説明

腫瘍性疾患の治療のためのCD23拮抗剤の使用

【課題】CD23拮抗剤の使用を含む腫瘍性疾患を治療するための方法及びキットを提供する。
【解決手段】CD23拮抗剤は単独で、又は化学療法剤と組み合わせて使用することができる。特に好ましい実施形態では、CD23拮抗剤を使用してB細胞性慢性リンパ性白血病(B−CLL)を治療することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2001年1月31日出願の米国特許出願第09/772938号、2001年5月16日出願の米国特許出願第09/855717号、及び2001年11月5日出願の米国特許出願第09/985646号の優先権を主張し、それぞれの全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
多くの特徴において、本発明は、腫瘍性疾患の治療のためのCD23拮抗剤の使用に関する。好ましい実施態様では、本発明は、B細胞性慢性リンパ性白血病(B−CLL)を含む悪性腫瘍の免疫療法のための抗CD23抗体の使用を提供する。
【背景技術】
【0003】
比較的多様な悪性腫瘍の患者は、過去数十年間に亘って癌治療の進歩の恩恵を受けてきた。残念ながら、最新の治療は、寛解率をかなり増大し、生存期間をかなり延長するものの、殆どの患者は結局その疾患によって死亡し続けている。一様でより目覚しい結果を得る上での障害としては、腫瘍細胞抵抗性や利用可能な治療ながらも最適な細胞傷害性投与量を制限する容認できない毒性(例えば、骨髄毒性)の存在が挙げられ、これらは、免疫力が低下した、衰弱した、又は高齢の患者に対して、しばしば現在の治療を利用不能とする。これらの制限は、前に治療を経験したり、再発した患者を治療しようとするときに特に明白である。このため、依然としてより低毒性ながらもより効果のある標的治療の開発への試みが続けられている。
【0004】
この種の治療の効果を高める1つの試みには、望ましくない交差反応を低減し、1種又は複数の細胞傷害剤の腫瘍細胞局在性を高める、治療用抗体の使用がある。抗体を腫瘍性疾患の治療に使用するという着想は、少なくとも、抗体を標的腫瘍細胞に対し特異的に使用できることが示された1953年に始まる。しかし、それは、限定された抗原を特異的に標的とするモノクローナル抗体の継続的な供給を可能にするハイブリドーマ技術におけるコーラーとミルシュタインにの独創的な研究によるものであった。1979年まで、モノクローナル抗体(MAb)は、ヒト患者の悪性腫瘍障害の治療に使用されていた。より最近では、2種の非結性モノクローナル抗体(Rituxan(登録商標)及びHerceptin(登録商標))が、それぞれ非ホジキンリンパ腫及び乳癌の治療で承認されている。現在では、細胞傷害剤(例えば、放射性同位元素又はタンパク質毒)に結合したいくつかのモノクローナル抗体が、様々な悪性腫瘍障害の治療に関する臨床試験に付されている。過去10年間にわたり、広範な腫瘍特異性抗体及び抗体断片が開発され、その抗体を薬物、毒素、放射性核種、又はその他の薬剤に結合し、その結合体を患者に投与する方法をもたらしている。これらの成果は多大な進歩をもたらしているが、種々の殆ど予期しなかった問題が、これまで開発されたいくつかの試薬の診断的及び治療的使用を制限している。
【0005】
例えば、とりわけ最も困難な問題は、ヒトの免疫系自体によって引き起こされる問題である。多くの場合、患者の免疫系は、標的結合体や治療抗体を外来抗原とみなして応答する。これは、マウスモノクローナル抗体(最も普通に使用されているヒトの標的化抗体である)と複合させた薬物又は放射性核種で治療した患者では、血中ヒト抗マウス抗体(HAMA)を生じ、結合体の抗体部分に対して一般的な即時型のIII型過敏反応を起こすことで明らかにされている。さらに、副作用が最小の場合でも(例えば、単回投与で)、血中HAMAは、患者の標的製剤の有効濃度を低下させるため、診断剤又は治療剤が標的部位に到達するのを制限する。
【0006】
指向性の免疫療法の特に興味ある標的群は、血液学的な悪性腫瘍である。血液学的な悪性腫瘍には、リンパ腫及び白血病があり、これらは、多くの場合、その他のタイプの腫瘍よりもモノクローナル抗体などの血液産生性化学療法を利用しやすい。Rituxanは、これらのタイプの悪性腫瘍のいくつか(特に、非ホジキンリンパ腫)の治療で有効なことが示されているが、依然として一般に受け入れられる有効な治療がない多くの血液学的悪性腫瘍がある。これらの悪性腫瘍としては、慢性リンパ性白血病がある。
【0007】
慢性リンパ性白血病(CLL又はB−CLL)は、発症率が50歳を過ぎたところで増大し始め60代後半でピークになる、主に中高年層の疾患である。これは、通常、腫瘍性の末梢血液リンパ球の増殖を伴う。米国では、1998年に新たにCLLの症例が7300件診断され、西部地域で4900人の患者が、白血病の30%の病因であるこの疾患で死亡したと見積もられている(Young及びPercyら、1981、NIH Monograph 57;「癌の実際と印象(Cancer Facts and Figures)」、1988、American Cancer Society Publication、Atlanta GA)。CLLの臨床的症状としては、リンパ球増加、リンパ節障害、脾臓肥大、貧血、及び血小板減少がある。CLLの特徴的な性状としては、モノクローナルB細胞の増殖と、分化の中間状態にあるBリンパ球の蓄積がある(Dighiero及びTravadeら、1991、Blood 78:1901;Gale及びFoon、1985、Ann.Intern.Med.103:101)。この種のB細胞は、表面IgM(sIgM)又はsIgMとsIgDの両方、並びに正常B細胞よりも密度が低い単軽鎖を発現する。CLLのB細胞はまた、CD5、CD19、CD20、CD21、CD23、CD38、及びCD64を含む数種のヒト白血球抗原も呈示する(Foon及びTodd、1986、Blood 1:1)。抗CD20抗体Rituxanの使用はこれまでいくらかの成功を収めているものの、CLL患者を分析すると、CLLのB細胞上のCD20抗原密度は非常に多様であり、一部の患者のB細胞では、発現されるCD20抗原密度が非常に低いことが示されている。これとは逆に、CD23発現はB−CLLではより高い密度で一定して存在することが見い出されている。
【0008】
CD23白血球分化抗原は、数種の造血系細胞上で発現する45kDのタイプII膜貫通糖タンパク質であり、これはIgE(FcγRII)に対する低親和性受容体として作用する(Spiegelberg、1984、Adv.Immunol.35:6l;Kikutani及びSuemuraら、1986、J.Exp.Med 164;1455;Delespesse及びSuterら、1991、Adv.Immunol.49:149;Delespesse及びSarfatiら、1992、Immunol.Rev.125:77)。これは、C型レクチンファミリーのメンバーであり、細胞外レクチン結合ドメインと膜貫通領域との間にαヘリックスコイルのコイル軸を有する。この軸構造は、そのリガンドに結合する間、膜結合CD23を、トリマーへとオリゴマー化するのに寄与していると考えられている(例えば、IgE)。タンパク質分解で、膜結合CD23は、数種の可溶性CD23(sCD23)分子量種(37kD、29kD、及び16kD)を生じる。循環sCD23は、CLL、慢性関節リューマチ、及びアレルギーを含む、臨床症状において低血清濃度(≦5ng/ml)で見られる。CLLにおいて、血清中のsCD23濃度は、腫瘍の全体の大きさと相関し、それ故、疾患の臨床段階と相関する(Sarfati及びBronら、1988、Blood 71:94)。sCD23、特に25kD種は、a)一部のエプスタインバーウイルス形質転換マウスB細胞系で自己分泌因子として働き、b)前胸腺細胞の分化因子として働き、c)おそらくbcl−2発現の誘発により、胚中心B細胞のアポトーシス(プログラムされた細胞死)を防ぐ、ことが示されている。
【0009】
さらに、RituxanによるB細胞悪性腫瘍の典型的な治療は、放射線療法と化学療法剤の適用である。CLLの場合、従来、外照射療法が悪性腫瘍細胞を破壊するために使用されている。しかし、この治療では、副作用が制限要因となっている。他の広く使用されている血液学的悪性腫瘍の治療法は、化学療法である。併用化学療法では、部分的又は完全な寛解に到達し、いくらかの成功を収めている。残念ながら、化学療法によって得られた寛解は、永続性がないことが多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、腫瘍細胞を標的とするために使用することができる低毒性化合物及び方法を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、腫瘍性疾患、特に慢性リンパ性白血病の治療が必要な患者において、当該腫瘍性疾患、特に慢性リンパ性白血病を効果的に治療するために使用することができる化合物及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの目的及びその他の目的は、広い意味で腫瘍性疾患の治療に使用することができる方法、製造物、化合物、及び組成物を対象とする本発明によって提供される。そのために、本発明は、種々の癌を患う患者を治療するのに使用することができるCD23拮抗剤を提供する。したがって、本発明は一態様において、治療有効量のCD23拮抗剤を、腫瘍性疾患の治療を必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の腫瘍性疾患を治療する方法を提供する。以下でより詳細に説明する通り、CD23拮抗剤は、B細胞上で発現されるCD23抗原と相互作用し、結合し、又は会合する、リガンド、ポリペプチド、ペプチド、抗体、又は低分子物質を含み、腫瘍細胞の増殖を排除し、低減し、阻害し、又は制御することができる。好ましい実施形態では、本発明のCD23拮抗剤は、IDEC−152などの抗CD23抗体を含む。これに関し、意外にも、この種の拮抗剤が腫瘍細胞のアポトーシスを誘発するために利用できることがわかった。したがって、本発明の別の態様は、当該悪性腫瘍細胞をアポトーシス誘発量のCD23拮抗剤と接触させることを含む、悪性腫瘍細胞内でアポトーシスを誘発する方法を含む。さらに、以下で幾分詳しく論じる通り、CD23拮抗剤は、非結合状態で又は放射性同位元素などの細胞傷害剤と結合させて使用することができる。
【0013】
CD23拮抗剤は、それ自体が効果的な抗腫瘍剤であるが、種々の化学療法剤と組み合わせて相乗的に使用することもできる。したがって、本発明の別の態様は、哺乳動物の腫瘍性疾患を治療する方法であって、
治療有効量の少なくとも1種の化学療法剤を、当該哺乳動物に投与するステップと、
治療有効量の少なくとも1種のCD23拮抗剤を、当該哺乳動物に投与するステップとを含み、
当該化学療法剤及び当該CD23拮抗剤はいずれの順序で投与しても同時に投与してもよい、上記治療方法を含む。
【0014】
CD23拮抗剤はいくつかの化学療法剤と組み合わせて使用することができるが、本発明の好ましい実施形態においては、選択したCD23拮抗剤を抗CD20抗体Rituxan(登録商標)と共に使用することを含む。これに関し、本発明のさらに別の態様は、哺乳動物の腫瘍性疾患を治療する方法であって、
治療有効量のRituxanを当該哺乳動物に投与するステップと、
治療有効量のIDEC−152を当該哺乳動物に投与するステップとを含み、
当該Rituxan及び当該IDEC−152はいずれの順序で投与してもまた同時に投与してもよい、上記治療方法を含む。
【0015】
より一般的には、本発明の拮抗剤は、腫瘍性疾患を治療するために、有位に、悪性腫瘍と関連する抗原と反応又は結合する抗体と組み合わせて使用することができる。これらには、これらだけに限定するものではないが、CD19、CD20、CD22、CD40、CD40L、CD52、及びB7抗原が含まれる。
【0016】
当業者ならば、本発明を、多くのCD23悪性腫瘍のいずれを治療するためにも使用できることを理解されよう。本明細書で使用される時、CD23悪性腫瘍とは、腫瘍細胞がCD23抗原を発現する、又はCD23抗原と結合するいずれかの腫瘍である。本発明により治療することができるCD23腫瘍細胞の例としては、再発ホジキン病、治療抵抗性ホジキン病、高度悪性非ホジキン病性リンパ腫、軽度悪性非ホジキン病性リンパ腫、中等度悪性非ホジキン病性リンパ腫、B細胞性慢性リンパ性白血病(B−CLL)、リンパ形質細胞様リンパ腫(LPL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、び漫性巨細胞リンパ腫(DLCL)、バーキットリンパ腫(BL)、エイズ関連リンパ腫、単球性B細胞リンパ腫、血管免疫芽細胞性リンパ節症、小リンパ球性リンパ芽球腫、濾胞性リンパ芽球腫、び漫性大細胞リンパ芽球腫、び漫性小開裂細胞リンパ芽球腫、巨細胞免疫芽球性リンパ芽球腫、小開裂バーキットリンパ腫、非開裂バーキットリンパ腫、小開裂非バーキットリンパ腫、非開裂非バーキットリンパ腫、濾胞性優位型大細胞リンパ腫、濾胞性優位型小開裂細胞リンパ腫、濾胞性混合型小開裂リンパ腫、及び濾胞性巨細胞リンパ腫が挙げられる。本発明の組成物で治療することができるさらに別の腫瘍としては、T細胞リンパ腫、急性T細胞白血病、及び肥満細胞腫が挙げられる。
【0017】
本発明の方法を使用して、多くのCD23悪性腫瘍を治療することができるが、意外にも、この方法がB細胞性慢性リンパ性白血病(B−CLL)の治療に特に有効であることがわかった。したがって、本発明の1つの重要な態様は、治療有効量のCD23拮抗剤を、B細胞性慢性リンパ性白血病(B−CLL)の治療が必要な哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物のB細胞性慢性リンパ性白血病を治療する方法を含む。
【0018】
本発明のさらに別の重要な態様は、開示のCD23拮抗剤を組み入れたキットなどの製造物を含む。これに関し、本発明は、腫瘍性疾患を患う又はかかりやすい哺乳動物の治療に有効なキットであって、CD23拮抗剤が入った少なくとも1個の容器と、当該DC23拮抗剤を使用して当該腫瘍性疾患を治療することができることを指示したラベル又は添付文書とを含むキットを含む。
【0019】
当業者ならば、本発明の別の目的、特徴、及び利点は、以下のその好ましい実施形態の詳細な説明の考察から明らかであろう。
【0020】
(本発明の詳細な説明)
本発明は多くの異なる形態で具体化することができるが、本明細書における開示は、本発明の原理を例示する特定の例示たる実施形態である。本発明は、例示の具体的実施形態に限定されないことを強調しなくてはならない。
【0021】
上記の通り、本発明は、多くのCD23悪性腫瘍のいずれかを治療及び/又は予防するためのCD23拮抗剤の使用を対象とする。開示の拮抗剤は、単独で、又は広範囲の多様な化学療法剤と組み合わせて使用することができる。これに関し、本発明の拮抗剤は、意外にもRituxanと組み合わせて使用したときに特に効果的であることがわかった。また、本発明のCD23拮抗剤が意外にも、慢性リンパ性白血病の治療に特に有効であることもわかった。さらに、いかなる場合においても本発明の範囲を制限することを意図するものではないが、本明細書で開示されたCD23拮抗剤が、腫瘍細胞のアポトーシスを効果的に誘発できることもわかった。このCD23拮抗剤の今まで知られていない性質を本明細書の教示に従って利用すれば、治療上有効な組成物を提供することができる。
【0022】
本発明によれば、CD23拮抗剤は、B細胞上で発現したCD23抗原と、反応、相互作用、結合、又は会合して腫瘍細胞の増殖を排除、低減、阻害、又は制御する、リガンド、ポリペプチド、ペプチド、抗体、又は低分子物質を含むことができる。当技術分野で知られている通り、CD23は、B細胞及びその他の細胞により発現されるIgEに低親和性の受容体である。より具体的には、CD23拮抗剤は、CD23細胞表面マーカーに結合して哺乳動物のCD23細胞を破壊又は激減させる、並びに/或いは例えば細胞によって誘発される体液性応答を低減又は防止することにより、1種又は複数の細胞機能を妨げる分子である。
【0023】
拮抗剤は、それによって治療される哺乳動物のB細胞を激減(すなわち、血中B細胞量を低減)できるものが好ましい。このような細胞の減少は、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)、アポトーシス、補体依存性細胞傷害(CDC)、B細胞増殖の阻害、及び/又はB細胞の死(例えばアポトーシスを介する)の誘発などの様々な機序を介して実現することができる。本発明の範囲に含まれる拮抗剤としては、任意に細胞傷害剤に結合又は融合され、CD23細胞マーカーに結合する、抗体、合成又は天然の配列ペプチド及びポリペプチド、リガンド、並びに低分子拮抗剤が含まれる。
【0024】
本発明の範囲にある特に好ましいCD23拮抗剤は、IDEC−152(IDEC Pharmaceuticals、カリフォルニア州サンディエゴ)である。IDEC−152は、様々な適応症のために開発されたCD23抗原に対する霊長類化モノクローナル抗CD23抗体(本明細書ではp5E8とも呼ばれる)である(Nakumura及びKloetzerら、2000、22:131)。5E8、カニクイザル由来の霊長類抗ヒトCD23抗体分泌ハイブリドーマから得たモノクローナル抗体p5E8を分子的にクローニングし、特許されたベクター技術を使用して、CHO細胞において150kDaのIgGモノマーとして発現した。モノクローナルp5E8は、ヒトγ1重鎖及びヒトκ軽鎖定常領域と結合した5E8霊長類由来の可変領域を保持している。モノクローナルp5E8は、C1q結合も保持している。IDEC−152及びその他の可能な拮抗剤の配列及び誘導体は、同じ所有者の米国特許第6011138号に開示されており、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0025】
当業者ならば、本発明の化合物、組成物、及び方法が、CD23を呈示する腫瘍疾患、腫瘍、又は悪性腫瘍(CD23悪性腫瘍)の治療に有用であることを理解されよう。上記の通り、本発明の拮抗剤は、CD23に対し免疫活性を有する。拮抗剤が抗体である好ましい実施形態では、これらは普通の遺伝工学技術を使用することにより、低減した免疫原性などの所望の生化学的特徴を付与するように1つ又は複数の定常領域ドメインの少なくとも一部を欠失、置換、又は改変して拮抗剤を得ることができる。さらに、拮抗性抗体又はその免疫反応性断片を、十分に確立されたプロトコルを使用して臨床的又は商業的規模で発現し、生産できることは理解されよう。
【0026】
一部の実施形態では、拮抗性抗体の抗原結合領域(例えば、可変領域又は相補性決定領域)のみを使用し、修飾した定常領域と結合して、所望の性質を得ることが望ましい。適合性のある単鎖構造物を同様にして生成することができる。いずれにしても、本発明の抗体は、当技術分野で一般的なように、親和性を向上させたり、免疫原性を低減するように設計することもできる。例えば、本発明に適合するCD23抗体は、ヒト化した又はキメラ化した抗体から導出、又は製造することができる。したがって、本発明による抗体は、天然のマウス、霊長類(ヒトを含む)、又はその他の哺乳動物のモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体、二重特異性抗体、又は一本鎖抗体構造体、並びに各タイプの免疫反応性断片から得ることができ、及び/又はこれらを含むことができる。
【0027】
本明細書における用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、具体的には、完全な、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2種の天然のままの抗体から形成した多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び所望の生物活性を示す抗体断片を含む。
【0028】
「抗体断片」は、完全な抗体の一部、好ましくはその抗原結合領域又は可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)Z、及びFv断片;二重特異性抗体;線状抗体;一本鎖抗体分子;並びに抗体断片から形成した多重特異性抗体が挙げられる。1つ又は複数の定常領域の少なくとも一部を改変又は欠失して修飾された生理的特性(例えば、血清半減期の低減)を付与する免疫グロブリンを含むドメイン欠失型抗体も、本明細書で開示する抗体断片とみなされる。好ましい実施形態では、ドメイン欠失型抗体は、C2ドメインを欠く定常領域を含む。
【0029】
「アポトーシスを誘発する」拮抗剤は、アネキシンVの結合、DNAの断片化、細胞の収縮、小胞体の膨張、細胞の断片化、及び/又は細胞膜小胞の形成(アポトーシス体と呼ばれる)により判定される、例えばB細胞のプログラムされた細胞死を誘発するものである。
【0030】
「抗体依存性細胞性細胞傷害」及び「ADCC」は、Fc受容体(FcRs)を発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)が、標的細胞上の結合抗体を認識し、次いで標的細胞の溶解を引き起こす細胞性反応を意味する。単球がFcyRI、FcyRII、及びFcyRIIIを発現するのに対し、ADCCを仲介する主要な細胞であるNK細胞は、FcyRIIIのみを発現する。造血細胞でのFcR発現は、Ravetch及びKinet、Annu.Rev.Immunol 9:457〜92(1991)の464頁の表3で要約されている。関心のある分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5500362号又は同第5821337号に記載のものなどのin vitro ADCCアッセイを実施することができる。このようなアッセイで有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。選択的に又は付加的に、関心のある分子のADCC活性は、例えばClynesら、PNAS(米国)95:652〜656(1998)で開示されているものなどの動物モデルで、in vivoで評価することができる。
【0031】
上記の通り、本発明の特に好ましい実施形態では、IDEC−152などのCD23に対する抗体を含むCD23拮抗剤を使用する。既存の抗体を本発明で使用することはできるが、開示の方法と適合する新しい抗体を開発することもできる。プロトコールの知られている技術を使用して、相当する抗原(例えば、精製した腫瘍関連抗原、又はこのような抗原を含む細胞若しくは細胞抽出液)及びアジュバントを多数回にわたって皮下注射又は腹腔内注射することにより、抗体を哺乳動物内でつくることが好ましい。この免疫法は、典型的に、活性化した脾臓細胞又はリンパ細胞から抗原反応性抗体を産生することを含む免疫応答を誘発する。得られた抗体を動物の血清から収集してポリクローナル調製物を得ることができるが、多くの場合、脾臓、リンパ節、又は末梢血から個々のリンパ細胞を単離して、モノクローナル抗体(MAb)の均一な調製物を得ることが望ましい。好ましくは、リンパ細胞は脾臓から得る。
【0032】
このよく知られたプロセス(Kohlerら、Nature、256:495(1975))では、抗原を注射した哺乳動物から得た比較的短命又は死ぬべき運命のリンパ細胞を、不死の腫瘍細胞系(例えば、骨髄腫細胞系)と融合して、不死であり、かつ遺伝的にコードされたB細胞の抗体を産生できるハイブリッド細胞即ち、「ハイブリドーマ」を生成する。得られたハイブリッドを、選択し、希釈し、単一の抗体を形成するための特定の遺伝子を含む各個別の株で再増殖することにより、1つの遺伝株に分離する。そのため、この株は所望の抗原に対して均一な抗体を産生し、その純粋な由来により「モノクローナル」と呼ぶ。
【0033】
このように調製したハイブリドーマ細胞を、好ましくは融合していない親の骨髄腫細胞の成長又は生存を阻害する1種又は複数の物質を含む適切な培養培地に播種し成長させる。当業者ならば、ハイブリドーマを形成し、選択し、成長させるための試薬、細胞系、及び培地をいくつかの供給源から商業的に入手することができ、標準的なプロトコルがよく確立されていることを理解されよう。一般的に、ハイブリドーマ細胞が成長している培養培地は、所望の抗原に対するモノクローナル抗体の産生についてアッセイする。好ましくは、ハイブリドーマ細胞が産生したモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降法、ラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などのin vitroアッセイで判定する。ハイブリドーマ細胞が、所望の特異性、親和性、及び/又は活性を有する抗体を産生することを確認した後、そのクローンを限界希釈法によりサブクローニングし、標準的な方法で成長させることができる(Goding、「モノクローナル抗体:原理と実践(Monoclonal Antibodies:Principles and Practice)」、59〜103頁(Academic Press、1986))。また、サブクローンから分泌されたモノクローナル抗体は、培養培地、腹水液、又は血清から、例えば、プロテインA、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動法、透析、又はアフィニティークロマトグラフィーなどの通常の精製手法で分離できることも理解されよう。
【0034】
他の適する実施形態では、通常の手法(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)を使用して、所望のモノクローナル抗体をコードするDNAを容易に単離し、配列決定することができる。単離し、サブクローニングしたハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源となる。単離した後、DNAを発現ベクターに入れ、次いでこれを別の状況では免疫グロブリンを産生しない、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は骨髄腫細胞などの原核宿主細胞又は真核宿主細胞に移入する。より具体的には、単離したDNA(これは本明細書で記載した通りに修飾してもよい)を使用して、参照により本明細書に組み込む1995年1月25日出願のNewmanらの米国特許出願第379072号で記載した抗体を製造するために定常領域配列及び可変領域配列をクローニングすることができる。本質的に、これは選択した細胞からのRNAの抽出、cDNAへの変換、及びIg特異的プライマーを使用するPCRによる増幅を伴う。適切なプライマーは米国特許第5658570号に記載されており、これも参照により本明細書に組み込む。以下でより詳しく論じる通り、所望の抗体を発現する形質転換細胞を比較的大量に成長させて、免疫グロブリンの臨床的供給源及び商業的供給源を提供することができる。
【0035】
当業者はまた、抗体又は抗体断片をコードするDNAは、例えば、いずれも参照により本明細書に組み込むEP368684B1及び米国特許第5969108号に記載されている抗体ファージライブラリーから得られることを理解するであろう。いくつかの刊行物(例えば、Marksら、Bio/Technology 10:779〜783号(1992))は、大きなファージライブラリーを構築する戦略として、チェインシャフリング(Chain shuffling)、並びに組合せ感染(combinatorial infection)、及びin vivo組換えによる高親和性のヒト抗体の生成を記載している。この種の手法は、モノクローナル抗体の単離及びその後のクローニングのための伝統的なハイブリドーマ技術に替わる実行可能な代替方法を提供しているので、明らかに本発明の範囲内にある。
【0036】
本発明のさらに別の実施形態は、内因性免疫グロブリン産生ができないトランスジェニック動物(例えば、マウス)で、実質的にヒト抗体を生成することを含む(例えば、米国特許第6075181号、同第5939598号、同第5591669号、及び同第5589369号参照。これらはいずれも参照により本明細書に組み込む)。例えば、キメラマウスと生殖系突然変異マウスの抗体重鎖結合領域をホモ接合欠失させると、内因性抗体産生が完全に阻害されると記載されている。この種の生殖系突然変異マウスのヒト免疫グロブリン遺伝子アレイを移入すると、抗原の攻撃によりヒト抗体が産生される。SCIDマウスを使用する別の好ましいヒト抗体の生成手段は、同所有者の同時係属の米国特許第5811524号に開示されており、これは参照により本明細書に組み込む。これらのヒト抗体と結合する遺伝材料も、本明細書で記載の通りに単離し操作できることは理解されよう。
【0037】
さらに別の組換え抗体を生成するための高度に効率的な手段が、Newman、Biotechnology、10:1455〜1460(1992)で開示されている。具体的には、この技術により、サル可変ドメイン及びヒト定常配列を含む霊長類化抗体が生成される。この参考文献は、その全体を参照により本明細書に組み込む。さらに、この技術はまた、同じ譲受人に許可された米国特許第5658570号、同第5693780号、及び第5756096号に記載されており、それぞれを参照により本明細書に組み込む。本発明の1つの好ましい実施形態であるIDEC−152は、上記の参考文献で実質的に記載された技術を使用して生成した。
【0038】
本明細書から明らかな通り、本発明のCD23拮抗剤である抗体誘導体を生成するのに有用な遺伝配列は、いくつかの異なる供給源から得ることができる。例えば、上記で詳細に論じた通り、様々なヒト抗体遺伝子は公的に利用可能な寄託の形態で入手することができる。抗体及び抗体をコードする遺伝子の多くの配列は公表されており、前に記載したが、適切な抗体遺伝子はこれらの配列から合成することができる。また、抗体産生細胞系は、当業者によく知られた技術を使用して選択し、培養することができる。これらの技術は様々な実験マニュアルや主な刊行物に記載されている。これに関し、以下に記載の発明で使用するのに適した技術は、「免疫学の最新プロトコル(Current Protocols in Immunology)」、Coliganら編、Green Publishing Associates and Wiley−Interscience、John Wiley and Sons、New York(1991)で記載されており、その全体を増補も含めて参照により本明細書に組み込む。
【0039】
本発明の範囲が、本明細書で記載したDNA配列の対立遺伝子、変異体、及び突然変異体のすべてを含むことも理解されよう。
【0040】
よく知られている通り、RNAは原ハイブリドーマ細胞から又は別の形質転換細胞から、グアニジニンイソシアネートで抽出し、沈殿させた後、遠心分離する又はクロマトグラフィー処理するなどの標準的な技術で単離することができる。所望の場合には、オリゴdTセルロースでクロマトグラフィー処理するなどの標準的な技術により、mRNAを総RNAから単離することができる。これらの目的に適する技術は当技術分野でよく知られており、上記の参考文献で記載されている。
【0041】
抗体の軽鎖と重鎖をコードするcDNAは、よく知られた方法に従って逆転写酵素やDNAポリメラーゼを使用して、同時に又は別々につくることができる。これは、コンセンサス定常領域プライマーにより、又は公表された重鎖及び軽鎖DNA配列及びアミノ酸配列に基づくより特異的なプライマーによって開始することができる。上記で論じた通り、PCRを使用して、抗体の軽鎖及び重鎖をコードするDNAクローンを単離することもできる。この場合、ライブラリーは、コンセンサスプライマー又はマウス定常領域プローブなどのより大きな相同プローブによってスクリーニングすることができる。
【0042】
組換えDNA技術に関連した上記の参考文献で詳細に示された、標準的なよく知られた技術によって制限が位置付けられ、配列決定されたDNA、典型的にはプラスミドDNAは、本明細書で記載した細胞から単離することができる。当然のことながら、DNAは、本発明に従って単離プロセス又はその後の分析のどの時点でも修飾することができる。
【0043】
好ましい抗体配列を本明細書で開示する。本発明の態様に適するオリゴヌクレオチド合成技術は当業者によく知られており、いくつかの市販の自動合成装置のいずれかを使用して実施することができる。さらに、本明細書で挙げた重鎖及び軽鎖のいくつかのタイプをコードするDNA配列は、商業的なDNA合成業者による供給から得ることができる。次いで、上記の方法のいずれかを使用して得た遺伝材料を改変し、又は修飾して、本発明に適する抗体を得ることができる。
【0044】
本発明によって様々な異なるタイプの抗体を得ることができ、修飾することができるが、本発明の修飾された抗体は様々な共通の特徴を有する。用語「免疫グロブリン」は、任意の相当する特異的免疫反応性を有するか否かにかかわらず四量体又はその集合体を指すものとする。「抗体」は、抗原(例えば、腫瘍関連抗原)に対する重要な既知の特異的免疫反応活性を有し、軽鎖及び重鎖を含み、その間に共有結合を有している又は有していない集合体を指す。この抗体は、修飾されて有益な生理学的特徴を付与することができる。本発明による「修飾された抗体」という用語は、抗体、又はその中で1つ又は複数の定常領域ドメインの少なくとも1つの画分が欠失している、又はそうでなければ改変されて、ほぼ同じ免疫原性の完全な改変されていない抗体と比較したときに、腫瘍局在性が高められている、又は血清半減期が低減されているなどの所望の生化学的特徴を提供する免疫反応性断片又はその組換え体を意味する。本出願の目的のために、定常領域ドメインが改変された又は欠失した免疫反応性一本鎖抗体構築物を、修飾された抗体とみなすことができる。
【0045】
脊椎動物系の基本的な免疫グロブリン構造は、比較的よく理解されている。以下でより詳細に論じる通り、一般的な用語「免疫グロブリン」は、生化学的に区別することができる5種の異なるクラスの抗体を含む。5つのクラスはすべて明らかに本発明の範囲内にあるが、以下の議論は一般的にIgG分子のクラスを対象とする。IgGに関し、免疫グロブリンは、分子量約23000ダルトンの2本の同一のポリペプチド軽鎖、及び分子量53000〜70000の2本の同一の重鎖を含む。この4本の鎖は「Y」の立体配置でジスルフィド結合され、ここで軽鎖は「Y」の口の位置から可変領域にわたり重鎖をはさむ。
【0046】
より具体的には、軽鎖と重鎖はどちらも構造的及び機能的相同の領域に分けられる。用語「定常」及び「可変」は、機能的に使用する。これに関し、軽鎖(V)及び重鎖(V)の両方の可変ドメインは、抗原認識及び特異性を決定することは理解されよう。逆に、軽鎖(C)及び重鎖(C1、C2、又はC3)の定常ドメインは、分泌、経胎盤移動性、Fc受容体結合性、補体結合性などの重要な生化学的性質を与える。取決めにより、定常領域ドメインの数は、抗原結合部位又は抗体のアミノ末端から離れるほど大きくなる。したがって、C3及びCドメインは、それぞれ重鎖と軽鎖のカルボキシ末端を実際に含む。
【0047】
軽鎖は、カッパ又はラムダ(κ、λ)のいずれかとして分類される。各重鎖クラスは、カッパ軽鎖又はラムダ軽鎖のいずれかと結合することができる。一般的に、軽鎖と重鎖は互いに共有結合しており、2本の重鎖の「末端」部分は、免疫グロブリンがハイブリドーマ、B細胞、又は遺伝的に操作された宿主細胞のいずれかによって産生されたとき、ジスルフィド共有結合により互いに結合している。しかし、正しい幾何で鎖同士が非共有結合することができるならば、非ジスルフィド結合鎖の集合体は、依然として抗原と反応することができる。重鎖では、アミノ酸配列は、Y立体配置のフォーク状の末端のN末端から各鎖の最後のC末端まで延びる。N末端は可変領域であり、C末端は定常領域である。当業者ならば、重鎖が、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、又はイプシロン(γ、μ、α、δ、ε)として、その中にいくつかのサブクラスを伴って分類されることを理解されよう。抗体の「クラス」を、IgA、IgD、IgE、IgG、又はIgMとして決定するのがこの鎖の特質である。免疫グロブリンのサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgAなどはよく特徴付けられており、機能的特殊性を与えていることが知られている。これらのクラス及びアイソタイプのそれぞれの修飾された形は、本願の開示を考慮した当業者には容易に識別することができるので、それらは本発明の範囲内にある。
【0048】
上記で示した通り、可変領域により、抗体は免疫反応性抗原のエピトープを選択的に認識し、それに特異的に結合することができる。すなわち、抗体のVドメイン及びVドメインは結合して可変領域を形成し、これは三次元の抗原結合部位を確定する。この抗体の四次構造は、Yの各アームの末端に存在する抗原結合部位を提供する。より詳細には、抗原結合部位は、V鎖及びV鎖のそれぞれにある3つの相補性決定領域(CDR)によって確定される。
【0049】
抗体が水性環境中で三次元立体構造をしていると仮定すると、6つのCDRは、抗原結合部位を形成するように特別に位置するアミノ酸の短い不連続の配列である。重鎖及び軽鎖の可変ドメインの残りは、アミノ酸配列中で分子間変化がより少なく、枠組み構造領域と呼ばれる。枠組み構造領域は、主としてβシート立体配座をとり、また、各CDRはβシート構造と接続し、時にはβシート構造の一部を形成するループを形成している。したがって、これらの枠組み構造領域は、6つのCDRを鎖間の非共有相互作用により、正しい配向に配置させる足場を形成するように作用する。いずれにしても、位置したCDRによって形成された抗原結合部位は、免疫反応性抗原のエピトープと相補的な面を確定する。この相補的な面は、抗体が免疫反応性抗原エピトープと非共有結合することを促進する。
【0050】
本発明の目的のために、開示の抗CD23抗体は、抗体をCD23マーカーと結合させる任意のタイプの可変領域を含むことができることを理解されたい。これに関し、可変領域は、誘発されて体液性応答を始め、CD23に対する免疫グロブリンを産生することができる哺乳動物の任意のタイプを含むことができる、又はそこから導出されることができる。したがって、拮抗性抗体の可変領域は、例えば、ヒト、マウス、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル、マカクなど)、又はオオカミ由来であることができる。好ましい実施形態では、免疫グロブリンの可変領域及び定常領域の両方はヒトである。その他の選択した実施形態では、適合する抗体(通常、非ヒト源から導出した)の可変領域は、分子の結合性を高め、又は免疫原性を低減するように操作する、又は特に適応させることができる。これに関し、本発明で有用な可変領域はヒト化することができ、又はそうでなければ移入したアミノ酸配列を含むことによって改変することができる。
【0051】
「ヒト化抗体」とは、親抗体の抗原結合性を保持している、又は実質的に保持しているが、ヒトでは免疫原性が低い非ヒト抗体、典型的にはマウス抗体由来の抗体を意味する。これは種々の方法で得ることができ、これらの方法は、(a)非ヒト可変ドメイン全体をヒト定常領域に移植してキメラ抗体を形成し、(b)1つ又は複数の非ヒト相補性決定領域(CDR)の少なくとも一部をヒト枠組み構造及び定常領域に移植し、このとき肝要な枠組み構造残基を保持することも保持しないこともあり、あるいは(c)非ヒト可変ドメイン全体を移植するが、表面の残余を代えることによってヒト様セクションでそれらを「覆う」。この種の方法は、Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.81:6851〜5(1984);Morrisonら、Adv.Immunol.44:65〜92(1988);Verhoeyenら、Science 239:1534〜1536(1988);Padlan、Molec.Immun.28:489〜498(1991);Padlan、Molec.Immun.31:169〜217(1994)、並びに米国特許第5585089号、同第5693761号、及び同第5693762号で開示されており、これらはすべてその全体を参照により本明細書に組み込む。
【0052】
当業者ならば、上記の選択項目(a)で記載の技術により「標準的な」キメラ抗体を生成することを理解されよう。本出願の文脈では、用語「キメラ抗体」は、その免疫反応性領域又は部位が第1の種から得られた又は第1の種に由来し、定常領域(天然のままでも、部分であっても、本発明に従って修飾されていてもよい)が第2の種から得られたものである、任意の抗体を意味する。好ましい実施形態では、抗原結合領域又は部位は非ヒト源(例えば、霊長類又はマウス)由来であり、定常領域はヒトである。可変領域の免疫原性特異性は一般にその供給源に影響されないが、ヒト定常領域は、非ヒト源由来の定常領域よりもヒト対象由来の免疫応答を起こしにくい。
【0053】
好ましくは、重鎖及び軽鎖の両方の可変ドメインは、1種又は複数のCDRの少なくとも部分的な交換により、必要に応じて、部分的な枠組み構造領域の交換及び配列の変化により改変される。CDRは、枠組み構造領域が由来する抗体の同じクラス又はサブクラスの抗体由来であってもよいが、CDRは別のクラスの抗体由来であり、好ましくは別の種の抗体由来であることを予想している。CDRすべてをドナーの可変領域由来の完全なCDRと置き換えて、1つの可変ドメインの抗原結合能力を別の可変ドメインへ移す必要はないことを強調しなければならない。むしろ、抗原結合部位の活性を維持するのに必要なこれらの残余を移すことだけが必要である。米国特許第5585089号、同第5693761号、及び同第5693762号に記載の説明を前提とすれば、日常的な実験を実施することにより、又は免疫原性が低減した機能的な抗体を得るための試行錯誤により、これは十分に当業者の能力の範囲内にある。
【0054】
可変領域の改変にかかわらず、当業者ならば、好ましい実施形態において、本発明の抗CD23抗体が、その定常領域ドメインの1つ又は複数の少なくとも画分を欠失している、又はそうでなければ改変されて、天然のままの又は改変されていない定常領域を含むほぼ同じ免疫原性の抗体と比較して、腫瘍局在性が増大している、又は血清半減期が低減しているなどの望ましい生化学的特徴を提供するような抗体又はその免疫反応性断片を含むことができることは理解されよう。選択した実施形態では、これらのタイプの抗CD23抗体の定常領域はヒト定常領域を含む。本発明に適合する定常領域の修飾には、1つ又は複数のドメインで、1つ又は複数のアミノ酸を付加すること、欠失すること、又は置換することが含まれる。すなわち、本明細書で開示した抗CD23抗体は、3つの重鎖定常ドメイン(C1、C2、又はC3)の1つ又は複数の改変又は修飾、及び/又は軽鎖定常ドメイン(C)の改変又は修飾を含むことができる。特に好ましい実施形態では、修飾した抗体は、ドメインが欠失した構築体、又はC2ドメイン全体が除去された変異体(△C2構築体)を含む。
【0055】
立体配置に加えて、定常領域がいくつかのエフェクター機能をもたらすことが当技術分野で知られている。例えば、補体のC1成分を抗体に結合させることにより補体系が活性化する。補体が活性化することは、細胞の病原体のオプソニン化及び溶解には重要である。補体の活性化はまた、炎症性応答を刺激し、自己免疫過敏症も伴う。さらに、抗体はFc領域を介して細胞に結合し、抗体のFc領域のFc受容体部位は細胞のFc受容体(FcR)に結合する。異なるクラスの抗体に特異的ないくつかのFc受容体があり、これらにはIgG(ガンマ受容体)、IgE(イータ受容体)IgA(アルファ受容体)、及びIgM(ミュー受容体)が含まれる。抗体が細胞表面のFc受容体に結合することにより、多くの重要で多様な生物応答が引き起こされる。これらには、抗体被覆粒子の取込み及び破壊、アポトーシス、免疫複合体の除去、キラー細胞による抗体被覆標的細胞の溶解(抗体依存性細胞性細胞傷害性、又はADCCと呼ばれる)、炎症性仲介物の放出、免疫グロブリン産物の胎盤による移動及び制御が含まれる。
【0056】
単離された遺伝材料を操作して上記の抗体及び反応性ポリペプチドなどのCD23拮抗剤を得た後に、典型的には、所望量のCD23拮抗剤の調製に使用することができる宿主細胞に入れるための発現ベクターに核酸を入れる。
【0057】
明細書及び請求項の目的のために本明細書で使用する用語「ベクター」又は「発現ベクター」は、細胞の所望の核酸配列に入れるための、及び細胞の所望の核酸配列を発現するための担体として本発明に従って使用されるベクターを意味する。当業者には知られている通り、このようなベクターは、プラスミド、ファージ、ウイルス、及びレトロウイルスからなる群から容易に選択することができる。一般に、本発明に適合するベクターは、選択マーカー、所望の遺伝子のクローニングを促進する適切な制限部位、並びに真核細胞又は原核細胞に入る且つ/又は真核細胞又は原核細胞で複製する能力を有する。
【0058】
本発明の目的のために、多くの発現ベクター系を使用することができる。例えば、1つのクラスのベクターは、ウシ乳頭腫ウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルス(RSV、MMTV、又はMOMLV)、又はSV40ウイルスなどの動物ウイルス由来のDNAエレメントを利用する。さらに、DNAをそれらの染色体に結合した細胞は、トランスフェクトした宿主細胞を選択することができる1種又は複数のマーカーを導入することにより選択することができる。このマーカーは、栄養要求性宿主に対する原栄養性、殺生物剤耐性(例えば、抗生物質)、又は銅などの重金属に対する抵抗性を与える。選択マーカー遺伝子は、発現するDNA配列に直接結合する、又は同じ細胞に同時形質変換により導入することができる。mRNAの最適な合成には追加のエレメントも必要である。これらのエレメントには、スプライスシグナル、並びに転写プロモーター、エンハンサー、及び終止シグナルが含まれる。
【0059】
抗CD23抗体を対象とする特に好ましい実施形態では、クローニングされた可変領域遺伝子を発現ベクターに、重鎖及び軽鎖定常領域遺伝子(好ましくはヒト)と共に上述の通り挿入する。これは、NEOSPLAと呼ばれる、IDEC Pharmaceuticals,Inc.(カリフォルニア州サンディエゴ)の特許された発現ベクターを使用して実施するのが好ましい。このベクターは、サイトメガロウイルスプロモーター/エンハンサー、マウスベータグロビンメジャープロモーター、複製のSV40起点、ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼエキソン1及びエキソン2、ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子、並びにリーダー配列を含む。以下の実施例からわかる通り、このベクターは、可変領域遺伝子及び定常領域遺伝子を入れ、CHO細胞内でトランスフェクションし、G418を含む培地で選択し、メトトレキセート増幅すると、非常に高濃度の抗体を発現することがわかった。このベクター系は同じ譲受人に譲渡された米国特許第5736137号及び同第5658570号で実質的に開示されており、それぞれの全体を参照により本明細書に組み込む。この系は高い発現量、すなわち>30pg/細胞/日を与える。反応性のポリペプチド拮抗剤は、同様のベクターを使用して発現することができる。
【0060】
より一般的には、反応性ポリペプチド又は抗体を含むベクター又はDNA配列を調製すれば、発現ベクターを適切な宿主細胞に導入することができる。すなわち、宿主細胞を形質転換できる。プラスミドの宿主細胞への導入は、当業者によく知られた種々の技術によって実施することができる。これらには、トランスフェクション(電気泳動及びエレクトロポレーションを含む)、プロトプラスト融合法、リン酸カルシウム沈殿反応、エンベロープのあるDNAとの細胞融合、マイクロインジェクション、天然のままのウイルスによる感染が含まれるが、これらだけに限定されるものではない。Ridgway,A.A.G.、「哺乳動物の発現ベクター(Mammalian Expression Vectors)」、第24.2章、470〜472頁、Vectors、Rodriguez及びDenhardt編(Butterworths、Boston、マサチューセッツ州、1988)を参照されたい。より好ましくは、宿主へのプラスミドの導入はエレクトロポレーションによる。形質転換細胞は軽鎖及び重鎖の産生に適切な条件下で成長させ、重鎖及び/又は軽鎖タンパク質合成をアッセイする。具体的なアッセイ技術としては、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光標示式細胞分取器分析(FACS)、免疫組織化学などが挙げられる。
【0061】
本明細書では、用語「形質転換」は広い意味で使用するものとし、遺伝子型を変化させ、最終的にレシピエント細胞を変化させるレシピエント宿主細胞へのDNAの任意の導入を指す。
【0062】
同様に、「宿主細胞」は、組換えDNA技術を使用して構築され、少なくとも1つの非相同遺伝子を含むベクターで形質転換された細胞を指す。本明細書で定義した通り、宿主細胞によって産生された抗体又はその変形は、その形質転換によるものである。組換え宿主から抗体を単離するプロセスの記載では、用語「細胞」及び「細胞培養物」は、明確な別段の記載がない限り、抗体源を指すものとして互換性をもって使用する。言い換えれば、「細胞」からの抗体の回収とは、遠心沈殿した総細胞から、又は培地及び懸濁した細胞の両方を含む細胞培養物からのどちらかを意味する。
【0063】
タンパク質発現に使用する宿主細胞系は、最も好ましくは哺乳動物由来である。当業者は、その中で発現する所望の遺伝子産物に最も適した特定の宿主細胞系を優先的に決定する能力を備えている。具体的な宿主細胞系としては、これらだけに限定するものではないが、DG44及びDUXB11(チャイニーズハムスター卵巣系、DHFRマイナス)、HELA(ヒト子宮頚癌)、CVI(サル腎臓系)、COS(SV40のT抗原を有するCVIの誘導体)、R1610(チャイニーズハムスター線維芽細胞)、BALBC/3T3(マウス線維芽細胞)、HAK(ハムスター腎臓系)、SP2/O(マウス骨髄腫)、P3.times.63−Ag3.653(マウス骨髄腫)、BFA−1c1BPT(ウシ内皮細胞)、RAJI(ヒトリンパ球)、及び293(ヒト腎臓)が挙げられる。CHO細胞が特に好ましい。宿主細胞系は、典型的には、業者のAmerican Tissue Culture Collectionから、又は刊行された参考文献から入手可能である。
【0064】
in vitroでの生産により、大量の所望のCD23拮抗剤を得るための規模の拡大が可能になる。組織培養条件下で哺乳動物細胞を培養する技術は当技術分野で知られており、それには例えば、エアリフト反応器や連続攪拌反応器中の均一な懸濁培養、又は例えば、中空ファイバーやマイクロカプセル中、アガロースマイクロビーズやセラミックカートリッジ上の固定化又は捕捉細胞の培養が含まれる。CD23拮抗剤を単離するためには、培養上清中の発現したポリペプチドを、例えば、硫酸アンモニウムによる沈殿、PEGなどの吸湿性材料の透析、選択性の膜での濾過などにより、まず濃縮する。必要及び/又は所望に応じ、濃縮ポリペプチドを通常のクロマトグラフィー法、例えば、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、DEAEセルロースによるクロマトグラフィー、又は(免疫)アフィニティークロマトグラフィーにより精製する。
【0065】
反応性のポリペプチド遺伝子はまた、細菌や酵母などの非哺乳動物細胞でも発現することができる。これに関し、細菌などの種々の単細胞非哺乳動物微生物も形質転換することができる、すなわち、培養や発酵で成長できることは理解されよう。形質転換されやすい細菌には、大腸菌株などの腸内細菌;サルモネラ菌;枯草菌などのバチルス;肺炎球菌;連鎖球菌;及びインフルエンザ菌のメンバーが含まれる。さらに、細菌内で発現したときに、抗CD23免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖は、典型的には、封入体の一部になることは理解されよう。次いで、その鎖を単離し、精製し、次に機能的免疫グロブリン分子に構築しなければならない。
【0066】
原核生物に加えて、真核生物の微生物も使用することができる。多くのその他の株も通常利用できるが、サッカロミセスセレビシエ、又は通常のパン酵母が、真核生物の微生物の中で最も普通に使用されている。サッカロミセスでの発現では、例えば、プラスミドYRp7(Stinchcombら、Nature、282:39(1979);Kingsmanら、Gene、7:141(1979);Tschemperら、Gene、10:157(1980))が通常使用されている。このプラスミドは、トリプトファン、例えばATCC番号44076又はPEP4−1中で成長する能力を欠いた酵母の突然変異株の選択マーカーを提供するtrpl遺伝子を既に含んでいる(Jones、Genetics、85:12(1977))。したがって、酵母宿主細胞ゲノムの特徴としてtrpl傷害が存在していることにより、トリプトファンの不存在下での成長によって形質転換を検出する効果的な環境を提供する。
【0067】
どれだけ臨床的に有用な量が得られるかとは関係なく、本発明のCD23拮抗剤は、いくつかの複合形(すなわち、免疫複合体)のいずれか1つ又は非複合形で使用することができる。特に、本発明の抗体は、放射性同位元素、治療剤、細胞分裂抑制剤、生物毒、又はプロドラッグなどの細胞毒と結合する又は結びつけることができる。あるいは、本発明のCD23拮抗剤は、補体依存性細胞傷害性(CDC)、抗体依存性細胞毒性(ADCC)、又はアポトーシスを含む対象の天然の防御機序を利用する、非複合形又は「裸の」形で使用して、悪性腫瘍細胞を除去することができる。特に好ましい実施形態では、CD23拮抗剤は、90Y、125I、131I、123I、111In、105Rh、153Sm、67Cu、67Ga、166Ho、177Lu、186Re、及び188Reなどの放射性同位元素と、いくつかのよく知られたキレート化合物を使用することにより、又は直接標識により、結合させることができる。別の実施形態では、開示の組成物は、薬物、プロドラッグ、又はメトトレキセートやアドリアマイシンなどの生物応答調節剤、及びインターフェロンなどのリンフォカインと結合したCD23拮抗剤を含むことができる。本発明のさらに別の実施形態は、リシン又はジフテリア毒素などの特定の生物毒素と結合した抗体を使用することを含む。さらに別の実施形態では、CD23拮抗剤は、他の免疫学的に活性なリガンド(例えば、抗体又はその断片)と複合体を形成することができ、ここで得られた分子は新生物細胞及びT細胞などのエフェクター細胞の両方と結合する。複合CD23拮抗剤又は非複合CD23拮抗剤のいずれを使用するかの選択は、癌のタイプと段階、併用する治療(例えば、化学療法又は外照射)の使用、及び患者の状態によって決まる。当業者ならば、本明細書の教示を考慮して容易にそのような選択を行えることは理解されよう。
【0068】
本明細書で使用する「細胞毒又は細胞傷害剤」は、細胞の成長及び増殖に有害であり、悪性腫瘍に暴露したときに、悪性腫瘍を低減し、阻害し、又は破壊するように作用することができる、開示のCD23拮抗剤と結合させ得る任意の薬剤を意味する。具体的な細胞毒としては、これらだけに限定するものではないが、放射性核種、生物毒素、細胞分裂抑制剤又は細胞傷害性治療剤、プロドラッグ、免疫学的に活性なリガンド、及びサイトカインなどの生物応答性調節剤が挙げられる。以下でより詳しく論じる通り、放射性核種細胞毒は本発明での使用に特に好ましい。しかし、悪性腫瘍細胞の成長を妨げる、又は遅らせるように作用する、あるいは悪性腫瘍細胞を除去するように作用する、そして本明細書で開示のCD23拮抗剤と結合することができる細胞毒は、本発明の範囲内にある。
【0069】
これまでの研究では、これらの同位元素で標識された抗腫瘍抗体の使用は、動物モデル及びヒトのいくつかの症例で、充実性腫瘍並びにリンパ腫/白血病の細胞の破壊に成功を収めてきたことは理解されよう。放射性核種は、核DNA内に細胞死につながる多数の鎖切断を起こす電離放射線を生成することによって作用する。治療用コンジュゲートを製造するために使用する同位元素は、典型的には、経路が短い高エネルギーのα粒子又はβ粒子を生成する。このような放射性核種は、近くにある細胞、例えば、コンジュゲートが付着している、又は入っている新生物細胞を殺す。放射性核種は、局在化していない細胞には殆ど又は全く影響を及ぼさない。放射性核種は本質的に非免疫原性である。
【0070】
放射性同位元素で標識したコンジュゲートを本発明と結合させて使用することに関し、CD23拮抗剤は直接標識することができ(ヨウ素で処理するなど)、又はキレート剤を使用して間接的に標識することができる。本明細書で使用する表現「間接標識」及び「間接標識手法」はいずれも、キレート剤が抗体に共有結合していること、少なくとも1つの放射性核種がキレート剤に結合していることを意味する。特に好ましいキレート剤は二官能性のキレート剤であり、例えば、1−イソチオシクマトベンジル−3−メチルジオテレントリアミン五酢酸(「MX−DTPA」)及びシクロヘキシルジエチレントリアミン五酢酸(「CHX−DTPA」)誘導体が含まれる。間接標識のための特に好ましい放射性核種としては、111In及び90Yが挙げられる。
【0071】
本明細書で使用する表現「直接標識」及び「直接標識手法」は、どちらも放射性核種がCD23拮抗剤に(典型的にはアミノ酸残基を介して)直接共有結合していることを意味する。より詳細には、これらの結合技術としては、ランダム標識及び部位特異的標識が挙げられる。後者の場合、コンジュゲートのFc部のみに存在するN結合糖残基などの二量体又は四量体の特定の部位を対象として標識する。さらに、種々の直接標識技術及びプロトコルが本発明に適合する。例えば、テクネチウム99m標識抗体は、リガンド交換方法により、スズイオン溶液でパーテクネート(TcO)を還元し、還元したテクネチウムをセファデックスカラム上でキレート化し、抗体をこのカラムに適用することにより、又はバッチ標識技術により、例えば、パーテクネート、SnClなどの還元剤、ナトリウム−フタル酸カリウム溶液などの緩衝液、及びCD23拮抗剤をインキュベートすることにより調製することができる。いずれの場合も、CD23拮抗剤を直接標識する好ましい放射性核種は当技術分野でよく知られており、直接標識に特に好ましい放射性核種は、チロシン残基を介して共有結合した131Iである。本発明によるCD23拮抗剤は、例えば、放射性ヨウ化ナトリウム又はカリウム、及び次亜塩素酸ナトリウム、クロラミンTなどの化学酸化剤、又はラクトペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、及びグルコースなどの酵素酸化剤によって導出することができる。しかし、本発明の目的のためには、間接標識手法が特に好ましい。
【0072】
キレート剤及びキレート剤コンジュゲートに関する特許は、当技術分野で知られている。例えば、Gansowの米国特許第4831175号は、多置換ジエチレントリアミン五酢酸キレート及びこれを含むタンパク質コンジュゲート、並びにこれらの調製方法を対象とする。Gansowの米国特許第5099069号、同第5246692号、同第5286850号、同第5434287号、及び同第5124471号もまた、多置換DTPAキレートに関する。これらの特許はその全体を本明細書に組み込む。適合する金属キレート剤の他の例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DPTA)、1,4,8,11−テトラアザテトラデカン、1,4,8,11−テトラアザテトラデカン−1,4,8,11−四酢酸、1−オキサ−4,7,12,15−テトラアザヘプタデカン−4,7,12,15−四酢酸などが挙げられる。これから発見されるものも含めて、その他の適合するキレートは当業者によって容易に認識され、明らかに本発明の範囲内にある。
【0073】
同時係属の出願第08/475813号、同第08/475815号、及び同第08/478967号において、キレート化を促進するために使用された特定の二官能性キレート剤を含む適合するキレート剤は三価の金属に対する高アフィニティーを提供し;高められた腫瘍対非腫瘍比及び低減された骨摂取並びに標的部位、すなわちB細胞リンパ腫腫瘍部位での放射性核種のより大きなin vivo残留を示すように選択するのが好ましい。しかし、これらの特徴のすべてを有していてもいなくてもよいその他の二官能性キレート剤が当技術分野で知られており、これらも腫瘍治療において有益であり得る。
【0074】
CD23拮抗剤が診断目的及び治療目的で別の放射能標識と結合してもよいこともまた、本発明の教示により理解されよう。このために、参照によりその全体を本明細書に組み込んだ上述の同時係属出願は、治療用抗体を投与する前の腫瘍の診断「イメージング」用の放射標識した治療用コンジュゲートを開示している。111Inが診断用放射性核種として特に好ましい。というのは、約1から約10mCiまでは、検出される毒性なしに安全に投与でき、そのイメージングデータが、その後の90Y標識された抗体分布を一般に予示するからである。殆どのイメージング研究では、5mCiの111In標識された抗体を利用している。それは、この用量が安全であり、且つより低用量と比較してイメージング効果が増大しており、抗体投与後3日から6日で最適なイメージングが得られるからである。例えば、Murray、J.Nuc.Med.26:3328(1985)及びCarraguilloら、J.Nuc.Med.26:67(1985)を参照されたい。
【0075】
上記した通り、種々の放射性核種を本発明に適用することができ、当業者はどの放射性核種が様々な状況下で最も適切かを容易に決定する能力を有している。例えば、131Iは、標識を用いた免疫療法で使用するよく知られた放射性核種である。しかし、131Iの臨床的有用性は、8日の物理的半減期、血中及び腫瘍部位の両方でのヨウ化抗体の脱ハロゲン化、腫瘍で局在化した線量沈着で最善ではない放射特性(例えば、大きなガンマ成分)などのいくつかの要因により制限される。優れたキレート剤の出現により、金属キレート基をタンパク質と結合させる機会が111Inや90Yなどの他の放射性核種を利用する機会を増大させた。90Yは、90Yの半減期64時間は腫瘍によって抗体が蓄積するのに十分な長さであり、例えば131Iとは異なり、90Yは高エネルギーの純粋なベータを放射して、崩壊する際にガンマ放射を伴わず、組織での範囲が100から1000細胞直径であるなど、放射線免疫療法での利用にいくつかの点で有益である。さらに、浸透する放射量が最小なので、90Y標識された抗体を外来患者に投与することができる。さらに、細胞を殺すために標識されたCD23拮抗剤を内在化する必要がなく、イオン化した放射の局所的な放出は標的抗原を欠く近隣の腫瘍細胞にとって致命的なはずである。
【0076】
90Y標識されたCD23拮抗剤の効果的な単回治療量(すなわち、治療有効量)は、約5から約75mCiであり、より好ましくは約10から約40mCiである。131I標識された抗体の効果的な単回治療骨髄非除去量は、約5から約70mCiであり、より好ましくは約5から約40mCiである。131I標識された抗体の効果的な単回治療骨髄除去量は(すなわち、自己骨髄移植を必要としてもよい)、約30から約600mCiであり、より好ましくは約50から約500mCi未満である。キメラ抗体と結合した場合は、マウス抗体よりも循環半減期が長いために、ヨウ素131標識されたキメラ抗体の効果的な単回治療骨髄非除去量は、約5から約40mCiであり、より好ましくは約30mCi未満である。例えば111In標識のイメージング規準は、典型的には約5mCi未満である。
【0077】
131I及び90Yについては多くの臨床経験が得られている一方で、その他の放射性標識が当技術分野で知られており、同様の目的で使用されてきた。さらに別の放射性同位元素がイメージングに使用されている。例えば、本発明の範囲と適合する追加的な放射性同位元素としては、これらだけに限定するものではないが、123I、125I、32P、57Co、64Cu、67Cu、77Br、81Rb、81Kr、87Sr、113In、127Cs、129Cs、132I、197Hg、203Pb、206Bi、177Lu、186Re、212Pb、212Bi、47Sc、105Rh、109Pd、153Sm、188Re、199Au、225Ac、211At、及び213Biが挙げられる。この場合、アルファ、ガンマ、及びベータエミッターはすべて本発明に適合する。さらに、本開示を考慮すれば、当業者ならば、過度の実験をすることなく、選択した治療方針にどの放射性核種が適合するかを容易に決定することができる。このために、すでにこれまで臨床的診断で使用されている追加の放射性核種としては、125I、123I、99Tc、43K、52Fe、67Ga、68Ga、並びに111Inが挙げられる。抗体もまた、標的を用いる免疫療法で使用される可能性がある様々な放射性核種で標識されてきた(Peirerszら、Immunol.Cell Biol.65:111〜125(1987))。これらの放射性核種としては、188Re及び186Re、並びにより少量の199Au及び67Cuが挙げられる。米国特許第5460785号はこの種の放射性同位元素に関する追加のデータを提供しており、これを参照により本明細書に組み込む。
【0078】
放射性同位元素に加え、本発明のCD23拮抗剤は、多くの生物応答調節剤、薬剤、毒素、又は免疫学的に活性なリガンドの任意の1つと結合する、又は結びつけることができる。当業者ならば、これらの非放射性コンジュゲートは、選択した細胞毒に応じて種々の技術を使用して構築することができることを理解されよう。例えば、ビオチンとのコンジュゲートは、例えばCD23拮抗剤(すなわち、抗体)をビオチンN−ヒドロキシスクシンイミドエステルなどのビオチンの活性エステルと反応させることにより調製する。同様に、蛍光マーカーとのコンジュゲートは、カップリング剤、例えば上記で記載したものの存在下で調製する、又はイソチオシアネート、好ましくはフルオレセインイソチオシアネートと反応させることにより、調製することができる。本発明のキメラ抗体(すなわち、IDEC−152)と細胞増殖抑制性/細胞傷害性物質及び金属キレートとのコンジュゲートは、同様に調製する。
【0079】
以前に言及した通り、適合する細胞毒はプロドラッグを含むことができる。本明細書で使用する用語「プロドラッグ」は、親薬物と比較して腫瘍細胞に対して細胞傷害性が低く、酵素的に活性化することができ、又はより活性な親形態に変換することができる薬剤として活性な物質の前駆体又は誘導体形態を指す。本発明と適合するプロドラッグとしては、これらだけに限定するものではないが、ホスフェートを含むプロドラッグ、チオホスフェートを含むプロドラッグ、サルフェートを含むプロドラッグ、ペプチドを含むプロドラッグ、β−ラクタムを含むプロドラッグ、場合により置換されたフェノキシアセトアミドを含むプロドラッグ、又は場合により置換されたフェニルアセトアミドを含むプロドラッグ、より活性な細胞傷害性遊離薬物に変換することができる5−フルオロシトシン及びその他の5−フルオロウリジンプロドラッグが挙げられる。本発明で使用するためのプロドラッグ形態に誘導することができる細胞傷害性薬物のさらなる例としては、上記の化学療法剤が挙げられる。
【0080】
開示のCD23拮抗剤が結合形で使用されるか非結合形で使用されるかに関わらず、本発明の主な利点は、これらの抗体を骨髄抑制された患者、特に放射線療法又は化学療法などの補助療法を受けている又は受けた患者で使用できることである。これに関し、CD23拮抗剤の特有の送達プロフィールは、骨髄抑制された癌患者への放射性標識されたコンジュゲートの投与を非常に効果的にすることである。このように、CD23拮抗剤は、以前に外照射又は化学療法などの補助療法を受けた患者において結合形又は非結合形で有用である。その他の好ましい実施形態では、CD23拮抗剤(再び、結合形又は非結合形)は、化学療法剤と組み合わせた治療投与計画で使用することができる。当業者ならば、このような治療投与計画は、開示のCD23拮抗剤及び1種又は複数の化学療法剤を連続して、同時に、共同して、又は同期間(coextensive)投与することを含むことを理解されよう。
【0081】
CD23拮抗剤は直前で記載した通りに投与することができるが、その他の実施形態では、結合形及び非結合形のCD23拮抗剤は、その他の疾病には罹っていない癌患者に第一選択の治療剤として投与することができる。このような実施形態では、CD23拮抗剤は、通常の又は平均的な赤色骨髄貯蔵量を有する患者及び/又は外照射や化学療法などの補助療法を受けたことのない及び受けていない患者に投与することができる。
【0082】
しかし、上述した通り、本発明の選択された実施形態は、CD23拮抗剤を骨髄抑制された患者に投与することを含み、あるいは1種又は複数の放射線療法又は化学療法などの1種又は複数の補助療法と組み合わせる、又は結合する(すなわち、併用治療投与計画)ことを含む。本明細書で使用する、補助療法と結合した、又は併用したCD23拮抗剤の投与とは、その療法及び開示抗体の連続した、同時の、同期間の、共同の、共存の又は同時存在の(contemporaneous)投与又は適用を意味する。当業者ならば、併用治療投与計画の種々の成分の投与又は適用は、治療の全体的な効果を高めるように時間調節できることを理解されよう。例えば、化学療法剤を標準的に投与し、本発明のCD23拮抗剤によるよく知られた治療工程を数週間以内に実施する。逆に、細胞毒と結合したCD23拮抗剤を静脈内投与し、次いで腫瘍への局所的な外照射を実施することができる。さらに他の実施形態では、この拮抗剤は、1種又は複数の選択した化学療法剤と同時に一回の来院で投与することができる。当業者(例えば、経験を積んだ腫瘍遺伝子学者)は、選択した補助療法及び本明細書の教示に基づいて、過度の実験をすることなく、効果的な併用治療投与計画を用意に認識することができる。
【0083】
これに関し、CD23拮抗剤(細胞毒を有する又は有さない)と化学療法剤との組合せは、患者に治療的利益を与える任意の順序及び任意の時間枠内で投与できることは理解されよう。すなわち、化学療法剤及びCD23拮抗剤は、任意の順序で又は同時に投与することができる。選択した実施形態では、本発明のCD23拮抗剤は、以前に化学療法を受けた患者に投与する。さらに他の実施形態では、CD23拮抗剤及び化学療法は、実質的に同時に又は平行して行う。例えば、患者は、化学療法を受けている間にCD23拮抗剤を投与してもよい。好ましい実施形態では、CD23拮抗剤は、任意の化学療法剤又は治療の1年以内に投与する。その他の好ましい実施形態では、CD23拮抗剤は、任意の化学療法剤又は治療の10、8、6、4、又は2カ月以内に投与する。さらに別の好ましい実施形態では、CD23拮抗剤は、任意の化学療法剤又は治療の4、3、2、又は1週間以内に投与する。さらに別の実施形態では、CD23拮抗剤は、選択した化学療法剤又は治療の5、4、3、2、又は1日以内に投与する。この2つの薬剤又は治療は、患者に数時間又は数分間以内に(すなわち、実質的に同時に)投与できることが理解されよう。
【0084】
さらに、本発明により、骨髄抑制された患者とは、血球数が低下した任意の患者を意味するものとする。当業者ならば、骨髄抑制の臨床的指標として通常使用する血球数パラメータが数種あり、患者においてどの程度の骨髄抑制が起きているかを容易に測定できることは理解されよう。当技術分野で許容された骨髄抑制測定法の例としては、好中球数(ANC)又は血小板数がある。このような骨髄抑制又は部分的骨髄除去は、種々の生化学的障害又は疾患の結果である、あるいはより高い可能性としては、以前の化学療法又は放射線療法の結果である。これに関し、当業者ならば、伝統的な化学療法を受けた患者は典型的に赤色骨髄貯蔵量が低下していることを理解されよう。
【0085】
より詳細には、本発明の結合形又は非結合形のCD23拮抗剤を使用して、ANCが約2000個/mm未満、又は血小板数が約150000個/mm未満の患者を効果的に治療することができる。より好ましくは、本発明のCD23拮抗剤を使用して、ANCが約1500個/mm未満、約1000個/mm未満、又はより好ましくは約500個/mm未満の患者を治療することができる。同様に、本発明のCD23拮抗剤を使用して、血小板数が約75000個/mm未満、約50000個/mm未満、又は約10000個/mm未満の患者を治療することができる。より一般的な意味では、当業者は政府が実施する指針及び手順を使用して、患者が骨髄抑制された時点を容易に決定することができる。
【0086】
上記の通り、多くの骨髄抑制された患者は、化学療法、埋込型放射線療法、又は外照射を含む治療工程を経験している。後者の場合、外照射源は悪性腫瘍の局所照射用である。放射線療法の埋込型方法では、放射性試薬は悪性腫瘍内に外科的に入れ、これにより疾患部位を選択的に照射する。いずれにしても、開示の拮抗剤を使用して、原因に関わりなく、骨髄抑制を示す患者の腫瘍性疾患を治療することができる。
【0087】
本発明のCD23拮抗剤は、in vivoで新生物細胞の成長を除去、低減、抑制、又は制御する、単数又は複数の化学療法剤と結合させて又は併用して(例えば、併用療法投与計画として)使用できることも理解されよう。本明細書で使用される用語「化学療法剤」又は「化学療法薬」は、in vivoで新生物細胞の成長を処置又は予防するために投与する、任意の治療化合物を意味するものとする。特に、本発明に適合する化学療法剤には、低分子などの「伝統的な」化学療法剤、及び悪性腫瘍細胞の成長を低減する又は遅延させるために使用する抗体、サイトカイン、アンチセンス分子など、より最近開発された生物学的製剤の両方が含まれる。開示のCD23拮抗剤と共に使用するのに適した特に好ましい化学療法剤としては、Rituxan(登録商標)、Zevalin(商標)、Herceptin(登録商標)、Lymphocide(登録商標)、Campath(登録商標)などの腫瘍関連抗原を対象とした市販の抗体が挙げられる。追加の好ましい実施形態では、臨床試験中の抗新生物抗体をCD23拮抗剤と併用して使用することができる。例えば、それぞれB7抗原及びCD40L抗原を対象とするIDEC−114及びIDEC−131(IDEC Pharmaceuticals、カリフォルニア州サンディエゴ)を開示の拮抗剤と共に使用して選択した新生物を処置することができる。これに関し、Lym−1(Peregrin Pharmaceuticals、カリフォルニア州タスティン)及びErbitux(商標)(Imclone Pharmaceuticals、マサチューセッツ州ケンブリッジ)も本発明に適合する。その他の適合する生物学的化学療法剤としては、リンフォカイン、インターロイキン、腫瘍壊死因子、及び成長因子などのサイトカインが挙げられる。CD23拮抗剤はまた、選択した悪性腫瘍を治療するための、免疫抑制剤、プロドラッグ、又は細胞傷害剤と結合して使用することもできる。
【0088】
CD23拮抗剤と併用するのに特に有用な化学療法抗体としては、Y2B8及びC2B8(Zevalin(商標)及びRituxan(登録商標))IDEC−114及びIDEC−131(IDEC Pharmaceuticals Corp.、サンディエゴ)、Lym1及びLym2、LL2(Immunomedics Corp.、ニュージャージー)、HER2(Herceptin(登録商標)、Genentech Inc.、サウスサンフランシスコ)、B1(Bexxar(登録商標)、Coulter Pharm.、サンフランシスコ)、MB1、BH3、B4、B72.3(Cytogen Corp.)、CC49(国立がん研究所)、及び5E10(アイオワ大学)が挙げられる。Rituxanは、FDAが最初に承認した、ヒトB細胞リンパ腫治療用モノクローナル抗体である(それぞれを参照により本明細書に組み込む、米国特許第5843439号、同第5776456号、及び同第5736137号参照)。Y2B8は、C2B8のマウス親である。Rituxanはキメラの抗CD20モノクローナル抗体(MAb)であり、これは成長抑制性であり、in vitroでの化学療法剤によるアポトーシスのためのある種のリンパ腫細胞系を感作することが報告されている。抗体はヒト補体を効率的に結合し、強いFcR結合を有し、補体依存性(CDC)及び抗体依存性(ADCC)の両機序を介して、in vitroでヒトリンパ球を効率的に殺すことができる(Reffら、Blood 83:435〜445(1994))。当業者ならば、CD20、CD22、B7、又はCD40Lなどの一般的な腫瘍に結合する、又は免疫調節性抗原を対象とする任意の抗体が、本発明に適合し、開示の拮抗剤と併用できることを理解されよう。
【0089】
本発明で有用な、より「伝統的な」化学療法剤としては、チオテパ及びシクロスフォスファミド(CYTOXAN(商標))などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなどのアルキルスルホン酸塩;ベンゾドーパ、カルボクオン、メツレドーパ、及びウレドーパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、及びトリメチロールメラミンを含むエチレンイミン及びメラミン;チオランブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロソウレア;アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウトラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、マイコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、プロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生物質;メトトレキセート及び5−フルオロウラシル(5−FU)などの抗代謝産物;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸同族体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン同族体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジン、5−FUなどのピリミジン同族体;カルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎ホルモン剤;フロリン酸などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビスアントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルフォルニチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Oncology、ニュージャージー州プリンストン)及びドキセタキセル(タキソテール、Rhone−Poulenc Rorer、フランス、アントニー);クロラムブシル;ゲンシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチンなどの白金同族体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イフォスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセロダ;イバンドロネート;CPT11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン;及び上記のいずれかの薬剤として許容される塩、酸、又は誘導体が挙げられる。同様にこの定義に含められるのは、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼを阻害する4(5)−イミダゾール、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びトレミフェン(Fareston)を含む抗エストロゲン;及びフラタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリンなどの抗アンドロゲン;及び上記のいずれかの薬剤として許容される塩、酸、又は誘導体などの、腫瘍に対するホルモン作用を調節する又は阻害するように作用する抗ホルモン剤である。
【0090】
適合する化学療法投与計画には、薬剤の組合せが含まれる。4種の薬剤の組合せであるMOPP(メクレタミン(ナイトロジェンマスタード)、ビンクリスチン(オンコビン)、プロカルバジン、及びプレドニゾン)は、種々のタイプのリンパ腫を治療するのに非常に効果的であり、本発明の好ましい実施形態に含まれる。MOPP耐性の患者では、ABVD(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、及びダカルバジン)、ChlVPP(クロラムブシル、ビンブラスチン、プロカルバジン、及びプレドニゾン)、CABS(ロムスチン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、及びストレプトゾトシン)、MOPPとABVD、MOPPとABV(ドキソルビシン、ブレオマイシン、及びビンブラスチン)、又はBCVPP(カルムスチン、シクロホスファミド、ビンブラスチン、プロカルバジン、及びプレドニゾン)の組合せを使用することができる。Arnold S.Freedman及びLee M.Nadler、「悪性リンパ腫(Malignant Lymphomas)」、HARRISON’S PRINCIPLES OF INTERNAL MEDICINE、1774〜1788(Kurt J.Isselbacherら編、第13版、1994)及びV.T.DeVitaら、(1997)、並びにその中で引用されている参考文献は、標準的な投薬と治療日程についてのものである。これらの療法を変えることなく、又は特定の患者の必要に応じて変更して、本明細書で記載したCD23拮抗剤と併用することができる。
【0091】
本発明の文脈で有用な追加的な治療計画としては、シクロホスファミド又はクロラムブシルなどのアルキル化剤単独の使用、又はCVP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、及びプレドニゾン)、CHOP(CVP及びドキソルビシン)、C−MOPP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン、及びプロカルバジン)、CAP−BOP(CHOPとプロカルバジン及びブレオマイシン)、m−BACOD(CHOPとメトトレキサート、ブレオマイシン、及びロイコボリン)、ProMACE−MOPP(プレドニゾン、メトトレキサート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド、及びロイコボリンと標準的なMOPP)、ProMACE−CytaBOM(プレドニゾン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド、シタラビン、ブレオマイシン、ビンクリスチン、メトトレキサート、及びロイコボリン)、並びにMACOP−B(メトトレキサート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、一定量のプレドニゾン、ブレオマイシン、及びロイコボリン)などの組合せが挙げられる。当業者ならば、これらの投与計画のそれぞれについて標準的な投薬と治療日程を容易に決定することができる。CHOPも、ブレオマイシン、メトトレキサート、プロカルバジン、ナイトロジェンマスタード、シトシンアラビノシド、及びエトポシドと併用されている。その他の適合する化学療法剤としては、これらだけに限定するものではないが、2−クロロデオキシアデノシン(2−CDA)、2’−デオキシコフォルマイシン、及びフルダラビンが挙げられる。
【0092】
緩和しなかった又は再発した中等度NHL及び高度NHLの患者には、サルベージ療法を使用する。サルベージ療法では、シトシン、アラビノシド、シスプラチン、エトポシド、及びイフォスファミドを単独で、又は併用して使用する。再発性又は進行性のある種の腫瘍性疾患では、以下のプロトコルをしばしば使用する。IMVP−16(イフォスファミド、メトトレキサート、及びエトポシド)、MIME(メチル−ギャグ、イフォスファミド、メトトレキサート、及びエトポシド)、DHAP(デキサメタゾン、高用量シタラビン及びシスプラチン)、ESHAP(エトポシド、メチルプレジゾロン、HDシタラビン、シスプラチン)、CEPP(B)(シクロホスファミド、エトポシド、プロカルバジン、プレドニゾン、及びブレオマイシン)、並びにCAMP(ロムスチン、ミトキサントロン、シタラビン、及びプレドニゾン)、それぞれよく知られた用量及び治療日程で使用する。本発明のCD23拮抗剤と併用する化学療法剤の量は、対象により変化することができ、又は当技術分野で知られたものに従って投与することができる。例えば、Bruce A Chabnerら、「抗新生物剤(Antineoplastic Agents)」、GOODMAN&GILMAN’S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS、1233〜1287((Joel G.Hardmanら編、第9版、1996)を参照されたい。
【0093】
本明細書で補助治療に使用される用語「免疫抑制剤」は、本明細書で治療されている哺乳動物の免疫系を抑制又はマスクするように作用する物質を指す。サイトカイン産生を抑制する、自己抗原発現を下方調節する又は抑制する物質、あるいはMHC抗原をマスクする物質が含まれる。この種の薬剤の例としては、2−アミノ−6−アリール−5−置換ピリミジン(米国特許第4665077号参照、その開示を参照により本明細書に組み込む)、アザチオプリン;シクロホスファミド;ブロモクリプチン;ダナゾール;ダプゾン;グルタルアルデヒド(米国特許第4120649号に記載の通り、MHC抗原をマスクする);MHC抗原及びMHC断片の抗イディオタイプの抗体;シクロスポリンA;グルココルチコステロイド、例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、及びデキサメタゾンなどのステロイド;抗インターフェロン抗体、抗腫瘍壊死因子α抗体、抗腫瘍壊死因子β抗体、抗インターロイキン−2抗体、及び抗IL−2受容体抗体を含むサイトカイン又はサイトカイン受容体拮抗剤;抗CD1 1a及び抗CD18抗体を含む抗LFA−1抗体;抗L3T4抗体;非相同の抗リンパ球グロブリン;panT抗体、好ましくは抗CD3又は抗CD4/CD4a抗体;LFA−3結合ドメインを含む可溶性ペプチド(1990年7月26日公開のWO90/08187)、ストレプトラナーゼ;TGF−β;ストレプトドルナーゼ;宿主からのRNA又はDNA;FK506;RS−61443;デオキシスペルグアリン;ラパマイシン;T細胞受容体(Cohenら、米国特許第5114721号);T細胞受容体断片(Offinerら、Science、251:430〜432(1991);WO90/11294;laneway、Nature、341:482(1989);及びWO91/01133);並びにT10B9などのT細胞受容体抗体(EP340109)が挙げられる。
【0094】
本明細書で使用される用語「細胞傷害剤」は、細胞の機能を阻害し又は妨げ、且つ/又は細胞の破壊を起こす物質を指す。この用語は、放射性同位元素、化学療法剤、及び低分子毒素などの毒素、又は細菌、真菌、植物、又は動物由来の酵素的に活性な毒素、又はこれらの断片が含まれることを意図する。
【0095】
用語「サイトカイン」は、別の細胞に細胞間仲介物として作用する1つの細胞集団によって放出されたタンパク質を指す一般的な用語である。この種のサイトカインの例としては、リンフォカイン、モノカイン、及び伝統的なポリペプチドホルモンが挙げられる。サイトカインに含まれるものとしては、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモンなどの成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;レラクシン;プロレラクシン;小胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体ホルモン(LH)などの糖タンパク質ホルモン;肝臓成長因子;線維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死因子α及び腫瘍壊死因子β;ミュラー阻害物質;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポイエチン(TPO);NGF−13などの神経成長因子;血小板成長因子;TGF−α及びTGF−βなどのトランスフォーミング成長因子(TGF);インスリン様成長因子I及びII;エリスロポイエチン(EPO);骨誘導性因子;インターフェロンα、β、及びγなどのインターフェロン;マクロファージCSF(M−CSF)などのコロニー刺激因子(CSF);顆粒球マクロファージCSF(GM−CSF);及び顆粒球CSF(G−CSF);IL−1、IL−1a、IL−2、IL−g、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−11、IL−12、IL−15などのインターロイキン(IL);TNF−α又はTNF−βなどの腫瘍壊死因子;及びLIF及びキットリガンド(KL)を含むその他のポリペプチド因子が挙げられる。本明細書で使用される用語、サイトカインとしては、天然源由来のタンパク質又は組換え細胞培養物由来のタンパク質、並びに天然のままの配列のサイトカインの生物活性等価物が挙げられる。
【0096】
本出願で使用される用語「プロドラッグ」は、親薬物と比較して腫瘍細胞に対する細胞傷害性が低く、酵素的に活性化することができ、又はより活性な親形態に変換することができる薬剤として活性な物質の前駆体又は誘導体を指す。例えば、Wilman、「癌の化学療法のプロドラッグ(Prodrugs in Cancer Chemotherapy)」、Biochemical Society Transactions、14、375〜382頁、第615回ベルファスト会議(Meeting Belfast)(1986)及びStellaら、「プロドラッグ:標的化薬物送達の化学的手法(Prodrugs:A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery)」、Directed Drug Delivery、Borchardtら(編)、247〜267頁、Humana Press(1985)を参照されたい。本発明のプロドラッグとしては、これらだけに限定するものではないが、リン酸含有プロドラッグ、チオリン酸含有プロドラッグ、硫酸含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D−アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、13−ラクタム含有プロドラッグ、場合により置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ、又は場合により置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、より活性な細胞傷害性遊離型薬物に変換することができる5−フルオロシトシン、及びその他の5−フルオロウリジンプロドラッグが挙げられる。本発明で使用するプロドラッグ形に誘導体化できる細胞傷害性薬物としては、これらだけに限定するものではないが、上記の化学療法剤が挙げられる。
【0097】
「リポソーム」とは、薬物(本明細書で開示の拮抗剤、及び場合により化学療法剤など)を哺乳動物に送達するのに有用な種々のタイプの脂質、リン脂質、及び/又は界面活性剤で構成された小胞である。リポソームの成分は、生物学的な膜の脂質配置と同様の二重膜構造に通常構成されている。
【0098】
上記で論じた通り、本発明の拮抗剤、その免疫反応性断片、又は組換え体は、哺乳動物悪性腫瘍をin vivo治療するのに薬剤として有効な量で投与することができる。これに関し、開示の拮抗剤は、投与を容易にし、活性剤の安定性を促進するように製剤化できることは理解されよう。本発明による薬剤組成物は、生理食塩水、非毒性緩衝液、保存剤などの薬剤として許容される非毒性の滅菌した担体を含むことが好ましい。本出願の目的のために、薬剤として効果的な量のCD23拮抗剤、その免疫反応性断片、又は組換え体は、新生物細胞上のCD23抗原と有効に結合し、これらの細胞の死を増大させるのに十分な量を意味するものとする。当然のことながら、本発明の薬剤組成物は、CD23拮抗剤の薬剤として有効な量を提供する単回量又は複数回量で投与することができる。
【0099】
より具体的には、開示の拮抗剤及び方法は、腫瘍の大きさを低減し、腫瘍の成長を阻害し、且つ/又は腫瘍のある動物の生存期間を延長するものでなければならない。したがって、本発明はまた、ヒト又はその他の動物に、有効な非毒性量のCD23拮抗剤を投与することによって、ヒト又はその他の動物の腫瘍を治療する方法に関する。当業者ならば、通常の実験により、悪性腫瘍を治療するための拮抗剤の有効な非毒性量を決定することができるであろう。例えば、拮抗剤の治療活性量は、疾患の段階(例えば、段階I対段階IV)、年齢、性別、合併症(例えば、免疫抑制状態又は疾患)、及び対象の体重、対象において所望の応答を引き出す拮抗剤の能力などの要因により変化し得る。投与計画を調整して、最適な治療応答を得ることができる。例えば、数回に分けた用量を毎日投与することができ、又はその用量を治療状況の要件により相対的に低減してもよい。しかし、一般的には、有効量は体重1キログラム1日あたり約0.05から100ミリグラムの範囲、より好ましくは体重1キログラム1日あたり約0.5から10ミリグラムの範囲にあると考えられる。
【0100】
本開示の範囲に従い、本発明の拮抗剤は、治療又は予防効果を得るのに十分な量で、上記の治療方法に従って、ヒト又はその他の動物に投与することができる。本発明の拮抗剤は、既知の技術によって本発明の拮抗剤を通常の薬剤として許容される担体又は希釈剤と組み合わせることにより調製した通常の投与形態で、そのようなヒト又はその他の動物に投与することができる。当業者ならば、薬剤として許容される担体又は希釈剤の形及び特徴は、それが組み合わされる活性成分の量、投与経路、及びその他のよく知られた変数によって指示されることは理解されよう。当業者ならばさらに、本発明による1種又は複数の拮抗剤を含むカクテルが、特に有効であると認められることは理解されよう。
【0101】
CD23拮抗剤の調製方法及び投与方法は、当業者によく知られている、又は当業者により容易に決定される。本発明の拮抗剤の投与経路は、経口的、非経口的、吸入、又は局所的であることができる。本明細書で使用する非経口的という用語には、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸、又は膣内投与が含まれる。非経口投与の静脈内、動脈内、皮下、及び筋肉内形態が一般に好ましい。これらの投与形態のすべては明らかに本発明の範囲内にあるものと意図されるが、好ましい投与形態は、注射液、特に静脈内又は動脈内注射液又は点滴液である。通常、注射に適した薬剤組成物は、緩衝液(例えば、酢酸、リン酸、又はクエン酸緩衝液)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)、場合により、安定化剤(例えば、ヒトアルブミン)などを含むことができる。しかし、本明細書の教示に適合するその他の方法では、拮抗剤は悪性腫瘍部位に直接送達することができ、これにより新生物組織の治療剤への暴露が高まる。
【0102】
非経口投与製剤としては、滅菌した水性又は非水性溶液、懸濁液、及び乳濁液が挙げられる。非水性溶媒としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、オレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。水性担体としては、生理食塩水及び緩衝媒体を含む、水、アルコール性溶液、水性溶液、乳濁液、又は懸濁液が挙げられる。本発明では、薬剤として許容される担体としては、これらだけに限定するものではないが、0.01〜0.1M及び好ましくは0.05Mのリン酸緩衝液又は0.8%の生理食塩水が挙げられる。その他の通常の非経口溶剤としては、リン酸ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースと塩化ナトリウム、乳酸化リンゲル、又は不揮発性油が挙げられる。静脈溶剤には、流体及び栄養補充剤、リンゲルデキストロースに基づくものなどの電解補充剤などが含まれる。例えば、抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤、及び不活性ガスなどの防腐剤及びその他の添加剤も存在することができる。
【0103】
当業者ならば、注射での使用に適した薬剤組成物には、滅菌水溶液(水溶性の場合)又は分散液、並びに滅菌注射液又は滅菌注射懸濁液の調合製剤用の滅菌粉末が含まれることは理解されよう。このような場合、組成物は滅菌されていなければならず、容易に注射液となる程度に流体でなければならない。製造及び貯蔵中に安定でなければならず、細菌や真菌などの微生物の混入から保護されていることが好ましい。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、並びにそれらの適する混合物を含む、溶媒又は分散媒体であることができる。その適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することにより、分散液の場合には所望の粒径を維持することにより、そして界面活性剤を使用することにより維持することができる。
【0104】
より具体的には、本発明に従って拮抗剤を使用した治療用製剤は、所望の純度の拮抗剤を、任意選択の薬剤として許容される担体、賦形剤、又は安定剤と混合することにより、凍結乾燥製剤又は水性溶液の形で貯蔵用に調製する(Remington’s Pharmaceutical Sciences 第16版、Osol,A.編(1980))。許容できる担体、賦形剤、又は安定剤は、使用する用量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、リン酸、クエン酸、及びその他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンズアルコニウム;塩化ベンズエトニウム;フェノール、ブチルアルコール又はベンジルアルコール;メチルパラベン又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、又はデキストリンを含むその他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、又はソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成性対イオン;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質複合体);及び/又はTWEENTM、PLURONICSTM、又はポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0105】
皮下投与に適する凍結乾燥製剤は、WO97/04801に記載されている。この種の凍結乾燥製剤は、適切な希釈剤によって高タンパク質濃度に再構成することができ、再構成された製剤は本明細書で治療する哺乳動物に皮下投与することができる。
【0106】
本明細書の製剤はまた、治療する特定の適応症のために必要な2種以上の活性化合物を含んでもよく、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的な活性を有するものを含んでもよい。例えば、さらに化学療法剤、サイトカイン、又は免疫抑制剤(例えば、シクロスポリンなどのT細胞に作用するもの、又はT細胞に結合する抗体、例えばLFA−1に結合するもの)を提供するのが望ましい。この種のその他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する拮抗剤の量、疾患、障害、又は治療のタイプ、及びその他の上記で論じた要因によって決まる。これらは一般に、これまで使用したものと同じ投与量及び投与経路で、又はこれまで使用してきた用量の約1から99%で使用される。
【0107】
活性成分はまた、例えば、30のコアセルベーション法、又は界面重合により調製したマイクロカプセル、例えば、それぞれコロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミン小球体、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)、又はマクロエマルジョン中の、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン−マイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセルに入れることができる。この種の技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol,A.編(1980)に開示されている。
【0108】
徐放性製剤も調製することができる。徐放性製剤の適切な例としては、マトリックスが成形品、例えば、薄膜又はマイクロカプセルの形である拮抗剤を含む固体の疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられる。徐放性マトリックスとしては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3773919号)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタメートのコポリマー、非分解性のエチレン−酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマー及び酢酸リュープロレリンで構成された注射用微小球)及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸などの分解性乳酸−グリコール酸コポリマーが挙げられる。in vivo投与で使用する製剤は滅菌されていなければならない。これは滅菌濾過膜で濾過することにより容易に達成される。
【0109】
微生物による作用は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって予防できる。多くの場合、組成物中に、等張化剤、例えば、糖類、マンニトールなどのポリアルコール、ソルビトール、又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物に含ませることによって、注射用組成物の吸収を長引かせることができる。
【0110】
いずれにせよ、滅菌注射液は、必要に応じて本明細書で列挙した成分の1種又は混合物を含む適切な溶媒に、必要な量の活性化合物(例えば、単独又は他の活性剤と組み合わせた拮抗剤)を合わせ、その後滅菌濾過することによって調製できる。一般に、分散液は、塩基性の分散媒質及び上記で列挙したもののうち必要な他の成分を含有する無菌溶剤に活性化合物を混ぜることにより調製する。滅菌注射液調製用の滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、予め滅菌濾過したその溶液から、活性成分及び任意の必要な追加成分の粉末を得る真空乾燥及び凍結乾燥である。
【0111】
注射用製剤は、当技術分野で知られている方法に従って、加工し、アンプル、袋、瓶、注射器、バイアルなどの容器に充填し、無菌条件下で密閉する。容器は、ガラス又はプラスチックなど種々の材料で形成し、選択した疾患又は障害を治療するのに有効な組成物をその中に有する、含む、又は分散することができる。さらに、この容器は滅菌した利用口を有することができる(例えば、容器は皮下注射針を突き刺すことができる栓を有する静脈注射液用袋又はバイアルであることができる)。これらの製剤は包装されて同時係属の米国特許出願第09/259337号及び同第09/259338号で記載されているものなどのキットの形で販売されており、この両出願を参照により本明細書に組み込む。これらの製品は、含有する組成物が、癌、悪性腫瘍、又は腫瘍性疾患(例えば、慢性リンパ性白血病)を患う又はかかりやすい対象を治療するのに有用であると指示したラベル又は添付文書を有することが好ましい。用語「添付文書」は、治療薬の市販品に通常含まれている説明書を指し、この市販品の使用に関する適応症、使用法、用量、投与、禁忌事項、及び/又は注意に関する情報を含む。この製品は、さらに注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンゲル液、及びデキストロース液などの薬剤として許容される緩衝液を含む第2の容器を含むことができる。これは、さらにその他の緩衝液、希釈液、フィルター、針、及び注射器を含む商業的及び使用者の見地から望ましいその他の構成要素を含むことができる。
【0112】
上記で詳述した通り、本発明は、腫瘍性疾患の治療が必要な哺乳動物対象の腫瘍性疾患を治療する化合物、組成物、キット、及び方法を提供する。この対象はヒトであることが好ましい。本発明は、慢性リンパ性白血病を含むCD23血液学的悪性腫瘍の治療に特に有効であるが、開示の拮抗剤及び方法は、任意のCD23新生物の治療に使用することができる。これに関し、CD23腫瘍性疾患(例えば、癌及び悪性腫瘍)としては、黒色腫、神経膠腫、肉腫、及び癌腫、並びにリンパ腫及び白血病などの骨髄性又は血液学的悪性腫瘍などの固形腫瘍が挙げられる。開示の発明を使用して、拮抗剤によって癌性細胞を標的化することができるCD23抗原性マーカーを含む任意の新生物を予防的又は治療的に処置することができる。治療可能な癌の種類としては、これらだけに限定するものではないが、前立腺癌、結腸癌、皮膚癌、乳癌、卵巣癌、肺癌、及び膵臓癌が挙げられる。好ましい実施形態では、拮抗剤、より具体的には、本発明の抗体を使用して、カポジ肉腫、中枢神経系新生物(毛細血管性血管芽腫、髄膜腫、及び脳転移)、肥満細胞腫、黒色腫、胃腸及び腎肉腫、横紋筋肉腫、グリア芽細胞腫(好ましくは多形性神経膠芽腫)、平滑筋肉腫、網膜芽細胞腫、卵巣の乳頭状嚢胞腺癌、ウィルムス腫瘍、又は小細胞肺癌を治療することができる。本開示を考慮して不当な実験をすることなく、上記の新生物のそれぞれに発現するCD23に対して適切な拮抗剤を導出できることは理解されよう。
【0113】
明確にするために、「哺乳動物」とは、ヒト、並びにイヌ、ウマ、ネコ、ウシなどの飼っている動物、飼育動物、動物園の動物、運動用動物、又はペット動物を含む哺乳動物として分類される任意の動物を指す。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0114】
「治療」とは、治療的処置、及び予防的又は防止的手段の両方を指す。治療が必要なものには、疾患又は障害を既に有するもの、並びに疾患又は障害が防止されるべきものが含まれる。したがって、哺乳動物は、疾患又は障害を有していると診断されている、又は疾患にかかりやすい又は感受性のものである。
【0115】
上記で論じた通り、本発明の方法、組成物、及び製品は、慢性リンパ性白血病の治療に特に有用である。しかし、その他のCD23血液学的悪性腫瘍の治療も開示の方法を使用して効果を得ることができ、明らかに本発明の範囲内にある。これに関し、開示の発明により治療され易い代表的な血液学的悪性腫瘍としては、小T細胞リンパ腫、リンパ球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、並びにALL−L3(バーキット型白血病)、急性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、及び単球性白血病を含む白血病が挙げられる。
【0116】
さらに、本発明の化合物及び方法が、低悪性/NHL瀘胞細胞リンパ腫(FCC)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、び漫性巨細胞リンパ腫(DLCL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性/瀘胞NHL、中悪性広汎性NHL、高悪性免疫芽細胞性NHL、高悪性リンパ芽球性NHL、高悪性小非開裂細胞NHL、巨大腫瘤病変NHL、ワルデンストレームマクログロブリン血症、リンパ形質細胞様リンパ腫(LPL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞リンパ腫(FL)、び漫性巨細胞リンパ腫(DLCL)、バーキットリンパ腫(BL)、エイズ関連リンパ腫、単球性B細胞リンパ腫、血管免疫芽細胞性リンパ節症、小リンパ球性、濾胞性、広汎性大細胞、広汎性小開裂細胞、巨細胞免疫芽球性リンパ芽球腫、小、非開裂、バーキット及び非バーキット、濾胞性、優位型大細胞;濾胞性、優位型小開裂細胞;及び濾胞性、混合型小開裂及び大細胞リンパ腫を含む種々のB細胞リンパ腫の治療に特に効果的であることは理解されよう。Gaidonoら、「リンパ腫(Lymphomas)」、CANCER:PRINCIPLES&PRACTICE OF ONCOLOGY、第2版:2131〜2145(DeVitaら編、第5版、1997)を参照されたい。当業者には、これらのリンパ腫は分類体系が変更されるために名称がしばしば異なり、様々な名称に分類されたリンパ腫を有する患者が本発明の併用治療投与計画から利益を得られることも明らかであろう。上記の腫瘍性疾患に加えて、開示の発明を使用して、CD23抗原を発現する追加の悪性腫瘍を好都合に治療できることは理解されよう。
【0117】
上記の記載は、以下の実施例を参照することにより十分に理解されよう。しかし、これらの実施例は本発明を実施する好ましい方法を示したものであり、本発明又は添付の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0118】
数種の抗体を使用して、以下の実施例に示した実験を実施した。上記で示した通り、IDEC−152(p5E8)は、ヒトガンマ1重鎖を含むPrimatized(登録商標)抗ヒトCD23MAb(ロット番号ZC152−02)であり、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ)は、抗ヒトCD20特異的マウス−ヒトガンマ1キメラ抗体(ロットE9107A1;ロットD9097A1)である。使用したその他の抗体としては、PEで標識したマウス抗ヒトCD23MAb(カタログ番号33615X、BD Pharmingen、カリフォルニア州サンディエゴ)及びヒトガンマ1鎖を有する霊長類化抗ヒトCD4MAbCE9.1(ロットM2CD4156)が挙げられる。RSV融合タンパク質に特異的な完全なヒト抗体であるRF−2を、アイソタイプ(IgG1)一致抗体対照として使用した。
【実施例1】
【0119】
Bリンパ腫及びB−CLL細胞でのCD23発現
数種のリンパ腫細胞系でのCD23の発現を、フローサイトメトリーにより測定した。より具体的には、CD23の発現を、抗CD23のPE標識抗体(BD Bioscience、カタログ番号33615X)を使用するフローサイトメトリーによって評価した。結合抗体の相対蛍光強度(RFI)を、細胞に結合している抗CD23−PE抗体の平均蛍光強度をPE標識キャリブレーションビーズ(QuantiBrite)の平均蛍光強度と比較して測定した。CD23の相対発現は、RFI(試料)÷SKW細胞のRFIとして計算した。
【0120】
CD20発現Bリンパ腫細胞系及びB7発現Bリンパ腫細胞系(SKW、SB、Daudi、Raji、Ramos、及びDHL−4細胞)を完全培地で培養した。完全培地は、10%の熱不活性化FBS(Hyclone)、2mMの1−グルタミン、100単位/mlペニシリン、及び100μg/mlストレプトマイシンを補ったRPMI1640培地(Irvine Scientific、カリフォルニア州サンタアナ)である。SKW細胞系は、エプスタイン−バーウイルス(EBV)陽性であり、IgM(SKW6.4、ATCC)を分泌するように誘発することができる。SB細胞系(CCL−120、ATCC)は、急性リンパ芽球性白血病患者由来であり、EBV陽性である。Daudi細胞系(CCL−213、ATCC)は、バーキットリンパ腫の患者から単離した。Raji及びRamos細胞系(CCL−86、CRL−1596、ATCC)もまた、バーキットリンパ腫の患者から単離した。DHL−4は、びまん性組織球性リンパ腫と診断された患者から単離した(Epsteinら、Cancer、1978、42:2379)。
【0121】
試験したもののうち、6個中3個の細胞系がCD23発現を示した。以下の表1に示す通り、SKW及びSB細胞におけるCD23発現はほぼ同等であり、Raji細胞は、SKW細胞で発現したCD23レベルの10%に相当するごくわずかな抗原発現を示すのみであった。
【0122】
CD23発現のレベルを測定するのに加え、同じ細胞系を用いて、抗CD23抗体により誘発されるアポトーシスに対する感受性のレベルを確定する測定を行った。具体的には、各6個の細胞系におけるアポトーシス誘発を、カスパーゼ3アッセイを使用して測定した。
【0123】
当業者ならば、カスパーゼ3アッセイが、アポトーシス誘発死の重要な初期事象であるカスパーゼ3酵素の活性を測定するものであることを理解されよう。本実施例では、培養培地(RPMI−2%FBS)中に密度0.5×10細胞/mlで存在するSKW細胞を、10μg/mLのIDEC−152とともに、4℃、氷上の細胞培養試験管中でインキュベートした。1時間インキュベーションした後、培地の非結合抗体を遠心分離で除去した。細胞を成長培地に適切な用量で再懸濁し、架橋剤としてヤギ抗ヒトIg−Fcγ特異的第2抗体(15μg/ml)を添加して、又は添加することなく、24ウェル組織培養プレート(1.5×10細胞/ウェル)に加えた。18時間インキュベーションした後、細胞を採取し、フローサイトメトリーによりアポトーシスを分析した。具体的には、細胞を洗浄し、Cytofix(Cytofix/Cytoperm(商標)キット、Pharmingen カタログ番号2075KK)を使用して4℃で固定した。20分間固定した後、細胞を洗浄し、15μlのアフィニティー精製PE結合ポリクローナルウサギ抗カスパーゼ3抗体(Pharmingen カタログ番号67345)及び50μlのCytopermを加えた。細胞を暗中で氷冷して30分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を一度洗浄し、Cytoperm洗浄液に再懸濁した。フローサイトメトリーのデータをFACスキャンで得、Verity Software House製のWinListソフトウェアを使用して分析した。以下の表1に結果を示す。
【0124】
【表1】

【0125】
上記の結果は、高レベルのCD23を発現する細胞系が、CD23に架橋される抗体に暴露されるとプログラムされた細胞死を起こすことを示す。逆に、高レベルでCD23を発現しない細胞は、ほとんどアポトーシスを起こさない。したがって、本実施例は、CD23+B細胞悪性腫瘍にとって臨床的に関連するモデルとして寄与できる選択された細胞系(例えば、SKW細胞及びSB細胞)を認定する。
【実施例2】
【0126】
CLL細胞でのCD23発現
本発明の臨床的適応性を示すために、数種の異なるCLL試料(患者31人)でのCD23発現を、全血でフローサイトメトリーにより試験した。適切な試薬を使用して、基本的に実施例1で説明した通りにフローサイトメトリーを実施した。これに関し、CD20及びCD23の発現を、CD19陽性のゲート細胞で測定した。具体的には、PE標識抗CD20(BD Bioscience/Pharmingen、カタログ番号555623)及び抗CD23(BD Bioscience/Pharmingen、カタログ番号33615X)モノクローナル抗体を使用して、それぞれCD20及びCD23分子を検出した。
【0127】
患者すべてにおいて、以下の表2に示す通り、CD20及びCD23抗原の両方の発現がCD19B細胞で検出された。高いCD20レベルを発現している患者は、そのCLL試料中で様々な程度のCD23抗原を発現した。このレベルは、CD19細胞の百分率及び平均蛍光強度(MFI)で判定した。しかし、測定値は、低レベルのCD20を発現している患者でも、相対的に高レベルのCD23を発現することを示す。これらの知見は、CD23抗原が、本発明で開示した抗体等の治療上意味のある抗体にとって極めて魅力的な標的であることを証明する。
【0128】
【表2】

【実施例3】
【0129】
IDEC−152のCD23細胞への結合
本発明の効果をさらに示すために、SKWリンパ腫細胞上のCD23へのIDEC−152の結合活性を、前記の実施例で示したようにして、フローサイトメトリーにより測定した。上記で示した通り、SKW細胞を使用して、CLLを含むCD23悪性腫瘍にとって臨床上意味のあるモデルを提供することができる。RituxanとIDEC−152のSKW細胞への特異的結合を濃度依存様式で示す、アッセイ結果を図1に示す。結合活性は、平均蛍光強度を使用して測定され、SKW細胞が抗CD23抗体に抗CD20抗体よりも実質的に高いレベルで結合することを示す。これは、ある種の細胞系及び腫瘍で、CD23がCD20などのその他のマーカーよりも高いエピトープ密度を示し得ることを表している。予想した通り、特異性が無関係なアイソタイプ一致対照抗体(CE9.1、CD4を対象とする)は、SKWに結合しなかった。この実施例及び図1に示す対応の結果は、選択された腫瘍の治療において治療用抗体の標的としてCD23を使用することの妥当性を確証する。
【実施例4】
【0130】
CD23細胞でIDEC−152はADCC活性を媒介する
IDEC−52が腫瘍細胞のADCCを媒介する能力を測定した。ADCCアッセイでは、リンパ腫細胞(SKW又はSB)及び活性化ヒト末梢単球(PBMC)を、それぞれ標的細胞及びエフェクター細胞として使用した。PBMCは、Histopaque(Sigma−Aldrich Corp.、ミズーリ州セントルイス)を使用して健常なドナーの全血から単離した。PBMCを、完全培地において濃度5×10細胞/mlで、20U/mlの組換えヒトIL−2(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)と共に、75cmの組織培養フラスコ中37℃、5%のCOで培養した。一夜培養した後、1×10SKW又はSB標的細胞を、150μCiの51Cr(Amersham Pharmacia Biotech、ニュージャージー州ピスカタウェイ)により、37℃、5%のCOで1時間で標識した。細胞を4回洗浄し、完全培地5mlに再懸濁した。細胞懸濁液50μlを、試験抗体又は対照抗体を等量含む各ウェルに分注した。
【0131】
Rituximab(ロットE9107A1)又はIDEC−152(ロットZC152−02)を試験抗体として使用した。アイソタイプ(IgG)が一致し、特異性が無関係なCE9.1(ロットM2CD4156)抗体を対照として使用した。すべてのウェルを96ウェル丸底組織培養プレートで3重に平板培養した。エフェクター細胞を収集し、完全培地で1回洗浄し、ウェル1個あたり100μl容量中に1×10細胞を加え、50:1のエフェクター細胞対標的細胞の比を得た。以下の対照ウェルも3重とした。対照ウェルでは、100μlの完全培地でインキュベートした標的細胞で自然放出を測定し、100μlの0.5%Triton X−100(Sigma−Aldrich Corp.)でインキュベートした標的細胞で最大放出を測定した。培養物を4時間、37℃、5%のCOでインキュベートし、細胞溶解によって培養物上清に放出された51Crをガンマカウンター(ISODATA)で測定した。細胞傷害性は特異的溶解率として表され、以下の通り計算した。
【0132】
【数1】

【0133】
図2は、このアッセイの結果、より具体的にはCD20/CD23SKW細胞でのIDEC−152とRituxanのADCC活性を示す。IDEC−152及びRituxanの両方はSKW細胞を用量依存的に殺し、それぞれ10μg/ml及び1μg/mlの抗体濃度で最大の75%を殺すことを示し、この特定の細胞系でADCCを媒介する際、RituxanがIDEC−152よりも強力であることを表している。しかし、図1で示された抗体結合活性は、IDEC−152とRituxanの効果の差が、抗体結合能、又はCD23及びCD20のエピトープ密度にあまり関連しないことを示唆している。予想通り、ADCCのバックグラウンドレベル(<10%)のみを、アイソタイプ一致ヒトCE9.1対照抗体(図示せず)によって認めた。
【実施例5】
【0134】
IDEC−152はRituxanと相乗作用してADCC活性を媒介する
本発明の別の抗体との相乗作用を例示するために、IDEC−152とRituxanとの併用について、ADCCを媒介してin vitroで腫瘍を殺すことに関し、調査した。SKW細胞を、2つの濃度(0.625μg/ml及び2.5μg/ml)のIDEC−152単独又は種々の濃度のRituxanとの組み合せとともに、インキュベートした。Rituxan単独の同濃度を対照とした。腫瘍細胞に対して得られたADCC活性を実質的に実施例4で示した通りに測定し、それを図3A(0.625μg/mlのIDEC−152)及び図3B(2.5μg/mlのIDEC−152)で示す。
【0135】
アッセイの結果は、IDEC−152とRituxanとの組合せは、それぞれの薬剤を個々に使用して得られる活性よりもADCC活性を高めることを示している。より具体的には、図3Aは、抗体を組み合わせることにより、IDEC−152又はRituxan単独のいずれよりもRituxanのすべての濃度で、実質的により高いレベルの細胞溶解を生じることを示す。逆に、図3Bで示す通り、IDEC−152は、より高い濃度(すなわち、2.5μg/ml)で潜在的な相乗効果が抗CD23抗体により制御されるような、ADCCの有効媒体である。すなわち、図3Bで示す通り、IDEC−152又はRituxanのいずれの高濃度でも細胞傷害性は変わらないことが認められた。この実施例は、Rituxanなどの証明された化学療法剤の効果を劇的に向上させる本発明の能力を明確に実証する。
【実施例6】
【0136】
IDEC−152はCD23腫瘍細胞でアポトーシスを誘発する
本発明を使用してADCC活性を効果的に媒介し、腫瘍細胞を溶解できることを示した後、抗CD23抗体を検査して、悪性腫瘍細胞でアポトーシスを誘発するのにどの程度必要とするかを測定した。これに関し、以下の表3は、実質的に実施例1で示した通りのカスパーゼ3活性アッセイによって測定したアポトーシスを示す。アポトーシス率は、対数目盛りで平均蛍光強度(MFI)により4及び24時間で実証した。
【0137】
【表3】

【0138】
上記の表3でわかる通り、IDEC−152(p5E8γ1)の存在下で増殖させたSKW細胞は、カスパーゼ3の実質的な活性化を示さなかった。しかし、IDEC−152とRituxanのSKW細胞表面での架橋によりカスパーゼ3活性が増大した。比較として、特異性が無関係なアイソタイプ一致対照抗体(CE9.1)を加えた培養物は、アポトーシスを示さなかった。この結果は、本発明の抗体を使用すると腫瘍細胞でアポトーシスを誘発できることを示す元の結果を確認するものである。
【実施例7】
【0139】
エフェクター細胞のFc受容体は抗体の架橋を誘発することができる
上記で示した通り、本発明の抗体の架橋は、腫瘍細胞でアポトーシスを誘発する能力を高める。in vivoでアポトーシスを誘発する1つの機序は、種々のエフェクター細胞のFc受容体を介して媒介することができる。したがって、この実施例では、Fc受容体を発現する細胞の使用によりIDEC−152を架橋して、in vitroでのアポトーシスの誘発を高めた。
【0140】
簡単に述べると、培養培地(RPMI−2%FCS)中の1×10細胞/ml密度のSKW細胞を、10μg/mlのIDEC−152(p5E8)抗体又はRituxan(C2B8)抗体と共に細胞培養管中で4℃でインキュベートした。1時間インキュベーションした後、培地中の非結合抗体を遠心分離で除去した。細胞を適切な容量の成長培地に再懸濁し、ヒトFc受容体(FcγRI)を発現するCHO細胞(1×10)を一晩播種した24ウェル組織培養プレート(2×10細胞/ウェル)に添加し、5%CO中で37℃でインキュベートした。インキュベーション開始後異なる時点で、細胞を収集し、フローサイトメトリーに基づくTunelアッセイ(BD Pharmingen、カタログ番号6536KK)によりアポトーシスを分析した。Tunelアッセイがアポトーシス死の晩期で起こる事象であるDNA断片化を測定するものであることは理解されよう。フローサイトメトリー分析は、FACスキャンリサーチソフトウェアパッケージを使用してBecton−Dickinson FACスキャンで実施し、最終データの分析は、WinListソフトウェアパッケージ(Variety Software House)を使用して実施した。細胞のアポトーシス陽性率は、バックグラウンドの自発蛍光を超える強度を示すゲート細胞の百分率として測定した。RF2(IgG1)と共にインキュベートした細胞をこの実験の陰性対照として使用した。これらの測定の結果を以下の表4に示す。
【0141】
【表4】

【0142】
上記の結果は、FcγRIを介するIDEC−152とRituxanとの架橋がSKW細胞にアポトーシスを引き起こすことを示す。この実施例は、様々なエフェクター細胞の表面に存在する天然の受容体が、抗体を架橋し、次いでCD23悪性腫瘍細胞のin vivoアポトーシスを引き起こすことを実証する。
【実施例8】
【0143】
IDEC−152及びRituxanによるCD23細胞でのアポトーシス誘発
IDEC−152がCD23悪性腫瘍B細胞でアポトーシスを誘発する能力を、SKWリンパ腫細胞を使用してin vitroでさらに示した。アポトーシスは、実質的に実施例1で示した通りにカスパーゼ3アッセイにより検出した。この実施例では、培養培地(RPMI−2%FBS)中の密度0.5×10細胞/mlのSKW細胞を、IDEC−152又はRituxan抗体の用量を増加させながら、氷冷した細胞培養管中で4℃でインキュベートした。1時間インキュベーションした後、培地中の非結合抗体を遠心分離で除去した。細胞を増殖培地中に、適切な容量で再懸濁し、ヤギ抗ヒトIgG特異的第2抗体(架橋のため、15μg/ml)を添加する、及び添加しない24ウェル組織培養プレート(1.5×10細胞/ウェル)に加えた。18時間インキュベーションした後、細胞を採取し、実質的に実施例1で記載した通りにフローサイトメトリーによってアポトーシスを分析した。
【0144】
図4A及び図4Bは、抗CD23抗体を使用してCD23腫瘍細胞でのアポトーシスを効果的に誘発できることを示す。より具体的には、図4Aは、架橋したIDEC−152の濃度が上昇するとSKW細胞でのアポトーシスが増加することを示す。IDEC−152の濃度5μg/mL以上では、約60%の細胞がインキュベーション中にアポトーシスを起こす。同様に、図4Bは、抗体がCD20及びCD23の両方に架橋すると腫瘍細胞でのアポトーシス誘発率を実質的に高めることができることを示す。これらのデータは、本発明が、腫瘍細胞を除去する必要のある患者から当該腫瘍細胞を除去することに寄与する新規な機序を提供できることをさらに証明する。
【実施例9】
【0145】
異なる時点でのCD23細胞中のIDEC−152誘発アポトーシス
本発明に関わる機序をさらに解明するために、SKW細胞におけるアポトーシスの経過を、異なる時点で測定した。
【0146】
培養培地(RPMI−2%FBS)中の密度1×10細胞/mlのSKW細胞を、10μg/mlのp5E8(IDEC−152)又はC2B8(Rituxan)抗体と共に、細胞培養管中4℃でインキュベートした。1時間インキュベーションした後、培地中の非結合抗体を遠心分離で除去した。細胞を増殖培地中に適切な量で再懸濁し、ヤギ抗ヒトIgG特異的第2抗体(50μg/ml)を添加した及び添加しない24ウェル組織培養プレート(2×10細胞/ウェル)に加えて架橋させた。インキュベーション開始後様々な時点で、細胞を収集し、実施例7で記載したフローサイトメトリーに基づくTunelアッセイによってアポトーシスを分析した。このアッセイの結果を図5にグラフとして示した。
【0147】
本明細書で示したこれまでの実施例と同様に、図5は、p5E8(IDEC−152)及びRituxanの第2の抗Igγ特異的抗体との架橋は、CD23SKW細胞のアポトーシスを実質的に高めることを示す。興味深いことに、アポトーシスの程度は時間の経過とともに低下するように見えるが、丸2日間は有意のアポトーシスの程度を維持する。予想通り、RF2と第2抗体又は第2抗体単独とインキュベートした細胞では、実質的なアポトーシスは認められなかった。
【実施例10】
【0148】
IDEC−152はRituxanとの相乗作用でCD23細胞のアポトーシスを誘発する
本発明の追加的な予想外の効果としては、Rituxanなどの生物工学的製剤を含む種々の化学療法剤の効果を高める抗CD23抗体の能力が挙げられる。この実施例によりそのような効果を示す。
【0149】
より具体的には、この実施例では、抗CD23抗体単独及びRituxanとの併用で、濃度が増大させてSKW細胞でのアポトーシス効果を示す。実質的に実施例8で記載した通りのカスパーゼ3アッセイを使用して、架橋した抗CD23抗体とRituxanをSKW細胞と共にインキュベートした。第1の実験では、IDEC−152及びRituxanの濃度を増大させ、それぞれの抗体のアポトーシス活性を測定した。第2の実験では、濃度が一定のIDEC−152を種々の濃度のRituxanと併用して、相乗効果を解明した。これらの実験をそれぞれ図6A及び図6Bで示す。
【0150】
図6A及び図6Bを検討すると、IDEC−152及びRituxanの両方とも、ヤギF(ab’)抗ヒトIgG(GaHIg)との架橋後にSKW細胞でアポトーシスを誘発した。特に図6Aは、IDEC−152は、約1μg/mlのレベルで40%から50%のアポトーシスを誘発するのに対し、Rituxanは幾分低い活性を提示することを示す。個々の抗体の活性に加え、図6Bは、Rituxanを添加量を増加させながら固定濃度のIDEC−152(0.1μg/ml)に加えると、いずれの抗体の単独よりもアポトーシス活性を高めることを示す。これに関し、Rituxanを濃度10μg/mlでIDEC−152に加えると、約45%のアポトーシス率を示す。これにより、相乗効果によって本発明の効果が劇的に強調されていることが認められる。
【実施例11】
【0151】
IDEC−152はCD23細胞でのRituxan媒介アポトーシスを高める
追加実験を実施して、抗CD23抗体と抗CD20抗体との組合せから導出されるSKW細胞のアポトーシスについて実施例10で見られた相乗作用を確認した。
【0152】
この実施例では、密度0.5×10/mLのSKW細胞を、IDEC−152、Rituxan、又はそれらの組合せの濃度を増大させながら氷冷によりインキュベートした。1時間後、細胞をペレット状にし、架橋させるために2%FCS RPMI及び15μg/mLのヤギF(ab’)抗ヒトIgG中に再懸濁した。18時間37℃でインキュベーションした後、実施例1で記載した通りにカスパーゼ3アッセイによってアポトーシスを測定した。結果を図7に示す。
【0153】
図7は、IDEC−152などの抗CD23抗体とRituxanなどの抗CD20抗体の組合せによって悪性腫瘍細胞系のアポトーシスが高まることを明確に示している。相対的に低濃度のIDEC−152(すなわち、0.1μg/ml)であっても、アポトーシス率は、Rituxan単独とインキュベートした細胞のアポトーシス率の約2倍である。図7はさらに、この効果がIDEC−152の濃度が高いほど高まることを示す。
【実施例12】
【0154】
CD23細胞でのアポトーシス誘発でIDEC−152はアドリアマイシンと相乗作用を示す
本発明の多様性と適用の広さを実証するために、実験を実施して、本発明の方法がいくつかの化学療法剤と適合することを示した。より具体的には、この実施例は、抗CD23抗体を使用することで臨床的に承認された化学療法剤(ここではアドリアマイシン)の効果を効果的に高めることができることを示す。
【0155】
この実験は、RituxanではなくアドリアマイシンをIDEC−152と併用した以外は、実施例11と実質的に同様の手順を使用して実施した。処方等級のアドリアマイシンRDF(ドキソルビシン塩酸塩−NDC0013−1086−91)は、Pharmacia and Upjohnから入手した。様々な濃度のアドリアマイシンを3つの異なる濃度のIDEC−152と組み合わせ、得られたSKW細胞でのアポトーシス率を、フローサイトメトリーに基づくカスパーゼ3アッセイを使用して実施例1で記載した通りに測定した。結果を図8に示す。
【0156】
図8は、IDEC−152を加えることにより、アドリアマイシンのアポトーシス効果が、示した濃度すべてで実質的に増大することをグラフで示す。これらの相乗効果は、10−7Mでの相対的に低濃度のアドリアマイシンで劇的に示されている。ここでは、わずか0.1μg/mLのIDEC−152を加えることにより、細胞のアポトーシス率が、IDEC−152が存在しない場合の20%未満に対して約70%に増大している。当業者ならば、これがかなりの向上であり、臨床的効力に反映されるであろうことは理解されよう。
【実施例13】
【0157】
CD23細胞でのアポトーシス誘発においてIDEC−152はフルダラビンと相乗作用を示す
本発明の多様性の別の証明として、アドリアマイシンの代わりに、広く使用されている化学療法剤フルダラビンを使用して、実施例12で示した実験を繰り返した。処方等級のFludara(リン酸フルダラビン−NDC504−19−511−06)を、Berlex Corporationから入手した。実質的に実施例12で示したようにして結果を得、その結果を図9に示した。
【0158】
図9を検討すると、図9は、本発明の方法及び組成物を使用すると、フルダラビン単独と比較して、SKW細胞でのアポトーシス率を実質的に増大させ得ることを明らかに示している。これに関し、わずか0.1μg/mLのIDEC−152を10−5Mのフルダラビン溶液に加えることにより、アポトーシス率は20%未満から50%を超えるまでに高まる。実施例12と同様に、臨床的に有用な化学療法剤と一緒に使用した場合の本発明の効果を明らかに実証している。
【実施例14】
【0159】
抗CD23抗体はB−CLL細胞でアポトーシスを誘発する
本明細書で示した通り、本発明の方法及び組成物は、好ましい実施形態では、CLLを含む広範囲の悪性腫瘍に応用することができる。CLLの治療における本発明の効果を直接示すために、抗CD23抗体がこの種の細胞でアポトーシスを誘発する能力を試験した。
【0160】
末梢血単球(PBMC)を、CLL患者ドナーの血液から、Ficollグラジエントで標準的な方法により単離した。細胞の生存能力をトリパンブルー排除アッセイで100%に近いことを判定し、実験すべてを新鮮なCLL細胞で実施した。細胞は、フローサイトメトリーによると、CD19、CD20、及びCD23発現の発現型であった。CLL患者由来の白血病細胞(0.5−1×10細胞/ml)を、p5E8(10μg/ml)又は対照抗体(CE9.1、抗CD4抗体)と共に氷冷によりインキュベートした。1時間インキュベーションした後、細胞を遠心沈殿して非結合抗体を除去し、増殖培地(5%FCS−RPMI)中1×10細胞/mlで再懸濁し、組織培養管中で培養した。細胞表面結合抗体を、ヤギ抗ヒトIg−Fcγ特異的抗体のF(ab’)断片15μg/mlを加えることにより架橋させ、アポトーシスがアッセイされるまで培養物を37℃でインキュベートした。これに関し、以下の表5は、実質的に実施例1で示した通りのカスパーゼ3活性化アッセイによって測定したアポトーシスを示す。アポトーシス率は、対数目盛の平均蛍光強度(MFI)を使用して、4及び24時間目に記録した。
【0161】
【表5】

【0162】
この実施例は、本発明の方法及び組成物が、白血病に基づく腫瘍においてプログラムされた細胞死を引き起こすのに有効であることを明確に示す。
【実施例15】
【0163】
IDEC−152及びRituxanによるCLL細胞でのアポトーシス誘発
IDEC−152などのCD23拮抗剤がCLL細胞でアポトーシスを誘発する能力を示したが、追加の実験を実施して、拮抗剤単独及び生物学的化学療法剤(すなわち、Rituxan)と併用したときの有効性を判定した。
【0164】
実施例14と同様に、CLL患者由来の白血病細胞(1×10細胞/ml)について表現型を分析し、こえら白血病細胞を、様々な濃度のIDEC−152、又はIDEC−152及びRituxanとともに氷冷によりインキュベートした。1時間インキュベートした後、細胞を遠心沈殿して非結合抗体を除去し、増殖培地(2%FCS−RPMI)で再懸濁し、24ウェルプレートで培養した。ヤギ抗ヒトIg−Fcγ特異的抗体のF(ab’)断片を15μg/mlで加えることにより、細胞表面結合抗体を架橋させ、培養物を37℃で18時間インキュベートし、実施例1で記載したカスパーゼアッセイを使用してアポトーシスについてアッセイした。結果を図10A及び図10Bに示す。
【0165】
図10Aを検討すると、IDEC−152などのCD23拮抗剤を使用して白血病細胞でアポトーシスを誘発できるという実施例14の結果が確認される。1μg/mlにおいて、IDEC−152は、約30%のCLL細胞で効果的にアポトーシスを誘発した。図10Bは、IDEC−152は単独で、CLL細胞でのアポトーシスを誘発することができるが、この効果はRituxanを加えることにより強化できることを示す。より具体的には、図10Bは、様々な濃度のRituxanを加えることにより、試験したIDEC−152の3つの濃度においてアポトーシスを起こす細胞の比率が実質的に増大することを示す。これの結果は、相乗効果によって、本発明における潜在的な臨床上の効果がさらに強調されることを意味する。
【実施例16】
【0166】
IDEC−152とフルダラビンによるCLL細胞でのアポトーシス誘発
本発明の有用性を示す別の証明において、CD23拮抗剤を通常の化学療法剤フルダラビンと併用して、CLL細胞でアポトーシスを誘発した。
【0167】
CLL患者由来の精製B細胞を得、前記で説明した通りに処理した。処方等級のFludara(リン酸フルダラビン−NDC504−19−511−06)をBerlex Corporationから入手した。細胞を、様々な量のIDEC−152単独、フルダラビン単独、又はこれら2つの組合せのいずれかで実質的に実施例15で記載したようにして処理した。アポトーシス率は、フローサイトメトリーに基づくカスパーゼ3アッセイで、実施例1で記載した通りに検出した。
【0168】
図11で示したこの実験の結果は、IDEC−152及びフルダラビンの両方が、幾分アポトーシスの用量依存性誘発を示したが、これら2種の化合物の組合せはプログラムされた細胞死率を劇的に高めた。これらのデータは、IDEC−152は、単独又は別の薬剤との組合せで、フルダラビン又はその他の化学療法剤に不応性になっている患者の治療において有効となり得ることを示す。
【実施例17】
【0169】
IDEC−152のin vivoでの抗腫瘍活性
本発明のCD23拮抗剤がADCC及びアポトーシス活性をin vitroの様々な新生物細胞で仲介するのに有効であることを示した後、この拮抗剤がin vivoで悪性腫瘍細胞を殺せることを示す実験を実施した。より具体的には、ヒトCLL患者ではCD23抗原を高密度で発現させ、B細胞性NHLの患者ではしばしば様々な抗原密度で発現されるので、CD23拮抗剤が、単独で又は化学療法剤と組み合わせて、動物モデルで抗腫瘍応答を媒介できるかを判定することに興味があった。
【0170】
IDEC152の抗腫瘍活性を、当技術分野で通常使用されており、臨床上の有用性を予見可能なヒトBリンパ腫/SCIDマウスモデルで試験した。動物にSKW細胞(CD20、CD23)を静脈注射した。SKW細胞(100μlのHBSS緩衝液中4×10が生存可能)を6〜8週齢の雌性CB17SCIDマウスの尾静脈に注射(静脈内)した。腫瘍接種後1日目、マウスに200μlのHBSS緩衝液中のIDEC152を注射(腹腔内)した。処置を2日毎に繰り返し合計6MAbを注射(Q2d×6)した。各処置群及び対照群(非処置、200μlのHBSS緩衝液を注射)につき、10匹を使用した。動物の疾患の徴候を観察し、生存を監視した。疾病の徴候を示したマウスすべては、死ぬ前に麻痺状態を生じた。犠牲となったのは、観察期間の合間に死んだマウス、又は呼吸困難を伴って両脚に重大な麻痺を示したマウスであり、これらを死んだものとして換算した。Kaplan−Meier分析を統計的分析システム(SAS)を使用して実施し、p値をログ−ランク検定で求めた。結果を図12に示す。
【0171】
図12は、本発明のCD23拮抗剤がマウスの腫瘍成長を遅らせ、処置しなかった対照と比較して劇的に生存を高めたことを明確に示している。具体的には、抗腫瘍活性は、試験したすべての用量(注射あたり抗体100、200、及び400μg)において、腫瘍をもつ動物の生存が処置しなかった対照に比べて高いことにより証明された。2つの高用量において、処置群の動物の50%が、対照動物のすべてが死んだ46日目にまだ生きていた。重大なことに、これらの群の処置動物の30%が、最後の対照動物が死んで20日で実験を終了したとき(すなわち、66日目)にまだ生きていた。この結果は、単独で使用した本発明の化合物の効果に関する重大な証拠である。
【実施例18】
【0172】
IDEC−152はRituxanと相乗作用して抗腫瘍活性を誘発する
CD23拮抗剤は単独で使用したときに極めて効果的な殺腫瘍剤であることを示したので、この化合物を証明済みの化学療法剤と併用したときの効果を調査するための実験を実施した。このために、本発明のCD23拮抗剤をRituxanと併用し、SKW/SCIDマウスモデルを実施例17で記載した通りに使用して試験した。この実験では、腫瘍接種後所定の時間に、マウスにHBSS緩衝液200μl中のIDEC152、Rituxan、又はIDEC152及びRituxan、のいずれかを注射(腹腔内)した。実験の結果を図13に示す。
【0173】
図13は、IDEC152+Rituxanの抗腫瘍活性が各試験抗体単独の抗腫瘍活性より高いことを示す(p≦0.01)。同じ投与治療日程で、IDEC152とRituxanの組合せは、それぞれの個々のモノクローナル抗体の抗腫瘍活性よりも明らかに優れていた。これは、68日目に、併用抗体処置群の動物の生存率が60%であったのに対し、IDEC152群では生存20%、Rituxan群では生存30%であった事実により証明される。重大なことに、併用群の10匹中6匹が、最後の非処置動物が死んでから20日以上が過ぎた68日目に疾患を有していなかった。さらに、200μg/injのIDEC152/Rituxanを注射したマウスに、400μg/injのIDEC152単独を注射したマウスよりも大きな腫瘍応答が認められたことは、併用療法の相乗的な応答を示唆している。46日目までのこれらの結果は、播種性疾患のマウス異種移植モデルにおいてCD23拮抗剤とRituxanの組合せが、全般的にヒト悪性腫瘍に対する相乗的な抗腫瘍応答を提供できることを明らかに示した。
【0174】
さらに、当業者ならば、本発明はその精神又は中心的な特徴から外れることなく他の特定の形で実施できることは理解されよう。これについて、本発明の上記の説明はその代表的な実施形態のみを開示したものであり、他の変形も本発明の範囲内で考えられることは理解されよう。したがって、本発明は、本明細書で詳細に説明した特定の実施形態に限定されるものではない。むしろ、添付の特許請求の範囲を本発明の範囲及び内容を示すものとして参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】Rituxan(登録商標)及びCD23拮抗剤のリンパ腫細胞への特異的結合を濃度依存的に示したグラフである。
【図2】リンパ腫細胞でのCD23拮抗剤及びRituxanの抗体依存性細胞傷害性(ADCC)活性のグラフである。
【図3A】低濃度の拮抗剤で、腫瘍細胞を、ADCCを介してin vitroで殺すCD23拮抗剤とRituxanとの組合せの効果を低濃度の拮抗剤を用いて示すグラフである。
【図3B】高濃度の拮抗剤を用いて、腫瘍細胞を、ADCCを介してin vitroで殺すCD23拮抗剤とRituxanとの組合せの効果を高濃度の拮抗剤を用いて示すグラフである。
【図4A】リンパ腫細胞でCD23拮抗剤単独によるアポトーシス誘発を示すグラフである。
【図4B】リンパ腫細胞内でCD23拮抗剤とRituxanとの組合せによるアポトーシス誘発を示すグラフである。
【図5】リンパ腫細胞内で第2の抗ヒトIgG特異的抗体との架橋を有するCD23拮抗剤及びRituxanによるアポトーシス誘発を示すグラフである。
【図6A】抗ヒトIgG特異的抗体と架橋した後のSKWリンパ腫細胞でCD23拮抗剤とRituxan単独によるアポトーシス誘発を示すグラフである。
【図6B】抗ヒトIgG特異的抗体と架橋した後のSKWリンパ腫で、CD23拮抗剤とRituxanの組合せによるアポトーシス誘発を示すグラフである。
【図7】様々な濃度のCD23拮抗剤、Rituxan、及びこれらの組合せによるリンパ腫細胞でのアポトーシス誘発を示すグラフである。
【図8】CD23拮抗剤とアドリアマイシンとの組合せによるリンパ腫細胞での相乗的なアポトーシス誘発を示すグラフである。
【図9】CD23拮抗剤とフルダラビンとの組合せによるリンパ腫細胞での相乗的なアポトーシス誘発を示すグラフである。
【図10A】様々な濃度のCD23拮抗剤単独によるCLL細胞でのアポトーシス誘発を示すグラフである。
【図10B】様々な濃度のCD23拮抗剤とRituxanとの組合せによるCLL細胞でのアポトーシス誘発を示すグラフである。
【図11】CD23拮抗剤とフルダラビンとの組合せによるCLL細胞でのアポトーシス誘発を示すグラフである。
【図12】リンパ腫/SCIDマウスモデルでの単独薬剤としてのCD23拮抗剤の抗腫瘍活性を示すグラフである。
【図13】リンパ腫/SCIDマウスモデルでのRituxanと組み合わせたCD23拮抗剤の抗腫瘍活性を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする哺乳動物の腫瘍性疾患を治療するための医薬組成物を製造するための、治療有効量のCD23拮抗剤の使用。
【請求項2】
前記CD23拮抗剤が、CD23反応性ポリペプチド、CD23反応性ペプチド、CD23反応性低分子、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記CD23反応性ポリペプチドが、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を含む、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記CD23反応性ポリペプチドが、モノクローナル抗体を含む、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記モノクローナル抗体が、キメラ抗体及びヒト化抗体からなる群から選択される、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記モノクローナル抗体が、キメラ抗体であり、該キメラ抗体が霊長類化されている、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記霊長類化抗体が、IDEC−152である、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記腫瘍性疾患が、再発ホジキン病、治療抵抗性ホジキン病、高度悪性非ホジキン病性リンパ腫、軽度悪性非ホジキン病性リンパ腫、中等度悪性非ホジキン病性リンパ腫、B細胞性慢性リンパ性白血病(B−CLL)、リンパ形質細胞様リンパ腫(LPL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、び漫性巨細胞リンパ腫(DLCL)、バーキットリンパ腫(BL)、エイズ関連リンパ腫、単球性B細胞リンパ腫、血管免疫芽細胞性リンパ節症、小リンパ球性リンパ芽球腫、濾胞性リンパ芽球腫、び漫性巨細胞リンパ芽球腫、び慢性小開裂細胞、巨細胞免疫芽球性リンパ芽球腫、小開裂バーキットリンパ腫、非開裂バーキットリンパ腫、小開裂非バーキットリンパ腫、非開裂非バーキットリンパ腫、濾胞性優位型大細胞リンパ腫、濾胞性優位型小開裂細胞リンパ腫、濾胞性混合型小開裂リンパ腫、及び濾胞性巨細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項59に記載の使用。
【請求項9】
前記腫瘍性疾患が、B細胞性慢性リンパ性白血病(B−CLL)である、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記腫瘍性疾患が、再発ホジキン病、治療抵抗性ホジキン病、高度悪性非ホジキン病性リンパ腫、軽度悪性非ホジキン病性リンパ腫、中等度悪性非ホジキン病性リンパ腫、B細胞性慢性リンパ性白血病(B−CLL)、リンパ形質細胞様リンパ腫(LPL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、び漫性巨細胞リンパ腫(DLCL)、バーキットリンパ腫(BL)、エイズ関連リンパ腫、単球性B細胞リンパ腫、血管免疫芽細胞性リンパ節症、小リンパ球性リンパ芽球腫;濾胞性リンパ芽球腫、び漫性巨細胞リンパ芽球腫、び慢性小開裂細胞、巨細胞免疫芽球性リンパ芽球腫、小開裂バーキットリンパ腫、非開裂バーキットリンパ腫、小開裂非バーキットリンパ腫、非開裂非バーキットリンパ腫、濾胞性優位型大細胞リンパ腫、濾胞性優位型小開裂細胞リンパ腫、濾胞性混合型小開裂リンパ腫、及び濾胞性巨細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項11】
前記腫瘍性疾患が、B細胞性慢性リンパ性白血病(B−CLL)である、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記CD23拮抗剤が、細胞傷害剤と結合している、請求項1から11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
前記細胞傷害剤が、放射性同位元素である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
治療有効量の少なくとも1種の化学療法剤との組み合わせによって腫瘍性疾患を治療するための医薬組成物を製造するための、治療有効量のCD23拮抗剤の使用。
【請求項15】
前記化学療法剤が抗体を含む、請求項66に記載の使用。
【請求項16】
前記抗体が、CD19、CD20、CD22、CD40、CD40L、CD52、又はB7と反応若しくは結合する、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記化学療法剤が、フルダラビンを含む、請求項14に記載の使用。
【請求項18】
前記医薬組成物が、前記化学療法剤の投与の前、同時若しくは後で投与することができる、請求項14から17のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
前記CD23拮抗剤が、CD23反応性ポリペプチド、CD23反応性ペプチド、CD23反応性低分子、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記CD23反応性ポリペプチドが、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を含む、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記CD23反応性ポリペプチドが、モノクローナル抗体を含む、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
前記モノクローナル抗体が、キメラ抗体及びヒト化抗体からなる群から選択される、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記モノクローナル抗体が、IDEC−152である、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
前記腫瘍性疾患が、再発ホジキン病、治療抵抗性ホジキン病、高度悪性非ホジキン病性リンパ腫、軽度悪性非ホジキン病性リンパ腫、中等度悪性非ホジキン病性リンパ腫、B細胞性慢性リンパ性白血病(B−CLL)、リンパ形質細胞様リンパ腫(LPL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、び漫性巨細胞リンパ腫(DLCL)、バーキットリンパ腫(BL)、エイズ関連リンパ腫、単球性B細胞リンパ腫、血管免疫芽細胞性リンパ節症、小リンパ球性リンパ芽球腫;濾胞性リンパ芽球腫、び漫性巨細胞リンパ芽球腫、び慢性小開裂細胞、巨細胞免疫芽球性リンパ芽球腫、小開裂バーキットリンパ腫、非開裂バーキットリンパ腫、小開裂非バーキットリンパ腫、非開裂非バーキットリンパ腫、濾胞性優位型大細胞リンパ腫、濾胞性優位型小開裂細胞リンパ腫、濾胞性混合型小開裂リンパ腫、及び濾胞性巨細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項14から23のいずれか1項に記載の使用。
【請求項25】
前記腫瘍性疾患が、B細胞性慢性リンパ性白血病(B−CLL)である、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
治療を必要とする哺乳動物のB細胞性慢性リンパ性白血病を治療するための医薬組成物を製造するための、治療有効量のCD23拮抗剤の使用。
【請求項27】
前記CD23拮抗剤が、CD23反応性ポリペプチド、CD23反応性ペプチド、CD23反応性低分子、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記CD23反応性ポリペプチドが、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を含む、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
前記CD23反応性ポリペプチドが、モノクローナル抗体を含む、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
前記モノクローナル抗体が、キメラ抗体及びヒト化抗体からなる群から選択される、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
前記モノクローナル抗体が、IDEC−152である、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
治療有効量の少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて適用するための、請求項26から31のいずれか1項に記載の使用。
【請求項33】
前記化学療法剤が抗体を含む、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
前記抗体が、CD19、CD20、CD22、CD40、CD40L、CD52、又はB7と反応若しくは結合する、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
前記化学療法剤がフルダラビンを含む、請求項32に記載の使用。
【請求項36】
治療有効量のRituxanとの組み合わせにより、哺乳動物の腫瘍性疾患を治療するための医薬組成物を製造するための、治療有効量のIDEC−152の使用。
【請求項37】
前記腫瘍性疾患が、再発ホジキン病、治療抵抗性ホジキン病、高度悪性非ホジキン病性リンパ腫、軽度悪性非ホジキン病性リンパ腫、中等度悪性非ホジキン病性リンパ腫、B細胞性慢性リンパ性白血病(B−CLL)、リンパ形質細胞様リンパ腫(LPL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、び漫性巨細胞リンパ腫(DLCL)、バーキットリンパ腫(BL)、エイズ関連リンパ腫、単球性B細胞リンパ腫、血管免疫芽細胞性リンパ節症、小リンパ球性リンパ芽球腫;濾胞性リンパ芽球腫、び漫性巨細胞リンパ芽球腫、び慢性小開裂細胞、巨細胞免疫芽球性リンパ芽球腫、小開裂バーキットリンパ腫、非開裂バーキットリンパ腫、小開裂非バーキットリンパ腫、非開裂非バーキットリンパ腫、濾胞性優位型大細胞リンパ腫、濾胞性優位型小開裂細胞リンパ腫、濾胞性混合型小開裂リンパ腫、及び濾胞性巨細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
前記腫瘍性疾患が、B細胞性慢性リンパ性白血病(B−CLL)である、請求項37に記載の使用。
【請求項39】
悪性腫瘍細胞のアポトーシスを誘発するための医薬組成物を製造するための、アポトーシス誘発量のCD23拮抗剤の使用。
【請求項40】
前記CD23拮抗剤が、CD23反応性ポリペプチド、CD23反応性ペプチド、CD23反応性低分子、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
前記CD23反応性ポリペプチドが、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を含む、請求項40に記載の使用。
【請求項42】
前記CD23反応性ポリペプチドが、モノクローナル抗体を含む、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
前記モノクローナル抗体が、キメラ抗体及びヒト化抗体からなる群から選択される、請求項42に記載の使用。
【請求項44】
前記モノクローナル抗体が、IDEC−152である、請求項43に記載の使用。
【請求項45】
前記医薬組成物が化学療法剤と組み合わせて適用するためのものである、請求項39から44のいずれか1項に記載の使用。
【請求項46】
前記化学療法剤が抗体を含む、請求項45に記載の使用。
【請求項47】
前記抗体が、CD19、CD20、CD22、CD40、CD40L、CD52、又はB7と反応若しくは結合する、請求項46に記載の使用。
【請求項48】
前記医薬組成物が前記悪性腫瘍細胞と、in vivoで接触させるためのものである、請求項39から47のいずれか1項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−62385(P2009−62385A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271788(P2008−271788)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【分割の表示】特願2002−560675(P2002−560675)の分割
【原出願日】平成14年1月31日(2002.1.31)
【出願人】(502440595)バイオジェン アイデック インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】