説明

脱水素用途のための銅触媒

約35質量%〜約75質量%のCu、約15質量%〜約35質量%のAl、及び約5質量%〜約20質量%のMnを含む触媒組成物を開示している。触媒組成物は、Cu(NO3)2、Mn(NO32及びNa2Al23の沈降反応から形成される粉末を押出し、焼成することにより形成されるバルク均質組成物である。触媒組成物は、CuO及びCuxMn(3-x)4 の1つ以上から選ばれる実験式を有する一つ以上の結晶性相を有し、xは約1〜約1.5である。触媒組成物は、脱水素反応による1,4−ブタンジオールのγ−ブチロラクトンへの変換に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2008年11月10日に出願された、米国仮特許出願番号第61/113,125号に対して優先権を主張し、当該出願は本願明細書に参照により組み込まれている。
【0002】
本開示は、1,4−ブタンジオールを脱水素化してγ−ブチロラクトンとするのに有用なCu0/MnO2/Al23触媒、および同一物を作る方法並びに用いる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの産業用化学物質の合成は、必要成分としての触媒の存在で相当な反応速度でのみ進行する。化合物が触媒によって合成される場合、生産速度、従って、生産原価は、触媒の原価及び寿命と同様に触媒の触媒効率に高度に依存する。触媒効率が増加すると触媒に対する出発原料の処理量は増大し、同時に触媒の寿命の増加は設備中断時間及び触媒材料の原価を低減する。
【0004】
1,4−ブタンジオールをγ−ブチロラクトンへ変換する幾つかの触媒が公知である。代表的な応用において、気相の1,4−ブタンジオールは、高温で触媒上を通過する。多孔質支持体に配置される銅金属は触媒用であるが、触媒効率は乏しく、大量の副生成物が生成する。Cu/Cr/Mn、Cu/Cr/Zn及びCu/Crを基礎とする触媒は毒性Crを含み、調合するのが困難で、潜在的に環境上の危険を孕む。CuO触媒は、毒性が少ない材料から形成されるが、依然として最適効率でγ−ブチロラクトンの合成が得られる水準以下の触媒効率及び寿命しか得られていない。
【発明の概要】
【0005】
以下は、幾つかの本発明の実施態様の基本的な理解を提供するために本発明の簡略化要旨を示す。この要旨は、本発明の広範囲にわたる概観ではない。本発明の主要な要素又は決定的な要素を識別することも、本発明の権利範囲を詳細に示すことも目的としていない。唯一の目的は、後で示されるより詳細な説明の前兆として、簡略形で本発明の幾つかの概念を示すことである。
【0006】
本願明細書において開示される触媒組成物および方法は、生成物に対する出発原料の処理量の増大と、1,4−ブタンジオールを脱水素化してγ−ブチロラクトンとする低減化失活速度を提供する。触媒組成物は、沈降反応に続く押出及び焼成によって形成されるCuO/MnO2/Al23混合物を含む。開示された触媒は、高い留分のCuO又は他の酸化銅を含む点で注目に値する。具体的には、開示された触媒は、約35質量%〜約75重量部%のCuを含む。
【0007】
本発明の1実施態様は、約35質量%〜約75質量%のCu、約15質量%〜約35質量%のAl、及び約5質量%〜約20質量%のMnを含む触媒組成物を対象とする。
【0008】
本発明の別の実施態様は、約35質量%〜約75質量%のCu、約15質量%〜約35質量%のAl、及び約5質量%〜約20質量%のMnを含む触媒組成物を対象とし、そこで、当該触媒組成物は、押出し、焼成することにより形成されるバルク均質組成物である。
【0009】
本発明の更に別の実施態様は、可溶な銅塩、可溶なマンガン塩及び可溶なアルミニウム化合物を含む溶液から、約6〜8.5のpHで固体触媒組成物を共沈させ、固体触媒組成物を約400〜約700℃の空気の下で約2〜5時間の期間にわたり焼成することにより銅触媒を作るための方法を対象とする。
【0010】
本発明の更にまた別の実施態様は、約35質量%〜約75質量%のCu、約15質量%〜約35質量%のAl、及び約5質量%〜約20質量%のMnを含む触媒組成物を使用して1,4−ブタンジオールをγ−ブチロラクトンに変換するためのプロセスに係る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施態様に従った触媒組成物から集められるX線回折データ(Cu Ka源照射)を描写する。
【図2】本発明の一実施態様に従った触媒組成物から集められるHg侵入データを提示する。
【図3】本発明の一実施態様に従った触媒組成物から集められるHg侵入データを提示する。
【図4】本発明の一実施態様に従った触媒組成物から集められるN2吸着データを提示する。
【図5】本発明の一実施態様に従った触媒組成物から集められるN2吸着データを提示する。
【図6】本発明の一実施態様に従った触媒組成物から集められる示差走査熱量測定データを提示する。
【図7】本発明の一実施態様に従った触媒組成物から集められる温度重量分析データを提示する。
【図8】本発明の一実施態様に従った触媒組成物から集められる温度重量分析データを提示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願明細書において議論される技術革新は、1,4−ブタンジオール(BDO)のγ−ブチロラクトン(GBL)及び水素ガスへの触媒作用脱水素化に有用なCuO/MnO2/Al23組成物(触媒組成物)を対象とする。当該組成物は、反応速度増加の為に銅系触媒を使用する他のシステムに潜在的に有用である。触媒活性が増加できる活性化期間の後、多くの触媒は時間経過後の触媒活性低減を示す。触媒の失活は、設備の中断時間及び高価な触媒材料の原価に起因する高価な交換を必要とする。本発明の触媒は、BDOからGBLへの反応のための公知の銅系触媒と比較して、低い失活速度を有することで注目すべきである。更に注目すべきことに、本発明の触媒は、公知の銅系触媒より数倍高い触媒定数を呈し、反応剤の触媒上へのより高い負荷割合を及ぼす。
【0013】
本願明細書において開示される本発明の触媒は、可溶な銅化合物、可溶なマンガン化合物及び可溶なアルミニウム化合物の共沈により作られるCuO/MnO2/Al23触媒(本発明の触媒)であり、粉末状の本発明の触媒を生じる。本発明の触媒は、均質バルク組成物として使用され、かつ不活性の支持体で吸収もされず、当該支持体と接触もされない。本発明の触媒は押出され、離型剤または結合剤の有無にかかわらず、固形(非微粒子)の触媒を形成し、そこをBDOが通過する。一般的に、本発明の触媒は、沈降後、及び固体形に押出後、約350℃〜750℃で焼成される。
【0014】
発明の実験式は、少なくとも約40質量%のCuO又は他の酸化銅を含む。一実施形態において、本発明の触媒は約35質量%〜約70質量%のCuを、随意にCuOとして含む。他の実施形態において、本発明の触媒は約40質量%〜約65質量%の銅を、随意にCuOとして含む。更に他の実施形態において、本発明の触媒は約50質量%〜約60質量%のCuを、随意にCuOとして含む。
【0015】
一実施形態において、本発明の触媒は約15質量%〜約35質量%のAlを、随意にAl2CO3として含む。他の実施形態において、本発明の触媒は約20質量%〜約35質量%のAlを、随意にAl23として含む。一実施形態において、本発明の触媒は約5質量%〜約20質量%のMnを、随意にMnO2として含む。一実施形態において、本発明の触媒は約10質量%〜約25質量%のMnを、随意にMnO2として含む。
【0016】
本発明の触媒を焼成すると、少なくとも一部のバルク均一触媒の結晶化と、X線回折や反応強度増加によって検出可能な少なくとも1つの結晶相形成とをもたらす。結晶相は実験式CuOを有し、及び/又は結晶相は実験式CuxMn(3-X)4を有し得て、xは約1〜約1.5である。一実施形態において、本発明の触媒は、CuO相及びCuxMn(3-X)4相を共に含む。他の実施形態では、本発明の触媒は二つ以上の分離したCuxMn(3-X)4相を含み、それぞれは分離した結晶相又は双結晶相を有し得る。
【0017】
この開示の全体にわたって使用される場合、用語「重量で」と、重量百分率を含む金属または金属イオンに対する全ての言及とは、本願明細書において、触媒組成物の重量により割られた、言及されている金属又は金属イオンの質量として定義され、そこで、当該金属又は金属イオンの重量はどの逆イオンの重量をも含まない。触媒組成物が金属の重量百分率を含有する若しくは含むという詳述は、対応する金属イオンの重量百分率を含有するか若しくは含む触媒組成物を含む。用語「バルク均質触媒」及び「バルク均質押出成形物」は、本願明細書において記載されているように、成分が巨視的規模で均質に分布しているような触媒組成物を含むように、本質的に逆イオン及び随意に結合剤及び/又は離型剤と結合した銅、マンガン及びアルミニウムだけから成る、触媒作用を実行する能力がある触媒組成物を称し、そこで、当該触媒組成物は不活性の触媒支持体に吸収されることも当該支持体と接触されることもない。
【0018】
CuO/MnO2/Al23触媒の調合
本願明細書において開示される触媒組成物は可溶な銅塩、可溶なマンガン塩及び可溶なアルミニウム化合物を含む溶液から約6〜8.5のpHで固体触媒組成物を共沈させることによって、固形沈殿物を回収することから形成される。回収された固形触媒組成物は、触媒としての使用前に約400〜約700℃の空気の下で約2〜5時間の期間にわたり焼成される。一実施形態において、共沈降は硝酸銅(II)、硝酸マンガン(II)及びアルミン酸ナトリウムの水溶液で行われる。分離した硝酸銅(II)及び硝酸マンガン(II)水溶液は、混合して単一の水溶液を形成し、混成した硝酸銅(II)及び硝酸マンガン(II)水溶液とアルミン酸塩水溶液は、次に予め定められた期間で水の媒体に添加される。実施形態において、予め定められた期間は約40分〜約80分である。沈降反応は、所望の範囲内にPHを維持するために塩基によって実施される。一実施形態において、硝酸銅(II)、硝酸マンガン(II)、アルミン酸塩および塩基性溶液が添加される水性媒体は、水、脱イオン水、又は実質的に水を含む媒体である。
【0019】
他の実施形態では、可溶な銅塩は、酢酸銅(II)、塩酸銅(II)、硝酸銅(II)及び硫酸銅(II)から選択される1つ以上のものである。他の実施形態では、可溶なマンガン塩は、硫酸マンガン(II)、塩酸マンガン(II)、臭素酸マンガン(II)及び硝酸マンガン(II)から選択される1つ以上のものである。
【0020】
沈降反応の水性媒体を滴定するために使用される塩基は、1リットル当たり約1〜約2モル等量の塩基を含む。一実施形態において、pHを所望の範囲に維持する為に添加する塩基は炭酸ナトリウムである。炭酸イオンは二塩基性なので、1リットル当たり約0.5〜約1モルの炭酸ナトリウムを含む炭酸塩水溶液は、1リットル当たり約1〜約2モル等量の塩基を含む。一実施形態において、塩基は沈降反応の水性媒体のpHが約6〜約8.5に維持されるように添加される。他の実施形態において、塩基は沈降反応の水性媒体のpHが約6.5〜約8に維持されるように添加される。さらに他の実施形態において、塩基は沈降反応の水性媒体のpHが約6.5〜約7.5に維持されるように添加される。
【0021】
一実施形態において、触媒組成物は、分離したCu(NO32及びMn(NO32の水溶液から、混成したCu(NO32及びMn(NO32の水溶液を形成することによって調合される。混成水溶液は、1リットル当たり約1〜約3.3モルのCu(NO32の濃度、1リットル当たり約0.3〜約1モルのMn(NO32の濃度、及び1リットル当たり約0.25〜約1質量%の硝酸(HNO3)濃度を有する。硝酸成分は、元来分離したCu(NO32溶液の成分である。混成水溶液が成分の要求濃度を有すると仮定すると、分離したCu(NO32及びMn(NO32溶液の正確な組成は臨界的ではない。当業者は、触媒組成物が可溶な銅、可溶なマンガン及び上述とは異なる濃度を有する塩基性溶液を使用した沈降反応によって形成されることを容易に理解できるであろう。上記の詳述されている濃度は、代表的な沈降反応に使用される濃度の例のみである。
【0022】
アルミン酸塩溶液は、媒体水酸化ナトリウムに溶解したNa2Al24と、約12以上のpHを有し、1リットル当たり約0.2〜約0.4kgNa2Al24濃度(約1.2〜約2.4モルl-1)の水を含む。当業者は、塩基性溶液中のNa2Al24がAl23及びNa23に分解されることを認識した。アルミン酸ナトリウム溶液のための濃度は、Na2Al24の化学量論的当量に変換される溶液中のNa2Al24、Al23及びNa2Oの総重量によって算出される。アルミン酸塩溶液は、USALCO 45(US Aluminum社、メリーランド州、ボルチモア)として商業的に販売され、45質量%のNa2Al24で、希釈して有用なアルミン酸塩水溶液を形成できる。当業者は、触媒組成物が上述とは異なる濃度を有する塩基性溶液を使用した沈降反応によって形成されることを容易に理解できるであろう。上記の詳述された濃度は、代表的な沈降反応に使用される濃度の例のみである。
【0023】
混成したCu(NO32及びMn(NO32の溶液、アルミン酸塩溶液及びpH滴定用の塩基は水性媒体に添加され、上述の通り、沈降反応が起こる。水性媒体の体積は、使用される混成したCu(NO32及びMn(NO32の溶液の体積の約4〜約7倍である。使用される混成したCu(NO32及びMn(NO32の溶液の体積は合成される触媒組成物の総計を決定するので、水性媒体の体積は従って、調節される。一実施形態において、混成したCu(NO32及びMn(NO32の溶液は、使用される混成Cu(NO32及びMn(NO32溶液の体積の全体が約40分〜約80分の期間にわたり水性媒体に添加されるような速度で添加される。他の実施形態において、混成したCu(NO32及びMn(NO32の溶液は、使用される混成したCu(NO32及びMn(NO32の溶液の体積の全体が約50分〜約70分の期間で水性媒体に添加されるような速度で添加される。
【0024】
アルミン酸塩溶液は、混成したCu(NO32及びMn(NO32の溶液添加の単位時間当たりおよそ約65%〜約100%の体積速度である、単位時間当たりの体積速度で水性媒体に添加される。他の実施形態において、アルミン酸塩溶液の体積は、上述の通り、触媒組成物内のCuO/MnO2/Al23の所望の分配とCu(NO32及びMn(NO32の溶液の既知濃度を達成するために容易に算出される。一実施形態において、アルミン酸塩溶液は、混成したCu(NO32及びMn(NO32の溶液が水性媒体に添加される期間にわたり、上述の通り、水性媒体に添加される。さらに他の実施形態において、アルミン酸塩水溶液は、混成したCu(NO32及びMn(NO32の溶液が水性媒体に添加される期間の約25%以内の期間で水性媒体に添加される。
【0025】
沈降反応を通じて調合される本発明のCuO/MnO2/Al23触媒の一例は、以下の通りである:
Cu(NO32水溶液が16.2質量%の銅(31.5質量%のCu(NO32)及び0.823質量%の硝酸であるように調合し;調合されたCu(NO32溶液の8.575Kgを計量する。水性Mn(NO32溶液が13.2質量%マンガン(42.9質量%Mn(N032)であるように調合する。上述のCu(NO32溶液に、調合されたMn(NO32溶液の1.727Kgを添加して混成したCu(NO32及びMn(NO32を形成する。混合の後、新規な混成したCu(NO32及びMn(NO32の溶液の体積はほぼ6650mlで、Cu(NO32のモル濃度は約2.19モルl-1であり、Mn(NO32のモル濃度は約0.623モルl-1である。USALCO 45溶液(US Aluminum社、メリーランド州、ボルチモア)3.586kgを計量し、脱イオン水で希釈して5450mlとし、アルミン酸ナトリウム水溶液を調合し;最終的なアルミン酸塩溶液は、溶解アルミン酸ナトリウム(約1.81モルl-1のNa2Al24)の29.5質量%である。最後に、1906.9gの炭酸ナトリウムを21.8lの脱イオン水(約0.825モルl-1)に溶解して、炭酸ナトリウム(ソーダ灰)溶液を調合する。脱イオン水を、全溶液作成に使用する。
【0026】
本発明の触媒は、混成したCu(NO32及びMn(NO32の溶液、アルミン酸ナトリウム溶液及び炭酸ナトリウム溶液を水性媒体としての脱イオン水38lに添加して調合される。Cu(NO32及びMn(NO32溶液はほぼ111ミリリットル/分の速度で添加され、アルミン酸ナトリウム溶液はほぼ91ミリリットル/分の速度で添加される。ソーダ灰水溶液は、沈降反応のpHを約7のpHに保つ速度で添加される。
【0027】
沈降を、室温〜沸騰の広範囲の温度にわたり首尾よく実行することができる。沈降例は、約25℃で実施される。沈降の間、スラリー標本は間隔を置いて(およそ5分又は10分毎に)採取され、粒度分析が実施される。沈降反応が完了されると、スラリーは安定pHに達するまで静置される。バルク溶液を除去するためにスラリーを濾過すべきであり、濾液を溶出させる伝導率が1マイクロメッシュ/cm未満となるまで濾過ケークを洗浄した。本発明の触媒組成物を含むケーキは次いで計量され、約150℃の乾燥炉にほぼ8〜10時間にわたり入れられる。必要に応じて、本発明の触媒を含むケーキが乾燥炉から除去された後、乾燥損失(LOD)を記録しても良い。乾燥した触媒ケーキは、この時点で約400〜約700℃で随意に焼成できる。
【0028】
乾燥したケーキから粉末を回収する。化学分析により、結果として得られた粉末がCuOとして54.4質量%のCu、MnO2として8.32質量%のMn、及びAl23として26質量%のAlを含むことを決定した。
【0029】
触媒はバルク均質押出成形物の形で使用され、押出成形物は離型剤又は結合剤の有無にかかわらず形成される。離型剤及び結合剤が使われないとき、乾燥した触媒ケーキは脱イオン水と混合した粉末の形で回収される。添加される水の量は、乾燥での重量損失が水を除去するときに約30%〜約42%を達成するような量である。すなわち、水は触媒組成物と水との混合物を形成するために添加され、水は混合物の約30%〜約42%を含む。高密度化が起こるまで混合物は混合器に添加され、触媒は強靱な個々の球体を形成する。有用な触媒は次に約400〜約700℃の空気の下での押出及び要求焼成によって回収される。
【0030】
結合剤及び離型剤が使われる場合、使用する発明の触媒粉末の大部分は、従来技術において周知である結合剤及び離型剤と交換できる。結合剤及び離型剤の例には、水酸化カルシウム、非晶質シリカ及びメチルセルロース重合体が含まれる。
【0031】
実施例1:本発明の触媒の押出成形物
押出前に、上記の手順から得られる本発明の触媒は約500℃で約2〜4時間焼成される。他の実施形態において、本発明の触媒は約400〜約700℃の空気の下で約2〜5時間の期間焼成される。脱イオン水は、どの結合剤又は離型剤も無い本発明の触媒粉末ほぼ1000gに添加される。添加水量は、乾燥での重量損失がほぼ30%〜約42%となるように算出される。水と本発明の触媒との混合物は機械的混合で濃くなり、直径ほぼ1/16インチの球体を形成する。混合物は、混合器中で適度な速度で混ぜられる。
【0032】
濃縮混合物は、3/8インチの押出成形帯域を有する一組の3挿入口付きの2インチ押出機を通じて押出される。連続的で滑らかな押出成形物が形成され;押出成形物は、約120℃でほぼ2〜3時間乾燥される。押出成形物は約500℃の空気の下でほぼ4時間焼成される。本発明の触媒押出成形物の嵩密度は0.57g/mlであり、全処理完了後の押出成形物の直径は1/16インチである。当業者は、押出成形物の嵩密度が組成によって変化し得ると認識するであろう。一実施形態において、本発明の触媒押出成形物の嵩密度は約0.4〜約0.8g/mlである。他の実施形態において、本発明の触媒押出成形物の嵩密度は約0.5〜約0.7g/mlである。
【0033】
実施例2:本発明の触媒の押出成形物
本発明の触媒押出成形物の第2実施例は、結合剤が調合物中に含まれる場合を除いて、上記と同じ方法を使用して形成される。以下の成分を混合する:
2400gの上記沈降反応からの発明触媒;
760gの水酸化カルシウムCa(OH)2
1700gの非晶質シリカ水溶液(Nalco(登録商標) 1034A、Nalco社(Nalco Co.)、イリノイ州、ネイパーヴィル);及び、
40gの水溶性メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース重合体(Methocel(登録商標)、ダウケミカル(Dow Chemical))。
【0034】
非晶質シリカは水に溶解され、残留成分に添加される。シリカ溶液を形成するために用いる水量は、触媒組成物の乾燥での重量損失がほぼ30%〜約42%となるように算出される。混合物は、上記のように混ぜ合わされ、押出されて、焼成される。
【0035】
実施例3:本発明の触媒の押出成形物
本発明の触媒押出成形物の第3実施例は、結合剤が調合物中に含まれる場合を除いて、上記と同じ方法を使用して形成される。以下の成分を混合する:
1400gの粉末発明触媒;
1000gの珪酸カルシウム(セライト社(Celite Corp.)、カリフォルニア州、ロンポック);
760gの水酸化カルシウムCa(OH)2
1700gの非晶質シリカ水溶液(Nalco(登録商標)1034A、Nalco社(Nalco Co.)、イリノイ州、ネイパーヴィル);及び、
40gの水溶性メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース重合体(Methocel(登録商標)、ダウケミカル(Dow Chemical))。
【0036】
シリカ水溶液が調合され、混合、押出加工及び焼成が上述の通り実施される。
【0037】
実施例1のX線回折の特性評価
図1は、本発明の触媒の実施例1での押出成形物のX線回折分析を描写する。
【0038】
粉末回折から得られるピークパターンは、P0WD−12++プログラム(1997)を使用して分析された。図1に示される回折パターンから、CuO結晶相は単斜C2/c空間群を有して検出される。割り当てられた単位セル寸法は、a=4.68Å、b=3.43Å、c=5.14Å、及びβ=99.3度である。さらに、実験式Cu1.5Mn1.54を有する結晶相は立方空間群Fd−3mを有する。観察された立方空間群の単位セル長は、8.29Åである。表1は、hkl指数、ブラッグ指数、2θブラッグ角及びCuO結晶相に帰属しているピークの比較強度一覧を掲示する。表2は、hkl指数、ブラッグ指数、2θブラッグ角及びCu1.5Mn1.54結晶相に帰属しているピークの比較強度一覧を掲示する。
【0039】
表1:単斜CuO結晶相について観察された回折ピーク
【0040】
【表1】

【0041】
表2:立方体Cu1.5Mn1.54結晶相用に観察された回折ピーク
【0042】
【表2】

【0043】
実施例1の水銀侵入の特性評価
図2及び3は、本発明の触媒の実施例1の押出成形物の水銀(Hg)侵入データを示す。図2は、細孔寸法直径に関連した触媒押出成形物への総水銀侵入を示す。観察することができるように、水銀侵入で測定される細孔率の約78%は、100Å〜1000Åの寸法を有する細孔において発生する。当業者は、本願明細書において記載されている触媒押出成形物の細孔率が変化し得ると理解するであろう。一実施形態において、水銀侵入で測定される細孔率の約75〜約88%は、100Å〜1000Åの寸法を有する細孔において発生する。
【0044】
図3は、細孔直径の関数としての細孔径増分分布を示す。観察することができるように、細孔は約200Å及び約500Åにそれぞれ細孔直径分布が集中した局所的極大値を有する二峰性の細孔直径分布を有する。平均の細孔直径が近接しているので、直径約200Å及び約500Åの細孔径分布の明らかな局所的極大値は人為結果でのみあり得る。細孔直径の分布が共に近接しているので、当業者は本願明細書において記載されている触媒押出成形物の細孔率が変化し得ると理解するであろう。一実施形態において、触媒押出成形物の細孔径分布は、約200Å〜約1000Åの細孔直径の極大値を有する分布の少なくとも1モードを有し得る。他の実施形態において、触媒押出成形物は、細孔直径の第1極大値が約100Å〜約350Åにあり、第2極大値が約250Å〜約750Åにある二峰性の細孔直径分布を有し得る。
【0045】
実施例1の窒素侵入の特性評価
図4及び5は、本発明の触媒の実施例1の押出成形物の窒素(N2)侵入データを示す。図4は、細孔直径に関連した触媒押出成形物への総窒素吸着を示す。図4において観察される通り、N2吸着で測定される細孔率の約68%は、100Å〜1000Åの直径を有する細孔において発生する。当業者は、本願明細書において記載されている触媒押出成形物の細孔率が変化し得ると理解するであろう。一実施形態において、N2吸着で測定される細孔率の約60%〜約88%は、100Å〜1000Åの直径を有する細孔において発生する。他の実施形態において、N2吸着で測定される細孔率の約60%〜約88%は、100Å〜600Åの直径を有する細孔において発生する。
【0046】
図5は、N2吸着によって測定される細孔直径の関数としての細孔径増分分布を示す。観察することができるように、細孔径分布は、細孔直径にして約200Å〜約500Åの最大観察値を有する。当業者は、本願明細書において記載されている触媒押出成形物の細孔率が変化し得ると理解するであろう。一実施形態において、触媒押出成形物の細孔径分布の極大値を、直径にして約100Å〜約750Åで観察することができる。他の実施形態において、触媒押出成形物の細孔径分布の極大値を、直径にして約200Å〜約750Åで観察することができる。
【0047】
水銀侵入及びN2細孔性は、両方ともサンプルの細孔率を測定する方法であり、そこで、各方法で測定される値はそれぞれの技術の相違によって変化し得る。両技術からの結果は特性評価の完全性のために本願明細書に提示され、そこで、計測は本発明の触媒の同一のサンプルから行われる。
【0048】
実施例1の示差走査熱量測定
図6は、実施例1の本発明の触媒押出成形物から集めた示差走査熱量測定(DSC)データを描写する。押出成形物は、アルゴン中の21%水素雰囲気の下で、2℃/分の速度で、25℃〜700℃に加熱される。図6に示す通り、2大発熱線が観察される。第1発熱線は約47℃〜約98℃で、約18.9J/gの放熱量を有する。第2発熱線は約174℃〜約254℃で、約711.5J/gの放熱量を有する。
【0049】
実施例1の熱重量分析
熱重量分析(TGA)データは、実施例1の本発明の触媒押出成形物から集められた。図7は、アルゴン中の21%酸素の雰囲気の下での実施例1の押出成形物についての、加温の間に保持されるサンプルの重量百分率のプロットと、同一物の微分プロットとを提示する。図8は、アルゴン雰囲気中の10%水素雰囲気下での、実施例1の押出成形物の類似プロットを提示する。押出成形物は、最初にアルゴン雰囲気において150℃でほぼ30分間乾燥して、次にほぼ100℃まで冷却された。押出成形物は、適切な雰囲気の下で、10℃/分の速度で、100℃〜700℃に加熱される。サンプルは、熱遅滞を補償するために700℃で約5分間保持される。図5及び6は、同一物の加温および誘導体プロットの間に保持されるサンプルの重量百分率のプロットを提示する。
【0050】
図7(21%酸素)において、押出成形物は固有のサンプル数の約6%の全てを解放する。質量の最大の変化は約150℃〜約299℃で発生し、固有のサンプル量の約3.1%の損失の原因となる。
【0051】
図8(10%水素)において、押出成形物は固有のサンプル数の約28%の全てを解放する。質量の最大の変化は約150℃〜約307℃で発生し、固有のサンプル量の約24%の損失の原因となる。質量損失の最大速度は、約281℃で発生する。
【0052】
BDOのGLBへの変換
BDOのGLBへの変換は、高温高圧の気相において行われる。BDOは液状で供給され、触媒との接触前に蒸発する。一実施形態において、温度は約150〜300℃である。他の実施形態において、温度は約175〜275℃である。さらに他の実施形態において、温度は約185〜250℃である。一実施形態において、BDOのGLBへの変換は、本発明の触媒を気相又は液相で純粋のBDO若しくはBDOを含む混合物と接触せしめることによって実施される。他の実施形態において、BDOのGLBへの変換は、気相又は液相で純粋のBDO若しくはBDOを含む混合物を一定速度若しくは可変速度で通過させることによって実施される。
【0053】
同様に、本発明の触媒はある圧力範囲を通じて利用可能である。一実施形態において、圧力は約10〜約150psigである。一実施形態において、圧力は約20〜約200 psigである。さらに他の実施形態において、圧力は約30〜約90psigである。触媒に供給されるBDOの速度は液空間速度(LHSV)の点から記載することができ、単位質量当たりの触媒に時間当たりで供給されるBDOの質量として定義される。一実施形態において、LHSVは約0.1〜約3hr-1である。他の実施形態において、LHSVは約0.2〜約2hr-1である。さらに他の実施形態において、LHSVは約0.4〜約1.5hr-1である。
【0054】
BDOのGLBへの変換は、BDO1モル当たり1モルのGLBと2モルの水素ガスを生成する脱水素反応である。しかしながら、競合している副作用も低速度で触媒作用を受ける。生成物の流れには、GLBに加えて、他の成分の中でも、テトラヒドロフラン(THF)、水、アセタール、ブタノール及び酪酸が含まれる場合がある。一実施形態において、BDOのGLBへの変換は約90%超である。別の実施形態において、BDOのGLBへの変換は約95%超である。さらに別の実施形態において、BDOのGLBへの変換は約99%超である。
【0055】
BDOのGLBへの脱水素反応は、進行するのに水素を必要としない。それにもかかわらず、触媒の金属部位を減らしておくために水素は概して触媒上を通過する気相に含まれる。供給される水素の速度は1時間ごとの気体空間速度(GHSV)の用語で記載され、単位質量当たりの触媒への時間当たりの水素の質量である。一実施形態において、水素ガスのGHSVは、約500〜約2500hr-1である。別の実施形態において、水素ガスのGHSVは、約750〜約2000hr-1である。さらに別の実施形態において、水素ガスのGHSVは、約1000〜約1500hr-1である。
【0056】
比較触媒
比較触媒は、本発明の触媒の優れた品質を強調するために調合された。比較触媒は、従来技術において周知のタイプのCuO触媒である。CuOは、軽石から作られる支持体上に配置され、約15%CuOの最終的な組成を有し、嵩密度は約0.6g/ミリリットルである。比較触媒は4×20メッシュを有する粒剤として提供される。
【0057】
本発明の触媒の寿命及び失活速度
比較触媒と本発明の触媒の実施例1との両方の時間的な失活はそれぞれ表3及び4に示される。触媒の効果は、観察された反応速度定数(κobs)によって示される。速度定数はBDO添加のLHSVから算出され、触媒によって変換したBDOの百分率は式Iで示す。
【0058】
【数1】

【0059】
観察された速度定数は、供給されたBDOのLHSVが増加するに従って増加することになるが、しかしながら、触媒は反応剤を生成物に変換することができる固有の最大速度を有する。従って、供給されたBDOのLHSVが増加すると、ある点が変換されるBDOの百分率が減少することになる範囲となり、飽和速度と称される。LHSVが触媒の固有の飽和速度を越して増加すると、観察された速度定数は減少することになる。
【0060】
更に、観察された速度定数は触媒失活のために時間的に減少し、失活速度と称される。失活速度を観察された触媒定数の減少として時間的に観察することができ、反応条件は可能な限り一定に維持される。
【0061】
表3:使用時間を変化させた状態での、BDOのGLBへの変換の比較触媒の動力学
【0062】
【表3】

【0063】
表4:使用時間を変化させた状態での、BDOのGLBへの変換の発明触媒(実施例1)の動力学
【0064】
【表4】

【0065】
表3に示す通り、比較触媒用の観察された速度定数は、24時間で2.54hr-1から193時間で1.56hr-1に減少し、毎時38.6%の変化又は毎時約0.22%の失活速度である。対照的に、本発明の触媒は驚くほど遅い速度で不活性化する。表4に示す通り、比較触媒用の観察された速度定数は、24時間で3.02hr-1から311時間で2.85hr-1に減少し、毎時約5.6%のみの変化又は毎時約0.02%のみの失活速度である。
【0066】
当業者は、上記した失活速度が本発明の触媒の実施形態に基づく一例だけであると容易に理解するであろう。本発明の触媒の他の実施形態は、記載例から変化する失活速度を有し得る。一実施形態において、触媒の失活速度は、毎時約0.1%未満である。他の実施形態において、触媒の失活速度は、毎時約0.05%未満である。さらに他の実施形態において、触媒の失活速度は、毎時約0.02%未満である。更にまた他の実施形態において、触媒の失活速度は、時間当たり約0.015%〜0.025%である。
【0067】
本発明の触媒の触媒処理量
表3及び4に示す通り、本発明の触媒は、比較触媒と比べて全ての時間点で高い観察された速度定数を有する。24時間の供用で、本発明の触媒は、比較触媒の2.54hr-1と比較して、3.02hr-1の観察された速度定数を有する。この相違は、本発明の触媒によってGLBに対するBDOの触媒作用を支える強化能力を示す。下記の表5及び6に示す通り、本発明の触媒のBDOのLHSV飽和点は大幅に増加する。従って、本発明の触媒は、高い変換量を維持しつつ、より大きい観察反応速度定数及びより大きいBDOのGBLへの処理量を達成することができる。
【0068】
表5:LHSVを変化させた状態での、BDOのGLBへの変換の比較触媒の動力学
【0069】
【表5】

【0070】
表6:使用時間を変化させた状態での、BDOのGLBへの変換の発明触媒(実施例1)の動力学
【0071】
【表6】

【0072】
比較触媒について表5に示す通り、BDOに対するLHSVが0.97hr-1まで上昇する時に、BDO変換量は大幅に降下する(83%まで)。LHSVが後の時間で降下(0.30hr-1まで)すると、BDO変換量は97%超まで回復する。比較触媒の飽和点はBDOのLHSVについて約0.5hr-1であることが知られている。
【0073】
表6を参照すると、BDOのLHSVが最大で1.44hr-1まで増加する際に、本発明の触媒はBDO変換量のいかなる降下も示さない。結果として、非常に高い処理量及び観察された触媒速度定数を、本発明の触媒を使用して達成することができる。すなわち、本発明の触媒は、変換量に重要な減少のない処理量(供給された反応剤のLHSVによって測定)の非常に増加した速度を適応させることができる。
【0074】
本発明の触媒の付加的な運動情報は、下記の表7に示される。注目すべきことに、変換速度を99%超に維持しつつ、本発明の触媒の半分の体積(かつ、およそ半分の重量)が比較触媒と同一の処理量、約20g/時間のBDOに適応させることができることが分かる。
【0075】
当業者は、上記した触媒処理量が本発明の触媒の実施形態に基づく一例だけであると容易に理解するであろう。本発明の触媒の他の実施形態は、記載例から変化する触媒処理量を有することができる。一実施形態において、約95%以上のBDO変換量を維持しつつ、触媒は約0.75〜約2hr-1のBDOでのLHSVを適応させることができる。他の実施形態において、約95%以上のBDO変換量を維持しつつ、触媒は約1〜約2hr-1のBDOでのLHSVを適応させることができる。さらに他の実施形態において、約98%以上のBDO変換量を維持しつつ、触媒は約1〜約2hr-1のBDOでのLHSVを適応させることができる。更にまた他の実施形態において、約99%以上のBDO変換量を維持しつつ、触媒は約0.75〜約1hr-1のBDOでのLHSVを適応させることができる。
【0076】
表7:比較触媒と比べた発明触媒のBDO処理量(g/時間)
【0077】
【表7】

【0078】
所与の特性に対するいかなる図又は数域に対しても、1範囲からの図又はパラメータを、数域を生成する同一特性に対する異なる範囲からの別の図又はパラメータと組み合わせることができる。
【0079】
本願明細書において開示される本発明の触媒組成物がBDOのGBLへの触媒変換での有用性を示すと共に、当業者は開示された本発明の触媒組成物が他の脱水素反応に役立つことがあり得ると直ちに認識するであろう。更に、開示された発明の触媒組成物は、脱水素以外の、他の触媒工程に潜在的に適用でき、そこで、CuO系触媒は検証した実用性を有する。
【0080】
作動例とは別に、若しくは別段に示した場合、本願明細書及び請求項において使用されている全ての数字、値及び/又は原材料の量、反応条件などを指す表現を、全ての場合において、「約」という用語によって修正されるものとして理解されたい。
【0081】
本発明は特定の実施形態に関して説明されてきたが、明細書を読む際に、様々なその改良が当業者にとって明白になるだろうと理解されたい。従って、本願明細書において開示される本発明が添付の請求の範囲に入るような改良を包含することを目的としていると理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約35質量%〜約75質量%のCu、約15質量%〜約35質量%のAl、及び約5質量%〜約20質量%のMnを含む、触媒組成物。
【請求項2】
前記触媒組成物は、該触媒組成物が不活性支持相を含まないという条件でバルク均質押出成形物である、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項3】
前記触媒組成物がCuO及びCuxMn(3-x)4のうち1つ以上から選ばれる実験式を有する1つ以上の結晶性相を有し、式中、xは約1〜約1.5である、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項4】
嵩密度が約0.4〜約0.8g/mLである、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項5】
約40質量%〜約65質量%のCu、約20質量%〜約35質量%のAl、及び約10質量%〜約25質量%のMnを含む、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項6】
1,4−ブタンジオールをγーブチロラクトンに変換するための方法であって:
請求項1に記載の触媒組成物を1,4−ブタンジオールと接触させる工程と、γ−ブチロラクトンを回収する工程と、
を含む、方法。
【請求項7】
1,4−ブタンジオールが約20〜約200psigの圧力と、約150〜約300℃の温度とにおける気相内で接触される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
1,4−ブタンジオールの少なくとも約90%が、γ−ブチロラクトンに変換される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
1,4−ブタンジオールを前記触媒組成物と接触させるより前に、液相内の1,4−ブタンジオールを供給する工程と、液状の1,4−ブタンジオールを蒸発させる工程とを更に含み、前記液状の1,4−ブタンジオールは、約0.1〜約3hr-1のLHSVで供給される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記1,4−ブタンジオールが、約0.75〜約2hr-1のLHSVで供給され、前記1,4−ブタンジオールの少なくとも95%がγ−ブチロラクトンに変換される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1,4−ブタンジオールが、約1〜約2hr-1のLHSVで供給され、前記1,4−ブタンジオールの少なくとも98%がγ−ブチロラクトンに変換される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記1,4−ブタンジオールは、約0.75〜約1hr-1のLHSVで供給され、前記1,4−ブタンジオールの少なくとも99%がγ−ブチロラクトンに変換される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は供給された1,4−ブタンジオールのLHSVから算出される観察反応速度定数と関連し、1,4−ブタンジオールの百分率は以下の式Iに従ってγ−ブチロラクトンに変換(BDO%変換)され:
【数1】

前記観察反応速度定数の変動は時間当たり約0.1%未満である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記観察反応速度定数の変化が時間当たり約0.05%未満である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
銅触媒を生産するための方法であって:
可溶な銅塩、可溶なマンガン塩及び可溶なアルミニウム化合物を含む溶液から約6〜約8.5のpHで固体触媒組成物を共沈させる工程と、
前記固体触媒組成物を約400〜約700℃の空気の下で約2〜5時間の期間にわたり焼成する工程と、
を含み、
前記固体触媒組成物は、約35質量%〜約75質量%のCu、約15質量%〜約35質量%のAl、及び約5質量%〜約20質量%のMnを含む、方法。
【請求項16】
共沈が、硝酸銅(II)及び硝酸マンガン(II)を含む水溶液と、アルミン酸ナトリウムを含む水溶液と、炭酸ナトリウムを含む水溶液とを、管理された速度で水性媒体に添加することによって実施される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
硝酸銅(II)と硝酸マンガン(II)を含む前記溶液は、硝酸銅(II)及び硝酸マンガン(II)を含む水溶液の総容量が約40分〜約80分の期間にわたり管理速度で前記水性媒体に添加される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記水性媒体が、前記共沈に使用される硝酸銅(II)及び硝酸マンガン(II)を含む水溶液の約4〜7倍の容積である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
随意に前記触媒組成物を乾燥させる工程と、
前記触媒組成物に水を添加して触媒組成物と水との混合物を形成する工程と、
前記触媒組成物と水との混合物を高密度化が起こるまで混合する工程と、
前記触媒組成物と水との混合物を押出して触媒組成物の焼成前に滑らかな押出成形物を形成する工程と、
を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
高密度化用の前記触媒組成物を混合する前に前記触媒組成物の付加的焼成を実施する工程を更に含み、前記付加的焼成は約400〜約700℃の空気の下で約2〜5時間の期間にわたり実施される、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−508104(P2012−508104A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535664(P2011−535664)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/063364
【国際公開番号】WO2010/054055
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(505470786)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (81)
【Fターム(参考)】