説明

育苗箱分離装置

【課題】 苗箱分離装置において、積み重ねられた育苗箱が全体的に傾斜して、積み重ね
られた育苗箱の上部の育苗箱が所定位置から横方向に少し移動していても、上部の育苗箱
が適切に保持されて分離されるように構成する。
【解決手段】 積み重ねられた育苗箱1の上部の育苗箱1を保持及び保持解除自在な保持
部19を備え、保持部19と上部支持部18とに亘ってガイド機構21を接続する。ガイ
ド機構21を、所定長さから収縮可能で所定長さから伸長不可に構成し、所定長さから収
縮した状態で保持部19の横方向への移動を許容し、且つ、前記所定長さに達した状態で
保持部19を横方向の所定位置に戻すように構成する。積み重ね部と上部支持部18とを
接近させることによって、保持部19が上部の育苗箱1に沿う状態となって保持し、積み
重ね部と上部支持部18とを離すことによって、保持部19により上部の育苗箱1が積み
重ねられた育苗箱1から分離されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積み重ねられた育苗箱(空の育苗箱や播種済みの育苗箱等)の上部から、育
苗箱(1個又は2〜4個程度)を分離する育苗箱分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば稲用の育苗施設では特許文献1に開示されているように、積み重ねられた育苗箱
を支持するフォーク(特許文献1の第1図の19)、クレーン(特許文献1の第1図のE
)、昇降装置(特許文献1の第1図のF)、及び緑化台車(特許文献1の第1図のC)を
備えたものがある。
【0003】
特許文献1によると、積み重ねられた育苗箱がフォークに支持されており、積み重ねら
れた育苗箱の上部の育苗箱が、クレーンのフック(特許文献1の第6図及び第7図の48
)により保持されて分離される。次に上部の育苗箱がクレーンにより昇降装置に移され、
昇降装置により緑化台車の棚部(特許文献1の第1図の1)に移されるのであり、以上の
操作が繰り返されることによって、積み重ねられた育苗箱が分離されて緑化台車の棚部に
移される。
特に播種済みの育苗箱においては、積み重ねられた育苗箱から土等が下方に落ちること
があるが、特許文献1のように、積み重ねられた育苗箱の上部の育苗箱を分離するように
構成すると、積み重ねられた育苗箱から土等がクレーンに落ちるようなことがないので、
クレーン等の故障に発展することが少ない。
【0004】
【特許文献1】特公平4−81410号公報(第1,6,7図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
育苗箱が積み重ねられる場合、重なる部分に土やゴミ等が挟み込まれたり、正常に積み
重ねられない部分が生じたりすることにより、積み重ねられた育苗箱が全体的に傾斜する
ことがあり、育苗箱が正常に積み重ねられていても、苗の成長によって育苗箱が押し上げ
られて、積み重ねられた育苗箱が全体的に傾斜することがある。
【0006】
このように積み重ねられた育苗箱が全体的に傾斜すると、積み重ねられた育苗箱の上部
の育苗箱が、所定位置(積み重ねられた育苗箱が傾斜せずに直立状となっている場合にお
いて、積み重ねられた育苗箱の上部の育苗箱の位置)から、横方向に少し移動しているこ
とがあり、上部の育苗箱が所定位置から横方向に少し移動していると、特許文献1のクレ
ーンに上部の育苗箱がうまく保持されないような状態になることが考えられる。
本発明は育苗箱分離装置において、積み重ねられた育苗箱が全体的に傾斜して、積み重
ねられた育苗箱の上部の育苗箱が所定位置から横方向に少し移動していても、上部の育苗
箱が適切に保持されて分離されるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、育苗箱分離装置において次のように構成することにある。
積み重ねられた育苗箱を支持する積み重ね部と、積み重ねられた育苗箱の上方に位置す
る上部支持部と、積み重ね部又は上部支持部を昇降駆動する昇降機構とを備える。積み重
ねられた育苗箱の上部の育苗箱を保持及び保持解除自在な保持部を備え、保持部と上部支
持部とに亘ってガイド機構を接続して、ガイド機構を、所定長さから収縮可能で所定長さ
から伸長不可に構成し、所定長さから収縮した状態で保持部の横方向への移動を許容し、
且つ、所定長さに達した状態で保持部を横方向の所定位置に戻すように構成する。昇降機
構により積み重ね部と上部支持部とを接近させることによって、保持部が上部の育苗箱に
沿う状態となり、保持部が上部の育苗箱を保持し、保持部により上部の育苗箱を保持した
状態で、昇降機構により積み重ね部と上部支持部とを離すことによって、保持部により上
部の育苗箱が積み重ねられた育苗箱から分離されるように構成する。
【0008】
(作用)
本発明の第1特徴によれば、積み重ねられた育苗箱が全体的に傾斜して、積み重ねられ
た育苗箱の上部の育苗箱が所定位置から横方向に少し移動している場合に、昇降機構によ
り積み重ね部と上部支持部とが接近させられると、ガイド機構が所定長さから収縮し保持
部の横方向への移動が許容されて、保持部が上部の育苗箱の位置に沿う状態となりながら
上部の育苗箱を保持する。
次に昇降機構により積み重ね部と上部支持部とが離されると、ガイド機構が伸長するの
であり、ガイド機構が所定長さに達して伸長できなくなると、昇降機構により積み重ね部
と上部支持部とが離される際の駆動力により、上部の育苗箱が積み重ねられた育苗箱から
分離されるのであり、ガイド機構により保持部が横方向の所定位置に戻される。
【0009】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、育苗箱分離装置において、積み重ねられた育苗箱が全体的
に傾斜して、積み重ねられた育苗箱の上部の育苗箱が所定位置から横方向に少し移動して
いても、保持部により上部の育苗箱が適切に保持されて分離されるようになって、育苗箱
分離装置の性能を向上させることができた。
【0010】
本発明の第1特徴によれば、保持部により上部の育苗箱が保持されて分離されると、ガ
イド機構により保持部が横方向の所定位置に戻されるので、上部の育苗箱の次の工程への
移し換えが適切に行われるようになって、育苗箱分離装置の性能を向上させることができ
た。
【0011】
本発明の第1特徴によると、積み重ねられた育苗箱の上方に上部支持部、保持部及びガ
イド機構が位置しているので、積み重ねられた育苗箱から上部支持部、保持部及びガイド
機構に土等が落ちるようなことがなく、特許文献1と同様に上部支持部、保持部及びガイ
ド機構の故障に発展することが少ない。
【0012】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の育苗箱分離装置において次のように構成する
ことにある。
保持部に保持部材を備えて、積み重ねられた育苗箱の上部の育苗箱の端辺部に接触して
保持する保持位置と、上部の育苗箱の端辺部から外方に離れた保持解除位置とに亘って、
保持部材を移動自在に構成する。保持部材を保持位置と保持解除位置とに亘って駆動する
駆動機構を、保持部に備える。
【0013】
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を
備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第2特徴によれば、前項[I]に記載のように、昇降機構により積み重ね部と
上部支持部とが接近させられて、ガイド機構が所定長さから収縮し保持部の横方向への移
動が許容された状態において、保持部材が保持解除位置から保持位置に向けて駆動される
場合に、積み重ねられた育苗箱の上部の育苗箱が所定位置から横方向に少し移動している
と、保持部材が保持解除位置から上部の育苗箱に接触して、さらに保持位置に駆動される
ような状態となる。これによって、保持部材が上部の育苗箱に接触しながら保持位置に駆
動されることにより、上部の育苗箱に対して保持部が保持部材からの反力で横方向に強制
的に移動させられることになり、保持部材が保持位置に達すると、保持部が上部の育苗箱
の位置に沿う状態となって、保持部材により保持部が上部の育苗箱を保持する。
【0014】
このように、本発明の第2特徴によると、保持部における既存の部材と言ってよい保持
部材を利用することによって、上部の育苗箱を保持しようとしながら、これと同時に上部
の育苗箱の位置に沿うように、保持部を横方向に強制的に移動させることができるのであ
り、保持部が上部の育苗箱を適切に保持することができるようになる。
この場合、昇降機構により積み重ね部と上部支持部とが接近させられるのに伴って、上
部の育苗箱の位置に沿うように保持部を横方向に強制的に移動させる案内部材を、保持部
材とは別に備える必要が無くなる(前述の別の案内部材を備えたとしても、小規模の案内
部材でよくなる)。
【0015】
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効
果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、保持部における既存の部材と言ってよい保持部材を利用す
ることによって、上部の育苗箱の位置に沿うように保持部を横方向に強制的に移動させる
ことができ、保持部により上部の育苗箱を適切に保持することができるようになって、育
苗箱分離装置の性能を向上させることができた。
【0016】
本発明の第2特徴によると、上部の育苗箱の位置に沿うように保持部を横方向に強制的
に移動させる案内部材を、保持部材とは別に備える必要が無くないので(前述の別の案内
部材を備えたとしても、小規模の案内部材でよくなるので)、構造の簡素化の面で有利な
ものとなった。
【0017】
[III]
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第1又は第2特徴の育苗箱分離装置において次のように
構成することにある。
保持部と上部支持部とに亘って接続機構を接続して、接続機構を、所定長さから収縮可
能で所定長さから伸長不可に構成し、且つ、保持部の横方向への移動を許容するように構
成する。
【0018】
(作用)
本発明の第3特徴によると、本発明の第1又は第2特徴と同様に前項[I][II]に
記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
育苗箱が積み重ねられる状態によって、前項[I]に記載のように、積み重ねられた育
苗箱の上部の育苗箱が所定位置から横方向に少し移動していることに加えて、上部の育苗
箱が少し傾斜していることが考えられる。
【0019】
本発明の第3特徴は、ガイド機構とは別に接続機構を備えており、接続機構を所定長さ
から収縮可能で所定長さから伸長不可に構成し、且つ、保持部の横方向への移動を許容す
るように構成しており、ガイド機構の収縮量と接続機構の収縮量との差により、上部支持
部に対して保持部を傾斜させることができる。
これにより、前述のように積み重ねられた育苗箱の上部の育苗箱が所定位置から横方向
に少し移動し且つ少し傾斜している場合、昇降機構により積み重ね部と上部支持部とが接
近させられると、ガイド機構の収縮量と接続機構の収縮量との差により、上部の育苗箱の
傾斜に沿うように保持部が傾斜するのであり、保持部が上部の育苗箱の位置に沿う状態と
なって、保持部が上部の育苗箱を保持する。
【0020】
この後、昇降機構により積み重ね部と上部支持部とが離されて、上部の育苗箱が積み重
ねられた育苗箱から分離されると、上部支持部に対して保持部(上部の育苗箱)が吊り下
げられた状態となる。この場合、ガイド機構及び接続機構(1個のガイド機構と複数の接
続機構の組み合わせや、複数のガイド機構と複数の接続機構との組み合わせが考えられる
)により、保持部(上部の育苗箱)の複数箇所が吊り下げられる状態となり、上部支持部
に対して保持部(上部の育苗箱)が安定して吊り下げられるようになる。
【0021】
前述のように、上部支持部に対して保持部を傾斜させることができるように構成し、上
部支持部に対して保持部が安定して吊り下げられるように構成する為の構造として、接続
機構を廃止して、多数のガイド機構を保持部に備えることが考えられるのであるが、構造
の複雑化及び生産コストの上昇が考えられる。
本発明の第3特徴によると、ガイド機構のような保持部を横方向の所定位置に戻す機能
を接続機構は備えておらず、その分だけ接続機構はガイド機構に比べて構造が簡素なもの
となるのであり、ガイド機構及び接続機構により、上部支持部に対して保持部が安定して
吊り下げられるようになる。
【0022】
(発明の効果)
本発明の第3特徴によると、本発明の第1又は第2特徴と同様に前項[I][II]に
記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えて
いる。
本発明の第3特徴によると、積み重ねられた育苗箱の上部の育苗箱が所定位置から横方
向に少し移動し且つ少し傾斜していても、ガイド機構及び接続機構を組み合わせて保持部
に備えることにより、保持部により上部の育苗箱が適切に保持されて分離されるようにな
って、育苗箱分離装置の性能を向上させることができた。
【0023】
本発明の第3特徴によれば、保持部により上部の育苗箱が保持されて分離されると、ガ
イド機構及び接続機構により、上部支持部に対して保持部が安定して吊り下げられるよう
になるので、上部の育苗箱の次の工程への移し換えが適切に行われるようになって、育苗
箱分離装置の性能を向上させることができた。
本発明の第3特徴によると、ガイド機構及び接続機構を組み合わせて保持部に備えるこ
とにより、構造の複雑化及び生産コストの上昇を抑えることができた。
【0024】
[IV]
(構成)
本発明の第4特徴は、本発明の第1〜第3特徴のうちのいずれか一つの育苗箱分離装置
において次のように構成することにある。
ガイド機構を複数個備える。
【0025】
(作用)
前項[I]に記載のように、ガイド機構は、所定長さに達した状態で保持部を横方向の
所定位置に戻すように構成されており、横方向の所定位置から保持部が移動しないように
構成されているので、本発明の第4特徴のように、ガイド機構を複数個備えて少し離して
配置することにより、上部支持部に対して保持部が吊り下げられた状態で、上部支持部に
対して保持部が縦軸芯周りに回転する状態を止めることができる。
【0026】
(発明の効果)
本発明の第4特徴によると、本発明の第1〜第3特徴のうちのいずれか一つと同様に前
項[I]〜[III]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような
「発明の効果」を備えている。
本発明の第4特徴によれば、保持部により上部の育苗箱が保持されて分離されると、上
部支持部に対して保持部が吊り下げられた状態で、上部支持部に対して保持部が縦軸芯周
りに回転する状態が止められるようになるので、上部の育苗箱の次の工程への移し換えが
適切に行われるようになって、育苗箱分離装置の性能を向上させることができた。
【0027】
[V]
(構成)
本発明の第5特徴は、本発明の第3特徴の育苗箱分離装置において次のように構成する
ことにある。
ガイド機構を複数個備え、接続機構を備えて、複数のガイド機構の位置を結ぶ線分から
外れた位置に接続機構を配置する。
【0028】
(作用)
本発明の第5特徴によると、本発明の第3特徴と同様に前項[I]〜[III]に記載
の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
前項[I]に記載のように、ガイド機構は、所定長さに達した状態で保持部を横方向の
所定位置に戻すように構成されており、横方向の所定位置から保持部が移動しないように
構成されているので、本発明の第5特徴のように、ガイド機構を複数個備えて少し離して
配置することにより、上部支持部に対して保持部が吊り下げられた状態で、上部支持部に
対して保持部が縦軸芯周りに回転する状態を止めることができる。
【0029】
本発明の第5特徴のように、複数のガイド機構の位置を結ぶ線分から外れた位置に接続
機構を配置すると、上部支持部に対して保持部が吊り下げられた状態で、複数のガイド機
構の位置を結ぶ線分周りに保持部が傾斜しようとしても、所定長さから伸長不可である接
続機構によって前述の保持部の傾斜が止められる。
【0030】
例えば播種済みの育苗箱において苗の成長にバラ付きがある場合(例えば、一つの育苗
箱において、日照条件等により苗が充分に成長している部分や、苗があまり成長していな
い部分が生じている場合)、前項[I]に記載のように、昇降機構により積み重ね部と上
部支持部とが接近させられて、積み重ねられた育苗箱の上部の育苗箱に保持部が達した場
合、上部の育苗箱での苗の成長のバラ付き(上部の育苗箱における充分に成長した苗の部
分)により、複数のガイド機構の位置を結ぶ線分周りに保持部が傾斜させられようとする
ことがある。
【0031】
この場合、本発明の第5特徴のように、複数のガイド機構の位置を結ぶ線分から外れた
位置に接続機構を配置した場合、積み重ねられた育苗箱の上部の育苗箱に保持部た達した
状態では、接続機構はまだ所定長さから収縮していないので、前述のように複数のガイド
機構の位置を結ぶ線分周りに保持部が傾斜させられようとした際、接続機構が所定長さか
ら伸長させられようとする状態が生じれば、接続機構が所定長さから伸長不可であること
によって、複数のガイド機構の位置を結ぶ線分周りに保持部が傾斜させられようとする状
態が、接続機構によって防止される。
【0032】
これにより、前述のように複数のガイド機構の位置を結ぶ線分周りに保持部が傾斜させ
られようとする状態が接続機構によって防止された状態において、前項[I][III]
に記載のように、さらに昇降機構により積み重ね部と上部支持部とが接近させられると、
ガイド機構及び接続機構が所定長さから収縮し保持部の横方向への移動が許容されて、複
数のガイド機構の位置を結ぶ線分周りに保持部が傾斜させられようとする状態が接続機構
によって防止される機能が消えながら、保持部が上部の育苗箱の位置に沿う状態となって
上部の育苗箱を保持する。
【0033】
(発明の効果)
本発明の第5特徴によると、本発明の第3特徴と同様に、前項[I]〜[III]に記
載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えてい
る。
本発明の第5特徴によれば、保持部により上部の育苗箱が保持されて分離されると、上
部支持部に対して保持部が吊り下げられた状態で、上部支持部に対して保持部が縦軸芯周
りに回転する状態が止められるようになる点、及び複数のガイド機構の位置を結ぶ線分周
りに保持部が傾斜する状態が止められるようになる点により、上部の育苗箱の次の工程へ
の移し換えが適切に行われるようになって、育苗箱分離装置の性能を向上させることがで
きた。
【0034】
本発明の第5特徴によると、播種済みの育苗箱において苗の成長にバラ付きがある場合
(例えば、一つの育苗箱において、日照条件等により苗が充分に成長している部分や、苗
があまり成長していない部分が生じている場合)、複数のガイド機構の位置を結ぶ線分周
りに保持部が傾斜させられようとする状態が接続機構によって防止されながら、保持部に
より上部の育苗箱が適切に保持されて分離されるようになって、育苗箱分離装置の性能を
向上させることができた。
【0035】
[VI]
(構成)
本発明の第6特徴は、本発明の第5特徴の育苗箱分離装置において次のように構成する
ことにある。
保持部を平面視で長方形状に構成し、保持部の4つの角部にガイド機構及び接続機構を
配置する。
【0036】
(作用)
本発明の第6特徴によると、本発明の第5特徴と同様に前項[I]〜[V]に記載の「
作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
前項[III]に記載のように、積み重ねられた育苗箱の上部の育苗箱が所定位置から
横方向に少し移動し且つ少し傾斜していている状態において、保持部が上部の育苗箱を保
持したとする。この場合、例えば上部の育苗箱の一方の端部側が下側で、上部の育苗箱の
他方の端部側が上側となるように、上部の育苗箱が少し傾斜していると、上部の育苗箱の
一方の端部側のガイド機構又は接続機構が所定長さよりも少し短い程度に収縮し、上部の
育苗箱の他方の端部側のガイド機構又は接続機構が所定長さよりも充分に短く収縮してい
る状態となる。
【0037】
前述の状態において昇降機構により積み重ね部と上部支持部とが離されると、上部の育
苗箱の一方及び他方の端部側のガイド機構又は接続機構が伸長していき、上部の育苗箱の
一方の端部側のガイド機構又は接続機構が所定長さに達して伸長できなくなる。従って、
昇降機構により積み重ね部と上部支持部とが離される際の駆動力が、ガイド機構又は接続
機構を介して上部の育苗箱の一方の端部側に主に掛かることになって、上部の育苗箱の一
方の端部側が積み重ねられた育苗箱から分離される。
【0038】
次に昇降機構により積み重ね部と上部支持部とがさらに離されると、上部の育苗箱の他
方の端部側のガイド機構又は接続機構が所定長さに達して伸長できなくなるので、昇降機
構により積み重ね部と上部支持部とが離される際の駆動力が、ガイド機構又は接続機構を
介して上部の育苗箱の他方の端部側に主に掛かることになって、上部の育苗箱の他方の端
部側が積み重ねられた育苗箱から分離される。このようにして、上部の育苗箱が積み重ね
られた育苗箱から分離される。
【0039】
以上のように本発明の第6特徴によると、保持部が上部の育苗箱を保持した後、昇降機
構により積み重ね部と上部支持部とが離される際、昇降機構により積み重ね部と上部支持
部とが離される際の駆動力が、上部の育苗箱に均等に掛かるような状態にはならずに、上
部の育苗箱の一方の端部側に主に掛かり、次に上部の育苗箱の他方の端部側に主に掛かる
と言う状態となるので、上部の育苗箱が積み重ねられた育苗箱から適切に分離されるよう
になる。
【0040】
(発明の効果)
本発明の第6特徴によると、本発明の第5特徴と同様に前項[I]〜[V]に記載の「
発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第6特徴によると、昇降機構により積み重ね部と上部支持部とが離される際の
駆動力が、上部の育苗箱の一方の端部側に主に掛かり、次に上部の育苗箱の他方の端部側
に主に掛かるように構成することにより、上部の育苗箱が積み重ねられた育苗箱から適切
に分離されるようになって、育苗箱分離装置の性能を向上させることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
[1]
図1及び図2は育苗箱処理施設の全体を示しており、上下方向の第1支柱6、第2支柱
7及び第3支柱8等に、横方向の第1フレーム9、第2フレーム10及び第3フレーム1
4(図3,10,13参照)等が連結されて、育苗箱処理施設の全体が構成されている。
積み重ね部2が第1支柱6に昇降自在に支持されており、第1及び第3支柱6,8に亘っ
て連結された支持レール12に、育苗箱分離機構3が移動自在に支持されている。支持部
4が第3支柱8と平行に昇降自在に支持されており、第2支柱7に押し部16が備えられ
ている。第3支柱8の横側の床部に、案内レール33及び台車搬送機構34が備えられて
おり、案内レール33及び台車搬送機構34によって緑化台車5が搬送される。
【0042】
次に、積み重ね部2及び積み重ね部2の付近の構造について説明する。
図1,2,3に示すように、ローラー2aにより第1支柱6に沿って移動自在に支持さ
れた右及び左の移動部材2b、右及び左の移動部材2bに亘って連結された支持フレーム
2c、支持フレーム2cから後方に片持ち状に延出された4個の支持アーム2d等を備え
て、積み重ね部2が構成されている。第1支柱6に沿ってチェーン17が巻回されて、チ
ェーン17が移動部材2bに連結されており、チェーン17を回転駆動する昇降機構30
が第3フレーム14に備えられている。これにより、昇降機構30によってチェーン17
を回転駆動することにより、積み重ね部2が第1支柱6に沿って上下方向に昇降駆動され
る。
【0043】
育苗箱処理施設とは別の播種施設(図示せず)において、空の育苗箱1に床土の供給、
灌水、播種及び覆土の供給が行われ、播種の終了した育苗箱1が直接に積み重ねられて、
発芽室(図示せず)において発芽させられる。図2に示すように、ミニトロッコ32及び
ミニトロッコ台車54が用意され、ミニトロッコストック55が床部に備えられており、
積み重ねられて発芽の終了した育苗箱1が、ミニトロッコ32及びミニトロッコ台車54
に2組載せられて運ばれてくる。
【0044】
図2に示すように、ミニトロッコ32はフレームを枠状に連結されて構成され、移動用
の車輪が備えられており、1組の積み重ねられた育苗箱1をミニトロッコ32に載せるこ
とができる。ミニトロッコ32をミニトロッコ台車54の支持レール54aに載せること
により、2個のミニトロッコ32(2組の積み重ねられた育苗箱1)を並べてミニトロッ
コ台車54に載せることができるのであり、ミニトロッコ台車54の支持レール54aに
ストッパー69,70を取り付けることにより、ミニトロッコ32がミニトロッコ台車5
4から落ちないようにすることができる。
【0045】
図2に示すように、ミニトロッコストック55はフレームを枠状に連結して構成されて
おり、4本の支持レール55aが横に並んで固定されて、ミニトロッコ台車54の支持レ
ール54aとミニトロッコストック55の支持レール55aとが、同じ高さに設定されて
いる。ミニトロッコ32をミニトロッコストック55の2本の支持レール55aに載せる
ことによって、2個のミニトロッコ32(2組の積み重ねられた育苗箱1)を並べてミニ
トロッコストック55に載せることができるのであり、合計で4個のミニトロッコ32(
4組の積み重ねられた育苗箱1)をミニトロッコストック55に載せることができる。
【0046】
図2に示すように、ミニトロッコストック55の支持レール55aにおけるミニトロッ
コ台車54側の端部及び積み重ね部2側の端部に、ストッパー71,72を取り付けるこ
とができる。積み重ね部2の支持アーム2dにもミニトロッコ台車54及びミニトロッコ
ストック55と同様に、支持レール(図示せず)が備えられており、積み重ね部2の支持
レールの端部にストッパー73を取り付けることができる。この場合、ミニトロッコスト
ック55の支持レール55aにおける積み重ね部2側に、ストッパー72を検出する存否
センサー(図示せず)が備えられており、積み重ね部2の支持アーム2dに、ストッパー
73を検出する存否センサー(図示せず)が備えられている。
【0047】
以上の構造により図2に示すように、2個のミニトロッコ32(2組の積み重ねられた
育苗箱1)を載せたミニトロッコ台車54を、ミニトロッコストック55の横側に位置さ
せた状態(ミニトロッコ台車54の支持レール54aの位置とミニトロッコストック55
の支持レール55aの位置とを合わせた状態)において、ストッパー70,71を取り外
した後、2個のミニトロッコ32(2組の積み重ねられた育苗箱1)を押すことにより、
2個のミニトロッコ32(2組の積み重ねられた育苗箱1)をミニトロッコストック55
に載せることができる。
【0048】
図2及び図3に示すように、4個のミニトロッコ32(4組の積み重ねられた育苗箱1
)がミニトロッコストック55に載せられた状態において、積み重ね部2(支持アーム2
d)をミニトロッコストック55の支持レール55aの位置に下降駆動し、ストッパー7
2,73を取り外した後、4個のミニトロッコ32(4組の積み重ねられた育苗箱1)を
押すことにより、4個のミニトロッコ32(4組の積み重ねられた育苗箱1)を積み重ね
部2の支持アーム2dに支持させることができる。
【0049】
この場合に、前述のように4個のミニトロッコ32(4組の積み重ねられた育苗箱1)
を積み重ね部2の支持アーム2dに支持させた後、図2に示すようにストッパー72,7
3を取り付けなければ、存否センサーがストッパー72,73の存在を検出しないので、
育苗箱処理施設の全体が停止したままであり、育苗箱処理施設を作動させることができな
い。従って、前述のように4個のミニトロッコ32(4組の積み重ねられた育苗箱1)を
積み重ね部2の支持アーム2dに支持させた後、図2に示すようにストッパー72,73
を取り付けることによって、存否センサーがストッパー72,73の存在を検出するので
あり、育苗箱処理施設を作動させることができる。
【0050】
[2]
次に、緑化台車5及び台車搬送機構34について説明する。
図1及び図15に示すように、緑化台車5は、枠状に構成された底部5a、底部5aの
中央に固定された2本の支柱5b、底部5aの一方の端部に固定された2本の支柱5c、
底部5aの他方の端部に固定された2本の支柱5d、支柱5b,5c,5dの上部に亘っ
て連結された上部フレーム5e、底部5aの一方の横側部と上部フレーム5eの一方の横
側部とに亘って連結された縦フレーム5f、支柱5b,5c,5dに所定の上下間隔(育
苗箱1の上下幅よりも充分に大きな間隔)で配置された棚部5g等を備えて構成されてお
り、同じ高さの2個の棚部5gに2個の育苗箱1が載置可能であり、同じ高さの4個の棚
部5gに4個の育苗箱1が載置可能である。
【0051】
図1及び図15に示すように、緑化台車5の底部5aの一方の端部に、向き固定の2個
の車輪5hが取り付けられており、緑化台車5の底部5aの他方の端部に、縦軸芯周りに
自由に向き変更自在な2個のキャスター車輪5iが取り付けられている。平板状の係止部
5jが、緑化台車5の底部5aの他方の端部(緑化台車5のキャスター車輪5i側の端部
)に固定されている。
【0052】
図1,14,15に示すように、後述する中央の支持部4、右及び左の支持部4、押し
部16に対向する範囲から図14の紙面左方に出た範囲に亘って案内レール33が備えら
れ、案内レール33の間において中央の支持部4、右及び左の支持部4、押し部16から
外れた範囲に、台車搬送機構34が備えられている。中央の支持部4、右及び左の支持部
4、押し部16とは反対側の案内レール33と、第3フレーム14とに亘って、支持フレ
ーム74が連結されている。
【0053】
図14及び図15に示すように、横長の平板状の一対の支持部材58が床部に固定され
ており、スプロケット59aが固定された駆動軸59が支持部材58の一方の端部に回転
自在に支持されて、駆動軸59とモータ60とが伝動チェーン61を介して連動連結され
ている。図16及び図17に示すように、支持部材58の他方の端部に長孔58aが備え
られて、支持部材58の長孔58aに沿って位置変更自在な支持板62が備えられ、誘導
輪64aが固定された回転軸64が支持板62に回転自在に支持されており、支持部材5
8と支持板62とに亘ってボルト63が接続されて、ボルト63により支持板62(支持
軸64及び誘導輪64a)の位置を図16及び図17の紙面左右方向に変更することがで
きる。支持軸64よりも図16及び図17の紙面右方の位置において、誘導輪65aが固
定された回転軸65が支持部材58に回転自在に支持されており、駆動軸59と回転軸6
5との間にガイドレール66が固定されている。
【0054】
図16及び図18に示すように、連結ピン67a及び連結ピン67aに外嵌されたカラ
ー67b、連結ピン67aの両端に取り付けられた一対のリンクプレート67cが備えら
れ、連結ピン67a及び一対のリンクプレート67cが連結されて、チェーン状の無端回
転体67が構成されている。図14,15,16に示すように、無端回転体67が駆動軸
59のスプロケット59a、回転軸64,65の誘導輪64a,65a及びガイドレール
66に巻回されて、台車搬送機構34が構成されている。これにより、モータ60及び駆
動軸59のスプロケット59aによって、無端回転体67が図15の紙面時計方向に回転
駆動される。
【0055】
図15及び図16に示すように、台車搬送機構34において、回転軸64よりも回転軸
65及びガイドレール66が高い位置に設定されており、無端回転体67の搬送始端部(
回転軸64,65の間の部分)が図16の紙面右斜め上向き(無端回転体67の回転方向
に沿った斜め上向き)に構成されている。図16及び図18に示すように、無端回転体6
7のリンクプレート67cの各々に外側に突出する係合部67dが備えられており、隣接
する係合部67dの間に所定間隔を備えた隙間が形成されている。
【0056】
図16,17,18に示すように、支持部材58の他方の端部の横軸芯P5周りに、角
棒状の案内部材68が上下に揺動自在に支持されており、無端回転体67のリンクプレー
ト67c及び係合部67dの間に案内部材68が入れられ、案内部材68が自重によって
無端回転体67のカラー67bに乗せられている。この場合、案内部材68は無端回転体
67の搬送始端部の前端部(回転軸64)から中間部(回転軸64,65の間)に亘って
配置されており、案内部材68の上面が無端回転体67の係合部67dの上端よりも上方
に位置している。
【0057】
[3]
次に、育苗箱分離機構3について説明する。
図1,2,3に示すように、平面視で枠状に構成されたフレーム11が備えられ、第1
及び第3支柱6,8に亘って支持レール12が連結されており、フレーム11が支持レー
ル12に沿って移動自在に支持されている。支持レール12に沿ってチェーン13が巻回
されて、チェーン13がフレーム11に連結されており、チェーン13を回転駆動する駆
動機構15が第2フレーム10に備えられている。これにより、駆動機構15によってチ
ェーン13を回転駆動することにより、フレーム11が支持レール12に沿って移動駆動
される。
【0058】
図4,5,6に示すように、平板状の上部支持部18がフレーム11の下部の略全面に
亘って固定されて、上部支持部18の下側に4個の保持部19(平面視で長方形状であり
平板状)が配置されており(図1,2,3参照)、保持部19の長手方向(図5の紙面上
下方向)が、図3の紙面左右方向となるように(育苗箱1の長手方向と同じ方向となるよ
うに)、4個の保持部19が配置されている。1個の保持部19において、保持部19の
4つの角部に2個のガイド機構21及び2個の接続機構25が配置されており(2個のガ
イド機構21及び2個の接続機構25が保持部19の2本の対角線に配置されており、2
個のガイド機構21を結ぶ線分から一方及び他方に外れた位置に2個の接続機構25が配
置されている)、1個の保持部19と上部支持部18とに亘って2個のガイド機構21及
び2個の接続機構25が接続されている。
【0059】
図4,5,6に示すように、ガイド機構21は、上部支持部18に固定されたボス部2
0、ボス部20に上下スライド自在に挿入された丸棒状のガイドロッド21d、ガイドロ
ッド21dの下部に固定された円錐部21a及びフランジ部21b、ガイドロッド21d
の上部に取り付けられたナット21c、天井部分に円形の開口部24aが備えられて保持
部19に固定された接続部24等を備えて構成されており、円錐部21a及びフランジ部
21bが接続部24の開口部24aに挿入されている。この場合、接続部24の開口部2
4aの内径が円錐部21aの下端の外径と略同じ(又は円錐部21aの下端の外径よりも
少し大きめ)に設定されており、フランジ部21bの外径が接続部24の開口部24aの
内径よりも大きなものに設定されている。
【0060】
図4,5,6に示すように、接続機構25は、保持部19に固定された丸棒状の接続ロ
ッド25a、接続ロッド25aの上部に固定された円盤状の受け部材25b、及び接続ロ
ッド25aよりも大径で上部保持部18に設けられた開口部18a等を備えて構成されて
おり、接続ロッド19aが上部保持部18の開口部18aに挿入されている。上部保持部
18において1個の保持部19の中央に対向する部分にボス部20が固定され、棒状の検
出部材22がボス部20に上下スライド自在に挿入されており、検出部材22の上端を検
出する近接センサー23が上部支持部18に固定されている。
【0061】
これにより、図4,5,6に示すように、所定長さ(図4に示すようにガイド機構21
(ナット21c)及び接続機構25(受け部材25b)が上部支持部18に載る状態)か
ら、ガイド機構21及び接続機構25が各々独立に上部支持部18に対し上方にスライド
可能(収縮可能)な状態となっている。所定長さ(図4に示すようにガイド機構21(ナ
ット21c)及び接続機構25(受け部材25b)が上部支持部18に載る状態)から、
ガイド機構21及び接続機構25が上部支持部18に対し下方にスライド不可(伸長不可
)な状態となっている。図4,5,6に示すように、ガイド機構21が所定長さとなって
いる状態において、ガイド機構21の円錐部21aの下端と接続部24の開口部24aと
が合致して、保持部19が横方向の所定位置から横方向に移動できない状態となる。
【0062】
図4,5,6に示すように、保持部19の下面に2本のガイドロッド26が育苗箱1の
長手方向に沿って固定され、ガイドロッド26の両端部にピン状のストッパー26aが固
定されている。電動シリンダ型式の駆動機構28が保持部19に固定されて、駆動機構2
8の駆動ロッド28aの端部の縦軸芯P3周りに、アングル部材状の保持部材27が揺動
自在に支持されており、保持部材27に横長の長孔27cが備えられて、ガイドロッド2
6のストッパー26aが保持部材27の長孔27cに挿入されている。保持部材27の内
側部分に硬質のスポンジ部材27a及び支持ピン27bが固定され、一方の保持部材27
の外側部分に分離機構29が固定されており、分離機構29は操作部29aを高速で斜め
下方に繰り返して突出するように構成されている。
【0063】
以上のようにして構成された4個の保持部19が上部支持部18の下側に配置されてお
り、4個の保持部19等により育苗箱分離機構3が構成されている。これにより、積み重
ね部2、育苗箱分離機構3、上部支持部18、ガイド機構21、昇降機構30等により、
育苗箱分離装置が構成されている。
【0064】
[4]
次に、支持部4について説明する。
図7,9,10に示すように、第3支柱8の下部に亘って横フレーム35が連結されて
おり、第3フレーム14と横フレーム35とに亘って3本の支持レール41が、所定間隔
(育苗箱1の長手方向の幅よりも少し大きい)を置いて連結されている。第3フレーム1
4に駆動軸36が回転自在に支持され、駆動軸36を回転駆動する昇降機構37が備えら
れており、駆動軸36に3個のスプロケット36a固定されている。横フレーム35に従
動軸38が回転自在に支持され、従動軸38に3個のスプロケット38aが固定されてお
り、駆動軸36及び従動軸38のスプロケット36a,38aに亘って、3本のチェーン
39が巻回されている。
【0065】
図7,9,10に示すように、3個の平板状の支持部4が備えられており(中央の支持
部4の横幅が右及び左の支持部4の横幅の約2倍)、3個の支持部4に移動部材4aが固
定されて、移動部材4aに4個のローラー4bが備えられている。4個のローラー4bに
より支持レール41を挟み込むようにして、移動部材4aが支持レール41に支持され、
3個の支持部4が支持レール41に沿って上下方向に移動自在に支持されており、3個の
支持部4が同じ位置に位置するように、3個の支持部4の移動部材4aがチェーン39に
連結されている。図9及び図10に示すように、中央の支持部4において、平板状の仕切
り部材4dが固定されており、中央の支持部4の移動部材4aの右及び左の横側に、平板
状の案内部材4eが固定されている。
【0066】
図11及び図12に示すように、右及び左の支持部4において、平板状の固定案内部材
4cが右及び左の支持部4に斜めに固定されており、移動部材4aと固定案内部材4cと
の間に支持軸31が固定されて、平板状の可動案内部材56が支持軸31の縦軸芯P4周
りに揺動自在に支持されている。支持軸31に外嵌されたバネ57により可動案内部材5
6が内側(図12の紙面時計方向)に付勢されており、可動案内部材56の基部が固定部
分に接当することにより、図9及び図12に示すように、可動案内部材56が緑化台車5
の棚部5gから右及び左の支持部4側に離れた退避位置に位置している。この場合、図1
1及び図12に示すように、可動案内部材56と固定案内部材4cとが平面視で一部重複
しており(可動案内部材56が上側で、固定案内部材4cが下側)、固定案内部材4cが
可動案内部材56よりも右及び左の支持部4側(図12の紙面左方)に位置している。
【0067】
図9及び図10に示すように、縦長の指標部材42が左の支持レール41に固定されて
おり、後述するように緑化台車5の棚部5gに対応する指標部材42の位置に凸部42a
が備えられている。左の支持部4の移動部材4aに近接センサー40が固定されている。
昇降機構37によってチェーン39を回転駆動することにより、中央の支持部4、右及び
左の支持部4が支持レール41に沿って上下方向に昇降駆動されるのであり、近接センサ
ー40による指標部材42の凸部42aの検出に基づいて、中央の支持部4、右及び左の
支持部4を指標部材42の凸部42aの位置で停止させることができる。
【0068】
[5]
次に、押し部16について説明する。
図7,9,13に示すように、縦長の4本の押しフレーム49が備えられており、2本
の押しフレーム49が横フレーム50によって連結されて、2本の押しフレーム49が一
体の構造物に構成されている。縦長の丸棒状の2本の押し部16が横フレーム50に取り
付けられており、2本の押しフレーム49に対して2本の押し部16が取り付けられた状
態となっている。
【0069】
図7,9,13に示すように、緑化台車5が案内レール33の所定位置(中央の支持部
4、右及び左の支持部4に隣接する所定位置)に配置された状態において、緑化台車5の
最下段の棚部5g及び最上段の棚部5gの範囲に亘る長さに、押し部16の長さが設定さ
れている。第2支柱7の上部及び下部に亘って横フレーム43,44が連結されており、
横フレーム43,44に亘って4本の支持レール45が連結されている。支持レール45
の下部に2本の支持軸46が備えられ、2本の支持軸46に2本の第1リンク47が上下
に揺動自在に支持されて、4本の第1リンク47が備えられており、第1リンク47の端
部が押しフレーム49の上部に上下スライド自在且つ揺動自在に支持されている。
【0070】
図7,9,13に示すように、第2リンク48が支持レール45の上部に上下スライド
自在且つ揺動自在に支持されて、4本の第2リンク48が備えられており、第2リンク4
8の端部が押しフレーム49の下部の横軸芯P1周りに揺動自在に連結され、第1及び第
2リンク47,48の中間部が横軸芯P2周りに揺動自在に連結されている。4本の第2
リンク48に亘って駆動フレーム52が接続されており(駆動フレーム52に4本の第2
リンク48が揺動自在に連結されており)、横フレーム44と駆動フレーム52とに亘っ
て、往復動型式のエアシリンダ53が接続されている。
【0071】
以上の構造により図7,8,9に示すように、第1及び第2リンク47,48、押しフ
レーム49がパンタグラフ状に構成されて、第1及び第2リンク47,48、押しフレー
ム49、押し部16が、中央の支持部4と右の支持部4との間に位置し、中央の支持部4
と左の支持部4との間に位置する状態となっている。エアシリンダ53により駆動フレー
ム52を上下に昇降駆動し、第2リンク48を支持レール45に沿って上下に昇降駆動す
ると、中央の支持部4、右及び左の支持部4から離れた退避位置(図7参照)、並びに、
中央の支持部4、右及び左の支持部4の育苗箱1を押し出す押し出し位置(図9の二点鎖
線参照)に亘って、押し部16が中央の支持部4、右及び左の支持部4の間を通って移動
駆動される(図8及び図9参照)。
【0072】
[6]
次に、育苗箱処理施設の全体の作動の流れについて説明する。
図1,2,3に示す状態は、4組の積み重ねられた育苗箱1が積み重ね部2に載置され
て、空の緑化台車5が案内レール33の所定位置(中央の支持部4、右及び左の支持部4
に隣接する所定位置)に配置された状態である。この状態において、保持部19(育苗箱
分離機構3)が4組の積み重ねられた育苗箱1の上方に位置して、中央の支持部4、右及
び左の支持部4が上方の受け取り位置に位置しており、押し部16が退避位置に位置して
いる。図4,5,6に示すように、ガイド機構21が所定長さとなっている状態で、ガイ
ド機構21の円錐部21aの下端と接続部24の開口部24aとが合致して、保持部19
が横方向の所定位置から横方向に移動できない状態となっている。
【0073】
図14及び図15に示すように、空の緑化台車5を案内レール33の所定位置(中央の
支持部4、右及び左の支持部4に隣接する所定位置)に配置する場合、図16に示すよう
に、例えば作業者が空の緑化台車5を押していき(空の緑化台車5の車輪5hが前側で、
空の緑化台車5のキャスター車輪5iが後側(作業者側))、空の緑化台車5の車輪5h
を案内レール33に乗せる。作業者が空の緑化台車5をさらに押すと、空の緑化台車5の
係止部5jが案内部材68に乗り上げていき、空の緑化台車5のキャスター車輪5iが案
内レール33から少し持ち上げられる。この場合、空の緑化台車5の係止部5jは無端回
転体67の係合部67dの間の隙間に入り込まないのであり、空の緑化台車5の底部5a
も案内部材68及び無端回転体67の係合部67dに接触することはない。
【0074】
図16に示すように、作業者が空の緑化台車5をさらに押すと、空の緑化台車5の係止
部5jが案内部材68の後部から外れて、空の緑化台車5のキャスター車輪5iが案内レ
ール33に落下し、空の緑化台車5の係止部5jが無端回転体67の係合部67dの間の
隙間に充分に入り込む(又は空の緑化台車5の係止部5jが無端回転体67の係合部67
dの上端に乗るのであり、後述するように無端回転体67が図16の紙面時計方向に回転
駆動され始めると、空の緑化台車5の係止部5jが無端回転体67の係合部67dの間の
隙間に充分に入り込む)。
この場合、空の緑化台車5のキャスター車輪5iが前側で、空の緑化台車5の車輪5h
が後側に位置するようにして、空の緑化台車5のキャスター車輪5iを案内レール33に
乗せ、前述と同様な操作を行ってもよい。
【0075】
この後、台車搬送機構34を作動させると(無端回転体67を図16の紙面時計方向に
回転駆動すると)、無端回転体67の係合部67dにより空の緑化台車5(係止部5j)
が図14及び図15の紙面右方に押し操作され、空の緑化台車5が案内レール33の所定
位置(中央の支持部4、右及び左の支持部4に隣接する所定位置)に達すると、台車搬送
機構34(無端回転体67)が自動的に停止する。
【0076】
この場合に、緑化台車5のキャスター車輪5iにより、空の緑化台車5のキャスター車
輪5iの付近が案内レール33と交差する方向(図14の紙面上下方向)に振れる可能性
があるが、無端回転体67の係合部67dと空の緑化台車5の係止部5jとの摩擦によっ
て、空の緑化台車5のキャスター車輪5iの付近が振れる状態が抑えられる。図9及び図
12に示すように、右及び左の支持部4の可動案内部材56が退避位置に位置して緑化台
車5側に突出していないので、空の緑化台車5を案内レール33の所定位置(中央の支持
部4、右及び左の支持部4に隣接する所定位置)に移動させる際に、緑化台車5が右及び
左の支持部4の可動案内部材56に接触するようなことはない。
【0077】
[7]
前項[6]の次において、図1に示すように、積み重ね部2が上昇駆動される。4組の
積み重ねられた育苗箱1において、図4,5,6に示すように、上部の育苗箱1がガイド
ロッド26に接当して保持部19を押し上げる状態となり、ガイド機構21及び接続機構
25が所定長さから収縮する状態となる。この場合、駆動機構28の駆動ロッド28aに
より、保持部材27が上部の育苗箱1の一方及び他方の端辺部から外方に離れた保持解除
位置に駆動されており、保持部材27がガイドロッド26のストッパー26aに接当する
ことによって、保持部材27が保持部19の一方及び他方の端辺部と平行な所定の基準姿
勢に戻されている。
【0078】
図4,5,6に示すように、保持部19が上部の育苗箱1に押し上げられて、ガイド機
構21が所定長さから収縮すると、ガイド機構21の円錐部21a及びフランジ部21b
が接続部24の開口部24aから離れて接続部24の内部に入り込み、ガイド機構21の
ガイドロッド21dと接続部24の開口部24aとの融通の範囲内で、ガイド機構21(
ガイドロッド21d)に対して保持部19の横方向への移動が許容される。接続機構25
において、接続機構25の接続ロッド25aと上部支持部18の開口部18aとの融通の
範囲内で、接続機構25(接続ロッド25a)に対して保持部19の横方向への移動が許
容される。これにより、保持部19が上部の育苗箱1に沿うように横方向の所定位置から
横方向に移動したり傾斜したりする。
【0079】
図4,5,6に示すように、4個の保持部19が上部の育苗箱1に押し上げられて、4
個の保持部19により4個の検出部材22が押し上げられ、4個の検出部材22の上端が
近接センサー23により検出されると、積み重ね部2が停止する。次に駆動機構28の駆
動ロッド28aが収縮作動して、保持部材27が上部の育苗箱1の一方及び他方の端辺部
に押圧されて(保持部材27のスポンジ部材27aが上部の育苗箱1に押圧され、保持部
材27の支持ピン27bが上部の育苗箱1の縁部の下側に入り込んで)、上部の4個の育
苗箱1が保持部19に保持される(保持部材27の保持位置)。
【0080】
この場合、保持部19に対して平面視で上部の育苗箱1が斜めになっていても、保持部
材27が保持解除位置から保持位置側に駆動されるのに伴って、駆動機構28の駆動ロッ
ド28aの縦軸芯P3周りに保持部材27が揺動して、保持部材27が上部の育苗箱1の
一方及び他方の端辺部に沿いながら押圧される。さらに保持部材27が上部の育苗箱1の
一方及び他方の端辺部に押圧されることよる反力で、上部の育苗箱1に対して保持部19
が横方向に強制的に移動させられることになり、保持部19が上部の育苗箱1にさらに良
く沿うように横方向の所定位置から横方向に移動する。
【0081】
図4,5,6に示すように、積み重ね部2が下降駆動されると、上部の育苗箱1と一緒
に保持部19が下降駆動され、ガイド機構21及び接続機構25が伸長して、ガイド機構
21のナット21cが上部支持部18に達し、さらに積み重ね部2が下降駆動されると、
ガイド機構21の円錐部21aと接続部24に開口部24aとのガイド作用により、保持
部19が横方向の所定位置(図4参照)に戻される。これにより、ガイド機構21及び接
続機構25が所定長さに達して、保持部19が横方向の所定位置から横方向に移動できな
い状態となる。
【0082】
図4,5,6に示すように、さらに積み重ね部2が下降駆動され、保持部19により上
部の育苗箱1が積み重ねられた育苗箱1から分離されて、積み重ね部2が停止する。この
場合、分離機構29の操作部29aが高速で斜め下方に繰り返して突出されて、保持部1
9に保持された上部の育苗箱1の一つ下段の育苗箱1が、分離機構29の操作部29aに
より下方に押し操作されて、上部の育苗箱1と積み重ねられた育苗箱1とが強制的に分離
される。
【0083】
前述のようにして、保持部19に4個の育苗箱1が保持されると、図1に示すように、
4個の育苗箱1を保持した保持部19が、図1の紙面右方に移動駆動されて受け取り位置
の中央の支持部4、右及び左の支持部4の上方で停止する。次に中央の支持部4、右及び
左の支持部4が上昇駆動されて、保持部19に保持された4個の育苗箱1に中央の支持部
4、右及び左の支持部4が接当して、保持部19に保持された4個の育苗箱1が押し上げ
られる。
【0084】
これにより、4個の保持部19において検出部材22が押し上げられ、全ての検出部材
22の上端が近接センサー23により検出されると、中央の支持部4、右及び左の支持部
4が停止する。図4,5,6に示す駆動機構28の駆動ロッド28aが伸長作動して、保
持部材27が育苗箱1から離されて(保持部材27のスポンジ部材27a及び支持ピン2
7bが育苗箱1から離されて)、図1に示すように、保持部19に保持された4個の育苗
箱1が中央の支持部4、右及び左の支持部4に移される。このように保持部材27が保持
解除位置に駆動されると、保持部材27がガイドロッド26のストッパー26aに接当し
て、保持部材27が保持部19の一方及び他方の端辺部と平行な所定の基準姿勢に戻され
る(図4,5,6参照)。
【0085】
[8]
前項[7]に記載のように、4個の育苗箱1が中央の支持部4、右及び左の支持部4に
移されると、図1に示すように、4個の育苗箱1を支持した中央の支持部4、右及び左の
支持部4が、下降駆動されて緑化台車5の最下段の棚部5gの位置で停止する。これと同
時に保持部19が図1の紙面左方に移動駆動されて、4組の積み重ねられた育苗箱1の上
方の位置で停止する。この場合、図9及び図10に示すように、緑化台車5の棚部5gの
位置と指標部材42の凸部42aの位置とが一致しており、近接センサー40による指標
部材42の凸部42aの検出に基づいて、中央の支持部4、右及び左の支持部4を指標部
材42の凸部42aの位置で停止させることによって、中央の支持部4、右及び左の支持
部4を緑化台車5の所望の棚部5gの位置で停止させることができる。
【0086】
次に図8及び図9に示すように、押し部16が退避位置から中央の支持部4、右及び左
の支持部4の間を通って押し出し位置に移動駆動されるのであり、押し部16が中央の支
持部4、右及び左の支持部4に支持された4個の育苗箱1に接当して、中央の支持部4、
右及び左の支持部4に支持された4個の育苗箱1が緑化台車5の最下段の棚部5gに移さ
れる。
【0087】
この場合に、図9,11,12に示すように、押し部16が退避位置から中央の支持部
4、右及び左の支持部4の間を通って押し出し位置に移動駆動されるのに伴って、中央の
支持部4、右及び左の支持部4に支持された4個の育苗箱1が、先ず中央の支持部4の案
内部材4e、右及び左の支持部4の固定案内部材4cに接当して緑化台車5の最下段の棚
部5gに向けて案内される。次に中央の支持部4、右及び左の支持部4に支持された4個
の育苗箱1が、右及び左の支持部4の可動案内部材56に接当して、緑化台車5の最下段
の棚部5gに向けて案内されるのであり、これに伴って、右及び左の支持部4の可動案内
部材56が退避位置から案内位置(図12の二点鎖線参照)に操作される。
【0088】
前述のように、右及び左の支持部4の可動案内部材56が退避位置から案内位置に操作
されると、図11及び図12に示すように、右及び左の支持部4の可動案内部材56が、
緑化台車5の最下段の棚部5gと下から2段目の棚部5gとの間の位置に入り込み、緑化
台車5の支柱5c,5d及び最下段の棚部5gに押圧される。この場合、緑化台車5の全
体が横方向(図9の紙面上下方向)に変位していても、右及び左の支持部4の可動案内部
材56が緑化台車5の支柱5c,5dに押圧されることにより、案内レール33の所定位
置(中央の支持部4、右及び左の支持部4に隣接する所定位置)での緑化台車5位置が、
横方向(図9の紙面上下方向)で強制的に修正される。
【0089】
以上のように、右及び左の支持部4の可動案内部材56が退避位置から案内位置に操作
されることにより、右及び左の支持部4の可動案内部材56が右及び左の支持部4と緑化
台車5とに亘って架設される状態となる点、並びに、案内レール33の所定位置(中央の
支持部4、右及び左の支持部4に隣接する所定位置)での緑化台車5位置が、横方向(図
9の紙面上下方向)で強制的に修正される点によって、中央の支持部4、右及び左の支持
部4に支持された4個の育苗箱1が緑化台車5の最下段の棚部5gに確実に移される。こ
の場合、中央の支持部4、右及び左の支持部4に支持された4個の育苗箱1が緑化台車5
の最下段の棚部5gに移されるのに伴って、緑化台車5の全体が図1の紙面右方に傾斜し
ようとしても、図1及び図14に示す支持フレーム74によって緑化台車5の傾斜が抑え
られる。
【0090】
[9]
前項[8]に記載のように、中央の支持部4、右及び左の支持部4に支持された4個の
育苗箱1が緑化台車5の最下段の棚部5gに移されると、図9及び図12に示すように、
バネ57により右及び左の支持部4の可動案内部材56が案内位置から退避位置に操作さ
れ、図1に示すように、中央の支持部4、右及び左の支持部4が上昇駆動されて受け取り
位置で停止するのであり、これと同時に押し部16が押し出し位置から支持部4の間を通
って退避位置に移動駆動される。
【0091】
前述のように中央の支持部4、右及び左の支持部4に支持された4個の育苗箱1が緑化
台車5の最下段の棚部5gに移されるのと同時に、前項[7]に記載の操作が行われて、
4組の積み重ねられた育苗箱1の上部の4個の育苗箱1が保持部19に保持されるのであ
り、4個の育苗箱1を保持した保持部19が、図1の紙面右方に移動駆動されて受け取り
位置の中央の支持部4、右及び左の支持部4の上方で停止する。
【0092】
次に前項[7]に記載の操作が行われて、保持部19に保持された4個の育苗箱1が中
央の支持部4、右及び左の支持部4に移されて、4個の育苗箱1を支持した中央の支持部
4、右及び左の支持部4が下降駆動されて緑化台車5の下から2段目の棚部5gの位置で
停止する。次に前項[8]に記載のように、押し部16が退避位置から中央の支持部4、
右及び左の支持部4の間を通って押し出し位置に移動駆動されて、中央の支持部4、右及
び左の支持部4に支持された4個の育苗箱1が緑化台車5の下から2段目の棚部5gに移
される。
【0093】
これにより、以上の操作が繰り返されて、緑化台車5の最下段の棚部5gから順番に上
の棚部5gに、4個の育苗箱1が移されていく。中央の支持部4、右及び左の支持部4に
支持された4個の育苗箱1が緑化台車5の最上段の棚部5gに移される場合は、右及び左
の支持部4の可動案内部材56が緑化台車5の最上段の棚部5gと上部フレーム5eとの
間の位置の案内位置に入り込む。緑化台車5の全ての棚部5gに育苗箱1が移された後、
台車搬送機構34を作動させると(無端回転体67を図15の紙面時計方向に回転駆動す
ると)、無端回転体67の係合部67dにより緑化台車5(係止部5j)が図14及び図
15の紙面右方に押し操作され、緑化台車5が案内レール33の所定位置(中央の支持部
4、右及び左の支持部4に隣接する所定位置)から、図14及び図15の紙面右方の非所
定位置に移動させられる。
【0094】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]において、1個の保持部19における平面
視でのガイド機構21及び接続機構25を配置を、図19(イ)(ロ)(ハ)に示すよう
に構成してもよい。
図19(イ)では、保持部19の一方の長辺側に寄せて2個のガイド機構21を配置し
て、保持部19の他方の長辺側に寄せて2個の接続機構25を配置している。図19(ロ
)では、保持部19の一方の短辺側に寄せて2個のガイド機構21を配置して、保持部1
9の他方の短辺側に寄せて2個の接続機構25を配置している。
図19(ハ)は前述の[発明を実施するための最良の形態]の図5において、保持部1
9の中央の検出部材22の位置を片側に少し変更し、保持部19の中央にもガイド機構2
1を配置している。
【0095】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]において、保
持部19に一方の保持部材27を固定し(この場合、縦軸芯P3周りに揺動自在に支持す
るか、又は縦軸芯P3周りにも揺動しないように固定する)、他方の保持部材27を保持
解除位置と保持位置とに亘って駆動するように構成してもよい。積み重ね部2の位置を固
定し、育苗箱分離機構3が昇降駆動されるように構成してもよい。本発明は積み重ねられ
た空の育苗箱1に対する育苗箱処理施設にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】育苗箱処理施設の全体側面図
【図2】積み重ね部、ミニトロッコ台車及びミニトロッコストックの付近の側面図
【図3】積み重ね部の付近の正面図
【図4】保持部の縦断正面図
【図5】保持部の平面図
【図6】保持部の側面図
【図7】中央の支持部、右及び左の支持部、押し部(退避位置)の付近の側面図
【図8】中央の支持部、右及び左の支持部、押し部(退避位置から押し出し位置に移動駆動され始めた状態)の付近の側面図
【図9】中央の支持部、右及び左の支持部、押し部(退避位置)の付近の平面図
【図10】中央の支持部、右及び左の支持部、押し部(退避位置)の付近の正面図
【図11】右及び左の支持部の固定案内部材及び可動案内部材の付近の側面図
【図12】右及び左の支持部の固定案内部材及び可動案内部材の付近の平面図
【図13】押し部の付近の正面図
【図14】案内レール及び台車搬送機構の付近の平面図
【図15】緑化台車、案内レール及び台車搬送機構の付近の側面図
【図16】台車搬送機構(無端回転体)の搬送始端部及び緑化台車の係止部の付近の縦断側面図
【図17】案内レールの始端部及び台車搬送機構(無端回転体)の搬送始端部の付近の平面図
【図18】台車搬送機構(無端回転体)の搬送始端部及び案内部材の付近の縦断正面図
【図19】発明の実施の第1別形態における保持部の平面図
【符号の説明】
【0097】
1 育苗箱
2 積み重ね部
18 上部支持部
19 保持部
21 ガイド機構
25 接続機構
27 保持部材
28 駆動機構
30 昇降機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積み重ねられた育苗箱を支持する積み重ね部と、前記積み重ねられた育苗箱の上方に位
置する上部支持部と、前記積み重ね部又は上部支持部を昇降駆動する昇降機構とを備えて

前記積み重ねられた育苗箱の上部の育苗箱を保持及び保持解除自在な保持部を備え、前
記保持部と上部支持部とに亘ってガイド機構を接続して、
前記ガイド機構を、所定長さから収縮可能で前記所定長さから伸長不可に構成し、前記
所定長さから収縮した状態で保持部の横方向への移動を許容し、且つ、前記所定長さに達
した状態で保持部を横方向の所定位置に戻すように構成すると共に、
前記昇降機構により積み重ね部と上部支持部とを接近させることによって、前記保持部
が上部の育苗箱に沿う状態となり、前記保持部が上部の育苗箱を保持し、前記保持部によ
り上部の育苗箱を保持した状態で、前記昇降機構により積み重ね部と上部支持部とを離す
ことによって、前記保持部により上部の育苗箱が積み重ねられた育苗箱から分離されるよ
うに構成してある育苗箱分離装置。
【請求項2】
前記保持部に保持部材を備えて、前記積み重ねられた育苗箱の上部の育苗箱の端辺部に
接触して保持する保持位置と、前記上部の育苗箱の端辺部から外方に離れた保持解除位置
とに亘って、前記保持部材を移動自在に構成すると共に、
前記保持部材を保持位置と保持解除位置とに亘って駆動する駆動機構を、前記保持部に
備えてある請求項1に記載の育苗箱分離装置。
【請求項3】
前記保持部と上部支持部とに亘って接続機構を接続して、
前記接続機構を、所定長さから収縮可能で前記所定長さから伸長不可に構成し、且つ、
保持部の横方向への移動を許容するように構成してある請求項1又は2に記載の育苗箱分
離装置。
【請求項4】
前記ガイド機構を複数個備えてある請求項1〜3のうちのいずれか一つに記載の育苗箱
分離装置。
【請求項5】
前記ガイド機構を複数個備え、前記接続機構を備えて、前記複数のガイド機構の位置を
結ぶ線分から外れた位置に接続機構を配置してある請求項3に記載の育苗箱分離装置。
【請求項6】
前記保持部を平面視で長方形状に構成し、前記保持部の4つの角部にガイド機構及び接
続機構を配置してある請求項5に記載の育苗箱分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−204178(P2006−204178A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−20051(P2005−20051)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】