説明

腸管洗浄パック及び腸管洗浄キット

【課題】 速効性があり、優れた腸管洗浄効果に追加して、便秘/宿便解消効果、腸管改善効果、健康改善効果、ダイエット効果などを同時に達成することが期待され、製造及び取り扱いが容易であり、低コストであり、衛生面に優れ、しかも使い捨てが可能である腸管洗浄パックを提供すること。
【解決手段】 プラスチック材料から形成されかつ液体排出口を下端部に備えた容器と、該容器に収容された腸管洗浄液とを含む腸管洗浄パックにおいて、前記腸管洗浄液が、ステビア草由来のステビア煎じ液及びアガリクス茸由来のアガリクス煎じ液を組み合わせて主成分として含有する水溶液であるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腸管洗浄技術に関し、さらに詳しく述べると、特定の有効成分を含有する洗浄液を腸管に注入して宿便を排出するなどの目的で使用される腸管洗浄パックと、それを備えた腸管洗浄キットに関する。本発明の腸管洗浄パック及び腸管洗浄キットは、それぞれ、使い捨て可能である。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、健康面、美容面などから便秘の解消や宿便の除去が注目されており、現在、いろいろなタイプの便秘解消飲料や便秘解消剤、浣腸剤、さらには腸管洗浄具等が商業的に入手可能であり、また、特許文献においても開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、注射器の原理を応用した容器の先端に、着脱可能な柔軟性のあるパイプを取り付け、そのパイプの先端に、着脱可能な肛門挿入器を取り付けたことを特徴とする大腸内洗浄器具が開示されている。しかし、この大腸内洗浄器具の場合、大腸内にお湯を注入し、洗浄するだけであるので、洗浄効果にプラスするところの、健康面、美容面などから近年求められている追加の効果、例えば便秘/宿便解消効果、腸管改善効果、健康改善効果、ダイエット効果などをもたらすことができない。また、大腸内洗浄器具が注射器型容器、パイプおよび挿入器から構成されているので、使用の都度にそれぞれのパーツを煮沸消毒し、清潔状態で保管しなければならず、ユーザーにとって取り扱いや保管が煩雑であるという問題がある。
【0004】
また、特許文献2には、0.5〜7重量%のカテキン、0.2〜5重量%のアロイン及び88〜99.3重量%の馬油を有効成分として含有する便秘解消剤組成物が開示されている。しかし、この便秘解消剤組成物は、経口投与するタイプであるので、長期の投与によってはじめて便秘解消効果が発現されるものであるので、速効性に乏しく、さらには便秘解消効果以外の追加の効果を期待することができない。
【0005】
さらに、特許文献3には、pH3〜4の強酸性コーヒーを腸内洗浄液として利用し腸内洗浄を行い、腸及び肝機能を改善する腸内洗浄法が開示されている。しかし、この腸内洗浄法では、洗浄液として強酸性の溶液を使用するので、特に腸の内壁が過敏な状態にあるユーザーに使用すると、炎症等の不具合が発生するおそれがある。また、腸内洗浄法の実施には自然落下式の腸内洗浄器を使用することが推奨されているが、この洗浄器は、微温湯で希釈した洗浄液を容器に入れ、その容器をユーザーよりも高い位置に配置した後、自然落下により、ユーザーの肛門部を介して腸内に洗浄液を注入する必要があり、洗浄作業が非常に煩雑である。さらに、この洗浄器も容器等のいくつかのパーツから構成されているので、使用の都度にそれぞれのパーツを煮沸消毒し、清潔状態で保管しなければないという問題がある。
【0006】
【特許文献1】特開2000−342684号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2002−3388号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開2004−10604号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような従来の技術の問題点を解決することを目的とする。
【0008】
本発明の目的は、健康の改善や美容のために腸管の洗浄に使用するためのものであって、速効性があり、優れた腸管洗浄効果に追加して、便秘/宿便解消効果、腸管改善効果、健康改善効果、ダイエット効果などを同時に達成することが期待され、製造及び取り扱いが容易であり、低コストであり、衛生面に優れ、しかも使い捨てが可能である腸管洗浄パックを提供することにある。
【0009】
また、本発明の目的は、本発明の腸管洗浄パックと組み合わせて手早く簡単に使用することができ、低コストであり、衛生面に優れ、しかも使い捨てが可能である腸管洗浄キットを提供することにある。
さらに、本発明の目的は、取り扱いが容易であり、腸管洗浄とそれに付随する効果を達成するためにいろいろな目的に応じて使用可能であり、ユーザーを制限することがない腸管洗浄キットを提供することにある。
【0010】
本発明の上記した目的やその他の目的は、以下の詳細な説明から容易に理解することができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、その1つの面において、プラスチック材料から形成されかつ液体排出口を下端部に備えた容器と、該容器に収容された腸管洗浄液とを含む腸管洗浄パックであって、
前記腸管洗浄液が、ステビア草由来のステビア煎じ液及びアガリクス茸由来のアガリクス煎じ液を組み合わせて主成分として含有する水溶液であることを特徴とする使い捨て可能な腸管洗浄パックにある。
【0012】
また、本発明は、そのもう1つの面において、本発明による腸管洗浄パックと、前記容器の液体排出口に、それに一体的に結合されているかもしくは使用時に一体的に結合可能な輸液手段とを含んでなり、
前記輸液手段が、前記容器と同一もしくは異なるプラスチック材料から形成された輸液部材と、該輸液部材の容器側の末端部に取り付けられた、前記液体排出口に一体的に結合されているかもしくは一体的に結合可能なプラスチック製嵌合部材と、前記輸液部材の前記嵌合部材とは反対側の末端部に取り付けられた肛門挿入部材とを備えることを特徴とする使い捨て可能な腸管洗浄キットにある。
【発明の効果】
【0013】
以下の詳細な説明から理解されるように、本発明によれば、腸管洗浄液としてステビア草由来のステビア煎じ液とアガリクス茸由来のアガリクス煎じ液を組み合わせて主成分として含有する水溶液を使用しているので、腸管洗浄に関して効果的であり、速効性があることに追加して、便秘/宿便解消効果、腸管改善効果、健康改善効果、ダイエット効果などの追加の効果を同時に達成することが期待される。
【0014】
また、本発明の腸管洗浄パックは、製造及び取り扱いが容易であり、低コストであり、衛生面に優れ、しかも使い捨てが可能であるという効果も奏することができる。特に本発明の腸管洗浄パックの場合、腸管洗浄液の主成分として使用するステビア煎じ液及びアガリクス煎じ液をそれぞれ新品のステビア草及びアガリクス茸を使用して調製する必要がなく、エキスの抽出のために使用した後に回収したステビア及びアガリクスの残留物を煎じることによって調製することができるので、非常に経済的であり、資源の再利用に大きく貢献することができる。なお、本発明に従い調製されたステビア煎じ液とアガリクス煎じ液には、それぞれ、上記のような各種の効果を発現するのに十分な有効成分が依然として含まれている。
【0015】
さらに、本発明の腸管洗浄パックを使用すると、手早く簡単に使用することができ、低コストであり、衛生面に優れ、しかも使い捨てが可能である腸管洗浄キットも提供することができる。
【0016】
本発明の腸管洗浄キットは、取り扱いが容易であり、腸管洗浄とそれに付随するいろいろな効果を具現することができるので、いろいろな目的に応じて容易に使用可能であり、換言すると、ユーザーを制限することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明による腸管洗浄パック及び腸管洗浄キットは、それぞれ、いろいろな形態で有利に実施することができる。以下、添付の図面を参照しながら本発明をその好ましい形態について説明するけれども、本発明は、これらの形態に限定されるものではないことを理解されたい。
【0018】
図1は、本発明による腸管洗浄パックの好ましい1形態を示した平面図である。腸管洗浄パック10は、必要に応じてその他の構成要素を有していてもよいけれども、基本的には、図示されるように、プラスチック材料から形成された容器11と、その容器に収容された所定量の腸管洗浄液12とからなる。
【0019】
容器11は、通常、透明もしくは半透明なプラスチック材料のフィルム、シート等(以下、「フィルム」という)から形成される。容器11は、好ましくはフレキシブルである。容器11は、所望ならば、不透明もしくは半透明なプラスチック材料のフィルムから形成され、その内容物を容易に確認できるように、一部に透明な窓が設けられていてもよい。容器11の形成に使用されるプラスチック材料は、その材料が腸管洗浄液に溶解するなどの不具合が生じない限りにおいて特に限定されないけれども、通常、軟質のプラスチック材料が有利である。容器11の形成に好適な軟質のプラスチック材料として、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、例えば、ポリオレフィン類、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体など、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニルなどを挙げることができる。
【0020】
このようなプラスチック材料を使用して、フィルム溶着技術や任意の成形法によって、所望の形状及びサイズを備えた容器11を作製することができる。適当な成形法としては、例えば、シール成形、ブロー成形、押出し成形などの常用の成形法を挙げることができる。また、この容器11の成形と同時に、以下に説明する液体排出口13を一体的に作り込むことができ、さもなければ、容器11の作製の後、その容器の所定の位置に予め形成しておいたスリット部に別に作製しておいた液体排出口13を挿入し、加熱により一体的に溶着することもできる。ところで、容器11の肉厚は、その作製に使用されるフィルムの厚さに応じて変更可能である。取り扱い性やコストの面から、容器11の肉厚は、所定の強度が保障される限り、薄ければ薄いほど良好である。
【0021】
容器11は、好ましくはパウチの形で用いられる。容器11の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、正方形もしくは長方形の袋の形態であってもよく、さもなければ、円筒もしくはその他の形態であってもよい。
【0022】
容器11のサイズは、広い範囲で変更することができるけれども、一般的には、腸管洗浄パック10が使い捨て可能であるので、使い捨て量の腸管洗浄液を収容するのに十分なサイズである。腸管洗浄液の収容量から規定すると、容器11は、通常、約500〜1500ml、好ましくは約800〜1200ml、さらに好ましくは約900〜1000mlの腸管洗浄液を収容するのに十分なサイズである。なお、腸管洗浄液を1回につき上記の量よりも少量で使用可能であるならば、容器11のサイズもそれにあわせて小さくすることが可能である。
【0023】
容器11は、腸管洗浄液12を容器外に排出するため、液体排出口13をその下端部に備えている。液体排出口13は、通常、パイプの形態を有しており、任意のプラスチック材料から形成することができる。液体排出口11の形成に好適なプラスチック材料としては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、例えば、ポリオレフィン類、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体など、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルなどを挙げることができる。液体排出口13の形成には、例えば、射出成形、インサート成形などの常用の成形法を使用することができる。
【0024】
また、液体排出口13は、腸管洗浄液12が流出するのを防止するため、封止栓13aをさらに有している。封止栓13aは、機械的強度に乏しい構成を採用しており、腸管洗浄パック10の使用に先がけて液体排出口13を指先で押し潰すだけで、容易に破壊され、腸管洗浄液12を容器外に排出することが可能である。封止栓13aは、任意のプラスチック材料から形成することができる。また、図ではフィルム状の封止栓13aを使用しているけれども、その他の形で封止栓を形成してもよい。なお、上述の封止栓破壊作業は、腸管洗浄パック10に以下に説明する輸液手段を接続した後に行うものであることは言うまでもない。
【0025】
さらに、容器11は、その上縁部に開口14を備えている。開口14は、腸管洗浄パック10の使用時、それを高位置に配置するためにシャワールーム、化粧室等に備え付けのフックに取り付けたり、S字フックを介して備え付けの金具や別のフックに取り付けるためのものであり、通常、約5〜10mmの直径である。なお、図では1個の開口14が示されているけれども、必要ならば、2個もしくはそれ以上の開口を配置してもよい。また、このような開口と組み合わせて、あるいはその代わりに、図4に示すように、フック機能をもった切れ込み15を容器11の上縁部に設けてもよい。
【0026】
容器11に収容されている腸管洗浄液12は、本発明に特有の組成のものであり、ステビア草由来のステビア煎じ液とアガリクス茸由来のアガリクス煎じ液を組み合わせて主成分として含有する水溶液である。ここで特記しなければならないことは、腸管洗浄液の主成分として使用するステビア煎じ液及びアガリクス煎じ液は、それぞれ、新品のステビア草及びアガリクス茸を使用して、それを煎じることによって調製したものではないということである。本発明の実施に使用するステビア煎じ液及びアガリクス煎じ液は、それぞれ、エキスの抽出のために使用した後に回収したステビア草及びアガリクス茸の抽出残留物を煎じることによって調製した、いわゆる二番煎じ液であるということが重要である。本発明者らは、入手が容易でなく、しかも高価なステビア草及びアガリクス茸を有効利用することを研究していく過程で、それらの抽出残留物が依然として有効成分を含有しており、再度煎じ処理をすることによって、有効成分を含む煎じ液を回収できることを発見し、さらにはそれらの煎じ液が、腸管洗浄液として組み合わせて使用した場合に、今まで確認されていないところのすぐれた作用を発現するということを発見したという次第である。本発明の完成以前、本発明でもっぱら使用する二番煎じ液が腸管洗浄に有用であるとする報告がなされた例を、本発明者らは知らない。
【0027】
本発明で使用される腸管洗浄液において、ステビア草由来のステビア煎じ液は、ステビア草からステビアエキスを抽出した後に得られたステビア残留物を煎じた生成物である。ここで、「ステビア草」とは、南米パラグアイ原産の多年生植物であり、現在、甘味料やその他の用途のために多くの国において商業的に栽培されている。本発明は、エキスの抽出のためにステビア草を抽出処理した後に得られた残留物(残渣)を回収し、再び利用しようとするものであり、具体的には、回収されたステビア残留物を加熱釜などに入れて所定の時間にわたって煎じ処理し、煎じ液のみを回収して再利用する。煎じ処理の条件は、ステビア残留物の種類や量などで変更可能であるけれども、例えば、沸騰温度で約1〜4時間である。回収されたステビア煎じ液には、β−カロチンを含むいろいろな有効成分が含まれる。また、これらの有効成分に由来して、ステビア煎じ液は、抗酸化作用、殺菌作用などを有している。
また、アガリクス茸由来のアガリクス煎じ液は、アガリクス茸からアガリクスエキスを抽出した後に得られたアガリクス残留物を煎じた生成物である。ここで、「アガリクス茸」とは、南米ブラジル原産の担子菌類の茸であり、学名をアガリクス・ブランゼイ・ムリル(Agaricus Blazei Murill)、和名をカワリハラタケという。近年、免疫賦活機能、抗がん機能、血圧降下機能、コレステロール降下機能、老化防止機能などが着目されて、アガリクス茸由来の健康食品を容易に入手可能である。アガリクス茸は、自生種が減少傾向にあるので、多くの国において商業的に栽培されている。本発明は、エキスの抽出のためにアガリクス茸を抽出処理した後に得られた残留物(残渣)を回収し、再び利用しようとするものであり、具体的には、回収されたアガリクス残留物を加熱釜などに入れて所定の時間にわたって煎じ処理し、煎じ液のみを回収して再利用する。煎じ処理の条件は、アガリクス残留物の種類や量などで変更可能であるけれども、例えば、約70℃の温度でほぼ一昼夜である。回収されたアガリクス煎じ液には、β−D−グルカンやその他の有効成分が依然として含まれるので、上記したような諸機能が内在されている。
【0028】
腸管洗浄液の調製において、上述のステビア煎じ液及びアガリクス煎じ液は、所望とする効果などに応じていろいろ濃度で水に溶解して、換言すると、ステビア煎じ液及びアガリクス煎じ液をいろいろな配合比で水中に溶解して、使用することができる。
【0029】
また、腸管洗浄液は、上記したステビア煎じ液及びアガリクス煎じ液に加えて、任意の成分を添加剤として含有することができる。適当な添加剤として、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、グリセリン、馬油などを挙げることができる。
【0030】
本発明の腸管洗浄パックは、上記のような腸管洗浄液の所定量を容器の任意の位置から容器内に注入し、その後、注入口を融着などで封止することによって容易に作製することができる。また、所望ならば、上記した液体排出口を介して腸管洗浄液を容器内に充填した後、その液体排出口に封止栓を取り付ける方法を使用してもよい。上記のような方法あるいはその他の方法によって腸管洗浄液を容器に封入した後、容器全体を滅菌し、清潔な状態で包装し、保存する。滅菌方法としては、常用の技法、例えばEO(エチレンオキサイド)ガスによる滅菌、紫外線照射による滅菌などを挙げることができる。
【0031】
本発明の腸管洗浄パックは、好ましくは、腸管洗浄液をユーザーの肛門部を介して腸管に注入するための輸液手段と組み合わせて使用される。その際、輸液手段は、腸管洗浄パックを構成する容器の液体排出口に、それに一体的に結合された形ですでに接続され、好ましくは滅菌下に包装されていてもよく、さもなければ、腸管洗浄パックの使用時にはじめて一体的に結合可能なように、腸管洗浄パックとは独立して、好ましくは滅菌下に包装されていてもよい。
【0032】
輸液手段は、腸管洗浄パック(容器)からの腸管洗浄液をユーザーの肛門部まで案内するための輸液部材と、輸液部材の容器側の末端部に取り付けられたプラスチック製嵌合部材と、輸液部材の嵌合部材とは反対側の末端部に取り付けられた肛門挿入部材とを備えるように構成される。また、以下において説明するけれども、輸液部材は、腸管洗浄パックの容器と同一もしくは異なるプラスチック材料から形成することができ、また、嵌合部材は、腸管洗浄キットの構成に依存して、腸管洗浄パック(容器)の液体排出口にすでに一体的に結合されていてもよく、さもなければ、腸管洗浄キットの使用時にはじめて一体的に結合可能なように、腸管洗浄パックとは独立されていてもよい。
【0033】
図2は、腸管洗浄キットの作製のために図1の腸管洗浄パックと組み合わせて用いられる輸液手段の好ましい1形態を示した平面図である。輸液手段20は、腸管洗浄パック10の容器11内の腸管洗浄液12をユーザーの肛門部まで案内するための輸液部材21を備えている。輸液部材21は、好ましくは、任意に屈曲可能な軟質プラスチックチューブである。また、プラスチックチューブは、透明、半透明及び不透明のいずれであってもよいが、清潔さなどの面から、透明であるか白色半透明であることが好ましい。このようなプラスチックチューブの形成に好ましいプラスチック材料としては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、例えば、ポリオレフィン類、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体など、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルなどを挙げることができる。必要ならば、シリコーンゴムやその他の合成ゴムを使用して輸液部材を形成してもよい。
【0034】
プラスチックチューブは、いろいろな長さで使用することができるというものの、シャワールーム、化粧室等における実際の使用を考慮した場合、一般的には約1.5〜2.5mの範囲であり、好ましくは、約1.7〜2.0mの範囲である。もちろん、腸管洗浄キットの取り付け個所によっては、1.5mよりも短いか2.5mよりも長いプラスチックチューブを使用してもよい。また、プラスチックチューブの内径は、腸管洗浄液の送液がスムーズに行われる限りにおいて特に限定されないというものの、通常、約4〜10mmの範囲であり、好ましくは、約5〜8mmの範囲である。
【0035】
また、好ましくはプラスチックチューブである輸液部材21の容器側の末端部には、プラスチック製の嵌合部材22が取り付けられている。嵌合部材22は、液漏れを生じることなく輸液部材21を腸管洗浄パックの容器に装備した液体排出口に接続するためのものであり、液体排出口の形状にあわせていろいろな形状を有することができる。例えば、以下に図3を参照して説明するように、嵌合部材22の凹部に液体排出口が嵌め込まれ、固定されるように構成することができ、さもなければ、両者をねじ込んで接続するように構成することもできる。なお、嵌合部材22は、腸管洗浄パック(容器)の液体排出口にすでに一体的に結合されているような場合、その機能を液体排出口に委ねてしまい、これを省略してもよい。
【0036】
嵌合部材22は、好ましくは、プラスチック材料から形成することができ、そのプラスチック材料は、液体排出口のプラスチック材料と同一であってもよく、異なっていてもよい。嵌合部材22の形成に好適なプラスチック材料は、半硬質のプラスチック材料であり、具体的には、例えば、ポリオレフィン類、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等、ポリカーボネート、ポリスチレンなどを挙げることができる。
【0037】
さらに、輸液部材21の嵌合部材22とは反対側の末端部には、肛門挿入部材23が取り付けられている。肛門挿入部材23は、ユーザーの肛門部に挿入して使用するものであるあるので、肛門部に挿入する操作を容易に可能とし、しかも肛門部を傷つけないため、比較的に軟質なプラスチック材料やその他の材料から形成するのが好ましい。例えば、シリコーン樹脂やシリコーンゴムから肛門挿入部材23を形成することが推奨される。肛門挿入部材23のサイズは、いろいろに変更することができるというものの、通常、約4〜7mmの直径及び約4〜10cmの長さである。また、肛門挿入部材23の終端部には、それが肛門部に深く挿入されないようにするため、鍔体23aを付設しておくことが好ましい。
【0038】
さらにまた、輸液部材21の途中には、容器11からユーザーの肛門部に至る腸管洗浄液12の輸液を一時的に停止させておくために、開閉弁24が取り付けられている。すなわち、開閉弁24は、腸管洗浄液12をユーザーの肛門部に注入する直前まで閉じておいて、注入が可能になった状態ではじめて開放する。なお、開閉弁24は、腸管洗浄液の送液が停止できる限り、いかなる形態を有していてもよく、例えば、図4に示すように、スライド式のストッパ25であってもよく、さもなければ、図示しないけれども、製造コストの軽減のため、単純構成の液止めクリップであってもよい。
【0039】
図1の腸管洗浄パックに対する図2の輸液手段の取り付けは、例えば、図3に示すようにして実施することができる。図示のように、腸管洗浄パックの液体排出口13の外周面に、リング状の小突起13bを配設するとともに、その液体排出口13が隙間を生じることなく収まるのに十分なサイズを有する内部空間22aをもった嵌合部材22の内周面に、リング状の小突起13bに対応する位置で、リング状の小溝22bを配設する。ここで、リング状の小突起13bとリング状の小溝22bとは相対する形状を有しているので、嵌合部材22に液体排出口13を押し込むと、両者を液密に接合することができる。なお、図3の取り付け方法は一例であり、本発明の範囲内でいろいろに変更することができる。
【0040】
図4は、本発明による腸管洗浄キットの好ましい1形態を示した平面図である。腸管洗浄キット1は、図示される通り、腸管洗浄パック10と輸液手段20とが腸管洗浄パック10の液体排出口13を介してすでに一体的に結合されている。腸管洗浄パック10及び輸液手段20は、嵌合部材22を省略し、開閉弁に代えてスライド式のストッパ25を使用した相違点を除いて、図1を参照して先に説明した腸管洗浄パック10及び図2を参照して先に説明した輸液手段20と同様に構成することができる。また、この腸管洗浄キット1は、全体をまとめて滅菌下に包装し、使用直前まで保管することができる。さらに、この腸管洗浄キット1は、腸管洗浄パック10及び輸液手段20が別々に包装されている場合にも同様に可能であるけれども、1回の腸管洗浄で腸管洗浄液12の全量を使い切った後、腸管洗浄キット1をプラスチック廃棄物として廃棄処分することができる。
【0041】
本発明による腸管洗浄パックを備えた腸管洗浄キットは、例えば図4の腸管洗浄キット1を参照して説明すると、次のような手順で使用することができる。
【0042】
まず、滅菌包装状態にある腸管洗浄パック10を包装から取り出した後、電子レンジによる加温かもしくは温水浸漬による加温で体温にほぼ近い温度まで加温する。腸管洗浄液12を、違和感を伴わずに肛門部に注入するためである。
【0043】
次いで、腸管洗浄パック10の切れ込み15を例えば化粧室(トイレ)のフックに引っ掛け、腸管洗浄パック10から輸液部材(チューブ)21が垂れ下がった状態とする。この状態のまま、チューブ21の先端に取り付けられた肛門挿入部材23を肛門部に挿入し、完全に挿入されたことを確認した後で、チューブ21に付属のストッパ25をスライドさせる。チューブ21が開放状態になったので、腸管洗浄パック内の腸管洗浄液12がその重力によって下方に送り出され、肛門部を介して腸管内に注入される。なお、腸管洗浄パック内の腸管洗浄液12が使い切り量よりも多量である場合には、途中でストッパ25を閉じ、腸管洗浄液12の送液を停止させてもよい。腸管洗浄を完了した後、肛門部から肛門挿入部材23を抜き取り、使用済みの腸管洗浄キット1をプラスチック廃棄物として処分する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による腸管洗浄パックの好ましい1形態を示した平面図である。
【図2】腸管洗浄キットの作製のために図1の腸管洗浄パックと組み合わせて用いられる輸液手段の好ましい1形態を示した平面図である。
【図3】図1の腸管洗浄パックに対する図2の輸液手段の取り付け方法について示した模式図である。
【図4】本発明による腸管洗浄キットの好ましい1形態を示した平面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 腸管洗浄キット
10 腸管洗浄パック
11 容器
12 腸管洗浄液
13 液体排出口
14 開口
15 切れ込み
20 輸液手段
21 輸液部材
22 嵌合部材
23 肛門挿入部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック材料から形成されかつ液体排出口を下端部に備えた容器と、該容器に収容された腸管洗浄液とを含む腸管洗浄パックであって、
前記腸管洗浄液が、ステビア草由来のステビア煎じ液及びアガリクス茸由来のアガリクス煎じ液を組み合わせて主成分として含有する水溶液であることを特徴とする使い捨て可能な腸管洗浄パック。
【請求項2】
前記ステビア煎じ液が、ステビア草からステビアエキスを抽出した後に得られたステビア残留物を煎じた生成物であることを特徴とする請求項1に記載の腸管洗浄パック。
【請求項3】
前記アガリクス煎じ液が、アガリクス茸からアガリクスエキスを抽出した後に得られたアガリクス残留物を煎じた生成物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の腸管洗浄パック。
【請求項4】
滅菌下に包装されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の腸管洗浄パック。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の腸管洗浄パックと、前記容器の液体排出口に、それに一体的に結合されているかもしくは使用時に一体的に結合可能な輸液手段とを含んでなり、
前記輸液手段が、前記容器と同一もしくは異なるプラスチック材料から形成された輸液部材と、該輸液部材の容器側の末端部に取り付けられた、前記液体排出口に一体的に結合されているかもしくは一体的に結合可能なプラスチック製嵌合部材と、前記輸液部材の前記嵌合部材とは反対側の末端部に取り付けられた肛門挿入部材とを備えることを特徴とする使い捨て可能な腸管洗浄キット。
【請求項6】
前記輸液部材が、プラスチックチューブであることを特徴とする請求項5に記載の腸管洗浄キット。
【請求項7】
前記腸管洗浄パックと、前記輸液部材とが一体的に結合されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の腸管洗浄キット。
【請求項8】
滅菌下に包装されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の腸管洗浄キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−28078(P2006−28078A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208544(P2004−208544)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(504273759)
【Fターム(参考)】