説明

脂肪酸ブレンド及びその使用

【課題】 本発明において、50%より多い中鎖脂肪酸又はその脂肪酸アルキルエステルを含み、低融点を有する、ブレンドオイル又は脂肪酸が提供される。
【解決手段】 該ブレンドは、燃料として、又は、例えば、バイオディーゼルの生産のための出発物質として有用である。また、植物によって生産される中鎖脂肪酸の量が増加するように修飾された、遺伝子組み換え又は改変植物が提供される。さらに、脂肪酸メチルエステルブレンドの融点の予測方法、及び、例えば、バイオディーゼルとして使用するために適当であるブレンドを同定するための該方法の使用が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2006年6月28日に出願された、脂肪酸ブレンド及びその使用と題された米国特許仮出願第60/817,558号に対する優先権を主張するものであり、該文献は、図面を含みその全体を参照することにより本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
オイル、オイル又は脂肪酸のブレンド、燃料としての使用を含む、かかるブレンドの使用、及びオイル又は脂肪酸のブレンドを得るための方法が提供される。
【背景技術】
【0003】
発明の背景に関する以下の記載は、単に、発明の理解を助けるものとして提供され、本発明の先行技術を記載又は構成すると認めるものではない。
【0004】
植物性オイルは、代替燃料及びバイオディーゼルの製造のための原料として使用されている。通常、使用されるオイルは、特定の地域で大量に栽培されている植物から抽出される。したがって、ダイズオイルは、米国において、バイオディーゼルの供給源として関心をもたれており、一方、ナタネオイルは、ヨーロッパ諸国において関心をもたれており;熱帯性気候を示す国々はココナッツオイル又はパームオイルを利用している(Knothe et al.,www.biodiesel.org/resources/reportsdatabase/reports/gen/19961201_gen−162.pdfにてオンライン公開)。
【0005】
VS−320、すなわち変異クフェア・ビスコシマ(Cuphea viscossima)、からのオイルを模倣したトリグリセリド組成物がGellerらにより開示されている(Transactions of the American Society of Agricultural Engineers 42:859−862,1999)。Geller中に開示されている「VS−320オイルを模倣したアナログ」は、4.2%のC6:0;40.20%のC8:0;36.90%のC10:0;4.80%のC12:0;6.80%のC14:0;3.33%のC16:0;0.00%のC18:0;1.37%のC18:1;2.05%のC18:2;及び0.00%のC18:3のトリグリセリド組成を有する(表1参照)。Gellerら(1999)は、「このモデルは、植物性オイル中のC8:0含量の増大が、その結果生じる中鎖及び長鎖トリグリセリドの低減とともに、代替ディーゼル燃料のより効率的で、優れた実行をもたらし得ることを示唆している。」と結論付けた。
【0006】
Stournasら(JACOS,1995,72:433−437)は、燃料としての各種オイルの特性を開示しており、「流動点測定の併行精度±3℃を考慮した場合、添加される成分の大部分は、燃料主成分の−12℃という流動点に有意な程度の影響を及ぼしているとは思われなかった。主な例外は、C12及びより長いアルキル鎖を有する飽和脂肪アルコールであり、これらは流動点を実質的に増大させる;より長い鎖のエステルのうちには、わずかに負の影響が観察されたものもあった。全てのオレエート誘導体中における二重結合の存在が、対応するステアレートと比較して、そのコールドフロー特性を明らかに向上させることは注目に値すべきことである。」こと、及び「点火特性とコールドフロー特性の両方を考慮した場合、3級ジメチルアミンが最も優れており;しかしながら、いくつかの最近の研究が示しているように、天然の植物性オイルのグリセリドからの調製が、アミンの調製よりもずっと容易であり得るという点において、3級アミドも興味深い候補であると思われる。」ことを記載している。
【0007】
Mittelbach(Bioresource Technology,1996,56:7−11)は、「植物性油由来のディーゼル燃料の特性及び品質管理」を論じており、「RMEに対するオーストリア基準にはまだ含まれていないが、脂肪酸メチルエステルに対する一般的基準を規定する場合に必要となり得る一つのパラメーターがヨウ素価であり、これは、不飽和脂肪酸の含量を表し、植物性油の起源にのみ依存する。ドイツでは、115の値が規定されており、これはナタネオイルに相当するが、ヒマワリオイル及びダイズオイルのような異なる種類のオイルは除外し得る。不飽和脂肪酸の限界は、より不飽和度の高い脂肪酸の加熱はグリセリドの重合化をもたらすという事実から、必要となり得る。このことは、潤滑油の沈着形成又は劣化につながり得る。この影響は脂肪酸鎖中の二重結合の数と共に増大する。したがって、ヨウ素価を用いて不飽和度を制限するよりも、リノレン酸のような不飽和度の高い脂肪酸の含量で制限した方がよいと思われる。」と記載している。
【0008】
Graboski(Prog.Energy Combustion Sci,1998,24:125−164)は、「燃料特性、エンジン性能、及び排気に関しての脂肪及びオイル由来ディーゼル燃料の特性」を論じており、「鎖長の低減及び/又は鎖の分岐の増大は、燃料のコールドフロー特性を向上させ得る。鎖長及び分岐度は、植物育種又は遺伝子操作手法の両方により、並びに、特定の二重結合を切断するため、又は、分岐異性体を形成させるためにバイオディーゼルの化学的処理を行うことにより、改変し得る。化学処理分野においては、非常に少ない実用的研究のみが行われている。バイオディーゼル燃料のコールドフロー特性は、明らかに、多くの研究を必要としている分野である。」ことを記載している。
【0009】
Goodrumら(Bioresource Technology,1996,56:55−60)は、「バイオディーゼル燃料モデル開発のための低分子量トリグリセリドの物理学的特性」を論じており、「多量の低分子量トリグリセリド画分を含むオイルは、燃料増量剤としての直接的使用に適し得る。実際、クフェア種由来の原料(Graham,1989)は、これらのトリグリセリド(特に、トリカプリリン及びトリカプリン)から主として構成されるオイルを含む。最新のDNA輸送技術は、クフェア等の種に由来する低分子量トリグリセリドの合成を制御する遺伝子を、他の既知の油料種子作物中へ輸送することも可能にし得る。その結果、最適な所望のバイオディーゼル特性のために、オイル組成を遺伝的に改変し得る。」ことを記載している。
【0010】
Knothe(Fuel Processing Technology,2005,86:1059−1070)は、「飽和脂肪化合物は不飽和脂肪化合物よりも有意に高い融点を有し(表1)、混合物中でそれらは不飽和物よりも高い温度で結晶化する。したがって、大量の飽和脂肪化合物を含む脂肪又はオイル由来のバイオディーゼル燃料は、より高い曇り点及び流動点を示し得る。」と記載している。
【0011】
Kinneyら(Fuel Processing Technology,2005,86:1137−1147)は、性能が向上したバイオディーゼルブレンドのためのダイズ油の改変に関する問題について記載している。この文献は、Gellerら,1999に開示されているブレンドについて言及しており、「これらの短鎖脂肪酸由来のバイオディーゼルの融点はかなり高いことから、コールドフロー特性を向上させるために、さらなる脱ろう工程が必要となり得る。」ことを記載している。Kinneyらは、「飽和脂肪酸含量を増加させる脂肪酸プロファイルの変更は、酸化安定性を増大させ得るが、コールドフローを悪化させ得……脂肪酸中の二重結合の存在はセタン価を低下させ得る;したがって、植物性油からなる脂肪プールを飽和成分に変更する方法は、得られるバイオディーゼルの点火特性を向上させ得るが、酸化安定性に関してと同様に、コールドフロー特性に悪影響を及ぼし得る。」ことも記載している。
【0012】
米国特許第4,364,743号(「743特許」)は、「単独で又は他の既知の燃料と組み合わせて燃焼させた場合に、新規エネルギー供給源を提供する合成脂肪酸エステル燃料」と「エステルは、好ましくは、ダイズオイル、パームオイル、ベニバナオイル、ピーナッツオイル、トウモロコシオイル、綿実オイル、亜麻仁オイル、オイチシカオイル、キリオイル、ココナッツオイル、ヒマシオイル、ペリーラオイル、ナタネオイル、ヒマワリオイル、豚脂、獣脂、魚油、鯨油、海生動物及び陸生動物由来の脂質並びに植物源由来の脂質等の各種オイルを用いてエステル交換反応により調製される。」ことを開示している。
【0013】
米国特許第5,389,113号(「113特許」)は、「a)12〜22個の炭素原子を含む脂肪酸及び1〜4個の炭素原子を含む低級脂肪族アルコールに由来し、50〜150のヨウ素価を有する、58〜95重量%の少なくとも1つのエステル、b)6〜14個の炭素原子を含む脂肪酸及び1〜4個の炭素原子を含む低級脂肪族アルコールからなる4〜40重量%の少なくとも1つのエステル、及びc)0.1〜2重量%の少なくとも1つのポリマー性エステル、を含む混合物」を開示している。
【0014】
米国特許出願公開第2006026963号は、「改変された種子油組成物を製造するための核酸構築物及び製造方法」を開示しており、「i)同様の遺伝的背景及び第2の異種FAD2配列を含み、第2の異種FAD2配列が第1の異種FAD2配列よりも内因性であるFAD2配列からなる植物細胞における、FAD2遺伝子抑制の量と比較して、第1の異種FAD2配列によって形質転換された植物におけるFAD2遺伝子抑制の量が少なくとも部分的に低減するまで、第1の異種FAD2配列の長さを短くする工程;ii)同様の遺伝的背景を有するが、異種FATB配列を有さない植物細胞におけるFATBと比較して、植物細胞中でのFATB遺伝子の発現を少なくとも部分的に低減し得る異種FATB配列を発現させる工程;iii)第1の異種FAD2配列及び異種FATB配列を有するゲノムを含む植物を生育する工程;及び、iv)同様の遺伝的背景を有するが、第1の異種FAD2配列及び異種FATB配列を欠如する植物由来の種子と比較して低減した飽和脂肪酸含量を有する種子を生産する植物を栽培する工程、を含む、植物種子中のオレイン酸含量を増大し、飽和脂肪酸含量を低減する方法」を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第4,364,743号
【特許文献2】米国特許第5,389,113号
【特許文献3】米国特許出願公開第2006026963号
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Knothe et al.,www.biodiesel.org/resources/reportsdatabase/reports/gen/19961201_gen−162.pdfにてオンライン公開
【非特許文献2】Transactions of the American Society of Agricultural Engineers 42:859−862,1999
【非特許文献3】Stournasら(JACOS,1995,72:433−437)
【非特許文献4】Mittelbach(Bioresource Technology,1996,56:7−11)
【非特許文献5】Graboski(Prog.Energy Combustion Sci,1998,24:125−164)
【非特許文献6】Goodrumら(Bioresource Technology,1996,56:55−60)
【非特許文献7】Knothe(Fuel Processing Technology,2005,86:1059−1070)
【非特許文献8】Kinneyら(Fuel Processing Technology,2005,86:1137−1147)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
出願人らは、代替燃料として、又は、バイオディーゼル製造のための原料として使用するための所望の特性をブレンドが示すように、植物性オイルのブレンドを選択し得ることを見出した。例えば、寒冷な気候において燃料として使用した場合、ブレンドが凍結しにくいように、かかるブレンドは選択され得る。また、より高い温度でブレンドが安定であるように、ブレンドを選択してもよい。さらに、乗り物の燃料として使用した場合に所望の点火特性が達成されるようにブレンドを選択してもよい。本発明のオイル又は脂肪酸のブレンドの特徴のいくつかの具体例を以下に記載する。本発明のオイル又は脂肪酸のブレンドは、以下の実施形態に記載される特徴の任意の組み合わせを有し得ることが理解される。特に、本発明者らは、特定の脂肪酸混合物が、バイオ燃料生産のための驚くべきほど有利な特性を有することを見出した。例えば、本発明者らは、特定のバランスの中鎖脂肪酸及び一価不飽和脂肪酸が、例えば、低温気候耐性に関する、驚くべき有利な特性を有し得ることを見出した。バランスのとれた量の中鎖脂肪酸(例えば、C8、C10及びC12)及び一価不飽和脂肪酸(好ましくは、C16:1及びC18:1)を有する脂肪酸混合物の特定の実施形態において、C16:0及びC18:0の存在が低温気候耐性に対して特に望ましくない影響を及ぼし得、したがって、バイオディーゼル中の低減したレベルのC16:0及びC18:0は低温気候耐性に関して有利となり得;C14:0、C18:2、C18:3、C20、C22及びC24も低温気候耐性に対して悪影響を及ぼし得;したがって、バイオディーゼル中においてこれらの脂肪酸を低減することも有利となり得ることを、本発明者らは見出した。
【0018】
本明細書において使用する場合、用語「オイル」とは、主として脂肪酸のトリグリセリドからなる物質のことをいう。植物性オイルは、植物の種子、果実、又は葉を含む植物の各種の部分から抽出することができる。室温で、通常は液体である。いくつかの実施形態において、オイルは、カノーラ、ナタネ、パーム、パーム核、ココナッツ、ホシダネヤシ、ヒマワリ、ベニバナ、オリーブ、マカダミア、ババス、ヒマ、ピーナッツ、綿、亜麻種子、亜麻仁、コフネヤシ、及びジャトロファに由来する。さらなる実施形態において、オイルは、遺伝子改変植物に由来してもよい。
【0019】
トリグリセリドは植物性オイル及び動物性脂肪の主要成分である。トリグリセリドは、室温で固体又は液体であり得る。トリグリセリドは、トリアシルグリセロール(TAG)とも呼ばれ、1分子のグリセロールと3分子の脂肪酸から形成される化合物である。グリセロールは、それぞれ1個、2個又は3個の脂肪酸と結合した場合に、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドを形成するように最大3個の脂肪酸と結合し得る三価のアルコール(3つの水酸基を含む)である。モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドは、エステルとして分類され、副生成物として水を放出する、酸とアルコールの反応によって生成される化合物である。脂肪酸は、エステル結合を形成し、多様な化合物を生成するために、3つの水酸基のいずれかと結合し得る。さらに、異なる長さを有する脂肪酸が、個々のグリセロール分子と結合し得る。したがって、得られるジグリセリド又はトリグリセリドは、同じトリグリセリド分子内で異なる脂肪酸を含み得る。
【0020】
脂肪酸は、一方の端にカルボキシル基を有する炭素鎖骨格として配列された炭素、水素、及び酸素からなる。脂肪酸は、飽和脂肪酸(SFA)であって炭素−炭素二重結合を有しないか、一価不飽和(MUFA)であって1つの炭素−炭素二重結合を有するか、又は、多価不飽和脂肪酸(PUFA)であって1つより多い炭素−炭素二重結合を有し得る。脂肪酸鎖における炭素数及び炭素−炭素二重結合数は、通常、「炭素数:炭素−炭素二重結合数」として表現される。例えば、オレイン酸は、18個の炭素と1つの二重結合を有し、「C18:1」又は「18:1」として表現し得る。
【0021】
本明細書において使用する場合、「中鎖脂肪酸」とは、6〜14個の炭素、好ましくは、8〜12個の炭素を含む脂肪酸のことをいう。
【0022】
本明細書において使用する場合、「長鎖脂肪酸」とは、14個より多い炭素、又は16個より多い炭素、又は18個より多い炭素を含む脂肪酸のことをいう。
【0023】
一態様において、脂肪酸の混合物が提供される。
【0024】
本発明において提供される脂肪酸混合物の特定の好ましい実施形態において、ラウリン酸は、混合物の6%〜20%を占め、より好ましくは混合物の6%〜10%を占める。
【0025】
本発明において提供される脂肪酸混合物の特定の好ましい実施形態において、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、及びラウリン酸(C12:0)は合計で、混合物の20%〜40%;又は混合物の20%〜30%;又は混合物の30%〜40%;又は混合物の25%〜35%を占める。本発明において提供される脂肪酸混合物の別の実施形態において、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、及びラウリン酸(C12:0)は合計で、混合物の60%〜85%;又は混合物の60%〜70%;又は混合物の70%〜85%;又は混合物の65%〜75%を占める。本発明において提供される脂肪酸混合物のさらに別の実施形態において、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、及びラウリン酸(C12:0)は合計で、混合物の40%〜60%;又は混合物の40%〜50%;又は混合物の50%〜60%;又は混合物の45%〜55%を占める。
【0026】
本発明において提供される脂肪酸混合物のいくつかの好ましい実施形態において、一価不飽和脂肪酸は混合物の5%〜95%を占め、好ましくは、一価不飽和脂肪酸は、混合物の、10%より多く;又は15%より多く;又は20%より多く;又は25%より多く;又は30%より多く;又は35%より多く;又は40%より多く;又は45%より多く;又は50%より多く;又は60%より多く;又は65%より多く;又は70%より多く;又は80%より多く;又は85%より多くを占める。
【0027】
本発明において提供される脂肪酸混合物の特定の好ましい実施形態において、オレイン酸(C18:1)及びパルミトレイン酸(16:1)は合計で、混合物の20%〜85%;又は混合物の20%〜40%;又は混合物の20%〜30%;又は混合物の30%〜40%;又は混合物の25%〜35%;又は混合物の40%〜60%;又は混合物の35%〜55%;又は混合物の55%〜65%;又は混合物の60%〜85%;又は混合物の60%〜70%;又は混合物の70%〜85%;又は混合物の65%〜75%を占める。
【0028】
本発明において提供される脂肪酸混合物のいくつかの好ましい実施形態において、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、ラウリン酸(C12:0)、オレイン酸(C18:1)及びパルミトレイン酸(16:1)は合計で、混合物の50%より多く;又は混合物の55%より多く;又は混合物の60%より多く;又は混合物の65%より多く;又は混合物の70%より多く;又は混合物の75%より多く;又は混合物の80%より多く;又は混合物の85%より多く;又は混合物の90%より多くを占める。
【0029】
本発明において提供される脂肪酸混合物のいくつかの好ましい実施形態において、ステアリン酸(18:0)及びパルミチン酸(16:0)は合計で、混合物の25%未満;より好ましくは混合物の15%未満;より好ましくは混合物の10%未満;より好ましくは混合物の8%未満;より好ましくは混合物の6%未満;より好ましくは混合物の5%未満;より好ましくは混合物の4%未満;より好ましくは混合物の3%未満;より好ましくは混合物の2%未満;又は混合物の1%未満;又は混合物の0.5%未満を占め;或いは、いくつかの好ましい実施形態において、脂肪酸混合物は、ステアリン酸(18:0)とパルミチン酸(16:0)を実質的に含まない。
【0030】
本発明において提供される脂肪酸混合物のいくつかの好ましい実施形態において、ミリスチン酸(14:0)が、混合物の25%未満;より好ましくは混合物の15%未満;より好ましくは混合物の10%未満;より好ましくは混合物の8%未満;より好ましくは混合物の6%未満;より好ましくは混合物の5%未満;より好ましくは混合物の4%未満;より好ましくは混合物の3%未満;より好ましくは混合物の2%未満;又は混合物の1%未満;又は混合物の0.5%未満を占め;或いは、いくつかの好ましい実施形態において、脂肪酸混合物は、ミリスチン酸(14:0)を実質的に含まない。
【0031】
本発明において提供される脂肪酸混合物のいくつかの好ましい実施形態において、リノール酸(18:2)及びリノレン酸(18:3)は合計で、混合物の25%未満;より好ましくは混合物の15%未満;より好ましくは混合物の10%未満;より好ましくは混合物の8%未満;より好ましくは混合物の6%未満;より好ましくは混合物の5%未満;より好ましくは混合物の4%未満;より好ましくは混合物の3%未満;より好ましくは混合物の2%未満;又は混合物の1%未満;又は混合物の0.5%未満を占め;或いは、いくつかの好ましい実施形態において、脂肪酸混合物は、リノール酸(18:2)とリノレン酸(18:3)を実質的に含まない。
【0032】
本発明において提供される脂肪酸混合物のいくつかの好ましい実施形態において、アラキジン酸(C20:0)、ベヘン酸(C22:0)及びリグノセリン酸(C24:0)は合計で、混合物の25%未満;より好ましくは混合物の15%未満;より好ましくは混合物の10%未満;より好ましくは混合物の8%未満;より好ましくは混合物の6%未満;より好ましくは混合物の5%未満;より好ましくは混合物の4%未満;より好ましくは混合物の3%未満;より好ましくは混合物の2%未満;又は混合物の1%未満;又は混合物の0.5%未満を占め;或いは、いくつかの好ましい実施形態において、脂肪酸混合物は、アラキジン酸(C20:0)、ベヘン酸(C22:0)及びリグノセリン酸(C24:0)を実質的に含まない。
【0033】
特定の態様において、8〜12個の炭素を有する飽和脂肪酸及び12〜18個の炭素を有する一価不飽和脂肪酸が混合物の80%〜100%を占め、カプリル酸(C8:0)及びカプリン酸(C10:0)が混合物の5%〜80%を占め、ラウリン酸が混合物の20%未満を占め、12個より多い炭素を有する多価不飽和脂肪酸及び飽和脂肪酸で混合物の20%未満を占める、脂肪酸混合物が提供される。上記脂肪酸混合物の特定の実施形態において、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、及びラウリン酸(C12:0)は合計で、混合物の20%〜40%を占め;好ましくは、ラウリン酸(C12:0)が混合物の6%〜20%を構成し、より好ましくは、ラウリン酸(C12:0)が混合物の6%〜10%を構成する。混合物のいくつかの好ましい実施形態において、オレイン酸(C18:1)及びパルミトレイン酸(16:1)は合計で、混合物の50%〜85%を占める。
【0034】
特定の態様において、8〜12個の炭素を有する飽和脂肪酸及び12〜18個の炭素を有する一価不飽和脂肪酸が混合物の80%〜100%を占め、カプリル酸(C8:0)及びカプリン酸(C10:0)が混合物の5%〜80%を占め、ラウリン酸が混合物の20%未満を占め、12個より多い炭素を有する多価不飽和脂肪酸及び飽和脂肪酸で混合物の20%未満を占める、脂肪酸混合物が提供される。上記脂肪酸混合物の特定の実施形態において、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、及びラウリン酸(C12:0)は合計で、混合物の20%〜40%を占め;好ましくは、ラウリン酸(C12:0)が混合物の6%〜20%を構成し、より好ましくは、ラウリン酸(C12:0)が混合物の6%〜10%を構成し、オレイン酸(C18:1)及びパルミトレイン酸(16:1)は合計で、混合物の50%〜85%を占める。上記混合物の別の好ましい実施形態において、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、及びラウリン酸(C12:0)は合計で、混合物の60%〜85%を占め;好ましくは、ラウリン酸(C12:0)が混合物の6%〜20%を構成し、より好ましくは、ラウリン酸(C12:0)が混合物の6%〜10%を構成し、オレイン酸(C18:1)及びパルミトレイン酸(16:1)は合計で、混合物の20%〜40%を占める。
【0035】
一態様において、本発明は、2つ又はそれ以上のオイルのブレンドを特徴とし、少なくとも50重量%の脂肪酸は中鎖脂肪酸であり、カプリル酸(C8:0)は最終ブレンドの最大25%を構成し、20%未満が長鎖脂肪酸である。
【0036】
関連する態様において、本発明は、脂肪酸のブレンドを特徴とし、少なくとも50重量%の脂肪酸は中鎖脂肪酸であり、カプリル酸(C8:0)は最終ブレンドの最大25%を構成し、20%未満が長鎖脂肪酸である。
【0037】
本発明のオイル又は脂肪酸のブレンドのいくつかの実施形態において、ブレンドは、少なくとも60%の中鎖脂肪酸、好ましくは少なくとも65%の中鎖脂肪酸、好ましくは少なくとも70%の中鎖脂肪酸、好ましくは少なくとも75%の中鎖脂肪酸、好ましくは少なくとも80%の中鎖脂肪酸、好ましくは少なくとも85%の中鎖脂肪酸、好ましくは少なくとも90%の中鎖脂肪酸、又は好ましくは少なくとも95%の中鎖脂肪酸を含む。
【0038】
本発明のオイル又は脂肪酸のブレンドの特定の実施形態において、このブレンドは、5〜25%のカプリル酸(C8:0)、10〜25%のカプリル酸(C8:0)、10〜20%のカプリル酸(C8:0)、又は15〜25%のカプリル酸(C8:0)を含む。
【0039】
本発明のオイル又は脂肪酸のブレンドの特定の実施形態において、このブレンドは、30〜60%のカプリン酸(C10:0)、25〜55%のカプリン酸(C10:0)、30〜50%のカプリン酸(C10:0)、又は40〜50%のカプリン酸(C10:0)を含む。
【0040】
本発明のオイル又は脂肪酸のブレンドの特定の実施形態において、このブレンドは、5〜35%のラウリン酸(C12:0);10〜20%のラウリン酸(C12:0);15〜25%のラウリン酸(C12:0);20〜30%のラウリン酸(C12:0);又は、25〜35%のラウリン酸(C12:0)を含む。
【0041】
本発明のオイル又は脂肪酸のブレンドの別の実施形態において、ブレンドは、15%未満の長鎖脂肪酸、好ましくは10%未満の長鎖脂肪酸、好ましくは7%未満の長鎖脂肪酸、好ましくは5%未満の長鎖脂肪酸、又は好ましくは3%未満の長鎖脂肪酸を含む。
【0042】
本発明のオイル又は脂肪酸のブレンドのさらに別の実施形態において、ブレンドは、15%未満の一価不飽和脂肪酸、好ましくは10%未満の一価不飽和脂肪酸、好ましくは7%未満の一価不飽和脂肪酸、好ましくは5%未満の一価不飽和脂肪酸、又は好ましくは2%未満の一価不飽和脂肪酸を含む。
【0043】
本発明のオイル又は脂肪酸のブレンドのさらに別の実施形態において、ブレンドは、10%未満の多価不飽和脂肪酸、好ましくは7%未満の多価不飽和脂肪酸、好ましくは5%未満の多価不飽和脂肪酸、好ましくは3%未満の多価不飽和脂肪酸、又は好ましくは1%未満の多価不飽和脂肪酸を含む。
【0044】
本発明のオイル又は脂肪酸のブレンドの特定の実施形態において、カプロン酸(6:0)はブレンドの0〜約5重量%であり得;カプリル酸(8:0)はブレンドの約5〜約25重量%であり得;カプリン酸(10:0)はブレンドの約30〜約60重量%であり得;ラウリン酸(12:0)はブレンドの約5〜約30重量%であり得;ミリスチン酸(14:0)はブレンドの0〜約5重量%であり得;パルミチン酸(16:0)はブレンドの0〜約5重量%であり得;パルミトレイン酸(16:1)はブレンドの0〜約10重量%であり得;ステアリン酸(18:0)はブレンドの0〜約5重量%であり得;オレイン酸(18:1)はブレンドの0〜約10重量%であり得;リノール酸(18:2)はブレンドの0〜約5重量%であり得;リノレン酸(18:3)はブレンドの0〜約1重量%であり得;アラキジン酸(20:0)はブレンドの0〜約3重量%であり得;ベヘン酸(22:0)はブレンドの0〜約3重量%であり得;エルカ酸(22:1)はブレンドの0〜約5重量%であり得;及び、リグノセリン酸(24:0)はブレンドの0〜約3重量%であり得る。
【0045】
本発明のオイル又は脂肪酸のブレンドのいくつかの実施形態において、オイル又は脂肪酸のトリグリセリドは、脂肪酸アルキルエステルに変換されている。特定の実施形態において、アルキルエステルは、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、又はブチルエステルである。好ましい実施形態において、アルキルエステルは、メチルエステルである。
【0046】
本発明のオイルブレンドの特定の実施形態において、オイルは植物性オイル又は動物性脂肪に由来する。好ましい実施形態において、オイルは、カノーラ、ナタネ、パームオイル、パーム核、ココナッツ、ホシダネヤシ、ヒマワリ、ベニバナ、クフェア、オリーブ、マカダミア、ババス、ヒマ、ピーナッツ、綿、亜麻種子、亜麻仁、コフネヤシ、及びジャトロファからなる群より選択される。本発明のオイルブレンドのいくつかの実施形態において、オイルは遺伝子改変植物に由来する。特定の実施形態において、オイルは、天然の植物と比較して増加した量の中鎖脂肪酸を生産するように改変された遺伝子改変植物に由来する。さらなる実施形態において、天然の植物又は複数の天然の植物に由来する1つ又はそれ以上のオイルは、遺伝子改変植物から取得される1つ又はそれ以上のオイルとブレンドしてもよい。
【0047】
本発明のオイル又は脂肪酸のブレンドのいくつかの実施形態において、オイルブレンド又は脂肪酸ブレンドは、内燃機関に動力を供給するための燃料として有用である。別の実施形態において、オイルブレンド又は脂肪酸ブレンドは、燃料添加剤、機能液、凝固点降下剤、バイオディーゼル、航空燃料、家庭用灯油、又は灯油代替物の調製における原料として使用される。
【0048】
関連する態様において、本発明は、少なくとも50%の脂肪酸アルキルエステルが中鎖脂肪酸アルキルエステルであり、20%未満が長鎖脂肪酸アルキルエステルである、脂肪酸アルキルエステルブレンドを特徴とする。
【0049】
本発明の脂肪酸アルキルエステルブレンドの特定の実施形態において、かかるブレンドは、少なくとも60%の中鎖脂肪酸アルキルエステル、好ましくは少なくとも65%の中鎖脂肪酸アルキルエステル、好ましくは少なくとも70%の中鎖脂肪酸アルキルエステル、好ましくは少なくとも75%の中鎖脂肪酸アルキルエステル、好ましくは少なくとも80%の中鎖脂肪酸アルキルエステル、好ましくは少なくとも85%の中鎖脂肪酸アルキルエステル、好ましくは少なくとも90%の中鎖脂肪酸アルキルエステル、又は好ましくは少なくとも95%の中鎖脂肪酸アルキルエステルを含む。
【0050】
本発明の脂肪酸アルキルエステルブレンドの特定の実施形態において、ブレンドは、15%未満の長鎖脂肪酸アルキルエステル、好ましくは10%未満の長鎖脂肪酸アルキルエステル、好ましくは7%未満の長鎖脂肪酸アルキルエステル、好ましくは5%未満の長鎖脂肪酸アルキルエステル、又は好ましくは3%未満の長鎖脂肪酸アルキルエステルを含む。
【0051】
本発明の脂肪酸アルキルエステルブレンドのさらに別の実施形態において、ブレンドは、15%未満の一価不飽和脂肪酸アルキルエステル、好ましくは10%未満の一価不飽和脂肪酸アルキルエステル、好ましくは7%未満の一価不飽和脂肪酸アルキルエステル、好ましくは5%未満の一価不飽和脂肪酸アルキルエステル、又は好ましくは2%未満の一価不飽和脂肪酸アルキルエステルを含む。
【0052】
本発明の脂肪酸アルキルエステルブレンドのさらに別の実施形態において、ブレンドは、10%未満の多価不飽和脂肪酸アルキルエステル、好ましくは7%未満の多価不飽和脂肪酸アルキルエステル、好ましくは5%未満の多価不飽和脂肪酸アルキルエステル、好ましくは3%未満の多価不飽和脂肪酸アルキルエステル、又は好ましくは1%未満の多価不飽和脂肪酸アルキルエステルを含む。
【0053】
本発明の脂肪酸アルキルエステルブレンドの特定の実施形態において、脂肪酸アルキルエステルは、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、及びブチルエステルからなる群より選択される。別の実施形態において、脂肪酸アルキルエステルは、iso−プロピルエステル、t−ブチルエステル、又はsec−ブチルエステルからなる群より選択される。好ましい実施形態において、脂肪酸アルキルエステルはメチルエステルである。いくつかの実施形態において、カプロン酸メチルエステル(6:0)は脂肪酸メチルエステルブレンド全体の0〜約5重量%であり得;カプリル酸メチルエステル(8:0)は脂肪酸メチルエステルブレンド全体の約5〜約35重量%、又は約10〜約30重量%、又は約15〜約25重量%であり得;カプリン酸メチルエステル(10:0)は脂肪酸メチルエステルブレンド全体の約20〜約60重量%、又は約30〜約50重量%、又は約40〜約50重量%であり得;ラウリン酸メチルエステル(12:0)は脂肪酸メチルエステルブレンド全体の約5〜約30重量%、又は約10〜約30重量%、又は約15〜約25重量%であり得;ミリスチン酸メチルエステル(14:0)は脂肪酸メチルエステルブレンド全体の0〜約5重量%であり得;パルミチン酸メチルエステル(16:0)は脂肪酸メチルエステルブレンド全体の0〜約5重量%であり得;パルミトレイン酸メチルエステル(16:1)は脂肪酸メチルエステルブレンド全体の0〜約10重量%であり得;ステアリン酸メチルエステル(18:0)は脂肪酸メチルエステルブレンド全体の0〜約5重量%であり得;オレイン酸メチルエステル(18:1)は脂肪酸メチルエステルブレンド全体の0〜約10重量%であり得;リノール酸メチルエステル(18:2)は脂肪酸メチルエステルブレンド全体の0〜約5重量%であり得;リノレン酸メチルエステル(18:3)は脂肪酸メチルエステルブレンド全体の0〜約1重量%であり得;アラキジン酸メチルエステル(20:0)は脂肪酸メチルエステルブレンド全体の0〜約3重量%であり得;ベヘン酸メチルエステル(22:0)は脂肪酸メチルエステルブレンド全体の0〜約3重量%であり得;エルカ酸メチルエステル(22:1)は脂肪酸メチルエステルブレンド全体の0〜約5重量%であり得;及び、リグノセリン酸メチルエステル(24:0)は脂肪酸メチルエステルブレンド全体の0〜約3重量%であり得る。
【0054】
本発明の上記態様のさらなる実施形態において、オイル、又は脂肪酸、又は脂肪酸アルキルエステルのブレンドは、0℃以下、好ましくは−10℃以下、好ましくは−15℃以下、好ましくは−20℃以下、又は好ましくは−25℃以下の融点を有する。
【0055】
本発明の上記態様のさらなる実施形態において、オイル、又は脂肪酸、又は脂肪酸アルキルエステルのブレンドは、0℃以下、好ましくは−10℃以下、好ましくは−15℃以下、好ましくは−20℃以下、又は好ましくは−25℃以下の曇り点を有する。
【0056】
本発明の上記態様のさらなる実施形態において、オイル、又は脂肪酸、又は脂肪酸アルキルエステルのブレンドは、0℃以下、好ましくは−10℃以下、好ましくは−15℃以下、好ましくは−20℃以下、又は好ましくは−25℃以下の流動点を有する。
【0057】
本発明の上記態様のいくつかの実施形態において、オイル、又は脂肪酸、又は脂肪酸アルキルエステルのブレンドは、内燃機関における燃料として、燃料添加剤、機能液、凝固点降下剤、家庭用灯油、航空若しくはジェット燃料、又は灯油代替物としての使用に適している。
【0058】
表現「内燃機関における使用に適している」とは、内燃機関に動力を供給するために使用されることを可能にする燃料の特性のことをいう。いくつかの実施形態において、適当な燃料は、40〜100;40〜80;又は好ましくは40〜70;又は好ましくは40〜60;又は好ましくは40〜55;又は好ましくは40〜50のセタン価を有する。別の実施形態において、適当な燃料は、20〜130;好ましくは40〜100;好ましくは20〜50、又は好ましくは10〜20のヨウ素価を有する。さらなる実施形態において、適当な燃料は、0℃以下、好ましくは−10℃以下、好ましくは−15℃以下、好ましくは−20℃以下、又は好ましくは−25℃以下の融点を有する。さらにさらなる実施形態において、適当な燃料は、0℃以下、好ましくは−10℃以下、好ましくは−15℃以下、好ましくは−20℃以下、又は好ましくは−25℃以下の曇り点を有する。さらに別の実施形態において、適当な燃料は、0℃以下、好ましくは−10℃以下、好ましくは−15℃以下、好ましくは−20℃以下、又は好ましくは−25℃以下の流動点を有する。
【0059】
本発明の上記態様の別の実施形態において、脂肪酸又は脂肪酸アルキルエステルのブレンドはバイオディーゼルとして使用され、燃料として使用するためのバイオディーゼルブレンドを製造するために、石油系ディーゼルとブレンドされる。特定の実施形態において、バイオディーゼルは、バイオディーゼルブレンドの、1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、又は75%を構成し、石油系ディーゼルが残りを構成する。米国材料試験協会(ASTM)は、2つのグレードのディーゼル燃料、#1ディーゼル燃料及び#2ディーゼル燃料を分類している。特定の実施形態において、バイオディーゼルは、#1ディーゼル燃料、#2ディーゼル燃料とブレンドされるか、又は、#1及び#2ディーゼルの混合物とブレンドされる。
【0060】
別の態様において、本発明は、天然の植物と比較して増大した量の中鎖脂肪酸を生成するように1つ又はそれ以上の変異を有する、1つ又はそれ以上の改変酵素を発現する遺伝子組み換え植物を特徴とする。好ましい実施形態において、遺伝子組み換え植物は、8個、10個、又は12個の炭素を有する中鎖脂肪酸を優先的に生産する。本明細書において使用する場合、用語「8個、10個、又は12個の炭素を有する中鎖脂肪酸を優先的に生産する」とは、遺伝子組み換え植物によって生産される脂肪酸のうちの少なくとも50重量%が、8個、10個、又は12個の炭素を有する中鎖脂肪酸であり;遺伝子組み換え植物によって生産される脂肪酸のうちの、より好ましくは少なくとも60重量%;より好ましくは少なくとも70重量%;より好ましくは少なくとも75重量%;より好ましくは少なくとも80重量%;より好ましくは少なくとも85重量%;より好ましくは少なくとも90重量%;より好ましくは少なくとも95重量%;より好ましくは少なくとも98重量%が8個、10個、又は12個の炭素を有する中鎖脂肪酸であることを意味する。
【0061】
本発明の上記態様の好ましい実施形態において、遺伝子組み換え植物は、40%より多い長鎖脂肪酸を有するオイルを生産するその天然の状態の植物に由来する。いくつかの実施形態において、遺伝子組み換え植物は、クフェア種でない天然の植物に由来する。クフェアは、本発明の特定の実施形態において不利であり得る特定の形質を有する。例えば、「野生型のクフェア生殖質は粉々になる(shatter)ので、結果として、商業的に育成することはできない」(Seed Oils for the Future,142−154,Champaign,Ill.,AOCS 印刷中、Knapp et al.“Modifying the seed storage of lipids of Cuphea:A source of medium chain triglycerides.”)。さらに、「クフェアは、霜に耐えられず、種子が容易に粉々になり、開花を予測することができず、茎、葉及び花は粘着性の弾性毛状物でおおわれており……[そして]発芽が遅い(14〜20日間)」(Ag Innovation News,Jul−Sept.2003,Vol.12,No.3)。さらに、クフェアから十分量のオイルを取得することは、クフェアを商業的に実用化するために十分な量のオイルを生産する能力を妨害し得る。しかしながら、特定の実施形態においては、クフェアの特定のその他の特性は、改変に関して有利な植物を提供し得る。例えば、「この植物は迅速に生育して、種子はわずか6週間で成熟するので、短い季節の温暖な気候に対して理想的となる」(Ag Innovation News,Jul−Sept.2003,Vol.12,No.3)。したがって、特定の実施形態において、本明細書において開示されるようなオイルブレンドを生産する遺伝子組み換えクフェア植物体が提供される。
【0062】
本発明の上記態様のいくつかの実施形態において、改変酵素を発現する植物は、ナタネ、綿、亜麻、ピーナッツ、パーム、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、ヒマ、及びトウモロコシからなる群より選択される植物である。好ましい実施形態において、植物は、ダイズ、より好ましくはパーム、又はより好ましくはヒマ、又は最も好ましくはナタネである。特定の実施形態において、植物は、ナタネ種であり、好ましくは、ブラシカ・ナパス(Brassica napus)、ブラシカ・ユンセア(Brassica juncea)、ブラシカ・ラパ(Brassica rapa)、ブラシカ・オレルアセア(Brassica oleracea)、ブラシカ・ニグラ(Brassica nigra)、ブラシカ・カリナタ(Brassica carinata)、及びシナプシス・アルバ(Sinapis alba)(ブラシカ・アルバ・ラベン(Brassica alba Rabenh))である。
【0063】
本発明の上記態様の好ましい実施形態において、含まれる変異は、変異を含む遺伝子修復オリゴ核酸塩基を用いて、酵素中に導入される。
【0064】
核酸塩基は、プリン、ピリミジン、又はその誘導体若しくはアナログである塩基を含む。ヌクレオシドは、五炭糖フラノース成分、例えば、置換されていてもよいリボシド又は2’−デオキシリボシドを含む核酸塩基である。ヌクレオシドは、いくつかの結合成分のうちの一つにより連結され得、該成分はリンを含んでいても含んでいなくてもよい。非置換ホスホジエステル結合により連結されるヌクレオシドは、ヌクレオチドと呼ばれる。本明細書において使用する場合、「核酸塩基」には、ヌクレオシド及びヌクレオチドばかりでなく、ペプチド核酸塩基、ペプチド核酸のサブユニット、及びモルホリン核酸塩基も含まれる。
【0065】
オリゴ核酸塩基は核酸塩基のポリマーであり、このポリマーは、相補的配列を有するDNAに対してワトソン−クリック塩基対合することによりハイブリダイズすることができる。オリゴ核酸塩基鎖は、ポリマーの最端の核酸塩基である一つの5’及び3’末端を有する。特定のオリゴ核酸塩基鎖は、全てのタイプの核酸塩基を含み得る。オリゴ核酸塩基化合物は、相補的であり、且つ、ワトソン−クリック塩基対合によりハイブリダイズされる、1つ又はそれ以上のオリゴ核酸塩基鎖を含む、化合物である。核酸塩基は、デオキシリボ型又はリボ型のいずれかである。リボ型核酸塩基は、2’の炭素が水酸基、アルキルオキシ又はハロゲンで置換されているメチレンである、五炭糖フラノースを含む核酸塩基である。デオキシリボ型核酸塩基は、リボ型核酸塩基以外の核酸塩基であり、五炭糖フラノース成分を含まない全ての核酸塩基が含まれる。
【0066】
オリゴ核酸塩基鎖は、一般的に、オリゴ核酸塩基鎖と、オリゴ核酸塩基鎖の断片又は領域との両方を含む。オリゴ核酸塩基鎖は、3’末端及び5’末端を有する。オリゴ核酸塩基鎖が、ある塩基鎖と同じ広がりをもつ場合、オリゴ核酸塩基鎖の3’及び5’末端は、そのある塩基鎖の3’及び5’末端でもある。
【0067】
用語「遺伝子修復オリゴ核酸塩基」は、本明細書において、混合二本鎖オリゴヌクレオチド、非ヌクレオチド含有分子、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド、及び以下に詳述されるような他の遺伝子修復分子を含むオリゴ核酸塩基を表すために使用される。
【0068】
本発明の上記態様のさらなる実施形態において、改変される酵素は、アシル−ACPチオエステラーゼである。特定の実施形態において、改変アシル−ACPチオエステラーゼは、ナタネ、綿、亜麻、ピーナッツ、パーム、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、ヒマ、及びトウモロコシからなる群より選択される植物中に存在する。好ましい実施形態において、改変アシル−ACPチオエステラーゼは、多様なナタネ、好ましくは、ブラシカ・ナパス(Brassica napus)、ブラシカ・ユンセア(Brassica juncea)、ブラシカ・ラパ(Brassica rapa)、ブラシカ・オレルアセア(Brassica oleracea)、ブラシカ・ニグラ(Brassica nigra)、ブラシカ・カリナタ(Brassica carinata)、シナプシス・アルバ(Sinapis alba)(ブラシカ・アルバ・ラベン(Brassica alba Rabenh)、好ましくは、ブラシカ・ナパス(Brassica napus)中に存在する。特定の実施形態において、配列番号2のアミノ酸残基91〜397位に相当する領域内に1つ又はそれ以上の変異が含まれ;好ましくは、配列番号2のアミノ酸残基128〜147位、配列番号2のアミノ酸残基175〜206位、配列番号2のアミノ酸残基254〜297位、配列番号2のアミノ酸残基333〜335位、又は配列番号2のアミノ酸残基365〜397位からなる群より選択される領域内に、1つ又はそれ以上の設計された変異が含まれる。特定の好ましい実施形態において、アシル−ACPチオエステラーゼは、パルミトイル−ACPチオエステラーゼ(PTE)である。
【0069】
本発明の上記態様のさらにさらなる実施形態において、改変される酵素はケトアシルシンターゼ(KAS)である。特定の実施形態において、KAS酵素は、その活性が減少又は排除されるように改変され得る。別の実施形態において、KAS酵素は、その基質選択性が変化するように改変され得る。好ましい実施形態において、KAS酵素はKAS IIであり、1つ又はそれ以上の変異が、アミノ酸残基328〜385位に相当する領域内に存在する。好ましい実施形態において、1つ又はそれ以上の変異が、配列番号3のアミノ酸残基325〜352位又は配列番号3のアミノ酸残基355〜385位に相当する領域に存在する。より好ましい実施形態において、1つ又はそれ以上の変異が、配列番号3のアミノ酸残基325〜340位、又は配列番号3のアミノ酸残基331〜337位に相当する領域に存在する。いくつかの実施形態において、配列番号3の337位に保存されているロイシン残基に相当するアミノ酸は、変異されている。
【0070】
本発明の別の態様において、各チオエステラーゼが異なる長さの中鎖脂肪酸に対する活性を有するアシル−ACPチオエステラーゼをコードする、2つの発現されるトランスジーンを含むトランスジェニック植物が提供される。したがって、かかるトランスジェニック植物は、チオエステラーゼを発現し、中鎖脂肪酸ブレンドを生成する。
【0071】
特定の実施形態において、改変される酵素はΔ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼである。好ましい実施形態において、Δ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼの活性又は発現が増大される。好ましい実施形態において、遺伝子改変植物におけるΔ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼ活性の増大は、天然の植物と比較して増大したレベルのC16:1及び/又はC18:1;及び/又は低減したレベルのC16:0及び/又は低減したレベルのC18:0を生産する遺伝子改変植物をもたらす。特定の好ましい実施形態において、Δ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼ遺伝子は、遺伝子改変植物が低減したレベルのC16:1を生産するように改変されている。Δ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼの特定の実施形態においては、遺伝子が、パルミトイル−ACPの増大した活性を示すように改変されており;或いは、遺伝子改変植物は、綿、亜麻、ピーナッツ、パーム、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、クフェア、ヒマ又はトウモロコシであり、C16:0の増大した生産は、マカダミア(Macadamia integrifolia)、シーバックソーン(Hippophae rhamnoides)又はキャッツクロー(Doxantha unguis−cati)由来のΔ9−ステアロイルアシル−ACP遺伝子を用いて、ナタネをエステル交換することにより達成される。
【0072】
特定の実施形態において、改変される酵素はΔ12デサチュラーゼ(FAD2遺伝子によりコードされている)である。好ましい実施形態において、Δ12デサチュラーゼの活性又は発現は、抑制又は減弱される。好ましい実施形態において、遺伝子改変植物におけるΔ12デサチュラーゼ活性又は発現の抑制又は減弱化は、天然の植物と比較して、低減したレベルのC18:2及び/又はC18:3;並びに、増大したレベルのC18:1を生産する遺伝子改変植物をもたらす。
【0073】
上記態様の特定の実施形態において、第1のアシル−ACPチオエステラーゼは、C8及びC10脂肪アシル−ACP基質に対する活性を有し、発現されるトランスジーンがコードする第2のアシル−ACPチオエステラーゼは、C12脂肪アシル−ACP基質に対する活性を有する。特定の実施形態において、第1のアシル−ACPチオエステラーゼはクフェア種に由来し、第2のアシル−ACPチオエステラーゼはアルマス種に由来する。
【0074】
本発明の特定の態様において、本明細書において開示される脂肪酸混合物を有するオイルを生産するように遺伝子組み換えされた遺伝子改変植物が提供される。例えば、特定の好ましい実施形態において、8〜12個の炭素を有する飽和脂肪酸及び12〜18個の炭素を有する一価不飽和脂肪酸で混合物の80%〜100%を占め、カプリル酸(C8:0)及びカプリン酸(C10:0)で混合物の5%〜80%を占め、ラウリン酸で混合物の20%未満を占め、12個より多い炭素を有する多価不飽和脂肪酸及び飽和脂肪酸で混合物の20%未満を占める脂肪酸混合物を生産する植物が提供される。遺伝子改変植物の特定の好ましい実施形態において、植物は、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、及びラウリン酸(C12:0)は合計で、混合物の20%〜40%を占め;好ましくは、ラウリン酸(C12:0)が混合物の6%〜20%を構成し、より好ましくは、ラウリン酸(C12:0)が混合物の6%〜10%を構成し;オレイン酸(C18:1)及びパルミトレイン酸(16:1)は合計で、混合物の50%〜85%を占める上記脂肪酸混合物を生産する。遺伝子改変植物の特定の好ましい実施形態において、植物は、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、及びラウリン酸(C12:0)で混合物の60%〜85%を占め;好ましくは、ラウリン酸(C12:0)が混合物の6%〜20%を構成し、より好ましくは、ラウリン酸(C12:0)が混合物の6%〜10%を構成し;オレイン酸(C18:1)及びパルミトレイン酸(16:1)で混合物の20%〜40%を占める上記脂肪酸混合物を生産する。特定の特に好ましい実施形態において、約10%のC8;約20%のC10;約10%のC12;及び、約60%のC16:1及び/又はC18:1を有するオイルを生産する遺伝子改変植物が提供される。異なる特に好ましい実施形態において、約5%のC8;約5%のC10;約15%のC12;約70%のC16:1及び/又はC18:1;並びに、それぞれ約1%以下のC14:0、C16:0、C18:0、C18:2及びC18:3を有するオイルを生産する遺伝子改変植物が提供される。
【0075】
本発明の上記態様のいくつかの実施形態において、遺伝子改変植物は、ナタネ、綿、亜麻、ピーナッツ、クフェア、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、ヒマ、及びトウモロコシからなる群より選択される植物から作製される。特定の実施形態において、植物は、各種ナタネであり、好ましくは、ブラシカ・ナパス(Brassica napus)、ブラシカ・ユンセア(Brassica juncea)、ブラシカ・ラパ(Brassica rapa)、ブラシカ・オレルアセア(Brassica oleracea)、ブラシカ・ニグラ(Brassica nigra)、ブラシカ・カリナタ(Brassica carinata)、及びシナピス・アルバ(Sinapis alba)(ブラシカ・アルバ・ラベン(Brassica alba Rabenh))である。
【0076】
上記態様の特定の特に好ましい実施形態において、遺伝子改変植物は遺伝子組み換え植物であり;別の好ましい実施形態において、遺伝子改変植物はトランスジェニック植物である。さらなる実施形態は、トランスジェニックと遺伝子組み換えの両方を含む植物である。
【0077】
一実施形態において、遺伝子改変植物は、増大したレベルの中鎖脂肪酸(好ましくは、本発明において提供される好ましい脂肪酸ブレンドにしたがう、増大したレベルのC8:0、C10:0及びC12:0)及び/又は低減したレベルのパルミチン酸(C16:0)及び/又は低減したレベルのC18:0を遺伝子改変植物が生産するように改変されている。別の好ましい実施形態において、遺伝子改変植物は、増大したレベルの一価不飽和脂肪酸、好ましくは、増大したレベルのC16:1及びC18:1一価不飽和脂肪酸を生産し;より低レベルの飽和及び多価不飽和脂肪酸、好ましくは、より低レベルのC16:0、C18:0、C18:2及び/又はC18:3を生産するように改変されている。特に好ましい実施形態において、遺伝子改変植物は、増大したレベルの中鎖脂肪酸(好ましくは、増大したレベルのC8:0、C10:0及び/又はC12:0);低減したレベルのC16:0及びC18:0;及び増大したレベルのC16:1及びC18:1を生産するように改変されている。
【0078】
上記態様の一つの特に好ましい実施形態において、本発明において提供される脂肪酸混合物を有するオイルを生産するように遺伝的に改変されたナタネ植物体が提供される。特定の好ましい実施形態において、遺伝子組み換えナタネ植物体は、天然のナタネ植物体と比較して、増大したレベルの中鎖脂肪酸(好ましくは、本発明において提供される好ましい脂肪酸ブレンドにしたがう、増大したレベルのC8:0、C10:0及びC12:0)及び/又は低減したレベルのパルミチン酸(C16:0)及び/又は低減したレベルのC18:0を遺伝子組み換えナタネ植物体が生産するように改変されている。別の好ましい実施形態において、遺伝子組み換えナタネ植物体は、天然のナタネ植物体と比較して、増大したレベルの一価不飽和脂肪酸、好ましくは増大したレベルのC16:1及びC18:1一価不飽和脂肪酸を生産し、より低レベルの飽和及び多価不飽和脂肪酸、好ましくは、より低レベルのC16:0、C18:0、C18:2及びC18:3を遺伝子組み換えナタネ植物体が生産するように改変されている。特に好ましい実施形態において、遺伝子組み換えナタネ植物体は、増大したレベルの中鎖脂肪酸(好ましくは、増大したレベルのC8:0、C10:0及び/又はC12:0);低減したレベルのC16:0及びC18:0;及び、増大したレベルのC16:1及び/又はC18:1を生産するように改変されている。
【0079】
上記態様の別の特に好ましい実施形態において、本発明において提供される脂肪酸混合物を有するオイルを生産するように遺伝子組み換えされたダイズ植物体が提供される。特定の好ましい実施形態において、遺伝子組み換えダイズ植物体は、天然のダイズ植物体と比較して、増大したレベルの中鎖脂肪酸(好ましくは、本発明において提供される好ましい脂肪酸ブレンドにしたがう、増大したレベルのC8:0、C10:0及びC12:0)及び/又は低減したレベルのパルミチン酸(C16:0)及び/又は低減したレベルのC18:0を遺伝子組み換えダイズ植物体が生産するように改変されている。別の好ましい実施形態において、遺伝子組み換えダイズ植物体は、天然のダイズ植物体と比較して、増大したレベルの一価不飽和脂肪酸、好ましくは増大したレベルのC16:1及びC18:1一価不飽和脂肪酸を生産し、より低レベルの飽和及び多価不飽和脂肪酸、好ましくは、より低レベルのC16:0、C18:0、C18:2及びC18:3を遺伝子組み換えダイズ植物体が生産するように改変されている。特に好ましい実施形態において、遺伝子組み換えダイズ植物体は、増大したレベルの中鎖脂肪酸(好ましくは、増大したレベルのC8:0、C10:0及び/又はC12:0);低減したレベルのC16:0及びC18:0;及び、増大したレベルのC16:1及び/又はC18:1を生産するように改変されている。
【0080】
本発明の上記態様のさらなる実施形態において、遺伝子組み換え植物又はトランスジェニック植物を生産するための種子が提供される。
【0081】
本発明の上記態様のさらにさらなる実施形態において、上記遺伝子組み換え植物又はトランスジェニック植物の種子、果実、又は葉から抽出されたオイル又は脂肪酸混合物が提供される。
【0082】
本発明の別の態様において、遺伝子組み換え植物又はトランスジェニック植物から得られるオイル由来のバイオディーゼルを生産する方法が提供される。特定の実施形態において、遺伝子組み換え植物又はトランスジェニック植物由来のオイルが、バイオディーゼル製造における唯一のオイルとして使用される。別の実施形態において、遺伝子組み換え植物由来のオイルは、天然の植物、トランスジェニック植物、又はその両方由来のオイルとブレンドされ、バイオディーゼルの製造に使用される。特定の実施形態において、オイルは、遺伝子修復オリゴ核酸塩基を用いて、1つ又はそれ以上の変異が導入されている遺伝子組み換え植物に由来し、かかるオイルは、単独で、又は、トランスジェニック植物若しくは天然の植物若しくはその他の遺伝子組み換え植物から得られる1つ又はそれ以上のオイルと組み合わせて使用してもよい。特定の実施形態において、本方法は、脂肪酸アルキルエステルを含むバイオディーゼルを生産するために、1つ又はそれ以上の天然の植物から得られるオイルとブレンドされる、1つ又はそれ以上の遺伝子組み換え植物又はトランスジェニック植物の種子、果実、又は葉から抽出されたオイルのエステル交換を含む。いくつかの実施形態において、エステル交換は、該オイルをアルコール及び塩基性触媒と反応させることにより達成される。さらなる実施形態において、本方法はさらに、脂肪酸アルキルエステルを精製する工程を含み、かかる精製工程は、触媒、グリセリン、及び水の除去を含み得る。
【0083】
さらに別の実施形態において、トランスジェニック植物由来のオイルは、遺伝子組み換え植物、天然の植物、又はその両方由来の1つ又はそれ以上のオイルとブレンドされ、バイオディーゼルの製造において使用される。特定の実施形態において、トランスジェニック植物は1つ又はそれ以上のトランスジーンを発現する。特定の実施形態において、トランスジーンは、植物によって生産される中鎖脂肪酸の含有量を変化させるタンパク質を発現する。好ましい実施形態において、トランスジェニック植物は、天然の植物よりも多い量の中鎖脂肪酸を生産する。より好ましい実施形態において、トランスジェニック植物は、8個、10個、又は12個の炭素を有する中鎖脂肪酸を優先的に生産する。より好ましい実施形態において、トランスジェニック植物は、天然の植物よりも少ない長鎖脂肪酸を含むオイルを生産する。
【0084】
本発明のさらに別の態様において、脂肪酸メチルエステルブレンドの理論的融点の予測方法が提供される。この方法は、ブレンドに含まれる各脂肪酸MEに対する、個々の脂肪酸メチルエステル(X)のパーセント(w/w)、そのエステルの融点(MPX)、及び係数(FX)の積の和を計算する。したがって、例えば、(X*MPX*FX)に対応する各メチルエステルについての数式項が提供される。本方法において使用される融点及び係数の数値的定義は変動し得るが、依然として、有効な中間値をもたらす。本明細書において使用する場合、用語「係数」とは、脂肪酸メチルエステルに対応する定値のことをいう。係数はその脂肪酸MEに対するパーセント含量とその脂肪酸MEに対する融点とに掛けられ、本方法において使用されるその脂肪酸MEに対する数式項が得られる。例えば、個々の融点は、プラス又はマイナス2℃、又は5℃、又は10℃変動し得、個々の係数は、5%又は10%又は20%変動し得るが、依然として、ブレンドに対する有効な予測される融点をもたらす。
【0085】
特定の実施形態において、予測される融点PTmが以下の通り計算されるブレンドの融点の予測方法が提供される:
Tm=[(A*MPA*FA)+(B*MPB*FB)+(C*MPC*FC)+(D*MPD*FD)+(E*MPE*FE)+(F*MPF*FF)+(G*MPG*FG)+(H*MPH*FH)+(I*MPI*FI)+(J*MPJ*FJ)+(K*MPK*FK)+(L*MPL*FL)+(M*MPM*FM)]*(0.01)
式中、
Aはブレンド中のカプロン酸ME(6:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Bはブレンド中のカプリル酸ME(8:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Cはブレンド中のカプリン酸ME(10:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Dはブレンド中のラウリン酸ME(12:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Eはブレンド中のミリスチン酸ME(14:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Fはブレンド中のパルミチン酸ME(16:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Gはブレンド中のステアリン酸ME(18:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Hはブレンド中のオレイン酸ME(18:1)の重量パーセント(w/w)であり;
Iはブレンド中のリノール酸ME(18:2)の重量パーセント(w/w)であり;
Jはブレンド中のリノレン酸ME(18:3)の重量パーセント(w/w)であり;
Kはブレンド中のアラキジン酸ME(20:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Lはブレンド中のベヘン酸ME(22:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Mはブレンド中のリグノセリン酸ME(24:0)の重量パーセント(w/w)であり;
MPAは、−81℃〜−61℃であり;
MPBは、−50℃〜−30℃であり;
MPCは、−28℃〜−8℃であり;
MPDは、−5℃〜15℃であり;
MPEは、9℃〜29℃であり;
MPFは、21℃〜41℃であり;
MPGは、28℃〜48℃であり;
MPHは、−30℃〜−10℃であり;
MPIは、−45℃〜−25℃であり;
MPJは、−67℃〜−47℃であり;
MPKは、45℃〜65℃であり;
MPLは、43℃〜63℃であり;
MPMは、48℃〜68℃であり;
Aは、8〜12であり;
Bは、3.5〜5.5であり;
Cは、1.0〜1.4であり;
Dは、0.8〜1.2であり;
Eは、0.5〜0.7であり;
Fは、1.1〜1.6であり;
Gは、1.8〜2.6であり;
Hは、0.9〜1.3であり;
Iは、0.5〜0.8であり;
Jは、0.15〜0.25であり;
Kは、8〜12であり;
Lは、1.6〜2.4であり;且つ
Mは、1.6〜2.4である。
【0086】
本発明の上記態様の特定の実施形態において、予測される融点は以下の通り計算される:
Tm=[A(−71.0)(10.0)+B(−40.0)(4.5)+C(−18.0)(1.2)+D(5.2)(1.0)+E(19.0)(0.60)+F(30.7)(1.35)+G(37.8)(2.15)+H(−19.9)(1.10)+I(−35.0)(0.65)+J(−57)(0.2)+K(54.5)(10.0)+L(53.0)(2.0)+M(57.4)(2.0)]*(0.01)であり、A〜Mは上記と同様に定義される。
【0087】
上記態様の関連する実施形態において、バイオディーゼルとして使用するのに適している脂肪酸メチルエステルブレンドを同定するためのアルゴリズムが使用され、ブレンドの予測される融点が計算され、カットオフ値に対して比較される。本明細書において使用する場合、「カットオフ値」とは、所望の融点よりも低い又は等しいPTmを有するブレンドがバイオディーゼルとして使用するのに適している場合の、その融点のことをいう。特定の実施形態において、カットオフ値は、0℃、好ましくは−5℃、好ましくは−10℃、好ましくは−15℃、好ましくは−20℃、好ましくは0℃、又は好ましくは−20℃である。
【0088】
本明細書において使用する場合、用語「重量パーセント」とは、ブレンド又は混合物中のある成分の量のことをいう。通常、この用語は、混合物100グラムあたりのある成分のグラム数のことをいう。例えば、「10重量%の化合物X」を含む混合物とは、混合物100グラム中に10グラムの化合物Xを含むことをいう。
【0089】
本明細書において使用する場合、用語「バイオディーゼル」とは、植物性オイル又は動物性脂肪に由来する燃料のことをいう。一般的に、バイオディーゼルは、主として脂肪酸アルキルエステルから構成される。好ましくは、バイオディーゼルは、内燃機関における使用に適している。
【0090】
用語「バイオディーゼルブレンド」とは、バイオディーゼルと別の燃料のブレンドである燃料のことをいう。一般的に、バイオディーゼルは、石油系燃料(すなわち、石油系ディーゼル)とブレンドされる。バイオディーゼルブレンドはBXXと呼ばれる。「XX」は、ブレンド中のバイオディーゼルの量を表す。B100は、100%バイオディーゼル、すなわち「ストレートの」バイオディーゼルである。B20ブレンドは、例えば、80%の石油系ディーゼルを含むバイオディーゼルの20%容積ブレンドである。
【0091】
用語「燃料」とは、熱又は力を得るために燃焼される物質のことをいう。例えば、ガソリン、家庭用暖房用油、航空燃料、灯油、ディーゼル、バイオディーゼル、植物性油、及びバイオディーゼルブレンド等の液体が挙げられる。いくつかの燃料、例えば、ガソリン、ディーゼル、バイオディーゼル、植物性オイル、又はバイオディーゼルブレンドは、内燃機関に動力を供給するために使用することができる。
【0092】
表現「遺伝子改変植物」とは、トランスジェニック植物又は遺伝子組み換え植物のことをいう。
【0093】
本明細書において使用する場合、用語「天然の植物」とは、遺伝的改変(すなわち、トランスジェニック又は遺伝子組み換え)されていない植物のことをいう。天然の植物には、野生型植物、並びに、特定の特性を獲得するために選択育種された植物、を含む。
【0094】
表現「トランスジェニック植物」とは、別の植物種又は非植物種由来の遺伝子を有する植物のことをいう。かかる遺伝子は「トランスジーン」と呼ばれ得る。
【0095】
表現「遺伝子組み換え植物」とは、1つ又はそれ以上の遺伝的改変、例えば、1つ又はそれ以上の設計された変異を含むトランスジーン及び/又は改変酵素、を有する植物のことをいう。かかる設計された変異は、天然の酵素と異なる活性を有する改変酵素をもたらし得る。かかる違いには、基質特異性又は活性レベルの違いが含まれ得る。本明細書において使用する場合、「トランスジェニック植物」は、「遺伝子組み換え植物」の一種である。
【0096】
表現「燃料添加剤」とは、燃料に添加される液状物質のことをいい、最終的燃料の5重量%未満を構成する。
【0097】
表現「脂肪酸混合物」又は「脂肪酸のブレンド」又は「脂肪酸ブレンド」は、同義的に使用することができ、各種脂肪酸を含む組成物のことをいう。特定の実施形態において、脂肪酸混合物はオイル又はオイルのブレンドであってもよく、別の実施形態において、脂肪酸混合物は、遊離脂肪酸の混合物、又は遊離脂肪酸及びオイルの混合物、又は複数のオイルのブレンドであってもよい。特定の実施形態において、脂肪酸混合物中のいくつかの又は全ての脂肪酸は、脂肪酸アルキルエステル、例えば、脂肪酸メチルエステル、脂肪酸エチルエステル、脂肪酸プロピルエステル等を形成するように改変されてもよい。特定の好ましい実施形態において、脂肪酸アルキルエステルはメチルエステルを含む。したがって、特に指定されない限り、本明細書において使用する場合、表現「脂肪酸混合物」は、混合物中で特定された脂肪酸の脂肪酸アルキルエステルの混合物を包含する。同様に、特に指定されない限り、本明細書において使用する場合、用語「脂肪酸」は、脂肪酸のアルキルエステルを含む。
【0098】
表現「機能液」とは、燃料に添加される液状物質のことをいい、最終的燃料の5重量%より多くを構成する。
【0099】
表現「凝固点降下剤」とは、燃料の凝固点を下げるために燃料に添加される液状物質のことをいう。
【0100】
「セタン価」又はCNとは、燃料の点火特性の尺度であり、点火遅延期間に関連する。例えば、高いセタン価を有する燃料は、シリンダー中に注入された直後に燃焼し始める(すなわち、短い点火遅延期間を有することになる)。反対に、低いセタン価を有する燃料は、より長い点火遅延期間を有する。さらに、より高いセタン価は、燃焼の改善、常温始動の改善、ノイズの減少、白煙の減少、HC、CO及び粒子の排出の減少と相関し、特に初期暖気運転時においてそうである。市販の石油系ディーゼルは、通常、2つのCN範囲で見られる:レギュラーディーゼルに関して40〜46、プレミアムに関して45〜50。
【0101】
「ヨウ素価」は、植物性オイル及び脂肪における不飽和度を測定するための標準的な天然オイルアッセイによって調べられる。
【0102】
「曇り点」とは、最初にワックス状結晶が現れる温度のことをいい、この温度を調べるために、米国材料試験協会(ASTM)により標準化された試験プロトコールが使用される。
【0103】
「流動点」とは、燃料がもはや流動し得ない温度のことをいう。流動点は、通常、曇り点よりも低い。いくつかのエンジンは曇り点で動かないが、通常、全てのエンジンが流動点で動かない。
【0104】
結晶性固体の「融点」とは、該固体が固体から液体へ状態を変化する温度のことをいう。逆方向への変化(すなわち、液体から固体へ)の温度を考えた場合、それは「凝固点」と呼ばれる。大部分の物質に関しては、融点と凝固点は同じである。融点又は凝固点は流動点より低い。
【0105】
本明細書において使用する場合、「原料」とは、バイオディーゼルの調製のための出発物質として使用され得る、脂肪、脂肪酸、又はトリグリセリドから構成される物質のことをいう。バイオディーゼルの生産で使用され得る原料の例としては、植物性オイル、廃植物性オイル、及び動物性脂肪が含まれる。他の原料としては、脂肪酸又は脂肪酸アルキルエステルの混合物が含まれる。
【0106】
本明細書において使用する場合、用語「約」とは、量的表現における、プラス又はマイナス10%を意味する。例えば、「約3%」とは、2.7〜3.3%を包含し得るし、「約10%」とは、9〜11%を包含し得る。
【0107】
特に指定されない限り、本明細書において記載されるパーセンテージは重量パーセントである。
【0108】
本発明のその他の特徴及び利点は、以下の好ましい実施形態の記載及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】ブラシカ・ナパス(Brassica napus)由来のアシル−ACPチオエステラーゼ(パルミトイル−ACPチオエステラーゼ又はPTE)の部分的アミノ酸配列(配列番号1)を示す図である。
【図2】アラビドプシス(Arabidopsis)由来のアシル−ACPチオエステラーゼ(パルミトイル−ACPチオエステラーゼ又はPTE)のアミノ酸配列(配列番号2)を示す図である。
【図3】アラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)(GenBank登録番号NP_849888)由来のケトアシルシンターゼ II(KAS II)のアミノ酸配列(配列番号3)を示す図である。
【図4】アラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)(GenBank登録番号NM_179557)由来のケトアシルシンターゼ II(KAS II)のヌクレオチド配列(配列番号4)を示す図である。
【図5】バイオディーゼルがオイル又は脂肪から生成され得ることによる2つの経路を示す図である。
【図6】図6は、いくつかの例示的オイルの脂肪酸含有量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0110】
オイルのブレンド
中鎖脂肪酸の所望のブレンドを達成するために、中鎖脂肪酸の各種組成を含むオイルをブレンドすることができる。オイルは重量ベースでブレンドされる。例えば、25%のナタネオイルからなる100グラムのブレンド中で使用されるナタネオイルの量は、最終ブレンド中のナタネオイルのグラム数をナタネオイルの比重で割ることにより決定される(すなわち、25gm/0.915gm/mL=27.3mL)。
【0111】
図6は、いくつかの例示的なオイル及びそこに含まれる脂肪酸成分を含む表である。これらのオイルは各種の供給源由来のものが市販されている。脂肪酸成分の量が範囲で表現されていることが留意される。なぜなら、当該技術分野で知られるように、特定の植物中に存在する特定の脂肪酸の量は顕著に異なり得るためである。従って、それらの植物から抽出されるオイルは、バッチごとに異なる任意の又は全ての脂肪酸の量を呈示する場合がある。すなわち、ブレンド又はバイオディーゼルを製造するためには、実際に使用されるオイルにおける脂肪酸成分を調べることが通常必要である。
【0112】
脂肪酸アルキルエステルの調製
脂肪酸アルキルエステルは、脂肪酸又はトリグリセリドから製造され得る。通常、脂肪酸アルキルエステルは、脂質及びオイル中のトリグリセリドのエステル交換、又は、遊離脂肪酸のエステル化により製造される(図5)。あるいは、脂肪酸は、加水分解を介してトリグリセリドから分離され、次いで脂肪酸エステルを製造するためのエステル化に供され得る。
【0113】
脂肪酸アルキルエステルは、ダイズオイル、パームオイル、ベニバナオイル、ピーナッツオイル、トウモロコシオイル、綿種子オイル、亜麻仁オイル、ココナッツオイル、ヒマオイル、ナタネオイル、ヒマワリオイル等の各種植物由来のオイル、及び動物油脂由来の各種オイル中に見られるトリグリセリドのエステル交換反応によって調製することができる。これらのオイルを、ナトリウムアルコキシド、水酸化ナトリウム又はカリウム、又はチタンテトライソプロポキシド等の塩基性触媒存在下で、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール)と反応させる。温度及び圧力等の反応条件は、使用される特定のアルコールに基づいて選択され得る。触媒の量は通常、脂肪酸に基づいて約0.1〜約0.5重量%の範囲である。この工程により脂肪酸アルキルエステルが得られ、そのアルキル基はアルコールに由来する。従って、アルコールとしてメタノールが使用される反応では、脂肪酸メチルエステルを生じることになる。その他の副生成物にはグリセリンを含む。エステル交換生成物は、分画カラムを通過させる蒸留による減圧分画によって単離される。
【0114】
脂肪酸アルキルエステルは、エステル化を介して遊離脂肪酸から調製することができる。遊離脂肪酸は、多数の供給元から市販されており、あるいは、例えば、前述のオイルから得ることができ、硫酸、アリールスルホン酸又はアルキルスルホン酸等の酸性触媒存在下でアルコールと反応させることができる。温度及び圧力等の反応条件は、使用される特定のアルコールに基づいて選択され得る。硫酸を中和し、次いで精製して反応物の水性成分を除去することによって、脂肪酸エステルが回収される。
【0115】
脂肪酸エステルのブレンド
脂肪酸エステルは市販されており、又は、上述のような脂肪酸のエステル化によって得ることができる。脂肪酸は、バイオディーゼル、燃料添加剤、機能液、航空機又はジェット機燃料、家庭用暖房オイル又は灯油として用いるために好適な特性を有する混合物を得るためにブレンドされる。ブレンドの評価において考慮する特性としては、融点、曇り点、流動点、ヨウ素価、セタン価、粘度、酸化安定性、及び摩擦磨耗特性を含む。
【0116】
ブレンドは、重量パーセントに基づいて製造される。脂肪酸メチルエステル(FAME)をブレンドするために、FAME各成分の所望の重量パーセントをそのFAMEの比重で割る。これにより、100グラムの最終ブレンドあたりのFAMEの量が得られる。例えば、14%(wt%)のカプリン酸メチルエステル(比重0.877g/mLを有する)を含むブレンドを得るためには、100グラムの最終ブレンドを製造するために使用されるカプリン酸メチルエステルの量は、以下のように決定される。
カプリン酸メチルエステルの量=(14g/0.877g/mL)=15.96ml
すなわち、各100グラムの最終ブレンドのために、15.96mlのカプリン酸メチルエステルが必要とされるであろう。
【0117】
オイルブレンド中に含まれる脂肪酸を脂肪酸エステルに変換させて得られるFAMEのブレンド又はFAME混合物における重量パーセントの決定は、炎イオン化検出器(FID)を備えたキャピラリーガスクロマトグラフィー(Agilent Model 6890)(column−Supelco SPB−225、30M×0.32mm、膜厚0.25μm)を用いて行う。サンプルピーク面積を、較正された標準FAMEの重量がわかったピーク面積とピーク毎に比較して、サンプル中の各FAMEの重量を決定する。全ての重量を合計し、総量に対する個々のFAME重量の比率(パーセントに換算後)が重量パーセントである。
【0118】
融点
脂肪酸エステルブレンドが低融点であることは、係るブレンドがより低温の気候で使用される場合の凍結を防止するためには望ましい。脂肪酸メチルエステルのブレンドにおいて低融点を達成するための手段には、通常、従来のディーゼル燃料をブレンドする、分岐鎖エステルを有する添加剤を入れる、及び/又は、アルキル鎖中の大きさの置換、及び/又はブレンドの脱ろうを含む。本発明のブレンドは、中鎖脂肪酸メチルエステル、特にC8及びC10メチルエステルを含むことによって低融点を達成する。すなわち、特定の融点及び融点を達成するために脂肪酸エステルをブレンドすることができ、得られるブレンドを調べることができる。
【0119】
融点は、当該技術分野でよく知られた方法により調べることができる。ひとつの方法としては、脂肪酸メチルエステルブレンドの融点は、そのブレンドのアリコートを、末端を密閉したガラスキャピラリーチューブの中に入れ、水浴又はエチレングリコール浴中、そのブレンドにおける予測される融点よりも低い温度に保持して平衡化することによって調べる。一定の時間を十分に経過させてチューブ及びその内容物を平衡化後に、水浴の温度をゆっくりと上昇させる。目視又は光散乱測定装置(分光光度計)を用いてチューブを観察する。固体から液体への遷移が観察される又は光散乱が小さくなる温度を、サンプルの融点として記録する。
【0120】
上記に説明されるような単純な融点とは異なるものが、「スリップ融点」である。この方法においては、少量のサンプルを、サンプルがチューブの縦方向の中心で懸濁するように、末端を密閉したガラスキャピラリーチューブの中に入れる。水浴中で平衡化後、温度をゆっくりと上昇させ、懸濁したサンプルがちょうど落下し始めるか、又はキャピラリー中で「スリップ」し始める温度を、スリップ融点として記録する。
【0121】
固体油の融点を調べる方法は、米国穀物化学者学会(AACC)の方法番号58−40「融点キャピラリーチューブ法」、及び、方法番号58−53「スリップ融点」では認められていない方法においても詳述されている。さらに、方法は、アメリカ油化学会(American Oil Chemists Society (AOCS))公定法Cc1−25「融点キャピラリーチューブ法」及びAOCS公定法Cc3−25「スリップ融点AOCS標準オープンチューブ融点」からも入手される。
【0122】
あるいは、本明細書中に含まれるアルゴリズムを用いて、予測される融点を計算することもできる。
【0123】
曇り点及び流動点
曇り点及び流動点は、単一の装置を用いた同様の実験により決定することができる。手短に言えば、曇り点及び流動点装置中でサンプルを冷却し、冷却しながら定期的に調べる。曇りが観察される最も高い温度が曇り点である。オイルの動きが観察される最も低い温度が流動点である。この方法は、ASTM D97、D2500及び関連する規格に合致する必要がある。このような装置(K46100 Cloud Point&Pour Point Apparatus Cloud and Pour Point Chamber)は、Koehler Instrument Company, Inc., 1595 Sycamore Avenue, Bohemia, New York 11716, USAから購入可能である。
【0124】
セタン価
ディーゼル燃料(DF)の発火性は、一般的に米国材料試験協会(ASTM)の試験方法であるASTM D613により測定され、セタン価(CN)として報告される。発火性は、エンジン中の燃料の着火遅れ時間により規定される。着火遅れ時間が短いほど、CNは高くなる。化合物はセタンスケール(cetane scale)に従ってランク付けされる。セタン(C1634又はヘキサデカン)の着火遅れ時間は非常に短く、CNは100が割り当てられている。スケールにおけるもうひとつの末端には、発火性に乏しく、CNが15と割り当てられている2,2,4,4,6,8,8−ヘプタメチルノナン(HMN;C1634ともいう)が位置する。通常、長鎖で、分岐がない、飽和炭化水素(アルカン)は、高いCN及び良好な発火性有し、一方、分岐した炭化水素(及び芳香族化合物等の他の物質)は低いCNを有し、発火性に乏しい。さらに、二重結合の存在又は脂肪酸中の不飽和度は、セタン価を低下させるであろう。
【0125】
高すぎる及び低すぎるCNはいずれも、操作上の問題を引き起こす(CNが高すぎる場合には、燃料及び空気が適切に混合される前に燃焼が起こって不完全燃焼及び煙を生じ、CNが低すぎる場合には、エンジンの大きな振動、不発、空気の温度の過上昇、エンジンのウォームアップの遅さが生じ、不完全燃焼も生じる)ため、ほとんどのエンジン製造者は、エンジンに関し必要とされるCNの範囲を指定している。ほとんどの場合、この範囲はCN40〜50周辺である。例えば、標準的なディーゼル燃料(ASTM D975)に関するASTMの規格は、最低でCN40を必要とする。
【0126】
ヨウ素価
ヨウ素価は一般的に使用される飽和の尺度であり、すなわち、酸化安定性の指標である。先に述べたように、不飽和分子は飽和分子よりも酸化を受けやすい。この試験は、オイル又は燃料中の二重結合の数を測定するためにヨウ素を用いる。従って、ダイズオイル(IN=130〜135)等の高いヨウ素価を有するオイルは、非常に酸化を受けやすい一方、牛脂(IN=30〜48)等の低いヨウ素価を有する動物脂肪は、あまり酸化を受けにくい。ヨウ素価における主要な欠点は、いくつかの二重結合は他のものより迅速に酸化される点を認識しないことである。2個の二重結合を有するメチルリノレートは、1個の二重結合を有するメチルオレエートの約50倍の速度で酸化される。3個の二重結合を有するメチルリノレネートは、同じレベルの増加度ではないが、さらに早く酸化されるであろう。従って、主として飽和された中鎖脂肪酸からなるブレンドは低いヨウ素価を有し、すなわち、良好な酸化安定性を呈示することが期待される。
【0127】
変化した脂肪酸組成を有するオイルを生産する遺伝子組み換え植物の作製
米国特許第6,150,512号は、「植物のアシル−ACPチオエステラーゼの基質特異性を改変する方法、及び、そのように製造された設計された植物のアシル−ACPチオエステラーゼが提供される」こと、特に、「相対的な18:0活性が上昇したマンゴスチンGarm FatA1 18:1チオエステラーゼ」を開示している。
【0128】
米国特許第5,955,329号は、「植物のアシル−ACPチオエステラーゼの基質特異性を改変する方法、及び、設計された植物のアシル−ACPチオエステラーゼ」を開示している。特に、「C14及びC12基質にほぼ同様の活性を有する植物チオエステラーゼを得るために、C12を好む本明細書中に記載される植物アシル−ACPチオエステラーゼを変異し得る」ことが開示されている。
【0129】
Carlssonら(Plant Journal 29(6):761−770, 2002)は、「β−ケトアシル−[アシルキャリアタンパク質]シンターゼII(KASII)の活性を部分的に欠くシロイヌナズナ(Arabidopsis)のfab1変異体」を開示する。このfab1変異体は、「Leu337Phe置換をもたらすArabidopsis KAS2の配列中の単一ヌクレオチド変異」として記載されている。
【0130】
Knappら(「Modifying the seed storage of lipids of Cuphea: A source of medium chain triglycerides」、Seed oils for the Future, 142−154, Champaign, Ill., AOCS Press)は、ランダム変異導入法により作製され、変化したトリグリセリド組成を有するオイルを生産するクフェア・ビスコシッシマ(Cuphea viscosissima)変異体を開示する。
【0131】
米国特許第5,667,997号、同第5,455,167号、同第5,298,421号及び同第5,512,482号は、中鎖脂肪酸に対する特異性を有するアシル−ACPチオエステラーゼのヌクレオチド及びアミノ酸配列及び、これらの各チオエステラーゼを発現する、相当するトランスジェニック植物を開示する。
【0132】
中鎖脂肪酸を生産する遺伝子組み換え植物は、脂肪酸生合成経路内の1又はそれ以上の酵素を変異又は改変することにより製造され得る。脂肪酸生合成は、植物の色素体中で生じる。脂肪酸の合成は、酵素ケトアシルシンターゼ(KAS)により触媒される反応における、逐次的な2炭素の付加を介してアシルタンパク質担体(ACP)へと結合する2炭素の前駆体から進行する。この工程の間に、脂肪酸はエステル化を維持したままACPへと結合し、アシル部分の長さが様々であるアシル−ACP中間体のプールをもたらす。色素体中に存在するチオエステラーゼは脂肪酸及びACPの間のチオ−エステル結合を加水分解し、すなわち脂肪酸を遊離させ、それが色素体を出てトリグリセリドへと構成される。
【0133】
KASのいくつかの異性体は、特定の長さのアシル鎖に対する親和性を有する。例えば、ブラシカ・ナパス(Brassica napus)のKAS I酵素は、16炭素より長いアシル鎖にはほとんど親和性を示さないので、この酵素は16炭素を超えるアシル鎖を延長させないであろう。KAS IIは、16炭素のアシル鎖〜18炭素のアシル鎖を延長する反応を特異的に、触媒する。KAS IIは、16炭素より長い、又は短いアシル鎖には、ほとんど親和性を示さない。
【0134】
同様に、アシル−ACPチオエステラーゼは、特定の長さのアシル鎖に対し優先的な活性を有することが確認されている。例えば、18炭素の脂肪酸(例えば、オレオイル−ACPチオエステラーゼ又はOTE)を有するアシル−ACPを主として加水分解するチオエステラーゼが存在する。同様に、16炭素の脂肪酸(例えば、パルミトイル−ACPチオエステラーゼ又はPTE)有するアシル−ACPに対して優先的な活性を有するチオエステラーゼが存在する。さらに、各種の中鎖脂肪酸に対し優先的な活性を有するチオエステラーゼが報告されている。特定鎖長の脂肪酸アシル担体基質に対する、植物チオエステラーゼの「優先的な活性」は、各種の鎖長の基質に関し得られる遊離脂肪酸生成物量の比較によって決定される。例えば、「C12を好む」とは、酵素調製物の加水分解活性が、異なるアシル炭素長を有する他の基質よりも、ラウロイル、及びおそらくデカノイルに関して優先的であることが示されていることを意味する。同様に、「C10を好む」活性を有する植物チオエステラーゼは、異なるアシル炭素長を有する他の基質よりも、デカノイル基質、及びおそらくオクタノイルに対して、より高いレベルの活性を示すであろう。他の鎖長の脂肪酸アシル基質に関して、顕著に低い程度で活性が観察される場合もあることに留意されたい。従って、優先性は実質的なものではあるが、絶対的なものではない場合がある。
【0135】
好ましい実施形態において、改変酵素を発現する遺伝子組み換え植物は、本明細書中に記載されるように遺伝子修復オリゴ核酸塩基を用いて酵素中に変異を導入することによって製造される。その方法は、対象の標的遺伝子に対し、特定の変異を含む遺伝子修復オリゴ核酸塩基を、当該技術分野でよく知られた多くの方法のうち任意のもの(例えば、マイクロキャリア、マイクロファイバー、エレクトロポレーション、及びマイクロインジェクション)を用いて植物細胞中に導入し、変異酵素を有する細胞、種子又は植物体を同定することを含む。
【0136】
本明細書中で使用される場合、用語「標的遺伝子」は、改変される酵素をコードする遺伝子をいう。
【0137】
遺伝子修復オリゴ核酸塩基
本発明は、以下に詳述される構造及び化学的性質を有する「遺伝子修復オリゴ核酸塩基」を用いて実践され得る。本発明の「遺伝子修復オリゴ核酸塩基」は、以下に記載される特許及び特許刊行物中に記載される二本鎖オリゴヌクレオチド、非ヌクレオチドを含む分子、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド及び他の遺伝子修復分子の混合物を含む。本発明の「遺伝子修復オリゴ核酸塩基」は、「遺伝子組換え型オリゴ核酸塩基」「RNA/DNAキメラオリゴヌクレオチド」「キメラオリゴヌクレオチド」「二本鎖オリゴヌクレオチド(MDON)混合物」「RNA DNAオリゴヌクレオチド(RDO)」「ジーンターゲティングオリゴヌクレオチド」「ジェノプラスト(genoplast)」「一本鎖改変オリゴヌクレオチド」「一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド変異ベクター」「二本鎖変異ベクター」及び「ヘテロ二本鎖変異ベクター」等の他の名称を用いて、公表された科学文献及び特許文献中に記載されてもいる。
【0138】
Kmiecらによる米国特許第5,565,350号(Kmiec I)、及びKmiecらによる米国特許第5,731,181号(Kmiec II)中に記載される構造及び化学的性質を有し、参照によりここに組み入れられるオリゴ核酸塩基は、本発明の「遺伝子修復オリゴ核酸塩基」として使用されるために好適である。Kmiec I及び/又はKmiec II中の遺伝子修復オリゴ核酸塩基は、2つの相補的な鎖を含み、その一つは、もう一方の鎖におけるDNAタイプのヌクレオチドと対になる塩基である、少なくとも一つのRNAタイプヌクレオチドのセグメント(「RNAセグメント」)を含む。
【0139】
Kmiec IIは、プリン及びピリミジン塩基を含む非ヌクレオチドがヌクレオチドに置換され得ることを開示する。本発明に使用され得るさらなる遺伝子修復分子は、米国特許第5,756,325号、同第5,871,984号、同第5,760,012号、同第5,888,983号、同第5,795,972号、同第5,780,296号、同第5,945,339号、同第6,004,804号及び同第6,010,907号及び国際特許第PCT/US00/23457号、国際特許公開第WO98/49350号、同第WO99/07865号、同第WO99/58723号、同第WO99/58702号、及び同第WO99/40789号中に記載されるものであり得、それらの各々についてここにその全文を組み入れる。
【0140】
一実施形態において、遺伝子修復オリゴ核酸塩基は、混合された二本鎖オリゴヌクレオチドであり、そこにおいて、混合された二本鎖オリゴヌクレオチドのうちRNAタイプのヌクレオチドは、2’−ヒドロキシルをフルオロ、クロロ、又はブロモ官能基で置換するか、又2’−Oにおいて置換を入れることによりRNase耐性であるようにされている。好適な置換は、Kmiec IIにより教示される置換を含む。別の置換は、米国特許第5,334,711号(Sproat)により教示される置換、及び、特許公報EP629 387及びEP 679 657(まとめればMartinの出願)により教示される置換を含み、ここに参照により組み入れる。本明細書中に使用する場合、リボヌクレオチドの2−フルオロ、クロロ、又はブロモ誘導体又は、Martin出願あるいはSproat出願中に記載される置換で置き換えられた2’−OHを有するリボヌクレオチドを、「2’−置換リボヌクレオチド」と称する。本明細書中に使用する場合、用語「RNAタイプヌクレオチド」は、2’−ヒドロキシル又は2’−置換ヌクレオチドであって、非置換のホスホジエステル結合又はKmiec I又はKmiec IIにより教示される何らかの非天然の結合によって、二本鎖オリゴヌクレオチドの混合物における他のヌクレオチドに結合したものを意味する。本明細書中に使用される場合、用語「デオキシリボタイプのヌクレオチド」は、2’−Hを有するヌクレオチドであって、非置換のホスホジエステル結合又はKmiec I又はKmiec IIにより教示される何らかの非天然の結合によって、遺伝子修復オリゴ核酸塩基の他のヌクレオチドに結合したものを意味する。
【0141】
本発明の特定の実施形態において、遺伝子修復オリゴ核酸塩基は、不飽和のホスホジエステル結合によって単独で連結された二本鎖オリゴヌクレオチド混合物である。別の実施形態において、その結合は、Kmiec IIにより教示される置換されたホスホジエステル、ホスホジエステル誘導体及び非リンをベースとする結合によるものである。さらに別の実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチド混合物における各RNAタイプのヌクレオチドは、2’−置換ヌクレオチドである。2’−置換リボヌクレオチドの具体的な好ましい実施形態は、2’−フルオロ、2’−メトキシ、2’−プロピルオキシ、2’−アリルオキシ、2’−ヒドロキシルエチルオキシ、2’−メトキシエチルオキシ、2’−フルオロプロピルオキシ及び2’−トリフルオロプロピルオキシ置換されたリボヌクレオチドである。2’−置換リボヌクレオチドのより好ましい実施形態は、2’−フルオロ、2’−メトキシ、2’−メトキシエチルオキシ、及び2’−アリルオキシ置換ヌクレオチドである。別の実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチド混合物は、不飽和ホスホジエステル結合により連結される。
【0142】
ただ1つのタイプの2’−置換されたRNAタイプのヌクレオチドを有する二本鎖オリゴヌクレオチドの混合物は、より簡便に合成されるが、本発明の方法は、2つ又はそれ以上のタイプのRNAタイプヌクレオチドを有する二本鎖オリゴヌクレオチドの混合物を用いて実践され得る。RNAセグメントの機能は、2つのRNAタイプのトリヌクレオチドの間にデオキシヌクレオチドを導入することによってもたらされる中断によっては影響を受けない場合があり得、従って、RNAセグメントという用語は、「中断されたRNAセグメント」等を包含する。中断されないRNAセグメントは、切れ目のないRNAセグメントを用語化したものである。別の実施形態においては、RNAセグメントは、RNase−耐性変化及び無置換2’−OHヌクレオチドを含み得る。二本鎖オリゴヌクレオチドの混合物は、好ましくは、100ヌクレオチドより少なく、より好ましくは85ヌクレオチドより少ないが、50ヌクレオチドよりは多いヌクレオチドを有する。第一の及び第二の鎖はワトソン−クリック塩基対を形成する。一実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチド混合物における鎖は、第一及び第二の鎖が、ひとつの3’及びひとつの5’末端を有するひとつのオリゴヌクレオチド鎖におけるセグメントであるように、一本鎖のヘキサ、ペンタ、又はテトラヌクレオチド等のリンカーにより共有結合的に結合される。3’及び5’末端は「ヘアピンキャップ」の付加により保護されて、それにより3’及び5’末端ヌクレオチドが隣接するヌクレオチドとワトソン−クリック対を形成する。第二のヘアピンキャップがさらに、付加的に、第一及び第二の鎖の間におけるワトソン−クリック対を安定化するように、3’及び5’末端から離れた第一及び第二の鎖の間における接合点に位置する。
【0143】
第一の及び第二の鎖は、標的遺伝子の2つの断片と相同な、すなわち標的遺伝子と同じ配列を有する2つの領域を含む。相同な領域には、RNAセグメントのヌクレオチドを含み、DNAセグメントに連結する1又はそれ以上のDNAタイプのヌクレオチドを含み得、及び、DNAセグメントの間に入るDNAの内部には含まれないDNAタイプのヌクレオチドを含む。相同性を有する2つの領域は、標的遺伝子の配列とは異なる配列を有し、「非相同領域」と称される領域により分離され、且つ、それぞれがそれに隣接する。非相同領域は、1、2又は3個のミスマッチヌクレオチドを含み得る。ミスマッチのヌクレオチドは連続的であっても、あるいは、標的遺伝子と相同な1つ又は2つのヌクレオチドにより分離されていても良い。あるいは非相同領域はまた、挿入、又は、1、2、3又は5つ、もしくはより少ないヌクレオチド欠失を含み得る。あるいは、二本鎖オリゴヌクレオチド混合物の配列は、1、2、3又は5つ、もしくはより少ないヌクレオチドの欠失だけ二本鎖オリゴヌクレオチド混合物と異なっていても良い。この場合、非相同領域の長さ及び位置とは、非相同領域内部に二本鎖オリゴヌクレオチド混合物のヌクレオチドが存在しない場合であっても、欠失の長さであると考えられる。置換又は複数の置換が意図される場合に、2つの相同な領域に対し相補的な、標的遺伝子における断片間の距離は、非相補的な領域と同じ長さである。非相同な領域が挿入を含む場合、相同な領域は、それによって、二本鎖オリゴヌクレオチド混合物中で、前記遺伝子中でそれらの相補的な相同な断片がそうであるよりもさらに遠くに分離され、非相同領域が欠失をコードする場合には、逆のことが当てはまり得る。
【0144】
二本鎖オリゴヌクレオチド混合物のRNAセグメントは、相同な領域、すなわち、標的遺伝子の断片と配列が同一である領域のそれぞれの一部であり、それらのセグメントは、共に好ましくは少なくとも13個のRNAタイプのヌクレオチド、好ましくは16〜25個のRNAタイプのヌクレオチド、又はより好ましくは18〜22個のRNAタイプのヌクレオチド、又は最も好ましくは20ヌクレオチドを含む。一実施形態において、相同領域のRNAセグメントは、間に入るDNAセグメントにより分離され、隣接され、すなわち「連結され」る。一実施形態において、非相同領域の各ヌクレオチドは、間に入るDNAセグメントのヌクレオチドである。二本鎖オリゴヌクレオチド混合物の非相同領域を含む、間に入るDNAセグメントは、「突然変異誘発セグメント」と称される。
【0145】
本発明の別の実施形態において、遺伝子修復オリゴ核酸塩基は一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド変異ベクター(SSOMV)であり、国際特許第PCT/US00/23457号、米国特許第6,271,360号、同第6,479,292号、及び同第7,060,500号中に開示され、参照によりその全体を組み入れる。SSOMVの配列は、米国特許第5,756,325号、同第5,871,984号、同第5,760,012号、同第5,888,983号、同第5,795,972号、同第5,780,296号、同第5,945,339号、同第6,004,804号、及び同第6,010,907号及び国際出願公開第WO98/49350号、同第WO99/07865号、同第WO99/58723号、同第WO99/58702号、及び同第WO99/40789号中に記載される変異ベクターと同様の原理に基づく。SSOMVの配列は、突然変異誘発領域と称される所望の遺伝子変異を含む領域により隔てられた標的配列を伴う相同な2つの領域を含む。突然変異誘発領域は、標的配列中の相同な領域を分離する配列と同じ長さであるが、異なる配列を有する配列を有し得る。係る突然変異誘発領域は、置換をもたらし得る。あるいは、SSOMV中の相同な領域は互いに連続している場合もあり得、一方で、同じ配列を有する標的遺伝子中の領域が1、2、又はそれ以上のヌクレオチドにより分離されている場合もあり得る。係るSSOMVは、SSOMV中に存在しないヌクレオチドを標的遺伝子から欠失させることをもたらす。最後に、相同な領域と同一の標的遺伝子の配列は、標的遺伝子に隣接はしているが、SSOMVの配列中で1,2、又はそれ以上のヌクレオチドにより分離されている場合がある。係るSSOMVは、標的遺伝子の配列における挿入をもたらす。
【0146】
SSOMVにおけるヌクレオチドは、3’末端及び/又は5’末端のヌクレオチド間結合を除いて改変されないホスホジエステル結合により連結されているか、又は、2つの3’末端及び/又は5’末端のヌクレオチド間結合がホスホロチオエート又はホスホアミデートであり得るデオキシリボヌクレオチドである。本明細書中に使用される場合、ヌクレオチド間結合とは、SSOMVにおけるヌクレオチド間の結合であり、3’末端ヌクレオチド又は5’末端ヌクレオチドの間の結合及びブロック置換を含まない(上記参照)。特定の実施形態において、SSOMVの長さは21〜55デオキシヌクレオチドであり、相同領域の長さはそれに応じて、少なくとも全長で20デオキシヌクレオチド、且つ、少なくとも2つの相同領域はそれぞれ少なくとも8デオキシヌクレオチドの長さを有する必要がある。
【0147】
SSOMVは、標的遺伝子のコード鎖又は非コード鎖のいずれかに相補的であるよう設計することができる。所望の変異が単独塩基の置換である場合、好ましい突然変異誘発ヌクレオチドはいずれもピリミジンである。所望の機能的な成果の達成に合致する範囲で、相補鎖において突然変異誘発ヌクレオチド及び標的ヌクレオチドの両方がピリミジンであることが好ましい。特に好ましいのは、塩基置換変異をコードするSSOMV、すなわちC又はT突然変異誘発ヌクレオチドが、相補鎖におけるC又はTヌクレオチドとそれぞれミスマッチするSSOMVである。
【0148】
オリゴデオキシヌクレオチドに加えて、SSOMVは、リンカーを介して5’末端の炭素に結合した5’ブロック置換を含み得る。リンカーの化学的特性は、その長さ以外は重大性を有さないが、好ましくは少なくとも6原子の長さを有し、且つ、リンカーは柔軟性を有する必要がある。ビオチン、コレステロール又はその他のステロイド、又は非インターカレート陽イオン蛍光色素等の各種の非毒性置換が用いられ得る。SSOMVを作製する試薬として特に好ましいものは、Cy3(商標)及びCy5(商標)としてGlen Research, Sterling Va.により販売されている試薬であり、これらはブロック化されたホスホロアミダイトであり、オリゴヌクレオチド中への取り込みにより、3,3,3’,3’−テトラメチル N,N’−イソプロピル置換されたインドモノカルボシアニン及びインドジカルボシアニン色素をそれぞれ生じる。Cy3が最も好ましい。インドカルボシアニンがN−オキシアルキル置換される場合、それは5’末端リン酸を有するホスホジエステルを介して、オリゴデオキシヌクレオチド5’末端へとたやすく連結され得る。色素及びオリゴデオキシヌクレオチドの間の色素リンカーにおける化学的特性は重大なものではなく、合成の利便性に関して選択される。市販のCy3ホスホロアミダイトが指示通りに使用される場合、得られる5’の改変は、ブロック置換及びリンカーが一緒になって、N−ヒドロキシプロピル、N’−ホスファチジルプロピル3,3,3’,3’−テトラメチルインドモノカルボシアニンを構成する。
【0149】
好ましい実施形態において、インドカルボシアニン色素はインドール環の3及び3’の位置に4つの置換を有する。理論として限定されることはないが、これらの置換は色素がインターカレート色素であることを妨げる。これらの置換位置の同一性は、重大なものではない。SSOMVはさらに、3’ブロック置換を有し得る。再度述べるが、3’ブロック置換の化学的特性は重大なものではない。
【0150】
改変酵素
脂肪酸生合成経路に関与する酵素をコードする遺伝子は、変異のための好ましい標的である。いくつかの実施形態において、標的遺伝子はアシルACPチオエステラーゼをコードする。別の実施形態において、標的遺伝子はケトアシルシンターゼ(KAS)をコードする。変異は、酵素の活性を低減させるか又は失わせるように、あるいは酵素の活性を変化させる(例えば、基質選択性の変化等)ように設計され得る。いくつかの実施形態において、Δ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼ遺伝子が改変される。特定の実施形態においては、Δ12デサチュラーゼをコードするFAD2遺伝子が、リノレン酸(18:3)及びリノール酸(18:2)のレベルを低減させ、オレイン酸(18:1)のレベルを増加させるための標的とされる。
【0151】
本発明の特定の実施形態においては、天然型アシルACPチオエステラーゼが変異される。一実施例においては、ブラシカ・ナパスのアシルACPチオエステラーゼが、配列番号2におけるアミノ酸残基の91〜397番目に相当する領域中で変異される。好ましい実施形態において、配列番号2におけるアミノ酸残基の128〜147番目、配列番号2におけるアミノ酸残基の175〜206番目、配列番号2におけるアミノ酸残基の254〜297番目、配列番号2におけるアミノ酸残基の333〜335番目、又は配列番号2におけるアミノ酸残基の365〜397番目に相当する領域中に1又はそれ以上の変異が存在する。
【0152】
本発明の他の実施形態においては、天然型ケトアシルシンターゼ(KAS)酵素が変異される。一例を挙げれば、KAS酵素はKAS II酵素であり、配列番号3におけるアミノ酸残基の325〜385番目に相当する領域中で変異される。好ましい実施形態において、配列番号3におけるアミノ酸残基の325〜352番目、又は配列番号3におけるアミノ酸残基の355〜385番目に相当する領域中に、1又はそれ以上の変異が存在する。より好ましい実施形態において、配列番号3におけるアミノ酸残基の325〜340番目、又はさらには配列番号3におけるアミノ酸残基の331〜337番目に相当する領域中に、1又はそれ以上の変異が存在する。いくつかの実施形態においては、配列番号3におけるアミノ酸残基の337番目の保存されているロイシンに相当するアミノ酸残基が変異される。特定の実施形態において、配列番号3におけるアミノ酸残基の337番目の保存されているロイシンに相当するアミノ酸残基は、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン又はヒスチジンに変異される。別の実施形態において、配列番号3におけるアミノ酸残基の331番目の保存されているフェニルアラニンに相当するアミノ酸残基が変異される。特定の実施形態において、配列番号3におけるアミノ酸残基の331番目の保存されているフェニルアラニンに相当するアミノ酸残基は、グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、システイン、又はバリンに変異される。
【0153】
遺伝子修復オリゴ核酸塩基の植物細胞への送達
本発明の方法においては、遺伝子修復オリゴ核酸塩基を用いて植物細胞を形質転換するために、一般的に知られた任意の方法を用いることができる。例示的な方法としては、以下に記載されるマイクロキャリア又はマイクロファイバー、エレクトロポレーション及びマイクロインジェクションの使用が挙げられる。
【0154】
いくつかの実施形態において、DNAの大きな断片を穿刺的な浸透(バイオリスティックデリバリー)によってセルロース細胞壁を有する植物細胞へと導入するために、金属性マイクロキャリア(マイクロスフェア)が使用され、それは関連技術分野の当業者によりよく知られている。マイクロキャリアの選択及びそれを穿刺するための装置に関する一般的な手法は、米国特許第4,945,050号、同第5,100,792号、及び同第5,204,253号中に記載されている。
【0155】
本発明の方法においてマイクロキャリアを用いるための特定の条件は、国際出願公開第WO99/07865号、同第US09/129,298号中に記載されている。例えば、氷冷マイクロキャリア(60mg/mL)、二本鎖オリゴヌクレオチド混合物(60mg/mL)、2.5MのCaCl2及び0.1Mのスペルミジンをその順で加え;例えば、10分間ボルテックスに供する等により、混合物を静かに撹拌し、室温に10分間静置して、その後直ちにそのマイクロキャリアを5倍量のエタノールにて希釈し、遠心分離して100%エタノール中に再懸濁する。付着溶液中の例示的な濃度を有する成分には8〜10μg/μLのマイクロキャリア、14〜17μg/μLの二本鎖オリゴヌクレオチド混合物、1.1〜1.4MのCaCl2及び18〜22mMのスペルミジンを含む。一例を挙げれば、成分の濃度は8μg/μLのマイクロキャリア、16.5μg/μLの二本鎖オリゴヌクレオチド混合物、1.3MのCaCl2及び21mMのスペルミジンである。
【0156】
本発明の実践に関し、細胞壁及び細胞膜に浸透させるためにマイクロファイバーを用いて、遺伝子修復オリゴ核酸塩基を植物細胞へと導入することもできる。Coffeeらの米国特許第5,302,523号は、ブラックメキシカンスイート種のトウモロコシ培養物の懸濁液における形質転換を助けるための、30×0.5μm及び10×0.3μmのシリコンカーバイド製ファイバーを記載している。植物細胞の形質転換のためにマイクロファイバーを用いてDNAを導入する任意の機械的技術を、遺伝子修復オリゴ核酸塩基を送達するために使用することができる。
【0157】
遺伝子修復オリゴ核酸塩基のマイクロファイバー送達における1実施例は、以下の通りである。滅菌したマイクロファイバー(2μg)を、約10μgの二本鎖オリゴヌクレオチド混合物を含む150μLの植物培養培地中に懸濁する。懸濁培養物を静かに置いて、等量の高濃度の細胞及び滅菌ファイバー/ヌクレオチド懸濁液を10分間ボルテックスで混合し、プレートに撒く。選択培地を直ちに、又は、特定の特性に関して適当であるように120時間までの間に利用する。
【0158】
別の実施形態において、遺伝子修復オリゴ核酸塩基は、植物の部分に由来するプロトプラストのエレクトロポレーションによって植物細胞へと送達され得る。プロトプラストは、植物の部分、特に葉を、当業者によく知られた技術に従って酵素的に処理することにより形成される(例えば、Gallois et al., 1996, in Methods in Molecular Biology 55:89−107, Humana Press, Totowa, N. J.; Kipp et al., 1999, in Methods in Molecular Biology 133:213−221, Humana Press, Totowa, NJ.参照)。プロトプラストは、エレクトロポレーション前に生育培地中で培養される必要がない。エレクトロポレーションに関する例示的な条件は、0.6〜4μg/mLの間の濃度で遺伝子修復オリゴ核酸塩基を含む総容量0.3mL中に3×105個のプロトプラストを含む条件である。
【0159】
さらに別の実施形態において、遺伝子修復オリゴ核酸塩基は、植物細胞のウィスカー法又はマイクロインジェクションにより、植物細胞へと送達され得る。いわゆるウィスカー法は、原則的にFrame et al., 1994, Plant J. 6:941−948中に記載されるように実行される。遺伝子修復オリゴ核酸塩基をウィスカーに添加し、植物細胞を形質転換するために用いる。オリゴヌクレオチド及び標的遺伝子中の標的配列の間で遺伝子修復が触媒されるように、遺伝子修復オリゴ核酸塩基を、植物細胞でリコンビナーゼ及び/又は遺伝子修復複合体を形成可能なタンパク質をコードする配列を含むプラスミドと共にインキュベートすることができる。
【0160】
改変酵素を有する植物の選択
改変酵素を発現する植物又は植物細胞は、多数の手段を介して同定することができる。1つの方法においては、同じ試験において、選択可能な変換(すなわちマーカー)及び選択不可能な変換(例えば、対象の標的遺伝子)の両方を標的とするための、遺伝子修復オリゴ核酸塩基(RON)を用いた共変換ストラテジーである。例えば、カノーラ中のALS(又はAHAS)遺伝子は、in vitroでのイミダゾリノン(IMI)分類の除草剤耐性(遺伝子変換を介して)を提供するための単一のアミノ酸変化により改変され得る。ALS遺伝子及びその他の標的遺伝子/アレルの変換を標的とする遺伝子修復オリゴ核酸塩基の同時送達、及び、得られるIMI上の再生カルスの選択は、変換能力を有する集団を同定する。この方法により、RONが送達されなかったか、又はRONにより特定される変換を送達できなかった細胞が振り落とされることになるであろう。未処理の遺伝子を標的とするRONの送達は、選択的であることが期待されないため、ある程度の頻度で、ALS変換を有するカルスを再生することも、その他の標的とされる遺伝子のひとつにおける変換を有することが期待されるであろう。変換事象は、単一ヌクレオチド多型(SNP)分析により解決されるであろう。
【0161】
従って、変換能力を有するとみなされたプロトプラストから再生した個々の植物体に由来する葉原料、及び、例えば、各標的に関するアレル−特異的なポリメラーゼ連鎖反応(ASPCR)等のSNP検出技術を用いた個々のDNAサンプルのスクリーニングから、ゲノムDNAを抽出する。各標的に関し陽性と推定される植物を、土に慣らして移植する。陽性植物中の配列変化を独立的に確認するために、標的遺伝子における適当な領域をPCR増幅し、得られる単位複製配列を直接配列決定するか、又はクローニングして複数の挿入部を配列決定することができる。複数の変化が同一の遺伝子内で起こるであろう場合には、その転換体をその親と戻し交配して、標的遺伝子由来の変換されたALS耐性遺伝子の分離を可能にすることができる。
【0162】
あるいは、変異を対象遺伝子へと取り込ませることは、抽出された核酸中の単一ヌクレオチド変異を検出するために設計された多くの分子生物学的手法における任意のもの(例えば、PCR等の増幅方法及び単一ヌクレオチドプライマー延長分析)を用いて同定することができる。より大きな変異は、変異される標的遺伝子の増幅及び配列決定により検出することができる。
【0163】
あるいは、改変酵素を含む植物又は植物細胞は、植物により製造される脂肪酸の組成分析によって同定することができる。すなわち、植物を生育させてオイルを抽出し、当該技術分野で知られた方法(例えば、ガスクロマトグラフィー)を用いて分析することができる。
【0164】
2種のチオエステラーゼトランスジーンを発現するトランスジェニック植物の作製
各種の長さの中鎖脂肪酸のアシル基質を好むチオエステラーゼをコードする2種のトランスジーンを発現するトランスジェニック植物は、当該技術分野でよく知られた方法により作製することができる。
【0165】
従って、植物チオエステラーゼは、各種の供給源から入手することができる。顕著な量の中鎖脂肪酸を生産する植物は、中鎖を好む植物チオエステラーゼをコードするDNA配列の好ましい供給源である。例えば、プロクンベンス(procumbens)、ルテア(lutea)、フッケリアナ(hookeriana)、ヒソピフィリア(hyssopifolia)、リーティ(wrightii)及びインフラータ(inflata)等のクフェア属の数種の種は、中鎖脂肪酸を含むトリグリセリドを種子中に蓄積する。さらに、ニレ(Ulmus americana)は、顕著な中鎖脂肪酸を含むことが示されている。さらに、クスノキ科に属するもの:例えば、ピサ(Actinodophne hookeri)、ゲッケイジュ(Laurus nobilis)、及びカリフォルニアベイ(Umbellularia californica)は、中鎖脂肪酸を有する種子を作る。さらなる供給源には、C14脂肪酸を蓄積すると報告されているニクズク科(Myristicaceae)、ニガキ科(Simarubaceae)、ウォキシア科(Vochysiaceae)及びサルバドラ科(Salvadraceae)、及びエリスマ(Erisma)、ピクランニア(Picramnia)およびビロラ(Virola)の雨林の種を含む。中鎖を好むチオエステラーゼを有する植物のいくつかの例、及びそれらの好ましい基質を表1に示す。
【0166】
【表1】

【0167】
その他の植物もまた、特定の脂肪酸アシル鎖長に関する選択性を有する所望のチオエステラーゼの供給源となり得る。係るさらなる植物チオエステラーゼは、各種植物オイルのトリアシルグリセリド組成を分析することにより同定し得る。特定のチオエステラーゼの存在は、適当なアシル−ACP基質を用いた分析により確認することができる。例えば、C10を好むアシル−ACPチオエステラーゼに関するアッセイは、WO91/16421号中に記載され、係るアッセイに関し用いられる。
【0168】
対象の植物チオエステラーゼをコードするDNA配列を含む植物発現構築物は、広範な各種の植物、特に、食用及び工業用途に関する植物性オイルの生成に利用される植物中で使用され得る。好ましい植物は油料種子作物であり、限定するものではないが、ナタネ(カノーラ及び高エルカ酸品種)、ヒマワリ、ベニバナ、綿、クフェア、ダイズ、ピーナッツ、ココナッツ及びオイルパーム、及びトウモロコシである。
【0169】
そのための宿主細胞が植物細胞である植物発現構築物は、植物中で機能を発揮する調節領域(例えば、プロモーター及び終結領域)を含むこととなる。従って、トランスジェニック植物をもたらす、発現されるべきタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORP)は、5’末端が転写開始調節領域又は、天然の遺伝子中に見られるプロモーター等のプロモーターの末端に連結される。構造遺伝子の機能における、各種の本質的なもしくは誘導的な転写を引き起こす、多数のその他の転写開始領域が利用可能である。植物に関し使用される転写開始領域の中には、CaMV 35S及びノパリン及びマンノピンシンターゼ、ナピン、ACPプロモーター等に関する、構造遺伝子内に会合する係る領域がある。係る構造遺伝子に相当する転写/翻訳開始領域は、各開始コドンの5’側のすぐ上流に見られる。対象の植物宿主を原産とするプロモーター又は改変されたプロモーター、すなわち、1つの遺伝子供給源に由来する転写開示領域及び、対象の植物チオエステラーゼをコードする配列を含む別の遺伝子供給源に由来する翻訳開始領域を有するプロモーター、又は、2倍の35S CaMVプロモーター等の強化されたプロモーター等、特定のプロモーターが所望される場合、その配列は標準的な技術を用いて一緒に連結され得る。植物中で中鎖チオエステラーゼを発現することが望まれるほとんどの適用に関しては、種子特異的なプロモーターの使用が好ましい。さらに、組換え体構築物を宿主細胞へと導入するための方法によっては、発現構築物中にさらなる要素が必要とされ得る。例えば、形質転換細胞に対する選択マーカーをコードするDNAを発現構築物中に含ませることが可能である。従って、この構築物は細胞毒性物質(例えば抗生物質、重金属、毒物等)に対する耐性や、栄養要求性の宿主に対し原栄養を与える相補性、ウィルス免疫等を付与し得る。異なる宿主種の数に応じて、発現構築物又はその要素が導入され、1又はそれ以上のマーカーが利用され得、そこにおいては、異なる宿主に関し、各種の選択条件が使用される。
【0170】
植物の形質転換における各種の方法が当該技術分野において良く知られている。例えば、アグロバクテリウム感染を介した形質転換、マイクロインジェクション、DNA粒子粒子衝突及びエレクトロポレーションが一般的に使用される。さらに、作物を形質転換するための、より新しい方法が利用可能であり、係る方法も使用することができる。植物の形質転換の例は、米国特許第5,667,997号中に見ることができる。
【0171】
2以上のトランスジーンを発現するために、発現構築物を各トランスジーンについて作製することができる。植物を次いで、一番目のトランスジーン及び植物を選択可能なマーカーを含む第一の発現構築物を用いて形質転換する。選択培地上で生育させた再生物(Regenerant)を、例えば、ウェスタンブロッティング法を用いて、トランスジーンの発現に関しスクリーニングすることができる。トランスジーンを発現する植物を生育させて成熟させ、種子を作らせて、そこから第二世代の植物(T2)を作製することができる。
【0172】
そこで、二番目のトランスジーン及び第二の植物選択マーカーを含む第二の発現構築を用いた第二ラウンドの形質転換のために、T2世代を用いる。(植物選択マーカーの除去又は不活化方法は、(例えば、WO92/01370中に開示されたように)当該技術分野で知られている。)選択培地上で再生物を生育させて成熟させ、種子を作らせて、次世代の植物(T3)を生育させる。このT3世代を、野生型植物と比較した中鎖脂肪酸の増加に関し、スクリーニングする。
【0173】
中鎖脂肪酸及び一価不飽和脂肪酸が所望のバランスを有するオイルを有している遺伝子改変植物の作製
いくつかの実施形態において、Δ12デサチュラーゼ(FAD2遺伝子)の発現又は活性を低減させることにより、遺伝子改変植物中のリノレン酸(18:3)及びリノール酸(18:2)のレベルの減少ならびにオレイン酸(18:1)の増加が達成され;好ましくは、標的とされるFAD2遺伝子はナタネ、綿、亜麻、ピーナッツ、パーム、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、クフェア、又はトウモロコシFAD2遺伝子である。好ましい実施形態において、FAD2の発現又は活性は、前記遺伝子をコードする配列中に停止コドンを作製することにより;又はヌクレオチドを欠失又は付加することによりフレームシフト変異を作製することによって低減される。
【0174】
好ましい実施形態において、パルミトレイン酸(C16:1)及び/又はオレイン酸(18:1)のレベルを増加させるために、遺伝子改変植物中でΔ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼ遺伝子が改変され;好ましくは、前記遺伝子改変植物は、ナタネ、綿、亜麻、ピーナッツ、パーム、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、クフェア、及びトウモロコシからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態において、Δ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼの発現及び又は活性が増加されて、一価不飽和脂肪酸の生産の増加及び飽和脂肪酸の減少を助ける;より好ましくは、天然の植物と比較して、遺伝子組み換え植物中でのC16:1及び/又はC18:1のレベルが増加され、C16:0及び/又はC18:0のレベルが低減される。別の実施形態において、Δ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼ遺伝子は、その遺伝子改変植物が増加されたレベルのC16:1を生産するように改変される。特定の実施形態において、Δ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼ遺伝子は、パルミトイル−ACPに関する増加された活性を示すように改変される。例えば、Cahoon, E. B. 及び Shanklin, J, 2000. Substrate−dependent mutant complementation to select fatty acid desaturase variants for metabolic engineering of plant seed oil, Proc. Nat. Acad. Sci. 97(22):12350−12355を参照されたい。関連する実施形態において、マカダミア(マカダミア・インテグリフォリア)、シーバックソーン(ヒッポファエ・ラムノイデス)又はキャットクロー(ドキサンタ・アンギス−カティ)由来のΔ9−ステアロイルアシル−ACP遺伝子を用いてナタネを形質転換することにより、C16:0の増加された生成が達成される。特定の実施形態において、本明細書中に開示されるように、Δ9−ステアロイルアシル−ACP遺伝子の改変に加えてKASII遺伝子の活性又は発現は低減し、18:1及び16:1脂肪酸のさらに高いレベルが達成される;より好ましい実施形態においては、本明細書中に開示されるように遺伝子改変植物中のPTE酵素も改変され、短鎖脂肪酸のレベルも増加され;より好ましい実施形態においては、遺伝子改変植物中のΔ12デサチュラーゼも、低減された活性又は発現を有するように改変される。
【0175】
特定の好ましい実施形態において、植物(好ましくはナタネ、綿、亜麻、ピーナッツ、パーム、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、又はトウモロコシ植物)を、本明細書中に開示されたように、増加されたレベルの短鎖/中鎖脂肪酸を有するように、以下の方法によって遺伝子を改変する:(1)パルミトイルチオエステラーゼ(PTE)の基質特異性を変化させてカプリロイル−ACP(C8)、カプロイル−ACP(C10)、及びラウロイル−ACP(C12)を伴う活性を増加させるか、又は短鎖長への特異性を有するクフェア、ココナッツ、パーム、ババス、ホシダネヤシ(Astrocaryum vulgare)、ニレ(Ulmus Americana)、ケヤキ(Japanese Zelkova(Zelkova serrata))又はマートル(California bay(Umbellularia californica))由来のアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子を用いた形質転換を行う;及び(2)KASII遺伝子の活性を低減させる。特定の好ましい実施形態において、本明細書中に開示されるようにPTE及び/又はKASII遺伝子を変化させることにより、増加されたレベルの短鎖/中鎖脂肪酸を有するように植物を遺伝子改変し;Δ12デサチュラーゼの発現又は活性を低減させることにより、低減されたレベルの多価不飽和脂肪酸(好ましくは低減されたレベルのC18:2及びC18:3)を有するよう、さらに改変し;より好ましくは、Δ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼ遺伝子を改変することにより、パルミトレイン酸(C16:1)及び/又はオレイン酸(18:1)のレベルを増加させ、かつC16:0及び/又はC18:0のレベルを低減させるように植物をさらに改変する。
【0176】
脂肪酸メチルエステルの予測される融点の計算
脂肪酸メチルエステルブレンドにおける、予測される融点PTmは、各脂肪酸メチルエステルの量を用いて、重量/100gとして表現され、以下の式で表される。
Tm=[A(−71.0)(10.0)+B(−40.0)(4.5)+C(−18.0)(1.2)+D(5.2)(1.0)+E(19.0)(0.60)+F(30.7)(1.35)+G(37.8)(2.15)+H(−19.9)(1.10)+I(−35.0)(0.65)+J(−57)(0.2)+K(54.5)(10.0)+L(53.0)(2.0)+M(57.4)(2.0)]*(0.01)
であり、
Aは前記ブレンド中のカプロン酸ME(6:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Bは前記ブレンド中のカプリル酸ME(8:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Cは前記ブレンド中のカプリン酸ME(10:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Dは前記ブレンド中のラウリン酸ME(12:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Eは前記ブレンド中のミリスチン酸ME(14:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Fは前記ブレンド中のパルミチン酸ME(16:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Gは前記ブレンド中のステアリン酸ME(18:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Hは前記ブレンド中のオレイン酸ME(18:1)の重量パーセント(w/w)であり;
Iは前記ブレンド中のリノール酸ME(18:2)の重量パーセント(w/w)であり;
Jは前記ブレンド中のリノレン酸ME(18:3)の重量パーセント(w/w)であり;
Kは前記ブレンド中のアラキジン酸ME(20:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Lは前記ブレンド中のベヘン酸ME(22:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Mは前記ブレンド中のリグノセリン酸ME(24:0)の重量パーセント(w/w)である。
【0177】
いくつかの実施形態において、予測される融点は、バイオディーゼルに使用するために好適なブレンドを予測するために使用され得る。これらの実施形態において、予測される融点は、カットオフ値(すなわち、バイオディーゼルのために所望される融点)と比較される。カットオフ値より小さいあるいはそれと同等な予測される融点を有するそれらのブレンドは、バイオディーゼルとしての使用に対し好適である。
【0178】
以下の実施例は、本発明を説明するための役割を果たす。これらの実施例は、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例1】
【0179】
脂肪酸メチルエステルブレンド1
以下の表中に示す脂肪酸メチルエステルの組成を有する、脂肪酸メチルエステルのブレンド(「ブレンド1」)を調製する。下表に記載の量を用いて、脂肪酸メチルエステルを共に混合することにより、100gのブレンド1を調製する。
【0180】
【表2】

【0181】
発明の方法により計算した場合の、ブレンド1の予測される融点PTmは−41.6℃である。
【実施例2】
【0182】
脂肪酸メチルエステルブレンド2
以下の表中に示す脂肪酸メチルエステルの組成を有する、脂肪酸メチルエステルのブレンド(「ブレンド2」)を調製する。上記の表に記載の量を用いて、脂肪酸メチルエステルを共に混合することにより、100gのブレンド2を調製する。
【0183】
【表3】

【0184】
発明の方法により計算した場合の、ブレンド2の予測される融点PTmは−24.3℃である。
【実施例3】
【0185】
脂肪酸メチルエステルブレンド3
以下の表中に示す脂肪酸メチルエステルの組成を有する、脂肪酸メチルエステルのブレンド(「ブレンド3」)を調製する。上記の表に記載の量を用いて、脂肪酸メチルエステルを共に混合することにより、100gのブレンド3を調製する。
【0186】
【表4】

【0187】
発明の方法により計算した場合の、ブレンド3の予測される融点PTmは−15.0℃である。
【実施例4】
【0188】
脂肪酸メチルエステルブレンド4
以下の表中に示す脂肪酸メチルエステルの組成を有する、脂肪酸メチルエステルのブレンド(「ブレンド4」)を調製する。上記の表に記載の量を用いて、脂肪酸メチルエステルを共に混合することにより、100gのブレンド4を調製する。
【0189】
【表5】

【0190】
発明の方法により計算した場合の、ブレンド4の予測される融点PTmは−11.9℃である。
【実施例5】
【0191】
オイルブレンドA
下表に示す脂肪酸組成を有するココナッツオイル及びクフェア・ランセオラータオイルを混合することにより、下表に示す脂肪酸組成を有する、2種のオイルのブレンド(「ブレンドA」)を調製する。
【0192】
【表6】

【0193】
ブレンドAは、75重量%の上記ココナッツオイルを25重量%の上記クフェア・ランセロラータオイルと混合することにより調製することができる。25グラムのクフェア・ランセロラータオイル(25gm/0.92gm/ml=27.2mL)を75グラムのダイズオイル(75gm/0.924gm/mL=81.2mL)とあわせ、100グラムのブレンドAを調製する。
【実施例6】
【0194】
オイルのFAMEへの変換
各種のタイプの市販の植物オイル(ダイズ、カノーラ、トウモロコシ、マカダミア、オリーブ、ベニバナ、ヒマワリ、ピーナッツ、クルミ、ヤシ、ココナッツ及びヒマのオイル)を販売元から入手した。200グラムの各オイルをガラス製のスクリューボトル中で秤量し、2倍量(w/v)のナトリウムメトキシド試薬(5%w/vのナトリウムメトキシド/メタノール)とあわせた。2時間室温にて混合後、50mlのヘキサンを添加し、力強く混合して相を分離させた。下側のグリセロール含有層を除去し、廃棄した。上層を真空下でロータリーエバポレーターにて処理し、ヘキサン及びなんらかの残留する揮発性物質を除去した。FAMEの最終溶液を、きつく蓋をしたガラス製ボトル中、窒素ガスの下で室温にて保存した。
【実施例7】
【0195】
脂肪酸のFAMEへの変換
100グラムの各種脂肪酸、又は脂肪酸混合物をガラス製ボトル中に秤量し、200mlの無水メタノール/1%硫酸とあわせた。各混合物を窒素ガスで被覆し、きつく蓋をした容器中に入れた。この反応ボトルをインキュベーター中、50℃、4時間置いた。インキュベーション中、混合物を時々振って反応物を混合した。混合物をガラス製液漏斗に移し、100mlの5%(w/v)塩化ナトリウム水溶液とあわせた。混合物を力強く振って、静置することにより相を分離させた。下側の水層を除去し、廃棄した。上層を清浄な乾燥したボトル中に移し、5グラムの無水硫酸ナトリウムとあわせた。この混合物を、全ての目に見える水滴が除去されるまで力強く振った。混合物を次いで、Whatman 1濾紙を通過させて濾過した。硫酸ナトリウム及び濾過装置をヘキサンですすぎ、さらなるFAMEを回収し、洗浄液を非水性画分に加えた。あわせた濾液及び洗浄液を真空下でロータリーエバポレーター中に入れ、ヘキサン及び残留する揮発性物質を除去した。FAMEの最終溶液を、窒素ガスで被覆してきつく蓋をしたテフロン(登録商標)で裏打ちされたキャップを有する褐色ガラス製ボトル中に移し、4℃にて保存した。、上記に使用されるメタノールに代えて、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、又はt−ブタノールを代用するこのプロトコルを用いて、他のエステルを合成した。
【実施例8】
【0196】
アルキルエステル混合物の低温試験
アルキルエステル及びエステル混合物の低温特性を、上述のオイル又は脂肪酸から得られた純粋なアルキルエステル又はエステル混合物のアリコートを10mm×100mmのガラス製試験管にピペットで入れ、最終溶積1.0mlとすることによって試験した。ポリプロピレン製のスナップキャップを用いて試験管に蓋をし、プラスチック製のラック中に置いた。次いで、ラック中に置かれた試験管を、サンプルの頂部から上の深さが1〜2cmとなるように、50%エチレングリコール/水の冷溶液中に沈めた。サンプルを0、−10、−15、−20及び−25℃にて連続的に試験するために、一連のウォーターバスを使用した。サンプルは試験温度にて1時間保持し、各チューブを引き上げて、曇り、固化、及び、注ぎ/流れ特性を調べた。さらに、選ばれたサンプルを独立した試験研究所(Intertek−Caleb−Brett Laboratories)に送って、ディーゼル燃料に関する好適なASTM標準法(ASTM D−97−06、ASTM D−2500−05、及びASTM D6371)を用いた、流動点、曇り点及び目詰まりを評価した。エステル及びエステル混合物の曇り点は、携帯型ディーゼル燃料曇り点分析機、モデルCPA−T30(Phase Technology Corp.)を用いて測定することも可能であった。10mlのプラスチック製注射器をエステル又はエステル混合物で満たし、装置に注入した。10分後、装置は、正確な曇り点温度の読みを示した。
【実施例9】
【0197】
B100種子オイル及び#2ディーゼルの融点
一連のB100バイオディーゼル溶液(脂肪酸アルキルエステル)を、実施例6記載の手順に従って、ダイズ、カノーラ、トウモロコシ、マカダミア、オリーブ、ベニバナ、ヒマワリ、ピーナッツ、クルミ、パーム、ココナッツ、及びヒマのオイルを含む植物性オイルから調製した。これらの燃料を、実施例8に記載される手順に従って、低温流量特性に関して市販の石油をベースとしたディーゼル#2(Shell Oil Co., San Diego, CA)と比較した。各流体を+20〜−20℃の各種温度でインキュベートした効果を下表に示し、それは、所定の温度で1時間インキュベーション後にその流体が液体か固体かを示した(流動点)。ディーゼル燃料は−15℃までは液体であったが、−20℃で1時間置いた後は固体であった。対照的に、植物性オイルをベースとする脂肪酸メチルエステルは、より低い温度で固化した。パームオイルメチルエステルは+5℃で固体であった。最も性能の良い植物性オイルをベースとしたエステルはカノーラ及びヒマであり、両方とも−15℃で固体であった。従って、植物性オイルメチルエステルはいずれも、ディーゼル燃料と同等の低温特性を有さず、すなわち、−20℃より低い曇り点という目安を満たさなかった。
【0198】
【表7】

【実施例10】
【0199】
C8及びC10FAMEはダイズ及びカノーラB100の融点を低下させる
植物性オイル由来メチルエステルの低温特性は、短鎖脂肪酸メチルエステルの添加により向上した。ダイズオイルメチルエステルは、−10℃で固体であった。30%(v/v)のC8メチルエステル(メチルオクタノエート)をダイズオイルメチルエステルに加えた場合、その混合物は−10℃で液体のままであった。C8メチルエステルを60%(v/v)に増加させた場合、混合物は−20℃で液体のままであった。さらなるC10メチルエステル(メチルデカノエート)は、ダイズ由来メチルエステルの流動点に同じ効果を与えた。カノーラオイル由来メチルエステルの低温での性能は、短鎖メチルエステルを加えることによっても向上した。40%のC8メチルエステルをカノーラメチルエステルに加えることは、観察される流動点を−20℃まで低下させた。C10メチルエステルをカノーラに添加することは、観察される流動点に同様の効果を有した。C8/C10エステルの混合物をカノーラ又はダイズメチルエステルへと加えることも、混合物の流動点を低下させる。
【0200】
【表8】

【実施例11】
【0201】
各種の全オイルB2−B100バイオディーゼルブレンドの溶融特性
ディーゼル燃料と植物性オイル由来メチルエステルとの混合物もまた、低温特性に関し試験された。ディーゼル燃料を、2%(B2)、5%(B5)、20%(B20)(v/v)の植物性オイル由来メチルエステル、純粋な植物性オイル由来メチルエステル(B100)と共に試験した。植物性オイル由来メチルエステルをディーゼル燃料に加えることは、B20ブレンドを用いたもの以外の混合物の流動点に観察可能な影響を及ぼさなかった。カノーラ、ヒマ及びダイズはB20流動点に影響を及ぼさず、一方、トウモロコシ、オリーブ、ベニバナ、ヒマワリ、ピーナッツ、パーム、及びココナッツは全て、純粋なディーゼル燃料と比較して、B20ブレンドにおいて観察される流動点を上昇させた。
【0202】
【表9】

【実施例12】
【0203】
融点における長鎖飽和物の効果
脂肪酸メチルエステルを、上記に詳述したような低温性能に関して試験した。表は、長鎖飽和脂肪酸をC18:1メチルエステル(メチルオクタデセノエート)に添加する効果を示す。純粋なC18:1メチルエステルは−20℃において液体であるが、C18:0(メチルオクタデカノエート)の添加は、わずか2%のC18:0によって、観察される流動点を+5℃上昇させ;1%のC18:0において、混合物の流動点は0℃である。同様に、C18:1により、C16混合物は劇的に流動点が上昇する。9%(v/v)のC16メチルエステル(メチルヘキサデカノエート)と91%のC18:1の混合物は−5℃で固体である。わずか3%のC16:0は、−15℃で固体状態をもたらす。1%という低濃度のC14:0メチルエステル(メチルテトラデカノエート)は、−20℃において固体状態をもたらし、30%のC14:0は−10℃で固体であった。C12:0(メチルドデカノエート)との混合物は、興味深く、かつ予期せぬ結果を示した。1%〜5%のレベルのCl2において、混合物は−20℃で固体であるが、C18:lと6%〜20%のC12との混合物は、−20℃においてなお液体のままである。すなわち、バイオディーゼル中に6〜20%、又は、より好ましくは6〜10%であるC12:0の存在は、低温特性に及ぼす驚くべき有益な効果を有している。従って、より長鎖の飽和FAMEが、C18:1によって顕著に混合物の流動点を上昇させる一方、C14の効果はあまりに小さすぎ、C12は、20%(v/v)までの間でほぼ効果を有さなかった。
【0204】
【表10】

【実施例13】
【0205】
遺伝子改変ナタネ植物体
本明細書中に論じられるように、所望のバランスの中鎖脂肪酸及び一価不飽和脂肪酸を有するオイルを生産するために、ナタネ植物は遺伝子改変される、すなわち、ナタネ植物は相対的に増加したレベルの短鎖/中鎖脂肪酸;相対的に増加したレベルの一価不飽和C16:0及びC18:0脂肪酸;及び相対的に減少したレベルの多価不飽和C18:2及びC18:3脂肪酸を有するように遺伝子改変される。以下の遺伝子改変が行われる:(1)FAD2遺伝子をコードする配列中に停止コドンを導入するための遺伝子修復オリゴヌクレオチド塩基を用いることによりΔ12デサチュラーゼの活性が低減され、リノレン酸(18:3)及びリノール酸(18:2)のレベルが低減され、ならびにオレイン酸(18:1)のレベルが増加される;(2)マカダミア(マカダミア・インテグリフォリオ)由来のΔ9−ステアロイルアシル−ACP遺伝子を用いてナタネ植物を形質転換することにより、Δ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼ遺伝子が改変されてパルミトレイン酸(16:1)のレベルが増加される;(3)KASII遺伝子をコードする配列中に停止コドンを導入するための遺伝子修復オリゴヌクレオチド塩基を用いることにより、ケトアシル−ACPシンターゼ(KASII)の活性が低減される;(4)パルミトイルチオエステラーゼ(PTE)の基質特異性が変化され、カプリロイル−ACP(C8)、カプロイル−ACP(C10)及びラウロイル−ACP(C12)を伴う活性が増加される、言い換えると、短鎖長への特異性を有するクフェアのアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子によりナタネ植物を形質転換することにより、短鎖及び中鎖脂肪酸のレベルが増加される。遺伝子改変ナタネ植物は、以下の脂肪酸組成物を有するオイル:C8がオイルの約5%を占め;C10がオイルの約5%を占め;C12がオイルの約15%を占め;C16:1及びC18:1でがオイルの約70%を占め;かつ、C14:0、C16:0、C18:0、C18:2及びC18:3のそれぞれがオイルの1%未満を占めるオイル、を生産する。そのオイルにおけるメチルエステルは約−20℃において液体である。
【0206】
特に他の規定がない限り、本明細書中に使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるのと同様の意味を有する。
【0207】
本明細書中に説明的に記載される本発明は、本明細書中に具体的に開示されなくとも、任意の要素又は複数の要素、限定又は複数の限定がない状態で好適に実践され得る。従って、例えば、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」「含む(containing)」等は、拡張的で、かつ限定されないものと理解されるべきである。さらに、本明細書中に用いられる用語及び表現は、記述用語として限定されることなく用いられ、かかる用語及び表現の使用によって、示され記載される特徴又はその一部における任意の均等物を除外することは意図されず、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲内で各種の変更が可能であることが認識される。
【0208】
従って、本発明は好ましい実施形態及び任意の特徴によって具体的に開示されるけれども、その中で本明細書中に実施形態が開示される本発明における改変、改良及び変形物が当業者によって講じられ得、かかる改変、改良及び変形物は本発明の範囲内に含まれるものと考えられると理解されるべきである。ここで提供される材料、方法及び実施例は、好ましい実施形態の代表であり、例示的なものであって、本発明の範囲を限定するものとして意図されない。
【0209】
本発明は、本明細書中に、広範かつ一般的に記載されている。より狭い種、及び、属の開示内における属以下の分類のそれぞれもまた、本発明の部分を構成する。これは、除かれる材料が本明細書中に具体的に引用されているか否かによらず、属から何らかの対象を排除する条件又は否定的な限定を伴う本発明の属の記載を含む。
【0210】
さらに、本発明の特徴又は態様は、マーカッシュグループの表現にて記載され、当業者は、本発明がそれにより、マーカッシュグループの任意の個々の構成要素又は構成要素のサブグループの語によって記載されることを認識するであろう。
【0211】
全ての刊行物、特許出願、特許、及びその他の本明細書中に言及される参考文献は、それらの各々を個々に参照により組み入れるのと同程度に、その全体を参照により明確に組み入れるものとする。不一致の場合には、定義を含む本明細書が優先されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
80%〜100%の8〜12個の炭素を有する飽和脂肪酸及び12〜18個の炭素を有する一価不飽和脂肪酸、
5%〜80%のカプリル酸(C8:0)及びカプリン酸(C10:0)、並びに
20%未満のラウリン酸(C12:0)を含む、脂肪酸混合物であって、
前記一価不飽和脂肪酸が、前記混合物の5重量%〜95重量%を占め、
前記混合物が、12個より多い炭素を有する20%未満の多価不飽和脂肪酸及び飽和脂肪酸を含む、
脂肪酸混合物。
【請求項2】
6%〜20%のラウリン酸(C12:0)を含む、請求項1に記載の混合物。
【請求項3】
カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、及びラウリン酸(C12:0)が合計で、前記混合物の20%〜40%を占める、請求項1又は2に記載の混合物。
【請求項4】
オレイン酸(C18:1)及びパルミトレイン酸(16:1)が合計で、前記混合物の50%〜85%を占める、請求項1又は2に記載の混合物。
【請求項5】
オレイン酸(C18:1)及びパルミトレイン酸(16:1)が合計で、前記混合物の50%〜85%を占める、請求項1〜4のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項6】
ステアリン酸(18:0)及びパルミチン酸(16:0)が、前記混合物の4%未満を占める、請求項1〜5のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項7】
ミリスチン酸(14:0)が、前記混合物の2%未満を占める、請求項1〜6のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項8】
リノール酸(18:2)及びリノレン酸(18:3)が合計で、前記混合物の3%未満を占める、請求項1〜7のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項9】
アラキジン酸(C20:0)、ベヘン酸(C22:0)及びリグノセリン酸(C24:0)が、前記混合物の1%未満を占める、請求項1〜8のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項10】
55%〜65%のオレイン酸(C18:1)、
5%〜15%のラウリン酸(C12:0)、
15%〜25%のカプリン酸(C10:0)、及び
5%〜15%のカプリル酸(C8:0)、
を含む、請求項1に記載の混合物。
【請求項11】
カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、及びラウリン酸(C12:0)が合計で、混合物の60%〜85%を占める、請求項1に記載の混合物。
【請求項12】
オレイン酸(C18:1)及びパルミトレイン酸(16:1)が合計で、混合物の15%〜40%を占める、請求項1に記載の混合物。
【請求項13】
オレイン酸(C18:1)及びパルミトレイン酸(16:1)が合計で、混合物の50%〜85%を占める、請求項12に記載の混合物。
【請求項14】
ステアリン酸(18:0)及びパルミチン酸(16:0)が、混合物の4%未満を占める、請求項9〜13のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項15】
ミリスチン酸(14:0)が混合物の2%未満を占める、請求項9〜14のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項16】
リノール酸(18:2)及びリノレン酸(18:3)が合計で、混合物の3%未満を占める、請求項9〜15のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項17】
アラキジン酸(C20:0)、ベヘン酸(C22:0)及びリグノセリン酸(C24:0)で、混合物の1%未満を占める、請求項9〜16のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項18】
55%〜65%のオレイン酸(C18:1)、
5%〜15%のラウリン酸(C12:0)、
15%〜25%のカプリン酸(C10:0)、及び
5%〜15%のカプリル酸(C8:0)、
を含む、請求項1に記載の混合物。
【請求項19】
一価不飽和脂肪酸が混合物の少なくとも10%を占める、請求項1〜18のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項20】
一価不飽和脂肪酸が混合物の少なくとも20%を占める、請求項1〜19のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項21】
一価不飽和脂肪酸が混合物の少なくとも30%を占める、請求項1〜20のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項22】
一価不飽和脂肪酸が混合物の少なくとも40%を占める、請求項1〜21のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項23】
一価不飽和脂肪酸が混合物の少なくとも50%を占める、請求項1〜22のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項24】
一価不飽和脂肪酸が混合物の少なくとも60%を占める、請求項1〜23のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項25】
12個より多い炭素を有する多価不飽和脂肪酸及び飽和脂肪酸が合計で、混合物の15%未満を占める、請求項1〜24のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項26】
12個より多い炭素を有する多価不飽和脂肪酸及び飽和脂肪酸が合計で、混合物の10%未満を占める、請求項1〜25のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項27】
12個より多い炭素を有する多価不飽和脂肪酸及び飽和脂肪酸が合計で、混合物の5%未満を占める、請求項1〜26のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項28】
12個より多い炭素を有する多価不飽和脂肪酸及び飽和脂肪酸が合計で、混合物の3%未満を占める、請求項1〜27のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項29】
前記脂肪酸が、示された脂肪酸のアルキルエステルを含む、請求項1〜28のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項30】
前記脂肪酸が本質的に、示された脂肪酸のアルキルエステルからなる、請求項1〜29のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項31】
混合物がオイルである、請求項1〜30のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項32】
混合物が少なくとも2つの異なるオイルのブレンドである、請求項1〜31のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項33】
請求項1〜32のいずれか1項に記載の脂肪酸混合物からなる脂肪酸組成を有するオイルを生産するために改変された遺伝子改変植物。
【請求項34】
ナタネ、綿、亜麻、ピーナッツ、パーム、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、ヒマ、クフェア、及びトウモロコシからなる群より選択される、請求項33に記載の遺伝子改変植物。
【請求項36】
ナタネである、請求項33に記載の遺伝子改変植物。
【請求項37】
前記ナタネが、ブラシカ・ナパス(Brassica napus)、ブラシカ・ユンセア(Brassica juncea)、ブラシカ・ラパ(Brassica rapa)、ブラシカ・オレルアセア(Brassica oleracea)、ブラシカ・ニグラ(Brassica nigra)、ブラシカ・カリナタ(Brassica carinata)、及びシナピス・アルバ(Sinapis alba)(ブラシカ・アルバ(Brassica alba))からなる群より選択される、請求項33に記載の遺伝子改変植物。
【請求項38】
ダイズである、請求項33に記載の遺伝子改変植物。
【請求項39】
トウモロコシである、請求項33に記載の遺伝子改変植物。
【請求項40】
綿である、請求項33に記載の遺伝子改変植物。
【請求項41】
中鎖脂肪酸がカプリル酸(C8:0)を含み、前記カプリル酸がブレンドの最大約25重量%を含む、少なくとも50重量%の飽和中鎖脂肪酸、ミリストレイン酸(C14:1)、及び一価不飽和長鎖脂肪酸、並びに
10重量%未満のミリスチン酸(C14:0)及び飽和長鎖脂肪酸、
を含む、2又はそれ以上のオイルのブレンド。
【請求項42】
前記中鎖脂肪酸がカプリン酸(C10:0)を含み、前記カプリン酸がブレンドの約30〜約60重量%を含む、請求項41に記載のブレンド。
【請求項43】
前記中鎖脂肪酸がラウリン酸(C12:0)を含み、前記ラウリン酸がブレンドの約5〜約20重量%を含む、請求項41に記載のブレンド。
【請求項44】
8%未満のミリスチン酸及び飽和長鎖脂肪酸を含む、請求項41に記載のブレンド。
【請求項45】
6%未満のミリスチン酸及び飽和長鎖脂肪酸を含む、請求項41に記載のブレンド。
【請求項46】
約15%〜約40%の飽和中鎖脂肪酸及び約60%〜約85%の一価不飽和長鎖脂肪酸を含む、請求項41に記載のブレンド。
【請求項47】
約60%〜約85%の飽和中鎖脂肪酸及び約15%〜約40%の一価不飽和長鎖脂肪酸を含む、請求項41に記載のブレンド。
【請求項48】
前記一価不飽和長鎖脂肪酸が、パルミトレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、又はそれらの組み合わせを含む、請求項41〜47に記載のブレンド。
【請求項49】
内燃機関内の燃料として使用するために適当である、請求項41に記載のブレンド。
【請求項50】
前記オイルが、カノーラ、ナタネ、パームオイル、パーム核、ココナッツ、ホシダネヤシ、ヒマワリ、ベニバナ、クフェア、オリーブ、マカダミア、ババス、ヒマ、ピーナッツ、綿、亜麻種子、亜麻仁、コフネヤシ、及びジャトロファからなる群より選択される、請求項41に記載のブレンド。
【請求項51】
前記オイルのうちの1つ又はそれ以上が遺伝子改変植物に由来し、該植物が飽和中鎖脂肪酸を生産するように改変されている、請求項41に記載のブレンド。
【請求項52】
−10℃未満又は−10℃の融点を有する、請求項41〜51のいずれか1項に記載のブレンド。
【請求項53】
−20℃未満又は−20℃の融点を有する、請求項41〜51のいずれか1項に記載のブレンド。
【請求項54】
脂肪酸が該脂肪酸のアルキルエステルに変換されている、請求項41〜51のいずれか1項に記載のブレンド。
【請求項55】
前記脂肪酸アルキルエステルが、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、及びブチルエステルからなる群より選択される、請求項54に記載のブレンド。
【請求項56】
前記脂肪酸アルキルエステルがメチルエステルである、請求項55に記載のブレンド。
【請求項57】
飽和中鎖脂肪酸がカプリル酸(C8:0)を含み、前記カプリル酸がブレンドの最大約25重量%を含む、少なくとも50重量%の中鎖脂肪酸、ミリストレイン酸(C14:1)、及び一価不飽和長鎖脂肪酸、並びに
10重量%未満のミリスチン酸(C14:0)及び飽和長鎖脂肪酸、
を含む、脂肪酸混合物。
【請求項58】
前記中鎖脂肪酸がカプリン酸(C10:0)を含み、前記カプリン酸がブレンドの約30〜約60重量%を含む、請求項57に記載の混合物。
【請求項59】
前記飽和中鎖脂肪酸がラウリン酸(C12:0)を含み、前記ラウリン酸がブレンドの約5〜約20重量%を含む、請求項57に記載の混合物。
【請求項60】
前記中鎖脂肪酸が、12個又はそれ未満の炭素を有する脂肪酸を含む、請求項57に記載の混合物。
【請求項61】
8%未満のミリスチン酸及び飽和長鎖脂肪酸を含む、請求項57に記載の混合物。
【請求項62】
6%未満のミリスチン酸及び飽和長鎖脂肪酸を含む、請求項57に記載の混合物。
【請求項63】
約15%〜約40%の飽和中鎖脂肪酸及び約60%〜約85%の一価不飽和長鎖脂肪酸を含む、請求項57に記載の混合物。
【請求項64】
約60%〜約85%の中鎖脂肪酸及び約15%〜約40%の一価不飽和長鎖脂肪酸を含む、請求項57に記載の混合物。
【請求項65】
前記一価不飽和長鎖脂肪酸が、パルミトレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、又はそれらの組み合わせを含む、請求項57〜64のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項66】
−10℃又はそれ未満の融点を有する、請求項57〜65のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項67】
−20℃又はそれ未満の融点を有する、請求項57〜65のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項68】
脂肪酸が該脂肪酸のアルキルエステルに変換されている、請求項57〜65のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項69】
前記脂肪酸アルキルエステルが、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、及びブチルエステルからなる群より選択される、請求項68に記載の混合物。
【請求項70】
少なくとも50重量%の飽和中鎖脂肪酸アルキルエステル、ミリストレイン酸アルキルエステル、及び一価不飽和長鎖脂肪酸アルキルエステル、並びに、
10重量%未満のミリスチン酸アルキルエステル及び飽和長鎖脂肪酸アルキルエステル、
を含む、脂肪酸アルキルエステルの混合物。
【請求項71】
前記中鎖脂肪酸アルキルエステルがカプリル酸アルキルエステル(C8:0)を含み、前記カプリル酸アルキルエステルがブレンドの最大約25重量%を含む、請求項70に記載の混合物。
【請求項72】
前記中鎖脂肪酸アルキルエステルがカプリン酸アルキルエステル(C10:0)を含み、前記カプリン酸アルキルエステルがブレンドの約30〜約60重量%を含む、請求項70に記載の混合物。
【請求項73】
前記中鎖脂肪酸アルキルエステルがラウリン酸アルキルエステル(C12:0)を含み、前記ラウリン酸アルキルエステルがブレンドの約5〜約20重量%を含む、請求項70に記載の混合物。
【請求項74】
前記中鎖脂肪酸アルキルエステルが、12個又はそれ未満の炭素を有する脂肪酸アルキルエステルを含む、請求項70に記載の混合物。
【請求項75】
8%未満のミリスチン酸アルキルエステル及び飽和長鎖脂肪酸アルキルエステルを含む、請求項70に記載の混合物。
【請求項76】
6%未満のミリスチン酸アルキルエステル及び飽和長鎖脂肪酸アルキルエステルを含む、請求項70に記載の混合物。
【請求項77】
約15%〜約40%の中鎖脂肪酸アルキルエステル及び約60%〜約85%の一価不飽和長鎖脂肪酸アルキルエステルを含む、請求項70に記載の混合物。
【請求項78】
約60%〜約85%の中鎖脂肪酸アルキルエステル及び約15%〜約40%の一価不飽和長鎖脂肪酸アルキルエステルを含む、請求項70に記載の混合物。
【請求項79】
前記一価不飽和長鎖脂肪酸アルキルエステルが、パルミトレイン酸脂肪酸アルキルエステル(C16:1)、オレイン酸脂肪酸アルキルエステル(C18:1)、又はそれらの組み合わせを含む、請求項70〜78のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項80】
前記脂肪酸アルキルエステルが、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、及びブチルエステルからなる群より選択される、請求項70〜79のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項81】
前記脂肪酸アルキルエステルがメチルエステルである、請求項80に記載の混合物。
【請求項82】
−10℃又はそれ未満の融点を有する、請求項80〜81のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項83】
−20℃又はそれ未満の融点を有する、請求項80〜81のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項84】
15%〜25%のカプリル酸メチルエステル(C8)、25%〜35%のカプリン酸メチルエステル(C10)、5%〜20%のラウリン酸メチルエステル(C12)を含む、請求項81に記載の混合物。
【請求項85】
5%〜15%のカプリル酸メチルエステル(C8)、30%〜40%のカプリン酸メチルエステル(C10)、5%〜20%のラウリン酸メチルエステル(C12)を含む、請求項81に記載の混合物。
【請求項86】
5%〜10%のカプリル酸メチルエステル(C8)、30%〜40%のカプリン酸メチルエステル(C10)、5%〜20%のラウリン酸メチルエステル(C12)を含む、請求項81に記載の混合物。
【請求項87】
5%〜10%のカプリル酸メチルエステル(C8)、25%〜35%のカプリン酸メチルエステル(C10)、5%〜20%のラウリン酸メチルエステル(C12)を含む、請求項81に記載の混合物。
【請求項88】
内燃機関内の燃料として使用するために適当である、請求項70に記載の混合物。
【請求項89】
燃料添加剤、機能液、又は凝固点降下剤として使用するために適当である、請求項70に記載の混合物。
【請求項90】
請求項70に記載の混合物及び石油ディーゼルを含むバイオディーゼルブレンド。
【請求項91】
前記混合物が、1%、2%、5%、10%、15%、及び20%からなる群より選択されるブレンドの一部を含む、請求項90に記載のバイオディーゼルブレンド。
【請求項92】
1つ又はそれ以上の設計された変異を有する1つ又はそれ以上の改変酵素を発現する遺伝子組み換え植物であって、該1つ又はそれ以上の設計された変異が該酵素内の規定された位置に存在し、天然の植物と比較して、増加した量の12個又はそれより少ない炭素を有する中鎖脂肪酸を生産する、前記遺伝子組み換え植物。
【請求項93】
クフェア種ではない、請求項92に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項94】
ナタネ、綿、亜麻、ピーナッツ、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、パーム、ヒマ、及びトウモロコシからなる群より選択される、請求項92に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項95】
ナタネである、請求項94に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項96】
前記ナタネが、ブラシカ・ナパス(Brassica napus)、ブラシカ・ユンセア(Brassica juncea)、ブラシカ・ラパ(Brassica rapa)、ブラシカ・オレルアセア(Brassica oleracea)、ブラシカ・ニグラ(Brassica nigra)、ブラシカ・カリナタ(Brassica carinata)、及びシナピス・アルバ(Sinapis alba)(ブラシカ・アルバ(Brassica alba))からなる群より選択される、請求項95に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項97】
ヒマである、請求項92に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項98】
前記改変酵素がアシルACPチオエステラーゼである、請求項92に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項99】
前記修飾アシルACPチオエステラーゼが、配列番号2の91〜397位に相当する領域内の1ヶ所又はそれ以上の位置における変異を含む、請求項98に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項100】
前記修飾アシルACPチオエステラーゼが、配列番号2のアミノ酸残基128〜147位、配列番号2のアミノ酸残基175〜206位、配列番号2のアミノ酸残基254〜297位、配列番号2のアミノ酸残基333〜335位、及び配列番号2のアミノ酸残基365〜397位からなる群より選択される領域に相当する領域に1ヶ所又はそれ以上の位置における変異を含む、請求項99に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項101】
前記修飾アシルACPチオエステラーゼが、配列番号2の位置に相当する1ヶ所又はそれ以上の位置における変異を含む、請求項99に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項102】
前記改変酵素がケトアシルシンターゼ(KAS)である、請求項92に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項103】
前記修飾ケトアシルシンターゼ(KAS)が、配列番号3のアミノ酸残基325〜385位に相当する領域内の1ヶ所又はそれ以上の位置における変異を含む、請求項102に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項104】
前記修飾ケトアシルシンターゼ(KAS)が、配列番号3の325〜340位に相当する領域内の1ヶ所又はそれ以上の位置における変異を含む、請求項103に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項105】
修飾ケトアシルシンターゼ(KAS)をさらに含む、請求項98に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項106】
前記変異を含む遺伝子修復オリゴ核酸塩基を用いることにより変異が達成される、請求項102に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項107】
ナタネ、綿、亜麻、ピーナッツ、パーム、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、ヒマ、クフェア、及びトウモロコシからなる群より選択される、請求項106に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項108】
1つ又はそれ以上の設計された変異を有する1つ又はそれ以上の改変酵素を発現する遺伝子組み換え植物であって、該1つ又はそれ以上の設計された変異が該酵素内の規定された位置に存在し、天然の植物と比較して、増加した量の16個の炭素、18個の炭素、又はその組み合わせを有する一価不飽和脂肪酸を生産する、前記遺伝子組み換え植物。
【請求項109】
ナタネ、綿、亜麻、ピーナッツ、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、パーム、ヒマ、トウモロコシ、及びクフェアからなる群より選択される、請求項108に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項100】
ナタネである、請求項109に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項111】
前記ナタネが、ブラシカ・ナパス(Brassica napus)、ブラシカ・ユンセア(Brassica juncea)、ブラシカ・ラパ(Brassica rapa)、ブラシカ・オレルアセア(Brassica oleracea)、ブラシカ・ニグラ(Brassica nigra)、ブラシカ・カリナタ(Brassica carinata)、及びシナピス・アルバ(Sinapis alba)(ブラシカ・アルバ(Brassica alba))からなる群より選択される、請求項109に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項112】
前記改変酵素がデサチュラーゼである、請求項108に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項113】
前記デサチュラーゼがΔ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼである、請求項112に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項114】
前記改変酵素がΔ12デサチュラーゼである、請求項92〜105のいずれか1項に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項115】
前記修飾が、Δ12デサチュラーゼの活性又は発現を減少させる、請求項105に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項116】
トランスジーンをさらに含む、請求項92又は108に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項117】
請求項31に記載のいずれかのオイルを生産する、遺伝子組み換え植物。
【請求項118】
請求項92〜117のいずれか1項に記載の遺伝子組み換え植物を生産するための種子。
【請求項119】
請求項92〜117のいずれか1項に記載の遺伝子組み換え植物の種子、果実、又は葉から抽出されたオイル。
【請求項120】
1つ又はそれ以上の設計された変異を有する1つ又はそれ以上の改変酵素を発現する遺伝子組み換え植物であって、40%よりも多い長鎖脂肪酸を有するオイルを天然の状態で生産する植物に由来し、該1つ又はそれ以上の設計された変異が該酵素内の規定された位置に存在し、且つ、天然の植物と比較して、増加した量の12個又はそれより少ない炭素を有する中鎖脂肪酸を生産する、前記遺伝子組み換え植物。
【請求項121】
前記長鎖脂肪酸が、パルミトレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、又はそれらの組み合わせを含む、請求項120に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項122】
クフェア種ではない、請求項120に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項123】
ナタネ、綿、亜麻、ピーナッツ、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、パーム、ヒマ、及びトウモロコシからなる群より選択される、請求項120に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項124】
ナタネである、請求項123に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項125】
前記ナタネが、ブラシカ・ナパス(Brassica napus)、ブラシカ・ユンセア(Brassica juncea)、ブラシカ・ラパ(Brassica rapa)、ブラシカ・オレルアセア(Brassica oleracea)、ブラシカ・ニグラ(Brassica nigra)、ブラシカ・カリナタ(Brassica carinata)、及びシナピス・アルバ(Sinapis alba)(ブラシカ・アルバ(Brassica alba))からなる群より選択される、請求項124に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項126】
前記改変酵素がアシルACPチオエステラーゼである、請求項120に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項127】
前記改変酵素がケトアシルシンターゼ(KAS)である、請求項120に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項128】
修飾ケトアシルシンターゼ(KAS)をさらに含む、請求項126に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項129】
前記変異を含む遺伝子修復オリゴ核酸塩基を用いることにより変異が達成される、請求項120に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項130】
ナタネ、綿、亜麻、ピーナッツ、パーム、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、ヒマ、クフェア、及びトウモロコシからなる群より選択される、請求項120に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項131】
トランスジーンをさらに含む、請求項120に記載の遺伝子組み換え植物。
【請求項132】
請求項1に記載のオイルを生産する遺伝子組み換え植物。
【請求項133】
請求項120〜132のいずれか1項に記載の遺伝子組み換え植物を生産するための種子。
【請求項134】
請求項120〜132のいずれか1項に記載の遺伝子組み換え植物の種子、果実、又は葉から抽出されたオイル。
【請求項135】
C8及びC10脂肪アシル−ACP基質に対する活性を有する第一のアシル−ACPチオエステラーゼをコードする発現トランスジーン、及びC12脂肪アシル−ACP基質に対する活性を有する第二のアシル−ACPチオエステラーゼをコードする発現トランスジーンを含むトランスジェニック植物。
【請求項136】
前記第一のアシル−ACPチオエステラーゼが、クフェア・フッケリアナ(Cuphea hookeriana)、クフェア・パルストリス(Cuphea palustris)、及びアルマス・アメリカーナ(Ulmus Americana)からなる群より選択される植物から取得することができる配列によりコードされている、請求項135に記載の植物。
【請求項137】
前記第二のアシル−ACPチオエステラーゼが、ウンベルラリア・カリフォルニカ(Umbellularia californica)(カリフォルニア・ベイ(California bay))から取得することができる配列によりコードされている、請求項135に記載の植物。
【請求項138】
ナタネ、クフェア、綿、亜麻、ピーナッツ、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、ヒマ、及びトウモロコシからなる群より選択される、請求項135に記載の植物。
【請求項139】
ナタネである、請求項138に記載の植物。
【請求項140】
前記ナタネが、ブラシカ・ナパス(Brassica napus)、ブラシカ・ユンセア(Brassica juncea)、ブラシカ・ラパ(Brassica rapa)、ブラシカ・オレルアセア(Brassica oleracea)、ブラシカ・ニグラ(Brassica nigra)、ブラシカ・カリナタ(Brassica carinata)、及びシナピス・アルバ(Sinapis alba)(ブラシカ・アルバ(Brassica alba))からなる群より選択される、請求項139に記載の植物。
【請求項141】
請求項135〜140のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物を生産するための種子。
【請求項142】
請求項135〜140のいずれか1項に記載のトランスジェニック植物の種子、果実、又は葉から抽出されたオイル。
【請求項143】
脂肪酸アルキルエステルを含むバイオディーゼルを生産するために、遺伝子組み換え植物又はトランスジェニック植物の種子、果実、又は葉から抽出されたオイルをエステル交換する工程を含む、該遺伝子組み換え植物又は該トランスジェニック植物のオイルからバイオディーゼルを生産する方法。
【請求項144】
前記エステル交換が、前記オイルをアルコール及び塩基性触媒と反応させることにより達成される、請求項143に記載のバイオディーゼルを生産する方法。
【請求項145】
前記脂肪酸アルキルエステルを精製する工程をさらに含む、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
予測される融点PTmを計算する工程を含む、脂肪酸メチルエステルのブレンドの融点を予測する方法であって、
Tm=[(A*MPA*FA)+(B*MPB*FB)+(C*MPC*FC)+(D*MPD*FD)+(E*MPE*FE)+(F*MPF*FF)+(G*MPG*FG)+(H*MPH*FH)+(I*MPI*FI)+(J*MPJ*FJ)+(K*MPK*FK)+(L*MPL*FL)+(M*MPM*FM)]*(0.01)
であり、
式中、
Aは前記ブレンド中のカプロン酸ME(6:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Bは前記ブレンド中のカプリル酸ME(8:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Cは前記ブレンド中のカプリン酸ME(10:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Dは前記ブレンド中のラウリン酸ME(12:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Eは前記ブレンド中のミリスチン酸ME(14:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Fは前記ブレンド中のパルミチン酸ME(16:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Gは前記ブレンド中のステアリン酸ME(18:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Hは前記ブレンド中のオレイン酸ME(18:1)の重量パーセント(w/w)であり;
Iは前記ブレンド中のリノール酸ME(18:2)の重量パーセント(w/w)であり;
Jは前記ブレンド中のリノレン酸ME(18:3)の重量パーセント(w/w)であり;
Kは前記ブレンド中のアラキジン酸ME(20:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Lは前記ブレンド中のベヘン酸ME(22:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Mは前記ブレンド中のリグノセリン酸ME(24:0)の重量パーセント(w/w)であり;
MPAは、−81℃〜−61℃であり;
MPBは、−50℃〜−30℃であり;
MPCは、−28℃〜−8℃であり;
MPDは、−5℃〜15℃であり;
MPEは、9℃〜29℃であり;
MPFは、21℃〜41℃であり;
MPGは、28℃〜48℃であり;
MPHは、−30℃〜−10℃であり;
MPIは、−45℃〜−25℃であり;
MPJは、−67℃〜−47℃であり;
MPKは、45℃〜65℃であり;
MPLは、43℃〜63℃であり;
MPMは、48℃〜68℃であり;
Aは、8〜12であり;
Bは、3.5〜5.5であり;
Cは、1.0〜1.4であり;
Dは、0.8〜1.2であり;
Eは、0.5〜0.7であり;
Fは、1.1〜1.6であり;
Gは、1.8〜2.6であり;
Hは、0.9〜1.3であり;
Iは、0.5〜0.8であり;
Jは、0.15〜0.25であり;
Kは、8〜12であり;
Lは、1.6〜2.4であり;且つ
Mは、1.6〜2.4である、
前記予測方法。
【請求項147】
Tm=[A(−71.0)(10.0)+B(−40.0)(4.5)+C(−18.0)(1.2)+D(5.2)(1.0)+E(19.0)(0.60)+F(30.7)(1.35)+G(37.8)(2.15)+H(−19.9)(1.10)+I(−35.0)(0.65)+J(−57)(0.2)+K(54.5)(10.0)+L(53.0)(2.0)+M(57.4)(2.0)]*(0.01)である、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
以下の工程a)及びb)を含む、バイオディーゼルとしての使用に適している脂肪酸メチルエステルブレンドの同定方法であって、
工程a)は、予測される融点PTmを計算する工程であって、
Tm=[(A*MPA*FA)+(B*MPB*FB)+(C*MPC*FC)+(D*MPD*FD)+(E*MPE*FE)+(F*MPF*FF)+(G*MPG*FG)+(H*MPH*FH)+(I*MPI*FI)+(J*MPJ*FJ)+(K*MPK*FK)+(L*MPL*FL)+(M*MPM*FM)]*(0.01)
であり、
式中、
Aは前記ブレンド中のカプロン酸ME(6:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Bは前記ブレンド中のカプリル酸ME(8:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Cは前記ブレンド中のカプリン酸ME(10:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Dは前記ブレンド中のラウリン酸ME(12:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Eは前記ブレンド中のミリスチン酸ME(14:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Fは前記ブレンド中のパルミチン酸ME(16:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Gは前記ブレンド中のステアリン酸ME(18:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Hは前記ブレンド中のオレイン酸ME(18:1)の重量パーセント(w/w)であり;
Iは前記ブレンド中のリノール酸ME(18:2)の重量パーセント(w/w)であり;
Jは前記ブレンド中のリノレン酸ME(18:3)の重量パーセント(w/w)であり;
Kは前記ブレンド中のアラキジン酸ME(20:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Lは前記ブレンド中のベヘン酸ME(22:0)の重量パーセント(w/w)であり;
Mは前記ブレンド中のリグノセリン酸ME(24:0)の重量パーセント(w/w)であり;
MPAは、−81℃〜−61℃であり;
MPBは、−50℃〜−30℃であり;
MPCは、−28℃〜−8℃であり;
MPDは、−5℃〜15℃であり;
MPEは、9℃〜29℃であり;
MPFは、21℃〜41℃であり;
MPGは、28℃〜48℃であり;
MPHは、−30℃〜−10℃であり;
MPIは、−45℃〜−25℃であり;
MPJは、−67℃〜−47℃であり;
MPKは、45℃〜65℃であり;
MPLは、43℃〜63℃であり;
MPMは、48℃〜68℃であり;
Aは、8〜12であり;
Bは、3.5〜5.5であり;
Cは、1.0〜1.4であり;
Dは、0.8〜1.2であり;
Eは、0.5〜0.7であり;
Fは、1.1〜1.6であり;
Gは、1.8〜2.6であり;
Hは、0.9〜1.3であり;
Iは、0.5〜0.8であり;
Jは、0.15〜0.25であり;
Kは、8〜12であり;
Lは、1.6〜2.4であり;且つ
Mは、1.6〜2.4であり、
工程b)は、カットオフ値に対して予測される融点PTmを比較する工程であって、カットオフ値より低い又は等しいPTmを有するブレンドがバイオディーゼルとしての使用に適している、
前記予測方法。
【請求項149】
前記カットオフ値が−10℃である、請求項148に記載の方法。
【請求項150】
前記カットオフ値が−20℃である、請求項148に記載の方法。
【請求項151】
Tm=[A(−71.0)(10.0)+B(−40.0)(4.5)+C(−18.0)(1.2)+D(5.2)(1.0)+E(19.0)(0.60)+F(30.7)(1.35)+G(37.8)(2.15)+H(−19.9)(1.10)+I(−35.0)(0.65)+J(−57)(0.2)+K(54.5)(10.0)+L(53.0)(2.0)+M(57.4)(2.0)]*(0.01)である、請求項148に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2009−542847(P2009−542847A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518266(P2009−518266)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/015017
【国際公開番号】WO2008/002643
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(508208421)サイバス,エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】