説明

背揉み装置、及びこの背揉み装置を備えた椅子型マッサージ機

【課題】マッサージ機構を前方へ突出させたり元の通常位置へ戻したりできる背揉み装置において、動作量が十分量となるように確保したうえで、背揉み装置における前後方向の薄型化を図り、椅子型マッサージ機として背もたれ部が分厚くなるのを抑制できるようにする。
【解決手段】本発明の椅子型マッサージ機1に備えられた背揉み装置4は、マッサージ動作を行う施療子21aを備え且つ左右一対に配備されたマッサージ部材17とこのマッサージ部材17にマッサージ動作を伝動する駆動部18とを有するマッサージ機構10と、マッサージ部材17が前方を向く状態でマッサージ機構10を支持するベース部材12と、ベース部材12を背もたれ部3内で上下方向に移動可能にする上下移動機構13と、施療子21aの前後方向の突出量が変わるようにマッサージ部材17を移動させる突出量可変機構14と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の背中をマッサージする背揉み装置、及びこの背揉み装置を備えた椅子型マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
椅子型マッサージ機に関して、その背もたれ部の内部に、左右一対のマッサージ部材をマッサージ動作させるマッサージ機構が装備されたものは周知である。
このマッサージ機構は、座部に座った使用者の背筋に沿わせて移動させる必要があるため、上下移動機構が付設されており、このマッサージ機構と上下移動機構とで背揉み装置が構成されている。この種の背揉み装置には、マッサージ部材を通常のマッサージ位置よりも前方へ突出させたり、元の通常位置へ戻したりさせるための出退動作機構を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この出退動作機構では、上下移動機構により背もたれ部内で上下移動するベース部材をマッサージ機構とは別に設けておき、このベース部材に対して、下部枢軸を介してマッサージ機構をその上端側が前後揺動するように支持させてある。そして、軸心を縦方向に向けた送りネジ機構によって昇降するスライダーを前述のベース部材上に設け、このスライダーとマッサージ機構の上端部との間を伝動アームで連結してあった。
【0004】
すなわち、ベース部材上のスライダーを上昇させると、伝動アームを介してマッサージ機構の上端部が前方へ押され、その結果、マッサージ機構は下部枢軸を支点として上端側が前方へ向けて揺動するので、これによって左右のマッサージ部材が前方へ突出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−252905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された背揉み装置付き椅子型マッサージ機では、出退動作機構を作動させることにより、マッサージ部材を前方突出させたり元の通常位置へ戻したりできるので、使用者のマッサージに対する満足感を十分に高められるものであった。
しかしながら、この出退動作機構は、スライダーの上下動時に伝動アームの上端部を前方へ誘導するための円弧状のレール部や、マッサージ部材の傾きを規制する揺動制限機構などを備えているため、背揉み装置がその前後方向(厚さ)で大型化する傾向にあった(特許文献1の図1,図2などを参照)。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、前後方向(厚み方向)の薄型化を図りつつも、マッサージ部材を十分な量だけ前方突出させることのできる構成を備えた背揉み装置、及びこの背揉み装置を備えた椅子型マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明の背揉み装置は、使用者が背もたれ可能とされた背もたれ部に備えられた背揉み装置であって、マッサージ動作を行う施療子を備え且つ左右一対に配備されたマッサージ部材とこのマッサージ部材にマッサージ動作を伝動する駆動部とを有するマッサージ機構と、前記マッサージ部材が前方を向く状態で前記マッサージ機構を支持するベース部材と、前記ベース部材を前記背もたれ部内で上下方向に移動可能にする上下移動機構と、前記施療子の前後方向の突出量が変わるように、前記マッサージ部材を移動させる突出量可変機構と、を有していることを特徴とする。
【0009】
前記マッサージ部材の基部は、左右方向を向く軸芯に枢支されて軸揺動可能となっており、前記突出量可変機構は、前記施療子の前後方向の突出量が変わるように、前記マッサージ部材の基部を軸揺動させるものとするのが好適である。
前述のマッサージ機構の駆動部は、前記施療子を左右方向へ近接離反移動させて揉みマッサージ動作となるように前記マッサージ部材を駆動する揉み駆動部と、前記マッサージ部材の基部を反復的に軸揺動させることで前記施療子を前後方向又は上下方向へ往復移動させ、叩きマッサージ動作となるように前記マッサージ部材を駆動する叩き駆動部と、を有しており、前記叩き駆動部は、前記ベース部材において上下方向に移動可能であると共に、この上下方向の移動に伴い前記マッサージ部材の基部が前記軸揺動可能に構成されており、前記突出量可変機構は、前記叩き駆動部を上下方向に移動させ前記マッサージ部材の基部を軸揺動させることで、施療子の前後方向の突出量を可変としている構成となっているとよい。
【0010】
更に好ましくは、前記突出量可変機構は、前記施療子が最も後退する位置でマッサージ部材の揺動角を保持させる第1規制部と、前記施療子が最も前方突出する位置でマッサージ部材の揺動角を保持させる第2規制部と、前記第1規制部と第2規制部との間で前記マッサージ部材の基部を軸回り揺動を許容する非規制部と、を有しているものとすればよい。
【0011】
また、前記揉み駆動部は、左右方向に架設された第1回転軸と、この第1回転軸に相対回転自在に設けられた前記マッサージ部材と、このマッサージ部材が前記第1回転軸の回転に伴って連れ回りするのを規制すべく当該マッサージ部材の基部に係合された振れ止め機構とを有し、前記叩き駆動部は、前記第1回転軸と平行に配設された第2回転軸と、この第2回転軸に偏心した状態で設けられた偏心駆動体と、一端部が前記偏心駆動体からの偏心回転を受動可能に連結されると共に他端部が前記振れ止め機構に連結され且つ前記偏心駆動体からの偏心回転によって前記マッサージ部材の基部を第1回転軸回りに揺動させるクランク軸とを有し、前記突出量可変機構は、前記ベース部材において前記叩き駆動部を上下方向に移動することで、前記クランク軸を介し、マッサージ部材の基部を第1回転軸回りに揺動させる構成とすることができる。
【0012】
また、前記突出量可変機構は、上下方向を向く長溝を有すると共に前記叩き駆動部に固定されたガイド体と、このガイド体の長溝より短尺であって長溝内を上下方向にスライド可能とされた摺動体と、前記摺動体に螺合し且つ回転により前記摺動体を上下動させる送りネジ軸と、を有しており、前記ガイド体に形成された長溝の上縁が第1規制部とされ、長溝の下縁が第2規制部とされ、長溝の上下方向中途部が非規制部とされているものとすればよい。
【0013】
前記施療子は、上施療子と当該上施療子よりも下方位置に支持される下施療子とを備えるとよい。
なお、座部と、座部の後部に設けられ且つ上記した背揉み装置を内蔵した背もたれ部を有する椅子型マッサージ機を構成することは非常に好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る背揉み装置及びこの背揉み装置を備えた椅子型マッサージ機では、前後方向(厚み方向)の薄型化を図りつつも、マッサージ部材を十分な量だけ前方突出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】マッサージ機構の断面図であって、図7のA−A線断面図である。
【図2】マッサージ機構の断面図であって、図8のB−B線断面図である。
【図3】マッサージ機構の断面図であって、図9のC−C線断面図である。
【図4】マッサージ機構が最も下降した位置にある状態を示した側面図である。
【図5】マッサージ機構が最も上昇した位置にある状態を示した側面図である。
【図6】マッサージ機構が上下方向の中間位置にある状態を示した側面図である。
【図7】マッサージ部材の上施療子が最も前方突出となっている状態での正面図である。
【図8】マッサージ部材の下施療子が最も前方突出となっている状態での正面図である。
【図9】マッサージ部材の上施療子が最も前方突出となる前の状態、乃至はマッサージ部材の下施療子が最も前方突出になる前の状態であって、図7と図8の間の状態での正面図である。
【図10】マッサージ機構の斜視図である。
【図11】マッサージ機構を備えた背揉み装置の斜視図である。
【図12】本発明に係る背揉み装置を備えた椅子型マッサージ機を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、図を基に説明する。
図1〜図12は、本発明に係る背揉み装置付き椅子型マッサージ機の一つの実施形態を示している。
図12に示すように、この椅子型マッサージ機1は、使用者の臀部を下方から支持するに十分な広さの座部2と、この座部2の後部に設けられた背もたれ部3とを有しており、背もたれ部3の内部に、背揉み装置4(使用者の肩部〜背部〜腰部を揉み又は叩きマッサージするマッサージ装置)が設けられている。
【0017】
座部2の下部には、この椅子型マッサージ機1を床面へ設置するための脚フレーム6が設けられており、この脚フレーム6によって座部2が所定高さに支持されるようになっている。
なお、以下の説明において、背もたれ部3及び背揉み装置4に関しては、背もたれ部3の高さ方向を上下方向とおき、これを基準に左右方向や前後方向を決めて構造の説明をする。例えば図1〜図9では、図での上下方向を実際の装置における上下方向と呼ぶ。また、図7〜図9ではそれらの左右方向を実際の装置での(座部2に着座する使用者から見た)右左方向又は幅方向と呼び、図1〜図6の右左方向を実際の装置での前後方向と呼ぶ。なお、図1,図7,図11に、本実施形態の説明で用いる上下、左右、前後方向を明示した。
【0018】
背もたれ部3は、その下端部が座部2の後部又は脚フレーム6の後部に対して枢支され、前後揺動自在な状態に保持されている。この背もたれ部3は、脚フレーム6内に配設されたリニアアクチュエータ機構などのリクライニング機構により、リクライニング可能となっている。また、座部2の前部には足揉み装置5が設けられ、座部2の左右両側には肘掛け部7が設けられたものとしてある。ただこれらは、椅子型マッサージ機1における装備の一例であり、その有無や細部機構が限定されるものではない。
【0019】
図11に示すように、背揉み装置4は、マッサージ機構10と、このマッサージ機構10を支持するベース部材12と、このベース部材12を背もたれ部3内で上下方向に移動可能にする上下移動機構13とを備えている。加えて、この背揉み装置4は、ベース部材12に対してマッサージ機構10の上端部を前後動させるようにして、その前後方向の突出量を変える突出量可変機構14を有している。
【0020】
まず、図1、図7及び図10などに基づいてマッサージ機構10を説明する。
マッサージ機構10は、左右一対のマッサージ部材17と、これら左右のマッサージ部材17にマッサージ動作を行わせる駆動部18とを有している。
マッサージ部材17は、上方及び下方の斜め前方へ先端部を突出させたブーメラン形の支持アーム20と、この支持アーム20の上下両端部に設けられた施療子21(21a,21b)とを有している。各施療子21は、例えば樹脂や硬質ゴムなどによって肉厚な円盤型や球形などに形成することができる。なお以下では、上端側の施療子21を必要に応じて「上施療子21a」と呼び、また下端側の施療子21を必要に応じて「下施療子21b」と呼ぶ。
【0021】
駆動部18は、左右のマッサージ部材17に対して相互近接離反の動作を行わせる揉み駆動部23と、左右のマッサージ部材17に対して交互の叩き動作を行わせる叩き駆動部24とを有したものとしてある。
揉み駆動部23は、マッサージ部材17の支持アーム20に対してその中央屈曲部に埋め込み状態で設けられた傾斜回転部材25と、この傾斜回転部材25を貫通するように軸心を左右方向へ向けて架設された第1回転軸26と、この第1回転軸26を回転駆動する揉みモータ27と、支持アーム20における中央屈曲部の後部に設けられてこの支持アーム20が第1回転軸26に伴って連れ回りすることを規制する振れ止め機構28(図10にのみ示す)とを有している。この振れ止め機構28には例えばボールジョイント等の自在継ぎ手を採用可能である。
【0022】
傾斜回転部材25は、第1回転軸26に同心で且つ傾斜状態で一体回転に設けられた取付ボス部に対し、そのまわりにベアリング等を介して回転自在に嵌合保持されている。従って、揉みモータ27の駆動によって第1回転軸26を回転させると、その回転中心を軸として傾斜回転部材25がゆらぎ状の回転ブレを起こすようになり、この回転ブレが支持アーム20を介して施療子21へと伝えられるようになる。
【0023】
支持アーム20は、振れ止め機構28によって第1回転軸26と供回りしない状態に保持されるが、前後方向・左右方向及び上下方向に沿った所定範囲の動作は許容されている。また、左右の支持アーム20間において、傾斜回転部材25の傾斜方向は第1回転軸26まわりで180°の位相差に保持されている。
このようなことから、この揉み駆動部23において左右の支持アーム20は、上施療子21a同士が、左右方向において相互近接及び相互離反を繰り返すように動作すると共に、下施療子21b同士が、左右方向において相互離反及び相互近接を繰り返すように動作することになる。上施療子21a同士の相互近接時には下施療子21b同士が相互離反し、上施療子21a同士の相互離反時には下施療子21b同士が相互近接するようになるので、これがマッサージ部材17としての揉み動作を発生させる。
【0024】
一方、叩き駆動部24は、第1回転軸26の上部位置でこれと平行するように軸心を左右方向へ向けて設けられた第2回転軸31と、この第2回転軸31を回転駆動する叩きモータ32と、第2回転軸31の左右両端部に対して180°の位相差で偏心して設けられた左右の偏心駆動体34と、これら左右の偏心駆動体34を回転自在に抱持するハウジング35に対して下方へ突出して設けられたクランク軸36(リンクレバー)とを有している。
【0025】
偏心駆動体34は、ベアリングに対してその内輪側又は外輪側に偏心カラーを装着することによって、第2回転軸31とハウジング35との軸心を不一致にさせたものである。またクランク軸36の下端部は、マッサージ部材17が有する支持アーム20の中央屈曲部に連結されているが、この連結部分は、上記した振れ止め機構28(図10)を形成したものとなっている。すなわち、クランク軸36の下端部に振れ止め機構28が設けられ、この振れ止め機構28を介して支持アーム20(マッサージ部材17)の基部が連結されていることになる。
【0026】
従ってこの叩き駆動部24では、叩きモータ32を駆動させると、偏心駆動体34が第2回転軸31の軸心に対して偏心回転し、これを受けてハウジング35が円周移動するようになる。従って、このハウジング35からクランク軸36に対して上下方向の押引動作が伝えられるようになる。このようなことから、左右の支持アーム20は互いの施療子21を第1回転軸26のまわりで小刻みに揺動させ、上施療子21aと下施療子21bとを前後方向において相対逆向きに移動させるようになるから、これがマッサージ部材17としての叩き動作を発生させることになる。
【0027】
なお、左右の支持アーム20に生じる揺動は、左右の偏心駆動体34が180°の位相差で設けられていることから、交互に生じるようになっている。
すなわち、左側の支持アーム20が上施療子21aを前方へ移動させるときには、右側の支持アーム20が上施療子21aを後方へ移動させる。反対に、左側の支持アーム20が下施療子21bを前方へ移動させるときには、右側の支持アーム20が下施療子21bを後方へ移動させる。
【0028】
ただ、これは限定される事項ではなく、例えば左右の偏心駆動体34に対してそれらの位相差をゼロにさせるような切換機構を設けておけば、左右の支持アーム20が同期して同じ向きに揺動するように、叩き動作の設定(叩きパターン)を変更できることになる。
次に、前記構成のマッサージ機構10を支持するベース部材12と、このベース部材12を背もたれ部3内で上下移動させる上下移動機構13とについて説明する。
【0029】
ベース部材12は、マッサージ部材17が前方を向くようにしてマッサージ機構10を支持している。すなわち、ベース部材12はマッサージ機構10の後部側(背後)に設けられている。
具体的には、図7〜図9に示すように、第1回転軸26は、左右のマッサージ部材17間を渡る軸中央部分が第1軸受部38によって回転自在に支持されており、この第1軸受部38がベース部材12に固定されている。またこの第1回転軸26は、右側のマッサージ部材17を貫通した右方の突出部分が、ベース部材12上に配備されたギヤヘッド39と連結されていて、このギヤヘッド39に揉みモータ27が連結されている。加えて、左側のマッサージ部材17を貫通した左方の突出部分が、ベース部材12の前面に固定された軸受ブラケット40により回転自在に保持されている。
【0030】
このように、揉み駆動部23において主要部となる第1軸受部38、ギヤヘッド39及び軸受ブラケット40がベース部材12に固定されていることで、マッサージ機構10の全体として、ベース部材12に支持される状態となっている。
なお、叩き駆動部24の第2回転軸31は、前記した第1軸受部38の上側に配備される第2軸受部41により、回転自在に保持されているが、この第2軸受部41は、ベース部材12の前面に設けられた左右一対の縦レール部42に沿って、上下動自在に保持されるようになっている。また、図1〜図3に示すように、叩き駆動部24の叩きモータ32は、第2回転軸31の後部側(裏側)に配備されて第2軸受部41と一体的に連結される構造となっており、この第2軸受部41の上下動に伴って一緒にベース部材12上を上下動するものとされている。
【0031】
このように、叩き駆動部24において主要部となる第2軸受部41や叩きモータ32が上下動自在とされていても、前記の如く、揉み駆動部23の主要部(第1軸受部38など)がベース部材12に固定されていることで、左右のマッサージ部材17がベース部材12に対して上下動することはない。
叩き駆動部24の第2軸受部41やそれに支持される第2回転軸31が上下動自在になっていることから、次のような動きが実現できる。すなわち、揉みモータ27が第1回転軸26を回転させるときも、また叩きモータ32が第2回転軸31を回転させるときも、マッサージ部材17は、原則として、振れ止め機構28によって第1回転軸26回りの連れ回りが制限される。
【0032】
しかし、マッサージ部材17に使用者による凭れ掛かり荷重が負荷したような場合には、振れ止め機構28及びクランク軸36を介して第2回転軸31に上下方向の押し引き力が伝わり、第2軸受部及び叩きモータ32が縦レール部42に沿って上下動することになる。そのため、マッサージ部材17は第1回転軸26を中心として、所定範囲で回動乃至は揺動が許容される、という動きである。
【0033】
かかる構成により、揉み駆動部23や叩き駆動部24によるマッサージ動作に関係なく、マッサージ部材17が背中の起伏(背骨のS字カーブ)に応じて第1回転軸26回りに回動し、上下の施療子21がほぼ均等圧に背中に当接することになる。揉み駆動部23や叩き駆動部24は、いずれか一方だけ作動させたり、又は両方同時に作動させたりを切替可能にしておくことができる。
【0034】
一方、ベース部材12を背もたれ部3内で上下方向に移動可能にするために、背揉み装置4は上下移動機構13を備えている。
図10に示すように、上下移動機構13は、ベース部材12の上部及び下部の左右両側に、回転軸心を左右外方向へ突出させて回転自在に保持されたガイドローラ45を有している。加えて、このガイドローラ45を嵌め入れて上下方向の移動をガイドする左右一対のガイドレール46を有している。ガイドレール46は、背もたれ部3の内部に長手方向を上下に向けて組み込まれている。
【0035】
さらに、図11に示すように、両ガイドレール46の相互間には昇降モータ47により回転駆動可能とされたネジ軸48が設けられ、ベース部材12には、このネジ軸48に螺合するナット部材(図示略)が内蔵されている。従って、昇降モータ47の作動でネジ軸48が回転駆動されることで、ベース部材12と共にマッサージ機構10が背もたれ部3内を上下動するようになっている。
【0036】
これにより、座部2に座って背もたれ部3に背中を押しつけた使用者は、マッサージ機構10を上下に移動させて、肩部から背中及び腰部にわたる広い範囲でマッサージを受けられるものとなっている。
次に、本発明に係る背揉み装置4の特徴的な機構である「突出量可変機構14」を説明する。
【0037】
図1〜図3、及び図7〜図9などに示されるように、突出量可変機構14は、施療子21の前後方向の突出量が変わるように、マッサージ部材17の基部(支持アーム20に対して振れ止め機構28が設けられる部分)を軸26の回りに揺動させる構成となっている。言い換えれば、この突出量可変機構14は、叩き駆動部24(第2軸受部41)を上下方向に移動させ、それに伴ってマッサージ部材17の基部を軸揺動させるものとなっている。
【0038】
以下、突出量可変機構14の詳細を説明する。
まず、突出量可変機構14は、左右一対に設けられたマッサージ部材17の幅方向中央部に設けられたガイド体55と、このガイド体55内に設けられた摺動体56と、この摺動体56をガイド体55内で上下動させる送りネジ軸57とを有している。
ガイド体55は、叩き駆動部24の第2軸受部41や叩きモータ32に対してそれらの前面側に固定配置されており、前方側を開放させた縦長の箱形(長方形枠状)に形成されている。この縦長の箱形内に形成される前方開放部分は、摺動体56を収容可能にし、且つ収容した摺動体56を上下方向に移動自在に案内するための長溝60を形成している。
【0039】
このようなガイド体55に対し、摺動体56は、長溝60の溝幅と略等しいか又は若干小さな幅寸法を有していて、且つ長溝60より上下方向に短尺に形成されている。そのため、長溝60内の幅方向で大きなガタツキが生じない状態を保持したまま、当該長溝60内での相対的な上下移動が可能となっている。また、この摺動体56には、その上面と下面との間を貫通する上下方向の孔が形成されており、この孔内面に送りネジ軸57と螺合する雌ねじ部58が設けられている。
【0040】
送りネジ軸57は、摺動体56の孔内を上下に貫通して孔内面の雌ねじ部58に螺合するようになっている。この送りネジ軸57には、その上端部にウオームホイール62が一体回転可能に設けられており、このウオームホイール62に対して回転軸心を直交させたウオームギヤ63が噛合され、このウオームギヤ63が電動モータ64によって回転駆動されるようになっている。
【0041】
すなわち、電動モータ64を駆動させると、ウオームギヤ63、ウオームホイール62を介して送りネジ軸57に回転駆動が伝わるが、摺動体56は、長溝60内での幅方向ガタツキが防止されていることによって送りネジ軸57まわりの回転が阻止されるため、送りネジ軸57と摺動体56との間に相対的な螺合動作が生じ、その結果、摺動体56が長溝60内を上下動することになる。
【0042】
このような構成を具備した突出量可変機構14では、前記したように電動モータ64により送りネジ軸57をいずれか一方向へ駆動回転させることで、摺動体56が上方移動又は下方移動する。
なお、ガイド体55において、長溝60の上縁は当該長溝60内で摺動体56が上方移動するうえでの上限である。図2及び図8に示すように、摺動体56がこの上縁に当接した後も上方移動を続けるときには、摺動体56からガイド体55全体に上方への移動力が伝わり、ガイド体55が上方移動するのはもとより、ガイド体55と一体となっている叩き駆動部24の第2軸受部41及び叩きモータ32も縦レール部42にガイドされながら上方移動するようになる。
【0043】
つまり、第2軸受部41が縦レール部42の上限まで到達したとき、長溝60の上縁に当接している摺動体56も、ガイド体55内においてそれ以上の上方移動を阻止されるから、このときの長溝60の上縁を第1規制部65とおく。
また、長溝60の下縁は当該長溝60内で摺動体56が下方移動するうえでの下限である。図1及び図7に示すように、摺動体56がこの下縁に当接した後も下方移動を続けるときには、摺動体56からガイド体55全体に下方への移動力が伝わり、ガイド体55が下方移動するのはもとより、ガイド体55と一体となっている叩き駆動部24の第2軸受部41及び叩きモータ32も縦レール部42にガイドされながら下方移動するようになる。
【0044】
つまり、第2軸受部41が縦レール部42の下限まで到達したとき、長溝60の下縁に当接している摺動体56もガイド体55内においてそれ以上の下方移動を阻止されるから、このときの長溝60の下縁を第2規制部66とおく。
更に、図3及び図9に示すように、第2軸受部41が縦レール部42の上限、下限のいずれにも到達していない状態では、摺動体56と長溝60の下縁とが当接するまで、摺動体56に対するガイド体55の下方移動が許容されると共に、摺動体56と長溝60の上縁とが当接するまで、摺動体56に対するガイド体55の上方移動が許容される。すなわち、ガイド体55は所定範囲で上下動自在であることから、この状況下での長溝60内に非規制部67(長溝60内において第1規制部65と第2規制部66とで挟まれた上下方向の領域)が形成されている。
【0045】
図1及び図7に示すように、以上のような構成を備えた突出量可変機構14において、摺動体56を下方移動させた場合、摺動体56は長溝60内の下縁に当接してガイド体55に下方移動力を伝え、これによってガイド体55は、叩き駆動部24の第2軸受部41及び叩きモータ32と一緒に縦レール部42にガイドされながら下方へ移動するようになる。第2軸受部41及び叩きモータ32の下方移動は、前記したようにクランク軸36を介して、マッサージ部材17の基部を第1回転軸26回りに下方へ揺動させる(図10で第1回転軸26を中心にして時計回りに回動させる)ことになり、その結果として、上施療子21aが後退し、下施療子21bが前方突出するようになる。なお、摺動体56が第2規制部66(長溝60の下縁)に到達し係合している故、下施療子21bが最も前方突出した状態として、マッサージ部材17はその揺動角が保持されるようになる。使用者からの押し力により、下施療子21bを押し込もうとしても押し込めない状況となっている。
【0046】
同様に、図2及び図8に示すように、摺動体56を上方移動させた場合、摺動体56は長溝60内の上縁に当接してガイド体55に上方移動力を伝え、これによってガイド体55は、叩き駆動部24の第2軸受部41及び叩きモータ32と一緒に縦レール部42にガイドされながら上方へ移動するようになる。第2軸受部41及び叩きモータ32の上方移動は、クランク軸36を介してマッサージ部材17の基部を第1回転軸26回りに上方へ揺動させる(図10で第1回転軸26を中心にして反時計回りに回動させる)ことになり、その結果として、上施療子21aが前方突出し、下施療子21bが後退するようになる。摺動体56が第1規制部65(長溝60の上縁)に到達し係合してそれ以上、上方移動しなくなれば、上施療子21aが最も前方突出した状態として、マッサージ部材17はその揺動角が保持されるようになる。使用者からの押し力により、上施療子21aを押し込もうとしても押し込めない状況となっている。
【0047】
一方で、図3及び図9に示すように、摺動体56が非規制部67に存在している間は、ガイド体55は、非規制部67の上下長さ分だけ上下移動可能となっている。それ故、叩き駆動部24の第2軸受部41及び叩きモータ32も、非規制部67の上下長さ分だけ、縦レール部42にガイドされながら上下移動自在である。
そのため、このようなガイド体55の上下移動がクランク軸36に伝わり、マッサージ部材17の基部も第1回転軸26回りで揺動自在となる。すなわち、第1規制部65及び第2規制部66で規制されるマッサージ部材17の姿勢以外において、マッサージ部材17の回動(第1回転軸26回りの回動)は許容されていることになるので、その結果として、上施療子21aと下施療子21bとが前方突出と後退とを自由に行う状況を得ることができる。
【0048】
このような突出量可変機構14の動作を、図4〜図6に基づきつつ、上下移動機構13の動作と関連付けて更に説明する。
図4は、マッサージ機構10が下端位置(使用者の腰位置)で停止している状態であり、図5は、マッサージ機構10が上端位置(使用者の肩位置)で停止している状態であり、図6は、図4と図5の間の状態であり、マッサージ機構10が上昇又は下降している途中を示している。
【0049】
まず、マッサージ機構10が下方位置から上方へ移動し使用者の肩部に位置する過程(図4→図6→図5)を説明する。以下の動きは、椅子型マッサージ機1に備えられた制御部(図示しない)のプログラムにより、昇降モータ47、電動モータ64を制御することで実行される。
図4のマッサージ機構10は、使用者の腰部をマッサージすることを主眼においているため、突出量可変機構14は、図1及び図7に示すように、摺動体56が第2規制部66に到達するまで下方移動して、マッサージ部材17の基部を第1回転軸26回りに下方へ揺動させ、もって、上施療子21aが最も後退し、下施療子21bが最も前方突出する状態として、マッサージ部材17の揺動角を保持させている。
【0050】
この状態から、上下移動機構13の昇降モータ47が回転し、ネジ軸48が回転することで、それに螺合するナット部材を内蔵するベース部材12が上昇し、図6に示すように、マッサージ機構10も一緒に上方に移動するようになる。
マッサージ機構10の上方移動に伴い、制御部は突出量可変機構14の電動モータ64に指令を出し、図3及び図9に示すように、摺動体56を第2規制部66と第1規制部65との上下間(非規制部67)へと上方移動させる。そのため、マッサージ部材17の基部を第1回転軸26回りに上方へ少しだけ揺動させ、もって、上施療子21aが前方へ若干突出し、下施療子21bが後方に若干退行する状態となる。
【0051】
その後、図5に示すように、マッサージ機構10が更に上方へ移動し、使用者の肩位置に達する際には、突出量可変機構14は、図2及び図8に示すように、摺動体56が第1規制部65に到達するまで上方移動して、マッサージ部材17の基部を第1回転軸26回りに上方へ揺動させ、もって、上施療子21aが最も前方突出し、下施療子21bが最も後退する状態として、マッサージ部材17の揺動角を保持させる。
【0052】
上施療子21aが前方へ最も突出しているため、この状態で叩き駆動部24を駆動してマッサージ部材17の基部を反復的に軸揺動させれば、上施療子21aが上下方向へ往復移動し、使用者の肩部を上方から前方にかけて確実に且つ効果的にマッサージすることができるようになる。
なお、この状況下にあるときに、マッサージ部材17の上施療子21aに凭れ掛かり荷重PU(後向きに押す力)が負荷したとする。これによりマッサージ部材17には、上施療子21aを下施療子21bよりも後方にさせようとして、第1回転軸26回りに回動しようとする揺動力が付加され、これに伴ってガイド体55を下方へ引き下げる向きの力FLが加わることが予想される。
【0053】
しかし、仮にガイド体55が下方へ引き下げられることがあったとしても、突出量可変機構14において摺動体56は送りネジ軸57と螺合関係にあるため、長溝60の上縁が摺動体56に当接した時点で当該ガイド体55の下方移動は制止される。従って、マッサージ部材17が上施療子21aを下施療子21bよりも後方にさせる、といった不具合は発生せず、マッサージ部材17の揺動角は確実に保持される。
【0054】
次に、マッサージ機構10が上方位置から下方へ移動し使用者の腰部に位置する過程(図5→図6→図4)を説明する。以下の動きも、椅子型マッサージ機1に備えられた制御部(図示しない)のプログラムにより、昇降モータ47、電動モータ64を制御することで実現されている。
図5のマッサージ機構10は、使用者の肩部をマッサージすることを主眼においているため、突出量可変機構14は、図2及び図8に示すように、摺動体56が第1規制部65に到達するまで上方移動して、マッサージ部材17の基部を第1回転軸26回りに上方へ揺動させ、もって、上施療子21aが最も前方突出し、下施療子21bが最も後退する状態として、マッサージ部材17の揺動角を保持させている。
【0055】
この状態から、上下移動機構13の昇降モータ47が回転し、ネジ軸48が回転することで、それに螺合するナット部材を内蔵するベース部材12が下降し、図6に示すように、マッサージ機構10も一緒に下方に移動するようになる。
マッサージ機構10の下方移動に伴い、制御部は突出量可変機構14の電動モータ64に指令を出し、図3及び図9に示すように、摺動体56を第2規制部66と第1規制部65との上下間(非規制部67)へと下方移動させる。そのため、マッサージ部材17の基部を第1回転軸26回りに下方へ少しだけ揺動させ、もって、上施療子21aが後方に若干退行し、下施療子21bが前方へ若干突出する状態となる。
【0056】
その後、図4に示すように、マッサージ機構10が更に下方へ移動し、使用者の腰位置に達する際には、突出量可変機構14は、図1及び図7に示すように、摺動体56が第1規制部65に到達するまで下方移動して、マッサージ部材17の基部を第1回転軸26回りに下方へ揺動させ、もって、上施療子21aが最も後退し、下施療子21bが最も前方突出する状態として、マッサージ部材17の揺動角を保持させる。
【0057】
下施療子21bが前方へ最も突出しているため、この状態で叩き駆動部24を駆動してマッサージ部材17の基部を反復的に軸揺動させれば、上施療子21aが前後方向へ往復移動し、使用者の腰部を確実に且つ効果的にマッサージすることができるようになる。
なお、この状況下にあるときに、マッサージ部材17の下施療子21bに凭れ掛かり荷重PL(後向きに押す力)が負荷したとする。これによりマッサージ部材17には、下施療子21bを上施療子21aよりも後方にさせようとして、第1回転軸26回りに回動しようとする揺動力が付加され、これに伴ってガイド体55を上方へ押し上げる上向きの力FUが加わることが予想される。
【0058】
しかし、仮にガイド体55が上方へ押し上げられることがあったとしても、突出量可変機構14において摺動体56は送りネジ軸57と螺合関係にあるため、長溝60の下縁が摺動体56に当接した時点で当該ガイド体55の上方移動は制止される。従って、マッサージ部材17が下施療子21bを上施療子21aよりも後方にさせる、といった不具合は発生せず、マッサージ部材17の揺動角は確実に保持される。
【0059】
なお、突出量可変機構14がマッサージ部材17の揺動角を変更させる途中(上施療子21aを最も前方突出させたり、反対に下施療子21bを最も前方突出させたりする動きの途中)は、図3及び図9に示すように、摺動体56に対してガイド体55が所定範囲で上下動自在になっている。
すなわち、マッサージ部材17の上施療子21aや下施療子21bに対して凭れ掛かり荷重PUやPLが負荷したときには、ガイド体55と一緒に、叩き駆動部24の第2軸受部41及び叩きモータ32も上下移動し、クランク軸36を介して連接しているマッサージ部材17が第1回転軸26のまわりで自由に回動する。ゆえに、図6に示すように、この状態でマッサージ機構10を上下移動させたときには、マッサージ部材17は背中のS字カーブに合わせながら第1回転軸26回りに回動し、上施療子21a及び下施療子21bがほぼ均等圧で背中に当接するようになる。
【0060】
このように、摺動体56がガイド体55の非規制部67に存在する場合は、叩き駆動部24が若干ながら上下移動可能であるため、本願出願人が既に開発した技術(特開2007−97834号公報)を本マッサージ機構10に採用可能である。すなわち、マッサージ機構10が肩位置検出機構を備えていて、この肩位置検出機構が、支持アーム20(揺動アーム)の左右軸心26周りの揺動角を当該左右軸心26から離れた位置での直線移動距離に変換する角度変換部と、この角度変換部により変換された直線移動距離を測定する距離計測部と、距離計測部が測定した直線移動距離を基に使用者の肩位置を検出する肩位置検出部とを備えていてもよい。
【0061】
以上詳説したところから明らかなように、本発明に係る背揉み装置4では、従来の背揉み装置(特許文献1など参照)が具備していた出退動作機構に代えて、突出量可変機構14を装備する構成としているので、前方へ突出する構造のレール部や揺動制限機構は不要となり、背揉み装置4として前後方向の薄型化ができるものである。また、このように背揉み装置4の薄型化をしても、マッサージ機構10を前方突出させたり元の通常位置へ戻したりする動作量は十分に確保できるものである。
【0062】
当然に、背揉み装置4の薄型化が可能であるため、椅子型マッサージ機1としてもその背もたれ部3が分厚くなるのを抑制できる。
なお、この椅子型マッサージ機1では、座部2に着座した使用者が、背もたれ部3に背中を押しつけるようにしてもたれ掛かり、その状態で背揉み装置4を作動させることにより、マッサージ機構10の揉み駆動部23による揉みマッサージや叩き駆動部24による叩きマッサージを、左右のマッサージ部材17を介して受けることができる。
【0063】
そして、使用者の体型やマッサージ位置に関する必要性又は使用者の好みに応じて突出量可変機構14を作動させることにより、マッサージ機構10(マッサージ部材17)を通常のマッサージ位置よりも前方へ突出させたり、元の通常位置へ戻したりできる。
突出量可変機構14を作動させる場合、マッサージ機構10を前方へ突出させたときにはマッサージ部材17の上施療子21aが前方突出状態となり、使用者による凭れ掛かり荷重PUが負荷したとしてもこの状態が保持されるようになる。
【0064】
またマッサージ機構10を後方へ退行させたときにはマッサージ部材17の下施療子21bが前方突出状態となり、使用者による凭れ掛かり荷重PLが負荷したとしてもこの状態が保持されるようになる。
従って、叩きや揉みなどのマッサージが的確且つ局部的に(ピンポイントで)得られる状態となり、使用者の期待を満足させることができる。
【0065】
ところで、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は前記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、椅子型マッサージ機1としての細部構造(座部2及び背もたれ部3を具備する基本構成以外)や、マッサージ機構10の細部構造などは何ら限定されるものではない。
【0066】
また、実施形態で説明したマッサージ部材17は、上方及び下方の斜め前方へ先端部を突出させたブーメラン形の支持アーム20と、この支持アーム20の上下両端部に設けられた施療子21(21a,21b)とを有する「四つ玉式」のものであったが、左右それぞれに一つずつ施療子21を備えた「二つ玉式」のものであっても何ら問題ない。
また、椅子型マッサージ機1は、背もたれ部3の内部に、光電センサなどからなる「体部分検出センサ」を有していてもよい。このセンサにより、例えば、使用者の肩位置を検出し、検出された使用者の肩位置を基に、使用者の肩位置にあっては、マッサージ機構10の上端部(上施療子21a)を前方向に突出させ、使用者の腰位置(肩位置より所定距離だけ下方部分)にあっては、マッサージ機構10の上端部(上施療子21a)を後方向に退行させるよう制御してもよい。かかる制御は、椅子型マッサージ機1に設けられた制御部により行うとよい。
【0067】
マッサージ部材17は、支持アーム20に対して上施療子21aのみを備えるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 椅子型マッサージ機
2 座部
3 背もたれ部
4 背揉み装置
5 足揉み装置
6 脚フレーム
7 肘掛け部
10 マッサージ機構
11 揺動枢支部
12 ベース部材
13 上下移動機構
14 突出量可変機構
17 マッサージ部材
18 駆動部
20 支持アーム
21 施療子
21a 上施療子
21b 下施療子
23 揉み駆動部
24 叩き駆動部
25 傾斜回転部材
26 第1回転軸
27 揉みモータ
28 振れ止め機構
31 第2回転軸
32 叩きモータ
34 偏心駆動体
35 ハウジング
36 クランク軸
38 第1軸受部
39 ギヤヘッド
40 軸受ブラケット
41 第2軸受部
42 縦レール部
45 ガイドローラ
46 ガイドレール
47 昇降モータ
48 ネジ軸
55 ガイド体
56 摺動体
57 送りネジ軸
58 雌ねじ部
60 長溝
62 ウオームホイール
63 ウオームギヤ
64 電動モータ
65 第1規制部
66 第2規制部
67 非規制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が背もたれ可能とされた背もたれ部に備えられた背揉み装置であって、
マッサージ動作を行う施療子を備え且つ左右一対に配備されたマッサージ部材とこのマッサージ部材にマッサージ動作を伝動する駆動部とを有するマッサージ機構と、
前記マッサージ部材が前方を向く状態で前記マッサージ機構を支持するベース部材と、
前記ベース部材を前記背もたれ部内で上下方向に移動可能にする上下移動機構と、
前記施療子の前後方向の突出量が変わるように、前記マッサージ部材を移動させる突出量可変機構と、
を有していることを特徴とする背揉み装置。
【請求項2】
前記マッサージ部材の基部は、左右方向を向く軸芯に枢支されて軸揺動可能となっており、
前記突出量可変機構は、前記施療子の前後方向の突出量が変わるように、前記マッサージ部材の基部を軸揺動させることを特徴とする請求項1に記載の背揉み装置。
【請求項3】
前記マッサージ機構の駆動部は、前記施療子を左右方向へ近接離反移動させて揉みマッサージ動作となるように前記マッサージ部材を駆動する揉み駆動部と、前記マッサージ部材の基部を反復的に軸揺動させることで前記施療子を前後方向又は上下方向へ往復移動させ、叩きマッサージ動作となるように前記マッサージ部材を駆動する叩き駆動部と、を有しており、
前記叩き駆動部は、前記ベース部材において上下方向に移動可能であると共に、この上下方向の移動に伴い前記マッサージ部材の基部が前記軸揺動可能に構成されており、
前記突出量可変機構は、前記叩き駆動部を上下方向に移動させ且つ前記マッサージ部材の基部を軸揺動させることで、施療子の前後方向の突出量を可変としていることを特徴とする請求項1又は2に記載の背揉み装置。
【請求項4】
前記突出量可変機構は、前記施療子が最も後退する位置でマッサージ部材の揺動角を保持させる第1規制部と、
前記施療子が最も前方突出する位置でマッサージ部材の揺動角を保持させる第2規制部と、
前記第1規制部と第2規制部との間で前記マッサージ部材の基部を軸回り揺動を許容する非規制部と、
を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の背揉み装置。
【請求項5】
前記揉み駆動部は、左右方向に架設された第1回転軸と、この第1回転軸に相対回転自在に設けられた前記マッサージ部材と、このマッサージ部材が前記第1回転軸の回転に伴って連れ回りするのを規制すべく当該マッサージ部材の基部に係合された振れ止め機構とを有し、
前記叩き駆動部は、前記第1回転軸と平行に配設された第2回転軸と、この第2回転軸に偏心した状態で設けられた偏心駆動体と、一端部が前記偏心駆動体からの偏心回転を受動可能に連結されると共に他端部が前記振れ止め機構に連結され且つ前記偏心駆動体からの偏心回転によって前記マッサージ部材の基部を第1回転軸回りに揺動させるクランク軸とを有し、
前記突出量可変機構は、前記ベース部材において前記叩き駆動部を上下方向に移動することで、前記クランク軸を介し、マッサージ部材の基部を第1回転軸回りに揺動させる構成とされている
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の背揉み装置。
【請求項6】
前記突出量可変機構は、
上下方向を向く長溝を有すると共に前記叩き駆動部に固定されたガイド体と、
このガイド体の長溝より短尺であって長溝内を上下方向にスライド可能とされた摺動体と、
前記摺動体に螺合し且つ回転により前記摺動体を上下動させる送りネジ軸と、を有しており、
前記ガイド体に形成された長溝の上縁が第1規制部とされ、長溝の下縁が第2規制部とされ、長溝の上下方向中途部が非規制部とされている
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の背揉み装置。
【請求項7】
前記施療子は、上施療子と当該上施療子よりも下方位置に支持される下施療子とを備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の背揉み装置。
【請求項8】
座部と、座部の後部に設けられ且つ請求項1〜7のいずれか1項に記載された背揉み装置を内蔵した背もたれ部を有することを特徴とする椅子型マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−165852(P2012−165852A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28305(P2011−28305)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(592009214)大東電機工業株式会社 (106)
【Fターム(参考)】