説明

耳、鼻、及び咽喉の疾患を治療するための方法及び装置

被験体である人間又は動物の副鼻腔口を拡張するための装置(400)は、ハンドル(402)と、ハンドルと結合する近位端を有し、遠位端まで延びる細長いシャフト(414)と、シャフトルーメンの少なくとも一部分を通って配置されるガイドワイヤ(410)と、非拡張形状と拡張形状とを有する拡張器と、ガイドワイヤ及び/又は拡張器をシャフトに対して前進させるために、シャフトの長手軸方向開口部(408)を介してガイドワイヤ又は拡張器の少なくとも一方と結合する摺動部材(406)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国特許出願番号11/193,020(出願日2005年7月29日)の一部継続出願であり、左記は米国特許出願番号10/829,917(出願日2004年4月21日)、米国特許出願番号10/944,270(出願日2004年9月17日)、米国特許出願番号11/116,118(出願日2005年4月26日)、及び米国特許出願番号11/150,847(出願日2005年6月10日)の一部継続出願であり、当該出願のそれぞれは参照により本明細書に明示的に組み込まれる。本願は2008年9月18日に出願された米国仮特許出願第61/098,157号に基づく利益を主張するものであり、その内容は参照により本願に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、広くは医療装置及び方法に関する。より詳細には、本発明は、副鼻腔の開口部にアクセスし、拡張するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
機能的内視鏡下副鼻腔手術(FESS)は現在、慢性副鼻腔炎の治療に最も一般的に用いられている手術である。一般的なFESS手術では、鼻孔に1つ以上の外科器具とともに内視鏡を挿入する。次いで外科器具を用いて組織及び/又は骨の切除、焼灼、吸引などを行う。多くのFESS手術では、少なくとも1つの副鼻腔の自然孔(例、開口部)を外科的に拡張して洞腔からの排液を改善する。内視鏡は直接的な直線的視野を与えるものであるため、執刀医が視認できるのは通常、手術野内のすべての解剖学的構造ではなく、その一部である。内視鏡による視認下、執刀医は病変又は肥厚した組織や骨を切除し、鼻腔の小孔を拡大して正常な鼻腔の排液を回復させることができる。FESS手術は副鼻腔炎の治療、並びに鼻からの腫瘍、ポリープ、及び他の異常増殖組織の除去に効果を発揮しうるものである。
【0004】
従来のFESS手術において使用される外科器具としては、アプリケータ、のみ、キュレット、骨膜起子、ピンセット、丸のみ、フック、メス、鋸、マレット、モーセライザ、持針器、骨刀、孔探索器(ostium seeker)、プローブ、穿孔器、バックバイター(backbiter)、やすり、開創器、骨鉗子、はさみ、スネア、検鏡、吸引カニューレ、及びトロカールなどがあった。こうした器具の大半は実質上、剛直な設計のものである。
【0005】
内視鏡により手術野を適切に視認し、かつ/又は剛直な器具を挿入及び使用する目的で、従来のFESS手術の多くでは正常な解剖学的構造の外科的除去及び改変を行っていた。例えば、多くの従来のFESS手術では、手術の初めに全鉤切除(例、鉤状突起の切除)を行って上顎洞開口部及び/又は篩骨胞の視認及びアクセスを確保し、これに続く剛直な手術器具の挿入を可能とする。実際、多くの従来のFESS手術では、鉤状突起が残存していると上顎洞開口部及び篩骨胞の内視鏡による視認を妨げるばかりでなく、これに続く利用可能な剛直な器具を用いた深部構造の切除の妨げともなっていた。
【0006】
より最近では、正常な解剖学的構造の除去又は改変を最小にとどめるか又は行わないFESS手術及び他のENT手術を行うことを可能とする新たな装置、システム、及び方法が考案されている。こうした新しい方法としては、これらに限定されるものではないが、Balloon Sinuplasty(商標)器具を用いた鉤温存手術、並びにカテーテル、非剛直性器具及び高度なイメージング技術(Acclarent,Inc.、Menlo Park,California)を用いた鉤温存篩骨洞手術が挙げられる。これらの新規な装置、システム及び方法の例は、本願に援用する発明の名称が「Devices,Systems and Methods for Diagnosing and Treating Sinusitis and Other Disorders of the Ears,Nose and/or Throat」である米国特許出願第10/829,917号、発明の名称が「Apparatus and Methods for Dilating and Modifying Ostia of Paranasal Sinuses and Other Intranasal or Paranasal Structures」である米国特許出願第10/944,270号、発明の名称が「Methods and Devices for Performing Procedures Within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」である米国特許出願第11/116,118号(出願日2005年4月26日)、及び、発明の名称が「Devices,Systems And Methods Useable For Treating Sinusitus」である米国特許出願第11/150,847号(出願日2005年6月10日)に述べられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
Balloon Sinuplasty(商標)システムは、副鼻腔治療に大幅な進歩をもたらしたが、当該システム及び当該システムを用いるための方法の更なる開発及び改良が継続的に求められている。例えば、医師、特に当該システムの初心者である医師にとって現在のシステムより使用しやすいシステムを有することが望ましい。このような簡易化されたシステムは、1人のユーザーによって使用及び操作されることが可能であり、少なくとも一部の例では、補助者を必要としないことが可能であることが理想的である。このようなシステムは、ユーザーにとって便利なやり方で簡単に梱包されるのが更に理想的である。これらの目的のうちの少なくとも一部のものは、本発明によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示される種々の実施形態は、副鼻腔の開口部にアクセスし、これを拡張するための器具、システム、及び方法を提供する。一般に、種々の実施形態のそれぞれは、2つ以上の外科器具又は器具の特性を組み合わせて、片手で保持することができる1つの装置(又はシステム)とし、したがってユーザーのもう一方の手を完全に自由にするのを及び/又は処置を実施し易くするのを助ける。例えば、一実施形態において、ガイド及びバルーンカテーテルは、ハンドルを介して一体に連結されることができる。いくつかの実施形態において、ガイドワイヤ及び/又は内視鏡もまた、バルーンカテーテル及び/又はハンドルと結合されてもよい。これら種々の実施形態の種々の装置及び方法は、別々に用いられてもよく、又は任意の可能な及び所望の相互の組み合わせの形で用いられてもよい。
【0009】
一実施形態によると、被験体である人間又は動物の副鼻腔口を拡張するための装置は、ハンドルと、ハンドルと結合する近位端を有し、遠位端まで延びる細長いシャフトと、を備える。シャフトは、ルーメンと、近位端と遠位端との間の長さの少なくとも一部分に沿ってルーメンからシャフトの外側表面まで延びる長手軸方向開口部と、を備える。この実施形態は、シャフトルーメンの少なくとも一部分を通って配置されるガイドワイヤと、非拡張形状と拡張形状とを有する拡張器であって、拡張器の少なくとも一部分が、ガイドワイヤの上で、シャフトルーメン内に、配置される、拡張器と、を含む。摺動部材もまた、シャフトに対してガイドワイヤ及び/又は拡張器を前進させるために、シャフトの長手軸方向開口部を介してガイドワイヤ又は拡張器と結合する。一実施形態において、摺動部は、ガイドワイヤ及び/又は拡張器を回転させるために、細長いシャフトに対して軸方向回転することが可能である。また、特定の実施形態において、装置は、被験体の副鼻腔に孔を開けるための、シャフトの遠位端と結合する穿孔部材を更に備え、シャフトの遠位端は孔を介して挿入可能である。
【0010】
別の実施形態では、装置は、細長いシャフトに取り付けられた流体リザーバを備え、流体リザーバが拡張器と流体連通する。流体リザーバと結合するトリガ又は作動ハンドルを更に備えていてもよく、トリガを作動させて、流体リザーバの中の流体に拡張器を拡張形状まで膨張させる。
【0011】
被験体である人間又は動物の副鼻腔口にアクセスするための装置の別の実施形態によると、装置は、ハンドルと、ハンドルと結合する近位端を有し、遠位端まで延びる細長いシャフトと、を含む。細長いシャフトは、近位端から遠位端までの少なくとも途中まで延びる長手軸方向ルーメンを含む。ハンドル又は細長いシャフトと結合し、一方の装置と結合して、シャフトのルーメンを通って副鼻腔口内の少なくとも途中まで一方の装置を前進させるように構成された、装置前進部材が更に存在する。特定の実施形態では、ガイドワイヤは細長いシャフトルーメンの少なくとも一部分を通って延び、装置前進部材は、ガイドワイヤと連結して、ルーメンを通り副鼻腔口を介してガイドワイヤを前進させるように構成される。一実施形態では、バルーン拡張カテーテルは、シャフトルーメンの少なくとも一部分を通って延び、装置前進部材は、バルーン拡張カテーテルと連結して、ルーメンを通り副鼻腔口内の少なくとも途中までバルーン拡張カテーテルを前進させるように構成される。
【0012】
被験体である人間又は動物の耳、鼻又は咽喉内の解剖学的構造を拡張するためのシステムの一実施形態は、内視鏡と、内視鏡と着脱自在に結合する細長いチューブ状ガイドと、を含む。内視鏡又は細長いチューブ状ガイドを片手で把持するために、内視鏡の少なくとも一方と結合するハンドルもまた存在する。一実施形態において、拡張器は、細長いチューブ状ガイド内に摺動可能に配置され、拡張器は、細長いチューブ状ガイドを通過するための非拡張形状と、解剖学的構造を拡張するための拡張形状と、を有する。特定の実施形態において、第1のクリップは内視鏡に取り付けられ、第2のクリップは細長いチューブ状ガイドに取り付けられる。第1のクリップと第2のクリップとを連結するための連結部材もまた含まれる。
【0013】
一実施形態において、一体に連結された、内視鏡及び細長いチューブ状ガイドは、被験体の副鼻腔内に穿刺された孔に入る寸法に設定される。この実施形態では、システムは、孔を形成するのを目的として、内視鏡又は細長いチューブ状ガイドの少なくとも一方と結合する穿孔部材が更に含まれる。
【0014】
システムは、拡張器の少なくとも一部を通って延びるガイドワイヤルーメンを通って配置されるガイドワイヤを更に備えていてもよく、一実施形態では、ガイドワイヤをガイドに対して前進させるために細長いチューブ状ガイドと結合するガイドワイヤ前進部材が更に含まれてもよい。更に別の実施形態において、システムは、内視鏡と結合する内視鏡クリーナーを含む。内視鏡クリーナーは、内視鏡の少なくとも一部の上に配置されるシースと、シースを洗浄流体源と連結させるためにシースと結合するチューブと、を含む。
【0015】
被験体である人間又は動物の副鼻腔内の開口部を拡張するための方法の一実施形態において、該方法は、細長いチューブ状の、少なくとも部分的に剛性のガイドを片手で保持することを含み、バルーン拡張カテーテルは、ガイドのルーメン内に常駐し、ハンドルを通って延びる。また、該方法は、ガイドの遠位端を、被験体である人間又は動物の副鼻腔内の開口部に近い位置まで前進させることを含み、前進中、バルーンカテーテルはガイドのルーメン内に常駐する。所定位置に達すると、該方法は、バルーン拡張カテーテルのバルーンを副鼻腔開口部内に位置決めするために、バルーン拡張カテーテルをガイドを通して前進させることを更に含む。次に、開口部を拡張するために、バルーン拡張カテーテルのバルーンを膨張させる。一実施形態において、該方法は、ハンドル及びカテーテルと結合された前進部材を前進させることによって、バルーン拡張カテーテルを前進させることを含んでもよい。また、特定の実施形態において、該方法は、ガイドワイヤを、ガイドの遠位端を通り、開口部を介して副鼻腔内に前進させることを含んでもよく、ガイドを被験体内に前進させる間、ガイドワイヤはバルーンカテーテルのルーメン内に常駐し、バルーンカテーテルは、ガイドの遠位端を通ってガイドワイヤの上を前進させられる。
【0016】
一実施形態において、該方法は、ガイドワイヤの遠位端から光を放出する工程と、バルーン拡張カテーテルを前進させる前にガイドワイヤの遠位端が副鼻腔内に位置付けられたことを確認するために、放出された光を被験体の外部から見る工程と、を更に含む。
【0017】
別の実施形態において、ガイドは、被験体の頭の犬歯窩内の開口部を介して上顎洞の中に、又は上顎洞の壁の開口部を介して前進させられ、該方法は、穿孔ツールを使用して犬歯窩開口部又は上顎洞壁開口部を形成する工程も更に含む。
【0018】
更に別の実施形態において、該方法は、ハンドルで内視鏡を保持することを含み、内視鏡及びガイドはハンドルと結合され、内視鏡及びガイドは被験体内に前進させられる。別の実施形態において、内視鏡、ガイド及びバルーンカテーテルは、被験体内に一緒に前進させられる。更に、ガイドの遠位端又はバルーンカテーテルのバルーンは、内視鏡を使用して見ることができる。
【0019】
これら及びその他の態様及び実施形態は、添付図面を参照して以下により詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に従って副鼻腔炎を治療する処置を受ける人間の被験者の斜視図。
【図2A】耳、鼻及び咽喉内の小孔又は副鼻腔及びその他の解剖学的通路を拡張するために使用可能な拡張装置の平面図。
【図2B】図2Aの装置の側面図。
【図2C】図2A〜図2Bの拡張装置を使用するための方法における工程を示す。
【図2D】図2A〜図2Bの拡張装置を使用するための方法における工程を示す。
【図2E】耳、鼻及び咽喉内の副鼻腔の開口部及びその他の解剖学的通路を拡張するために使用可能な別の拡張装置の側面図。
【図2F】拡張バルーンを膨張させて耳、鼻及び咽喉内の副鼻腔の開口部及びその他の解剖学的通路を拡張するために、圧縮膨張流体を使用する、別の拡張装置の側面図。
【図2G】図2Fに示される装置の弁装置の概略図。
【図2H】図2A〜図2Bの装置の一部分を通る部分断面図。
【図3A】バルーンカテーテルに取付けられた握り式膨張装置の斜視図。
【図3B】握り式膨張器を有するバルーン拡張装置の斜視図。
【図4A】ガイドカテーテルに取り付けられた内視鏡を含む、一体化システムの斜視図。
【図4B】ガイドカテーテルと連結している内視鏡を含む一体化システムの別の実施形態の斜視図。
【図5A】耳、鼻及び咽喉内の小孔又は副鼻腔及びその他の解剖学的通路を拡張するために使用可能な外科用ハンドツールの斜視図。
【図5B】図5Aに示される外科用ハンドツールの断面図。
【図6A】外科用ハンドツールの別の実施形態の斜視図。
【図6B】図6Aに示される外科用ハンドツールの断面図。
【図7】カテーテル及びガイドワイヤを回転することができる外科用ハンドツールの別の実施形態の斜視図。
【図8A】外科用ハンドツールの更に別の実施形態の斜視図。
【図8B】図8Aに示される外科用ハンドツールの断面図。
【図9A】流体リザーバを含む外科用ハンドツールの別の実施形態の斜視図。
【図9B】図9Aに示される外科用ハンドツールの断面図。
【図9C】図9A及び図9Bに示される外科用ハンドツール用の流体送達システムの別の実施形態の概略図。
【図9D】図9A及び図9Bに示される外科用ハンドツール用の流体送達システムの別の実施形態の概略図。
【図9E】図9A及び図9Bに示される外科用ハンドツール用の流体送達システムの別の実施形態の概略図。
【図10A】レールによって支持されている外科用ハンドツールの別の実施形態の斜視図。
【図10B】外科用ハンドツールの近位端の斜視図。
【図10C】手のひら支えを含んでいる外科用ハンドツールの更に別の実施形態の斜視図。
【図10D】ガイドアタッチメントを含んでいる外科用ハンドツールの別の実施形態の斜視図。
【図10E】ガイドアタッチメントを含んでいる外科用ハンドツールの別の実施形態の斜視図。
【図11】流体送達を目的として外科用ハンドツールの本体に装着されたシリンジを有する、外科用ハンドツールの斜視図。
【図12A】側面切り欠き部を有する灌注カテーテルの斜視図。
【図12B】図12Aで示される線12B−12Bで切断した断面図。
【図13】側面切り欠き部と単一ルーメンとを有する灌注カテーテルの側面図。
【図14A】側面切り欠き部を有するバルーン灌注カテーテルの側面図。
【図14B】側面切り欠き部を有するバルーン灌注カテーテルの側面図。
【図15A】バルーンカテーテルの横窓を介して挿入された灌注シリンジの側面図。
【図15B】図15Aに示される灌注シリンジの遠位端の側面図。
【図16】ガイドカテーテル及びバルーンカテーテルを片手で保持することを含む、副鼻腔疾患を治療するための方法のフローチャート。
【図17】副鼻腔の開口部の拡張と組み合わせて解剖学的構造又は病理学的構造を除去又は改変することにより副鼻腔疾患を治療するために用いることができる方法のフローチャート。
【図18】洞腔の吸引及び/又は灌注と組み合わせて副鼻腔の開口部を拡張させることにより副鼻腔疾患を治療するために用いることができる方法のフローチャート。
【図19】瘢痕組織又は癒着組織中に孔通路を形成し、拡張器を孔通路中に挿入し、孔通路を拡張させることにより、望ましくない瘢痕組織又は癒着組織が形成された病態を治療するために用いることができる方法のフローチャート。
【図20】副鼻腔内に新たな開口部を形成することと組み合わせて副鼻腔の生来の開口部を拡張させることにより副鼻腔疾患を治療するために用いることができる方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の詳細な説明、添付図面、及び上記に記載した図面の簡単な説明は、必ずしもすべてではないが本発明の実施例又は実施形態の一部を説明することを目的とするものである。この詳細な説明及び添付図面は、主として例示的な目的のために提供され、特許請求の範囲に記載される発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。本説明ではBalloon Sinuplasty(商標)副鼻腔処置について時折言及しているが、本発明の多くの実施形態は、任意のその他の副鼻腔処置を実施する際に用いられてもよい。
【0022】
本明細書に開示される装置は、種々の処置を実施するために単独で又は種々に組み合わされて使用されることができ、かかる処置としては、副鼻腔内及び/又は副鼻腔の開口部内での種々の処置が挙げられるが、これらには限定されない。特に指定のない限り、本明細書で使用するとき、用語「副鼻腔の開口部」は、副鼻腔又は含気洞の任意の開口部を含むものであり、かかる開口部としては、生来の小孔、生来の管、外科的に修正された生来の小孔、外科的に形成された開口部、開洞術による開口部、オスティオトミー(ostiotomy)による開口部、バーホール、ドリル穴、孔通路、篩骨切開術による開口部、開窓、及びその他の生来の又は人造の通路等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0023】
図1は、一実施例に従って副鼻腔炎を治療するためのBalloon Sinuplasty(商標)処置を受ける人間被験者を示す。人間被験者は、任意の支持装置100を通して導入された1つ以上の診断、治療又はアクセス用の装置の作用を受ける。多くの場合、本発明の副鼻腔処置はいかなる支持装置100を使用せずに実施されるが、支持装置100は、例えば、医師の診療所の処置室、又は補助者のいないその他の環境において処置を実施する際に便利であり得る。本発明の処置で使用することができる治療用装置の一例は、副鼻腔の開口部又は他の鼻内解剖学的構造の開口部を拡張させるために用いられるバルーンカテーテルである。かかる処置で使用することができるアクセス装置の一例は、副鼻腔の生来の小孔、又は副鼻腔に通じる生来の若しくは人工の通路若しくは路にアクセスするために用いられるガイドワイヤである。図1に示される実施形態では、支持装置100は、手術台に載る3本以上の脚部によって安定化される支持部材を有する。1つ以上の追跡用又は操縦用視覚化装置を用いて、1つ以上の診断、治療又はアクセス用装置を解剖学的構造を介して追跡又は操縦することができる。図1に示す実施形態では、C字形アーム式X線透視装置102が、処置の間、解剖学的領域のX線透視視覚化を提供する。1つ以上の機能モジュールを備える計器コンソール104を設けることもできる。計器コンソール104は、コンソール制御手段、例えばフットペダルコントローラ、リモートコントローラ等で制御されることができる。計器コンソール104には、オペレータが手術領域内で計器コンソールの位置を変化させることができる車輪が取り付けられてもよい。計器コンソール104は、機能モジュールを有していてもよく、かかる機能モジュールとしては、以下のものが挙げられるがこれらには限定されない。
1.制御された量の真空を吸引装置に送達するための吸引ポンプ、
2.生理食塩水又は他の好適な灌注媒体を送達するための灌注ポンプ、
3.動力をドリル又はその他の電気装置に供給する電力モジュール、
4.器具、薬剤等を貯蔵するための貯蔵モジュール、
5.高周波、レーザ、超音波又は他の治療エネルギーを外科装置に提供するエネルギー送り出しモジュール、
6.種々の診断又は治療処置中に用いられる装置に連結される又はこれと相互作用するX線透視装置、MRI、CT、ビデオ、内視鏡106若しくはカメラ又は他の撮像モジュール、
7.種々のモジュール、例えば内視鏡モジュール、X線透視装置又は他のデータ若しくは撮像モジュールからのデータを表示するためのディスプレイモジュール、例えばLCD、CRT又はホログラフィックスクリーン、
8.オペレータが1つ以上の機能モジュールの1つ以上のパラメータを制御することができるようにする遠隔制御モジュール、及び
9.1つ以上の機能モジュール等の1つ以上の作動設定値を記憶することができるプログラム可能マイクロプロセッサ。
【0024】
図1に示される実施形態では、計器コンソール104は内視鏡106に連結されている。内視鏡106は、1つ以上の導入装置108、例えばガイドカテーテルを通して解剖学的構造内に導入されてもよい。医師は、1つ以上の診断、治療又はアクセス用装置を解剖学的構造内に導入するための外外科的操縦用視覚化装置を含む、手持ち型導入器110を用いることができる。導入器110に設けることができる外科的操縦用視覚化装置の例としては、反射受動素子、発光ダイオード、エネルギー(例えば、光エネルギー、高周波エネルギー等)の伝送器又は受信器を備える操縦用視覚化装置、上述した操縦用視覚化装置のうちの2つ以上の組み合わせ等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0025】
上記の説明から明らかであるように、Balloon Sinuplasty(商標)処置は、多くの異なる手術器具(又は「ツール」)を使用するものである。例えば、医師は、典型的には、内視鏡、誘導装置、ガイドワイヤ、バルーンカテーテル、バルーンカテーテルを膨張させるための膨張装置、及び処置の少なくとも一部を観察するためのC字形アーム式X線透視装置を使用する。場合によっては、点灯するガイドワイヤ(例えば、Acclarent,Inc.からのRelieva Luma(商標)Sinus Illumination Guidewire)を使用してもよく、その場合、光源は、処置の少なくとも一部の間にガイドワイに取り付けられる。任意に、処置はまた、副鼻洞から粘液を除去するために、例えば灌注カテーテル(例えば、Acclarent,Inc.からのRelieva Vortex(商標)Sinus Irrigation Catheterなど)を使用する、1つ以上の副鼻腔の灌注(生理食塩水又は他の流体を使用した洗浄)を含んでもよい。更に、一部の処置では、複数の誘導装置を使用して異なる副鼻洞に到達してもよく、各誘導装置は異なる角度及び/又は寸法を有する。異なるバルーンカテーテルを使用することも可能であり、いくつかのバルーンの直径は寸法の違う副鼻腔開口部によって異なる。更に、別の場合には他の器具を使用してもよく、それらのいくつかは、例えば、Acclarent,Inc.のウェブサイト(www.acclarent.com)に記載されている。したがって、場合によっては、処置を簡単にするために、医師が複数の器具を片手で把持できるようにするために、ないしは別の方法でBalloon Sinuplasty(商標)処置(これに限定されない)などの副鼻腔手術を容易にする又は向上させるために、2つ以上の器具、機構等を結合させる、ないしは別の方法で組み合わせることが望ましくあり得る。
【0026】
図2A及び図2Bを参照すると、バルーンカテーテルを含む外科用ハンドツール200の一実施形態が、平面図(図2A)及び側面図(図2B)で示されている。この実施形態において、外科用ハンドツール200は、ABS、ナイロン、ポリウレタン、ポリエチレン等を含むがこれらに限定されない生体適合性材料で作製される中空の近位本体202を含むことが可能である。近位本体202はバルーンカテーテル204を取り囲んでいる。バルーンカテーテル204は、バルーンカテーテル204上のバルーンを膨張させるためのバルーン膨張ポート206を備える。バルーン膨張ポート206は、バルーンカテーテル204が近位本体202の軸に沿って摺動可能なように、近位本体202を貫通する長手軸方向スリット208を通って近位本体202から外に現れる。バルーン膨張ポート206は、好適な膨張装置に連結されて、バルーンカテーテル204のバルーンを膨張させる。この実施形態では、バルーンカテーテル204は、ガイドワイヤ210の上を通って解剖学的構造の所望の領域内に導入される。ガイドワイヤ210の近位領域はトルク付与装置212を備えていてもよい。ユーザーは、トルク付与装置212を使用して、ガイドワイヤ210を回転させる、前進させる、後退させる、又はこれにトルクを付与することができる。近位本体202の遠位領域は、ガイドカテーテル214を近位本体202に取り付けることができる好適なハブを備える。代替実施形態では、ガイドカテーテル214は、取り外せない方法で近位本体202に取り付けられる。この実施形態では、ガイドカテーテル214は、PEEK、Pebax、ナイロン、ポリイミド、ABS、PVC、ポリエチレン等を含むがこれらに限定されない好適な生体適合性材料で作製される細長いチューブ状要素216を備える。チューブ状要素216の近位領域は、好適な生体適合性金属又はポリマーで作製されるハイポチューブ218で覆われてもよい。チューブ状要素216の近位端は好適なハブ220に取り付けられる。ハブ220により、近位本体202へのガイドカテーテル214の可逆的な取り付けが可能になる。一実施形態では、ハブ220は、近位本体202上の好適なハブに付着する雌型ルアーロックである。このように、種々の解剖学的領域へのアクセスをもたらすために、種々のガイドカテーテルを近位本体202の遠位領域に取り付けることができる。チューブ状要素216の遠位端は、非外傷性先端部222を備えてもよい。チューブ状要素216の遠位端は、湾曲領域、曲げ領域又は傾斜領域を含んでもよい。図2Bは、外科用ハンドツール200の側面図であり、近位本体202に取付けられたハンドル224を示している。
【0027】
図2C〜図2Dは、図2A及び図2Bに示された外科用ハンドツール200を用いて解剖学的領域を拡張させる方法の種々の工程を示している。図2Cでは、外科用ハンドツール200が解剖学的構造内に導入されている。外科用ハンドツール200を、外科用ハンドツール200の遠位先端部がアクセスされるべき解剖学的領域の近くに位置付けられるよう位置決めする。その後、ガイドワイヤ210の遠位先端部をアクセスされるべき解剖学的領域の近くに位置決めするように、外科用ハンドツール200を通してガイドワイヤ210を導入する。この工程中、トルク付与装置212を用いて解剖学的構造を通してガイドワイヤ210を操縦することができる。一実施形態では、ガイドワイヤ210を、拡張させるべき副鼻腔口を横切るように位置決めする。その後、図Dでは、バルーンカテーテル204を、ガイドワイヤ210の上を通って解剖学的構造の中まで前進させる。これは、バルーン膨張ポート206を遠位方向に押すことにより行われる。その後、バルーンカテーテル204を用いて診断又は治療処置を行う。一実施形態では、バルーンカテーテル204を用いて副鼻腔に通じる開口部、例えば副鼻腔口を拡張させる。
【0028】
図2Eは、バルーンカテーテルを備える外科用ハンドツール226の第1の代替実施形態の側面図を示す。外科用ハンドツール226の設計は、外科用ハンドツール200の設計に類似している。外科用ハンドツール226は、ABS、ナイロン、ポリウレタン、ポリエチレン等を含むがこれらには限定されない生体適合性材料で作製された、中空の細長い本体227を備える。細長い本体227は、ユーザーが外科用ハンドツール2726を把持することができるようにするハンドル228に取付けられる。細長い本体227は、長手軸方向スリット229を備える。細長い本体227は、バルーンカテーテル23を取り囲む。バルーンカテーテル230は、バルーンカテーテル230上のバルーンを膨張させるためのバルーン膨張ポート231を備える。バルーン膨張ポート231は、バルーンカテーテル230が細長い本体227の軸に沿って摺動することができるように、長手軸方向スリット229を介して細長い本体227から外に現れる。バルーンカテーテル230は、トリガ232に更に連結されている。トリガ232は、トリガ232を近位方向に引くことによりバルーンカテーテル230が遠位方向に動くように、細長い本体227に枢着されている。同様に、トリガ232を遠位方向に押すと、バルーンカテーテル230は近位方向に動く。このように、トリガ232を動かすことによりバルーンカテーテル230を動かすことができる。細長い本体227の遠位領域は、ガイドカテーテル233を細長い本体227に取付けることができる好適なハブを備えている。この実施形態では、ガイドカテーテル233は、PEEK、Pebax、ナイロン、ポリエチレン等を含むがこれらに限定されない好適な生体適合性材料で作製される細長いチューブ状要素234を備える。チューブ状要素234の近位領域を、好適な生体適合性金属又はポリマーで作られたハイポチューブ235で覆ってもよい。チューブ状要素234の近位端は、好適なハブ236に取付けられる。ハブ236により、細長い本体227へのガイドカテーテル233の可逆的な取り付けが可能になる。一実施形態では、ハブ236は、細長い本体227上の好適なハブに取付けられた雌型ルアーロックである。このように、種々の解剖学的領域へのアクセスをもたらすために、種々のガイドカテーテルを細長い本体227の遠位領域に取付けることができる。チューブ状要素234の遠位端は、非外傷性先端部237を含んでもよい。チューブ状要素234の遠位端は、湾曲領域、曲げ領域又は傾斜領域を含んでもよい。この実施形態では、バルーンカテーテル230は、ガイドワイヤ238の上を通って解剖学的構造の所望の領域内に導入される。ガイドワイヤ238の近位領域は、トルク付与装置239を備えてもよい。ユーザーはトルク付与装置239を用いてガイドワイヤ238を回転させ、前進させ、後退させ又はこれにトルクを付与することができる。外科用ハンドツール226は、バルーンカテーテル230を所望の解剖学的領域中に導入して、この解剖学的領域内で診断又は治療処置を行うために使用され得る。
【0029】
図2Fは、バルーンカテーテルを備える外科用ハンドツール240の第2の代替実施形態の側面図を示す。外科用ハンドツール240の設計は、外科用ハンドツール226の設計に類似している。外科用ハンドツール240は、バルーンカテーテル230のバルーンを膨張させる膨張流体を送達する流体送達機構を更に備える。流体送達機構は、バルーン膨張ポート231に連結された細長いチューブ241を備える。細長いチューブ241は、流体リザーバ242に更に連結されている。一実施形態では、流体リザーバ242は、加圧ガス、例えば空気、窒素、二酸化炭素等を含む。流体リザーバ242からバルーンカテーテル230への流体の送達は、弁243によって制御される。
【0030】
図2Hは、図2Fに示される外科用ハンドツール240の部分断面図を示す。細長い本体227の近位領域は、長手軸方向スリット229を備える。細長い本体227は、バルーンカテーテル230を取り囲む。バルーンカテーテル230の近位端部はY字形ハブを備える。Y字形ハブはバルーン膨張ポート231を備える。バルーン膨張ポート231は、細長いチューブ241に順次連結されている。ガイドワイヤ238は、細長い本体227の近位端の開口部を介して本体227に入る。
【0031】
図2Gは、図2Fに示される装置の弁装置の実施形態の斜視図を示す。弁装置は三方弁243を備える。一実施形態では、三方弁243は三方ルアー弁である。三方弁243の第1のアーム244は、細長いチューブ241によって流体リザーバ242に連結されている。三方弁243の第2のアーム245は、バルーンカテーテル230のバルーンと流体連通する。三方弁243の第3のアーム246は、ドレンに連結され、又は大気中に開口している。第3のアーム246は、バルーンカテーテル230を収縮させるために、シリンジ又は真空源に連結可能である。第3のアーム246に連結されたシリンジ又は真空源を備えるこのような装置は、非弾性バルーンを収縮させるのに特に有用である。三方弁243は制御ノブ247を更に備える。制御ノブ247の第1の位置では、第1のアーム244と第2のアーム245との間に流体連通が形成される。制御ノブ247の第2の位置では、第2のアーム245と第3のアーム246との間に流体連通が形成される。ユーザーは、制御ノブ247を第1の位置に回して、バルーンカテーテル230のバルーンを膨張させることができる。次に、ユーザーは、制御ノブ247を第2の方向に回して、バルーンカテーテル230のバルーンを収縮させることができる。バルーンカテーテル230のバルーンを制御可能に膨張させる又は収縮させるために、三方弁に代えて他の好適な弁装置を使用することも可能である。
【0032】
図3Aは、手持ち型バルーンカテーテルツール250の実施形態の斜視図を示す。バルーンカテーテルツール250は近位領域251を含む。近位領域251は、ユーザーがバルーンカテーテルツール250を保持することができるようにするハンドル252を備える。バルーンカテーテルツール250は、バルーンカテーテルシャフト253を更に備える。一実施形態では、バルーンカテーテルシャフト253は、近位領域251の遠位領域から遠位方向に延びる。別の実施形態では、バルーンカテーテルシャフト253は、近位領域251の近位端まで延びる。バルーンカテーテルシャフト253は、バルーンカテーテルシャフト253の一領域を包囲するハイポチューブ254を更に備えてもよい。バルーンカテーテルシャフト253の遠位領域は、解剖学的構造の1つ以上の領域を拡張させるために使用することができる可膨張性のバルーン255を備える。ハンドル252に隣接して位置付けられたトリガ256によりバルーン255を膨張させる。トリガ256はプランジャに連結され、このプランジャは膨張流体リザーバに更に連結されている。トリガ256を引くことにより、膨張流体リザーバ内に貯えられている膨張流体が、圧力下でバルーン255に送達される。バルーンカテーテルツール250は、バルーンカテーテルシャフト253のルーメンを洗い流すための水洗ポート257を更に備えてもよい。
【0033】
処置中、ユーザーは、膨張流体リザーバ内に貯えられている膨張流体を用いてバルーン255を所望の圧力まで膨張させる。バルーン255内の圧力は、バルーン255内の膨張流体と流体連通する圧力センサ又は圧力計258によって測定され得る。バルーンカテーテルツール250は、ユーザーがトリガ256を段階的に引くことができるようにするラチェット機構259を更に備えていてもよい。これにより、ユーザーは、バルーン255を段階的に膨張させことができる。同様に、バルーンカテーテルツール250は、バルーン255を膨張させた後、ユーザーがトリガ256を段階的に解除することができるようにするラチェット機構を備えてもよい。これにより、ユーザーは、バルーン255を段階的に収縮させることができる。一実施形態では、バルーンカテーテルツール250を、ガイドワイヤの上を通って解剖学的構造内の所望の標的位置まで前進させることができる。この実施形態では、バルーンカテーテルツール250は、バルーンカテーテルシャフト253内のガイドワイヤルーメンと流体連通している近位ガイドワイヤポート260を更に備えてもよい。これにより、バルーンカテーテルツール250を、ガイドワイヤの上を通って解剖学的構造内に導入することができる。別の実施形態では、バルーンカテーテルツール250は、解剖学的構造を通してバルーンカテーテルツール250を操縦するために、バルーンカテーテルツール250の遠位先端部に固定ガイドワイヤ261を備える。一実施形態では、バルーンカテーテルツール250は回転ノブ262を備える。回転ノブ262により、ユーザーは、バルーンカテーテルシャフト253を回転させることができる。バルーンカテーテルツール250は、放射線不透過性マーカー、電磁操縦用センサ等を含むがこれらに限定されない1つ以上の操縦用視覚化装置を更に備えてもよい。バルーンカテーテルツール250の遠位領域は、ガイドカテーテルを含むがこれらに限定されない、本明細書に開示される種々の導入装置を介して解剖学的構造内に導入可能である。
【0034】
図3Bは、取り外し可能な手持ち型バルーンカテーテル膨張ツール270の実施形態の斜視図を示す。取り外し可能な膨張ツール270は、ユーザーが膨張ツール270を保持することができるようにするハンドル272を備える本体271を備える。取り外し可能な膨張ツール270はバルーンカテーテル273に付着する。一実施形態では、取り外し可能な膨張ツール270と多数のバルーンカテーテルとを含むキットがユーザーに提供される。図3Bに示される実施形態では、バルーンカテーテル273は、細長いバルーンカテーテルシャフト274を備える。バルーンカテーテルシャフト274の遠位領域は、解剖学的構造の1つ以上の領域を拡張させるために使用され得る可膨張性のバルーン275を備える。バルーンカテーテルシャフト274の近位領域は、バルーン275を膨張させるための側部ポートを備える好適なハブ276に連結されている。一実施形態では、バルーンカテーテルシャフト274は、バルーンカテーテルシャフト275の一領域を包囲するハイポチューブ277を備える。ハンドル272に隣接して位置付けられたトリガ278によりバルーン275を膨張させる。トリガ278はプランジャに連結され、プランジャは、膨張流体リザーバに更に連結される。トリガ278を引くことにより、膨張流体リザーバ内に貯えられている膨張流体は、圧力下でバルーン255に送達される。膨張流体は、ハブ276の側部ポートに付着する流体送達ポート279を介して送達される。処置中、ユーザーは、膨張流体リザーバ内に貯えられている膨張流体を用いてバルーン275を所望の圧力まで膨張させる。バルーン275内の圧力は、バルーン275内の膨張流体と流体連通する圧力センサ又は圧力計280によって測定され得る。取り外し可能な膨張ツール270は、ユーザーがトリガ278を段階的に引くことができるようにするラチェット機構281を更に備えてもよい。これにより、ユーザーは、バルーン275を段階的に膨張させことができる。同様に、取り外し可能な膨張ツール270は、バルーン275を膨張させた後、ユーザーがトリガ278を段階的に解除することができるようにするラチェット機構を備えてもよい。これにより、ユーザーは、バルーン275を段階的に収縮させることができる。一実施形態では、バルーンカテーテル273とバルーンカテーテルツール270との組み合わせを、ガイドワイヤの上を通って解剖学的構造内の所望の標的位置まで前進させることができる。この実施形態では、バルーンカテーテルツール270は、バルーンカテーテルシャフト274内のガイドワイヤルーメンと流体連通している近位ガイドワイヤポート282を更に備えてもよい。これにより、バルーンカテーテルツール270を、ガイドワイヤ283の上を通って解剖学的構造内に導入することができる。別の実施形態では、バルーンカテーテル273は、解剖学的構造を通してバルーンカテーテル273を操縦するために、バルーンカテーテル273の遠位先端部に固定ガイドワイヤを備える。別の実施形態では、バルーンカテーテル273は迅速交換ルーメンを備える。迅速交換ルーメンにより、好適なガイドワイヤの上を通ってバルーンカテーテル273を導入することができる。バルーンカテーテルツール270は、バルーンカテーテル273のルーメンを洗い流すための水洗ポート284を更に備えてもよい。バルーンカテーテルツール270は、放射線不透過性マーカー、電磁操縦用センサ等を含むがこれらに限定されない1つ以上の操縦用視覚化装置を更に備えてもよい。バルーンカテーテル273の遠位領域は、ガイドカテーテルを含むがこれらに限定されない種々の導入装置を介して解剖学的構造内に導入され得る。
【0035】
図3Aのバルーンカテーテルツール250又は図3Bの取り外し可能な手持ち型バルーンカテーテル膨張ツール270は、バルーンを一定の圧力まで膨張させるよう設計されてもよい。あるいは、これらツールは、一定量の膨張流体を送達してバルーンを膨張させるように設計されてもよい。
【0036】
本明細書に記載され、参照により本明細書に組み込まれる特許出願に記載されているツールのハンドル組立体はいずれも、回転可能なハンドルを備えることができる。かかる回転可能なハンドルは、ユーザーによって加えられた回転力の一部を直線的な力に変換して、ハンドル組立体の構成要素を互いに向かって引き寄せるよう設計されてもよい。回転可能なハンドルの一実施形態は、米国特許第5,697,159号(Linden)、発明の名称「Pivoted hand tool」に開示されており、当該特許の開示全体は参照により本明細書に明示的に組み込まれる。回転可能なハンドルのかかる設計は、図3Aのハンドル252及びトリガ256、及び図3Bのハンドル272及びトリガ278等を含むがこれらに限定されない、ハンドル組立体に使用することができる。
【0037】
ここで図4Aを参照すると、バルーン洞形成術(balloon sinuplasty)及び内視鏡一体化システム300が示されている。一体化システム300は、ガイドカテーテル304及びバルーンカテーテル306と連結している内視鏡302を有している。このシステムにはハンドル308も含まれており、このハンドルは、ルーメンがそこを通るシャフト310を有する。内視鏡302は、近位端314の内視鏡ハンドル312を含んで示されており、内視鏡302は、シャフト310のルーメン通って配置される。一実施形態では、内視鏡シース316は、システム又は患者の身体の内視鏡の現在位置から内視鏡を取り外さずに内視鏡を流体で清潔にすることができるように、内視鏡302の細長いシャフトを覆うシャフト310のルーメンに連結される又はこれを通って配置される。内視鏡302のレンズを清潔にするために、流体ライン318は内視鏡シース316と連通しており、流体ライン上に配置された流体弁320は、流体弁を開くことによってシースをいつでも洗い流すことができるようにする。内視鏡シース316は、患者への損傷を防止し、内視鏡302のレンズを清潔に保つための非外傷性先端部321を有する。ハンドル308の上には、ハンドルを介して流体が漏れ戻るのを防止するために内視鏡のシース316の近位端を密封する摩擦シール315もまた存在していてもよい。
【0038】
ハンドル308は、前方の指用の切り欠き部322と後方の切り欠き部324とを有し、これにより医師は、ハンドル及び内視鏡302を把持して、親指にかかる圧力を軽くするために4本の指で内視鏡の重量のバランスを保つことができる。図4Aに示されるように、ハンドルの上部には、ユーザーが望む場合には内視鏡のライトポスト328が垂直に出るのを可能にする、ポスト用切り欠き部326もまた存在する。別の方法としては、内視鏡302のライトポスト328は、ハンドル308に制約されることなく、真っすぐに垂れ下がる又は外側に垂れ下がることができる。
【0039】
更に図4Aを参照すると、一体化システム300のガイドカテーテル304は、ハイポチューブ330と、ハイポチューブから延出する細長いチューブ状要素332とを有する。細長いチューブ状要素332はまた、ガイドカテーテルの遠位端336に非外傷性先端部334を有してもよい。ガイドカテーテル304の近位端340にハブ338が配置され、このハブは、フランジ342を有し、バルーンカテーテル306がガイドカテーテル304の中に入る開口部を提供する。ハブ338はまた、作動時にガイドカテーテル304を介して標的区域から流体を吸引することができる吸引ライン344と連通している。バルーンカテーテル306は、バルーンカテーテル上に配置されるバルーンを膨張させるためのバルーン膨張ポート346を有している。バルーンカテーテル306は、ハブ338及びガイドカテーテル304を通って摺動可能である。バルーン膨張ポート346は、膨張チューブ349及び好適な膨張装置に連結されて、バルーンカテーテル306のバルーンを膨張させる。一実施形態では、バルーンカテーテル306は、ガイドワイヤ348の上を通って解剖学的構造の所望の領域内に導入される。ガイドワイヤ348の近位領域は、ユーザーが操作してガイドワイヤを回転させる、前進させる、後退させる、又はガイドワイヤにトルクを付与することができるトルク付与装置350を有していてもよい。
【0040】
内視鏡302をガイドカテーテル304と連結するために、内視鏡シース316上に内視鏡クリップ352が配置され、ガイドカテーテル304のハイポチューブ330上にガイドクリップ354が配置されている。内視鏡シース316を有さない実施形態では、内視鏡クリップ352は、内視鏡の細長いシャフト上に直接配置されてもよい。クリップコネクタ356は、内視鏡クリップ352とガイドクリップ354とを継合して、一体化したシステムを形成する。一実施形態では、内視鏡クリップ352及びガイドクリップ354は、それぞれ、シース316及びハイポチューブ330に摩擦嵌合され、クリップ352及び354はあらゆる方向に回転及び摺動することができる。別の実施形態では、クリップ352及び354の一方又は両方は、装置に沿った定位置にクリップを係止するためのバネラッチ又は他の係止機構を有することができる。内視鏡又はガイドカテーテルからクリップを簡単に取り外すために、クリップ352及び354がスリット358を有し得ることもまた想到されてきた。一実施形態では、クリップコネクタ356は、クリップ352及び354のそれぞれに取り付けられる展性のあるワイヤである。展性のあるワイヤは、比較的容易な位置決めを可能にし、跳ね戻るのを防止する。また、展性のあるワイヤにより、標的とされる副鼻洞をワイヤリングしやすいようにガイドカテーテル304が内視鏡302に対して角度をなすことが可能になる。いくつかの実施形態では、クリップコネクタ356は、安定性のために2つのリンク装置を有するが、1つのリンク装置を使用することも可能である。
【0041】
更に図4Aを参照すると、チューブ318、344及び349が絡まるのを防止するために、これらが互いに接着されている一実施形態が示されている。しかしながら、他の実施形態では、チューブ318、344又は349の任意の2つを互いに接着してもよい。更に他の実施形態では、チューブ318、344及び349は互いに接着されない。
【0042】
図4Aに示される一体化システム300により、ガイドワイヤを操作し、カテーテルバルーンを前進させるのを目的としてユーザーの片手を自由にした状態で、内視鏡をもう一方の手に保持して、標的となる副鼻腔口などの患者の解剖学的構造を連続的に可視化することが可能になる。このシステムにより、ガイドカテーテル304を位置決めした後、処置中の安定性を得るために、ガイドカテーテル304を標的副鼻洞のセット位置又は標的副鼻洞近で静止させることもまた可能になる。更に、ハンドルは、内視鏡の全重量をユーザーの親指に乗せることなくユーザーが内視鏡を保持することができるようにするので、ユーザーの手の痙攣を防止するのを助ける。
【0043】
一体化ステム370の代替実施形態が図4Bに示されている。この実施形態では、ハンドル308は、ガイドカテーテル304に連結される延長部374を取り付けるための延長クリップ372を含む。この実施形態では、延長部374は、ガイドカテーテル304に連結されたハブ338のフランジ342に取り付けられている。延長部374がハンドル308の延長クリップ372に取り付けられる場合、内視鏡は、ガイドカテーテル304及びバルーンカテーテル306に着脱自在に連結される。図4Bに示されるように、延長部374は、ユーザーが片手で保持することが可能な複曲形状を有している。延長部374は延長クリップ372に出たり入ったりして摺動することができるが、延長部が延長クリップ内に配置されているときは、ユーザーが延長クリップを保持する必要がないことが想到されてきた。
【0044】
図4A及び図4Bの一体化システム300及び370は、解剖学的領域を拡張するために同様のやり方で使用され得る。使用する際、一体化システム300及び370は解剖学的構造内に導入される。一実施形態では、内視鏡302及びガイドカテーテル304は、患者の鼻孔を介して及び/又は人工の開口部を介して、副鼻腔の中に一緒に導入される。内視鏡302及びガイドカテーテル304は、ガイドカテーテル304の遠位先端部がアクセスされるべき解剖学的領域の近くに位置付けられ、内視鏡が標的とされる解剖学的領域を見ることができるように位置決めされる。その後、ガイドワイヤの遠位先端部が標的とされる解剖学的領域の近くに位置付けられように、ガイドカテーテル304を通してガイドワイヤ348が導入される。この工程の間、トルク付与装置350を使用して、ガイドワイヤ348を解剖学的構造を通して操縦することができる。一実施形態では、ガイドワイヤ348は、拡張されるべき副鼻腔口を横切るように位置決めされる。その後、バルーンカテーテルを遠位方向に押すことによって、バルーンカテーテル306を、ガイドワイヤ348の上を通って解剖学的構造内まで前進させる。バルーンカテーテル306のバルーンが正確に位置決めされた時点で、バルーンカテーテル306を使用して診断又は治療処置を行う。一実施形態では、バルーンカテーテル306を使用して、副鼻腔口などの副鼻腔に通じる開口部を拡張する。処置が完了した時点で、標的とされる解剖学的領域及び患者から一体化システム300又は370を除去する。
【0045】
ここで図5A及び図5Bを参照すると、ガイドカテーテル及びバルーンカテーテルを組み込んだ外科用ハンドツール400の一実施形態が示されている。外科用ハンドツール400は、ABS、ナイロン、ポリウレタン、ポリエチレン等を含むがこれらに限定されない、生体適合性材料で作製された中空の近位本体402を備える。近位本体402はバルーンカテーテル404を取り囲む(図5B参照)。バルーンカテーテル404は、バルーンカテーテル上のバルーンを膨張させるためのバルーン膨張ポート406を備える。図5Bの最も良く示されるように、バルーン膨張ポート406は、バルーンカテーテル404が近位本体の軸に沿って摺動可能なように、近位本体を貫通する長手軸方向開口部又はスリット408を介して近位本体402から外に現れる。バルーン膨張ポート406は、膨張チューブを介して好適な膨張装置に連結されて、バルーンカテーテル404のバルーンを膨張させる。この実施形態では、バルーンカテーテル404は、ガイドワイヤ410の上を通って解剖学的構造の所望の領域内に導入される。示されている実施形態では、ガイドワイヤ410は、バルーンカテーテルの近位端に取り付けられたワイヤロック412でバルーンカテーテル404に係止されている。ワイヤロック412は、ガイドワイヤ410をバルーンカテーテルの上に係止するために一方向に回転され、ガイドワイヤをバルーンカテーテルから係止解除するために反対方向に回転され得る。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ410の近位領域は、ガイドワイヤを回転させる、前進させる、後退させる、又はこれにトルクを付与するためのトルク付与装置(図示せず)を備えてもよい。
【0046】
近位本体402の遠位領域は、ガイドカテーテル414を近位本体402に取り付けることができる好適なハブ413を備える。代替実施形態において、ガイドカテーテル414は、近位本体202に取り外せない方法で取り付けられる。この実施形態では、ガイドカテーテル414は、PEEK、Pebax、ナイロン、ポリイミド、ABS、PVC、ポリエチレン等を含むがこれらに限定されない、好適な生体適合性材料で作製された細長いチューブ状要素416を備える。チューブ状要素416の近位領域は、好適な生体適合性金属又はポリマーで作製されたハイポチューブ418で覆われてもよい。チューブ状要素416の近位端はハブ413に取り付けられている。ハブ413により、近位本体402へのガイドカテーテル414の可逆的な取り付けが可能になる。一実施形態では、ハブ413は、近位本体402上の好適なハブに付着する雌型ルアーロックである。このように、種々の解剖学的領域へのアクセスをもたらすために、種々のガイドカテーテルを近位本体402の遠位領域に取り付けることができる。チューブ状要素416の遠位端は、非外傷性先端部422を備えてもよい。特定の実施形態では、チューブ状要素416の遠位端は、湾曲領域、曲げ領域又は傾斜領域を含んでもよい。
【0047】
図5A及び図5Bに示されるように、外科用ハンドツール400は、近位本体402内に部分的に配置される摺動部又は装置前進部材424を備える。摺動部424は、膨張ポート406においてバルーンカテーテル404を保持する概ね円筒形の本体426を備え、摺動部が近位本体402から落ちるのを防止するように寸法設定されている。ガイドワイヤがバルーンカテーテル上に係止している場合、摺動部を動かすことで、バルーンカテーテル404及びガイドワイヤ410を一緒に前進させる。外科用ハンドツール400を動かすことで、バルーンカテーテル404及び/又はガイドワイヤ410の任意の操舵が達成される。手の大きさが違うユーザーが摺動部424に到達し、これを動かすための、第1の握り部428及び第2の握り部430が存在している。摺動部424が近位本体から外れるのを防ぐために、バックキャップ432が近位本体402の近位端に配置されている。図示の実施形態では、近位シャフト402に取り付けられたハンドル434は、追加制御を目的として所望に応じてユーザーの指を推し進めるのを可能にする指ガード436を備える。
【0048】
図5A及び図5Bに示される実施形態の代替実施形態では、中空の近位本体402をレール本体で置き換えることができる。レールは、このレールに沿って摺動部424が摺動することができ、かつカテーテル404及び/又はガイドワイヤ410が前進することができる構成をもたらすことになる。
【0049】
外科用ハンドツール440の別の実施形態が図6A及び図6Bに示されている。外科用ハンドツール440は、図5A及び図5Bに示される外科用ハンドツール400と類似しているが、外科用ハンドツール440は、バルーンカテーテル及びガイドワイヤが摺動部を用いて回転できるように設計されている。図6A及び図6Bに示されるように、外科用ハンドツール440は、ABS、ナイロン、ポリウレタン、ポリエチレン等を含むがこれらに限定されない、生体適合性材料で作製された中空の近位本体442を備える。近位本体442はバルーンカテーテル444を取り囲む(図6B参照)。バルーンカテーテル444は、バルーンカテーテル上に配置されたバルーンを膨張させるためのバルーン膨張ポート446を備える。図5Bの最も良く示されるように、バルーン膨張ポート446は、バルーンカテーテル444が近位本体の軸に沿って摺動可能なように、近位本体に切り込まれたスロット又は長手軸方向開口部448を介して近位本体402から外に現れる。バルーン膨張ポート446は、膨張チューブを介して好適な膨張装置に連結されて、バルーンカテーテル444のバルーンを膨張させる。この実施形態では、バルーンカテーテル404は、ガイドワイヤ450の上を通って解剖学的構造の所望の領域内に導入される。示されている実施形態では、ガイドワイヤ450は、バルーンカテーテルの近位端に取り付けられたワイヤロック452によってバルーンカテーテル404に係止されている。ワイヤロック452は、ガイドワイヤ450をバルーンカテーテルの上に係止するために一方向に回転され、ガイドワイヤをバルーンカテーテルから係止解除するために反対方向に回転され得る。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ450の近位領域は、ガイドワイヤを回転させる、前進させる、後退させる、又はこれにトルクを付与するためのトルク付与装置(図示せず)を備えてもよい。
【0050】
近位本体442の遠位領域は、ガイドカテーテル454を近位本体442に連結することができる好適なハブ453を備える。代替実施形態では、ガイドカテーテル454は、近位本体442に取り外せない方法で取り付けられる。この実施形態では、ガイドカテーテル454は、PEEK、Pebax、ナイロン、ポリイミド、ABS、PVC、ポリエチレン等を含むがこれらに限定されない、好適な生体適合性材料で作製された細長いチューブ状要素456を備える。チューブ状要素456の近位領域は、好適な生体適合性金属又はポリマーで作製されたハイポチューブ458で覆われてもよい。チューブ状要素456の近位端はハブ453に取り付けられる。ハブ453により、近位本体442へのガイドカテーテル454の可逆的な取り付けが可能になる。一実施形態では、ハブ453は、近位本体442上の好適なハブに付着する雌型ルアーロックである。このように、種々の解剖学的領域へのアクセスをもたらすために、種々のガイドカテーテルを近位本体442の遠位領域に取り付けることができる。チューブ状要素456の遠位端は、非外傷性先端部462を備えてもよい。特定の実施形態では、チューブ状要素456の遠位端は、湾曲領域、曲げ領域又は傾斜領域を含んでもよい。
【0051】
図6A及び図6Bに示されるように、外科用ハンドツール440は、近位本体442内を動く摺動部又は装置前進部材464を備える。摺動部464は、膨張ポート446においてバルーンカテーテル444を保持し、摺動部が近位本体442から落ちるのを防止するように寸法設定されている、概ね円筒形の底部466を備える。ガイドワイヤがバルーンカテーテル上に係止している場合、摺動部を動かすことで、バルーンカテーテル444及びガイドワイヤ450を一緒に前進させる。この実施形態におけるスロット又は長手軸方向開口部448の寸法は、ユーザーがバルーンカテーテル及びガイドワイヤを、約60〜120度の全回転自由度に対して両方向に摺動部を約30〜60度回転させる、従って操舵できるようにする。しかしながら、摺動部の回転は、約0度〜約180度の全回転自由度に対して両方向に約0度〜約90度であり得る。操舵はまた、外科用ハンドツール440を動かすことにより達成されてもよい。この実施形態では、手の大きさが違うユーザーが摺動部424に到達し、これを動かすための、摺動部464からいずれかの側又は両側に延出している多数の握り部468が存在している。摺動部464のマウント469は、握り部468を共に取着する。別の実施形態では、握り部468は、近位本体442の上を通って延出するループで置き換えられ得る。摺動部464が近位本体から外れるのを防ぐために、バックキャップ472が近位本体442の近位端に配置される。図示の実施形態では、近位シャフト442に取り付けられたハンドル474は、追加制御を目的として所望に応じてユーザーの指を推し進めるのを可能にする指ガード476を備える。
【0052】
図6A及び図6Bに示されるこの実施形態では、外科用ハンドツールはまた、摺動部464の近位端に向けて取り付けられてバルーンカテーテル444が近位本体442に沿って可能な限り最も長く移動できるようにする、マウント底部478を備える。近位本体442上には切り欠き部480が更に存在しており、切り欠き部480は、摺動部464を数度余計に回転させてバルーンカテーテルを除去する及びバルーンカテーテルを別のバルーンカテーテルと交換することができるようにする。摺動部464が切り欠き部480の中に回転されると、摺動部の円筒形底部466からバルーンカテーテルを取り外すことができる。摺動部が依然としてこの位置にある状態で、外科用ハンドツールと共に使用するために、別のバルーンカテーテルを摺動部の円筒形底部466の中に挿入することができる。
【0053】
外科用ハンドツール490の別の実施形態が図7に示されており、これは図6A及び図6Bに示される実施形態と類似している。この実施形態では、近位本体は、摺動部494のより大きな回転を可能にするレール492で置き換えられる。摺動部494の回転は、全回転自由度の約150度〜約280度の範囲である。摺動部494はオーバーヘッドループ496を備えており、このオーバーヘッドループ496は、摺動部をレール494に拘束し、ユーザーが摺動部をレールに沿って動かし、これが順次ワイヤロック502によって係止されているバルーンカテーテル498及びガイドワイヤ500を動かすための握り部を提供する。
【0054】
外科用ハンドツール510の別の実施形態が図8A及び図8Bに示されており、これによりバルーン洞形成術装置の片手制御が可能になる。外科用ハンドツール510は、ABS、ナイロン、ポリウレタン、ポリエチレン等を含むがこれらに限定されない、生体適合性材料で作製された中空の近位本体512を備える。近位本体512はバルーンカテーテル514を取り囲む(図8B参照)。バルーンカテーテル514は、バルーンカテーテル上に配置されたバルーンを膨張させるためのバルーン膨張ポート516を備える。バルーン膨張ポート516は、バルーンカテーテル404が近位本体の軸に沿って摺動可能なように、近位本体を貫通する長手軸方向スリット又は開口部518を介して近位本体512から外に現れる。バルーン膨張ポート516は、膨張チューブを介して好適な膨張装置に連結されて、バルーンカテーテル514のバルーンを膨張させる。この実施形態では、バルーンカテーテル514は、ガイドワイヤ520の上を通って解剖学的構造の所望の領域内に導入される。
【0055】
ガイドワイヤ520は、近位本体512の近位端に取り付けられた近位ループ522を通り、ワイヤ傾斜面524の上を通って近位本体のワイヤスロット526の中に送り込まれる。ガイドワイヤ520は近位本体512の上方に位置決めされ、これによりユーザーが親指及び人差し指を使用してガイドカテーテルの後方のガイドワイヤを制御することができるようにする。近位ループ522はガイドワイヤが左右に横滑りするのを防止し、近位本体512の周囲を回転することができる。ワイヤ傾斜面524は、ガイドワイヤ520の位置を維持し、バルーンカテーテルが前進する間、ガイドワイヤを保持するために使用される。ワイヤスロット526を通過すると、ガイドワイヤ520は、バルーンカテーテルの側面にある開口部528を介してバルーンカテーテル514の中に入る。迅速交換カテーテルなどのこの種類のカテーテルは、当該技術分野において既知である。
【0056】
近位本体512の遠位領域は、ガイドカテーテル532を近位本体512に取り付けることができる好適なハブ530を備える。代替実施形態において、ガイドカテーテル532は、近位本体512に取り外せない方法で取り付けられる。この実施形態では、ガイドカテーテル532は、PEEK、Pebax、ナイロン、ポリイミド、ABS、PVC、ポリエチレン等を含むがこれらに限定されない、好適な生体適合性材料で作製された細長いチューブ状要素534を備える。チューブ状要素534の近位領域は、好適な生体適合性金属又はポリマーで作製されたハイポチューブ536で覆われてもよい。チューブ状要素534の近位端はハブ530に取り付けられる。ハブ530により、近位本体512へのガイドカテーテル532の可逆的な取り付けが可能になる。一実施形態では、ハブ530は、近位本体512上の好適なハブに付着する雌型ルアーロックである。このように、種々の解剖学的領域へのアクセスをもたらすために、種々のガイドカテーテルを近位本体512の遠位領域に取り付けることができる。チューブ状要素534の遠位端は、非外傷性先端部538を備えてもよい。特定の実施形態では、チューブ状要素534の遠位端は、湾曲領域、曲げ領域又は傾斜領域を含んでもよい。ガイドカテーテルはハブ内を回転する能力を有するが、ガイドカテーテルが一旦適切に調整されると定位置にしっかりとどまらせることが可能なだけの十分な摩擦をその機構において依然として有するように、ガイドカテーテル532をハブ530の中に摩擦嵌合することも想到されてきた。
【0057】
図8A及び図8Bに示されるように、外科用ハンドツール510は、近位本体512内に部分的に配置され、長手軸方向スリット又は開口部518を通って延出するバルーン駆動装置540を備える。バルーン駆動装置540は、膨張ポート516においてバルーンカテーテル514を保持するバルーン駆動ラッチ542(図8B)を備える。バルーン駆動装置540を遠位方向に動かすことで、バルーンカテーテル514を前方へ前進させる。バルーンカテーテルを前方へ前進させると、ガイドワイヤ520は傾斜面524に抗して保持され得る。外科用ハンドツール510を動かすことで、バルーンカテーテル及び/又はガイドワイヤの任意の操舵が達成される。示されている実施形態では、近位シャフト512に取り付けられたハンドル544は、安定化させるために好ましくはユーザーの第4指と第5指で握られる前方部分546を備える。装置を保持すると、安定化させるためにユーザーの手のひらがハンドルの後方部分548に押し付けられるのが好ましい。
【0058】
図8A及び図8Bに示される外科用ハンドツール510は、ユーザーが装置を手のひらの中に保持し、好ましくは第4指及び第5指で装置のバランスを保ち、人差し指と親指でガイドワイヤ520を前進させるのを可能にする。このように、外科用ハンドツール510は、ガイドワイヤ520を制御するのに使用されるのと同じ手で保持される。更に、ユーザーはガイドワイヤに直接アクセスするので、ガイドワイヤの前進及び操舵中に十分な触覚的感触が得られる。次に、親指でさかのぼってバルーン駆動装置540を前方に(遠位側に)押すことによって、バルーンカテーテル514の前進が達成される。次に、人差し指と親指を使用してガイドワイヤを後退させることができ、バルーン駆動装置540を近位方向に引くことによってバルーンカテーテル514を後退させることができる。
【0059】
なお更には、外科用ハンドツール550の別の実施形態が図9A及び図9Bに示されており、これによりバルーン洞形成術装置の片手制御及び膨張装置への流体送達が可能になる。外科用ハンドツール550は、ABS、ナイロン、ポリウレタン、ポリエチレン等を含むがこれらに限定されない、生体適合性材料で作製された中空の近位本体552を備える。近位本体552はバルーンカテーテル554を取り囲む(図9B参照)。バルーンカテーテル554は、バルーンカテーテル上に配置されたバルーンを膨張させるためのバルーン膨張ポート556を備える。バルーン膨張ポート556は、バルーンカテーテル554が近位本体の軸に沿って摺動可能なように、近位本体中の長手軸方向スリット又は開口部558を介して近位本体552から外に現れる。バルーン膨張ポート556はまた、バルーンカテーテルを遠位方向及び近位方向の両方に動かすために使用されるバルーン駆動装置又は装置前進部材560を通って延在し、これによって保持される。バルーン駆動装置560のハンドル562は、ユーザーの要望に応じて外科用ハンドツール550の両側に向けて旋回することができ、流体ラインがバルーンカテーテル554の膨張ポート556に取り付けられると定位置に固定され得る。この実施形態では、バルーンカテーテル554は、ガイドワイヤ558の上を通って解剖学的構造の所望の領域内に導入される。
【0060】
バルーンカテーテル554の遠位領域に配置される膨張バルーン(図示せず)を使用して、解剖学的構造の1つ以上の領域を拡張することができる。近位本体552に取り付けられた作動ハンドル又はトリガ560により、バルーンを非拡張形状から拡張形状へと膨張させる。作動ハンドル560はプランジャ562に連結され、プランジャ562は、膨張流体リザーバ566を含む流体バレル564に更に連結される。膨張流体リザーバ566に貯えられた流体(水、生理食塩水等)を使用して、バルーンカテーテルのバルーンを膨張させる、所望の場所に渦流体を勢いよく流す、又は流体を提供することができる。処置の間、ユーザーは、膨張流体リザーバ566に貯えられている膨張流体を使用して、バルーンカテーテルのバルーンを所望の圧力まで膨張させる。バルーン内の圧力は、バルーン内の膨張流体と流体連通する圧力センサ又は圧力計(図示せず)によって測定することができる。一実施形態では、外科用ハンドツール550は、バルーンカテーテルのバルーンを一定の圧力まで膨張させるように設計される。あるいは、ツールは、バルーンを膨張させるために一定量の膨張流体を送達するように設計されてもよい。
【0061】
流体バレル564は、流体バレルからの流体ライン570をバルーンカテーテル554及び膨張バルーンに取り付けるための構造を提供するバレルポート568を備える。他の実施形態では、バレルポート568は、角度をなして延出していてもよく、流体バレルの任意の位置から延出してもよい。この実施形態では、流体ライン570は、バレルポート568からバルーンカテーテルの膨張ポート556まで延びる。
【0062】
作動ハンドル560は、ユーザーの快適性及び手の寸法に応じて、ユーザーの1〜3本の指を収容するように設計される。この装置の流体機構を作動させることに加え、作動ハンドルは、ガイドワイヤの設置、バルーン展開、渦展開、又は他の装置の展開の間、装置を安定させる役割を果たす。図9A及び図9Bに示されるように、ハンドルは、手の大きなユーザーのために装置を安定させる構造を提供する外側指フランジ572を備える。外側指フランジは、流体機構を作動させるために必要な場合又は必須な場合、ユーザーが余剰トルクを供給するのも可能にすることができる。作動ハンドル560とプランジャ562との間に取り付けられた回転ヒンジ574は、作動ハンドルの動き及び印加力をプランジャに伝達する。他の実施形態では、ハンドル560の作動中に回転ヒンジが流体バレル564の中により簡単に到達し、拘束を回避するように、回転ヒンジを湾曲させることができる。ハンドルの回転及び印加されたトルクに対するプランジャの移動距離が望ましいか又は必要であるかに応じて、ヒンジ574、作動ハンドル560、及びプランジャ562の枢着部を近付ける又は遠く離すことが可能であることもまた想到されてきた。作動ハンドルの枢着部575はハンドルを近位本体552に付着する。プランジャが移動する距離及びハンドルが印加するトルクの量を最大にするために、ハンドルの枢着部は、回転ヒンジ574とプランジャ562との間の連結部の中心と同じ高さに配置される。
【0063】
一実施形態では、装置の近位本体552の中にバネ(図示せず)を埋め込んで、バルーンカテーテルのバルーンを膨張させるためにハンドルが強く握られた後に、作動ハンドル560が流体バレル564から離れた伸展位置又は解放位置の中に戻るように付勢してもよい。バネは、ハンドルの枢着部575のあたり、又はハンドル/ヒンジの枢軸577のあたりに配置されるトーションバネであってもよい。あるいは、バネは、装置の2つの部材又は点、例えば点575及び577、の間に配置される板バネであってもよい。更に他の実施形態では、バネはコイルバネ(伸張又は圧縮)であってもよい。
【0064】
図9A及び図9Bに示されるように、外科用ハンドツール550はまた、ユーザーの手のひらに支えられる後部ハンドル576を備える。他の実施形態のハンドルとは異なり、後部ハンドル576の底部は開いており、これによりユーザーが装置をより自由に操作することが可能になる。
【0065】
図9A及び図9Bに示される実施形態では、ガイドワイヤ558は、近位本体552の近位端に取り付けられた近位ループ580を通り、ワイヤ傾斜面582の上を通って、近位本体のワイヤスロット584の中に送り込まれる。ガイドワイヤ558は近位本体552の上方に位置決めされ、これによりユーザーがガイドカテーテルの後方のガイドワイヤを制御することができるようにする。近位ループ580は、ガイドワイヤが左右に横滑りするのを防止し、近位本体552の周囲を回転することができる。ワイヤ傾斜面582は、ガイドワイヤ582の位置を維持し、バルーンカテーテルが前進する間、ガイドワイヤを保持するために使用される。ワイヤスロット584を通過すると、ガイドワイヤ558は、バルーンカテーテルの側面にある開口部586を通ってバルーンカテーテル554の中に入る。迅速交換カテーテルなどのこの種類のカテーテルは、当該技術分野において既知である。
【0066】
近位本体552の遠位領域は、ガイドカテーテル592を近位本体552に取り付けることができる好適なハブ590を備える。一実施形態では、ガイドカテーテル592は、近位本体552に取り外せない方法で取り付けられる。上述された実施形態と同様に、ガイドカテーテル592は、PEEK、Pebax、ナイロン、ポリイミド、ABS、PVC、ポリエチレン等を含むがこれらに限定されない、好適な生体適合性材料で作製された細長いチューブ状要素を備える。チューブ状要素の近位領域は、好適な生体適合性金属又はポリマーで作製されたハイポチューブで覆われてもよい。チューブ状要素の近位端はハブ590に取り付けられる。ハブ590により、近位本体552へのガイドカテーテル592の可逆的な取り付けが可能になる。一実施形態では、ハブ590は、近位本体552上の好適なハブに付着する雌型ルアーロックである。このように、種々の解剖学的領域へのアクセスをもたらすために、種々のガイドカテーテルを近位本体552の遠位領域に取り付けることができる。チューブ状要素の遠位端は、非外傷性先端部を備えてもよい。特定の実施形態では、チューブ状要素の遠位端は、湾曲領域、曲げ領域又は傾斜領域を含んでもよい。ガイドカテーテルはハブ内を回転する能力を有するが、ガイドカテーテルが一旦適切に調整されると定位置にとどまらせることが可能なだけの十分な摩擦をその機構において依然として有するように、ガイドカテーテル592をハブ590の中に摩擦嵌合することも想到されてきた。
【0067】
図9A及び図9Bに示される外科用ハンドツール550は、ユーザーが装置を手のひらの中に保持し、好ましくは第4指及び第5指で装置のバランスを保ち、人差し指と親指でガイドワイヤ558を前進させるのを可能にする。このように、外科用ハンドツール550は、ガイドワイヤ558を制御するのに使用されるのと同じ手で保持される。更に、ユーザーはガイドワイヤに直接アクセスするので、前進及び操舵中に、十分な触覚的感触が得られる。次に、親指でさかのぼってバルーン駆動装置560を近位本体552の遠位端に向けて押すことによって、バルーンカテーテル554の前進が達成される。次に、人差し指と親指を使用してガイドワイヤ558を後退させることができ、バルーン駆動装置560を近位方向に引くことによってバルーンカテーテル554を後退させることができる。
【0068】
図9Aに示されるように、バルーン膨張ポート556までの流体ライン570は、単純な閉鎖システムである。作動ハンドル560が強く握られる又は近位側に動かされると、プランジャ562は流体を、リザーバ566から流体ラインを通ってバルーンカテーテル554の中に押し進める。作動ハンドル560を遠位方向に動かすことで、バルーンカテーテル544のバルーンを収縮させるための真空を作り出す。別の方法としては、いくつかの実施形態では、プランジャ562の中又は上に配置されたバネが、カテーテル544を収縮させるように作用してもよい。
【0069】
種々の実施形態では、作動ハンドル560は、任意の好適な形状を有していてもよく、プランジャ562に所望量のてこの作用を提供するために、ハンドツール550の他の構成要素から任意の距離だけ離間してもよい。いくつかの実施形態では、プランジャ562は、取り外し可能/互換可能であってもよい。例えば、一実施形態では、プランジャ562の第1の寸法を用いて、バルーンカテーテル544を膨張させる高圧を供給してもよく、プランジャ562の第2の寸法を用いて、ハンドツール550と結合された灌注カテーテルへの灌注流体に高流量を供給してもよい。いくつかの実施形態では、装置550は、プランジャ562内の圧力をモニターするための圧力計を備えてもよい。あるいは又はこれに加えて、プランジャ562は、特定の点を越えて圧力を印加するのを防止するためのハードストップを備えてもよい。
【0070】
図9Cに示される別の実施形態では、流体送達システムは2個の弁を備える。参照し易くするために、図9Cでは装置の近位本体552が取り除かれる。この実施形態では、バルーンカテーテルは、膨張ポート602を備える開口装置600(遠位端で開いている)で置き換えられている。装置600は、特定領域に渦流体又は送達流体を作り出すために使用され得る。流体ライン604は、流体バレル564と膨張ポート602との間に連結され、独立した流体容器(fluid bath)606とも連通している。流体ラインは、流体容器606に近接した第1の弁608と、装置600に隣接する第2の弁610と、を備えている。一実施形態において、第1の弁及び第2の弁は共に一方向弁である。ハンドルを強く握ってプランジャ562を近位側に押し進めることで、流体バレル564の中の流体は、流体ライン604を通り、第2の弁610を通って、開口装置600(渦発生バイス又はその他の流体送達装置)の中に押し込まれる。第1の一方向弁608は、流体が流体容器606の中に流出するのを防止する。プランジャ562を遠位方向に動かすことで、流体容器606から第1の一方向弁608を通って流体を引き出す。第2の一方向弁610は、装置600から空気、流体等が流体ラインの中に引き込まれるのを防止する。このシステムでは、プランジャを前後(又は近位側及び遠位側)に動かすことによって、流体バレル564は「連続的に」流体容器606から充填され、装置600を介して空にされる。
【0071】
流体送達システムの別の実施形態が図9Dに示されている。この実施形態では、流体ライン604は開口装置600に連結されておらず、流体バレル562及び独立した流体容器606に連結されている。最初は、流体ライン604は、第2の一方向弁610に取り付けられており、装置600に取り付けられておらず、プランジャ562を遠位方向に動かすことによって、流体容器606から流体が引き出される。プランジャ562を近位方向に押すことによって、第2の一方向弁610を通して空気を除去することができる。このシステム内の全ての空気が除去された時点で、流体ライン604を第2の一方向弁610から分離して、装置600に取り付ける。装置600に取り付けられると、プランジャ562を近位側に動かして、流体を装置の中に及び装置を通して送り出す。第2の一方向弁610は、流体が流体容器606の中に流出するのを防止する。流体ラインを装置600から分離する必要性を取り除くために、第1の一方向弁の代わりにT字型弁を使用することができることも想到されてきた。
【0072】
流体送達システムの更に別の実施形態が図9Eに示されており、可膨張性のバルーン622と膨張ポート624とを備えるバルーンカテーテル620に連結されている。図9Eに示されるように、流体ライン604は、第1の弁162と、第2の弁630と、第3の弁632とを有するT字型弁626に連結されている。流体バレル564を充填するために、プランジャ562を遠位側に動かして、流体を、流体容器606から第1の一方向弁608を通って流体ライン604の中に引き出す。流体ライン604の中の空気を除去するために、T字型弁626の第1の弁628が開き、第2の弁630が閉じ、第3の弁632が開いて通気孔としての機能を果たす第2の一方向弁610につながる。この構成により、プランジャ562を近位側に動かして、空気を流体ライン604の中に押し進め、第2の一方向弁610を通って外に出す。システムの中の空気が除去されると、まず第2の弁630を開き、第3の弁632を閉じて、バルーン622を膨張させることができる。第1の弁628は開いたままである。この構成により、プランジャを近位側に動かし、流体を、T字型弁626を通ってバルーンカテーテル620の中に押しこんで、バルーン622を膨張させる。プランジャ562を前後運動で(近位側及び遠位側に)動かすことにより、流体バレル654を流体で充填し、システムから空気を除去するためのその他の弁を備える他の構成に、このシステムをアレンジすることができる。
【0073】
ここで図10A〜図10Eを参照すると、バルーン洞形成術装置の片手制御を可能にする、外科用ハンドツール700の代替実施形態が示されている。外科用ハンドツール700は、上記の外科用ハンドツールの近位本体に取ってかわる第1及び第2のレール702を備える。これらのレール702は、ABS、ナイロン、ポリウレタン、ポリエチレン等を含むがこれらに限定されない、生体適合性材料で作製されてもよい。ハンドツール700の近位端でレール702を使用することで、ハンドツール700のプロファイルが低減し、ユーザーの人差し指及び親指がガイドワイヤ703前進させる自由度が広がる。バルーンカテーテル704はレール702に平行に位置決めされ、バルーンカテーテル704のバルーン膨張ポート706は、外科用ハンドツール700のバルーン駆動装置708によって固定される。具体的には、図10Aに示されるように、バルーン膨張ポート706は、バルーン駆動装置708の摩擦嵌めスロット709内に固定されている。別の実施形態では、図10Bに示されるように、バルーン膨張ポート706は、バルーン駆動装置708のラッチ711内に固定される。バルーン駆動装置708はレール702に沿ってバルーンカテーテル704を前進又は後退させ、これにより摩擦が比較的小さくなる。図10Aに示されるように、バルーン駆動装置708は、ユーザーの人差し指及び親指が把持してバルーンカテーテルを前進又は撤退させることができるTバー710を備える。図10Bは、ユーザーが把持してバルーンカテーテル704を前進又は撤退させるためのリング712を備えるバルーン駆動装置708の別の実施形態を示している。バルーン膨張ポート706は、バルーンカテーテル704のバルーンを膨張させるための膨張チューブを介して、好適な膨張装置(図示せず)に連結される。この実施形態では、バルーンカテーテル704は、ガイドワイヤ703の上を通って解剖学的構造の所望の領域内に導入される。
【0074】
外科用ハンドツール700はまた、ガイドワイヤ703を保持するためのループ716を有するワイヤ保持部材714を備える。また、レール702の近位端は、ワイヤ保持部材714に取り付けられて、レール702が動く又はねじれるのを防止する。使用する際、ガイドワイヤ703は、ループ716を通り、ワイヤ傾斜面718の上を通って、バルーンカテーテル704の中に送り込まれる。ガイドワイヤ703はハンドツール700のレール702の上方に位置決めされ、これによりユーザーが親指及び人差し指を使用してガイドカテーテルの後方のガイドワイヤ703を制御することができるようにする。ループ716はガイドワイヤ703が左右に横滑りするのを防止し、ワイヤ傾斜面718は、ガイドワイヤ703の位置を維持し、バルーンカテーテルが前進する間、ガイドワイヤ703を保持するために使用される。ガイドワイヤ703は、バルーンカテーテル704の側面にある開口部720を介してバルーンカテーテル704の中に入る。迅速交換カテーテルなどのこの種類のカテーテルは、当該技術分野において既知である。
【0075】
レール702の遠位端は、ガイドカテーテル724を外科用ハンドツール700に取り付けることができる好適なハブ722に連結される。この実施形態では、ガイドカテーテル724は、PEEK、Pebax、ナイロン、ポリイミド、ABS、PVC、ポリエチレン等を含むがこれらに限定されない、好適な生体適合性材料で作製された細長いチューブ状要素726を備える。チューブ状要素726の近位領域は、好適な生体適合性金属又はポリマーで作製されたハイポチューブで覆われてもよい。チューブ状要素726の近位端はハブ722に取り付けられる。ハブ722により、外科用ハンドツール700へのガイドカテーテル724の可逆的な取り付けが可能になる。チューブ状要素726の遠位端は、非外傷性先端部728を含んでもよい。特定の実施形態では、チューブ状要素726の遠位端は、湾曲領域、曲げ領域又は傾斜領域を含んでもよい。
【0076】
図10Aに示されるように、ハンドル730は、外科用ハンドツール700のレール702に取り付けられる。ハンドル730は、安定化させるために、好ましくはユーザーの第4指と第5指で握られる。装置を保持すると、安定化させるために、ユーザーの手のひらがハンドル730の後方部分に押し付けられるのが好ましい。図10Cに示される一実施形態では、連結部材732はハンドル730に取り付けられており、連結部材732は展性がある、又はバネ要素を含む。手のひら支え(palm brace)734は、連結部材の他方の末端部に取り付けられて、ガイドワイヤ703又はバルーンカテーテル704を前進させる際に、外科用ハンドツール700をユーザーの手のひらに押し付けて支持するために使用される。ユーザーは連結部材732を、方位選択性に適応させるのに望ましい任意の位置又は形状に曲げる又は動かすことができる。この実施形態では、支え(brace)を保持することにより、ユーザーは、1本又は2本の指をハンドル730の中に軽く置いて外科用ハンドツール700を保持することができる。連結部材732のバネ構造体は、副鼻洞をワイヤリングしている間に外科用ハンドツール700が受ける衝撃及び動きの一部を吸収するのを助ける。
【0077】
図10A又は図10Cに示される外科用ハンドツール700は、ユーザーが装置を手のひらの中に保持し、好ましくは第4指及び第5指で装置のバランスを保ち、人差し指と親指でガイドワイヤ703を前進させるのを可能にする。このように、外科用ハンドツール700は、ガイドワイヤ703を制御するのに使用するのと同じ手で保持される。更に、ユーザーはガイドワイヤ703に直接アクセスするので、ガイドワイヤの前進及び操舵中に十分な触覚的感触が得られる。次に、親指でさかのぼってバルーン駆動装置708を前方に(遠位側に)押すことによって、バルーンカテーテル704の前進が達成される。次に、人差し指と親指を使用してガイドワイヤ703を後退させることができ、バルーン駆動装置708を近位方向に引くことによってバルーンカテーテル704を後退させることができる。
【0078】
外科用ハンドツール700の別の実施形態が図10D及び図10Eに示されている。この実施形態では、ガイドカテーテル724は、第1のフランジ740と第2のフランジ742とを有するガイドスナップ738の中にスナップ嵌めされたガイドアタッチメント736に取り付けられる。フランジ740及び742の距離は、ガイドアタッチメント736の直径よりも近接している。フランジ740及び742は、ガイドアタッチメント736をガイドスナップ738の中に入れるように曲がり、その後ガイドアタッチメント736を捕捉するように曲げ戻る。また、図10Eに最も良く示されているように、フランジ740及び742の近位には、ガイドアタッチメント736の近位ディスク746を受け入れるための凹所が設けられている。この実施形態により、ガイドカテーテル724をよりしっかりと保持することができる。
【0079】
図10Eに示されるように、この実施形態のバルーン駆動装置708は、移動可能なハンドル748を備える。移動可能なハンドル748は、心棒750によってバルーン駆動装置708に取り付けられており、心棒750は、移動可能なハンドル748が一方の側から別の側まで揺動するのを可能にする。バルーン駆動装置708の上に位置付けられたバネピン752は、移動可能なハンドル748が一方の側から別の側まで動くときに、移動可能なハンドル748の上に位置付けられた穴754に嵌り込む。
【0080】
また、図10D及び図10Eの両方に示されるように、この実施形態の外科用ハンドツール700は、ハンドル730に取り付けられたワイヤ又はプラスチックで形成されたワイヤ傾斜面756を備える。この実施形態の第1及び第2のレール702はまた、互いに近づくように移動し、互いに接触する可能性もある。2本のレール702を互いに近付けることによって、バルーン駆動装置708が回転するのを防止し、外科用ハンドツール700のプロファイルを低減させる。
【0081】
ここで図11を参照すると、バルーンカテーテル(図示せず)のバルーンを膨張させる目的で流体を送達するための前側流体送達システムを備える、外科用ハンドツール780の別の実施形態が示されている。この実施形態では、外科用ハンドツール780は、心棒788の上の外科用ハンドツール780の近位本体786の遠位端に取り付けられたマウント784に連結されるシリンジバレル782を備える。マウント784が心棒788の周りを回転すると、シリンジバレル782は、心棒792の上の近位本体786に取り付けられたプランジャ790に向かって上方に駆動される。プランジャ790が心棒792の周りを回転するとともに、心棒792もまた、近位本体786に形成されたスロット794に沿って摺動する。心棒792が遠位側に摺動すると、心棒792と788とは互いに近付くように動き、プランジャ790及びシリンジバレル782システムの機械的利益が増加するが、プランジャ790に沿って上昇するバレル782の動きである「スロー(throw)」は減少する。逆に、心棒792がスロット794に沿って近位側に摺動すると、心棒792及び788は離れるように動き、機械的利益が減少する一方で、スローは増加する。操作中、ユーザーはシリンジバレル782を時計と反対方向に回転させて、バレル782をプランジャ790に向けて動かし、バレル782の出口797に取り付けられた細長いチューブ796を通って流体をバレル782の外に押し出しすことができる。細長いチューブ796はまた、他方の末端部にあるバルーンカテーテルのバルーン膨張ポート798に取り付けられている。プランジャ790の下のシリンジバレル782の中には、シリンジが解除されたときにシステムを開始位置に戻すバネ(図示せず)が存在している。
【0082】
ここで図12A及び図12Bを参照すると、上記の外科用ハンドツール400、440、490、510、550、700又は780のいずれかと共に使用するための側装着(side-loaded)灌注カテーテル820が示されている。灌注カテーテル820は、ガイドワイヤへのアクセスのための側面切り欠き部又は窓822を備える。灌注カテーテル820の遠位部分824は、遠位端に側孔826を有する単一ルーメンを備えてもよい。さらに、遠位部分の遠位端に配置される、放射線不透過性マーカー又は任意のその他の種類のマーカーなどのマーカー828が存在してもよい。マーカー828は、灌注カテーテル820の遠位端の位置をユーザーに知らせる。遠位部分824の長さは、約2.54cmから10.16cmまで(1インチから4インチまで)様々であり得る。
【0083】
灌注カテーテル820の遠位部分824の近位端には、ダブルルーメン押し出し成形体(dual lumen extrusion)830が取り付けられる。図12Bは、ガイドワイヤ用の第1の円形ルーメン832と、流体又は生理食塩水流動用の第2の三日月形ルーメン834とを含む、ダブルルーメン押し出し成形体830の断面図を示している。ダブルルーメン押し出し成形体830と遠位部分824との間の遷移部分において、灌注カテーテル820は、ダブルルーメンから単一ルーメンへと遷移する。ダブルルーメン押し出し成形体830の両方のルーメンは、遠位部分824の単一ルーメンの中に開口しており、遠位部分の遠位端へのガイドワイヤアクセス及び流体流動を可能にしている。ダブルルーメン押し出し成形体830は、灌注カテーテル820の近位端まで延在しており、少なくとも部分的に支持ハイポチューブ836で覆われている。ハイポチューブ836は、上記の外科用ハンドツールを通って円滑に前進するのを可能にするために、バルーンカテーテル上のハイポチューブと同様であってもよい。図12Aに示されるように、側面切り欠き部822は、支持ハイポチューブ836の壁を貫通し、ダブルルーメン押し出し成形体830の壁を貫通しており、その結果ガイドワイヤは、灌注カテーテル820及び第1の円形ルーメン832の中に延びることができる。マーカーバンド838はまた、遠位端がガイドカテーテルを出たときをユーザーに知らせるような距離だけ灌注カテーテルの遠位端から離して、支持ハイポチューブ836の上に配置されてもよい。支持ハイポチューブ836の近位端には、シリンジを灌注カテーテル820に連結して、カテーテルを通して流体を勢いよく流すためのハブ840が存在している。この実施形態では、必要なポートは1つだけであり、任意の向きであり得る。
【0084】
灌注カテーテル820の別の実施形態では、流体が近位側に戻ってダブルルーメン押し出し成形体830の第1の円形ルーメン832の中に逆流するのを防止するために、遠位部分824の単一ルーメンの内部にフラップ又は弁(図示せず)が配置されてもよい。
【0085】
ここで図13を参照すると、上記の外科用ハンドツール400、440、490、510、550、700又は780と共に使用するための側装着灌注カテーテル850が示されている。一実施形態では、灌注カテーテル850は、より多く流体を流動させるために、1つのルーメンを備える。側面切り欠き部、窓、又は開チャネル852が灌注カテーテル上に設けられる。灌注カテーテル850の遠位部分854は、遠位端に側孔856を有する単一ルーメンを備えてもよい。任意の数の側孔を遠位端に設けることができる。更に、遠位部分の遠位端に配置される、放射線不透過性マーカー又は任意のその他の種類のマーカーなどのマーカー858が存在してもよい。遠位部分854の長さは、約2.54cmから10.16cmまで(1インチから4インチまで)様々であり得る。
【0086】
灌注カテーテル850の遠位部分854の近位端には、単一ルーメン押し出し成形体860が取り付けられる。単一ルーメン押し出し成形体860は、灌注カテーテル850の近位端まで延在しており、少なくとも部分的に支持ハイポチューブ866で覆われる。ハイポチューブ866は、上記の外科用ハンドツールを通って円滑に前進するのを可能にするために、バルーンカテーテル上のハイポチューブと同様であってもよい。図13に示されるように、側面切り欠き部852は、支持ハイポチューブ866の壁を貫通し、単一ルーメン押し出し成形体860の壁を貫通しており、その結果ガイドワイヤは、灌注カテーテル850の中に延びることができる。灌注シリンジ868はまた、切り欠き部852を通って灌注カテーテル850の中に延びて、カテーテルを通して流体を勢いよく流すことができる。マーカーバンドはまた、遠位端がガイドカテーテルを出るときをユーザーに知らせるような距離だけ灌注カテーテルの遠位端から離して、支持ハイポチューブ866の上に配置されてもよい。支持ハイポチューブ866の近位端には、シリンジを灌注カテーテル820に連結させて、カテーテルを通して流体を勢いよく流すためのハブ870が存在する。この実施形態では、必要なポートは1つだけであり、任意の向きであることができる。別の実施形態では、遠位部分854の細長いチューブは、単一ルーメン押し出し成形体又は支持ハイポチューブを有さずに、灌注カテーテルの近位端まで延在していてもよい。この実施形態では、切り欠き部852は、細長いチューブを通ってその近位端の近くに延びる。
【0087】
灌注カテーテルの遠位部分は、図12A及び図13に示されるように独立した装置である代わりに、バルーンカテーテルの遠位端の上に配置され得る。灌注遠位端880を有するバルーンカテーテルが図14A及び図14Bに示されており、これにより医師は、拡張後にバルーンカテーテルを取り外す必要なく副鼻洞を洗い流すことができる。バルーン灌注カテーテル880は、上記の外科用ハンドツール400、440、490、510、550、700又は780のいずれかと共に使用するためものである。側面切り欠き部、窓、又は開チャネル882がバルーン灌注カテーテル880上に設けられている。遠位灌注部分884は、バルーンカテーテル885の遠位端に取り付けられてもよく、図14Bに最も良く示されるように、側孔886を有する単一ルーメンを備える。任意の数の側孔を遠位灌注部分884に設けることができる。更に、遠位灌注部分の遠位端に配置される、放射線不透過性マーカー又は任意のその他の種類のマーカーなどのマーカー888が存在してもよい。遠位灌注部分884の長さは、約2.54cmから10.16cmまで(1インチから4インチまで)様々であり得る。
【0088】
遠位灌注部分884の近位端には、膨張部材889を備えるバルーンカテーテル885が取り付けられる。バルーンカテーテル885は、第1の円形ルーメン及び第2の三日月形ルーメンを有し、図12Bに示されるのと同様の断面を有するダブルルーメンチューブ890を備える。この実施形態では、第1の円形ルーメンは、標的区域の中に流体を勢いよく流すためのガイドワイヤ及び/又はシリンジを収容することができる。第2の三日月形ルーメンは、膨張部材又はバルーン889を膨張させるための膨張ルーメンであり得る。ダブルルーメンチューブ890は、バルーン灌注カテーテル880の近位端まで延在しており、ダブルルーメンチューブ890を少なくとも部分的に覆う支持ハイポチューブ896を更に備えてもよい。ハイポチューブ896は、上記の外科用ハンドツールを通って円滑に前進するのを可能にする。側面切り欠き部882は、支持ハイポチューブ896の壁を貫通し、ダブルルーメンチューブ890の壁を貫通しており、その結果ガイドワイヤは、バルーン灌注カテーテル880の中に延びることができる。灌注シリンジ898はまた、切り欠き部852を通って灌注カテーテル850の中に延びて、カテーテルを通して流体を勢いよく流すことができる。灌注シリンジ898は、湾曲したスチールハイポチューブ又は可撓性のポリマー押し出し成形体を備えてもよい。灌注シリンジの外径は、バルーン灌注カテーテル880の側面切り欠き部882内に嵌入するために十分小さくなくてはならない。また、灌注シリンジ898は、バルーン灌注カテーテル880の内部ルーメンを切断する又は傷つけるのを避けるために、鈍い鈍頭遠位先端部(図示せず)を備える。
【0089】
マーカーバンドはまた、遠位端がガイドカテーテルを出るときをユーザーに知らせるような距離だけバルーン灌注カテーテル880の遠位端から離して、支持ハイポチューブ896の上に配置されてもよい。また、第2のマーカーバンドは、膨張部材889がガイドカテーテルを出るときを示すような距離だけバルーン灌注カテーテルの遠位端から離して配置されてもよい。支持ハイポチューブ896の近位端には、シリンジをバルーン灌注カテーテル880に連結して、カテーテルを通して流体を勢いよく流すためのハブ900が存在する。
【0090】
操作中、ユーザーは、バルーン灌注カテーテル880をガイドワイヤに沿って副鼻洞内に挿入することができる。膨張部材889が副鼻洞を拡張するための適正な位置に入った時点で、バルーン灌注カテーテルの膨張部材889を膨張させる。拡張後、ガイドワイヤをバルーン灌注カテーテルから取り出すことができ、灌注シリンジ898を側面切り欠き部882の中に挿入することができる。灌注シリンジ898は遠位側に摺動してバルーン灌注カテーテル880の中に入り、その結果、その末端部がカテーテル880内のルーメンの閉部分内に存在する。バルーン灌注カテーテル880の中に適切に挿入された時点で、流体が遠位灌注部分884の側孔886から出るように、灌注シリンジ898を使用して生理食塩水などの流体がバルーン灌注カテーテルを介して注入され得る。
【0091】
更に別の実施形態では、灌注カテーテルは、バルーンカテーテルの側面切り欠き部を嵌合して通り抜け、バルーンカテーテルのワイヤルーメンの中に入るような寸法にできる。図15A及び図15Bは、バルーンカテーテル910、及び拡張後に副鼻洞を洗い流すのに使用される灌注シリンジ912を示している。側面切り欠き部、窓、又は開チャネル914がバルーンカテーテル910上に設けられており、灌注シリンジ912を挿入するための開口部を提供している。灌注シリンジは、ハイポチューブ916の遠位端に多孔質バルーン918が装着された、湾曲したスチールハイポチューブ又は可撓性のポリマー押し出し成形体916を備えている。流体が灌注シリンジ912の中に注入されると、多孔質バルーン918は膨張して孔919を開き、次に流体が孔の外に流れ出る。流体からの圧力が除去されると、多孔質バルーン918は、バルーンカテーテル910から灌注シリンジ912を取り外すことができるようにしぼむ。
【0092】
図15Aに示されるように、バルーンカテーテル910は膨張部材920を備える。バルーンカテーテル910はまた、第1の円形ルーメン及び第2の三日月形ルーメンを有し、図12Bに示されるのと同様の断面を有するダブルルーメンチューブ922を備える。この実施形態では、第1の円形ルーメンは、副鼻洞の中に流体を勢いよく流すためのガイドワイヤ及び/又は灌注シリンジ912を収容することができる。第2の三日月形ルーメンは、膨張部材又はバルーン920を膨張させるための膨張ルーメンであることができる。ダブルルーメンチューブ922は、バルーンカテーテル910の近位端まで延在しており、ダブルルーメンチューブ922を少なくとも部分的に覆う支持ハイポチューブ924を更に備えてもよい。ハイポチューブ924は、上記の外科用ハンドツールを通って円滑に前進するのを可能にする。側面切り欠き部914は、支持ハイポチューブ924の壁を貫通し、ダブルルーメンチューブ922の壁を貫通しており、その結果ガイドワイヤ及び/又は灌注シリンジ912は、バルーンカテーテル910の中に延びることができる。灌注シリンジ912の外径は、バルーンカテーテル910の側面切り欠き部914内に嵌入できるほど小さくなくてはならない。また、灌注シリンジ912は、バルーン灌注カテーテル910の内部ルーメンを切断する又は傷つけるのを避けるために、鈍い鈍頭遠位先端部926を備える。
【0093】
上記の外科用ハンドツール400、440、490、510、550、700又は780は、それぞれ、解剖学的領域を拡張するのを目的として同じような方法で使用され得る。使用する際、外科用ハンドツールは、典型的には鼻孔を通して患者の頭部に導入されるが、代替実施形態では、犬歯窩穿刺などの別の開口部を通す。一実施形態では、最初に患者の鼻孔を通して内視鏡が挿入され、続いてガイドカテーテルが挿入される。他の実施形態では、内視鏡及びガイドカテーテルを一緒に挿入することができる。ガイドカテーテルの遠位先端部がアクセスされるべき解剖学的領域の近くに位置付けられて、内視鏡が標的とされる解剖学的領域を見ることができるように、内視鏡及びガイドカテーテルを位置決めする。その後、ガイドワイヤの遠位先端部が標的とされる解剖学的領域に又はその近くに位置付けられるように、ガイドカテーテルを通してガイドワイヤを導入する。この工程の間、ガイドワイヤのトルク付与装置を使用し、解剖学的構造を通してガイドワイヤを操縦することができる。一実施形態では、拡張させるべき副鼻腔口を横切るようにガイドワイヤを位置決めする。その後、摺動部又はバルーンカテーテル駆動装置を遠位方向に押すことによって、バルーンカテーテルを、ガイドワイヤの上を通って解剖学的構造の中に前進させる。バルーンカテーテルのバルーンが正しく位置決めされるとすぐに、バルーンカテーテルを使用して診断又は治療処置を行う。一実施形態では、バルーンカテーテルを使用して、副鼻腔口などの副鼻腔に通じる開口部を拡張する。処置が完了するとすぐに、内視鏡及び外科用ハンドツール400、440、490、510、550、700又は780を、標的とされる解剖学的領域及び患者から除去する。
【0094】
図16は、上述したようなハンドツール400、440、490、510、550、700又は780を使用するための方法の一実施形態を例示している。第1の工程として、そのルーメンの中に配置されたバルーンカテーテルを有するガイドを、ハンドルを介して片手で保持する。次に、内部にバルーンカテーテルを有するガイドを、被験体である人間又は動物の中に前進させる。この前進は、鼻孔の中に、又は犬歯窩穿刺などの他の何らかのアクセス経路を通って上顎洞の中に、向かう。いくつかの実施形態では、この方法は、前進工程の前に、犬歯窩穿刺などの副鼻腔内に人工の開口部を形成することを含んでもよい。種々の実施形態では、同じ又は異なるアクセスルートを通って内視鏡を被験体内に前進させる前、前進させている間、又は前進させた後に、ガイド/カテーテルの組み合わせを前進させてもよい。
【0095】
ガイドが、その遠位端が副鼻腔口近くにある状態で被験体内の所望の位置に位置決めされると、いくつかの実施形態では、カテーテルのバルーンを鼻腔開口の中に位置決めするために、バルーンカテーテルをガイドの外へ前進させてもよい。いくつかの実施形態は、任意に、ガイドワイヤをガイドの外に前進させて、次にバルーンカテーテルを、ガイドワイヤの上を通ってガイドの外に前進させる追加工程を有する。バルーンカテーテルのバルーンが、副鼻腔口の開口部に対して所望の位置に入ると、次に、バルーンを膨張させて開口部を拡張することができる。次に、ガイド及びバルーンカテーテルを被験体から除去することができる。
【0096】
種々の実施形態における上記方法に対して、数多くの変更を加えることが可能である。例えば、上記で詳しく説明されたように、いくつかの実施形態では、ガイド、バルーンカテーテル及び内視鏡が同時に被験体内に前進され得るように、内視鏡はハンドルに取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、別の方法として、ガイドだけがハンドルに結合され、バルーンカテーテルはガイド及びハンドルの中にあらかじめ組み込まれ、ガイドワイヤはバルーンカテーテルの中にあらかじめ組み込まれる。いくつかの実施形態では、点灯するガイドワイヤを使用してもよく、この場合、任意の好適な部分の処置の間、ガイドワイヤを照明することができる。この方法のいくつかの実施形態はまた、灌注カテーテルを副鼻腔内に前進させて、粘液及び/又は副鼻洞から出る他の物質を洗い流すのに使用する灌注処置を含んでもよい。このように、上記でより詳細に説明されたように、種々の代替実施形態において、本発明の方法は、多くの異なる工程及び変更を含んでもよい。
【0097】
上記実施形態の全てにおいて、使用されるガイドワイヤは、任意の従来のガイドワイヤであることができる。参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第11/522,497号に開示されている装置などの、照明ガイドワイヤ装置(illuminating guidewire device)を使用することもできる。照明ガイドワイヤ装置は、光源に連結され、照明する照明部分を遠位端に備える。患者内に設置された照明装置の遠位端部分の位置決めを視覚的に確認するために、照明ガイドワイヤ装置の照明を用いることができる。使用する際、照明装置の遠位端部分は、患者内に内部挿入されて、照明装置の遠位端部分から光を放出する。次に、医師は、照明装置の遠位端部分から放出される光によりもたらされる、患者の外部表面上に発生する透光を、観察することができ、患者の外部表面上で観察される透光と、観察される透光の位置の下にある患者の内部位置とが関連付けられる。これにより照明装置の遠位端部分の位置決めを確認する。
【0098】
副鼻洞形成術の装置及びシステム200、250、300、370、400、440、490、510、550、700、780、820、850、880、910及び912のいずれかを、すぐに使える状態にパッケージ化又はキット化することができる。この実施形態では、装置又はシステムは、医師が処置又は手術の直前に開ける単一パッケージの中に収められてもよい。特定の実施形態では、様々な種類のキットを種々の器具、例えば、直線状及び/又は曲線状ガイドカテーテルと共に包装することができる。このようにして、特定の処置のためのキット、例えば上顎洞で使用する又は前頭洞で使用するためのキットを準備することができる。例えば「完全な」及び「部分的な」キットなどであるがこれらに限定されない種々のキットを提供してもよい。一実施形態では、例えば、完全なキットは、ガイドカテーテルと、照明ガイドワイヤと、バルーンカテーテルと、一体型膨張装置とを含んでもよい。任意に、灌注カテーテル、予備の又は異なるガイドワイヤ、予備の又は異なるバルーンカテーテル及び/又は同様のものを含んでもよい。一実施形態において、部分的なキットは、ハンドル及び膨張装置と一体化されたバルーンカテーテルを含んでもよい。ガイドカテーテル、照明ガイドワイヤ、灌注カテーテル及び/又は同様のものを、独立したパケット等として提供してもよい。種々の代替実施形態において、本出願に記載の種々の装置及び要素の組み合わせを共にキット化することができることは言うまでもない。いくつかの実施形態では、キットはまた、回動プリズム内視鏡などの内視鏡を含んでもよい。このような回動プリズム内視鏡は、2008年7月30日出願の米国特許出願第61/084,949号、名称「Swing Prism Endoscope」に記載されており、当該特許の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0099】
装置はまた、一体化され、装置又はシステムがパッケージから取り出されるとすぐに使える状態にあるシステムの種々の装置と共にパッケージ化されてもよい。例えば、バルーンカテーテルをガイドカテーテル内に位置決めすることができる。また、特定の実施形態では、流体調製によって膨張装置が取り外されやすくなるのでなければ、膨張装置は、パッケージの中で予めバルーンカテーテルに取り付けられていてもよい。装置又はシステムと共にパッケージ化された内視鏡を含む実施形態では、吸引ルーメンもまたガイドカテーテルに取り付けることができ、流体ルーメンを内視鏡に取り付けることができる。更に、装置200、250、400、440、490、510、550、700及び780の近位本体にガイドカテーテルを連結することができる。バルーン洞形成術及び内視鏡一体化システム300及び370では、内視鏡をガイドカテーテルに予め取り付けることができる。しかしながら、他の実施形態では、内視鏡は、装置又は一体化システムと共にパッケージ化されなくてもよい。これにより、医師は、処置又は手術中に使用する好ましい内視鏡を選択することが可能になる。
【0100】
装置とシステムとを即時使用を目的としてパッケージ化することで、医師が装置及びシステム200、250、300、370、400、440、490、510、550、700、780、820、850、880、910及び912を準備、セットアップする時間が節約される。パッケージ化される前に装置及びシステムを滅菌することができ、手術に備えて洗浄する必要はない。医師は、キット化されたシステムを使用する前に、流体ルーメンをプラグで接続し、照明ケーブルを内視鏡に取り付けるだけでよいはずである。外科用ハンドツール200、250、400、440、490、510、550、700又は780を含むパッケージでは、キットに内視鏡がない場合には、医師は処置用の内視鏡を選択し、準備しなければならない場合もある。また、特定の実施形態では、キットにガイドワイヤを同梱することができ、更にはシステムの装置のバルーンカテーテル及びガイドカテーテル内にガイドワイヤを位置決めすることができる。しかしながら、他の実施形態では、ガイドワイヤはパッケージ化されたキットの中に含まれず、医師は好ましいガイドワイヤを選択して処置を行ってもよい。
【0101】
本明細書に開示される剛性又は可撓性の内視鏡は、0度〜145の範囲の視界を有していてもよい。湾曲領域、曲げ領域又は傾斜領域を含む内視鏡の実施形態は、光ファイバーを融着する前に光ファイバーを湾曲させる又は曲げることによって製造されてもよい。光ファイバーは、例えば500〜700セルシウス度の範囲の温度まで光ファイバーを加熱することにより、又は光ファイバーを互いに対して取り付けるための好適なエポキシ系接着剤を使用することによって、融着されてもよい。内視鏡は、角度又は曲率は大きいが曲率半径が小さい湾曲領域、曲げ領域又は傾斜領域を可能にするために、被覆厚さの薄い光ファイバーを使用して作製されてもよい。内視鏡はまた、角度又は曲率は大きいが曲率半径が小さい湾曲領域、曲げ領域又は傾斜領域を可能にするために、例えば3Mによって製造されるもののようなグラス/グラス/ポリマー(GGP)多モードファイバーを使用して作製されてもよい。例えば、90度以上の角度を取り囲む曲げ領域、湾曲領域又は傾斜領域を有する内視鏡の実施形態では、曲げ領域、湾曲領域又は傾斜領域の曲率半径は1.5cm以下であるのが好ましくあり得る。角度及び曲率は大きいが曲率半径は小さい湾曲領域、曲げ領域又は傾斜領域を含むこのような内視鏡は、ユーザーが上顎洞にアクセスできるようにするのに特に有用である。
【0102】
本明細書の実施形態を主に低侵襲的処置と共に説明してきたが、これらは現行の開腹手術又は腹腔鏡手術の技術と共に有利に用いることができる。例えば、本明細書に開示の方法及び装置を、機能的内視鏡下副鼻腔手術(FESS)の1つ以上の技術と組み合わせて用いてもよい。FESSでは、執刀医は病変した又は肥厚した組織又は骨を除去し、副鼻腔の小孔を拡大して正常な副鼻洞の排液を回復させることができる。これは、典型的には、内視鏡視覚化を用いて全身麻酔下の患者に行われる。
【0103】
FESSは、重度の副鼻洞に対するゴールドスタンダード治療であり続けているが、例えば処置に付随する手術後の痛み及び出血、患者のかなりのサブセットにおける症状の緩和の失敗、眼窩損傷、頭蓋内損傷、副鼻腔損傷等のいくつかの欠陥を有している。FESSの1つ以上の工程を置き換えることにより、従来のFESSに付随する欠陥を低減することができる。以下は、FESSと、本出願及び参照により本明細書に組み込まれた特許出願に開示されている処置との併用を含む例のいくつかの例である。
【0104】
1.1つの併用処置では、上顎洞は、鉤状突起(鉤状突起)を完全除去又は部分除去して又はせずに、バルーン拡張によって治療される。鉤状突起の完全又は部分除去は、医師が上顎洞を視覚化して上顎洞にアクセスするのを容易にする又は迅速にすることができる。
【0105】
2.別の併用処置では、上顎洞は、鼻甲介の除去を併用したバルーン拡張によって治療される。この併用処置中に、鼻甲介の一部分又は全体、例えば中鼻甲介が除去されてもよい。鼻甲介の一部分又は全体の除去することで、鉤状突起の内側領域内に器具のための更なる作業空間を提供する。これは、併用処置を簡易にする又は迅速にする可能性があり得る。
【0106】
3.別の併用処置では、蝶形骨洞開口部は、篩骨洞手術を併用したバルーン拡張によって治療される。篩骨洞手術の工程は、医師がガイドカテーテルを、中鼻道を通して蝶形骨洞開口部まで導入するのを可能にすることができる。これは、蝶形骨洞開口部に簡単にアクセスできるようにする可能性があり得る。
【0107】
4.別の併用処置では、前頭洞は、中鼻甲介切除術及び/又は篩骨洞手術を併用したバルーン拡張によって治療される。この併用処置は、一旦篩骨胞、鼻甲介等のような解剖学的構造が除去される又は縮小されると、医師が前頭洞を見つける、可視化する、又は前頭洞にアクセスするのを容易にすることができる。
【0108】
5.別の種類の併用処置では、複数の副鼻洞は、組織又は骨を除去せずに又は除去を最小限にした状態で、バルーン拡張によって治療される。次に、副鼻洞疾患を治療する標準的な技術が続く。このような併用処置の例には次が挙げられる。
【0109】
5A.前頭洞、上顎洞又は蝶形骨洞をバルーン拡張によって治療する。また、鉤状突起を保存した状態で篩骨洞手術を行う。鉤状突起の存在は、鉤状突起の生来の機能を保存することができる。これはひいては、副鼻洞内の感染等のような合併症の発生を低下させることにつながり得る。
【0110】
5B.あらゆる副鼻腔は、篩骨洞手術、鼻中隔形成術、鼻甲介(例えば下鼻甲介、中鼻甲介等)整復術等を含むがこれらに限定されない第2の処置と組み合わされたバルーン拡張によって治療され得る。
【0111】
6.本明細書に開示される処置のいくつかは、可撓性のカテーテル又は剛性器具を用いた1つ以上の副鼻腔の灌注及び吸引と併用して行われてもよい。可撓性のカテーテルは、剛性器具がアクセスするのが困難な領域に到達するために特に有用である。このような領域は、前頭洞の外側面、上顎洞の下面又は内側面等内に位置付けられることができる。
【0112】
7.本明細書に開示される処置のいくつかは、1つ以上のポリープの除去を更に含んでもよい。例えばカミソリを使うなどの標準的技術によるポリープの除去を、種々の副鼻腔口のバルーン拡張と組み合わせることができる。1つ以上のポリープが除去されると、副鼻腔の1つ以上の小孔をバルーン拡張によって拡張することができる。
【0113】
8.別の種類の併用処置では、既に実施された手術を修正するために、又は標準的な内視鏡下副鼻腔手術技術と併用して、1つ以上の副鼻腔口のバルーン拡張を行ってもよい。そのような処置の例には次が挙げられる。
【0114】
8A.前頭陥凹上の瘢痕形成の治療:この併用処置では、ガイドワイヤで前頭陥凹にアクセスする試みが行われる。次に、ガイドワイヤの上を通ってバルーンカテーテルを通過させる。瘢痕化が原因で又は前頭洞口が小さすぎるのが原因で、ガイドワイヤが前頭洞口にアクセスできない場合は、外科器具、例えばキュレット又は探索器を使用して、瘢痕組織若しくは癒着又は前頭洞口を開く又は穿刺することができる。このような瘢痕組織又は癒着は、例えば感染、以前に施行された外科手術等に起因して引き起こされる可能性がある。したがって、前頭洞口をバルーン拡張によって拡張することができる。
【0115】
8B.蝶形骨洞及び上顎洞近くの瘢痕化を治療するために、上述の併用処置と同様の併用処置を行ってもよい。
【0116】
9.別の種類の併用処置では、副鼻洞に通じる人工的に形成された開口部によって、1つ以上の副鼻腔、例えば上顎洞にアクセスしてもよい。その後、本明細書又は参照により本明細書に組み込まれる特許文献に開示されている診断又は治療処置を実施してもよい。人工的に形成された開口部を使用して、装置、例えばバルーンカテーテル、ガイドワイヤ、又は他の装置などの副鼻腔の自然孔を介した設置を、内視鏡的に可視化することができる。人工的に形成された開口部はまた、1つ以上の診断装置、治療装置又はアクセス装置を導入するために用いられてもよい。人工的に形成された開口部は、抗生物質溶液、抗炎症剤溶液等を含むがこれらに限定されない液体を導入するために用いられてもよい。人工的に形成された開口部は、ドリル装置、裁断装置、穿刺装置等を含むがこれらに限定されない好適な装置を使用して形成されてもよい。
【0117】
本発明のハイブリッド処置のいくつかの具体例が、図17〜図20のフローチャートに示されている。
【0118】
図17は、解剖学的構造又は病理学的構造、例えば鉤状突起、鼻甲介、篩骨蜂巣壁、ポリープ等などを除去し又は実質的に改変し、拡張器(例えば、バルーンカテーテルのバルーン)を副鼻腔の開口部内に位置決めしてこの開口部を拡張させるために使用する方法における工程を示している。解剖学的構造又は病理学的構造の除去又は改変により、処置中又は手術後の診察及び経過観察中の、特定の解剖学的構造への見通しの良いアクセス及び/又は特定の解剖学的構造の視認性を提供することができる。
【0119】
図18は、バルーンカテーテルのバルーンなどの拡張器を副鼻腔の開口部内に位置決めし、これを使用してこの開口部を拡張し、かかる拡張の前又は後のいずれかに、副鼻腔の空洞を吸引する又は灌注する方法における工程を示している。通しルーメンを有するバルーンカテーテル又は他の拡張装置を使用して拡張工程を達成する場合には、流体又は陰圧を拡張カテーテルの通しルーメンに通すことによって、灌注及び/又は吸引工程を行ってもよい。又は、拡張工程中にガイドワイヤを洞腔内又は洞腔の近くに前進させてもよく、その後、かかるガイドワイヤの上を通って吸引及び/又は灌注装置を前進させ、当該装置を使用して吸引及び/又は灌注工程を行ってもよい。
【0120】
図19は、ルーメン、オリフィス、又は通路を遮る位置に瘢痕組織又は癒着組織が形成されており(例えば、副鼻腔の開口部を遮る瘢痕組織)、瘢痕組織又は癒着組織内に最初に孔通路を形成する方法における工程を示している。これは、針、探索器、プローブ、ガイドワイヤ、又は他のペネトレータをこの組織に押し通すことによって達成され得る。その後、拡張器(例えば、バルーンカテーテル)を孔通路の中に前進させ、これを使用して孔通路を拡張して、迷入瘢痕組織又は癒着組織が原因の閉塞を取り除く。
【0121】
図20は、拡張器(例えば、バルーンカテーテルのバルーン)を、副鼻洞の自然孔などの既存の副鼻腔の開口部(又は前もって外科的に修正された孔)の中に設置し、これを使用してその開口部を拡張する方法における工程を示している。また、鼻腔から又は顔の外表面を貫通させてのいずれかで、この副鼻腔内に独立した開口部を形成する(例えば、ボアホール、開洞術又は穿孔術)。これにより、洞腔の改善された通気及び/又は排液を提供することができる。任意に、2つの開口部を使用してその他の処置を行ってもよい。例えば、灌注溶液を、一方の開口部に通して他方から排出させることによって「貫流」灌注を行ってもよい。又は、開口部の一方を通して装置を挿入し、他方の開口部を遮るもののない状態にしておいてもよい。又は、医師は、既存の開口部を治療する間、又は洞腔の他の診断又は治療を行う間、新しく形成された開口部を介して(例えば、内視鏡を介して)視覚化してもよい。
【0122】
本発明の装置及び方法は、耳、鼻、及び咽喉内の副鼻腔口又は他の通路のアクセス、拡張、又は改変に関する。これらの装置及び方法は、単独で用いられてもよく、他の外科的治療又は非外科的治療と併せて用いられてもよく、この他の外科的治療又は非外科的治療には、その開示全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる2004年8月4日出願の同時係属の米国特許出願番号10/912,578、名称「Implantable Devices and Methods for Delivering Drugs and Other Substances to Treat Sinusitis and Other Disorders」に記載されているような、装置及び薬物又は他の物質の送達又は埋め込みが挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
本発明を特定の実施例又は実施形態に関して上記に述べたが、本発明の目的とする要旨及び範囲から逸脱することなくこれらの実施例及び実施形態に様々な追加、削除、修正及び変更を行うことが可能である。例えば、1つの実施形態又は実施例の任意の要素若しくは属性は、そうすることによってその実施形態又は実施例がその目的とする用途にそぐわないものとならないかぎりにおいて、別の実施形態又は実施例に取り入れるか、又は別の実施形態又は実施例とともに使用することが可能である。妥当な追加、削除、修正及び変更は全て、説明した実施例及び実施形態と同等であるとみなすものとし、以下の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【0124】
〔実施の態様〕
(1) 被験体である人間又は動物の副鼻腔口を拡張するための装置であって、
ハンドルと、
前記ハンドルと結合する近位端を有し、遠位端まで延びる細長いシャフトであって、ルーメンと、前記近位端と遠位端との間の長さの少なくとも一部分に沿って前記ルーメンから前記シャフトの外側表面まで延びる長手軸方向開口部と、を含む、細長いシャフトと、
前記シャフトルーメンの少なくとも一部分を通って配置されるガイドワイヤと、
非拡張形状と拡張形状とを有する拡張器であって、前記拡張器の少なくとも一部分が、前記ガイドワイヤの上で、前記シャフトルーメン内に、配置される、拡張器と、
前記シャフトに対して前記ガイドワイヤ及び/又は前記拡張器を前進させるために、前記シャフトの前記長手軸方向開口部を介して前記ガイドワイヤ又は前記拡張器の少なくとも一方と結合する摺動部材と、を備える、装置。
(2) 前記細長いシャフトの前記遠位端が、前記細長いシャフトと連結している細長いチューブ状要素を備える、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記摺動部が、前記ガイドワイヤ及び/又は前記拡張器を回転させるために、前記細長いシャフトに対して軸方向回転することが可能な、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記シャフトの前記遠位端が、前記被験体の鼻の鼻孔を介して挿入可能である、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記被験体の副鼻腔に孔を開けるための、前記シャフトの前記遠位端と結合する穿孔部材を更に備え、前記シャフトの前記遠位端が前記孔を介して挿入可能である、実施態様1に記載の装置。
(6) 前記細長いシャフトに取り付けられ、前記拡張器と流体連通する、流体リザーバを更に備える、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記流体リザーバと結合するトリガを更に備え、前記トリガを作動させることで、前記流体リザーバ内の流体に、前記拡張器を前記拡張形状まで膨張させる、実施態様6に記載の装置。
(8) 被験体である人間又は動物の副鼻腔口にアクセスするための装置であって、
ハンドルと、
前記ハンドルと結合する近位端を有し、遠位端まで延びる細長いシャフトであって、前記近位端から前記遠位端までの少なくとも途中まで延びる長手軸方向ルーメン、を有する、細長いシャフトと、
前記ハンドル又は前記細長いシャフトの少なくとも一方と連結し、少なくとも1つの装置と結合して、前記シャフトの前記ルーメンを通って副鼻腔口内の少なくとも途中まで前記装置を前進させるように構成された、装置前進部材と、を備える、装置。
(9) 前記シャフトルーメンの少なくとも一部を通って延びるガイドワイヤを更に備え、前記装置前進部材が、前記ガイドワイヤと連結して、前記ルーメンを通り前記副鼻腔口を介して前記ガイドワイヤを前進させるように構成される、実施態様8に記載の装置。
(10) 前記シャフトルーメンの少なくとも一部を通って延びるバルーン拡張カテーテルを更に備え、前記装置前進部材が、前記バルーン拡張カテーテルと連結して、前記ルーメンを通り前記副鼻腔口内の少なくとも途中まで前記バルーン拡張カテーテルを前進させるように構成される、実施態様8に記載の装置。
【0125】
(11) 前記装置前進部材が摺動部材を含む、実施態様8に記載の装置。
(12) 前記装置前進部材が、
前記装置を保持して前進させるように構成された2個のローラーと、
前記ローラーを動かすために前記2個のローラーと結合された作動装置と、を含む、実施態様8に記載の装置。
(13) 被験体である人間又は動物の耳、鼻、又は咽喉内の解剖学的構造を拡張するためのシステムであって、
内視鏡と、
前記内視鏡と着脱自在に結合する細長いチューブ状ガイドと、
前記細長いチューブ状ガイドと結合した前記内視鏡を片手で把持するために、前記内視鏡又は前記細長いチューブ状ガイドの少なくとも一方と結合するハンドルと、
前記細長いチューブ状ガイド内に摺動可能に配置され、前記細長いチューブ状ガイドを通過するための非拡張形状と、前記解剖学的構造を拡張するための拡張形状と、を有する拡張器と、を備える、システム。
(14) 前記内視鏡に取り付けられる第1のクリップと、
前記細長いチューブ状ガイドに取り付けられる第2のクリップと、
前記第1のクリップと第2のクリップとを連結するための連結部材と、を更に備える、実施態様13に記載のシステム。
(15) 一体に結合された前記内視鏡及び細長いチューブ状ガイドが、前記被験体の鼻の鼻孔内に入る寸法に設定される、実施態様13に記載のシステム。
(16) 一体に結合された前記内視鏡及び細長いチューブ状ガイドが、前記被験体の副鼻腔内に穿刺された孔の中に入る寸法に設定され、前記システムが、前記孔を形成するために前記内視鏡又は前記細長いチューブ状ガイドの少なくとも一方と結合する穿孔部材を更に備える、実施態様13に記載のシステム。
(17) 前記拡張器の少なくとも一部を通って延びるガイドワイヤルーメンを通って配置されるガイドワイヤを更に備える、実施態様13に記載のシステム。
(18) 前記ガイドワイヤを前記細長いチューブ状ガイドに対して前進させるために、前記細長いチューブ状ガイドと結合されたガイドワイヤ前進部材を更に備える、実施態様17に記載のシステム。
(19) 前記内視鏡と結合された内視鏡クリーナーを更に備え、前記内視鏡クリーナーが、
前記内視鏡の少なくとも一部の上に配置されるシースと、
前記シースを洗浄流体源と連結させるために前記シースと結合されたチューブと、を備える、実施態様13に記載のシステム。
(20) 前記内視鏡が剛性の回動プリズム内視鏡を含む、実施態様13に記載のシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体である人間又は動物の副鼻腔口を拡張するための装置であって、
ハンドルと、
前記ハンドルと結合する近位端を有し、遠位端まで延びる細長いシャフトであって、ルーメンと、前記近位端と遠位端との間の長さの少なくとも一部分に沿って前記ルーメンから前記シャフトの外側表面まで延びる長手軸方向開口部と、を含む、細長いシャフトと、
前記シャフトルーメンの少なくとも一部分を通って配置されるガイドワイヤと、
非拡張形状と拡張形状とを有する拡張器であって、前記拡張器の少なくとも一部分が、前記ガイドワイヤの上で、前記シャフトルーメン内に、配置される、拡張器と、
前記シャフトに対して前記ガイドワイヤ及び/又は前記拡張器を前進させるために、前記シャフトの前記長手軸方向開口部を介して前記ガイドワイヤ又は前記拡張器の少なくとも一方と結合する摺動部材と、を備える、装置。
【請求項2】
前記細長いシャフトの前記遠位端が、前記細長いシャフトと連結している細長いチューブ状要素を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記摺動部が、前記ガイドワイヤ及び/又は前記拡張器を回転させるために、前記細長いシャフトに対して軸方向回転することが可能な、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記シャフトの前記遠位端が、前記被験体の鼻の鼻孔を介して挿入可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記被験体の副鼻腔に孔を開けるための、前記シャフトの前記遠位端と結合する穿孔部材を更に備え、前記シャフトの前記遠位端が前記孔を介して挿入可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記細長いシャフトに取り付けられ、前記拡張器と流体連通する、流体リザーバを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記流体リザーバと結合するトリガを更に備え、前記トリガを作動させることで、前記流体リザーバ内の流体に、前記拡張器を前記拡張形状まで膨張させる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
被験体である人間又は動物の副鼻腔口にアクセスするための装置であって、
ハンドルと、
前記ハンドルと結合する近位端を有し、遠位端まで延びる細長いシャフトであって、前記近位端から前記遠位端までの少なくとも途中まで延びる長手軸方向ルーメン、を有する、細長いシャフトと、
前記ハンドル又は前記細長いシャフトの少なくとも一方と連結し、少なくとも1つの装置と結合して、前記シャフトの前記ルーメンを通って副鼻腔口内の少なくとも途中まで前記装置を前進させるように構成された、装置前進部材と、を備える、装置。
【請求項9】
前記シャフトルーメンの少なくとも一部を通って延びるガイドワイヤを更に備え、前記装置前進部材が、前記ガイドワイヤと連結して、前記ルーメンを通り前記副鼻腔口を介して前記ガイドワイヤを前進させるように構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記シャフトルーメンの少なくとも一部を通って延びるバルーン拡張カテーテルを更に備え、前記装置前進部材が、前記バルーン拡張カテーテルと連結して、前記ルーメンを通り前記副鼻腔口内の少なくとも途中まで前記バルーン拡張カテーテルを前進させるように構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記装置前進部材が摺動部材を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記装置前進部材が、
前記装置を保持して前進させるように構成された2個のローラーと、
前記ローラーを動かすために前記2個のローラーと結合された作動装置と、を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
被験体である人間又は動物の耳、鼻、又は咽喉内の解剖学的構造を拡張するためのシステムであって、
内視鏡と、
前記内視鏡と着脱自在に結合する細長いチューブ状ガイドと、
前記細長いチューブ状ガイドと結合した前記内視鏡を片手で把持するために、前記内視鏡又は前記細長いチューブ状ガイドの少なくとも一方と結合するハンドルと、
前記細長いチューブ状ガイド内に摺動可能に配置され、前記細長いチューブ状ガイドを通過するための非拡張形状と、前記解剖学的構造を拡張するための拡張形状と、を有する拡張器と、を備える、システム。
【請求項14】
前記内視鏡に取り付けられる第1のクリップと、
前記細長いチューブ状ガイドに取り付けられる第2のクリップと、
前記第1のクリップと第2のクリップとを連結するための連結部材と、を更に備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
一体に結合された前記内視鏡及び細長いチューブ状ガイドが、前記被験体の鼻の鼻孔内に入る寸法に設定される、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
一体に結合された前記内視鏡及び細長いチューブ状ガイドが、前記被験体の副鼻腔内に穿刺された孔の中に入る寸法に設定され、前記システムが、前記孔を形成するために前記内視鏡又は前記細長いチューブ状ガイドの少なくとも一方と結合する穿孔部材を更に備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記拡張器の少なくとも一部を通って延びるガイドワイヤルーメンを通って配置されるガイドワイヤを更に備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記ガイドワイヤを前記細長いチューブ状ガイドに対して前進させるために、前記細長いチューブ状ガイドと結合されたガイドワイヤ前進部材を更に備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記内視鏡と結合された内視鏡クリーナーを更に備え、前記内視鏡クリーナーが、
前記内視鏡の少なくとも一部の上に配置されるシースと、
前記シースを洗浄流体源と連結させるために前記シースと結合されたチューブと、を備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
前記内視鏡が剛性の回動プリズム内視鏡を含む、請求項13に記載のシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2012−502749(P2012−502749A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527942(P2011−527942)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/057203
【国際公開番号】WO2010/033629
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(506353574)アクラレント インコーポレイテッド (22)
【Fターム(参考)】