説明

脳梗塞の遺伝的リスク検出法

【課題】脳梗塞の遺伝的リスクを判断するための一材料を得るための遺伝子検出法等を提供する。
【解決手段】6341人の日本人集団に関し、約52万個の遺伝子多型から、ゲノム全領域関連解析(GWAS)を行って見出された、脳梗塞に関するLLGL2のrs1671021多型、CELSR1のrs9615362多型、RUVBL2のrs753307多型を決定することによる、脳梗塞の遺伝的リスクの検出方法。これらの多型を含む連鎖不平衡ブロックの塩基配列の中、3個のタグSNPと1個の非同義SNPが脳梗塞に関連し、特にCELSR1のrs6007897(A→G,Thr2268Ala)及びCELSR1のrs4044210(A→G,Ile2107Val)については、アミノ酸置換を伴う重要なSNPであった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳梗塞の遺伝的リスクを検出するための方法等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脳卒中は多因子疾患であり、個人の遺伝因子と様々な環境要因との相互作用によって発症すると考えられている。脳卒中は、発症頻度が高く、重篤な疾患である。2004年のアメリカ心臓学会の統計によれば、78万人が新規または再発性の脳卒中に罹患し、15万人が死亡している。米国での脳卒中の患者数は、約580万人である。脳卒中のうち、87%が脳梗塞、10%が脳出血、残りの3%がくも膜下出血である(非特許文献1)。厚生労働省の統計によれば、2005年の日本における脳卒中の患者数は、約140万人(このうち、61%が脳梗塞、25%が脳出血、11%がくも膜下出血、その他3%である)であり、13万3千人が死亡している。近年の脳卒中の急性期に対する治療の発達にもかかわらず、脳卒中は、西洋及び日本において、重度障害を起こす最大の原因であり、心臓病とガンに次いで第3位の死因となっている(非特許文献2)。脳卒中のリスクを予測するためのバイオマーカを特定することは、将来の発症を回避するための危険予測および治療のために重要である。
遺伝疫学的研究によって、脳卒中のリスクファクターとして幾つかの遺伝子多型が報告されている(非特許文献3−6)が、脳卒中の遺伝因子については、ほとんどが未知のままである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、脳梗塞に関連する遺伝的多型を同定し、脳梗塞の発症予測を行うための精度の高い資料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、6341名の日本人集団において、約52万個の遺伝子多型(single nucleotide polymorphism (SNP))について、脳梗塞に関するゲノム全領域での関連解析(GWAS)を行ったところ、LLGL2のrs1671021、CELSR1のrs9615362、及びRUVBL2のrs753307の3個のSNPが脳梗塞に有意に関連した。
これらのSNPを含むエクソンとエクソン・イントロン境界の連鎖不平衡ブロックを検討したところ、4個のSNP、すなわち、3個のタグSNP(CELSR1のrs6007897、LLGL2のrs1671021、RUVBL2のrs1062708)と1個の非同義SNP(CELSR1のrs4044210)が脳梗塞に有意に関連した。CELSR1のrs6007897のバリアント型G(Ala)アレルとrs4044210のG(Val)アレルは脳梗塞の危険因子であり、LLGL2のrs1671021のバリアント型C(Leu)アレルとRUVBL2のrs1062708のTアレルは防御因子であった。CELSR1のrs6007897とrs4044210は連鎖不平衡であり、これらを含むCELSR1の4個のSNPのハプロタイプ頻度は、C (rs9615362)−A (rs4044210)−A (rs6007897)−A (rs6008788)が0.8457であり、A−G−G−Gが0.1543であった。このうち、前者は脳梗塞の防御因子であり、後者は脳梗塞の危険因子であった。
【0005】
こうして、本願発明に係る脳梗塞の遺伝的リスクを検出する方法は、LLGL2のrs1671021、CELSR1のrs9615362、RUVBL2のrs753307、CELSR1のrs6007897、CELSR1のrs4044210、RUVBL2のrs1062708のうちの少なくとも1個または2個以上のSNPを決定することを特徴とする。
上記方法において、LLGL2のrs1671021、CELSR1のrs6007897、CELSR1のrs4044210、RUVBL2のrs1062708のうちの少なくとも1個または2個以上のSNPを決定することが好ましい。このとき、CELSR1のrs6007897とrs4044210とは連鎖不平衡なので、いずれか一方を用いることが好ましい。さらに、このときCELSR1の4個のSNP(rs9615362、rs4044210、rs6007897、rs6008788)は連鎖不平衡であり、ハプロタイプ頻度が明らかとなったので、これら4個のSNPのうちのいずれか1個所のSNPの塩基に基づき、C (rs9615362)−A (rs4044210)−A (rs6007897)−A (rs6008788)、またはA−G−G−Gのいずれかを決定することが好ましい。
【0006】
一般に多型は、集団(例えば、日本人集団、西洋人集団など)が異なると、その種類・頻度が異なることが知られている。このため、日本人以外の集団において、脳梗塞との関係が指摘されている多型であっても、必ずしも日本人集団においてそのような関連が認められるわけではない。このため、従来の報告については、国または疾患が異なる場合には、必ずしも日本人における多型および脳梗塞との関連が裏付けられるわけではない。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、脳梗塞について、遺伝的リスクを予測するための検出法等が提供される。この発明を用いることにより、脳梗塞に対する予防が可能となり、高齢者の健康寿命延長・QOL向上・寝たきり防止ならびに今後の医療費削減など、医学的・社会的に大きく貢献できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の実施形態について、図表を参照しつつ説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
【0009】
<試験方法>
研究対象
研究対象は、3つの独立した母集団からなる6341名(992名の脳梗塞患者、5349名の対照者)であった。母集団Aは、266名(131名の脳梗塞患者と135名の対照者)からなり、研究参加施設(岐阜県総合医療センター、岐阜県立多治見病院)に、2002年10月から2004年3月までに、様々な症状の治療のため又は毎年の健康診断のために来院した者であった。母集団Bは、4225名(790名の脳梗塞患者、3435名の対照者)からなり、研究参加施設(岐阜県総合医療センター、岐阜県立多治見病院、横浜総合病院、弘前大学病院、黎明郷リハビリテーション病院、弘前脳卒中センター、東京都老人医療センター)に、2002年10月から2008年3月までに、様々な症状の治療のため又は毎年の健康診断のために来院した者であった。母集団Cは、1850名の地域社会に暮らす一般住民(71名の脳梗塞既往暦者と1779名の対照者)であり、群馬県と東京都における老化・老年病の疫学研究に参加した高齢者であった。脳梗塞の有無については、新規かつ突然の脳の局所的な神経学的異常が確認され、24時間以上に渡って神経症状が継続した者であって、頭部のCTまたはMRIによる診断(或いはその両者による診断)によって確定した。脳梗塞のタイプは、脳血管障害の分類III(非特許文献7)に従って決定した。心原性脳塞栓性、ラクナ梗塞のみ、一過性脳虚血発作、出血性脳血管障害または脳出血、脳血管奇形、モヤモヤ病、脳静脈洞血栓症、脳腫瘍、及び外傷性脳血管障害の患者は、今回の研究対象から除外した。心臓弁膜症の有無に拘わらず、心房細動を持つ患者についても同様に研究対象から除外した。
【0010】
コントロール群は、様々な一般的疾患の治療のために外来患者として訪れた者、または前向きコホート研究に参加した地域の一般住民であった。対象者には、従来の脳梗塞の危険因子であるもの、つまり高血圧(収縮期血圧が140mmHg以上若しくは拡張期血圧が90mmHg以上または両条件を満たす者、または降圧薬を服用している者)、糖尿病(空腹時血糖値が6.93mmol/L以上若しくはヘモグロビンA1c(HbA1c)が6.5%以上、または抗糖尿病薬を服用している者)、または高コレステロール血症(血清総コレステロール値が5.72mmol/L以上、または脂質降下薬を服用している者)を有している者が含まれていた。対象者は、脳梗塞・脳出血・その他の脳疾患、冠動脈疾患・末梢動脈閉塞疾患・その他のアテローム硬化性疾患、その他の血栓性、塞栓性または出血性疾患の既往歴はなかった。
研究プロトコールはヘルシンキ宣言に従い、三重大学医学部、弘前大学医学部、岐阜県国際バイオ研究所、東京都老人総合研究、理化学研究所および参加病院の倫理委員会によって承認された。各参加者に対しては書面によるインフォームドコンセントを得た。
【0011】
ゲノムワイド関連解析(GWAS)
脳梗塞のGWASは、母集団Aについて、StyIとNspIチップから構成され、ゲノム全領域に分布する約52万個のSNPsを含むジーンチップ・ヒューマン・マッピング・500Kアレイセット(Affymetrix)を用いて行った。解析可能であったデータ割合(コール・レート)が93%以下であったチップのデータについては、解析に用いなかった。本研究におけるコール・レートの平均値は、98%であった。各SNPのアレル頻度と脳梗塞との関連をカイ二乗検定にて評価し、P値が1.0 × 10−20よりも小さな894個のSNPを抽出した。これらのSNPについて、NCBI dbSNPデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/snp)を検索し、遺伝子注釈(gene annotation)が付された499個のSNPを決定した。次いで、各ハプロブロックのハプロタイプと脳梗塞との関連を調べ、P値が1.0 × 10−20よりも小さな455個のハプロブロックを選択した。これらのハプロブロックについて、dbSNPデータベースを検索し、遺伝子注釈が付された238個のハプロブロックを得た。さらに499個のSNPのうち、これらのハプロブロックに含まれる194個のSNPを選択した。対照群について、これらのSNPの遺伝子型分布が、ハーディ・ワインバーグ平衡から逸脱していないことを確認した。最後に、SNPチップのハイブリダイゼーション・シグナルの分布が、正規分布から有意に(P < 0.001)逸脱している94個のSNPについては解析から外し、残った100個のSNPについて脳梗塞との関連の再現性について別の集団で検討した。
【0012】
遺伝子多型の検出方法
7mLの静脈血を50mmol/L EDTA(ジナトリウム塩)を含むチューブに採取し、ゲノムDNAをキット(ゲノミックス社製)によって分離した。多型の遺伝子型は、PCRと配列特異的オリゴヌクレオチドプローブをサスペンジョン・アレイ・テクノロジー(SAT:Luminex 100)と組み合わせて使用する方法によって決定した(G&Gサイエンス株式会社)。プライマー、プローブ、その他の条件は、表1に示した。表には左から順に、遺伝子(Gene)、一塩基多型(SNP(dbSNP))、多型(Polymorphism)、センスプライマー(Sense primer)、アンチセンスプライマー(Antisense primer)、プローブ1(Probe 1)、プローブ2(Probe 2)を示した。また、アニーリング温度は60℃、サイクル数は50回とした。詳細な方法については、既報のもの(非特許文献8)を基本として、適宜に増幅条件を変えて行った。なお、脳梗塞との関連が認められなかった多型を検出するための条件については記載を省略した。
【0013】
【表1】

【0014】
PCR−SSOP−Luminex法
方法の詳細については、非特許文献8に記載の通りである。以下には、この方法の概要について説明する。
図1には、Luminex100フローサイトメトリーで検出するマイクロビーズの微細構造と特徴を示した。マイクロビーズ(図中の符号(A))は、直径が約5.5μm程度であり、ポリスチレン製である。ビーズ表面には、特異的な塩基配列を認識するプローブが結合されている。各ビーズには、一種類のプローブが結合されている。このマイクロビーズには、赤色色素と赤外色素との割合を変化させることにより、図中の符号(B)に示すように、最大で100種類のものを混合した状態で、各ビーズの同定が行えるようになっている。複数種類のプローブを備えたマイクロビーズ(但し、各マイクロビーズには一種類のプローブのみ)を適当な割合で混合し、100ビーズ/μLとなるようにしたビーズミックスを調製した(図中の符号(C))。
【0015】
図2には、PCR−SSOP−Luminex法の手順の概要を示した。
1.増幅反応(Amplification)
目的とするDNAを増幅するPCR反応には、5’末端をビオチンでラベルしたプライマーを用いた。1.5mM塩化マグネシウムを含む1xPCR溶液(50mM KCl、10mM Tris−HCl、pH8.3)、2%DMSO、0.2mM dNTPs、及び0.1μM−10μMプライマーセットを混合し、Taq DNAポリメラーゼ(50U/mL)と50ng−100ngのゲノムDNAを加えて25μLとした。PCR反応は、95°Cで10分間処理の後、94°Cで20秒間の変性、60°Cで30秒間のアニーリング、及び72°Cで30秒間の伸長を1サイクルとし、これを50サイクル繰り返した。機器としてGeneAmp9700サーマルサイクラー(アプライドバイオシステムズ社製)を用いた。
【0016】
2.ハイブリダイゼーション(Hybridization)
増幅したDNAを変性した後、ビーズミックスとハイブリダイズさせた。96ウエルプレートの各ウエルに、5μLの増幅反応後のPCR増幅液、5μLのビーズミックス、及び40μLのハイブリダイズ用緩衝液(3.75M TMAC、62.5mM TB(pH8.0)、0.5mM EDTA、0.125% N−ラウロイルザルコシン)を添加し、全量50μLとした。この混合液を添加した96ウエルプレートについて、95°Cで2分間の変性、及び52°Cで30分間のハイブリダイゼーションを行った(GeneAmp9700サーマルサイクラーを用いた。)。
図2中には、増幅したDNAを認識するプローブを有するビーズ(1)のみが、DNAと結合する様子が示されている。
【0017】
3.ストレプトアビジン−フィコエリスリン反応(SA−PE Reaction)
次に、上記ビーズミックス−DNAをSA−PEと反応させた。ハイブリダイゼーション反応の後、各ウエルに100μLのPBS−Tween(1xPBS(pH7.5)、0.01% Tween−20)を添加し、1000xgで5分間の遠心を行い、上清を取り去ることで、マイクロビーズを洗浄した。各ウエルに残ったマイクロビーズに、それぞれ70μLのSA−PE溶液(PBS−Tweenにより、市販品(G&Gサイエンス株式会社製)を100倍希釈したもの)を添加し混合した後、52°Cで15分間の反応を行った(GeneAmp9700サーマルサイクラーを用いた。)。
図2中には、ビーズ(1)のプローブにのみビオチン化DNAが結合しているので、そのビオチンにSA−PEが結合する様子が示されている。
【0018】
4.測定(Measurement)
次に、反応後のサンプルはLuminex100を用いて、ビーズ種類の同定と、そのビーズにPEが結合しているか否かを判定した。測定は2種類のレーザを使用して行い、ビーズの種類は635nmレーザにより同定し、PE蛍光は532nmレーザを用いて定量した。オリゴビーズに結合したDNAは1測定あたり各々のビーズを最低50個ずつ測定し、定量されたPEの蛍光強度の中央値(MFI)を使用した。
図2中には、各ビーズ(1)−(3)が同定され、かつビーズ(1)にのみPEが測定されたことから、ビーズ(1)に結合させたプローブが認識するDNAが増幅された様子が示されている。
【0019】
統計解析
臨床データは、脳梗塞患者群とコントロール群との間で、対応のないスチューデントt検定により比較した。質的(カテゴリー)データは、カイ二乗検定によって比較した。対立遺伝子頻度は遺伝子カウント法によって概算し、ハーディ・ワインベルク平衡にあてはまるかどうかを判断するためにカイ二乗検定を使った。遺伝子多型(SNPs)の対立遺伝子頻度は、脳梗塞患者群とコントロール群との間で、カイ二乗検定によって比較した。
【0020】
脳梗塞と関連する多型を交絡因子を含む多項ロジスティック回帰分析法により解析した。交絡因子については、年齢(age)・性別(sex:女性=0、男性=1)・肥満指数(body mass index:BMI)・喫煙状態(smoking status:非喫煙者=0、喫煙者=1)・代謝変数(高血圧(hypertension)・糖尿病(diabetes mellitus)・または高コレステロール血症(hypercholesterolemia)の病歴なし=0、それらの病歴あり=1)および各SNPの遺伝子型を独立変数とし、脳梗塞を従属変数とした。各遺伝子型は、優性遺伝モデル(野生型ホモ接合体=0,ヘテロ接合体とバリアント型ホモ接合体の結合群=1)及び劣性遺伝モデル(野生型ホモ接合体とヘテロ接合体の結合群=0,バリアント型ホモ接合体=1)、並びにP値、オッズ比、及び95%信頼区間を計算した。以下の記載において、特に示さない限り、危険率5%未満(P<0.05)を統計的に有意であると見なした。統計解析は、JMPゲノミクス・バージョン3.2ソフトウエア(SASインスティテュート社製)及びSNPAlyzeバージョン6ソフトウエア(ダイナコム社製)によって実行した。
【0021】
<試験結果>
6341名の研究対象者に関するデータを表2に示した。表には、左欄より順に、特徴(Characteristic)、母集団A(Subject panel A)について脳梗塞患者群(Ischemic stroke)とコントロール群(Controls)、母集団B(Subject panel B)について脳梗塞患者群(Ischemic stroke)とコントロール群(Controls)、母集団C(Subject panel C)について脳梗塞患者群(Ischemic stroke)とコントロール群(Controls)を示している。また特徴欄は、上より順に、症例数(No. of subjects)、年齢(Age(years))、性別(男性/女性)(Sex(male /female))、肥満指数(BMI)、現在または過去の喫煙率(Current or former smoker)、高血圧罹患率(Hypertension)、糖尿病罹患率(Diabetes mellitus)、高コレステロール血症罹患率(Hypercholesterolemia)を示している。
【0022】
【表2】

【0023】
母集団Aでは、脳梗塞群の方が対照群に比べ、男性の割合、高血圧罹患率、及び高コレステロール血症罹患率が高い一方、年齢は低かった。母集団Bでは、脳梗塞群の方が対照群に比べ、年齢、男性の割合、喫煙率、高血圧罹患率、及び糖尿病罹患率は高い一方、肥満指数は小さかった。母集団Cでは、脳梗塞群の方が対照群に比べ、高血圧罹患率が高かった。
母集団AについてSNPチップを用いてGWASの解析から選択された100個のSNPと、脳梗塞との関連について、母集団B中の4131名(脳梗塞患者705名、対照者3426名)においてカイ二乗検定で解析した。結果を表3〜表6に示した。表は、左欄から順に、座位(Locus)、遺伝子名(Gene)、簡易記載(Symbol)、一塩基多型(SNP)、多型データベース登録番号(dbSNP)、遺伝子型の確率(P(genotype))、アレルの確率(P(allele))を示している。
【0024】
【表3】

【0025】
【表4】

【0026】
【表5】

【0027】
【表6】

【0028】
対象集団において、3個のSNP、すなわちLLGL2のrs1671021(遺伝子型分布及びアレル頻度について、それぞれP = 0.0196及び0.0052)、CELSR1のrs9615362(遺伝子型分布及びアレル頻度について、それぞれP = 0.0058及び0.0060)、及びRUVBL2のrs753307(遺伝子型分布及びアレル頻度について、それぞれP = 0.0277 and 0.0239)が、遺伝子型分布及びアレル頻度の両者について、有意に(P < 0.05)脳梗塞と関連した。次いで我々は、脳梗塞患者群から選んだ96例のDNAサンプルについて、図3−図5(Supplementary Figure 1A-1C)に示すSNPを含む連鎖不平衡(linkage disequilibrium (LD))ブロックのエクソンとエクソン・イントロン境界について検討した(標準連鎖不平衡係数(r)を0.3以上とした)。連鎖不平衡ブロックについてのデータは、国際HapMap計画データベース(http://www.hapmap.org/index.html.ja)から入手した。
【0029】
rs1671021多型(T→C, Phe479Leu)は、LLGL2のエクソン12に位置している。この多型を含む連鎖不平衡ブロックに関するデータが無いため、我々はLLGL2のエクソン12と、このエクソンとイントロンの境界部分について塩基配列の決定を行った(図3(Supplementary Figure 1A)。エクソン12についてはrs1671021以外の多型は認められなかったが、イントロン13にrs2305526(A→T)多型とC→T多型(dbSNPにはrs番号が検索されなかった)が検出された。これら3個の多型は、連鎖不平衡にあった(rs1671021対rs2305526は、r2 =0.1624、P = 3.28 × 10−8であり、rs1671021対C→T多型は、r2 = 0.1739、P = 9.01 × 10−9であり、rs2305526対C→T多型は、r2 = 0.026、P = 0.0272であった)。ハプロタイプ頻度は、T (rs1671021)−A (rs2305526)−C (C→T)が0.4143、T−T−Cが0.3357、C−A−Cが0.1957、C−A−Tが0.0543であった。エクソン12のrs1671021 (T→C, Phe479Leu)と、エクソン13のrs2305526 (A→T)は、いずれもタグSNPであった。
【0030】
rs9615362 (A→C)多型は、CELSR1のイントロン10に位置している。この多型を含む連鎖不平衡ブロックはエクソン10−20を含んでいるので、我々はCELSR1について、これらのエクソンと該当するエクソン・イントロン境界領域の塩基配列を決定した(図4(Supplementary Figure 1B)。rs9615362に加えて、エクソン17のrs4044210(A→G, Ile2107Val)多型、エクソン20のrs6007897(A→G, Thr2268Ala)、及びイントロン19のrs6008788(A→G)を検出した。これら4個の多型は、連鎖不平衡にあった(rs9615362対rs4044210は、r2 = 0.9221、P = 2.05 × 10−40であり、rs9615362対rs6007897は、r2 = 0.8712、P = 2.11 × 10−36であり、rs9615362対rs6008788は、r2 = 0.9582、P = 1.18 × 10−40であり、rs4044210対rs6007897は、r2 = 0.9568、P = 9.25 × 10−40であり、rs4044210対rs6008788は、r2 = 0.9582、P = 1.18 × 10−40であり、rs6007897対rs6008788は、r2 = 0.9111、P = 3.79 × 10−37であった)。ハプロタイプ頻度は、C (rs9615362)−A (rs4044210)−A (rs6007897)−A (rs6008788)が0.8457であり、A−G−G−Gが0.1543であった。エクソン20のrs6007897 (A→G, Thr2268Ala)と、エクソン19のrs6008788 (A→G)は、タグSNPであった。
【0031】
rs753307 (C→T)多型は、RUVBL2のイントロン13に位置している。この多型を含む連鎖不平衡ブロックはRUVBL2のエクソン7−15とLHBのエクソン3を含んでいるので、我々はこれらのエクソンと該当するエクソン・イントロン境界領域の塩基配列を決定した(図5(Supplementary Figure 1C)。rs753307に加えて、RUVBL2のエクソン8のrs1062708(C→T, Leu205Leu)とイントロン8のrs2287760 (C→G)を検出した。これら3個の多型は、連鎖不平衡にあった(rs753307対rs1062708はr2 = 0.2789、P = 1.13 × 10−12であり、rs753307対rs2287760はr2 = 0.1078、P = 4.99 × 10−6であり、rs1062708対rs2287760はr2 = 0.0977、P = 2.57 × 10−5であった)。ハプロタイプ頻度は、T (rs753307)−T (rs1062708)−G (rs2287760)が0.472、C−C−Cが0.1323、T−C−Gが0.1284、C−C−Gが0.0957、T−T−Cが0.0805、C−T−Gが0.0805、T−C−Cが0.0106、C−T−Cが1.31 × 10−10であった。イントロン8のrs1062708 (C→T, Leu205Leu)多型とrs2287760 (C→G)多型は、いずれもタグSNPであった。
【0032】
次に、集団Bと集団Cにおいて、脳梗塞とエクソン中の3個のタグSNP(LLGL2のrs1671021 (T→C, Phe479Leu)、CELSR1のrs6007897 (A→G, Thr2268Ala)、及びRUVBL2のrs1062708 (C→T, Leu205Leu)多型)と、非同義SNP(CELSR1のrs4044210 (A→G, Ile2107Val))との関連を検討した。カイ二乗検定によって、集団Bでは遺伝子型分布とアレル頻度の両者で、CELSR1のrs6007897 (A→G, Thr2268Ala)とCELSR1のrs4044210 (A→G, Ile2107Val)とLLGL2のrs1671021 (T→C, Phe479Leu)とが有意に(P < 0.05)脳梗塞に関連した(表7)。カイ二乗検定によって、集団Cでは遺伝子型分布とアレル頻度の両者で、CELSR1のrs6007897とrs4044210が脳梗塞に有意に(P < 0.05)関連した(表8)。
【0033】
【表7】

【0034】
【表8】

【0035】
これら3個のタグSNPと1個の非同義置換多型と脳梗塞の関連について、集団A−集団Cを組み合わせた全集団において検討した。カイ二乗検定により遺伝子型分布とアレル頻度を評価したところ、これら4個の多型は脳梗塞と有意に(P < 0.05)関連した(表9)。
【0036】
【表9】

【0037】
年齢、性別、BMI、喫煙率、高血圧罹患率、糖尿病罹患率、及び高コレステロール血症罹患率を補正した多項ロジスティック回帰分析の結果、CRLSR1のrs6007897とrs4044210、LLGL2(優性モデル)のrs1671021、及びRUVBL2(劣性モデル)のrs1062708が有意に(P < 0.05)脳梗塞と関連した。CELSR1のrs6007897のバリアント型G(Ala)アレルとrs4044210のG(Val)アレルは脳梗塞の危険因子であり、LLGL2のrs1671021のバリアント型C(Leu)アレルとRUVBL2のrs1062708のTアレルは防御因子であった。これら4個の多型の遺伝子型分布は、脳梗塞患者群及び対照者群のいずれについても、ハーディ・ワインバーグ平衡にあった。
CELSR1のrs6007897とrs4044210は連鎖不平衡にあるため、これらの多型についてハプロタイプ解析を行った。この解析により、メジャーなハプロタイプは、A (rs6007897)−A (rs4044210)であり、これは脳梗塞の防御因子であった。一方、マイナーなハプロタイプは、G−Gであり、これは危険因子であった(表10)。
【0038】
【表10】

【0039】
最後に、これら3個のタグSNPと1個の非同義置換多型が、高血圧、2型糖尿病、高コレステロール血症、及び肥満に関連するか否かを検討した(表11)。日本人と他のアジア人集団では、BMIが25 kg/m2以上を肥満と定義している(非特許文献9)ので、これに従って「肥満」を定義した。カイ二乗検定によって、全例において各疾患群と対照群との間で、これら4個の多型について遺伝子型分布及びアレル頻度を比較したところ、CELSR1のrs6007897とrs4044210、及びRUVBL2のrs1062708が、2型糖尿病に有意に(P < 0.05)関連した。
【0040】
【表11】

【0041】
<考察>
脳梗塞の主たる原因はアテローム血栓症であり、これに治療可能な危険因子として高血圧、糖尿病、及び高コレステロール血症が含まれる(非特許文献10)。これら従来の危険因子に加えて、脳梗塞の発症には遺伝因子が重要である(非特許文献11)。遺伝因子に基づいて脳梗塞の危険を予測することができれば、治療によって改善できる危険因子をどの程度まで積極的に治療するかどうかを決定するために有効となる。本研究によって、日本人集団においては、CELSR1のrs6007897 (A→G, Thr2268Ala)とrs4044210 (A→G, Ile2107Val)が、脳梗塞の発症に有意に関連し、バリアント型G(Ala)アレルとG(Val)アレルが危険因子であることが明らかとなった。
【0042】
CELSR1(7回膜貫通型カドヘリン(cadherin, epidermal growth factor (EGF) laminin A G-type repeats (LAG) seven-pass G-type receptor 1))は、カドヘリンタンパク質のフラミンゴ・サブファミリーに属している。フラミンゴ・サブファミリーは、カテニンとの相互作用を有しない特殊なカドヘリンから構成される。フラミンゴ・カドヘリンは、原形質膜に局在しており、細胞外ドメインには、9個のカドヘリンドメイン、7個のEGF様繰り返し、及び2個のLAG繰り返しを含んでいる。また、このサブファミリーに特異的な性質として、7回膜貫通ドメインを有している。これらのタンパク質は、カドヘリンドメインが同種結合作用を示し、EGF様ドメインが細胞接着と受容体・リガンド相互作用を示すことにより、接触を介した情報伝達を行うリセプターとしての機能を持つと考えられている(Entrez Gene, NCBI:非特許文献12−14)。
【0043】
in situ ハイブリダイゼーション及び逆転写酵素PCR解析によれば、11.5日目のマウス胚では、神経管、脳、肺上皮及び発生期の眼瞼においてCelsr1が発現していることが示されている。成熟マウスでは、Celsr1の発現は、脊髄、眼、及び脳に認められ、主に側脳室・第3脳室・及び第4脳室の上衣細胞に検出された(非特許文献12)。Celsr1は、発生学的に調節された神経特異的遺伝子であり、初期胚形成に役割を有する(Entrez Gene, NCBI:非特許文献12)。CELSR1のエクソン17のrs4044210 (A→G, Ile2107Val)多型は、ホルモン受容体ドメインをコードする遺伝子領域に位置している。細胞外ドメインは、4個の遺伝的に保護されたシステイン残基を含んでおり、これらがジスルフィド結合を形成するらしい。このドメインは多くのホルモン受容体に存在することから、リガンド結合ドメインとして機能しているらしい(Entrez Gene, NCBI)。rs6007897とrs4044210の両多型がタンパク質の構造及び機能に対して与える影響については、明らかではない。CELSR1の遺伝子多型がヒトの疾患と関連したという報告は無い。
【0044】
今回の研究によれば、日本人集団においてLLGL2(lethal giant larvae homolog 2 gene)は脳梗塞に関連する候補遺伝子の一つであるが、集団Cにおいては、rs1671021(T→C, Phe479Leu)多型と脳梗塞との関連は認められなかった。この遺伝子は、ショウジョウバエの致死的巨大幼虫タンパク質(lethal (2) giant larvae protein)に類似するタンパク質をコードしている。このタンパク質は、非対称的な細胞分裂、上皮細胞極性の形成、及び細胞遊走に関係している(非特許文献15,16)。細胞の運命決定を行わせるショウジョウバエタンパク質の能力は、特殊なタンパク質キナーゼCによって調節されている(非特許文献16)。ヒトLLGL2タンパク質は、特殊なタンパク質キナーゼCを含む複合体タンパク質と相互作用し、有糸分裂細胞の皮質に局在している(非特許文献16)。LLGL2転写物の選択的スプライシングによって、タンパク質アイソフォームをコードする複数のmRNA変異体が形成される(Entrez Gene, NCBI:非特許文献15,16)。このタンパク質の構造及び機能に対して、rs1671021がどのように影響するのかについては、不明である。LLGL2の遺伝子多型についてもヒトの疾患と関連したという報告は無い。
【0045】
<結論>
脳梗塞に関連するとして特定された多型がタンパク質の構造や機能に対して如何なる影響を与えるかについては不明であるが、我々の研究の結果、日本人集団において脳梗塞に関連する遺伝子としてCELSR1が特定された。この遺伝子型を検討することによって、日本人集団における脳梗塞の遺伝的リスクを評価するための有用な情報が得られる。この結果に基づき、遺伝子多型を調べることにより、脳梗塞の危険性を知ることができる。
このように本実施形態によれば、脳梗塞について、遺伝的リスクを予測するための検出法を提供することができる。この実施形態を用いることにより、脳梗塞の予防が可能となり、高齢者の健康寿命延長・QOL向上・ねたきり防止ならびに今後の医療費削減など、医学的・社会的に大きく貢献できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0046】
【非特許文献1】Rosamond W, Flegal K, Furie K, Go A, Greenlund K, Haase N, Hailpern SM, Ho M, Howard V, Kissela B, Kittner S, Lloyd-Jones D, McDermott M, Meigs J, Moy C, Nichol G, O’Donnell C, Roger V, Sorlie P, Steinberger J, Thom T, Wilson M, Hong Y; American Heart Association Statistics Committee and Stroke Statistics Subcommittee. Heart disease and stroke statistics−2008 update: a report from the American Heart Association Statistics Committee and Stroke Statistics Subcommittee. Circulation. 2008;117:e25−e146.
【非特許文献2】Warlow C, Sudlow C, Dennis M, Wardlaw J, Sandercock P. Stroke. Lancet. 2003;362:1211−1224.
【非特許文献3】Gretarsdottir S, Thorleifsson G, Reynisdottir ST, Manolescu A, Jonsdottir S, Jonsdottir T, Gudmundsdottir T, Bjarnadottir SM, Einarsson OB, Gudjonsdottir HM, Hawkins M, Gudmundsson G, Gudmundsdottir H, Andrason H, Gudmundsdottir AS, Sigurdardottir M, Chou TT, Nahmias J, Goss S, Sveinbjornsdottir S, Valdimarsson EM, Jakobsson F, Agnarsson U, Gudnason V, Thorgeirsson G, Fingerle J, Gurney M, Gudbjartsson D, Frigge ML, Kong A, Stefansson K, Gulcher JR. The gene encoding phosphodiesterase 4D confers riskof ischemic stroke. Nat Genet. 2003;35:131−138.
【非特許文献4】Helgadottir A, Manolescu A, Thorleifsson G, Gretarsdottir S, Jonsdottir H, Thorsteinsdottir U, Samani NJ, Gudmundsson G, Grant SF, Thorgeirsson G, Sveinbjornsdottir S, Valdimarsson EM, Matthiasson SE, Johannsson H, Gudmundsdottir O, Gurney ME, Sainz J, Thorhallsdottir M, Andresdottir M, Frigge ML, Topol EJ, Kong A, Gudnason V, Hakonarson H, Gulcher JR, Stefansson K. The gene encoding 5-lipoxygenase activating protein confers risk of myocardial infarction and stroke. Nat Genet. 2004;36:233−239.
【非特許文献5】Yamada Y, Metoki N, Yoshida H, Satoh K, Ichihara S, Kato K, Kameyama T, Yokoi K, Matsuo H, Segawa T, Watanabe S, Nozawa Y. Genetic risk for ischemic and hemorrhagic stroke. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2006;26:1920−1925.
【非特許文献6】Yamada Y, Metoki N, Yoshida H, Satoh K, Kato K, Hibino T, Yokoi K, Watanabe S, Ichihara S, Aoyagi Y, Yasunaga A, Park H, Tanaka M, Nozawa Y. Genetic factors for ischemic and hemorrhagic stroke in Japanese individuals. Stroke. 2008;39:2211−2218.
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【非特許文献8】Itoh Y, Mizuki N, Shimada T, Azuma F, Itakura M, Kashiwase K, Kikkawa E, Kulski JK, Satake M, Inoko H. High throughput DNA typing of HLA-A, -B, -C and -DRB1 loci by a PCR-SSOP-Luminex method in the Japanese population. Immunogenetics. 2005;57:717−729.
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【非特許文献10】Goldstein LB, Adams R, Becker K, Furberg CD, Gorelick PB, Hademenos G, Hill M, Howard G, Howard VJ, Jacobs B, Levine SR, Mosca L, Sacco RL, Sherman DG, Wolf PA, del Zoppo GJ. Primary prevention of ischemic stroke: a statement for healthcare professionals from the Stroke Council of the American Heart Association. Stroke. 2001;32:280−299.
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【非特許文献12】Hadjantonakis AK, Sheward WJ, Harmar AJ, de Galan L, Hoovers JM, Little PF. Celsr1, a neural-specific gene encoding an unusual seven-pass transmembrane receptor, maps to mouse chromosome 15 and human chromosome 22qter. Genomics. 1997;45:97−104.
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【非特許文献15】Musch A, Cohen D, Yeaman C, Nelson WJ, Rodriguez-Boulan E, Brennwald PJ. Mammalian homolog of Drosophila tumor suppressor lethal (2) giant larvae interacts with basolateral exocytic machinery in Madin-Darby canine kidney cells. Mol Biol Cell. 2002;13:158−168.
【非特許文献16】Yasumi M, Sakisaka T, Hoshino T, Kimura T, Sakamoto Y, Yamanaka T, Ohno S, Takai Y. Direct binding of Lgl2 to LGN during mitosis and its requirement for normal cell division. J Biol Chem. 2005;280:6761−6765.
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】Luminex100で検出するマイクロビーズの微細構造と特徴を示す図である。
【図2】PCR−SSOP−Luminex法の手順の概要を示す図である。
【図3】rs1671021多型を含むLLGL2の連鎖不平衡ブロックを示す図である。
【図4】rs9615362多型を含むCELSR1の連鎖不平衡ブロックを示す図である。
【図5】rs753307多型を含むRUVBL2の連鎖不平衡ブロックを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LLGL2のrs1671021、CELSR1のrs9615362、RUVBL2のrs753307、CELSR1のrs6007897、CELSR1のrs4044210、RUVBL2のrs1062708のうちの少なくとも1個または2個以上のSNPを決定することを特徴とする脳梗塞の遺伝的リスクの検出方法。
【請求項2】
LLGL2のrs1671021、CELSR1のrs6007897、CELSR1のrs4044210、RUVBL2のrs1062708のうちの少なくとも1個または2個以上のSNPを決定することを特徴とする請求項1に記載の脳梗塞の遺伝的リスクの検出方法。
【請求項3】
CELSR1のrs6007897またはCELSR1のrs4044210のいずれか一方のSNPを決定することを特徴とする請求項1または2に記載の脳梗塞の遺伝的リスクの検出方法。
【請求項4】
CELSR1の4個のSNP(rs9615362、rs4044210、rs6007897、rs6008788)について、いずれか1個所のSNPの塩基に基づき、C (rs9615362)−A (rs4044210)−A (rs6007897)−A (rs6008788)またはA−G−G−Gのいずれかを決定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の脳梗塞の遺伝的リスクの検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−166844(P2010−166844A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11495(P2009−11495)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 提出物件は、三重大学が主催する「第1回 三重大学リサーチセンターシンポジウム 生活習慣病予防と健康長寿の実践に向けて」と題する研究集会において、2008年(平成20年)12月8日に本願発明が発表されたことを証明するものである。
【出願人】(304026696)国立大学法人三重大学 (270)
【出願人】(399077674)G&Gサイエンス株式会社 (21)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【Fターム(参考)】