説明

耐衝撃性樹脂組成物

【課題】 より優れた透明性と耐衝撃性を有する樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 本発明の樹脂組成物は、ポリ乳酸系樹脂5〜100重量%及びメタクリル樹脂0〜95重量%からなる母相樹脂と、弾性重合体部を有する重合体粒子とを含有する樹脂組成物であって、下記(i)〜(iv)の条件を全て満たすことを特徴とする樹脂組成物。
(i)前記母相樹脂と前記重合体粒子との前記樹脂組成物における含有割合が、母相樹脂:重合体粒子(重量比)=40:60〜99:1であること
(ii)前記重合体粒子が、重量平均粒子径が異なる2種類以上の重合体粒子を含有する混合物からなること
(iii)前記(ii)の2種類以上のそれぞれの重合体粒子における重量平均粒子径が、30〜1000nmであること
(iv)前記(ii)の混合物に含まれる2種類以上のそれぞれの重合体粒子における重量平均粒子径が、それぞれ100nm以上の差を有すること

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強度、耐衝撃性、透明性、成形加工性に優れ、低環境負荷である樹脂組成物およびそれからなる成形品に関する。かかる成形品は、例えば、種々の保形材や容器、電気・電子部品、建築部材、土木部材、農業資材、自動車部品、食品包装材料、日用品などの成形材料として利用される。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止のために温室効果ガス削減を目的とし、製品に用いる材料の立場から考え、提案されるエコマテリアルを用いた製品開発が求められている。
ポリ乳酸系樹脂は、いわゆるカーボンニュートラルに対応しうる植物由来樹脂であり環境負荷低減に寄与するとともに、透明性も備えたエコマテリアルとして、注目されている。しかも、一般に、植物由来樹脂は、力学特性、耐熱性およびコストの点で劣ることが知られているが、ポリ乳酸系樹脂は、植物由来樹脂の中で、力学特性、耐熱性およびコストのバランスに最も優れている。
他方、メタクリル樹脂は、透明性に優れ、しかも耐熱性も良好であるという利点を有している。
また、ポリ乳酸系樹脂とメタクリル樹脂は、互いに相溶性が高いので、例えば両者の特性を組合せて所望の物性を発現させるべく両方の樹脂を任意に混合することが可能である、という利点もある。
以上のような利点を活かし、ポリ乳酸系樹脂やメタクリル樹脂は、単独もしくは併用して、透明性や耐熱性が求められる成形材料等の用途に利用されている。
【0003】
しかしながら、ポリ乳酸系樹脂、メタクリル樹脂またはこれらの混合した樹脂組成物は、いずれも耐衝撃性が低いため、保形材や容器などの成形品に要求されるだけの充分な耐衝撃性を発現させることができなかった。
【0004】
そこで、高い耐衝撃性を有する樹脂組成物として、特許文献1には、ポリ乳酸系重合体にゴム質重合体を添加させた熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献2には、スチレン系樹脂、グラフト重合体、脂肪族ポリエステル及び耐衝撃改良剤(グラフト重合体以外のゴム)からなる優れた強度、耐衝撃性、耐熱性、および成形加工性を有する樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−285258号公報
【特許文献2】特開2007−191695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記樹脂組成物でも、耐衝撃性や透明性の点で必ずしも充分満足できるものではなかった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、より優れた透明性と耐衝撃性を有する樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった。その結果、ポリ乳酸系樹脂単独またはこれにメタクリル樹脂をブレンドした樹脂組成物に対して配合する重合体粒子において、平均粒子径が異なる少なくとも二種類の重合体粒子を所定の条件を満たすように配合して用いることで、それぞれ一種類のゴム粒子を同量用いるよりも高い透明性および耐衝撃性を確保できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
(1)ポリ乳酸系樹脂5〜100重量%及びメタクリル樹脂0〜95重量%からなる母相樹脂と、弾性重合体部を有する重合体粒子とを含有する樹脂組成物であって、下記(i)〜(iv)の条件を全て満たすことを特徴とする樹脂組成物。
(i)前記母相樹脂と前記重合体粒子との前記樹脂組成物における含有割合が、母相樹脂:重合体粒子(重量比)=40:60〜99:1であること
(ii)前記重合体粒子が、重量平均粒子径が異なる2種類以上の重合体粒子を含有する混合物からなること
(iii)前記(ii)の2種類以上のそれぞれの重合体粒子における重量平均粒子径が、30〜1000nmであること
(iv)前記(ii)の混合物に含まれる2種類以上のそれぞれの重合体粒子における重量平均粒子径が、それぞれ100nm以上の差を有すること
(2)前記重合体粒子が多層重合体である前記(1)に記載の樹脂組成物。
(3)前記多層重合体が、弾性重合体層(ア)の外側に弾性重合体層(イ)を備え、該弾性重合体層(イ)の外側に硬質グラフト層(ウ)を備え、前記弾性重合体層(ア)は、アクリル酸アルキルおよび多官能単量体を含有する単量体成分を重合させて得られ、前記弾性重合体層(イ)は、前記単量体成分とはアクリル酸アルキルおよび多官能単量体の含有比率が異なる単量体成分を重合させて得られる前記(2)に記載の樹脂組成物。
(3)前記(ii)における混合物が、重合体粒子(A)と、この重合体粒子(A)よりも重量平均粒子径が大きい重合体粒子(B)との2種類の重合体粒子を含有し、重合体粒子(A)と重合体粒子(B)との含有割合が、重合体粒子(A):重合体粒子(B)(重量比)=40:60〜99:1である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(4)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂組成物からなる成形品。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、充分な耐衝撃性を発現するとともに、より優れた透明性を有する樹脂組成物を提供することができる。このような樹脂組成物からなる成形品は、充分な耐衝撃性を有し、例えば、種々の保形材や容器、電気・電子部品、建築部材、土木部材、農業資材、自動車部品、食品包装材料、日用品などとして好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の樹脂組成物は、ポリ乳酸系樹脂単独の母性樹脂、またはポリ乳酸系樹脂に必要に応じてメタクリル樹脂を混合した母相樹脂を含有し、弾性重合体部を有する重合体粒子を含有する。
【0012】
(ポリ乳酸系樹脂)
ポリ乳酸系樹脂は、例えばL−乳酸およびD−乳酸の少なくとも一方(以下、纏めて「乳酸」という)を主体とし、これと共重合可能な単量体を必要に応じて含む単量体成分を重合させた重合体等を用いることが好ましい。
乳酸を主体とする単量体成分とは、全単量体成分における乳酸の含有比率が、80モル%以上、好ましくは90モル%以上であることを意味する。乳酸の含有比率が80モル%以上であることで、得られるポリ乳酸系樹脂は優れた耐衝撃性および耐熱性を有する。
乳酸と共重合可能な単量体としては、例えば、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等が挙げられる。
単量体成分を重合する重合方法としては、特に制限はなく、例えば、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などの公知の重合方法を採用することができ、その際、固相重合法を併用することもできる。
なお、ポリ乳酸系樹脂は、1種のみであってもよいし、例えば、乳酸の含有比率が異なる単量体成分から得られるポリ乳酸系樹脂などを2種以上混合したものであってもよい。
【0013】
本発明におけるポリ乳酸系樹脂の分子量や分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)については、成形加工が可能な範囲で適宜設定すればよく、特に制限されないが、例えば、重量平均分子量は、5万〜50万であるのが好ましく、より好ましくは10万〜50万であるのがよい。また、分子量分布は、1.5〜20であるのが好ましく、より好ましくは2〜10であるのがよい。
【0014】
(メタクリル樹脂)
本発明におけるメタクリル樹脂は、例えばメタクリル酸アルキルを主体とし、これと共重合可能な単量体を必要に応じて含む単量体成分を重合させた重合体等を用いることが好ましい。
メタクリル酸アルキルを主体とする単量体成分とは、全単量体成分におけるメタクリル酸アルキルの含有比率が、70重量%以上、好ましくは90重量%以上であることを意味する。
メタクリル酸アルキルとしては、炭素数が1〜8程度のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
また、メタクリル酸アルキルと共重合可能な単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシルのようなアクリル酸エステル;スチレンのような芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルのようなビニルシアン化合物;等が挙げられる。中でも、アクリル酸エステルが好ましい。
メタクリル酸アルキルを主体とする単量体成分を重合する重合方法としては、特に制限はなく、例えば、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法などの公知の重合方法を採用することができる。なお、メタクリル樹脂は、例えば、メタクリル酸アルキルの含有比率が異なる単量体成分から得られるメタクリル樹脂などを2種以上混合した重合体であってもよい。
【0015】
本発明におけるメタクリル樹脂の分子量や分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)については、成形加工が可能な範囲で適宜設定すればよく、特に制限されないが、例えば、重量平均分子量は、5万〜100万であるのが好ましく、より好ましくは7万〜50万であるのがよい。また、分子量分布は、2〜10であるのが好ましい。
【0016】
(母相樹脂)
本発明における母相樹脂のポリ乳酸系樹脂とメタクリル樹脂との比率については、重量比率において100/0〜5/95の範囲であれば、得ようとする樹脂組成物の所望する特性に応じて適宜設定すればよい。例えば、環境負荷の低減を重視する場合には、カーボンニュートラルなポリ乳酸系樹脂の比率を高くすればよく、耐熱性を重視する場合には、メタクリル樹脂の比率を高くすればよい。しかしながら、この範囲を超える場合には、本発明の高い耐衝撃性の効果が発現しにくく適当でない。ポリ乳酸系樹脂とメタクリル樹脂との混合比は、通常、重量比率において100/0〜5/95であり、好ましくは100/0〜40/60であり、さらに好ましくは100/0〜60/40である。
【0017】
(弾性重合体部を有する重合体粒子)
本発明における弾性重合体部を有する重合体粒子(以下、ゴム粒子ということがある)は、少なくとも弾性重合体からなる弾性重合体層を有するゴム粒子であり、弾性重合体のみからなる単層構造の単層重合体であってもよいし、弾性重合体層と硬質重合体からなる硬質グラフト層とから構成される多層構造の多層重合体であってもよい。ゴム粒子が弾性重合体層を有することで、該ゴム粒子を混練して得られる樹脂組成物に、優れた耐衝撃性能を付与することができる。また、ゴム粒子が弾性重合体層とともに硬質グラフト層を有することで、さらに優れた耐衝撃性や透明性などの性能を付与することができる。
【0018】
ゴム粒子が多層重合体である場合には、その層構成は、特に限定されず、例えば、内層(弾性重合体層)/外層(硬質グラフト層)からなる2層構造、内層(硬質グラフト層)/外層(弾性重合体層)からなる2層構造、内層(硬質グラフト層)/中間層(弾性重合体層)/外層(硬質グラフト層)からなる3層構造、内層(弾性重合体層)/中間層(硬質グラフト層)/外層(弾性重合体層)からなる3層構造、内層の弾性層と中間層の弾性層の組成が異なる内層(弾性重合体層)/中間層(弾性重合体層)/外層(弾性重合体層)からなる3層構造、内層(弾性重合体層)/内層側中間層(硬質グラフト層)/外層側中間層(弾性重合体層)/外層(硬質グラフト層)からなる4層構造等が挙げられる。
また、これら層構造のうち最も外側が硬質グラフト層である構造において、さらにその外側が異なる組成の硬質グラフト層で覆われた構造、具体的には、例えば、内層(弾性重合体層)/中間層(硬質グラフト層)/外層(硬質グラフト層)からなる3層構造、内層(硬質グラフト層)/内層側中間層(弾性重合体層)/外層側中間層(硬質グラフト層)/外層(硬質グラフト層)からなる4層構造等であってもよい。
【0019】
本発明における弾性重合体部とは、ゴム粒子が弾性重合体のみからなる単層構造の単層重合体である場合には、当該ゴム粒子の全てを意味し、他方、ゴム粒子が多層構造を有する多層重合体である場合には、ゴム粒子を構成する層のうち最も外側に積層された弾性重合体層と該弾性重合体層に覆われる内部とを意味するものとする。
例えば、ゴム粒子が内層(弾性重合体層)/外層(硬質グラフト層)からなる2層構造である場合には、内層のみが弾性重合体部に該当し、ゴム粒子が内層(硬質グラフト層)/中間層(弾性重合体層)/外層(硬質グラフト層)からなる3層構造である場合には、内層および中間層が弾性重合体部に該当し、ゴム粒子が内層(弾性重合体層)/中間層(硬質グラフト層)/外層(硬質グラフト層)からなる3層構造である場合には、内層のみが弾性重合体部に該当する。
【0020】
本発明における平均粒子径は、動的光散乱法により、ゴム粒子のブラウン運動に依存した散乱強度の揺らぎを解析して求めた重量平均粒子径を採用している。
散乱強度の揺らぎの解析方法としては、例えば、タイムインターバル法、タイムドメイン法およびMARQUARDT法などが挙げられ、なかでもMARQUARDT法が好ましい。
【0021】
本発明におけるゴム粒子は、重量平均粒子径が異なる2種類以上のゴム粒子を含有する混合物からなるものである。
ゴム粒子の重量平均粒子径は、いずれも通常30〜1000nmであり、好ましくは50〜800nmである。ゴム粒子の重量平均粒子径が30nm未満であると、得られる樹脂組成物の耐衝撃性が不充分となり、一方、1000nmを超えると、得られる樹脂組成物の透明性が不充分となる。ゴム粒子の重量平均粒子径は、例えば、後述する乳化重合によりゴム粒子を得る際に、乳化剤の添加量や単量体成分の使用量等を調節することによって調整することができる。
【0022】
本発明における混合物に含まれる2種類以上のゴム粒子の重量平均粒子径の差は、それぞれ通常100nm以上、好ましくは200nm以上である。2種類以上のゴム粒子の重量平均粒子径の差が100nm未満であると、得られる樹脂組成物は十分な耐衝撃性が発現しない場合があり好ましくない。
【0023】
本発明におけるゴム粒子は、製造の容易さの観点からは重量平均粒子径が異なる2種類の重合体粒子の混合物からなるゴム粒子が好ましい。ゴム粒子が、重合体粒子(A)と重合体粒子(A)よりも重量平均粒子径が大きい重合体粒子(B)との2種類のゴム粒子の混合物からなる場合、ゴム粒子(A)とゴム粒子(B)との含有割合が、ゴム粒子(A):ゴム粒子(B)(重量比)=40:60〜99:1であるのが好ましい。
【0024】
ゴム粒子における弾性重合体層は、アクリル酸アルキルと多官能単量体とを含み、必要に応じて他に、単官能単量体をも含む単量体成分を重合させて形成される弾性重合体である。
【0025】
弾性重合体層を形成する際のアクリル酸アルキルとしては、炭素数が1〜8であるアルキル基を有するものが好ましく、中でも、アクリル酸ブチルやアクリル酸2−エチルヘキシルのように炭素数が4〜8であるアルキル基を有するものがより好ましい。なお、アクリル酸アルキルは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0026】
弾性重合体層を形成する際の多官能単量体は、1分子中に少なくとも2個の重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物であり、いわゆる架橋剤やグラフト剤としての機能を示すものであればよい。
具体的には、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレートのようなグリコール類の不飽和カルボン酸ジエステル;アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリルのような不飽和カルボン酸のアルケニルエステル;フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートのような多塩基酸のポリアルケニルエステル;トリメチロールプロパントリアクリレートのような多価アルコールの不飽和カルボン酸エステル;ジビニルベンゼン;等が挙げられ、中でも、不飽和カルボン酸のアルケニルエステルや多塩基酸のポリアルケニルエステルが好ましい。なお、多官能単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0027】
弾性重合体層を形成する際に任意に用いられる単官能単量体は、1分子中に1個の重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物であり、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシルのようなメタクリル酸エステル;スチレンのような芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルのようなビニルシアン化合物;等が挙げられる。なお、単官能単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0028】
弾性重合体層を形成する際の単量体成分に占めるアクリル酸アルキル、多官能単量体および単官能単量体の含有比率は、いずれも特に制限されない。例えば、通常は、アクリル酸アルキルの含有比率は、50〜99.9重量%であることが好ましく、より好ましくは60〜99.9重量%であり、多官能単量体の含有比率は、0.1〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%であり、単官能単量体の含有比率は、0〜49.9重量%であることが好ましく、より好ましくは0〜39.9重量%であるのがよい。
ゴム粒子が、弾性重合体層(ア)の外側に弾性重合体層(イ)を備え、該弾性重合体層(イ)の外側に硬質グラフト層(ウ)を備えた3層構造である場合には、弾性重合体層(ア)を形成する際の単量体成分に占めるアクリル酸アルキルの含有比率は、50〜99.9重量%であることが好ましく、より好ましくは60〜99.9重量%であり、多官能単量体の含有比率は、0.1〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%であり、単官能単量体の含有比率は、0〜49.9重量%であることが好ましく、より好ましくは0〜39.9重量%であり、および弾性重合体層(イ)を形成する際の単量体成分に占めるアクリル酸アルキルの含有比率は、50〜99.9重量%であることが好ましく、より好ましくは60〜99.9重量%であり、多官能単量体の含有比率は、0.1〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%であり、単官能単量体の含有比率は、0〜49.9重量%であることが好ましく、より好ましくは0〜39.9重量%であり、弾性重合体層(ア)および弾性重合体層(イ)においては、弾性重合体層(イ)は、弾性重合体層(ア)を形成する際の単量体成分とはアクリル酸アルキル、多官能単量体および単官能単量体の含有比率が異なる単量体成分を重合させて得られる。
【0029】
弾性重合体層のガラス転移温度(Tg)は、特に制限されないが、通常25℃以下、好ましくは0℃以下であるのがよい。なお、弾性重合体層のガラス転移温度を求めるには、弾性重合体層を形成している単量体成分と同じ単量体成分を用いて重合を行い、得られる単層構造の重合体のガラス転移温度を測定すればよい。
【0030】
硬質グラフト層は、通常、メタクリル酸アルキルを含み、必要に応じてラジカル重合可能な単量体をも含む単量体成分を重合させて形成される硬質重合体である。
硬質グラフト層を形成する際のメタクリル酸アルキルとしては、炭素数が1〜8であるアルキル基を有するものが好ましく、具体的には、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。また、なお、メタクリル酸アルキルは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
硬質グラフト層を形成する際に任意に用いられるラジカル重合可能な単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシルのようなアクリル酸エステル;スチレンのような芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルのようなビニルシアン化合物;、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ジグリシジルイタコネート等のエポキシ基を有する化合物等が挙げられる。なお、ラジカル重合可能な単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0031】
硬質グラフト層を形成する際の単量体成分に占めるメタクリル酸アルキルの含有比率およびラジカル重合可能な単量体の含有比率は、いずれも特に制限されない。例えば、通常は、硬質グラフト層を形成する際の単量体成分に占めるメタクリル酸アルキルの含有比率は、50〜100重量%であることが好ましく、より好ましくは60〜98重量%であり、ラジカル重合可能な単量体の含有比率は、0〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは2〜40重量%であるのがよい。また、ゴム粒子が、その弾性重合体部上にさらに2層の硬質グラフト層が積層された多層構造である場合には、2層に積層された硬質グラフト層のうちの内側の硬質グラフト層では、硬質グラフト層を形成する際の単量体成分に占めるメタクリル酸アルキルおよびラジカル重合可能な単量体の含有比率は、それぞれ上述した範囲であるのがよく、一方、2層に積層された硬質グラフト層のうち外側の硬質グラフト層では、硬質グラフト層を形成する際の単量体成分に占めるメタクリル酸アルキルの含有比率は、70〜100重量%であり、硬質グラフト層を形成する際の単量体成分に占めるラジカル重合可能な単量体の含有比率は、0〜30重量%であることが好ましい。なお、かかる硬質グラフト層は、架橋されていないものであってもよく、架橋されているものであってもよいが、架橋されていないものが好ましい。
【0032】
硬質グラフト層のガラス転移温度(Tg)は、特に制限されないが、通常120℃以下、好ましくは110℃以下であるのがよい。なお、硬質グラフト層のガラス転移温度を求めるには、当該硬質グラフト層を形成している単量体成分と同じ単量体成分を用いて重合を行い、得られる単層構造の重合体のガラス転移温度を測定すればよい。
【0033】
弾性重合体層と硬質グラフト層とのゴム粒子における重量割合は、特に制限されないが、ゴム粒子の重量(すなわち、弾性重合体層の総重量と硬質グラフト層の総重量との合計)100重量部に対して、弾性重合体層の総重量が50〜90重量部であり、硬質グラフト層の総重量が10〜50重量部であるのが好ましい。弾性重合体層の重量割合が前記範囲よりも少ないと、耐衝撃性が不充分となる場合があり、一方、弾性重合体層の重量割合が前記範囲よりも多いと、ゴム粒子の母相樹脂への分散性が低下してゴム粒子同士が凝集しやすくなる場合があり、得られる樹脂組成物の表面の平滑性を損なうおそれがある。
【0034】
ゴム粒子は、例えば、公知の乳化重合法によりラテックス中で合成することができ、その後、適当な回収操作を行なうことにより粉体として単離する方法で得ることができる。
【0035】
以下、弾性重合体層(ア)の外側に弾性重合体層(イ)を備え、該弾性重合体層(イ)の外側に硬質グラフト層(ウ)を備え、弾性重合体層(イ)は、弾性重合体層(ア)を形成する際の単量体成分とはアクリル酸アルキルおよび多官能単量体の含有比率が異なる単量体成分を重合させて得られる、内層〔弾性重合体層(ア)〕/中間層〔弾性重合体層(イ)〕/外層〔硬質グラフト層(ウ)〕からなる3層構造のゴム粒子を例に挙げて、その製造方法を説明するが、本発明におけるゴム粒子の製造方法はこれに限られるものではない。
【0036】
内層〔弾性重合体層(ア)〕/中間層〔弾性重合体層(イ)〕/外層〔硬質グラフト層(ウ)〕からなる3層構造のゴム粒子を製造するには、窒素等の不活性ガス雰囲気下に、乳化剤や重合開始剤等を含む水系媒体中で、弾性重合体層(ア)(内層)を構成する単量体成分を乳化重合させる。このとき、単量体成分は2段階に分けて重合させるのが好ましい。すなわち、まず、単量体成分全量のうち、少なくともアクリル酸アルキルおよび多官能単量体を所定量ずつ混合した単量体成分を重合させてシード粒子を得、その後、このシード粒子の存在下に残りの単量体成分を重合させて弾性重合体層(ア)(内層)となる単層構造のゴム粒子を含む弾性重合体ラテックスを得るのが好ましい。このように2段階に分けて重合させることにより、最終的に得られるゴム粒子の粒子径や粒子個数を所望の範囲に調整することができる。
次いで、得られた単層構造のゴム粒子を含む弾性重合体ラテックスに、弾性重合体層(ア)(内層)を構成する単量体成分とはアクリル酸アルキルおよび多官能単量体の含有比率が異なる弾性重合体層(イ)(中間層)を構成する単量体成分を添加して、これらを乳化重合させることにより、弾性重合体層(ア)(内層)の外側に弾性重合体層(イ)(中間層)を形成させ、内層〔弾性重合体層(ア)〕/中間層〔弾性重合体層(イ)〕からなる2層構造のゴム粒子を含む弾性重合体ラテックスを得ることができる。
続いて、得られた内層/中間層からなる2層構造のゴム粒子を含む弾性重合体ラテックスに、硬質グラフト層(ウ)(外層)を構成する単量体成分を添加して、これらを乳化重合させることにより、内層〔弾性重合体層(ア)〕/中間層〔弾性重合体層(イ)〕の外側に硬質グラフト層(ウ)を形成させ、上述した3層構造のゴム粒子を含む弾性重合体ラテックスを得ることができる。
なお、例えば、得られた3層構造のゴム粒子に、さらに別組成の硬質グラフト層または弾性重合体層を形成させた4層構造のゴム粒子を製造する場合には、前述のようにして得られた3層構造のゴム粒子を含む弾性重合体ラテックスに、さらに4層目の層を形成する単量体成分を添加して乳化重合させて、4層構造のゴム粒子を含む弾性重合体ラテックスを得ることができる。
得られたゴム粒子を含む弾性重合体ラテックスからゴム粒子を回収して、ゴム粒子を得ることができる。
【0037】
ゴム粒子の製造における乳化重合において用いることのできる水系媒体としては、特に限定されないが、例えば、水や、水と水混和性溶剤との混合溶媒等が挙げられる。水系媒体は、用いる単量体成分の総量100重量部に対して50〜300重量部程度の割合となるように、一括、分割または連続して添加するのが好ましい。
【0038】
ゴム粒子の製造における乳化重合において用いることのできる乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、アニオン系の乳化剤等が挙げられる。
アニオン系の乳化剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の直鎖または分岐したアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。乳化剤は、層を形成する単量体成分の総量100重量部に対して0.01〜15重量部程度の割合となるように、一括、分割または連続して添加するのが好ましい。
【0039】
ゴム粒子の製造における乳化重合において用いることのできる重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸化合物等が挙げられる。重合開始剤は、用いる単量体成分の総量100重量部に対して0.01〜1重量部程度の割合となるように、一括、分割または連続して添加するのが好ましい。
【0040】
ゴム粒子の製造における乳化重合において、弾性重合体層や硬質グラフト層の分子量を制御する目的で、連鎖移動剤、pH調整剤等を使用することができる。
連鎖移動剤としては、例えば、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、sec−ドデシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタンなどのアルキル基または置換アルキル基を有する第一級、第二級および第三級メルカプタン、フェニルメルカプタンなどの芳香族メルカプタン、チオグリコール酸やそのエステル、エチレングリコール等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば炭酸ナトリウム等が挙げられる。
【0041】
ゴム粒子の製造における乳化重合の重合温度は、特に限定されないが、通常、60〜90℃程度である。
【0042】
ゴム粒子を含む弾性重合体ラテックスからゴム粒子を回収する方法は、従来公知の方法を採用すればよく、例えば、塩析、酸析、凍結などで凝固させた後、遠心分離などの手法を用いてろ過、洗浄する方法や、スプレー乾燥処理により回収する方法等を用いることができる。
【0043】
(樹脂組成物)
本発明の樹脂組成物は、少なくとも母相樹脂およびゴム粒子を混合して調整される。この際、本発明の効果を損なわない範囲で、母相樹脂以外の樹脂成分や各種添加剤を含有させることができる。
樹脂組成物を調製する方法としては、例えば、単軸押出機や二軸押出機で溶融混練する方法など、従来公知の方法を採用することができる。
【0044】
本発明の樹脂組成物における母相樹脂とゴム粒子との含有割合は、母相樹脂:ゴム粒子(重量比)=40:60〜99:1、好ましくは50:50〜95:5であるのがよい。ゴム粒子の重量が、樹脂組成物におけて1重量部未満であると、充分な耐衝撃性が得られない場合があり、一方、ゴム粒子の重量が、樹脂組成物におけて60重量部を超えると、溶融粘度が高まり加工が難しくなる場合がある。
【0045】
添加剤としては、特に制限はないが、例えば、酸化防止剤、耐候性改良剤、造核剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、各種着色剤、フィラー等が挙げられる。
本発明におけるポリ乳酸系樹脂の加水分解を抑制することで耐熱性、耐久性が向上するという観点から、さらにカルボキシル基反応性末端封鎖剤を含有させてもよい。
【0046】
カルボキシル基反応性末端封鎖剤としては、ポリマーのカルボキシル末端基の電子供与性を不活性にすることのできる化合物であれば特に制限はなく、例えば、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物などが挙げられ、これらを単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、なかでもエポキシ化合物および/またはカルボジイミド化合物を用いることが好ましい。
【0047】
各種添加剤の含有量は、その含有量(複数の添加剤を添加する場合にはそれらの合計量)は、当該樹脂組成物中の100重量部に対して30重量部以下となる量であることが好ましい。
【0048】
母相樹脂以外の樹脂成分としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリ乳酸以外のポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。
母相樹脂以外の樹脂成分の含有量は、樹脂組成物中の母相樹脂100重量部に対して30重量部以下となる量であることが好ましい。
【0049】
(成形品)
本発明の成形品は、このようにして得られた樹脂組成物を成形して得られる。
得られた樹脂組成物を成形する方法としては、射出成形、押出成形、インフレーション成形、ブロー成形などの従来公知の方法を採用することができる。
本発明の成形品は、例えば、フィルム、種々の保形材や容器、電気・電子部品、建築部材、土木部材、農業資材、自動車部品(内装材など)、食品包装材料、日用品などが挙げられる。
【0050】
本発明の樹脂組成物を射出成形品として加工する際には、射出成形時の金型温度は、透明性の観点から40℃以下が好ましく、より好ましくは30℃以下であるのが良い。40℃を超える金型温度で射出成形品を冷却すると、ポリ乳酸の結晶化が促進され、透明性が低下してしまうおそれがある。
本発明の樹脂組成物をシート加工する手法としては、溶融流延法が挙げられ、例えばTダイ法、カレンダー法等、一般に知られる種々の方法が挙げられる。中でも、押出機で溶融された材料をTダイからシート状に吐出させ、このシート状物の少なくとも片面をロール又はベルトに接触させて製膜する方法は、表面性状の良好な無配向シートが得られる点で好ましい。シートの表面平滑性及び表面光沢性を向上させる観点からは、多層溶融押出成形して得られる積層シート状物の両面をロール表面又はベルト表面に接触させて製膜する方法が好ましい。またこれらのロール表面又はベルト表面は、シート表面への平滑性付与の為に、その表面が鏡面となっているものが好ましい。冷却ロールの表面温度としては、0〜30℃が好ましい。
【実施例】
【0051】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を意味するものとする。
以下の実施例および比較例における各物性の測定および得られた樹脂組成物の評価は、以下の方法により行った。
【0052】
<弾性重合体部を有するゴム粒子の重量平均粒子径>
弾性重合体部を有する重合体粒子の製造過程において、弾性重合体部を有する重合体粒子を含む弾性重合体ラテックスを分取し、この弾性重合体ラテックスについて、濃厚系粒径アナライザー(大塚電子(株)製の「FPAR−1000」)を用いた動的光散乱測定を行った。MARQUARDT解析法により弾性重合体部を有する重合体粒子の重量平均粒子径を求めた。
【0053】
<耐衝撃性>
得られた樹脂組成物の射出成形プレート(シリンダー温度200℃、金型温度30℃)を、JIS K7110に準拠してAノッチ加工試片に加工し、「アイゾット衝撃試験器」((株)東洋精機製作所製)を使用して、ノッチ付アイゾット衝撃値を測定した。
<透明性(ヘイズ)>
得られた樹脂組成物の射出成形プレート(シリンダー温度200℃、金型温度30℃、厚み3.0mm)について、JIS K7136に準拠して、ヘイズを測定した。
【0054】
(製造例1−弾性重合体部を有するゴム粒子Aの製造)
5Lのガラス製反応容器に、下記開始剤含有水系媒体原料(a1)の全量を仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら75℃に昇温した後、下記内層弾性重合体原料(b1)を添加して、引き続き攪拌しながら同温度で60分間熟成し内層となる弾性重合体粒子(弾性重合体A−1)を含む弾性重合体ラテックスを得た。
その後、得られた弾性重合体ラテックスを85℃に昇温した後、さらに下記追加開始剤原料(c1)を添加して攪拌し、次いで下記中間層弾性重合体原料(d1)を同温度で80分間にわたって連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で90分間熟成して、内層となる弾性重合体粒子の外側に中間層となる弾性重合体(弾性重合体A−2)が覆った構造の粒子を含む弾性重合体ラテックスを得た。得られた弾性重合体ラテックスに、下記追加開始剤原料(e1)を添加して攪拌した後、下記外層硬質重合体原料(f1)を85℃で20分間にわたって連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で60分間熟成して、内層(弾性重合体A−1)がアクリル酸2エチルヘキシル/メタクリル酸アリル弾性重合体、中間層(弾性重合体A−2)がアクリル酸ブチル/メタクリル酸アリル弾性重合体、外層(硬質重合体A−3)がメタクリル酸メチルの硬質重合体からなり、各層の重量比率が内層(弾性重合体A−1):中間層(弾性重合体A−2):外層(硬質重合体A−3)=20/70/10である球形3層構造のゴム粒子Aを含む弾性重合体ラテックスを得た。得られた弾性重合体ラテックス中に含まれるゴム粒子A(内層+中間層+外層)の重量平均粒子径は、168nmであった。また、この弾性重合体ラテックス中の固形分濃度は40%であった。
【0055】
[開始剤含有水系媒体原料(a1)]
イオン交換水 60.0部
炭酸ナトリウム 0.02部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.059部
過硫酸ナトリウム 0.008部
[内層弾性重合体原料(b1)]
アクリル酸2エチルヘキシル 7.960部
メタクリル酸アリル 0.040部
[追加開始剤原料(c1)]
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.140部
過硫酸ナトリウム 0.028部
[中間層弾性重合体原料(d1)]
アクリル酸ブチル 27.440部
メタクリル酸アリル 0.560部
[追加開始剤原料(e1)]
過硫酸ナトリウム 0.004部
[外層硬質重合体原料(f1)]
メタクリル酸メチル 4.000部
【0056】
(製造例2−弾性重合体を有するゴム粒子Bの製造)
5Lのガラス製反応容器に、下記開始剤含有水系媒体原料(a2)の全量を仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら75℃に昇温した後、下記内層弾性重合体原料(b2)を添加して、引き続き攪拌しながら同温度で90分間熟成し、その後、さらに下記追加開始剤原料(c2)を添加して攪拌し、次いで下記内層弾性重合体原料(d2)を同温度で40分間にわたって連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で60分間熟成して、内層となる弾性重合体粒子(弾性重合体部B−1)を含む弾性重合体ラテックスを得た。
その後、弾性重合体ラテックスを85℃に昇温した後、さらに下記追加開始剤原料(e2)を添加して攪拌し、次いで下記中間層弾性重合体原料(f2)を同温度で80分間にわたって連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で90分間熟成して、内層となる弾性重合体粒子の外側に中間層となる弾性重合体(弾性重合体B−2)が覆った構造の粒子を含む弾性重合体ラテックスを得た。この弾性重合体ラテックスに、下記追加開始剤原料(g2)を添加して攪拌した後、下記外層硬質重合体原料(h2)を85℃で20分間にわたって連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で60分間熟成して、内層(弾性重合体B−1)がアクリル酸2エチルヘキシル/メタクリル酸アリル弾性重合体、中間層(弾性重合体B−2)がアクリル酸ブチル/メタクリル酸アリル弾性重合体、外層(硬質重合体B−3)がメタクリル酸メチルの硬質重合体からなり、各層の重量比率が内層(弾性重合体B−1):中間層(弾性重合体B−2):外層(硬質重合体B−3)=20/70/10である球形3層構造のゴム粒子Bを含む弾性重合体ラテックスを得た。得られた弾性重合体ラテックス中に含まれるゴム粒子B(内層+中間層+外層)の重量平均粒子径は368nmであった。また、この弾性重合体ラテックス中の固形分濃度は40%であった。
【0057】
[開始剤含有水系媒体原料(a2)]
イオン交換水 60.0部
炭酸ナトリウム 0.02部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.001部
過硫酸ナトリウム 0.001部
[内層弾性重合体原料(b2)]
アクリル酸2エチルヘキシル 1.194部
メタクリル酸アリル 0.006部
[追加開始剤原料(c2)]
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.003部
過硫酸ナトリウム 0.007部
[内層弾性重合体原料(d2)]
アクリル酸2エチルヘキシル 6.766部
メタクリル酸アリル 0.034部
[追加開始剤原料(e2)]
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.140部
過硫酸ナトリウム 0.028部
[中間層弾性重合体原料(f2)]
アクリル酸ブチル 27.440部
メタクリル酸アリル 0.560部
[追加開始剤原料(g2)]
過硫酸ナトリウム 0.004部
[外層硬質重合体原料(h2)]
メタクリル酸メチル 4.000部
【0058】
(製造例3−弾性重合体部を有するゴム粒子Cの製造)
5Lのガラス製反応容器に、下記開始剤含有水系媒体原料(a3)の全量を仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら75℃に昇温した後、下記内層弾性重合体原料(b3)を添加して、引き続き攪拌しながら同温度で60分間熟成し内層となる弾性重合体粒子(弾性重合体C−1)を含む弾性重合体ラテックスを得た。
その後、得られた弾性重合体ラテックスを85℃に昇温した後、さらに下記追加開始剤原料(c3)を添加して攪拌し、次いで下記中間層弾性重合体原料(d3)を同温度で80分間にわたって連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で90分間熟成して、内層となる弾性重合体粒子の外側に中間層となる弾性重合体(弾性重合体C−2)が覆った構造の粒子を含む弾性重合体ラテックスを得た。得られた弾性重合体ラテックスに、下記追加開始剤原料(e3)を添加して攪拌した後、下記外層硬質重合体原料(f3)を85℃で45分間にわたって連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で60分間熟成して、内層(弾性重合体C−1)及び中間層(弾性重合体C−2)がアクリル酸ブチル/メタクリル酸アリル弾性重合体、外層(硬質重合体C−3)がメタクリル酸メチル/メタクリル酸の硬質重合体からなり、各層の重量比率が内層(弾性重合体C−1):中間層(弾性重合体C−2):外層(硬質重合体C−3)=18/62/20である球形3層構造のゴム粒子Cを含む弾性重合体ラテックスを得た。得られた弾性重合体ラテックス中に含まれるゴム粒子C(内層+中間層+外層)の重量平均粒子径は、82nmであった。また、この弾性重合体ラテックス中の固形分濃度は43%であった。
【0059】
[開始剤含有水系媒体原料(a3)]
イオン交換水 60.0部
炭酸ナトリウム 0.02部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1.115部
過硫酸ナトリウム 0.008部
[内層弾性重合体原料(b3)]
アクリル酸ブチル 7.960部
メタクリル酸アリル 0.040部
[追加開始剤原料(c3)]
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.140部
過硫酸ナトリウム 0.028部
[中間層弾性重合体原料(d3)]
アクリル酸ブチル 27.440部
メタクリル酸アリル 0.560部
[追加開始剤原料(e3)]
過硫酸ナトリウム 0.009部
[外層硬質重合体原料(f3)]
メタクリル酸メチル 8.504部
メタクリル酸 0.495部
【0060】
(製造例4−弾性重合体を有するゴム粒子Dの製造)
5Lのガラス製反応容器に、下記開始剤含有水系媒体原料(a4)の全量を仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら75℃に昇温した後、下記内層弾性重合体原料(b4)を添加して、引き続き攪拌しながら同温度で60分間熟成し、その後、さらに下記追加開始剤原料(c4)を添加して攪拌し、次いで下記内層弾性重合体原料(d4)を同温度で40分間にわたって連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で60分間熟成して、内層となる弾性重合体粒子(弾性重合体部D−1)を含む弾性重合体ラテックスを得た。
その後、弾性重合体ラテックスを85℃に昇温した後、さらに下記追加開始剤原料(e4)を添加して攪拌し、次いで下記中間層弾性重合体原料(f4)を同温度で180分間にわたって連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で90分間熟成して、内層となる弾性重合体粒子の外側に中間層となる弾性重合体(弾性重合体D−2)が覆った構造の粒子を含む弾性重合体ラテックスを得た。この弾性重合体ラテックスに、下記追加開始剤原料(g4)を添加して攪拌した後、下記外層硬質重合体原料(h4)を85℃で60分間にわたって連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で60分間熟成して、内層(弾性重合体D−1)及び中間層(弾性重合体D−2)がアクリル酸ブチル/メタクリル酸アリル弾性重合体、外層(硬質重合体D−3)がメタクリル酸メチル/メタクリル酸の硬質重合体からなり、各層の重量比率が内層(弾性重合体D−1):中間層(弾性重合体D−2):外層(硬質重合体D−3)=18/62/20である球形3層構造のゴム粒子Dを含む弾性重合体ラテックスを得た。得られた弾性重合体ラテックス中に含まれるゴム粒子D(内層+中間層+外層)の重量平均粒子径は417nmであった。また、この弾性重合体ラテックス中の固形分濃度は45%であった。
【0061】
[開始剤含有水系媒体原料(a4)]
イオン交換水 60.0部
炭酸ナトリウム 0.02部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.0005部
過硫酸ナトリウム 0.001部
[内層弾性重合体原料(b4)]
アクリル酸ブチル 1.209部
メタクリル酸アリル 0.006部
[追加開始剤原料(c4)]
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.0016部
過硫酸ナトリウム 0.007部
[内層弾性重合体原料(d4)]
アクリル酸ブチル 6.851部
メタクリル酸アリル 0.034部
[追加開始剤原料(e4)]
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.028部
過硫酸ナトリウム 0.028部
[中間層弾性重合体原料(f4)]
アクリル酸ブチル 27.440部
メタクリル酸アリル 0.560部
[追加開始剤原料(g4)]
過硫酸ナトリウム 0.009部
[外層硬質重合体原料(h4)]
メタクリル酸メチル 8.506部
メタクリル酸 0.496部
【0062】
(製造例5−弾性重合体部を有するゴム粒子Eの製造)
5Lのガラス製反応容器に、下記開始剤含有水系媒体原料(a5)の全量を仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら75℃に昇温した後、下記内層弾性重合体原料(b5)を添加して、引き続き攪拌しながら同温度で60分間熟成し内層となる弾性重合体粒子(弾性重合体E−1)を含む弾性重合体ラテックスを得た。
その後、得られた弾性重合体ラテックスを85℃に昇温した後、さらに下記追加開始剤原料(c5)を添加して攪拌し、次いで下記中間層弾性重合体原料(d5)を同温度で80分間にわたって連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で90分間熟成して、内層となる弾性重合体粒子の外側に中間層となる弾性重合体(弾性重合体E−2)が覆った構造の粒子を含む弾性重合体ラテックスを得た。得られた弾性重合体ラテックスに、下記追加開始剤原料(e5)を添加して攪拌した後、下記外層硬質重合体原料(f5)を85℃で45分間にわたって連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で60分間熟成して、内層(弾性重合体E−1)及び中間層(弾性重合体E−2)がアクリル酸ブチル/メタクリル酸アリル弾性重合体、外層(硬質重合体E−3)がメタクリル酸メチル/メタクリル酸の硬質重合体からなり、各層の重量比率が内層(弾性重合体E−1):中間層(弾性重合体E−2):外層(硬質重合体E−3)=18/62/20である球形3層構造のゴム粒子Eを含む弾性重合体ラテックスを得た。得られた弾性重合体ラテックス中に含まれるゴム粒子E(内層+中間層+外層)の重量平均粒子径は、160nmであった。また、この弾性重合体ラテックス中の固形分濃度は43%であった。
【0063】
[開始剤含有水系媒体原料(a5)]
イオン交換水 60.0部
炭酸ナトリウム 0.02部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.059部
過硫酸ナトリウム 0.008部
[内層弾性重合体原料(b5)]
アクリル酸ブチル 7.960部
メタクリル酸アリル 0.040部
[追加開始剤原料(c5)]
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.140部
過硫酸ナトリウム 0.028部
[内層弾性重合体原料(d5)]
アクリル酸ブチル 27.440部
メタクリル酸アリル 0.560部
[追加開始剤原料(e5)]
過硫酸ナトリウム 0.009部
[外層硬質重合体原料(f5)]
メタクリル酸メチル 8.504部
メタクリル酸 0.495部
【0064】
(製造例6−弾性重合体部を有するゴム粒子Fの製造)
5Lのガラス製反応容器に、下記開始剤含有水系媒体原料(a6)の全量を仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら75℃に昇温した後、下記内層弾性重合体原料(b6)を添加して、引き続き攪拌しながら同温度で60分間熟成し、その後、さらに下記追加開始剤原料(c6)を添加して攪拌し、次いで下記内層弾性重合体原料(d6)を同温度で60分間にわたって連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で60分間熟成して、内層となる弾性重合体粒子(弾性重合体部F−1)を含む弾性重合体ラテックスを得た。
その後、弾性重合体ラテックスを85℃に昇温した後、さらに下記追加開始剤原料(e6)を添加して攪拌し、次いで下記中間層弾性重合体原料(f6)を同温度で120分間にわたって連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で90分間熟成して、内層となる弾性重合体粒子の外側に中間層となる弾性重合体(弾性重合体F−2)が覆った構造の粒子を含む弾性重合体ラテックスを得た。この弾性重合体ラテックスに、下記追加開始剤原料(g6)を添加して攪拌した後、下記外層硬質重合体原料(h6)を85℃で40分間にわたって連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で60分間熟成して、内層(弾性重合体F−1)及び中間層(弾性重合体F−2)がアクリル酸ブチル/メタクリル酸アリル弾性重合体、外層(硬質重合体F−3)がメタクリル酸メチル/メタクリル酸の硬質重合体からなり、各層の重量比率が内層(弾性重合体F−1):中間層(弾性重合体F−2):外層(硬質重合体F−3)=18/62/20である球形3層構造のゴム粒子Fを含む弾性重合体ラテックスを得た。得られた弾性重合体ラテックス中に含まれるゴム粒子F(内層+中間層+外層)の重量平均粒子径は250nmであった。また、この弾性重合体ラテックス中の固形分濃度は45%であった。
【0065】
[開始剤含有水系媒体原料(a6)]
イオン交換水 60.0部
炭酸ナトリウム 0.02部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.016部
過硫酸ナトリウム 0.001部
[内層弾性重合体原料(b6)]
アクリル酸ブチル 1.209部
メタクリル酸アリル 0.006部
[追加開始剤原料(c6)]
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.052部
過硫酸ナトリウム 0.007部
[内層弾性重合体原料(d6)]
アクリル酸ブチル 6.851部
メタクリル酸アリル 0.034部
[追加開始剤原料(e6)]
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.140部
過硫酸ナトリウム 0.028部
[内層弾性重合体原料(f6)]
アクリル酸ブチル 27.440部
メタクリル酸アリル 0.560部
[追加開始剤原料(g6)]
過硫酸ナトリウム 0.009部
[外層硬質重合体原料(h6)]
メタクリル酸メチル 8.506部
メタクリル酸 0.496部
【0066】
(ゴム粒子ラテックスの混合)
上記で得られたゴム粒子Aを含む弾性重合体ラテックスとゴム粒子Bを含む弾性重合体ラテックスは、表1の通りの比率で混合した。
【0067】
【表1】

【0068】
上記で得られたゴム粒子Cを含む弾性重合体ラテックスとゴム粒子Dを含む弾性重合体ラテックスは、表2の通りの比率で混合した。
【0069】
【表2】

【0070】
上記で得られたゴム粒子Eを含む弾性重合体ラテックスとゴム粒子Fを含む弾性重合体ラテックスは、表3の通りの比率で混合した。
【0071】
【表3】

【0072】
<実施例1>
(塩析)
上記で得られた混合ラテックス(1)を、次の手順で塩析を行った。
5Lガラスフラスコ内に、純水1150gと硫酸アルミニウム(塩析剤)34gを仕込み、30℃に昇温した。この塩析剤水溶液を攪拌すると共に、該水溶液中に、前記で得られた混合ラテックス(1)2850gを、ロータリーチューブポンプを用いて30分間にわたって連続的に添加し、ゴム粒子を塩析させて塩析スラリーを得た。なお、塩析中の塩析剤水溶液の温度(塩析温度)は、30℃を維持した。また、塩析剤の濃度は、最終スラリー(塩析終了後の塩析スラリー)中のゴム粒子の全重量に対して3%であり、塩析スラリー中の最終固形分濃度は28%であった。
【0073】
(脱水乾燥)
得られた塩析スラリーを、遠心分離機にてゴム粒子の全重量に対して20倍量の純水で洗浄した後、1500rpmで10分間脱水して、脱水ケーキを得た。その後、脱水ケーキを60℃の棚段式真空乾燥機にて乾燥し、パウダー状のゴム粒子(1)を得た。
【0074】
(樹脂組成物の調製)
上記で得たパウダー状のゴム粒子(1)20部と、ポリ乳酸系樹脂(ユニチカ(株)製の「テラマック TE−2000」)64部と、メタクリル酸メチル95%およびアクリル酸メチル5%からなる単量体成分をバルク重合することにより得られたペレット状のメタクリル樹脂16部とをスーパーミキサーで混合した後、得られた混合物を二軸押出機((株)日本製鋼所製の「TEX−30」:かみ合い型同方向回転式、スクリュー径30mm、L/D=42、逆方向の溝形状を有する逆フィライトエレメントを3箇所に配したスクリューエレメント構成)を用いて、シリンダーの設定温度を200℃とし、スクリュー回転数を250rpmとして溶融混練し、直径約3mm、長さ約3mmのペレット状の樹脂組成物(1)を得た。得られた樹脂組成物(1)について、射出成形機(東芝機械(株)製の「IS−130F」)を用いて、シリンダー温度200℃、金型温度30℃の条件で射出成形し、射出成形プレート(1)を得た。得られた射出成形プレート(1)について、耐衝撃性および透明性(ヘイズ)の測定を行った。結果を表4に示す。
【0075】
<実施例2>
実施例1で用いた混合ラテックス(1)を、混合ラテックス(2)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、射出成形プレート(2)を得た。得られた射出成形プレート(2)について、耐衝撃性および透明性(ヘイズ)の測定を行った。結果を表4に示す。
【0076】
<実施例3>
実施例1で用いた混合ラテックス(1)を、混合ラテックス(3)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、射出成形プレート(3)を得た。得られた射出成形プレート(3)について、耐衝撃性および透明性(ヘイズ)の測定を行った。結果を表4に示す。
【0077】
<比較例1>
実施例1で用いた混合ラテックス(1)を、単独ラテックス(1)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、射出成形プレート(4)を得た。得られた射出成形プレート(4)について、耐衝撃性および透明性(ヘイズ)の測定を行った。結果を表4に示す。
【0078】
<比較例2>
実施例1で用いた混合ラテックス(1)を、単独ラテックス(2)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、射出成形プレート(5)を得た。得られた射出成形プレート(5)について、耐衝撃性および透明性(ヘイズ)の測定を行った。結果を表4に示す。
【0079】
<実施例4>
実施例1で用いた混合ラテックス(1)を、混合ラテックス(4)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、射出成形プレート(6)を得た。得られた射出成形プレート(6)について、耐衝撃性および透明性(ヘイズ)の測定を行った。結果を表5に示す。
【0080】
<比較例3>
実施例1で用いた混合ラテックス(1)を、単独ラテックス(3)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、射出成形プレート(7)を得た。得られた射出成形プレート(7)について、耐衝撃性および透明性(ヘイズ)の測定を行った。結果を表5に示す。
【0081】
<比較例4>
実施例1で用いた混合ラテックス(1)を、単独ラテックス(4)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、射出成形プレート(8)を得た。得られた射出成形プレート(8)について、耐衝撃性および透明性(ヘイズ)の測定を行った。結果を表5に示す。
【0082】
<比較例5>
実施例1で用いた混合ラテックス(1)を、混合ラテックス(5)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、射出成形プレート(9)を得た。得られた射出成形プレート(9)について、耐衝撃性および透明性(ヘイズ)の測定を行った。結果を表6に示す。
【0083】
<比較例6>
実施例1で用いた混合ラテックス(1)を、混合ラテックス(6)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、射出成形プレート(10)を得た。得られた射出成形プレート(10)について、耐衝撃性および透明性(ヘイズ)の測定を行った。結果を表6に示す。
【0084】
<比較例7>
実施例1で用いた混合ラテックス(1)を、混合ラテックス(7)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、射出成形プレート(11)を得た。得られた射出成形プレート(11)について、耐衝撃性および透明性(ヘイズ)の測定を行った。結果を表6に示す。
【0085】
<比較例8>
実施例1で用いた混合ラテックス(1)を、単独ラテックス(5)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、射出成形プレート(12)を得た。得られた射出成形プレート(12)について、耐衝撃性および透明性(ヘイズ)の測定を行った。結果を表6に示す。
【0086】
<比較例9>
実施例1で用いた混合ラテックス(1)を、単独ラテックス(6)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、射出成形プレート(13)を得た。得られた射出成形プレート(13)について、耐衝撃性および透明性(ヘイズ)の測定を行った。結果を表6に示す。
【0087】
【表4】

【0088】
【表5】

【0089】
【表6】

【0090】
表4〜6より、本発明の条件を満たさない比較例1〜9は、いずれも、耐衝撃性が劣るのに対し、本発明の実施例1〜4の樹脂組成物は、充分に高い耐衝撃性と良好な透明性とを兼ね備えていることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ乳酸系樹脂5〜100重量%及びメタクリル樹脂0〜95重量%からなる母相樹脂と、弾性重合体部を有する重合体粒子とを含有する樹脂組成物であって、下記(i)〜(iv)の条件を全て満たすことを特徴とする樹脂組成物。
(i)前記母相樹脂と前記重合体粒子との前記樹脂組成物における含有割合が、母相樹脂:重合体粒子(重量比)=40:60〜99:1であること
(ii)前記重合体粒子が、重量平均粒子径が異なる2種類以上の重合体粒子を含有する混合物からなること
(iii)前記(ii)の2種類以上のそれぞれの重合体粒子における重量平均粒子径が、30〜1000nmであること
(iv)前記(ii)の混合物に含まれる2種類以上のそれぞれの重合体粒子における重量平均粒子径が、それぞれ100nm以上の差を有すること
【請求項2】
前記重合体粒子が多層重合体である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記多層重合体が、弾性重合体層(ア)の外側に弾性重合体層(イ)を備え、該弾性重合体層(イ)の外側に硬質グラフト層(ウ)を備え、前記弾性重合体層(ア)は、アクリル酸アルキルおよび多官能単量体を含有する単量体成分を重合させて得られ、前記弾性重合体層(イ)は、前記単量体成分とはアクリル酸アルキルおよび多官能単量体の含有比率が異なる単量体成分を重合させて得られる請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記(ii)における混合物が、重合体粒子(A)と、この重合体粒子(A)よりも重量平均粒子径が大きい重合体粒子(B)との2種類の重合体粒子を含有し、重合体粒子(A)と重合体粒子(B)との含有割合が、重合体粒子(A):重合体粒子(B)(重量比)=40:60〜99:1である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物からなる成形品。

【公開番号】特開2011−195752(P2011−195752A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66220(P2010−66220)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】