説明

腹膜透析液

本発明は、透析休止期間(dialysis dwell period)の間の増強された限外濾過を有する腹膜透析液に関する。これは本発明に従って、ナトリウムイオン、浸透圧薬剤及び緩衝剤を含み、使用の用意のできた最終溶液中に4〜10 mMのレベルでシトラートを含むことを特徴とする腹膜透析液によって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は腹膜透析液に関する。特に、本発明は、透析休止期間(dialysis dwell period)の間の増強された限外濾過を提供する腹膜透析液に関する。
【背景技術】
【0002】
腹膜透析は、患者の腹膜の毛細血管中の溶質及び水を腹腔内に注入された高張液と交換する方法である。この方法の原理は、腹膜越しの浸透圧の差による濃度勾配と水の移入によって移行される溶質の拡散である。この方法は多くの利点を有しており、例えば、特別な装置が通常は必要なく、患者の血液の体外循環が必要でないために、血行動態にほとんど影響を与えず、またさらに、腹膜透析が持続的に処理され、それ故に腎臓の機能により類似している。
【0003】
腹膜透析は、通常、持続的可動性腹膜透析(CAPD)、間欠的腹膜透析(IPD)、持続的周期性腹膜透析(CCPD)又は自動腹膜透析(APD)に分類される。
【0004】
CAPDにおいては、カテーテルが患者の腹壁に持続的にインプラントされ、標準的に約1.5〜2.5 lの透析液が該カテーテルを介して腹腔中に導入される。腹腔はこの液体で浸水され、適当な時間経過のあいだ置いておかれ、次いで排出される。溶質及び水の除去がこの腹膜を通して行われ、半透膜として作用する。
【0005】
腹膜透析のために標準的に用いられる透析液は、グルコースなどのような浸透圧薬剤、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムのような電解質、及び乳酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、及び/又はピルビン酸ナトリウムのような有機酸塩を含む水溶液である。それらの腹膜透析液の成分は、患者の体内の液体バランスを正しく維持するために、電解質のレベル又は酸塩基平衡を制御するため、廃棄物質を除去するため、及び限外濾過を効率的に行うために選択される。
【0006】
不適切な液体及び溶質の輸送が、腹膜透析処置から脱落する一つの極めて重要な理由である。腹膜の非生体適合性溶液への連続的な曝露は、腹膜の炎症を引き起こしかねず、これは腹膜の機能を障害する一つの原因となり得る。この炎症反応は補体(complement)及び凝固カスケードに関与する可能性があり、補体及び凝固システムがPD患者において活性化されるということが臨床的な研究で実証されている。補体及び凝固カスケードを阻害することが知られているヘパリンの添加は、血管新生を減少し、限外濾過を増強するとも報告されている。限外濾過の増強は液体及び溶質の除去を改善し、患者は長期間PDを続けることができる。
【0007】
しかしながら、PD液が高温で滅菌され、ヘパリン及びその誘導体がそのような高温では安定でないために、ヘパリン及びその誘導体をPD液中に用いることは困難である。患者がヘパリンのような物質を、使用直前にバッグの中に注射するという研究があり、例えばEP0710483が参照されるが、これは患者にとって複雑な手順である。
【0008】
WO 01/21233において、透析液は0.8〜6.67 mMのシトラート、好ましくは0.8〜5 mM及び最も好ましくは1〜3.33 mMのシトラート、1.75〜2.5 mMのカルシウムイオン、0.5〜1 mMのマグネシウムイオン及び60 g/L未満のグルコースを含むことが開示されている。WO 01/21233による利点は、血液透析処置における局所的な抗凝固が提供され、これが人工的な透析膜を通る血流を増強し、「透析用量(dialysis dose)」を増強し、人工的な透析膜クリーナーを維持し、中間サイズ(約12000 D)の分子の高いクリアランスを生じることである。
【0009】
WO 00/23086において透析液の濃度が開示され、一つの態様では、使用の用意ができたときに好ましくは0.17-2 mMのシトラートを含むPD液である。ここで、該シトラートは、透析液内の適切なpHを保証するために加えられ、PD溶液中でこれを満たす好ましい範囲は、使用の用意ができた最終PD液中、0.17-2 mM シトラートである。
【0010】
US 6,610,206において透析液の濃度が開示され、一つの態様では、使用の用意ができたときに0.17-2 mMのシトラートに相当する0.5-6 mEq/Lのシトラートを含むPD液である。
【0011】
EP 1 124 567において透析液の濃度が開示され、一つの態様では、使用の用意ができたときに0.17-2 mMのシトラートを含むPD液である。
【0012】
WO 98/29151において透析液が開示され、これは血液透析のための透析液として使用されるように意図され、1-15 mMのシトラートを含む。また、WO 01/21233においては、シトラートが局所的な抗凝固剤として人工的な透析膜内に添加される。
【発明の概要】
【0013】
本発明の一つの目的は、最後の瞬間にPD液中に物質を添加することなく、高い限外濾過を提供するPD液を提供することである。
【0014】
本発明に従えば、これは、使用の用意ができた最終溶液中にシトラートを4〜10 mMのレベルで含むことを特徴とする、ナトリウムイオン、浸透圧薬剤、及び緩衝剤を含む腹膜透析液によって達成される。一つの態様において、該腹膜透析液は、シトラートを最終溶液中7-8 mMの濃度で含む。
【0015】
本発明の他の態様において、腹膜透析液は、最終溶液中に1-10重量%の浸透圧薬剤、90-140 mMのナトリウムイオン、及び0.0-1.75 mMのカルシウムイオンを含む。
【0016】
本発明の他の態様において、腹膜透析液は、最終溶液中に、0.0-0.75 mMのマグネシウムイオンを含む。
【0017】
本発明の腹膜透析液の他の態様において、該浸透圧薬剤は、グルコース及びグルコース様化合物、それらのポリマー、アミノ糖、必須及び非必須アミノ酸、タンパク質様アルブミン、及びN-アセチルグルコースアミン(NAG)から成る群から選択される。
【0018】
本発明のさらに他の態様において、腹膜透析液は、緩衝剤として、最終溶液中に5-28 mMの濃度で乳酸を含み、また、本発明の他の態様において、腹膜透析液は、緩衝剤として、最終溶液中に5-28 mMの濃度で炭酸水素塩を含む。
【0019】
本発明の他の態様において、腹膜透析液は、最終溶液中に浸透圧薬剤として1.5-4重量%のグルコースを含む。さらなる態様において、腹膜透析液は、最終溶液中に浸透圧薬剤として、5-10重量%のグルコースを含み、また、さらなる態様において、腹膜透析液は、最終溶液中に浸透圧薬剤として、1.5-4重量%のN-アセチルグルコースアミン(NAG)を含む。
【0020】
本発明に従ったPD液中に含まれるシトラートは、クエン酸及びその塩として加えられることができ、これらに限定されないが、そのナトリウム、カルシウム、マグネシウム、及びカリウム塩が含まれる。
【0021】
本発明の発明者らは、シトラートをPD液に加えることによって、休止の間の限外濾過が増強されることを、インビボ試験及びインビトロ試験で立証することができた。これは恐らくシトラート複合体がカルシウムイオンに結合し、そして、カルシウムイオンが補体(complement)カスケードの成分の一つであるために補体カスケードの活性化が妨害され、そしてこのために、腹膜内の炎症が減少されるという事実による。炎症を低く抑えることによって炎症による血管拡張が減少され、従って、例えばグルコースなどの浸透圧薬剤は、血管中に吸収されるようになる傾向が少なくなる。浸透圧薬剤が腹腔内でより長く維持されるために、患者から液体を引く浸透圧力がより長期間有効である。血管の拡張が最小化したとき、溶質の拡散もまた低い効率になるが、これは、増強された対流性の輸送によって補償され、その総クリアランスは4時間の休止期間後に増強される。
【0022】
本発明のさらなる目的、特徴、利点及び好ましい態様が、請求の範囲と組合せて以下の詳細な説明で明らかになる。
【0023】
[定義]
「浸透圧薬剤」という用語は、十分に高い濃度で存在する場合に、液体を患者から透析液へ引く浸透圧力を起こす、液体中の物質を意味するように意図される。従って、液体は、腹膜を超えてPD液へ輸送される。浸透圧薬剤は、本発明によるPD液中で用いられることができ、これらに限定されないが以下の物質を含む:グルコース及びグルコース様化合物、アミノ糖を含むそれらのポリマー、必須及び非必須アミノ酸、タンパク質様アルブミン、及びN-アセチルグルコースアミン(NAG)。
【0024】
「単一溶液(single solution)」という用語は、使用まで他の溶液と分離されて維持される一つの溶液を意味するように意図される。
【0025】
「最終溶液」という用語は、必要な異なる単一溶液を含み、使用の用意ができた溶液を意味するように意図される。
【0026】
「マルチコンパートメントバッグ(multi-compartment bag)」という用語は、二以上のコンパートメントに分けられ、異なるコンパートメント中の含有物が、使用前に一緒にされて混合されることができ、またある場合にはそうされなければならないバッグを意味するように意図される。
【発明の詳細な説明】
【0027】
本発明の発明者らは、以下のインビトロ試験及びインビボ試験において、4-10 mMのシトラートの添加の正の効果を証明した。
【0028】
補体活性化は、ELISA (rat C3adesARG ELISA #CL89160K; Cedarlane Laboratories Ltd., Hornby, Ontario, Canada) によって測定されたC3a-desargの濃度から決定した。C3a-desargレベルは濃度として表した。静脈血を用い、レピルジン(lepirudin)処理された5ccのシリンジに導入した(シリンジ及び針中、50μl レピルジン(5 mg/ml)+70 μl PBS)。0.4 mlを、それぞれ0, 2, 4, 6, 8,及び10 mMのシトラート(即ち、シトラート濃度250 mMのシトラート溶液で0, 12, 24, 36, 48, 60 μl)を添加された1.5 mlのPD液を有する3ccチューブに移された。その後、該サンプルを回転させて血球を除去した。上清1 mlを新しいチューブに移し、20 μlのザイモサン(20 mg/ml)を加えた。その後、EDTAを最終濃度15 mMで加え、回転させてザイモサンを落とし、その上清サンプルを上述のELISA測定のために用いた。その結果を図1に示す。図1から明らかなように、シトラート濃度が増加すると共にC3a-desarg濃度は減少した。しかしながら、PD液中に存在し得るシトラートの上限は、PD液内の緩衝溶液の合計量によって制限される。シトラートもまた緩衝効果を生じるために、添加されるシトラートの量はPD液中の緩衝剤の合計量に影響する。よって、PD液中に用いられる緩衝剤は添加されたシトラートの等価量に等しく減少される必要がある。緩衝剤の合計量は通常、PD液中に約35-40 mEq/Lであり、4 mMのシトラートは12 mEq/Lの緩衝剤に相当し、10 mMのシトラートは30 mEq/Lに相当する。従って、さらに添加される緩衝剤は、約5〜28 mEq/Lである。
【0029】
さらに、添加されるシトラートの上限は、補体カスケードの抑制が腹膜及びその腹壁内の補体カスケードに限定され、全身的な補体カスケードの抑制を生じないという事実によっても限定される。
【0030】
シトラート濃度の下限は、図1から明らかであり、ここで、適切に抑制された補体カスケードは、少なくとも4 mMのシトラート濃度によって提供される。限外濾過容積は、蛍光標識されたアルブミンによって決定される。これは、近年開発された技術による容積マーカーとして用いられ、Texas Red(登録商標)標識ウシ血清アルブミン(TR-BSA)が血漿容積の決定のためのトレーサーとして用いられる。新たに溶解されたPD液及び使用されたPD液のTR-BSA (Molecular Probes, Eugene, OR, USA)の蛍光特性が評価され、0-20 μg/mlの範囲で濃度と蛍光(570 nmでの励起、及び615 nmでの発光)との比例関係を示した。1 mg/mlの非標識ウシ血清アルブミンを加えることによって、新しいものと使用されたPD液の間のベースラインの蛍光におけるわずかな相違が除去された。125Iヒト血清アルブミンに対する較正は、二つの技術の間の極めてよい相関を示した(相関係数=0.994)。本試験において、100 μgのTexas Red(登録商標)標識ウシ血清アルブミン及び1 mgの非標識BSAを20 ml PD液に加え、無細胞サンプルの蛍光値から算出した希釈度から、腹腔内の容積を決定した。PD液の曝露後のTexas Red(登録商標)アルブミンの測定から得られた腹腔内の容積は、シトラートがPD液に加えられたときに増大する。図2を参照されたい。図2の試験で用いたシトラート濃度は10 mMであった。
【0031】
増強された限外濾過の提供とは別に、PD液中のシトラートはさらに、シトラート複合体がカルシウムイオン及びマグネシウムイオンと結合するために、炭酸水素塩との相互作用からPD液中のカルシウム及び/又はマグネシウムを「隠す」という利点を有する。この「隠す」ことにより、炭酸水素塩は、カルシウム及びマグネシウムと反応してそれぞれ炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムとして沈殿することができない。
【0032】
本発明の腹膜透析(PD)溶液は、使用までに異なる方法でさらに準備されることもできる。該PD液は、一つのコンパートメントのバッグ中に最終溶液として含まれることができ、直接使用できる。最終溶液として使用できる該PD液のpHは、5,5-7,0のpHを有する。
【0033】
本発明の他の態様において、該PD液は、異なるバッグ中に或いはマルチコンパートメントバッグの異なるコンパートメント中に別々に含有される単一溶液として含まれる。使用の直前に、異なるコンパートメント中の内容物は最終溶液中に混合され、次いで、腹腔内へ注入されるために用いられ得る。PD液を分ける理由は、二つの異なる構成物が、反応、沈殿、分解などのために、滅菌及び貯蔵の間に一つの溶液内にあるべきではないということのためでありうる。別々にしておくことが好ましい二つの成分の一例は、カルシウムイオンと炭酸水素塩であり、マグネシウムイオンと炭酸水素塩であり、さもなければ、互いに反応してそれぞれ炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムの沈殿を形成するであろう。
【0034】
さらに、グルコースは、高濃度、好ましくは20重量%より高い濃度で維持され、また、滅菌及び貯蔵の間、低いpHで、好ましくは1.8〜2.6の範囲内のpHで維持される。これは、グルコースポリマーについても同様である。NAGについて、該pHは、滅菌及び貯蔵の間、2.5〜3.5の範囲内で維持されることが好ましい。これを満たすために、PD液は、使用直前までに二つの単一溶液に分けられる必要がある。さもなければ、グルコースは、有毒なグルコース分解産物に分解し、これは腹膜に有害である。
【0035】
従って、それらの成分を含むPD液は、滅菌及び貯蔵の間、少なくとも二つの単一溶液に分けられておき、使用の直前に混合されることが好ましい。
【0036】
本発明の他の態様において、PD液は、使用までに3つの単一溶液として含まれる。3つの異なるコンパートメントの理由は、どの浸透圧薬剤の濃度が特定の休止期間に必要であるかを患者が自身で決定するための可能性を助長することができるためである。グルコースの単一溶液を異なる濃度で及び/又は異なる容積で有する(さらなる電解質などを含むこともできる)2つのコンパートメント及び緩衝剤及び残りの電解質成分を含む単一溶液を含むより大きな一つのコンパートメントを有する、3つのコンパートメントを有するバッグを提供することによって、PD患者は、異なる組合せを作ることができ、浸透圧薬剤の異なる濃度を有する最終溶液を得ることができる。大きなコンパートメント中の単一溶液が、二つのグルコース単一溶液の第一と組合された場合、第一のグルコース濃度が得られる。より大きなコンパートメント中の単一溶液が、二つのグルコース単一溶液の第二と組合された場合、第2のグルコース濃度が得られる。最後に、PD患者は3つのコンパートメント全てを組合せて、第3のグルコース濃度を得ることもできる。またここで、グルコース又はグルコースポリマーが用いられる場合、貯蔵及び滅菌の間、少なくとも20重量%の濃度で、及び好ましくは1.8〜2.6の範囲内のpHで維持されなければならない。
【0037】
炭酸水素塩に関して、この成分自体もまた問題をつくる。第一に、上記に開示したように、炭酸水素塩は透析液体中の必須な要素の一つ、即ち、カルシウムと容易に沈殿し、炭酸カルシウムを形成する。第二に、炭酸水素塩溶液は、炭酸ガスを排出し、それ故に不安定である。
【0038】
沈殿による問題は、滅菌及び貯蔵の間、二つの異なる容器/コンパートメント中、二つの異なる単一溶液中に、炭酸水素塩とカルシウムを分離し、そして、それらの単一溶液を使用直前に混合することによって解決できる。
【0039】
しかしながら、排出された炭酸ガスによる問題はなお残る。
炭酸ガスが炭酸水素塩溶液から放出されると、その結果として、最初の炭酸水素塩濃度に依存して、pHが9〜10,5に上昇する。従来技術に従って、この問題は、炭酸ガスのためのガスバリヤーを使用するか、又は炭酸水素塩を雰囲気とゆっくり平衡化させるかの何れかによって解決され、これはUS 6,309,673に開示されている。さらに、これを解決する方法は、この単一溶液中の炭酸ガスCO2の分圧が雰囲気中の炭酸ガスCO2の分圧と同じ大きさであるような割合で、炭酸水素塩及び炭酸塩の決められた組み合わせを用いることによって解決される。そのような単一溶液を用いる場合、さらなる単一溶液の追加が使用の前に必要であり、このさらなる単一溶液は酸を含み、1,0-1,5のpHを有する。
【実施例】
【0040】
例のために、及び非限定的に、以下の実施例は、本発明の実施態様に従って調製された種々の溶液を確認する。
【0041】
以下の実施例の全てにおいて、クエン酸三ナトリウムが用いられ、しかし、任意の形態のクエン酸の塩又はクエン酸自体を用いることが可能である。しかしながら、クエン酸三ナトリウム以外の他のクエン酸の塩を用いる場合は、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、又は塩化カルシウムの量は、液体の所望の最終組成物を得るために調整される必要がある。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【0042】
15又は40 g/lのグルコースを得るために、第1のコンパートメント中の60及び160 mlの溶液が用いられなければならない。第2のコンパートメントの電解質及び容積はそれに応じて調節されねばならない。
【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【0043】
ここに記載された好ましい態様に対する種々の変化及び改変は、当業者には明らかであることが理解されよう。そのような変化及び改変は、本発明の精神及び範囲を逸脱せず、またそれに付随する利点を減少させずに可能である。それ故、そのような変化及び改変は、本発明の範囲に包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、シトラートを含むPD液の使用による補体活性化の抑制についてのインビトロでの「投与量及び応答」曲線を示す。
【図2】図2は、インビボ試験モジュールにおけるPD液の注入から2時間後における、シトラートを含むPD液の限外濾過の効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナトリウムイオン、浸透圧薬剤、及び緩衝剤を含む腹膜透析液であって、溶液を使用する用意のできた最終溶液中に、シトラートを4〜10 mMのレベルで含むことを特徴とする腹膜透析液。
【請求項2】
前記シトラートが、前記最終溶液中5〜9 mMの濃度で存在する、請求項1に記載の腹膜透析液。
【請求項3】
前記シトラートが、前記最終溶液中7〜8 mMの濃度で存在する、請求項1に記載の腹膜透析液。
【請求項4】
前記最終溶液中に、1〜10重量%の浸透圧薬剤、90〜140 mMのナトリウムイオン、及び0.0〜1.75 mMのカルシウムイオンを含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の腹膜透析液。
【請求項5】
前記浸透圧薬剤が、グルコース及びグルコース様化合物、それらのポリマー、アミノ糖、必須アミノ酸及び非必須アミノ酸、タンパク質様アルブミン、及びN-アセチルグルコースアミン(NAG)を含む群から選択される、請求項1〜4の何れか一項に記載の腹膜透析液。
【請求項6】
5〜28 mMの総濃度の炭酸水素塩及び/又は乳酸塩を前記最終溶液中に緩衝剤として含む、請求項1〜5の何れか一項に記載の腹膜透析液。
【請求項7】
1.5〜4重量%のグルコースを前記最終溶液中に前記浸透圧薬剤として含む、請求項1〜6の何れか一項に記載の腹膜透析液。
【請求項8】
5〜10重量%のグルコースポリマーを前記最終溶液中に前記浸透圧薬剤として含む、請求項1〜6の何れか一項に記載の腹膜透析液。
【請求項9】
1.5〜4重量%のN-アセチルグルコースアミン(NAG)を前記最終溶液中に前記浸透圧薬剤として含む、請求項1〜6の何れか一項に記載の腹膜透析液。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−541927(P2008−541927A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514582(P2008−514582)
【出願日】平成18年5月3日(2006.5.3)
【国際出願番号】PCT/SE2006/000530
【国際公開番号】WO2006/130065
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(501473877)ガンブロ・ルンディア・エービー (49)
【氏名又は名称原語表記】GAMBRO LUNDIA AB
【Fターム(参考)】