説明

脈管内用超音波カテーテル

脈管内用超音波カテーテルは、超音波トランスデューサを担持する駆動シャフトを受容するように構成された中心管腔を含むことができる。脈管内用超音波カテーテルは、場合によっては改善された可撓性を示すことができる。カテーテルは内側ポリマー層と、外側ポリマー層と、内側ポリマー層および外側ポリマー層間に配置されるスパイラルカットされたハイポチューブとを備えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカテーテルに関し、より詳細には脈管内用超音波カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波は、種々の医療処置において有用であり得る。超音波トランスデューサが患者の脈官系を介して患者の体内に進行させられる脈管内用超音波検査は、特定の用途および利点を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
超音波トランスデューサは、超音波カテーテル内を患者の脈管系を介して進行させることができる。超音波カテーテルについては公知であるが、改良された超音波カテーテルがなお必要とされている。また、可撓性が向上した超音波カテーテルも必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、脈管内用超音波カテーテルのようなカテーテルに関する。脈管内用超音波カテーテルは、超音波トランスデューサを担持する駆動シャフトを受容するように構成された中心管腔を備えることができる。脈管内用超音波カテーテルは、いくつかの場合において、可撓性が改善される場合がある。
【0005】
したがって、本発明の一実施形態は、先端部分および基端部分を有する脈管内用超音波カテーテルに見ることができる。カテーテルは、内側ポリマー層と、外側ポリマー層と、内側ポリマー層および外側ポリマー層の間に位置し、かつカテーテルの先端部分から基端部分に延びるスパイラルカットされたハイポチューブとを備えることができる。
【0006】
スパイラルカットされたハイポチューブは、スパイラルカットされたハイポチューブの先端からの距離の関数である変化率、すなわち第1次導関数を有するピッチを有する。すなわち、ピッチ、または巻回部あたりインチ数は、ハイポチューブに沿った相対的な位置に応じた比率で変化する。ハイポチューブのある場所においては、ピッチが位置に対して緩やかに変化し得るのに対し、ハイポチューブの他の場所においては、ピッチは位置に対してより急に変化し得る。
【0007】
本発明の別の実施形態は、先端を有する脈管内用超音波駆動シャフトと、脈管内用超音波駆動シャフトの先端近傍に配置される超音波トランスデューサとを有する脈管内用超音波アセンブリに見ることができる。このアセンブリはまた、脈管内用超音波駆動シャフトを受容するように構成されたカテーテルを備える。
【0008】
カテーテルは、脈管内用超音波駆動シャフトを収容するように構成された管腔を画定する内側ポリマー層を有する。カテーテルは、外側ポリマー層と、内側ポリマー層および外側ポリマー層間においてカテーテルの先端部分から基端部分まで延びるスパイラルカットされたハイポチューブとを備える。本発明の上記の概要は、本発明の開示される各実施形態やすべての実施を記述するようには意図されていない。以下の図面、詳細な説明および例は、これらの実施形態をより具体的に例示するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、添付の図面に関連して本発明の様々な実施形態についての以下の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解することができる。
【0010】
本発明は、様々な改変および代替の形態で実施することができるが、それらの詳細については、図面に示し、詳細に説明する。しかしながら、これは、説明される特定の実施形態に本発明を限定することを意図するものではない。それとは逆に、本発明の主旨および範囲内のすべての改変物、均等物および代替物を包含することを意図するものである。
【0011】
以下に定義される用語は、別の定義が請求項または本明細書の他の個所でなされない限りは、その定義が適用されるものである。
すべての数値は、明示的に示されるか否かにかかわらず、「約」という語で修飾されるものである。「約」という語は、一般的に、記載された値と均等であると当業者が判断する数値範囲、すなわち同じ機能または結果を有する数値範囲を指す。多くの場合、「約」という語は、最も近い有効数字に四捨五入された数を含むことができる。
【0012】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形の「a」、「an」、「the」は、これに反する明示的な記載がない限り、複数の指示物を含むものである。また、本明細書および添付の特許請求の範囲において、「または」という語は、概して、これに反する明示的な記載がない限り、「および/または」の意味で用いられる。
【0013】
以下の記述は、図面を参照して読まれるべきである。異なる図面において類似する要素には、類似する符号が付される。図面は、必ずしも寸法比率が等しいものではなく、選択された実施形態を示すものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。構造、寸法および材料の例が様々な要素について示されるが、当業者であれば、提示される例の多くには使用可能な好適な代替物が存在することが理解されるであろう。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態による脈管内用超音波アセンブリ10を示す。脈管内用超音波アセンブリ10は、脈管内用超音波カテーテル12を備える。モータ14は、脈管内用超音波カテーテル12内を延びる駆動シャフト16を回転させる。超音波トランスデューサ18は、脈管内用超音波カテーテル12の先端に配置される。駆動シャフト16は、超音波トランスデューサ18からモニタ22に信号を送るための1つ以上のワイヤ20を備えることができる。
【0015】
これらの部品のいくつかは、当技術分野において公知の要素を備えることができる。例えば、モータ14は、適切な速度および定格荷重を有する任意の好適な電動モータとすることができる。駆動シャフト16は、好適な単一又は複数の材料から形成することができる。超音波トランスデューサ18は、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、メタニオブ酸鉛およびその他の材料などの任意の好適な材料から形成される任意の好適なトランスデューサ結晶とすることができる。モニタ22は、単に、ブラウン管やLCDディスプレイのような表示装置であってもよい。場合によっては、モニタ22は、表示装置およびデータ処理システムを含むコンピュータシステムであってもよい。
【0016】
脈管内用超音波カテーテル12は、図2に関してさらに詳しく説明することができる。例示される実施形態では、脈管内用超音波カテーテル12は、基端26および先端28を有する長尺状シャフト24を備える。ハブおよび張力緩和アセンブリ30は、長尺状シャフト24の基端26に連結されるか、あるいは長尺状シャフト24の基端26の周囲に配置することができる。ハブおよび張力緩和アセンブリ30は、従来の設計のものとすることができ、従来の技術を使用して取り付けることができる。脈管内用超音波カテーテル12は、意図される用途に応じた寸法を有するように形成することができる。カテーテル12は、約50〜200cmの長さ、および1.7F(フレンチ)程度の直径を有することができるが、特定の用途に応じて、直径は約12F程度であってもよい。
【0017】
図3は長尺状シャフト24の一部を示す、図2の3−3線における長尺状シャフト24の断面図である。具体的には、長尺状シャフト24は、外側ポリマー層32、内側ポリマー層34、および中間金属層36を備える。一部の実施形態では、中間金属層36はハイポチューブであってもよい。管腔38は、内側ポリマー層34によって画定され、長尺状シャフト24内を延びる。管腔38は、幾つかの例においては、(図1に示すように)脈管内用超音波駆動シャフト16を収容するように構成される。より詳細には、管腔38は、駆動シャフト16のための平滑な低摩擦表面を提供することができる。
【0018】
一部の実施形態では、内側ポリマー層34は、好適に低い摩擦係数を有する材料のコーティングで形成するか、またはこれを含むことができる。好適な材料の例には、テフロン(登録商標)としてより有名なポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が含まれる。内側ポリマー層34は、意図される用途に合うような適切な内径を有する管腔38を画定するような寸法を有することができる。一部の実施形態では、内側ポリマー層34は、約0.020インチ(約0.508mm)の直径を有する管腔38を画定することができ、約0.001インチ(約25.4μm)の壁厚を有することができる。
【0019】
外側ポリマー層32は、所望される強度、可撓性または他の所望される特性をもたらす任意の好適なポリマーから形成することができる。低いデュロメータ硬度または硬度のポリマーは高い可撓性を付与することができる一方で、高いデュロメータ硬度または硬度のポリマーは高い剛性を付与することができる。一部の実施形態では、使用されるポリマー材料は、熱可塑性ポリマー材料である。好適な材料の例には、ポリウレタン、弾性ポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル(例えばペバックス(登録商標))、シリコーン、およびコポリマーが含まれる。外側ポリマー層32は、単一のポリマーからなる複数の長手方向に延びる部分又は層であってもよく、あるいはポリマーのブレンドであってもよい。材料および加工技術を入念に選択することにより、所望の結果を達成するために、これらの材料の熱可塑性改変物、溶剤可溶性改変物および熱硬化性改変物を用いることができる。
【0020】
明示的に説明されていないが、長尺状シャフト24は、可撓性を変化させることができる複数の異なる部分を含んでもよい。幾つかの例においては、例えば、内側ポリマー層34、および場合により中間金属層36は、長尺状シャフト12の少なくともほぼ全長にわたって連続的に延びる。しかしながら、外側ポリマー層32は、さらなる可撓性を得るために、異なるポリマーで形成される複数の部分を有することができる。例えば、外側ポリマー層32は、(図示しない)基端部分と、中間部分と、先端部分とを備えることができる。先端部分は、中間部分よりも低いデュロメータ硬度のポリマーで形成することができ、中間部分は、基端部分より低いデュロメータ硬度を有するポリマーで形成することができる。
【0021】
特定の実施形態においては、コポリエステル熱可塑性エラストマー(例えばアーニテル(ARNITEL)(登録商標)として販売されるもの)のような熱可塑性ポリマーを使用することができる。外側ポリマー層32は、内側ポリマー層34の外径とほぼ等しい内径を有することができる。外側層32は、中間金属層36の厚さを収容するために、内側ポリマー層34の外径よりわずかに大きな内径を有することができる。一部の実施形態では、シャフトの外側ポリマー層32は、約0.025インチ〜0.100インチ(約0.635〜2.54mm)の内径と、約0.028〜0.150インチ(約0.711〜3.81mm)の外径とを有することができる。
【0022】
外側ポリマー層32は、幾つかの例においては、中間金属層36が望ましい管状形状を保つことを助けるために、中間金属層36に対して圧縮力を付与することができる。場合によっては、外側ポリマー層32は、中間金属層36上に圧縮嵌合(compression fit) されてもよい。場合によっては、外側ポリマー層32は、中間金属層36と干渉嵌合(interference fit)又は摺動嵌合していてもよい。
【0023】
幾つかの例においては、カテーテル12の内部からカテーテル12の外部に流体を提供可能であることが有用な場合がある。図4は、選択的に設けることができる特徴を示した、カテーテル12の一部の部分断面図である。この断面図は、カテーテル12の任意の特定部分を通る断面を示し得るものであり、カテーテル部分44として符号が付されている。図4は、流体がカテーテル部分44の内部40からカテーテル部分44の外部42に通過することができる実施形態を示している。幾つかの例においては、例えば、使用前または使用中にカテーテル12の外側部分を水和させることが有用な場合がある。あるいは、中間金属層と外側ポリマー層の内面とを包囲するように、カテーテル12の内部から流体を提供することが有用な場合がある。
【0024】
上述したように、カテーテル部分44は、図1乃至3について説明したように、外側ポリマー層32、内側ポリマー層34および中間金属層36を備える。しかしながら、図4では、カテーテル部分44は、外側ポリマー層32に設けられた1つ以上の開口46と、内側ポリマー層34に設けられた1つ以上の開口48とを含む。図示されるように、開口46および開口48は、中間金属層36に機械加工されたスパイラルカットまたは切り口50と整合していてもよい。その結果、流体は、内部40から開口48を通って切り口50に流れ込み、そして開口46を通ることができる。代替の実施形態では、流体が中間金属層を含む領域に流れ込むことができるようにする開口46を設けなくてもよい。
【0025】
図5は、図2の5−5線における縦断面図である。図5は、図3と同様に、長尺状シャフト24が外側ポリマー層32、内側ポリマー層34および中間金属層36を備えることを示している。幾つかの例においては、中間金属層36は、可撓性を得るために螺旋状に切断された金属ハイポチューブを含むか、あるいは該ハイポチューブから形成することができる。長尺状シャフト24は、(示されるように)2つのスパイラルカット54を有する第1部分52を備えることができる。第1部分52は、(比較的基端側の)基端部分64に対応する。第1部分52では、近接するスパイラルカット54同士は、距離d1だけ離間する。
【0026】
長尺状シャフト24は、一例として(示されるように)4つのスパイラルカット58を有する第2部分56を含み、中間部分に対応する。近接するスパイラルカット58同士はd1よりも小さい距離d2だけ離間する。長尺状シャフト24はまた、一例として(示されるように)7つのスパイラルカット62を有する第3部分60を含む。近接するスパイラルカット62同士は、d2よりも小さい距離d3だけ離間する。第3部分60は、(比較的先端側の)先端部分66に対応する。しかしながら、切断の数および離間距離は、本発明の範囲内で変更することができる。
【0027】
一部の実施形態では、長尺状シャフト24の基端26から先端28に向かって、ピッチ、すなわち隣接する巻回部同士間の間隔をかなり減少させることができる。一部の実施形態では、中間金属層36は、基端26からの先端28までスパイラルカットされていてもよい。幾つかの例においては、中間金属層36は、基端26の先端側の位置から先端28までスパイラルカットされていてもよい。具体的には、中間金属層36は、長尺状シャフト24の中間点あたりから先端28までスパイラルカットされていてもよいが、シャフトに沿った他の位置を選択してもよい。
【0028】
幾つかの例においては、隣接する巻回部または切り口が、長尺状シャフトの先端28近傍においては非常に近接し、先端28からの距離が大きくなるほど実質的に近接度が低くなるように、中間金属層36がスパイラルカットされてもよい。例としては、隣接する巻回部または切り口同士は、先端28においては約0.005〜0.25インチ(約0.127〜6.35mm)離間しており、対向する、スパイラルカットのより基端側の端部においては、約0.2〜1.0インチ(約5.08mm〜2.54cm)離間する。上述したように、スパイラルカットは、必ずしも長尺状シャフト24の基端26までずっと延びていなくてもよい。
【0029】
中間金属層36をこのように切断することによって、脈管内用超音波カテーテル12は、先端28よりも基端側の位置に比較して、先端28近傍において可撓性がかなり高くなる。中間金属層36は任意の好適な方法で切断することができる。特定の実施形態では、中間金属層36は、コンピューターにより案内されるレーザによってスパイラルカットされる。
【0030】
特定の実施形態においては、ピッチは、長尺状シャフト24の先端28までの距離に基づきピッチを定義する式により与えられてもよい。ピッチは、相対的な位置の関数である変化率、すなわち計算法における第1次導関数を有してもよい。その結果、ピッチの変化率自体が、基端26から先端28に移動するにつれて変わる。
【0031】
幾つかの例においては、ピッチは、先端28に近づくにつれて指数関数的に減少してもよい。一部の実施形態では、ピッチは、式y=A(Bx)+Cにより求められてもよい。ここで、yはピッチ、xは長尺状シャフト24の先端からの距離であり、Aは約5〜100であり、Bは約0.01〜1であり、Cは約0〜25である。
【0032】
図6は、Aが0.05から0.20まで変化し、Bが0.05から0.10まで変化し、Cはゼロに設定される、複数の可能な指数に基づくピッチを示す。図示されるように、ピッチ、または巻回部あたりインチ数は、中間金属層36の先端から基端に向かって急速に増加する。
【0033】
図7は、Aが0.0192に設定され、Bが0.07から0.14まで変化し、Cがゼロに設定される別の可能な複数の指数に基づくピッチを示す。図8は、Aが0.0192に設定され、Bが0.1425に設定され、Cがゼロに設定される、特定の指数に基づくピッチを示す。図示されるように、ピッチ、すなわち巻回部あたりインチ数は、中間金属層36の先端から基端に向かって急速に増加する。
【0034】
一部の実施形態では、ピッチは、先端28に向かって対数関数的に減少してもよい。一部の実施形態では、ピッチは、式y=A+BlnCxによって求めてもよい。ここで、yはピッチ、xは長尺状シャフト24の先端からの距離であり、Aは約0〜25であり、Bは約0.5〜25であり、Cは約0.5〜100である。図9は、Aがゼロに設定され、Bが1に設定され、Cが0.5から1.0まで変化する複数の可能な対数に基づくピッチを示す。図示されるように、ピッチ、すなわち巻回部あたりのインチ数は、中間金属層36の先端から基端に向かって急速に増加する。
【0035】
一部の実施形態では、ピッチは式y=A+BlogCxによって求めてもよい。ここで、yはピッチ、xは長尺状シャフト24の先端からの距離であり、Aは約0〜100であり、Bは約20〜200であり、Cは約0.01〜100である。図10は、Aがゼロに設定され、Bが1に設定され、Cが0.5から1.0まで変化する複数の可能な対数に基づくピッチを示す。図示されるように、ピッチ、すなわち巻回部あたりインチ数は、中間金属層36の先端から基端に向かって急速に増加する。
【0036】
幾つかの例においては、ピッチは、二乗根の指数に基づくピッチ、三乗根の指数に基づくピッチ、又は四乗根の指数に基づくピッチであってもよく、式y=Ax+Bx+Cにより求めてもよい。ここで、yはピッチ、xは長尺状シャフト24の先端からの距離であり、Aは約0.001〜0.5であり、Bは約0〜0.001であり、Cは約0〜100である。
【0037】
図11は、AおよびBがゼロに設定され、Cが0.001から0.002まで変化する複数の可能なピッチを示す。図12は、A、C、DおよびEがそれぞれゼロに設定され、Bが3.7×10−5に設定される複数の可能なピッチを示す。図示されるように、それぞれの場合において、ピッチ、すなわち巻回部あたりインチ数は、中間金属層36の先端から基端に向かって急速に増加する。
【0038】
当業者であれば、先端からの距離の関数としてピッチを定めるために多数の他の式を使用可能であることが理解されるであろう。例示的であり、本発明を限定しない本明細書に記載される例のそれぞれにおいて、ピッチは、先端からの距離の関数であることに注意されたい。さらに、これらの例のそれぞれにおいて、ピッチ変化率は、すなわちピッチの第1次導関数は、相対位置の関数である。
【0039】
図2に戻ると、図13は、長尺状シャフト24の先端28近傍における縦断面図である。図13では、図示されるように、中間金属層36が、距離d4だけ離間した比較的多数のスパイラルカット68を備える。図13と図4を比較すると、図13(長尺状シャフト24の先端を示す)では、スパイラルカット68はかなり多数であり、長尺状シャフト24に沿った任意の他の場所よりも互いに非常に近接している。先端28近傍における離間距離が小さい多数のスパイラルカットは、先端28の可撓性を向上させる。
【0040】
図13では、内側ポリマー層34および中間金属層36が共に先端28の基端側の位置にて終端しているのに対し、外側ポリマー層32は先端28まで延びる。これは、管腔38の幅がトランスデューサ容積70まで広くなることを可能にする。前述したように、管腔38は、超音波駆動シャフトを収容することができる。トランスデューサ容積70は、図14乃至16に示されるように、超音波トランスデューサを収容可能な大きさとすることができる。
【0041】
図14は、超音波トランスデューサ18(図14において擬似線で示される)が先端28近傍に配置されるように、駆動シャフト16が管腔38内に挿入された脈管内用超音波カテーテル12の概略図である。図15は、駆動シャフトが管腔38内に配置された、図14の5−5線における断面図である。図16は、トランスデューサ体積70内にトランスデューサ18が配置された様子を示す、図14の先端における縦断面図である。
【0042】
一部の実施形態では、カテーテル12の一部又は全部は、潤滑コーティングを含んでいてもよい。潤滑コーティングは、操作性を向上させることができ、病変部の通過能力を高めることができる。好適な潤滑ポリマーの例には、ポリアリーレンオキシド、ポリピニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース誘導体、アルギン、サッカリド、カプロラクトン等の親水性ポリマー、ならびのその混合物および組合せが含まれる。親水性ポリマーは、好適な潤滑性、結合性および溶解性を有するコーティングを生成するために、親水性ポリマー同士で、または調合量の水不溶解性化合物(一部のポリマーを含む)とブレンドされてもよい。一部の実施形態では、カテーテルの先端部分を親水性ポリマーで被覆することができ、より基端側の部分をフルオロポリマーで被覆することができる。
【0043】
本発明は、上述した特定の例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の全ての態様を包含するものである。当業者であれば、本明細書を読むことにより、様々な改変、均等な方法、および本発明を適用可能な多数の構造が容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態による脈管内用超音波アセンブリを示す概略図。
【図2】本発明の一実施形態による脈管内用超音波カテーテルの概略図。
【図3】図2の3−3線における断面図。
【図4】図2の脈管内用超音波カテーテルの一部の特定の実施形態を示す縦断面図。
【図5】図2の5−5線における縦断面図。
【図6】本発明の一実施形態による指数関数的にピッチが減少する例を示すグラフ。
【図7】本発明の一実施形態による指数関数的にピッチが減少する例を示すグラフ。
【図8】本発明の一実施形態による指数関数的に減少するピッチを示すグラフ。
【図9】対数関数的に減少するピッチの例を示すグラフ。
【図10】底を10とする対数に基づき減少するピッチの例を示すグラフ。
【図11】本発明の一実施形態による二乗根の指数に基づき減少するピッチの例を示すグラフ。
【図12】本発明の一実施形態による三乗根の指数に基づき減少ピッチの例を示すグラフ。
【図13】図2の先端における縦断面図。
【図14】カテーテル内に配置された駆動シャフトを含む、図2の脈管内用超音波カテーテルの概略図。
【図15】図14の15−15線における断面図。
【図16】図14の先端における縦断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部分および基端部分を有する脈管内用超音波カテーテルであって、該カテーテルは、
内側ポリマー層と、外側ポリマー層と、スパイラルカットされたハイポチューブとを備え、
前記スパイラルカットされたハイポチューブは、内側ポリマー層および外側ポリマー層間に配置されて、カテーテルの先端部分から基端部分まで延びることと、該スパイラルカットされたハイポチューブは先端を有することと、
前記スパイラルカットされたハイポチューブは、ハイポチューブの先端からの距離に応じて異なる変化率を有するピッチを有することと
を含む脈管内用超音波カテーテル。
【請求項2】
前記ピッチが、ハイポチューブの先端からの距離の関数である第1次導関数を有する式によって決定される、請求項1に記載の脈管内用超音波カテーテル。
【請求項3】
前記スパイラルカットされたハイポチューブが指数関数に基づくピッチを有する、請求項1に記載の脈管内用超音波カテーテル。
【請求項4】
前記スパイラルカットされたハイポチューブは、式y=A(Bx)+C(式中、yはピッチであり、Aは約5〜100、Bは約0.01〜1、Cは約0〜25である)によって与えられるピッチを有する、請求項1に記載の脈管内用超音波カテーテル。
【請求項5】
前記スパイラルカットされたハイポチューブが対数関数に基づくピッチを有する、請求項1の脈管内用超音波カテーテル。
【請求項6】
前記スパイラルカットされたハイポチューブが、式y=A+BlnCx(式中、yはピッチであり、Aは約0〜25、Bは約0.5〜25、Cは約0.5〜100である)によって求められるピッチを有する、請求項1に記載の脈管内用超音波カテーテル。
【請求項7】
前記スパイラルカットされたハイポチューブが、式y=A+BlogCx(式中、yはピッチであり、Aは約0〜100であり、Bは約25〜200であり、Cは約0.01〜100である)によって求められるピッチを有する、請求項1に記載の脈管内用超音波カテーテル。
【請求項8】
前記スパイラルカットされたハイポチューブが二乗根の指数に基づくピッチを有する、請求項1に記載の脈管内用超音波カテーテル。
【請求項9】
前記スパイラルカットされたハイポチューブは、式y=Ax+Bx+C(式中、yはピッチであり、Aは約0.001〜5、Bは約0〜0.001、Cは約0〜100である)によって求められるピッチを有する、請求項1に記載の脈管内用超音波カテーテル。
【請求項10】
前記内側ポリマー層は、脈管内用超音波駆動シャフトおよびトランスデューサを収容する管腔を画定する、請求項1の脈管内用超音波カテーテル。
【請求項11】
外側ポリマー層および内側ポリマー層のうち少なくとも一方が、スパイラルカットされたハイポチューブの先端から先端側に延びる、請求項1の脈管内用超音波カテーテル。
【請求項12】
前記スパイラルカットされたハイポチューブが機械加工された切り口を備え、前記内側ポリマー層が、前記機械加工された切り口と連通する複数の開口を備える、請求項1に記載の脈管内用超音波カテーテル。
【請求項13】
前記外側ポリマー層が、機械加工された切り口と連通する複数の開口を備える、請求項12の脈管内用超音波カテーテル。
【請求項14】
先端を有する脈管内用超音波駆動シャフトと、該駆動シャフトの先端近傍に配置される超音波トランスデューサと、前記超音波駆動シャフトを受容するように構成されたカテーテルとを備える脈管内用超音波アセンブリであって、
前記カテーテルは、
脈管内用超音波駆動シャフトを収容する管腔を画定する内側ポリマー層と、
外側ポリマー層と、
前記内側ポリマー層および外側ポリマー層間に配置され、かつ前記カテーテルの先端部分から基端部分まで延びるスパイラルカットされたハイポチューブと、該スパイラルカットされたハイポチューブは先端を有することと
を含む脈管内用超音波アセンブリ。
【請求項15】
前記外側ポリマー層および内側ポリマー層のうち少なくとも一方が前記スパイラルカットされたハイポチューブの先端から先端側に延びる、請求項14の脈管内用超音波アセンブリ。
【請求項16】
前記スパイラルカットされたハイポチューブが、隣接する巻回部間の距離を画定するピッチを有する、請求項14の脈管内用超音波アセンブリ。
【請求項17】
前記ピッチが、スパイラルカットされたハイポチューブの先端からの距離の関数として変化する、請求項16の脈管内用超音波アセンブリ。
【請求項18】
前記ピッチが、スパイラルカットされたハイポチューブの先端からの距離の関数である異なる変化率を有する、請求項16の脈管内用超音波アセンブリ。
【請求項19】
前記スパイラルカットされたハイポチューブは、式y=A(Bx)+C(式中、yはピッチであり、Aは約5〜100であり、Bは約0.01〜1であり、Cは約0〜25である)によって求められる指数関数に基づくピッチを有する、請求項16の脈管内用超音波アセンブリ。
【請求項20】
前記スパイラルカットされたハイポチューブが、式y=A+BlnCx(式中、yはピッチであり、Aは約0〜25であり、Bは約0.5〜25であり、Cは約0.5〜100である)によって求められる対数関数に基づくピッチを有する、請求項16の脈管内用超音波アセンブリ。
【請求項21】
前記スパイラルカットされたハイポチューブが、式y=A+BlogCx(式中、yはピッチであり、Aは約0〜100であり、Bは25〜200であり、Cは約0.01〜100である)によって求められる対数関数に基づくピッチを有する、請求項16の脈管内用超音波アセンブリ。
【請求項22】
前記スパイラルカットされたハイポチューブは、式y=Ax+Bx+C(式中、yはピッチであり、Aは約0.001〜5であり、Bは約0〜0.001であり、Cは約0〜100である)によって求められるピッチを有する、請求項16の脈管内用超音波アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2009−508630(P2009−508630A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532226(P2008−532226)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/030958
【国際公開番号】WO2007/040818
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】