説明

股付き衣類

【課題】簡単に利用することができ、かつ、動きを自然に補助することができるO脚・蟹股を調整・矯正する股付き衣類を提供する。
【解決手段】少なくとも腰10Aから膝10Bまでの下半身を覆い、下腿10Cの下側2/3を覆わないいわゆる六分丈程度の股付き衣類であり、伸縮性生地よりなる本体部10を備える。本体部10は、一部に緊締力の強い帯状の緊締部12を有している。緊締部12は、恥骨前面121Aから長内転筋に対応して大腿部前側を斜め下方に向かい大腿部外側121Bまで伸長された第1の緊締部121を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋肉の起始部、停止部に対してできる限りアプローチすることにより、O脚又は蟹股を調整又は矯正する股付き衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
筋力の衰えたお年寄りや、筋力の弱い女性、又は筋肉の張りが弱い人などは、O脚又は蟹股になりやすく、それにより関節に無理な力が加わると、脚及び関節に痛みを生じる場合がある。従来、O脚又は蟹股を調整又は矯正するものとしては、大腿部にテーピングテープを巻き付ける方法などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2004/096105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、テーピングの場合、テープを巻くのに手間がかかるという問題や、専門知識のない者では巻くのが難しい場合があるという問題があった。また、テーピングで関節を固定すると、関節を動かさない場合は良いが、関節を動かすと無理な力が加わり、関節を痛めやすいという問題もあった。更に、テーピングの場合、内旋又は外旋については、現状の位置での固定で、正常な位置での固定ができにくく、関節を痛めやすいという問題もあった。
【0005】
なお、特許文献1には、腰部から大腿部の上部までを被覆する本体部に緊締力の強いサポートライン部を設けた股付き衣類が記載されており、サポートライン部は、大腿骨の長手方向の前側ラインよりも外側に対応する位置を下端とし、臀溝の内側端よりも外側に対応する位置を上端として、下端から前側ラインに対応する部分を通り、上端に向けてらせん状に巻かれている。しかし、特許文献1に記載のサポートライン部と、本発明の緊締部とは、配設位置が異なっている。また、特許文献1に記載の股付き衣類は、大腿部の上部までしか被覆していないので、膝関節を内旋させることができないという問題もあった。
【0006】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、簡単に利用することができ、かつ、不安定な関節の動きを自然に補助して、筋肉にアプローチすることができるO脚・蟹股の調整・矯正用の股付き衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の股付き衣類は、少なくとも腰から大腿部の上側1/2までの下半身を覆い、下腿の下側2/3を覆わないO脚・蟹股を調整・矯正するものであって、伸縮性生地よりなり、一部に、緊締力の強い帯状の緊締部を有する本体部を備え、緊締部は、恥骨前面から長内転筋に対応して大腿部前側を斜め下方に向かい大腿部外側まで伸長された第1の緊締部を有するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の股付き衣類によれば、恥骨前面から長内転筋に対応して大腿部前側を斜め下方に向かい大腿部外側まで伸長された第1の緊締部を有するようにしたので、第1の緊締部の緊締力により、股関節の内転及び屈曲を補助し、脚を上げた時に自然と股関節を内転させ、その状態で脚を着地させることができる。よって、着用するだけで簡単にO脚・蟹股を調整・矯正することができる。
【0009】
また、この股付き衣類によれば、下腿の下側2/3を覆わないようにしたので、下腿に外的な力が加わらず自然な状態とすることができる。よって、股関節又は膝関節を動かす際に、緊締部で弱った筋肉に対してアプローチすることにより、正常な本来ある位置に戻り、安定して無理な力が加わることを抑制することができる。よって、脚を動かしながら自然にO脚・蟹股を調整・矯正することができる。
【0010】
更に、第1の緊締部を内側下方に向かって凸状に湾曲させるようにすれば、または、第1の緊締部の中心線が、股の高さと膝蓋骨の中心位置の高さとの中間位置の高さにおいて、前側中央ラインから内側中央ラインに向かい1/4以上3/4以下の範囲内の第1領域を通ると共に、前側中央ラインにおいて、前記中間位置の高さから膝蓋骨の中心位置の高さに向かい1/4以上3/4以下の範囲内の第2領域を通るようにすれば、より高い効果を得ることができる。
【0011】
加えて、坐骨結節又は坐骨結節の下近傍から半腱様筋又は半膜様筋に対応して大腿部後側を下方に向かい、脛骨内側課、脛骨粗面、又は脛骨内側課と脛骨粗面との間の領域まで伸長された第2の緊締部を有するようにすれば、第2の緊締部の緊締力により、膝半屈曲時の下腿内旋及び膝関節内旋を補助し、脚を上げた時に自然と膝関節及び下腿を内旋させ、その状態で脚を着地させることができる。よって、より効果的にO脚・蟹股を調整・矯正することができる。
【0012】
更にまた、転子間稜又は転子間稜の下近傍から大腿部後側を斜め下方に向かい、脛骨内側課、脛骨粗面、又は脛骨内側課と脛骨粗面との間の領域まで伸長された第3の緊締部を有するようにすれば、第3の緊締部の緊締力により、脚を上げた時に、大腿骨上端部が支点となって骨盤が後方に引かれ、骨盤前傾による腰痛を予防することができる。また、股関節の内旋及び内転を正常な位置に調整・矯正することができる。よって、より効果的にO脚・蟹股を調整・矯正することができる。
【0013】
加えてまた、後側臀部において坐骨結節又は坐骨結節の下近傍を通り、後側から前側に向かって上前腸骨と股関節との間を通り、腹部前面側まで伸長された第4の緊締部を有するようにすれば、本体部を臀部に密着させて固定することにより、緊締部の効果を高めることができる。よって、より効果的にO脚・蟹股を調整・矯正することができる。
【0014】
更にまた、本体部の下端部に、脚に締め付ける脚締め付け部を設けるようにすれば、本体部の下端部を脚に密着させて固定することにより、緊締部の効果を高めることができる。よって、より効果的にO脚・蟹股を調整・矯正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る股付き衣類を前から見た構成を表す図である。
【図2】図1に示したIII線に沿った構成を説明するための図である。
【図3】図1に示した股付き衣類を後から見た構成を表す図である。
【図4】図1に示した股付き衣類を脇から見た構成を表す図である。
【図5】図1に示した股付き衣類の内股の構成を表す図である。
【図6】O脚又は蟹股の状態を示す図である。
【図7】図1に示した股付き衣類を着用した状態を表す図である。
【図8】図1に示した股付き衣類を着用した状態を表す他の図である。
【図9】図1に示した股付き衣類を着用した状態を表す更に他の図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る股付き衣類を前から見た構成を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る股付き衣類を前から見た構成を表すものであり、図2は図1に示したIII線に沿った構成を説明するものであり、図3は後から見た構成を表すものであり、図4は脇から見た構成を表すものであり、図5は内股の構成を表すものである。なお、図1から図5では、対応する人体の骨格を破線により合わせて表している。
【0018】
この股付き衣類は、少なくとも腰10Aから膝10Bまでの下半身を覆い、下腿10Cの下側2/3を覆わないいわゆる五分丈から七分丈程度のものであり、伸縮性生地よりなる本体部10を備えている。この股付き衣類では、下腿10Cの下側2/3を覆わないことにより、下腿10Cに外的な力を加えずに自然な状態とし、股関節10D又は膝関節10Eを動かす際に無理な力が加わることを抑制することができるようになっている。なお、この股付き衣類は、ズボン、スパッツ、ストッキング、サポーター、ガードル、又はインナー等、股付きであれば名称に関係なくどのようなものでもよい。
【0019】
本体部10は、少なくとも腰10Aから膝10Bまでの下半身を全体にわたって覆う股付きの被覆部11と、本体部10の一部に設けられた緊締力の強い帯状の緊締部12とを有している。被覆部11は、体を強く締め付けない方が好ましく、体に沿う程度の伸縮性を有する生地により構成することが好ましい。体を自然な状態とし、体を動かす際に無理な力が加わらないようにするためである。緊締部12は、例えば、被覆部11よりも強い緊締力を有する生地、パワーネット等により構成され、被覆部11に対して縫い合わせたり又は貼り合わせることにより配設されている。緊締部12の幅は、例えば、3cmから8cm程度であり、全体にわたり同一でもよいが、場所に応じて異なっていてもよい。
【0020】
緊締部12は、恥骨前面121Aから長内転筋に対応して大腿部前側を斜め下方に向かい大腿部外側121Bまで伸長された第1の緊締部121を有している。股関節10Dの内転及び屈曲を補助し、脚を上げた時に自然と股関節10Dを内転させるためである。なお、長内転筋は、起始を恥骨前面121A、停止を大腿骨粗線の内側唇の中部半分とし、股関節内転及び股関節屈曲の補助を機能とする筋肉である。大腿部外側121Bというのは、大腿部の上下方向の前側中央ライン121Cよりも外側(脇側)を言い、前側中央ライン121Cというは、例えば、前側から見て股関節10Dの中心と膝蓋骨10Fの中心とを通る大腿部の前側に沿った線である。第1の緊締部121の下端部は、大腿部の前側中央ライン121Cを越える位置まで伸長されていればよいが、脇まで伸長されていた方が好ましい。股関節10Dを内転させる力をより強く働かせることができるからである。また、第1の緊締部121は、内側下方に向かって凸状に湾曲していることが好ましい。股関節10Dを内転させる力をより強く働かせることができるからである。
【0021】
更に、例えば図2に示したように、第1の緊締部121の中心線が、股の高さIと膝蓋骨10Fの中心位置の高さIIとの中間位置の高さIIIにおいて、前側中央ライン121Cから内側中央ライン121Dに向かい、1/4以上3/4以下の範囲内の第1領域121Eを通るように構成されていれば好ましく、1/3以上2/3以下の範囲内を通るように構成されていればより好ましい。加えて、例えば図1に示したように、第1の緊締部121の中心線が、前側中央ライン121Cにおいて、股の高さIと膝蓋骨10Fの中心位置の高さIIとの中間位置の高さIIIから、膝蓋骨10Fの中心位置の高さIIに向かい、1/4以上3/4以下の範囲内の第2領域121Fを通るように構成されていれば好ましく、1/3以上2/3以下の範囲内を通るように構成されていればより好ましい。股関節10Dを内転させる力をより強く働かせることができるからである。なお、図2は、股の高さIと膝蓋骨10Fの中心位置の高さIIとの中間位置の高さIIIにおいて、大腿部を輪切りにした状態を簡略化して表しており、下が前側、右が内側である。また、第1の緊締部121の中心線というのは、第1の緊締部121の幅方向における中心位置を結ぶ線である。内側中央ライン121Dというのは、大腿部の内側中央において上下方向に伸びる線であり、例えば、直立した状態で大腿骨の内側上顆の内転筋結節121Gを通り大腿部の内側に沿って上下方向に伸ばした線である。
【0022】
緊締部12は、また、坐骨結節122A又は坐骨結節122Aの下近傍から半腱様筋又は半膜様筋に対応して大腿部後側を下方に向かい、脛骨内側課122B、脛骨粗面122C、又は脛骨内側課122Bと脛骨粗面122Cとの間の領域122Dまで伸長された第2の緊締部122を有していることが好ましい。膝半屈曲時の下腿内旋及び膝半屈曲時の膝関節内旋を補助し、脚を上げた時に自然と膝関節10E及び下腿10Cを内旋させることができるからである。なお、半腱様筋は、起始を坐骨結節122Aの上内部のくぼみ、停止を脛骨内側面の上部122Eとし、膝半屈曲時の下腿内旋を機能とする筋肉である。半膜様筋は、起始を坐骨結節122Aの上部及び外側面、停止を脛骨内側課122Bの内後面とし、膝半屈曲時の膝関節内旋を機能とする筋肉である。第2の緊締部122の下端部は、脛骨内側課122Bよりも脛骨内側課122Bと脛骨粗面122Cとの間の領域122Dまで伸長されていた方が好ましく、脛骨粗面122Cまで伸長されていればより好ましい。脛骨の前側の方まで巻き回すことにより、膝関節10E及び下腿10Cを内旋させる力をより強く働かせることができるからである。
【0023】
緊締部12は、更に、転子間稜123A又は転子間稜123Aの下近傍から大腿部後側を斜め下方に向かい、脛骨内側課122B、脛骨粗面122C、又は脛骨内側課122Bと脛骨粗面122Cとの間の領域122Dまで伸長された第3の緊締部123を有していることが好ましい。脚を上げた時に、大腿骨上端部が支点となって骨盤が後方に引かれ、骨盤前傾による腰痛を予防することができると共に、股関節10Dの内旋及び内転を正常な位置に調整・矯正することができるからである。第3の緊締部123の上端部は、転子間稜123A又はそれよりも下とし、大転子123Bまで伸長しないことが好ましい。大転子123Bまで伸長すると引っ張る強さが強くなりすぎ、大腿骨が外転される恐れがあるからである。第3の緊締部123の下端部は、脛骨内側課122Bよりも脛骨内側課122Bと脛骨粗面122Cとの間の領域122Dまで伸長されていた方が好ましく、脛骨粗面122Cまで伸長されていればより好ましい。股関節10Dの内旋及び内転を調整・矯正する力をより強く働かせることができるからである。なお、第3の緊締部123の下端部は、第2の緊締部122の下端部と重なっていてもよく、ずれていてもよい。
【0024】
緊締部12は、加えて、後側臀部において坐骨結節122A又は坐骨結節122Aの下近傍を通り、後側から前側に向かって上前腸骨124Aと股関節10Dとの間を通り、腹部前面側124Bまで伸長された第4の緊締部124を有していることが好ましい。本体部10を臀部において密着させて固定することにより、第1の緊締部121、第2の緊締部122及び第3の緊締部123の効果を高めることができるからである。なお、第4の緊締部124は、第2の緊締部122の上端部又は第3の緊締部123の上端部と重なっていてもよい。
【0025】
本体部10の下端部には、膝10Bの下において脚に締め付ける脚締め付け部21が設けられていることが好ましい。本体部10の下端部を脚に密着させて固定することにより、第1の緊締部121、第2の緊締部122及び第3の緊締部123の効果を高めることができるからである。脚締め付け部21は、例えば、ゴムなどの伸縮部材により構成するようにしてもよく、面状ファスナーなどにより体に合わせて締め付けるようにしてもよい。本体部10の上端部には、例えば、腰10Aに締め付けて固定するためのゴムなどの伸縮部材よりなる腰締め付け部22が設けられていてもよい。
【0026】
図6から図9は、この股付き衣類の機能を説明するためのものであり、図6はO脚又は蟹股の状態を表すもの、図7は第1の緊締部121を設けた股付き衣類を着用した状態を表すもの、図8は第1の緊締部121及び第2の緊締部122を設けた股付き衣類を着用した状態を表すもの、図9は更に第3の緊締部123を設けた股付き衣類を着用した状態を表すものである。なお、図6から図9において、(A)は直立した状態を表し、(B)及び(C)は歩行の状態を表している。また、図7から図9の(A)では、緊締部12の位置を合わせて示している。
【0027】
図6に示したように、O脚又は蟹股の場合、股関節10Dが外転し、下腿10C及び膝関節10Eが外旋しており、股が開いて、膝10Bが外を向いた状態となっている。これに対して、第1の緊締部121を設けた股付き衣類を着用した場合には、例えば図7に示したように、第1の緊締部121の緊締力により、股関節10Dの内転及び屈曲が補助され、脚を上げた時に自然と股関節10Dが内転し、その状態で脚が着地する。よって、股が閉じた状態となる。
【0028】
また、第1の緊締部121に加えて第2の緊締部122を設けた股付き衣類を着用した場合には、例えば図8に示したように、第2の緊締部122の緊締力により、膝半屈曲時の下腿内旋及び膝関節内旋が補助され、脚を上げた時に自然と膝関節10E及び下腿10Cが内旋し、その状態で脚が着地する。よって、膝10Bが前を向いた状態となる。
【0029】
更に、第1の緊締部121及び第2の緊締部122に加えて第3の緊締部123を設けた股付き衣類を着用した場合には、例えば図9に示したように、第3の緊締部123の緊締力により、脚を上げた時に、大腿骨上端部が支点となって骨盤が後方に引かれると共に、股関節10Dの内旋及び内転が正常な位置に調整・矯正される。
【0030】
このように、本実施の形態に係る股付き衣類によれば、恥骨前面121Aから長内転筋に対応して大腿部前側を斜め下方に向かい大腿部外側121Bまで伸長された第1の緊締部121を有するようにしたので、第1の緊締部121の緊締力により、股関節10Dの内転及び屈曲を補助し、脚を上げた時に自然と股関節10Dを内転させ、その状態で脚を着地させることができる。よって、着用するだけで簡単にO脚・蟹股を調整・矯正することができる。
【0031】
また、この股付き衣類によれば、少なくとも腰10Aから膝10Bまでの下半身を覆い、下腿10Cの下側2/3を覆わないようにしたので、下腿10Cに外的な力が加わらず自然な状態とすることができる。よって、股関節10D又は膝関節10Eを動かす際に、緊締部12で弱った筋肉に対してアプローチすることにより、正常な本来ある位置に戻り、安定して無理な力が加わることを抑制することができる。よって、脚を動かしながら自然にO脚・蟹股を調整・矯正することができる。
【0032】
更に、第1の緊締部121を内側下方に向かって凸状に湾曲させるようにすれば、または、第1の緊締部121の中心線が、股の高さIと膝蓋骨10Fの中心位置の高さIIとの中間位置の高さIIIにおいて、前側中央ライン121Cから内側中央ライン121Dに向かい1/4以上3/4以下の範囲内の第1領域121Eを通ると共に、前側中央ライン121Cにおいて、前記中間位置の高さIIIから膝蓋骨10Fの中心位置の高さIIに向かい1/4以上3/4以下の範囲内の第2領域121Fを通るようにすれば、より高い効果を得ることができる。
【0033】
加えて、坐骨結節122A又は坐骨結節122Aの下近傍から半腱様筋又は半膜様筋に対応して大腿部後側を下方に向かい、脛骨内側課122B、脛骨粗面122C、又は脛骨内側課122Bと脛骨粗面122Cとの間の領域122Dまで伸長された第2の緊締部122を有するようにすれば、第2の緊締部122の緊締力により、膝半屈曲時の下腿内旋及び膝関節内旋を補助し、脚を上げた時に自然と膝関節10E及び下腿10Cを内旋させ、その状態で脚を着地させることができる。よって、より効果的にO脚・蟹股を調整・矯正することができる。
【0034】
更にまた、転子間稜123A又は転子間稜123Aの下近傍から大腿部後側を斜め下方に向かい、脛骨内側課122B、脛骨粗面122C、又は脛骨内側課122Bと脛骨粗面122Cとの間の領域122Dまで伸長された第3の緊締部123を有するようにすれば、第3の緊締部123の緊締力により、脚を上げた時に、大腿骨上端部が支点となって骨盤が後方に引かれ、骨盤前傾による腰痛を予防することができる。また、股関節10Dの内旋及び内転を正常な位置に調整・矯正することができる。よって、より効果的にO脚・蟹股を調整・矯正することができる。
【0035】
加えてまた、後側臀部において坐骨結節122A又は坐骨結節122Aの下近傍を通り、後側から前側に向かって上前腸骨124Aと股関節10Dとの間を通り、腹部前面側124Bまで伸長された第4の緊締部124を有するようにすれば、本体部10を臀部に密着させて固定することにより、緊締部12の効果を高めることができる。よって、より効果的にO脚・蟹股を調整・矯正することができる。
【0036】
更にまた、本体部10の下端部に、脚に締め付ける脚締め付け部21を設けるようにすれば、本体部10の下端部を脚に密着させて固定することにより、緊締部12の効果を高めることができる。よって、より効果的にO脚・蟹股を調整・矯正することができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る股付き衣類の構成を表すものである。この股付き衣類は、第1の実施の形態とは丈の長さ及び緊締部12の構成が異なることを除き、第1の実施の形態と同様の構成を有している。よって、第1の実施の形態と対応する構成要素には、同一の符号を付し、同一部分についての詳細な説明を省略する。
【0038】
この股付き衣類は、緊締部12として第1の緊締部121を備え、第2の緊締部122及び第3の緊締部123を備えないものである。第4の緊締部124は備えていてもいなくてもよい。このように、第2の緊締部122及び第3の緊締部123を備えない場合には、丈の長さを少なくとも腰10Aから大腿部の上側1/2までの下半身を覆い、膝10Bから下を覆わない、いわゆる三分丈から五分丈程度としてもよい。被覆部11は、少なくとも腰10Aから大腿部の上側1/2までの下半身を全体にわたって覆うように構成され、脚締め付け部21は、膝10Bの上方において脚を締め付けるように構成される。この股付き衣類によれば、第1の実施の形態と同様に、第1の緊締部121により簡単にO脚・蟹股を調整・矯正することができると共に、膝10Bから下を自然な状態とするので、股関節10D又は膝関節10Eを動かす際に、正常な本来ある位置に戻すことができ、無理な力が加わることを抑制することができる。
【0039】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、第1の緊締部121、第2の緊締部122、第3の緊締部123、第4の緊締部124を有する場合について説明したが、全てを有していなくてもよく、他の緊締部を有していてもよい。また、上記実施の形態では、本体部10に加えて、脚締め付け部21、更には腰締め付け部22を備える場合について説明したが、備えていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
O脚又は蟹股を調整又は矯正する股付き衣類に適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
10…本体部、10A…腰、10B…膝、10C…下腿、10D…股関節、10E…膝関節、10F…膝蓋骨、11…被覆部、12…緊締部、121…第1の緊締部、121A…恥骨全面、121B…大腿部外側、121C…前側中央ライン、121D…内側中央ライン、121E…第1領域、121F…第2領域、121G…内転筋結節、122…第2の緊締部、122A…坐骨結節、122B…脛骨内側課、122C…脛骨粗面、122D…脛骨内側課と脛骨粗面との間の領域、122E…脛骨内側面の上部、123…第3の緊締部、123A…転子間稜、123B…大転子、124…第4の緊締部、124A…上前腸骨、124B…腹部全面側、21…脚締め付け部、22…腰締め付け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも腰から大腿部の上側1/2までの下半身を覆い、下腿の下側2/3を覆わないO脚・蟹股を調整・矯正する股付き衣類であって、
伸縮性生地よりなり、一部に、緊締力の強い帯状の緊締部を有する本体部を備え、
前記緊締部は、恥骨前面から長内転筋に対応して大腿部前側を斜め下方に向かい大腿部外側まで伸長された第1の緊締部を有する
ことを特徴とする股付き衣類。
【請求項2】
前記第1の緊締部は、内側下方に向かって凸状に湾曲していることを特徴とする請求項1に記載の股付き衣類。
【請求項3】
前記第1の緊締部の中心線は、股の高さと膝蓋骨の中心位置の高さとの中間位置の高さにおいて、前側中央ラインから内側中央ラインに向かい1/4以上3/4以下の範囲内の第1領域を通ると共に、前側中央ラインにおいて、前記中間位置の高さから膝蓋骨の中心位置の高さに向かい1/4以上3/4以下の範囲内の第2領域を通ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の股付き衣類。
【請求項4】
前記緊締部は、更に、坐骨結節又は坐骨結節の下近傍から半腱様筋又は半膜様筋に対応して大腿部後側を下方に向かい、脛骨内側課、脛骨粗面、又は脛骨内側課と脛骨粗面との間の領域まで伸長された第2の緊締部を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1に記載の股付き衣類。
【請求項5】
前記緊締部は、更に、転子間稜又は転子間稜の下近傍から大腿部後側を斜め下方に向かい、脛骨内側課、脛骨粗面、又は脛骨内側課と脛骨粗面との間の領域まで伸長された第3の緊締部を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1に記載の股付き衣類。
【請求項6】
前記緊締部は、更に、後側臀部において坐骨結節又は坐骨結節の下近傍を通り、後側から前側に向かって上前腸骨と股関節との間を通り、腹部前面側まで伸長された第4の緊締部を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1に記載の股付き衣類。
【請求項7】
前記本体部の下端部には、脚に締め付ける脚締め付け部が設けられたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1に記載の股付き衣類。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−202333(P2011−202333A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129495(P2010−129495)
【出願日】平成22年6月6日(2010.6.6)
【特許番号】特許第4551979号(P4551979)
【特許公報発行日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(309041801)
【Fターム(参考)】