説明

能動型反射偏光子を採用して反射モード及び透過モード間で切替可能な液晶ディスプレイ装置

透過モード及び反射モード間で切替可能な液晶ディスプレイ装置が開示されている。該液晶ディスプレイ装置は、バックライト;印加される磁場いかんによって、入射光を反射させるリフレクタ、または第1偏光の光は反射させ、第1偏光と垂直である第2偏光の光は透過させる反射型偏光子として動作する能動型反射偏光子;入射光を変調して画像を形成する液晶パネルを含む。該液晶パネルは、液晶層、該液晶層の背面に設けられ、該能動型反射偏光子と対向する第1偏光子、及び該液晶層の前面に設けられた第2偏光子を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、能動型反射偏光子を採用し、外部光を使用する反射モード及びバックライトを使用する透過モード間で切替可能な液晶ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話、PDA(personal Digital assistants)など、携帯機器の普及が拡大するにつれて、低電力消耗、すぐれた野外視認性を要求するディスプレイが要求されている。かような要求に対応するために、既存のバックライトを利用する透過型液晶ディスプレイ装置(LCD)に、外部光を利用する反射型LCDの機能を結合した半透過(transflective)LCDに対する研究が活発に進められている。
【0003】
図1は、特許文献1で開示する半透過LCDの概略的な構成を示している。図面を参照すれば、半透過LCDは、バックライト装置20、下部基板40、液晶層60、上部基板50を備え、液晶層60は、反射電極46が形成され、外部からの光を反射させる領域と、バックライト装置20からの光を透過させる透過領域43とに分けられている。
【0004】
かような構成は、基本的に、セルを半分に分け、それぞれ透過モード及び反射モードに利用することにより、解像度低下及びそれぞれのモードでの輝度が低下してしまう。また、液晶セル内部に、反射電極46を構成せねばならず、透過モード及び反射モードの光路差を補償するために、例えば、d=2dの関係を満足する互いに異なるセルギャップを構成しなければならないために、半透過LCDの製造工程が複雑である。
【0005】
図2A及び図2Bは、特許文献2で開示するLCDの概略的な構成を示している。図面を参照すれば、LCDは、バックライト80、コレステリック液晶(CLC:cholesteric liquid crystal)セル72と1/4波長板74とを具備するミラーアセンブリ70、第2偏光子67、液晶セル65、第1偏光子63を備えている。外部光61を使用する反射モード(図2A)で、CLCセル72は、円偏光を選択的に反射するミラーの役割を行うように駆動され、無偏光の外部光61のうち、第1偏光子63、液晶セル65及び第2偏光子67を通過した線偏光は、1/4波長板74を経て、CLCセル72で反射される所定円偏光状態でCLCセル72に入射されるので、CLCセル72によって反射される。このように反射された光は、再び1/4波長板74を経て、線偏光状態で液晶セル65に入射され、液晶セル65に印加される電圧いかんによってON/OFF制御されて画像を形成する。バックライト80からの光を使用する透過モード(図2B)で、CLCセル72は、あらゆる光を透過するように駆動され、バックライト80から照射された無偏光の光は、ミラーアセンブリ70及び第2偏光子67を経て、線偏光状態で液晶セル65に入射され、液晶セル65に印加される電圧いかんによって、ON/OFF制御されて画像を形成する。
【0006】
かような構成において、一般的に、CLCの場合、入射光の角度や波長に敏感であって、可視光領域全体に対して反射特性を確保するためには、マルチレイヤが必要であり、コレステリック液晶セル形成のためのガラス基板及び線偏光切替用の1/4波長板が必要であり、薄型及び製造コスト節減に限界がある。また、CLCの場合、駆動電圧が高く、消費電力減少にも限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許6,654,087号明細書
【特許文献2】米国特許6,710,831号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施形態は、前述の問題点と前記で言及されていない他の問題点とを克服しようとするものである。また、本発明は、前述の問題点を克服することが要求されず、本発明の実施形態は、前述の問題点のうち、いずれか一つでも克服できないこともある。
【0009】
本発明の実施形態は、磁場によって制御される能動型反射偏光子を採用することで簡単な構造を有する。また、液晶セル全体が選択的に透過モードあるいは反射モードとして使われることで、使用環境にかかわらず最大化された性能を有する切替型LCDを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、反射モード及び透過モード間で切替可能な液晶ディスプレイ装置を提供する。本発明による切替型LCDは、バックライトと、磁場が印加されているかどうかによってリフレクタまたは反射型偏光子として動作する能動型反射偏光子と、入射光を変調して画像を形成する液晶パネルとを含む。該液晶パネルは、液晶層と、前記液晶層の両側に設けられた第1偏光子及び第2偏光子とを含む。
【0011】
前記能動型反射偏光子は、磁場が印加されるとき、前記バックライトから入射される光のうち、第1偏光の光は反射させ、前記第1偏光と垂直である第2偏光の光は透過させる反射型偏光子として機能し、磁場が印加されないとき、外部から入射される光を反射させるリフレクタとして機能する。
【0012】
前記第1偏光子及び第2偏光子のうち、前記能動型反射偏光子と対向する偏光子の透過軸は、前記能動型反射偏光子を透過する光の偏光方向と平行であることを特徴とする。
【0013】
前記バックライトの背面には、前記能動型反射偏光子から反射された光を前記能動型反射偏光子側に反射する反射部材が設けられ、前記反射部材の上面には、前記能動型反射偏光子から反射された光をリサイクルするリサイクル部材が設けられうる。
【0014】
前記リサイクル部材は、偏光切替部材を含む。
【0015】
前記能動型反射偏光子は、伝導性軟磁性物質からなり、外部磁場が印加されれば、磁気モーメントが一定方向に配列され、印加されなければ、ランダムに配列される磁性材料層と、前記磁性材料層に磁場を印加するための磁場印加手段とを含むことを特徴とする。
【0016】
切替型LCDは、前記バックライトが駆動されるとき、前記磁場印加手段が同時に駆動されるように制御する制御部を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるLCDは、能動型反射偏光子を採用し、液晶セル全体が選択的に透過モードまたは反射モード間で切替されうる特徴を有する。
【0018】
これにより、外部光を使用する反射モードや、バックライトを使用する透過モードそれぞれで、液晶セル全体が使われるので、解像度の低下がなく、輝度特性にすぐれるディスプレイを提供されうる。かようなディスプレイ装置は、野外視認性が向上し、消費電力最小化が可能になって、さらに競争力あるモバイル機器のために採用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】米国特許6,654,087号明細書で開示する半透過LCDの概略的な構成を示す図面である。
【図2A】米国特許6,710,831号明細書で開示するLCDの概略的な構成を示す図面である。
【図2B】米国特許6,710,831号明細書で開示するLCDの概略的な構成を示す図面である。
【図3A】本発明の実施形態による切替型LCDの概略的な構成と、反射モードで作用するときの光路とを示す図面である。
【図3B】本発明の実施形態による切替型LCDの概略的な構成と、反射モードで作用するときの光路とを示す図面である。
【図4A】本発明の実施形態による切替型LCDの概略的な構成と、透過モードで作用するときの光路とを示す図面である。
【図4B】本発明の実施形態による切替型LCDの概略的な構成と、透過モードで作用するときの光路とを示す図面である。
【図5】本発明の実施形態による切替型LCDに採用された能動型反射偏光子の概略的な構成を示す図面である。
【図6】入射光のH成分が磁化Mの方向と平行である場合及び垂直である場合について、能動型反射偏光子の磁性材料層深さによる磁場強度を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明の望ましい実施形態による切替型液晶ディスプレイ装置(LCD)について詳細に説明する。
【0021】
図3A、図3B、図4A及び図4Bは、本発明の実施形態による切替型LCD500の概略的な構成を示している。図面を参照すれば、切替型LCD500は、バックライト100、能動型反射偏光子200、液晶パネル300を備える。
【0022】
能動型反射偏光子200は、入射光を反射させるリフレクタと、磁場成分が第1方向である入射光を反射させ、磁場成分が第2方向である入射光を透過させる反射型偏光子との間で印加された磁場によって切替される。ここで、第2方向は、印加された磁場の方向と垂直である。
【0023】
磁場が印加されないとき、能動型反射偏光子200は磁化されない。磁場が印加されるとき、能動型反射偏光子200は、所定方向に磁化される。例えば、X方向のM値を有することができる。能動型反射偏光子200の詳細な構成及び機能は後述する。
【0024】
一方、能動型反射偏光子200に磁場が印加されずにリフレクタとして機能するときは、外部光を利用して画像を形成するので、バックライト100の光は必要ではない。能動型反射偏光子200に磁場が印加されて反射型偏光子として機能するときは、バックライト100での光が使われる。このために、切替型LCD500は、バックライト100の駆動と、能動型反射偏光子200を制御する磁場の印加とが同時になされるように制御する制御部410を具備できる。
【0025】
また、切替型LCD500の背面には、能動型反射偏光子200が反射型偏光子の役割を行うとき、前記能動型反射偏光子200から反射された光を再び能動型反射偏光子200側に反射させる反射部材120が設けられ、前記反射部材120の上面には、能動型反射偏光子200を透過できずに反射された偏光光をリサイクルするリサイクル部材がさらに設けられうる。前記リサイクル部材は、1/4波長板のような偏光切替部材130を含んでなされうる。
【0026】
液晶パネル300は、光を変調させて画像を形成するものであり、2枚のガラス基板330,370間に封止された液晶層350と、液晶層350の背面に設けられ、能動型反射偏光子200と対向する第1偏光子310と、液晶層350の前面に設けられた第2偏光子390とを含む。液晶パネル300は、それ以外にも、図示されていないが、カラー光を形成するためのカラーフィルタや、個々の画素を制御するための画素電極を含んでいる。液晶層350は、印加される電圧によって、入射光の偏光状態をそのまま維持させたり、または入射光の偏光を直交する偏光に変える役割を行う。以下の説明で、液晶層350の液晶は、VA(vertical alignment)モードに配列されており、液晶層350に電圧が印加されていない場合、液晶層350を通過する光の偏光状態が維持され、液晶層350に電圧が印加された場合、液晶層350を通過する光の偏光が直交する偏光に変わるものとする。ただし、これは例示的なものであり、他の液晶モードが採用でき、採用された液晶モードによって、他の作用も可能である。液晶層350は、一方向に線形偏光された光を使用するので、液晶層350の背面には、第1偏光子310が設けられる。また、液晶層350の前面には、第2偏光子390が設けられる。第1偏光子310及び第2偏光子390の透過軸互いに直交する方向になりうる。例えば、第1偏光子310は、入射光のうち、第1方向(X方向)に偏光された第1偏光の光を透過させ、残りは吸収する。第2偏光子390は、入射光のうち、第2方向(Y方向)に偏光された第2偏光の光を透過させ、残りは吸収する。ただし、これは例示的なものであり、液晶モードによって、第1偏光子310及び第2偏光子390の透過軸が同じ方向になることも可能である。
【0027】
また、能動型反射偏光子200を透過した光が入射される第1偏光子310の透過軸は、能動型反射偏光子200を透過した光の偏光と一致する方向にする。
【0028】
切替型LCD500が外部光を使用する反射モード、及びバックライト100からの光を使用する透過モードで動作する作用について説明すれば、次の通りである。
【0029】
図3A及び図3Bは、本発明の切替型LCD500が反射モードで動作する場合、それぞれピクセルオフ及びピクセルオンに該当する光の経路を示す。反射モードは、外部光を使用して画像を形成するモードであり、入射された外部光を反射または吸収させることによって、画像を形成する。このような環境で、バックライト100はオフ状態になり、能動型反射偏光子200には磁場が印加されず、磁化量(magnetization)が0である状態になるように、制御部410によって制御される。これにより、前記能動型反射偏光子200はリフレクタの役割を行い、これについては後述する。図3Aを参照すれば、液晶パネル300の前面から入射される光は、無偏光の光であり、第2偏光子390を透過した後、第2方向(Y方向)に偏光された第2偏光の光になる。液晶層350には、このとき、電圧が印加されず、従って、液晶層350を通過する光の偏光状態は、そのまま維持される。すなわち、液晶層350に入射する前記第2偏光の光は、そのまま第2偏光状態を維持して第1偏光子310に入射され、第1偏光子310を透過できずに吸収されるので、ピクセルオフ状態を形成する。図3Bを参照すれば、液晶層350に電圧が印加された場合であり、これによって、液晶層350に入射する光の偏光が直交する偏光に変わる。すなわち、第2偏光子390を透過した第2偏光の光は、液晶層350を通過する間に第1偏光の光に偏光状態が変わる。従って、第1偏光の光は、第1偏光子310を透過して能動型反射偏光子200に入射される。このとき、能動型反射偏光子200には磁場が印加されず、従って、磁化量が0である場合であり、能動型反射偏光子200は、入射光を偏光に関係なく反射させるリフレクタの役割を行う。従って、入射された第1偏光の光を液晶パネル300側に反射させ、反射された光は、第1偏光子310を透過する。また、第1偏光子310を透過した光は、液晶層350を過ぎる間に第2偏光の光に偏光状態が変わるので、第2偏光の光は、第2偏光子390を透過してピクセルオン状態を形成する。
【0030】
図4A及び図4Bは、本発明の切替型LCD500が透過モードで動作する場合、それぞれピクセルオフ及びピクセルオンに該当する光の経路を示す。透過モードは、バックライト100の光を使用して画像を形成するモードであり、バックライト100からの光を透過または遮断させることによって、画像を形成する。このようなモードで、バックライト100は、光を供給するオン状態になって、能動反射型偏光子200には磁場が印加されて磁化が形成されるように制御部410によって制御される。これによって、能動型反射偏光子200は、反射型偏光子として機能し、これについては後述する。図4Aを参照すれば、バックライト100で形成された無偏光の光は、能動型反射偏光子200に入射される。このとき、能動型反射偏光子200は、X方向に磁化された状態であるので、能動型反射偏光子200に入射された光のうち、X方向の磁場成分Hを有する光は、能動型反射偏光子200によって反射される。Hの方向は、電場成分E(図5)に垂直な方向である。一般的に、電場成分Eの方向が偏光方向を示すので、X方向の磁場成分Hを有する光は、Y方向に偏光された第2偏光の光を指すことができる。反対に、Y方向の磁場成分Hを有する光は、能動型反射偏光子200を透過する。同様に、Y方向の磁場成分Hを有する光は、X方向に偏光された第1偏光の光を指すことができる。第2偏光の光は、能動型反射偏光子200から反射された後、再びバックライト100に向かい、反射部材120によって反射され、さらに偏光切替部材130によって能動型反射偏光子200を透過できる偏光に偏光方向が変わることによって、リサイクルされうる。第1偏光の光は、透過軸がX方向に形成された第1偏光子310を透過し、電圧が印加されていない状態の液晶層350を過ぎる間、同じ偏光状態を維持する。従って、第1偏光の光は、Y方向を透過軸とする第2偏光子390を透過できないので、ピクセルオフ状態を形成する。図4Bを参照すれば、バックライト100で形成された無偏光の光のうち、第1偏光の光が液晶層350に入射される。このとき、液晶層350には電圧が印加され、液晶層350を過ぎる光の偏光は、直交する偏光に変わるので、前記第1偏光の光は、第2偏光に変わる。従って、第2偏光の光が第2偏光子390を透過することによって、ピクセルオン状態を形成する。
【0031】
以下、本発明による切替型LCD500に採用された能動型反射偏光子200について説明する。
【0032】
図5は、本発明の実施形態に係る切替型LCD500に採用された能動型反射偏光子200の概略的な構成を示している。
【0033】
図5を参照すれば、能動型反射偏光子200は、磁性材料層210と、前記磁性材料層210に磁場を印加するための磁場印加手段とを備える。該磁場印加手段は、磁性材料層210の周囲に設けられた板状の透明電極220、及び前記透明電極220に電流を供給するための電源230を含んでなりうる。透明電極220は、ITO(indium tin oxide)からなりうる。透明電極220は、図示されているように、磁性材料層210の周囲を覆い包む形態になり、磁性材料層210の上面及び下面のうち、いずれか一面にのみ形成されることもある。すなわち、前記磁場印加手段は、磁性材料層210を一方向に磁化させることができるものであるならば、いかなる構成でも可能である。例えば、前記磁場印加手段は、磁性材料層210の周囲に一定間隔で配された多数のワイヤ及び前記多数のワイヤに電流を提供する電源を含んでなされうる。前記ワイヤは、磁性材料層210の周囲を囲むように配され、磁性材料層210の上面及び下面のうち、いずれか一面上にのみ配される構成も可能である。
【0034】
磁性材料層210は、外部磁場が印加されれば、磁気モーメントが一定方向に配列され、印加されなければ、磁気モーメントがランダムに配列される磁性物質からなりうる。磁性物質は、自発磁化された磁気モーメントmを有するが、印加された外部磁場がない状態で、磁気モーメントmは、ランダムな方向に向かうので(図示せず)、磁性材料層210の総磁化Mは0になる。外部磁場が印加されていない状態の磁性材料層210に入射する光の経路について見れば、電磁波である光は、表皮深さ(skin depth)以上の厚さを有する媒質を通過できない。表皮深さは、入射する電磁波の振幅が1/eに小さくなる深さを意味し、これは、入射光の波長、媒質の透磁率及び伝導度によって決定される値である。透磁率、伝導度が高いほど表皮深さは、小さな値を有するようになる。かような性質は、入射光の磁場成分Hが磁気モーメントの配列方向と同じ偏光の光は、前記磁気モーメントmによって反射されると説明されうる。すなわち、磁性材料層210に入射する無偏光状態の光Sは、ランダムな方向の磁場成分Hを有する偏光成分に分類される。各偏光成分は、磁性材料層210の深さ方向に沿って進むことによって、それぞれのH成分と同じ方向に面する磁気モーメントに出合い、前記磁気モーメントによって反射される。磁性材料層210を通過できずにいずれも反射される。すなわち、入射された無偏光状態の光は、偏光成分に関係なしにいずれも磁性材料層210を通過できず、無偏光状態の光として反射される。
【0035】
一方、図5に示してあるように、電源230によって、透明電極220に電流Iが供給されれば、磁性材料層210内のほとんどの磁気モーメントmが一方向に向かうるようになる。例えば、磁性材料層210がX方向の総磁化Mを有する。その場合、無偏光状態の入射光Sのうち、磁場成分HがX方向である光Sは、同じ方向の磁気モーメントmによって反射される。しかし、入射光の磁場成分HがY方向である光Sは、磁性材料層210を通過しつつ、同じ方向の磁気モーメントmにほとんど出合わないので、磁性材料層210を透過する。このように、一方向に磁化された磁化Mを有する磁性材料層210は、前記磁化Mと同じ方向の磁場成分Hを有する光は反射させ、磁化Mと垂直である磁場成分Hを光は透過させる。図5に図示されているように、磁場成分Hの方向と、電場成分Eの方向は、互いに垂直である。電場成分Eの方向は、一般的に光の偏光方向を示す。
【0036】
磁性材料層210をなる磁性物質としては、外部磁場が印加された場合、磁気モーメントが外部磁場方向に向かい、印加されていた外部磁場が消えた場合には、再びランダムな方向に向かうように、軟磁性物質(soft magnetic material)が採用されることが望ましい。また、磁性材料層210の厚さは、入射光に対する磁性材料層210の表皮深さ(skin depth)以上になることが望ましい。透磁率、伝導度が大きいほど表皮深さは小さくなるので、磁性材料層210は、伝導性軟磁性物質からなることが望ましい。例えば、チタン、コバルト、鉄、コバルト−白金または鉄酸化物のうち、いずれか一つが採用されうる。
【0037】
図6は、入射光の磁場成分Hが磁化Mの方向と平行である場合、及び垂直である場合について、能動型反射偏光子の磁性材料層210の深さによる磁場強度を示したグラフである。ここで、入射光の波長は、およそ550nmであり、磁性材料層210にチタンを使用した場合である。チタンの場合、20℃の室温で、18×10−5の磁化率と、およそ2.38×10S(simens)の導電度とを有する。図6を参照すれば、磁性材料層210の磁化方向と垂直な磁場成分Hを有する光は、磁性材料層210の深さによる磁場強度の振幅の変化が相対的に小さい。一方、磁性材料層210の磁化方向と平行な磁場成分Hを有する光は、深さ方向によって磁場強度の振幅が大きく減衰され、約60nmで0に近くなる。従って、磁性材料層210にチタンを使用する場合、磁性材料層210の厚さが約60nm以上であるならば、550nmの波長を有する光対してほぼ完全な偏光分離が可能である。
【0038】
前記能動型反射偏光子200のさらに詳細な構成については、本出願人の韓国特許出願第2007−0046199号を参照できる。前記文献によれば、偏光消滅比は、磁性材料層210の厚さが大きくなるほど大きい値を有し、磁性材料層210の厚さが小さい範囲でも、偏光分離特性に非常にすぐれるということが分かる。
【0039】
本発明の切替型LCD500は、かような作用を有する能動型反射偏光子200を採用し、外部光を使用する反射モード、及びバックライト100の光を使用する透過モードを具現するのである。
【0040】
かような本願発明であるLCDは、理解を助けるために図面に図示された実施形態を参考にして説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、当分野で当業者ならば、それらから多様な変形及び均等な他実施形態が可能であるという点を理解することが可能であろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲によって決まるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場が印加されているかどうかによって、リフレクタと反射型偏光子との間で切替可能な能動型反射偏光子と、
前記能動型反射偏光子に隣接して配された液晶パネルとを含む切替型液晶ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記能動型反射偏光子は、
磁場が印加されるとき、第1方向の磁場成分を有する入射光は反射させ、前記第1方向と垂直である第2方向の磁場成分を有する入射光は透過させる反射型偏光子として機能し、
磁場が印加されないとき、外部から入射される光をほぼ反射させるリフレクタとして機能することを特徴とする請求項1に記載の切替型液晶ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記液晶パネルは、液晶層と、前記液晶層の両側に設けられた第1偏光子及び第2偏光子とを含み、
前記能動型反射偏光子と対向する前記第1偏光子の透過軸は、前記第2方向と平行であることを特徴とする請求項2に記載の切替型液晶ディスプレイ装置。
【請求項4】
光を提供するバックライトと、
前記能動型反射偏光子が反射した光の一部を、前記能動型反射偏光子側に反射する反射部材とがさらに設けられたことを特徴とする請求項1に記載の切替型液晶ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記反射部材の一面には、前記能動型反射偏光子から反射された光をリサイクルするリサイクル部材が設けられたことを特徴とする請求項4に記載の切替型液晶ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記リサイクル部材は、偏光切替部材を含んでなることを特徴とする請求項5に記載の切替型液晶ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記能動型反射偏光子は、
磁性物質からなり、磁場が印加されれば、磁気モーメントが一定方向に配列され、印加されなければ、同じ方向に一定に配列されない磁性材料層と、
前記磁性材料層に磁場を印加するための磁場印加手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の切替型液晶ディスプレイ装置。
【請求項8】
バックライトと、前記磁場印加手段が前記バックライトと同時に駆動されるように制御する制御部とがさらに設けられることを特徴とする請求項7に記載の切替型液晶ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記磁性材料層の厚さは、前記磁性材料層に入射する光に対する前記磁性材料層の表皮深さより大きいことを特徴とする請求項7に記載の切替型液晶ディスプレイ装置。
【請求項10】
前記磁性材料層は、軟磁性物質からなることを特徴とする請求項7に記載の切替型液晶ディスプレイ装置。
【請求項11】
前記磁性材料層は、チタン、コバルト、鉄、コバルト−白金または鉄酸化物のうち、いずれか一つからなることを特徴とする請求項7に記載の切替型液晶ディスプレイ装置。
【請求項12】
前記磁場印加手段は、前記磁性材料層に近接して配された平板型の透明電極、及び前記透明電極に電流を提供する電源を含むことを特徴とする請求項7に記載の切替型液晶ディスプレイ装置。
【請求項13】
前記板状の透明電極は、ITOからなることを特徴とする請求項12に記載の切替型液晶ディスプレイ装置。
【請求項14】
前記板状の透明電極は、前記磁性材料層の周囲を取り囲むように配されることを特徴とする請求項12に記載の切替型液晶ディスプレイ装置。
【請求項15】
前記板状の透明電極は、前記磁性材料層の上面及び下面のうち、いずれか一面上に配されることを特徴とする請求項12に記載の切替型液晶ディスプレイ装置。
【請求項16】
前記磁場印加手段は、前記磁性材料層に隣接して一定の間隔で配された複数のワイヤ、及び前記多数のワイヤに電流を提供する電源を含むことを特徴とする請求項7に記載の切替型液晶ディスプレイ装置。
【請求項17】
前記複数のワイヤは、前記磁性材料層の周囲を取り囲むように配されることを特徴とする請求項16に記載の切替型液晶ディスプレイ装置。
【請求項18】
前記複数のワイヤは、前記磁性材料層の上面及び下面のうち、いずれか一面上に配されることを特徴とする請求項16に記載の切替型液晶ディスプレイ装置。
【請求項19】
前記能動型反射偏光子に入射する光は、バックライトから出射された光と、前記切替型液晶ディスプレイ装置の外部から入射された外部光とのうち、少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載の切替型液晶ディスプレイ装置。
【請求項20】
前記磁性材料層に磁場が印加されない場合、前記磁気モーメントは、同じ方向に一定に整列されずに、ランダムに配列されることを特徴とする請求項7に記載の切替型液晶ディスプレイ装置。
【請求項21】
前記能動型反射偏光子は、
磁気モーメントを含み、磁場が印加される場合、前記磁気モーメントが同じ方向に一定に配列され、磁場が印加されない場合、磁気モーメントが同じ方向に一定に配列されない磁性材料層と、
前記磁性材料層に磁場を印加するための電気伝導体とを含む請求項1に記載の切替型液晶ディスプレイ装置。
【請求項22】
バックライトと、
液晶パネルと、
前記バックライトと前記液晶パネルとの間に設けられ、磁場が印加される場合、前記バックライトから前記液晶パネルに向かう光成分を透過させる透過モードで動作し、磁場が印加されない場合、前記液晶パネルを通過した外部光を前記液晶パネル方向に反射させる反射モードで動作する能動型偏光子とを含み、
透過モードと反射モードとの間で切替可能に動作する液晶ディスプレイ装置。
【請求項23】
バックライト、液晶パネル、前記バックライトと前記液晶パネルとの間に設けられた能動型偏光子を含む液晶ディスプレイ装置を駆動する方法において、
バックライトをターンオンする段階と、
前記能動型偏光子に磁場を印加する段階と、
前記バックライトからの光成分を、前記能動型偏光子を通過し、前記液晶パネルに向けるように透過させる段階と、
バックライトをターンオフする段階と、
前記能動型偏光子に印加された磁場をターンオフする段階と、
前記液晶パネルを透過した光をさらに前記液晶パネル側に反射させる段階とを含む方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−518451(P2010−518451A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549512(P2009−549512)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際出願番号】PCT/KR2008/000592
【国際公開番号】WO2008/100027
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(503447036)サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド (2,221)
【Fターム(参考)】