説明

脂肪代替物

本発明は、β酸化由来の産生エネルギーが十分に低い脂肪酸であり、その結果、代謝的に低カロリーとなるかノンカロリーになる化合物またはその生理学的に許容可能なエステルもしくはその代謝前駆体である脂肪置換物に関する。本発明の化合物は、単独、又は他の脂肪との組み合わせ、又は食品成分などのいずれかにおいて脂肪置換品として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)本願は、2003年1月22日提出の先行する同時係属の特許文献1に開示の主題の利益を主張する。その開示全体が本明細書中で参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)本発明は、消費時に熱エネルギー(caloric energy)産生が低いか全くない食用脂材料に関する。より詳細には、本発明は、脂肪代替物として使用することができる化合物および組成物ならびにこれらの脂肪代替物を使用した食品組成物に関する。
【0003】
肥満症の有病率は上昇中であり、肥満症に直接寄与する医療費は数百億ドルであり、さらに毎年数百億ドルが減量プログラムおよび特別な食品に使用されている。
【0004】
肥満症は、罹患率および死亡率の増加に関連する。肥満症は、2型真性糖尿病、高血圧、冠動脈疾患、脳卒中、高コレステロール血症、胆石症、脂肪肝、一定の癌(閉経後癌、結腸癌、子宮内膜癌、および腎臓癌)、骨格筋障害(変形性関節症)、閉塞性睡眠時無呼吸、および不妊症を含む多数の疾患に関与し、肥満症の多数の患者が経験する社会的帰結および孤立感は言うまでもない。
【0005】
肥満症は、現代社会の共通の問題として認識されている。この病態は、多くの患者で、消費を超えるカロリーの摂取に起因する。遺伝的要因および行動要因が有意な役割を果たす一方で、一般に、肥満症になりやすい個体のより望ましい釣り合いの取れた体重への到達において食品のカロリー値の妥当な改変が役立ち得ると認められている。
【0006】
消費者が美味しいと感じる多くの食品は、相当なレベルの脂肪を含む。脂肪のカロリー密度はタンパク質および炭水化物の約2倍であるので、このことはこれらの食品に魅力を感じる個体において問題であり得る。実際、脂肪は食事の総カロリーの約40%を占めると見積もられている。高脂肪食に期待される魅力または味を損なわずに食物脂肪の利用可能なカロリーを減少することが長い間望まれている。
【0007】
不運なことに、脂肪代替物として以前に提案された材料のうちで、天然のトリグリセリド油脂の所望の特性の全てを有するものはほとんどない。食用脂のカロリー値を低下させるための1つのアプローチは、通常の食用トリグリセリド脂肪はほとんど完全に吸収されるので、体内に吸収されるトリグリセリド量を減少させることであった。Minichに付与された特許文献2は、ネオペンチル核を含む脂肪酸エステルが通常の脂肪と同様に消化されないので、食品組成物における脂肪代替物として使用することができることを開示している。
【0008】
いくつかの他の特許は、天然トリグリセリドと同程度に消化または吸収されない食用化合物を開示している。特許文献3では、Whiteは、これらの性質を有すると言われている一定の分岐カルボン酸の一定のグリセロールエステルを開示している。特許文献4では、Mattson and Volpenheinは、少なくとも4つの脂肪酸エステル基を有する糖および糖アルコール脂肪酸エステルを開示している。これら全ての化合物は、通常のトリグリセリド脂肪と類似する物理的性質を有しているが、摂取した場合に容易に吸収されないと言われている。
【0009】
特許文献5では、Hammは、オイルベースの食品組成物中の食用オイル成分の少なくとも一部が代替された低カロリー代替物を開示している。低カロリー代替物は、8個〜30個の炭素原子由来の直鎖または分岐炭素鎖を有する飽和または不飽和アルコールでエステル化された2個〜4個のカルボン酸基を有する熱安定性ポリカルボン酸からなる群から選択される少なくとも1つの低カロリーオイル成分を実質的な比率で含む。
【0010】
脂肪の天然の性質を模倣する別の試みでは、Fulcherは、特許文献6で一定のジエステルを開示している。これらの化合物は、共通の炭素原子に結合した、各カルボン酸基が12個〜18個の炭素のアルキル、アルケニル、またはジエニルアルコール残基を含む、少なくとも2つのカルボン酸基を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、吸収性が良好な脂肪代替物が必要とされている。脂肪代替物は、ショートニング、マーガリン、およびケーキミックスなどの種々の脂肪含有食品組成物中で同一の有用性を得ることによって従来のトリグリセリド脂肪を模倣すべきであり、フライまたはベーキングにおいて有用であるべきである。脂肪代替物が脂溶性ビタミンおよびミネラルを体内から滲出させず、下剤としても機能しないことも望ましい。脂肪代替物は、ヒトおよび他の哺乳動物の消化プロセスに適合すべきである。
【特許文献1】米国特許仮出願第60/441,892号
【特許文献2】米国特許第2,962,419号
【特許文献3】米国特許第3,759,548号
【特許文献4】米国特許第3,600,186号
【特許文献5】米国特許第4,508,746号
【特許文献6】米国特許第4,582,927号
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)本発明の1つの実施形態は、食用脂を含む食品組成物の代謝カロリー含有量を減少または排除する方法である。方法は、食品組成物の食用脂の少なくとも一部を、β酸化由来の産生エネルギーが十分に低い脂肪酸であり、代謝的に低カロリーとなるかノンカロリーになる化合物またはその生理学的に許容可能なエステルもしくはその代謝前駆体と置換する工程を含む。
【0013】
本発明の別の実施形態は、有機酸化合物を代謝的に低カロリーまたはノンカロリーにする方法、および産生された有機酸化合物である。1つの実施形態では、方法は、化合物に、有機酸化合物のカルボキシル基に対してαである炭素原子に1つまたは複数の置換基を導入する工程と、それにより化合物がβ酸化することができないようになることとを含む。この実施形態では、置換基により炭素原子がもはや水素部分を含まないようにこのような炭素原子が四級になるか、このような炭素原子が水素部分を含む場合、置換基によりこのような炭素原子が主にS立体化学配座または実質的にR配座を含まないS配座を有するキラル中心になる。別の実施形態では、キラル中心が得られるか少なくとも1つの四級炭素原子が得られるように、1つまたは複数の置換基を有機酸化合物に導入する。1つまたは複数のこれらのキラル中心または四級炭素は、代謝分解の結果として形成されるカルボン酸の官能基に対してβとなる。次いで、α酸化によりキラル中心がα酸化によって生成された遊離カルボン酸に対してαになる。キラル中心が主にS配座または実質的にR配座を含まないS配座を有する場合、または炭素原子が第四級である場合、CoAエステルを生成することができない。キラル中心が主にまたは排他的にR配座を有する場合、ATP(したがって、エネルギー)を使用してCoAエステルを生成することができる。したがって、キラル中心についてR配座はエネルギーを使用し(それにより有機酸化合物は低カロリーとなる)、キラル中心についてS配座または四級炭素は酸化プロセスを停止させる(それにより、有機酸化合物はβ酸化が起こらない場合にノンカロリーになるかβ酸化が幾らか起こった場合に低カロリーになる)。置換基により、有機酸化合物のβ酸化由来の産生エネルギーが十分に低くなり、それにより化合物が代謝的に低カロリーまたはノンカロリーとなる。
【0014】
(発明の特定の実施形態の詳細な説明)驚いたことに、脂肪酸のα炭素上の置換基数、いくつかの例では、脂肪酸のα炭素上の置換基の立体異性体の配置および/または脂肪酸中に存在する他のキラル中心の立体異性体の配置により、このような脂肪酸およびその生理学的に許容可能なエステルが代謝的に低カロリーまたはノンカロリーである脂肪代替物として有用になることを発見した。いくつかの実施例では、置換基数または置換基の立体異性体配置によって脂肪酸がβ酸化することができなくなる。この場合、いかなる有意な範囲でもβ酸化が起こらないので、脂肪酸化合物のβ酸化から得られるエネルギー(「産生エネルギー」)は存在しない。このような脂肪酸化合物は代謝的にノンカロリーであり、これを使用して調製した食品組成物中の食用脂の少なくとも一部または全部を置換することができる。他の例では、α炭素上の置換基の立体異性体配置により脂肪酸のβ酸化由来の産生エネルギーが十分に低くなり、その結果脂肪酸化合物が代謝的に低カロリーになる。
【0015】
脂肪酸をノンカロリーまたは低カロリーにする任意の部分である「代謝遮断薬」を脂肪酸中に存在させることによって上記代謝特性を実現することができる。脂肪酸がβ酸化を行うことができなくするか、β酸化することができる場合、脂肪酸をβ酸化(それによりエネルギーを使用する)後にα酸化することによってこれを達成する。代謝遮断薬の1つの例は、四級炭素原子(すなわち、水素に置換されていない炭素原子)である。四級炭素原子は、カルボン酸官能基に対してαであってよく、この場合、脂肪酸はβ酸化を受けないので、脂肪酸は代謝遮断薬によってノンカロリーになる。別の実施形態では、四級炭素原子は、カルボン酸官能基に対してα以外の脂肪酸中の位置に存在し、この場合、四級炭素原子がカルボン酸官能基に対してαとなるように酸化時にカルボン酸官能基が得られるまで、脂肪酸が幾らかβ酸化し得る。この後者の実施形態では、四級炭素原子がβ酸化を防止することができるまでいくらか酸化し得るので、脂肪酸は低カロリーとなる。
【0016】
別の実施形態では、脂肪酸は1つの水素置換基を有するキラル中心を含み、キラル中心の立体化学配座はSである。このようなキラル中心は、カルボン酸官能基に対してαであり得る。この場合、キラル中心が実質的にR配座を含まないS配座である場合、脂肪酸は実質的にβ酸化することができなくなり、それにより脂肪酸は実質的にノンカロリーになる。しかし、上記状況では、R立体異性体はS立体異性体と共に存在することができ、化合物を低カロリーにする。低カロリー特性の程度は、R立体異性体量に対するS立体異性体量に依存する(すなわち、S立体異性体の存在量が多いほど化合物のカロリー特性は低くなる)。
【0017】
別の実施形態では、S配座を有するキラル中心は、いくつかの場合にS配座を有するキラル中心がカルボン酸官能基に対してαになるように、酸化時(αまたはβ)に遊離カルボン酸官能基が得られるまで脂肪酸の酸化が起こり得る、カルボン酸官能基に対してα以外の位置で、脂肪酸中に存在する。この後者の実施形態では、S配座を有するキラル中心がβ酸化を防止することができるまでいくらか酸化し得るので、脂肪酸は低カロリーになる。後者の状況では、キラル中心が存在することができ、これらは、S配座を有するキラル中心とR立体化学配座を有するカルボン酸官能基との間の、脂肪酸の炭素鎖中に存在する。これらのキラル中心がカルボン酸官能基に対してβである場合、脂肪酸のα酸化が起こる。α酸化が起こる場合、カルボン酸に対してαのキラル中心を有する遊離カルボン酸が得られる。キラル中心がRである場合、エネルギーを使用してCoAエステルを形成し、キラル中心がSである場合、CoAエステルを形成することができず、脂肪酸はもはやカロリーを産生することができない。
【0018】
上記のように、代謝遮断薬には、キラル中心が所定の立体化学配座を有する場合、脂肪酸の炭素鎖中に複数のキラル中心が存在し得る。他方では、代謝遮断薬は、脂肪酸の炭素鎖中に複数のキラル中心を含み得て、炭素鎖中では1つまたは複数のキラル中心が指定された炭素原子数によって間隔が開けられ、β酸化が回避されα酸化が促進されるようにされ、それによって脂肪酸が低カロリーになる。多数の実施形態では、キラル中心の立体化学配座はRである。脂肪酸をさらにより低カロリーにするために、α酸化プロセス後に遭遇する第1のキラル中心の立体化学配座は本質的に上記のα酸化プロセス後に酸化を停止させるSである。この実施形態では、キラル中心の間の炭素原子数を、酸化プロセスの結果としてカルボン酸に対して最終的にβになるキラル中心を有することによるα酸化が起こる必要性によって決定する。この数は、一般に2または4などである。
【0019】
用語「α酸化」は、カルボン酸部分のCoAエステルに対してαの炭素原子が酸化して遊離カルボン酸部分を形成することを意味する。その後の遊離カルボン酸部分のCoAエステルの形成にはエネルギーを使用する。
【0020】
用語「β酸化」は、カルボン酸部分のCoAエステルに対してβの炭素原子が酸化してカルボン酸部分のCoAエステルを形成することを意味する。
【0021】
上記のように、本発明の1つの実施形態は、食用脂を含む食品組成物の代謝カロリー含有量を減少または排除する方法である。方法は、食品組成物の食用脂の少なくとも一部を、β酸化由来の産生エネルギーが十分に低い脂肪酸であり、代謝的に低カロリーとなるかノンカロリーになる化合物またはその生理学的に許容可能なエステルもしくはその代謝前駆体と置換する工程を含む。
【0022】
さらに、上記のように、本発明の別の実施形態は、有機酸化合物を代謝的に低カロリーまたはノンカロリーにする方法であり、別の実施形態は、産生された有機酸化合物である。1つの実施形態では、方法は、化合物に、有機酸化合物のカルボキシル基に対してαである炭素原子に1つまたは複数の置換基を導入する工程と、それにより化合物がβ酸化することができないようになることとを含む。この実施形態では、置換基により炭素原子がもはや水素部分を含まないようにこのような炭素原子が四級になるか、このような炭素原子が水素部分を含む場合、置換基によりこのような炭素原子がS立体化学配座を有するキラル中心になる。別の実施形態では、キラル中心が得られるか少なくとも1つの四級炭素原子が得られるように、1つまたは複数の置換基を有機酸化合物に導入する。1つまたは複数のこれらのキラル中心または四級炭素は、代謝分解の結果として形成されるカルボン酸の官能基に対してβとなる。次いで、α酸化によってキラル中心がα酸化によって生成された遊離カルボン酸に対してαになる。キラル中心がS配座を有する場合、または炭素原子が第四級である場合、CoAエステルを生成することができない。キラル中心がR配座を有する場合、ATP(したがって、エネルギー)を使用してCoAエステルを生成することができる。したがって、キラル中心についてR配座はエネルギーを使用し(それにより有機酸化合物は低カロリーとなる)、キラル中心についてS配座または四級炭素は酸化プロセスを停止させる(それにより、有機酸化合物はβ酸化が起こらない場合にノンカロリーになるかβ酸化が幾らか起こった場合に低カロリーになる)。置換基により、有機酸化合物のβ酸化由来の産生エネルギーが十分に低くなり、化合物が代謝的に低カロリーまたはノンカロリーとなる。
【0023】
1つの特定の実施形態では、α炭素は、α炭素をキラル中心にする1つの水素置換基を含み、この場合、脂肪酸の立体異性体形態は実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるか、存在するS光学異性体が少なくとも約50%の光学異性体混合物である。このような脂肪酸のS光学異性体は、いかなる有意な範囲においてもβ酸化を受けないので、このような脂肪酸のβ酸化由来の産生エネルギーは実質的に存在しない。本発明が作用すると考えられる機構の提案は必要ではなく、本発明者らはいかなる特定の機構にも拘束されることを望まないが、脂肪酸のS光学異性体は、脂肪酸のβ酸化に必要な工程であるin vivoでの脂肪酸CoAリガーゼと反応しないと考えられる。脂肪酸は実質的に代謝されないか代謝不可能であり、これを使用して調製した食品組成物中の食用脂の少なくとも一部または全部を置換することができる。
【0024】
化合物のカロリーが減少するかノンカロリーになるように化合物のカロリー特性の程度を調整することができる。その程度は、R立体異性体量に対するS立体異性体量に依存し(すなわち、S立体異性体の存在量が多いほど化合物のカロリー特性は低くなる)、S立体異性体が実質的にR立体異性体を含まない場合、化合物はノンカロリーとなる。
【0025】
別の特定の実施形態では、脂肪酸化合物は、α炭素(炭素1はカルボン酸炭素としてカウントしない)および炭素5、あるいは炭素9にも、さらにあるいは炭素13にも、さらにあるいは炭素17にも、さらにあるいは炭素21にも、さらにあるいは炭素24などにも1つの水素置換を含む。したがって、上記の脂肪酸化合物の複数の炭素原子はキラル中心を示す。この状況では、脂肪酸化合物は、各キラル中心にR光学異性体を含み得る。R光学異性体が炭素1(α炭素)でβ酸化を受けるにもかかわらず、このようなβ酸化由来の産生エネルギーは脂肪酸化合物を低カロリーにするのに十分に低く、脂肪代替物として有用である。この結果は、複数のキラル中心の存在による。またしても、いかなる特定の理論や機構に拘束されることを望まないが、R光学異性体中心に対するCoAリガーゼの作用に起因するin vivoでのCoAエステルの合成はβ酸化時に生成されたATPの多くを消費すると考えられる。したがって、β酸化に起因する産生エネルギーは実質的に減少し、これを使用して調製した食品組成物中の食用脂の少なくとも一部または全部を置換することができる。上記実施形態では、上記説明のように、S光学異性体は実質的にCoAエステルを形成することができないので、S光学異性体が存在し得ることを指摘すべきである。フィタン酸によってこの実施形態を例示する。フィタン酸について、αキラル中心がRである場合、一旦最初のα酸化が起こると、得られたいずれかのプリスタン酸はさらにエネルギー消費することなくβ酸化に入る(CoAで再度エステル化するためにエネルギーを使用する遊離カルボン酸を生じるα酸化は二度と起こらない)。他方では、αキラル中心がSである場合、CoAが形成されないので他の酸化は起こらない。
【0026】
別の特定の実施形態では、脂肪酸化合物は、α炭素(炭素1はカルボン酸炭素としてカウントしない)および炭素4、あるいは炭素7にも、さらにあるいは炭素10にも、さらにあるいは炭素13にも、さらにあるいは炭素16にも、さらにあるいは炭素19などにも1つの水素置換を含む。したがって、上記の脂肪酸化合物の複数の炭素原子はキラル中心を示す。この状況では、脂肪酸化合物は、各キラル中心にR光学異性体を含み得る。R光学異性体が炭素1(α炭素)でβ酸化を受けるにもかかわらず、このようなβ酸化由来の産生エネルギーは脂肪酸化合物を低カロリーにするのに十分に低く、脂肪代替物として有用である。この結果は、この状況でキラル中心の間に2つのメチレン(−CH−)基を有する複数のキラル中心の存在による。この状況では、1ラウンドのβ酸化後、次のβ酸化ラウンドのために脂肪酸化合物はα酸化を受けなければならない。β酸化と対照的に、α酸化によって遊離カルボキシル基が得られ、その後の酸化工程のためのCoAエステルが得られる。この遊離カルボキシルをCoAエステルに再エステル化しなければならない。またしても、いかなる特定の理論や機構に拘束されることを望まないが、R光学異性体中心に対するCoAリガーゼの作用に起因するin vivoでのCoAエステルの合成はβ酸化時に生成されたATPの多くを消費すると考えられる。したがって、β酸化およびα酸化に起因する産生エネルギーは実質的に減少し、これを使用して調製した食品組成物中の食用脂の少なくとも一部または全部を置換することができる。上記実施形態では、上記説明のように、S光学異性体は実質的にCoAエステルを形成することができないので、S光学異性体が存在し得ることを指摘すべきである。
【0027】
1つの実施形態では、脂肪代替物として使用される化合物は、式:
A−(代謝遮断薬)−CO
を有し、前記代謝遮断薬により、化合物のβ酸化由来の産生エネルギーが十分に低くなり、前記化合物は、代謝的に低カロリーとなるかノンカロリーとなり、Aは1個〜約30個の炭素原子のアルキル、1個〜約30個の炭素原子の置換アルキル、2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和を有するアルケン、2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和を有する置換アルケン、2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和を有するアルキン、または2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和を有する置換アルキンである、化合物、またはその生理学的に許容可能なエステルもしくはその代謝前駆体である。
【0028】
上記1つの実施形態では、代謝遮断薬は、式:
−C(X)(D)−
を有し、Xは1個〜約10個の炭素原子のアルキルであり、Dは水素または1個〜約10個の炭素原子のアルキルであり、Dが水素である場合、前記代謝遮断薬は少なくとも50%のS光学異性体から実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体までの光学異性体混合物であり、Aは5個〜約30個の炭素原子のアルキル、5個〜約30個の炭素原子の置換アルキル、5個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和を有するアルケン、または5個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和を有する置換アルケンである。
【0029】
上記式の脂肪酸化合物の特定の実施形態では、Aは、C2n+1、C2n−1、C2n−3、およびC2n−5からなる群から選択され、nは1〜20であり、1個〜5個の炭素原子が任意選択的にアルキル基、分岐アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基などに置換されている。
【0030】
上記の1つの実施例では、代謝遮断薬は、式:
−(CH(CHCH(Y)(CH(CHCH(Y))(CH(CHCH(V)−
を有し、mは0〜3であり、VおよびYは独立して1個から約10個までの炭素原子を有するアルキルであり、
(i)V基を含む炭素原子が主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体である場合、Y基を含む炭素原子は独立して実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体または実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるか、Y基を含む1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよく(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、a、b、およびcは独立して1〜5の整数であるか、
(ii)V基を含む炭素原子が主にR光学異性体であるか実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体である場合、Y基を含む一方の炭素原子は主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であり、Y基を含む他方の炭素原子は独立して実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体または実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるかS光学異性体である炭素原子の後(上記式の右から左に関する)の1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよく(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、a、b、およびcは独立して1〜5の整数であり、S光学異性体である炭素原子の前のbまたはcは1または3の整数であるか、
(iii)V基を含む炭素原子が主にR光学異性体であるか実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体である場合、Y基を含む炭素原子は主にR光学異性体であるか、実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体であり、少なくとも1つのa、b、およびcは1または3の整数であり、他は1〜5の整数であり、V基またはY基を含まない炭素原子を1つまたは複数の置換基で置換することができ、Aは1個〜約20個の炭素原子のアルキル、1個〜約20個の炭素原子の置換アルキル、2〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、または2〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、または1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケンである。
【0031】
上記の特定の実施形態では、代謝遮断薬は、式:
−CHCHCH(Y)(CHCHCH(Y))CHCHCHCH(V)−
を有し、m、V、およびYは上記記載の通りである。上記の別の特定の実施形態では、代謝遮断薬は、式:
−CHCHCH(Y)(CHCHCHCHCH(Y))CHCHCHCH(V)−
を有し、m、V、およびYは上記記載の通りである。
【0032】
上記式の脂肪酸化合物の特定の実施形態では、Aは、C2n+1、C2n−1、C2n−3、およびC2n−5からなる群から選択され、nは1〜約10であり、1個〜5個の炭素原子が任意選択的にアルキル基、分岐アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基などに置換されている。
【0033】
本発明の別の実施形態は、式:
A’−(代謝遮断薬)−CO
の化合物であって、
前記代謝遮断薬により前記化合物のβ酸化が実質的に不可能になり、A’は約4個〜約30個の炭素原子のアルキル、約4個〜約30個の炭素原子の置換アルキル、約4〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、約4〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和の不飽和を有する置換アルケン、2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルキン、または2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルキンである、
化合物またはその生理学的に許容可能なエステルもしくはその代謝前駆体である。
【0034】
本発明の別の実施形態は、式:
A’’−C(X)(D)−CO
の化合物であって、
は約1個〜約10個の炭素原子のアルキルであり、Dは約1個〜約10個の炭素原子のアルキルであり、A’’は約6〜約30個の炭素原子のアルキル、6〜約30個の炭素原子の置換アルキル、約6〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、または約6〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケンである、
化合物またはその生理学的に許容可能なエステルもしくはその代謝前駆体である。
【0035】
上記式の脂肪酸化合物の特定の実施形態では、A’’は、C2n+1、C2n−1、C2n−3、およびC2n−5からなる群から選択され、nは1〜約20であり、1個〜5個の炭素原子が任意選択的にアルキル基、分岐アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基などに置換されている。
【0036】
本発明の別の実施形態は、式:
A’’−(代謝遮断薬)−CO
の化合物であって、
前記代謝遮断薬により、前記化合物のβ酸化のエネルギー必要量が化合物を代謝的に低カロリーにするのに十分に高くなり、A’’は1個〜約20個の炭素原子のアルキル、1個〜約20個の炭素原子の置換アルキル、2〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、約2〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケン、2個〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルキン、または2個〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルキンであり、代謝遮断薬は、式:
−(CH(CHCH(Y)(CH(CHCH(Y))(CH(CHCH(V)−
を有し、mは0〜3であり、VおよびYは独立して1個から約10個までの炭素原子を有するアルキルであり、
(i)V基を含む炭素原子が主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体である場合、Y基を含む炭素原子は独立して主にR光学異性体であるか、実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体または実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるか、Y基を含む1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよく(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、a、b、およびcは独立して1〜5の整数であるか、
(ii)V基を含む炭素原子が主にR光学異性体であるか実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体である場合、Y基を含む一方の炭素原子は主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であり、Y基を含む他方の炭素原子は独立して実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体または実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるかS光学異性体である炭素原子の後(上記式の右から左に関する)の1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよく(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、a、b、およびcは独立して1〜5の整数であり、S光学異性体である炭素原子の前のbまたはcは1または3の整数であり、S光学異性体である炭素原子の前のbまたはcは1または3の整数であるか、
(iii)V基を含む炭素原子が主にR光学異性体であるか実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体である場合、Y基を含む炭素原子は主にR光学異性体であるか、実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体であり、少なくとも1つのa、b、およびcは1または3の整数であり、a、b、およびcの他は1〜5の整数であり、V基またはY基を含まない炭素原子を1つまたは複数の置換基で置換することができる、
化合物である。
【0037】
上記の特定の実施形態では、代謝遮断薬は、式:
−CHCHCH(Y)(CHCHCH(Y))CHCHCHCH(V)−
を有し、m、V、およびYは上記記載の通りである。上記の別の特定の実施形態では、代謝遮断薬は、式:
−CHCHCH(Y)(CHCHCHCHCH(Y))CHCHCHCH(V)−
を有し、m、V、およびYは上記記載の通りである。
【0038】
上記式の脂肪酸化合物の特定の実施形態では、A’’は、C2n+1、C2n−1、C2n−3、およびC2n−5からなる群から選択され、nは1〜約10であり、1個〜5個の炭素原子が任意選択的にアルキル基、分岐アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基などに置換されている。
【0039】
本発明の別の実施形態は、式:
A−(代謝遮断薬)−CO
の化合物の生理学的に許容可能なエステルであって、
前記代謝遮断薬により、化合物のβ酸化由来の産生エネルギーが十分に低くなり、前記化合物は、代謝的に低カロリーとなるかノンカロリーとなり、Aは1個〜約30個の炭素原子のアルキル、1個〜約30個の炭素原子の置換アルキル、2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケン、2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルキン、または2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルキンである、
化合物の生理学的に許容可能なエステルまたはその生理学的に許容可能なエステルである。
【0040】
本発明の別の実施形態は、実質的にβ酸化が不可能な脂肪酸である化合物の生理学的に許容可能なエステルまたはその生理学的に許容可能なエステルである。
【0041】
本発明の別の実施形態は、式:
A’−(代謝遮断薬)−CO
の化合物の生理学的に許容可能なエステルであって、
前記代謝遮断薬により前記化合物のβ酸化が実質的に不可能になり、A’は約4個〜約30個の炭素原子のアルキル、約4個〜約30個の炭素原子の置換アルキル、約4〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、約4〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケン、4個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルキン、または4個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルキンである、
化合物の生理学的に許容可能なエステルまたはその代謝前駆体である。
【0042】
本発明の別の実施形態は、脂肪酸を代謝的に低カロリーにするのに十分に低いβ酸化由来の産生エネルギーを有する脂肪酸である化合物の生理学的に許容可能なエステルまたはその代謝前駆体である。
【0043】
本発明の別の実施形態は、式:
A’’−(代謝遮断薬)−CO
の化合物の生理学的に許容可能なエステルであって、
前記代謝遮断薬により、前記化合物のβ酸化のエネルギー必要量が化合物を代謝的に低カロリーにするのに十分に高くなり、A’’は1個〜約20個の炭素原子のアルキル、1個〜約20個の炭素原子の置換アルキル、2〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、2〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケン、2個〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルキン、または2個〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルキンである、
化合物の生理学的に許容可能なエステルまたはその代謝前駆体である。
【0044】
本発明の別の実施形態は、式:
A’’−C(X)(D)−CO
の化合物の生理学的に許容可能なエステルであって、
は1個〜約10個の炭素原子のアルキルであり、Dは1個〜約10個の炭素原子のアルキルであり、A’’は約6〜約20個の炭素原子のアルキル、6〜約20個の炭素原子の置換アルキル、約6〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、約6〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケン、6個〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルキン、または6個〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルキンである、
化合物の生理学的に許容可能なエステルまたはその代謝前駆体である。
【0045】
上記式の脂肪酸化合物の特定の実施形態では、A’’は、C2n+1、C2n−1、C2n−3、およびC2n−5からなる群から選択され、nは1〜約20であり、1個〜5個の炭素原子が任意選択的にアルキル基、分岐アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基などに置換されている。
【0046】
本発明の別の実施形態は、式:
A’’−(代謝遮断薬)−CO
の化合物の生理学的に許容可能なエステルであって、
前記代謝遮断薬により、前記化合物のβ酸化のエネルギー必要量が化合物を代謝的に低カロリーにするのに十分に高くなり、A’’は1個〜約20個の炭素原子のアルキル、1個〜約20個の炭素原子の置換アルキル、2〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、2〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケン、2個〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルキン、または2個〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルキンであり、代謝遮断薬は、式:
−(CH(CHCH(Y)(CH(CHCH(Y))(CH(CHCH(V)−
を有し、mは0〜3であり、VおよびYは独立して1個から約10個までの炭素原子を有するアルキルであり、
(i)V基を含む炭素原子が主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体である場合、Y基を含む炭素原子は独立して実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体または実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるか、Y基を含む1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよく(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、a、b、およびcは独立して1〜5の整数であるか、
(ii)V基を含む炭素原子が主にR光学異性体であるか実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体である場合、Y基を含む一方の炭素原子は主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であり、Y基を含む他方の炭素原子は独立して実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体または実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるかS光学異性体である炭素原子の後(上記式の右から左に関する)の1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよく(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、a、b、およびcは独立して1〜5の整数であり、S光学異性体である炭素原子の前のbまたはcは1または3の整数であるか、
(iii)V基を含む炭素原子が主にR光学異性体であるか実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体である場合、Y基を含む炭素原子は主にR光学異性体であるか、実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体であり、少なくとも1つのa、b、およびcは1または3の整数であり、他は1〜5の整数であり、V基またはY基を含まない炭素原子を1つまたは複数の置換基で置換することができる、
化合物の生理学的に許容可能なエステルである。
【0047】
上記の特定の実施形態では、代謝遮断薬は、式:
−CHCHCH(Y)(CHCHCH(Y))CHCHCHCH(Y)−
を有する。上記の別の特定の実施形態では、代謝遮断薬は、式:
−CHCHCH(Y)(CHCHCHCHCH(Y))CHCHCHCH(Y)−
を有する。
【0048】
上記式の脂肪酸化合物の特定の実施形態では、A’’は、C2n+1、C2n−1、C2n−3、およびC2n−5からなる群から選択され、nは1〜約10であり、1個〜約5個の炭素原子が任意選択的にアルキル基、分岐アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基などに置換されている。
【0049】
本発明の別の実施形態は、化合物が代謝的に低カロリーになるかノンカロリーになるようにβ酸化由来のその産生エネルギーが十分に低い脂肪酸である化合物またはその生理学的に許容可能なエステルもしくはその代謝前駆体である。
【0050】
本発明の別の実施形態は、式:
A−(代謝遮断薬)−CO
の化合物であって、
前記代謝遮断薬により、前記化合物のβ酸化由来の産生エネルギーが化合物を代謝的に低カロリーまたはノンカロリーにするのに十分に低くなり、代謝遮断薬は、式:
−CHCHCH(Y)(CH(CHCH(Y))CHCHCHCH(V)−
を有し、mは0〜3であり、zは1、3、5、または7などであり、VおよびYは独立して1個から約10個までの炭素原子を有するアルキルであり、
(i)V基を含む炭素原子が主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体である場合、Y基を含む炭素原子は独立して実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体または実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるか、Y基を含む1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよく(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、V基またはY基を含まない炭素原子を1つまたは複数の置換基で置換することができるか、
(ii)V基を含む炭素原子が主にR光学異性体であるか実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体である場合、Y基を含む一方の炭素原子は主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であり、Y基を含む他方の炭素原子は独立して実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体または実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるかS光学異性体である炭素原子の後(上記式の右から左に関する)の1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよく(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、V基またはY基を含まない炭素原子を1つまたは複数の置換基で置換することができ、A’’は約1個〜約20個の炭素原子のアルキル、1個〜約20個の炭素原子の置換アルキル、2〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、2〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケン、2個〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルキン、または2個〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルキンである、
化合物またはその生理学的に許容可能なエステルもしくはその代謝前駆体である。
【0051】
上記化合物の特定の実施形態では、代謝遮断薬は、式:
−CHCHCH(Y)(CHCHCH(Y))CHCHCHCH(Y)−
を有する。上記化合物の別の特定の実施形態では、代謝遮断薬は、式:
−CHCHCH(Y)(CHCHCHCHCH(Y))CHCHCHCH(Y)−
を有する。
【0052】
上記化合物の特定の実施形態では、Aは、C2n+1、C2n−1、C2n−3、およびC2n−5からなる群から選択され、nは1〜約15であり、1個〜5個の炭素原子が任意選択的にアルキル基、分岐アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基などに置換されている。
【0053】
本発明の別の実施形態は、実質的にβ酸化が不可能な脂肪酸である化合物、またはその生理学的に許容可能なエステルもしくは代謝前駆体である。
【0054】
本発明の別の実施形態は、式:
A’−(代謝遮断薬)−CO
の化合物であって、
前記代謝遮断薬により、実質的に化合物がβ酸化不可能になり、A’は1個〜約30個の炭素原子のアルキル、1個〜約30個の炭素原子の置換アルキル、2〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、2〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケン、2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルキン、または2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルキンである、
化合物またはその生理学的に許容可能なエステルである。特定の実施形態では、A’は、C2n+1、C2n−1、C2n−3、およびC2n−5からなる群から選択され、nは約8〜約20であり、1個〜約5個の炭素原子がアルキル基、分岐アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基などである。
【0055】
上記化合物の1つの実施形態では、上記代謝遮断薬が、式:
−C(X)(D)−
を有し、Xは1個〜約10個の炭素原子のアルキルであり、Dは水素または1個〜約10個の炭素原子のアルキルであり、Dが水素である場合、前記代謝遮断薬は少なくとも50%のS光学異性体から実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体までを含む光学異性体混合物であり、A’は約4個〜約20個の炭素原子のアルキル、約4個〜約20個の炭素原子の置換アルキル、約4個〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、約4個〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケン、4個〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルキン、または4個〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルキンである、
化合物またはその生理学的に許容可能なエステルもしくはその代謝前駆体である。
【0056】
本発明の別の実施形態は、脂肪酸を代謝的に低カロリーにするのに十分に低いβ酸化由来の産生エネルギーを有する脂肪酸である化合物、またはその生理学的に許容可能なエステルまたはその代謝前駆体である。
【0057】
本発明の別の実施形態は、式:
A’’−(代謝遮断薬)−CO
の化合物であって、
前記代謝遮断薬により、前記化合物のβ酸化のエネルギー必要量が化合物を代謝的に低カロリーにするのに十分に高くなり、A’’は1個〜約20個の炭素原子のアルキル、1個〜約20個の炭素原子の置換アルキル、2〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、2〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケン、2個〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルキン、または2個〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルキンである、
化合物またはその生理学的に許容可能なエステルである。特定の実施形態では、A’’は、C2n+1、C2n−1、C2n−3、およびC2n−5からなる群から選択され、nは1〜約20であり、1個〜約5個の炭素原子が任意選択的にアルキル基、分岐アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基などに置換されている。
【0058】
上記の1つの実施形態では、代謝遮断薬は、式:
−CHCHCH(Y)(CH(CHCH(Y))CHCHCHCH(V)−
を有し、mは0〜3であり、zは1、3、5、7などであり、VおよびYは独立して1個から約10個までの炭素原子を有するアルキルであり、
(i)V基を含む炭素原子が主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体である場合、Y基を含む炭素原子は独立して実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体または実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるか、Y基を含む1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよく(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、V基またはY基を含まない炭素原子を1つまたは複数の置換基で置換することができるか、
(ii)V基を含む炭素原子が主にR光学異性体であるか実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体である場合、Y基を含む一方の炭素原子は主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であり、Y基を含む他方の炭素原子は独立して実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体または実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるかS光学異性体である炭素原子の後(上記式の右から左に関する)の1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよく(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、V基またはY基を含まない炭素原子を1つまたは複数の置換基で置換することができる。
【0059】
上記化合物の特定の実施形態では、代謝遮断薬は、式:
−CHCHCH(Y)(CHCHCH(Y))CHCHCHCH(Y)−
を有する。上記化合物の別の特定の実施形態では、代謝遮断薬は、式:
−CHCHCH(Y)(CHCHCHCHCH(Y))CHCHCHCH(Y)−
を有する。
【0060】
本発明の別の実施形態は、有機酸化合物を代謝的に低カロリーまたはノンカロリーにする方法である。方法は、化合物に、有機酸化合物のカルボキシル基に対してαである炭素原子で1つまたは複数の置換基を導入する工程を含む。置換により、有機酸化合物のβ酸化由来の産生エネルギーが十分に低くなり、それにより化合物が代謝的に低カロリーまたはノンカロリーとなる。
【0061】
本発明の別の実施形態は、上記化合物の多価アルコールエステルを含む。
【0062】
本発明の別の実施形態は、食用脂および上記化合物を含む食品組成物である。
【0063】
本発明の別の実施形態は、無脂肪成分および少なくとも一部が上記化合物である脂肪成分を含む食品組成物である。
【0064】
(本発明の脂肪酸化合物)脂肪酸化合物は、カルボン酸部分および少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約30個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよい炭化水素部分を含む一塩基有機酸である。化合物は、分岐または非分岐、飽和(不飽和なし)または不飽和であって良い。不飽和脂肪酸化合物は、二重結合、三重結合、またはその組み合わせであり得る、1個〜約10個、1個〜約5個、1個〜約3個の不飽和、1個〜2個の不飽和を含み得る。一般に、炭化水素部分は、環状部分や環を含まない。炭化水素部分の炭素原子は、例えば、アルキル、アルケニル、およびアルキニルなどの1つまたは複数の置換基を含み得る。いくつかの実施形態では、アルキル以外の脂肪酸化合物中に存在する置換基の数は、1個〜約10個または1個〜約5個である。
【0065】
「アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、tert−ブチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、n−オクチル、およびイソオクチルなどの1個〜30個またはそれ以上の炭素原子を含む分岐または非分岐の1価の飽和炭化水素ラジカルを意味する。アルキルには、低級アルキルが含まれる。「低級アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、およびイソペンチルなどの1個〜10個の炭素原子を含む分岐または非分岐の1価の飽和炭化水素ラジカルを意味する。いくつかの実施形態では、アルキル置換基は、例えば、メチルなどの低級アルキルである。
【0066】
「アルケン」は、他で示さない限り、少なくとも1つの二重結合またはエテニル結合(ethenylic bond)および2個〜30個またはそれ以上の炭素原子を含む分岐または非分岐不飽和炭化水素ラジカル(低級アルケンが含まれる)を意味する。「低級アルケン」は、他で示さない限り、少なくとも1つの二重結合またはエテニル結合および2個〜6個の炭素原子を含む分岐または非分岐不飽和炭化水素ラジカルを意味する。1つまたは複数の炭化水素の炭素原子は任意選択的に置換される。
【0067】
「アルキン」は、他で示さない限り、少なくとも1つの三重結合またはエチニル結合(ethynylic bond)および2個〜30個またはそれ以上の炭素原子を含む分岐または非分岐不飽和炭化水素ラジカル(低級アルキンが含まれる)を意味する。
【0068】
「低級アルキン」は、他で示さない限り、少なくとも1つの三重結合またはエチニル結合および2個〜6個の炭素原子を含む分岐または非分岐不飽和炭化水素ラジカルを意味する。1つまたは複数の炭化水素の炭素原子は任意選択的に置換される。
【0069】
「置換された」は、アルキル、アルケン、またはアルキンの1つまたは複数の炭素原子が1つまたは複数の置換基(例えば、アルキル、アルケニル、およびアルキニルなど)を含むことができることを意味する。「任意選択的」または「任意選択的に」は、その後に記載する事象または環境が起こっても起こらなくてもよいことを意味し、この記載には、前記事象または環境が起こる例および起こらない例が含まれる。例えば、「任意選択的に置換された」は、炭化水素の炭素原子上に置換基が存在しても存在しなくても良いことを意味する。本発明の脂肪酸化合物には、その生理学的に許容可能なエステルまたはその代謝前駆体が含まれる。
【0070】
「生理学的に許容可能な」は、消費者に副作用を起こすことなくエステルを消費することができることを意味する。このような副作用には、毒性、嗜好性、脂溶性ビタミンA、D、E、およびKの利用可能性の減少、下痢、軟便、ガス、および腹部痙攣などが含まれる。いくつかの実施形態では、エステルは、少なくとも2つの遊離水酸基を含む任意の脂肪族化合物または芳香族化合物である多価アルコールのエステルである。いくつかの実施形態では、エステル形成のための多価アルコールは、本発明の脂肪酸化合物からトリグリセリドを生成するグリセロールである。本発明の脂肪酸化合物の多価アルコールエステルは、モノ−、ジ−、およびトリエステルであり得る。いくつかの実施形態では、多価アルコールエステルは、トリエステルである。
【0071】
「代謝前駆体」は、問題の化合物が消化された場合に代謝プロセス(例えば、酸化プロセスなど)によに脂肪置換物としての本発明の化合物が得られることを意味する。例えば,R,R,S−フィトールは、その後代謝酸化および他のプロセスの結果としてR,R,S−プリスタン酸になるR,R,S−フィタン酸の代謝前駆体である。さらに、R,R,R−フィトールは、その後このようなプロセスの結果としてR,R,R−プリスタン酸になるR,R,R−フィタン酸の代謝前駆体である。
【0072】
一般的に言えば、従来のトリグリセリドよりもカロリーの低い脂肪代替物は、腸壁を介して直接吸収されるべきではない。いくつかの脂肪代替物型が非消化性であり得るが、これらは腸壁を介した吸収を回避するのに十分に高分子量ではない。脂溶性分子の非吸収分子量の閾値は、約600のようである。さらに、食品組成物に処方された場合、脂肪代替物は、トリグリセリドオイルの性質を有することがしばしば望ましい。これらの特徴を有する脂肪代替物は、多数の現在公知の模倣物よりも消費者に受け入れられる可能性が高い。本発明の脂肪酸化合物のトリグリセリドエステルは、公知の脂肪酸トリグリセリドの多数の性質を有するが、in vivoでの代謝プロセス時のこのようなトリグリセリドの加水分解後に得られた本発明の遊離脂肪酸は上記の低カロリーまたはノンカロリーである利点を有するので、特に魅力的である。
【0073】
上記のように、本発明の1つの実施形態は、食用脂を含む食品組成物の代謝カロリー含有量を減少または排除する方法である。方法は、食品組成物の食用脂の少なくとも一部を、β酸化由来の産生エネルギーが十分に低い脂肪酸であり、代謝的に低カロリーとなるかノンカロリーになる化合物またはその生理学的に許容可能なエステルもしくはその代謝前駆体と置換する工程を含む。
【0074】
本発明の特定の実施形態は、式:
A−(代謝遮断薬)−CO
の化合物であって、
前記代謝遮断薬により、化合物のβ酸化由来の産生エネルギーが十分に低くなり、それにより前記化合物は代謝的に低カロリーとなるかノンカロリーとなり、Aは、
(i)1個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約30個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよいアルキル、
(ii)1個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約30個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよい置換アルキル、
(iii)2個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約30個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、1個〜2個の不飽和を有するアルケン、
(iv)2個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約30個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、1個〜2個の不飽和を有する置換アルケン、
(v)2個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約30個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、1個〜2個の不飽和を有するアルキン、または
(vi)2個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約30個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルキンである、
化合物またはその生理学的に許容可能なエステルもしくはその代謝前駆体を含む。一般に、上記のように、脂肪酸化合物の炭化水素部分の全炭素原子数が脂肪酸化合物についての考察に関連するので、A中の炭素原子数は、代謝遮断薬中の炭素原子数に依存する。さらに、A中の不飽和数も、脂肪酸化合物の炭化水素部分の炭素原子数に依存する。
【0075】
用語「代謝的にノンカロリー」は、酸化した化合物が酸化プロセスで使用されるカロリー量よりも低いカロリーを産生することを意味する。
【0076】
用語「代謝的に低カロリー」は、本明細書中に記載の化合物が、食事で通常見出される対応する「天然の」脂肪酸よりも低いカロリーを産生することを意味する。
【0077】
上記化合物の1つの実施形態では、代謝遮断薬は、式:
−C(X)(D)−
を有し、Xは1個〜約10個の炭素原子のアルキルであり、Dは水素または1個〜約10個の炭素原子のアルキルであり、Dが水素である場合、前記代謝遮断薬は主にS光学異性体(すなわち、少なくとも50%のS光学異性体から実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体までの光学異性体混合物)を含み、Aは、
(i)5個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約25個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約20個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約20個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよいアルキル、
(ii)5個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約25個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約20個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約20個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよい置換アルキル、
(iii)2個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約25個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約20個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約20個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、
(iv)2個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約25個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約20個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約20個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケンである。いくつかの実施形態では、Xは1個〜約5個の炭素原子のアルキルであり、例えば、Xはメチルである。いくつかの実施形態では、Dがアルキルである場合、Dは1個〜約5個の炭素原子のアルキルであり、例えば、Dはメチルである。
【0078】
本明細書中で使用される、用語「光学異性体」は、分子の特定の炭素原子上の置換基の立体化学的または立体異性体の配置をいう。このような炭素原子を、本明細書中でキラル中心ともいう。
【0079】
用語「主にS光学異性体」は、少なくとも50%のS光学異性体、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%のS光学異性体を含む光学異性体の混合物を意味する。
【0080】
用語「主にR光学異性体」は、少なくとも50%のR光学異性体、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%のR光学異性体を含む光学異性体の混合物を意味する。
【0081】
「実質的にR光学異性体を含まない」は、問題の脂肪酸化合物の特定の炭素原子またはキラル中心のR異性体の量が、いくらかでも存在する場合、脂肪酸化合物の代謝カロリー値が低カロリーまたはノンカロリーを超えるのに不十分であることを意味する。いくつかの実施形態では、脂肪酸化合物は、特定の炭素原子に対応するR異性体を約1%含むに過ぎない。
【0082】
「実質的にS光学異性体を含まない」は、問題の脂肪酸化合物の特定の炭素原子またはキラル中心のS異性体の量が、いくらかでも存在する場合、これ自体によって脂肪酸化合物の代謝カロリー値を低カロリーまたはノンカロリーにするのに不十分であることを意味する。いくつかの実施形態では、脂肪酸化合物は、特定の炭素原子に対応するS異性体を約1%含むに過ぎない。
【0083】
上記式の脂肪酸化合物の特定の実施形態では、Aは、C2n+1、C2n−1、C2n−3、およびC2n−5からなる群から選択され、nは約5から約30まで、6〜約25まで、10〜約20の整数であり、1個〜5個の炭素原子が任意選択的に1つまたは複数の置換基に置換されている。
【0084】
本発明の別の特定の実施形態は、式:
A’’−(代謝遮断薬)−CO
の化合物であって、
前記代謝遮断薬により、前記化合物のβ酸化のエネルギー必要量が化合物を代謝的に低カロリーにするのに十分に高くなり、代謝遮断薬は、式:
−(CH(CHCH(Y)(CH(CHCH(Y))(CH(CHCH(V)−
を有し、mは0〜3であり、VおよびYは独立して1個から約10個までの炭素原子を有するアルキルであり、
(i)V基を含む炭素原子が主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体である場合、Y基を含む炭素原子は独立して主にR光学異性体または実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体、または主にS光学異性体であるか、実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるか、Y基を含む1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよく(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、a、b、およびcは独立して1、2、3、4、または5であるか、
(ii)V基を含む炭素原子が主にR光学異性体であるか実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体である場合、Y基を含む一方の炭素原子は主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であり、Y基を含む他方の炭素原子は独立して実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体または実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるかS光学異性体である炭素原子の後(上記式の右から左に関する)の1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよく(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、a、b、およびcは独立して1、2、3、4、または5であり、S光学異性体である炭素原子の前のbまたはcは1または3の整数であるか、
(iii)V基を含む炭素原子が主にR光学異性体であるか実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体である場合、Y基を含む炭素原子は主にR光学異性体であるか、実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体であり、a、b、およびcの少なくとも1つは1または3であり、残りのa、b、および/またはcは独立して1、2、3、4、または5であり、V基またはY基を含まない炭素原子を1つまたは複数の置換基で置換することができ、A’’は、
(i)1個〜約20個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約1個、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個の炭素原子、少なくとも約15個の炭素原子、少なくとも約16個の炭素原子、少なくとも約17個の炭素原子、少なくとも約18個の炭素原子、少なくとも約19個の炭素原子を有し、約1個〜約15個またはそれ以上の炭素原子、約2個〜約8個またはそれ以上の炭素原子、約3個〜約7個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよいアルキル、
(ii)1個〜約15個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約1個、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個の炭素原子、少なくとも約15個の炭素原子、少なくとも約16個の炭素原子、少なくとも約17個の炭素原子、少なくとも約18個の炭素原子、少なくとも約19個の炭素原子を有し、約1個〜約115個またはそれ以上の炭素原子、約2〜約8またはそれ以上の炭素原子、約3〜約7またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよい置換アルキル、
(iii)2個〜約15個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個の炭素原子、少なくとも約15個の炭素原子、少なくとも約16個の炭素原子、少なくとも約17個の炭素原子、少なくとも約18個の炭素原子、少なくとも約19個の炭素原子を有し、約2〜約15個またはそれ以上の炭素原子、約3〜約8またはそれ以上の炭素原子、約4〜約7またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和を有するアルケン、
(iv)2個〜約15個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個の炭素原子、少なくとも約15個の炭素原子、少なくとも約16個の炭素原子、少なくとも約17個の炭素原子、少なくとも約18個の炭素原子、少なくとも約19個の炭素原子を有し、約2個〜約15個の個またはそれ以上の炭素原子、約3個〜約8個またはそれ以上の炭素原子、約4個〜約7個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和を有する置換アルケンである)の化合物を含む。いくつかの実施形態では、A’’は、1個〜約5個の炭素原子または1個〜3個の炭素原子のアルキル、1個〜約10個の炭素原子または1個〜3個の炭素原子の置換アルキル、2個〜約10個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和、1個〜3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するか、2〜6個の炭素原子を有し、且つ1個〜約3個の不飽和または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、2個〜約10個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するか、2〜6個の炭素原子を有し、且つ1個〜約3個の不飽和または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケンである、
化合物を含む。
【0085】
本発明の脂肪酸化合物の別の特定の実施形態では、代謝遮断薬は、式:
−CHCHCH(Y)(CH(CHCH(Y))CHCHCHCH(V)−
を有し、mは0〜3であり、nは1または3であり、VおよびYは独立して1個から約10個までの炭素原子を有するアルキルであり、
(i)置換基としてV基を有する炭素原子が主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体である場合、Y基を含む炭素原子は独立して実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体または実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるか、Y基を含む1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよいか(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、
(ii)V基を含む炭素原子が主にR光学異性体であるか実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体である場合、Y基を含む一方の炭素原子は主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であり、Y基を含む他方の炭素原子は独立して実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体または実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるかS光学異性体である炭素原子の後(上記式の右から左に関する)の1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよく(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、Y基を含まない炭素原子を1つまたは複数の置換基で置換することができ、A’’は、
(i)1個〜約20個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約20個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約20個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約20個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよいアルキル、
(ii)1個〜約20個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約20個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約20個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約20個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよい置換アルキル、
(iii)2個〜約20個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約20個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約20個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約20個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、
(iv)2個〜約20個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約20個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約20個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約20個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケンである。いくつかの実施形態では、A’’は、1個〜約5個の炭素原子または1個〜3個の炭素原子のアルキル、1個〜約10個の炭素原子または1個〜3個の炭素原子の置換アルキル、2〜約10個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、もしくは1個〜2個の不飽和、または2〜6個の炭素原子を有し、且つ1個〜約3個の不飽和もしくは1個〜2個の不飽和を有するアルケン、2〜約10個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、もしくは1個〜2個の不飽和、または2〜6個の炭素原子を有し、且つ1個〜約3個の不飽和もしくは1個〜2個の不飽和を有する置換アルケンである。いくつかの実施形態では、Yは、1〜約5個の炭素原子のアルキルであり、例えば、Yはメチルである。mが0である場合、代謝遮断薬は、式:−CHCHCH(Y)CHCHCH(V)−を有する。mが1であり、且つnが1である場合、代謝遮断薬は、式:−CHCHCH(Y)CHCHCH(Y)CHCHCHCH(V)−を有する。mが2であり、且つnが1である場合、代謝遮断薬は、式:−CHCHCH(Y)(CHCHCH(Y)(CHCHCH(Y)CHCHCHCH(V)−を有する。mが3であり、且つnが1である場合、代謝遮断薬は、式:−CHCHCH(Y)CHCHCH(Y)CHCHCH(Y)CHCHCH(Y)CHCHCHCH(V)−を有する。mが1であり、且つnが3である場合、代謝遮断薬は、式:−CHCHCH(Y)CHCHCHCHCH(Y)CHCHCHCH(V)−を有する。mが2であり、且つnが3である場合、代謝遮断薬は、式:−CHCHCH(Y)CHCHCHCHCH(Y)CHCHCHCHCH(Y)CHCHCHCH(V)−を有する。mが3であり、且つnが3である場合、代謝遮断薬は、式:−CHCHCH(Y)CHCHCHCHCH(Y)CHCHCHCHCH(Y)CHCHCHCHCH(Y)CHCHCHCH(V)−を有する。
【0086】
いくつかの実施形態では、A’’は、1個〜約5個の炭素原子または1〜3個の炭素原子のアルキル、1個〜約10個の炭素原子または1個〜3個の炭素原子の置換アルキル、2〜約10個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和または1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するか、2個〜6個の炭素原子を有し、且つ1個〜約3個の不飽和または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、または2〜約10個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和または1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するか、2個〜6個の炭素原子を有し、且つ1個〜約3個の不飽和または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケンである。
【0087】
上記式の脂肪酸化合物の特定の実施形態では、A’’は、C2n+1、C2n−1、C2n−3、およびC2n−5からなる群から選択され、nは約1〜20、1〜10であり、1〜5、または1〜3個の炭素原子が任意選択的にアルキル、アルケニル、およびアルキニルなどに置換されている。
【0088】
A(またはその変異型、例えば、A’およびA’’など)部分は、アルケニルおよびアルキニルがアルキル対応物にしたがった定義を有する場合、「単鎖アルキル(アルケニル、アルキニル)」または「長鎖アルキル(アルケニル、アルキニル)」であり得る。「単鎖アルキル」は、約4個から約10個までの炭素原子を含むアルキルを意味する。「長鎖アルキル」は、10個を超える炭素原子を含むアルキルを意味する。上記式の脂肪酸化合物についてのA部分の例(番号は、代謝遮断薬に結合した炭素原子から始まる)には、n−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−テトラデセニル、n−ヘキサデセニル、7−ヘキサデセニル、11−ヘキサデセニル、5−テトラデシニル、10−ヒドロキシ−7−ヘキサデシル、7,10−ヘキサデカジエニル、7,10,13−ヘキサデカトリエニル、ヘキサデカ−9,11,13−トリエニル、および10−オクタデセニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0089】
いくつかの実施形態では、w酸化を回避するかその可能性が減少する脂肪酸を有することが望ましい。αまたはβ酸化が不可能な場合(例えば、α炭素が遊離カルボン酸を有するS配座で存在する場合)、w酸化が起こる。これらの実施形態においてこの問題に取り組むために、1つのアプローチでは、分子のw末端のキラル炭素原子を、他のキラル中心と反対側に立体化学配座を有するようにデザインする。例えば、全ての他のキラル中心がS配座である場合、wキラル中心はR配座である。別のアプローチでは、脂肪酸の両末端の四級中心を使用してw酸化を回避することができる。ωキラル炭素が他のキラル炭素と同一の配座(例えば、S)である場合、ω末端からの酸化時に(それによりより多くのATPが使用される)得られた生成物はRキラル中心を有する。
【0090】
(本発明の化合物の特定の実施形態)本発明の一連の化合物には、式:
W−C(CH)(CH)−CO
によって示される化合物、およびそれらの生理学的に許容可能なエステル、またはそれらの化合物の代謝前駆体が含まれ、Wは、1個〜約30個の炭素原子のアルキル、1個〜約30個の炭素原子の置換アルキル、2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケン、2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルキン、または2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルキンであり、または化合物の生理学的に許容可能なエステルが含まれる。いくつかの実施形態では、Wは、(i)1個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約30個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよいアルキル、(ii)1個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約30個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよい置換アルキル、(iii)2個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約30個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、1個〜2個の不飽和を有するアルケン、(iv)2個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約30個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、1個〜2個の不飽和を有する置換アルケン、(v)2個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約30個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、1個〜2個の不飽和を有するアルキン、または(vi)2個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約30個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルキンである。
【0091】
本発明の別の一連の化合物には、式:
Z−CH(CH)−CO
によって示される化合物、およびそれらの生理学的に許容可能なエステル、またはそれらの化合物の代謝前駆体が含まれ、α炭素は主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まず、Zは、1個〜約30個の炭素原子のアルキル、1個〜約30個の炭素原子の置換アルキル、2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケン、2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルキン、または2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルキンであり、または化合物の生理学的に許容可能なエステルが含まれる。いくつかの実施形態では、Zは、(i)1個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約30個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよいアルキル、(ii)1個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約30個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよい置換アルキル、(iii)2個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約30個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、1個〜2個の不飽和を有するアルケン、(iv)2個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約30個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、1個〜2個の不飽和を有する置換アルケン、(v)2個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約30個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、1個〜2個の不飽和を有するアルキン、または(vi)2個〜約30個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約30個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約30個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルキンである。
【0092】
本発明の別の一連の化合物には、式:
Q−CHCHCH(CH)CHCHCH(CH)CHCHCHCH(CH)−CO
によって示される化合物、およびそれらの生理学的に許容可能なエステル、またはその代謝前駆体が含まれ、
(i)カルボキシル基に対してαである炭素原子が主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であり、メチル基を含む他の炭素原子が独立して実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体または実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるか、メチル基を含む1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよいか(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、
(ii)メチル基を含むα炭素原子が主にR光学異性体であるか実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体である場合、メチル基を含む他の炭素原子の1つは主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であり、メチル基を含む他の炭素原子は独立して実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体または実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるかS光学異性体である炭素原子の後(上記式の右から左に関する)の1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよく(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、Qは、1個〜約20個の炭素原子のアルキル、1個〜約20個の炭素原子の置換アルキル、2個〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、または2個〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケンからなる群から選択される。
【0093】
上記のいくつかの実施形態では、Qは、(i)1個〜約20個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約1個、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約20個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約20個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約20個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよいアルキル、
(ii)1個〜約20個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約1個、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6個〜約20個またはそれ以上の炭素原子、約10個〜約20個またはそれ以上の炭素原子、約15個〜約20個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよい置換アルキル、
(iii)2個〜約20個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6〜約20個またはそれ以上の炭素原子、約10〜約20またはそれ以上の炭素原子、約15〜約20またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、
(iv)2個〜約20個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個の炭素原子を有し、約6〜約20個またはそれ以上の炭素原子、約10〜約20またはそれ以上の炭素原子、約15〜約20またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケンである。いくつかの実施形態では、Qは、1個〜約5個の炭素原子または1個〜3個の炭素原子のアルキル、1個〜約10個の炭素原子または1個〜3個の炭素原子の置換アルキル、2個〜約10個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するか、2〜6個の炭素原子を有し、且つ1個〜約3個の不飽和または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、2個〜約10個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するか、または2〜6個の炭素原子を有し、且つ1個〜約3個の不飽和または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケンである。
【0094】
本発明の別の一連の化合物には、式:
Q’−CHCHCHCHCH(CH)CHCHCHCHCH(CH)CHCHCHCH(CH)−CO
によって示される化合物、およびそれらの生理学的に許容可能なエステル、またはその代謝前駆体が含まれ、
(i)カルボキシル基に対してαである炭素原子が主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であり、メチル基を含む他の炭素原子が独立して実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体または実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるか、メチル基を含む1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよいか(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、
(ii)メチル基を含むα炭素原子が主にR光学異性体であるか実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体である場合、メチル基を含む他の炭素原子の1つは主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であり、メチル基を含む他の炭素原子は独立して実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体または実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるかS光学異性体である炭素原子の後(上記式の右から左に関する)の1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよく(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、Q’は、1個〜約15個の炭素原子のアルキル、1個〜約15個の炭素原子の置換アルキル、2個〜約15個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、または2個〜約15個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケンからなる群から選択される。
【0095】
上記のいくつかの実施形態では、Q’は、(i)1個〜約15個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約1個、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個の炭素原子を有し、約2個〜約14個またはそれ以上の炭素原子、約3個〜約12個またはそれ以上の炭素原子、約5個〜約10個またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよいアルキル、
(ii)1個〜約15個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約1個、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個の炭素原子を有し、約2個〜約14個またはそれ以上の炭素原子、約3〜約12またはそれ以上の炭素原子、約5〜約10またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよい置換アルキル、
(iii)2個〜約15個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約1個、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個の炭素原子を有し、約2〜約14個またはそれ以上の炭素原子、約3〜約12またはそれ以上の炭素原子、約5〜約10またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、または、
(iv)2個〜約15個の炭素原子、いくつかの実施形態では、少なくとも約1個、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個の炭素原子を有し、約2〜約14個またはそれ以上の炭素原子、約3〜約12またはそれ以上の炭素原子、約5〜約10またはそれ以上の炭素原子の範囲でもよく、且つ1個〜約10個の不飽和、1個〜約5個の不飽和、1個〜約3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケンである。いくつかの実施形態では、Q’は、1個〜約10個の炭素原子または1個〜3個の炭素原子のアルキル、1個〜約10個の炭素原子または1個〜3個の炭素原子の置換アルキル、2個〜約10個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和、1個〜3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するか、2〜6個の炭素原子を有し、且つ1個〜約3個の不飽和または1個〜2個の不飽和を有するアルケン、または2個〜約10個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和、1個〜3個の不飽和、または1個〜2個の不飽和を有するか、2〜6個の炭素原子を有し、且つ1個〜約3個の不飽和または1個〜2個の不飽和を有する置換アルケンである。
【0096】
鎖中に複数の反復メチル置換炭素原子を含む脂肪酸化合物自体に関して、R,R,S−フィタン酸、R,R,R−フィタン酸、R,R,S−プリスタン酸、およびR,R,R−プリスタン酸は、具体的には、ある光学異性体形態が他と比較して少なくとも51%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%含まれるという点で部分的にラセミ体である光学異性体混合物などの上記の光学異性体精製形態以外が除かれる。具体的には、多価アルコールエステル(例えば、グリセロールエステル)などの生理学的に許容可能なエステルとしての上記脂肪酸化合物が含まれる。具体的には、食品組成物の食用脂の少なくとも一部を、R,R,S−フィタン酸、R,R,R−フィタン酸、R,R,S−プリスタン酸、R,R,R−プリスタン酸、またはその組み合せおよびその生理学的に許容可能なエステルおよびその代謝前駆体(例えば、R,R,R−フィタン酸の代謝前駆体であり、その後R,R,R−プリスタン酸になるR,R,R−フィトールおよびR,R,S−フィタン酸の代謝前駆体であり、その後R,R,S−プリスタン酸になるR,R,S−フィトールなど)と置換した食用脂を含む食品組成物の代謝カロリー含有量を減少または排除する方法も含まれる。
【0097】
(本発明の脂肪酸化合物の調製)本発明の脂肪酸化合物を、それぞれ当該分野で公知であるが、本発明の脂肪酸化合物の調製のための組み合わせは当該分野で公知ではない工程を含む方法によって調製することができる。本発明のいくつかの化合物を、作製される本発明の特定の化合物に基づいて選択した公知の重合技術によって調製することができる。
【0098】
(α炭素に四級中心を有する脂肪酸化合物)以下の調製スキームは、α炭素が四級中心を有する脂肪酸化合物の調製のためのものである。出発材料は、α炭素上に1つの水素原子を有する公知の脂肪酸であり得る。公知の脂肪酸は、通常ラセミ混合物である。出発材料として使用される公知の脂肪酸は、合成または天然、飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖であり得る。このような脂肪酸の例は、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、ベヘノール酸、エルカ酸、エルシジン酸(erucidic)(ブラシジン酸(brassic))、ヘプタデカン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸(mellissic)、パルミトレイン酸(ゾーマリン酸)、パルミトリン酸(palmitolic)、リシノール酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、ネルボン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサテトラエン酸(decosatetraenoic)、ドコサペンタエン酸(decosapentaenoic)、およびドコサヘキサエン酸(decosahexaenoic)などである。
【0099】
公知の脂肪酸のカルボキシル基を、アミド官能基に変換する。典型的には、遊離カルボン酸、そのエステル、その酸ハライド、およびその無水物などのアンモニアでの処理によって対応するカルボン酸からアミドを合成することができる。特定の反応条件を本明細書中では考察しない。例えば、Org.Prep.Proc.Int.,14,396−(1982)を参照のこと。次いで、アミドをニトリル基またはシアノ基に変換するように得られたアミドを処理する。1つのアプローチは、適切な脱水剤および脱水条件を使用したアミドの脱水を含む。脱水剤は、例えば、オキシ塩化リンなどを含む無水有機溶媒(例えば、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、四塩化炭素、クロロホルムなど)など)であり得る。いくつかの実施形態では、脱水温度は、約60℃〜約100℃である。次いで、アルキルハライド(ヨウ化アルキル、臭化アルキル、塩化アルキル)、およびアルキルシリルクロリドなどの形態の所望のアルキル化剤を使用したアルキル化反応によってアルキル置換基をα炭素に導入する。通常、例えば、アジ化ナトリウム、KNH、ナトリウム、n−ブチルリチウムなどの塩基の存在下でアルキル化反応を行う。通常、アルキル化温度は約0℃〜約100℃であり、時間は約5分間〜約24時間である。次いで、シアノ基を加水分解してカルボキシル基を得る。酸または塩基条件下で加水分解を行うことができる。通常、比較的強い酸または塩基条件を使用する。酸は、例えば、鉱酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸など)、有機酸(例えば、トリフルオロ酢酸、o−クロロ安息香酸など)であり得る。酸強度は、使用した酸に依存する。塩基は、例えば、金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)であり得る。塩基の強度は、塩基の性質に依存する。一般に、加水分解条件は当該分野で周知であり、詳細に考察しない。通常、還流条件下にて水性溶剤中で加水分解を行う。
【0100】
得られた脂肪酸化合物を、公知の技術(例えば、抽出、カラムクロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィ、シックレイヤークロマトグラフィ、分離低圧または高圧液体クロマトグラフィ、またはこれらの手順の組み合わせなど)によって精製することができる。
【0101】
脂肪酸化合物を、末端アルケンのニトリルへの変換または末端アルケンのカルボン酸への酸化によって調製することもできる。いずれかの場合、次に上記プロセスを行うことができる。
【0102】
(実質的にS光学異性体である脂肪酸化合物)実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体である脂肪酸化合物を、以下の例示的手順によって調製することができる。1つのアプローチでは、出発材料は、公知の脂肪酸であり得る。出発材料として使用される公知の脂肪酸は、合成または天然、飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖であり得る。このような脂肪酸の例は、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、ベヘノール酸、エルカ酸、エルシジン酸(ブラシジン酸)、ヘプタデカン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、パルミトレイン酸(ゾーマリン酸)、パルミトリン酸、リシノール酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、ネルボン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサペンタエン酸、およびドコサヘキサエン酸などである。
【0103】
公知の脂肪酸のカルボキシル基を、ニトリル官能基に変換する。典型的には、例えば、金属水素化物(例えば、LiAlH)などの還元剤での遊離カルボン酸、そのエステル、その酸ハライド、およびその無水物などの処理から出発する複数の工程の手順によって対応するカルボン酸からニトリルを合成することができる。本明細書中で特定の反応条件を考察しない。例えば、Org.React(1951) 469を参照のこと。
【0104】
次いで、得られたアルコールを、アルコールをハライド基に変換するように処理する。1つのアプローチは、115℃での臭化水素との反応を含む。ハロゲン化剤は、例えば、塩化水素、ヨウ化水素、および塩化チオニルなどであり得る。次に例えば、アンモニア中での臭化物とアセトニトリルおよびNaNHとの反応によってニトリル置換基を導入する。次いで、シアノ基を加水分解してカルボキシル基を得る。酸性または塩基性条件下で加水分解を行うことができる。通常、比較的強い酸または塩基条件を使用する。酸は、例えば、鉱酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸など)、有機酸(例えば、トリフルオロ酢酸、o−クロロ安息香酸など)であり得る。一般に、加水分解条件は当該分野で周知であり、詳細に考察しない。通常、還流条件下にて水性溶剤中で加水分解を行う。還元後に臭素化およびシアノ化を行って、問題の分子に1つの炭素フラグメントを添加する。キラルな3炭素フラグメント付加の例を、図1A〜1Bに例示する。目的の脂肪酸由来の臭化物から、マグネシウムとの反応によってグリニャール試薬を形成する。過塩素酸との反応によって(S)−(+)−3−ブロモ酪酸のラクトンを形成する。−20℃でのヨウ化第一銅の存在下で、(S)−(+)−3−ブロモ酪酸のラクトンを、出発脂肪酸由来の上記グリニャール試薬と反応させて3位炭素にメチル置換脂肪酸のR光学異性体が非常に良好な収率で立体特異的に形成される。この同一の方法を繰り返して鎖長を増加させることができる。また、(R)−(+)−3−ブロモ酪酸のラクトンから出発することにより、3位炭素でメチル置換された脂肪酸のS光学異性体を得ることができる。上記材料の適切な混合物から出発することによって、所望の光学異性体分布のR光学異性体とS光学異性体との混合物を調製することができる。
【0105】
上記手順の特定の例を、図1A〜1Bに示す。(R,R,R)フィタン酸が望ましく、生理学的に関連する脂肪酸を、記載の手順における立体制御様式で合成する。図1A〜1Bでは、t−buはt−ブチルである。
【0106】
別の様式では、実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体を有する化合物を、ラセミ化合物と真菌バーティシリウム・レカニ(Verticillium lecanii)とのインキュベーションによって生成することができる。以下の調製例によってこのアプローチを示す:1mLのV.レカニの接種物を、100mLのデキストロース−ペプトン培地中で対数期終了まで成長させる(96時間)。培養物を、1000×gでの遠心分離によって回収し、滅菌蒸留水で3回洗浄し、100mLの滅菌ソレンセンリン酸緩衝液(pH6.0)中に20mg/mL乾燥細胞重量の細胞密度に再懸濁する。ラセミ体から主にS光学異性体に変換すべき化合物を250mg/mLの最終濃度まで添加し、pH6.0に再調整する。V.レカニおよび目的の化合物を含むフラスコを、150rpmで回転させたシェーカーにて24℃で6日間インキュベートする。その後、培養物を適切な容器にて2000×gで5分間遠心分離する。次いで、目的の化合物を上清から精製することができる。
【0107】
上記プロセスを少量の化合物で例示しているが、当業者はこのプロセスをより大規模で容易に行うことができる。
【0108】
(本発明の脂肪酸化合物を含む組成物)本発明の脂肪酸化合物またはその生理学的に許容可能なエステルを公知の食用脂と混合し、風味(ω−3脂肪酸およびω−6脂肪酸などのいくつかの脂肪酸成分由来の有利な効果)などの特徴を得ることができる。公知の食用脂または本発明の脂肪酸化合物と混合した公知の食用脂の量は、食用脂の性質および付与すべき所望の特徴などに依存する。本発明の脂肪酸化合物と混合する組成物中の公知の食用脂の量は、約0.1%〜約99.9%、約1%〜約99%、約2%〜約98%、約3%〜約97%、約4%〜約96%、約5%〜約95%、約10%〜約90%、約20%〜約80%、約30%〜約70%、約40%〜約60%、および約50%〜約50%などであり得る。例えば、本発明の脂肪酸化合物を、全ての上記範囲内の量のオリーブオイルと混合することができる。
【0109】
他の公知の食用脂を合成するか、動物供給源、植物供給源、またはこれらの組み合わせから誘導することができる。公知の食用脂は、非水素化、部分的水素化、または完全に水素化されたダイズ油、ベニバナ油、ヒマワリ油、ゴマ油、ピーナッツ油、トウモロコシ油、コメヌカ油、キャノーラ油、ババスナッツ油、ココナッツ油、パーム油、パーム核油、ルピン油、ナスタチウム油、カラシ油、綿実油、低エルカ酸ナタネ油、バターまたは魚油、またはホホバ油などの植物ワックス由来のものであり得る。公知の食用脂には、食用脂代替物(糖エステル、ネオアルキルエステル、ポリグリセロールエステル、マロン酸エステル、プロポキシル化グリセロール、レトロファット(retrofat)、シリコーン油/シロキサン、カルボキシ/カルボン酸塩などが含まれるが、これらに限定されない)も含まれる。公知の食用脂、ショートニング、およびオイル製品の上記組み合わせには、ショートニング、マーガリン、スプレッド、バターブレンド、ラード、食用油およびフライ油、サラダ油、ポップコーン油、サラダドレッシング、マヨネーズ、および他の食用油が含まれるが、これらに限定されない。
【0110】
有利には、必要に応じて、使用する公知の食用脂を、本発明の化合物が所望の脂肪特性を得られるように選択することができる。所望のレオロジー、融解プロフィール、および口当たりについて上記ブレンドまたは組み合わせを選択することができる。これは特にマーガリン代替物、クッキーフィリング、ホイップしたトッピングなどの場合で望ましい。多くの適用があるエステルには、これらの材料が口内で溶けて天然油脂の官能性が感じられるので、融点が約98゜F未満のエステルがある。いくつかの生成物について、高品質で天然の固体脂肪と等価な涼感および融解が得られるので、比較的明確な融点(例えば、約90゜F〜約98゜Fの範囲)が望ましい。しかし、本発明の脂肪酸化合物の利点の1つが、多くの場合、公知の食用脂の味および食感を有し、それにより混合する必要がないという点であることに留意すべきである。
【0111】
特定の例では、軟質または硬質のいずれかであり得るマーガリン代替物中で本発明の脂肪酸化合物を使用することができる。マーガリンは、一般に、以下の2つの主な型の1つとして販売されている:すなわち、(1)硬質またはスティック状のマーガリンおよび(2)軟質または小型容器入りのマーガリン(tub margarine)。これら全ての製品は、本発明の化合物と置換することができる液体および硬質の原料(stock)を含む。従来のマーガリンの硬質原料のいくつかまたは全部の排除により、高品質のマーガリン製品中の飽和脂肪酸に対する多価不飽和脂肪酸の比率がより高くなり、且つトランス異性体量をより少量にすることができることが本発明の利点である。
【0112】
単独または他の食用脂と組み合わせた本発明の脂肪酸化合物またはその生理学的に許容可能なエステルを、非脂肪成分および脂肪成分を含む食品組成物中の脂肪成分として使用することができる。食品組成物中の脂肪酸化合物の量を、非脂肪成分の性質および食品成分の意図する用途などによって決定する。食品組成物中の本発明の脂肪酸化合物の量は、約1%〜約100%、約10%〜約99%、約20%〜約95%、約30%〜約80%、および約40%〜約60%などである。
【0113】
無脂肪成分は任意の食用材料であってよく、栄養素を意図しても意図しなくても良い。無脂肪成分は、タンパク質(動物または植物起源)または炭水化物(デンプン、糖、セルロース)、またはその混合物であり得る。無脂肪成分は、油脂の抗酸化剤、飛散防止剤、乳化剤、食用脂質(トリグリセリド)、ビタミン、増粘剤、防腐剤、着色剤、香味物質、香料、糖代替物、水、スパイス、および他の微量機能成分など、またはその混合物などの添加物であり得る。
【0114】
本発明の脂肪酸化合物の形態で約1%〜約100%の通常の脂肪成分を含む一般的な食品組成物を、公知の意味で食品が「調理された」と見なされるまでの混合、ブレンド、調理などおよびその組み合わせの任意の従来の様式で調製することができる。上記範囲は、本発明の化合物による通常の脂肪型成分の一部から全部の代替を対象とする。1%のレベルで部分な代替であり、100%のレベルで全部の代替である。
【0115】
本発明の脂肪酸化合物またはそのブレンドもしくはエステルは、広範な種々の食品および飲料で有用である。例えば、これらを、任意の形態の焼いた食品(ミックス(mixes)、長期保存用の焼いた食品、および冷凍した焼いた食品(frozen baked goods)など)の製造で使用することができる。可能な適用には、ケーキ、ブラウニー、マフィン、バークッキー、ウェハース、ビスケット、練り菓子、パイ、パイクラスト、およびクッキー(サンドイッチクッキーおよびチョコレートチップクッキー、および保存安定性二重型押しクッキー(storage−stable dual−textured cookies)などが含まれる)が含まれるが、これらに限定されない。焼いた食品は、フルーツ、クリーム、または他のフィリングを含むことができる。他の焼いた食品には、パンおよびロールパン、クラッカー、プレッツェル、パンケーキ、ワッフル、アイスクリームコーンおよびカップ、酵母で膨らませた焼いた食品、ピザおよびピザクラスト、焼いたデンプン質のスナック食品、ならびに他の焼いた塩味のスナックが含まれる。
【0116】
天然の脂肪を全部または部分的に置換する本発明の脂肪酸化合物を含むことができる食品の代表的な例は、冷菓(例えば、シャーベット、アイスクリーム、氷、またはミルクセーキ);プディングおよびパイフィリング;マーガリン代替物またはブレンド;風味づけしたパンまたはビスケットスプレッド;マヨネーズ;サラダドレッシング(乳化および非乳化);置換乳または置換ミルクなどの置換乳製品;乳製品または非乳製品のチーズスプレッド;ピーナッツバター;卵代替物;コーヒー用クリーム(液体および固体);風味づけしたディップ;フライ用油脂;再成形肉および粉砕した肉;肉代替物または肉増量剤;ホイップしたトッピング;化合物のコーティング;砂糖衣およびフィリング;ココアバター代替物またはブレンド;キャンディ(特に、ピーナッツバターまたはチョコレートなどを含む脂肪性のキャンディ);チューイングガム;ベーカリー製品(例えば、ケーキ、パン、ロールパン、練り菓子、クッキー、ビスケット、または塩味のクラッカー);任意のこれらのためのミックスまたは成分プレミックス;ならびに香味物質、栄養素、薬物または機能的な添加物送達系である。
【0117】
本発明の食品組成物または本発明の脂肪酸化合物自体を、ビタミンおよびミネラル、特に脂溶性ビタミンで栄養を強化することができる。脂溶性ビタミンには、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、およびビタミンKが含まれる。ビタミンAは脂溶性アルコールである。天然ビタミンAは、通常、脂肪酸でエステル化された状態で見出され、ビタミンAの代謝活性形態には、対応するアルデヒドおよび酸も含まれる。ビタミンDは、くる病および他の骨障害の治療および予防での使用で周知の脂溶性ビタミンである。「ビタミンD」はステロールを含み、ビタミンD型活性を有する少なくとも11種のステロールが存在する。ビタミンE(トコフェロール)は、本発明で使用することができる第3の脂溶性ビタミンである。4つの異なるトコフェロールが同定されており(α、β、γ、およびδ)、その全てが油性で黄色の液体であり、且つ水に不溶性であるが、油脂に可溶性を示す。ビタミンKは、少なくとも3つの形態で存在し、これら全てがキノンとして公知の化合物群に属する。天然に存在する脂溶性ビタミンは、K(フィロキノン)、K(メナキノン)、およびK(メナジオン)である。本発明の低カロリー脂肪材料の栄養を強化するために本明細書中で使用される脂溶性ビタミンの量は変化し得る。所望ならば、任意の脂溶性ビタミンまたはその組み合わせの1日あたりの推奨許容量(RDA)、RDA以上の量、または多様なRDAを使用して脂肪材料の栄養を強化することができる。
【0118】
脂肪に不溶性を示すビタミンを、同様に本発明の非消化性固体脂肪材料に含めることができる。これらのビタミンは、ビタミンB複合ビタミン、ビタミンC、ビタミンG、ビタミンH、およびビタミンPである。ミネラルには、カルシウム、マグネシウム、および亜鉛などの食事中で有用なことが公知の広範な種々のミネラルが含まれる。本発明の低カロリー脂肪材料中でビタミンとミネラルとの任意の組み合わせを使用することができる。
【0119】
本発明の脂肪酸化合物(エステルおよびそのブレンドが含まれる)は、食品成分および飲料成分の特定のクラスとの組み合わせで特に有用である。例えば、脂肪材料をノンカロリーまたはカロリー減少甘味料のみと共に使用するか、増量剤と組み合わせて使用した場合、さらなるカロリー減少に有利である。ノンカロリーまたはカロリー減少甘味料には、アスパルテーム;サッカリン;アリテーム;タウマチン;ジヒドロカルコン;シクラメート;ステビオサイド;グリシルリジン;ズルチンおよびP−4000などの合成アルコキシ芳香族化合物;スクラロース(sucrolose);スオサン(suosan);ミラクリン;モノリン(monollin);ソルビトール;キシリトール;タリン(talin);スルファミン酸シクロヘキシル;置換イミダゾリン;アセスルファム、アセスルファムK、およびn置換スルファミン酸などの合成スルファミン酸;ペリラルチンなどのオキシム;レバウジオシドA;アスパルチルマロネートおよびスカニリン酸(succanilic acid)などのペプチド;ジペプチド;ジェムジアミノアルカン(gem−diaminoalkane)、メタアミノ安息香酸、L−アミノジカルボン酸アルカン、および一定のαアミノジカルボン酸のアミドおよびジェム−ジアミンなどのアミノ酸ベースの甘味料;および3−ヒドロキシ−4−アルキルオキシフェニル脂肪族カルボン酸または複素環式芳香族カルボン酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0120】
増量剤および粘度付与剤は、多数の食品組成物中で本発明の脂肪酸化合物、そのブレンド、およびエステルと組み合わせで有用である。増量剤は、非消化性炭水化物(例えば、ポリデキストロースおよびセルロースまたはセルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、および微結晶性セルロースなど))であり得る。他の適切な増量剤には、ゴム(親水コロイド)、デンプン、デキストリン、発酵ホエイ、豆腐、マルトデキストリン、ポリオール(糖アルコール(例えば、ソルビトールおよびマンニトール)が含まれる)、および炭水化物(例えば、ラクトース)が含まれる。
【0121】
同様に、各利点の組み合わせを達成するために本発明の脂肪酸化合物と食物繊維を組み合わせた食品組成物および飲料組成物を作製することができる。「食物繊維」は、植物細胞壁および海草で見出される炭水化物ならびに微生物発酵によって産生される炭水化物などの哺乳動物酵素による消化に耐性を示す複合糖質を意味する。これらの複合糖質の例は、ふすま、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、ゴムおよび粘液、海草抽出物、ならびに生合成ゴムである。セルロース繊維の供給源には、野菜、果物、種子、穀類、および合成(例えば、細菌合成による)の繊維が含まれる。精製植物セルロースまたはセルロースセルロース粉末などの市販の繊維も使用することができる。天然に存在する繊維には、柑橘類の果皮全体、柑橘類のアルベド、砂糖大根、柑橘類の果肉および小胞の固形物(vesicle solid)、ならびにリンゴ、アプリコット、およびスイカの外皮由来の繊維が含まれる。
【0122】
食物繊維は、粗形態または精製形態であり得る。使用する食物繊維は、単一型(例えば、セルロース)、複合食物繊維(例えば、セルロースおよびペクチンを含む柑橘類のアルベド繊維)、または繊維のいくつかの組み合わせ(例えば、セルロースおよびゴム)であり得る。当該分野で公知の方法によって繊維を処理することができる。
【0123】
勿論、本発明の脂肪酸化合物および他の食品成分とのその組み合わせを使用するかを判断しなければならない。例えば、二者の特定の利点が望ましくない場合、甘味料と本発明の脂肪酸化合物との組み合わせを使用しない。適切である場合且つ適切な量で本発明の脂肪酸化合物、そのブレンドおよびエステル、および他の組み合わせを使用する。
【0124】
単独または食用油および/または上記の他の成分と組み合わせて使用した場合、食品組成物および飲料組成物中での本発明の化合物の使用から多数の利点が得られる。主な利点は、全部または部分的な脂肪置換の結果として達成されるカロリーの減少である。本発明の化合物とカロリー減少甘味料、および増量剤などとの組み合わせの使用によってこのカロリーをさらに減少させることができる。この使用から得られる別の利点は、食品中の全脂肪量の減少である。本発明の化合物を使用して作製した食品または飲料はコレステロールも低く、これらの食品の摂取によって血清コレステロールを減少させ、それによって心臓病のリスクを減少させることができる。
【0125】
例えば、肥満症、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、または高コレステロール血症患者の特別な食事のニーズを満たすために本発明の脂肪酸化合物ならびにそのブレンドおよびエステルを使用して、ダイエット食(dietary food)を作製することができる。本発明の化合物は、低脂肪食、低カロリー食、低コレステロール食の主要部分であることができ、これらを単独または薬物療法もしくは他の療法と組み合わせて使用することができる。1つまたは複数の上記利点を得るために脂肪材料のみまたは1つまたは複数の上記成分との組み合わせを含む1つまたは複数のこれらの製品に基づいて、全食事管理の一部として本発明の脂肪酸化合物と組み合わせた食品または飲料の組み合わせを使用することができる。
【0126】
本発明の脂肪酸化合物ならびにそのブレンドおよびエステルは、例えば、肛門漏出(anal leakage)、脂溶性ビタミンA、D、E、およびKの利用可能性の減少、下痢、軟便、ガス、および腹部痙攣などの公知のいくつかの脂肪代替物に由来すると理解されているいくつかの副作用を示さない。
【0127】
食品組成物に加えて、本発明の化合物を、潤滑剤、皮膚クリーム、および薬学的軟膏などでも使用することができる。
【0128】
上記に加えて、本発明の脂肪酸化合物は、種々の疾患または疾病について予防効果または治療効果を有し得る。例には、炎症、嚢胞性線維症、必須脂肪酸症候群、痴呆、新生物疾患、内分泌疾患、および神経変性疾患などが含まれるが、これらに限定されない。痴呆には、アルツハイマー病、パーキンソン病、シャルコー・マリー・ツース病、筋萎縮性側索硬化症、およびレヴィ小体痴呆などが含まれる。炎症には、関節炎など、肝炎など、炎症性腸疾患、大腸炎など、クローン病、および全身性エリマトーデス(SLE)などが含まれる。新生物疾患には、癌および腺癌、例えば、結腸癌、直腸癌を含む消化管癌、乳癌、卵巣癌、癌、子宮内膜癌、甲状腺癌、肺癌、白血病、リンパ腫、咽頭癌、子宮頸癌、前立腺癌、精巣癌、膀胱癌、腎臓癌、膵臓癌、骨髄腫、扁平上皮癌、脳腫瘍、および脂肪腫が含まれる。
【0129】
本発明のいくつかの組成物の調製およびその有用性を記載した以下の実施例を参照することによって本発明をさらに例示する。本発明の目的および利益を逸脱することなく材料および方法の両方に対する多数の修正形態を実施することができることが当業者に明らかである。
【0130】
上記説明は例示を目的とし、本発明の範囲を制限しないと理解すべきである。本発明の範囲内の他の態様、利点、および修正形態が本発明に属する当業者に明らかである。当業者に提供するために本発明の方法および生成物の作製および使用例と共に以下の実施例を記載し、本発明者らが本発明と見なす範囲を制限することを意図しない。
【0131】
本明細書中に引用した全ての刊行物および特許出願を、本願の刊行物または特許出願に抵触し得る場合(この場合、本願が勝つ)以外は、各刊行物または特許出願が参考として援用されるために詳細且つ個別に示されるかのように、本明細書中で参考として援用される。本明細書中に引用された方法を、論理的に可能な引用事象の任意の順序および引用された事象の順序で行うことができる。
【0132】
理解を深める目的のために上記発明を例示および実施例によっていくらか詳細に記載しているが、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の精神または範囲を逸脱することなく一定の変更形態および修正形態を得ることができることが当業者に容易に明らかである。さらに、説明するために、上記記載は、本発明が理解されるように特定の用語を使用した。しかし、本発明を実施するために詳細は特に必要ないことが当業者に明らかである。したがって、本発明の特定の実施形態の上記説明を例示および説明のために示し、これらは本発明を包括することや開示の形態に厳格に制限することを意図しない。上記教示を考慮して、多数の修正形態および変形形態が可能である。本発明およびその実際の適用の原理を説明し、それにより当業者が本発明を利用することができるように実施形態を選択して記載した。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1A】本発明で使用するための化合物の調製のための反応スキームの例を示す略図である。
【図1B】本発明で使用するための化合物の調製のための反応スキームの例を示す略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用脂を含む食品組成物の代謝カロリー含有量を減少または排除する方法において、前記食品組成物の食用脂の少なくとも一部を、β酸化由来の産生エネルギーが十分に低い脂肪酸であり、代謝的に低カロリーとなるかノンカロリーになる化合物またはその生理学的に許容可能なエステルもしくはその代謝前駆体と置換する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記化合物が6個から約30個までの炭素原子を有し、0から約10個の不飽和を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物が二重結合である少なくとも1つの不飽和を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物が多価アルコールのエステルである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記化合物が、式:
A−(代謝遮断薬)−CO
を有し、前記代謝遮断薬により、化合物のβ酸化由来の産生エネルギーが十分に低くなり、前記化合物は、代謝的に低カロリーとなるかノンカロリーとなり、Aは1個〜約30個の炭素原子のアルキル、1個〜約30個の炭素原子の置換アルキル、2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和を有するアルケン、2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和を有する置換アルケン、2個〜約30個の炭素原子を有するアルキン、または2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和を有する置換アルキンである、化合物またはその生理学的に許容可能なエステルもしくはその代謝前駆体である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記代謝遮断薬が、式:
−C(X)(D)−
を有し、Xは1個〜約10個の炭素原子のアルキルであり、Dは水素または1個〜約10個の炭素原子のアルキルであり、Dが水素である場合、前記代謝遮断薬は主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であり、Aは1個〜約30個の炭素原子のアルキル、1個〜約30個の炭素原子の置換アルキル、2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和を有するアルケン、または2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和を有する置換アルケンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記Xがメチルであり、前記Dが水素である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記Xがメチルであり、前記Dがメチルである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記代謝遮断薬が、式:
−(CH(CHCH(Y)(CH(CHCH(Y))(CH(CHCH(V)−
を有し、mは0〜3であり、VおよびYは独立して1個から約10個までの炭素原子を有するアルキルであり、
(i)V基を含む炭素原子が主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体である場合、Y基を含む炭素原子は独立して実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体または実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるか、Y基を含む1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよく(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、a、b、およびcは独立して1〜5の整数であるか、
(ii)V基を含む炭素原子が主にR光学異性体であるか実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体である場合、Y基を含む一方の炭素原子は主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であり、Y基を含む他方の炭素原子は独立して実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体または実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるかS光学異性体である炭素原子の後(上記式の右から左に関する)の1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよく(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、a、b、およびcは独立して1〜5の整数であり、S光学異性体である炭素原子の前のbまたはcは1または3の整数であるか、
(iii)V基を含む炭素原子が主にR光学異性体であるか実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体である場合、Y基を含む炭素原子は独立して主にR光学異性体であるか、実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体であり、少なくとも1つのa、b、およびcは1または3の整数であり、他は1〜5の整数であり、V基またはY基を含まない炭素原子を1つまたは複数の置換基で置換することができ、Aは1個〜約20個の炭素原子のアルキル、1個〜約20個の炭素原子の置換アルキル、2〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和を有するアルケン、または2〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和を有する置換アルケンである、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記Vがメチルであり、前記Yがメチルである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記Aが、C2n+1、C2n−1、C2n−3、およびC2n−5からなる群から選択され、nは4〜20であり、1個〜5個の炭素原子が任意選択的に置換されている、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が多価アルコールのエステルである、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物がトリグリセリドのエステルである、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
前記化合物が約1%〜約100%の前記食用脂を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記食品組成物がタンパク質、炭水化物、またはその両方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記化合物が、実質的にβ酸化が不可能な脂肪酸またはその生理学的に許容可能なエステルもしくはその代謝前駆体である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物が、脂肪酸を代謝的に低カロリーにするのに十分に低いβ酸化由来の産生エネルギーを有する脂肪酸またはその生理学的に許容可能なエステルもしくはその代謝前駆体である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物が、R,R,S−プリスタン酸、R,R,R−プリスタン酸、R,R,R−フィタン酸、R,R,S−フィタン酸、R,R,R−フィトール、およびR,R,S−フィトール、ならびにその生理学的に許容可能なエステルからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
有機酸化合物を代謝的に低カロリーまたはノンカロリーにする方法において、前記化合物に、前記有機酸化合物のカルボキシル基に対してαである炭素原子に1つまたは複数の置換基を導入する工程と、前記置換基によって前記有機酸化合物のβ酸化由来の産生エネルギーが十分に低くなり、前記化合物が代謝的に低カロリーまたはノンカロリーになることとを含む、方法。
【請求項20】
前記有機酸化合物が4個から約30個までの炭素原子および0個から約10個までの不飽和を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
1つの置換基を導入し、前記置換基が1個〜約10個の炭素原子のアルキルであり、前記脂肪酸化合物が主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
2つの置換基を導入し、前記置換基が独立して1個〜約10個の炭素原子のアルキルである、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記置換基がメチルである、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記脂肪酸化合物が、C2n+1COOH、C2n−1COOH、C2n−3COOH、およびC2n−5COOHからなる群から選択される式を有し、nは5〜20であり、1個〜5個の炭素原子が任意選択的に置換されている、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
式:
A’−(代謝遮断薬)−CO
の化合物であって、
前記代謝遮断薬により前記化合物のβ酸化が実質的に不可能になり、A’は約4個〜約30個の炭素原子のアルキル、1個〜約30個の炭素原子の置換アルキル、約4〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和を有するアルケン、約4〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和を有する置換アルケン、2個〜約30個の炭素原子を有するアルキン、または2個〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和を有する置換アルキンである、
化合物またはその生理学的に許容可能なエステルもしくはその代謝前駆体。
【請求項26】
前記代謝遮断薬が、式:
−C(X)(D)−
を有し、Xは1個〜約10個の炭素原子のアルキルであり、Dは水素または1個〜約10個の炭素原子のアルキルであり、Dが水素である場合、前記代謝遮断薬は主にS光学異性体であるか、実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であり、A’は約4個〜約20個の炭素原子のアルキル、約4個〜約20個の炭素原子の置換アルキル、約4〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和を有するアルケン、または約4〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和を有する置換アルケンである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
前記A’が、C2n+1、C2n−1、C2n−3、およびC2n−5からなる群から選択され、nは4〜20であり、1個〜5個の炭素原子が任意選択的に置換されている、請求項25に記載の化合物。
【請求項28】
トリグリセリドのエステルである、請求項25に記載の化合物。
【請求項29】
食用脂および請求項25に記載の化合物を含む食品組成物。
【請求項30】
無脂肪成分および少なくとも一部が請求項25に記載の化合物である脂肪成分を含む食品組成物。
【請求項31】
前記脂肪成分が約1%〜約100%の前記化合物を含む、請求項30に記載の食品組成物。
【請求項32】
前記無脂肪成分がタンパク質、炭水化物、またはその両方を含む、請求項30に記載の食品組成物。
【請求項33】
前記代謝遮断薬が、式:
−(CH(CHCH(Y)(CH(CHCH(Y))(CH(CHCH(V)−
を有し、mは0〜3であり、VおよびYは独立して1個から約10個までの炭素原子を有するアルキルであり、
(i)V基を含む炭素原子が主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体である場合、Y基を含む炭素原子は独立して実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体または実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるか、Y基を含む1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよく(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、a、b、およびcは独立して1〜5の整数であるか、
(ii)V基を含む炭素原子が主にR光学異性体であるか実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体である場合、Y基を含む一方の炭素原子は主にS光学異性体であるか実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であり、Y基を含む他方の炭素原子は独立して実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体または実質的にR光学異性体を含まないS光学異性体であるかS光学異性体である炭素原子の後(上記式の右から左に関する)の1つまたは複数の炭素原子はS光学異性体とR光学異性体との組み合わせであってよく(それにより、脂肪酸化合物がこのような炭素原子に関して全体または一部がラセミ体となる)、a、b、およびcは独立して1〜5の整数であり、S光学異性体である炭素原子の前のbまたはcは1または3の整数であるか、
(iii)V基を含む炭素原子が主にR光学異性体であるか実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体である場合、Y基を含む炭素原子は独立して主にR光学異性体であるか、実質的にS光学異性体を含まないR光学異性体であり、少なくとも1つのa、b、およびcは1または3の整数であり、他は1〜5の整数であり、V基またはY基を含まない炭素原子を1つまたは複数の置換基で置換することができ、A’は1個〜約20個の炭素原子のアルキル、1個〜約20個の炭素原子の置換アルキル、2〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和を有するアルケン、または2〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和を有する置換アルケンである、請求項25に記載の化合物。
【請求項34】
前記代謝遮断薬が、式:
−CHCHCH(Y)(CHCHCH(Y))CHCHCHCH(V)−
を有する、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
前記代謝遮断薬が、式:
−CHCHCH(Y)(CHCHCHCHCH(Y))CHCHCHCH(V)−
を有する、請求項33に記載の化合物。
【請求項36】
R,R,S−プリスタン酸、R,R,R−プリスタン酸、R,R,R−フィタン酸、R,R,S−フィタン酸、R,R,R−フィトール、およびR,R,S−フィトールからなる群から選択される化合物の生理学的に許容可能なエステルである、請求項33に記載の化合物。
【請求項37】
式:
A’’−C(X)(D)−CO
の化合物であって、
は1個〜約10個の炭素原子のアルキルであり、Dは1個〜約10個の炭素原子のアルキルであり、A’’は約4〜約30個の炭素原子のアルキル、4〜約30個の炭素原子の置換アルキル、約4〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和を有するアルケン、約4〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和を有する置換アルケン、4〜約30個の炭素原子を有するアルキン、または4〜約30個の炭素原子を有し、且つ1個〜約10個の不飽和を有する置換アルキンである、
化合物またはその生理学的に許容可能なエステルもしくはその代謝前駆体。
【請求項38】
前記A’’が約4〜約20個の炭素原子のアルキル、約4〜約20個の炭素原子の置換アルキル、約4〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和を有するアルケン、または約4〜約20個の炭素原子を有し、且つ1個〜約5個の不飽和を有する置換アルケンである、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
前記A’’がC2n+1、C2n−1、C2n−3、およびC2n−5からなる群から選択され、nは4〜20であり、1個〜5個の炭素原子が任意選択的に置換されている、請求項37に記載の化合物。
【請求項40】
前記化合物がトリグリセリドのエステルである、請求項37に記載の化合物。
【請求項41】
食用脂および請求項37に記載の化合物を含む食品組成物。
【請求項42】
無脂肪成分および少なくとも一部が請求項37に記載の化合物である脂肪成分を含む食品組成物。
【請求項43】
前記脂肪成分が約1%〜約100%の前記化合物を含む、請求項42に記載の食品組成物。
【請求項44】
前記無脂肪成分がタンパク質、炭水化物、またはその両方を含む、請求項43に記載の食品組成物。
【請求項45】
β酸化由来の産生エネルギーが十分に低い脂肪酸である化合物であって、前記化合物が代謝的に低カロリーまたはノンカロリーになる化合物の生理学的に許容可能なエステル。
【請求項46】
4個から約30個までの炭素原子および0個から約10個までの不飽和を有する、請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
二重結合である少なくとも1つの不飽和を有する、請求項45に記載の化合物。
【請求項48】
前記エステルが多価アルコールのエステルである、請求項45に記載の化合物。

【図1A】
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【図1B】
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【公表番号】特表2006−525228(P2006−525228A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501091(P2006−501091)
【出願日】平成16年1月21日(2004.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/001647
【国際公開番号】WO2004/064539
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(505129356)アンコール ファーマスーティカルズ インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】