説明

脂質の除去された人体組織体積置換用または細胞培養用支持体、及びその用途

本発明は、脂質の除去された人体体積置換用または細胞培養用支持体に係り、さらに詳しくは、脂肪組織を粉砕し、超音波処理または加圧ノズル噴射して脂質を脱離させた後、脱離された脂質と脂質未脱離の脂肪組織を除去し、滅菌することにより人体体積置換用または細胞培養用支持体を製造する方法に関する。本発明によれば、物理的な操作だけで脂質を除去して体積と細胞膜などの微細構造を最大限に保存することができることから、人体体積置換用素材として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脂質の除去された人体体積置換用または細胞培養用支持体に係り、さらに詳しくは、脂肪組織を粉砕し、超音波処理または加圧ノズル噴射して脂質を脱離させた後、脱離された脂質と脂質未脱離の脂肪組織を除去し、滅菌することにより人体体積置換用または細胞培養用支持体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の体積置換のための人工素材は種々に開発されて使用されているが、時間が経過するに伴い体積がなくなるという問題点がある。
【0003】
人体や動物から得た真皮組織や骨組織などを加工して移植用素材として使用しているが、加工段階が複雑であり、しかも、加工段階において免疫タンパク質、細胞など抗原性をなくすために種々の化学的な方法が追加されるため許可のための時間が長引き、抗原性を100%なくすことができないため副作用が発生する可能性があり、多大な加工費がかかり、原料材料である死体の需給が制限されて1cc当たりに50万ウォン程度の価格で取引されているのが現状である。
【0004】
最近、様々な人工皮膚商品が開発されており、無細胞人工皮膚から本人の表皮細胞及び真皮細胞を培養した階層化された細胞性生人工皮膚(living skin equivalent;LSE)に至るまで様々な種類が開発されて商品化段階に至っている。これらの製品は他家組織を用いて無細胞処理したり、コラーゲンなどの生体物質から製造されるためかなり高価な製品である。細胞性生体由来の人工皮膚は迅速に創傷を治癒することはもちろん、傷痕を減少させるなど質的な面においても優れた創傷修復効果を得ており、自家細胞または加工した他家組織が免疫拒否反応を示さないことが報告されている。
【0005】
キトサン、コラーゲン、キチンなどを用いたマトリックス状人工皮膚が商用化レベルに至っており、マトリックスに皮膚細胞を培養した培養皮膚を開発して臨床試験段階にあるが、未だ量産レベルには至っていない。大韓民国登録特許第10−0469661号公報においては、移植用無細胞真皮層の製造法を開発してSureDermという製品名で製造供給することにより、輸入されている一部の組織修復用生体材料の国産化に成功した。しかしながら、ヒト皮膚を国内において確保するには多くの制約があるため、材料を輸入して製品を生産するのが現状である。一般的に、「Filler」と知られているこれらの製品は動物由来物質と人工合成物質、人体由来組織などを原料として製造されたが、ほとんど使い勝手のよさ、持続性及び値段の側面から多くの欠点を有している。
【0006】
他の製品としては、ウシのコラーゲンから製造した注射用ザイダーム(Zyderm)、ポリメチル−メタクリレート・ビードとコラーゲンとの混合液であるアーテコール(Artecoll)、変形ヒアルロン酸を用いた製品であるレスチレン(Restylene)、アロダーム(AlloDerm)を粉末加工したサイメトラ(Cymetra)などを挙げることができる。米国LifeCell社のアロダーム(AlloDerm)は屍から寄贈された皮膚を無細胞真皮層により加工・処理して、移植片または挿入物の用途として市販されている。前記製品の場合、全ての細胞を除去することにより免疫拒否反応の可能性を完全に遮断し、人体組織をそのまま利用することにより他のいかなる人工皮膚よりも生体的合成に優れているという長所を有していて、国内においても類似製品が開発されたが、寄贈者を求めることができず、原料を外国から輸入している。
【0007】
また、脂肪組織は肥満患者から除去されて廃棄されるか、あるいは、一部保管して使用しているが、組織内に特殊に多い脂肪小滴内部のトリアシルグリセロール、ステロールエステルなどの中性脂質などが酸化されたり部分的に酸化・加水分解されて変質されるため、2ヶ月以上保管して再使用することは困難である。脂質酸化は高度不飽和脂肪酸の酸化による反応生成物がタンパク質などのアミノ化合物と反応して変色、損失などを引き起こすだけではなく、ハイドロパーオキシドや不飽和アルデヒドなどの毒性物質を生成する。加えて、豚や牛などヒト以外の動物脂肪組織はヒトに比べて液体脂質の比率が低く(50〜70%)、一部の筋肉が混在されているが、ヒトの脂肪組織は真皮組織または筋肉層とはっきりと区別されて液体脂質の量が遥かに多いため、ヒトの脂肪組織を加工して生体移植素材を開発するための試みは未だなされていない。
【0008】
一方、人工基質とは、採取された組織細胞が移植されて3次元的な生体組織を生成可能な支持体を意味するものであり、担体または人工支持体と呼ばれ、下記の如き条件を充足することが求められる。先ず、再生しようとする生体組織の形状を維持しなければならず、培養しようとする細胞の粘着と増殖・分化を効率よく誘導し、高い生体親和性と支持体としての役割を果たした後、生体内において安全に吸収・分解されなければならない。生体組織の再生のための3次元超精密人工支持体技術の開発には特定の組織細胞への効果的な分化のための組織再生用人工支持体製造技術、生体組織と類似する生体的合成材料技術が必須である。
【0009】
一例として、組織培養における骨と軟組織のための基質には合成または自然のリン酸カルシウム、ポリ乳酸またはポリグリコール酸などの数多くの合成体及び膠原質、繊維素の自然重合体などが含まれる。組織の再生を容易に行うための支持体の製作のために使用される材料は正常的な細胞成長と機能のために要される微細構造と化学的組成を有していなければならない。骨再生のためには類似する物理的、化学的、機械的性質を有する材料が好ましいが、これらの性質が正常的骨成長と機能に影響を及ぼす可能性があるためである。最近には、自然重合体についての研究が活発になされているが、特に、キトサンと生薬材を利用する研究が盛んになされている。
【0010】
しかしながら、生体内において分解される組織的合成生体材料に限界があり、しかも、様々な生体組織に分化・成長させうる組織工学技術が未だ確立されていないため、人体各臓器の機能再現に限界がある。また、組織的合成微細粉末を3次元細胞培養用微細粉末として利用しているが、細胞培養用微細粉末として使用されるポリL−乳酸(poly L-lactic acid;PLLA)、ポリ乳酸−グリコール酸共重合体(poly lactic-co-glycolic acid;PLGA)など生体的合成素材は1g当たりに50万ウォンを超えるのが現状であり、特に、細胞培養のためには人体組織と類似する構造を形成しなければならないが、このための造形精密度に問題がある。
【0011】
人工支持体を製造するために使用されているポリ乳酸(poly-lactic acid;PLA)、ポリグリコール酸(poly-glycolic acid;PGA)などの生分解性微細粉末において使用される生体材料は、塩発泡法、高圧気体膨脹法、乳化凍結乾燥法、塩浸出法、相分離法などにより製造される。しかしながら、前記製造方法は再現性に劣り、複雑であるか、または、精度よい3次元形状の構造に製造するには限界がある。また、多孔性構造の製造に際して気孔径及び気孔率を自由に調節することができず、気孔間の相互連結性にも劣っているため、細胞の成長、栄養供給、人工支持体内部への拡散及び伝達などに難点があり、製造時間も長時間かかる。
【0012】
脂肪組織は、全体体積の98%が液体状態である脂質から構成されていて、保管し難さまたは移植し難さがあり、細胞培養時の変数をいずれも含んでいて脂肪組織を用いた移植用素材を開発しようとする試みはなかった。
【0013】
しかしながら、脂肪組織も、脂質を除去しながら微細構造をある程度維持できる限り、体積が一部保存されるため、実際に十分な生体素材の役割を果たすことができるものと考えられる。最近、スポンジなどの構造においてより多くの細胞が生長して分化されるという事実が発表されているため、実際に生体内効果や細胞培養に当たって生体に移植される物質の重量よりは体積の方が肝要であるということを推定することができる。このため、脂肪組織が加工段階において結締組織と細胞膜の微細構造を維持できる限り、他の生体組織よりも遥かに優れた素材になりうる。
【0014】
そこで、本発明者らは、脂質の酸化を防止し、人工支持体の欠点を補完し、脂肪組織の体積を最大限に保存した3次元構造のスポンジ粉末を開発するために鋭意努力した結果、脂肪組織の脂質を物理的な方法により除去して乾燥させた場合に人体体積置換用支持体への注射移植が可能であり、同時に、細胞培養用支持体として使用可能であるということを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の開示】
【0015】
本発明の主たる目的は、脂質の除去された人体体積置換用または細胞培養用支持体及びその製造方法を提供することにある。
【0016】
前記目的を達成するために、本発明は、脂肪組織から脂質を除去して製造された人体体積置換用または細胞培養用支持体を提供する。
【0017】
また、本発明は、(a)脂肪組織を粉砕した後、超音波により処理して脂質を脱離させるステップと、(b)前記脱離された脂質と脂質未脱離の脂肪組織を除去するステップと、(c)前記脂質の除去された脂肪組織を滅菌して脂質の除去された支持体を得るステップと、を含む人体体積置換用または細胞培養用支持体の製造方法を提供する。
【0018】
本発明において、(a)ステップは、粉砕した脂肪組織をヒアルロニダーゼにより処理した後、超音波処理することを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明は、(a)脂肪組織を粉砕した後、加圧ノズル噴射を通じて脂質を脱離させるステップと、(b)前記脱離された脂質と脂質未脱離の脂肪組織を除去するステップと、(c)前記脂質の除去された脂肪組織を滅菌して脂質の除去された支持体を得るステップと、を含む人体体積置換用または細胞培養用支持体の製造方法を提供する。
【0020】
本発明において、(a)ステップは、タンパク質分解酵素を使用しないことを特徴とし、(c)ステップにおいて、乾燥過程をさらに行うことにより粉末化させることを特徴とし、前記脂質は脂肪小滴であることを特徴とする。
【0021】
本発明において、(b)ステップは、ろ過または遠心分離により行うことを特徴とし、前記遠心分離後、エタノール洗浄または蒸留水洗浄をさらに行うことを特徴とし、滅菌は放射線またはEOガスを用いて行うことを特徴とする。
【0022】
本発明の他の特徴及び具現例は、下記の詳細な説明及び特許請求の範囲から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】脂肪組織をオイルレッドOで染色した結果を示すものである(A:×40;B:×100)。
【図2】本発明に係る脂質の除去された粉末をオイルレッドOで染色した結果を示すものである(A:×200;B:×400)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の一態様は、脂質の除去された人体体積置換用または細胞培養用支持体及びその製造方法に関する。
【0025】
本発明によれば、肥満患者から抽出して廃棄された脂肪組織を粉砕した後、超音波により処理して脂質を脱離させた。前記脱離された脂質と脂質未脱離の脂肪組織をフィルターを用いてろ過するか、あるいは、遠心分離し、70%エタノールにより洗浄した後、蒸留水により洗浄して細胞内に存在するトリアシルグリセロール、ステロールエステルなどの脂質を最大限に除去した。前記脂質の除去された脂肪組織を凍結乾燥または空気乾燥の方法により乾燥した後、放射線またはEOガスを用いて滅菌することにより脂質の除去された粉末を得た。本発明においては、コラゲナーゼ、ジパーゼ、トリプシンなどのタンパク質分解酵素を処理しなくて赤血球、細胞外マトリックスなどが除去されため、体積と3次元構造を維持することができる(図2)。しかしながら、タンパク質分解酵素の処理時には人体内において安定性の問題を引き起こす恐れがあるため、工程上の洗浄過程がさらに行われることを余儀なくされるだけではなく、食薬庁から許可を得るのに難点がある。これに対し、本発明は、人体体積置換用支持体及び細胞培養用支持体として利用時に産生量と品質増大に大きなメリットを与えることができる。
【0026】
前記超音波分解時における細胞間の分離のためにヒアルロニダーゼを入れて超音波分解することができる。
【0027】
また、肥満患者から抽出して廃棄された脂肪組織を粉砕した後、加圧ノズル噴射を通じて脂質を脱離させた。前記脱離された脂質と脂質未脱離の脂肪組織をフィルターを用いてろ過するか、あるいは、遠心分離し、70%エタノールにより洗浄した後、蒸留水により洗浄して細胞内に存在するトリアシルグリセロール、ステロールエステルなどの脂質を最大限に除去した。前記脂質の除去された脂肪組織を凍結乾燥または空気乾燥の方法により乾燥した後、放射線またはEOガスを用いて滅菌することにより脂質の除去された粉末を得た。
【0028】
加圧ノズル噴射後、蒸留水だけで洗浄してタンパク質変性を極力抑えることができる。これは、タンパク質変性により自家組織であるとしても免疫拒否反応を引き起こす可能性があるという仮定下でタンパク質の変性を極力抑えたのである。
【0029】
前記脂質の除去された粉末をオイルレッドOで染色した結果、脂質が存在しないことを確認することができた。また、脂質が存在すれば粉末化がなされないため、前記脂肪組織が粉末化されたことを脂質の存否に対する判断根拠として利用することができる。
【0030】
本発明において、「人体体積置換用」とは、老化によるシワ改善、顔輪郭線校正など身体の輪郭を校正するために、または、癌切除術による欠損、創傷により陥没された部位の再生、地形による陥没部位など身体全般にわたって陥没された部位の再生のために脂肪組織を移植することを意味する。
【0031】
脂肪組織を人体体積置換用素材として使用する場合、人体の副作用を減らすために生体的合成素材から構成される必要があり、適用可能な酵素処理などの化学的処理を制限しなければならない。脂質を除去する場合、長期保管が可能であり、体積と細胞膜などの微細構造がそのまま維持されるため、移植用素材として使用することができる。また、前記脂質の除去された粉末はそれが粉末状であるため細胞付着表面積を有しており、高い生体親和性を有することから、細胞培養用支持体として使用することが可能になる。
【0032】
実施例
以下、本発明を実施例を挙げて詳述する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に制限されないことは当業界において通常の知識を持った者にとって自明である。
【0033】
下記の実施例においては肥満患者から抽出された脂肪組織を使用したが、死体から脂肪組織を抽出して使用することができる。
【0034】
また、下記の実施例においては、脂質の除去された脂肪組織を乾燥・滅菌して粉末状に支持体を製造したが、乾燥することなく、脂質の除去された液化状態でも使用することができるということは当業者にとって自明であると言える。
【0035】
実施例1:脂質の除去された粉末の製造
実施例1−1(製造例1)
肥満患者から抽出されて廃棄された脂肪組織を粉砕した後、蒸留水を入れて60〜80℃、110Wにおいて10分間10〜15回に亘って超音波により処理して脂質を脱離させた。前記脱離された脂質と脂質未脱離の脂肪組織をフィルターを用いてろ過するか、あるいは、3500rpmの条件下で5分間遠心分離し、70%エタノールにより洗浄した後、蒸留水により洗浄した。前記脂質の除去された脂肪組織を凍結乾燥または空気乾燥の方法により乾燥した後、放射線を用いて滅菌することにより脂質の除去された粉末を製造した。
【0036】
実施例1−2(製造例2)
肥満患者から抽出されて廃棄された脂肪組織を粉砕した後、蒸留水を入れて加圧ノズル噴射して脂質を脱離させた。前記脱離された脂質と脂質未脱離の脂肪組織をフィルターを用いてろ過するか、あるいは、3500rpmの条件下で5分間遠心分離し、70%エタノールにより洗浄した後、蒸留水により洗浄した。前記脂質の除去された脂肪組織を凍結乾燥または空気乾燥の方法により乾燥した後、放射線を用いて滅菌することにより脂質の除去された粉末を製造した。
【0037】
実施例1−3(製造例3)
肥満患者から抽出されて廃棄された脂肪組織を粉砕した後、蒸留水とヒアルロニダーゼを1:1:0.1の割合にて入れ、60〜80℃、110Wにおいて10分間10〜15回超音波により処理して脂質を脱離させた。前記脱離された脂質と脂質未脱離の脂肪組織をフィルターを用いてろ過するか、あるいは、3500rpmの条件下で5分間遠心分離した後、70%エタノールにより洗浄し、次いで、蒸留水により洗浄した。前記脂質の除去された脂肪組織を凍結乾燥または空気乾燥の方法により乾燥した後、放射線を用いて滅菌することにより脂質の除去された粉末を製造した。
【0038】
実施例1−4(製造例4)
肥満患者から抽出されて廃棄された脂肪組織を粉砕した後、蒸留水を入れて加圧ノズル噴射して脂質を脱離させた。前記脱離された脂質と脂質未脱離の脂肪組織をフィルターを用いてろ過するか、あるいは、3500rpmの条件下で5分間遠心分離した後、蒸留水により洗浄した。前記脂質の除去された脂肪組織を凍結乾燥または空気乾燥の方法により乾燥した後、放射線またはEOガスを用いて滅菌することにより脂質の除去された粉末を製造した。
【0039】
実施例2:脂質の除去された粉末の脂質染色
実施例1−1において製造された粉末をオイルレッドOで染色し、対照群としては上記の方法により粉末化させる前の脂肪組織を使用した。その結果、対照群には脂質が存在するのに対し(図1)、前記実施例1−1の方法に従い製造された粉末には脂質が存在しないことを確認することができた(図2)。
【0040】
この結果から、本発明に係る脂質の除去された脂肪組織は人体体積置換用支持体として使用することができるということを確認することができた。また、本発明に係る脂質の除去された脂肪組織は、図2に示すように、微細粉末状であるため、細胞培養用支持体として使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上詳述したように、本発明は、脂質の除去された人体体積置換用または細胞培養用支持体及びその製造方法を提供するという効果がある。本発明に係る脂質の除去された人体体積置換用または細胞培養用支持体は化学物質を添加することなく脂質を除去することができ、脂質の除去と乾燥過程を含むことから保管期間を延ばすことができ、体積と細胞膜などの微細構造を最大限に保存することができる。なお、廃棄される脂肪組織を再活用して処理コストを節減することができ、酵素処理などの化学的処理を経ないことから工程が簡単であるというメリットを有しており、粉末状に製造されて注射移植が可能であり、細胞培養用支持体として使用可能である。
【0042】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳述したが、当業界における通常の知識を持った者にとって、このような具体的な記述は単なる好適な実施態様に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されることはないという点は明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は特許請求の範囲とこれらの等価物により定義されると言える。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪組織から脂質を除去して製造された人体体積置換用支持体。
【請求項2】
前記脂質は脂肪小滴であることを特徴とする請求項1に記載の人体体積置換用支持体。
【請求項3】
脂肪組織から脂質を除去して製造された細胞培養用支持体。
【請求項4】
前記脂質は脂肪小滴であることを特徴とする請求項3に記載の細胞培養用支持体。
【請求項5】
次のステップを含む人体体積置換用または細胞培養用支持体の製造方法:
(a)脂肪組織を粉砕した後、超音波により処理して脂質を脱離させるステップと、
(b)前記脱離された脂質と脂質未脱離の脂肪組織を除去するステップと、
(c)前記脂質の除去された脂肪組織を滅菌して脂質の除去された支持体を得るステップ。
【請求項6】
前記(a)ステップは、タンパク質分解酵素を使用しないことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記(a)ステップは、粉砕した脂肪組織をヒアルロニダーゼにより処理した後、超音波処理することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
(d)前記得られた支持体を乾燥した粉末化するスタップをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記脂質は脂肪小滴であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項10】
次のステップを含む人体体積置換用または細胞培養用支持体の製造方法:
(a)脂肪組織を粉砕した後、加圧ノズル噴射を通じて脂質を脱離させるステップと、
(b)前記脱離された脂質と脂質未脱離の脂肪組織を除去するステップと、
(c)前記脂質の除去された脂肪組織を滅菌して脂質の除去された支持体を得るステップ。
【請求項11】
前記(a)ステップは、タンパク質分解酵素を使用しないことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記(a)ステップは、粉砕した脂肪組織をヒアルロニダーゼにより処理した後、超音波処理することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
(d)前記得られた支持体を乾燥した粉末化するスタップをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記(b)ステップは、ろ過または遠心分離により行うことを特徴とする請求項5または請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記遠心分離後、エタノール洗浄または蒸留水洗浄をさらに行うことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記滅菌は放射線またはEOガスを用いて行うことを特徴とする請求項5または請求項10に記載の方法。

【公表番号】特表2010−528685(P2010−528685A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509263(P2010−509263)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【国際出願番号】PCT/KR2008/001632
【国際公開番号】WO2008/143402
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(509319351)
【Fターム(参考)】