説明

脂質疾患の治療のための2−エトキシ−3−フェニルプロパン酸誘導体

式中、TがO、S又はNRを表し、Rが水素、C1-6アルキル基又はフェニルC1-6アルキル基を表す場合の式Iの化合物及びその医薬として許容できる塩、このような化合物の製造方法、インスリン耐性に関連する又は関連しない脂質障害(異常脂質血症)を含む臨床症状を治療するのにそれらの化合物の有用性、これらの化合物の治療用途方法、及びこれらの化合物を含有する医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、所定の新規3-フェニル-2-アリールアルキルチオプロパン酸誘導体、このような化合物の製造法、インスリン耐性や代謝症候群の他の徴候との関連性の有無に関係なく脂質障害(異常脂質血症)を含めた臨床症状を処置する上での前記化合物の有用性、治療上の使用法、および上記化合物を含有する医薬組成物に関する。
【0002】
(発明の背景)
2型真性糖尿病を含めた代謝症候群とは、VLDL(超低密度リポタンパク質)の増大、密度の小さいLDL粒子、およびHDL(高密度リポタンパク質)濃度の減少を一般的な特徴とするリポタンパク質レベルの乱れとして、並びにフィブリン溶解の減少として観察されるインスリン過剰血症、2型真性糖尿病様疾病、動脈性高血圧、中心性(内臓)肥満、または異常脂質血症を伴うインスリン耐性を含めた一群の徴候を表わしている。
【0003】
最近の疫学的研究によれば、インスリン耐性に罹っている人は、心臓血管の疾病や死亡に至る(特に、心筋梗塞や脳卒中を患って)極めて高い危険性を有している、ということが明らかになっている。2型真性糖尿病においては、アテローム性動脈硬化症に関連した疾病が全死亡のうちの最大80%に対する死亡原因となっている。
【0004】
臨床医学においては、代謝症候群に罹患している患者に対してインスリン感受性を増大させる必要性があることが、したがってアテローム性動脈硬化症の進行加速化を引き起こすと考えられている異常脂質血症を治癒する必要性があることが認識されている。しかしながら、現時点においてはこのことは、明確な薬物療法学的指摘を伴った広く一般に通用するような考え方とはなっていない。
【0005】
下記式A
【0006】
【化1】

【0007】
の化合物(2-エトキシ-3-[4-(2-[4-メタンスルホニルオキシフェニル]エトキシ)フェニル]プロパン酸)のS-エナンチオマーがPCT公開番号WO99/62872に開示されている。この化合物は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR、PPARに関する総説については“T.M.Willson et al,J Med Chem 2000,Vol43,527”を参照)の調節剤として報告されており、PPARα/PPARγの組み合わさったアゴニスト活性を有する(Structure,2001,Vol9,699,P.Cronet et al)。この化合物は、インスリン抵抗性に関連した疾病を治療する上で効果的である。
【0008】
同時継続PCT出願番号PCT/GB02/05743は、式B
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、R1 クロロ、フルオロ又はヒドロキシである。)の化合物、並びにその異性体及びラセミ体、並びにその製剤学的に許容できる塩、プロドラッグ、溶媒和物及び結晶体、このような化合物の製造法、インスリン耐性の関連性の有無に関係なく脂質障害(異常脂質血症)を含めた臨床症状を処置する上での前記化合物の有用性、治療上の使用法、および上記化合物を含有する医薬組成物を開示する。
【0011】
WO 02/100813は、式C
【0012】
【化3】

【0013】
(式中、Arは置換若しくは無置換芳香族基であり; Q は共有結合、-CH2-若しくはCH2-CH2- であり; Wは置換若しくは無置換アルキレン又は鎖長2〜10原子の置換若しくは無置換ヘテロアルキレン連結基であり; フェニル基はR1及びWに加えて、場合により4置換基までの置換基で置換されてもよく;そしてR1はとりわけ-(CH2)n-CH(OR2)-(CH2)mE 又は-(CH)=C(OR2) -(CH2)mEであり、EはとりわけCOOR3であり; R2 はH、脂肪族基等であり; R3 はH、脂肪族基等であり;そしてn及びmは、独立して、0、1又は2である)がPPARレセプター調節剤であることを開示する。
【0014】
驚くべきことに、二重PPARα/PPARγ調節剤である選択した一連の化合物が見出された。
【0015】
(発明の説明)
本発明は、式I
【0016】
【化4】

【0017】
(式中、TはO、S又はNRを表し、R はH、C1-6アルキル基又はフェニルC1-6アルキル基を表す。)の化合物及びその製剤学的に許容できる塩を提供する。
式Iの化合物が光学活性中心を含有し、したがって、後述するような分離できるエナンチオマーが存在できるということが当業者により了解される。式Iの化合物の活性の殆ど(総てでない場合)が1エナンチオマーに残る(すなわち、S又はRエナンチオマー或いは(+)又は(−)エナンチオマー)ことが予期される。後述する分析においてより活性なエナンチオマーは本発明の好適な形体である。本発明には、この活性エナンチオマーとその他のエナンチオマーとの混合物、例えば、ラセミ混合物(活性エナンチオマーの有用な中間体となる)ことが了解されよう。
【0018】
活性エナンチオマーは、ラセミ体の分離により、例えば、分別結晶、分割又はキラルカラム(例えば、ChiralpakTM AD 250x50カラム)のHPLCにより単離できる。或いは、活性エナンチオマーは、ラセミ化又はエビマー化を引き起こさない条件下でキラル出発物質からのキラル合成によるか、キラル試薬で誘導体化することにより製造できる。
【0019】
本明細書で使用されている“プロドラッグ”という用語は、哺乳類(特にヒト)の体内において、カルボン酸基またはその塩もしくはコンジュゲートに転化されるカルボン酸基の誘導体を含む。“プロドラッグ”という用語は、哺乳類(特にヒト)の体内において、ヒドロキシ基又はその塩若しくはコンジュゲートに転化されるヒドロキシ置換基(R1がヒドロキシを表すとき)の誘導体も含む。ここで理解しておかなければならないのは、特定の理論で拘束されるつもりはないが、プロドラッグに関連した活性のほとんどが、プロドラッグが転化される式Iの化合物の活性から生じると考えられる、という点である。プロドラッグは、当業者の能力の充分に範囲内にて、通常の方法に従って製造することができる。当業界には、カルボキシ及びヒドロキシの種々のプロドラッグが知られている。このようなプロドラッグ誘導体の例については、
a) H.Bundgaar編集による「Design of Prodrugs」(Elsevier,1985)、及びK.Widder,et al.編集による「Methods in Enzymology.42:309-396」(Academic Press,1985);
b) Krogsgaard-LarsenとH.Bundgaardの編集による「A Textbook of Drug Design and Development」、第5章“Design and Application of Prodrugs”H.Bundgaardによる、p.113-191(1991);
c) H.Bundgaard,Advanced Drug Delivery Reviews,8:1-38(1992);
d) H.Bundgaard,et al.,Journal of Pharmaceutical Science,77:285(1988);および
e) N.Kakeya,et al.,Chem Pharm Bull,32:692(1984);
を参照のこと。
【0020】
上記の文献a〜eを参照により本明細書に含める。
インビボにて開裂可能なエステルは、親分子のプロドラッグの1つのタイプに過ぎない。カルボキシ基又はヒドロキシ基を含有する式(I)の化合物の、インビボにて加水分解可能な(すなわち開裂可能な)エステルは、例えば、人体もしくは動物体中にて加水分解されてもとの酸又はアルコールを生成するような、医薬として許容されうるエステルである。カルボキシに対する、医薬として許容されうる適切なエステルとしては、C1-6アルコキシメチルエステル(例えばメトキシメチル);C1-6アルカノイルオキシメチルエステル(例えばピバロイルオキシメチル);フタリジルエステル;C3-8シクロアルコキシカルボニルオキシC1-6アルキルエステル(例えば1-シクロヘキシルカルボニルオキシエチル);1,3-ジオキソレン-2-オンイルメチルエステル(例えば5-メチル-1,3-ジオキソレン-2-オンイルメチル);およびC1-6アルコキシカルボニルオキシエチルエステル(例えば1-メトキシカルボニルオキシエチル);などがあり、本発明の化合物におけるいかなるカルボキシ基にても形成することができる。ヒドロキシ基を含有する式(I)のインビボで加水分解可能(開裂可能)なエステルには、ホスフェートエステル(ホスホアミド酸環状エステルを含む)のような無機エステル及びα-アシロキシアルキルエーテル並びにエステルのインビボ加水分解の結果として分解して親ヒドロキシ基を与える関連化合物等がある。α-アシロキシアルキルエーテルの例にはアセトキシメトキシ及び2,2-ジメチルプロピオニルオキシ-メトキシ等がある。ヒドロキシについてインビボで加水分解可能なエステル形成基には、アルカノイル、ベンゾイル、フェニルアセチル及び置換ベンゾイル並びにフェニルアセチル、アルコキシカルボニル(アルキルカルボネートエステルを与える)、ジアルキルカルボニル及びN-(ジアルキルアミノエチル)-N-アルキルカルバモイル(カルバメートを与える)、ジアルキルアミノアセチル及びカルボキシアセチル等がある。ベンゾイルの置換基の例には、ベンゾイル環の3-又は4-位にメチレン基を介して環窒素原子から結合したモルホリノ及びピペラジノ等がある。
【0021】
本発明の特定の化合物は、
(2S)-2-エトキシ-3-[4-(2-{4-[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸及びその医薬学的に許容できる塩である。
【0022】
本発明のいくつかの化合物は溶媒和、例えば、水和の形、ならびに未溶媒和の形で存在し得ることも理解されよう。本発明がそのような溶媒和の形を全て包含することを理解すべきである。本発明のいくつかの化合物は、互変異性体として存在できる。本発明がそのような互変異性体を全て包含することを理解すべきである。
【0023】
(製造法)
本発明の化合物は下記のように製造することができる。しかしながら、本発明はこれらの製造法に限定されない。本発明の化合物はさらに、先行技術における構造的に関連した化合物に関して記載のように製造することもできる。反応は、標準的な手順に従って、あるいは実験の部に記載のように行うことができる。
【0024】
式Iの化合物は、式II
【0025】
【化5】

【0026】
〔式中、Tは前記にて定義した通りであり、Rpはカルボン酸のヒドロキシ基に対する保護基(標準的なテキストである「“Protective Groups in Organic Synthesis”,第2版(1991),GreeneとWutsによる」に記載)である〕の化合物と脱保護剤とを反応させることによって製造することができる。保護基はさらに、レジン(例えば、Wangレジンや塩化2-クロロトリチルレジン)であってもよい。保護基は、当業者によく知られている手法に従って除去することができる。このような保護基の1つは、RpがC1-6アルコキシ基またはアリールアルコキシ基(例えばベンジルオキシ基)の場合であり、このときCOR2はエステルを表わしている。このようなエステルと脱保護剤〔例えば加水分解剤(例えば水酸化リチウム)〕とを、THFと水との混合物中にて0〜100℃の範囲の温度で反応させて、式Iの化合物を得ることができる。
【0027】
式IIの化合物は新規な中間体であり、本発明の別の態様として特許請求されている。
Tが O である式IIの化合物は、式III
【0028】
【化6】

【0029】
の化合物を式IV
【0030】
【化7】

【0031】
(式中、RPは保護されたヒドロキシ基、例えば、RPはベンジルオキシ又はエトキシである。)とカップリング剤、例えば、シアノメチレントリ-N-ブチルホスホランの存在下で反応させることにより調製できる。
【0032】
TがS又はNRである式IIの化合物は、類似の経路によるか、当業者に公知のその他の方法により調製できる。例えば、TがNRのとき式Iの一部を含む第一級アミンを形成し、次いで、アルキル化又は還元アルキル化して任意の保護で要求される通りの式Iの第二級若しくは第三級アミンを精製し、適宜脱保護工程を行う。
【0033】
式III及びIVの化合物は、実施例で記載する方法によるか、当業者に公知の類似の方法により調製できる。
本発明の化合物は慣用技術を使用してそれらの反応混合物から単離できる。
【0034】
当業者には周知のことであるが、本発明の化合物を場合に応じて別のやり方にて、そしてより簡便な仕方で得るためには、前述した個々のプロセス工程を異なった順序で実施することができ、および/または、個々の反応を、全体的な経路における異なった段階で行うことができる(すなわち、ある特定の反応と前述のように関連した中間体とは異なった中間体に対して化学変換を施すことができる)。
【0035】
“不活性溶媒”とは、所望の生成物の収率に悪影響を及ぼすような仕方で出発物質、試薬、中間体、またはプロドラッグとは反応しない溶媒を表わしている。
【0036】
(医薬製剤)
本発明の化合物は、通常、経口投与、非経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、もしくは皮下投与により、または他の注射可能な方法で;頬側(buccal)経路、直腸経路、膣経路、経皮経路、および/または鼻腔経路を介して;および/または吸入によって、本発明の化合物又は医薬として許容されうる塩を含んだ医薬製剤の形態で、医薬として許容されうる剤形にて投与される。障害の種類、処置しようとする患者の状態、および投与経路に応じて、医薬製剤は種々の用量にて投与することができる。
【0037】
ヒトの治療処置における本発明の化合物の適切な日用量は、体重1kg当たり約0.0001〜100mgであり、好ましくは体重1kg当たり0.001〜10mgである。
経口製剤は、当業者に公知の方法に従って調剤して、0.5mg〜500mg(例えば、1mg、3mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、および250mg)の範囲の活性化合物の用量をもたらすことのできる錠剤またはカプセルであるのが特に好ましい。
【0038】
本発明のさらなる態様によれば、本発明の化合物もしくはその医薬として許容されうる誘導体のいずれかを、医薬として許容されうる佐剤、稀釈剤、及び/又はキャリヤーとの混合物として含む医薬製剤が提供される。
【0039】
(薬理学的特性)
本発明の式(I)の化合物は、インスリン感受性における特有の低下または誘発された低下に関連した臨床症状(インスリン耐性)、および関連した代謝障害(代謝症候群としても知られている)の予防および/または治療に対して有用である。これらの臨床症状としては、一般的な肥満症、腹部肥満症、動脈性高血圧症、インスリン過剰血症、2型糖尿病、および異常脂質血症(インスリン耐性を伴うのが特徴)などがあるが、これらに限定されない。この異常脂質血症〔アテローム発生のリポタンパク質プロフィール(atherogenic lipoprotein profile)としても知られている〕は、非エステル化脂肪酸の適度な増大、超低密度リポタンパク質(VLDL)トリグリセリド高含量粒子の増大、高いApoBレベル、低いapoAI粒子レベルに関連した高密度リポタンパク質(HDL)レベルの低下、および小さくて緻密な低密度リポタンパク質(LDL)粒子(表現型B)の存在下における高いApoBレベル、を特徴とする。
【0040】
本発明の化合物は、複合型もしくは混合型の高脂質血症、または種々の程度のトリグリセリド過剰血症と食後異常脂質血症(代謝症候群の他の発現がある場合とない場合)に罹患した患者を処置する際に有用であると思われる。
【0041】
本発明の化合物による処置を施すと、これらの化合物が抗炎症特性だけでなく抗異常脂質血症特性を示すことから、アテローム性動脈硬化症に関連した心臓血管の罹患や致死を少なくするものと期待される。心疾患の症状としては、心筋梗塞を引き起こす種々の臓器のマクロアンギオパシー、鬱血性心不全、脳血管疾患、および下肢の末梢動脈機能不全などがある。インスリン感受性増大効果を有することから、式Iの化合物はさらに、代謝症候群や妊娠糖尿病からの2型糖尿病の発症を予防するか又は遅延させるものと期待される。したがって、真性糖尿病での慢性高血糖症に付随する長期合併症(例えば、腎疾患を引き起こすミクロアンギオパシー、網膜損傷、および下肢の末梢血管疾患など)の発症が遅延されるものと考えられる。本発明の化合物はさらに、インスリン抵抗性との関連性の有無にかかわらず、心臓血管系の疾患以外の種々の疾病(例えば、多嚢胞性卵巣症候群、肥満症、癌、並びに、軽度認識障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、および多発性硬化症等の神経変性障害を含めた炎症性疾患状態)を治療する際にも有用であると考えられる。
【0042】
本発明の化合物は、2型糖尿病に罹患している患者においてグルコースレベルを抑えるのに有用であると考えられる。
本発明は、異常脂質血症、インスリン耐性症候群、及び/又は前述のような代謝障害を治療もしくは予防する必要のある哺乳類(特にヒト)に式Iの化合物を投与することを含む、異常脂質血症、インスリン耐性症候群、及び/又は代謝障害を治療もしくは予防する方法を提供する。
【0043】
本発明は、2型糖尿病の治療もしくは予防を必要とする哺乳類(特にヒト)に式Iの化合物の有効量を投与することを含む、2型糖尿病を治療もしくは予防する方法を提供する。
さらに他の態様においては、本発明は、式Iの化合物を医薬として使用することを提供する。
【0044】
さらに他の態様においては、本発明は、インスリン耐性及び/又は代謝障害を治療するための医薬の製造において式Iの化合物を使用することを提供する。
【0045】
(組み合わせ療法)
本発明の化合物は、アテローム性動脈硬化症の発症もしくは進行に付随した障害(例えば、高血圧症、高脂質血症、異常脂質血症、糖尿病、および肥満症)の治療に対して有用な別の治療剤と組み合わせることができる。本発明の化合物は、LDL:HDLの比を減少させる別の治療剤と、あるいはLDL-コレステロールの循環レベルの減少を引き起こす薬剤と組み合わせることができる。真性糖尿病に罹患している患者に対しては、本発明の化合物をさらに、ミクロアンギオパシーに関連した合併症を処置するのに使用される治療剤と組み合わせることもできる。
【0046】
本発明の化合物は、代謝症候群または2型糖尿病とそれに付随した合併症を治療するための他の治療剤と併用することができる。これらの治療剤としては、ビグアニド薬物(例えば、メトフォルミン、フェンフォルミン、およびブフォルミン)、インスリン(合成インスリン類縁体、アミリン)、および経口抗高血糖薬〔これらは、食事グルコース調節剤(prandial glucose regulators)とα-グルコシダーゼ阻害剤とに分けられる〕などがある。α-グルコシダーゼ阻害剤の例としては、アカルボース、ボグリボース、またはミグリトールが挙げられる。食事グルコース調節剤の例としては、レパグリニドやナテグリニドが挙げられる。
【0047】
本発明の他の態様においては、式Iの化合物、又はその医薬として許容されうる塩を、他のPPAR調節剤と併用して投与することができる。PPAR調節剤としては、PPARα及び/又はγ及び/又はδアゴニスト、あるいは前記アゴニストの医薬として許容されうる塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくはこのような塩の溶媒和物などがある。適切なPPARα及び/又はγアゴニスト、前記アゴニストの医薬として許容されうる塩、溶媒和物、プロドラッグ、もしくはこのような塩の溶媒和物は当業界によく知られている。これらは、WO01/12187、WO01/12612、WO99/62870、WO99/62872、WO99/62871、WO/98/57941、WO01/40170、WO04/000790、WO04/000295、WO04/000294、WO03/051822、WO02/096863、WO03/051826、WO02/085844、WO01/040172、「J Med Chem,1996,39,665,Expert Opinion on Therapeutic Patents,10(5),623-634」(特に、634ページにリストアップされている特許出願中に記載の化合物)、および「J Med Chem,2000,43,527」(これら全ての文献を参照により本明細書に含める)に記載の化合物を含む。PPARα及び/又はγ及び/又はδアゴニストとは特に、ムラガリタザール(BMS 298585)、リボグリタゾン(CS-011)、ネトグリタゾン(MCC-555)、バラグリタゾン(DRF-2593, NN-2344)、クロフィブレート、フェノフィブレート、ベザフィブレート、ジェムフィブロジル、シプロフィブレート、ピログリタゾン、ロシグリタゾン、 AVE-0847、AVE-8134、CLX-0921、DRF-10945、DRF-4832、LY-518674、LY-818、LY-929、641597、GW-590735、GW-677954、GW-501516、MBX-102、ONO-5129、KRP-101、R-483 (BM131258)、TAK-559 又はTAK-654を表している。PPARα及び/又はγ及び/又はδアゴニストとは特に、テサグリタザール((S)-2-エトキシ-3-[4-(2-[4-メタンスルホニルオキシフェニル]エトキシ)-フェニル]プロパン酸)およびその医薬として許容されうる塩を表わしている。
【0048】
本発明の組み合わせ物はさらに、スルホニルウレア〔例えば、グリメピリド、グリベンクラミド(グリブリド)、グリクラジド、グリピジド、グリキドン、クロロプロパミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、グリコピラミド(glycopyramide)、カルブタミド、グリボヌリド(glibonuride)、グリソキセピド(glisoxepid)、グリブチアゾール(glybuthiazole)、グリブゾール、グリヘキサミド(glyhexamide)、グリミジン、グリピナミド(glypinamide)、フェンブタミド(phenbutamide)、トルシラミド(tolcylamide)、およびトラザミド〕と併用することができる。スルホニルウレアは、グリメピリドまたはグリベンクラミド(グリブリド)であるのが好ましい。スルホニルウレアはグリメピリドであるのがさらに好ましい。したがって本発明は、本発明の化合物を、1種、2種、もしくはそれ以上の、本パラグラフに記載の従来の治療剤と併せて投与することを含む。2型糖尿病とそれに付随した合併症を治療するための他の従来治療剤の用量は、当業界に公知の、規制機関(regulatory bodies)によって使用が承認されている用量であり、米食品医薬品局から発行のオレンジブックで調べることができる。これとは別に、組み合わせを行うことで得られる利点の結果、より少ない用量を適用することもできる。本発明はさらに、本発明の化合物とコレステロール降下剤との組み合わせ物も含む。本出願において挙げられているコレステロール降下剤は、HMG-CoAレダクターゼ(3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素Aレダクターゼ)の阻害剤であるが、これに限定されない。HMG-CoAレダクターゼ阻害剤は、アトルバスタチン、ベルバスタチン(bervastatin)、セリバスタチン、ダルバスタチン(dalvastatin)、フルバスタチン、イタバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ニコスタチン(nicostatin)、ニバスタチン(nivastatin)、プラバスタチン、及びシムバスタチン、又はこれら物質の医薬として許容されうる塩(特に、ナトリウム塩やカルシウム塩)もしくは溶媒和物、またはこのような塩の溶媒和物からなる群から選択されるスタチンであるのが適切である。特定のスタチンは、アトルバスタチン、またはアトルバスタチンの医薬として許容されうる塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、またはこのような塩の溶媒和物である。さらに特定のスタチンはアトルバスタチンのカルシウム塩である。しかしながら、特に好ましいスタチンは、(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)-アミノ]-ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシヘプト-6-エノン酸〔(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[N-メチル-N-(メチルスルホニル)-アミノ]-ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシヘプト-6-エノン酸としても知られている〕の化学名の化合物、その医薬として許容されうる塩もしくは溶媒和物、またはこのような塩の溶媒和物である。化合物(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)-アミノ]-ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシヘプト-6-エノン酸、並びにそのカルシウム塩とナトリウム塩が、ヨーロッパ特許出願公開番号EP-A-0521471と「Bioorganic and Medicinal Chemistry,(1997),5(2),437-444」に開示されている。この後者のスタチンは現在、ロスバスタチンの一般名で知られている。
【0049】
本出願においては、“コレステロール降下剤”という用語はさらに、活性であるか又は不活性であるかに関わりなく、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤の化学修飾物質(例えば、エステル、プロドラッグ、および代謝産物)も含む。
【0050】
本発明は、本発明の化合物と胆汁酸捕捉剤、例えば、コレスチポール若しくはコレスティルアミン若しくはコレスタゲル等との組み合わせも含む。
本発明はさらに、本発明の化合物と、回腸の胆汁酸輸送システムの阻害剤(IBAT阻害剤)との組み合わせ物も含む。
【0051】
IBAT阻害活性を有する適切な化合物が、例えば、WO93/16055、WO94/18183、WO94/18184、WO96/05188、WO96/08484、WO96/16051、WO97/33882、WO98/07449、WO98/38182、WO 98/40375、WO 98/56757、WO 99/32478、WO 99/35135、WO 99/64409、WO 99/64410、WO 00/01687、WO 00/20392、WO 00/20393、WO 00/20410、WO 00/20437、WO 01/34570、WO 00/35889、WO 00/47568、WO 00/61568、WO 01/68637、WO 01/68096、WO 02/08211、WO 00/38725、WO 00/38726、WO 00/38727、WO 00/38728、WO 00/38729、DE 19825804、JP 10072371、US 5070103、EP 251 315、EP 417 725、EP 489 423、EP 549 967、EP 573 848、EP 624 593、EP 624 594、EP 624 595、EP 869 121、EP 864 582, 及びEP 1 070 703, (これら特許出願の開示内容、特に請求項1に記載の化合物群及び実施例の内容を参照により本明細書に含める)中に記載されている。
【0052】
本発明で使用するのに適した特定のクラスのIBAT阻害剤はベンゾチエピンであり、WO00/01687、WO96/08484、およびWO97/33882のクレーム(特に請求項1)に記載の化合物を参照により本明細書に含める。他の適切なクラスのIBAT阻害剤は、1,2-ベンゾチアゼピン、1,4-ベンゾチアゼピン、及び1,5-ベンゾチアゼピンである。適切なクラスのさらなるIBAT阻害剤は1,2,5-ベンゾチアジアゼピンである。
【0053】
IBAT阻害活性を有する1つの特定の適切な化合物は、(3R,5R)-3-ブチル-3-エチル-1,1-ジオキシド-5-フェニル-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,4-ベンゾチアゼピン-8-イルβ-D-グルコピラノシド酸(EP864582)である。他の適切なIBAT阻害剤としては、
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-1'-フェニル-1'-[N'-(カルボキシメチル)カルバモイル]メチル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N'-(カルボキシメチル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-1'-フェニル-1'-[N'-(2-スルホエチル)カルバモイル]メチル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3-ブチル-3-エチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-1'-フェニル-1'-[N'-(2-スルホエチル)カルバモイル]メチル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N'-(2-スルホエチル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3-ブチル-3-エチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N'-(2-スルホエチル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3-ブチル-3-エチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N'-(2-カルボキシエチル)カルバモイル]ベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N'-(2-カルボキシエチル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンシル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3-ブチル-3-エチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N'-(5-カルボキシペンチル)カルバモイル]ベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N'-(2-カルボキシエチル)カルバモイル]ベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[α-[N'-(2-スルホエチル)カルバモイル]-2-フルオロベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3-ブチル-3-エチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N'-(R)-(2-ヒドロキシ-1-カルボキシエチル)カルバモイル]ベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N'-(R)-(2-ヒドロキシ-1-カルボキシエチル)カルバモイル]ベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-[N-[(R)-α-(N'-[(R)-1-[N"-(R)-(2-ヒドロキシ-1-カルボキシエチル)カルバモイル]-2-ヒドロキシエチル]カルバモイル)ベンジル]カルバモイルメトキシ]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3-ブチル-3-エチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[α-[N'-(カルボキシメチル)カルバモイル]ベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3-ブチル-3-エチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[α-[N'-((エトキシ)(メチル)ホスホリル-メチル)カルバモイル]ベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3-ブチル-3-エチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-[N-[(R)-α-(N'-[2-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスホリル]エチル]カルバモイル)ベンジル]カルバモイルメトキシ]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N'-(2-メチルチオ-1-カルボキシエチル)カルバモイル]ベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-[N-[(R)-α-(N'-[2-[(メチル)(エチル)ホスホリル]エチル]カルバモイル)-4-ヒドロキシベンジル]カルバモイルメトキシ]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-[N-[(R)-α-(N'-[2-[(メチル)(ヒドロキシ)ホスホリル]エチル]カルバモイル)-4-ヒドロキシベンジル]カルバモイルメトキシ]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[(R)-N'-(2-メチルスルフィニル-1-カルボキシエチル)カルバモイル]ベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メトキシ-8-[N-[(R)-α-[N'-(2-スルホエチル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル]カルバモイルメトキシ]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N-((R)-1-カルボキシ-2-メチルチオ-エチル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシ-2-(R)-ヒドロキシプロピル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシ-2-メチルプロピル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシブチル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシプロピル)カルバモイル]ベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシエチル)カルバモイル]ベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシ-2-(R)-ヒドロキシプロピル)カルバモイル]ベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N-(2-スルホエチル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシエチル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N-((R)-1-カルボキシ-2-メチルチオエチル)カルバモイル]ベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N-[(S)-1-[N-((S)-2-ヒドロキシ-1-カルボキシエチル)カルバモイル]プロピル]カルバモイル]ベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシ-2-メチルプロピル)カルバモイル]ベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシプロピル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-[N-((R/S)-α-[N-[1-(R)-2-(S)-1-ヒドロキシ-1-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロプ-2-イル]カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル)カルバモイルメトキシ]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N-(2-(S)-3-(R)-4-(R)-5-(R)-2,3,4,5-6-ペンタヒドロキシヘキシル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;および
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-[(R)-α-[N-(2-(S)-3-(R)-4-(R)-5-(R)-2,3,4,5-6-ペンタヒドロキシヘキシル)カルバモイル]ベンジル]カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
のうちの1種、又は上記化合物の医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物若しくはプロドラッグがある。
【0054】
本発明のさらに他の態様によれば、式Iの化合物、またはその医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物若しくはプロドラッグの有効量を、必要に応じて、医薬として許容されうる稀釈剤若しくはキャリヤーと共に、下記薬剤から選択される1種以上の薬剤の同時投与、逐次投与、もしくは個別投与と組み合わせて、治療処置を必要とする温血動物(例えばヒト)に投与することを含む組み合わせ療法が提供される:
CETP(コレステリルエステル転送タンパク質)阻害剤、例えば、WO00/38725(該特許出願を参照により本明細書に含める)の7ページ22行〜10ページ17行に記載の阻害剤;
コレステロール吸収アンタゴニスト、例えば、SCH58235や米国特許第5,767,115号(該特許を参照により本明細書に含める)に記載の物質等のアゼチジノン;
MTP(ミクロソーム転送タンパク質)阻害剤、例えば、「Science,282,751〜54,1998」(該文献を参照により本明細書に含める)に記載の阻害剤;
徐放性物質や組み合わせ物質を含めたニコチン酸誘導体、例えば、ニコチン酸(ナイアシン)、アシピモックス、およびニセリトール;
フィトステロール化合物、例えばスタノール;
プロブコール;
オメガ−3脂肪酸、例えば、OmacorTM
抗肥満化合物、例えば、オルリスタット(EP129,748)やシブトラミン(GB2,184,122および米国特許第4,929,629号);
血圧降下化合物、例えば、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、アドレナリン遮断薬、αアドレナリン遮断薬、メトプロロールのようなβアドレナリン遮断薬、α/β混合アドレナリン遮断薬、アドレナリン刺激薬、カルシウムチャネル遮断薬、AT-1遮断薬、塩分排泄剤、利尿剤、または血管拡張剤;
例えばWO01/70700やEP65635に記載のCB1アンタゴニストまたはインバースアゴニスト;
アスピリン;
メラニン凝集ホルモン(MCH)アンタゴニスト;
PDK阻害剤;または
核内受容体の調節剤、例えば、LXRα、FXRα、RXRα、およびRORα;
あるいは上記物質の医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物、若しくはプロドラッグ(必要に応じて、医薬として許容されうる稀釈剤若しくはキャリヤーと一緒にする)。
【0055】
式Iの化合物と組み合わせて使用することのできる、特定のACE阻害剤、または前記ACE阻害剤の医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物、若しくはプロドラッグ(活性代謝産物を含む)としては、アラセプリル、アラトリオプリル(alatriopril)、アルチオプリルカルシウム(altiopril calcium)、アンコベニン(ancovenin)、ベナゼプリル、塩酸ベナゼプリル、ベナゼプリラート、ベンゾイルカプトプリル、カプトプリル、カプトプリル-システイン、カプトプリル-グルタチオン、セラナプリル(ceranapril)、セラノプリル(ceranopril)、セロナプリル、シラザプリル、シラザプリラート、デラプリル、デラプリル-二酸、エナラプリル、エナラプリラート、エナプリル、エピカプトプリル(epicaptopril)、フォルオキシミチン(foroxymithine)、フォスフェノプリル(fosfenopril)、フォスエノプリル(fosenopril)、フォスエノプリル・ナトリウム(fosenopril sodium)、フォシリプリル、フォシリプリルナトリウム、フォシノプリラート、フォシリプリル酸(fosinoprilic acid)、グリコプリル(glycopril)、ヘモルフィン-4、イドラプリル(idrapril)、イミダプリル、インドラプリル(indolapril)、インドラプリラート(indolaprilat)、リベンザプリル(libenzapril)、リシノプリル、リシウミンlyciumin)A、リシウミンB、ミキサンプリル(mixanpril)、モエクシプリル(moexipril)、モエクシプリラート(moexiprilat)、モベルチプリル、ムラセイン(muracein)A、ムラセインB、ムラセインC、ペントプリル(pentopril)、ペリンドプリル、ペリンドプリラート、ピバロプリル(pivalopril)、ピボプリル(pivopril)、キナプリル、塩酸キナプリル、キナプリラート、ラミプリル、ラミプリラート、スピラプリル、塩酸スピラプリル、スピラプリラート、スピロプリル(spiropril)、塩酸スピロプリル、テモカプリル、塩酸テモカプリル、テプロチド、トランドラプリル、トランドラプリラート、ウチバプリル(utibapril)、ザビシプリル(zabicipril)、ザビシプリラート(zabiciprilat)、ゾフェノプリル、およびゾフェノプリラート等の化合物があるが、これらに限定されない。本発明において使用するための好ましいACE阻害剤は、ラミプリル、ラミプリラート、リシノプリル、エナラプリル、およびエナラプリラートである。本発明において使用するためのより好ましいACE阻害剤は、ラミプリルとラミプリラートである。
【0056】
式Iの化合物と組み合わせて使用するための、好ましいアンギオテンシンIIアンタゴニスト、前記アンタゴニストの医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物若しくはプロドラッグとしては、カンデサルタン、カンデサルタンシレキセチル、ロサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、およびエプロサルタン等の化合物があるが、これらに限定されない。本発明において使用するための、特に好ましいアンギオテンシンIIアンタゴニストまたは前記アンタゴニストの医薬として許容されうる誘導体は、カンデサルタンとカンデサルタンシレキセチルである。
【0057】
したがって本発明のさらなる特徴においては、式Iの化合物、またはその医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物若しくはプロドラッグの有効量を、この組み合わせセクションに記載の他の化合物、またはそれらの医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物若しくはプロドラッグのうちの1つの有効量と組み合わせて、同時投与、逐次投与、または個別投与にて、2型糖尿病とそれに関連した合併症の治療を必要とする温血動物(例えばヒト)に投与することを含む、前記動物における2型糖尿病とそれに関連した合併症を治療するための方法が提供される。
【0058】
したがって本発明のさらなる特徴においては、式Iの化合物、またはその医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物若しくはプロドラッグの有効量を、この組み合わせセクションに記載の他の化合物、またはそれらの医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物若しくはプロドラッグのうちの1つの有効量と組み合わせて、同時投与、逐次投与、又は個別投与にて、高脂質血症の治療を必要とする温血動物(例えばヒト)に投与することを含む、前記動物における高脂質血症の治療法が提供される。
【0059】
本発明のさらに他の態様によれば、式Iの化合物、またはその医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物若しくはプロドラッグと、この組み合わせセクションに記載の他の化合物、またはそれらの医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物若しくはプロドラッグのうちの1つとを、製薬学的に許容されうる稀釈剤若しくはキャリヤーと関連させて含む医薬組成物が提供される。
【0060】
本発明のさらに他の態様によれば、式Iの化合物、または前記化合物の医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物若しくはプロドラッグと、この組み合わせセクションに記載の他の化合物、又は前記化合物の医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物若しくはプロドラッグのうちの1つとを含むキットが提供される。
【0061】
本発明のさらに他の態様によれば、
a) 式Iの化合物、又はその医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物若しくはプロドラッグを含んだ第1の単位剤形;
b) この組み合わせセクションに記載の他の化合物、又はそれらの医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物若しくはプロドラッグのうちの1つを含んだ第2の単位剤形;及び
c) 前記第1と第2の剤形を収容するための容器手段;
を含むキットが提供される。
【0062】
本発明のさらに他の態様によれば、
a) 式Iの化合物、又はその医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物若しくはプロドラッグと、製薬学的に許容されうる稀釈剤若しくはキャリヤーとを一緒に含んだ第1の単位剤形;
b) この組み合わせセクションに記載の他の化合物、又はそれらの医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物若しくはプロドラッグのうちの1つを含んだ第2の単位剤形;及び
c) 前記第1と第2の剤形を収容するための容器手段;
を含むキットが提供される。
【0063】
本発明のさらに他の態様によれば、式Iの化合物、又はその医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物若しくはプロドラッグと、この組み合わせセクションに記載の他の化合物、又はそれらの医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物若しくはプロドラッグのうちの1つとを、温血動物(例えばヒト)における代謝症候群もしくは2型糖尿病およびそれに関連した合併症の治療に使用するための医薬の製造において使用することが提供される。
【0064】
本発明の他の特徴によれば、式Iの化合物、又はその医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物若しくはプロドラッグと、この組み合わせセクションに記載の他の化合物、又はそれらの医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物又はプロドラッグのうちの1つとを、温血動物(例えばヒト)における高脂質血症の治療に使用するための医薬の製造において使用することが提供される。
【0065】
本発明のさらに他の態様によれば、式Iの化合物、又はその医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物若しくはプロドラッグの有効量を、必要に応じて製薬学的に許容されうる稀釈剤もしくはキャリヤーと共に投与することと、この組み合わせセクションに記載の他の化合物、又はそれらの医薬として許容されうる塩、溶媒和物、このような塩の溶媒和物若しくはプロドラッグのうちの1つの有効量を、必要に応じて製薬学的に許容されうる稀釈剤もしくはキャリヤーと共に同時投与、逐次投与、または個別投与することとを組み合わせて、組み合わせ治療処置を必要とする温血動物(例えばヒト)に投与することを含む組み合わせ療法が提供される。
【0066】
(実施例)
1H-NMRと13C-NMRの測定は、それぞれ300、400、500、及び600MHzの1H周波数にて、並びにそれぞれ75、100、125、及び150MHzの13C周波数にて作動するバリアン・マーキュリー(Varian Mercury)300又はバリアン・ユニティ(Varian UNITY)プラス400、500、又は600スペクトロメーターを使用して行った。測定は、デルタスケール(δ)に基づいて行った。
【0067】
特に明記しない限り、化学シフトは、溶媒を内部標準としてppmで表示してある。
略語
DMSO ジメチルスルホキシド
ETOAc 酢酸エチル
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
THF テトラヒドロフラン
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
TFA トリフルオロ酢酸
Triflic trifluoroacetic
NH4Oac 酢酸アンモニウム
9-BBNは
【0068】
【化8】

【0069】
である。
t 三重線
s 一重線
d 二重線
q 四重線
m 多重線
bs ブロードな一重線
【0070】
実施例1
a) エチル(2S)-2-エトキシ-3-(4-{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}フェニル)プロパノエート
CH2Cl2 (13 mL)中の無水トリフルオロ酢酸(1.24 g, 4.39 mmol)の冷却溶液を、CH2Cl2 (20 mL)中のトリエチルアミン(0.61 g、6.0 mmol)及びエチル(2S)-2-エトキシ -3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパノエート(WO99/62872に記載された通りに製造)(0.95 g, 4.0 mmol)溶液に−40℃、アルゴン雰囲気下で、ゆっくりと加えた。得られた反応混合物を−40℃で1.5時間攪拌し、冷0.5 M KHSO4水溶液、NaHCO3飽和水溶液及びブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、蒸発させて油状物として標記化合物を得た(1.42 g, 96 %)。
【0071】
【数1】

【0072】
b) エチル(2S)-2-エトキシ-3-(4-ビニルフェニル)プロパノエート
DMF (20 mL)中のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) (95 mg, 0.13 mmol)、LiCl (0.57 g, 13.5 mmol)、及びエチル(2S)-2-エトキシ-3-(4-{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}フェニル)プロパノエート(1.00 g, 2.70 mmol)の混合物に、アルゴン雰囲気下でトリブチル(ビニル)スタンナン(0.98 g, 3.1 mmol)を加えた。得られた反応混合物を加熱して一夜還流させ、室温に冷却し、水中に注いだ。水性相をエーテルで抽出し、合わせた有機抽出物を水及びブラインで洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、移動相として酢酸エチル及びヘプタン(20:1)の混合物を使用してシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、標記化合物を得た(0.45 g, 67 %)。
【0073】
【数2】

【0074】
c) エチル(2S)-2-エトキシ-3-[4-(2-ヒドロキシエチル)フェニル]プロパノエート
攪拌下の乾燥THF中のエチル(2S)-2-エトキシ-3-(4-ビニルフェニル)プロパノエート(0.37 g, 1.48 mmol)溶液に、アルゴン雰囲気下で、9-BBN (3.0 mmol、ヘキサン中の0.5 M溶液6 mL)を加えた。得られた反応混合物をアルゴン雰囲気下で22時間攪拌した。トリメチルアミンN-オキシド2水和物(0.60 g, 5.4 mmol)を加え、得られた混合物を加熱して一夜還流し、エーテル(50 mL)で稀釈した。有機層をブラインで3回洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、蒸発した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン/酢酸エチル3:1)で精製し、無色油状物として標記化合物を得た(0.24 g, 62 %)。
【0075】
【数3】

【0076】
d) エチル(2S)-2-エトキシ-3-[4-(2-{4-[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]-プロパノエート
THF (1.5 mL)中のエチル(2S)-2-エトキシ-3-[4-(2-ヒドロキシエチル)フェニル]-プロパノエート(0.244 g, 0.92 mmol)及び4-ヒドロキシフェニルメチルスルホネート(0.172 g, 0.92 mmol)溶液にTHF (1.5 mL)中のシアノメチレントリ-N-ブチルホスホラン(0.663 g, 2.75 mmol)を加えた。得られた反応混合物を、マイクロ波オーブン中、10分間150℃で加熱した。減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、移動相としてヘプタン/酢酸エチル3:1)で精製すると、0.167 g (42 %)の標記化合物を得た。
【0077】
【数4】

【0078】
e) (2S)-2-エトキシ-3-[4-(2-{4-[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸
THF/水4:1 (5 mL)中のエチル(2S)-2-エトキシ-3-[4-(2-{4-[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパノエート(167 mg, 0.38 mmol)溶液に水酸化リチウム(27 mg, 1.15 mmol)を加えた。得られた反応混合物を室温で一夜攪拌し、1M HCl(2mL)を加えた。減圧下でTHFを除去した。水で水性相を稀釈し、Phase Separator中でCH2Cl2で3回抽出した。合わせた有機層を蒸発させた。残留物を分取HPLC (preparative HPLC)により精製して、無色油状物として標記生成物を得た(129 mg, 83 %)。
【0079】
【数5】

【0080】
明細書中で使用するフェニルC1-6アルキル基という用語は、この基がアルキル基により分子の残余位に結合されている、例えば、ベンジルを意味する。
【0081】
(生物学的活性)
本発明の化合物を、WO03/051821に記載されている分析法により試験した。式Iの化合物は、アフィニィティーPPARα及びPPARγを示した。インビボで優れたPPARα/γプロフィール及び/又はより高いアフィニィティー及び/又はより良好なインビボ効力を示したので、式Iの化合物群が選択された。これらの化合物群は、インビボ安全性が期待される、より良好な選択性プロフィールも示した。
【0082】
本発明の化合物はさらに、改良されたDMPK(Drug Metabolism and Pharmacokinetics;薬物代謝および薬物動態学)特性を示す。例えば、本発明の化合物は、インビトロでの改良された代謝安定性、すなわち、バイオアベイラビリティーを示す。本発明の化合物はさらに、改良された溶解性及び/又は有望な毒物学的プロフィールを有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

(式中、T はO、S 又は NRを表し、R はH、C1-6アルキル基又はフェニルC1-6アルキル基を表す。)の化合物及びその製薬学的に許容できる塩。
【請求項2】
(2S)-2-エトキシ-3-[4-(2-{4-[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]プロパン酸である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化合物と製薬学的に許容できる佐剤、稀釈剤及び/又はキャリヤーとを混合して含んでなる医薬製剤。
【請求項4】
脂質障害(異常脂質血症)の治療又は予防の必要な哺乳類に請求項1又は2に記載の化合物の投与を含むインスリン耐性に関連する又は関連しない脂質障害(異常脂質血症)の治療又は予防方法。
【請求項5】
インスリン耐性に関連する又は関連しない脂質障害(異常脂質血症)の治療のための医薬の製造における請求項1又は2に記載の化合物の使用。
【請求項6】
2型糖尿病の治療又は予防の必要な哺乳類に有効量の請求項1又は2に記載の化合物の投与を含む2型糖尿病の治療又は予防方法。
【請求項7】
高血圧症、高脂肪血症、異常脂質血症、糖尿病および肥満症などのアテローム性動脈硬化症の発生および進行に関連する疾患の治療に有用な別の治療薬剤と組み合わせた請求項1または2に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項8】
式II
【化2】

(式中、T は前記定義の通りであり、Rp はカルボン酸のヒドロキシ基のための保護基である。)の化合物と脱保護基剤との反応を含む式Iに記載の化合物の製造方法。
【請求項9】
式II
【化3】

(式中、T は請求項1で定義した通りであり、Rpはカルボン酸のヒドロキシ基のための保護基である。)の化合物。
【請求項10】
式Iに記載の化合物のプロドラッグであって、当該プロドラッグが式(I)の化合物のカルボン酸基の、インビボで、加水分解可能(又は開裂可能)なエステルである、プロドラッグ。

【公表番号】特表2006−527752(P2006−527752A)
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516441(P2006−516441)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002619
【国際公開番号】WO2004/113276
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】