説明

肢体機能回復支援装置

【課題】障害者の障害程度の応じて適切なモデル動作を表示して訓練動作を指示し、この訓練動作を確実に補助する肢体機能回復支援装置を提供する。
【解決手段】障害者に対して肢体機能を回復させる訓練動作のモデルとなるモデル動作を表示手段1に表示及び報知し、この表示及び報知されるモデル動作を参考として障害者が肢体機能の訓練動作を実行する際に、当該訓練動作を動作補助手段2が補助し、この訓練動作を実行する障害者から生体信号を生体信号検出手段3が検出し、この検出された生体信号に基づき前記動作補助手段2を駆動制御手段6が駆動制御し、この検出された生体信号に基づいて前記モデル動作を維持し又は修正して前記表示手段1の表示及び報知の動作を表示制御手段8が制御する。障害者の障害程度に応じた最適なモデル動作を障害者の生体信号に基づいて維持又は修正できることとなり、障害者の訓練動作を確実に補助することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害者、患者、高齢者等(以下、障害者という。)の肢体機能を回復させる訓練動作を支援する肢体機能回復支援装置に関し、特に回復動作の手本となるモデル動作を障害者の肢体機能程度に適合させて表示する肢体機能回復支援装置に関する。
【0002】
近年、少子高齢化の急速な親展に伴い、要介護者の増加と介護者不足の問題が深刻になってきた。事故や脳卒中等の後に運動機能を回復させるリハビリテーション(以下、リハビリという。)では、患者の症状に応じた対応が必要であり、現在では理学療法士(PT)や作業療法士(OT)によるマンツーマンのリハビリが一般的であるため、最先端のロボット技術を用いたリハビリ支援ロボット信号である肢体機能回復支援装置の開発が期待されている。
【背景技術】
【0003】
従来、この種の肢体機能回復支援装置として特開2002−35063号公報(特許文献1)、特開2000−189475号公報(特許文献2)、その他の特許文献に記載されるものがあり、これを図6及び図7に示す。
【0004】
前記図6において特許文献1に係る従来技術は、あらかじめ設定した軌道に沿って動かす患者100の肢体101が発生する負荷を計測する負荷計測手段501と、前記負荷の大きさと方向により前記設定軌道にそって肢体駆動装置の目標位置を進める教示点の更新手段502と、前記目標位置に肢体駆動装置先端を駆動する装置先端駆動手段503と、前記負荷の前記設定軌道に対する接線あるいは法線方向の成分を視覚・聴覚・触覚の情報として提示する情報提示手段504、505とを備える構成である。
【0005】
この構成に基づいてこの従来技術は、全身機能低下を矯正し筋・骨格系統の機能を改善し健康状態を維持・改善する目的で、リラクセーションや関節可動域訓練や筋力増強訓練や持続力増強訓練や協調性訓練や神経筋再教育やその他の訓練を行う、いわゆる運動療法を簡易に実施できる肢体駆動装置において、いわゆる運動療法のうち、患者の微弱な筋力発生を伴う運動訓練、すなわち自動介助運動を提供でき、なおかつ従来の自分で出している力の程度を自分自身で十分に認識できずに漠然と運動していた問題を解決できる。
【0006】
また、前記図7において特許文献2に係る従来技術は、患者の肢体を支えて運動させる機構部601と、機構部601に設けられて患者の肢体にかかる負荷を計測する負荷計測手段602と、機構部601が動作してたどる軌道を予め設定する軌道設定手段603と、軌道設定手段603に設定された設定軌道を負荷計測手段602から得られる負荷の大きさと方向に沿って修正する軌道修正手段604とを有し、軌道修正手段604は、負荷計測手段602の負荷情報を受けると、機構部601が駆動する負荷の仮想慣性、仮想粘性、仮想剛性でなる2次系動力学モデルまたは仮想粘性、仮想剛性でなる1次系動力学モデルの何れかと、積分項の演算をする演算器とを持つ仮想インピーダンスモデルを用いて位置偏差を求め、軌道設定手段603の軌道情報にその位置偏差を加算して軌道を修正する構成である。
【0007】
この構成に基づいてこの従来技術は、患者の肢体にかかる負荷を計測する負荷計測手段602と、負荷の大きさと方向に沿って設定軌道を修正する軌道修正手段604とを備え、肢体への急激な過負荷を防止しながら、目標とする関節可動域訓練、および筋肉に定常的な負荷をかけるストレッチ訓練を実施するので、肢体への急激な過負荷を防止しながら関節可動域訓練・筋肉のストレッチ訓練を実施するには不十分であるという従来の問題と、訓練をする際に目標関節可動域を越えて肢体がオーバーシュートするという従来の問題を解決できる
【特許文献1】特開2002−35063号公報
【特許文献2】特開2000−189475号公報
【特許文献3】特開2001−54507号公報
【特許文献4】特開2004−129698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術は、いずれも患者(障害者に相当)が自己の訓練動作を認識でき、また訓練動作が急激な過負荷となることを防止することができても、訓練動作の手本となるモデル動作を表示することができず、訓練動作を実行する際に患者(障害者に相当)が予め設定された軌道に沿って装置先端駆動手段503又は機構部601の動きに伴って訓練動作を行うこととなり、患者自身の意志に基づく筋力により訓練動作を行えないという課題を有する。
【0009】
また、訓練動作の手本となるモデル動作を表示画面に表示して訓練を行う患者に見せる肢体機能回復支援装置も存在するが、リハビリを行うためには動作支援(パワーアシスト)が重要であるが、この動作支援リハビリシステムは、単純な動作を繰り返したり、予め教示した動作を繰り返すに止まるものであり、各患者の状態に応じて適切な動作支援を行うことができないという課題を有する。
【0010】
本発明は、前記課題を解消するためになされたもので、障害者の障害程度の応じて適切なモデル動作を表示して訓練動作を指示し、この訓練動作を確実に補助する肢体機能回復支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る肢体機能回復支援装置は、障害者に対して肢体機能を回復させる訓練動作のモデルとなるモデル動作を表示及び/又は報知する表示手段と、前記表示手段にて表示及び/又は報知されるモデル動作を参考として障害者が肢体機能の訓練動作を実行する際に、当該訓練動作を補助する動作補助手段と、前記訓練動作を実行する障害者から生体信号を検出する生体信号検出手段と、前記検出された生体信号に基づき前記動作補助手段を駆動制御する駆動制御手段と、前記検出された生体信号に基づいて前記モデル動作を維持し又は修正して前記表示手段の表示及び/又は報知の動作を制御する表示制御手段とを備えるものである。
【0012】
このように本発明においては、障害者に対して肢体機能を回復させる訓練動作のモデルとなるモデル動作を表示手段に表示及び/又は報知し、この表示及び/又は報知されるモデル動作を参考として障害者が肢体機能の訓練動作を実行する際に、当該訓練動作を動作補助手段が補助し、この訓練動作を実行する障害者から生体信号を生体信号検出手段が検出し、この検出された生体信号に基づき前記動作補助手段を駆動制御手段が駆動制御し、この検出された生体信号に基づいて前記モデル動作を維持し又は修正して前記表示手段の表示及び/又は報知の動作を表示制御手段が制御するようにしているので、障害者の障害程度に応じた最適なモデル動作を障害者の生体信号に基づいて維持又は修正できることとなり、障害者の訓練動作を確実に補助することができるという効果を奏する。
【0013】
また、本発明に係る肢体機能回復支援装置は必要に応じて、検出された生体信号及び/又は動作補助手段の補助位置に基づいて訓練動作における障害者の姿勢を特定する姿勢特定手段と前記指定された特定姿勢及び/又は前記検出された生体信号に基づいて動作補助手段による補助動作を指令する指令信号を演算する補助動作演算手段とを備え、前記演算された指令信号に基づいて駆動制御手段が動作補助手段を駆動制御するものである。
【0014】
このように本発明においては、検出された生体信号及び/又は動作補助手段の補助位置に基づいて訓練動作における障害者の姿勢を姿勢特定手段が特定し、この特定された特定姿勢及び/又は前記検出された生体信号に基づいて動作補助手段による補助動作を指令する指令信号を補助動作演算手段により演算するようにしているので、この演算された指令信号に基づいて駆動制御手段が動作補助手段を駆動制御して障害者の訓練動作を補助できることとなり、障害者の自覚していない又は認識していない場合であっても訓練時の姿勢又は生体信号でより精密且つ正確な補助動作が可能となる。
【0015】
また、本発明に係る肢体機能回復支援装置は必要に応じて、検出された生体信号及び/又は特定された障害者の姿勢に基づいて次に表示する次モデル動作を演算して決定するモデル動作決定手段を備え、当該決定された次モデル動作を表示制御手段により表示手段に表示させるものである。
【0016】
このように本発明においては、検出された生体信号及び/又は特定された障害者の姿勢に基づいて次に表示する次モデル動作をモデル動作決定手段が演算して決定して表示手段で表示するようにしているので、障害者の真の障害程度に応じたモデル動作を決定して障害者に表示による指示ができることとなり、より障害程度に則した適正且つ精密な補助動作ができる。
【0017】
また、本発明に係る肢体機能回復支援装置は必要に応じて、障害者の可動限界値を検出するための予め設定されたテストパターン動作を出力するテストパターン動作出力手段と、前記テストパターン動作を表示制御手段が表示手段に表示及び/又は報知し、当該表示及び/又は報知されたテストパターン動作に基づいて訓練動作する障害者から検出される生体信号に基づいて障害者の可動限界値を検出する限界値検出手段とを備えるものである。
【0018】
このように本発明においては、障害者の可動限界値を検出するための予め設定されたテストパターン動作をテストパターン動作にて出力手段出力し、このテストパターン動作を表示制御手段が表示手段に表示及び/又は報知し、この表示及び/又は報知されたテストパターン動作に基づいて訓練動作する障害者から検出される生体信号に基づいて障害者の可動限界値を限界値検出手段が検出するようにしているので、訓練動作の前に予め障害者の可動限界値を知ることができることとなり、障害者に対する訓練動作の指示をより正確且つ緻密な補助動作ができる。
【0019】
また、本発明に係る肢体機能回復支援装置は必要に応じて、動作補助手段で補助された障害者の訓練動作を撮像する撮像手段を備え、前記表示手段にモデル動作と撮像された訓練動作とを表示するものである。
【0020】
このように本発明においては、動作補助手段で補助された障害者の訓練動作を撮像手段が撮像し、この撮像された訓練動作を表示手段にモデル動作と共に表示するようにしているので、障害者の訓練動作と指示されたモデル動作との相違を正確且つ迅速に認識できることとなり、訓練動作をより確実に実行できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る肢体機能回復支援装置を図1ないし図3に基づいて説明する。この図1は本実施形態に係る肢体機能回復支援装置のブロック構成図、図2は図1に記載の肢体機能回復支援装置の動作フローチャート、図3は図2におけるステップ11及びステップ12の詳細動作フローチャートを示す。
【0022】
前記各図において本実施形態に係る肢体機能回復支援装置は、障害者のリハビリ部位に対して肢体機能を回復させるモデル動作を表示する表示手段1と、この表示手段1が表示するモデル動作を参考として、障害者が肢体機能の訓練動作を実行する際に、この訓練動作を補助する動作補助手段2と、この訓練動作を行う障害者から生体信号である筋電信号(EMG)を検出する生体信号検出手段3と、この検出された筋電信号及び/又は動作補助手段の補助位置に基づいて訓練動作における障害者の姿勢を特定する姿勢特定手段4と、特定された障害者の姿勢(以下、特定姿勢という。)及び筋電信号に基づいて前記動作補助手段2による補助動作を指令する指令信号を演算する補助動作演算手段5と、指令信号に基づいて前記動作補助手段2を駆動制御する駆動制御手段6と、前記検出された筋電信号及び特定姿勢に基づいてモデル動作を決定するモデル動作決定手段7と、この決定されたモデル動作を表示手段1への表示を制御する表示制御手段8とを備える構成である。
【0023】
前記動作補助手段2は、表示手段1の表示画面に対向して配置され、椅子状に座面及び背もたれ部を有する本体部21と、この背もたれ部の側面に取付けられる各アーム毎に駆動できるアーム機構からなる補助アーム22と、この本体部21内に信号され、この補助アーム22を油圧(又はモータ)で駆動する駆動部23とを備える構成である。この補助アーム22は、アーム構成の各アームを油圧により駆動されるか、又は各アームの接続部に配設されるモータ回転により駆動される構成である。
【0024】
前記生体信号検出手段3は、障害者の障害部位を動かす筋肉に近い皮膚に貼着する検出パッド31を備え、この検出パッド31で筋力から出力される筋電信号を検出する構成である。なお、この生体信号検出手段3は、筋電信号以外に、脳波、脈拍、顔の表情、眼球の動き、交感神経及び副交換神経の比率等からなる生体信号を検出する構成とすることもできる。
【0025】
前記姿勢特定手段4は、検出パッド31が貼着される近傍の各筋肉の位置と、この各筋肉から検出される各筋電信号及び/又は動作補助手段の補助位置とに基づき、障害部位である腕の動作位置及び動作角度を演算推定して障害者の訓練動作における姿勢を特定して特定姿勢を出力する構成である。
【0026】
次に、前記構成に基づく本実施形態に係る肢体機能回復支援装置の障害者の訓練動作を支援する動作について説明する。まず、障害者のリハビリ部位及びこのリハビリ部位を回復するモデル動作の入力選定について入力部(図示を省略)から入力する(ステップ1)。
【0027】
この入力選定のいずれかが選択されたかを判断し(ステップ2)、可動範囲の自動推定(ステップ3)か、可動範囲の手入力(ステップ4)か、前回記録の使用による場合(ステップ5)かが実行される。なお、ステップ3の可動範囲の自動推定については後述する動作補助手段2の実施形態において詳述する。また、ステップ4の可動範囲の手入力は、PT又はOTが障害者に直接接して得られた動作データに基づくモデル動作を入力する。
【0028】
前記いずれかによりモデル動作が特定されると表示制御手段8に入力され、この表示制御手段8は入力されたモデル動作を表示手段1に表示すると共に表示手段1のスピーカ(図示を省略)からこのモデル動作の解説アナウンスを報知する(ステップ6)。この表示手段1に表示及び報知されたモデル動作に基づき障害者が腕の動作機能回復させる訓練動作を実行する意志により筋電信号が発生する(ステップ7)。
【0029】
この筋電信号の発生により障害者のリハビリ部位である腕が動作する(ステップ8)。この障害者の筋電信号が生体信号検出手段3により検出され、また動作補助手段2の駆動部23から障害者の姿勢が出力されて姿勢特定手段4に各々入力され、この筋電信号に基づき姿勢特定手段4が障害者の姿勢、即ち腕の動作位置及び動作角度を特定して特定姿勢として出力する(ステップ9)。
この特定姿勢が出力されると引き続きリハビリ動作が継続するか否かを判断する(ステップ10)。継続すると判断された場合には、パワーアシスト制御アルゴリズム(ステップ11)及び動作指示アルゴリズム(ステップ12)を並行して実行する。
【0030】
前記ステップ11のパワーアシスト制御アルゴリズムは、姿勢特定手段4から出力される特定姿勢及び生体信号検出手段3で検出された筋電信号に基づき補助動作演算手段5が動作補助手段2の補助アーム22を動作させるアシスト動作量とアシスト力を決定し、この決定に基づき指令信号を駆動制御手段6へ出力し(ステップ111)、この指令信号に基づき駆動制御手段6が動作補助手段2の駆動部23を制御してこの駆動部23が補助アーム22を駆動させる(ステップ112)。
この補助アーム22の駆動により障害者の意志に基づく動作をサポートして動作を円滑に行わせつつ、ステップ8に戻り、前記ステップ8からステップ11までの動作を繰り返すこととなる。
【0031】
他方前記ステップ12の動作指示アルゴリズムは、前記姿勢特定手段4から出力される特定姿勢及び生体信号検出手段3で検出された筋電信号に基づきモデル動作決定手段7が表示手段1で次に表示・報知する次モデル動作を決定し(ステップ121)、この決定された次モデル動作を表示制御手段8が表示手段1に表示し、報知の制御を実行する(ステップ122)。
【0032】
このステップ12で次モデル動作の表示・報知の制御により表示手段1のよる表示・報知を行うステップ6に戻り、前記ステップ6からステップ12までの動作を繰り返すこととなる。他方、前記ステップ10においてリハビリ動作を継続しないと判断された場合には、本支援動作が完了する(ステップ13)。
【0033】
以上の通り障害者の腕の障害程度に応じた最適なモデル動作を障害者の筋電信号に基づき次モデル動作を適宜修正しているので、障害者の訓練動作を安全且つ効率よく実行できる。
なお、前記駆動制御手段6及びモデル動作決定手段7への筋電信号は必ずしも必要でなく特定姿勢のみで駆動制御手段6による指令信号の生成及びモデル動作決定手段7による次モデル動作の決定を行うこともできる。
【0034】
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る肢体機能回復支援装置を図4に基づいて説明する。この図4は第2の実施形態に係る肢体機能回復支援装置の要部ブロック構成図を示す。
同図において本実施形態に係る肢体機能回復支援装置は、前記第1の実施形態と同様に表示手段1、動作補助手段2、生体信号検出手段3、姿勢特定手段4、補助動作演算手段5、駆動制御手段6、モデル動作決定手段7及び表示制御手段8を共通して備え、この構成に加えて、障害者可動限値を検出するための予め設定されたテストパターン動作を出力するテストパターン動作出力手段9と、このテストパターン動作を表示制御手段8が表示手段1に表示及び/又は報知し、この表示及び報知されたテストパターン動作に基づいて障害者の可動限界値を検出する限界値検出手段10とを備える構成である。
【0035】
次に、前記構成に基づく本実施形態に係る肢体機能回復支援装置の障害者の訓練動作を支援する動作について説明する。前記第1の実施形態の場合と同様に障害者のリハビリ部位の入力と共にリハビリ部位を回復するモデル動作の入力選定について入力部(図示を省略)から入力される。
【0036】
この入力選定において可動範囲の自動推定が選択されると、テストパターン動作出力手段9が予め設定されたテストパターン動作を表示制御手段8へ出力すると共に、限界値検出手段10へもこのテストパターン動作を出力する。前記表示制御手段8はこのテストパターン動作を表示手段1に表示すると共に、この表示内容の解説アナウンスを報知する。
【0037】
この表示手段1の表示及び報知で指示されるテストパターン動作を障害者が追従して実行し、この実行に伴って障害者の生体信号(例えば、筋電信号)を生体信号検出手段3が検出する。この検出された生体信号が限界値検出手段10に入力され、この限界値検出手段10は前記テストパターン動作と検出された生体信号に基づいて障害者の訓練動作における可動限界値を検出して補助動作演算手段5及び駆動制御手段6へ出力する。
【0038】
この可動限界値が入力された補助動作演算手段5は、前記第1の実施形態における動作に加え、可動限界値、特定姿勢(必要に応じて生体信号を加える。)に基づいて動作補助手段2の補助アーム22を動作させるのに必要なアシスト動作及びアシスト力を決定して指令信号を駆動制御手段6へ出力する。
【0039】
この駆動制御手段6は、この指令信号に加え、限界値検出手段10から入力される可動限界値と共に動作補助手段2の駆動部23を制御して補助アーム22を駆動させる。この補助アーム22の駆動は、障害者の可動限界値を超えない範囲で制御されることから、障害者の訓練動作を無理なく確実に行うことができる。
なお、限界値検出手段10は指令信号に筋電信号を加えて動作補助手段2の駆動制御を行う構成とすることもできる。
【0040】
(本発明の第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る肢体機能回復支援装置を図5に基づいて説明する。この図5は第3の実施形態に係る肢体機能回復支援装置におけるモニタカメラ配置構成図及びそのブロック構成図を示す。
同図において本実施形態係る肢体機能回復支援装置は、表示手段1の画面上部に配設され、動作補助手段2によりサポートされた障害者を正面から撮像する正面モニタカメラ11と、動作補助手段2の側方に配設され、前記障害者を側面から撮像する側面モニタカメラ12と、この正面モニタカメラ11及び側面モニタカメラ12の撮像角度、倍率等を制御するカメラ制御部13と、この正面モニタカメラ11及び側面モニタカメラ12からのい各撮像画像が入力され、この各撮像画像をモデル動作決定手段7から入力されるモデル動作に一致するように調整する撮像状態調整部14とを備え、この調整された各撮像画像がモデル動作の画像と共に表示制御手段8の制御により表示手段1に重畳して表示される構成である。
なお、表示手段1に表示される各撮像画像及びモデル動作の画像は各々重畳した表示形態の他に、左右又は上下に並べて比較表示する形態とすることもできる。
【0041】
このように正面モニタカメラ11及び側面モニタカメラ12で障害者を実際に撮像した撮像画面と動作指示のモデル動作の画面とを表示手段1における同一画面に表示するようにしているので、訓練動作の実行度合いを視覚的に容易に認識できることとなり、訓練動作を確実に実行できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る肢体機能回復支援装置のブロック構成図、である。
【図2】図1に記載の肢体機能回復支援装置の動作フローチャートである。
【図3】図2におけるステップ1及びステップ12の詳細動作フローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る肢体機能回復支援装置の要部ブロック構成図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る肢体機能回復支援装置におけるモニタカメラ配置構成図及びそのブロック構成図である。
【図6】従来の肢体機能回復支援装置。
【図7】従来の肢体機能回復支援装置。
【符号の説明】
【0043】
1 表示手段
2 動作補助手段
21 本体部
22 補助アーム
3 生体信号検出手段
31 検出パッド
4 姿勢特定手段
5 補助動作演算手段
6 駆動制御手段
7 モデル動作決定手段
8 表示制御手段
9 テストパターン動作出力手段
10 限界値検出手段
11 正面モニタカメラ
12 側面モニタカメラ
13 カメラ制御部
14 撮像状態調整部
100 患者
101 肢体
501 負荷計測手段
502 更新手段
503 装置先端駆動手段
504、505 情報提示手段
601 機構部
602 負荷計測手段
603 軌道設定手段
604 軌道修正手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害者に対して肢体機能を回復させる訓練動作のモデルとなるモデル動作を表示及び/又は報知する表示手段と、
前記表示手段にて表示及び/又は報知されるモデル動作を参考として障害者が肢体機能の訓練動作を実行する際に、当該訓練動作を補助する動作補助手段と、
前記訓練動作を実行する障害者から生体信号を検出する生体信号検出手段と、
前記検出された生体信号に基づき前記動作補助手段を駆動制御する駆動制御手段と、
前記検出された生体信号に基づいて前記モデル動作を維持し又は修正して前記表示手段の表示及び/又は報知の動作を制御する表示制御手段とを備えることを
特徴とする肢体機能回復支援装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の肢体機能回復支援装置において、
前記検出された生体信号及び/又は動作補助手段の補助位置に基づいて訓練動作における障害者の姿勢を特定する姿勢特定手段と
前記特定された特定姿勢及び/又は前記検出された生体信号に基づいて動作補助手段による補助動作を指令する指令信号を演算する補助動作演算手段とを備え、
前記演算された指令信号に基づいて駆動制御手段が動作補助手段を駆動制御することを
特徴とする肢体機能回復支援装置。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の肢体機能回復支援装置において、
前記検出された生体信号及び/又は特定された障害者の姿勢に基づいて次に表示する次モデル動作を演算して決定するモデル動作決定手段を備え、
当該決定された次モデル動作を表示制御手段により表示手段に表示させることを
特徴とする肢体機能回復支援装置。
【請求項4】
前記請求項1ないし3のいずれかに記載の肢体機能回復支援装置において、
障害者の可動限界値を検出するための予め設定されたテストパターン動作を出力するテストパターン動作出力手段と、
前記テストパターン動作を表示制御手段が表示手段に表示及び/又は報知し、当該表示及び/又は報知されたテストパターン動作に基づいて訓練動作をする障害者から検出される生体信号に基づいて障害者の可動限界値を検出する限界値検出手段とを備えることを
特徴とする肢体機能回復支援装置。
【請求項5】
前記請求項1ないし4のいずれかに記載の肢体機能回復支援装置において、
前記動作補助手段で補助された障害者の訓練動作を撮像する撮像手段を備え、
前記表示手段にモデル動作と撮像された訓練動作とを表示することを
特徴とする肢体機能回復支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−37667(P2007−37667A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223482(P2005−223482)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(504209655)国立大学法人佐賀大学 (176)
【Fターム(参考)】