説明

脱着可能な筒形濾過器の清掃装置。

【課題】
脱着可能な筒形濾過器の外側面を清掃する作業を時間の面、除塵状態の面で効率的にすることである。また環境への悪影響を低減することも考慮した。
【解決手段】
装置上段に位置する第1の閉塞空間と、同閉塞空間内に設置される複数の筒形濾過器を弾性体を介して固定する固定手段と、前記筒形濾過器をモータの作動により所定の回転速度で回転させる回転手段と、前記筒形濾過器の外側面全体に圧搾空気を当てるような楕円形状孔ノズルを取付けた圧搾空気噴出手段と、前記有孔底板と当接し下方にいくほど幅狭となり装置の中段に位置する第2の閉塞空間と、同閉塞空間と当接し、直径が異なり縦列に配置した複数のファンと、当該ファンよりも下部に位置する負圧発生源と、当該縦列に配置したファン間および当該ファンと負圧発生源間を接続する複数の逆円錐形状をした導管とで構成された吸引手段とを有する脱着可能な筒形濾過器の清掃装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱着可能な筒形濾過器の清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、脱着可能な筒形濾過器の外側面を清掃する作業は現実には、コンプレッサーによって吹き飛ばしたり、流水や貯水によって水洗いをするなど人の手によって行われている場合が多い。
【0003】
しかし、人の手によって行われている脱着可能な筒形濾過器の外側面を清掃する作業は、時間がかかること、清掃後の筒形濾過器の除塵状態が均一的でないことなど非効率的であった。また筒形濾過器から除塵された塵埃が、汚気や汚水として排出されるため環境にも良くない。
【0004】
そこで、脱着可能な筒形濾過器の外側面を清掃する作業を時間の面、除塵状態の面で効率化し、さらに環境に良い脱着可能な筒形濾過器の清掃装置を考案した。
【0005】
また、エアークリーナをクリーニングする装置として特開平3−4914号、登録実用新案第3028440号が公開されているが、本件清掃装置はさらに集塵効率を向上させるべく考案した清掃装置である。
【特許文献1】特開平3−4914号
【特許文献2】登録実用新案第3028440号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本件発明が解決しようとする課題は、脱着可能な筒形濾過器の外側面を清掃する作業を時間の面、除塵状態の面で効率的にすることである。また環境への影響にも配慮した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために本件発明では、濾過器を固定する手段と回転する手段と粉塵を吹き飛ばす手段を備えた濾過器の清掃装置において、天板と側板と有孔底板とに囲まれた装置上段に位置する第1の閉塞空間と、前記第1の閉塞空間内に設置され、脱着可能な複数の筒形濾過器を弾性体を介して固定する固定手段と、前記第1の閉塞空間内に設置され、脱着可能な複数の筒形濾過器を連結しモータの作動により所定の回転速度で回転させる回転手段と、前記第1の閉塞空間内の各筒形濾過器の外側面近傍に設置され、当該筒形濾過器の外側面全体に圧搾空気を当てるような楕円形状孔ノズルを取付けた圧搾空気噴出手段と、前記有孔底板と当接し下方にいくほど幅狭となり装置の中段に位置する第2の閉塞空間と、前記第2の閉塞空間と当接し、直径が異なり縦列に配置した複数のファンと、当該ファンよりも下部に位置する負圧発生源と、当該縦列に配置したファン間および当該ファンと負圧発生源間を接続する複数の逆円錐形状をした導管とで構成された吸引手段と、を有する脱着可能な筒形濾過器の清掃装置を提供する。
【0008】
さらに上記構成の吸引手段を前記筒形濾過器の本数と同一の個数備えたことを特徴とする清掃装置も提供する。
【0009】
なお、本件発明における「ファン」とは、少なくとも羽根車と当該羽根車を支持する軸により構成された機器を指し、当該ファンを通過する前および後の流体圧力の高低差による限定はない。したがってブロア等の機器も含まれる。
【発明の効果】
【0010】
本件発明により、脱着可能な筒形濾過器の外側面を清掃する作業は、時間が短縮され、さらに清掃後の除塵状態も均一化された。つまり清掃作業が飛躍的に効率化されたということである。また、汚気は前記閉塞空間内から直接外部環境へ排出されることなく、下段の集塵空間へと集塵されるため環境にも良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本件発明を実施するための最良の形態は、脱着可能な円筒形フィルターエレメントの外側面に付着した粉塵の清掃作業に本件発明にかかる装置を使用する形態である。
【実施例1】
【0012】
以下、図に従い実施例を説明する。
【0013】
図1は、実施例1の全体図である。天板(100a)と側板(100b)と有孔底板(100c)とに囲まれ、装置上段に位置する直方体の閉塞空間(100)(以下、「上段空間」と呼ぶ。)内には、4本の円筒形フィルターエレメント(110)が設置される。また上段空間(100)内には、有孔底板(100c)の上に設置された、当該4本の円筒形フィルタエレメント(110)と下端が接する4枚の受け皿(101)と、当該4本の円筒形フィルタエレメント(110)と上端が接する4個のスポンジ(103)と、前記スポンジ(103)を先端に、その上部に歯車(105)を挿入し取付けした1本の回転駆動軸(104)および3本の従動軸(図示せず)と、前記回転駆動軸(104)と直交し、前記4個のスポンジ(103)、前記1本の回転駆動軸(104)、前記3本の従動軸(図示せず)、前記4個の歯車(105)を昇降させる昇降機(102)と、前記4本の歯車間を接続するチェーン(106)と、前記回転駆動軸(104)の一端に接続されるギヤードモータ(107)と、前記4本の円筒形フィルターエレメント(110)の外側面近傍でかつ四隅に設置された4本の噴出器(108)と、前記噴出器(108)に螺合した楕円形状孔ノズル(109)とが収納されている。
【0014】
なお、レーザ加工装置内部に使用される円筒形フィルターエレメントは長さが微妙に異なる場合が多い。その様な場合でも弾性体である前記スポンジ(103)が円筒形フィルターエレメントの上下方向の長さ誤差を吸収するので確実に固定できる。
【0015】
なお、円筒形フィルターエレメントの回転手段にギヤードモータを使用しているのは、円筒形フィルターエレメントの外側面に付着した粉塵を効率的に吹き飛ばすためには低速であることが好ましいからである。ここでいう低速とは1分間に1〜30回転程度とすることが好ましく、さらに好ましくは1分間に10〜15回転程度にすることである。
【0016】
なお、円筒形フィルターエレメントの外側面に付着した粉塵全てを効率的(均一的)に吹き飛ばすためには、圧搾空気が扇状に噴出されるようなノズルにする必要がある。例えば図3に示すような楕円形状孔ノズル(109)である。
【0017】
装置中段には、前記有孔底板(100c)と当接し下方にいくほど幅狭となる閉塞空間(200)(以下、「中段空間」と呼ぶ。)を設けている。これにより上段空間(100)内に粉塵が止まるのを防止している。
【0018】
装置下段に位置する下段空間(300)には、吸引ユニット(301)と集塵ユニット(302)とが収納されている。
【0019】
前記吸引ユニット(301)は、中段空間(200)の下方と連通されている上部ファン(301a)と、前記上部ファン(301a)と当接し逆円錐形状である上部ダクト(301c)と、前記上部ダクト(301c)の下端と当接し前記上部ファン(301a)より直径の小さな下部ファン(301b)と、前記下部ファン(301b)の下端と当接し逆円錐形状である下部ダクト(301d)と、前記下部ダクト(301d)の下端と当接するエアーガン(301e)とで構成されている。
【0020】
なお、前記エアーガン(301e)の吸気口は前記下部ダクト(301d)の下端と接続され、前記エアーガン(301e)の排気口は前記集塵ボックスの蓋(302b)と接続されている。
【0021】
なお、負圧の発生源として前記エアーガン(301e)を利用しているのは、吹き飛ばされた粉塵を短時間で収集させるためであり、電動モータとファンの構成による吸引ユニットよりも短時間で収集できたからである。
【0022】
前記集塵ユニット(302)は、集塵ボックス(302a)と集塵ボックスの蓋(302b)と集塵袋(図示せず)とで構成されている。
【0023】
なお、実施例1の装置には前記構成のほか、前記噴出器(108)への圧搾空気の流入を制御する上部電磁弁(図示せず)と、前記エアーガン(301e)への空気の流入を制御する下部電磁弁(図示せず)も存在する。
【0024】
以下、図1に従い、上段空間(100)内の動作を説明する。レーザー加工装置などから取外され外側面に粉塵が付着した4本の円筒形フィルターエレメント(110)を4枚の受け皿(101)に各々置き、昇降機(102)を降下させると、当該昇降機(102)に接続された回転駆動軸(104)、従動軸(図示せず)、歯車(105)およびスポンジ(103)も降下する。当該降下動作により、前記回転駆動軸(104)および従動軸(図示せず)の先端に取付けられた前記スポンジ(103)が当該円筒形フィルターエレメント(110)を押圧し、当該円筒形フィルターエレメント(110)が固定される。
【0025】
その後、ギヤードモータ(107)を作動させることにより、前記ギヤードモータ(107)の出力軸である回転駆動軸(104)が回転し、当該回転駆動軸(104)に挿入し取付けられた歯車(105)も回転する。当該歯車(105)の回転により、歯車間を結合しているチェーン(106)を伝いすべての歯車(105)、すべての円筒形フィルタエレメント(110)も回転する。
【0026】
さらにその後、上部電磁弁(図示せず)を開き、前記4本の噴出器(108)に螺合された前記楕円形状孔ノズル(109)から圧搾空気を噴出させることにより、前記4本の円筒形フィルターエレメント(110)の外側面に付着した粉塵が吹き飛ばされる。
【0027】
以下、図1図2に従い、中段空間(200)および下段空間(300)内の動作を説明する。
【0028】
下部電磁弁(図示せず)を開き、下段空間(300)に設置された吸引ユニット(301)内のエアーガン(301e)を作動させる。当該エアーガン(301e)の作動により負圧が発生し、当該負圧により下部ファン(301b)が回転する。当該下部ファン(301b)の回転により下部ダクト(301d)内に負圧が発生し、当該負圧により上部ファン(301a)が回転する。当該上部ファン(301a)の回転により上部ダクト(301c)内に負圧が発生し、当該負圧により、上段空間(100)内に浮遊している粉塵は中段空間(200)および下段空間(300)へと吸引される。
【0029】
下段空間(300)内へ吸引された粉塵は、前記上部ファン(301a)の回転と前記上部ダクト(301c)の逆円錐の形状により空気と共に渦巻状となり当該上部ダクト(301c)内を上端から下端へと流れる。当該上部ダクト(301c)の下端に達した粉塵は、前記下部ファン(301b)の回転と前記下部ダクト(301d)の逆円錐の形状により空気と共に渦巻状となり当該下部ダクト(301d)内を上端から下端へと流れる。当該下部ダクト(301d)の下端に達した粉塵は、前記エアーガンの吸気口、当該エアーガン(301e)内部、当該エアーガンの排気口を経由し、前記集塵ユニット(302)へと収集される。
【0030】
なお、吸引ユニット(301)を前記円筒形フィルタエレメント(110)の本数に対応させ4個とすることにより、上段空間(100)内および中段空間(200)内に浮遊する粉塵をより短時間で効率的に収集できた(請求項2に対応)。
【0031】
また、吸引ユニット(301)を前記円筒形フィルタエレメント(110)の本数に対応させ4個とすることにより、前記上部ファン(301a)および前記上部ダクト(301c)の直径を小さくすることが可能となり、このことにより前記吸引ユニット(301)のストローク長さ(上下方向の長さ)を短くすることが可能となりその結果、集塵が短時間で終わるようになり集塵効率を向上(効率化)させることができた(請求項2に対応)。
【0032】
さらに、吸引ユニット(301)の位置を前記円筒形フィルタエレメント(110)の位置と対応させることにより、上段空間(100)内および中段空間(200)内に浮遊する粉塵をさらに短時間で効率的に収集できた(請求項2に対応)。
【0033】
さらにまた、前記吸引ユニット(301)を前記円筒形フィルタエレメント(110)の本数に対応させ、4個にするとともに縦列に設置することにより上記に加え粉塵を収集する流れもよくなり集塵効率の飛躍的な向上(短時間で収集)となった(請求項2に対応)。
【0034】
なお、筒形フィルターエレメントの形状は、筒形であればよく円筒形には限られない。
【0035】
また、筒形フィルターエレメントの個数は、複数本であればよく4本に限られない。
【実施例2】
【0036】
図4は、実施例1を機能強化した実施例2の全体図である。以下、実施例1との差異部分のみ説明する。
【0037】
上段空間(100)の内側面上部には、上部飛散状況感知センサー発光部(111)と上部飛散状況感知センサー受光部(112)が、上段空間(100)の内側面中部には、中部飛散状況感知センサー発光部(113)と中部飛散状況感知センサー受光部(114)が、上段空間(100)の内側面下部には、下部飛散状況感知センサー発光部(115)と下部段飛散状況感知センサー受光部(116)を取付ける。
【0038】
これにより上段空間(100)に浮遊する粉塵の状態が感知できるようになり、前記円筒形フィルタエレメント(110)の交換時期が容易に気付くことが出来る。また、装置給電のための電気代を抑えることも出来る。
【0039】
さらに装置下段の最下部には重量計測器(303)を取付ける。
【0040】
これにより集塵ボックス(302a)内に収納された集塵袋(図示せず)の重量が感知出来る様になり、前記集塵袋(図示せず)の交換時期が容易に気付くことが出来る。また、装置給電のための電気代を抑えることも出来る。さらに同重量の集塵袋を作ることが出来るため、運搬・保管など管理面でも便利である。
【0041】
なお、実施例2の装置には前記構成のほか、上段空間(100)内に浮遊する粉塵の飛散状況を感知する飛散状況感知センサー(111)(112)(113)(114)(115)(116)からの情報を受け前記上部電磁弁(図示せず)の開閉と前記ギヤードモータ(107)の停止を制御する飛散状況感知センサー制御回路(図示せず)と、前記重量計測器(303)からの情報を受け前記上部電磁弁(図示せず)の開閉、前記下部電磁弁(図示せず)の開閉と前記ギヤードモータ(107)の停止を制御する重量計測器制御回路(図示せず)も存在する。
【0042】
以下、図4に従い、上段空間(100)内の動作を説明する。
【0043】
上段空間(100)内で吹き飛ばされた粉塵は、最終的には装置下段に設置する前記集塵ユニット(302)に収集されるが、一定時間は上段空間(100)内で浮遊する。その浮遊状況を3組(6個)の飛散状況感知センサー(111、112、113、114、115、116)で感知し、当該飛散状況感知センサー(111、112、113、114、115、116)が一定値以下の数値になると前記上部電磁弁(図示せず)が閉じ、前期ギヤードモータ(107)が停止する。
【0044】
また、装置下段に設置される前記集塵ボックス(302a)の重量が一定値以上の数値になると前記上部電磁弁(図示せず)が閉じ、前記ギヤードモータ(107)が停止するだけでなく前記下部電磁弁(図示せず)も閉じる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
レーザー加工装置に使用される脱着可能な筒形フィルターエレメントの清掃作業に適用できる。
【0046】
また、脱着可能な筒形フィルターエレメントを使用しているプラズマ切断機およびその他の装置の清掃にも適用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施例1の全体図である。
【図2】吸引ユニットの拡大内部断面図である。
【図3】楕円形状孔ノズルの拡大図である。
【図4】実施例2の全体図である。
【符号の説明】
【0048】
100 上段空間
100a 天板
100b 側板
100c 有孔底板
101 受け皿
102 昇降機
103 スポンジ
104 回転駆動軸(ギヤードモータ出力軸)
105 歯車
106 チェーン
107 ギヤードモータ
108 噴出器
109 楕円形状孔ノズル
110 円筒形フィルターエレメント
111 上部飛散状況感知センサー発光部
112 上部飛散状況感知センサー受光部
113 中部飛散状況感知センサー発光部
114 中部飛散状況感知センサー受光部
115 下部飛散状況感知センサー発光部
116 下部飛散状況感知センサー受光部
200 中段空間
300 下段空間
301 吸引ユニット
301a 上部ファン
301b 下部ファン
301c 上部ダクト
301d 下部ダクト
301e エアーガン
302 集塵ユニット
302a 集塵ボックス
302b 集塵ボックスの蓋
303 重量計測器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過器を固定する手段と回転する手段と粉塵を吹き飛ばす手段を備えた濾過器の清掃装置において、
天板と側板と有孔底板とに囲まれた装置上段に位置する第1の閉塞空間と、
前記第1の閉塞空間内に設置され、脱着可能な複数の筒形濾過器を弾性体を介して固定する固定手段と、
前記第1の閉塞空間内に設置され、脱着可能な複数の筒形濾過器を連結しモータの作動により所定の回転速度で回転させる回転手段と、
前記第1の閉塞空間内の各筒形濾過器の外側面近傍に設置され、当該筒形濾過器の外側面全体に圧搾空気を当てるような楕円形状孔ノズルを取付けた圧搾空気噴出手段と、
前記有孔底板と当接し下方にいくほど幅狭となり装置の中段に位置する第2の閉塞空間と、
前記第2の閉塞空間と当接し、直径が異なり縦列に配置した複数のファンと、当該ファンよりも下部に位置する負圧発生源と、当該縦列に配置したファン間および当該ファンと負圧発生源間を接続する複数の逆円錐形状をした導管とで構成された吸引手段と、
を有する脱着可能な筒形濾過器の清掃装置。
【請求項2】
吸引手段を前記筒形濾過器の本数と同一の個数備えたことを特徴とする請求項1の清掃装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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