説明

肌美容改善剤、抗酸化剤、肌美容改善用組成物、又は美容用飲食品

【課題】肌美容改善剤、抗酸化剤、肌美容改善用組成物、又は美容用飲食品を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究に励んだ結果、植物抽出物と、有胞子性乳酸菌と、コラーゲンと、ビタミンCと、ビタミンB6とを含む飲食品を見出し、本発明を完成した。この飲食物は、含まれる有効成分の相乗的な効果により、肌美容の改善に優れた効果を奏する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌美容の改善に有用な肌美容改善剤、抗酸化剤、肌美容改善用組成物、あるいは美容用飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
美しい肌を維持することは、特に女性にとって非常に関心が高い。肌美容の悪化の主な原因としては、加齢による皮膚線維芽細胞の活性低下、紫外線暴露による肌老化がよく知られている。
従来より肌のケアは、化粧品による保湿や皮膚バリア機能の維持、サンスクリーンによる紫外線防御が主流であったが、近年、外側から塗布する化粧品のみならず、体の中から肌にアプローチする美容用飲食品への関心が高まっている。
【0003】
肌は大きく分けて、表皮、真皮、皮下組織の3層から成っているが、特に真皮層に多く存在するコラーゲン線維、エラスチン線維は肌のはりや弾力の形成を担っており、その機能は年齢を重ねる毎に低下することが報告されている。
コラーゲン線維やエラスチン線維は、肌の真皮層に存在する線維芽細胞から生成されるが、その線維芽細胞自体も年齢を重ねる毎に、その活性が低下することから、肌老化の原因の一つと言われている。
また、線維芽細胞を賦活する、あるいはコラーゲン産生を促進する植物抽出物質としてスターフルーツが報告されており(特許文献1)、それを配合する美容用飲食品も報告されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−008571
【特許文献2】特開2002−226323
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
種々の植物抽出物質を用いた美容用飲食品が報告されているが、実際に人間の肌に使用する上で効果的な飲食品の開発が求められている。
【0006】
したがって、本発明は、肌美容改善剤、抗酸化剤、肌美容改善用組成物、あるいは美容用飲食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、肌美容の改善を目的として、種々の植物抽出物質を利用した肌美容改善剤を探索し、鋭意研究に励んだ結果、特定の組成の飲食品が美容に効果的なことを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明によれば、植物抽出物と、有胞子性乳酸菌と、コラーゲンと、ビタミンCと、ビタミンB6とを含む美容用飲食品が提供される。
また、ある一態様では、植物抽出物と、有胞子性乳酸菌と、コラーゲンと、ビタミンCと、ビタミンB6とを含む皮膚の弾力性改善剤が提供される。
また、ある一態様では、植物抽出物と、有胞子性乳酸菌と、コラーゲンと、ビタミンCと、ビタミンB6とを含む抗酸化剤が提供される。
また、ある一態様では、植物抽出物と、有胞子性乳酸菌と、コラーゲンと、ビタミンCと、ビタミンB6とを含む肌美容改善剤が提供される。
また、ある一態様では、植物抽出物と、有胞子性乳酸菌と、コラーゲンと、ビタミンCと、ビタミンB6とを含む肌美容改善用組成物が提供される。
【0009】
上記植物抽出物は、例えば、一日当たり200〜400mg、より好ましくは300mgの摂取量で含まれる。
上記有胞子性乳酸菌は、例えば、一日当たり50〜100mg、より好ましくは80mgの摂取量で含まれる。
上記コラーゲンは、例えば、一日当たり800〜1200mg、より好ましくは1000mgの摂取量で含まれる。また、ある一態様では、上記コラーゲンは発酵コラーゲンペプチドである。
上記ビタミンCは、例えば、一日当たり90〜150mg、より好ましくは100mgの摂取量で含まれる。
上記ビタミンB6は、例えば、一日当たり3〜10mg、より好ましくは5mgの摂取量で含まれる。
【0010】
また、ある一態様では、上記植物抽出物は、スターフルーツ葉抽出物、ハス胚芽抽出物、トゲナシ果実抽出物、カミツレ花抽出物、レモンバーム葉抽出物、ヒハツ果穂抽出物、ハト麦抽出物、月桃葉抽出物、ナツメ果実抽出物である。
【0011】
また、ある一態様では、一日当たり300mgの摂取量のスターフルーツ葉抽出物と、一日当たり80mgの摂取量の有胞子性乳酸菌と、一日当たり1000mgの摂取量の発酵コラーゲンペプチドと、一日当たり100mgの摂取量のビタミンCと、一日当たり5mgの摂取量のビタミンB6とを含む美容用飲食品、肌美容改善剤、皮膚の弾力性改善剤、抗酸化剤あるいは肌美容改善組成物が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、肌美容の改善に効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1の肌弾力改善効果の試験の推移を示す。各点は平均値を示す。*、**;p<0.05、0.01:摂取前(0週)との比較(Student‘s t−検定)。
【図2】実施例1の肌状態(自己評価)の試験における評価点の推移を示す。各グラフは、評価点の平均値を示す。*、**;p<0.05、0.01:摂取前(0週)との比較(Student‘s t−検定)。
【図3】実施例2の便秘改善効果試験の結果を示す。
【図4】発酵コラーゲンペプチドのDPPHラジカル消去作用を調べた結果のグラフである。
【図5】実施例4で行ったアンケートの評価項目の一部を示す。
【図6】実施例4で行ったアンケートの評価項目の一つである「総合評価」について、VAS法で得られた評価指数の平均値をグラフで示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔用語の説明〕
本明細書における「植物抽出物」とは、完全葉、葉の一部(例えば、葉身、葉柄、托葉など)、茎部、花、または、果実、種子、あるいは、これらの組み合わせなどの植物体を、抽出溶媒等を用いて抽出して得られる成分(エキス、液体成分、および固形成分)のことをいう。これらの葉部、茎部等は、採取後ただちに天日又は乾燥機等により乾燥し粉砕したものが好適に用いられる。さらに、抽出に先立って、ヘキサン、ベンゼン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことが可能となる。
【0015】
抽出処理に用いる植物体としては、これに限られないが、例えば、スイレン目ハス科の多年生水生植物「ハス(蓮)」の胚芽(ハス胚芽抽出物)、バラ科の潅木であるトゲナシの果実(トゲナシ果実抽出物)、キク科の植物カミツレの花(カミツレ花抽出物)、シソ科の多年生のハーブであるレモンバームの葉(レモンバーム葉抽出物)、当南アジアに分布するコショウ科の植物であるヒハツの果穂(ヒハツ果穂抽出物)、イネ科ジュズダマ属の穀物であるハト麦の種子(ハト麦抽出物)、ショウガ科の植物である月桃の葉(月桃葉抽出物)、クロウメモドキ科の落葉高木の果実(ナツメ果実抽出物)、カタバミ科の植物であるスターフルーツ(学名:Averrhoa carambola L.、生薬名:陽桃、別名:五歛子)の葉・茎部(スターフルーツ葉抽出物)を用いることができる。
【0016】
抽出処理の際には、抽出溶媒として極性溶媒を使用するのが好ましい。好適な抽出溶媒の例としては、例えば、水、低級脂肪族アルコール、含水の低級脂肪族アルコール等が挙げられ、これらを単独で、あるいはこれら2種以上の混合物で使用することができる。好適な低級脂肪族アルコールの例としては、メタノール、エタノール、プ
ロパノール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、イソプレングリコール等が挙げられる。また、抽出処理に用いる水には、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、滅菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれるため、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も抽出処理における水として使用することができる。
【0017】
また、2種以上の溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は本発明の効果を損なわない範囲で適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水と低級脂肪族アルコールとの混合
比を9:1〜1:9(重量比)としてもよい。
【0018】
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定されず、常法に従って行うことができる。抽出処理の際には、特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温ないし加熱還流下において、通常用いられ得る装置を使用することができる。
【0019】
抽出処理の一例としては、抽出溶媒で満たした処理槽に抽出原料を投入し、攪拌しながら可溶性成分を溶出させる方法が挙げられる。この際、抽出条件は抽出原料等に応じて適宜調整することができるが、例えば、抽出原料の5〜15倍量(重量比)の抽出溶媒量、1〜3時間の抽出時間、常温〜95℃の抽出温度等が挙げられる。
【0020】
抽出処理により可溶性成分を溶出させた後、ろ過して抽出残渣を除くことによって、抽出液を得ることができる。この抽出液に対し、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製(活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等)等の処理を施すことで、希釈液、濃縮液、抽出液の乾燥物、粗精製物又は精製物を得、抽出液の代わりに用いることもできる。したがって、これらエキスと固形物とを含めて抽出物と総称する。抽出液の乾燥物を得る際には、吸湿性を改善するためにデキストリン、シクロデキストリン等の担体を添加することもできる。さらに、一部の植物体(スターフルーツの葉部等)は特有の匂いと味を有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行ってもよい。
【0021】
本明細書における「コラーゲン」とは、皮膚、血管、歯、軟骨組織、結合組織などに存在し、全タンパク質量の約3割を占める繊維状のタンパク質で、その多くは、ヘリックス構造を有する3本のポリペプチド鎖で構成されたらせん構造(トロポコラーゲン)からなる。コラーゲンとしては、例えば、ブタなどの哺乳類、ニワトリなどの鳥類、サメ、エイなどの魚類、イカなどの軟体動物類の、皮膚(鱗)、軟骨、骨、臓器、腱などの組織に存在するコラーゲンを抽出して使用することができ、これらを混合して使用することもできる。また、精製したコラーゲン以外にも、成分としてコラーゲンを含有するものであれば本発明に使用することもできる。また、上記の動物性(海洋性)コラーゲンの代わりに、大豆、ニンジン等の植物由来のコラーゲン様物質(植物性コラーゲン:エクステンシンなど)を単独、あるいは上記の動物性(海洋性)コラーゲンと組合わせて用いてもよい。
【0022】
本発明においては、コラーゲンを更に、I型コラーゲン、II型コラーゲン、その他のコラーゲンと、その分子構造により区別することもできる。I型コラーゲンは、皮膚(真皮)、人体、腱、骨などに存在し、体内で最も豊富に存在するコラーゲンであり、II型コラーゲンは、関節軟骨、椎間円板、硝子体などに存在するコラーゲンである。これらは、常法により得ることができ、例えば、それぞれの含有量の多い組織、試料からの抽出や、混合物からの分離精製などにより得ることができる。また、精製したコラーゲン以外にも、成分として各コラーゲンを含有するものであれば本発明に使用することもできる。
【0023】
本発明においては、抽出後のコラーゲンに、更に部分的加水分解等の処理等を行ったものを用いてもよい。例えば、部分的に分解し、低分子化した形態のコラーゲンである、酵素(プロテアーゼ)処理したコラーゲンペプチド、細菌/酵母による発酵処理した発酵コラーゲン、あるいは酵素処理と発酵処理を組合わせて処理した発酵コラーゲンペプチドを用いることもできる。この発酵コラーゲンペプチドは、経口摂取においての吸収性がコラーゲンより高く、苦味・臭みが少なく、また、とろみも少ないため、経口摂取により適している。
また、上記コラーゲン、発酵コラーゲン等に相当するものを、化学合成や化学修飾により合成した合成コラーゲン、半合成コラーゲンを用いることもできる。
【0024】
また、本明細書における「有胞子性乳酸菌」とは、胞子を作ることができる有胞子性の乳酸菌(学名:Bacillus coagulans)のことをいう。食品としてヒトが摂食可能であり、安定性、耐熱性、耐酸性にすぐれるため、生きた状態のまま腸などに届き発芽して、活発に増殖することが報告されている。
【0025】
また、本明細書における「ビタミンC」、「ビタミンB6」には、ビタミンC、ビタミンB6以外に、ヒトが摂食可能なそれらの塩も含まれる。
【0026】
また、本明細書における「飲食品」とは、専ら飲食のために経口的に用いられる形態のものすべてを含み(例えば、飲料も含む)、錠剤などの形態のものであっても、専ら飲食のために用いられる限りにおいては、本明細書における飲食品に含まれる。例えば、健康食品、健康補助食品、病者用食品、栄養補助食品、あるいは、厚生労働省の定める保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)も、本明細書における飲食品に含まれる。
また、本発明の組成物、あるいは各種薬剤(剤)も、好ましくは経口摂取される。
【0027】
また、本明細書における「一日当たりの摂取量」とは、成人一人が一日当たりに摂取する量を指す。本明細書における組成物、肌美容改善剤、美容用飲食品等は、1〜数回の摂取により、1日当たりの摂取量が定められた範囲内となるように対象成分を含有する配合量で調整される。そのため、1回毎に摂取する組成物、肌美容改善剤、美容用飲食品等の含有量には特に制限は無い。
【0028】
また、本明細書において「〜」を用いて数値範囲を表す場合、別段明記されない限り、その上限と下限を含むものとする。例えば、「A〜B」なる記載は、A以上でありB以下であることを意味する。
【0029】
また、本明細書における「美容用」とは、対象者の美的外観を改善するための用途のことをいい、これには、肌や髪の美的外観の改善や、便通改善などのそれにつながるような体調管理も含まれる。特に、「肌美容の改善」とは、例えば、皮膚の老化の防止(予防)や、皮膚の弾力性(はり)やキメの改善、透明感の付与、毛穴等に対する美容効果、などの肌に対する各種美容効果、すなわち肌の美的外観を改善することをいう。
【0030】
〔実施形態〕
本発明者らは、肌美容の改善に有用な食品を鋭意研究した結果、植物抽出物、有胞子性乳酸菌、コラーゲンおよびビタミンを有効成分として配合した飲食品が、肌老化を改善する効果、特に肌の弾力を改善する効果を有することを見出した。
以下、本発明の実施形態について、説明する。
【0031】
本発明のある実施形態は、植物抽出物と、有胞子性乳酸菌と、コラーゲンと、ビタミンCと、ビタミンB6とを含む美容用飲食品、組成物、又は肌美容改善剤である。この美容用飲食品、組成物、又は肌美容改善剤は、種々の作用を有する植物抽出物と、腸内環境を整える効果を有する有胞子性乳酸菌と、コラーゲンと、コラーゲンの生合成の過程において、ヒドロキシプロリンの生合成に必須であるビタミンCと、ビタミンB6との相乗効果により、高い肌美容の改善効果を奏する。特に本実施形態に係る美容用飲食品、組成物、又は肌美容改善剤は、皮膚(肌)の弾力を改善する効果が高い。また、本飲食品、組成物、又は肌美容改善剤は、便通改善効果、体調改善効果等も併せ持つこともできる。また、本飲食品は、抗酸化剤としても用いることができる。
【0032】
本発明の更なる実施形態は、上記植物抽出物がスターフルーツ葉抽出物である美容用飲食品、組成物、又は肌美容改善剤である。この美容用飲食品、組成物、又は肌美容改善剤は、皮膚線維芽細胞を活性化する効果を有するスターフルーツ葉抽出物と、腸内環境を整える効果を有する有胞子性乳酸菌と、コラーゲンと、コラーゲンの生合成の過程において、ヒドロキシプロリンの生合成に必須であるビタミンCと、ビタミンB6との相乗効果により、特に高い肌美容の改善効果を奏する。特に本実施形態に係る美容用飲食品、組成物、又は肌美容改善剤は、皮膚(肌)の弾力を改善する効果が更に一層高い。また、本飲食品、組成物、又は肌美容改善剤は、便通改善効果、体調改善効果等も併せ持つこともできる。また、本飲食品は、抗酸化剤としても用いることができる。
【0033】
本明細書の美容用飲食品、組成物、又は肌美容改善剤に含まれる植物抽出物、有胞子性乳酸菌、コラーゲン、ビタミンC、ビタミンB6の含有量については、特に制限はないが、好適な配合量としては、例えば、以下の配合量が挙げられる。
【0034】
植物抽出物の好適な配合量としては、例えば、一日当たり200〜400mg、より好ましくは300mgの摂取量が用いられる。
有胞子性乳酸菌の好適な配合量としては、例えば、一日当たり50〜100mg、より好ましくは80mgの摂取量が用いられる。
コラーゲンの好適な配合量としては、例えば、一日当たり800〜1200mg、より好ましくは1000mgの摂取量が用いられる。
ビタミンCの好適な配合量としては、例えば、一日当たり90〜150mg、より好ましくは100mgの摂取量が用いられる。
ビタミンB6の好適な配合量としては、例えば、一日当たり3〜10mg、より好ましくは5mgの摂取量が用いられる。
【0035】
最も好ましくは、本発明においては、一日当たり300mgの摂取量のスターフルーツ葉抽出物と、一日当たり80mgの摂取量の有胞子性乳酸菌と、一日当たり1000mgの摂取量の発酵コラーゲンペプチドと、一日当たり100mgの摂取量のビタミンCと、一日当たり5mgの摂取量のビタミンB6とを含む組成が用いられる。
【0036】
これらの成分が好適な配合量の範囲であれば、それらが相乗的に働くことにより、より高い効果と、飲み易さ等のバランスを取ることができる。特に、これらの成分は、一つの組成物内に上記の好適な配合量比で含まれることで、さらにより高い効果と、飲み易さ等のバランスを取ることができる。
【0037】
また、更なる実施形態は、コラーゲンがコラーゲンペプチドである、前述の美容用飲食品、組成物、肌美容改善剤又は抗酸化剤である。コラーゲンペプチドを用いることにより、コラーゲンの吸収性の低さと飲みにくさを改善することができる。より好ましくは、発酵コラーゲンペプチドが用いられ、これを用いた場合、より一層高い吸収率や効果を得ることができる。
【0038】
また、更なる実施形態は、顆粒状の形態で提供される、前述の美容用飲食品、組成物、肌美容改善剤又は抗酸化剤である。顆粒状であれば、大量のコラーゲンを摂取しやすい上に、水に溶かして飲むこともできる。もちろん、本発明の美容用飲食品、組成物、又は肌美容改善剤の形態はこれに限られず、タブレット(錠)状、チュアブル状、カプセル状、液(シロップ、ドリンク)状、クリーム状、粉末状、ゼリー状などの各種の形状又は剤形にすることができる。これらの製剤は、食品や医薬品の分野において通常用いられている製剤化技術等を用いることにより製造することができる。
【0039】
また、本発明の美容用飲食品は、飲食品としてどのような形態で提供されてもよく、調味料として、例えば、ステビア末、抹茶パウダー、レモンパウダー、はちみつ、ソルビドール、還元麦芽糖、乳糖、糖液などを用いてもよい。前述した様々な形状又は剤形に加え、具体的な飲食品として、例えば、ジュース類、ヨーグルト類、ショートニング、スプレッド類、マヨネーズ類、チョコクリーム、ごま豆腐、飴類、粉末飲料などの形に加工されていてもよい。
【0040】
また、本発明の美容用飲食品、組成物、肌美容改善剤又は抗酸化剤は、さらに、経口用の皮膚(肌)老化防止(予防)剤、皮膚(肌)の弾力性改善剤、抗皺剤、肌質改善剤、髪美容改善剤、便通改善剤、体調改善剤、体質改善剤として使用することもできる。
【0041】
また、前述の美容用飲食品、組成物、又は肌美容改善剤は、上記の有効成分以外にも、生理活性物質、(食品)原料、(食品)添加物などを適宜必要に応じて含有していてもよい。添加物・原料としては、例えば、食品等の製造・加工・保存に際して、添加・混和・浸潤その他の方法によって使用するものが挙げられ、例えば、賦形剤、増量剤、増粘剤、結合剤、滑沢剤、安定化剤、着色剤、乳化剤、可溶化剤、着色料、香味料、調味料、香辛料、甘味料、保存料、香料として通常用いられているようなものが挙げられる。
【0042】
なお、上記実施の形態により説明される美容用飲食品、組成物、肌美容改善剤又は抗酸化剤は、本願発明を限定するものではなく、例示することを意図して開示されているものである。本願発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載により定められるものであり、当業者は、特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲において種々の設計的変更が可能である。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらはそれぞれ一例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例で言及されている市販試薬は、特に示さない限りは製造者の使用説明もしくは定法に従い使用した。
【0044】
〔製造例〕
下記配合処方により、流動層造粒乾燥装置を用いて、スターフルーツ葉抽出物含有顆粒2gを製造した。
発酵コラーゲンペプチド 1,000mg
スターフルーツ葉抽出物 300mg
有胞子性乳酸菌 80mg
ビタミンC 100mg
ビタミンB6 5mg
糖アルコール(甘味料) 206mg
高甘味度甘味料 15mg
クエン酸 60mg
リン酸三カルシウム 40mg
香料 130mg
賦形剤 44mg
矯味剤 20mg
(スターフルーツ葉抽出物については、実施の形態で説明したようにして調製された抽出物を、丸善製薬株式会社から入手した)
【0045】
〔実施例1〕
美肌成分入り顆粒粉末食品の皮膚特性に関するヒト介入試験
製造例で得られたアルミシート入りスターフルーツ葉抽出物含有顆粒美容食品を摂取する群と、その美容食品と同一形状の水溶性デキストリン顆粒粉末(プラセボ群)を摂取する群の2群に分けた。
【0046】
1.試験概要
美容食品群12名、プラセボ群12名での二重盲験法にて試験を行った。
1)モニター属性
40±2歳で、肌の乾燥、たるみ、くすみが気になる女性で健康な一般女性をモニターとして用いた。1ヶ月前からサプリメント、漢方薬の摂取を禁止した。なお、薬常用者、花粉アレルギー、アトピー性皮膚炎、敏感肌、喫煙者、BMI値25以上、妊娠、授乳期の者は試験から除外した。
2)試用方法
各群、1日1回 1包(2g)を摂取した。
3)肌測定及びアンケート調査
肌測定は、試験開始前、2週間後、4週間後、8週間後及び試用中止4週間後の計5回測定及び肌状態アンケートを行い、モニター日誌は毎日記載した。肌状態アンケートは、1が最も悪い状態、7が最もよい状態での7段階で評価した。
【0047】
4)肌測定条件
クレンジング及び洗顔料にてダブル洗顔後、室温:22℃、湿度:50%RHに調整した環境試験室内で20分間座位安静後、測定した。
5)肌測定機器
肌弾力測定:キュートメーター、ヴィーナストロン
ロボスキンアナライザー(インフォワード社製)
アンケート採取:肌状態、体調体質、日誌
美容専門家による視診触診
【0048】
2.試験結果
一部の結果は、グラフを図に示した。
1)数値データ
<肌弾力改善効果>
美容食品摂取群の肌弾力(吸収回復率)の変化量は、プラセボ摂取群に対し、2週目、4週目、8週目ともに有意(p<0.05)に高くなり、美容食品摂取群にて肌弾力が改善していることが確認できた。結果のグラフを図1に示した。
<キメ係数>
美容食品摂取群において、数値が小さくなり、摂取経過と共にキメが整う方向に向かった。
【0049】
2)ロボスキン数値データ
<毛穴の縮小効果>
美容食品摂取群は、変化量の変化でプラセボ群と比較して2週目、4週目、8週目ともに毛穴が縮小する傾向にあり、特に4週目においては有意(p<0.05)に毛穴の数が減少した。
<色素沈着>
大きな色素沈着は美容食品摂取群の方が、プラセボ群と比較して減少する傾向にあった。
<眼下のしわ>
左右眼下のしわは、有意にしわ本数が減少した。また、右眼下で、プラセボ群と比較して、8週目で有意差(p<0.01)が認められ、摂取を中止してもその効果は持続した(p<0.05)。さらに、左眼下ではプラセボ群と比較して、8週目で有意(p<0.05)な改善が認められた。
【0050】
<肌状態(自己評価)>
2週目、4週目、8週目と摂取経過と共に肌全般に良くなる傾向であった。美容食品摂取群では、0週目と比較し、2週目、4週目、8週目において「はり」、「毛穴」、「キメ」、「肌の透明感」、「肌状態の総合評価」について有意な改善効果を示した。美容食品摂取終了4週間後の自己評価では、全般的に肌状態が試験開始前に戻る傾向にあった。「はり」、「毛穴」、「透明感」については、摂取中止後もその効果は持続した(p<0.05)。結果のグラフを図2に示した。
<肌状態(専門家による視診・触診)>
美容食品摂取群は、摂取経過と共にどの項目においても良好な方向に変化しているのに対し、プラセボ群では特に大きな変化は認められなかった。変化量で見ると美容食品摂取群は、プラセボ群と比較して2週目、4週目及び8週目で視診の「くすみ」、「くま」、「脂っぽさ」、「肌の赤み」、触診の「うるおい感」、「肌のはり」、「肌の柔軟性」、「総合評価」にて有意に良好な状態になった。摂取を中止すると、美容食品摂取群は肌状態が全般的に悪くなり試験開始前の状態に戻る傾向があった。
<肌写真の目視判定(専門家5名による)>
美容食品摂取群では、0週目と比較して、2週目の「頬・口元のたるみ」で有意に改善(P<0.05)が見られた。また、プラセボ群との比較では、8週目で「肌のかさつき」(p<0.05)で有意に良好な状態になった。
【0051】
<体調体質(自己評価)>
美容食品摂取群において、0週と比較して2週目および4週目の「便秘」、4週目、8週目の「髪のつや」(p<0.05)の項目で有意に体調の改善が見られた。また、プラセボ群との比較では、4週目の「お腹のはり」で有意(p<0.05)な改善がみとめられ、美容食品摂取を中止してもその効果は続いた。(p<0.05)
【0052】
〔実施例2〕
便秘改善効果試験
アンケート形式により、摂取後2週間目及び4週間目の改善効果をa)良くなった、b) やや良くなった、c)変わらない、d)やや悪くなった、のいずれかを選択する調査を行った。なお、もともと便秘で無いので分からない人は対象外とした。
【0053】
上記アンケートの結果、本発明の美容食品摂取群において、便秘の改善傾向が認められた。結果のグラフを図3に示した。
【0054】
〔実施例3〕
皮膚の老化や肌美容の悪化の一因として、活性酸素の影響が考えられているため、本発明の飲食品の抗酸化作用についても検討した。
紫外線等により発生する活性酸素(Rex M. Tyrrell et al., Photochem. Photobiol., 49,407-412(1989))は、皮膚に損傷を与えることが報告されている(Ryu et al.,Chem.Pharm.Bull.,45,1243-1247(1997))。このような酸素による悪影響を防ぐために、様々な抗酸化物質を含む美容食品が研究されてきた。
【0055】
上記事情に鑑み、本発明者らも、抗酸化作用による組織の安定化作用を調べる目的で、本発明の組成物の有する細胞に対する作用について、in vitroで検討した。具体的には、発酵コラーゲンペプチドのフリーラジカルに対する影響を調べた。
【0056】
1.試験方法
<ラジカル消去試験>
PBS(−)で調製した被検物質(対照はPBS(−)のみ)600μLにエタノールに溶解した1mMの1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH、和光純薬工業(株))6μLを混和して室温で10分間放置後、517nmでの吸光度を測定した。陽性対照物質は6−ハイドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸(Trolox)を用いた。Troloxは水に溶けにくいため、DMSOに溶解したTrolox1μL(対照はDMSOのみ)にエタノールに溶解した10μMのDPPH1mLを混和して室温で10分間放置後、517nmでの吸光度を測定した。
【0057】
2.試験結果
DPPHを用いたラジカル消去試験の結果、発酵コラーゲンペプチドに濃度依存的なラジカル消去作用、すなわち抗酸化作用が認められた(結果の一例を図4に示す)。

通常、コラーゲンは軟骨抽出物質として得ることができるが、このコラーゲンを含む軟骨抽出物それ自体は、抗酸化活性を有していないと報告されている(特開2008−273963、段落〔0054〕、オルソン、ベントクリスター)。また、コラーゲン等のタンパク質を利用した皮膚外用剤においては、酸化防止剤としてビタミン誘導体を添加する必要があった(特開2008−297241)。
【0058】
これに対し、本発明者らは、コラーゲンを加工した発酵コラーゲンペプチドそれ自体が抗酸化作用を有することを見出し、有効な配合成分として利用出来ることを明らかにした。
【0059】
従来、コラーゲン、スターフルーツ葉抽出物およびビタミンCが配合されている美容用飲食品では、非常に多量のコラーゲン(例えば5000mg)が用いられるため、例えば、服用時のコラーゲンの味等、食品としてはさらなる改善が望まれる状況であった。これに対し、発酵コラーゲンペプチドは通常のコラーゲンと比べて、体内の吸収性に優れる上、優れた抗酸化作用も有しているため、本願発明の美容食品は、配合するコラーゲンの量を低く抑え、かつ十分な抗酸化活性を有することに成功した。
【0060】
〔実施例4〕
美肌成分入り顆粒粉末食品の官能評価試験
本発明の主要成分であるスターフルーツ葉抽出物の配合割合を変化させたサンプルを調整し、アンケートによる官能評価試験を行った。
【0061】
1.試験概要
1)モニター属性
20〜60歳で、健康な一般男性10名及び女性12名をモニターとして用いた。なお、薬常用者、花粉アレルギー、アトピー性皮膚炎、敏感肌、喫煙者、BMI値25以上、妊娠、授乳期の者は試験から除外した。
2)サンプル調整
発酵コラーゲンペプチド1,000mg、有胞子性乳酸菌80mg、ビタミンC100mg、ビタミンB6 5mgの混合物に、スターフルーツ葉抽出物を各々加え(100mg、200mg、300mg、400mg、500mg)、スターフルーツ葉抽出物の配合割合を変化させたサンプルをそれぞれ調整した。
3)アンケート調査方法
下記、評価項目(あと味の良さ、飲み易さ、美味しさ、総合評価等)についてアンケートを行い、様々な評価尺度について官能評価を行った(一部を図5に示す)。アンケートは、VAS(Visual Analog Scale)法を用いた。VAS法とは、視覚的アナログ尺度と訳され、直接的な計測ができない感覚などを客観的に評価する方法である。すなわち、本願では、図5に示すように、各評価項目につき10cmのラインの左端を「悪い」とし、右端を「良い」として、摂取後の印象をそのライン上に印(斜線、丸記号など)を付けることで回答させた。次に、左端から印までの長さを測定し、ライン全長に占める割合を算出し、評価指数とした。指数の値が大きいほど望ましい評価結果を示すものである。
【0062】
4)試用条件
それぞれ調整したサンプルに40℃の温湯を10mL加え、スプーン(2mL用)を用いてほぼ均一になるようにかき混ぜた。その後同スプーンを用いて1回適量(数mg)を取った後摂取し、すぐに各項目についての評価を行った。
【0063】
2.試験結果
試験結果について、VAS法で得られた評価指数の平均値を算出した。評価項目の中で味覚(あと味の良さ、飲み易さ、美味しさ等)の各項目の平均値について下記表1に示した。さらに、総合評価は、図5に示す味覚や匂いに関する各項目の評価結果を踏まえ、対象となるサンプルについて好ましいか、再び摂取したいか等を総合的に評価した評価項目であり、その平均値を下記表1に示すとともに、グラフとして図6に示した。
【0064】
【表1】

【0065】
官能評価において、表1より、あと味の良さ、飲み易さ、美味しさ、総合評価の各項目について、スターフルーツ葉抽出物200〜400mg、特に300mgを添加したサンプルにおいて最も優れた結果となり、摂取時のコラーゲンの味等、それぞれの項目について改善されることが確認できた。
【0066】
以上の実施例の結果から、本発明の飲食品は、優れた美容効果、特に肌美容改善効果、抗酸化効果を奏し、さらに、摂取時のコラーゲンの味等も改善されたものであることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物抽出物と、有胞子性乳酸菌と、コラーゲンと、ビタミンCと、ビタミンB6とを含む美容用飲食品。
【請求項2】
前記植物抽出物がスターフルーツ葉抽出物である、請求項1に記載の美容用飲食品。
【請求項3】
前記コラーゲンが発酵コラーゲンペプチドである、請求項1又は2に記載の美容用飲食品。
【請求項4】
一日当たり200〜400mgの摂取量の植物抽出物を含む請求項1ないし3の何れか一項に記載の美容用飲食品。
【請求項5】
一日当たり50〜100mgの摂取量の有胞子性乳酸菌を含む請求項1ないし4の何れか一項に記載の美容用飲食品。
【請求項6】
一日当たり800〜1200mgの摂取量のコラーゲンを含む請求項1ないし5の何れか一項に記載の美容用飲食品。
【請求項7】
一日当たり90〜150mgの摂取量のビタミンCを含む請求項1ないし6の何れか一項に記載の飲食品。
【請求項8】
一日当たり3〜10mgの摂取量のビタミンB6を含む請求項1ないし7の何れか一項に記載の美容用飲食品。
【請求項9】
一日当たり300mgの摂取量のスターフルーツ葉抽出物と、一日当たり80mgの摂取量の有胞子性乳酸菌と、一日当たり1000mgの摂取量の発酵コラーゲンペプチドと、一日当たり100mgの摂取量のビタミンCと、一日当たり5mgの摂取量のビタミンB6とを含む請求項1に記載の美容用飲食品。
【請求項10】
植物抽出物と、有胞子性乳酸菌と、コラーゲンと、ビタミンCと、ビタミンB6とを含む肌美容改善剤。
【請求項11】
植物抽出物と、有胞子性乳酸菌と、コラーゲンと、ビタミンCと、ビタミンB6とを含む皮膚の弾力性改善剤。
【請求項12】
植物抽出物と、有胞子性乳酸菌と、コラーゲンと、ビタミンCと、ビタミンB6とを含む抗酸化剤。
【請求項13】
植物抽出物と、有胞子性乳酸菌と、コラーゲンと、ビタミンCと、ビタミンB6とを含む肌美容改善用組成物。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−178736(P2010−178736A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−816(P2010−816)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(591163694)全薬工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】