説明

脂肪減少等の活性を示す組成物

【課題】 肥満を予防又は解消するため又は血糖値を低下させるために有効な組成物の提供。
【解決手段】 (1)担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類からの熱水抽出物を含有する組成物、(2)担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類からの熱水抽出物を分画分子量が30,000乃至10,000の範囲内のいずれかである分離膜で分離して得られる低分子画分を含有する組成物、又は(3)エルゴチオネイン、その薬理学的に許容される塩、又は加水分解によってエルゴチオネインとなる化合物を脂肪減少活性成分として含有する組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内臓脂肪や血中の中性脂肪を低下させる活性、インスリンの分泌を促進する活性及び血糖低下活性から成る群から選択される少なくとも一つの活性を示す、すなわちメタボリック・シンドロームや糖尿病の予防や治療に有効な、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコに由来する組成物及びエルゴチオネインを含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会においては、メタボリック・シンドローム患者が増加の一途をたどっている。メタボリック・シンドロームに罹患するリスクを上昇させる因子として、内臓脂肪の蓄積による肥満が着目されている。従って、バランスのよい食事の摂取や運動による肥満の予防が重要であるが、なかなか実現できない場合が多い。
【0003】
また、現代社会においては、食生活の変化、運動不足、ストレスの付加等に起因して、II型(インスリン非依存型)糖尿病患者及びその予備軍が増加の一途をたどっており、且つ、I型(インスリン依存型)糖尿病患者も、依然として減少していない。このような糖尿病患者に処方される薬としては、I型糖尿病患者やII型糖尿病で顕著な高血糖が認められる場合に使用されるインスリンの他に、スルフォニルウレア剤(SU薬)やフェニールアラニン誘導体等のインスリン分泌促進薬、α−グルコシダーゼ阻害剤(αGI薬)等のブドウ糖吸収阻害薬、ビグアナイド剤(BG薬)、チアゾリジン系誘導体(TZD薬)等のインスリン抵抗性改善薬等が知られている。
【0004】
このような状況下、キノコ類に由来する成分を含有する肥満防止に有効な組成物が、多数提案されている。そのような組成物に含有されている有効成分の代表例は、β−D−グルカンやキトサン、グリコプロテインといった高分子化合物である。一方、キノコに由来する成分であって、高分子化合物以外の成分を含有する肥満防止に有効な組成物も知られている。
【0005】
特許文献1には、キノコ類の一種であるキクラゲ類からの含水有機溶媒抽出物または有機溶媒抽出物を含有する脂肪蓄積抑制剤が開示されている。特許文献1には、この脂肪蓄積抑制剤の有効成分が何であるかが記載されていないが、脂溶性成分である旨の記載と、脂溶性であるために、抽出に含水有機溶媒を用いる場合には、水性成分の含有量が高くなると抽出効率が低下する旨が記載されている(段落番号[0021])。
【0006】
特許文献2には、ヒダナシタケ目タコウキン科に属するトンビマイタケ等のキノコまたはそのエキスを有効成分とする脂肪分解促進剤が開示されている。特許文献2には、エキスの抽出溶媒として、水、メタノール、エタノール等が例示されている(段落番号[0007])が、実施例で使用されている溶媒は70%メタノールのみである(段落番号[0010])。
【0007】
特許文献3には、キノコに由来する環状ペプチドが、抗肥満剤として有効である旨が記載されている。実施例では、カワラタケから有効成分の抽出を行っている。その抽出プロセスが記載された図1によると、初めに乾燥カワラタケから含水エタノールで抽出を行い、次いで、その抽出液を酢酸エチル/水での分配に供している。図1によると、この分配後の水層は、脂肪蓄積阻害活性を示さなかった。従って、特許文献3に開示された環状ペプチドも、脂溶性成分であるといえる。
【0008】
特許文献4には、エリンギ又はハナビラタケについて、乾燥、熱気体を用いた修治処理及び粉末化の工程を経て製造された粉末を、高脂肪食で飼育しているラットに水とともに与えたところ、脂肪分解作用の増強が認められた旨が記載されている(試験例6)。また、前記粉末からの熱水抽出画分には、オリゴ糖類、各種配糖体、蛋白質及び水溶性多糖類が含まれていると予想された旨も記載されている(段落番号[0033])。しかし、特許文献4には、脂肪分解作用を増強させる成分が何であるかは記載されていない。
【0009】
特許文献5には、海藻の抽出物および薬草木の抽出物に、更に、マンネンタケやアガリクス茸等の茸の抽出物を加えた、血液の中性脂肪量の抑制作用を有する組成物が開示されている(請求項2)。その実施例では、有効成分の抽出に熱水を使用している(段落番号[0020])。しかし、特許文献5には、茸のみからの熱水抽出物が、血液の中性脂肪量の抑制作用を示すことは記載されていない。
【0010】
また、多くのキノコ類に含有されている生理活性物質の一つとして、エルゴチオネインが挙げられる。特許文献6の請求項7には、「細胞中のサーチュインの活性及び/又はたんぱく質レベルを増す作用薬を治療上有効量、それを必要とする対象に投与するステップを含む、対象の体重を減らす、あるいは対象の体重増加を防止する、方法。」が記載されており、前記作用薬の一例として、エルゴチオネインが挙げられている。また、特許文献7の請求項17には、「高脂肪食を消費し、処置を必要とする被検体において肥満を処置する方法であって、一定量のサーチュイン活性化化合物を該被検体に投与することを含む、方法。」が記載されており、サーチュイン活性化化合物の一例として、エルゴチオネインが挙げられている。さらに、特許文献8にもサーチュイン活性化化合物の利用に係る発明が開示されており、サーチュイン活性化化合物の一例として、エルゴチオネインが挙げられている。しかし、特許文献8において、「必要のある対象において対象の体重を減らす、あるいは患者の体重増加を防止する医薬品を調剤するための特定の化合物の使用。」に係る発明(請求項5)における特定の化合物には、エルゴチオネインは包含されていない。また、特許文献6乃至8のいずれにおいても、エルゴチオネインが肥満の予防や治療に有効であることは実証されていない。
【0011】
一方、キノコ類は種々の成分を含有しており、キノコそのものやキノコからの抽出物が、血糖低下に有効である旨が記載された文献も多々ある。そのような文献中、キノコの摂取による血中又は膵臓インスリン量の変化に言及しているものとして、特許文献9乃至13が挙げられる。
【0012】
特許文献9には、マイタケの菌糸体又は子実体からの抽出物や、マイタケの菌糸体又は子実体にビタミンを混入してなる組成物が、I型及びII型糖尿病に対して改善効果を示す旨が記載されている。その実施例には、II型糖尿病モデルマウス(KK−Aマウス)に上記の抽出物や組成物を経口投与したところ、無処理群(非投与群)と比べて血中インスリン量及び血中トリグリセライド量が低下した旨が記載されている(段落番号[0030]乃至[0036])。
【0013】
特許文献10には、マイタケやチョレイマイタケに由来するプロテオグルカンが、インスリン非依存型(II型)糖尿病の改善に有効である旨が記載されている。その実施例には、自然発症糖尿病マウスKK−Aを使用した実験で、プロテオグルカン混入試料を与えた検体飼料群の方が、対照飼料群よりも血中インスリン濃度が低かった旨が記載されている(段落番号[0043])。
【0014】
特許文献11には、ヤマブシタケの乾燥粉末やヤマブシタケからの熱水抽出物が、糖尿病の予防及び改善に有効である旨が記載されている。その実施例には、II型糖尿病モデル動物であるGOTO−KAKIZAKIラット(GKラット)において、ヤマブシタケからの熱水抽出物を摂取した群では、無投与群と比較して、膵インスリン値の上昇が認められた旨が記載されている(段落番号[0026])。
【0015】
特許文献12には、マツタケ又はその抽出物が、インスリン分泌促進作用、血糖値上昇抑制効果等を奏する旨が記載されている。その実施例には、対照ラットでは、基本食群も実験食(マツタケ菌糸体の乾燥粉末添加飼料)群も、食後30分で血漿インスリン値がピークに達し、その後穏やかに低下した。一方、II型糖尿病モデル動物である新生児期ストレプトゾトシン(STZ)処理ラット(nSTZラット)では、実験食群の血漿インスリン値の変動は対照ラットとほぼ同様であったが、基本食群は、食後30分乃至120分におけるインスリン値が有意に低かった旨が記載されている(段落番号[0176]乃至[0181])。
【0016】
特許文献13には、ハナビラタケ由来の活性物質が、インスリン分泌促進活性を有する旨が記載されている。その実施例2には、ICRマウスを用いた経口糖負荷試験において、キノコ乾燥粉末の経口投与後に糖負荷を行い、その後血中インスリン濃度を測定したところ、ハナビラタケ乾燥粉末又はマイタケ乾燥粉末を投与した群で、対照群(キノコ乾燥粉末不投与)と比較してインスリン濃度が増加していた旨が記載されている(段落番号[0029]乃至[0030])。また、KK−Ay糖尿病発症マウスやWistarラットを用いた糖負荷試験でも、ハナビラタケ乾燥粉末を投与した群で、対照群(キノコ乾燥粉末不投与)と比較して特に糖負荷30分後のインスリン濃度が大きく増加していた旨が記載されている(実施例4及び5)。
【0017】
以上のように、キノコ類には、血中インスリン量を低下させるものと増加させるものがある。また、マイタケに関しては、特許文献9及び10には、インスリン濃度を低下させる旨が記載されており、一方、特許文献13には、インスリン濃度を上昇させる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2007−269739
【特許文献2】特開2000−26308
【特許文献3】特開2005−220074
【特許文献4】特開2007−269641
【特許文献5】特開2006−36681
【特許文献6】特表2007−527418
【特許文献7】特表2007−500357
【特許文献8】特表2009−500331
【特許文献9】特開平6−312936
【特許文献10】特開平10−182702
【特許文献11】特開2005−179302
【特許文献12】特開2005−225801
【特許文献13】特開2008−230991
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明者らは、肥満を予防するための方策を無理なく実施するには、安全で肥満予防に有効な成分の摂取が確実でよい方法であると考えた。そこで、本発明者等は、肥満予防に有効な成分を含む食物の探索を行うこととした。そのような探索に当たり、種々の有用成分を含有することが知られている食用キノコ類に着目した。そして、そのような食用キノコ類の中で、担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類に的を絞り、そのようなキノコ類が肥満予防に有効な成分を含有するか否かを研究することとした。
【0020】
また、抽出溶媒については、動物がそのまま摂取しても害がないものが好ましいので、先ず、水(より具体的には熱水)の使用を試みることとした。そして、上記キノコからの熱水抽出物が、脂肪減少活性を示すか否かを検証することとした。さらに、上記キノコからの熱水抽出物にエルゴチオネインが含有されているか否かを検証するとともに、エルゴチオネインが肥満予防に有効であるか否かも検証することとした。
【0021】
上記の研究の過程において、本発明者らは、上記キノコからの熱水抽出物が、脂肪減少活性以外の有用な活性をも示す可能性があると考えた。そして、肥満同様、現代社会において患者が増加の一途をたどっている糖尿病に着目し、上記キノコからの熱水抽出物が、糖尿病の予防や治療に有効であるか否かも検証することとした。そして、上記キノコからの熱水抽出物が糖尿病の治療に有効であることが明らかとなったので、当該熱水抽出物に含有されている成分が、どのような作用機序で糖尿病の治療に有用であるかも研究した。
【0022】
従って、本発明の目的は、担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類に由来する、脂肪減少活性、インスリン分泌促進活性及び血糖低下活性から成る群から選択される少なくとも一つの活性を示す組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、エルゴチオネイン、その薬理学的に許容される塩、又は加水分解によってエルゴチオネインとなる化合物を活性成分として含有する、脂肪減少活性、インスリン分泌促進活性及び血糖低下活性から成る群から選択される少なくとも一つの活性を示す組成物を提供することにある。
【0023】
さらに、本発明の目的は、上記組成物の調製方法を提供することにある。そして、本発明の目的は、上記組成物を使用する、脂肪を減少させる、インスリン作用を増強する又は血糖値を低下させる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明者等は、担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類の一種であるアンニンコウ(学名:Grifola gargal)に脂肪減少活性を示す成分が含有されているか否かについて研究を行い、その後、アンニンコウに由来する成分がインスリン分泌促進や血糖低下活性をも示すか否かについても研究を行い、その結果として、本願発明を完成させた。
【0025】
即ち、本発明は、担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類からの熱水抽出物を含有することを特徴とする脂肪減少活性、インスリン分泌促進活性及び血糖低下活性から成る群から選択される少なくとも一つの活性を示す組成物(以下、「第一の組成物」ということがある)に関する。また、本発明は、前記熱水抽出物を分画分子量が30,000乃至10,000の範囲内のいずれかである分離膜で分離して得られる低分子画分を含有することを特徴とする、脂肪減少活性、インスリン分泌促進活性及び血糖低下活性から成る群から選択される少なくとも一つの活性を示す組成物(以下、「第二の組成物」ということがある)に関する。
【0026】
担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類が、和名がアンニンコウである学名グリフォラ・ガルガル(Grifola gargal)であることが好ましい。
【0027】
また、本発明は、エルゴチオネイン、その薬理学的に許容される塩、又は加水分解によってエルゴチオネインとなる化合物を活性成分として含有することを特徴とする、脂肪減少活性、インスリン分泌促進活性及び血糖低下活性から成る群から選択される少なくとも一つの活性を示す組成物(以下、「第三の組成物」ということがある)に関する。
【0028】
本発明は、担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコの乾燥粉末から、熱水にて抽出する工程(1)、工程(1)で得られた混合物から上澄液を分離する工程(2)、及び前記上澄液を濃縮する工程(3)を含む、脂肪減少活性、インスリン分泌促進活性及び血糖低下活性から成る群から選択される少なくとも一つの活性を示す組成物の調製方法(以下、「第一の調製方法」ということがある)に関する。
【0029】
本発明は、担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコの乾燥粉末から、熱水にて抽出する工程(I)、工程(I)で得られた混合物から上澄液を分離する工程(II)、及び前記上澄み液中の成分を分画分子量が30,000乃至10,000の範囲内のいずれかである分離膜で分画し、低分子画分を得る工程(III)を含む、脂肪減少活性、インスリン分泌促進活性及び血糖低下活性から成る群から選択される少なくとも一つの活性を示す組成物の調製方法(以下、「第二の調製方法」ということがある)に関する。
【0030】
また、本発明は、脂肪を減少させる、インスリン作用を増強する又は血糖値を低下させる方法であって、担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類からの熱水抽出物を、薬理的に有効な量で投与することを含む方法(以下、「第一の投与方法」ということがある)に関する。
【0031】
さらに、本発明は、脂肪を減少させる、インスリン作用を増強する又は血糖値を低下させる方法であって、担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類からの熱水抽出物を分画分子量が30,000乃至10,000の範囲内のいずれかである分離膜で分離して得られる低分子画分を、薬理的に有効な量で投与することを含む方法(以下、「第二の投与方法」ということがある)に関する。
【発明の効果】
【0032】
本発明により、内臓脂肪や血中の中性脂肪の減少に有効な組成物及びその調製方法が提供される。また、本発明により、インスリン分泌促進活性又は血糖低下活性を有する組成物及びその調製方法が提供される。さらに、本発明により、脂肪を減少させる方法、インスリン作用を増強する方法、及び血糖値を低下させる方法が提供される。本発明の組成物は、メタボリック・シンドロームの予防・治療剤として、また糖尿病の予防・治療剤として有用である。前記血糖低下活性の少なくとも一部は、前記組成物が示す細胞への糖(グルコース)の取込みを上昇させる活性に起因すると考えられる。したがって、本発明の組成物は、細胞のグルコース取込み能促進剤としても有用である。
【0033】
本発明の組成物は、メタボリック・シンドロームの予防や治療に、また糖尿病の予防や治療に有用である。本発明の組成物は、その原材料又は由来が食物であるので、安全性が非常に高く、また、副作用は生起されないことが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】マウスの対照群及び低投与群の解剖時における体重を示す。
【図2】マウスの対照群及び高投与群の解剖時における体重を示す。
【図3】マウスの対照群及び低投与群の解剖時における肝臓重量を示す。
【図4】マウスの対照群及び高投与群の解剖時における肝臓重量を示す。
【図5】マウスの対照群及び低投与群の解剖時における脾臓重量を示す。
【図6】マウスの対照群及び高投与群の解剖時における脾臓重量を示す。
【図7】マウスの対照群及び低投与群の解剖時における精巣周囲脂肪重量を示す。
【図8】マウスの対照群及び高投与群の解剖時における精巣周囲脂肪重量を示す。
【図9】マウスの対照群及び低高投与群の解剖時における血漿中のトリグリセライドの量を示す。
【図10】マウスの対照群、子実体添加飼料群及び低分子画分添加飼料群の解剖時における体重を示す。
【図11】マウスの対照群、子実体添加飼料群及び低分子画分添加飼料群の解剖時における肝臓重量を示す。
【図12】マウスの対照群、子実体添加飼料群及び低分子画分添加飼料群の解剖時における脾臓重量を示す。
【図13】マウスの対照群、子実体添加飼料群及び低分子画分添加飼料群の解剖時における精巣周囲脂肪重量を示す。
【図14】マウスの対照群、子実体添加飼料群及び低分子画分添加飼料群の解剖時における血漿中のトリグリセライドの量を示す。
【図15】正常マウスの対照群(「通常食」と記載、以下同様)及び低分子画分添加飼料群(「試料添加食」と記載、以下同様)の飼料摂取量を示す。
【図16】肥満マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の飼料摂取量を示す。
【図17】正常マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の飲水量を示す。
【図18】肥満マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の飲水量を示す。
【図19】正常マウス及び肥満マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の血糖値を示す。
【図20】正常マウス及び肥満マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の絶食前後における血糖値を示す。
【図21】正常マウス及び肥満マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の解剖時における体重を示す。
【図22】正常マウス及び肥満マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の解剖時における肝臓重量を示す。
【図23】正常マウス及び肥満マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の解剖時における脾臓重量を示す。
【図24】正常マウス及び肥満マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の解剖時における精巣周囲脂肪重量を示す。
【図25】正常マウス及び肥満マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の解剖時における赤血球(RBC)数を示す。
【図26】正常マウス及び肥満マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の解剖時におけるヘモグロビン(HGB)濃度を示す。
【図27】正常マウス及び肥満マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の解剖時におけるヘマトクリット(HCT)値を示す。
【図28】正常マウス及び肥満マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の解剖時における赤血球容積(MCV)を示す。
【図29】正常マウス及び肥満マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の解剖時における白血球(WBC)数を示す。
【図30】正常マウス及び肥満マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の解剖時における血小板(PLT)数を示す。
【図31】正常マウス及び肥満マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の解剖時における血漿中の総タンパク(TP)量を示す。
【図32】正常マウス及び肥満マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の解剖時における血漿中のアルブミン/グロブリン(A/G)比を示す。
【図33】正常マウス及び肥満マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の解剖時における血漿中の総コレステロール(T−Cho.)値を示す。
【図34】正常マウス及び肥満マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の解剖時における血漿中のトリグリセライド(TG)の量を示す。
【図35】正常マウス及び肥満マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の解剖時における血漿のレプチン濃度を示す。
【図36】正常マウス及び肥満マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の解剖時における血漿のアディポネクチン濃度を示す。
【図37】正常マウス及び肥満マウスの対照群及び低分子画分添加飼料群の解剖時における血漿のインスリン濃度を示す。
【図38】糖(グルコース)取込み活性の測定結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明に係る第一の組成物は、担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類からの熱水抽出物を含有し、脂肪減少活性、インスリン分泌促進活性及び血糖低下活性から成る群から選択される少なくとも一つの活性を示す組成物である。
【0036】
キノコは、担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属し、当該キノコからの熱水抽出物が脂肪減少活性、インスリン分泌促進活性及び血糖低下活性から成る群から選択される少なくとも一つの活性を示す成分を含有するものである限り、特に限定されない。
【0037】
担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類の例を挙げると、和名がアンニンコウであるグリフォラ・ガルガル(学名:Grifola gargal)、グリフォラ・ソルドゥレンタ(学名:Grifola sordulenta)、マイタケ(学名:Grifola frondosa)等がある。前二者は、アルゼンチンやチリ、特にチリのパタゴニア地方に生育するキノコである。アンニンコウの人工栽培方法は、例えば特開2007−20560号公報に開示されている。また、マイタケは、我が国において広く人工栽培されている。
【0038】
担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類の中では、アンニンコウが最も好ましい。本発明の組成物にインスリン分泌促進活性及び/又は血糖低下活性を期待する場合は特に、アンニンコウが好ましい。また、上記キノコは、菌糸体でも子実体でもよいが、子実体の方が好ましい。
【0039】
上記キノコ類からの「熱水抽出物」とは、熱水抽出物そのものに限定されない。例えば、熱水抽出物の濃縮液や熱水抽出物の凍結乾燥品といった、上記キノコ類からの熱水抽出物に、脂肪減少活性、インスリン分泌促進活性又は血糖低下活性が大きく損なわれることがないように処理を加えたもの、即ち、上記キノコ類からの「熱水抽出物に由来するもの」も、「熱水抽出物」の概念に包含される。
【0040】
上記キノコ類から「熱水抽出物」を調製する方法は、その第一段階が熱水抽出であること以外は特に限定されない。好ましい方法は、第一の調製方法として後記する。
【0041】
本発明に係る第二の組成物は、担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類からの熱水抽出物を、分画分子量が30,000乃至10,000の範囲内のいずれかである分離膜で分離して得られる低分子画分を含有し、脂肪減少活性、インスリン分泌促進活性及び血糖低下活性から成る群から選択される少なくとも一つの活性を示す組成物である。
【0042】
「低分子画分」とは、熱水抽出物を、例えば限外ろ過膜で、ある分子量を境として分画した場合に、膜を透過した画分をいう。「低分子画分」は、膜を透過した画分そのものに限定されない。例えば、低分子画分の濃縮液や低分子画分の凍結乾燥品といった、上記低分子画分に脂肪減少活性、インスリン分泌促進活性又は血糖低下活性が大きく損なわれることがないように処理を加えたもの、即ち「低分子画分に由来するもの」も、「低分子画分」の概念に包含される。
【0043】
本発明における「低分子画分」には、上記キノコ類からの熱水抽出物に含有されている成分の中、分画分子量が30,000乃至10,000の範囲内のいずれかである分離膜を透過した成分が含有されている。分画分子量は、20,000乃至10,000の範囲内のいずれかであることが好ましく、13,000乃至10,000の範囲内のいずれかであることがさらに好ましく、13,000であることが特に好ましい。
【0044】
本発明に係る第三の組成物は、エルゴチオネイン、その薬理学的に許容される塩、又は加水分解によってエルゴチオネインとなる化合物を抗炎症活性成分として含有する。ここで、エルゴチオネインは、次の[化1]に記載された式によって表される。
【0045】
【化1】

【0046】
「薬理学的に許容される塩」とは、例えば、前記の[化1]に記載された式において、水酸基の水素が、ナトリウム、カリウム、カルシウム等で置換されてアルカリ又はアルカリ土類金属塩となっているものやアンモニウム基で置換されてアンモニウム塩となっているものや、水酸基の水素やイミノ基の水素に、塩酸、硫酸等の無機酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸、グリシン等のアミノ酸が付加した付加塩、水が付加した水和物等をいう。しかし、これらに限定されず、薬理学的に許容されるものであれば、いずれであってもよい。
【0047】
「加水分解によってエルゴチオネインとなるとなる化合物」とは、例えば、前記の[化1]に記載された式中の水酸基が、保護基で保護されている、換言すれば、当該水酸基中の水素原子が、何らかの基によって置換されており、加水分解されると水酸基となる化合物をいう。このような「保護基で保護されている水酸基」の例としては、メトキシメチルエーテル基、テトラヒドロピラニルエーテル基、ターシャリーブチルエーテル基、アリルエーテル基、安息香酸エステル基、アセテート基(アセチルオキシ基)、ホルメート基、クロトネート基、p−フェニル安息香酸エステル基、トリメチルアセチルオキシ基、ターシャリーブチルジメチルシリルオキシ基、ターシャリーブチルジフェニルシリルオキシ基、トリチルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0048】
本発明において、「エルゴチオネイン、その薬理学的に許容される塩、又は加水分解によってエルゴチオネインとなる化合物を活性成分として含有する」とは、本発明の第三の組成物が示す脂肪減少活性、インスリン分泌促進活性及び血糖低下活性から成る群から選択される少なくとも一つの活性に関し、少なくともその活性の一部がエルゴチオネインによって示されるような量で、好ましくは主としてエルゴチオネインによって示されるような量で、エルゴチオネイン、その薬理学的に許容される塩、又は加水分解によってエルゴチオネインとなる化合物が、組成物中に含有されていることをいう。
【0049】
エルゴチオネインは、例えば、ヒスチジンをヘルシニン(hercynine)に変換し、これにシステインを反応させることで合成することができる。エルゴチオネイン等は、天然物から抽出することもできる。エルゴチオネイン等の抽出に使用する天然物は、エルゴチオネインを含有し、エルゴチオネインの抽出の際に同時に毒物が抽出されないものであれば、特に限定されない。エルゴチオネイン等の抽出に適する天然物の例として、食用キノコが挙げられる。また、食用キノコの具体例としては、先に本発明の第一の組成物に関する説明において記載した担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコが挙げられる。
【0050】
本発明の組成物が脂肪減少活性を示す組成物である場合、脂肪減少活性の有無の具体的指標としては、例えば、内臓脂肪の減少の有無や、血中の中性脂肪(トリグリセライド)の減少の有無が挙げられる。そのような脂肪の減少が生じる原理や作用機序は、特に限定されない。
【0051】
本発明の組成物がインスリン分泌促進活性を示す組成物である場合、インスリン分泌促進活性があることは、例えば、血漿のインスリン濃度を測定することで検出することができる。インスリン分泌促進活性が発現される原理や作用機序は、特に限定されない。また、本発明の組成物が血糖低下活性を示す組成物である場合、血糖低下活性があることは、空腹時血糖や、糖負荷後の血糖値の上昇及び下降パターンの測定によって検出することが出来る。血糖低下活性が発現される原理や作用機序は、特に限定されない。しかし、血糖低下活性の少なくとも一部は、本発明の組成物が示す、細胞の糖(グルコース)取込み能を上昇させる活性によって発現されると考えられる。
【0052】
本発明の組成物は、第一の組成物の場合には上記した熱水抽出物を、第二の組成物の場合には上記した低分子画分を、第三の組成物の場合にはエルゴチオネイン、その薬理学的に許容される塩、又は加水分解によってエルゴチオネインとなる化合物を、必須成分として含有する。その他の成分は含有してもしなくてもよい。その他の成分は、目的とする活性を阻害しないものである限り、特に限定されない。
【0053】
本発明に係る組成物は、経口投与を目的として、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の剤型で、また、非経口投与を目的として、例えば注射剤、吸入剤、座剤、経皮吸収剤等の剤型で提供され得る。従って、このような分野で前記剤型とするために一般的に使用されている添加剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、溶剤等が、その他の成分として使用され得る。また、上記必須成分と相乗又は相加効果を示す他の化合物も、その他の成分として使用され得る。
【0054】
本発明の組成物は、上記必須成分を主成分とするものであることが好ましい。ここで、「主成分とする」とは、当該組成物が示す目的とする活性(たとえば脂肪減少活性)の30%以上、好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上が、上記必須成分によって発現されることをいう。
【0055】
本発明第一の組成物の摂取量は、特に限定されないが、成人1日当たり、熱水抽出物のの凍結乾燥粉末の量に換算して、0.3乃至2g/kg−体重程度であることが好ましく、0.5乃至1.2g/kg−体重程度であることがさらに好ましい。本発明第二の組成物の摂取量は、特に限定されないが、成人1日当たり、低分子画分の凍結乾燥粉末の量に換算して、0.25乃至1.80g/kg−体重程度であることが好ましく、0.40乃至1.10g/kg−体重程度であることがさらに好ましい。また、本発明第三の組成物の摂取量は、特に限定されないが、成人1日当たり、エルゴチオネインの量に換算して、2乃至16mg/kg−体重であることが好ましく、2乃至8mg/kg−体重であることがさらに好ましい。
【0056】
本発明は、脂肪減少活性、インスリン分泌促進活性及び血糖低下活性から成る群から選択される少なくとも一つの活性を示す組成物の調製方法にも関する。その第一の方法は、キノコの乾燥粉末から、熱水にて抽出する工程(1)、工程(1)で得られた混合物から上澄液を分離する工程(2)、及び前記上澄液を濃縮する工程(3)を含む。この方法で使用する原料は、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコの子実体又は菌糸体の乾燥粉末である。キノコの乾燥方法は、例えば、キノコに、40乃至50℃(好ましくは45℃前後)の温風を一昼夜あて、その後60乃至80℃(好ましくは70℃前後)の温風を、例えば約1時間あてるというものである。粉末化は、例えば、乾燥後のキノコをミキサーで粉砕することによって行う。
【0057】
本発明の方法では、抽出溶媒として熱水を使用する。熱水とは、約80乃至100℃の、好ましくは約90乃至100℃の水である。熱水抽出は、例えば、キノコの乾燥粉末を熱水に入れ、温度を保ちながら、キノコと熱水との混合物を攪拌することによって行う(工程(1))。
【0058】
抽出、即ち工程(1)が終了したら、工程(1)で得られた混合物から上澄液を分離する(工程(2))。この工程は、好ましくは遠心分離によってキノコの乾燥粉末を沈澱させた後に行う。また、この工程は、工程(1)で得られた混合物を篩を通過させることによって、キノコの乾燥粉末を分離・除去することによって行ってもよい。
【0059】
工程(1)及び(2)は、1回でもよいが、通常は工程(2)の後に残留したキノコに新たな熱水を加え、さらに、攪拌抽出(工程(1))及び上澄液の分離(工程(2))を行う。工程(1)及び(2)は、例えば工程(1)における攪拌時間が30分間程度であれば、好ましくは2乃至5回程度、特に好ましくは3又は4回行う。
【0060】
工程(2)で得られた上澄液中の有効成分濃度は低いので、工程(3)にて、上澄液を濃縮する。濃縮は、有効成分、例えばエルゴチオネインが分解されない条件で行う限り、その方法は限定されない。
【0061】
濃縮工程(3)の後に、凍結又は噴霧乾燥工程(工程(4))も実施することが好ましい。なお、凍結又は噴霧乾燥は、この分野で通常行われている条件及び方法で行えばよい。
【0062】
工程(3)で得られた濃縮物を、例えば逆相高速液体クロマトグラフィ(逆相HPLC)で分画する工程(5)を実施することも好ましい。これにより、有効成分濃度が高められ得る。さらに、工程(5)で得られた目的とする活性を示す画分を、工程(3)と同様に濃縮する工程(6)、及び/又は、工程(4)と同様に凍結又は噴霧乾燥する工程(7)を実施することも好ましい。
【0063】
本発明の脂肪減少活性、インスリン分泌促進活性及び血糖低下活性から成る群から選択される少なくとも一つの活性を示す組成物の調製方法であって、その第二の方法は、キノコの乾燥粉末から、熱水にて抽出する工程(I)、工程(I)で得られた混合物から上澄液を分離する工程(II)、及び前記上澄み液中の成分を分画分子量が30,000乃至10,000の範囲内のいずれかである分離膜で分画し、低分子画分を得る工程(III)を含む。
【0064】
第二の方法の工程(I)及び(II)は、ぞれぞれ、第一の方法の工程(1)及び(2)と同様である。工程(III)では、工程(II)で得られた上澄液に含まれる成分を、分画分子量が30,000乃至10,000の範囲内のいずれかである分離膜で分画し、低分子画分を得る。分画分子量は、20,000乃至10,000の範囲内のいずれかであることが好ましく、13,000乃至10,000の範囲内のいずれかであることがさらに好ましく、13,000であることが特に好ましい。上澄液に含まれる成分を分離膜で分画するに際し、上澄液は、そのまま使用してもよいし、ある程度濃縮した後に使用してもよいし、あるいは、上澄液を一旦凍結乾燥や噴霧乾燥等の方法で粉末化し、その粉末を水に溶解させて得られる水溶液を使用してもよい。
【0065】
分画工程(III)の後に、濃縮する工程(IV)、及び/又は、凍結又は噴霧乾燥する工程(V)を実施することも好ましい。なお、濃縮や、凍結又は噴霧乾燥は、この分野で通常行われている条件及び方法で行えばよい。
【0066】
本発明は、脂肪を減少させる、インスリン作用を増強する又は血糖値を低下させる方法にも関する。第一の投与方法は、担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類からの熱水抽出物を、薬理的に有効な量で投与することを含む方法である。また、第二の投与方法は、担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類からの熱水抽出物を分画分子量が30,000乃至10,000の範囲内のいずれかである分離膜で分離して得られる低分子画分を、薬理的に有効な量で投与することを含む方法である。上記キノコとして、アンニンコウが特に好ましい。
【0067】
上記本発明の投与方法の実施に際しては、上記した熱水抽出物(第一の投与方法の場合)又は低分子画分(第二の投与方法の場合)を、そのままで又はこのような分野で通常使用されている添加剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、溶剤等と共に、脂肪の減少、インスリン作用の増強又は血糖値の低下を企図している対象(ヒトやほ乳類)に、有効量で投与する。「有効量」とは、投与の目的が達成されるような量、具体的には、脂肪が減少するような量、インスリン作用が増強される量、又は血糖値が低下するような量である。
【0068】
投与方法は、特に限定されない。経口投与であっても、非経口投与であってもよい。また、投与時の剤型も特に限定されない。投与方法に応じ、適切な剤型が選択される
【実施例】
【0069】
以下に、実施例により、本発明を具体的に説明する。
【0070】
(実施例1)アンニンコウからの有効成分の熱水抽出(その1)
(1)キノコの乾燥粉末の調製
アンニンコウ(株式会社岩出菌学研究所にて人工栽培したもの)の子実体に、45℃の温風を一昼夜あて、その後70℃の温風を1時間あてた。得られたアンニンコウ子実体乾燥品をミキサーに入れ、約1分間粉砕し、粉末とした。
【0071】
(2)熱水抽出及び限外ろ過膜による分画
アンニンコウ子実体の乾燥粉末10gを200mlの熱水(約90℃)と混ぜ、得られたキノコ/熱水混合物を、30分間、緩やかに攪拌した。キノコ/熱水混合物を遠心分離に掛け(10,000rpm、10分間)、上澄みと沈澱とに分けた。
【0072】
沈澱を200mlの熱水(約90℃)と混ぜ、得られたキノコ/熱水混合物を、30分間、緩やかに攪拌した。キノコ/熱水混合物を遠心分離に掛け(10,000rpm、10分間)、上澄みと沈澱とに分けた。この工程をさらに2回行った。
【0073】
全ての上澄液を合わせ、その一部を取り、減圧条件下で濃縮し、次いで凍結乾燥を行った。残りの上澄液は、旭化成ケミカルズ株式会社製の限外ろ過膜(旭化成UFモジュールマイクローザRACP;分画分子量:13,000)でろ過を行い、低分子画分を得た。これを、減圧条件下で約100ml以下となるまで濃縮し、次いで、凍結乾燥を行った。
【0074】
原料として使用したアンニンコウ子実体乾燥粉末の重量に対する、凍結乾燥後の熱水抽出物重量の割合は約45%であり、低分子画分重量の割合は約40%程度であった。
【0075】
(実施例2)アンニンコウからの熱水抽出物中におけるエルゴチオネインの存在の確認とその定量
(1)試料の調製
実施例1と同様の方法で、アンニンコウ(株式会社岩出菌学研究所にて人工栽培したもの)の子実体の乾燥粉末から、熱水抽出によって上澄液を得た。全ての上澄液を合わせ、減圧条件下で濃縮し、次いで100mlにメス・アップした。
【0076】
(2)エルゴチオネインの有無の検討
熱水抽出物(100mlにメス・アップしたもの)と、それにエルゴチオネイン標品(Sigma社より購入)を添加したものとを、それぞれSep Pak(C18)(ウォーターズ社製)にて前処理した後、HPLCにかけた。HPLCの条件は、次の通りであった。
【0077】
(HPLC条件)
カラム: ODS−HG−5 C18(4.6mmφ×250mm)(野村化学株式会社製)、2本をタンデムに接続した。
溶離液: HO/0.1%トリエチルアミン(TEA)
流速: 0.8ml/分
エルゴチオネイン含有画分の特定のための指標: 260nmにおける吸光度
【0078】
熱水抽出物も、それにエルゴチオネイン標品を添加したものも、保持時間約9分のところに吸収があった。よって、熱水抽出物にはエルゴチオネインが含有されていることが明らかとなった。
【0079】
(3)エルゴチオネインの定量
エルゴチオネイン標品の水溶液(複数)を調製し、それらの260nmにおける吸光度を測定し、検量線を作成した。(2)で分画したエルゴチオネイン含有画分(エルゴチオネイン標品を添加していない熱水抽出物に由来するもの)すべてを合わせ、260nmにおける吸光度を測定し、検量線からエルゴチオネイン濃度を決定した。その濃度にエルゴチオネイン含有画分の容量を掛け、全エルゴチオネイン量を算出し、それを使用したアンニンコウ子実体乾燥粉末の重量で割って、アンニンコウ子実体乾燥粉末1g当たりのエルゴチオネインの重量を算出した。アンニンコウ子実体乾燥粉末1g当たりのエルゴチオネイン含有量は、約2.0mgであった。
【0080】
(実施例3)熱水抽出物及び低分子画分の内臓脂肪減少活性及び中性脂肪減少活性の測定(その1)
正常マウス(ICR雄)に、実施例1で調製した熱水抽出物の凍結乾燥品及び低分子画分の凍結乾燥品の、直接経口投与(胃ゾンデによる各成分の強制投与)を実施した。また、エルゴチオネインについても、同様に、直接経口投与を実施した。投与開始2週間後にマウスを解剖し、体重、精巣周囲脂肪重量及び血液中の中性脂肪(トリグリセライド)を測定した。
【0081】
(1)使用動物
ICR系マウス(slc:6週齢、雄、日本SLCより購入)を使用した。1週間の予備飼育後に、7週齢で実験に使用した。各群5匹とした。
【0082】
(2)強制経口投与試料と投与量
強制経口投与を実施した試料と投与量は以下の通りである。
(2−1)アンニンコウ熱水抽出物
凍結乾燥品を、1,000mg/kg−体重(A)又は4,000mg/kg−体重(B)投与した。
(2−2)アンニンコウ低分子画分
凍結乾燥品を、1,000mg/kg−体重(A)又は4,000mg/kg−体重(B)投与した。
(2−3)エルゴチオネイン(Sigma社より購入)
5mg/kg−体重(A)又は20mg/kg−体重(B)を投与した。
【0083】
(3)飼育方法及び投与方法
ノーサン実験動物用飼料ラボMRストック(LABO MR STOCK;259.2kcal/100g;日本農産工業株式会社)を、基本(通常)飼料として与えた。基本飼料を、対照群と強制投与各群に給餌した。
【0084】
強制経口投与は、マウス用胃ゾンデを用い、週5回(火水木及び土日)の午前10時乃至11時に実施した。また、対照群には、水道水を同様に強制経口投与した。
【0085】
(4)マウスの採血および解剖(投与期間:2週間)
実験開始から2週間後、エチルエーテルの過麻酔によりマウスを死亡させ、直ちに腹部を切開して腹部大静脈より2.5mlのシリンジにてヘパリン加採血を実施した。麻酔前には絶食などの措置はされず、マウスは通常の自由な給餌・飲水下にあった。遠心分離した血漿は、−80℃の冷凍庫に保存し、検査会社にてトリグリセライド(中性脂肪)を測定した。
【0086】
(5)結果
(5−1)解剖所見
解剖時のマウスの外観に出血や肛門周囲の汚れ等の異常は診られず、腹腔、胸腔には出血や癒着などの異常はなかった。また、いずれの個体も、胃及び盲腸に多量の内容物が認められた。
【0087】
(5−2)体重
対照群(Cont-2W)及び低投与群(即ち、各投与試料について、投与量が少ない群(A))の解剖時体重を図1に示す。また、対照群(Cont-2W)及び高投与群(即ち、各投与試料について、投与量が多い群(B))の解剖時体重を図2に示す。
【0088】
対照群と比較して、試料投与群ではいずれも体重の低下傾向がみられ、特にエルゴチオネイン投与群では、6.1%(低投与群;A)又は8.0%(高投与群;B)の低下であった。しかし、これらの解剖時の体重の増減は、有意差を伴う変化ではなかった。
【0089】
(5−3)肝臓重量
肝臓重量は、解剖時に摘出した肝臓の重量を測定した絶対重量と、肝臓の重量を個々の体重で除した、体重10g当たりの相対重量で表示した。対照群(Cont-2W)及び低投与群(A)のデータを図3に、対照群(Cont-2W)及び高投与群(B)のデータを図4に示す。対照群に対してエルゴチオネイン投与群B(高投与群)13.9%の重量低下がみられたが、有意差を伴う変化ではなかった。
【0090】
(5−4)脾臓重量
脾臓重量は、解剖時に摘出した脾臓の重量を測定した絶対重量と、脾臓の重量を個々の体重で除した、体重10g当たりの相対重量で表示した。対照群(Cont-2W)及び低投与群(A)のデータを図5に、対照群(Cont-2W)及び高投与群(B)のデータを図6に示す。いずれの群においても、対照群に対して有意差を伴う変化は見られなかった。
【0091】
(5−5)脂肪(精巣周囲脂肪)重量
精巣周囲の脂肪は採取し易く、重量も一定しているので、腹腔内脂肪の代表として測定した。解剖時に摘出した脂肪の重量を絶対重量と、脂肪の重量を個々の体重で除した、体重10g当たりの相対重量で表示した。対照群(Cont-2W)及び低投与群(A)のデータを図7に、対照群(Cont-2W)及び高投与群(B)のデータを図8に示す。
【0092】
対照群の脂肪絶対重量は1012±55mg(n=5)であり、低分子画分投与群(A:8.6%;B:24.8%)、熱水抽出物投与群(A:18.6%;B:20.3%)及びエルゴチオネイン投与群(A:29.7%;B:35.1%)のいずれにおいても、対照群に対して明らかな有意差を伴う重量低下が認められた。なお、図7及び図8において、*はP<0.05であり、**はP<0.01である(以下の図においても同様)。
【0093】
(5−6)トリグリセライド(中性脂肪)
血漿中のトリグリセライドの量(単位:mg/ml)を、図9に示す。対照群(Cont-2W)の平均値(150±12mg/dl)に対して、低分子画分投与群、熱水抽出物投与群、エルゴチオネイン投与群のいずれにおいても、トリグリセライド量の低下が認められた。特に、低分子画分投与群(A)、熱水抽出物投与群(A)及び(B)、そしてエルゴチオネイン投与群(B)では、対照群に対して明らかな有意差を伴う低下が認められた。
【0094】
(5−7)まとめ
以上より、アンニンコウ子実体からの熱水抽出物、その熱水抽出物から得られる分画分子量13,000以下の低分子画分、及びエルゴチオネインは、内臓脂肪や血中トリグリセライド(中性脂肪)を低減させる効果を示す、即ち脂肪減少活性を示すことが明らかとなった。また、アンニンコウ子実体からの熱水抽出物や低分子画分の上記効果の少なくとも一部は、それらに含有されているエルゴチオネインによって発揮されている可能性がある。
【0095】
(実施例4)アンニンコウ子実体及び低分子画分の内臓脂肪減少活性及び中性脂肪減少活性の測定(その2)
正常マウス(ICR雄)に、実施例1で調製したアンニンコウ子実体乾燥品(粉末)及び低分子画分の凍結乾燥物を餌に添加して与えた。投与開始4週間後にマウスを解剖し、体重、精巣周囲脂肪重量及び血液中の中性脂肪(トリグリセライド)を測定した。
【0096】
(1)使用動物
ICR系マウス(slc:6週齢、雄、日本SLCより購入)を使用した。1週間の予備飼育後に、7週齢で実験に使用した。各群6匹とした。
【0097】
(2)餌
与えた餌は、次の通りである。また、飲料水には水道水を使用し、自由に摂取させた。
(2−1)対照群
ノ-サン実験動物用飼料ラボMRストック(LABO MR STOCK;259.2kcal/100g;日本農産工業株式会社)を、基本(通常)飼料として与えた。
(2−2)アンニンコウ子実体添加飼料群
ノ-サン実験動物用飼料ラボMRストックに、実施例1で調製したアンニンコウ子実体の乾燥品(粉末)を5.01重量%の割合で添加した飼料を与えた。
(2−3)アンニンコウ低分子画分添加飼料群
ノ-サン実験動物用飼料ラボMRストックに、実施例1で調製した低分子画分の凍結乾燥品を2.175重量%の割合で添加した飼料を与えた。
【0098】
(3)飼育方法
各群いずれも、上記飼料と水とを自由に摂取させた。
【0099】
(4)マウスの採血および解剖(投与期間:4週間)
実験開始から4週間後、エチルエーテルの過麻酔によりマウスを死亡させ、直ちに腹部を切開して腹部大静脈より2.5mlのシリンジにてヘパリン加採血を実施した。麻酔前には絶食などの措置はされず、マウスは通常の自由な給餌・飲水下にあった。遠心分離した血漿は、−80℃の冷凍庫に保存し、検査会社にてトリグリセライド(中性脂肪)を測定した。
【0100】
(5)結果
(5−1)解剖所見
解剖時のマウスの外観に出血や肛門周囲の汚れ等の異常は診られず、腹腔、胸腔には出血や癒着などの異常はなかった。また、いずれの個体も、胃及び盲腸に多量の内容物が認められた。
【0101】
(5−2)体重
対照群(Cont-4W)、子実体添加飼料群及び低分子画分添加飼料群の解剖時体重を図10に示す。これらの三群の解剖時体重は、ほぼ同等であった。
【0102】
(5−3)肝臓重量
肝臓重量は、解剖時に摘出した肝臓の重量を測定した絶対重量と、肝臓の重量を個々の体重で除した、体重10g当たりの相対重量で表示した。結果を図11に示す。対照群(Cont-4W)に対して子実体添加飼料群は9.4%の、低分子画分添加飼料群は6.9%の重量増加がみられたが、有意差を伴う変化ではなかった。
【0103】
(5−4)脾臓重量
脾臓重量は、解剖時に摘出した脾臓の重量を測定した絶対重量と、脾臓の重量を個々の体重で除した、体重10g当たりの相対重量で表示した。結果を図12に示す。対照群(Cont-4W)に対して低分子画分添加飼料群ではやや増加がみられたが、有意差を伴う変化ではなかった。
【0104】
(5−5)脂肪(精巣周囲脂肪)重量
精巣周囲の脂肪は採取し易く、重量も一定しているので、腹腔内脂肪の代表として測定した。解剖時に摘出した脂肪の重量を絶対重量と、脂肪の重量を個々の体重で除した、体重10g当たりの相対重量で表示した。結果を図13に示す。
【0105】
対照群(Cont-4W)の脂肪絶対重量は851±92mg(n=6)であり、これは、実施例3における対照群(飼育期間:2週間)と比べて16.5%の重量低下であった。また、子実体添加飼料群及び低分子画分添加飼料群では、対照群と比べて明らかな有意差を伴う脂肪重量の低下(子実体添加飼料群:30.3%;低分子画分添加飼料群:37.7%)が認められた。
【0106】
(5−6)トリグリセライド(中性脂肪)
血漿中のトリグリセライドの量(単位:mg/ml)を、図14に示す。対照群(Cont-4W)の平均値は116±16mg/dl(n=6)であり、これは、実施例2における対照群(飼育期間:2週間)と比べて22%の低下であった。また、子実体添加飼料群及び低分子画分添加飼料群では、対照群と比べて明らかな有意差を伴うトリグリセライド量の低下(子実体添加飼料群:37.1%;低分子画分添加飼料群:21.6%)が認められた。
【0107】
(5−7)まとめ
以上より、アンニンコウの子実体乾燥粉末と、アンニンコウの子実体乾燥粉末からの熱水抽出物の低分子画分は、内臓脂肪や血中トリグリセライド(中性脂肪)を、対照群に対して有意差をもって低減させる効果を示す、即ち脂肪減少活性を示すことが明らかとなった。
【0108】
(実施例5)低分子画分の投与が肥満マウスに与える影響の検討
肥満マウス(C57BL/6JhamSlc−ob/ob)及び同系の正常マウス(C57BL/6CrS)を飼育し、飼料摂取量等の測定、血糖値の測定、解剖検査、血液生化学値の測定、及びホルモンの測定を行った。正常マウスで通常飼料を与えたのは7匹、正常マウスで低分子画分の凍結乾燥品(実施例1と同様の方法で調製したもの)を添加した飼料を与えたのは8匹、肥満マウスで通常飼料を与えたのは10匹、肥満マウスで低分子画分の凍結乾燥品(実施例1と同様の方法で調製したもの)を添加した飼料を与えたのは10匹であった。
【0109】
(1)材料
(1−1)使用動物及び飼育期間
肥満マウス(C57BL/6JhamSlc−ob/ob;雄;6週齢;日本SLC)及び同系の正常マウス(C57BL/6CrS;雄;6週齢;日本SLC)を購入し、1週間の予備飼育後、7週齢で実験に供した。実験期間は6週間とした。
【0110】
(1−2)飼料
対照マウスには、基本(通常)飼料として、ノーサン実験動物用飼料ラボMRストック(LABO MR STOCK;259.2kcal/100g;日本農産工業株式会社;以下、「通常食」という)を与えた。試験マウスには、基本飼料に実施例1と同様の方法で調製した低分子画分の凍結乾燥品を1.5質量%添加した固形飼料(Lot. No.S−090310;日本農産工業にて製造;以下、「試料添加食」という)を与えた。
【0111】
(1−3)飼育方法
各群いずれも、上記飼料と水道水とを自由に摂取させた。
【0112】
(2)飼料摂取量及び飲水量の測定
(2−1)測定方法
飼育ゲージに付属する餌箱毎に、摂取された飼料の重量を週3回測定し、飼育匹数で除して、1匹あたり、1日当たりの飼料摂取量を求めた。飲料水には水道水を用い、給水瓶から摂取された飲料水の重量を週3回測定し、飼育匹数で除して、1匹あたり、1日当たりの飲水量を求めた。食べこぼし、飲みこぼし量は考慮せず、摂取量に含めた。測定は、午前10時乃至11時に行った。
【0113】
(2−2)結果
正常マウスの飼料摂取量を図15に、肥満マウスの飼料摂取量を図16に、正常マウスの飲水量を図17に、肥満マウスの飲水量を図18に示す。
【0114】
(飼料摂取量) 通常食群と試料添加食群で、正常マウス、肥満マウス共に有意差はなかった。実験期間を通して、正常マウスの試料添加食摂取量は3.59g/日/マウスであり、低分子画分の摂取量は53.8mg/日/マウスであった。肥満マウスの試料添加食摂取量は6.09g/日/マウスであり、低分子画分の摂取量は91.3mg/日/マウスであった。低分子画分の摂取量を体重1kg当たりに換算すると、正常マウス(平均体重:26.6g)では2.02g/kg/日、肥満マウス(平均体重:52.1g)では1.75g/kg/日であり、成人(体重:50kg)に換算すると88乃至101g/日の摂取量となる。
(飲水量) 正常マウスのみ、試料添加食群で、通常食群に比べて有意な飲水量の増加が認められた。
【0115】
(3)血糖値の測定
(3−1)測定方法
午前10乃至11時に、マウスの尾静脈を切開して採血した。血糖値は、血糖測定キット(PRECISION XCEED G3 ABBOTT JAPAN CO. LTD.)を用いて測定した。採血は、実験開始前(0週)と、その後は週に1回行った。飼育5週間後のみ、16時間の絶食(飲水のみ)を実施し、絶食前後に採血を行った。
【0116】
(3−2)結果
血糖値の変化を示すグラフを図19に示す。また、実験開始から5週間後における絶食前後の血糖値を示す棒グラフを、図20に示す。
図19から明らかなように、肥満マウスでは、試料添加食投与期間が2週間以上で、通常食群と比較して血糖値の低下が認められた。正常マウスでは、このような差異はなかった。
通常、マウスの食餌リズムは夜間に集中している。しかし、肥満マウスでは、朝や昼間にも飼料を摂取する個体があり、採血時(午前10乃至11時)の血糖値に個体差が生じていた可能性がある。図20に示すように、絶食によって食餌リズムの個体差が解消され、正常マウス、肥満マウス共に、試料添加食群が、通常食群と比べ、有意に低い血糖値を示した。
【0117】
(4)解剖、血液生化学値及び肥満関連ホルモンの測定
(4−1)採血
実験開始から6週間後において、午前10乃至11時に、エチルエーテルの過麻酔によりマウスを死亡させ、直ちに腹部を切開して腹部大静脈より2.5mlのシリンジにてヘパリン加採血を実施した。麻酔前には絶食などの措置はされず、マウスは通常の自由な給餌・飲水下にあった。血液は、一部を血球数計測に使用し、残りは遠心分離に供して血漿を得、その血漿は−30℃の冷凍庫に保存した。
【0118】
(4−2)解剖
解剖時には、臓器の位置、出血及び癒着等の異常を精査した。また、体重、肝臓重量、脾臓重量及び精巣周囲脂肪重量を測定した。
【0119】
(4−3)血球数の計測
採血した血液を、直ちに自動血球計数装置(PocH−100i;シスメックス社製)に供し、赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値、赤血球容積、白血球数及び血小板数を測定した。
【0120】
(4−4)血液生化学値の測定
血漿につき、総タンパク量、アルブミン/グロブリン比、総コレステロール量及びトリグリセライド量を、株式会社エスアールエルに依頼して測定した。
【0121】
(4−5)肥満関連ホルモンの測定
血漿につき、Mouse Leptin ELISA KITを用いてレプチン濃度を、Mouse/Rat High Molecular Weight Adiponectin ELISA KITを用いて高分子アディポネクチン濃度を、また、Mouse Insulin ELISA KIT(AKRIN―011T)を用いてインスリン濃度を測定した。なお、これらのキットは、いずれも、日本国群馬県のShibayagi社製である。
【0122】
(4−6)結果
(4−6−1)解剖所見
解剖時のマウスの外観に体毛や肛門周囲の汚れ等の異常は診られず、腹腔、胸腔には出血や癒着などの異常はなかった。また、いずれの個体も、胃及び盲腸に多量の内容物が認められた。
【0123】
(4−6−2)体重、肝臓重量、脾臓重量及び精巣周囲脂肪重量
体重を図21に、肝臓重量を図22に、脾臓重量を図23に、そして精巣周囲脂肪重量を図24に示す。体重、肝臓重量及び脾臓重量については、試料添加食の影響は見られなかった。精巣周囲脂肪重量については、正常マウス、肥満マウス共に、体重10g当たりの相対重量が、正常食群に比べて試料添加食群で有意に低かった。
【0124】
(4−6−3)血球数
赤血球(RBC)数を図25に、ヘモグロビン(HGB)濃度を図26に、ヘマトクリット(HCT)値を図27に、赤血球容積(MCV)を図28に、白血球(WBC)数を図29に、そして血小板(PLT)数を図30に示す。正常マウスのみ、赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値及び白血球数について、正常食群に比べて試料添加食群が有意に低い値を示した。
【0125】
(4−6−4)血液生化学値
血漿中の総タンパク(TP)量を図31に、アルブミン/グロブリン(A/G)比を図32に、総コレステロール(T−Cho.)量を図33に、トリグリセライド(TG)量を図34に示す。トリグリセライド量に関し、正常マウス、肥満マウス共に、正常食群に比べて試料添加食群が有意に低い値を示した。
【0126】
(4−6−5)ホルモンの測定
血漿中のレプチン(Leptin)濃度を図35に、高分子アディポネクチン(Adiponectin)濃度を図36に、インスリン(Insulin)濃度を図37に示す。
レプチンは、主に脂肪細胞にて合成、分泌されて視床下部に働き、摂食調節に関与する。図35より、肥満マウスでは、通常食の場合も試料添加食の場合も、正常マウスよりも血漿のレプチン濃度が高いにもかかわらず、レプチンによる食欲が抑制されないレプチン抵抗性の状態にあると考えられた。また、通常食群に比べて試料添加食群のレプチン濃度が低いのは、腹腔内の脂肪蓄積量を反映しているように思われた。
【0127】
アディポネクチンは、脂肪組織特異的に発現する。肥満や脂肪細胞の肥大に伴って、アディポネクチンの発現や分泌が低下する。アディポネクチンは、インスリン感受性増強作用を示すので、低アディポネクチン血症の場合にはインスリン抵抗性となる。図36に示すように、肥満マウスでは、正常マウスの約2倍のアディポネクチン濃度を示したが、通常食群と試料添加食群では、有意差はなかった。すなわち、低分子画分は、インスリン感受性には有意な影響を与えなかったものと考えられた。
【0128】
図37に示すように、通常食群において、肥満マウスの血漿のインスリン濃度は正常マウスのそれの20倍以上であった。そして、肥満マウスの試料添加食群においては、血中インスリン濃度は通常食群のさらに2.5倍であった。従って、試料、すなわちアンニンコウの熱水抽出物に由来する低分子画分は、インスリン分泌亢進作用を示すことが明らかとなった。そして、このインスリン分泌量の増加により、肥満マウスの試料添加食群において、肥満マウスの通常食群と比べて血糖値が低下したものと考えられた(図19及び図20を参照されたい)。
【0129】
(5)まとめ
以上より、アンニンコウの子実体乾燥粉末からの熱水抽出物の低分子画分は、インスリンの分泌促進活性を有し、それにより、血糖低下作用を示すことが明らかとなった。また、当該低分子画分は、内臓脂肪や血中トリグリセライド(中性脂肪)を、対照群に対して有意差をもって低減させる効果をも示すことが明らかとなった。
【0130】
(実施例6)アンニンコウからの有効成分の熱水抽出(その2)
(1)キノコの乾燥粉末の調製
アンニンコウ(株式会社岩出菌学研究所にて人工栽培したもの)の子実体に、45℃の温風を一昼夜あて、その後70℃の温風を1時間あてた。得られたアンニンコウ子実体乾燥品をミキサーに入れ、約1分間粉砕し、粉末とした。
【0131】
(2)熱水抽出及び限外ろ過膜による分画
アンニンコウ子実体の乾燥粉末10gを200mlの熱水(約90℃)と混ぜ、得られたキノコ/熱水混合物を、30分間、緩やかに攪拌した。キノコ/熱水混合物を遠心分離に掛け(10,000rpm、10分間)、上澄みと沈澱とに分けた。
【0132】
沈澱を200mlの熱水(約90℃)と混ぜ、得られたキノコ/熱水混合物を、30分間、緩やかに攪拌した。キノコ/熱水混合物を遠心分離に掛け(10,000rpm、10分間)、上澄みと沈澱とに分けた。この工程をさらに2回行った。
【0133】
全ての上澄液を合わせ、その1/2を取り、旭化成ケミカルズ株式会社製の限外ろ過膜(旭化成UFモジュールマイクローザRACP;分画分子量:13,000)でろ過を行い、低分子画分(1)を得た。残りの上澄液は、ミリポア社製の限外ろ過膜(Pellicon XLデバイス;分画分子量:10,000)でろ過を行い、低分子画分(2)を得た。これらを、各々、減圧条件下で約100ml以下となるまで濃縮し、次いで、凍結乾燥を行った。
【0134】
(実施例7)細胞の糖(グルコース)取込み活性の測定
Yamamotoらの方法(Yamamoto N., et al., Anal. Biochem., 2006, April 1, 351(1), p.p. 139-145)に従い、インスリン及び実施例6で調製したアンニンコウ由来低分子画分(1)及び(2)の、細胞による糖(グルコース)の取込みに与える影響を検討した。
【0135】
(1)測定
(1−1)L6骨格筋細胞の作製
L6筋芽細胞を2×10個/mlの濃度になるようにMEM培地A(10%(v/v)牛胎児血清含有MEM培地)に分散させた。得られた細胞分散培地を、96穴組織培養プレートに1穴あたり200μl入れ、5%炭酸ガス培養器で37℃にて2日間培養した。コンフルエントになった後、培地を吸引除去してMEM培地B(2%(v/v)牛胎児血清含有MEM培地)200μlに変更し、5%炭酸ガス培養器で37℃にて5日間培養した。このようにして、L6骨格筋細胞を作製した。再度、培地を吸引除去してMEM培地C(0.2%(w/v)牛血清アルブミン(BSA)含有MEM培地)200μlに変更し、5%炭酸ガス培養器で37℃にて18時間培養した後、糖(グルコース)取込み活性の測定に使用した。
【0136】
(1−2)試料の調製
(a)アンニンコウ由来低分子画分(1)凍結乾燥品と(b)アンニンコウ由来低分子画分(2)凍結乾燥品は、超純水に溶解し、それをMEM培地Cにて100倍希釈し、前記いずれかの凍結乾燥品を、250μg/ml、500μg/ml、1,000μg/ml含有するMEM培地を調製した。また、陰性対照用として、アンニンコウ由来低分子画分を含有しないMEM培地Cを用意した。さらに、陽性対照用として、MEM培地Cにインスリンを添加して、インスリン濃度が1nM、10nM、100nMのMEM培地を調製した。アンニンコウとインスリンの共暴露試験用試料は、次のようにして調製した。アンニンコウ由来低分子画分(1)又は(2)の凍結乾燥品を超純水に溶解し、それを、陽性対照用として調製したインスリン濃度が1nM、10nM、100nMのMEM培地にて100倍希釈し、インスリンと共に、当該凍結乾燥品を500μg/ml含有するMEM培地を調製した。
【0137】
(1−3)L6骨格筋細胞における糖取込み活性の測定
(1−3−1)測定用試料の調製
(1−1)に記載のようにして調製したL6骨格筋細胞の96穴組織培養プレートにおいて、各穴の培地を吸引除去後、1穴あたり、(1−2)で調製した試料のいずれかを200μl添加し、5%炭酸ガス培養器で37℃にて4時間培養した。
その後、0.1%(w/v)BSAを含有するKrebs−Ringer−Hepes(KRH)緩衝液(50mM HEPES、pH7.4;137mM NaCl、4.8mM KCl、1.85mM CaCl、1.3mM MgSO含有)を1穴あたり150μl/回で使用して、洗浄を2回行った。次いで、1mM 2−デオキシグルコース(2−DG)と0.1%(w/v)BSAとを含有するKRH緩衝液を、1穴あたり100μl添加し、5%炭酸ガス培養器で37℃にて20分間培養した。その後、0.1%(w/v)BSAを含有するKRH緩衝液を、1穴あたり200μl/回で使用して、洗浄を2回行った。
0.1N水酸化ナトリウム水溶液を1穴あたり50μl添加し、60℃の乾熱滅菌器で10分間加熱処理し、マイクロプレートミキサーで撹拌することにより、細胞を溶解させた。次いで、96穴組織培養プレートを80℃の乾熱滅菌器内に50分間静置し、各穴内を乾燥させた。0.1N塩酸水溶液を1穴あたり50μl添加し、続いて200mMトリエタノールアミン(TEA)水溶液(pH8.1)を1穴あたり50μl添加し、マイクロプレートミキサーで撹拌した。このようにして、測定用試料を調製した。
【0138】
(1−3−2)2−DGの測定
測定用試料を、96穴プレートに1穴あたり10μl添加し、次いで、アッセイ・カクテル(50mM TEA、pH8.1;50mM KCl、0.02%(w/v)BSA、0.1mM NADP、2μMレサズリン(resazurin)、2単位/mlジアフォレーゼ(diaphorase)、150単位/mlグルコース−6−ホスフェート・デヒドロゲナーゼ(glucose−6−phosphate dehydrogenase)含有)を1穴あたり100μl添加した。マイクロプレートミキサーで撹拌後、5%炭酸ガス培養器で37℃にて50分間インキュベートした。
その後直ぐに、マイクロプレートリーダーにて蛍光強度を測定した(励起波長:530nm;蛍光波長:570nm)。2−DG−6−phosphateを標準物質として使用して検量線を作成し、各試料について、1穴あたりの2−DG取込み量を算出した。
【0139】
(2)結果
陰性対照の2−DG取込み量を1.0とした場合の、アンニンコウ由来低分子画分やインスリンで細胞を処理した場合の2−DG取込み量(2−DG取込み量の比)を、図38に示した。なお、図38においては、陰性対照を「Control」と、アンニンコウ由来低分子画分(1)凍結乾燥品を「ガルガル(1)」と、アンニンコウ由来低分子画分(2)凍結乾燥品を「ガルガル(2)」と記載している。
図38から明らかなように、アンニンコウ由来低分子画分(1)凍結乾燥品もアンニンコウ由来低分子画分(2)凍結乾燥品も、インスリン同様、L6骨格筋細胞によるグルコースの取込みを促進した。また、インスリン共暴露下においては、アンニンコウ由来低分子画分(1)凍結乾燥品もアンニンコウ由来低分子画分(2)凍結乾燥品も、相加的なグルコース取込み量を示したことから、アンニンコウ中の成分には、インスリン非依存経路でのグルコース取込み誘導能があることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明は、内臓脂肪や血中の中性脂肪を低下させるための、医薬品や健康食品に適用することができる。また、本発明は、血糖値を低下させるための医薬品や健康食品に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類からの熱水抽出物を含有することを特徴とする、脂肪減少活性、インスリン分泌促進活性及び血糖低下活性から成る群から選択される少なくとも一つの活性を示す組成物。
【請求項2】
脂肪減少活性を示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類がアンニンコウ(学名:グリフォラ・ガルガル(Grifola gargal))である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
細胞の糖の取込みを上昇させる活性を示す、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類からの熱水抽出物を、分画分子量が30,000乃至10,000の範囲内のいずれかである分離膜で分離して得られる低分子画分を含有することを特徴とする、脂肪減少活性、インスリン分泌促進活性及び血糖低下活性から成る群から選択される少なくとも一つの活性を示す組成物。
【請求項6】
脂肪減少活性を示す、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類がアンニンコウ(学名:グリフォラ・ガルガル(Grifola gargal))である、請求項5又は6に記載の組成物。
【請求項8】
細胞の糖の取込みを上昇させる活性を示す、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
エルゴチオネイン、その薬理学的に許容される塩、又は加水分解によってエルゴチオネインとなる化合物を活性成分として含有することを特徴とする、脂肪減少活性、インスリン分泌促進活性及び血糖低下活性から成る群から選択される少なくとも一つの活性を示す組成物。
【請求項10】
脂肪減少活性を示す、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類からの熱水抽出物を含有する、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類からの熱水抽出物を、分画分子量が30,000乃至10,000の範囲内のいずれかである分離膜で分離して得られる低分子画分を含有する、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項13】
細胞の糖の取込みを上昇させる活性を示す、請求項9乃至12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコの乾燥粉末から、熱水にて抽出する工程(1)、工程(1)で得られた混合物から上澄液を分離する工程(2)、及び前記上澄液を濃縮する工程(3)を含む、脂肪減少活性、インスリン分泌促進活性及び血糖低下活性から成る群から選択される少なくとも一つの活性を示す組成物の調製方法。
【請求項15】
担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類がアンニンコウ(学名:グリフォラ・ガルガル(Grifola gargal))である、請求項14に記載の調製方法。
【請求項16】
担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコの乾燥粉末から、熱水にて抽出する工程(I)、工程(I)で得られた混合物から上澄液を分離する工程(II)、及び前記上澄み液中の成分を分画分子量が30,000乃至10,000の範囲内のいずれかである分離膜で分画し、低分子画分を得る工程(III)を含む、脂肪減少活性、インスリン分泌促進活性及び血糖低下活性から成る群から選択される少なくとも一つの活性を示す組成物の調製方法。
【請求項17】
担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類がアンニンコウ(学名:グリフォラ・ガルガル(Grifola gargal))である、請求項16に記載の調製方法。
【請求項18】
脂肪を減少させる、インスリン作用を増強する又は血糖値を低下させる方法であって、担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類からの熱水抽出物を、薬理的に有効な量で投与することを含む方法。
【請求項19】
担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類がアンニンコウ(学名:グリフォラ・ガルガル(Grifola gargal))である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
脂肪を減少させる、インスリン作用を増強する又は血糖値を低下させる方法であって、担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類からの熱水抽出物を分画分子量が30,000乃至10,000の範囲内のいずれかである分離膜で分離して得られる低分子画分を、薬理的に有効な量で投与することを含む方法。
【請求項21】
担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するキノコ類がアンニンコウ(学名:グリフォラ・ガルガル(Grifola gargal))である、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2011−102286(P2011−102286A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101510(P2010−101510)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000141381)株式会社岩出菌学研究所 (14)
【Fターム(参考)】