説明

腫瘍細胞の移動の阻害

【課題】癌に関連する死亡率の大部分は、最初の原発性腫瘍から離れた部位に、もともとの腫瘍細胞が移動または転移することに起因しているため、腫瘍細胞の移動を阻害するための医薬の提供。
【解決手段】大麻植物抽出物またはカンナビノイドカンナビノイド;テトラヒドロカナビノール、δ−9−テトラヒドロカンナビノール、δ−9−テトラヒドロカンナビノールプロピルアナログ、カンナビジオール、カンナビジオールプロピルアナログ、カンナビノール、カンナビクロメン、カンナビクロメンプロピルアナログまたはカンナビゲロールのうちの1種以上。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、腫瘍細胞の移動を阻害する際に使用するための医薬の製造において、大麻植
物抽出物またはカンナビノイドを使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
癌に関連する死亡率の大部分は、最初の原発性腫瘍から離れた部位に、もともとの腫瘍
細胞が移動または転移することに起因している。
【0003】
用語「移動」または「転移」は、癌細胞が身体のいたるところに移転するプロセスを説
明するために使用される。
【0004】
腫瘍細胞が移動するプロセスは、腫瘍細胞の内皮基底膜への接着を伴う。内皮細胞基底
膜は、組織を囲むタンパク質および糖タンパク質の厚い層である。一旦、腫瘍細胞が内皮
基底膜へ接着すると、その腫瘍細胞は、膜中のタンパク質を分解し得る分解酵素を分泌す
る。次いで、腫瘍細胞は、身体のあちこちを移動できるようになる。腫瘍細胞は、血管を
構成する細胞の間に押し入ることによって血流に進入することが可能であり、また腫瘍細
胞は、リンパ系にも進入し得る。癌細胞が血液系またはリンパ系を通って別の位置に移動
する場合、その癌細胞は、新しい部位において腫瘍を生じさせて腫瘍を形成し得る。この
腫瘍は、転移性腫瘍といわれる。癌細胞が身体の他の部分に移動するか否かは、多くの因
子(癌の型、癌の段階、および癌のもともとの位置が挙げられる)に依存する。
【0005】
癌は、身体の多くの領域に影響を及ぼすことが公知であり、最も一般的な型の癌として
は以下が挙げられる:胆管癌、膀胱癌、骨癌、腸癌(結腸癌および直腸癌を含む)、脳の
癌、乳癌、神経内分泌系癌(カルチノイドとして一般的に公知)、頸部(cervix)癌、眼
癌、食道癌、頭頸部癌(この群としては、口、鼻、咽喉、耳の管壁を形成する細胞または
舌を覆う表面層を形成する細胞において生じる癌が挙げられる)、カポジ肉腫、腎臓癌、
喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌、リンパ節癌、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、
黒色腫、中皮腫、骨髄腫、卵巣癌、膵臓癌、陰茎癌、前立腺癌、皮膚癌、軟部組織肉腫、
脊髄癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、膣癌、外陰部癌および子宮癌。
【0006】
原発性脳腫瘍は、脳の中の細胞の成長または未制御増殖によって生じる塊である。続発
性脳腫瘍は、身体の別の部分から脳に広がった腫瘍である。脳に発生した腫瘍は、炎症を
生じさせ、脳の他の部分を圧迫して脳浮腫(脳の膨張)を引き起こすことによって脳細胞
を破壊または損傷し得、そして頭蓋内圧(頭蓋内の圧力)を上昇させ得る。
【0007】
手術は、多くの脳腫瘍に対する一般に選択される処置オプションであり、一部の脳腫瘍
は完全に摘出される場合もあるが、奥まった所にあるものまたは脳組織を浸潤するものは
、除去されるよりもむしろ減量(debulk)される場合もある。
【0008】
放射線療法および化学療法は、関連する腫瘍の型に応じて推奨される場合もある。
【0009】
神経膠腫細胞腫瘍は、多くの場合、致命的であり得る。神経膠腫の浸潤性腫瘍増殖が広
汎性であるという特徴は、多くの場合、その腫瘍を外科的に除去することを不可能にし、
このことが、これらの患者の臨床的な管理を大いに複雑にする。
【0010】
神経膠腫と診断された患者の死亡率を改善するために、異なるアプローチが研究されて
いる。これらのアプローチとしては、神経膠腫細胞を標的にするが正常細胞は傷つけない
治療、癌細胞の広がりを制限する方法、および腫瘍の生存を維持する分子を遮断する処置
が挙げられる。
【0011】
このような研究の領域のひとつは、癌細胞の生存力を阻害するために、カンナビノイド
を使用することを包含する。カンナビノイドは、大麻植物の活性成分であり、これらは、
多くの薬理学的特性を示すことが見出されている。
【0012】
例えば、米国特許出願US 2004/0039048(Guzman et al.)には、天然カンナビノイドま
たは合成カンナビノイドの投与による脳腫瘍の処置が記載されている。この出願は、カン
ナビノイドに対する特異的レセプターの活性化が、形質転換細胞を選択的に死滅させるこ
とを主張している。
【0013】
最近、カンナビノイドCBDが、抗腫瘍特性を有することが示されている(Massi et a
l. J Pharmacol Exp Ther. 2004 Mar; 308 (3) : 838-45)。この論文によって記載され
る研究は、インビトロでのU87およびU373のヒト神経膠腫細胞株の使用と、ヌード
マウスの皮下に移植されたインビボでのU87ヒト神経膠腫細胞の使用との両方に対する
抗増殖効果を記載している。
【0014】
悪性神経膠腫は、高浸潤性で高増殖性の腫瘍であり、特徴的な増殖パターンをたどる。
神経膠腫細胞は、隣接する正常な脳構造および周囲の広範な血管を侵す。
【0015】
カンナビノイドの使用が、腫瘍細胞の抗増殖に有用であることが明白である一方で、こ
れらの腫瘍細胞が破壊される前の腫瘍細胞の移動に関連する重大な問題が依然として存在
している。
【0016】
従って、神経膠腫細胞の移動の阻害は、悪性神経膠腫を有する患者の予後を改善する際
に重大なステップになる。本発明は、大麻植物抽出物またはカンナビノイドの使用によっ
てこの問題を克服し、原発性腫瘍位置から第二の部位に移動する癌細胞の進行を遅らせる

【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
(発明の要旨)
本発明の第一の局面によれば、腫瘍細胞の移動を阻害する際に使用するための医薬の製
造における、大麻植物抽出物またはカンナビノイドの使用が提供される。
【0018】
本発明はまた、哺乳動物被験体において腫瘍細胞の移動を阻害する方法に関し、この方
法は、有効量の大麻植物抽出物またはカンナビノイドを腫瘍細胞の阻害を必要としている
被験体に投与する工程を包含する。
【0019】
この方法の好ましい実施形態は、ヒト患者における腫瘍細胞の移動の阻害に関する。
【0020】
好ましくは、上記大麻植物抽出物は、1種以上のカンナビノイドを含む。
【0021】
より好ましくは、上記大麻植物抽出物またはカンナビノイドは、所定の大麻化学変種か
ら(cannabis chemovar)から生成される。
【0022】
植物抽出物は、Guidance for Industry Botanical Drug Products Draft Guidance, US
Department of Health and Human Services, Food and Drug Administration Centre fo
r Drug Evaluation and Research(2000年8月)によって記載される植物材料からの
抽出物と定義される。
【0023】
植物材料は、植物または植物の部分(例えば、樹皮、木部、葉、茎、根、花、果実、種
、漿果またはこれらの部分)、ならびに滲出物と定義される。
【0024】
化学変種(chemovar)は、特定の化学成分の産生を最大化するために育種させたハイブ
リッド植物を説明するために使用される用語である。大麻化学変種の場合において、これ
らは、特定のカンナビノイドの産生を最大化するために、しばしば改良されている。
【0025】
好ましくは、上記大麻化学変種は、1種の主なカンナビノイドとしてそのカンナビノイ
ド成分を発現する。
【0026】
特定の化学変種中のカンナビノイドの量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
またはガスクロマトグラフィー(GC)などの技術によって決定することができる。大麻
化学変種のカンナビノイド成分は、大麻植物材料の全乾燥重量のパーセンテージとして記
載することができる。あるいは、大麻植物材料の抽出物を生成して、特定のカンナビノイ
ドの量を、全カンナビノイド成分のパーセンテージとして表現することができる。
【0027】
特定の育種技術によって、1つの型のカンナビノイドを主に生成する大麻化学変種を選
択することができる。2型以上のカンナビノイドを生成する大麻植物の他の化学変種も生
成されている。特定の例において、上記化学変種は、2種以上のカンナビノイドを特定の
比率で発現するように選択し得る。このことは、特定の比率のカンナビノイドが特定の疾
患または症状の処置に有用であることが公知である場合、所望の比率のカンナビノイドを
生成するためには、数種の抽出物を生成して混合するよりもむしろ、1つの型の植物に由
来するカンナビノイド抽出物を調製し得ることが、有利である場合がある。
【0028】
好ましくは、上記大麻化学変種は、以下のカンナビノイド:テトラヒドロカンナビノー
ル、δ−9−テトラヒドロカンナビノール、δ−9−テトラヒドロカンナビノールプロピ
ルアナログ、カンナビジオール、カンナビジオールプロピルアナログ、カンナビノール、
カンナビクロメン、カンナビクロメンプロピルアナログまたはカンナビゲロールのうちの
1種以上を主に生成するように選択される。
【0029】
この大麻化学変種は、多くの場合、そのカンナビノイドを酸性形態で生成し、そしてこ
れらは、その植物が収穫された後に、中性形態へとカルボキシル化され得る。カンナビノ
イドの中性形態または酸性形態のいずれも、本発明に記載された使用に適切であり得る。
【0030】
好ましくは、上記大麻化学変種は、カンナビノイドカンナビジオール(CBD)を主に
生成するように選択される。
【0031】
より好ましくは、上記大麻化学変種は、その植物中のカンナビノイドの全量の90%(
w/w)を超えるか、または90%(w/w)と等しい量でカンナビノイドCBDを生成
するように選択される。
【0032】
好ましくは、大麻植物抽出物またはカンナビノイドは、植物性薬物物質の形態である。
【0033】
より好ましくは、上記植物性薬物物質は、以下に記載の方法を使用して調製される:
i)カンナビノイドの量が既知であるものについて、少なくとも1種の乾燥させた大麻植
物種を提供する工程;
ii)以下のa〜eの手順のうちの少なくとも1つを使用して、上記の少なくとも1種の
大麻植物種の抽出物を調製する工程;
a.浸軟
b.濾過
c.C1〜C5アルコール、ノルフルラン(norflurane)またはHFA227などの溶媒を用い
た抽出
d.臨界前流体抽出または超臨界流体抽出
e.高温ガスによる抽出;
iii)工程(ii)で調製された抽出物から植物性薬物物質を処方する工程;および
iv)工程(iii)の植物性薬物物質を、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤を
含む薬学的組成物にさらに処方する工程。
【0034】
植物性薬物物質は、以下のように定義される。大麻植物に由来する植物性薬物物質は、
例えば、浸軟、濾過、C1〜C5アルコール(例えば、エタノール)、Norflurane(HFA134
a)、HFA227、圧力下の液体二酸化炭素などの溶媒を用いた抽出、高温ガスを使用した抽
出などのプロセスによって調製される一次抽出物を含む。この一次抽出物は、超臨界抽出
または臨界前抽出、気化およびクロマトグラフィーによってさらに精製することができる
。上に列挙されたような溶媒を使用する場合、得られる抽出物は、非特異的な脂溶性物質
を含有する場合がある。これは、脱ろう(winterisation)(−20℃に冷却した後に濾
過してワックスバラスト(waxy ballast)を除去し、液体二酸化炭素によって抽出して蒸
留する)を含む種々のプロセスによって除去することができる。
【0035】
好ましい大麻抽出物としては、本明細書または英国特許GB2380129号(これら
の内容は、本明細書においてその全体が参考として援用される)に開示された任意の方法
またはプロセスによって得ることができるものが挙げられる。この抽出物は、好ましくは
ワックスまたは他の非特異的脂溶性物質を含まないが、その植物中に天然に存在するカン
ナビノイドの実質的に全てを好ましくは含む。
【0036】
植物性薬物物質は、Guidance for Industry Botanical Drug Products Draft Guidance
, US Department of Health and Human Services, Food and Drug Administration Centr
e for Drug Evaluation and Research, "A botanical product that is intended for us
e as a drug; a drug product that is prepared from a botanical drug substance."(
2000年8月)において定義されるBotanical Drug Productに処方される。
【0037】
好ましくは、移動が妨げられる腫瘍細胞の型は、脳腫瘍細胞である。
【0038】
好ましくは、移動が妨げられる腫瘍細胞の型は、中枢神経系の腫瘍細胞である。
【0039】
より好ましくは、移動が妨げられる腫瘍細胞の型は、神経膠腫の腫瘍細胞である。
【0040】
脳腫瘍は、通常は、その腫瘍の位置と癌が発生した細胞の型とに従って分類される。例
えば、異なる型の脳腫瘍としては、聴神経腫、神経膠星状細胞腫、CNSリンパ腫、脳室
上衣細胞腫、血管芽細胞腫(haemangioblastoma)、髄芽細胞腫、髄膜腫、神経膠腫、混
合性神経膠腫、希突起神経膠腫、松果体領域の腫瘍および下垂体の腫瘍が挙げられる。
【0041】
神経膠腫は、グリア細胞の腫瘍であり、これらの細胞は、脳において神経細胞を支持し
、保護する。神経膠腫は、全ての原発性脳腫瘍のほぼ半分を占め、全ての原発性脊髄腫瘍
の5分の1を占める。
【0042】
本発明の特定の局面は、添付の図面を参照して、単なる例示としてさらに説明される。
【実施例】
【0043】
(具体的説明)
ヒト神経膠腫細胞の運動性を調節する能力に関するカンナビノイドカンナビジオール(
CBD)の効果を調査した。以下の非限定的な実施例を参照することによって、本発明の
特徴をさらに説明する。
【0044】
(実施例1)
植物性薬物物質の形態のカンナビジオール(CBD)をエタノールに溶解して100m
Mの濃度とし、これを必要なときまで−20℃で保存した。
【0045】
使用の前に、CBDを組織培養培地でさらに希釈して所望の濃度にし、確実にエタノー
ルの濃度が0.001%を下回るようにした。
【0046】
この実験を通して、U87ヒト神経膠腫細胞を使用した。5%CO2および95%空気
の加湿大気中で、37℃で細胞を維持した。
【0047】
4mM L−グルタミン、100ユニット/mlペニシリン、100mg/mlストレ
プトマイシン、1%ピルビン酸ナトリウム、1%非必須アミノ酸および10%熱不活化胎
児ウシ血清を補充したDulbecco's Modified Eagle Medium(DMEM)において、75cm2
培養フラスコで細胞を培養した。
【0048】
改変Boydenチャンバーにおいて、48ウェルのU87細胞を用いて細胞移動アッセイを
行った。このチャンバーは、上の区画と下の区画とが、15μg/mlのフィブロネクチ
ンでコーティングしたポリカーボネートフィルター(孔径8μm)によって分離されたも
のである。ならし培地(CM)は、化学誘引物質として機能した。このCMは、サブコン
フルエントなU87細胞の培養物を完全培地で3日間インキュベートすることによって作
製した。
【0049】
ならし培地を含む下側チャンバーの上に、コーティングしたフィルターを配置した。ネ
ガティブコントロールとして無血清培地を使用した。CBDまたはビヒクルのいずれかで
U87細胞を30分間処理し、次いで、上側チャンバーに1ウェルあたり3×104個の
濃度で細胞を蒔き、6時間37℃でインキュベートした。
【0050】
インキュベーションの後、フィルターの上表面の移動しなかった細胞をこすり落とすこ
とによって除去し、フィルターの下側の移動細胞をDiff-Quick Stainで染色した。フィル
ター1枚あたり5個と8個の間の単位視野を、400倍でカウントした。
【0051】
(結果)
ヒト神経膠腫細胞U87の培養培地にCBDを添加すると、濃度依存的に移動が阻害さ
れた。
【0052】
図1に示すように、上昇した濃度のCBD(0.01μM〜9μMの範囲)に細胞を曝
し、細胞の移動を6時間後に評価した。細胞移動の阻害の程度は、ビヒクル処理(最大刺
激)に対する阻害のパーセンテージとして表した。
【0053】
CBDのIC50は、5.05±1.1μMであると決定した。使用したCBDの濃度の
範囲では、細胞生存力に変化はなかった。
【0054】
(実施例2)
カンナビノイドに関する研究において得られたデータの大部分は、中枢神経系に対する
薬理学的効果がカンナビノイドレセプターによって媒介されることを示している。上の実
施例1に記載した細胞移動のCBD誘導性阻害が、これらのレセプターの刺激に依存して
いるか否かを決定するために、CB1レセプターおよびCB2レセプターに対して選択的
な特定のアンタゴニストを用いて細胞移動アッセイを実施した。これらは、それぞれSR14
1716AとSR144528である。
【0055】
U87ヒト神経膠腫細胞中のCB1レセプターおよびCB2レセプターの存在を、まず
免疫ブロッティングの実験でチェックし、両方のレセプターが存在していることを見出し
た(データは示さず)。
【0056】
まず、U87ヒト神経膠腫細胞をアンタゴニストで30分間前処理し、次いでさらに3
0分間CBDで処理し、その後Boydenチャンバーの上側チャンバーに細胞を蒔いた。
【0057】
6μMのCBD濃度を使用して細胞移動アッセイを行い(実施例1に示す)、50%の
移動を阻害した。CB1レセプターおよびCB2レセプターのアンタゴニストを、0.1
μMと1μMとの濃度で試験した。これらの濃度において、細胞生存力に影響はなかった

【0058】
(結果)
CB1レセプターおよびCB2レセプターのアンタゴニストによるU87ヒト神経膠腫
細胞の前処理は、CBDが誘導する移動の阻害にほとんど影響を与えなかった。
【0059】
図2に示すように、CBD誘導効果は、標準的なカンナビノイドレセプターによっては
仲介されないことが示される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、CBDによって誘導されるU87ヒト神経膠腫細胞の濃度依存的な阻害を詳述するグラフである。コントロールに対する移動のパーセンテージとして、結果を表す。
【図2】図2は、CBD誘導性の細胞移動が、CB1(SR141716)レセプターまたはCB2(SR144528)レセプターに対する選択的アンタゴニストを用いた前処理によっては妨げられないことを詳述するグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍細胞の移動を阻害する際に使用するための医薬の製造における、大麻植物抽出物また
はカンナビノイドの使用。
【請求項2】
前記大麻植物抽出物が、1種以上のカンナビノイドを含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記大麻植物抽出物またはカンナビノイドが、所定の大麻化学変種から生成される、請求
項1に記載の使用。
【請求項4】
前記大麻化学変種が、1種の主なカンナビノイドとして、そのカンナビノイド成分を発現
する、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記大麻化学変種が、カンナビノイド;テトラヒドロカナビノール、δ−9−テトラヒド
ロカンナビノール、δ−9−テトラヒドロカンナビノールプロピルアナログ、カンナビジ
オール、カンナビジオールプロピルアナログ、カンナビノール、カンナビクロメン、カン
ナビクロメンプロピルアナログまたはカンナビゲロールのうちの1種以上を主に生成する
ように選択される、請求項3または4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記大麻化学変種が、前記カンナビノイドカンナビジオール(CBD)を主に生成するよ
うに選択される、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記大麻化学変種が、植物中のカンナビノイドの全量の90%(w/w)よりも多い量ま
たは90%(w/w)と等しい量で、前記カンナビノイドCBDを生成するように選択さ
れる、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記大麻植物抽出物またはカンナビノイドが、植物性薬物物質の形態である、請求項1〜
7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
移動が妨げられる腫瘍細胞の型が、脳腫瘍細胞である、請求項1に記載の使用。
【請求項10】
前記移動が妨げられる腫瘍細胞の型が、中枢神経系の腫瘍細胞である、請求項1に記載の
使用。
【請求項11】
前記移動が妨げられる腫瘍細胞の型が、神経膠腫の腫瘍細胞である、請求項9または10
に記載の使用。
【請求項12】
哺乳動物被験体において腫瘍細胞の移動を阻害する方法であって、
有効量の大麻植物抽出物またはカンナビノイドを腫瘍細胞の移動の阻害を必要としてい
る被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項13】
前記哺乳動物が、ヒト患者である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記大麻植物抽出物が、請求項2〜8のいずれか1項に記載されたものである、請求項1
2または13に記載の方法。
【請求項15】
移動が阻害される腫瘍細胞の型が、請求項9〜11のいずれか1項に記載のものである、
請求項12または13に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−131803(P2012−131803A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−22885(P2012−22885)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【分割の表示】特願2007−534090(P2007−534090)の分割
【原出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(508368987)ジーダブリュー・ファーマ・リミテッド (16)
【氏名又は名称原語表記】GW PHARMA LIMITED
【Fターム(参考)】