説明

腐食を低減するために冷却プロセス領域をコンディショニングする方法および装置

【課題】ガラス表面に隣接する雰囲気中の水蒸気による、または水蒸気の存在下で生じるガラス表面の腐食を低減または遅延させる。
【解決手段】本発明は、冷却プロセスの少なくとも1つの部分領域をコンディショニングするための方法であって、1)少なくとも1つのコンディショニング用ガスを用いるコンディショニングを、水の存在下で腐食し得る成形体の少なくとも一つの表面上に、少なくとも冷却プロセスの一部の間、行う工程と、2)少なくともコンディショニング用ガスが冷却プロセス領域に入る際および/またはコンディショニング用ガスが成形体表面に当たる際に、コンディショニング用ガス内絶対含水量を最大でコンディショニング用乾燥ガス1kgにつき6gの水分の範囲に調整する工程とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも冷却プロセス領域のサブ領域をコンディショニングする方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フロートガラスプロセスとして知られる製造プロセスは、実際のところ板ガラスの製造用であることはよく知られている。本プロセスでは、まず、1バッチのミネラルガラス原料を、加熱したガラスタンクまたは溶融炉で溶融して溶融ガラスを連続的に製造する。この溶融ガラスは通常SiOに加えてAlO、CaO、MgO、NaO、およびKOさらに場合によってはFeOおよびTiOまたはSOから成る。この溶融ガラスを、液体スズを含むスズめっき槽上に注入すると、重力および表面力下、ガラスリボンまたはガラスフィルム状にスズめっき槽上に均一に展開する。ガラスリボンまたはガラスフィルムはこの液体金属上に浮かぶ(フロートする)。このことから、このゾーンはフロートゾーンとしても知られる。スズめっき槽上の温度は、初めは通常約1000°Cである。次いで、引き続きスズめっき層上にあるガラスリボンを約600°Cから700°Cに冷却してから、縁部に配置したローラーを用いてスズめっき槽から引き出す。
【0003】
次いで引き出したガラスリボンは、冷却炉と冷却部とからなり、アニール徐冷がまと呼ばれる冷却設備内をベルトコンベヤーで運ばれる。冷却設備内では、ガラスが比較的ゆっくりと冷却するように制御されており、これによってガラス内で内部応力が熱的に誘起されるのを避ける。このプロセスは、アニーリング(焼きなまし)としても知られる。このプロセスが行われる理由は、通常、ガラスリボンの内部よりも平面側のほうがより早く冷却されること、またこうした高い温度勾配がガラス内に作り出す応力が、具体的にはその後、個々のペインに切断する間にガラスリボン内の亀裂や割れにつながるためである。アニーリングの間、温度プロフィールは、温度センサおよび温度コントローラを用いた制御を受けて正確に維持される。これによって具体的にはガラスリボン内温度勾配は低水準に保たれ、ガラス中で応力除去プロセスが生じる。例えば、このガラスは通常アニーリング温度として知られる温度にまで冷却され、規定の期間、この温度に保たれる。この保温期間はガラスのタイプ、ガラスの厚さ、熱膨張係数、および望ましい残留応力に依存する。このアニーリング温度において、内部応力を低下させるため、ガラスで応力緩和プロセスが生じる。次にガラスを所定の温度勾配で再び冷却する。冷却部通過後、個々の板ガラス単位は移動するガラスリボンから分離され、さらに加工また輸送するまで保管部に保管される。この全フロートガラスプロセスは、実際、連続的に行われる。例えばガラスリボンならスズめっき槽から連続的に引き出されて、そこから製造される対応量のガラスバッチおよび溶融ガラスが加えられる。
【0004】
ガラス溶融プロセスの間は、ガラスタンク内での高い溶融温度におけるバッチ反応の結果、開始物質からガラスが形成される。このプロセスはまた「バッチフリー時までの溶融」ともいう。このバッチフリー時までの溶融プロセスの結果、非常に不均質な溶融物が得られる。この溶融物内の、ガラス主要成分であるSiO濃度は飽和濃度から少なくとも所望濃度の範囲内である。さらに、この溶融物は、数多くの気泡を含み、これらは各種反応ガスや空洞内に含まれるガス、具体的には空気または水蒸気を含む。したがって、「シードフリー(泡が無くなる)時までの溶融」として知られる期間中に形成した気泡を精製プロセスにて排除する。具体的には精製の間に要求されるガスの過飽和を実現するのに好適な精製剤を用いて気泡を排除し、次に均質化を行って溶融物を分離する。この分離プロセスの終了時、溶融物をスズめっき槽上へ注入し、ガラスリボンを形成する。
【0005】
EP1 285 887 A2では、フロートガラスプロセスを開示しており、このプロセスにおいては、ガラス溶融炉の溶融ゾーン内にて、燃料および複数のバーナー中に少なくとも80容量%の酸素を含む酸素富化酸化ガス(または:ガス状酸化剤)の燃焼によって発熱を行い、ガラス原料から溶融ガラスを製造する。ここでいう燃料は通常メタン、プロパン、油、および水素である。溶融ガラスをタンク内の溶融金属(一般的には、溶融スズ)表面上に流し込み、拡げる。このプロセスでペインまたはガラス板(板ガラス)を形成する。次に、この板ガラスを火なし精製ゾーンまたはシードフリー時まで溶融するためのゾーン内に移し、燃料や酸化剤の燃焼を行わずに冷却する。酸素富化燃料ガスの使用は、一般的に20から21容量%の酸素を含む空気の燃焼に比べて、効率がより高い、精製反応が改良されている、温度がより高い、ガス容量がより低く、また粒子や窒素酸化物の形成が少ない、といった利点がある。しかしながら、酸素富化酸化ガスで燃やすガラス溶融炉雰囲気中水蒸気濃度が50−65容量%に上昇するのに対して、空気/燃料混合物で燃やす炉内水蒸気濃度は15−20容量%に上昇する。EP1 285 887 A2ではさらに、この雰囲気中のより高い水蒸気圧は、精製プロセス間に形成される水蒸気で満たされた小気泡が溶解することなく最終生成物に残るという効果を有し、その結果としてより高いスクラップ発生率が認められることが記載されている。
【0006】
この問題の解決方法候補として、EP1 285 887 A2では脱離を要する小気泡を含む領域内のガラス表面の水分の分圧低減を検討している。すなわち、その出口付近の炉内に空気を吹き込むことによって、燃焼生成物、特にガラス表面水分濃度を低下させようとするものである。しかしながら、この解決方法候補には欠点がいくつかある。具体的にはエネルギー効率の減少、酸化窒素放出量の上昇、また炉を離れるガス量の上昇があげられる。
【0007】
したがって、EP1 285 887 A2においてよりよい解決方法として提案されているのは、酸化ガスの一部を燃焼前に精製ゾーンまたは炉の出口に近い領域内を通過させ、その際の速度は16.6m/sを下回る十分に低い速度とし、酸化ガスとその上方ガスとの混合を避ける、というものである。通過させる酸化ガス流は、精製ゾーン内の溶融ガラス表面における雰囲気中の水蒸気含有率を25容量%未満にまで低下させる。EP1 285 887 A2ではさらに、ガラスと化学的に反応しないその他いずれの乾燥ガス、具体的には空気、燃料ガスでも、または二酸化炭素でも、酸化ガスの代わりに水蒸気除去に使うことができた、としている。
【0008】
板ガラスの熱アニーリングまたは応力除去冷却用冷却炉またはトンネル炉が公表済の文献であるEP1 206 422 B1に開示されており、この炉内においてガラスリボンは連続した3つの冷却ゾーン:冷却前ゾーン(A)、冷却ゾーン(B)および冷却後ゾーン(C)を通過する。通過するガラスリボンを放射熱交換によって冷却する、空気冷却熱交換器群を各冷却ゾーン内に配置する。温度を測定し、この熱交換器群を流れる冷却空気を制御することによって、個々の冷却ゾーン内の温度を制御し、輸送方向に浅い負の空間温度勾配(開始温度約600°Cから約360°Cに低下し、冷却前ゾーンにおける温度勾配の強さが冷却ゾーンや冷却後ゾーン内より低い)が得られる。冷却後ゾーンの下流には、さらなる冷却ゾーン(DおよびF)を有する冷却部を備え、ここでガラスは空気対流による直接冷却によってさらに周囲温度にまで冷却される。したがって、冷却炉またはトンネル炉において、周辺空気が熱交換器群を経由して非直接的冷却媒体としてのみ作用し、また冷却が放射熱交換によって起きるのに対して、続く冷却部(EP1 206 422 B1 においては最後の2つのゾーン(D、F)に対応する)においては、周辺空気が直接冷却媒体としてガラスリボン上を直接通過するよう供給される。主要ゾーン(A、B、C)間の中間ゾーン(XおよびY)においては、望ましくない方法、例えば正の温度勾配が起きるなどによってガラスが再加熱されうる領域が存在する。こうした問題を避けるために、中間ゾーンを含んで冷却炉全体に伸びる熱交換装置の利用が提案されている。この熱交換装置内には、温風を放出して温度制御を行う排出口、さらには供給される周辺空気量制御のためのバルブがある。
【0009】
2003年3月18日付けのインターネットのページ(www.energie-industrie.de)では、ドイツ、マインツのスコットグラスプラント(Schott Glas plant)における、化石燃料で加熱するガラス溶融タンク内エネルギー回復または廃熱利用方法について開示されている。第一工程では、利用されずに燃焼ガス内に含まれる熱をガラスタンクからの高温オフガス流として用い、燃焼空気を予熱する。第二工程では、引き続き存在するこの熱エネルギーを用いて熱水を生成し、これによって暖房やプラントへの熱水供給などに要する全熱需要をまかなう。熱需要は季節的な理由で夏に低いが同時に空調冷却需要が高まるので、この熱を吸収冷却機を用いた空調冷却生成に利用することが望ましいとされる。3台の臭化リチウム吸収冷却機がこの目的に利用されている。1台は外部温度が0°Cを上回ると作動を開始し、3台の吸収冷却機はすべて外部温度が26°Cを上回ると作動を開始する。
【0010】
同インターネットページにはさらに、ゲルメルスハイムのヘルマンハイエ(Hermann Heye,Germersheim)によるガラス溶融プロセスにおいて生成される廃熱を利用する方法が記載されている。この場合についても、廃熱の一部を利用して、2段階伝熱式熱交換器を用いて燃焼空気を予熱する。周辺空気は周囲温度から約800°Cに予熱されてから、燃焼用に供給される。残る残留熱は約730°Cの温度のボイラー設備に供給され、ここで蒸気が生成され次いで復水タービン内にて電気エネルギーに変換される。こうしてプラント内で使用する電気を発電する。引き続き約145°Cの温度を有する残留廃ガスは、フィルター設備を経て積層物内に到達する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
実際に知られる1つの問題として、フロートガラスプロセスを用いて製造する板ガラス表面の質のバラツキがあげられる。冬期に比して夏期は質が劣化し、スクラップ発生率が上昇する。質的問題は具体的にはシリカ様組成物によるゲル層形成を引き起こし、これは更なる加工、具体的にはガラスの仕上げまたは塗装における破損につながる。質的問題はまた、ガラス表面の溶出および腐食にもつながる。こうしたガラス表面の問題は主にガラスペインの雰囲気側(例えばスズめっき槽内でスズに面しない側面)にて生じる。上述した各種の現象は本願において全体的に統一した用語「腐食」とし、これはガラス表面構造または組成を、隣接する雰囲気との反応を通じて変性させる物理的または化学的プロセスを全て含むことを意図する。
【0012】
雰囲気ガスすなわち酸素、窒素、および二酸化炭素との反応に加え、具体的には雰囲気からの水分とガラスとの反応も関連している。現在の知識によると、ガラス表面にてガラスと反応する水蒸気は、ガラス表面におけるアルカリ金属イオン濃度の上昇につながるとともに、対応するアルカリ金属水酸化物またはあくの形成につながり、これはガラスを腐食(浸出)させる。さらに、シラノール基として知られるものが形成され、これによってガラスの光学的および機械的特質が変性する。具体的には変色したり、ガラスペイン内部よりもガラス表面が軟化したりし、このために再びゲル層形成の可能性が生じる。ガラス腐食の正確な化学的物理的機所はいまだにすべて明らかになってはいない。
【0013】
ガラス腐食には、重要な欠点が多数ある。例えば、保管部内のガラスペイン取扱い時に、ガラスペイン表面のゲル層上にサッカー(sucker)によるサッカー跡が形成されてしまうことがある。さらに、ガラスペイン保管中に、大気湿度およびガラス表面上水分の凝縮によって、腐食が引き起こされ、ペインスタック(堆積物)の中で互いに支えあうペインが互いにくっついてしまうようなゲル層が形成されてしまうこともある。したがって保管部内では、以下を確実に行う。すなわち、スペーサの助けを借りてガラスペインがスタック内で確実に間隔を空けるようにし、ガラス板同士の間の空気を絶え間なく循環させ、保管室内温度は可能な限り一定に保ち、さらに湿っぽい大気が保管用建造物に浸透することを防ぐ。またその他のガラス腐食の問題として、ゲル層上または腐食層上の塗装または仕上げ時に欠陥や質の欠如が生じ得るといったことがある。
【0014】
いったんガラスに腐食が生じると、基本的に不可逆でありガラス表面に累積する。腐食の発生は腐食した表面層の除去によってのみ排除が可能である。ガラスペインは通常、塗装されており、これによってガラス腐食の進行をくい止めることができる。したがって、実際、ガラスを塗装するまでの保管期間と輸送時間はできる限り短く保つか、あるいはガラス製造プロセスの直後、下流の塗装設備を用いて早急に単一プロセスにて塗装を行う。
【0015】
EP1 285 887 A2またはEP1 206 422 B1においてガラス表面腐食の問題は検討も解決もなされていない。
【0016】
本発明は、現在、ガラス表面に隣接する雰囲気中の水蒸気による、または水蒸気の存在下で生じるガラス表面の腐食を低減または遅延させるために用いることができる方法および装置を提供するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の特徴を有する方法および請求項35に記載の特徴を有する装置によって達成される。
【0018】
請求項1に記載の方法は、冷却プロセス領域の少なくともサブ領域をコンディショニングすることに好適であり、かつ、これを意図しており、冷却プロセスの間、形状化プロセスにおいて、好ましくは溶融物から形状化した少なくとも1つの形状化体を所定かまたは予め定めることが可能な(空間的および/または時間的)温度プロフィールにしたがって冷却し、このとき熱的に誘起された機械的ストレスを形状化体内にて低水準に保たれることを特徴とし、
1)少なくとも1つのコンディショニング用ガスを、水分の存在下で腐食し得る形状化体の少なくとも一つの表面上を、少なくとも冷却プロセスの一部の間、通過させる工程と、
2)具体的には少なくともコンディショニング用ガスが冷却プロセス領域に入る際および/またはコンディショニング用ガスが形状化体表面に当たる際に、コンディショニング用ガス(コンディショニング変数としての)内の絶対含水量を、最大で所定かまたは予め定めることが可能な限界値までの範囲に設定(または制御)する工程、とを含む。
【0019】
請求項35に記載の装置は、形状化プロセスで好ましくは溶融物から形状化した少なくとも一つの形状化体を冷却するための冷却プロセス領域の少なくともサブ領域を、熱的に誘起された機械的ストレスを形状化体内で低水準に保ちながら、所定かまたは予め定めることが可能な温度プロフィールに従ってコンディショニングすることに好適であり、かつ、これを意図しており、好ましくは本発明による方法を行うための装置でもあり、少なくとも1つのコンディショニング用ガスを、最大で所定かまたは予め定めることが可能な絶対含湿量の限界値まで乾燥させるための少なくとも1つの乾燥装置と乾燥済コンディショニング用ガスを少なくとも1つの乾燥装置から冷却プロセス領域に通過させる少なくとも1つのコンディショニング用ガス装置とから成る。
【0020】
本発明は、ガラス腐食が最初に生じるのは保管または輸送期間中ではなくむしろガラスがまだ冷却炉、すなわち冷却部内にある間に発生するものであり、この段階でかなりの腐食量になること、またこのことはガラスの冷却中、周辺空気供給の結果、冷却プロセスに多量の湿気が頻繁に導入されて腐食の問題に至るためであること、という驚くべき新発見に基づく。この新発見に基づいて、本発明はまた、コンディショニング済ガス、特にコンディショニング済空気供給の検討にも基づく。具体的には、所定かまたは予め定めることが可能な限界値未満の絶対含水量を有するコンディショニング済ガスを、溶融物から製造したガラスの応力除去冷却の間(例えば、アニーリングの間)に供給し、これによって腐食の恐れがあるガラス表面の水蒸気含有量を低水準に保つものである。この方法で、ガラスの腐食をかなり低減することが可能である。コンディショニング用ガス内絶対含水量の限界値は好ましくは冷却プロセスの間の所望の最大腐食程度または腐食の最大許容増加値(腐食の増加)と一致する。
【0021】
これは当該専門分野で求められて久しい要望に応えるものである。すなわち、もはや夏と冬で品質の異なるガラスが製造されることがなくなる上に、むしろガラス表面の品質は、水分による腐食に関して事実上1年を通じて一定かつ改良されたものとなる。サッカー跡または塗装上の欠陥などのガラス腐食に関連する欠陥は回避され得るかまたは少なくとも低減され、ガラスの保管能力は改善される。本発明によるコンディショニングを利用すれば、ガラス表面に塗装を施すことなく腐食から保護することが可能である。本発明は全てのガラス形状化体に適用可能であり、具体的には板ガラスおよび中空ガラス体に適用可能である。
【0022】
本発明はまた、ドライコンディショニング(dry conditioning)用ガスを用いて表面をコンディショニングするプロセスがガラス製造に好適であるだけではなく、アニーリングを施したり隣接する雰囲気中の水分との反応の結果、その表面上の構造または組成が変化させる、例えば鋼などの全ての素材または加工製品の製造にも好適である、という考察にも基づく。したがって、本発明による冷却プロセスまたは製造プロセスの終わりに確立できる加工製品の腐食程度は、本プロセスの雰囲気を少なくとも一部のプロセスの間コンディショニングすることによって、所定値未満に保たれるはずである。
【0023】
該方法および該装置の有益な配置、改良、および適用は、それぞれ請求項1および請求項35に従属する請求項から明らかである。
【0024】
通常、冷却プロセス領域は冷却炉および/または冷却部から成り、コンディショニング用ガスは次いで、少なくとも冷却炉のサブ領域および/または冷却部内の形状化体に供給される。コンディショニング用ガスが通過する冷却プロセス領域内の領域は形状化体の表面近くの領域および冷却プロセス領域全体から選択してもよい。
【0025】
ある有益な実施態様においては、使用するコンディショニング用ガスは空気または少なくとも空気の組成におおよそ一致する組成のガス、好ましくは冷却プロセス領域の外側に位置する環境からの周辺空気および/または冷却プロセス領域を囲む建築物の外側にあたる外部環境からの周辺空気である。この場合の周辺空気は好ましくは吸引してからろ過する。しかしながら、異なる組成を有するコンディショニング用ガス、具体的にはより高い割合の不活性ガス(例えば二酸化炭素、窒素、またはアルゴンなどの希ガス)を用いること、および/またはさらなるコンディショニング変数としてのコンディショニング用ガスの組成を設定または変性することもまた可能である。
【0026】
また、好ましくは、さらなるコンディショニング変数として、コンディショニング用ガスの純度を、具体的にはろ過によって制御または設定する、および/またはコンディショニング用ガスの温度を、具体的にはプロセス領域における温度範囲を5°Cからプロセス温度の範囲に制御または設定する。
【0027】
該または各コンディショニングガス流の平均流速は、好ましくは約5m/sと約20m/sの間に設定する。通常、コンディショニング用ガス流は実質的に安定(時間非依存)している。
【0028】
ある変形態様においては、このコンディショニング用ガスをあるプロセスで一度だけ用い、複数のプロセスで用いた後にこれを周囲の環境に放出する。また別の変形態様においては、コンディショニング用ガスに回路を通過させ、プロセスで使用後に回路を通過する度に乾燥させる。
【0029】
特に有益な態様においては、本発明による方法を複数の形状化体の製造方法に展開または利用する。すなわち、本発明による方法を実施することで、溶融プロセスにおいて少なくとも1つの原料を溶融物に変換し、形状化プロセスにおいて少なくとも1つの形状化体を溶融物から形状化し、この/これら形状化体を、少なくとも1つの冷却プロセス領域において冷却して、冷却プロセス領域の少なくともサブ領域内をコンディショニングする。
【0030】
この形状化体は好ましくはガラスから製造する。形状化プロセスの間、好ましくは溶融ガラスを、液体担体の媒質、具体的には液体金属、好ましくはスズに適用し、また、平らな形状化体を、液体担体の媒質表面上に、ガラス層またはガラスリボンの形に形成する。次いでこの平らな形状化体は通常、この担体媒質から取り除き(transported off)、冷却プロセスまたは冷却システムに供給する。
【0031】
ある産業プロセスにおいては、好ましくは連続した形状化体または形状化体を連続的に溶融物から製造したり、冷却プロセス後に形状化体を個々の形状化体に切断または分割する。
【0032】
特に好ましい態様において、これら形状化体、具体的には、形状化ガラス体の腐食程度を低めるため、この冷却プロセス領域を可能な限り保存または維持するかまたは少なくともこの腐食程度の上昇を制限するためにコンディショニングした結果、冷却後であっても、ドライコンディショニング用ガス、具体的には乾燥プロセス空気を用いた形状化体のコンディショニングを続け、実質的に水分の作用から保護することに成功した。こうした性質のその後のコンディショニングは、ドライコンディショニング用ガスを、保管部内および/または輸送(例えば台車または容器内)の間および/またはこれら形状化体のさらなる加工または処理(具体的には塗装、仕上げおよび/または複数の積層体形成のための加工)の前または間に、これら形状化体表面上または形状化体表面全体に通過させることによって成立させることができる。
【0033】
しかしながら、ドライコンディショニング用ガスを用いるコンディショニングはまた、形状化体の冷却前、具体的には形状化プロセスの間、溶融プロセスの間に、および/または溶融する原料のために行っても有益である。
【0034】
例えば、ドライコンディショニング用ガスは、溶融プロセス間に燃料を燃焼、具体的には酸化して原料を加熱するための燃焼プロセスに用いることができ、また具体的には複数のバーナーに供給して燃料を燃焼するのに用いることができる。燃焼プロセス間にさらに形成された水分を考慮に入れたとしても、溶融物表面または溶融物からゆっくりと固化する形状化体表面上の燃焼雰囲気中の水分の影響は低減され、これによって原料の特性が改善される。このようにして、具体的には表面張力上に好ましい影響を及ぼし、結果として気泡の形成を低減することが可能である。少なくとも発泡限界下流の複数の後部バーナーは乾燥プロセス空気を用いて操作すべきである。さらに、ドライコンディショニング用ガスは、溶融物表面全体および/または形状化体(または複数の形状化体)の少なくとも1つの表面全体を少なくとも形状化プロセスの一部の間、通過させることができる。具体的には、EP1 285 887 A2(序文にて引用)に開示のプロセスにおいて、コンディショニング用ガスを、溶融炉の精製ゾーン内ガラスリボン全体に、通過させるのに使用できる。さらに、ドライコンディショニング用ガスを、溶融プロセスの前に、原料(または複数の)またはバッチ全体または原料(または複数の)またはバッチ内を通過させることもまた可能である。
【0035】
少なくとも1つのコンディショニング装置は、好ましくはコンディショニング用ガスを供給するための供給手段とコンディショニング用ガスの出口として冷却プロセス領域内に配置されているかまたは開口する少なくとも1つの出口用開口部とから成り、この場合、供給手段は少なくとも1つの出口用開口部に流れ接続しているかまたは流れ接続が可能である。
【0036】
前記文献では湿潤空気または一般的な用語で湿潤ガスに関係する物理的変数について矛盾した用語を採用しているので、本願における定義とその関係の意味するところをここで簡単に説明する。
【0037】
コンディショニング用ガスの水分含有量は、いまだ不飽和の状態においては、実質的に水蒸気(または気体の状態において含湿量や水分含有量)から成り、また過飽和状態においては、さらにコンディショニング用ガス(例えば液状の水分)内に混入しているかまたは浮遊している水滴をも含む。飽和または随伴飽和圧および一定の温度下で、いかなる所定容量においても液体とその蒸気間の平衡状態が優勢となる。
【0038】
絶対水蒸気含有量または含有湿度Xは、コンディショニング用ガス内に含まれる水蒸気の質量(蒸気質量、例えばグラム(g)で測定)と、残留ドライコンディショニング用ガスの質量(乾燥ガス質量、通常kgで示す))とから得る商に一致する。この質量は両方とも、同じガス容量(例えば1立方メートル(1m))で、かつ同じ温度、同じ圧力で測定する。したがって、絶対蒸気含有量または含有湿度Xは無次元変数である。
【0039】
相対水蒸気含有量または相対含水量φは飽和状態に基づいており、所定温度における水蒸気の部分密度または濃度(例えばg/mで測定)と、同じ温度で、水の飽和分圧に到達するように設定してあるかまたは到達するように設定する水蒸気の飽和分圧(同様にg/mで測定、水で飽和するコンディショニング用ガスにかかる)とから得る商として定義される。相対含湿量もまた、現在の蒸気分圧と、飽和蒸気分圧とから得た商に一致する。相対含湿量は無次元変数であり、通常はパーセント(%)で表す。準飽和状態の相対含湿量は100%未満であり、飽和状態では100%となる。所定の含有湿度または絶対含湿量を有する、空気などの気体の相対含湿量は、同じ圧力下では、温度の上昇に伴い減少する。同じ相対含湿量および同じ圧力であれば、気体は必ずより低い温度よりもより高い温度にて、より高い湿度を有する。したがって、より暖かい気体はより冷たい気体よりも多くの湿気を取り込む。
【0040】
コンディショニング用ガス、具体的にはコンディショニング用空気の絶対含有湿度は、特に有益な態様において、0.006未満であるかまたは最大で0.006と等しい値(例えば、1キログラムまたは1000グラムの乾燥ガスにつき6グラムの水分(X≦0.006))に保たれる。このことは冷却プロセス領域のコンディショニングに適用されるが、好ましくは、上述のさらに他の複数のプロセス領域のコンディショニングにも適用される。
【0041】
この、絶対限界値としての最大絶対含有湿度X=0.006は、25°Cで30%、32°Cで20%、または45°Cで10%の相対含水量または相対含湿量の限界値と一致する。設定する相対または絶対含水量に関しては、コンディショニング用ガスは通常プロセス領域内で再び湿気を取り込むことから、一般的にコンディショニング用ガスのプロセス領域への進入について考慮を要する。こうしたコンディショニング用ガスの乾燥度合いまたは低い含水量によって、複数の形状化体表面雰囲気中の含水量を、コンディショニング済プロセス領域内ガラス表面の腐食をほぼ完全に避ける程度に、減少させる。
【0042】
コンディショニング用ガスを乾燥するために、例えばコンディショニング用ガスから湿度を取り除くために特に有益な態様においては、コンディショニング用ガスを乾燥(冷却乾燥、凝縮乾燥)させるために、冷却回路または冷却機を用いて冷熱を生成し、これによってコンディショニング用ガスから水分を凝縮する。具体的には、コンディショニング用ガスを乾燥させるために使用できる冷却機として、圧縮冷却機および/または吸収冷却機があげられる。
【0043】
冷却機は、冷却したい領域から解放領域へ熱を散逸させる。この目的のため、ほとんどの冷却機においては、冷却したい領域と熱交換を行う蒸発器内で冷媒を蒸発させる。こうして、蒸発エンタルピーまたは冷媒の蒸発に要する熱量を冷却したい領域から引き出す。次いで、解放領域と熱交換を行う復水器または液化機内に、冷媒を再放出すると、蒸発エンタルピーに対応する熱が再び自由になり、解放領域へ解放される。次に液化冷媒を再び蒸発器に供給して、この循環を始めから再開する。温度は通常、冷却したい領域よりも解放領域において高いので、このネガティブな温度勾配を克服するため、冷却機は動作エネルギーを要する。
【0044】
圧縮冷却機の場合、すなわち圧縮機は蒸発器から冷媒蒸気を吸引し、圧縮し、復水器に供給し、通常、電気エネルギーで動作する。このように冷媒蒸気にかかる圧力の上昇によって、蒸発エンタルピーに対応する熱エネルギーと復水器内解放領域に解放される圧縮エネルギーとの両者によって蒸気が液化される。圧縮中に復水器内の圧力を高めるため、凝縮した冷媒はスロットリング部を経て蒸発器に再供給する。
【0045】
吸収器回路を有する吸収冷却機の場合、冷媒としての液体または気体を、吸収器内の溶媒としての(更なる)液体中に吸収する。次いで熱的動作エネルギーとしての熱、例えば溶媒としての臭化リチウムおよび冷媒としての水からなる系または溶媒としての水および冷媒としてのアンモニアから成る系を供給することによって、ボイラーまたは放出手段内のこの液体から冷媒を再分離または再脱離する。冷媒の蒸発点または沸点は、溶媒よりも低い。蒸発器内で生成される冷媒蒸気は、吸収器に供給され、溶媒中に吸収される。溶媒と冷媒の溶液は、溶液ポンプでボイラーに送り込まれる。ボイラーに到達すると、熱供給によって冷媒は溶液から除かれ、除かれた冷媒蒸気は復水器に供給され、ここで液化される。このとき、復水器周辺環境に熱が放出される。その後液体冷媒は蒸発器に戻る。
【0046】
続いて、乾燥させるコンディショニング用ガスは通常、冷却させるか冷却してある冷却機の領域内に導入され、このガスは、例えば、コンディショニング用ガスの給気ライン内に接続されている熱交換器内にて、蒸発器と熱交換を行う。凝縮して壁上に析出する水分は、具体的には凝縮物コレクタに回収し、一定の間隔をおいてかまたは連続的にポンプで送り出す。引き続きコンディショニング用ガス内に混入している水滴状の凝縮水分は好ましくはそれ自体が周知である水滴分離器内で分離し、形成された凝縮水分は同様に除去する。
【0047】
次に、乾燥済コンディショニング用ガスは、好ましくは、例えば更なる熱交換器またはコンディショニング用ガスのための給気ライン内に接続されている加熱装置内にて、所望のコンディショニング用温度に加熱し直す。
【0048】
さらにまたは代わりに、吸着性、吸収性、または吸湿性材料(例えば、シリカ)に吸着もしくは吸収または取り込まれている水蒸気によって、コンディショニング用ガスを乾燥させ、次いで、具体的には再生装置を用いて、再生または放出することが可能であり、このとき好ましくは、熱エネルギーとしてプロセス廃熱を利用する。
【0049】
また各種乾燥方法、例えばベースロード(base load)として吸収冷却機(または複数の吸収冷却機)を用いた乾燥ならびに圧縮冷却機(または複数の圧縮冷却機)および/または更なる乾燥または引き続いて乾燥させるための吸湿性材料を用いた追加乾燥を組み合わせることもまた、可能である。
【0050】
コンディショニング用ガス内含湿量を変化させるのにどのようなエネルギーを要するのかについての技術的検討のために不可欠な変数は、湿潤ガスのエンタルピーhであって、乾燥ガスエンタルピーhgと、蒸気のエンタルピーhdとから成る。乾燥ガスエンタルピーhgは、温度Tと乾燥ガスの比熱cgの積におおよそ一致する。蒸気のエンタルピーhdは、温度Tと蒸気の比熱cdの積の合計におおよそ一致する一方、さらに蒸発エンタルピーにおおよそ一致する。
【0051】
実際、その含有湿度Xに対して湿潤ガス(通常は湿潤空気)のエンタルピーhをプロットするモリエ線図として知られるものを大変よく用いる。モリエ線図においては、横座標上で含有湿度Xを、座標上で温度Tを読み取ることもできる。等温線は、直線である座標上の対応する温度に始まって、温度と共に上昇する傾斜で示される。さらに、モリエ線図には等エンタルピー線が含まれ、これは右下方に走る並行直線でネガティブな蒸発エンタルピーの傾斜を有する。モリエ線図にはさらに、同一の相対含湿量φを示す凸状のパラメーター曲線、最下方に位置するφ=100%の飽和曲線、φ<100%の曲線、例えば、この飽和曲線より上に位置する準飽和領域、およびこの飽和曲線より下に位置する過飽和領域またはかぶり領域が含まれる。
【0052】
具体的には、モリエ線図は、例えば、冷却回路内にて、コンディショニング用ガスの含有湿度Xを所望どおりに低減させ、これによってコンディショニング用ガス内対応相対含湿量を得るために、どのような温度差やエネルギーまたは出力が順に必要となるかを明らかにする。
【0053】
周辺空気をコンディショニング用ガスとして用いる好ましい態様においては、周辺空気を環境から吸引し、含まれる異物はフィルターで除去されるが、各種の適用(具体的には以下の数値例)をモリエ線図から引き出すことができる。
【0054】
周辺空気がはじめに30°Cの温度で相対含湿量φ=60%を含む場合(夏季に考えられる気象条件)、湿潤空気の(絶対)含有湿度Xは乾燥空気約1kgにつき水分0.017または17gである。
【0055】
次いでこの絶対含湿量を0.006(例えば空気1kgにつき水分6g)に減らしたい場合、空気を約6.5°Cに冷却し、凝縮した水分を除去した後に、追加の湿気を取り込まずに、元の温度30°Cに加熱し直す。すると絶対含湿量Xは(引き続き)0.006であり、相対含湿量φはおよそ24%に降下する。このプロセスに要するエンタルピーは約27kJ/kgであり、ゆえに少なくとも27kJ/kgの湿潤空気の対応熱量を冷却機が利用できるようにしなくてはならない。
【0056】
仮に別の例で、周辺空気温度35°Cおよび約X=0.024の含有湿度に対応する相対周辺空気含湿量φ=65%を出発点とするならば、同様に絶対含湿量X=0.006にまで乾燥するには、エンタルピー差73kJ/kgを要する。
【0057】
コンディショニング用ガス流、具体的には周辺空気の流量は、主として10,000から500,000m/hの範囲から選択してよい。
【0058】
所定空気量の脱湿に要する冷却能力は、その関係に従って算出できる。すなわち冷却能力は空気密度、エンタルピー(差)、および流量の積である。空気中含湿量X=0.024からX=0.006に脱湿する上述の例においては、例えば流量10,000m/hで冷却能力0.24MW、流量100,000m/hで冷却能力2.43MW、流量250,000m/hで冷却能力6.08MW、流量500,000m/hで冷却能力12.16MWを要すると考えられる。
【0059】
経済的に発展可能なやり方でかつ具体的には比較的大量の空気を使って、こうした非常に高い冷却能力を利用可能にするために、特に有益な態様においては、溶融プロセスおよび/または形状化プロセスおよび/または冷却プロセスからのプロセス廃熱から熱回収を行う。好ましくは、コンディショニング用ガスの凝縮乾燥のための冷却回路または冷却機(または複数の冷却機)の動作エネルギーとしてプロセス廃熱を用いる。例えば、直接、吸収冷却機または再生加熱装置において熱エネルギーとして用いたり、あるいは発電機によって圧縮冷却機のための電気エネルギーに変換して用いる。
【0060】
あるプロセス領域もしくは該プロセス領域のコンディショニングおよび/または形状化体(または複数の形状化体)全体にコンディショニング用ガスを通過させるかまたは流すことは、全ての態様において連続的に(例えば実質的に中断無しで)かまたは断続的に(例えば、複数の中断をはさんでかまたは特定のコンディショニング用間隔もしくはコンディショニング用段階をもって)行われる。
【0061】

具体的には、一つかそれ以上の形状化体を容器または入れ物またはシース(sheath)内(例えば、圧縮してはめるプラスチックフィルムが好ましい)に気密状態に密封または封入することができる。また、入れ物またはシース内の気体雰囲気を予め乾燥させたり、あるいは、具体的には上述のコンディショニング中の限界値に従って、低絶対または相対含湿量に設定することができる。これはとりわけこれら形状化体をより長い距離にわたって輸送する場合に有益である。適宜、浸透した湿気をすべて除去すべく、入れ物またはシース内雰囲気を折々に置換するかまたは再コンディショニングすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
完全にコンディショニングした板ガラス製造プロセスまたはこの板ガラスプロセスに基づく装置の模範的な態様に基づいて、本発明を以下により詳細に説明する。したがって、図表を使った概略図の形でプロセス/装置全体を示す図のみを参照して説明する。
【0063】
バッチ供給装置2は、ミネラルガラス原料のバッチをガラス溶融装置(またはガラス溶融タンク)3内のバッチフリー時まで溶融するための領域30に供給する。バッチフリーの状態になるまで溶融するための領域30内では、バッチを溶融してバッチの無い(バッチフリー)溶融物を形成する。ガラス溶融装置3の、シードフリー時まで溶融するための後続領域31において、ガラス溶融物(シードフリー溶融物)を精製する。ガラス溶融装置3、具体的にはシードフリー時まで溶融するための領域31からの高温廃ガスAは、具体的には配管系および/または積層物からなる廃ガス排出装置32を経て装置外雰囲気中に放出される。
【0064】
次に精製ガラス溶融物は、溶融装置3のシードフリー時まで溶融するための領域31からフロートバス、具体的にはスズ槽4に供給される。ガラス溶融物は、液体金属、具体的にはスズ上に注がれ、槽上にリボン状または層状に広がる。ガラス溶融装置3内溶融プロセス間の温度が引き続き、例えば1100℃から1400℃である一方で、フロートバス4内温度は入り口で1000℃、出口で約600℃から700℃である。
【0065】
形成されるビスコースガラスリボンは、フロートバス4から引き出し、冷却装置7内を誘導される。本プロセスにおいて、ガラスリボンはまず最初に冷却炉5を通過し、次いで冷却装置7の冷却部6を通過する。2次的冷却回路を備える複数の熱交換器への熱放射散逸による間接的冷却は、冷却炉5内で行う。冷却部6内では、冷却空気にガラスリボン上を直接通過させて冷却を行う。
【0066】
分離装置(図示せず)は、冷却部6の端部にあり、ガラスリボンから個々の未加工ガラスペインを、主に5mx5mの寸法に切り出すのに使用できる。未加工のガラスペインは続いてガラス保管部8に保管される。未加工ガラスペインまたはその最終的な寸法に切断したガラスペインを、ガラス保管部8から塗装設備9(具体的にはマグネトロン塗装設備、ガラス仕上げまたはその他ガラス加工10)へ、さらにまたは積層安全ガラス(LSG)および/または絶縁ガラス設備11へ供給する。
【0067】
ガラス溶融装置3から生じ廃ガス排出装置32にゆく廃ガスAは、引き続きかなりの熱量Qまたは廃熱を含む。この廃熱Qは、プロセス内の多様な位置でプロセス空調(エアコンディショニング)を行うための廃熱回収システム内で用いる。
【0068】
第一廃熱量Q1は、廃ガス排出装置32の第一熱分岐33における廃熱Qから分岐して、ガラス溶融装置3の複数のバーナー(具体的にはバッチフリー時まで溶融するための領域30に配置される)のための燃焼空気を予熱するのに用いる。この目的のために、熱量Q1は、熱分岐33、具体的には複数の熱交換器または回収熱交換器を経て、燃焼空気予熱装置14へ供給される。
【0069】
熱量Q1の残留熱量を、バッチ供給装置2内のバッチを予熱し、またこの目的で、同様に複数の回収熱交換器のための複数の熱交換器からなる、バッチ予熱装置13へ供給する。当然、バッチ予熱装置13のために別の熱分岐を備えることも可能である。
【0070】
廃ガス排出装置32のさらなる熱分岐34において、廃ガスAによって運ばれた残留熱量Q-Q1から第2熱量Q2を取り除き、少なくとも1つの吸収冷却機を用いて廃熱Q2から冷熱を生成する冷熱生成装置15に供給する。この冷熱は第1冷却ライン40を経て第1凝縮乾燥装置16に供給され、次に第2冷却ライン41を経て第2凝縮乾燥装置17に供給される。
【0071】
凝縮乾燥装置16および17内にて、冷熱生成装置15が供給する冷熱を用いて周辺空気Uを乾燥させる。その結果、周辺空気U内に含まれる水分は所定の絶対含湿量または含有湿度に凝縮される。
【0072】
第1凝縮乾燥装置16によって乾燥した空気UTは次に給気50を経てコンディショニング(具体的には、バッチ乾燥を所定の程度に行うかまたは設定)するためのバッチ供給装置2に供給される。
【0073】
第2凝縮乾燥装置17は乾燥した周辺空気UTを、給気51を経て、ガラス溶融装置3内のバッチフリー時まで溶融するための領域30に、および更なる給気52を経てシードフリー時まで溶融するための領域31に、および第3の給気53を経てフロートバス4に供給する。この目的のため、複数の排気口は通常、溶融ガラスまたはガラスリボンよりも上および/または横に配置する。これら排気口を通じてコンディショニング済周辺空気UTは、溶融ガラスまたはガラスをコンディショニングする目的、具体的には含湿量を規定値未満に保つ目的で、フロートバス4内溶融ガラスまたはガラスリボン上に導入、通過させる。
【0074】
第3熱量Q3は、廃ガスAに残る残留熱Q-Q1-Q2から、廃ガス排出装置32における第3熱分岐35を経て分岐して、コンディショニング装置18に供給される。コンディショニング装置18内では、周辺空気Uは、少なくとも1つの吸着冷却機を用いて廃熱Q3で乾燥する。これは、廃熱Q3を水分を凝縮するのに用いる動作エネルギーとして用いて、吸収冷却機で冷熱を生成して行う。コンディショニング済または乾燥済周辺空気UTは、第1給気54を経て冷却炉5に供給され、冷却プロセスの間、冷却炉5を通過するガラスリボン全体を通過させる。さらに、この乾燥済周辺空気UTはまた、第2給気55を経て冷却部6に導入し、ここで同様に、通り過ぎるガラスリボン全体に行き渡らせる。
【0075】
次に、廃ガス排出装置32のさらなる熱分岐26にて、さらなる熱量Q4を残留熱Q−Q1−Q2−Q3から分岐する。このさらなる熱量Q4を用いて、少なくとも1つの吸着冷却機を用いた凝縮乾燥によって、コンディショニング装置19内に再度、乾燥させた周辺空気UTを周辺空気Uから生成する。この乾燥させた周辺空気UTは、給気56を経てガラス保管部8に供給する。具体的には、複数の排気口が、複数のガラス積層物の領域内に配置され、乾燥済空気UTを、目標の個々のガラス積層物に通気させる。
【0076】
次いで、第5の熱量Q5を、廃ガス排出装置32のさらなる熱分岐37内に残る残留熱Q−Q1−Q2−Q3−Q4から分岐する。この第5の熱量Q5はさらなるコンディショニング装置20内にて用い、さらなる吸収冷却機を用いて水分を凝縮させて周辺空気Uを乾燥させる。次いで、さらなるコンディショニング装置20の乾燥させた周辺空気UTは、乾燥プロセス空気を有する以下のさらなるガラス加工装置をコンディショニングするために供給できる。すなわち、給気57を経て塗装装置9および/またはさらなる給気58を経てガラス仕上またはガラス加工10および/または給気59を経て積層安全ガラスおよび/または絶縁ガラス設備11にコンディショニングのために供給できる。
【0077】
次いで、残留廃熱Q'=Q−Q1−Q2−Q3−Q4−Q5は、廃ガス排出装置32によって、外部へ、すなわち廃ガスA内へ放出される。
【0078】
これら熱分岐は、通常、複数の熱移動媒体(例えば水またはガス)を有する複数の熱移動回路、さらに適宜、複数のポンプおよび/または複数の熱交換器から成り、廃熱Q1からQ5を移動するための廃熱移動装置を形成する。
【0079】
ここに示す典型的な態様においては、これら吸収冷却機は、空気乾燥を目的としてそれぞれコンディショニングしようとするプロセス領域近傍に配置される。これは、廃熱量Q1からQ5を、複数の吸収冷却機の冷熱や乾燥済周辺空気UTよりも高効率でかつ設定湿度を維持しながらより長い距離にわたって移動させなくてはならないためである。しかしながら、冷熱および/または乾燥済周辺空気UTを、プロセス設備を通じてより長い距離にわたって輸送することも、好適な絶縁手段があれば、当然可能であろう。
【0080】
これら全てのコンディショニング装置内乾燥済周辺空気ULの絶対残留湿度は、好ましくは1キログラムの乾燥空気につき、多くて6グラム(最高11グラム)に設定するが、異なる設定が少なくともいくつかあってもよい。
【0081】
図示のとおり、全ガラス製造プロセスにわたって、すなわちバッチ供給装置2内のバッチ、ガラス溶融装置3内溶融物、フロートバス4内ガラスリボン凝固および冷却装置7内ガラスリボン冷却、ガラス保管部8内の複数の完成形状化ガラス体またはペイン、およびさらなる加工9、10または11の間にコンディショニングを行うために、その表面湿度は常に低い水準に保たれる結果、ガラスが取り込み得る水分は少量となる。結果として、水分の作用で起きるガラスの腐食は、従来技術から知られるプロセスと比べて大幅に低減される。
【0082】
図示する態様においては、板ガラスプロセスの全プロセス空調を実質的に示してある。これらプロセス空調の一部のみ、すなわち冷却装置7の冷却領域内のみ(冷却炉5および/または冷却部6等)において、こうしたコンディショニングを行うことも当然可能である。さらに、各プロセス領域2、3、4、5、6、8、9、10、11を、関連冷熱生成装置および/またはプロセス空気でプロセス領域をコンディショニングするためのコンディショニング装置に割り当てること、または個々の冷熱生成装置および/またはコンディショニング装置によって、コンディショニング済空気と共に図解してあるものと異なるプロセス領域の組み合わせを提供することもまた可能である。
【0083】
周知の態様、具体的には先述の先行技術に従った態様、および原則として将来考えられる態様の、いずれも製造プロセス自体、具体的にはその複数のプロセス段階またはプロセス領域2、3、4、5、6、8、9、10および11に使用可能である。本発明によるコンディショニングはいかなる周知のフロートガラスプロセスにも利用可能でありかつ適合可能であるばかりでなく、その他ガラス製造プロセスおよび鋼製造プロセスなどにも利用可能かつ適合可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】実施の形態に係る板ガラス製造プロセスまたはこの板ガラスプロセスに基づく装置の概略図である。
【符号の説明】
【0085】
2 バッチ供給装置、3 ガラス溶融装置、4 フロートバス、5 冷却炉、6 冷却部、7 冷却装置、8 ガラス保管部、9 塗装設備、10 ガラス加工、11 積層安全ガラス設備、13 バッチ予熱装置、14 燃焼空気予熱装置、15 冷熱生成装置、16 凝縮乾燥装置、17 凝縮乾燥装置、18 コンディショニング装置、19 コンディショニング装置、20 コンディショニング装置、26 熱分岐、30 溶融領域、31 シードフリー時まで溶融するための領域、32 廃ガス排出装置、33、34、35、36 熱分岐、40 冷却ライン、41 冷却ライン、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59 給気、A 廃ガス、U 周辺空気、UT コンディショニング済周辺空気Q、Q'、Q1−Q5 熱量。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却プロセス領域の少なくともサブ領域をコンディショニングするための方法であって、
冷却プロセスの間、
形状化プロセスにおいて、好ましくは溶融物、具体的にはガラスや鋼の溶融物から形状化した少なくとも1つの形状化体を所定、または予め定めることが可能な温度プロフィールにしたがって冷却し、このとき熱的に誘起された機械的ストレスは形状化体内にて低水準に保たれることを特徴とし、
1)少なくとも1つのコンディショニング用ガスを、水の存在下で腐食し得る形状化体の少なくとも一つの表面上を、少なくとも冷却プロセスの一部の間、通過させる工程と、
2)少なくともコンディショニング用ガスが冷却プロセス領域に入る際および/またはコンディショニング用ガスが形状化体表面に当たる際に、コンディショニング用ガス内絶対含水量を、最大で所定かまたは予め定めることが可能な限界値までの範囲に設定する工程であって、該限界値が好ましくは冷却プロセス間の該形状化体の腐食程度における最大許容上昇値と一致する工程、
とを含む方法。
【請求項2】
前記冷却プロセス領域が冷却炉および/または冷却部から成り、前記コンディショニング用ガスを、少なくとも該冷却炉および/または該冷却部のサブ領域内の前記形状化体に供給する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンディショニング用ガスが、形状化体の表面近傍領域から選択される前記冷却プロセス領域内の領域を通過する一方で、該冷却プロセス領域全体をも通過する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
使用する前記コンディショニング用ガスが空気または少なくとも空気の組成におおよそ一致する組成のガスである、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
使用する前記コンディショニング用ガスが、冷却プロセス領域の外部環境からの周辺空気および/または冷却プロセス領域を囲む建築物の外側にあたる外部環境からの周辺空気であって、 該周辺空気は好ましくは吸引してからろ過するものである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ドライコンディショニング用ガスはまた、燃料を燃焼、具体的には酸化して前記溶融プロセス内原料を加熱するための燃焼プロセスに用いることもでき、具体的には該燃料を燃焼するための複数のバーナーに供給される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ドライコンディショニング用ガスに前記溶融物表面を通過させる、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ドライコンディショニング用ガスに、前記形状化体(または複数の形状化体)の少なくとも1つの表面全体を少なくとも前記形状化プロセスの一部の間、通過させる、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ドライコンディショニング用ガスに、前記形状化体(または複数の形状化体)の少なくとも1つの表面全体を少なくとも保管プロセスおよび/または輸送プロセスの一部の間、具体的には前記冷却プロセス後に通過させて、該形状化体を保管または輸送する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ドライコンディショニング用ガスに、前記形状化体(または複数の形状化体)の少なくとも1つの表面全体を少なくとも更なる加工プロセスおよび/または処理プロセスの一部の間、具体的には前記冷却プロセスまたは前記保管プロセスまたは前記輸送プロセス後に、具体的には該形状化体に塗装または仕上げを施すための塗装または仕上げプロセスおよび/または少なくとも1つの形状化体を用いて積層体を製造するためのプロセスの間、通過させて、該形状化体をさらに加工および/または処理する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
コンディショニング用ガスに、前記溶融プロセスの前に原料(または複数の原料)全体または該原料内を通過させる、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
1)前記コンディショニング用ガス内絶対含水量の限界値が、1キログラムのドライコンディショニング用ガス中、約0.006または6グラムの水分である、
および/または
2)前記コンディショニング用ガス内水分の相対含湿量が、25°Cの温度で最大30%、32°Cの温度で最大20%および/または45°Cの温度で最大10%までの範囲に保たれる、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
1)前記コンディショニング用ガスの絶対含水量を、前記コンディショニング用ガスの水分を凝縮して設定し、
2)水分を凝縮するため、前記コンディショニング用ガスを、少なくとも1つの冷却機を用いて冷却する、具体的には冷却機の蒸発器にて冷媒を蒸発させるための熱を放出する、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記コンディショニング用ガスを、少なくとも1つの吸収冷却機を用いて冷却する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記コンディショニング用ガスを、少なくとも1つの圧縮冷却機を用いて冷却する、
請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記相対含湿量を設定するために、前記コンディショニング用ガスを、冷却および水分の凝縮後に再加熱する、請求項13乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
1)前記コンディショニング用ガスを、シリカなどの吸収性、吸着性または吸湿性材料に水蒸気を取り込ませて、乾燥させ、
2)該吸収性、吸着性または吸湿性材料を再生、具体的には、一定の間隔をおいてかまたは連続的に水分を吐き出すかまたは脱着させることによって、再生する、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記コンディショニング用ガスを連続的にかまたは同時に乾燥させる方法であって、
以下の乾燥方法を2つかそれ以上組み合わせることを特徴とする、
1)吸収冷却機を用いて冷却することによって水分を凝縮、
2)圧縮冷却機を用いて冷却することによって水分を凝縮、および
3)吸収性、吸着性または吸湿性材料にてまたは該材料内に水分を取り込む、請求項13乃至17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
各コンディショニング用ガス流の前記平均流速を、約5m/sと約20m/sの間に設定する、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記コンディショニング用ガス流が実質的に安定(時間非依存)である、
請求項1乃至19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記コンディショニング用ガスの純度を、具体的にはろ過によってさらなるコンディショニング変数として設定する、請求項1乃至20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記コンディショニング用ガスの組成を、さらなるコンディショニング変数として設定、具体的にはより高い割合の不活性ガス(例えば二酸化炭素、窒素、またはアルゴンなどの希ガス)を設定する、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記コンディショニング用ガスの温度を、さらなるコンディショニング変数として制御、具体的には5°Cから前記プロセス領域内プロセス温度の範囲に制御する、請求項1乃至22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記コンディショニング用ガスを、前記プロセスにて1度だけ用い、前記プロセスで使用後に周囲の環境に放出する、請求項1乃至23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記コンディショニング用ガスは回路内を通過させ、前記プロセスで使用後に該回路を通過する度に乾燥させる、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つのプロセス領域を、実質的に連続的にコンディショニングする、
請求項1乃至25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つのプロセス領域を、実質的に断続的にコンディショニングする、
請求項1乃至26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
1つかそれ以上の形状化体を、具体的には輸送のため、容器またはシース内に気密状態に密封または封入し、該容器または該シース内は乾燥または乾燥させた気体雰囲気に設定するかまたは、該気体雰囲気内の絶対または相対含水量を所定限界値または前記所定限界値未満に保つかまたは設定する、請求項1乃至27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
複数の形状化体の製造方法であって、
1)溶融プロセスにて、少なくとも1つの原料を溶融物に変換し、
2)形状化プロセスにて、少なくとも1つの形状化体を該溶融物から形状化し、
3)該または各形状化体を、少なくとも1つの冷却プロセス領域内で冷却し、
4)該冷却プロセス領域、少なくともサブ領域内を、請求項1乃至28のいずれか1項に記載の方法でコンディショニングする方法。
【請求項30】
複数のガラス原料を溶融ガラスに変換する、
ガラスから複数の形状化体を製造するための請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記溶融ガラスを、液体担体の媒質、具体的には液体金属好ましくはスズに適用し、また、平らな形状化体を、該液体担体の媒質表面上に、ガラス層またはガラスリボンの形に形成する請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記平らな形状化体を、前記担体媒質から運び出し、前記冷却プロセスまたは前記冷却設備に供給する、
請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記溶融プロセスの間に複数の鋼原料を鋼溶融物に変換し、鋼製形状化体を製造する、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記溶融物から連続した形状化体を製造するかまたは連続的に形状化体を製造し、該形状化体を前記冷却プロセス後に個々の形状化体に分割する、請求項29乃至33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
冷却プロセス領域の少なくとも1つのサブ領域をコンディショニングするための装置であって、冷却プロセスの間、形状化プロセスで好ましくは溶融物から形状化した少なくとも1つの形状化体を、熱的に誘起された機械的ストレスを該形状化体内で低水準に保ちながら、所定かまたは予め定めることが可能な温度プロフィールにしたがって冷却する、具体的には請求項1乃至34のいずれか1項に記載の方法を行うための装置であり、
1)少なくとも1つのコンディショニング用ガスを、その絶対含湿量が最大で所定かまたは予め定めることが可能な限界値に等しくなるように乾燥させるための少なくとも1つの乾燥装置であって、好ましくは該限界値が、該冷却プロセスの間の、該形状化体の腐食程度における最大許容上昇値に一致し好ましくは0.006である、該乾燥装置と、
2)乾燥させたコンディショニング用ガスを該少なくとも1つの乾燥装置から前記冷却プロセス領域に通過させるための、少なくとも1つのコンディショニング装置とからなる、装置。
【請求項36】
少なくとも1つのコンディショニング装置が、乾燥済コンディショニング用ガスを、前記形状化体(または前記複数の形状化体)の少なくとも1つの表面、具体的には水分の存在下で腐食し得る表面全体を通過させる、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記コンディショニング用ガスが空気または少なくとも空気の組成におよそ一致する組成のコンディショニング済ガスからなる、請求項35または請求項36に記載の装置。
【請求項38】
少なくとも1つのコンディショニング装置が、各溶融炉、各形状化装置、各冷却装置および適宜各保管部の外部環境から、コンディショニング用ガスとして周辺空気を吸引し、吸引後好ましくはこの空気をろ過し、次いで少なくとも1つの乾燥装置に供給する、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
少なくとも1つの乾燥装置が凝縮乾燥装置であってコンディショニング用ガスを冷却し該コンディショニング用ガスの水分を凝縮するための少なくとも1つの冷却機からなり、具体的には該冷却機の少なくとも1つの蒸発器が該コンディショニング用ガスと熱交換を行い、該コンディショニング用ガスから熱が放出され該冷却機の冷媒を蒸発させる、請求項35乃至38のいずれか1項に記載の装置。
【請求項40】
少なくとも1つの乾燥装置が、コンディショニング用ガスを冷却するための少なくとも1つの吸収冷却機からなる、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
少なくとも1つの乾燥装置が、コンディショニング用ガスを冷却するための少なくとも1つの圧縮冷却機からなる、請求項38または39に記載の装置
【請求項42】
少なくとも1つの乾燥装置が、
1)シリカなどの吸収性または吸湿性材料からなり、具体的にはロータ上に配置され、前記コンディショニング用ガスから水蒸気を吸収または取り込み、
2)さらに該吸収性または吸湿性材料を再生またはその水分を駆逐もしくは脱着させるための再生装置からなる、請求項35乃至41のいずれか1項に記載の装置。
【請求項43】
前記コンディショニング用ガスを、冷却および該水分の凝縮後に加熱するための加熱装置を有する、請求項35乃至42のいずれか1項に記載の装置。
【請求項44】
少なくとも1つのコンディショニング装置が、
1)コンディショニング用ガス供給手段と
2)該コンディショニング用ガスの出口として、前記冷却プロセス領域内に配置されるかまたは開口する、少なくとも1つの出口用開口部とからなり、
3)該供給手段が少なくとも1つの出口用開口部に流れ接続しているか、または流れ接続が可能である、請求項35乃至43のいずれか1項に記載の装置。





【図1】
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【公表番号】特表2007−519595(P2007−519595A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545928(P2006−545928)
【出願日】平成16年2月25日(2004.2.25)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001862
【国際公開番号】WO2005/066083
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(506198632)ヴィースナー ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】