)のような熱可塑性樹脂の追加層、ポリエステルフィルム、プライマー層および硬質コート層を、所望の結果および特定の用途に従って本発明の複数層中間層に付加できる。
【0027】
可塑剤含有量の差がすでに望ましい価になっている個々の層を組み合わせることによって中間層が製造される、本発明の複数層中間層およびこの中間層を含む複数層グレージングの製造法に加えて、本発明の製造法には、可塑剤含有量が最終生成物における可塑剤含有量と同じ、または近似している層を組み合わせる技術も含まれている。例えば、本明細書の他の部分で詳細に述べるように、外側ポリマー層が30phrの可塑剤を有し、内側ポリマー層が30phrの可塑剤を有し、および残留ヒドロキシル基含有量は内側層の方が外側層より大きいプレラミネートを形成できる。完全に積層されていないプレラミネートは、外側層の可塑剤含有量が高い場合より取り扱いやすい。最終的に積層した後、可塑剤は内側ポリマー層から外側ポリマー層へ移行して平衡状態に到達し、この時点で、所望の可塑剤含有量の差に到達する。本発明のこの方法の各種実施形態において、内側ポリマー層の可塑剤含有量は、層を積層する時点では外側ポリマー層と同じでよく、続いて可塑剤が移行して、所望の差の可塑剤含有量になる。各種実施形態において、内側層の可塑剤含有量(phrの単位)は、積層後、可塑剤が、これらの層の間で移行するので、初期の価の5%または10%減少する。
【0028】
また本発明は、本明細書の他の部分に記載されている三層の実施形態による組成を有する、第一ポリマー層、第二ポリマー層および第三ポリマー層を形成し、次いでこの三つのポリマー層を積層して中間層を形成するステップを含む中間層の製造法も含んでいる。
【0029】
本発明にはまた、本発明の中間層のいずれかを、ガラスまたはアクリル樹脂の層のような二つの硬質透明パネルの間に、当分野で公知のようにして積層するステップを含む複数層グレージングの製造法が含まれている。
【0030】
本発明にはまた、本発明の複数層中間層を含む、ウインドシールドおよび建築物の窓のような複数層ガラスパネルが含まれている。
【0031】
本発明にはまた、ガラスパネルの代わりに、アクリル樹脂のようなプラスティックまたは他の適切な材料を有する複数層グレージングパネルが含まれている。
【0032】
ポリマーフィルム
「ポリマーフィルム」は、本明細書で使用する場合、性能を高める層として機能する比較的薄くおよび硬質のポリマー層を意味する。「ポリマーフィルム」は、本明細書で使用する場合、ポリマー層とは異なり、ポリマーフィルムはそれ自体、複数層グレージング構造体に必要な貫入抵抗(penetration resistance)およびガラス保持特性を提供せず、むしろ赤外線吸収特性のような性能を改善する。ポリ(エチレンテレフタレート)が、ポリマーフィルムとして最も一般的に使用される。
【0033】
各種実施形態において、ポリマーフィルム層は、0.013mmから0.20mmであり、好ましくは0.025mmから0.1mmまたは0.04mmから0.06mmの厚さを有する。ポリマーフィルム層は、場合により表面を処理したりまたはコートして、一種以上の性質、例えば接着性または赤外線反射性を改善できる。これらの機能特性層としては、例えば太陽光に暴露されたとき、赤外線を反射して可視光線を透過する複数層スタックが挙げられる。この複数層スタックは、当分野では公知であり(例えばWO 88/01230およびU.S.Patent 4,799,745参照)、および例えば一つ以上のオングストローム厚さの金属層および一つ以上(例えば二つ)の続けて堆積させた光学的に協働作用を行なう誘電層を備えてよい。金属層は、公知のことであるが(例えばU.S.Patent 4,017,661およびU.S.Patent 4,786,783参照)、場合により電気的に抵抗加熱して、任意の付随するガラス層の曇り止めまたは曇り取りを行なうことができる。
【0034】
U.S.Patent 6,797,396に記載されている、本発明で使用できる追加の種類のポリマーフィルムは、金属層が起こすことがある干渉を起こすことなく赤外線を反射する多数の非金属の層を備えている。
【0035】
幾つかの実施形態のポリマーフィルム層は、光学的に透明であり(即ち、この層の一方の面に隣接する物体は、もう一つの面からこの層を通じて見ている特定の観察者の眼によって容易に見ることができる。)、および引張り弾性率が、組成の如何にかかわらず、隣接するポリマー層より通常大きく、幾つかの実施形態では有意に大きい。各種実施形態において、ポリマーフィルム層は熱可塑性材料を含んでいる。適切な特性を有する熱可塑性材料としては、ナイロン類、ポリウレタン類、アクリル樹脂類、ポリカーボネート類、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、酢酸セルロースおよびセルロース三酢酸、塩化ビニルのポリマーおよびコポリマーなどがある。各種実施形態において、ポリマーフィルム層は、ポリエステル類、例えばポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(エチレンテレフタレート)グリコール(PETG)を含む、注目すべき特性を有する再延伸された(re−stretched)熱可塑性フィルムのような材料を含んでいる。各種実施形態において、ポリ(エチレンフタレート)が使用され、および各種実施形態において、このポリ(エチレンフタレート)は、二軸延伸されて強さが改善され次いで熱安定化されて高温に曝されたときの収縮性が低くなる(例えば150℃にて30分後、両方向の収縮率は2%未満)。
【0036】
本発明で使用できるポリ(エチレンテレフタレート)フィルムに対する各種のコーティングや表面処理の技術は、European Application No.0157030に開示されている。本発明のポリマーフィルムはまた、当分野で公知のハードコートおよび/または防曇層を含んでいてもよい。
【0037】
ポリマー層
「ポリマー層」は、本明細書で使用する場合、積層されたグレージングパネルに適切な貫入抵抗およびガラス保持特性を提供する中間層として使用するため、単独で適切な薄い層または一つを超える層のスタック中に、任意の適切な方法で形成される熱可塑性ポリマー構造体を意味する。可塑化されたポリ(ビニルブチラール)は、ポリマー層を形成するのに最も一般的に使用される。
【0038】
ポリマー層は適切などのポリマーを含んでいてもよく、および好ましい実施形態では、ポリマー層はポリ(ビニルブチラール)を含んでいる。ポリ(ビニルブチラール)をポリマー層のポリマー成分として含む、本明細書で与えられる本発明のどの実施形態にも、ポリマー成分がポリ(ビニルブチラール)からなる、または本質的にポリ(ビニルブチラール)からなるもう一つの実施形態が含まれている。これらの実施形態において、本明細書で開示されている任意の各種添加物はポリ(ビニルブチラール)からなる、または本質的にポリ(ビニルブチラール)からなるポリマーを有するポリマー層で使用できる。
【0039】
一実施形態において、ポリマー層は、部分的にアセタール化されたポリ(ビニルアルコール)類に基づいたポリマーを含んでいる。もう一つの実施形態では、ポリマー層は、ポリ(ビニルブチラール)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ(エチレン酢酸ビニル)、この組合せなどからなる群から選択されるポリマーを含んでいる。その他の実施形態では、ポリマー層は可塑化されたポリ(ビニルブチラール)を含んでいる。さらに別の実施形態では、ポリマー層はポリ(ビニルブチラール)および一種以上の他のポリマーを含んでいる。適正な可塑化能力を有する他のポリマーも使用できる。好ましい範囲、価および/または方法が特にポリ(ビニルブチラール)に(例えば限定されないが、可塑剤、成分の百分率、厚さおよび特性を増強する添加剤について)与えられる本明細書のどの章においても、この範囲は、適用可能な場合、ポリマー層の要素として有用な、本明細書に開示されている他のポリマーおよびポリマーブレンドにも当てはまる。
【0040】
ポリ(ビニルブチラール)を含む実施形態では、ポリ(ビニルブチラール)は、公知のアセタール化法で製造することができ、この方法は、各種実施形態で残留ヒドロキシル含有量を本明細書の他の部分に記載したようにして制御するという条件下で、ポリ(ビニルアルコール)とブチルアルデヒドを酸触媒の存在下で反応させ、次いでこの触媒を中和し、樹脂を分離し安定化し次いで乾燥するステップを含んでいる。
【0041】
各種実施形態で、ポリマー層は分子量が、30,000、40,000、50,000、55,000、60,000、65,000、70,000、120,000、250,000または350,00グラム/モル(g/moleまたはダルトン)より大きいポリ(ビニルブチラール)を含んでいる。また、分子量を、350,000ダルトンより大きく増大させるため、アセタール化のステップ中に、少量のジアルデヒドまたはトリアルデヒドを添加してもよい(例えばU.S.Patent 4,874,814、U.S.Patent 4,814,529およびU.S.Patent 4,654,179参照)。用語「分子量」は、本明細書で使用する場合、重量平均分子量を意味する。
【0042】
追加の従来のポリマ−層を、可塑剤含有量が異なると先に述べた任意の実施形態に追加して使用する場合、この追加の従来のポリマー層は、可塑剤を、樹脂100量部(phr)当たり20から60量部、25から60量部、20から80量部または10から70量部含んでもよい。特別な用途に適切である場合は、勿論、他の量を使用できる。幾つかの実施形態では、この可塑剤は、炭素原子の数が20未満、15未満、12未満または10未満の炭化水素セグメントを有している。
【0043】
適切な可塑剤はどれも、ポリマー層を形成するため本発明のポリマー樹脂に添加できる。本発明のポリマー層に使用される可塑剤としては、特に多塩基性酸または多価アルコールのエステルが挙げられる。適切な可塑剤としては、例えばトリエチレングリコールジ−(2−酪酸エチル)、トリエチレングリコールジ−(2−ヘキサン酸エチル)、トリエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、シクロヘキシルアジピン酸ヘキシル、アジピン酸ヘプチルおよびアジピン酸ノニルの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド類などのポリマー可塑剤、およびU.S.Pat.No.3,841,890に開示されているような硫酸エステルとアジピン酸エステルの混合物とU.S.Pat.No.4,144,217に開示されているようなアジピン酸エステルおよび上記化合物の混合物と組合せがある。使用できるその他の可塑剤は、U.S.Pat.No.5,013,779に開示されているようなC−CアルキルアルコールおよびシクロC−C10アルコールから製造される混合アジピン酸エステル、およびアジピン酸ヘキシルのようなC−Cアジピン酸エステルである。好ましい実施形態における可塑剤はトリエチレングリコールジ−(2−ヘキサン酸エチル)である。
【0044】
接着性制御剤(ACA)を、所望の接着性を付与するため、本発明のポリマー層に含ませてもよい。このような物質は、例えば三ポリマー層の実施形態の外側層に組み入れることができる。U.S.Patent 5,728,472に開示されているACAはいずれも使用できる。さらに、残留する酢酸ナトリウムおよび/または酢酸カリウムは、酸で中和する際に使用される会合ヒドロキシドの量を変えることによって調節できる。各種実施形態において、本発明のポリマー層は、酢酸ナトリウムに加えて、マグネシウムビス(2−酪酸エチル)(chemical abstract No.79992−76−0)を含んでいる。このマグシウム塩は、ポリマー層のガラスに対する接着性を制御するのに有効な量で含ませることができる。
【0045】
添加物は、ポリマー層に組み込んで、最終製品の性能を増強することができる。このような添加物としては、限定されないが、可塑剤、染料、顔料、安定剤(例えば紫外線安定剤)、酸化防止剤、難燃剤、他のIR吸収剤、粘着防止剤、これら添加物の組合せなどが挙げられ、当分野で公知である。
【0046】
可視スペクトルまたは近赤外スペクトルの光を選択的に吸収する物質は、適切などのポリマー層にも添加できる。使用できる物質としては、染料および顔料、例えば酸化スズインジウム、酸化スズアンチモンまたは六ホウ化ランタン(LaB)が挙げられる。
【0047】
任意の適切な方法を使用して、ポリ(ビニルブチラール)を製造できる。ポリ(ビニルブチラール)の適切な製造法の詳細は、当業者には公知である(例えばU.S.Patent 2,282,057およびU.S.Patent 2,282,026参照)。一実施形態では、B.E.Wade著(2003年)「Encyclopedia of Polymer Science & Technology」第三版 第八巻 381から399ページ Vinyl Acetal Polymersの章に記載の溶媒法を使用できる。もう一つの実施形態では、上記文献に記載の水性法を使用できる。ポリ(ビニルブチラール)は、各種の形態で、例えば米国ミズーリ州セントルイス所在のSolutia Inc.から、Butvar(商標)樹脂として市販されている。
【0048】
「樹脂」は、本明細書で使用する場合、酸触媒反応およびその後のポリマー前駆体の中和反応から得られる混合物から取り出されるポリマー(例えばポリ(ビニルブチラール))成分を意味する。樹脂は、一般に、ポリマー例えばポリ(ビニルブチラール)に加えて、アセテート、塩およびアルコールなどの他の成分を有している。「溶融物」は、本明細書で使用する場合、樹脂と可塑剤および場合により他の添加物の混合物を意味する。
【0049】
ポリ(ビニルブチラール)層の代表的な一形成法は、樹脂、可塑剤および添加物を含む溶融ポリ(ビニルブチラール)を押出し、次いでこの溶融物を、シート押出しダイ(例えば縦の寸法より横の寸法が有意に大きい開口を有するダイ)を通じて吐出させるステップを含んでいる。ポリ(ビニルブチラール)層のもう一つの代表的な形成法は、溶融物を、ダイからローラ上に流延し、この樹脂を凝固させ、次いでこの凝固させた樹脂をシートとして取り出すステップを含んでいる。両実施形態において、層の片面または両面の表面のテクスチャは、ダイ開口の表面を調節してメルトフラクチャーを制御する、またはローラ表面にテクスチャを付与することによって制御できる。層のテクスチャを制御する他の技術としては、原料のパラメータ(例えば、樹脂および/または可塑剤の含水量、溶融物の温度、ポリ(ビニルブチラール)の分子量分布またはこれらパラメータの組合せ)を変更する技術がある。さらに、前記層は、一時的な表面の凹凸を画定する間隔をおいた突起を含む形状にして、積層工程中、層の脱気を実行しやすくし、その後、積層工程の高温高圧によって突起を層中に溶入させて滑らかな仕上げにすることができる。
【0050】
本発明の中間層は、任意の適切な方法、例えば個々の層の積層または同時押出しによって製造できる。
【0051】
個々の層の積層は、別個に製造された層を組合せ、次いで十分な熱および圧力をかけて層を結合させ「プレラミネート」を形成して、これらの層を一ユニットとして扱うことができるようにし、その後、中間層を剛性グレージング基板の間に積層するときに最終的に接着することによって実行できる。または、予め結合させることなく、個々の層を集めて剛性グレージング基板の間に配置し、次いで完全な複数層グレージングを、単一ステップで積層できる。
【0052】
本発明の中間層の好ましい製造法は、複数の、例えば三つのポリマー層を同時に押出す方法である。本発明の目的を達成するため、複数の溶融物を同時に押出すことによって、複数ポリマー層が、一中間層として共に形成される。
【0053】
本発明の複数層中間層は、図1に示すような複数マニホールドの同時押出し装置を使って同時押出しするほうが好ましい。一般に番号10で図式断面図に示されているように、押出し装置は、第一ダイマニホールド12、第二ダイマニホールド14および第三ダイマニホールド16を有している。図1に示す装置は、ポリマー溶融物を各マニホールド(12、14、16)から押出し開口20の方に同時に押出すことによって作動し、この開口において、複数層中間層が、個々の三つのポリマー層の複合体として押し出される。層の厚さは、押出し開口20におけるダイリップの間の距離を調節することによって変えることができる。
【0054】
用語「ポリマー層」には、本明細書で使用する場合、個々に製造される層および同時に押し出される層が含まれている。例えば、三つの溶融物を同時に押し出すことによって製造される中間層は、三つの個々に製造されたポリマー層を積層して単一の中間層にして製造される中間層と同様に、三つの個々の「ポリマー層」を有している。
【0055】
各種実施形態において、本発明の中間層は、0.1から3mm、0.2から2.5mm、0.25から1.75mmおよび0.3から1.5mmの全厚を有していてもよい。複数層中間層の個々のポリマー層は、例えば厚さがほぼ等しく、合わせると全厚が上記範囲内になり得る。勿論、他の実施形態では、これらの層の厚さは異なっていてもよく、合わせてやはり上記全厚にすることができる。
【0056】
上記ポリマー層に対するパラメータは、ポリ(ビニルブチラール)型の層である本発明の複数層構造体のいずれの層にも当てはまる。
【0057】
以下のパラグラフには、ポリマー層の特性を改善および/または測定するために使用できる各種技術が記載されている。
【0058】
ポリマー層および特にポリ(ビニルブチラール)層の清澄性は、層を通過する入射ビームの方向から分散される光の量を定量化した価のヘーズ値を測定することによって決定できる。ヘーズ百分率は下記技術で測定できる。ヘーズの量を測定する装置:Hazemeter,Model D25(Hunter Associates(米国、バージニア州レストン)から入手できる。)を、オブザーバーアングル2°でIlluminant Cを使ってASTM D1003−61(Re−approved1977)−Procedure Aに従って使用できる。本発明の各種実施形態においてヘーズ百分率は5%未満であり、3%未満であり、および1%未満である。
【0059】
可視光透過率は、国際標準ISO 9050:1990に記載の方法によって、Perkin Elmer Corp.製Lambda 900のようなUV−Vis−NIR分光光度計を使用して定量できる。各種の実施形態において、本発明のポリマー層の透過率は少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%である。
【0060】
連打接着性(pummel adhesion)は下記技術で測定することができ、この「連打接着性」は、本明細書ではポリマー層のガラスに対する接着性を意味し、下記技術を使用して測定できる。2プライガラス積層試料を、標準オートクレーブ積層条件で調製する。この積層体を約−18℃(0°F)まで冷却し、次いで手作業にてハンマーで連打してガラスを破壊する。ポリ(ビニルブチラール)層に接着していない破壊されたすべてのガラスを除いて、ポリ(ビニルブチラール)層に接着して残っているガラスの量を、一組の標準と目視で比較する。これら標準は、ポリ(ビニルブチラール)層に接着して残っているガラスの各種程度の尺度である。特に連打標準ゼロの場合、ガラスはポリ(ビニルブチラール)層に接着して残っていない。連打標準10の場合、ガラスの100%がポリ(ビニルブチラール)層に接着して残っている。本発明のポリ(ビニルブチラール)層の連打標準値は、例えば2から10であり得る。
【0061】
ポリマー層の引張り破断応力は、JIS K6771に記載の方法で測定できる。
【0062】
階段法「落球」試験法を利用し衝撃試験を実施して、中間層を含む積層ガラスパネルの耐衝撃性を測定する。2,268gのスチールボールを、水平に配置した30.5cm x 30.5cmの大きさの被検試料のパネルの上に垂直に落下させる。耐衝撃性は、50%の試料がボールを保持しおよび50%の試料はボールが貫通した落球の高さとして計算される平均破断高(MBH)として測定する。
【0063】
曲げ弾性率はASTM D790に従って測定する。
【実施例】
【0064】
耐衝撃性
耐衝撃性を改善されたポリ(ビニルブチラール)複数層中間層の実施例を表1に列挙する。メートル単位の平均破断高(MBH)で示す耐衝撃性を図2に示す。
【0065】
表1に示す三つの試料の各試料中間層は、全厚さが0.64mm(25mil)で、各々残留ヒドロキシル基含有量が16%で厚さが0.10mm(4mil)の第一層および第三層ならびにこの第一層と第三層の間に接触して配置された、残留ヒドロキシル基含有量が18.5%で厚さが0.43mm(17mil)の第二層を含んでいる。
【0066】
表1は、樹脂とともに配合された可塑剤のトリエチレングリコールジ−(2−ヘキサン酸エチル)(3GEH)のphr値を示す。
【0067】
【表1】

【0068】
図2に示すように、本発明の被検複数層中間層の実施形態は、全層厚さ0.64mm(25mil)にて、厚さが0.76mm(30mil)の従来の単層中間層と比べてより高い耐衝撃性を示している。
【0069】
本発明の複数層中間層の二つの試料の剛性を、この中間層の試料を含む積層ガラスパネルの曲げ弾性率として測定する。両試料と比較例の中間層に対して同じ厚さのガラス(本発明では3mm)を使用する。試験結果を表2に示す。
【0070】
表2に示す二つの試料では、三層中間層の各試料は、表2に示す厚さおよび残留ヒドロキシル基含有量を有し、第一と第三の外側層は樹脂とともに配合された可塑剤トリエチレングリコールジ−(2−ヘキサン酸エチル)(3GEH)を25phr有し、および第二内側層は樹脂とともに配合された同じ可塑剤を18phr有している。「Comp」中間層はSolutia Inc.が市販しているSaflex”Storm”の製品である。
【0071】
【表2】

【0072】
表2に示す本発明の複数層中間層の実施形態は、従来の対照試料より高い剛性を示している。なお、「Pa」はパスカルであり、および「PSI」はポンド/インチである。
【0073】
本発明によれば、耐衝撃性に優れおよび剛性が高くおよび建築物の窓に使用する積層ガラスパネルなどの複数層構造体中に容易に組み込まれる複数層中間層を提供できる。
【0074】
本発明を代表的な実施形態で参照して説明してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、各種の変更を行いおよびこの要素を等価物で置換できることは、当業者には理解される。さらに、本発明の本質的な範囲を逸脱することなく、多くの変更を行い、特定の状態もしくは材料に本発明の教示を適合させることができる。それ故、本発明は、本発明を実施するための最良の方式として開示された特定の実施形態に限定することなく、後記特許請求の範囲の範囲内に入るすべての実施形態を含むものである。
【0075】
さらに、本発明の任意の単一の要素に与えられる範囲、価または特性は、互換できる場合、本発明の任意の他の要素に与えられる任意の範囲、価または特性と入れ替えて、本明細書全体にわたって、各要素について定義された値を有する実施形態を作製できると理解される。例えば適切な場合、与えられた任意の範囲の可塑剤に加えて、与えられた任意の範囲の残留アセテート基含有量を含むポリマー層を形成して、本発明の範囲内にあるが、列挙しにくい多くの変形例を作製できる。
【0076】
要約または任意の特許請求の範囲に記載の図面の参照番号は、例示することだけを目的とし、特許を請求される発明を、任意の図面に示す任意の一つの特定の実施形態に限定するとみなすべきでない。
【0077】
図面は、特に断らない限り、一定の尺度では描かれていない。
【0078】
本明細書に引用されている雑誌の論文、特許、出願および書籍を含む各引用文献は、この全体を、参照により本明細書に組み入れられるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(ビニルブチラール)を含む第一ポリマー層、
ポリ(ビニルブチラール)を含む第二ポリマー層、
ポリ(ビニルブチラール)を含む第三ポリマー層
を含み、
前記第二ポリマー層が、前記第一ポリマー層と前記第三ポリマー層の間に配置され、
前記第一ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量が、前記第二ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量より少なくとも2phr高く、および
前記第三ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量が、前記第二ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量より少なくとも2phr高い
複数層中間層。
【請求項2】
前記第二ポリマー層が、前記第一ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマーおよび前記第三ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー各々の残留ヒドロキシル基含有量より少なくとも0.5重量%高い残留ヒドロキシル基含有量を有する、請求項1に記載のポリマー中間層。
【請求項3】
前記第二ポリマー層が、前記第一ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマーおよび前記第三ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー各々の残留ヒドロキシル基含有量より少なくとも2.0重量%高い残留ヒドロキシル基含有量を有する、請求項1に記載のポリマー中間層。
【請求項4】
前記第二ポリマー層の引張り破断応力が180kg/cmより高く、前記第一ポリマー層および前記第三ポリマー層の引張り破断応力が230kg/cm未満であり、ならびに前記第二ポリマー層の引張り破断応力が、前記第一ポリマー層および前記第三ポリマー層の引張り破断応力より15kg/cmよりも大きい、請求項1に記載のポリマー中間層。
【請求項5】
前記第二ポリマー層の引張り破断応力が、前記第一ポリマー層および前記第三ポリマー層の引張り破断応力より15kg/cmよりも大きい、請求項1に記載のポリマー中間層。
【請求項6】
前記第一ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量が、前記第二ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量より少なくとも5phr高く、および前記第三ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量が、前記第二ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量より少なくとも5phr高い、請求項1に記載のポリマー層中間層。
【請求項7】
ポリ(ビニルブチラール)を含む第一ポリマー層、
ポリ(ビニルブチラール)を含む第二ポリマー層、
ポリ(ビニルブチラール)を含む第三ポリマー層
を含み、
前記第二ポリマー層が前記第一ポリマー層と前記第三ポリマー層の間に配置され、
前記第一ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量が、前記第二ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量より少なくとも2phr高く、および
前記第三ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量が、前記第二ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量より少なくとも2phr高い
複数層中間層を含む複数層グレージングパネル。
【請求項8】
前記第二ポリマー層が、前記第一ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマーおよび前記第三ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー各々の残留ヒドロキシル基含有量より少なくとも0.5重量%高い残留ヒドロキシル基含有量を有する、請求項7に記載のパネル。
【請求項9】
前記第二ポリマー層が、前記第一ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマーおよび前記第三ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー各々の残留ヒドロキシル基含有量より少なくとも2.0重量%高い残留ヒドロキシル基含有量を有する、請求項7に記載のパネル。
【請求項10】
前記第二ポリマー層の引張り破断応力が180kg/cmより高く、前記第一ポリマー層および前記第三ポリマー層の引張り破断応力が230kg/cm未満であり、ならびに前記第二ポリマー層の引張り破断応力が、前記第一ポリマー層および前記第三ポリマー層の引張り破断応力より15kg/cmよりも大きい、請求項7に記載のパネル。
【請求項11】
前記第二ポリマー層の引張り破断応力が、前記第一ポリマー層および前記第三ポリマー層の引張り破断応力より15kg/cmよりも大きい、請求項7に記載のパネル。
【請求項12】
前記第一ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量が、前記第二ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量より少なくとも5phr高く、および前記第三ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量が、前記第二ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量より少なくとも5phr高い、請求項7に記載のパネル。
【請求項13】
第一ポリマー溶融物、第二ポリマー溶融物および第三ポリマー溶融物を形成し、前記第一ポリマー溶融物、前記第二ポリマー溶融物および前記第三ポリマー溶融物の間の可塑剤濃度phrの差が2phr以下であり、
前記第一ポリマー溶融物、前記第二ポリマー溶融物および前記第三ポリマー溶融物を同時に押出して、第一ポリマー層、第二ポリマー層および第三ポリマー層を有し、前記第二ポリマー層が前記第一ポリマー層と前記第三ポリマー層の間に配置された中間層を形成して、可塑剤を、前記第二ポリマー層から前記第一ポリマー層および前記第三ポリマー層の両者に移行させ、
前記第二ポリマー層が、前記第一ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマーおよび前記第三ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマーの残留ヒドロキシル基含有量より少なくとも0.5重量%高い残留ヒドロキシル基含有量を有する
ステップを含む複数層中間層の製造方法。
【請求項14】
前記第二ポリマー層が、前記第一ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマーおよび前記第三ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー各々の残留ヒドロキシル基含有量より少なくとも0.5重量%高い残留ヒドロキシル基含有量を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第二ポリマー層が、前記第一ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマーおよび前記第三ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー各々の残留ヒドロキシル基含有量より少なくとも2.0重量%高い残留ヒドロキシル基含有量を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第二ポリマー層の引張り破断応力が180kg/cmより高く、前記第一ポリマー層および前記第三ポリマー層の引張り破断応力が230kg/cm未満であり、および前記第二ポリマー層の引張り破断応力が、前記第一ポリマー層および前記第三ポリマー層の引張り破断応力より15kg/cmよりも大きい、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記第二ポリマー層の引張り破断応力が、前記第一ポリマー層および前記第三ポリマー層の引張り破断応力より15kg/cmよりも大きい、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記第一ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量が、前記第二ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量より少なくとも5phr高く、および前記第三ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量が、前記第二ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量より少なくとも5phr高い、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
第一ポリマー溶融物、第二ポリマー溶融物および第三ポリマー溶融物を形成し、
前記第一ポリマー溶融物、前記第二ポリマー溶融物および前記第三ポリマー溶融物を同時に押し出して、第一ポリマー層、第二ポリマー層および第三ポリマー層を有する中間層を形成し、前記第二ポリマー層が前記第一ポリマー層と前記第三ポリマー層の間に配置される
ステップを含み、
前記第一ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量が、前記第二ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量より少なくとも2phr高く、ならびに
前記第三ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量が前記第二ポリマー層の前記可塑化された熱可塑性ポリマー中の可塑剤の量より少なくとも2phr高い
複数層中間層の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−525967(P2010−525967A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506548(P2010−506548)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/061690
【国際公開番号】WO2008/137367
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(500276390)ソリユテイア・インコーポレイテツド (43)
【Fターム(参考)】