説明

肥満治療のためのシステムおよび方法

本発明は、肥満治療システムを提供する。1つのシステムは、胃腸管埋め込み型デバイスおよびそのための送達機構を含む。このデバイスは、小腸の中へ配置して、その壁による栄養分の吸収を最小化するためのスリーブを含むことができる。スリーブの近位端に連結され、胃内に固定されるように設計される固着機構が提供することができる。固着機構およびスリーブを通って延在する通路もまた提供することができ、それに沿って食物を胃から小腸へと導くことができる。送達機構は、このデバイスを収容するための筐体と、筐体内に位置し、デバイスのスリーブを筐体内から埋め込みの部位へと導くように作動させることができる展開バルーンとを含むことができる。肥満治療を提供するための方法もまた、本発明によって提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2010年1月14日に出願された米国仮出願第61/295,012号、2010年2月2日に出願された米国仮出願第61/300,663号、および2010年7月1日に出願された米国仮出願第61/360,653号に対する優先権およびそれらの利益を主張し、これらの出願の全ての開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
疾病管理センター(CDC)によると、米国の人口の60パーセント超が過体重であり、ほぼ20パーセントが肥満である。これは、30以上の肥満度指数(BMI)を有する、米国における約3880万人の成人に換算される。BMIは、一般に、個人の体重(例えば、キログラム単位)を、個人の身長(例えば、メートル単位)の2乗で割ったものとして定義される。臨床的に病的肥満であると見なされるには、次の3つの基準のうちの1つを満たさなければならない、すなわちBMIが35を超える、100ポンドの過体重、または理想的な体重よりも100%高い。350ポンド超の体重である個人に対する超肥満の分類も存在する。
【0003】
肥満は、故に、米国における圧倒的な健康問題である。更に、この過剰な体重を担持することに関連する非常に大きな歪みのため、過体重または肥満である個人では、神経系および循環系と同様に、臓器が影響を受ける。2000年に、国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)は、280,000件の死亡が肥満に直接関連したと推定した。NIDDKは更に、肥満に関連する米国における健康管理の直接費用が510億ドルであると推定した。加えて、アメリカ人は、体重減少製品に、1年当たりおよそ330億ドルを費やしている。この経済的費用および消費者の取り組みにもかかわらず、肥満の罹患は、驚くべき率で上昇し続けている。1991〜2000年に、米国における肥満は、約61%増加した。米国の問題に限らず、世界的な肥満範囲もまた、劇的に増加している。
【0004】
過去において、食欲を低減することによって摂取の問題に対処するように、患者の人体構造を外科手術的に修正するための多くの試みがなされてきた。胃の容量的寸法を縮小し、胃の中のより迅速な満腹感を達成するための胃ステープリング、または胃形成術が、1980年代および1990年代初期において最初に行われた。早期の体重減少を達成することはできても、胃形成術に関連する持続的な低減は、得られなかった。理由は完全には分かっていないが、複数の要因に関連すると考えられる。このうちの1つは、胃が時間とともに伸長し、それによって容量が増加する一方で、心理的欲動が患者に、より少量を文字通り食べ続けるための創造的アプローチを見出すよう動機付けるということである。
【0005】
1980年代以来、占拠性の胃バルーンもまた、肥満を治療するために使用されてきている。1つのかかるバルーンは、Garrenら(4,899,747 Method and apparatus for treating obesity)によって記載される。胃バルーンは、概して、胃の機能的容量を減少させるように設計される。
【0006】
同様に、腸スリーブもまた、肥満治療のために使用されている(Levine et al.,7,347,875 Methods of treatment using a bariatric sleeve; Levine et al.7,025,791 Bariatric sleeve)。これらのスリーブは、薄壁のプラスチックスリーブが一端に取り付けられ、スリーブがトライツ靭帯を通り過ぎて延在することを可能にするように幽門から延在する、固着機構からなる。腸スリーブは、スリーブによって覆われる腸の部分からの吸収を減少させるように機能する。現在、蛍光透視誘導の下で、ガイドワイヤが患者の空腸の中に前進させられる(Gersin KS,Keller JE,Stefanidis D,et al.Duodenal jejuna bypass sleeve:A totally endoscopic device for the treatment of morbid obesity.Surg Innov 2007:14;275)。次いで胃内視鏡が、ステント様の固着装置を幽門内に展開するために使用され、胃内視鏡器具、例えば、グラスパーが、鞘を保持し、それを腸に沿って、トライツ靭帯まで前進させるために使用される。しかしながら、腸スリーブの送達にはしばしば合併症が伴う。加えて、スリーブは、操作が困難であり、とりわけスリーブを腸に沿って前進させるための現在の方法は、時間がかかり、非効率的である。
【0007】
別の手法、「ルーワイ(Roux−en−Y)」法として知られる開腹肥満外科手技においては、胃の部分を一緒にステープルで止めることによって小さい胃嚢が作り出される。この小さい嚢は、個人が食べることのできる食物の量を制限することができる。加えて、小腸のY字形の区域が嚢に取り付けられて、食物が十二指腸、ならびに空腸の最初の部分を迂回することを可能にする。これは、低減されたカロリーおよび栄養分吸収を引き起こす。ルーワイに関連する一般的な問題には、胃が時間とともに大きくなり、その元の寸法まで時間とともに再び伸張する可能性がある嚢伸張、ステープルが外れ、手技を逆戻りさせるステープル線の崩壊、および胃内容物の腹部への漏出(これは、酸が他の臓器を腐食する可能性があるため危険である)が含まれる。加えて、ルーワイ手技は、開腹外科手術を要するため、それは苦痛を伴い、時間のかかる手術であり、比較的長い回復時間を要する。
【0008】
したがって、苦痛を伴う外科手術等の有害な副作用を低減する、有効な肥満治療のためのシステムを有することは望ましいことになる。特に、合併症および回復時間を最小化し、手術時間および資源を縮小し、かつ治療効率性、成功率、および安全性を改善することができる、肥満治療のための有効なシステムおよび送達機構に対する必要性が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】本発明の実施形態に従った、腸スリーブ送達システムを例証する図である。
【図1B】本発明の実施形態に従った、腸スリーブ送達システムを例証する図である。
【図2A】本発明の実施形態に従った、別の腸スリーブ送達システムを例証する図である。
【図2B】本発明の実施形態に従った、別の腸スリーブ送達システムを例証する図である。
【図3A】本発明の実施形態に従った、裏返された位置から展開された位置への腸スリーブ送達システムを例証する図である。
【図3B】本発明の実施形態に従った、裏返された位置から展開された位置への腸スリーブ送達システムを例証する図である。
【図4】本発明の実施形態に従った、また別の腸スリーブ送達システムを例証する図である。
【図5A】本発明の実施形態に従った、裏返された位置から展開された位置への更なる腸スリーブ送達システムを例証する図である。
【図5B】本発明の実施形態に従った、裏返された位置から展開された位置への更なる腸スリーブ送達システムを例証する図である。
【図6】本発明の実施形態に従った、展開された位置にあるまた更なる腸スリーブ送達システムを例証する図である。
【図7】本発明の実施形態に従った、腸スリーブ送達システムを裏返しにする種々の段階を例証する図である。
【図8】本発明の実施形態に従った、腸スリーブ送達システムを裏返しにする種々の段階を例証する図である。
【図9】本発明の実施形態に従った、また別の腸スリーブ送達システムを例証する図である。
【図10】本発明の実施形態に従った、また別の腸スリーブ送達システムを例証する図である。
【図11】本発明の実施形態に従った、また別の腸スリーブ送達システムを例証する図である。
【図12】本発明の実施形態に従った、また別の腸スリーブ送達システムを例証する図である。
【図13】本発明の実施形態に従った、また別の腸スリーブ送達システムを例証する図である。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、一実施形態において、胃腸管埋め込み型デバイスを提供する。胃腸管埋め込み型デバイスは、小腸の中へ配置して、小腸の壁による栄養分の吸収を最小化するためのスリーブを含むことができる。スリーブは、一実施形態において、スリーブが反転された位置と裏返された位置との間を移動することを許容するために十分可撓性の材料から作製されてもよい。ある実施形態において、スリーブは、小腸の壁による、消化された食物からの栄養分の吸収を最小化するために、実質的に低い透過性を有する材料から作製されてもよい。胃腸管埋め込み型デバイスはまた、一実施形態において、スリーブが小腸の中へと確実に延在することを可能にするために、スリーブの近位端に連結され、胃内に固定されるように設計される固着機構を含んでもよい。幾つかの実施形態において、固着機構は、胃の機能的容量を縮小するように設計される。固着機構は、一例において、膨脹式のバルーンが小腸の中に入るのを防止するために十分に大きい、膨脹式のバルーンとすることができる。そのために、固着機構は、固着機構を膨張させるためのポートを含んでもよい。固着機構は代替的に、胃の壁に対して固定すると同時に、胃が実質的に完全な機能的容量を維持することを可能にするために、拡張時に、実質的に裁頭円錐の形状とすることができる、自己拡張型フレームであってもよい。胃腸管埋め込み型デバイスは更に、一実施形態において、固着機構およびスリーブを通って延在し、それに沿って消化された食物を胃から小腸へと導くことができる、通路を含むことができる。
【0011】
本発明は更に、別の実施形態において、肥満治療システムを提供する。このシステムは、胃腸管埋め込み型デバイスを含むことができる。デバイスは、一実施形態において、小腸の中へ配置して、小腸の壁による栄養分の吸収を最小化するためのスリーブを含むことができる。デバイスはまた、スリーブが小腸の中へと確実に延在することを可能にするために、スリーブの近位端に連結され、胃内に固定されるように設計される固着機構を含むことができる。幾つかの実施形態において、固着機構は、膨張時に胃の機能的容量を縮小するように設計される膨脹式のバルーンとすることができ、固着機構を膨張させるためのポートを含むように設計されてもよい。固着機構はまた、ある実施形態において、胃の壁に対して固定すると同時に、胃が実質的に完全な機能的容量を維持することを可能にするために、拡張時に、実質的に裁頭円錐の形状とすることができる、自己拡張型フレームとすることができる。デバイスは更に、固着機構およびスリーブを通って延在し、それに沿って消化された食物を胃から小腸へと導くことができる、通路を含んでもよい。デバイスに加えて、システムは更に、デバイスを埋め込みの部位に導くための送達機構を含んでもよい。送達機構は、一実施形態において、デバイスを収容するための筐体を含むことができる。筐体は、送達端、反対側の近位端、およびその間の通路をともなって提供することができる。ある実施形態において、筐体は、実質的に管状の形状とすることができ、かつ/またはデバイスを収容するために十分可撓性の材料から作製することができる。送達機構はまた、一実施形態において、デバイスのスリーブを収容するために、筐体の通路内に位置した展開バルーンを含むことができる。バルーンには、筐体の通路内での陽圧の存在下で、バルーンが筐体内から裏返されて、デバイスのスリーブを小腸の中へと導くことができるように、筐体の送達端に取り付けられた開放端および筐体内に位置した閉鎖端が提供されてもよい。ポートは、一例において、筐体中に陽圧をそこを通して導入することができる筐体上に提供することができる。ポートには、一実施形態において、それに取り外し可能に接続される膨張デバイスを提供することができる。加えて、本発明のシステムに関連して使用するために、システムを埋め込み部位に誘導するための胃内視鏡もまた提供することができる。
【0012】
本発明はまた、別の実施形態において、送達機構を提供する。送達機構は、筐体を含むことができる。筐体は、送達端、反対側の近位端、およびその間の通路をともなって提供することができる。送達機構はまた、一実施形態において、埋め込み型デバイスのスリーブを収容するために、筐体の通路内に位置した展開バルーンも含むことができる。バルーンは、筐体の通路内での陽圧の存在下で、バルーンが筐体内から裏返されて、デバイスのスリーブを小腸の中へと導くことができるように、筐体の送達端に取り付けられた開放端および筐体内に位置した閉鎖端をともなって提供されてもよい。幾つかの実施形態において、筐体は、バルーンが筐体の通路内から裏返しになることを許容するために拡張することができる、リザーバとすることができる。ある実施形態において、送達機構は更に、バルーンを通路内から裏返しにするために、陽圧をその中を通して筐体の通路中に導入することができるポートを含むことができる。そのために、送達機構は更に、ポートに取り外し可能に接続され、かつ埋め込み型デバイスを展開するために、ポートを介して陽圧を筐体中に導入するように設計される、膨張デバイスを含んでもよい。加えて、本発明の送達機構に関連して使用するために、送達機構を埋め込み部位に誘導するための胃内視鏡もまた提供することができる。
【0013】
本発明は追加的に、別の実施形態において、肥満治療を提供するための方法を提供する。本方法は、スリーブを反転された位置から小腸の中へと裏返しにすることを含むことができる。一実施形態において、スリーブを裏返しにするために、陽圧を使用することができる。本方法は更に、胃と小腸との間の幽門接合部に隣接したその近位端において、スリーブを固着することを含むことができる。固着するステップは、一実施形態において、スリーブが小腸の中へと確実に延在することを可能にするために、スリーブの近位端に連結された固着機構を胃内に固定することを含むことができる。本方法は更に、幾つかの実施形態において、小腸の壁による消化された食物からの栄養分の吸収を最小化しながら、消化された食物が、胃から固着機構を通ってスリーブの中へと導かれることを可能にすることを含むことができる。加えて、所望される範囲で、本方法は更に、胃内視鏡によりスリーブを埋め込みの部位に誘導することを含むことができる。

具体的な実施形態の説明
【0014】
本発明の一実施形態に従って、肥満治療のためのシステムが本明細書に提供される。1つのシステムは、これ以降に記載されるように、胃内の容量制限を用いる、かつ/または小腸内の吸収不良を亢進させるために使用されてもよい。かかる本発明のシステムは、一実施形態において、デバイスを固着させるために胃内に位置付けられるように設計される固着機構、および一端において固着機構に取り付けられた腸スリーブを有する、胃腸管埋め込み型デバイスを含む。スリーブは、小腸による栄養分吸収を最小化または防止するために、小腸の一部分に沿って延在するように設計することができる。一実施形態において、固着機構は、占拠性の輪、膨脹式のバルーン、自己拡張型固着装置もしくはフレーム、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。これ以降で見られるように、システムはまた、デバイスを埋め込みの部位において送達または配置するための送達機構を含んでもよい。
【0015】
概して、消化対象の食物は、食道から噴門を通って胃に入る。一旦、胃に入ると、食物は、少なくとも部分的に消化されてキームス、つまり均一なクリーム状または粥様である可能性がある半流動体質を生成する。一旦、生成されると、キームスは次いで、胃を出て、幽門または幽門接合部を通って、小腸に入る。幽門は、環状筋の強力な帯によって囲まれた、胃の遠位開口部である。約9フィートの長さである小腸は、回旋状の管であり、幽門から大腸において終結する回盲弁にまで延在する。小腸は、十二指腸、空腸、および回腸を含む3つの部分を有する。
【0016】
十二指腸は、一般的にU字形を形成する、上部、下行部、横行部、および上行部を含む4つの部分を有する。上部は、約2インチ長であり、胆嚢の頚において終了する。下行部は、約3〜4インチ長であり、乳頭状の構造(ファーター乳頭)を含み、それを通って、膵臓からの膵液、および肝臓によって生成され胆嚢によって保管される胆汁は、膵管から十二指腸に入ることができる。膵液は、一般的に、タンパク質消化に必須の酵素、および脂肪消化の生成物を溶解するために使用される胆汁を含有する。一方で、上行部は、約2インチ長であり、十二指腸空腸曲を形成し、そこで小腸の次の部分である空腸に接合する。十二指腸空腸曲は、トライツ靭帯(十二指腸上筋(musculus supensionus duodeni))に固定される。十二指腸で分泌された液は、部分的に消化された食物を、身体によって吸収されるのに十分に小さい粒子に分解することができる。
【0017】
次に図1Aを参照すると、本発明の一実施形態に従って、肥満治療を提供するためのシステム100が示される。システム100は、体重減少を促進するための胃腸管埋め込み型デバイス105を含んでもよい。一実施形態において、同時に小腸内の食物栄養分の吸収を低減しながら、胃の寸法を縮小するために、デバイス105を使用することができる。本発明の実施形態に従って、デバイス105は、腸壁による栄養分の吸収を最小化するために、胃内から幽門の下方の腸の一部分に沿って延在するように設計される、腸スリーブ130を含んでもよい。
【0018】
例証されるように、スリーブ130は、胃および小腸が会合する幽門周囲の領域である、幽門接合部に隣接した配置のために設計されてもよい近位端132を含んでもよい。スリーブ130は更に、食物および他の食材がスリーブ130を通過することを可能にするための、近位端132から延在する通路136を含んでもよい。本明細書で使用されるとき、「食物」または「他の食材」は、交換可能に使用することができ、「食物」はまた、消化されていない、部分的に消化された、または完全に消化された食物を含むことができる。スリーブ130は更に、遠位端134を含んでもよい。遠位端134は、一実施形態において、それを通って食物および他の食材がスリーブ130を出ることができる開放部を提供するために、開放端とすることができる。
【0019】
スリーブ130は、一実施形態において、腸壁による食物の吸収および消化を低減するように設計することができる。特に、スリーブ130は、腸壁を裏打し、かつ覆い、食物がスリーブ130の遠位端134を出るまで、食物の胆汁および膵液との混合を遅延させることによって、食物の吸収および消化を低減するように作用することができる。換言すれば、十二指腸内での胆汁および膵液の食物との混合を防止することによって、(部分的にまたは完全に)消化された食材は、身体によって吸収されるのに十分に小さい粒子に分解されない。結果として、栄養分の吸収(例えば、脂肪および炭水化物)が低減される。
【0020】
そのために、スリーブ130は、食物がスリーブ130を通過することを補助することができる、任意の材料から作製することができる。一実施形態において、スリーブ130は、食物がより容易にスリーブを通って滑ることを可能にするために、抵抗および摩擦を最小化する材料から作製することができる。例えば、スリーブ130は、実質的に滑らかな、および/または比較的低い摩擦係数を有する材料から作製することができる。スリーブ130の材料は更に、消化された食物がスリーブ130を通って漏出し、食物を吸収することができる腸壁と接触する発生を最小化するために、流体に対して実質的に低い透過性を有してもよい。スリーブ130はまた、一旦、除去が所望されると、スリーブ130の除去を補助するために、組織内殖を最小化または防止する一助となる任意の材料、ならびに腸に対して非刺激性であり得る材料から作製することもできる。スリーブ130は、ヒトまたは動物の身体の腸内に埋め込まれるように設計することができるため、スリーブ130も、生体適合性である材料から作製されるべきである。材料の生体適合性は、スリーブ130の胃腸管との持続的な接触に起因する有害反応の発生率を最小化する一助となる場合がある。一実施形態において、スリーブ130は、商業的に入手可能な任意の材料から作製することができる。
【0021】
所望される場合、スリーブ130は更に、栄養分の吸収を低減する、食物のための滑らかな通路を提供するために抵抗性を最小化する、多孔率を最小化する、組織内殖を防止する、後にデバイスを腸管から除去することを可能にする、またはスリーブ130に対して望ましい可能性がある任意の他の特徴を補助する場合がある、コーティングを含んでもよい。コーティングは、スリーブ材料のいかなる多孔性特徴も最小化するために、内表面、外表面、またはそれらの組み合わせの上のスリーブ130に塗布されてもよい。
【0022】
一実施形態において、スリーブ130はまた、消化プロセスに従って、スリーブ130が拡張および折り畳まれることを可能にする、任意の材料から作製することもできる。食物がスリーブ130に入り、そこを通過するとき、スリーブ材料は、スリーブ130が、消化された食物を収容するのに十分に拡張することを可能にし得るようなものであってもよい。しかしながら、一旦、胃からの食物がスリーブ130を通過すると、スリーブ材料は、スリーブ130が可撓性または柔軟になることを可能にして、スリーブ130が腸の一方に向かって輪郭を形成することを許容し得るようなものとすることができる。この柔軟な状態で、スリーブ130は、膵液がファーター乳頭を通って、十二指腸の中に最小限の抵抗性で流動することを許容してもよい。当然のことながら、場合によっては、スリーブ130が、消化プロセス全体にわたって実質的に一定の形態を維持することが望ましい可能性がある。これらの例においては、スリーブ130は、かかる実質的に一定の形態を維持することができる材料から作製されてもよい。
【0023】
スリーブ130の長さは、一実施形態において、多様な特徴に依存して異なってもよい。ある例では、スリーブ130の長さは、患者の肥満度指数(BMI)に依存する場合がある。他の例では、スリーブ130の長さは、所望される吸収量に基づいて選択されてもよい。例えば、より長いスリーブ130は、より短いスリーブ130よりも長い距離にわたって、腸壁による栄養分の吸収を最小化する場合がある。場合によっては、スリーブ130の長さは、十二指腸を迂回し、スリーブ130が空腸と連結することを可能にするために必要な距離に基づいて選択されてもよい。スリーブ130の長さはまた、スリーブ130が送達機構115内ならびに腸内に適合することを許容するべきであることに留意されたい。
【0024】
スリーブ130は、スリーブ130が腸内に適合することを可能にする形状である限り、望ましい任意の形状を有してもよい。一実施形態において、スリーブ130は、スリーブ130が腸に実質的に順応することを可能にするために、実質的に管状の形状を有してもよい。当然のことながら、他の幾何学形が可能であってもよい。
【0025】
スリーブ130は更に、食物が、実質的妨害を伴わずにスリーブ130を通って移動することを可能にする直径である限り、望ましい任意の直径を有してもよい。一実施形態において、スリーブ130は、拡張された状態にあるとき、スリーブ130が腸壁に実質的に順応するような直径を有してもよい。拡張された状態で腸壁に実質的に順応することによって、スリーブ130は、横断する食物の量を最大化することができる。当然のことながら、より小さい直径もまた可能であってもよい。
【0026】
胃腸管埋め込み型デバイス105は更に、本発明の実施形態に従って、スリーブ130の近位端132に連結された固着機構140を含んでもよい。固着機構140は、ある例では、そこにデバイス105を固着させるために、胃内に位置付けられるように設計されてもよい。一実施形態において、固着機構140は、胃の機能的容量を縮小するように作用する固着装置とすることができる。かかる固着機構140の例は、胃の容量を縮小しながら、幽門接合部においてスリーブ130の近位端132を適切に係合および固定させるように適応させられた、占拠性の膨脹式の輪もしくはバルーン、または任意の他の固着機構140とすることができる。一実施形態において、固着機構140は、固着機構140およびスリーブ130がワンピースの材料から形成されるように、近位端132においてスリーブ130と一体であってもよい。代替的に、固着機構140は、固着機構およびスリーブ130がツーピースの材料から形成され、互いに連結されるように、スリーブとは分離、および独立していてもよい。
【0027】
図1Bは、展開された位置にある胃腸管埋め込み型デバイス105を示す。特に、固着機構140は、幽門149の真上の胃145内の点において位置付けられる。一方で、スリーブ130の近位端134は、胃145内の固着機構140から、幽門149を横切って、小腸147の中へと延在してもよい。固着機構140がまた、幽門149内へと延在することができ、スリーブ130の近位端134が、幽門149に隣接して位置することができることを理解されたい。通路150は、一実施形態において、食物を胃145から、デバイス105の中へと導き、通路150に沿って小腸147の中へと移動することができるように、固着機構140およびスリーブ130を通って延在することができる。
【0028】
留意されるように、固着機構140は、ある例では、胃145の機能的容量を縮小することによって、体重減少を促進するように設計することができる。換言すれば、胃145の一部分を占拠することによって、固着機構140は、胃145の機能的容量、故に、患者による食物摂取の量を減少させるように作用することができる。そのために、固着機構140は、一実施形態において、固着機構140の寸法が、胃145が縮小される機能的容量に影響を及ぼす場合があるため、特定の用途に依存して、望ましい任意の寸法を有してもよい。例えば、より大きい固着機構140は、胃内でより大きい空間を占拠してもよく、したがって、胃の機能的容量を、より小さい固着機構よりも大きい量だけ縮小する場合がある。固着機構140の寸法は、固着機構140が埋め込みの部位において胃内に確実に位置付けられることを許容する必要があることに留意されたい。つまり、固着機構140は、それが小腸の中に入るのを防止するために十分に大きい可能性がある。
【0029】
図1A〜図1Bに例証されるように、固着機構140は、ドーナツ形状を有してもよい。ドーナツ形状は、固着機構140が胃の形状に実質的に順応することができ、また同時に、食物が胃を出るための出口を提供してもよいように、固着機構140が胃内に位置付けられることを可能にする場合がある。当然のことながら、固着機構140のための他の形状が可能であってもよい。
【0030】
固着機構140を胃内に適切に固定するために、固着機構140は、半径方向に拡張して、固着機構140を埋め込み部位における胃の壁に対して押し付けるために十分な半径方向力を行使することができる材料から作製することができる。使用される材料は、胃の寸法が異なる場合であっても、固着機構140が埋め込み部位における胃の寸法に順応することを許容するべきであることを理解されたい。一実施形態において、固着機構140の胃内への係合によって引き起こされる炎症またはあらゆる他の有害反応を予防するために、デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、メサラミン、またはそれらの任意の適切な組み合わせまたは混合物などのような抗炎症剤が、固着機構140に塗布されてもよい。
【0031】
図1A〜図1Bに例証されるように、一実施形態に従って、固着機構140は、膨張機構が膨張目的のために取り外し可能に接続されてもよい、ポートまたは弁142をともなって提供されてもよい。そのために、弁は、腸管からのデバイス105の時期尚早な、および意図しない収縮および除去を防止するように設計される、一方向弁とすることができる。本発明は、この様態に限定されるようには意図されないため、一方向弁は、弾性プラグ、ばね式弁、または当該技術分野で既知の任意の他の弁であってもよい。
【0032】
固着機構140を膨張させるための膨張機構(図示されず)は、例えば、膨張カテーテル、または固着機構140を膨張させることができる任意の他の膨張デバイスを含むことができる。膨張機構は、固着機構140のポートまたは弁142に取り外し可能に連結することができるため、膨張機構は、膨張に続いて、固着機構140のポートまたは弁142から、接続を断ち、取り外すことができる。デバイス105の除去が所望されるとき、固着機構140は収縮することができることを理解されたい。
【0033】
ある実施形態において、コネクタ(図示されず)の使用を通じて、膨張機構の、固着機構140のポートまたは弁142への接続が生じてもよい。コネクタは、膨張機構を固着機構140に連結して、膨張機構が固着機構140を膨張させることを可能にするように作用することができる。一実施形態において、コネクタは、膨張機構または固着機構140のいずれかの上に位置してもよい。代替的に、コネクタは、膨張機構と固着機構140との間の連結を許容するために、2つの無料のピースを有するツーピース設計を含んでもよい。コネクタの例としては、嵌合ルアー(mating luer)コネクタ、金属管、または当該技術分野で既知の任意の他のコネクタが挙げられる。
【0034】
膨張機構が本明細書に記載されるが、固着機構140は、追加的な膨張機構の補助なしに固着機構140の拡張を可能にするための自己拡張型とすることができることを理解されたい。かかる自己拡張型機構は、救命胴衣に類似しており、当該技術分野で既知である。
【0035】
引き続き図1Aを参照すると、肥満治療を提供するためのシステム100は更に、一実施形態において、胃腸管埋め込み型デバイス105を埋め込みの部位に送達するための送達機構115を含んでもよい。一実施形態において、送達機構115は、送達端112、反対端114、およびその間の通路116を有する筐体110を含むことができる。一実施形態において、送達端112は、デバイス105のスリーブ130が送達機構115中に挿入(例えば、反転された位置で)されることを許容するように設計することができる。加えて、送達端112は、固着機構140が送達端112の周りに確実に位置付けられることを許容するために十分な寸法に設定されてもよい。
【0036】
一実施形態において、筐体110は、腸を通過し、デバイス105を埋め込みの部位に送達することができる、任意の材料から作製することができる。そのために、筐体110は、送達中に筐体110の変形を最小化するために、実質的に硬質の材料から形成されてもよい。実質的に硬質である材料の例としては、金属、プラスチック、セラミック、または実質的に一貫した形状を維持することができる任意の他の材料が挙げられる。筐体110はまた、筐体110の圧縮を許容するために十分可撓性の材料から作製することもできる。例えば、筐体110は、ポリウレタンでラミネートされたナイロン等の薄壁の膜から形成されてもよい。
【0037】
筐体110は、ヒトまたは動物の身体の腸の中に挿入されるように設計されるため、筐体110は、一実施形態において、生体適合性である材料から作製することができる。材料の生体適合性は、腸内での筐体110の使用に起因する有害反応の発生を最小化する一助となる場合がある。筐体110は更に、腸の中への挿入時に筐体110と腸壁との間の摩擦を低減するために、外表面上のコーティングを含んでもよい。同様に、筐体110は、筐体110内に位置するスリーブ130の展開中の摩擦を低減するために、内表面上のコーティングを含んでもよい。
【0038】
筐体110の形状が、筐体110の、デバイス105を埋め込みのための部位に送達する能力に影響を及ぼす場合があるため、筐体110は、特定の用途に依存して、望ましい任意の形状をともなって提供されてもよいことを理解されたい。例えば、筐体110は、管状の形状であってもよい。筐体110は、他の実施形態において、三角形の形状であってもよい。本発明は、この様態に限定されるようには意図されないため、当然のことながら、他の形状を使用することができる。
【0039】
送達機構115はまた、図1Aに示されるように、デバイス105のスリーブ130を筐体110内から埋め込み部位(例えば、胃および/または小腸)に前進させる際に使用するための、展開バルーン120も含むことができる。展開バルーン120は、一実施形態において、開放端122および閉鎖端124を含んでもよく、スリーブ130を収容するために十分な長さが提供されてもよい。一実施形態において、展開バルーン120の開放端122は、筐体110の送達端112と緊密に嵌合する密封をともなって提供することができる。筐体110の送達端112において、かかるシールを提供することによって、および展開バルーン120を、閉鎖端124をともなって提供することによって、展開バルーン120を筐体110内から裏返しにするため、およびスリーブ130の展開バルーン120からの展開を補助するために、陽圧を筐体110中に導入することができる。当然のことながら、展開バルーン120および筐体110は、筐体110中の陽圧を保つために追加的なシールが必要でないかもしれない場合、互いと一体(例えば、ワンピース設計として)であってもよい。
【0040】
デバイス105を埋め込みの部位に展開するために、展開バルーン120は、展開バルーン120の裏返し、および故に、スリーブ130の筐体110内からの前進を許容するために十分な力に耐えることができる材料から作製することができる。一実施形態において、展開バルーン120は、薄壁の膜から作製されてもよい。例えば、展開バルーン120は、ポリウレタンでラミネートされたナイロンまたは任意の類似した材料から作製されてもよい。一実施形態において、展開バルーン120は、約0.05mm〜約0.09mmの範囲の厚さを有してもよい。一実施形態において、展開バルーン120の厚さは、約0.076mmまたは0.003インチであってもよい。展開バルーン120の材料はまた、展開バルーン120が十分な陽圧に耐えることを可能にするために、流体に対して不浸透性であってもよい。展開バルーン120は、ヒトまたは動物の身体の腸内に挿入されるように設計されるため、展開バルーン120は、生体適合性である材料から作製することができる。材料の生体適合性は、腸内での展開バルーン120の使用に起因する有害反応の発生率を最小化する一助となる場合がある。
【0041】
図2A〜図2Bに示されるように、筐体110および展開バルーン120は、互いと一体とすることができるか(図2A)、または、2つの分離した構成要素として提供されてもよい(図2B)。筐体110および展開バルーン120が互いと一体とすることができる場合の実施形態において、筐体110および展開バルーン120は、同じ材料、例えば、同じ十分に可撓性がある材料の連続的シートから作成することができる。このようにして、筐体110および展開バルーン120を接続するために取り付けまたは接続機構が要求されない。好適な材料には、限定なしに、プラスチック、ゴム、ポリマー、樹脂、布等が含まれる。代替的に、筐体110および展開バルーン120が2つの分離した構成要素とすることができる場合の実施形態において、筐体110および展開バルーン120は、異なる材料から作成することができる。例えば、展開バルーン120が十分に可撓性がある材料から作成される一方で、筐体110は、十分に剛性のある材料から作成することができる。当然のことながら、同じ材料を、筐体110および展開バルーン120の両方に使用することができる。筐体110および展開バルーン120を接続するために、所望される範囲で、当該技術分野で既知の適切な取り付けまたは接続機構もまた提供されてもよい。
【0042】
図2Aに示されるように、筐体110は、展開バルーン120の直径よりも実質的に小さい直径を有することができる。一例において、筐体110の直径は、展開バルーン120の約半分とすることができる一方で、依然として、展開バルーン120を収容することができる。他の例では(例えば、図2B)、筐体110は、展開バルーン120の直径よりも大きい直径を有することができる。図2A〜図2Bが、裏返されたまたは展開された位置にある展開バルーン120を例証すること、および裏返しまたは展開前に、展開バルーン120が、筐体110内の配置のために反転することができることに留意されたい。当然のことながら、筐体110および展開バルーン120の直径は、全体を通じて実質的に一定のままである。
【0043】
展開バルーン120の寸法に対する筐体110の寸法に関わらず、各々の直径は、スリーブ130を収容するために十分であるべきであることを理解されたい。筐体110の長さは、送達機構115が腸の中に挿入され、腸に沿って埋め込みのための部位まで前進することを許容するべきであることを理解されたい。
【0044】
筐体110の形状は、デバイス105の埋め込みのための部位への送達を促進し得るため、筐体110は、一実施形態において、特定の用途に依存して、望ましい任意の形状を有してもよい。例えば、筐体110は、管状の形状であってもよい。本発明は、この様態に限定されるようには意図されないため、当然のことながら、他の形状を使用することができる。
【0045】
一実施形態に従って、送達機構115は更に、展開バルーン120を筐体110内から裏返しにするために、陽圧を筐体110中に導入するための膨張機構(図4に示される膨張デバイス250等)を含むことができる。適切な膨張機構には、例えば、膨張カテーテル、ポンプ、または陽圧を筐体110に導入することができる任意の他の膨張デバイスを含むことができる。膨張機構は、筐体110に取り外し可能に連結することができるため、膨張機構は、膨張に続いて、筐体110から接続を断たれ、取り外すことができる。膨張機構の筐体110への接続は、当該技術分野で既知の任意の方法を用いて達成されてもよい。
【0046】
膨脹式の機構の使用を通じて陽圧を筐体110中に導入するために、本発明のシステム100は、筐体110中に膨張ポート170をともなって提供されてもよく、それを通って流体(例えば、空気、液体、ガス、または他の物質)は、展開バルーン120を裏返しにするために十分な陽圧で入り、その後、胃腸管埋め込み型デバイス105を展開することができる。一実施形態において、膨張ポート170は、筐体110の端114に位置することができる。当然のことながら、流体がデバイス105を展開させるために十分な力で入ることができる限り、膨張ポート170のための他の場所が可能であってもよい。
【0047】
次に図3A〜図3Bを参照すると、本発明のシステム100は、胃内視鏡160、160’に関連して使用することができる。胃内視鏡160、160’は、胃腸管を通してシステム100を誘導する一助となる場合がある。一実施形態において、図3Aの胃内視鏡160は、筐体110の周りまたはそれに隣接して位置するように設計される本体をともなって提供されてもよい。胃内視鏡160はまた、固着機構140の表面に対して位置付けられることになる先端162もともなって提供されてもよい。かかる実施形態において、固着機構140は、図3Aに示されるように、胃内視鏡160の端から外向きの可視化を可能にするために透明の材料から構築されてもよい。X線曝露または任意の他の機構は、本発明の胃腸管埋め込み型デバイス105を展開する一助となるのに必要とされない場合がある。所望される場合、送達機構115およびデバイス105は、埋め込み中のユーザによる可視化を許容するために、不透明な物質を含んでもよい。
【0048】
ある実施形態において、本発明のシステム100は、胃内視鏡160’が、腸管を通してシステム100を誘導する一助となることを可能にするように設計されてもよい。図3Bに示されるように、胃内視鏡160’は、スリーブ130’をその所望の場所に誘導する一助となるために(例えば、小腸に沿って更に延在するために)、裏返されたまたは展開された位置にある展開バルーン120’およびスリーブ130’と共に使用されてもよい。示されるように、胃内視鏡160’は、筐体110を通り越えて位置付けられ、またシステム100が胃腸管に沿って前進するとき、システム100の安定性を維持するように設計されてもよい。システム100の誘導を可能にするために、胃内視鏡160を任意の様態で位置付けることができる一方で、その設計は、展開バルーン120およびスリーブ130が裏返しになることに対するいかなる障害も最小化するべきであることに留意されたい。一実施形態において、胃内視鏡160は、市販されている任意のガイドワイヤであってもよい。
【0049】
次に図4〜図6を見ると、本発明の代替的なシステムが例証される。例証されるように、肥満治療を提供するために、システム200を使用することができる。システム200は、一実施形態において、送達機構215および埋め込み型デバイス205を含むことができる。図4〜図6に示される実施形態に従って、送達機構215は、上述の送達機構115と実質的に類似であってもよいが、筐体110送達機構215は、デバイス205の展開に関連して使用するためのリザーバ210であってもよい。かかる筐体210は、送達機構215が、腸の中に挿入されることに加えて、患者の胃等の異なる臓器内に居留することを可能にすることができる。送達機構215は、一実施形態に従って、デバイス205の埋め込みに関連して使用するためのリザーバ210を含んでもよい。一実施形態において、リザーバ210は、デバイス205の少なくとも一部を収容し、またデバイス205を埋め込みのための部位に送達するために、リザーバ210を使用することができるという点で、筐体110と実質的に同じ機能を果たしてもよい。リザーバ210は、所望される場合、スリーブ230をリザーバ210中に収容するように設計されてもよく、スリーブ230の裏返しを促進するように設計されてもよい。
【0050】
一実施形態において、リザーバ210は、リザーバ210が、破断することなく患者の体内に導かれることを可能にするために十分に強力である可能性がある材料から作製することができる。材料はまた、一実施形態において、リザーバ210が、デバイス205の展開中に拡張および折り畳まれることを可能にするために十分可撓性であり得る。
【0051】
リザーバ210は、形状が腸内または送達のための食道内に適合する限り、任意の形状を有してもよい。一実施形態において、リザーバ210は、実質的に環状の形状とすることができ、所望される任意の形状に拡張することができる。別の実施形態において、リザーバ210は、管状の形状とすることができる。当然のことながら、他の形状が可能である。リザーバ210は、別の実施形態において、バルーン220および/またはスリーブ230を収容するために十分な寸法および/または長さを有してもよい。図5Aに示されるように、リザーバ210の寸法および/または長さは、それが、折り畳まれたまたは巻き上げられた様態のバルーン220および/またはスリーブ230を収容してもよいようなものであってもよい。
【0052】
リザーバ210はまた、リザーバ210がデバイス205およびスリーブ230の送達を促進する場合があるような寸法として、望ましい任意の寸法をともなって提供されてもよい。例えば、ある個人の食道を通してデバイス205を送達するために、より小さく寸法設定されたリザーバ210が使用されてもよい一方で、より大きいリザーバは、食道を通るのに適合できない可能性がある。
【0053】
送達機構215は更に、一実施形態において、胃腸管内の埋め込み部位へのデバイス205の配置において使用するための、展開バルーン120に類似した、展開バルーン220を含んでもよい。展開バルーン220の長さおよび形状は、バルーン220がリザーバ210内に少なくとも部分的に適合する(例えば、折り畳まれたまたは巻き上げられた様態で)ようなものであるべきであることに留意されたい。一実施形態において、バルーン220は、その開放端222においてリザーバ210の端に取り付けられるか、またはその周りに位置付けることができる。
【0054】
スリーブ230は、上述のように、スリーブ130が展開バルーン120および筐体110内に保管することができる様態に類似して、展開バルーン220内に保管されてもよい(例えば、反転状態で)。一実施形態において、スリーブ230は、図5Aに示されるように折り畳まれた状態で保管されてもよく、または巻き上げられた状態で保管されてもよい。当然のことながら、スリーブ230は、それがリザーバ210内に少なくとも部分的に適合する限り、他の様態で保管されてもよい。上述のものに類似した、デバイス205を埋め込みの部位に固着および固定させるための固着機構240は、図4に示されるように、スリーブ230の近位端232に位置してもよい。
【0055】
胃腸管埋め込み型デバイス205を展開させるために、膨張デバイス250は、リザーバ210に接続されてもよい。膨張デバイス250は、一実施形態において、患者の食道を通した胃腸管埋め込み型デバイス205の挿入を許容するように設計されてもよい。一実施形態において、膨張デバイス250は、十分に薄く、細くすることができる。膨張デバイス250によって導入されている流体の漏出を最小化するために、所望に応じて、シール280を膨張デバイス250の端に提供することができる。
【0056】
図5A、図5B、および図6は、腸管を通してシステム200を目的の部位に誘導する一助とするための、胃の内視鏡260の使用を示す。図5Aに示されるように、胃内視鏡260は、膨張デバイス250およびリザーバ210を通して位置付けることができる。図6に示される別の実施形態において、胃内視鏡260’は、膨張デバイス250を通り抜けることなくリザーバ210にまで延在することができる。図5Bおよび図6が、展開バルーン220’およびスリーブ230’が裏返された位置にある、完全に展開された状態でのシステム200’を示すことに留意されたい。
【0057】
システム100を体内への挿入用に準備するために、ユーザは、最初に、展開バルーン120を送達機構115の筐体110内に位置付けることができる。一実施形態において、展開バルーン120の開放端122は、筐体110の送達端112に隣接して位置することができるか、またはそれに取り付ることができ、展開バルーン120の閉鎖端124は、筐体110の反対端114に隣接して位置することができる。次いで開放端型のスリーブ130は、展開バルーン120の空洞126内に配置されてもよく、ここでスリーブ130の開放端型の遠位端134は、展開バルーン120の閉鎖端124に隣接して位置する一方で、スリーブ130の近位端132は、展開バルーン120の開放端122に隣接して位置する。追加的に、スリーブ130の近位端132に連結されている固着機構140は、筐体110の送達端112の周りに位置付けることができる。
【0058】
一旦、装填されると、システム100は、体内に挿入され、体内の腸に沿って埋め込みのための目的の部位に前進してもよい。システム100を、腸管を通して埋め込みの部位に誘導する一助とするために胃内視鏡160を使用してもよい。一実施形態において、システム100が管を通って前進するときのシステム100の安定性を維持するために、ガイドワイヤ(図示されず)を使用してもよい。一旦、埋め込み部位に位置すると、システム100は、デバイス105を展開するために準備することができる。埋め込みは、最初に、スリーブ130の近位端132に取り付けられた固着機構140が、膨張機構を用いて膨張されることを要する場合がある。固着機構140の膨張は、裏返しプロセス中に、胃腸管埋め込み型デバイス105を所望の位置において保持するように作用することができる。例えば、固着機構140は、胃内に、または幽門接合部に隣接した小腸の中に配置することができる。固着機構140が目的の部位に固着された後、スリーブ130は、裏返しにされてもよい。裏返しは、加圧されたまたは加圧されていない流体(例えば、ガス、液体、またはそれらの組み合わせ)を、膨張ポート170を介して筐体110中へと導くことを要する場合がある。図3Bに示されるように、流体が筐体110中へ導かれるにしたがい、流体は、スリーブ130を展開バルーン120と共に筐体110から押し出すのと同時に、展開バルーン120を裏返しにし、それを筐体110内から前進させるように作用する。幾つかの実施形態において、スリーブ130は、展開バルーン120より短い長さであり、それにより展開バルーン120が完全に裏返しになると、スリーブ130の完全な送達が可能となる。
【0059】
図7〜図8は、システム100の展開バルーン120およびスリーブ130の、部分的に裏返しになった、および完全に裏返しになった際の、その後の展開を示す。図7において、胃腸管埋め込み型デバイス105’は、筐体110の通路116内から裏返しにされている途中であり、ここで展開バルーン120’を裏返しにすることにより、スリーブ130’は、その中から押し出され、裏返しにされる。展開バルーン120’を裏返しにすることは、その後、それが裏返しになるスリーブ130’を展開させているとき、腸を膨らませることができ、腸の経路に自動的に従うことができる。図8は、完全に展開された状態での埋め込み型デバイス105’’を示し、ここで裏返しにされた展開バルーン120’’は、裏返しにされたスリーブ130’’を越えて延在する。胃腸管埋め込み型デバイス105’’が腸壁内で展開および係合されている状態で、食物および他の食材は、胃から、裏返しにされたスリーブ130’’を通って通過することができる。
【0060】
図4〜図6に描写される実施形態に従って、リザーバ210を用いてデバイス205を展開させる方法は、上述の方法と実質的に類似していてもよいが、リザーバ210の使用を反映するための複数の変更を伴う。一旦、リザーバ210中に装填されると、システム200は、体内に挿入され、体内の腸に沿って埋め込みの部位まで前進してもよい。胃内視鏡260を使用して、胃腸管を通してシステム200を誘導してもよい。埋め込みは、最初に、スリーブ230の近位端232に取り付けられた固着機構240が、膨張機構を用いて膨張されることを要してもよい。固着機構240が胃または小腸に埋め込み部位において固着された後、デバイス205は、裏返しにされてもよい。裏返しにすることは、膨張デバイス250の起動を要する場合があり、それは図5Aに示されるように、リザーバ210の膨張をもたらすことができる。リザーバ210の膨張は、リザーバ210を拡大および/または加圧させることができ、バルーン220がデバイス205を裏返しにし、展開することを可能にする。図5Bおよび図6は、完全に展開された状態でのシステム200の実施形態を示す。一実施形態において、リザーバ210は、バルーン220およびスリーブ230を裏返しにするための低摩擦容器を提供することができる。
【0061】
スリーブ130の展開に続いて、展開バルーン120を収縮することができ、真空が引き込まれて展開バルーン120を狭窄させることができる。展開バルーン120の狭窄は、スリーブ130を腸内の定位置に残しながら、展開バルーン120がスリーブ130から引き抜かれることを可能にすることができる。展開バルーン120の直径は、スリーブ130の直径未満である可能性があるため、展開バルーン120の撤去は、展開バルーン120における収縮および真空の形成時に行われる。前述のように、簡便な展開バルーン120の除去を確実にするために、製造中にスリーブ130と展開バルーン120との間にコーティングまたは潤滑剤が配置されてもよい。
【0062】
次に図9〜図13を参照すると、本発明の実施形態に従った別の肥満治療システム300が例証される。システム300は、一実施形態において、送達機構315および埋め込み型デバイス305を含むことができる。図9〜図13に示されるように、送達機構315は、上述の送達機構115、215と実質的に類似してもよいが、デバイス305を展開させるための別個の筐体は必要でない可能性がある。送達機構315は、一実施形態において、胃腸管内の埋め込み部位へのデバイス305の配置において使用するための、上述の実施形態における展開バルーン120および筐体110と類似した展開バルーン320を含んでもよい。展開バルーン320の長さおよび形状は、バルーン320が腸道内に適合することができるようなものであるべきであることに留意されたい。一実施形態において、展開バルーン320は、図9Aに示されるような連続的な材料片から形成されてもよい。展開バルーン320はまた、バルーン320の膨張時に、その中の圧力が、デバイス305が腸道を通って前進することを可能にすることができるように、軟質で可撓性の材料から形成されてもよい。展開バルーン320を作製することができる材料はまた、デバイス305を展開するために十分な圧力に耐えるような非弾性とすることもできる。一実施形態において、展開バルーン320は、単一の薄壁の膜から形成されてもよい。例えば、展開バルーン320は、ポリウレタンでラミネートされたナイロンから作製されてもよい。一実施形態において、展開バルーン320は、約0.05mm〜約0.09mmの範囲の厚さを有してもよい。一実施形態において、展開バルーン320の厚さは、約0.076mmまたは0.003インチであってもよい。
【0063】
引き続き図9Aを参照すると、送達機構315は、一実施形態において、更に、スリーブ230を上述のように展開バルーン220内に保管することができる様態に類似して、展開バルーン320内に位置付けられてもよいスリーブ330を含んでもよい。スリーブ330は、一実施形態において、展開バルーン320を形成するために使用される膜の厚さ未満の厚さとすることができる膜から形成されてもよい。一例において、スリーブ330は、およそ0.025mm(0.001”)の厚さであってもよい。スリーブ330が形成されてもよい材料としては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、または他のポリマーが挙げられるが、これに限定されない。展開バルーン320と比較した腸スリーブ330の相対的な厚さは、かかる厚さが、スリーブ330および展開バルーン320の裏返し中により低い摩擦を提供することができるため、重要である可能性がある。一例において、スリーブ材料がバルーン材料の厚さ未満の厚さを有するとき、空気による裏返しが可能であってもよく、裏返し構造は、蛇行した腸を通って前進するために十分に軟質であってもよい。一実施形態において、スリーブ材料は、バルーン材料の厚さの約3分の1である厚さを有してもよい。他の例では、スリーブ材料がバルーン材料の厚さと実質的に類似した厚さを有するとき、膜層間の摩擦は、スリーブ330を展開させるために非圧縮性の流体(水または生理食塩水)が要求される場合があるように、膨張圧力を十分に高いレベルにまで高める場合がある。これは、次いで、裏返す閉鎖端型のバルーン320の剛性を増加させる場合がある。
【0064】
デバイス305は更に、デバイス305を埋め込みの部位に固着および固定させるための固着機構340を含んでもよい。一実施形態において、固着機構340は、スリーブ330の近位端332に位置してもよい。固着機構340は、それが胃内に位置付けられるとき、固着機構340が、胃が実質的にその完全な機能的容量を保持することを可能にすることができるように、自己拡張型および/または最小の輪郭を有するように設計されてもよい。図9〜図13に示される実施形態に従って、固着機構340は、胃壁に対して固定するための自己拡張型固着装置またはフレームであってもよい。図10に示されるように、固着機構340は、腸スリーブ330が小腸の中へ(例えば、十二指腸および空腸の中へ)と延在することを可能にするために、幽門のすぐ近位で拡張し、胃内に残るように設計することができる薄い構造であってもよい。スリーブ330の近位端332は、幾つかの実施形態において、幽門の真上の胃内に位置してもよい。
【0065】
固着機構340は、一実施形態において、ステンレス鋼等のばね金属から構築されてもよく、またはそれは、ポリウレタンまたはポリエチレンまたはポリエチレンテレフタレート等の強固なプラスチックから形成されてもよい。固着機構340は、形状記憶特性を有するように処理されてもよい。固着機構340はまた、薄いフレームが、膨脹式の固着装置における多層の膜よりも小さい空間を占拠し得るため、より小さい包装プロフィールを提示するように設計されてもよく、また胃内容物の流出に対するより少ない障害を提示してもよい。
【0066】
システム300はまた、胃内視鏡360を収容するように設計されてもよい。腸スリーブを腸内で展開するための準備の際にデバイスを十二指腸へ前進させるための柱強度を提供または亢進するために、胃内視鏡360を使用してもよい。一実施形態において、胃内視鏡360は、システム300の一部とすることができる。胃内視鏡360は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(Teflon)、または任意の他の既知の強力な材料等のプラスチック材料から構築されてもよい。一実施形態において、胃内視鏡360は、補強のために、繊維撚り線もしくはワイヤ撚り線、または繊維編み紐もしくはワイヤ編み紐を含有してもよい。図11は、胃内視鏡管380、胃内視鏡360、固着部340、ならびに反転した展開バルーン320およびスリーブ330を有するシステム300を示す。
【0067】
胃内視鏡360は、一実施形態において、胃内視鏡管380内に提供されてもよい。胃内視鏡360および/または管380は、デバイス305をそこに固定するために、例えば、連結機構335の使用を通じて、展開バルーン320に連結されてもよい。展開バルーン320はまた、小型ユニットを形成するために胃内視鏡360および/または管380に結合されてもよい。結合は、一実施形態において、軸方向の一直線に沿うことができる。幾つかの実施形態において、胃内視鏡360および/または管380は、糊またはテープ等の接着剤の使用を通じて展開バルーン320に連結されてもよい。他の実施形態において、胃内視鏡管360および/もしくは380は、胃内視鏡管360および/もしくは380をバルーン320に結合することができる釘、ねじ、クリップ、または他の連結機構335の使用を通じて展開バルーン320に連結されてもよい。本発明は、この様態に限定されるようには意図されないため、当然のことながら、当業者は、他の連結機構335もまた可能である場合があることを理解する場合がある。
【0068】
胃内視鏡360はまた、図13Aおよび13Bに示されるように、腸スリーブの展開中に固着機構340を定位置に保持するための、接続機構342を含有してもよい。接続機構342は、展開バルーン320を胃内視鏡360に連結するように設計されてもよい。一実施形態において、接続機構342は、展開バルーン320を胃内視鏡360に連結するための縫合343を含んでもよい。胃内視鏡360の側における開放部は、縫合343がそこを通過することを可能にするために提供されてもよい。図13Bに示されるように、縫合343は、固着機構340を胃内視鏡360に固定するために、胃内視鏡360の長さにわたり、側開放部を出て、固着機構340におけるループを通って、近位ポートで終わるように続いてもよい。一実施形態において、縫合343は、展開に続いて固着機構340およびスリーブ330を解放するために、それを切断および除去することができるように設計されてもよい。別の実施形態において、接続機構342は更に、腸スリーブ展開のための参照の位置付けを提供するように設計されてもよい。
【0069】
本実施形態のシステム300は更に、図12A〜図12Cに示されるように、固着機構340、展開バルーン320の近位端、およびスリーブ330の近位端上にわたる配置のために設計される、鞘310を含んでもよい。鞘310は、実質的に固着機構340の全長を覆うために十分な長さを有する半可撓性の材料から作製されてもよい。当然のことながら、鞘310の長さは、具体的な設計に従って異なる可能性がある。一実施形態において、鞘310は、実質的に展開バルーン320およびスリーブ330の全長を覆うために十分に長くすることができる。ワイヤ365は、鞘310に連結されてもよく、実質的にデバイス305の長さに沿ってまたはそれを超えて延在してもよい。ワイヤ365は、図12Cに例証されるように、固着機構340が拡張された状態で、引っ張られて鞘310(スリーブ330の展開前に)を撤去するように設計されてもよい。
【0070】
図9Bに示されるように、胃腸管埋め込み型デバイス305を展開するために、システム300の送達機構315は、膨張ポート370をともなって提供されてもよい。一実施形態において、膨張ポート370は、流体(例えば、空気、液体、ガス、または他の物質)が、展開バルーン320を裏返し、胃腸管埋め込み型デバイス305を展開させるために十分な圧力で入ることを可能にするように設計されてもよい。一実施形態において、膨張ポート370は、展開バルーン320に連結することができる。当然のことながら、流体が、デバイス305を展開させるために十分な力で送達機構315に入ることができる限り、膨張ポート370ための他の場所が可能である。
【0071】
送達機構315を体内への挿入用に準備するために、ユーザは、最初に、開放端型のスリーブ330を展開バルーン320内に位置付けることができる。一実施形態において、スリーブ330の近位端332は、展開バルーン320の開放端322に隣接して位置してもよい一方で、スリーブ330の遠位端334は、展開バルーン320の閉鎖端324に隣接して位置してもよい。追加的に、固着機構340は、スリーブ330の近位端332に連結することができる。開放端型のスリーブ330、展開バルーン320、および固着機構340は、一実施形態において、圧縮され、鞘310内に包まれてもよい。
【0072】
一旦、装填されると、送達機構315は、体内に挿入され、体内の腸に沿って埋め込みのための目的の部位まで前進してもよい。胃内視鏡360を使用して、送達機構315を、腸管を通して埋め込みの部位に誘導する一助としてもよい。一実施形態において、送達機構315が管を通って前進するときの送達機構315の安定性を維持するために、ガイドワイヤ(図示されず)を使用してもよい。一旦、埋め込み部位に位置すると、送達機構315は、デバイス305を展開するために準備することができる。展開は、スリーブ330の展開前に、最初に、ワイヤ365を引っ張って鞘310を撤去することによる、鞘310の除去を要する場合があり、これは固着機構340のその後の拡張を引き起こすように作用する場合がある。固着機構340の拡張は、裏返しプロセス中に、胃腸管埋め込み型デバイス305を所望の位置に保持するように作用することができる。固着機構340が目的の部位における胃壁または腸壁に固着された後、スリーブ330は、展開バルーン320内から裏返しにされてもよい。裏返しは、膨張ポート350の起動を要する場合があり、それは展開バルーン320の膨張をもたらす可能性がある。展開バルーン320の膨張は、展開バルーン320を拡大および/または加圧させることができ、展開バルーン320がデバイス305を裏返しにし、展開することを可能にする。一実施形態において、展開バルーン320は、スリーブ330を裏返しにするための低摩擦容器を提供することができる。胃腸管埋め込み型デバイス305が腸壁内で展開および係合されている状態で、食物および他の食材は、スリーブ330を通過することができる。
【0073】
スリーブ330の展開に続いて、胃内視鏡360、展開バルーン320、および鞘310は、身体から除去することができる。例えば、縫合343は、展開に続いて固着機構340およびスリーブ330を解放するために、切断および除去されてもよい。一実施形態において、展開バルーン320は、スリーブ330を腸内の定位置に残しながら、展開バルーン320がスリーブ330から引き抜かれることを可能にするために狭窄されてもよい。展開バルーン320の直径は、スリーブ330の直径未満とすることができるため、展開バルーン320の撤去は、展開バルーン320における収縮および真空の形成時に行われてもよい。前述のように、簡便な展開バルーン320の除去を確実にするために、製造中にスリーブ330と展開バルーン320との間にコーティングまたは潤滑剤の層が配置されてもよい。
【0074】
本発明は、それらの具体的な実施形態に関連して記載されてきたが、それは更なる修正が可能であることが理解されよう。更に、本出願は、本発明の属する技術分野で既知のまたは慣例的な実践の範囲内にあり、かつ添付の特許請求の範囲内に入るような、本開示からのかかる逸脱を含む、本発明のいかなる変型、使用、または適応をも包含することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃腸管埋め込み型デバイスであって、
小腸の中へ配置して、前記小腸の壁による栄養分の吸収を最小化するためのスリーブと、
前記スリーブが前記小腸の中へと確実に延在することを可能にするために、前記スリーブの近位端に連結され、胃内に固定されるように設計される、固着機構と、
前記固着機構および前記スリーブを通って延在する通路であって、消化された食物をそれに沿って前記胃から前記小腸へと導くことができる、通路と、を備える、胃腸管埋め込み型デバイス。
【請求項2】
前記スリーブは、前記スリーブが反転された位置と裏返された位置との間を移動することを許容するために十分可撓性である材料から作製される、請求項1に記載の胃腸管埋め込み型デバイス。
【請求項3】
前記スリーブは、前記小腸の前記壁による、前記消化された食物からの栄養分の吸収を最小化するために、実質的に低い透過性を有する材料から作製される、請求項1に記載の胃腸管埋め込み型デバイス。
【請求項4】
前記固着機構は、前記胃の機能的容量を縮小するように設計される、請求項1に記載の胃腸管埋め込み型デバイス。
【請求項5】
前記固着機構は、膨脹式のバルーンであって、前記小腸の中に入るのを防止するために十分に大きい、膨脹式のバルーンである、請求項4に記載の胃腸管埋め込み型デバイス。
【請求項6】
前記固着機構は、拡張時に、前記胃の壁に対して固定することができると同時に、前記胃が実質的に完全な機能的容量を維持することを可能にする、自己拡張型フレームである、請求項1に記載の胃腸管埋め込み型デバイス。
【請求項7】
肥満治療のためのシステムであって、
a)胃腸管埋め込み型デバイスであって、
小腸の中へ配置して、前記小腸の壁による栄養分の吸収を最小化するためのスリーブと、
前記スリーブが前記小腸の中へと確実に延在することを可能にするために、前記スリーブの近位端に連結され、胃内に固定されるように設計される、固着機構と、
前記固着機構および前記スリーブを通って延在する通路であって、消化された食物をそれに沿って前記胃から前記小腸へと導くことができる、通路と、を有する、デバイスと、
b)前記デバイスを埋め込みの部位に導くための送達機構であって、前記送達機構が、
前記デバイスを収容するための筐体であって、送達端、反対側の近位端、およびそれらの間の通路を有する、筐体と、
前記デバイスの前記スリーブを収容するための展開バルーンであって、前記筐体の前記送達端に取り付けられた開放端と、前記筐体内に位置する閉鎖端とを有し、前記デバイスの前記スリーブを前記筐体内から前記小腸の中へと導くために起動することができる、展開バルーンと、を有する、送達機構と、を備える、システム。
【請求項8】
前記スリーブは、前記展開バルーン内で反転され、かつそこから裏返しになることができる、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記固着機構は、膨張時に、前記胃の機能的容量を縮小するように設計される膨脹式のバルーンである、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記固着機構は、前記固着機構を膨張させるためのポートを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記固着機構は、前記胃の壁に対して固定すると同時に、前記胃が実質的に完全な機能的容量を維持することを可能にするために、拡張時に、実質的に裁頭円錐の形状である自己拡張型フレームである、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記筐体は、実質的に管状の形状である、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
前記筐体は、前記デバイスを収容するために十分に可撓性である材料から作製される、請求項7に記載のシステム。
【請求項14】
前記展開バルーンの前記閉鎖端は、前記スリーブを収容するために前記筐体内で反転され、かつ前記スリーブが前記小腸の中へと延在することを可能にするために、前記筐体内から裏返しにすることができる、請求項7に記載のシステム。
【請求項15】
前記展開バルーンは、前記バルーンが前記筐体内から裏返しになることを許容するために十分な力に耐えることができる材料から作製される、請求項7に記載のシステム。
【請求項16】
陽圧がそこを通って前記筐体中に導入されることが可能であるポートと、前記ポートに取り外し可能に接続され、かつ前記埋め込み型デバイスを展開するために、前記ポートを介して陽圧を前記筐体中に導入するように設計される、膨張デバイスと、を更に含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムを前記埋め込み部位に誘導するための胃内視鏡を更に含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項18】
送達機構であって、
送達端、反対側の近位端、およびそれらの間の通路を有する筐体と、
前記筐体の前記送達端に取り付けられた開放端と、前記筐体の前記通路内で反転された閉鎖端とを有する展開バルーンであって、胃腸管埋め込み型デバイスを収容するように設計され、かつ前記埋め込み型デバイスを埋め込みの部位に導くために前記筐体の前記通路内から裏返しにすることができる、展開バルーンと、
前記バルーンを前記通路内から裏返しにするために、陽圧がそこを通って前記筐体の前記通路中に導入されることが可能であるポートと、を備える、送達機構。
【請求項19】
前記筐体は、拡張時に、前記バルーンを前記筐体の前記通路内から裏返しにすることができる、拡張および折り畳みが可能なリザーバである、請求項18に記載の送達機構。
【請求項20】
前記筐体は、実質的に管状の形状である、請求項18に記載の送達機構。
【請求項21】
前記バルーンは、前記バルーンが前記筐体の前記通路内から裏返しになること、および前記埋め込み型デバイスが前記バルーン内から裏返しになることを許容するために十分な力に耐えることができる材料から作製される、請求項18に記載の送達機構。
【請求項22】
前記ポートに取り外し可能に接続され、かつ前記埋め込み型デバイスを展開するために、前記ポートを介して陽圧を前記筐体中に導入するように設計される、膨張デバイスを更に含む、請求項18に記載の送達機構。
【請求項23】
前記送達機構を前記埋め込み部位に誘導するための胃内視鏡を更に含む、請求項18に記載の送達機構。
【請求項24】
肥満治療を提供するための方法であって、
スリーブを反転された位置から小腸の中へと裏返しにすることと、
前記スリーブを、幽門接合部に隣接したその近位端に固着させることと、
消化された食物が、前記胃から前記固着機構を通って前記スリーブの中へと導かれることを可能にすると同時に、前記小腸の壁による前記消化された食物からの栄養分の吸収を最小化することと、を含む、方法。
【請求項25】
前記裏返しにするステップは、前記反転されたスリーブがその内部に収容される反転されたバルーンを裏返しにすることを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記裏返しにするステップは、前記展開バルーンを前記筐体内から裏返しにするため、および前記スリーブを前記展開バルーン内から裏返しにするために、陽圧を前記筐体中に導入することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記固着させるステップは、前記スリーブが前記小腸の中へと確実に延在することを可能にするために、前記スリーブの近位端に連結された固着機構を前記胃内に固定することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記固着させるステップにおいて、前記固着機構が、膨脹式のバルーンであって、前記小腸内に入るのを防止するため、および膨張した状態で前記胃の前記機能的容量を縮小するために十分に大きい、膨脹式のバルーンである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記固着させるステップにおいて、前記固着機構は、前記胃の壁に対して固定すると同時に、前記胃が実質的に完全な機能的容量を維持することを可能にするために、拡張時に、実質的に裁頭円錐の形状である自己拡張型フレームである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
胃内視鏡により前記スリーブを埋め込みの部位に誘導することを更に含む、請求項24に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【公表番号】特表2013−517066(P2013−517066A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549134(P2012−549134)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2011/021383
【国際公開番号】WO2011/088381
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(510174037)パビリオン・メディカル・イノベーションズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (3)
【氏名又は名称原語表記】Pavilion Medical Innovations, LLC
【Fターム(参考)】