耐震パネルユニット及び耐震パネル構造
【課題】 取り扱いが容易であると共に、開口の形成や組立が容易で、さらに、耐力調整も可能な耐震パネルユニット及び耐震パネル構造を提供する。
【解決手段】 耐震構造部材と、前記耐震構造部材の周囲を囲む枠部材と、を有することを特徴とする
【解決手段】 耐震構造部材と、前記耐震構造部材の周囲を囲む枠部材と、を有することを特徴とする
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の耐震パネルユニット及び耐震パネル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物における耐震構造として、施工の際に柱梁に囲われた部分の対角線にブレースを設ける方法があった。しかしながら、ブレースは、重量が大きく、施工の際に取り扱いしにくいため、取り扱いが困難であった。
【0003】
そこで、建築物の開口部の大きさに合わせて容易に組み合わせが変更できるため適合性が向上し、取り扱いが容易で組立時間を短縮でき施工性を向上させたユニット鋼材が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−265897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された技術では、ユニット鋼材を単体で現場に運ぶと、取り扱いが容易であるが、現場での接合作業が多くなってしまう。また、ユニット鋼材を予め接合した状態で運ぶと、現場での施工時間を短縮することができるが、接合状態で持ち運ぶ際の形状が十字状となり、取り扱いが多少悪くなる場合があった。
【0006】
また、窓やドア等の開口を形成することが困難であり、耐力の調整も困難であった。
【0007】
本発明は、取り扱いが容易であると共に、開口の形成や組立が容易で、さらに、耐力調整も可能な耐震パネルユニット及び耐震パネル構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するものであって、耐震構造部材と、前記耐震構造部材の周囲を囲む枠部材と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記耐震構造部材同士は、スポット溶接により接合されることを特徴とする。
【0010】
また、前記耐震構造部材は、前記枠部材に接合された平板部材と、前記平板部材に接合される接合部及び隣接する前記接合部を結ぶ斜め部を交互に連続して並べて形成される波形部材とを有することを特徴とする。
【0011】
さらに、耐震パネル構造は、前記耐震パネルユニットを建築物に形成された1つの開口部に複数並べることを特徴とする。
【0012】
また、前記耐震パネルユニットは、前記開口部の一部が開口のまま残るように並べられることを特徴とする。
【0013】
また、前記耐震パネルユニットは、前記開口部の開口面に直交する方向に重ねて並べられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上記課題を解決するものであって、耐震構造部材と、前記耐震構造部材の周囲を囲む枠部材と、を有するので、取り扱いが容易であると共に、開口の形成や組立が容易で、さらに、耐力調整も可能な耐震パネルユニットを提供することが可能となる。
【0015】
また、前記耐震構造部材同士は、スポット溶接により接合されるので、さらに軽量化すると共に、強度を高くすることが可能となる。
【0016】
また、前記耐震構造部材は、前記枠部材に接合された平板部材と、前記平板部材に接合される接合部及び隣接する前記接合部を結ぶ斜め部を交互に連続して並べて形成される波形部材とを有するので、さらに軽量化すると共に、強度を高くすることが可能となる。
【0017】
さらに、耐震パネル構造は、前記耐震パネルユニットを建築物に形成された1つの開口部に複数並べるので、組み立てが容易となる。
【0018】
また、前記耐震パネルユニットは、前記開口部の一部が開口のまま残るように並べられるので、窓やドア等の開口を形成することが容易となる。
【0019】
また、前記耐震パネルユニットは、前記開口部の開口面に直交する方向に重ねて並べられるので、耐力の調整が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態の耐震パネルユニットを示す図である。
【図2】図1のA部分の拡大図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】本実施形態の耐震パネル構造の実施例1を示す図である。
【図5】耐震パネルユニットと柱梁部材との接合の実施例1を示す図である。
【図6】耐震パネルユニットと柱梁部材との接合の実施例2を示す図である。
【図7】耐震パネルユニットの水平方向の接合を示す図である。
【図8】耐震パネルユニットの鉛直方向の接合を示す図である。
【図9】耐震パネル構造の実施例2を示す図である。
【図10】耐震パネル構造の実施例3を示す図である。
【図11】耐震パネル構造の実施例4を示す図である。
【図12】耐震パネル構造の実施例5を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明にかかる実施形態の耐震パネルユニット及び耐震パネル構造について説明する。
【0022】
図1は、本実施形態の耐震パネルユニット1を示す図、図2は図1のA部分の拡大図、図3は図2の平面図である。
【0023】
本実施形態の耐震パネルユニット1は、図1に示すように、枠部材2、平板部材3及び波形部材4を有する。
【0024】
枠部材2は、鉛直部2aと水平部2bとを有し、耐震パネルユニット1の周囲を囲む部材である。枠部材2は、人が一人で運べる程度の寸法であることが好ましく、横800〜1600mm、縦500〜1000mm程度が好ましい。なお、横と縦の割合は、例えば、小さいものとして横800mm×縦500mm、大きいものとして横1600mm×縦1000mmの間から自由に設定してよい。本実施形態の枠部材2は、厚さ4.5mm、幅60mm、2.2kg/mの鋼で形成され、寸法は、横1250mm×縦750mmであり、持ち運びが容易な大きさに形成されている。
【0025】
平板部材3は、枠部材2の鉛直部2aに所定間隔で複数接合され、波形部材4を支持する部材である。本実施形態の平板部材3は、枠部材2と同様の厚さ4.5mm、幅60mm、2.2kg/mの鋼で形成されている。
【0026】
波形部材4は、平板部材3に接合される接合部4aと、隣接する接合部4aを結ぶ斜め部4bとを交互に連続して並べて形成され、枠部材2と平板部材3の間、又は隣接する平板部材3同士の間に設けられる。本実施形態の波形部材4は、厚さ3.2mm、幅50mm、1.3kg/mの鋼で形成されている。
【0027】
図2及び図3に示すように、波形部材4と枠部材2及び平板部材3とは、接合部4aを枠部材2又は平板部材3のスポット溶接部SWでスポット溶接し、一体化する。本実施形態では、ナゲット径を10mmとし、1つの接合部4aに対してスポット溶接を2箇所で行う。
【0028】
このように構成された図1に示すような本実施形態の耐震パネルユニット1の重量は、約28kg〜30kgであり、軽量で、持ち運びも容易にできる。また、耐震パネルユニット1の許容引張応力度は3.8t、許容圧縮応力度は2.5t、引張破断強度は6.4t、圧縮強度は2.5tである。さらに、スポット溶接部SWの引張剪断強さは1箇所あたり3.2tである。
【0029】
また、耐震パネルユニット1は、工場によって製作されると、品質がよく好ましい。
【0030】
次に、耐震パネルユニット1を用いた耐震パネル構造について説明する。図4は本実施形態の耐震パネル構造の実施例1を示す図である。
【0031】
本実施形態の耐震パネル構造は、建築物のRC部材等からなる柱梁部材10の柱部10aと梁部10bに囲まれた開口部10cに複数の耐震パネルユニット1を組み合わせて配置するものである。
【0032】
実施例1は、柱梁部材10による開口部10cに耐震パネルユニット1を隙間なく配置したものである。耐震パネルユニット1の寸法は、開口部10c及び後述する取付部の寸法にあわせて設計段階で設定される。そして、耐震パネルユニット1は該寸法にあわせて工場で予め作成される。したがって、現場では微調整する程度で済み、作業を効率よく、進めることができる。なお、複数の耐震パネルユニット1の寸法はすべて同一である必要はないが、寸法をすべて同一に設定すると量産時に短時間で作成でき、好ましい。
【0033】
次に、耐震パネルユニット1と柱梁部材10との接合について説明する。
【0034】
図5は、耐震パネルユニット1と柱梁部材10との接合の実施例1を示す図である。
【0035】
実施例1では、耐震パネルユニット1と柱梁部材10との間に取付部としてのH形鋼11を配置する。柱梁部材10とH形鋼11の第1のフランジ11aは、接着剤12により接着され、柱梁部材10に対してH形鋼11が固着される。H形鋼11の第2のフランジ11bと枠部材2の水平部2bとは、高張力ボルト13で固定される。
【0036】
図6は、耐震パネルユニットと柱梁部材との接合の実施例2を示す図である。
【0037】
実施例2では、柱梁部材10に鉄筋14を打ち込み、枠部材2及び波形部材4の一部をコンクリート15で固定する。鉄筋14は、枠部材2の水平部2b及び波形部材4の接合部4aの両側で梁部材10bに打ち込んだ第1の鉄筋14aと、両側の第1の鉄筋14aの間に配置される第2の鉄筋14bと、第1の鉄筋14aの湾曲部14a1と第2の鉄筋14bの湾曲部14b1とに留められる第3の鉄筋14cとを有する。鉄筋14及びコンクリート15が取付部を構成する。
【0038】
このように、耐震パネルユニット1の柱梁部材10への取り付けは、一般的な方法であり、容易に低コストで行うことができる。
【0039】
次に、耐震パネルユニット同士の接合について説明する。図7は耐震パネルユニットの水平方向の接合を示す図、図8は耐震パネルユニットの鉛直方向の接合を示す図である。
【0040】
図7に示すように、耐震パネルユニット1の水平方向の接合は、隣接する枠部材2の鉛直部2aを高張力ボルト13で結合することで行うことが好ましい。また、図8に示すように、耐震パネルユニット1の鉛直方向の接合は、隣接する枠部材2の水平部2b及び波形部材4の接合部4aを高張力ボルト13で結合することで行うことが好ましい。
【0041】
高張力ボルト13を用いることによって、耐震パネルユニット1同士の結合を現場で容易に行うことができる。また、低コストで行うことができる。
【0042】
次に、耐震パネルユニット1を用いた耐震パネル構造の実施例を説明する。
【0043】
図9は耐震パネル構造の実施例2を示す図である。図9に示すように、実施例2の耐震パネル構造は、腰壁部材20を用いたものである。腰壁部材20は、耐震パネルユニット1の下方に設けられ、腰壁を形成する。耐震パネルユニット1は、腰壁部材20、柱梁部材10による開口部10c及び取付部にあわせて設計段階で設定される。そして、耐震パネルユニット1は該寸法にあわせて工場で予め作成される。したがって、現場では微調整する程度で済み、作業を効率よく、進めることができる。
【0044】
図10は耐震パネル構造の実施例3を示す図である。図10に示すように、実施例3の耐震パネル構造は、中央に窓Wを設けたものである。窓Wは、周囲に耐震パネルユニット1を設け、中央に耐震パネルユニット1を設けない空間を設定することで形成する。耐震パネルユニット1は、窓W、柱梁部材10による開口部10c及び取付部にあわせて設計段階で設定される。そして、耐震パネルユニット1は該寸法にあわせて工場で予め作成される。したがって、現場では微調整する程度で済み、作業を効率よく、進めることができる。なお、窓Wは、中央に限らず、柱梁部材10に隣接する位置に設けてもよい。
【0045】
図11は耐震パネル構造の実施例4を示す図である。図11に示すように、実施例4の耐震パネル構造は、中央に扉Dを設けたものである。扉Dは、鉛直方向に耐震パネルユニット1を設けない空間を設定することで形成する。耐震パネルユニット1は、扉D、柱梁部材10による開口部10c及び取付部にあわせて設計段階で設定される。そして、耐震パネルユニット1は該寸法にあわせて工場で予め作成される。したがって、現場では微調整する程度で済み、作業を効率よく、進めることができる。なお、扉Dは、中央に限らず、柱梁部材10に隣接する位置に設けてもよい。
【0046】
図12は耐震パネル構造の実施例5を示す図である。図12に示すように、実施例5の耐震パネル構造は、第1の耐震パネルユニット群1aと第2の耐震パネルユニット群1bとを柱梁部材10による開口部10cの開口面に直交する方向に重ねて設けたものである。このように配置することにより、耐力を向上することが可能となる。例えば、第1の耐震パネルユニット群1aと第2の耐震パネルユニット群1bとを開口部10cに隙間なく設けた場合、第1の耐震パネルユニット群1aのみの場合と比較して耐力は2倍となる。
【0047】
耐震パネルユニット1は、必ずしも開口部10cをすべて塞ぐように隙間なく配置する必要はない。例えば、図12に示すように、第1の耐震パネルユニット群1aを紙面前側に開口部10cに隙間なく配置し、第2の耐震パネルユニット群1bを紙面後ろ側に開口部10cの右側に空間Sを有するように配置してもよい。このように配置することにより、第1の耐震パネルユニット群1aのみの場合と比較して耐力は1.6倍となる。さらに、図9〜図11で示したような構造においても前後に重ねて配置し、耐力を向上することができる。
【0048】
耐震パネルユニット1を重ねて配置する場合も、耐震パネルユニット1の寸法は、柱梁部材10による開口部10c及び取付部にあわせて設計段階で設定される。そして、耐震パネルユニット1は該寸法にあわせて工場で予め作成される。したがって、現場では微調整する程度で済み、作業を効率よく、進めることができる。
【0049】
本実施形態は、耐震構造部材3,4と、耐震構造部材2,4の周囲を囲む枠部材2と、を有するので、取り扱いが容易であると共に、開口の形成や組立が容易で、さらに、耐力調整も可能な耐震パネルユニットを提供することが可能となる。
【0050】
また、耐震構造部材3,4同士は、スポット溶接により接合されるので、さらに軽量化すると共に、強度を高くすることが可能となる。
【0051】
また、耐震構造部材3,4は、枠部材2に接合された平板部材3と、平板部材3に接合される接合部4a及び隣接する接合部4aを結ぶ斜め部4bを交互に連続して並べて形成される波形部材4とを有するので、さらに軽量化すると共に、強度を高くすることが可能となる。
【0052】
さらに、耐震パネル構造は、耐震パネルユニット1を建築物に形成された1つの開口部10cに複数並べるので、組み立てが容易となる。
【0053】
また、耐震パネルユニット1は、開口部10cの一部が開口のまま残るように並べられるので、窓やドア等の開口を形成することが容易となる。
【0054】
また、耐震パネルユニット1は、開口部10cの開口面に直交する方向に重ねて並べられるので、耐力の調整が容易となる。
【符号の説明】
【0055】
1…耐震パネルユニット、2…枠部材、3…平板部材(耐震構造部材)、4…波形部材(耐震構造部材)、10…柱梁部材、11…H形鋼(取付部)、12…接着剤(取付部)、13…ボルト(取付部)、14…鉄筋(取付部)、15…コンクリート(取付部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の耐震パネルユニット及び耐震パネル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物における耐震構造として、施工の際に柱梁に囲われた部分の対角線にブレースを設ける方法があった。しかしながら、ブレースは、重量が大きく、施工の際に取り扱いしにくいため、取り扱いが困難であった。
【0003】
そこで、建築物の開口部の大きさに合わせて容易に組み合わせが変更できるため適合性が向上し、取り扱いが容易で組立時間を短縮でき施工性を向上させたユニット鋼材が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−265897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された技術では、ユニット鋼材を単体で現場に運ぶと、取り扱いが容易であるが、現場での接合作業が多くなってしまう。また、ユニット鋼材を予め接合した状態で運ぶと、現場での施工時間を短縮することができるが、接合状態で持ち運ぶ際の形状が十字状となり、取り扱いが多少悪くなる場合があった。
【0006】
また、窓やドア等の開口を形成することが困難であり、耐力の調整も困難であった。
【0007】
本発明は、取り扱いが容易であると共に、開口の形成や組立が容易で、さらに、耐力調整も可能な耐震パネルユニット及び耐震パネル構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するものであって、耐震構造部材と、前記耐震構造部材の周囲を囲む枠部材と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記耐震構造部材同士は、スポット溶接により接合されることを特徴とする。
【0010】
また、前記耐震構造部材は、前記枠部材に接合された平板部材と、前記平板部材に接合される接合部及び隣接する前記接合部を結ぶ斜め部を交互に連続して並べて形成される波形部材とを有することを特徴とする。
【0011】
さらに、耐震パネル構造は、前記耐震パネルユニットを建築物に形成された1つの開口部に複数並べることを特徴とする。
【0012】
また、前記耐震パネルユニットは、前記開口部の一部が開口のまま残るように並べられることを特徴とする。
【0013】
また、前記耐震パネルユニットは、前記開口部の開口面に直交する方向に重ねて並べられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上記課題を解決するものであって、耐震構造部材と、前記耐震構造部材の周囲を囲む枠部材と、を有するので、取り扱いが容易であると共に、開口の形成や組立が容易で、さらに、耐力調整も可能な耐震パネルユニットを提供することが可能となる。
【0015】
また、前記耐震構造部材同士は、スポット溶接により接合されるので、さらに軽量化すると共に、強度を高くすることが可能となる。
【0016】
また、前記耐震構造部材は、前記枠部材に接合された平板部材と、前記平板部材に接合される接合部及び隣接する前記接合部を結ぶ斜め部を交互に連続して並べて形成される波形部材とを有するので、さらに軽量化すると共に、強度を高くすることが可能となる。
【0017】
さらに、耐震パネル構造は、前記耐震パネルユニットを建築物に形成された1つの開口部に複数並べるので、組み立てが容易となる。
【0018】
また、前記耐震パネルユニットは、前記開口部の一部が開口のまま残るように並べられるので、窓やドア等の開口を形成することが容易となる。
【0019】
また、前記耐震パネルユニットは、前記開口部の開口面に直交する方向に重ねて並べられるので、耐力の調整が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態の耐震パネルユニットを示す図である。
【図2】図1のA部分の拡大図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】本実施形態の耐震パネル構造の実施例1を示す図である。
【図5】耐震パネルユニットと柱梁部材との接合の実施例1を示す図である。
【図6】耐震パネルユニットと柱梁部材との接合の実施例2を示す図である。
【図7】耐震パネルユニットの水平方向の接合を示す図である。
【図8】耐震パネルユニットの鉛直方向の接合を示す図である。
【図9】耐震パネル構造の実施例2を示す図である。
【図10】耐震パネル構造の実施例3を示す図である。
【図11】耐震パネル構造の実施例4を示す図である。
【図12】耐震パネル構造の実施例5を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明にかかる実施形態の耐震パネルユニット及び耐震パネル構造について説明する。
【0022】
図1は、本実施形態の耐震パネルユニット1を示す図、図2は図1のA部分の拡大図、図3は図2の平面図である。
【0023】
本実施形態の耐震パネルユニット1は、図1に示すように、枠部材2、平板部材3及び波形部材4を有する。
【0024】
枠部材2は、鉛直部2aと水平部2bとを有し、耐震パネルユニット1の周囲を囲む部材である。枠部材2は、人が一人で運べる程度の寸法であることが好ましく、横800〜1600mm、縦500〜1000mm程度が好ましい。なお、横と縦の割合は、例えば、小さいものとして横800mm×縦500mm、大きいものとして横1600mm×縦1000mmの間から自由に設定してよい。本実施形態の枠部材2は、厚さ4.5mm、幅60mm、2.2kg/mの鋼で形成され、寸法は、横1250mm×縦750mmであり、持ち運びが容易な大きさに形成されている。
【0025】
平板部材3は、枠部材2の鉛直部2aに所定間隔で複数接合され、波形部材4を支持する部材である。本実施形態の平板部材3は、枠部材2と同様の厚さ4.5mm、幅60mm、2.2kg/mの鋼で形成されている。
【0026】
波形部材4は、平板部材3に接合される接合部4aと、隣接する接合部4aを結ぶ斜め部4bとを交互に連続して並べて形成され、枠部材2と平板部材3の間、又は隣接する平板部材3同士の間に設けられる。本実施形態の波形部材4は、厚さ3.2mm、幅50mm、1.3kg/mの鋼で形成されている。
【0027】
図2及び図3に示すように、波形部材4と枠部材2及び平板部材3とは、接合部4aを枠部材2又は平板部材3のスポット溶接部SWでスポット溶接し、一体化する。本実施形態では、ナゲット径を10mmとし、1つの接合部4aに対してスポット溶接を2箇所で行う。
【0028】
このように構成された図1に示すような本実施形態の耐震パネルユニット1の重量は、約28kg〜30kgであり、軽量で、持ち運びも容易にできる。また、耐震パネルユニット1の許容引張応力度は3.8t、許容圧縮応力度は2.5t、引張破断強度は6.4t、圧縮強度は2.5tである。さらに、スポット溶接部SWの引張剪断強さは1箇所あたり3.2tである。
【0029】
また、耐震パネルユニット1は、工場によって製作されると、品質がよく好ましい。
【0030】
次に、耐震パネルユニット1を用いた耐震パネル構造について説明する。図4は本実施形態の耐震パネル構造の実施例1を示す図である。
【0031】
本実施形態の耐震パネル構造は、建築物のRC部材等からなる柱梁部材10の柱部10aと梁部10bに囲まれた開口部10cに複数の耐震パネルユニット1を組み合わせて配置するものである。
【0032】
実施例1は、柱梁部材10による開口部10cに耐震パネルユニット1を隙間なく配置したものである。耐震パネルユニット1の寸法は、開口部10c及び後述する取付部の寸法にあわせて設計段階で設定される。そして、耐震パネルユニット1は該寸法にあわせて工場で予め作成される。したがって、現場では微調整する程度で済み、作業を効率よく、進めることができる。なお、複数の耐震パネルユニット1の寸法はすべて同一である必要はないが、寸法をすべて同一に設定すると量産時に短時間で作成でき、好ましい。
【0033】
次に、耐震パネルユニット1と柱梁部材10との接合について説明する。
【0034】
図5は、耐震パネルユニット1と柱梁部材10との接合の実施例1を示す図である。
【0035】
実施例1では、耐震パネルユニット1と柱梁部材10との間に取付部としてのH形鋼11を配置する。柱梁部材10とH形鋼11の第1のフランジ11aは、接着剤12により接着され、柱梁部材10に対してH形鋼11が固着される。H形鋼11の第2のフランジ11bと枠部材2の水平部2bとは、高張力ボルト13で固定される。
【0036】
図6は、耐震パネルユニットと柱梁部材との接合の実施例2を示す図である。
【0037】
実施例2では、柱梁部材10に鉄筋14を打ち込み、枠部材2及び波形部材4の一部をコンクリート15で固定する。鉄筋14は、枠部材2の水平部2b及び波形部材4の接合部4aの両側で梁部材10bに打ち込んだ第1の鉄筋14aと、両側の第1の鉄筋14aの間に配置される第2の鉄筋14bと、第1の鉄筋14aの湾曲部14a1と第2の鉄筋14bの湾曲部14b1とに留められる第3の鉄筋14cとを有する。鉄筋14及びコンクリート15が取付部を構成する。
【0038】
このように、耐震パネルユニット1の柱梁部材10への取り付けは、一般的な方法であり、容易に低コストで行うことができる。
【0039】
次に、耐震パネルユニット同士の接合について説明する。図7は耐震パネルユニットの水平方向の接合を示す図、図8は耐震パネルユニットの鉛直方向の接合を示す図である。
【0040】
図7に示すように、耐震パネルユニット1の水平方向の接合は、隣接する枠部材2の鉛直部2aを高張力ボルト13で結合することで行うことが好ましい。また、図8に示すように、耐震パネルユニット1の鉛直方向の接合は、隣接する枠部材2の水平部2b及び波形部材4の接合部4aを高張力ボルト13で結合することで行うことが好ましい。
【0041】
高張力ボルト13を用いることによって、耐震パネルユニット1同士の結合を現場で容易に行うことができる。また、低コストで行うことができる。
【0042】
次に、耐震パネルユニット1を用いた耐震パネル構造の実施例を説明する。
【0043】
図9は耐震パネル構造の実施例2を示す図である。図9に示すように、実施例2の耐震パネル構造は、腰壁部材20を用いたものである。腰壁部材20は、耐震パネルユニット1の下方に設けられ、腰壁を形成する。耐震パネルユニット1は、腰壁部材20、柱梁部材10による開口部10c及び取付部にあわせて設計段階で設定される。そして、耐震パネルユニット1は該寸法にあわせて工場で予め作成される。したがって、現場では微調整する程度で済み、作業を効率よく、進めることができる。
【0044】
図10は耐震パネル構造の実施例3を示す図である。図10に示すように、実施例3の耐震パネル構造は、中央に窓Wを設けたものである。窓Wは、周囲に耐震パネルユニット1を設け、中央に耐震パネルユニット1を設けない空間を設定することで形成する。耐震パネルユニット1は、窓W、柱梁部材10による開口部10c及び取付部にあわせて設計段階で設定される。そして、耐震パネルユニット1は該寸法にあわせて工場で予め作成される。したがって、現場では微調整する程度で済み、作業を効率よく、進めることができる。なお、窓Wは、中央に限らず、柱梁部材10に隣接する位置に設けてもよい。
【0045】
図11は耐震パネル構造の実施例4を示す図である。図11に示すように、実施例4の耐震パネル構造は、中央に扉Dを設けたものである。扉Dは、鉛直方向に耐震パネルユニット1を設けない空間を設定することで形成する。耐震パネルユニット1は、扉D、柱梁部材10による開口部10c及び取付部にあわせて設計段階で設定される。そして、耐震パネルユニット1は該寸法にあわせて工場で予め作成される。したがって、現場では微調整する程度で済み、作業を効率よく、進めることができる。なお、扉Dは、中央に限らず、柱梁部材10に隣接する位置に設けてもよい。
【0046】
図12は耐震パネル構造の実施例5を示す図である。図12に示すように、実施例5の耐震パネル構造は、第1の耐震パネルユニット群1aと第2の耐震パネルユニット群1bとを柱梁部材10による開口部10cの開口面に直交する方向に重ねて設けたものである。このように配置することにより、耐力を向上することが可能となる。例えば、第1の耐震パネルユニット群1aと第2の耐震パネルユニット群1bとを開口部10cに隙間なく設けた場合、第1の耐震パネルユニット群1aのみの場合と比較して耐力は2倍となる。
【0047】
耐震パネルユニット1は、必ずしも開口部10cをすべて塞ぐように隙間なく配置する必要はない。例えば、図12に示すように、第1の耐震パネルユニット群1aを紙面前側に開口部10cに隙間なく配置し、第2の耐震パネルユニット群1bを紙面後ろ側に開口部10cの右側に空間Sを有するように配置してもよい。このように配置することにより、第1の耐震パネルユニット群1aのみの場合と比較して耐力は1.6倍となる。さらに、図9〜図11で示したような構造においても前後に重ねて配置し、耐力を向上することができる。
【0048】
耐震パネルユニット1を重ねて配置する場合も、耐震パネルユニット1の寸法は、柱梁部材10による開口部10c及び取付部にあわせて設計段階で設定される。そして、耐震パネルユニット1は該寸法にあわせて工場で予め作成される。したがって、現場では微調整する程度で済み、作業を効率よく、進めることができる。
【0049】
本実施形態は、耐震構造部材3,4と、耐震構造部材2,4の周囲を囲む枠部材2と、を有するので、取り扱いが容易であると共に、開口の形成や組立が容易で、さらに、耐力調整も可能な耐震パネルユニットを提供することが可能となる。
【0050】
また、耐震構造部材3,4同士は、スポット溶接により接合されるので、さらに軽量化すると共に、強度を高くすることが可能となる。
【0051】
また、耐震構造部材3,4は、枠部材2に接合された平板部材3と、平板部材3に接合される接合部4a及び隣接する接合部4aを結ぶ斜め部4bを交互に連続して並べて形成される波形部材4とを有するので、さらに軽量化すると共に、強度を高くすることが可能となる。
【0052】
さらに、耐震パネル構造は、耐震パネルユニット1を建築物に形成された1つの開口部10cに複数並べるので、組み立てが容易となる。
【0053】
また、耐震パネルユニット1は、開口部10cの一部が開口のまま残るように並べられるので、窓やドア等の開口を形成することが容易となる。
【0054】
また、耐震パネルユニット1は、開口部10cの開口面に直交する方向に重ねて並べられるので、耐力の調整が容易となる。
【符号の説明】
【0055】
1…耐震パネルユニット、2…枠部材、3…平板部材(耐震構造部材)、4…波形部材(耐震構造部材)、10…柱梁部材、11…H形鋼(取付部)、12…接着剤(取付部)、13…ボルト(取付部)、14…鉄筋(取付部)、15…コンクリート(取付部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐震構造部材と、
前記耐震構造部材の周囲を囲む枠部材と、
を有することを特徴とする耐震パネルユニット。
【請求項2】
前記耐震構造部材同士は、スポット溶接により接合されることを特徴とする請求項1に記載の耐震パネルユニット。
【請求項3】
前記耐震構造部材は、
前記枠部材に接合された平板部材と、
前記平板部材に接合される接合部及び隣接する前記接合部を結ぶ斜め部を交互に連続して並べて形成される波形部材と
を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐震パネルユニット。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の前記耐震パネルユニットを建築物に形成された1つの開口部に複数並べることを特徴とする耐震パネル構造。
【請求項5】
前記耐震パネルユニットは、前記開口部の一部が開口のまま残るように並べられることを特徴とする請求項4に記載の耐震パネル構造。
【請求項6】
前記耐震パネルユニットは、前記開口部の開口面に直交する方向に重ねて並べられることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の耐震パネル構造。
【請求項1】
耐震構造部材と、
前記耐震構造部材の周囲を囲む枠部材と、
を有することを特徴とする耐震パネルユニット。
【請求項2】
前記耐震構造部材同士は、スポット溶接により接合されることを特徴とする請求項1に記載の耐震パネルユニット。
【請求項3】
前記耐震構造部材は、
前記枠部材に接合された平板部材と、
前記平板部材に接合される接合部及び隣接する前記接合部を結ぶ斜め部を交互に連続して並べて形成される波形部材と
を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐震パネルユニット。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の前記耐震パネルユニットを建築物に形成された1つの開口部に複数並べることを特徴とする耐震パネル構造。
【請求項5】
前記耐震パネルユニットは、前記開口部の一部が開口のまま残るように並べられることを特徴とする請求項4に記載の耐震パネル構造。
【請求項6】
前記耐震パネルユニットは、前記開口部の開口面に直交する方向に重ねて並べられることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の耐震パネル構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−26081(P2012−26081A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162483(P2010−162483)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
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