説明

脱臭性の超吸収性組成物

【課題】良好な臭気結合特性だけでなく良好な性能も有する衛生用品を提供することにある。
【解決手段】
本発明は、臭気吸収・超吸収性組成物、臭気吸収・超吸収性組成物の製造方法、臭気吸収・超吸収性組成物を含む複合体、複合体を含む衛生用品、臭気吸収・超吸収性組成物又は複合体を含む化学製品又は臭気吸収・超吸収性組成物又は複合体からなる化学製品、化学製品における臭気吸収・超吸収性組成物又は複合体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、臭気吸収・超吸収性組成物、臭気吸収・超吸収性組成物の製造方法、臭気吸収・超吸収性組成物を含む複合体、複合体を含む衛生用品、臭気吸収・超吸収性組成物又は複合体を含む化学製品又は臭気吸収・超吸収性組成物又は複合体からなる化学製品、化学製品における臭気吸収・超吸収性組成物又は複合体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
超吸収体は、膨潤してヒドロゲルを形成することにより、大量の水性液体、特に体液、好ましくは尿又は血液を吸収し、圧力下で保持することができる非水溶性架橋ポリマーである。通常、吸収される液体の量は、超吸収体の乾燥重量又は水中の超吸収性組成物の少なくとも10倍又は少なくとも100倍である。これらのポリマーは、上記特性のために、おむつ、失禁用品、生理用ナプキン等の衛生用品に主に使用されている。超吸収体、超吸収性組成物、それらの用途及び製造についての概要は、F.L.Buchholz及びA.T.Graham編「現代の超吸収性ポリマー技術(Modern Superabsorbent Polymer Technology)」、Wiley−VCH、ニューヨーク、1998年に記載されている。
【0003】
通常、超吸収体は、架橋剤の存在下で、通常は一部が中和された酸性基含有モノマーをラジカル重合することにより製造される。モノマー組成、架橋剤、重合条件及び重合後に得られるヒドロゲルの加工条件を選択することにより、異なる吸収特性を有するポリマーを製造することができる。また、例えば化学変性デンプン、セルロース、ポリビニルアルコールを使用したグラフトポリマーの製造(ドイツ特許第26 12 846号)も異なる吸収特性を有するポリマーを製造するために使用することができる。
【0004】
ドイツ特許第40 20 780 C1号は、ポリマー粒子の表面後架橋による超吸収性ポリマーの後処理を開示している。吸水性ポリマー粒子の表面後架橋により、特に圧力下でのポリマー粒子の吸収能力が向上する。
【0005】
ドイツ特許出願公開第199 09 653 A1号及びドイツ特許出願公開第199 09 838 A1号は、水、水性又は漿液性液体又は血液を吸収する粉末状の表面後架橋されたポリマーであって、酸性基含有モノマーからなり、水溶液内で表面後架橋剤及びカチオンでコーティング及び後架橋剤されたポリマーを開示している。これらの文献に開示されたポリマーは、従来のポリマーと比較して有利な吸収特性、特に高い透過性を有する。
【0006】
吸収性ポリマーを含む衛生用品を長時間装着する場合であって、特に尿等の体液が衛生用品に既に部分的に吸収されている場合には、尿の有機成分及び着用者の体温によって引き起こされる不快な臭気が即座に発生し得る。臭気を抑制するために、超吸収体とは異なる成分を衛生用品に対応させて添加することによって臭気を発生する物質を結合させたり、発生した臭気を香水等によってごまかすための多くの試みがなされている。超吸収体とは異なる成分としてそれらの物質を組み込むことによって、装着時における衛生用品の性能に悪影響を与える場合が多い。そのため、体液により、臭気抑制又は臭気軽減物質が超吸収体とは異なる成分から超吸収体に吸収等によって移動し、そこで超吸収体の性能に悪影響を与え、衛生用品全体の性能にまで悪影響を与える場合が多い。また、この概念では、衛生用品に移動した体液の大部分が超吸収体内に位置するため、超吸収体の外に位置する臭気抑制又は臭気軽減物質がその効果を十分に発揮することができないという点で不利である。
【0007】
ドイツ特許第198 25 486号及びドイツ特許出願公開第199 39 662 A1号は、臭気を軽減させるために超吸収体とシクロデキストリンとの組み合わせを開示している。しかし、この方法は有望だが、シクロデキストリンは特定の条件下、すなわち、シクロデキストリンが再度超吸収体から分離されない場合にのみ超吸収体における臭気抑制効果を示すことが分かる。シクロデキストリン及び/又はシクロデキストリン誘導体を共有結合及び/又イオン結合で結合し及び/又は超吸収体用品に組み込むことによって、シクロデキストリンを少なくとも超吸収体用品の表面に組み込むことが好ましい。
【0008】
また、凝集体内に複数の臭気結合剤を均一に含むことができる超吸収体がドイツ特許出願公開第103 34 271号から公知である。しかし、超吸収性微粒子を使用するための優れた解決法を開示しているドイツ特許出願公開第103 34 271号からは、衛生用品への用途に特に適した臭気結合特性を有する超吸収体は得られない。臭気結合剤の効率的かつ効果的な使用以外に、臭気結合剤によって影響を与えることができる超吸収体特性の改良がなお求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、全体として従来技術から生じる欠点を減少又は克服することにある。
【0010】
本発明の目的は、良好な臭気結合特性を有する超吸収性組成物を提供することにある。また、臭気結合・超吸収性組成物を含む衛生用品の性能が、臭気結合・超吸収性組成物として臭気結合剤を含まない超吸収体を有する衛生用品の性能と比べて、実質的に同程度又はより良好であることにより、その目的は達成される。
【0011】
また、本発明の目的は、臭気結合・超吸収性組成物を得るための方法を提供することにある。
【0012】
また、本発明の目的は、良好な臭気結合特性だけでなく良好な性能も有する衛生用品を提供することにある。この場合、複数回の湿潤に対する衛生用品の吸収率及び液体分散性が特に重要である。これらの特性は、臭気軽減に加えて、衛生用品装着時の良好な快適性との関連においても重要である。
【0013】
また、本発明の目的は、通常は複合体に組み込むか、複合体とすることもでき、化学品又はそれらの成分に使用することができる超吸収・臭気結合性物質を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的は、独立請求項及び従属請求項に記載された主題によって達成され、従属請求項は本発明の好ましい実施形態に対応する。
【0015】
本発明は、一実施形態では、
i.吸水性ポリマー構造体と、
ii.b1.アミノ酸又はb2.下記一般式Iで表される化合物を含む臭気結合剤と、
を含む臭気吸収・超吸収性組成物に関する。
【0016】
【化1】

一般式I
【0017】
(式中、R1は、C〜C20、好ましくはC〜C15、より好ましくはC〜C10の炭化水素であり、
Xは、存在しないか([]nの炭素と[]mの炭素との間に炭素の直接結合が存在する場合)、1〜5個、好ましくは1〜3個の二重結合、特に好ましくは1個の二重結合のみを含む二重結合系であって、少なくとも2個の二重結合を含む場合には、好ましくは共役二重結合系であり、
Mは、荷電又は非荷電、好ましくは荷電金属であり、
mは、1〜15、好ましくは3〜12、より好ましくは5〜9であり、
nは、1〜5、好ましくは1〜3、より好ましくは1であり、
oは1〜4、好ましくは1〜3、特に好ましくは1〜2、より好ましくは2である。)
【0018】
一般式Iに示すように、荷電又は非荷電金属M(好ましくは荷電金属M)は、カルボキシル基の酸素又はOH基の酸素あるいは両方に配位していることが好ましい。好ましくは、[]oで囲まれた一般式Iの部分はアニオンとして存在し、カチオンとして存在する金属の電荷の少なくとも一部を補償する。変数m、n、oは、考えられ得る全ての数が含まれる領域にあり、好ましくは自然数である。
【0019】
残基R1としては、当業者に公知でありかつ適当な全ての炭化水素が挙げられる。二重結合を含む脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素あるいはアクリル酸アルキル(acryloalkyl)がこれらの炭化水素に該当する。好ましい脂肪族炭化水素又は二重結合を含む炭化水素は、環状、分岐状又は非分枝状であり、好ましくは非分枝状である。
【0020】
本発明に係る超吸収性組成物の別の実施形態では、臭気結合剤は、吸水性ポリマー構造体に対して0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは1〜7重量%の量で含まれる。
【0021】
超吸収性組成物の別の実施形態では、臭気結合剤は成分b1及びb2を同時に含む。この場合、成分b1は、吸水性ポリマー構造体に対して0.001〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは1〜7重量%の量で本発明に係る超吸収性組成物に含まれることが好ましい。また、本発明に係る超吸収性組成物の別の実施形態では、成分b2は、吸水性ポリマー構造体に対して0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは1〜7重量%の量で本発明に係る超吸収性組成物内に含まれる。
【0022】
本発明に係る超吸収性組成物の別の実施形態では、金属Mは1価、2価及び3価金属からなる群から選択されることが好ましく、通常求核性の臭気分子とより反応するため、2価金属が好ましい。化学的観点から、2価金属は、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Cd、Hgである可能性が高い。しかし、毒物学的及び生態学的理由から、Znが特に好ましく、Znは、超吸収性組成物又は衛生用品における成分b2の使用にも特に適している。
【0023】
本発明に係る超吸収性組成物では、成分b2は、炭素原子数16〜100の単一又は複数のヒドロキシル化された非分枝状又は分岐状不飽和又は飽和脂肪酸又はそれらの塩、これらの脂肪酸又はそれらの塩の少なくとも2種の混合物であることが特に好ましい。特に、亜鉛塩は、樹脂酸の亜鉛塩(特にアビエチン酸)との組み合わせ、又は炭素原子数16〜100のその他のヒドロキシル化された飽和又は不飽和脂肪酸の亜鉛塩との組み合わせで使用することができ、特に、ドイツ特許第17 92 074号にその製造について記載されている、単独又はその他の活性物質及び/又は公知の臭気吸収剤と組み合わせた脂肪酸(好ましくはリシノール酸)の亜鉛塩が特に好ましい。成分b1としては、リシノール酸の亜鉛塩がより好ましい。
【0024】
成分b1中のアミノ酸としては、原則として、本発明に関連して当業者にとって適当であると思われる任意のアミノ酸が挙げられる。アミノ酸という用語には、各アミノ酸、それらの誘導体、これらのアミノ酸及び/又はそれらの誘導体の塩が含まれる。本発明に係る一実施形態では、2種類の異なるアミノ酸を成分b1と組み合わせる。アミノ酸のうち、特にα−アミノ酸、β−アミノ酸又はγ−アミノ酸が好ましく、α−アミノ酸が特に好ましい。そこで、例えば2種類のα−アミノ酸を組み合わせることができる。α−アミノ酸のうち、特にメチオニン、アルギニン及びシステインが好ましく、システイン及びアルギニンが特に好ましい。但し、システインと共にアルギニンを使用してもよく、この場合、アルギニンは少なくとも結合剤中で最も高濃度を有するアミノ酸として存在する。これは、成分b1及びb2を同時に使用する場合に特に該当する。臭気結合剤にアミノ酸が含まれる場合には、本発明に係る臭気吸収・超吸収性組成物の製造又は加工時の高い熱負荷によって、臭気結合剤に含まれるアミノ酸の臭気結合力が低下しないように注意を払わなければならない。
【0025】
本発明に係る超吸収性組成物の別の実施形態では、超吸収性組成物が、吸水性ポリマー構造体とは異なるiii.高分子結合剤をさらに含むことが好ましい。原則として、高分子結合剤としては、臭気結合剤を固定するための当業者に公知であって適当と思われる全ての高分子結合剤が挙げられる。これらの高分子結合剤のうち、熱可塑性ポリマーが特に好ましい。このようなポリマーとしては、国際公開第WO2005/011860号に記載されている熱可塑性ポリマーが挙げられる。高分子結合剤は、GPC(ゲル透過クロマトグラフィー)によって測定しかつ光散乱によって確実に検出可能な1,000〜100,000、好ましくは2,000〜50,000、より好ましくは3,000〜15,000g/モルの分子量を有することが好ましい。また、このような高分子結合剤は2つ以上のOH基を含むことが好ましい。適当な高分子結合剤の例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールが挙げられ、ポリエチレングリコール、特に5,000〜15,000g/モルの分子量を有するポリエチレングリコールが特に好ましい。ここに示した分子量は、重量平均分子量である。
【0026】
本発明に係る好ましいポリマー構造体は、繊維、発泡体又は粒子であり、繊維及び粒子が好ましく、粒子が特に好ましい。
【0027】
本発明の一実施形態では、本発明に係る組成物において、吸水性ポリマー構造体が、吸水性ポリマー構造体に対して40重量%未満、好ましくは30重量%未満、特に好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満の150μm未満のERT420.1−99に準拠して測定した粒径を有する超吸収性微粒子を含むことが好ましい。超吸収性微粒子は、吸水性ポリマー構造体と同一又は異なる化学組成を有することができる。通常、本発明に係る組成物に含まれる超吸収性微粒子及び吸水性ポリマー構造体は、化学組成において同様であり、基本的に粒径において異なる。
【0028】
本発明に係る組成物の別の態様では、吸水性ポリマー構造体は、吸水性ポリマー構造体に対して60重量%未満、好ましくは70重量%未満、特に好ましくは80重量%未満、より好ましくは90重量%未満の150〜850μmのERT420.1−99に準拠して測定した粒径を有する粒子を含むことができる。
【0029】
本発明に係る組成物の別の実施形態では、組成物は、組成物に対して20重量%未満、好ましくは10重量%未満、特に好ましくは5重量%未満の架橋性未架橋ポリマーを含む。架橋性未架橋ポリマーに関連して、ドイツ特許出願公開第103 34 271 A1号、特に段落[0063]〜[0082]の詳細を参照する。これらの開示内容はこの参照によって本明細書の開示の一部をなすものとする。
【0030】
本発明に係る好ましいポリマー繊維は、織糸として織物に組み込むか、織物に直接組み込むことができる寸法を有する。本発明によれば、ポリマー繊維状のポリマー構造体は、1〜500mm、好ましくは2〜500mm、特に好ましくは5〜100mmの長さを有し、1〜200デニール、好ましくは3〜100デニール、特に好ましくは5〜60デニールの直径を有することが好ましい。
【0031】
本発明に係る好ましいポリマー粒子は、10〜3,000μm、好ましくは20〜2,000μm、特に好ましくは150〜850μmのERT420.2−02に準拠した平均粒径を有する。この場合、300〜600μmの粒径を有するポリマー粒子の量は、後架橋された吸水性ポリマー粒子の総重量に対して、少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%であることが特に好ましい。
【0032】
本発明に係る吸水性ポリマー構造体の好ましい実施形態では、吸水性ポリマー構造体は、
(α1)20〜99.999重量%、好ましくは55〜98.99重量%、特に好ましくは70〜98.79重量%のエチレン性不飽和酸性基含有モノマー又はその塩、プロトン化又は四級化窒素を含むエチレン性不飽和モノマー、あるいはそれらの混合物(少なくともエチレン性不飽和酸性基含有モノマー、好ましくはアクリル酸を含む混合物が特に好ましい)と、
(α2)0〜80重量%、好ましくは0〜44.99重量%、特に好ましくは0.1〜44.89重量%の、(α1)と共重合可能な重合性モノエチレン性不飽和モノマーと、
(α3)0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、特に好ましくは0.01〜2.5重量%の1種以上の架橋剤と、
(α4)0〜5重量%、好ましくは0.001〜2.5重量%、最も好ましくは0.01〜1重量%の金属塩と、
(α5)0〜5重量%、好ましくは0.01〜2.5重量%、最も好ましくは0.1〜1重量%の金属酸化物と、
(α6)0〜30重量%、好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の水溶性ポリマーと、
(α7)0〜20重量%、好ましくは2.5〜15重量%、特に好ましくは3〜10重量%の水と、
(α8)0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0.1〜8重量%の1種以上の添加剤と、からなるポリマー構造体である((α1)〜(α8)の合計重量は100重量%である)。
【0033】
モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、部分的又は完全に中和されていてもよく、部分的に中和されていることが好ましい。モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマーは、少なくとも25モル%、特に好ましくは少なくとも50モル%、より好ましくは50〜80モル%が中和されていることが好ましい。ここでは、ドイツ特許出願公開第195 29 348 A1号を参照し、その開示内容はこの参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。また、重合後に部分的又は完全に中和を行うこともできる。中和は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、炭酸塩、重炭酸塩を使用して行うことができる。酸と共に水溶性塩を生成する塩基も使用することができる。複数の塩基を使用した中和も可能である。アンモニア及びアルカリ金属水酸化物を使用した中和が好ましく、水酸化ナトリウム及びアンモニアを使用した中和が特に好ましい。
【0034】
遊離酸基がポリマー中に多く含まれるため、ポリマーのpHは酸性領域にある。酸性の吸水性ポリマーは、遊離塩基性基、好ましくはアミン基を有するポリマーによって少なくとも部分的に中和されていてもよい。この塩基性基含有ポリマーは、前記酸性ポリマーに比べて塩基性である。これらのポリマーは「混合床イオン交換性吸収性ポリマー」(MBIEAポリマー)として文献に記載されており、特に国際公開第WO99/34843 A1号に開示されている。国際公開第WO99/34843 A1号の開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。通常、MBIEAポリマーは、アニオンを交換できる塩基性ポリマーと、塩基性ポリマーと比較すると酸性であって、カチオンを交換できるポリマーとからなる組成物である。塩基性ポリマーは塩基性基を含み、塩基性基又は塩基性基に変換できる基を有するモノマーを重合することによって通常得られる。これらのモノマーは、第1級、第2級又は第3級アミン又は対応するホスフィン又はこれらの官能基の少なくとも2つを含む。これらのモノマーとしては、特に、エチレンアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、4−アミノブテン、アルキルオキシサイクリン、ビニルホルムアミド、5−アミノペンテン、カルボジイミド、ホルマールダシン、メラミン、それらの第2級又は第3級アミン誘導体等が挙げられる。
【0035】
好ましいエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、国際公開第WO2004/037903 A2号においてエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)として記載されている化合物である。国際公開第WO2004/037903 A2号の開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。特に好ましいエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)はアクリル酸及びメタクリル酸であり、アクリル酸が最も好ましい。
【0036】
本発明に係る一実施形態によれば、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)がアクリルアミド、メタアクリルアミド又はビニルアミドである吸水性ポリマー構造体を使用する。
【0037】
アクリルアミド及びメタクリルアミド以外の好ましい(メタ)アクリルアミドは、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド等のアルキル置換(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリルアミドのアミノアルキル置換誘導体である。ビニルアミドとしては、N−ビニルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、ビニルピロリドンが挙げられる。これらのモノマーのうち、アクリルアミドが特に好ましい。
【0038】
本発明に係る別の実施形態によれば、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)が水溶性モノマーである吸水性ポリマー構造体を使用する。水溶性モノマーとしては、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレンオキシド(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0039】
(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)としては、水分散性モノマーも好ましい。好ましい水分散性モノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルである。
【0040】
(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)としては、メチルポリエチレングリコールアリルエーテル、酢酸ビニル、スチレン、イソブチレンも挙げられる。
【0041】
架橋剤(α3)としては、国際公開第WO2004/037903 A2号において架橋剤(α3)として記載されている化合物を好ましくは使用する。これらの架橋剤の中では水溶性架橋剤が特に好ましい。水溶性架橋剤としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、塩化トリアリルメチルアンモニウム、塩化テトラアリルアンモニウム、アクリル酸1モル当たり9モルのエチレンオキシドを使用して製造されたアリルノナエチレングリコールアクリレートが最も好ましい。
【0042】
金属塩(α4)としては、当業者に公知の非水溶性又は水溶性金属塩を使用することができ、水溶性金属塩が特に好ましい。「水溶性」とは、25℃の温度において、好ましくは少なくとも1g、特に好ましくは少なくとも10g、より好ましくは少なくとも100g、最も好ましくは少なくとも500gが1リットルの蒸留水に溶解する金属塩を好ましくは意味する。
【0043】
水溶性金属塩としては、硫酸塩、亜硫酸塩、硫化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物、酢酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩が好ましく、硫酸塩が最も好ましい。
【0044】
本発明では、金属塩の金属カチオンは1価、2価又は3価金属カチオンであることが好ましく、3価金属カチオンが最も好ましい。好ましい金属カチオンは、Na、K、Li、Mg2+、Ca2+、Fe2+、Fe3+、Ag、Cu、Cu2+、Zn2+、Al3+であり、Al3+が最も好ましい。
【0045】
本発明に係る吸水性ポリマー構造体は、以下の金属塩を表面処理剤として含むことが好ましい:AlCl・6HO、NaAl(SO・12HO、Al(NO・9HO、KAl(SO・12H2O又はAl(SO・14〜18HO及び対応する無水塩、NaSO又はそれの水和物、MgSO・10HO又は無水硫酸マグネシウム。
【0046】
吸水性ポリマー構造体としては、以下の工程によって得られたポリマーを本発明に従って使用することが好ましい。
a)必要に応じて部分的に中和された酸性基含有エチレン性不飽和モノマーを架橋剤の存在下でラジカル重合してヒドロゲルを形成する。
b)必要に応じてヒドロゲルを粉砕する。
c)必要に応じて粉砕されたヒドロゲルを乾燥して吸水性ポリマー構造体を得る。
d)得られた吸水性ポリマー構造体を必要に応じて粉砕し、所望の粒径に篩い分ける。
e)得られた吸水性ポリマー構造体を必要に応じてさらに表面変性する。
【0047】
表面変性及び臭気結合剤又はその成分の少なくとも1種の塗布のための適当なミキサーとしては、パターソン・ケリー(Patterson−Kelley)ミキサー、DRAIS乱流ミキサー、ロディジ(Lodige)ミキサー、ルベルク(Ruberg)ミキサー、スクリューミキサー、パンミキサー、流動床ミキサー、回転刃によって高周波でポリマー構造体を混合する連続垂直ミキサー(シュージ(Schugi)ミキサー)を挙げることができる。
【0048】
工程a)におけるラジカル重合は水溶液中で行うことが好ましく、水溶液は、溶媒としての水に加え、以下の成分を含むことが好ましい。
(α1)エチレン性不飽和酸性基含有モノマー又はその塩(アクリル酸が酸性基含有モノマーとして最も好ましい)。
(α2)必要に応じて、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー。
(α3)架橋剤。
(α6)必要に応じて、水溶性ポリマー。
(α8)必要に応じて、1種以上の添加剤。
【0049】
エチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)、架橋剤(α3)、水溶性ポリマー(α6)、添加剤(α8)としては、本発明に係るポリマー構造体に関連して、エチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)、架橋剤(α3)、水溶性ポリマー(α6)、添加剤(α8)として上述した化合物が好ましい。
【0050】
吸水性ポリマー構造体は、各種重合法によって上記モノマー、コモノマー、架橋剤、水溶性ポリマー及び添加剤を重合することにより製造することができる。重合方法としては、例えば、押出機等の混錬反応器内で好ましくは行われる塊状重合、溶液重合、噴霧重合、逆乳化重合、逆懸濁重合が挙げられる。
【0051】
溶液重合は水を溶媒として行うことが好ましい。溶液重合は、ドイツ特許第35 44 770 A1号に開示されているように、反応混合物をさらに運搬するベルト上での重合によって連続的に、あるいは非連続的に行うことができる。従来技術では、開始剤及び反応溶液の温度、種類、量等の反応条件を広範囲に変化させている。典型的な方法は、米国特許第4,286,082号、ドイツ特許第27 06 135号、米国特許第4,076,663号、ドイツ特許第35 03 458号、ドイツ特許第35 44 770号、ドイツ特許第40 20 780号、ドイツ特許第42 44 548号、ドイツ特許第43 23 001号、ドイツ特許第43 33 056号、ドイツ特許第44 18 818号に記載されている。これらの文献の開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。
【0052】
通常、重合は開始剤を使用して開始させる。重合を開始させるための開始剤としては、重合条件下でラジカルを生成する開始剤を使用することができ、それらの開始剤は従来から超吸収体の製造に使用されている。また、重合性水溶液に電子線を照射することによって重合を開始させることもできる。但し、上述した開始剤を使用せずに、光開始剤の存在下においてエネルギー放射線を照射することによって重合を開始させることもできる。重合開始剤は、本発明に係るモノマー溶液に溶解又は分散させて含ませることができる。開始剤としては、ラジカルに分解し、当業者に公知である化合物を使用することができる。特に、国際公開第WO2004/037903 A2号に開始剤として記載されている開始剤がこれらの化合物に該当する。
【0053】
特に好ましくは、吸水性ポリマー構造体の製造には、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、アスコルビン酸を含むレドックス系を使用する。
【0054】
ポリマー構造体の製造には、逆懸濁重合及び乳化重合を使用することもできる。これらの方法では、保護コロイド及び/又は乳化剤を使用し、モノマー(α1),(α2)の部分的に中和された水溶液を疎水性有機溶媒中に分散させ、ラジカル開始剤によって重合を開始させる。架橋剤は、モノマー溶液に溶解するか、モノマー溶液と共に添加するか、重合時に必要に応じて個別に添加する。必要に応じて、グラフト基材としての水溶性ポリマー(α6)は、モノマー溶液として添加してもよく、油相に直接添加してもよい。次に、水を混合物から共沸除去し、ポリマーを濾別する。
【0055】
溶液重合、逆懸濁重合、乳化重合のいずれの場合にも、架橋は、モノマー溶液に溶解した多官能架橋剤内での重合及び/又は重合工程時における適当な架橋剤とポリマーの官能基との反応によって行うことができる。このプロセスは、例えば米国特許第4,340,706号、ドイツ特許第37 13 601号、ドイツ特許第28 40 010号、国際公開第96/05234 A1号に記載されている。これらの文献の対応する開示内容はこの参照によって本明細書に組み込む。
【0056】
工程a)における溶液重合又は逆懸濁重合及び乳化重合によって得られるヒドロゲルは、工程c)において乾燥させる。
【0057】
特に、溶液重合の場合には、乾燥前に工程b)においてヒドロゲルを粉砕することが好ましい。粉砕は、例えばチョッピングナイフ(ドイツ特許第195 18 645 C1号を参照)又はチョッピングナイフの後に接続することができる肉挽き器等の当業者に公知の粉砕装置を使用して行う。
【0058】
ヒドロゲルの乾燥は、適当な乾燥機又はオーブン内で行うことが好ましい。例えば、回転オーブン、流動床乾燥機、プレート乾燥機、パドル乾燥機、赤外線乾燥機が挙げられる。本発明では、工程c)におけるヒドロゲルの乾燥は、水分が0.5〜25重量%、好ましくは1〜10重量%となるまで行うことが好ましく、乾燥温度は通常100〜200℃である。
【0059】
工程c)で得られた乾燥した吸水性ポリマー構造体は、特に溶液重合によって得た場合には、工程d)で粉砕し、所望の粒径に篩い分けることができる。乾燥した吸水性ポリマー構造体の粉砕は、ボールミル等の適当な機械的粉砕装置内で行うことが好ましい。
【0060】
ヒドロゲルを乾燥し、乾燥した吸水性ポリマー構造体を必要に応じて加工した後、工程e)において表面領域を変性させることができる。変性は、金属塩、金属塩と金属酸化物との組み合わせ又は別の変性剤によって行うことができ、上記材料を水溶液又は固体状で塗布することができる。加工は、吸水性ポリマー構造体及び既に臭気結合剤を含む超吸収性組成物に対して行うことができる。
【0061】
好ましい変性手段としては、表面後架橋が挙げられ、乾燥したポリマー構造体又は乾燥していないが好ましくは粉砕したヒドロゲルを好ましくは有機化学表面後架橋剤と接触させる。特に、後架橋剤が後架橋条件下で液体ではない場合には、後架橋剤を溶媒によってポリマー粒子又はヒドロゲルと接触させる。溶媒としては、水、水と混和する有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール又はそれらの溶媒の少なくとも2種の混合物を使用することが好ましく、水が溶媒として最も好ましい。後架橋剤は、溶媒又は溶媒混合物の総重量に対して、5〜75重量%、特に好ましくは10〜50重量%、最も好ましくは15〜40重量%の量で溶媒又は溶媒混合物に含まれることが好ましい。
【0062】
本発明に係る方法では、ポリマー構造体又は粉砕したヒドロゲルと、後架橋剤を含む溶媒又は溶媒混合物との接触は、溶媒又は溶媒混合物をポリマー構造体と十分に混合することによって行うことが好ましい。
【0063】
混合するための適当なミキサーとしては、パターソン・ケリー(Patterson−Kelley)ミキサー、DRAIS乱流ミキサー、ロディジ(Lodige)ミキサー、ルベルク(Ruberg)ミキサー、スクリューミキサー、パンミキサー、流動床ミキサー、回転刃によって高周波でポリマー構造体を混合する連続垂直ミキサー(シュージ(Schugi)ミキサー)を挙げることができる。
【0064】
本発明に係る方法では、後架橋時に、ポリマー構造体を、20重量%以下、特に好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下の溶媒(好ましくは水)と接触させることが好ましい。
【0065】
好ましくはほぼ球状粒子であるポリマー構造体を使用する場合には、本発明では、粒子状のポリマー構造体の外部領域のみを溶媒又は溶媒混合物(後架橋剤)と接触させることが好ましい。
【0066】
本発明に係る方法で使用される化学後架橋剤としては、縮合反応(=縮合架橋剤)、付加反応又は開環反応によってポリマー構造体の官能基と反応することができる官能基を少なくとも2つ有する化合物が好ましい。本発明に係る方法において好ましい後架橋剤は、国際公開第WO2004/037903 A2号に架橋剤IIとして記載されている化合物である。
【0067】
これらの化合物のうち、縮合後架橋剤としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン/オキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、ソルビトール、1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸エチレン)、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸プロピレン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソラン−2−オンが特に好ましい。
【0068】
後架橋剤又は後架橋剤を含む流体と接触させたポリマー構造体又はヒドロゲルは、50〜300℃、好ましくは75〜275℃、特に好ましくは150〜250℃に加熱し、ポリマー構造体の外部領域を内部領域よりも架橋させる(後架橋)。加熱時間は、ポリマー構造体の所望の特性プロファイルが熱によって損なわれる時間によって制限される。
【0069】
本発明に係る組成物の一実施形態では、ポリマー構造体は、内部領域と、内部領域を取り囲む外部領域と、含み、外部領域は、内部領域よりも高い架橋度を有する。外部領域の内部は表面における臭気結合剤の濃度は内部領域内の臭気結合剤の濃度よりも高いことが好ましい。このようにして、本発明に係る組成物内に架橋及び臭気結合剤の濃度に関して一種のコアシェル形状が形成される。これは、必要に応じて臭気結合剤を、吸水性ポリマー構造体内に僅かに(通常は吸水性ポリマー構造体の直径の2%未満)侵入させて吸水性ポリマー構造体の表面に位置させる場合に特に該当する。これは、特に表面架橋の最終段階又は終了後に臭気結合剤を添加することによって達成することができる。
【0070】
本発明に係る組成物の別の実施形態では、ポリマー構造体は、内部領域と、内部領域を取り囲む外部領域と、含み、外部領域の内部又は表面における臭気結合剤の濃度は内部領域内の臭気結合剤の濃度よりも高い。
【0071】
本発明に係る方法の別の実施形態では、吸水性ポリマー構造体を国際公開第2004/037903 A2号に架橋剤IIとして記載されている後架橋剤と接触させる前に、金属塩及び/又は金属塩と金属酸化物の組み合わせ及び/又は変性剤と接触させることによって、吸水性ポリマー構造体又は超吸収性組成物を加工する。
【0072】
また、本発明は、超吸収性組成物の製造方法であって、
I.好ましくは上述した方法で得ることができる吸水性ポリマー構造体を用意する工程と、
II.吸水性ポリマー構造体の表面を成分B1又はB2を含む臭気結合剤と接触させる工程と、
を含む方法に関する。
【0073】
成分B1,B2に関しては、成分b1,b2に関する上記詳細を参照し、上記詳細を成分B1,B2にも適用する。
【0074】
通常、当業者にとって適当であると思われるあらゆる方法によって接触を行うことができる。本発明に係る方法の一実施形態によれば、吸水性ポリマー構造体を臭気結合剤と混合することによって接触させる。ここでは、吸水性ポリマー構造体及び臭気結合剤又は結合剤は、どちらも粉末状(粒子状)であることが好ましい。また、粉末状の吸水性ポリマー構造体と粉末状の臭気結合剤とを混合させる際に、ERT420.2−02に準拠した平均粒子が異なっていると有利である。この場合、吸水性ポリマー構造体の粒径は臭気結合剤の粒径よりも大きくなければならない。吸水性ポリマー構造体及び臭気結合剤の粒径、好ましくはERT420.2−02に準拠した平均粒子は、少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも5倍、さらに好ましくは少なくとも10倍異なっていることが好ましい。
【0075】
本発明に係る方法の一実施形態では、吸水性ポリマー構造体が、吸水性ポリマー構造体に対して40重量%未満、好ましくは30重量%未満、特に好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満の150μm未満のERT420.1−99に準拠して測定した粒径を有する超吸収性微粒子を含むことができる。
【0076】
本発明に係る方法の別の実施形態では、吸水性ポリマー構造体は、吸水性ポリマー構造体に対して少なくとも60重量%未満、好ましくは少なくとも70重量%未満、特に好ましくは少なくとも80重量%未満、より好ましくは少なくとも90重量%未満の150〜850μmのERT420.1−99に準拠して測定した粒径を有する粒子を含むことができる。
【0077】
本発明に係る方法の別の実施形態では、組成物に対して20重量%未満、好ましくは10重量%未満、特に好ましくは5重量%未満の架橋性未架橋ポリマーを結合剤として使用することができる。
【0078】
本発明に係る方法の別の実施形態では、臭気結合剤は、流体、好ましくは水、イソプロパノール、エタノール又はアセトン、より好ましくは水と共に吸水性ポリマー構造体に塗布することが好ましい。ここで使用する流体量は、乾燥した吸水性ポリマー構造体の重量に対して0.1〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは3〜17重量%であることが好ましい。また、臭気結合剤を吸水性ポリマー構造体と混合する際に、溶媒又は溶媒混合物を使用することが効果的である場合もある。この場合、上述した溶媒又は溶媒混合物及びそこに記載した濃度が同様に好ましい。この場合、溶媒又は溶媒混合物は、必要に応じて乾燥により再度除去しなければならないため、可能な限り少量の溶媒又は溶媒混合物を使用するように注意を払わなければならない。
【0079】
臭気結合剤との接触は、臭気結合剤(特に二重結合を含む場合には、臭気結合剤B2)を吸水性ポリマー構造体のラジカル重合に使用する試薬と先に混合することによって、吸水性ポリマー構造体の製造時に行うことができる。このようにして、臭気結合剤及び特に二重結合を含む場合には臭気結合剤B2を、吸水性ポリマー構造体と可能な限り均一かつ可能な限り強固に結合させて組み込むことができる。
【0080】
本発明に係る方法の別の実施形態によれば、ヒドロゲル状の吸水性ポリマー構造体と臭気結合剤とを接触させる。通常、ヒドロゲルとは、水又は水溶液によって膨潤させた吸水性ポリマー構造体を意味する。本発明に係る方法において加工するための好ましいヒドロゲルは、吸水性ポリマー構造体の乾燥重量に対して少なくとも10重量%、好ましくは20〜200重量%の水分又は液体を含む。また、ヒドロゲル状の吸水性ポリマー構造体に臭気結合剤を塗布する場合には、ヒドロゲルが顆粒状であることにより、ヒドロゲルの顆粒の大きさよりも実質的に小さく、同様に流体中に分散又は溶解させることができる臭気結合剤粒子をヒドロゲル顆粒の表面上に可能な限り一様に分散させることができることが好ましい。臭気結合剤との接触時に吸水性ポリマー構造体がヒドロゲル状である本発明に係る方法の別の実施形態では、ヒドロゲルの後処理のためにその他の物質を使用することも好ましく、上述した後架橋剤が特に好ましい。臭気結合剤以外に後架橋剤をヒドロゲルに塗布する場合には、上記同様に、接触後に後架橋のための熱処理を行う。
【0081】
吸水性ポリマー構造体をアミノ酸(特にシステイン)と接触させる場合には、150℃未満、好ましくは100℃未満、特に好ましくは80℃未満の温度で接触させることが好ましい。アミノ酸(特にシステイン)を含む臭気結合剤の臭気結合特性に特に悪影響を与えない手順では、通常水性のアミノ酸含有溶液を使用する場合、接触、その後の乾燥工程、必要に応じてその後の別の加工工程時に、少なくとも接触、好ましくは少なくとも接触及び乾燥を15〜80℃、好ましくは20〜75℃、より好ましくは25〜70℃で行う。また、乾燥を促すために、通常は常圧〜10Torrの減圧を適用することもできる。
【0082】
本発明に係る方法の別の実施形態では、臭気結合剤と接触させるために、乾燥したポリマー構造体に対して10重量%未満、好ましくは7重量%未満、より好ましくは6重量%未満の水分を有する吸水性ポリマー構造体を使用する。水分は、EDANA法ERT430.1−99に準拠して測定することができる。低水分を有する吸水性ポリマー構造体は、本発明に係る方法の一実施形態によれば、未架橋吸水性ポリマー構造体であってもよく、本発明に係る方法の別の実施形態によれば、架橋吸水性ポリマー構造体であってもよい。
【0083】
液体によって臭気結合剤を吸水性ポリマー構造体と接触させる場合には、本発明に係る方法では、得られた超吸収性組成物から乾燥によって使用した液体を少なくとも部分的に除去することが好ましい。乾燥工程の条件を選択する際には、臭気結合剤の臭気結合作用が制限されないように注意を払わなければならない。通常は、乾燥温度は30〜200℃、好ましくは50〜150℃、より好ましくは70〜120℃である。乾燥工程は、少なくとも5分間、好ましくは少なくとも10分間、より好ましくは15〜180分間実施することができる。乾燥条件を適当に選択するために、臭気結合剤を後架橋剤と共に吸水性ポリマー構造体と接触させる場合には同様に注意を払わなければならず、接触後に後架橋を行わなければならない。
【0084】
また、本発明に係る方法の一実施形態では、高分子結合剤IIIの存在下でさらに接触を行う。高分子結合剤IIIに関しては、高分子結合剤iiiに関する上記詳細を参照し、上記詳細を高分子結合剤IIIにも適用する。本発明に係る方法では、臭気結合剤を固体ではなく液体で塗布する場合には、高分子結合剤を使用することが好ましい。高分子結合剤は、臭気結合剤と共に、ヒドロゲル状の吸水性ポリマー構造体、乾燥した吸水性ポリマー構造体、特に架橋吸水性ポリマー構造体上に塗布することができる。本発明に係る方法の好ましい実施形態では、臭気結合剤又は高分子結合剤を有する臭気結合剤を、上述したように好ましくはヒドロゲル状ではなく乾燥した吸水性ポリマー構造体と接触させる。つまり、吸水性ポリマー構造体を接触前に表面架橋させることが好ましい。表面架橋は、表面架橋剤の塗布だけでなく、通常は熱処理によって生じる表面架橋反応も含むことが好ましい。
【0085】
また、上述した目的は、本発明に係る方法によって得られる超吸収性組成物によって達成される。本発明に係る超吸収性組成物は、以下の特性を有することが好ましい。
・ERT441−2−02に準拠した保持率が少なくとも20g/g、好ましくは少なくとも25g/g、特に好ましくは25〜50g/g。
・0.7psiでの圧力下吸収率が少なくとも10g/g、好ましくは13/g、特に好ましくは13〜30g/g。
【0086】
この場合、本発明に係る方法によって得られる本発明に係る超吸収性組成物は、超吸収性組成物に関連して上述した同一の特性を有することが好ましい。また、本発明によれば、本発明に係る方法及び本発明に係るポリマー構造体並びに超吸収性組成物に関して述べた各特性値は、下限値のみを示す場合には、上限値は最も好ましい下限値の20倍、好ましくは10倍、特に好ましくは5倍である。
【0087】
また、上述した目的は、本発明に係る吸水性ポリマー構造体又は本発明に係る方法によって得られる表面処理された吸水性ポリマー構造体と、基材とを含む複合体によって達成される。この場合、本発明に係るポリマー構造体と基材とは強固に結合されていることが好ましい。基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等のポリマーからなるシート、金属、不織布材料、綿毛、薄織物、織布、天然又は合成繊維、その他の発泡体が好ましい。本発明によれば、複合体は、複合体の総重量に対して、約15〜100重量%、好ましくは約30〜100重量%、特に好ましくは約50〜99.99重量%、より好ましくは約60〜99.99重量%、さらに好ましくは約70〜99重量%の量の本発明に係る吸水性ポリマー構造体を含む少なくとも1つの領域を含み、当該領域は少なくとも0.01cm3、好ましくは少なくとも0.1cm3、最も好ましくは少なくとも0.5cm3の体積を有することが好ましい。
【0088】
本発明に係る複合体の一実施形態では、複合体は「吸収性材料」として国際公開第WO02/056812 A1号に記載されているようなシート状複合体である。国際公開第WO02/056812 A1号の特に複合体、構成要素の基本重量及び厚みに関する開示内容はこの参照によって本発明の開示内容の一部をなすものとする。
【0089】
また、上述した目的は、複合体の製造方法であって、本発明に係る超吸収性組成物又は本発明に係る方法によって得られる表面処理された吸水性ポリマー構造体と、基材と、必要に応じて添加剤とを接触させる方法によって達成される。基材としては、本発明に係る複合体に関連して挙げた基材を使用することが好ましい。
【0090】
また、上述した目的は、本発明に係る上記複合体と同一の特性を好ましくは有する上記方法によって得られる複合体によって達成される。
【0091】
本発明の別の態様によれば、複合体は、衛生用品コアに対して少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも70重量%の本発明に係る吸水性組成物と、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%の基材と、必要に応じてより一般的な添加物及び/又は接着剤と、を含む衛生用品コアとして形成する(衛生用品コアに含まれる各成分の重量%の合計は100重量%である)。衛生用品コアに関する基材としては、通常粒状の本発明に係る超吸収性組成物を固定する機能を有する材料が特に好ましい。そのような材料としては、繊維、織物材料(interlaced material)、織布、ネットが挙げられる。また、例えば粉末状(すなわち粒子状)の超吸収性組成物を俄等の接着剤によって基板に固定することもできる。同様に、一実施形態では、超吸収性組成物を基材の溝に収容するように基材を設計する。衛生用品コアに同様に組み込むことができる通常の添加物は、例えば、材料、皮膚耐性を強化する化粧品材料、消毒剤、抗菌物質等である。
【0092】
別の態様では、本発明は、液体透過性表面シートと、液体非透過性底部シートと、表面シートと底部シートとの間に配置される本発明に係る複合体と、を含む衛生用品に関する。衛生用品としては、婦人用衛生用品、成人用失禁用品、幼児、乳児及び小児用おむつが挙げられる。衛生用品は上述した衛生用品コアを含むことが好ましい。液体透過性表面シートとしては、原則として、当業者にとって公知かつ適当であると思われ、通常セルロース又はセルロース誘導体からなり、必要に応じてポリプロピレン又はポリエチレン等の人工材料によって強化された全ての織布、レイド材料(laid material)、織物材料が挙げられる。また、液体非透過性底部シートとしては、通常ポリプロピレン又はポリエチレンで作製されたプラスチックシートが通常設けられている当業者にとって一般的かつ通常同様にセルロース又はセルロース誘導体からなる不織布材料、レイド材料、織物材料又は編物材料を使用する。
【0093】
また、上述した目的は、本発明に係る超吸収性組成物又は本発明に係る複合体を含む化学製品によって達成される。好ましい化学製品は、発泡体、成形体、繊維、シート、フィルム、ケーブル、シール材、液体吸収性衛生用品(特におむつ及び生理用ナプキン)、植物・菌類生育調節剤・植物保護活性物質の担体、建設材料の添加剤、包装材料、土壌添加剤である。
【0094】
また、上述した目的は、本発明に係るポリマー構造体又は本発明に係る複合体の化学製品、好ましくは上述した化学製品、特に特におむつ及び生理用ナプキン等の衛生用品における使用及び超吸収体粒子の植物、菌類生育調節剤又は植物保護活性物質の担体における使用によって達成される。植物、菌類生育調節剤または植物保護活性物質の担体としての使用では、植物、菌類生育調節剤または植物保護活性物質は、担体によって制御される時間が経過した後に放出できることが好ましい。
【0095】
以下、本発明を本発明を限定するものではない実施例によって説明する。
【0096】
試験方法
【0097】
一般事項
【0098】
以下では、試験方法について別段の記載がない場合には、当業者に通常知られている一般的と思われる試験方法を使用し、特に、通常「ERT法」として知られているEDANA(欧州不織布協会)の試験方法を適用する。
【0099】
保持率及び吸水率
【0100】
保持率は、全粒子部分に対するERT441.2−02に準拠したCRC(遠心分離保持容量)として測定し、吸水率は、3分間の遠心分離直後の30分間における値である。圧力下吸水率は、全コーン(corn)部分に対するERT442.2−02に準拠したAAP(圧力下吸収率)として測定した。
【0101】
ウィッキング指数の測定
【0102】
ウィッキング指数は、欧州特許第0 532 002号、6頁36行〜7頁26行に記載された試験方法に準拠して測定した。全粒子部分を使用し、合成尿の代わりに0.9%食塩水(蒸留水及びpHが5.0〜8.0のNaClp.a.から調製)を使用した。
【0103】
臭気結合率
【0104】
臭気結合率は、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー(GC)によって測定した。ヘッドスペース内の臭気物質の減少量を測定するために、超吸収性組成物の試料100.0mgを開閉可能な圧力バイアル(pressure vial)に秤量し(10mlヘッドスペース圧力バイアル、ヒューレットパッカード(登録商標)型番:9301−0717)、臭気物質の水溶液(ジメチルホルムアミド中にフルフラールメルカプタン50ミリモル/Lを溶解した貯蔵液1μLを水25mlに添加した)と混合した。室温で16時間放置した後、以下に詳述するようにして、オーブン内でヘッドスペース試料ディスペンサ(ヒューレットパッカード7694(登録商標))の圧力バイアルの焼き戻しを行った。次に、圧力バイアルの蒸気相をGCヒューレットパッカード5890A(登録商標)内に注入した。FID検出器に取り付けた無極性毛管カラムRTX(登録商標)5(Crossbond(登録商標)5%ジフェニル−95%ジメチルポリシロキサン、形状:60m・0.53mm・1.0μ、製造者:レステック社(Restek Corp))上で分離が生じた。ヘッドスペース内では、以下の条件を維持した:オーブン温度:45℃、ループ温度:120℃、sTr.ライン温度:120℃、GCサイクル時間:12.0分、バイアルeq.時間:60.0分、加圧(pressuris.)時間:0.13分、ループ充填時間:0.02分、ループeq.時間:0.02分、注入時間:0.50分、「振盪」:オフ、カートリッジ圧力:134kPa、バイアル圧力:152kPa;温度プログラム:0分間170℃、2分間−30℃/分〜110℃、2分間35℃/分〜250℃;注入器:コラム流量:13mL/秒;分割(HS無し):0mL/秒、分割(HS有り):150mL/秒、カラム圧力:100kPa、温度:250℃、「パージ」:オン;検出器:検出器温度:250℃、検出器範囲:0。
【0105】
減少量の定量化するために、試料の臭気物質のピーク面積を臭気結合剤を含まない対照試料と比較した。
【0106】
吸収時間及び液体分散性
【0107】
コアの吸収時間及び液体分散性を測定するための測定装置を図1〜図4に図式的に示す。図1は、測定装置の側面図であり、実験室ロッドとして形成された取付部1には、原則として衛生用品装着者の座部に基づく透明なプレキシグラス(Plexiglas)(登録商標)で形成された挿入物2が、幅200mm、厚さ約1mmの非弾性かつ滑らかなプラスチックシート6によって保持されている。挿入物2は、滑らかな表面を有するほぼ半円の物体であり、中心に流路7を含み、4図に一部を示すように下部開口部に篩4を有する。コア3は、流路7の下部開口部の下方において、挿入物2の中央に配置し、肉眼で確認する。次に、測定用に設けられた重りを挿入物2に負荷する。流路7の上部開口部を介して、測定装置に試験液を充填する。図2及び図3は、前方及び側方から見た測定装置の寸法を示す(単位:mm)。
【0108】
長さ300mm×幅120mmの寸法を有するコアを秤量し、胴体型の試験装置に置き、9kgを負荷した。次に、アニリンレッド貯蔵液5mL/L(0.9%食塩水1Lにアニリンレッド10.0gを添加し、溶液のpHは0.3%NaOH水溶液を添加することにより6.0に調節した)によって着色した0.9%食塩水60gを、試験装置の開口部を介してメスシリンダーにより20分間隔で3回添加した。ストップウォッチによって、添加開始から試験液の浸潤終了までの浸潤時間を測定することができる。各液体を添加した後、20分間放置した。次に、重りを除去した。20分間が経過した後、液体の分散性をそれぞれ測定した。液体の分散性を測定するために、コアの長さにわたる液体の分散を測定した。
【0109】
実施例
【実施例1】
【0110】
(ヒドロゲル状の未後架橋吸水性ポリマー構造体の製造:試料a)
水酸化ナトリウム溶液によって70モル%まで中和したアクリル酸280g、水466.8g、ポリエチレングリコール−300−ジアクリレート1.4g、アリルオキシポリエチレングリコールアクリル酸エステル1.68gからなるモノマー溶液に窒素パージにより溶存酸素を除去し、開始温度の4℃に冷却した。開始温度に達した後、開始剤溶液(HO 10gに溶解したペルオキシ二硫酸ナトリウム0.3g、HO 1gに溶解した30%過酸化水素溶液0.07g、HO 2gに溶解したアスコルビン酸0.015g)を添加した。約100℃の最終温度に達した後、得られたゲルを細かく刻み、約1〜3mmの粒子を有する顆粒を試料aとして得た。水分は約50%であった。
【実施例2】
【0111】
(粉末状の未後架橋吸水性ポリマー構造体の製造:試料b)
試料aを150℃で120分間乾燥した。乾燥したポリマーを粗く砕き、粉砕し、粒径が150〜850μmの粉末を篩い分け、ERT420.2−02に準拠した平均粒径520μmを有する試料bを得た。ERT430.1−99に準拠して測定した水分は5%であった。
【実施例3】
【0112】
(粉末状の後架橋吸水性ポリマー構造体の製造:試料c)
後架橋のために、得られた試料bの粉末100gを、1,3−ジオキソラン(dioxalan)−2−オン1g及び水3gを溶解した溶液と激しく混合した後、オーブン内において180℃で30分間加熱した。得られた試料cのERT420.2−02に準拠した平均粒径は525μmであった。ERT430.1−99に準拠して測定した試料cの水分は4.5%であった。
【実施例4】
【0113】
(超吸収性組成物−後架橋剤を有するヒドロゲル上の臭気結合剤)
100乾燥重量部の試料aを用意し、表1に示した量(乾燥質量部に基づく)の臭気結合剤と混合した。次に、混合物を細かく刻むことによって均一にし、150℃で120分間乾燥した。乾燥したポリマーを粗く砕き、粉砕し、粒径が150〜850μmの粉末を篩い分け、ERT420.2−02に準拠した平均粒径515μmを有する試料bを得た。ERT430.1−99に準拠して測定した水分は5.5%であった。後架橋のために、得られた粉末100gを、1,3−ジオキソラン(dioxalan)−2−オン1g及び水3gを溶解した溶液と激しく混合した後、オーブン内において180℃で30分間加熱した。得られた製品を、表1の項目に従って分析した。使用したTegosorb(登録商標)型はゴールドシュミット社(Goldschmidt GmbH)から市販されている。対照試料は、臭気結合剤を添加しないこと以外は上述同様に扱った。
【0114】
【表1】

【0115】
表1から、良好な吸収性以外に優れた臭気結合性を有する本発明に係る超吸収性組成物が得られたことが分かる。また、EP−A−0 532 002に準拠して測定した試料c及び試料4−2のウィッキング指数は、この試験の測定精度範囲内で同数値であった。
【実施例5】
【0116】
(超吸収性組成物−後架橋超吸収性ポリマー上の臭気結合剤)
100乾燥質量部の試料cを用意し、表2に示した量(乾燥重量部に基づく)の臭気結合剤と混合し、ミッシュテクニックインダストリーアンラーゲン(Mischtechnik Industrieanlagen)社製のMITミキサー(型番:LM1,5/5)内で均一にした。分析結果を表2に示す。
【0117】
【表2】

【0118】
表2から、良好な吸収性以外に優れた臭気結合性を示す本発明に係る超吸収性組成物が得られたことが分かる。また、試料c(20.8cm)及び試料5−3(19.8cm)のウィッキング指数は、この試験の計測誤差内で同数値であった。
【実施例6】
【0119】
(超吸収性組成物−後架橋超吸収性ポリマー上の臭気結合剤)
約75モル%まで部分的に中和された実質的に軽架橋アクリル酸からなり、ストックハウゼン(Stockhausen GmbH)社から市販されている100乾燥質量部の後架橋超吸収性ポリマーFAVOR(登録商標)SXM9155を用意し、表3に示す量(乾燥質量に基づく)の臭気結合剤と混合し、上記指定のMITミキサー内で均一にした。
【0120】
エムアンドジェイ(M and J)社製の機械(幅40cm、操作幅36cm、操作ナル設定;速さ:3m/分、ハンマーミルの綿毛供給速度:3.1m/分、ポリマー計量速度:380g/分、10g部分の二成分繊維:約1回/分放出)を使用するエアレイド法によって、コアに対して48.6重量%の表3に示す上述した超吸収性組成物、48.6重量%のスウェーデンのストラエンソ(Stora−Enzo AB)社製の半加工済セルロース繊維Stora Fluff EF、2.8重量%のデンマークのファイバービジョン(Fibrevision A/S)社製のPPコア及びPEジャケットを有するポリプロピレン(PP)及びポリエチレン(PE)各50重量%で作製した二成分繊維からなる混合物によってコアを形成し、吸収性ポリマーを均一に投入した。基本重量756g/m及び0.2g/cmの密度を有するコアを試験に使用した。コアは、長さが300mm、幅が120mmであった。コアの分析結果を表3a及び3bに示す。
【0121】
【表3a】

【0122】
表3aから、優れた臭気結合性以外に、臭気結合剤を含まない対照試料と比較した場合に、明らかに向上した吸収時間を有する本発明に係る超吸収性組成物が得られたことが分かる。
【0123】
【表3b】

【0124】
表3bから、優れた臭気結合性以外に、臭気結合剤を含まない対照試料と比較した場合に、明らかに向上した液体分散性を有する本発明に係る超吸収性組成物が得られたことが分かる。
【実施例7】
【0125】
(臭気結合剤を有する後架橋吸水性ポリマー構造体:試料e)
100乾燥質量部の試料d(中和度を50モル%としたこと以外は試料cと同様に製造)を、1乾燥重量%のTegosorb(登録商標)A30のa)15%又はb)25%溶液と混合し、80rpmの回転速度を有するローラーベンチ上で円筒型ガラス製ボトル内において室温で30分間混合し、室温で24時間乾燥した。a)を使用した場合には、粒径が150〜850μmの粉末を篩い分け、ERT420.2−02に準拠した平均粒径517μmを有する試料e−aを得た。ERT430.1−99に準拠して測定した水分は7%であった。b)を使用した場合には、粒径が150〜850μmの粉末を篩い分け、ERT420.2−02に準拠した平均粒径521μmを有する試料e−bを得た。ERT430.1−99に準拠して測定した水分は6.9%であった。
【実施例8】
【0126】
(臭気結合剤としてシステインを有する後架橋吸水性ポリマー構造体:試料f)
約75モル%まで部分的に中和された実質的に軽架橋アクリル酸からなり、ストックハウゼン社から市販されている100乾燥質量部の後架橋超吸収性ポリマーFavor(登録商標)SXM9155を用意し、2乾燥質量部の臭気結合剤としてシステインの15%水溶液と混合し、上記指定のMITミキサー内で均一にした。次に、混合物を、ERT430.1−99に準拠して測定した水分が6.5%になるまで水流真空ポンプ内で30℃で乾燥した。粒径が150〜850μmの粉末を篩い分け、ERT420.2−02に準拠した平均粒径523μmを有する試料fを得た。
【実施例9】
【0127】
(凝集した後架橋吸水性ポリマー構造体の製造:試料g)
試料bの調製は、5kgのスケール上における粉砕及び篩分け工程まで繰り返した。得られた製品を、レッチェ(Retsch)社製の遠心ミル(型番ZM100)内で粉砕し、分析篩い分け機(型番:AS200 control‘g’)によって、150μm未満の粒径を有する第1フラクションF1及び150〜850μmの粒径を有する第2フラクションF2を篩分けし、ERT420.2−02に準拠した平均粒径521μmを得た。
【0128】
結合剤を調製するために、窒素を流したガラス製反応器内において、試料として、50%NaOH208.16g、脱イオン水842.20g及びアクリル酸375.00gを、脱イオン水9.78g及び35%過酸化水素2.92g内にメルカプトエタノール1.12g及びアスコルビン酸0.22gを溶解した開始剤系、脱イオン水7.58gに35%過酸化水素13.90g及び塩化ヒドロキシアンモニウム2.42gを溶解した後触媒及び架橋剤PEG300 36.70gと反応させた。このために、後触媒を添加し、さらに1時間撹拌する前に、試料を1時間にわたって窒素パージによって除去し、開始剤成分を上記順序で25℃で添加してから5分後に90℃の反応温度に到達し、30分間90℃を維持した後、調製物を50℃に冷却した。
【0129】
凝集化のために、ミッシュテクニックインダストリーアンラーゲン社製のMITミキサ(型番:LM1,5/5)内にフラクションF1 40重量%及びフラクションF2 60重量%からなる混合物200gを配置し、上記で調製した結合剤の25%(混合物に基づいて)水溶液を注入カニューラによって2分間にわたって添加し、1分間にわたって密接混合物と混合した。
【0130】
得られた混合物を、循環空気乾燥器内で180℃で30分間乾燥し、レッチェ社製の遠心ミル(型番ZM100)内で粉砕し、凝集物を、レッチェ社製の分析篩い分け機(型番:AS200 control‘g’)によって、150〜850μmの粒径を有するフラクションを篩分けし、ERT420.2−02に準拠した平均粒径522μmを得た。
【0131】
後架橋のために、得られた凝集物100gを、1,3−ジオキソラン−2−オン1g及び水3gを溶解した溶液と激しく混合した後、180℃に調製したでオーブン内で30分間加熱した。得られた試料gのERT420.2−02に準拠した平均粒径は524μmであった。ERT430.1−99に準拠して測定した試料gの水分は4.4%であった。
【実施例10】
【0132】
(リシノール酸亜鉛を有する後架橋吸水性ポリマー構造体の製造:試料h)
実施例9は、混合物への結合剤の添加前に、混合物に対して1%のTegosorb(登録商標)A30等のリシノール酸亜鉛を水性結合相に混合すること以外は、上記同様に実施した。得られた試料hのERT420.2−02に準拠した平均粒径は523μmであった。ERT430.1−99に準拠して測定した試料hの水分は4.5%であった。
【実施例11】
【0133】
(超吸収性組成物−後架橋超吸収性ポリマー上の臭気結合剤:試料i1〜i5)
100乾燥質量部の試料cを用意し、表4に示した量(乾燥重量部に基づく)の臭気結合剤と混合し、ミッシュテクニックインダストリーアンラーゲン社製のMITミキサー(型番:LM1,5/5)内で均一にした。分析結果を表4に示す。
【0134】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】実施例で使用するコアの吸収時間等を測定するための測定装置の側面図。
【図2】左側の図が前方から見た図1の測定装置の寸法を示す図。
【図3】右側の図が側方から見た図1の測定装置の寸法を示す図。
【図4】図1の破線部の拡大図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i.吸水性ポリマー構造体と、
ii.b1.アミノ酸又はb2.下記一般式Iで表される化合物を含む臭気結合剤と、
を含む臭気吸収・超吸収性組成物。
【化1】

一般式I

(式中、R1はC〜C20の炭化水素であり、
Xは、存在しないか、1〜5個の二重結合を含む二重結合系であって、少なくとも2個の二重結合を含む場合には、好ましくは共役二重結合系であり、
Mは、荷電又は非荷電金属であり、
mは、1〜15であり、
nは、1〜5であり、
oは、1〜4である。)
【請求項2】
前記臭気結合剤が前記成分b1及びb2を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記金属Mが1価、2価及び3価金属からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記成分b2がリシノール酸の金属塩である、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記成分b2がリシノール酸の亜鉛塩である、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記吸水性ポリマー構造体が、150μm未満のERT420.1−99に準拠して測定した粒径を有する超吸収性微粒子を前記吸水性ポリマー構造体に対して40重量%未満の量で含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記吸水性ポリマー構造体が、150〜850μmのERT420.1−99に準拠して測定した粒径を有する粒子を前記吸水性ポリマー構造体に対して少なくとも60重量%の量で含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が前記組成物に対して20重量%未満の架橋性未架橋ポリマーを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記吸水性ポリマー構造体が、
内部領域と、
前記内部領域を取り囲む外部領域と、
を含み、
前記外部領域が前記内部領域よりも高い架橋度を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記外部領域の内部又は表面における前記臭気結合剤の濃度が前記内部領域における前記臭気結合剤の濃度よりも高い、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記吸水性ポリマー構造体が、
内部領域と、
前記内部領域を取り囲む外部領域と、
を含み、
前記外部領域の内部又は表面における前記臭気結合剤の濃度が前記内部領域における前記臭気結合剤の濃度よりも高い、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記吸水性ポリマー構造体が前記成分b1とは異なる成分によって表面架橋されている、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記アミノ酸がα−アミノ酸、β−アミノ酸又はγ−アミノ酸である、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記アミノ酸がシステインである、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記吸水性ポリマー構造体とは異なるiii.高分子結合剤をさらに含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記高分子結合剤が2つ以上のOH基を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
超吸収性組成物の製造方法であって、
I.吸水性ポリマー構造体を用意する工程と、
II.前記吸水性ポリマー構造体の表面を、成分B1.アミノ酸又はB2.下記一般式Iで表される化合物を含む臭気結合剤と接触させる工程と、
を含む方法。
【化2】

一般式I

(式中、R1はC〜C20の炭化水素であり、
Xは、存在しないか、1〜5個の二重結合を含む二重結合系であって、少なくとも2個の二重結合を含む場合には、好ましくは共役二重結合系であり、
Mは、荷電又は非荷電金属であり、
mは、1〜15であり、
nは、1〜5であり、
oは、1〜4である。)
【請求項18】
前記臭気結合剤が前記成分B1及びB2を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記金属Mが1価、2価又は3価金属からなる群から選択される、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記成分B2がリシノール酸の金属塩である、請求項17〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記成分B2がリシノール酸の亜鉛塩である、請求項17〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記吸水性ポリマー構造体がヒドロゲルである、請求項17〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記吸水性ポリマー構造体が、前記ポリマー構造体の10重量%未満の水分を有する、請求項17〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
重合結合剤IIIの存在下で接触を行う、請求項17〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記吸水性ポリマー構造体を前記接触前に表面架橋させる、請求項17〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記吸水性ポリマー構造体が、150μm未満のERT420.1−99に準拠して測定した粒径を有する超吸収性微粒子を前記吸水性ポリマー構造体に対して40重量%未満の量で含む、請求項17〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記吸水性ポリマー構造体が、150〜850μmのERT420.1−99に準拠して測定した粒径を有する粒子を前記吸水性ポリマー構造体に対して少なくとも60重量%の量で含む、請求項17〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記組成物に対して20重量%未満の架橋性未架橋ポリマーを結合剤として使用する、請求項17〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の超吸収性組成物又は請求項17〜28のいずれか1項に記載の方法によって得られる超吸収性組成物と、基材と、を含む複合体。
【請求項30】
衛生用品コアとして形成された請求項30に記載の複合体であって、前記衛生用品コアに対して、少なくとも30重量%の請求項1〜16のいずれか1項に記載の超吸収性組成物又は請求項17〜28のいずれか1項に記載の方法によって得られる超吸収性組成物と、少なくとも1重量%の基材と、を含む複合体。
【請求項31】
液体透過性表面シートと、液体非透過性裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される請求項29又は30に記載の複合体と、を含む衛生用品。
【請求項32】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の吸収性組成物又は請求項17〜28のいずれか1項に記載の方法によって得られる吸収性組成物あるいは請求項29〜30のいずれか1項に記載の複合体を含む、発泡体、成形体、繊維、シート、フィルム、ケーブル、封止材、吸液性衛生用品、植物・菌類生育調節剤用担体、包装材料、土壌添加剤又は建設材料。
【請求項33】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の吸収性組成物又は請求項17〜28のいずれか1項に記載の方法によって得られる吸収性組成物あるいは請求項29〜30のいずれか1項に記載の複合体の、発泡体、成形体、繊維、シート、フィルム、ケーブル、封止材、吸液性衛生用品、植物・菌類生育調節剤用担体、包装材料、活性物質の制御放出のための土壌添加剤又は建設材料における使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−515691(P2009−515691A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540523(P2008−540523)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011055
【国際公開番号】WO2007/057203
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(308007985)エフォニック ストックハウゼン ゲーエムベーハー (12)
【Fターム(参考)】