説明

脊髄刺激を送達する刺激送達システム

刺激送達システムは、リード遠位端とリード近位端を有するリードを備える。リード遠位端は、複数の電極を有する。リードは、ヒトの背側硬膜上腔内から脊柱の所望領域に送り込まれると共に、神経後根を刺激できる位置に少なくとも1つの刺激電極と、神経前根を刺激できる位置に少なくとも別の刺激電極とを設置するため所望領域の脊髄を少なくとも部分的に取囲むべく横方向に送り込まれるように構成される。所望領域は、頸椎、胸椎、または腰椎を有し得る。幾つかの実施形態は、T1〜T5領域の脊髄を刺激する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願書は、概して医療装置、より詳細には脊髄刺激電極を送達するシステム、装置、およびリード植込方法に関する。
【背景技術】
【0002】
交感神経過剰活性化は、たとえば心室性不整脈、心筋梗塞(MI)、心不全(HF)などの様々な循環器疾患に関与する。自律神経系調節に基づく治療は、前臨床試験および臨床試験の両試験において様々な循環器疾患において効果を示してきた。自律平衡は、副交感神経標的を刺激するか、交感神経標的を阻害することによって、副交感神経緊張度をより高めるように調節されることが可能であると共に、交感神経標的を刺激するか、副交感神経標的を阻害することによって、交感神経緊張度をより高めるように調節されることが可能である。
【0003】
脊髄刺激は、たとえば疼痛管理などの様々な処置に提案されてきた。脊髄内と脊髄周囲の神経性標的に電気刺激を送達する1つの公知システムは、脊髄の背側硬膜上腔内に一次元的に挿入されるリードを用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,096,036号明細書
【特許文献2】米国特許第6,270,496号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
公知の脊髄刺激システムは、脊髄に沿った一次元移動のみを可能にさせる複数の電極を備えた真っ直ぐなリード体を有する。硬膜上腔内の垂直方向の一次元アクセスは、神経系経路を選択的に刺激する装置の能力と、所望刺激効果を促進できる所望位置の神経性標的に対して電極の位置決めする装置の能力と、硬膜上腔内でのリードの移動または動作による神経捕獲の損失を回避する装置の能力とを制限する。このリード設計に関する幾つかの問題には、リードの移動と、神経後根と前根を正確に刺激できないことが含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
種々の刺激送達システムの実施形態は、リード遠位端とリード近位端を有するリードを備える。リード遠位端は、複数の電極を有する。リードは、ヒトの背側硬膜上腔から脊柱の所望領域に送り込まれるように構成されると共に、神経後根を刺激できる位置に少なくとも1つの刺激電極を設置し、更に神経前根を刺激できる位置に少なくとも別の刺激電極を設置すべく、所望領域における脊髄を少なくとも部分的に取囲むべく横方向に送り込まれるように構成される。所望領域には、頸椎、胸椎、または腰椎が含まれ得る。幾つかの実施形態は、T1〜T5領域における脊髄を刺激する。
【0007】
種々のシステム実施形態は、リードを背側硬膜上腔から所望椎骨の直近に縦方向に送り込み、更に神経後根と神経前根の直近にリードを横方向に送る手段と、神経後根または前根の少なくとも1つを刺激できる位置に少なくとも一つの電極を操作的に設置すべく所定位置にリードを固定する手段とを備える。
【0008】
脊髄刺激リードを植込む様々な方法の実施形態に従って、リードは、背側硬膜上腔内に導入され、その後、背側硬膜上腔を通って所望椎骨の直近に送り込まれる。リードは、神
経後根と神経前根の直近に送られる。少なくとも一つの電極を神経後根の直近に操作的に位置付けることによって、少なくとも1つの電極を用いて送達された電気刺激で神経後根の少なくとも一部を捕獲する。少なくとも1つの別の電極を神経前根の直近に操作的に位置付けることによって、少なくとも別の電極を用いて送達された電気刺激で神経前根の少なくとも一部を捕獲する。
【0009】
この概要は、本出願書の教示のうちの幾つかの概説であり、本主題を独占的または包括的に取り扱おうとするものではない。更に本主題に関する詳細は、詳細な説明と添付の特許請求の範囲において認められる。他の特徴は、以下の詳細な説明を読んで理解し、その一部を形成する図面を見れば、当業者には明らかであろう。それぞれの図面は、限定的な意味で解釈されるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲とその等価物によって規定される。
【0010】
本主題の以下の詳細な説明は、添付図面を参照する。図面は、特定の特徴と本主題が実行され得る実施形態を例示として示す。これらの実施形態は、当業者が本主題を実行できるように十分詳細に記載されている。他の実施形態を用い得るとともに、本主題の範囲から逸脱しない構造的、論理的、および電気的変更を行い得る。この開示物における「an」、「1つ」、または「種々の」実施形態への言及は、必ずしも同じ実施形態に対してではなく、そのような言及は、1つより多くの実施形態を意図する。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきでなく、その範囲は、そのような請求項が与えられる法的同等物の全範囲と共に、添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0011】
神経性刺激処置を提供する様々な実施形態は、胸髄上の交感神経求心性ニューロンと遠心性ニューロンの少なくとも一方を選択的に刺激する。システム、装置および方法は、脊髄領域における神経性標的を刺激する多能な方法を提供する。交感神経調整(交感神経活動度の阻害か活性化)によって、異常な交感神経活動度による様々な循環器疾患が治療される。神経性刺激は、疼痛、心不全、不整脈、狭心症その他の治療において実行されることが可能である。種々の実施形態は、交感神経求心性神経を活性化するか(たとえば比較的低い周波数後角刺激)、交感神経遠心性神経を活性化するか(たとえば比較的低い周波数前角刺激)、交感神経遠心性神経を阻害かブロックする(たとえば比較的高い周波数前角刺激)。幾つかの実施形態は、交感神経反応を検査することと(たとえば心拍数と血圧変化)、選択ニューロンを刺激すべく操作的に位置付けられた電極を用いることによって、治療送達を検査し、更に適切に調整する。
【0012】
脊髄刺激電極を送達する様々な実施形態は、可動設計を提供する。前記可動設計は、神経後根の交感神経求心性経路、神経前根の交感神経遠心性経路、または交感神経求心性経路と遠心性経路の両方を選択的に刺激することができる。リードは、脊髄に沿って垂直方向に上下に移動され得る。たとえばT1−T5領域などの標的領域に到達すると、リード体は、脊髄周囲に屈曲および湾曲させるように操縦されることができる。幾つかの実施形態は、たとえば頸部領域、胸郭領域または腰部領域における種々の領域などの脊柱の他の領域を標的にする。幾つかの実施形態は、脊髄か脊柱の他の構造体の少なくとも一部分の周りにリードを拘縮させる。拘縮は、脊椎に不都合に大きな力を提供することなく、脊髄に対して所定位置に電極を固定するのに適切である。様々なリード実施形態は、脊柱の前角と後角の両方に沿って複数の電極を提供することによって、交感神経求心性神経を活性化するか(低周波数後角刺激)、交感神経遠心性神経を活性化するか(低周波数前角刺激)、交感神経遠心性神経を電気的にブロックするか(高周波数前角刺激)の何れかを行うべく電流が送達できるようにする。幾つかの実施形態は、交感神経反応を検査することと(たとえば心拍数と血圧変化)、選択ニューロンを刺激すべく操作的に位置付けられた電極を用いることによって、治療送達を検査し、更に適切に調整する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】後側または背側からのT1〜T5椎骨を有する脊柱の斜視図。
【図1B】脊柱の側面図。
【図2】脊柱の一部の斜視図。
【図3】脊柱の断面の平面図。
【図4】神経前根と神経後根から延びる交感神経経路。
【図5】脊髄刺激の送達に用いるリードを植込む方法の実施形態。
【図6】3つの椎骨位置から延びる神経根を備える脊髄の一部と、更に種々の実施形態に従う、神経後根と前根における活動度を刺激と阻止の少なくとも一方を行える適当な位置に電極を操作的に設定すべく、背側硬膜上腔を通り、脊髄の少なくとも部分的周囲に送り込まれる神経刺激リード。
【図7】脊髄の対側部位の神経後根と前根を刺激するマルチリード実施形態。
【図8】脊髄の少なくとも部分的周囲に巻込まれたリード上の複数電極。電極の少なくとも幾つかは、神経後根の刺激に用いるべく操作的に位置付けられ、電極のうちの幾つかは、神経前根の刺激に用いるべく操作的に位置付けられる。
【図9】形状記憶を有する材料によって製造された予備成形リードを有する実施形態。刺激部位へのリードの送達に用いられるカテーテルからリードが出るとき、リードは、脊髄周囲を少なくとも部分的に巻込むべく、その予備成形形状を回復させる。
【図10A】腹側と背側の神経リードを刺激できる操作位置への刺激電極の設置に用いられる可動リード実施形態。
【図10B】腹側と背側の神経リードを刺激できる操作位置への刺激電極の設置に用いられる可動リード実施形態。
【図11A】可動リードの実施形態。
【図11B】可動リードの実施形態。
【図11C】可動リードの実施形態。
【図12】腹側と背側の神経リードを刺激できる操作的位置にリードの刺激電極を設置すべく、リードの送達に用いられる可動カテーテル実施形態。
【図13A】可動カテーテルの実施形態。
【図13B】可動カテーテルの実施形態。
【図13C】可動カテーテルの実施形態。
【図14】複数のリング電極を備えたリード実施形態。
【図15A】リードの周縁上に複数の電極を備えたリード実施形態。
【図15B】リードの周縁上に複数の電極を備えたリード実施形態。
【図16A】リード遠位端上に複数のパドル様電極を備えるリード実施形態。
【図16B】リード遠位端上に複数のパドル様電極を備えるリード実施形態。
【図17】効果的な刺激治療を確立および維持すべく、脊髄刺激リードを植込む方法のフローチャート。
【図18】種々の実施形態に従う、脊髄刺激の送達に用いられるシステムのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(生理機能)
以下に提供されるのは、本主題と神経系を用いて治療され得る幾つかの疾病の簡単な考察である。この考察は、開示された主題を理解する上で読者の助けになるものと思われる。
【0015】
(疾病)
本主題は、自律神経系緊張度を調整することによって、種々の疾病の予防的または治療的処置に用いることが可能である。そのような疾病または健康状態の例には、高血圧症、心臓リモデリング、および心不全が含まれる。
【0016】
高血圧症は、心臓病および他の関連心臓併存疾患を引き起こす原因である。高血圧症は、血管が収縮すると生じる。結果的に、心臓は、心不全の一因となり得る、より高い血圧で血流を維持すべく更に懸命に働く。高血圧症は、たとえば心血管損傷または他の悪影響を誘発しそうなレベルに全身動脈血圧が一過性または持続的に上昇するなど、概して高血圧に関する。高血圧症は、収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上として定義されてきた。高血圧症を制御せずに放置して生じる結果には、限定するものではないが、網膜血管疾病と脳卒中、左心室肥大と不全、心筋梗塞、解離性動脈瘤、および腎血管性疾患が含まれる。大部分の一般住民、並びにペースメーカか除細動器を植込んだ大部分の患者は、高血圧症を患う。長期死亡率および生活の質は、血圧と高血圧が低下し得るなら、この個体群に対して改善されることが可能である。高血圧症を患う多くの患者は、生活様式の変更および降圧剤に関する治療など、治療に反応しない。
【0017】
心筋梗塞(MI)または他の原因による心拍出量低下に続き、構造的因子、生化学的因子、神経ホルモン因子、および電気生理学的因子を伴う心室の複雑なリモデリング過程が生じる。心室リモデリングは、心室の拡張期充満圧を増大させ、それによって所謂前負荷(即ち、心臓拡張期終了時の心室内の血液量によって、心室が伸張される度合い)を増大させる所謂後方不全のために、心拍出量を増大させるように働く生理学的代償機構によって誘発される。前負荷の増大は、心臓の収縮期中の1回拍出量の増加、つまりフランク・スターリング(Frank−Starling)原理として知られる現象をもたらす。しかし、一定期間にわたる前負荷の増大のために心室が伸張されると、心室は、拡張されることになる。心室容量の拡大は、所定収縮期圧での心室壁ストレスの増加をもたらす。これは、心室によって行われた圧・容積作業の増大と共に、心室心筋を肥大させる刺激として働く。拡張の欠点は、正常な残りの心筋にかかる余分な作業負荷と、肥大に対する刺激を示す壁張力の増大である(ラプラス(Laplace’s)の法則)。肥大が、張力の増大に適切に対応できないと、更にますます拡張をもたらす悪循環が続いて起こる。心臓が拡張し始めると、求心性圧受容器信号と心肺受容器信号は、血管運動中枢神経系制御中枢に送られる。前記制御中枢は、ホルモン分泌と交感神経放電に反応する。血液動態変化、交感神経系変化およびホルモンの変調(たとえばアンジオテンシン変換酵素(ACE)活性の有無など)の組合せが、結局のところ、心室リモデリングにかかわる細胞構造における有害変化の主な原因である。肥大をもたらす持続的なストレスは、心筋細胞のアポトーシス(すなわちプログラム細胞死)と最終的に心機能の更なる悪化をもたらす壁の菲薄化を誘発する。従って、心室拡大と肥大は、最初は代償性であり、心拍出量を増大させ得るが、そのプロセスによって、最終的に収縮期不全と拡張期不全の両方(代償不全)をもたらす。心室リモデリングの度合いは、心筋梗塞MI後および心不全患者における死亡率の増加と正相関することが示されている。
【0018】
心不全(HF)は、心臓機能が末梢組織の代謝要求に対応する適切なレベルを下回り得る正常より低い心拍出量をもたらす臨床的な症候群を指す。心不全は、静脈と肺の鬱血を伴うため、それ自体、鬱血性心不全(CHF)として現れ得る。心不全は、たとえば虚血性心臓疾患などの様々な種類の病因による可能性がある。心不全患者は、LV不全と死亡率の増加に関連する自律平衡の低下を有する。
【0019】
(神経系)
自律神経系(ANS)は、「不随意」臓器を調節するが、随意(骨格)筋の収縮は、体性運動神経によって制御される。不随意臓器の例には、呼吸・消化器官が含まれ、同様に血管と心臓を有する。多くの場合、自律神経系ANSは、たとえば分泌腺の調節と、皮膚、眼、胃、腸および膀胱の筋肉の調節と、心筋と血管周囲の筋肉の調節とを行うため、不随意反射方法で機能する。
【0020】
自律神経系ANSは、交感神経系と副交感神経系を有する。交感神経系は、ストレスおよび緊急事態に対する「攻撃・逃避反応」と関連がある。幾つかある効果の中でも特に、「攻撃・逃避反応」は、骨格筋血流を増大させると共に消化を低下させるため、血圧と心拍数を増加させることによって、「攻撃・逃走」エネルギを提供する。副交感神経系は、リラクセーションおよび「休養・消化反応」と関連し、幾つかある効果の中でも特に、血流と心拍数を下げると共に消化を増大させることによって、エネルギを節約する。自律神経系ANSは、正常な身体の内部機能を維持し、体性神経系と連動する。求心性神経は、神経中枢にインパルスを伝え、遠心性神経は、神経中枢から遠くにインパルスを伝える。
【0021】
心拍数と心拍力は、交感神経系が刺激されると、増大し、交感神経系が阻害されると(副交感神経系が刺激されると)、低下する。心拍数、収縮性、および興奮性は、中枢を介した反射経路によって調整されることがわかっている。心臓、大血管、および肺における圧受容器と化学受容器は、迷走神経求心性線維と交感神経求心性線維を通じて中枢神経系に心臓活動度を伝える。交感神経求心性神経の活性化は、反射性の交感神経活性化、副交感神経阻害、血管収縮、および頻脈を誘発する。逆に、副交感神経の活性化によって、徐脈、血管拡張、およびバソプレシンの放出阻害が生じる。多くの他の因子のなかでも、副交感神経または迷走神経の緊張度の低下あるいは交感神経緊張度の増大は、心室性頻脈と心房細動を有する、種々の不整脈の発生と関連する。
【0022】
交感神経系と副交感神経系の刺激は、心拍と血圧以外の効果を有することが可能である。たとえば交感神経系を刺激することによって、瞳孔が拡張し、唾液と粘液の産生が低下し、気管支筋が弛緩し、連続する胃の不随意収縮(蠕動)波および胃の運動性が低下し、肝臓によるブドウ糖へのグリコーゲンの変換が増大し、腎臓による尿分泌が低下し、更に膀胱壁が弛緩し、括約筋が締まる。副交感神経系を刺激することによって(交感神経系を阻害する)、瞳孔が収縮し、唾液と粘液の産生が増大し、気管支筋が収縮し、胃と大腸の分泌と運動性が増大し、更に小腸での消化が増大し、尿分泌が増大し、更に膀胱の壁が収縮し、括約筋が弛緩する。交感神経系と副交感神経系に関連する機能は、多く、複雑に互いに統合されることが可能である。
【0023】
神経性刺激を用いることによって、神経連絡を刺激するか、神経連絡を阻害することが可能である。神経連絡を刺激する神経性刺激の例は、低域周波数信号である(たとえばおよそ20〜50Hzの範囲内)。神経連絡を阻害する神経性刺激の例は、高域周波数信号である(たとえばおよそ120〜150Hzの範囲内)。神経連絡を刺激および阻害する他の方法が、提案されてきた。
【0024】
自律神経系の調整は、心不全と心筋梗塞後の患者におけるリモデリングと死亡を防止する上で潜在的な臨床的利点を有する。交感神経活動度を阻害すると共に、血管抵抗を低下させることによって血圧を下げるべく、電気刺激を用いることが可能である。副交感神経緊張度を増大させる交感神経阻害は、急性虚血性心筋の側副かん流の増大と心筋損傷の減少によると思われる心筋梗塞後の不整脈脆弱性の低下と関連付けられてきた。
【0025】
(脊髄)
図1Aは、T1〜T5椎骨101を有する脊柱100を例示し、更に後側または背側からの肋骨102を例示する。図1Bは、脊柱のT1〜T5椎骨101と肋骨102を有する脊柱の側面図を例示する。これらの図はまた、横軸、頭蓋(上方)方向か尾骨(下方)方向の縦軸、および後側か背側方向と前側か腹側方向を例示する。
【0026】
脊柱は、頸領域、胸郭領域および腰領域を有する。椎骨は、脊柱の構成要素を形成すると共に、脊髄を保護する。T1〜T5は、脊柱の胸郭領域の最上(頭部)部分である。T1〜T5からの突起は、心臓を支配する。T1〜T5からの脊髄突起は、交感神経性であ
る。遠心性交感神経活動度の増大は、心拍数と収縮性を高める。心臓組織の求心性神経(たとえば疼痛信号)はまた、脊髄分節T1〜T5全体に及ぶ。種々の実施形態は、T1〜T5を循環器疾患適用の標的にする。他の領域は、他の適用(たとえば高血圧症、糖尿病、肥満などの治療)の標的とされ得る。
【0027】
図2は、脊柱の一部の斜視図である。例示されるように、椎骨は、椎体203と、椎体203に付着した骨輪204を有する。積層椎骨は、脊髄205を保護する脊柱管を提供する。脊髄は、脳と身体部分間の神経性メッセージを伝える神経組織である。神経根は、椎骨間の空間を通って脊柱の両側で分岐し、脊柱から抜け出る。脊髄は、硬膜によって取囲まれている。前記硬膜は、脊髄を包囲する髄液を保持する。脊柱管の壁と硬膜間の空間は、硬膜上腔206と称される。本主題の幾つかの実施形態は、背側硬膜上腔206からT1〜T5領域にリードを進め、幾つかの実施形態は、背側硬膜上腔を通ってT1〜T5領域にカテーテルを進める。
【0028】
図3は、脊柱における椎骨の断面の平面図を例示する。椎骨は、椎体303と棘突起を有する骨輪304を有する。椎骨は、脊髄を有する脊柱管を提供する。例示脊髄は、白質307と灰白質308を有する。脊髄神経309A,309Bは、脊柱の側面から延びる。それぞれの脊髄神経309A,309Bは、神経後根310A,310Bおよび神経前根311A,311Bを有する。脊髄の前側または腹側の灰白柱は、前角312A,312Bと称される。前記前角は、脊髄神経の前根の運動線維を生じさせるニューロンを有する脊髄のそれぞれ外側半分の前部において縦に再分割した灰白質である。脊髄の後側灰白質は、後角313A,313Bと称せられ、脊髄神経の後根の幾つかの求心性神経線維の末端を受容する脊髄のそれぞれ外側半分の背部において縦に再分割した灰白質である。前根311A,311Bは、脊髄神経の遠心性神経運動根である。後根310A,310Bは、脊髄神経の求心性感覚根である。前根は、後根と一緒になって、混合脊髄神経309A,309Bを形成する。後根のリード遠位端は、根によって運ばれる神経線維のニューロン細胞体を有する後根神経節を有する。
【0029】
求心性交感神経経路は、後根神経節のニューロン体と後角のニューロン体を有する。遠心性交感神経経路は、T4/T5からとT4/T5までの脊髄の中間外側柱における神経節前運動ニューロン体と、上頸、中頸および下頸の神経節とT1からT4/T5の細胞T1胸郭神経節における神経節後運動ニューロン体とを有する。種々の実施形態は、胸髄の選択領域に電流を送達することによって、交感神経遠心性と求心性の活動度を調整する。幾つかの実施形態は、三次元の可動リード設計を提供する。リードは、脊柱に沿って上下に動かされることが可能である。標的領域では、リード体は、脊髄周囲で屈曲および湾曲するように操縦されることが可能である。このリード配置によって、脊髄の前角と後角の両方に沿って配置される複数の電極が提供される。選択電極を用いることによって、求心路、遠心路または求心性と遠心性の両方の経路を選択的に調整する。従って、所望治療は、交感神経神経ニューロンに最も近い電極を選択することによって提供される。
【0030】
図4は、神経前根と後根から延びる交感神経経路を例示する。脊髄405の灰白質は、前角412A,412Bと後角413A,413Bを有する。前根411は、脊髄神経の遠心性神経運動根である。後根412は、脊髄神経の求心性感覚根である。前根は、後根と一緒になって、混合脊髄神経を形成する。
【0031】
図5は、脊髄刺激の送達において用いるリードを植込む方法の実施形態を例示する。患者は、椎間腔を開くために背中屈曲位置で座るか、横向きに寝ることが可能である。植込み部位に依存して、適当な腰椎腔が、基準点としてテュフィエ(Tuffier‘s)線を用いて同定される。無菌技術を用いて、脊髄リード・イントロデューサが、頭側に向けながら正中線に挿入される。針が前方に押し出されると、針が黄色靭帯を通過するので抵
抗が存在する。抵抗の消失は、硬膜上腔を突き抜けたという証拠である。硬膜上腔506に入ると、リードは、イントロデューサを介して配置され、その後硬膜上腔内に送られ、次にT1〜T5領域まで送られ、そして脊髄505の少なくとも一部の周囲に送られることが可能である。
【0032】
図6は、神経根が3つの椎骨部位から延びる脊髄605の一部を例示し、更に、種々の実施形態に従う、神経後根611と神経前根612における活動度を刺激と阻害の少なくとも一方を行える適当な位置に電極を操作的に配置するため、背側硬膜上腔(例示脊髄605の後方)を通り、脊髄の少なくとも部分的周囲に送り込まれる神経性刺激リード614を例示する。パルス発生器615は、たとえば腹部内または臀部内かそのすぐ上などの適当な部位に植込まれることが可能である。植込み操作中、リード近位端は、刺激パルスを発生させるためと、リード配置の有効性を監視するためとに用いられる外部装置に接続されることが可能である。
【0033】
図7は、脊髄の対側部位の神経後根と前根を刺激するマルチリード実施形態を例示する。例示図は、パルス発生器715から出る2つのリードを示す。1つのリード714Aは、第1側面周囲に向けられ、第2リード714Bは、第2側面周囲に向けられる。それぞれのリード上の電極は、神経性標的を刺激できると共に所望効果を導き出せる、神経根に対する位置に操作的に設置される。
【0034】
図8は、脊髄805の少なくとも部分的周囲に巻き付いたリード814上の多数の電極を例示する。電極816Aのうちの少なくとも幾つかは、神経後根812の刺激に用いるために操作的に位置付けられ、電極816Bの幾つかは、神経前根811の刺激に用いるために操作的に位置付けられる。それぞれのリードは、種々の刺激ベクトルを発生させるべく組み合わすように構成される複数の電極を有する。従って、電極の適当な組合せを用いることによって、所望神経性標的を効果的に刺激する刺激場を発生させることができ、幾つかの実施形態においては、神経性刺激の起こり得る不都合な効果を回避することが可能である。
【0035】
本主題の幾つかの利点には、遠心性神経、求心性神経、および遠心性神経と求心性神経の両方の標的を有する、より多くの治療選択肢が含まれる。幾つかの実施形態は、遠心性神経と求心性神経の同時調整を提供する。たとえば長期的な間欠的交感神経遠心性刺激を用いることによって、心不全HFの進行を変え得るだろう。その間、検知された頻脈事象は、心室性不整脈の発生を阻止すべく交感神経求心性刺激を誘発し得るだろう。幾つかの実施形態は、より着実な治療を提供すべく求心性神経と遠心性神経の調整を変える可能性を提供する。たとえば心不全HF患者において、長期的交感神経求心性刺激と長期的交感神経遠心性ブロックまたは阻害は、脱感作を防止すると同時に、交感神経活動度を変更または阻害するために適用され得るだろう。幾つかの実施形態は、治療の所望有効性(神経性標的の捕獲と副作用の回避か抑制の少なくとも一方)の提供と維持の少なくとも一方を行うべく、刺激を監視および調整する能力を提供する。幾つかのリード実施形態は、リードの移動と動きを防止または抑制する安定なリードの設置を推進する。
【0036】
本主題の幾つかの実施形態は、頻脈性不整脈の治療を提供する。たとえば幾つかの実施形態は、交感神経活動度を反射的に阻害すべく、比較的低い周波数で脊髄の後角において交感神経求心性刺激を送達する。更に幾つかの実施形態は、脊髄の前角において比較的高い周波数刺激による交感神経遠心性阻害を直接送達する。本主題の幾つかの実施形態は、心不全の治療を提供する。たとえば幾つかの実施形態は、脊柱の前角において比較的低い周波数による長期間欠的遠心性神経刺激で交感神経活動度を周期的に強化する。幾つかの実施形態は、脊髄の前角において高周波数電気刺激を用いることによって、長期的または間欠的の何れかで交感神経遠心性活動度を阻害またはブロックする。
【0037】
(リード/カテーテル)
実施形態は、可動送達カテーテル(たとえば定位固定磁気誘導)か、他の誘導手段を用いることによって、硬膜上腔の標的領域内におけるリードの位置付けを支援する。幾つかのカテーテル実施形態は、2つの軸(頭方/尾方軸とも称される縦軸と横軸)において可動性である。幾つかのリード実施形態は、リードが送達カテーテルから標的領域に展開される場合、脊髄周囲を巻込むように設計された遠位「J」バイアスチップを備える。Jバイアスチップは、リード移動を回避または抑制する適当な位置に電極を保持するのに役立つ。更に、Jバイアスチップは、脊柱との接触を維持することによって、望ましくは神経前根と後根の少なくとも一方の近くに刺激電極を保つ。次に送達カテーテルは、リードから剥がされるか、切り取られ、適所でリードから離れる。
【0038】
1実施形態は、硬膜上腔の標的領域におけるリードの位置付けに役立つ可動刺激リードを用いる。幾つかのリード実施形態は、2つの軸(縦か頭方/尾方軸と横軸)において可動性である。幾つかのリード実施形態は、固定位置にロックまたは固定されるように構成されるので、適切な位置に電極を保持するのに役立つと共に脊柱との接触を維持するのに役立ち、望ましくは神経前根と後根の少なくとも一方の近くに刺激電極を保持するのに役立つ。たとえば幾つかの実施形態は、リードを適所に保持すべくチャックを用いる。他の設計を用いることによって、リードの位置を固定または安定化することが可能である。リード近位端上に位置固定器を用いることによって、リード遠位端の形状と位置を維持することが可能である。
【0039】
図9は、形状記憶を備える材料によって製造された予備成形リードを有する実施形態を例示する。前記実施形態において、リードが刺激部位へのリードの送達に用いられたカテーテル917から抜け出ると、リード914は、脊髄905(または脊柱の他の可能性のある何らかの構造体)周囲を少なくとも部分的に巻込むべく、その予備成形形状を取り戻す。予備成形リードの例示部分は、複数の電極916を有し、その様々な組合せは、所望神経性標的を刺激する所望神経性刺激場を発生させるべく選択されることが可能である。リードは、拘縮してその予備形成形状に戻るとき、適当な力を提供する適当な材料特性に考慮して設計される。幾つかの実施形態において、前記拘縮力は、適所にリードを固定するかリードの移動を阻止するのに十分である。
【0040】
図10Aと図10Bは、腹側と背側の神経を刺激できる操作位置に刺激電極を設置すべく用いられる可動リード実施形態を例示し、例示リード1014は、複数の電極1016を有する。下方実施形態において例示されるように、リードは、神経根を刺激するため、脊髄1005の少なくとも一部の周囲に背側硬膜上腔からリードを操縦できるようにすべく、少なくとも2方向に可動するように設計される。誘導補強用鋼線かガイワイヤを用いることによって、脊髄周囲にリードを拘縮させることができ、神経前根と後根の少なくとも一方を刺激できる操作位置に電極を固定することが可能である。
【0041】
図11A〜図11Cは、可動リードの実施形態を例示する。リード体1114は、リード遠位端1116を有する。操縦補強用鋼線1118を受容するように構成された内腔は、リード体1114内にある。リード体1114は、圧縮性側面または拡張性側面1119と非圧縮性側面または非拡張性側面1120を有する。操縦補強用鋼線1118は、圧縮性側面または拡張性側面1119に適当に接続されることによって、圧縮性側面または拡張性側面1119の圧縮または拡張を制御する。リードが植込まれると、リードは、操縦補強用鋼線1118を適切に制御することによって操縦される。
【0042】
図12は、腹側と背側の神経リードを刺激できる操作位置にリードの刺激電極を設置すべく、リードの送達に用いられる可動カテーテル実施形態を例示する。第1操縦補強用鋼
線1221は、予備成形リード遠位端1223の遠位端に位置する第1アンカ部材1222に取り付けられる。第2操縦補強用鋼線1224は、撓み領域1226より遠位に位置する第2アンカ部材1225に取り付けられる。
【0043】
アンカ部材1222,1225は、当該分野において公知の様々な材料と、補強用鋼線の遠位端を軸に単に結合することを有する構築方法を用いて構築されることが可能である。例示構成において、アンカ部材1222,1225は、ステンレス鋼リングから形成される。アンカ部材1222,1225に操縦補強用鋼線1221,1224が溶接またははんだ付けされ得る。操縦補強用鋼線1221,1224は、たとえばクリップまたは停止部材などの機械的締まり嵌めを用いて、アンカ部材に取付けられ得る。操縦補強用鋼線1221,1224は通常、たとえば単線、編組線、またはリボン材料などの金属性(たとえばステンレス鋼)部材から製造される。たとえば高強度複合部材(たとえばケブラ繊維、炭素繊維)などの非金属性材料によって補強用鋼線を形成することが可能である。
【0044】
幾つかの実施形態は軸の構築中、リード軸1214の壁内にアンカ部材1222,1225を埋込む。幾つかの実施形態において、アンカ部材1222,1225は、軸材を接着剤結合または熱溶融によって、リード軸1214の内壁に接着される。熱溶融は、軸の内壁と密着している間にアンカ部材を加熱することによって実行され得る。アンカ部材1222,1225を取付ける別の方法は、たとえば強化ケージまたは編組などの軸102の支持構造に対するバンドの接合を伴う。
【0045】
図13A〜図13Cは、可動カテーテルの実施形態を例示する。図13Aは、近位ハンドル組立体1328を有するカテーテルの外観図である。近位ハンドル組立体1328は通常、グリップ1329と操縦部材1330を有する。ハンドル組立体1328は、たとえば特許文献1と特許文献2において記載されるように、当該分野において公知の原理によって構築されることが可能である。これらは、本明細書においてにそれぞれその全体が組込まれてある。
【0046】
図13Bは、図13Aの切断面B−Bにほぼ相当するカテーテル軸の遠位端の断面である。軸実施形態1331は、高分子化合物、典型的には高デュロメータ・ペバックス(Pebax)材から形成された壁1332を有する。軸壁は、通常、たとえばニチノールワイヤか他の超弾性合金から形成されるワイヤなどの弾性形状記憶部材から製造された探り針1333を含んでいる。ニチノール探り針は、所望形状に拘束されている間に探り針を加熱することによって予備成形される。このようにして形成された探り針は、次に軸内に挿入されることによって、軸1331のリード遠位端1334に予備成形形状を与える。探り針は通常、使用中のカテーテル内での探り針の移動を防止するため、軸の先端または先端付近に取り付けられる。
【0047】
この例示図において、軸壁は、電極に連結された導体1335も含んでいる。同様に軸内に示されるのは、操縦補強用鋼線1336,1337である。操縦補強用鋼線は、内腔内に配置される。前記操縦補強用鋼線は通常、たとえばPTFEなどの平滑材料によって形成され、軸壁の内面に取り付けられ得る。
【0048】
図13Cは、カテーテル軸1331の近位端の断面を示す。軸の配置は、図13Bで見られる配置と類似しており、図13Cは更に、補強部材1338と外部ケーシング1339を示す。補強部材1338には、編組、ケージ、リボンか、軸の妥当な屈曲量を依然として可能にしながら、軸に軸方向剛性と捻じり剛性を提供する他の補強部材が含まれる。外部ケーシング1339は、軸壁と類似したデュロメータを有するペダックス材から製造され得るか、独特の保護特性と平滑特性の少なくとも一方を有する異なる材料によって製造され得る。図13Bと図13Cにおいて見られるように遠位断面と近位断面間の差(た
とえば近位支持部材の含有)によって、遠位端よりも近位端に大きな剛性が生じる。他の剛性変動は、弾性軸の部分に沿っても有利に誘発され得る。軸の剛性を変化させるために、軸壁の屈曲特性を変化させ得るか(たとえば高分子材料のデュロメータ)、探り針特性(たとえば外径または断面)を軸長にそって変化させることが可能である。軸の長さに沿って剛性を変化させることによって、操縦部分の偏向性を有利に高めるか、外傷の危険性を最小限にするためリード遠位端の剛性を調整することが可能である。
【0049】
多数の電極構成を用いることが可能である。本明細書に含まれる例示は、例として提供されるものであり、包括的な可能構成リストに限定しようとするものではない。
図14は、複数のリング電極を備えるリード実施形態を例示する。図は、種々の実施形態に従う、神経前根か後根を選択的に刺激すべく用いられるような、電極領域を形成する輪状刺激電極1416を備えたリード1414の実施形態を例示する。輪状刺激電極の何れか1つか組合せを用いることによって、所望神経性標的に神経性刺激を送達することが可能である。
【0050】
図15A〜図15Bは、リードの周縁上に多数の電極を備えたリード実施形態を例示する。例示電極1516は、リード1514を取囲まない。従って、例示電極の一部を選択することによって、指向性刺激を提供することが可能である。たとえばリードは、所定位置に送り込まれると、捻じれるか回転し得るし、リードの裏面上の他の神経または組織を刺激することなく、リードの一側面上の神経性標的を刺激することが、望まれ得る。たとえば一つの椎骨から延びる根神経は、他の椎骨から延びる根神経を刺激することなく、刺激されることが可能である。神経性刺激検査ルーチンは、電極のどの一部が神経性標的に向けられているかを判定すべく、神経性刺激の送達に用いる利用可能な電極を繰り返し検査することが可能である。図15Bは、リード周囲に約90度離して分離した4つの電極を備える実施例を例示する。たとえば限定ではなく例として、約45度離すか、約90度離すか、約180度離して周縁の周囲に離間した2つ電極、または周縁の周囲に約120度、約60度か約30度離間した3電極などの他の電極配置と間隔を使用することが可能である。
【0051】
図16A〜図16Bは、パドル様リード遠位端上に多数の電極を備えたリード実施形態を例示する。パドル様リード遠位端1640は、比較的平らな外形を有する。電極1616は、電気刺激場がパドル様リード遠位端の片側で生じるように、パドルの片側に位置付けられる。
【0052】
図17は、効果的な刺激治療を確立および維持すべく、脊髄刺激リードを植込む方法実施形態を例示する。ステップS1741において、リードが硬膜上腔内に挿入される。実施例は、図5に対してと種々の可動リードおよび可動カテーテル設計に対して考察された。ステップS1742において、リード(またはカテーテル)は、T1〜T5範囲の位置の神経後根と前根の少なくとも一方の操作的直近にリード上の電極を位置付けるべく、脊髄の側面に沿って隣接すると共に少なくとも部分的周囲にリードを向けるように操縦される。ステップS1743において、電極位置は、電極位置が、効果的な刺激を提供するか否か判定すべく検査される。たとえば幾つかの実施形態は、神経性標的(たとえば神経前根と後根の少なくとも一方)の捕獲を確認するため1か複数の生理的パラメータを監視する。本主題は、神経前根だけを選択的に刺激または標的にすることと、神経後根を選択的に刺激すること、あるいはその何れか一方を行うことができる。幾つかの実施形態は、神経性刺激に対して起こり得る意図的でない反応を抑制すべく1か複数の生理的パラメータを監視する。捕獲を確認できない場合か、植込みプロセス中に副作用が存在する場合、プロセスは、ステップS1744において示されるように、効果的な刺激を実現する目的で物理的位置付けと電子的位置付けの少なくとも一方を調整する。物理的再配置は、リードを物理的に動かすこと(たとえば押すこと、引っ張ること、回転させること、脊髄周囲に
接触させること)を伴う。電子的再配置は、電気刺激場の方向と位置を調整すべく、様々な電極の組合せを選択することを有する。電子的再配置は、所望効果が実現されるまで、装置が利用可能な電極の組合せ(および刺激強度)を繰り返し行う自動プロセスの一部として実行されることが可能である。電子的再配置は、植込み操作中に技術者によって制御されることが可能である。幾つかの実施形態は、技術者による可能な構成の制御と自動検査ルーチンの組合せを用いる。
【0053】
効果的な刺激が検出されると、ステップS1745において物理的リード配置が設定される。リード近位端は、植込パルス発生器に連結される。前記発生器は、たとえば胴のくびれ部分に植込まれ得る。ステップS1746において、治療は、植込リードと植込パルス発生器を用いて送達される。ステップS1747において、植込パルス発生器は、捕獲の確認と刺激による副作用の抑制の少なくとも一方を行うべく効果的な刺激について間欠的に検査する。適当であれば、ステップS1748において例示されるように、効果的な刺激を送達するように電子的配置が調整される。この電子的再配置は、自動的に実行され、プログラマかその組合せを用いることによって、技術者によって制御されることが可能である。
【0054】
図18は、種々の実施形態に従う、脊髄刺激の送達に用いられるシステムを例示する。例示神経性刺激装置実施形態1850は、神経性刺激回路1851、フィードバック回路1852、制御装置1853、および記憶装置1854を有する。例示実施形態は更に、少なくとも1つのリード1856に接続する少なくとも1つのポート1855を有する。少なくとも1つのリードは、T1〜T5領域の背側硬膜上腔内に送り込まれ、そして神経前根と後根の少なくとも一方を刺激すべく、脊髄の少なくとも部分的周囲に向けられるように構成される。神経性刺激回路は、適当な信号が適当に位置付けられた神経性刺激電極に提供されると、所望神経性反応を導くためリード上の少なくとも1つの神経性刺激電極1857に神経性刺激信号を提供すべくポートに接続される。フィードバック回路は、生理的センサ1858からの信号を受容すべくポートに接続される。生理的センサは、神経根を刺激すべく硬膜上腔内に送り込まれたリードとは異なるリード上にあり得る。幾つかの実施形態は、たとえばペースメーカか抗不整脈装置などの他の植込医療装置からフィードバック信号を受信する。センサは、神経性刺激に少なくとも部分的に依存する生理機能を検知する。そのような機能の例には、心拍数、血圧、ECG波形、呼吸、および加速/動作が含まれる。従って、種々の実施形態は、生理センサとして心拍センサを実装し、種々の実施形態は、生理センサとして血圧センサを実装する。そのようなセンサの1例は、血流を検知するように構成された音響センサである。検知された血流は、血圧と心拍数の少なくとも一方の測定に用いられることが可能である。しかし、他のセンサ技術を使用することが可能である。
【0055】
例示システムは、他の装置と通信するように構成された通信モジュール1859を有する。たとえば幾つかの実施形態は、遠隔測定法を用いて通信する。種々の実施形態は、植込装置からたとえばプログラマ1860などの外部装置に無線通信する。種々の実施形態は、有線接続か無線接続の何れかを通じて他の植込医療装置1861に通信する。他の植込医療装置の例には、たとえばペースメーカ、除細動器などの心調律管理装置が含まれ、更に植込神経性刺激装置が含まれる。幾つかの実施形態に従って、そのような他の植込医療装置は、植込み操作中または装置が長期的に患者に植込まれている間、神経根の刺激の影響を受ける生理的パラメータを検知し、更に検知した生理的パラメータに関する情報を通信する。幾つかの実施形態に従って、通信モジュールは、たとえば個人情報端末、電話、質問器、ラップトップコンピュータなどの携帯外部装置1862と通信するように構成される。幾つかの実施形態に従って、携帯外部装置1862とプログラマ1860は、通信ネットワーク1863を介して通信するように構成される。
【0056】
心拍数と血圧の少なくとも一方を用いることによって、刺激が自律神経系に影響を及ぼしているか否か判定することが可能である。更に種々の自律平衡指標(ABI)を用いることによって、神経根に向けられた神経性刺激治療に関するフィードバックを提供することが可能である。種々の実施形態は、たとえば心拍数変動(HRV)、心拍数不整(HRT)、電気記録図特性、活動度、呼吸および活動度などのパラメータのうちの1つか、種々の組合せを用いて自律平衡指標ABIを評価する。これらのパラメータを下記で簡単に考察する。様々な実施形態は、自律平衡指標ABIを用いる治療の閉鎖ループ制御を提供する。
【0057】
心拍数変動HRVは、自律平衡を評価すべく提案されている技法の1つである。心拍数変動HRVは、洞房結節の調節、自律神経系の交感神経枝と副交感神経枝による心臓の自然なペースメーカに関する。心拍数変動HRV評価は、交感神経活動度と迷走神経活動度の平衡度によって規定されるような、心臓の調律における心拍間隔の変動が、我々に心臓健康度の間接的尺度を提供するという前提に基づく。
【0058】
固有心室性心収縮間の時間間隔は、心拍数の変化に対する身体の代謝要求と循環系を通って送り出された血液量に応じて変化する。たとえば運動または他の活動期間中、人間の固有心拍数は、一般的に数回または多数回の心拍期間にわたって増大することになる。しかし、運動をしていない場合の心拍間隔、即ち、1つの心拍から次の心拍までの間隔でさえ、固有心収縮間の時間間隔は、健常人において変動する。固有心拍数のこれらの心拍数間隔変動は、血圧および心拍出量の自律神経系による適切な調節の結果である。即ち、そのような変動が存在しないことは、自律神経系によって提供される調節に欠陥があり得ることを示す。心拍数変動HRVを分析する1つの方法は、固有心室収縮を検出することと、任意の異所性収縮(正常な洞律動の結果ではない心室収縮)を除去した後、R−R間隔と称される、これらの収縮間の時間間隔を記録することとを有する。このR−R間隔信号は通常、たとえば高速フーリエ(Fourier)変換(FFT)技法などを用いることによって、周波数領域に変換されるので、そのスペクトル周波数成分を分析し、低周波数帯域と高周波数帯域に分割することが可能である。
【0059】
たとえば低周波数(LF)帯域は、周波数(f)範囲0.04Hz<f<0.15Hzに対応でき、高周波数(HF)帯域は、周波数範囲0.15Hz<f<0.40Hzに対応することが可能である。HF帯域のR−R間隔信号は、自律神経系の副交感神経/迷走神経成分によってのみ影響される。LF帯域のR−R間隔信号は、自律神経系の交感神経成分と副交感神経成分の両方によって影響される。結果的に、LF/HF比は、自律神経系の交感神経成分と副交感神経/迷走神経成分の間の自律平衡の優れた指標とされている。LF/HF比の増大は、交感神経成分の優位性が高まったことを示し、LF/HF比の減少は、副交感神経成分の優位性が高まったことを示す。特定の心拍数に対して、LF/HF比は、患者の健康指標とされ、LF/HF比が低いほど、心臓血管の健康状態が良いことを示す。R−R間隔信号の周波数成分のスペクトル分析は、時間領域から周波数領域にFFT(あるいは自己回帰などの他のパラメトリック変換)技法を用いて行われることが可能である。そのような計算は、有意なデータ保存量と処理能力を必要とする。更に、そのような変換計算は、電力消費量を増やすため、植込電池式装置の電池交換までの使用可能な期間を短縮する。
【0060】
心拍数変動HRVパラメータの1例は、SDANN(平均化NN間隔の標準偏差)である。SDANNは、記録全体に含まれる連続する5分セグメント全ての平均値の標準偏差を示す。他の心拍数変動HRVパラメータを使用することが可能である。
【0061】
心拍数不整HRTは、短い初期心拍数加速、続いて心拍数減速からなる心室性期外収縮(PVC)の洞結節の生理的反応である。心拍数不整HRTは、心拍数変動HRVに密接
に相関した自律神経系機能の指標であるとみられてきた。心拍数不整HRTは、自律神経圧反射であると考えられている。心室性期外収縮PVCは、動脈血圧の短時間撹乱(期外収縮の低振幅、続いて起こる正常収縮の高振幅)を生じさせる。この一瞬の変化は、自律神経系が健常であれば、心拍数不整HRT形状の瞬間反応で直ちに記録されるが、自律神経系が損なわれていれば、弱くなるか、欠けているかの何れかである。
【0062】
限定ではなく例として、乱れ発現(TO)および乱れ傾斜(TS)を用いて心拍数不整HRTを定量することが提案されてきた。乱れ発現TOは、心室性期外収縮PVC直前と直後の心拍数間の差を指し、パーセンテージで表示されることが可能である。たとえば2つの拍動が、心室性期外収縮PVCの前後で評価される場合、乱れ発現TOは、以下の式で表わされることが可能である。
【0063】
TO%=100×{(RR+1+RR+2)−(RR−2+RR−1)}/(RR−2+RR−1) .
RR−2とRR−1は、心室性期外収縮PVCに先行する最初の2つの正常間隔であり、RR+1とRR+2は、心室性期外収縮PVCに続く最初の2つの正常間隔である。様々な実施形態において、乱れ発現TOは、それぞれの個々の心室性期外収縮PVCに対して測定され、次に個々の測定値全ての平均値が測定される。しかし、乱れ発現TOは、多くの測定値にわたって平均化される必要はないが、1つの心室性期外収縮PVC事象に基づくことが可能である。正の乱れ発現TO値は、洞調律の減速を示し、負の値は、洞調律の加速を示す。心室性期外収縮PVC前後で分析されるR−R間隔の数は、所望適用に従って調整されることが可能である。たとえば乱れ傾斜TSは、それぞれ5つのR−R間隔列に対する線形回帰の最も険しい傾斜として算出されることが可能である。様々な実施形態において、乱れ傾斜TS計算は、平均タコグラムに基づき、RR間隔当たりのミリ秒で表示される。しかし、乱れ傾斜TSは、平均化せずに決定されることが可能である。乱れ傾斜TS計算において線形回帰を決定するのに用いられる一連のR−R間隔数はまた、所望適用に従って調整されることが可能である。
【0064】
心室性期外収縮PVCの選択に用いるためと、心室性期外収縮PVC前後の有効なRR間隔の選択に用いるためとに法則または基準を提供することが可能である。心室性期外収縮PVC事象は、ある間隔範囲において先の間隔よりも幾らかの時間またはパーセンテージ短いR−R間隔によって規定されることが可能であるか、または心房事象が測定される場合、介入P波(心房事象)が存在しないR−R間隔によって規定されることが可能である。種々の実施形態は、先行収縮から特定の範囲で収縮が生じる場合と、次の収縮から特定の範囲内で収縮が生じる場合にのみ心室性期外収縮PVCを選択する。たとえば種々の実施形態は、20%の最小期外収縮と正常間隔より少なくとも20%長い期外収縮後間隔を有する心室性期外収縮PVCに心拍数不整HRT計算を限定する。更に、心室性期外収縮PVC前R−R間隔と心室性期外収縮PVC後R−R間隔は、拍動が心室性期外収縮PVCでない状態を満たす場合、有効であると考えられる。たとえば1つの心拍数不整HRTプロセスは、初回の持続時間より短いRR間隔、2回目持続期間より長いRR間隔、先行間隔と3回目持続期間より多く異なるRR間隔か、または基準間隔と所定量の持続期間かパーセンテージだけ異なるRR間隔を排除する。特定値を有するそのような心拍数不整HRTプロセスの実施形態において、RR間隔は、それらが300ミリ秒未満の場合、2000ミリ秒より長い場合、先行間隔と200ミリ秒より多く異なる場合、あるいは最後の5つの洞間隔の平均値と20%より多く異なる場合、排除される。本主題の様々な実施形態は、心室性期外収縮PVCの選択で用いるためと、心室性期外収縮PVC前後の有効なRR間隔の選択に用いるためとに、たとえば上記で同定される何れかのパラメータなどのプログラム可能パラメータを提供する。
【0065】
自律平衡の監視に心拍数不整HRTを用いる利点は、時間内に自律平衡を一瞬間に測定
する能力を有する。更に、心拍数変動HRVの測定とは異なり、心拍数不整HRT評価は、頻繁に心房ペーシングを受ける患者で実行されることが可能である。更に、心拍数不整HRT分析は、プロセッサを利用しない自律平衡の簡易測定を提供する。従って、データ処理、データ保存、およびデータの流れは、比較的小さいので、結果的に装置は、経費が少なくなり、電力消費も少なくなる。また、心拍数不整HRT評価は、心拍数変動HRVよりも速いので、R−Rデータ量はずっと少なくてもよい。心拍数不整HRTによって、たとえばおよそ10秒などの典型的な神経性刺激バースト持続期間と類似した持続期間の短い記録期間での評価が可能になる。
【0066】
様々な実施形態は、自律平衡指標ABIを提供すべく、様々なECG特性を抜き出す。そのような特性の例には、心拍数変動HRVの形成に用いられ得る心拍数、および心拍数不整HRTが含まれる。他の特性をECGから抜き出すことができ、これらの特性の1つか種々の組合せを用いることによって、自律平衡指標ABIを提供することが可能である。様々な実施形態は、自律平衡指標ABIを提供すべく、血圧を提供する。たとえば幾つかの実施形態は、肺動脈血圧を検知する。
【0067】
活動度センサを用いることによって、患者の活動度を評価することが可能である。交感神経活動度は、必然的に活動的な患者において増加し、活動的ではない患者で低下する。従って、活動度センサは、患者の自律平衡の測定に用いる状況的測定値を提供することが可能である。様々な実施形態は、たとえば活動度の指標を提供すべく、心拍数と呼吸数の少なくとも一方を管理するセンサの組合せを提供する。
【0068】
呼吸を検出する2つの方法は、経胸腔インピーダンスと分時換気量を測定することを伴う。呼吸は、活動度の指標であり得ると共に、交換神経緊張度の増大についての説明を提供することが可能である。たとえば運動に起因する交換神経活動度の増大が検出されたため、自律神経系緊張度を調整すべく処置を変更または調整することは、適切でないかもしれない。
【0069】
呼吸測定値(たとえば経胸腔インピーダンス)を用いることによって、呼吸洞不整脈(RSA)を測定することも可能である。RSAは、洞房結節への交換神経と迷走神経のインパルスの流れに及ぼす呼吸の影響によって生じる不整脈の自然サイクルである。心臓の調律は、主として迷走神経の制御下にあり、心拍と収縮力を阻害する。息が吸い込まれると、迷走神経活動は、妨げられ、心拍数は、増加し始める。息が吐き出されると、迷走神経活動は、増大し、心拍数は、減少し始める。心拍数の変動度は、大動脈と頸動脈における圧受容器(圧力センサ)由来の規則正しいインパルスによっても有意に制御される。従って、自律平衡の測定値は、心拍数を呼吸周期に相関させることによって、提供されることが可能である。
【0070】
記憶装置1854は、装置の機能を実行すべく、制御装置によって操作されることができるコンピュータ可読命令を有する。従って、種々の実施形態において、制御装置は、記憶装置に保存された神経性刺激治療スケジュールに従ってプログラム神経性刺激治療1864を提供すべく、命令で動作するように構成される。種々の「閉鎖ループ」システムは、所望効果を提供するため、予めプログラムされた治療に従ってフィードバック回路によって受信された検知生理的信号に基づき、概して刺激強度モジュール1865によって例示されるように、神経性刺激の強度を変化させる。従って、閉鎖ループシステムは、神経性刺激治療中に幾つかの測定生理的パラメータを上限と下限内に維持するのに相応しいように、神経性刺激強度を増減することができる。生理的信号のフィードバックがない種々の「開ループ」システムは同様に、刺激強度を変化させるようにプログラムされることが可能である。たとえば強度は、プログラム・スケジュールに基づき調整されることが可能である。様々な実施形態は、神経性刺激信号の振幅、神経性刺激信号の周波数、神経性刺
激信号の負荷サイクル、刺激信号の持続期間、神経性刺激信号の波形、神経性刺激信号の極性、またはその何れかの組合せを調整することによって、刺激強度を調整する。
【0071】
種々の実施形態は、制御装置1853の電極構成モジュール1866によって概して例示されるように、電極構成を自動的に変化させる。例示電極構成モジュールは、神経性刺激と電極の刺激ベクトルを送達すべく、利用可能な電極のうちのどの電極が用いられるかを制御するため、スイッチ1867を制御するように構成される。更に、例示電極構成モジュールは、異なる電極組合せと刺激ベクトルに対する刺激強度を制御すべく、刺激強度モジュールと連動するように構成される。従って、たとえば電極構成モジュールは、特定の電極組合せとベクトルに対する基準神経性刺激レベルを見つけることができ、刺激強度モジュールは更に、基準神経性刺激レベルに基づき神経性刺激を調整することが可能である。記憶装置に保存された神経性刺激検査ルーチンは、利用可能な電極構成から効果的な電極構成について検査するプロセスを制御する。
【0072】
種々の実施形態において、制御装置は、たとえば長期的に植込まれた装置におけるように、神経性刺激検査ルーチンを自動的に実行する。種々の実施形態において、所望神経根を刺激するため、所望位置内にリードを植込む装置で恐らく使用されるような、自律神経性刺激治療の送達に用いる神経性刺激電極のうちの少なくとも1つをユーザが選択できるようにすべく、制御装置とユーザインタフェースが協働して神経性刺激検査ルーチンを実行する。たとえば植込み操作中、ユーザインタフェースは、種々の電極構成の検査結果を表示することが可能である。電極構成を同定する情報は、刺激に用いられる電極、刺激振幅、刺激周波数、刺激負荷サイクル、刺激持続期間、刺激波形、および刺激極性が含まれる。検査結果は、電極構成の神経性刺激に起因する検出生理的反応(たとえば心拍数)を有することが可能である。ユーザは、検査結果を精査し、更に検査結果を用いて電極構成を選択することが可能である。
【0073】
例示制御装置は、たとえば不整脈事象か虚血性事象の検出に用いられ得るような、事象検出器1868を有する。事象の検出によって、装置は、事象の治療を適当に調整する。幾つかの実施形態に従って、別の植込医療装置1861は、事象を検出すると共に、事象を装置に通信することによって、神経前根と後根の少なくとも一方の刺激を調整する。
【0074】
(神経性刺激治療)
神経性刺激治療の例には、たとえば高血圧症の治療のためなどの血圧管理、心調律管理、心筋梗塞、および虚血、心不全、および疼痛管理のための神経性刺激治療が含まれる。治療実施形態は、心室リモデリングの予防と治療の少なくとも一方を伴う。自律神経系の活動度は、心筋梗塞MIの結果として、または心不全によって生じる心室リモデリングに少なくとも部分的に関与する。リモデリングは、たとえばACE阻害剤およびβブロッカの使用による薬理学的介入によって影響され得ることが明示されている。しかし薬理学的治療は、副作用の危険をもたらし、薬物の作用を厳密に調整することも難しい。本主題の実施形態は、抗リモデリング治療またはARTと称される自律神経系活動度を調整する電気刺激手段を用いる。リモデリング制御治療(RCT)とも称される心室再同期化ペーシングと併用して送達される場合、そのような自律神経系活動度の調整は、相乗的に働くことによって、心リモデリングを後退させるか、防止し得る。
【0075】
1つの神経性刺激治療実施形態は、高血圧を下げるのに十分な持続期間、副交感神経緊張度を高めることによって(たとえば交感神経活動度を阻害する)、高血圧症を治療することを伴う。神経性刺激(たとえば交感神経刺激と副交感神経阻害の少なくとも一方)は、身体的コンディショニングの効果に似た症状を呈することが可能である。身体的活動とフィットネスが健康状態を改善し、死亡率を下げることは、一般的に受け入れられている。諸研究によって、有酸素性トレーニングが心自律調節を改善し、心拍数を下げ、心迷走
神経流出量の増加に関連することが示されている。より高い副交感神経活動度の基線測定値は、有酸素性フィットネスが向上したことと関係している。運動トレーニングは、全身にストレスを間欠的にかけ、ストレス中の交感神経活動度を増大させる。しかし、運動期間が終了し、ストレスが除去されると、身体は、基線副交感神経活動度を増大させると共に、基線交感神経活動度を減らす形でリバウンドする。コンディショニングは、時間とともに間欠的に生じる高レベルの反復運動であると考えられ得る。間欠的ストレスを提供するコンディショニング治療は、心不全の治療として適用されることが可能である。
【0076】
脊柱における神経性標的は、疼痛管理治療の一部として標的にされ得る。疼痛管理治療を用いることによって、体性痛、内臓痛または神経障害痛に対処することが可能である。同様に疼痛管理治療を用いることによって、急性または慢性痛に対処することが可能である。種々の実施形態に従って、疼痛管理治療は、他の治療(たとえば心不全)と一体化されている。幾つかの実施形態は、疼痛管理治療を活性化する手段を患者に提供する。この手段は、外部装置から植込パルス発生器に無線通信を用い得るか、たとえば植込パルス発生器一面に位置付けられたマグネットからなどの磁場を用い得る。例として、狭心症痛発作を経験している患者は、疼痛管理治療を開始することを選択し得る。医師は、一定期間にわたって要求できる治療の回数を制限するために、要求された疼痛管理治療の限界をプログラムすることが可能である。種々の実施形態は、治療によって疼痛を回避するか最小限にするため、別の治療と併用して疼痛管理治療を実行する。たとえば除細動ショックを患者に適用する予定の場合、種々の実施形態は、ショックの送達を見込んで疼痛管理治療を実行する。
【0077】
(心筋刺激治療)
種々の神経性刺激治療は、様々な心筋刺激治療と一体化されることが可能である。治療の統合は、相乗効果を有し得る。諸治療を互いに同期化することが可能であり、検知データを共有することが可能である。心筋刺激治療は、心筋の電気刺激を用いる心臓治療を提供する。心筋刺激治療の幾つかの実施例を次に提供する。
【0078】
ペースメーカは、心拍数が遅すぎる徐脈の治療に最も一般的な、時限ペーシングパルスで心臓をペーシングする装置である。適切に機能する場合、ペースメーカは、最小心拍数を実行することによって、代謝要求に対応するため、適当な調律でペーシングできない心臓自体の能力不足を補う。血液の十分な送り出しを促進するため、心臓周期中に心室が収縮する方法と度合いに作用する植込装置も、開発されてきた。心臓は、心室が連携方法で収縮すると、より効果的に血液を送り出す。これは、心房と心室の両方において興奮(たとえば脱極性)を心筋全体にわたって迅速に伝導できる特殊伝導経路によって普通に提供される結果である。これらの経路は、洞房結節から心房心筋に、房室結節に、その後心室心筋に興奮インパルスを伝導することによって、両心房と両心室の連携収縮が生じる。この双方は、それぞれの心室の筋繊維の収縮を同期化し、それぞれの心房か心室と対側心房か心室の収縮を同期化する。正常に機能する特殊伝導経路によって生じる同期化がなければ、心臓のポンプ効率は、大きく下落する。これらの伝導経路と他の心室間か心室内伝導欠損の病因は、心臓機能の異常が、末梢組織の代謝要求に対応する適切なレベルより下方に心拍出量を低下させる臨床的な症候群を指す心不全における原因要素であり得る。これらの問題を処理するため、心房と心室の少なくとも一方の収縮の連携を改善する目的で1か複数の心室に適当な時限電気刺激を提供する植込心臓装置、時限心臓再同期療法(CRT)が、開発されている。心室性再同期は、心筋収縮力に直接影響を与えないが、再同期によって、ポンプ効率が改善すると共に心拍出量が増大する心室のより連携した収縮が生じるので、心不全の治療において有用である。目下、普及型の時限心臓再同期療法CRTは、同時または特定の二心室性オフセット間隔を置いて個別に、両心室に刺激パルスを適用し、更に固有心房収縮の検出または心房ペーシングの送達に対して特定の房室遅延後に両心室に刺激パルスを適用する。
【0079】
時限心臓再同期療法CRTは、心筋梗塞MI後と心不全患者で生じ得る有害な心室リモデリングを減らすのに有益であり得る。恐らく、これは、時限心臓再同期療法CRTが適用されると、心臓ポンプ周期中の心室によって起こる壁ストレスの分布変化の結果として生じる。心筋繊維が、収縮する前に伸張される度合いは、前負荷と呼ばれ、筋繊維の最大張力と短縮速度は、前負荷の増大と共に増加する。心筋領域が他の領域に対して遅れて収縮すると、その対向領域の収縮は、遅れて収縮した領域を伸張し、前負荷を増大する。収縮時、心筋繊維に及ぼす張力かストレスの度合いは、後負荷と呼ばれる。心室内の圧力は、大動脈と肺動脈に血液が送り出されると、拡張期値から収縮期値に急速に上昇するので、興奮刺激パルスのため最初に収縮する心室部分は、遅れて収縮する心室の部分よりも低い後負荷に対して収縮する。従って、他の領域よりも遅れて収縮する心筋領域は、増大した前負荷と後負荷の両方に晒される。この状況は、心不全と心筋梗塞MIによる心室機能障害に関連する心室伝導遅延によってもたらされることが多い。後期活性化心筋領域の壁ストレスの増大は、心室リモデリングのほぼ確実な誘因である。より連携した収縮をもたらし得る方法で梗塞領域付近の心室における1か複数の部位をペーシングすることによって、時限心臓再同期療法CRTは、そうでなければ、収縮期中に遅れて活性化され得ると共に壁ストレスの増大を起こし得る心筋領域の早期興奮を提供する。他の領域に対するリモデリング領域の早期興奮は、その領域を機械的ストレスから解放し、リモデリングを改善または予防させる。
【0080】
電気的除細動、QRS群と同期して心臓に送達される電気ショック、および除細動、QRS群に同期させずに送達される電気ショックを用いることによって、たいていの頻脈性不整脈を終結させることが可能である。電気ショックは、心筋の脱分極と心筋の不応化を同時に行うことによって、頻脈性不整脈を終結させる。植込電気除細動器(ICD)として公知なCRM装置類は、装置が頻脈性不整脈を検出すると、心臓にショックパルスを送達することによって、この種の治療を提供する。別の種類の頻脈の電気治療は、抗頻脈ペーシング(ATP)である。心室ATPにおいて、心室は、頻脈をもたらすリエントリ回路を中断させる目的で1か複数のペーシングパルスによって競合的にペーシングされる。最新の植込電気除細動器ICDは通常、抗頻脈ペーシングATP性能を有し、頻脈性不整脈が検出されると、抗頻脈ペーシングATP治療またはショックパルスを送達する。
【0081】
当業者は、本明細書において示すと共に説明したモジュールと他の回路システムが、ソフトウエア、ハードウエア、およびソフトウエアとハードウエアの組合せを用いて実行され得ることを理解しているだろう。そのようにたとえば用語モジュールと回路システムは、ソフトウエア実装、ハードウエア実装、およびソフトウエアとハードウエアの実装を含めようとするものである。
【0082】
この開示物において例示された方法は、本主題の範囲内の他の方法を排除しようとするものではない。当業者は、この開示物を読んで理解すれば、本主題の範囲内の他の方法もわかるであろう。上記に示した実施形態、および例示実施形態の部分は、必ずしも相いれないものではない。これらの実施形態、またはその部分を組合せることが可能である。種々の実施形態において、方法は、プロセッサにそれぞれの方法を実行させる1か複数のプロセッサによって実行される場合、一連の命令を示す搬送波か伝播信号において具現化されたコンピュータ・データ信号を用いて実行される。種々の実施形態において、方法は、それぞれの方法を実行するようにプロセッサに指示できるコンピュータアクセス可能媒体に含まれる一連の命令として実行される。種々の実施形態において、媒体は、磁気媒体、電子媒体、または光媒体である。
【0083】
上記の詳細な説明は、限定ではなく、例示しようとするものである。他の実施形態は、当業者には、上記を読んで理解すれば明らかになるであろう。従って、本発明の範囲は、
そのような請求項が与えられる等価物の範囲全体と共に添付の特許請求の範囲を参照して判定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リード遠位端とリード近位端を有するリードを備える刺激送達システムであって、
前記リード遠位端は、複数の電極を有し、
前記リードは、ヒトの背側硬膜上腔内から、脊柱の所望領域に送り込まれるように構成され、
前記リードは、神経後根を刺激できる位置に少なくとも1つの刺激電極を配置し、神経前根を刺激できる位置に少なくとも別の刺激電極を配置するため、所望領域の脊髄を少なくとも部分的に取囲むべく横方向に送り込まれるように構成される
ことを特徴とする、刺激送達システム。
【請求項2】
前記リードは更に、
前記リード近位端から前記リード遠位端に延びるリード体と;
複数の前記電極の種々の組合せへの刺激パルスの選択的送達に用いる複数の導体と
を備える、
請求項1記載の刺激送達システム。
【請求項3】
前記刺激送達システムは更に、イントロデューサを介して前記背側硬膜上腔内に挿入される可動カテーテルを備え、前記可動カテーテルは、前記所望領域に前記背側硬膜上腔で垂直上方に送り込まれることによって、前記脊髄の少なくとも部分的周囲に横方向に送り込まれるように構成され、
前記可動カテーテルは、前記リードを受容する管腔を有し、前記管腔は、前記所望領域と前記脊髄の少なくとも部分的周囲とに前記リードを向けるように構成される、
請求項1または2記載の刺激送達システム。
【請求項4】
前記リードは、前記所望領域に前記背側硬膜上腔を垂直上方に送り込まれると共に、前記脊髄の少なくとも部分的周囲に横方向に送り込まれるべく方向付けられるように構成される、
請求項1〜3何れか一項記載の刺激送達システム。
【請求項5】
前記リードは、前記神経後根を刺激できる固定位置に第1刺激電極を操作的に位置付け、前記神経前根を刺激できる固定位置に第2刺激電極を操作的に位置付けるべく設定されるように構成され、
前記リード近位端は、前記リード遠位端の形状と位置を維持するように構成される位置固定装置を有する、
請求項1〜4何れか一項記載の刺激送達システム。
【請求項6】
前記リード遠位端は、前記リードを設置する前記脊柱の少なくとも一部分の周囲に接触するように予め決定された所定形状記憶を備える材料によって製造される、
請求項5記載の刺激送達システム。
【請求項7】
前記リードは、前記リードを設定する前記脊柱の少なくとも一部分の周囲に前記リード遠位端を接触させるべく用いられるガイワイヤを有する、
請求項5または6記載の刺激送達システム。
【請求項8】
前記電極は、神経性標的に指向性刺激場を向けるように構成される、
請求項1〜7何れか一項記載の刺激送達システム。
【請求項9】
前記電極は、前記リード遠位端の周縁を取囲むリング電極を有する、
請求項1〜8何れか一項記載の刺激送達システム。
【請求項10】
前記リードは更に、加速度計を有する、
請求項1〜9何れか一項記載の刺激送達システム。
【請求項11】
前記刺激送達システムは更に、
刺激電極の少なくとも2つの可能な組合せを選択するスイッチと;
神経性刺激パルスを発生させると共に、選択した刺激電極の組合せに前記リードを用いて前記神経性刺激を送信するように構成されるパルス発生器と;
制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
前記神経後根または前記神経前根における所望神経性標的の捕獲を確認すべく、効果的な神経性刺激を示すフィードバックパラメータを監視するためか、あるいは神経性刺激の不都合な副作用を示すフィードバックパラメータを監視するように構成され、
前記制御装置は更に、
前記フィードバックパラメータに基づき神経性刺激ベクトルを自動的に調整するか、あるいは前記フィードバックパラメータに基づき刺激強度を自動的に調整すべく前記スイッチを制御するように構成される、
請求項1〜10何れか一項記載の刺激送達システム。
【請求項12】
脊髄刺激リードを植込むリード植込方法であって、前記リード植込方法は、
前記リードを、背側硬膜上腔内に導入するリード導入工程と;
所望椎骨の直近に、背側硬膜上腔を介して前記リードを送り込むリード送込工程と;
神経後根と神経前根の直近にリードを送るリード送り工程ことと
を有し、
前記リード送り工程は、
第1電極を用いて送達された電気刺激によって前記神経後根の少なくとも一部分を捕獲すべく、前記神経後根の操作的直近に前記第1電極を位置付けることと、
第2電極を用いて送達された電気刺激によって前記神経前根の少なくとも一部分を捕獲すべく、前記神経前根の操作的直近に前記第2電極を位置付けることと
を有することを特徴とする、リード植込方法。
【請求項13】
前記リード植込方法は更に、捕獲を確認すべく、植込リード位置を検査することを有する、
請求項12記載のリード植込方法。
【請求項14】
前記リード植込方法は更に、前記電気刺激の副作用を抑制すべく、植込リード位置を検査することを有する、
請求項12または13記載のリード植込方法。
【請求項15】
前記リードは、可動リードであり、
前記リード送り工程は、前記神経後根と前記神経前根の直近に送るべく前記リードを操縦することを有する、
請求項12〜14何れか一項記載のリード植込方法。
【請求項16】
前記リード植込方法は更に、前記リードの位置を設定することを有する、
請求項12〜15何れか一項記載のリード植込方法。
【請求項17】
前記リードは、形状記憶を有する材料によって製造されたリード遠位端を備え、
前記リード遠位端は、前記脊髄を少なくとも部分的に取囲むべく所定形状に製造され、
前記リード送り工程は、前記リード遠位端が屈曲位置にあるとき、前記神経後根と前記神経前根の直近に前記リード遠位端を送る遠位端送り工程を有し、
前記リードの位置設定は、前記リード遠位端が前記脊髄を少なくとも部分的に取囲めるように、前記リード遠位端を弛める遠位端弛め工程を有する、
請求項16記載のリード植込方法。
【請求項18】
前記リード植込方法は更に、前記背側硬膜上腔を通って、横方向に前記所望椎骨と前記神経後根を越えて可動カテーテルとしてのカテーテルを送り込むことを有し、
前記カテーテルは、リード近位端からリード遠位端に延びる管腔を有し、前記管腔は前記リードを保持するように構成され、
前記遠位端送り工程は、前記カテーテル内で前記背部神経を越えて前記リード遠位端を送ることを有し、
前記遠位端弛め工程は、前記カテーテルから外に前記リード遠位端を延ばすことを有する、
請求項17記載のリード植込方法。
【請求項19】
前記リードは、前記リード遠位端の移動に用いられる操縦補強用鋼線を備えた可動リードであり、
前記リードの通しは、前記神経後根と前記神経前根を越えて前記リードを操縦すべく前記操縦補強用鋼線を動かすことを有し、
前記リードの設定は、前記脊髄の周囲に前記リード遠位端を少なくとも部分的に巻込むべく前記操縦補強用鋼線を動かすことを有する、
請求項12〜18何れか一項記載のリード植込方法。
【請求項20】
前記リード植込方法は更に、
前記リードが、前記神経前根か前記神経後根をうまく捕獲すべく電極を操作的に位置付けているか否か判定することと、
前記リードが、前記神経前根か前記神経後根をうまく捕獲すべく操作的に位置付けられてはいないと判定すると、刺激場を調整することと、
前記リードが、前記神経前根か前記神経後根をうまく捕獲すべく操作的に位置付けられていると判定すると、前記リード近位端を、長期的に植込まれた長期植込装置に接続することと
を備える、
請求項12〜19何れか一項記載のリード植込方法。
【請求項21】
前記刺激場の調整は、前記リードを物理的に再配置することを有する、
請求項20記載のリード植込方法。
【請求項22】
前記刺激場の調整は、刺激ベクトルを電気的に調整することを有する、
請求項20または21記載のリード植込方法。
【請求項23】
刺激ベクトルの電気的調整は、前記神経前根または前記神経後根の刺激に用いる少なくとも1つの異なる電極を選択することを有する、
請求項22記載のリード植込方法。
【請求項24】
背側硬膜上腔を介して所望椎骨の直近にリードを垂直方向に送り込み、更に神経後根と神経前根の直近に前記リードを横方向に送るリード送り手段と;
神経後根と神経前根の少なくとも1つを刺激できる位置に少なくとも1つの電極を操作的に設置すべく、所定位置に前記リードを固定する固定手段と
を有する、刺激送達システム。
【請求項25】
前記刺激送達システムは更に、
前記神経後根と前記神経前根の少なくとも1つを刺激する刺激手段と、
前記刺激の有効性を確認する確認手段と
を備える、
請求項24記載の刺激送達システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2011−518642(P2011−518642A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507426(P2011−507426)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/002579
【国際公開番号】WO2009/134352
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(505003528)カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド (466)
【Fターム(参考)】