説明

腹臥位用敷き寝具

【課題】本発明の敷き寝具によれば、顔面を90度横に傾けることなく、楽に呼吸できる状態で、長時間快適な腹臥位姿勢を維持することができる敷き寝具を提供すること。
【解決手段】所定の長さを有する第1の部分と第2の部分を備える敷き寝具であって、前記第1の部分と第2の部分は、互いに別体であり、それぞれ、前記所定の長さの方向に沿って窪んだ凹部を有する本体と該凹部内に収容されるブロック体とを備えており、
前記ブロック体は、前記本体よりも低い硬度、または低反発弾性率のいずれか一方を有しており、前記第1の部分と前記第2の部分は、前記第1の部分の前記ブロック体と前記第2の部分の前記ブロック体が互いに対向する位置にあるように配置される、敷き寝具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長時間の腹臥位姿勢を快適に維持することができる敷き寝具、及びこれと共に好適に使用することのできる、腹臥位補助マット、アイマスク及び腹臥位用枕に関する。
【背景技術】
【0002】
人は脊椎動物に属し、5億年前ごろより魚類として誕生し、魚類から両生類を経て、爬虫類、哺乳類へと進化してきた。この間、生物に共通点がある。それは、背骨が重力に対し水平で、背中が天、腹が地になっていることである。背中の位置が変化したのは、人とサルの共通の祖先である原猿類からで、およそ500万年前にチンパンジーが二本の足で歩き始め、直立姿勢になって、背骨が大地に対して、垂直近くになり、腹と背骨が前後の関係になった。脊椎動物の長い進化の歴史の中で、臓器は背骨の下にあるとき最良の状態にある。人の臓器も同じく、腹臥位のとき最良の状態になる。
【0003】
これまでの敷き寝具は布団、ベッドマットレスに代表される、1枚の平面状の敷き寝具である。三つ折り、四つ折り等されるものであっても、機能的には1枚の敷き寝具と考えられる。この上で腹臥位姿勢になると、鼻が支(つか)えないように顔面を90度横向きにしなければならず、不自然な姿勢となる。また、硬い敷き寝具は敷き寝具と顔面の接触面積が少なく、圧力が高くなり、苦痛となる。このため、長時間の腹臥位姿勢は難しくなる。また、敷き寝具全体が柔らかくても、腹臥位姿勢になると鼻が支えないように、顔面を90度横向きにし、不自然な姿勢となる。また、全体が柔らかい敷き寝具は、身体も顔面も沈み込み、接触面積は多く、従って体圧は低いが、体位変換がしにくく、呼吸もしにくい。
【0004】
一方で、腹臥位姿勢は、多くの疾患の改善に有効であることが判ってきた。呼吸器疾患、循環器疾患、消化器疾患、泌尿器疾患、その他、認知症予防、褥瘡予防にも効果があることが最近の腹臥位療法研究で明らかになってきた。
【0005】
しかし、欧米に比べて、わが国では腹臥位姿勢で寝る人は非常に少なく、最近の寝姿勢調査によると、入眠時に腹臥位で休む人は10%以下である、と言われている。
【0006】
腹臥位姿勢で長時間寝ることは、慣れないと非常に難しく、特に、身体の弱い人、身体の硬い高齢者、長い間上向き、横向きで寝ていた人には難しい。上記したように、通常の敷き寝具は、布団、ベッドマットレスに代表される、1枚の平面状の敷き寝具であり、この上で腹臥位姿勢になると鼻が支えないように、顔面を90度横向きにしなければ呼吸が出来ない。「うつぶせ寝健康法」第91〜123頁(日野原重明監修、川島みどり、丸川征四郎著 KKベストセラーズ、2006年6月2日発行)には、腹臥位姿勢を維持するための様々な工夫が提案されている。これによれば、顔面を左右に傾ける姿勢を続けるために、首の筋肉の硬い人はストレッチ運動を行い、また、人によっては、身体の一部、例えば鎖骨の下、下腿部などが敷き寝具から浮き上がり易いため、枕やクッション等の小道具で身体と寝具の隙間を埋める必要がある場合がある。さらに、身体の部位によって痛みを感じるために枕やクッションが必要とされることもある。
【0007】
このように、腹臥位姿勢を維持することは、一般に非常に困難である。腹臥位療法は最近の研究で多くの利点があることが判明しても、なかなか腹臥位療法が普及しない。これは、寝姿勢が不慣れな為、呼吸しにくい、首が痛い、その他、寝姿勢に原因がある。寝姿勢は敷き寝具に影響されるため、腹臥位になりやすくするための敷き寝具が、これまで提案されてきた。
【0008】
特開平10−117905号は、額支持部、顎支持部及び顔面周囲空間部を有するうつ伏せ寝用枕を記載している。特開2006−334366号は、額、両頬、顎を載せる平面及び排気口を有するうつ伏せ枕を記載している。特開2007−50222号は、頭部、右頬、左頬の三箇所を支えるうつ伏せ枕を記載している。特開2007−125087号は、額、両頬部を支えるパッドを有する伏臥用枕を記載している。
【0009】
上記4つの文献に記載された枕は、額、頬、顎等を支える支持部を有し、支持面はいずれも小さく、顔面に与える圧力は高い。使用に際しては寄りかかり机の上、ベッド又は敷き寝具の上に置き、顔面を支える。これらの枕を用いて腹臥位になった場合、顔面が高くなり、一方、腹部、腰部は低く、従って腹臥位姿勢は腰が伸びきり、長時間の腹臥位は困難である。又、ベッド上で使用すると安定感、安心感に欠ける。また、顔面が固定されるため、寝返りは自由に出来ない。
【0010】
特開平10−71056号は、顔面支持部に楕円形の開口部を設け、通気路を形成したうつ伏せ用クッションを記載する。特開2004−89697号は、馬蹄形の顔面支持部を有する伏臥位用枕と腹臥位用マットレスのセットを記載する。特開2006−55383号は、額支持部と胸部支持部を有する、うつ伏せ寝用枕を記載する。特開2008−12217号は、額支持部と胸部に当てる台部を有するうつ伏せ寝用の寝具を記載する。
【0011】
上記4つの文献に記載される発明は顔面支持部と胸部支持部を併せ持った腹臥位用クッション体であり、使用に際してはベッド又は敷き寝具の上に置かれ、顔面及び胸部を支えるものである。ベッド等の上に置いて使用するときの使用位置はかなり高く、安心感、安定感に欠け、又寝返りは困難である。さらに、腹臥位はよだれ、鼻水等の対策を必要とするが、シーツ類の配慮は必ずしもなされていない。
【0012】
特開2004−351217号は、底部に通気孔を有する、顔面状凹部を有する腹臥位用クッション性用具及びマットレスを記載している。特開2006−340942号は、顔面を埋没させる為の穴を有するマットレスを記載している。
【0013】
上記2つの文献は、台の上に置かれ、台を通して通気する方法のマットレスを開示する。呼吸する際の空気は、顔面を埋没させる為の顔面状凹部の通気孔又は顔面を埋没させる為の穴を通して流れる。腹臥位になるとよだれ、鼻水、等の汚れ対策が必要であるが、寝具に必要な汚れ防止の為のシーツ類の使用は考慮されていない。顔面を埋没させる為の顔面状凹部(楕円形の切り抜き穴)に汚れ防止用シーツまたは織布をかぶせて使用した場合は、空気の流れが不十分になり、又、顔面へシーツ等が当接して鼻、口が圧迫され、初期の機能が失われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平10−117905号
【特許文献2】特開2006−334366号
【特許文献3】特開2007−50222号
【特許文献4】特開2007−125087号
【特許文献5】特開平10−71056号
【特許文献6】特開2004−89697号
【特許文献7】特開2006−55383号
【特許文献8】特開2008−12217号
【特許文献9】特開2004−351217号
【特許文献10】特開2006−340942号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明によれば、頭部の位置と胴体部の横たわる位置との間で敷き寝具が分離され、これらが併設されて使用される、敷き寝具の構造が提案される。互いから分離して配置された第1の部分と第2の部分の間に、腹臥位で顔面中央の鼻が収まるような溝を設け、溝に沿って空気の移動が容易にでき、呼吸が楽に行われる敷き寝具とし、ほぼ球体である顔面と、寝具との接触圧力を軽減するために、顔面接触部に低反発または軟質素材を使用した、腹臥位用敷き寝具が提案される。さらに、本発明によれば、腹臥位姿勢にある使用者の頚椎と胸椎の間で理想的な角度を維持し、安楽な腹臥位姿勢を可能にする腹臥位補助マットが提供される。さらに、本発明によれば、目の術後の使用者が安楽に腹臥位姿勢を維持できるように術後の目を保護するアイマスク、及び、健常な目の使用者が目を圧迫されずに安楽に腹臥位姿勢を維持できる腹臥位用枕が提供される。これら腹臥位補助マット、アイマスク及び腹臥位用枕は、特に、本発明の腹臥位用敷き寝具と共に好適に用いることができる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の発明によれば、所定の長さを有する第1の部分と第2の部分を備える敷き寝具であって、前記第1の部分と第2の部分は、互いに別体であり、それぞれ、前記所定の長さの方向に沿って窪んだ凹部を有する本体と該凹部内に収容されるブロック体とを備えており、前記ブロック体は、前記本体よりも低い硬度、または低反発弾性率のいずれか一方を有しており、前記第1の部分と前記第2の部分は、前記第1の部分の前記ブロック体と前記第2の部分の前記ブロック体が互いに対向する位置にあるように配置される、敷き寝具が提供される。この構成によれば、第1の部分と第2の部分とを互いから分離させた状態で配置し、第1の部分と第2の部分との間に溝を形成することができる。第1と第2の部分の凹部に収容されるブロック体は、腹臥位姿勢の使用者の顔面接触部を形成することができ、使用者は、鼻から口にかけての部分を溝内に位置させて楽に呼吸することができる。これにより長時間の腹臥位を快適に維持することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、請求項1に記載の敷き寝具において、前記第1の部分と第2の部分は、それぞれ、所定の幅を有しており、前記第1の部分のブロック体は、前記第1の部分の幅方向中央部に位置しており、前記第2の部分のブロック体は、前記第2の部分の幅方向中央部に位置しており、前記ブロック体の各々が、200〜300mmの幅を有している、敷き寝具が提供される。この構成により、一般的な体型の使用者が、敷き寝具に腹臥位姿勢で横たわった時、顔面を自然にブロック体上面に位置させることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、請求項1または2に記載の敷き寝具において、前記本体が100N以上の硬度を有しており、前記ブロック体が、100N未満の硬度または30%未満の反発弾性率を有している、敷き寝具が提供される。この構成により、顔面接触部を形成するブロック体が適度に沈み込み、顔面の寝具との接触面積が大きくなり圧力も小さく、快適な腹臥位姿勢を長時間維持することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、請求項1または2に記載の敷き寝具において、前記ブロック体が上層と下層を備えており、前記上層は、100N未満の硬度または30%未満の反発弾性率を有しており、前記下層は100N以上300N以下の硬度を有している、敷き寝具が提供される。この構成により、特に敷き寝具の厚みが大きい場合、ブロック体の機能を維持しつつ、コストを抑えることができる。また、ブロック体の沈み込み量を制御し、使用者に応じた敷き寝具のバリエーションを増やすことができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の敷き寝具であって、前記第1の部分の凹部が50〜100mmの長さ方向寸法を有しており、前記第2の部分の凹部が80〜300mmの長さ方向寸法を有している、敷き寝具が提供される。この寸法の凹部にブロック体を収容することにより、一般的な体型の使用者の顔面寸法に広く対応する顔面接触部を形成することができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、請求項5に記載の敷き寝具であって、前記第1の部分のブロック体は、50〜100mmの長さ方向寸法を有しており、前記第2の部分のブロック体は、80〜300mmの長さ方向寸法を有している、敷き寝具が提供される。この寸法のブロック体によって顔面接触部を形成することにより、一般的な体型の使用者の顔面寸法
に広く対応することができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の敷き寝具であって、前記第1の部分のブロック体は、前記第1の部分の凹部の長さ方向寸法より小さい長さ方向寸法を有しており、前記第2の部分のブロック体は、前記第2の部分の凹部の長さ方向寸法より小さい長さ方向寸法を有している、敷き寝具が提供される。この構成により、第1の部分と第2の部分を互いに接触させて配置しても、ブロック体と凹部の間の空間に溝を形成することができ、この溝を介して、腹臥位姿勢の使用者が楽に呼吸することができる。
【0023】
請求項8の発明によれば、請求項7に記載の敷き寝具であって、前記第1の部分のブロック体の長さ方向寸法は、前記第1の部分の凹部の長さ方向寸法より0〜30mm小さく、前記第2の部分のブロック体の長さ方向寸法は、前記第2の部分の凹部の長さ方向寸法より10〜60mm小さい、敷き寝具が提供される。この構成により、幅が10〜90mmの範囲の溝を形成することができ、第1の部分と第2の部分を互いに接触状態で配置しても、使用者が楽に呼吸するのに十分な溝を形成することができる。
【0024】
請求項9の発明によれば、所定の長さを有する第1の部分と第2の部分を備える敷き寝具であって、前記第1の部分と第2の部分は、互いに対して別体であり、前記第1の部分と第2の部分の少なくとも上面が、100N未満の硬度または30%未満の反発弾性率のいずれか一方を有している、敷き寝具が提供される。この構成により、第1の部分と第2の部分を分離して配置することによって腹臥位姿勢の使用者の呼吸を容易にすることができるだけでなく、褥瘡予防効果をも有する敷き寝具を提供することができる。
【0025】
請求項10の発明によれば、請求項9に記載の敷き寝具であって、前記第1の部分と第2の部分は、それぞれ、前記所定の長さの方向に沿って窪んだ凹部を有しており、前記第1の部分と前記第2の部分は、前記第1の部分の前記凹部と前記第2の部分の前記凹部が互いに対向する位置にあるように配置される、敷き寝具が提供される。この構成により、第1の部分と第2の部分を互いに接触状態で配置しても腹臥位姿勢の使用者の呼吸を容易にすることができるだけでなく、褥瘡予防効果をも有する敷き寝具を提供することができる。
【0026】
請求項11の発明によれば、請求項10に記載の敷き寝具であって、前記第1の部分の前記凹部は、0〜30mmの長さ方向寸法を有しており、前記第2の部分の前記凹部は、10〜60mmの長さ方向寸法を有している、敷き寝具が提供される。この構成により、幅が10〜90mmの範囲の溝を形成することができ、第1の部分と第2の部分を互いに接触状態で配置しても、使用者が楽に呼吸するのに十分な溝を形成することができる。
【0027】
請求項12の発明によれば、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の敷き寝具であって、前記第1の部分と前記第2の部分は、それぞれ、外皮に挿入されており、前記第1の部分が挿入される外皮と前記第2の部分が挿入される外皮は、互いに連結可能な別体である、敷き寝具が提供される。この構成により、衛生面が考慮された敷き寝具を提供することができる。また、2つの外皮を連結させることによって、第1の部分と第2の部分の相対位置のずれを防止することができる。
【0028】
請求項13の発明によれば、請求項7、8、10または11のいずれか一項に記載の敷き寝具であって、前記第1の部分と前記第2の部分は、共に、単一の外皮に挿入されており、前記外皮は、縫合線により連結された第1の袋状部分と第2の袋状部分を備えている、敷き寝具が提供される。この構成により、衛生面が考慮された腹臥位に好適な敷き寝具を提供することができる。
【0029】
請求項14の発明によれば、軟質発泡樹脂体からなる腹臥位用補助マットであって、第1の部分(D、E)と第2の部分(C)を備えており、第2の部分(C)は、第1の部分(D、E)よりも低い硬度、または低反発弾性率のいずれか一方を有しており、前記第1の部分(D、E)は、互いに異なる高さを有する第1支持部(E)と第2支持部(D)とを備え、腹臥位姿勢にある使用者の頚椎と胸椎の間の角度を維持するように、前記第1支持部(E)は前記使用者のオトガイ部を支持するようになされており、前記第2支持部(D)は前記使用者の鎖骨付近を支持するようになされており、前記第2の部分(C)は、前記第2支持部(D)から連続的に延びて、前記第2支持部(D)と共に、前記使用者の胸部から腹部にかけて接触するようになされている、腹臥位補助マットが提供される。この構成により、頸椎と胸椎間の理想的な角度が保持された安楽な腹臥位姿勢を容易に維持することができる。
【0030】
請求項15の発明によれば、請求項14に記載の腹臥位補助マットにおいて、前記第2の部分(C)は、100N未満の硬度または30%未満の反発弾性率を有する、腹臥位補助マットが提供される。この構成により、第2の部分が使用者の胸部に柔らかくフィットして胸部との隙間を埋めるので、第1の部分の高さによる不安定感がなく、安楽な寝姿勢を維持できる。
【0031】
請求項16の発明によれば、請求項14または15に記載の腹臥位補助マットであって、前記第2支持部(D’)における、前記第1支持部(E’)側の長さ方向端面には、前記腹臥位補助マットの長さ方向に窪んだ凹部(G)が形成されており、前記凹部(G)は、前記第2支持部(D’)の上面に開口している、腹臥位補助マットが提供される。この構成により、腹臥位補助マット上で腹臥位姿勢にある使用者の咽喉の付け根付近を圧迫することを防止でき、より安楽な腹臥位姿勢を長時間維持できる。
【0032】
請求項17の発明によれば、請求項14乃至16のいずれか一項に記載の腹臥位補助マットであって、前記第2支持部(D’’)と前記第2の部分(C’)は、前記腹臥位補助マットの幅方向中央部から両側に向けて減少する高さを有しており、前記第2の部分(C’)は、さらに、前記腹臥位補助マットの長さ方向に減少する高さを有している、腹臥位補助マットが提供される。この構成により、使用者の身体を腹臥位補助マットによりフィットさせることができ、使用者は、自然な腹臥位姿勢を維持することができる。
【0033】
請求項18の発明によれば、請求項17に記載の腹臥位補助マットであって、前記第2支持部(D’’)は、幅方向に対して互いに異なる寸法を有する複数の板状部分から形成されており、前記第2の部分(C’)は、幅方向及び長さ方向に対して互いに異なる寸法を有する複数の板状部分から形成されている、腹臥位補助マットが提供される。
【0034】
請求項19の発明によれば、アイマスクであって、所定の厚さを有しており、使用者の目を保護する眼帯を受け入れるように形成された第1の空間と、前記使用者の鼻を受け入れるように、前記第1の空間から連続的に形成された第2の空間とを備えている、アイマスクが提供される。この構成により、眼科手術後の使用者の目を保護することができる。
【0035】
請求項20の発明によれば、請求項19に記載のアイマスクと共に使用される、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の敷き寝具であって、前記第2の部分の高さが、前記第1の部分の高さより、前記アイマスクの前記所定の厚さに相当する分小さくされている、敷き寝具が提供される。この構成により、アイマスクの厚さにかかわらず、快適な腹臥位姿勢を維持することができる。
【0036】
請求項21の発明によれば、請求項19に記載のアイマスクであって、さらに、第3の空間を備えており、前記第3の空間は、前記使用者の健常な目を受け入れるように形成されており、前記第1の空間、前記第2の空間及び前記第3の空間は、前記アイマスクの厚さ方向に貫通している、アイマスクが提供される。この構成により、使用者の眼科手術後の眼帯を装着した目及び健常な目の両方について、目がアイマスクに接触して圧迫されるおそれを防止することができる。また、使用者の鼻がアイマスクに接触して圧迫されることもなく、腹臥位姿勢のまま楽に呼吸することができる。
【0037】
請求項22の発明によれば、腹臥位姿勢にある使用者の顔面を支持する少なくとも一つの支持面を備える腹臥位用枕であって、前記少なくとも一つの支持面は、前記使用者の両目を受け入れる一対の穴部を有しており、且つ、前記使用者の鼻を受け入れる切欠き部を有している、腹臥位用枕が提供される。この構成により、腹臥位姿勢にある使用者の、目の周りを含む頭蓋骨を支持することができるため、頭部と枕の接触面積を大きくすることができる。また、鼻を受け入れる切欠き部によって、顔を90度横に傾けることなく、腹臥位で楽に呼吸することができ、且つ、歯根への圧力を回避することができる。さらに、一対の穴部によって、使用者の目が腹臥位用枕に接触して圧迫されるおそれを防止することができる。
【0038】
請求項23の発明によれば、請求項22に記載の腹臥位用枕であって、前記一対の穴部は、前記腹臥位用枕の厚さ方向に前記腹臥位用枕を貫通して延びている、腹臥位用枕が提供される。これにより、使用者の目が腹臥位用枕に接触して圧迫されるおそれをより確実に防止することができる。
【0039】
請求項24の発明によれば、請求項22に記載の腹臥位用枕であって、請求項14乃至18のいずれか一項に記載の腹臥位補助マットと共に使用される、腹臥位用枕が提供される。
【発明の効果】
【0040】
本発明の敷き寝具によれば、顔面を90度横に傾けることなく、楽に呼吸できる状態で、長時間快適な腹臥位姿勢を維持することができる。また、本発明の腹臥位補助マットによれば、頚椎と胸椎の間の角度を理想的な角度に保持して長時間快適な腹臥位姿勢を維持することができる。さらに、本発明のアイマスクによれば、眼科手術後の使用者が安楽に腹臥位姿勢を維持できるように術後の目を保護することができる。さらに、本発明の腹臥位用枕によれば、健常な目の使用者が目を圧迫されることなく、安楽に腹臥位姿勢を維持できる。本発明の敷き寝具を、本発明の腹臥位補助マット及び/又はアイマスク又は腹臥位用枕と併用することにより、使用者は、より安楽な腹臥位姿勢を長時間維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】(A)は、本発明の第1実施形態による敷き寝具を示す平面図である。(B)は、(A)のX1−X1線に沿った断面図である。
【図2】図1の敷き寝具の第1の部分と第2の部分を別々の外皮で覆った場合の平面図(A)、側面図(B)及び端面図(C)である。
【図3】図2の敷き寝具の裏面図である。
【図4】敷き寝具の汚れ対策の一例を説明する図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は裏面図である。
【図5】汚れ対策の一例を説明する図である。
【図6】(A)は、本発明の第2実施形態による敷き寝具を示す平面図である。(B)は、(A)のX2−X2線に沿った断面図である。
【図7】図6の変形例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のX3―X3線に沿った断面図である。
【図8】第2実施形態の敷き寝具を単一の外皮で覆った場合の平面図(A)、(A)のY1−Y1線に沿った断面図(B)及び端面図(C)である。
【図9】図8の敷き寝具の裏面図である。
【図10】第1の部分を2分割した場合の第1実施形態の敷き寝具を示す平面図(A)と側面図(B)である。
【図11】図10の敷き寝具の変形例を示す平面図(A)と側面図(B)である。
【図12】第1の部分を3分割した場合の第2実施形態の敷き寝具を示す平面図(A)、(A)のY2−Y2線に沿った断面図(B)及び端面図(C)である。
【図13】図12の敷き寝具の裏面図である。
【図14】本発明の腹臥位補助マットを示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)及び(D)は端面図である。
【図15】図14の変形例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のY3−Y3線に沿った断面図、(C)及び(D)は端面図である。
【図16】従来の腹臥位補助具を用いた腹臥位姿勢の一例を示す図である。
【図17】図16の腹臥位姿勢をさらに説明するための図である。
【図18】図17に対応する、本発明の腹臥位補助マットを用いた腹臥位姿勢を説明するための図である。
【図19】図14のさらなる変形例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のY4−Y4線に沿った断面図、(C)及び(D)は端面図である。
【図20】図14のさらなる変形例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のY5−Y5線に沿った断面図、(C)及び(D)は端面図である。
【図21】本発明のアイマスクを示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は端面図である。
【図22】図21(A)のZ1−Z1線に沿った断面図である。
【図23】アイマスクの装着例を示す図である。
【図24】アイマスクと共に使用される、第1実施形態の敷き寝具の変形例を示す図である。
【図25】アイマスクの変形例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は端面図である。
【図26】図25(A)のZ2−Z2線に沿った断面図である。
【図27】本発明の腹臥位用枕を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は端面図である。
【図28】図27(A)のZ3−Z3線に沿った断面図である。
【発明の詳細な説明】
【0042】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。尚、添付の図面はいずれも概略図であり、各部分の寸法の比率は、必ずしも実寸どおりではない。
[第1実施形態]
[全体概要]
【0043】
図1(A)は、本発明の第1実施形態による敷き寝具を示す平面図であり、図1(B)は、図1(A)のX1−X1線に沿った断面図である。本発明の第1実施形態によれば、所定の長さL1、L2を有する第1の部分1と第2の部分2を備える敷き寝具10が提供される。第1の部分1と第2の部分2は、互いに別体であり、長さの関係は、L1>L2
であり、実質的に同一の高さH1と幅W1を有している。使用時、長さL1を有する第1の部分1は使用者の脚側に配置され、長さL2を有する第2の部分2は使用者の頭側に配置される。このように、第1の部分1と第2の部分2は、所定の長さL1、L2の方向に沿って配置される。さらに、後述するように、第1の部分1と第2の部分2は、互いに別体であるので、所定の距離をおいて互いから分離して配置することができ、これにより、第1の部分1と第2の部分2の間に溝D1(後述)を形成することができる。第1の部分
1と第2の部分2は、それぞれ、長さ方向(L1、L2の方向)に沿って窪んだ凹部(符号省略)を有する本体11、12と凹部内に収容されるブロック体A、Bを備えている。ブロック体A、Bの各々の上面は、腹臥位姿勢の使用者の顔面の少なくとも一部に、直接またはシーツ等を介して接触する、顔面接触部を形成する。尚、本明細書において、「左右」、「上」、「下」等の方向を示す用語は、特に断りのない限り、床面等に載置された敷き寝具を、その長手方向両端のいずれか一方から見た場合について用いられる。例えば、敷き寝具の「上面」とは、使用者の身体が載置されまたは支持される側の面であり、「下面」とは、敷き寝具の床面等に接触する側の面を指す。以下、本願発明の第1実施形態の詳細を具体的な効果と共に説明する。
[溝の形成について]
【0044】
上記したように、第1の部分1と第2の部分2は、互いに別体であるため、所定の長さ方向に沿って、互いから分離して配置することができる。このとき、第1の部分1のブロック体Aを含む長手方向端面(以下、「端面」)と第2の部分2のブロック体Bを含む長手方向端面(以下、「端面」)は、互いに対向する位置にある。この状態で、敷き寝具10が載置される面(例えば床面)100と、第1の部分1及び第2の部分2の長手方向端面との間に、敷き寝具の幅(W1)方向に沿って延びる、一本の細長い溝D1が形成される。溝D1は、敷き寝具を幅方向に完全に横切るように延びており、従って、溝D1の上端及び左右両端は開放され、外気と連通状態にある。
【0045】
使用者が敷き寝具10上に腹臥位姿勢で横たわった際、溝D1は、使用者が呼吸する際の空気の移動をスムーズにする通気路として機能させることができる。腹臥位姿勢の使用者は、口から鼻の辺りが溝D1内に収まるように顔を真下または斜め下などに向けて横たわることができ(図10(B)等参照)、空気が溝D1内を移動することによって、楽に呼吸することができる。従って、第1の部分1と第2の部分2の相対位置またはこれらの間の距離は、使用者の口から鼻の辺りが溝D1上に位置する様に決められる。第1の部分1と第2の部分2の間の距離(換言すれば、溝D1の幅)は、敷き寝具10の幅(W1)方向に沿って必ずしも一定でなくてもよく、使用者が楽に呼吸できる程度に使用者の口から鼻の辺りが収まる空間が、第1の部分1と第2の部分2の間に確保されていればよい。しかし、溝D1の幅が大きすぎると、頭部が十分に支持されず、不安定となるため好ましくない。従って、溝D1の幅は、例えば、約30〜60mmが好ましいが、使用者の体型によってはこの限りではない。このように、第1実施形態の敷き寝具10によれば、従来の敷き寝具と異なり、使用者が腹臥位姿勢で横たわっても寝具で鼻や口が塞がることがない為、呼吸が楽に行われる。溝D1に鼻が収まると、真下を向くことができる。また、溝D1は、敷き寝具を横切って延びる、左右及び上端が開放された溝であるので、使用者は、寝具の上面から抵抗を受けることなく、真下または斜め下等、所望の角度(垂直下向きを0度とすると、左右30度、左右45度等)に顔の向きを変えることができ、このように顔の角度を変えても楽な呼吸状態が維持できる。さらに、顔の角度位置を変えることは、一種の寝返り行動であるため、使用者は、長時間顔の位置が固定されることなく、快適に腹臥位姿勢を維持できる。
【0046】
このように、第1実施形態では、溝D1の空間内に使用者の鼻が位置する為、呼吸の空気の流れが良く、空気が滞留することがなく、自然な呼吸ができる。また、溝D1内で所望の角度に顔を傾けることができるため、長時間の腹臥位姿勢を無理なく維持できる。
[硬度及び反発弾性率について]
【0047】
上記したように、第1の部分1と第2の部分2は、それぞれ、長さ方向に沿って窪んだ凹部を有する本体11、12と凹部内に収容されるブロック体A、Bを備えている。ブロック体A、Bの上面は、使用者の顔面の少なくとも一部に、直接またはシーツ等を介して接触する、顔面接触部を形成する。本体11、12の硬度は、通常の敷き寝具の硬度と同
程度、例えば、ウレタン製であれば、100N以上が好ましく、100N以上250N以下の硬度を有していることがさらに好ましい。本体11、12の硬度がこの範囲であると、使用者の顔面以外の部分における寝具の沈み込みが抑制され、従って、正しい寝姿勢を維持し易く、且つ、体位変換もし易い。ブロック体A、Bは、本体11、12の硬度よりも低い硬度を有することができ、ウレタン製であれば、例えば、100N未満が好ましく、40N以上100N未満の硬度を有していることがさらに好ましい。このような低硬度の材料は、身体の中でも最も敏感な部分である顔面の感触が良く、顔への当たりが柔らかく、適度な沈み込みを得ることができ、従って、顔面と寝具との接触面積が大きくなり圧力も少なく、快適な腹臥位姿勢を可能にする。ブロック体A、Bは、低反発弾性率を有していてもよい。例えば、敷き寝具に用いられる一般的なウレタンフォームは、反発弾性率が30%以上であることから、本発明に用いることができる低反発性素材の反発弾性率は、30%未満であることが好ましく、5%〜20%であることがさらに好ましい。このような低反発性材料も、荷重の応力が分散されて適度な沈み込みを得ることができ、従って、顔面との接触面積が大きくなり圧力も少なく、快適な腹臥位姿勢を可能にする。ブロック体A、Bに用いられる低硬度または低反発性材料としては、ウレタンフォームが好ましいが、これには限られない。例えば、布等の軟質素材でできた袋状の外皮に空気、ゲル等を充填して立体形状としたものや、合成ゴム製の立体構造物等であっても、上記の硬度または反発弾性率と同等の硬度または反発弾性率を有していれば、ブロック体A、Bとして用いることができる。これらによって、長時間の腹臥位姿勢が抵抗なく出来る。尚、ブロック体A、B及びこれに対応する本体11、12の凹部の形状は、本実施形態では実質的に直方体であるが、これには限られない。本実施形態で意図されるブロック体A、Bの機能を発揮することができれば、例えば、円柱形等でもよい。
【0048】
本明細書中に示される硬度の値は、JIS K6400−2に規定する方法で測定される値であり、反発弾性率は、JIS K6400−3に規定する方法で測定される値である。上記試験法は、それぞれ、ウレタンフォームの硬度、反発弾性率についてのものであるが、本発明の敷き寝具に用いられる材料は、ウレタンフォームに限定されることはない。本明細書中に示される値と同等の硬度または反発弾性率を有するものであれば、一般の敷き寝具に用いられるエステル硬綿、ウール綿等であってもよく、ゲル材、ウォーター、エアー、スプリング材等が充填されたものであってもよい。
【0049】
尚、本実施形態では、ブロック体A、Bは単一の材料でつくられているが、ブロック体A、Bの各々は、異質の材料から成る多層構造を有していてもよく、例えば、上層と下層を有していてもよい。この場合、上層は100N未満の低硬度または30%未満の低反発弾性率を有し、下層は100N以上300N以下の硬度を有していることが好ましい。特に、上層は、40N以上100N未満の硬度または5%〜20%の反発弾性率を有しているとさらに好ましい。この構成は、特に敷き寝具10の厚みが比較的大きい場合、例えば約80mm以上である場合等に、有利である。特に柔らかい感触、体圧の減少、接触面積の増加等を必要とする顔面接触部を含む上層にのみ軟質性素材または低反発性素材を使用し、下層には通常の敷き寝具と同等の硬度を有する素材を使用すれば、製造コストを抑えることができる。また、特に体重の大きな使用者に対しては、上層の厚みを小さくし、下層を上層よりも硬くすることによって、沈み込みの量を制御することもでき、使用者に応じた敷き寝具10のバリエーションを増やすことができる。
【0050】
第1の部分1のブロック体Aは、第1の部分1の幅(W1)方向中央部に位置しており、第2の部分2のブロック体Bは、第2の部分2の幅(W1)方向中央部に位置している。これにより、使用者が敷き寝具10上に腹臥位で横たわった際に顔面がブロック体A、B上に自然に位置し易い。
【0051】
本実施形態では、第1の部分1の凹部は、50〜100mmの長さ方向(長さL1に沿った方向)寸法L3、200〜300mmの幅方向寸法W2及び50〜250mm程度の高さ方向寸法(敷き寝具10の高さH1と等しい)を有しており、この凹部に50〜100mmの長さ方向寸法、200〜300mmの幅方向寸法及び50〜250mm程度の高さ方向寸法を有するブロック体Aが嵌合状態で接合されている。第2の部分2の凹部は、80〜300mmの長さ方向(長さL2に沿った方向)寸法L4、200〜300mmの幅方向寸法W3及び50〜250mm程度の高さ方向寸法(敷き寝具10の高さH1と等しい)を有しており、この凹部に80〜300mmの長さ方向寸法、200〜300mmの幅方向寸法及び50〜250mm程度の高さ方向寸法を有するブロック体Bが嵌合状態で接合されている。即ち、第1実施形態では、ブロック体A、Bの外形寸法は、対応する凹部と実質的に同一である。上記したブロック体A、B及び対応する凹部の平面寸法(長さ方向及び幅方向寸法)は、一般的な体型を有する男子、女子の顔面接触部として広く適用することができる寸法として好ましい。通常、ブロック体A、Bは、それぞれ、対応する第1の部分1の本体11、第2の部分2の本体12とは別個に成形され、凹部に嵌合・接着されるものであるが、本体11、本体12と一体的に成形されるものであってもよい。しかし、製造コストの面から、別個に成形される方が好ましい場合がある。
【0052】
使用時、顔面接触部を形成するブロック体A、Bは、溝D1を挟んで互いに対向する位置に配置されるが、溝D1を形成するブロック体A、Bの端面は、30%未満の低反発弾性率又は硬度100N未満の材質からなるブロック体の切り口面となる。換言すれば、ブロック体の端部に位置する面である。ブロック体の中央部分に加わる力と端部に加わる力が同じである場合、両者の沈み込み量は大きく異なる。つまり、同じ沈み込み量を得るには、ブロック体の中央部分では大きな力が必要となるが、ブロック体の端部では小さな力で良い。敷き寝具10の使用時、ブロック体(顔面接触部)A、Bの端部(溝形成面)には使用者の鼻や口(歯)が位置し、このとき、ブロック体A、Bの端部に加わる圧力は、額や顎に接触する中央部分と比べて比較的小さい。しかし、上記したように、ブロック体の端部は小さな力でも沈み込むので、ブロック体A、Bの顔面接触部は、全体に使用者の顔面構造に添って凹み、使用者は快適に腹臥位で睡眠することができる。
【0053】
尚、使用者の目の部分については、ブロック体Bの接触面が柔らかく、又顔面の傾きにより、目は、ブロック体Bに斜めに接触する。従って、健常者の場合は、目の部分がブロック体Bと接触しても悪影響はない。ただし、目の術後の人が本発明の敷き寝具を使用する場合には、目の部分に圧力がかからないように、後述のアイマスクを使用することができる。
【0054】
従来技術の顔面枕及び胸部マット併用の物は顔面又は胸部を高くするものであり、いったん身体が枕等からずれると、再度身体を高い位置に寝返りさせることは、身体の弱い人、高齢者には困難である。本発明の腹臥位用敷き寝具は、実質的に同一高さH1を有する第1の部分1と第2の部分2に身体全体が横たわり、顔面や胸部を他の部分より高い位置に固定することがない。使用者は、平面上にて腹臥位姿勢になることができ、手足は自由に移動でき、快適で安定した腹臥位姿勢を得ることができる。
【0055】
以下の測定方法を用いて、本願発明の効果を確認した。センサー数が縦1920mm/32個、横670mm/32個の体圧シートを用い、従来の硬めの綿布団にて顔面を下向きにして腹臥位で横たわり、布団上面と顔面の接触点を数えると、顔面全体が布団上面に接触することはなく、鼻から下(あご)の接触する姿勢の時の接触点の数は12個であり、額が接触する姿勢のときは15個であった。この時の最高圧力は、あごの圧力が高く100mm・Hg以上となり、額の圧力は80mm・Hgであった。このように、通常の硬めの布団で顔を真下に向ける腹臥位姿勢になると、顔面に加わる圧力は非常に高いことが分かった。
【0056】
一方、上記の体圧シートを用い、ブロック体に低反発ウレタン(硬度50N、密度75kg/m)を用いた本発明の敷き寝具にて、顔面を下向きにして腹臥位で横たわり、顔面接触点を数えると、接触点は22個であり、最高圧力は顎の部分の40mm・Hgであった。さらに、従来の硬めの綿布団において、顔面を横向きにした腹臥位姿勢の場合について測定すると、顔面接触点の数は26個で最高圧力は100mm・Hg以上であり、低反発ウレタンを用いた本発明の敷き寝具において、顔面を横向きにした腹臥位姿勢の場合、顔面接触点の数は31個、最高圧力は30mm・Hgであった。
【0057】
尚、第1の実施形態では、第1の部分1と第2の部分2が、それぞれ、顔面接触部とその他の部分とで硬度または反発弾性率の異なる、本体11、12とブロック体A、Bを備える構成であった。しかし、これに代えて、第1の部分1と第2の部分2は、一様な硬度または反発弾性率を有していてもよい。この場合でも、第1の部分1と第2の部分2の間に溝D1を形成することにより、顔面を90度傾けることなく、長時間快適な腹臥位姿勢を維持できる。しかし、第1の部分1と第2の部分2の少なくとも上面が、硬度100N未満の軟らかい材質または30%未満の反発弾性率を有する低反発性材料、特にウレタンフォームであると好ましい。しかし、これと同等の硬度または反発弾性率を有するものであれば、他の材料であっても良い。この場合、顔面との接触面積を大きくして圧力を小さくできるだけでなく、さらに褥瘡予防敷き寝具としての機能を付与することができる。
[使用状態]
【0058】
図2は、図1に示す敷き寝具10が実際に使用される状態の一例を示す。図2の例では、第1の部分1と第2の部分2を別々の外皮1’、2’で包み、両者の間に呼吸し易い好みの間隔(たとえば約30〜60mm)を空けて、外皮1’、2’と床面(図示省略)との間に空気の連通路としての溝D1を形成する。このときの平面図、側面図、端面図を、それぞれ、図2の(A)、(B)、(C)に示す。図3は、図2に示す外皮1’、2’に包まれた敷き寝具10の裏面図である。外皮1’、2’は袋状で、材料は通常の敷き布団用の材質でよく、綿織布、ウール織布等の織り布、レザー、メリヤス生地、キルト地等である。この例では、さらに、外皮1’、2’に包まれた第1の部分1と第2の部分2の裏面の左右端部に、マジックテープ(登録商標)等を用いた連結部13を設けている。このように、マジックテープ(登録商標)等を介して第1の部分1と第2の部分2を連結することにより、第1の部分1と第2の部分2の相対位置が大きくずれないようにすることができ、使用者にとって最適な溝D1の幅を維持することができる。マジックテープ(登録商標)等の連結位置または長さによって、溝D1の幅を変えることができる。
[衛生面の対策]
【0059】
腹臥位姿勢になると、口や肺の中の水分が移動すると共に、よだれとして外部に出され、また痰の出も良くなるため、肺機能が改善すると言われている。しかし、一方で、腹臥位用寝具には、よだれ、鼻水等の汚れに対する対策が要求される。
【0060】
図2、図3に示すように第1の部分1と第2の部分2を別々の外皮1’、2’で包む場合、それぞれの外皮をアルコール清拭可能な外皮にすると、第1の部分1、第2の部分2共にアルコール清拭等による消毒なども出来て衛生的である。また、第1の部分1を包む外皮1’と第2の部分2を包む外皮2’が完全に分離されているので、外皮1’、2’には、第1の部分1と第2の部分2の間でごみが溜まるような窪みを形成する部分が存在せず、衛生的である。
【0061】
一例として、図4(A)〜(C)に示すように外皮1’と外皮2’との間に防水シート又はタオル14等を置くことにより、よだれその他の汚れ対策となる。
【0062】
この形態は、個人での使用はもちろん、多くの人が使用する、病院又は介護施設等での
使用に最適である。
【0063】
また、図5に示すように、防水シート又はタオル14等を、その長さ方向両端部がブロック体A、Bの上面側を覆うようにして、溝D1内に挿入し、よだれ、鼻水等の汚れ対策とすることもできる。
【0064】
従来の敷き寝具は、一般に汚れ防止の為、寝具の上にシーツ・敷布を使用するが、本実施形態の敷き寝具10においても、袋状の外皮1’、2’に代えて、通常のシーツ・敷布を使用することができる。第1の部分1から第2の部分2にシーツ・敷布等を架け渡し、溝D1にそのシーツ等を挿入して使用することができる。
【0065】
尚、上記した特開2004−351217号の例では、一般のシーツを使用することは困難である。この例では、顔面の接触面に穴の空いたシーツを使用しないと、外気を自由に流通させ使用者の呼吸を楽にするというクッション体の本来の機能を果たすことが難しい。穴を空けたシーツを使用しようとすれば、コストが高く又、また、クッション体の穴とシーツの穴とを整合させる作業が必要になる。
【0066】
このように、第1の部分1と第2の部分2(または外皮1’と外皮2’)との間に形成される溝D1は、これを通して呼吸時の空気の移動がスムーズに行われ、かつ鼻を塞がない機能を有する他、汚れ防止のためのシーツ・敷布を挟み込んだり、よだれや痰を受けるタオルなどを挟み込む場所としての重要な機能を有する。
【0067】
さらに、本実施形態の腹臥位用敷き寝具10は、第2の部分2に、仰臥位で使用する通常の枕を置いて、仰臥位で寝ても快適に寝ることができる、敷き寝具である。仰臥位で使用する通常の枕の大きさは、一般に、平面寸法が400mm×400mm以上である。一方、低反発性又は軟質材料(反発弾性率30%未満または硬度100N未満)で形成されるブロック体Bの上面の寸法は、幅W3=200〜300mm、長さL4=80〜300mmであるので、仰臥位で使用する通常の枕を置いて使用しても、枕はブロック体Bの周囲の本体12によって支持される。従って、5kg程度の頭部の重量は、枕の平面寸法内で分散され、何の影響も無く仰臥位姿勢が保たれる。
【0068】
さらに、本実施形態の腹臥位用敷き寝具10は、第2の部分2に仰臥位で使用する通常の枕を置き、横臥位姿勢で寝ても快適に寝ることができる敷き寝具である。上記のように、通常の枕の平面寸法は、ブロック体Bの上面の寸法より大きいため、低反発性又は軟質材料(反発弾性率30%未満または硬度100N未満)の影響は実質的に受けない。また、溝D1の存在も、約30〜60mmという幅の小さいものであるため、仰臥位姿勢、横臥位姿勢のいずれにおいても影響するものではない。
【0069】
換言すれば、本実施形態の腹臥位用敷き寝具10は通常の枕との併用により、仰臥位、横臥位、腹臥位すべての寝姿勢に適応できる、新規な敷き寝具である。
[第2実施形態]
[全体概要]
【0070】
図6(A)は、本発明の第2実施形態による敷き寝具20を示す平面図であり、図6(B)は、図6(A)のX2−X2線に沿った断面図である。
【0071】
第2実施形態の敷き寝具20は、第1実施形態と同様に、第1の部分3と第2の部分4が、それぞれ、長さ(L1、L2)方向に沿って窪んだ凹部(符号省略)を有する本体21、22と、この凹部内に収容されるブロック体A’、B’を備えている。しかし、第2実施形態では、第1実施形態と異なり、第1、第2の部分3、4におけるブロック体A’
、B’の長さ方向寸法L5、L8が、凹部の長さ方向寸法L3、L4より小さい。本実施形態では、第1の部分3におけるブロック体A’の長さ方向寸法L5は、凹部の長さ方向寸法L3よりL6=0〜30mm小さく、第2の部分4におけるブロック体B’の長さ方向寸法L8は、凹部の長さ方向寸法L4よりL7=10〜60mm小さい。これにより、第1の部分3は、全体として(ブロック体A’が本体21の凹部に接合された状態で)、長さ方向にL6=0〜30mm程度に窪んだ凹部31を形成し、第2の部分4は、全体として(ブロック体B’が本体22の凹部に接合された状態で)、長さ方向にL7=10〜60mm程度に窪んだ凹部32を形成する。使用時、第1の部分3と第2の部分4は、凹部31、32が互いに対向する位置になるように、長さ(L1、L2)方向に沿って配置される。第2実施形態では、この凹部31、32が、敷き寝具20が載置される面100と共に、使用者の呼吸を楽にする溝D2を形成する。以下、第2実施形態の構成を具体的な効果と共に説明するが、以下の説明では、主に、第1実施形態と第2実施形態の相違点について説明し、その他の部分については詳しい説明を省略する。第2実施形態は、本体21、22の凹部とブロック体A’、B’に関する部分を除いて、第1実施形態と実質的に同様である。
[溝の形成について]
【0072】
図6(A)、(B)に示す第2実施形態の場合、第1の部分3と第2の部分4は、必ずしも互いに分離された状態で配置されなくてもよい。第1の部分3と第2の部分4が、その長手方向端面(本体21、22の端面を意味する)が互いに接触する程度に近接して配置されても、第1の部分3の凹部31の長さ方向寸法L6=0〜30mm、第2の部分4の凹部32の長さ方向寸法L7=10〜60mmによって、幅(L6+L7)=10〜90mmの溝D2が形成される。第1の部分3の端面と第2の部分4の端面とが接触する程度に隣接して配置された場合、溝D2の上端は開放されているが、左右端部は実質的に閉じられた状態にある。しかし、ブロック体A’、B’の幅W2、W3は、200〜300mm程度であり、人の顔面の幅は、一般に約150mm程度である。従って、使用者は、顔面と溝D2の間の空間を通じて楽に呼吸することができる。しかし、第1の部分3と第2の部分4は互いに別体であるので、所望により、第1の部分3と第2の部分4の間の距離を調整することにより溝D2の幅をL6+L7よりも大きくしても良い。
【0073】
使用者は、溝D2内に口から鼻の辺りが位置するように敷き寝具20上に腹臥位で横たわる。溝D2の長さ(W2、W3と等しい)のため、使用者は、顔を真下または斜め下、等自由に角度を変えても、鼻が塞がれて呼吸が妨げられることがない。使用者は、顔面と溝D2の間の空間を通じて楽に呼吸できるので、顔面を90度横に向ける必要がなく、長時間の腹臥位姿勢を容易に維持できる。鼻の位置する空間が溝D2となる為、呼吸の空気の流れが良く、空気が滞留することがなく、自然な呼吸ができる。さらに、顔の角度位置を変えることは、一種の寝返り行動であるため、使用者は、長時間顔の位置が固定されることがなく、快適に腹臥位姿勢を維持できる。
[硬度及び反発弾性率について]
【0074】
本体21、22の硬度及びブロック体A’、B’の硬度または反発弾性率については、第1実施形態と同様である。このような低硬度または低反発性の材料をブロック体A’、B’に用いることにより、顔面に接する敷き寝具面(A’,B’)の顔への当たりが柔らかく、適度な沈み込み量が得られ、従って、顔面との接触面積が大きくなり圧力も少なく、快適な腹臥位姿勢が維持できる。また、本体21、22の硬度を100N以上に設定することによって、寝具の沈み込みが抑制され、正しい寝姿勢を維持し易く、且つ、体位変換もし易い。
【0075】
溝D2を形成する面は低反発性または軟質材料(反発弾性率30%未満又は硬度100N未満)の切り口面、すなわち、ブロック体の端部に位置する面であるので、ブロック体
の中央部と比べて小さな圧力で沈み込む。このため、ブロックの端(溝面)に鼻、口(歯)が位置しても、容易に顔面構造に添って凹み、使用者は快適に過ごすことができる。
【0076】
尚、第2の実施形態では、第1の部分3と第2の部分4が、それぞれ、顔面接触部とその他の部分とで硬度または反発弾性率の異なる本体21、22とブロック体A’、B’を備える構成であった。しかし、これに代えて、第1の部分3と第2の部分4は、一様な硬度または反発弾性率を有していてもよい。この場合、図7(A)、(B)に示すように、第1の部分3と第2の部分4は、ブロック体A’、B’を有さず、単に凹部31、32を有する本体21、22のみによって形成される。この場合でも、凹部31と凹部32が互いに対向する位置にあるように本体21、22を配置することによって、溝D2を形成することができ、使用者は腹臥位でも顔面を90度横に傾けることなく、溝D2を通じて楽に呼吸することができる。しかし、第1の部分3と第2の部分4の少なくとも上面が、100N未満の軟らかい材質または30%未満の反発弾性率を有する低反発性材料、特にウレタンフォームであると好ましい。この場合、顔面との接触面積を大きくして圧力を小さくできるだけでなく、さらに褥瘡予防敷き寝具としての機能を付与することができる。
【0077】
又、第1実施形態のブロック体A、Bと同様に、ブロック体A’、B’は、それぞれ、異質の材料から成る多層構造を有していてもよく、例えば、上層と下層を有することができる。
[使用状態]
【0078】
第2実施形態の敷き寝具20は、第1実施形態のように、第1の部分3と第2の部分4が別個の外皮にそれぞれ挿入されていてもよいが、図8(A)〜(C)、図9に示すように、第1の部分3と第2の部分4は、部分的に縫合された一連の外皮23に挿入されてもよい。尚、理解の容易のため、図8(A)の平面図では、第1の部分3と第2の部分4の外形を破線で示している。外皮23は、縫合線24を介して互いに連結された袋状部分23a、23bを備えている。袋状部分23a、23bの、縫合線24と反対側の端部は、使用前は開放されている。
【0079】
使用時、第1の部分3と第2の部分4は、それぞれ、対応する袋状部分23a、23bの開放端から外皮23の内部に挿入されるが、このとき、外皮23の内側で、第1の部分3と第2の部分4の互いに対向する長手方向端面(本体21、22の端面)の下縁部が、縫合線24に沿うように位置決めされる。敷き寝具20が挿入された後の袋状部分23a、23bの開放端は、折り曲げ、縫合、ファスナー等によって閉じることができる。
【0080】
敷き寝具20が挿入された状態で、外皮23の袋状部分23a、23bの上面は、凹部31、32に対応する位置で溝D2内に落ち込み、袋状部分23a、23bの間に溝D2に対応する空間が形成される。使用者はこの空間を介して呼吸できる。外皮23の下面には縫合線24が位置し、袋状部分23a、23bはこの縫合線24で連結されている。即ち、袋状部分23a、23bの境界部の、縫合線24を除く部分は互いに分離可能である。
[第1の部分の長さについて]
【0081】
尚、第1、第2実施形態では、第1の部分1、3について、ブロック体A、A’が形成されていることを除いては、長さ方向に一体的な単一部材として説明してきたが、図10(A)、(B)に示すように、第1の部分1、3は、長さL1a、L1bを有するように、長さ方向に2分割されていてもよい。尚、図10(A)、(B)では、第1実施形態の敷き寝具10(ただし、外皮1’、2’に包まれている)の場合を例示する。この場合、図2(A)〜(C)、図3に関して説明したようなマジックテープ(登録商標)の付いた紐等の連結部材を、分割された2つの部分の裏面の左右端部に設けてもよい。また、第1
の部分1、3は、長さL1e、L1f、L1gを有するように長さ方向に3分割されていてもよい。このとき、図6(A)、(B)等に示す第2実施形態の敷き寝具20の場合には、例えば、図12(A)〜(C)及び図13に示すように、4つの袋状部分からなる単一の外皮25に、第1の部分3の分割された3つの部分と第2の部分4を、それぞれ、挿入し、全体として四つ折り可能な敷き寝具を形成してもよい。この場合、外皮25の各袋状部分は、上述の外皮23と同様に、縫合線によって互いに連結されている。これらの縫合線は、図12(A)及び図13において、一点鎖線で示される。破線は、外皮25に挿入された敷き寝具20の外形を示す。尚、外皮25の各袋状部分の境界部は、縫合線の部分を除いて互いに分離可能である。
【0082】
さらに、図11に示すように、第1の部分1、3の長さL1を、使用者の足首からつま先が敷き寝具10、20の外に出るような長さに設定しても良い。この場合、足首からつま先部分に加わる圧力をなくし、より快適な腹臥位姿勢を可能にする。このとき、第1の部分1、3を、長さL1cを有する胴部と長さL1dを有する脚部に分割し、第2の部分2、4の長さL2と胴部の長さL1cを一定とし、脚部の長さL1dを変えて身長の異なる使用者に適合させることができる。身長差に対応するために、脚部の長さL1dを数種類用意するとよい。尚、図11は、第1実施形態の敷き寝具10(外皮1’、2’に包まれている)に上記構成を適用した場合を示している。
[第3実施形態]
【0083】
本発明の第3実施形態によれば、第1、第2実施形態の敷き寝具10、20と共に、または通常の敷き寝具と共に用いることができる、腹臥位補助マットが提供される。特に、第1、第2実施形態の敷き寝具10、20は、これだけで十分に快適な腹臥位姿勢を維持するのに効果的であるが、第3実施形態の腹臥位補助マットを併せて用いることにより、さらに快適な腹臥位を維持することができる。
【0084】
上記「うつぶせ寝健康法」(日野原重明監修、川島みどり、丸川征四郎著 KKベストセラーズ、2006年6月2日発行)によれば、快適なうつ伏せ寝のコツとして、敷き寝具と身体の隙間に枕やクッションなどの小道具を差し込むことが提案されている。
【0085】
選んだ小道具が最適であるかの判断は難しく、枕やクッションの大きさや厚さ、硬さ、形状等は様々であり、最適なものを選ぶのは難しい。本実施形態では、一般に理想的とされる腹臥位姿勢を維持するのに適した、腹臥位補助マットが提供される。
【0086】
理想的な腹臥位姿勢は、胸椎と頚椎との間に形成される角度が約15度程度で両肩を落とした、大仏のような姿勢であると言われている。この姿勢で人は最も安楽な寝姿勢でいられる。
【0087】
図14(A)〜(D)に本実施形態による腹臥位補助マット60を示す。(A)は平面図、(B)は側面図、(C)及び(D)は長さ方向(図14(A)のL9〜L11に沿った方向)から見た端面図である。
【0088】
図14(A)〜(D)において、本実施形態の腹臥位補助マット60は、軟質発泡樹脂体から形成されており、第1の部分D、Eと、第1の部分よりも低い硬度、または低反発弾性率を有する第2の部分Cとを備える。第1の部分は、第1支持部Eと第2支持部Dを備え、腹臥位姿勢にある使用者の頚椎と胸椎の間の角度を維持するように、第1支持部Eは使用者のオトガイ部を支持するようになされており、第2支持部Dは使用者の鎖骨付近を支持するようになされており、第2の部分Cは、第2支持部Dから連続的に延びて、第2支持部Dと共に、使用者の胸部から腹部にかけて接触するようになされている。尚、場合によってオトガイ接触部Fが第1支持部E上に設けられるが、これについては後述する。
【0089】
図14(A)〜(D)の腹臥位補助マット60において、幅W4は人の平均的な胸部横径に設定される。人の平均的な胸部横径は、男子で約290mm、女子で約265mmであるため、250〜330mm程度が、一般的な男女に広く適用できる点で好ましい。しかし上記寸法は、スポーツ選手などについてはこの限りではない。
【0090】
胸椎と頚椎との間の理想的な角度(約15度)を維持するため、使用者の鎖骨付近に接触する第2支持部Dの高さ(換言すれば、厚さ)H2は、約40〜100mm程度にされ、使用者のオトガイ部(あごの先)を支持する第1支持部Eの高さ(換言すれば、厚さ)H4は、約20〜60mm程度にされることが好ましい。ただし、第1支持部Eの高さH4は、第1支持部Eの硬さによって変化し得る。また、第2の部分Cの高さ(換言すれば、厚さ)は、第2支持部Dの高さと等しいことが好ましい。従って、本実施形態では、約40〜100mm程度が好ましい。
【0091】
第2の部分Cは、ウレタンフォームであれば、反発弾性率30%未満又は硬度100N未満であることが好ましい。5%〜20%の反発弾性率または40N以上100N未満の硬度を有しているとさらに好ましい。これにより、第2の部分Cは、使用者の胸部に柔らかくフィットし、胸の空間を埋めるように作用することができる。第2支持部Dは使用者の鎖骨付近に位置し、胸部の高さを保持する機能がある。従って、硬度約150N〜500Nの発泡樹脂体であることが好ましい。このように比較的高い硬度でも、鎖骨付近は骨が太く、圧力に強いため、使用時に違和感は生じない。
【0092】
第1支持部Eは、第2支持部Dと同様に約150N〜500Nの発泡樹脂体で形成することができる。しかし、第1支持部Eの硬度が200N以上であると、人によっては、オトガイ部(あごの先)が第1支持部Eに接触したとき違和感を感じることがある。その場合は、反発弾性率30%未満の低反発ウレタン又は硬度100N未満の軟質素材をオトガイ接触部Fとして第1支持部E上に置き、これにオトガイ部(あごの先)を載せると、第1支持部Eが硬くても、オトガイへの感触は良くなり、違和感を緩和することができる。しかし、オトガイ接触部Fは、オトガイへの感触を良くする為のものであり、あごの高さ維持のためには必ずしも必要ではない。
【0093】
使用者のオトガイを載せるためのオトガイ接触部Fの高さ(厚さ)H3は、(H2−H4)以下でよいが、これには限られない。しかし、オトガイ(あごの先)が安定して載るように、オトガイ接触部Fの先端(第2の部分Cに対して反対側の端部)を、予め、圧縮して押しつぶしておくとよい(図15(A)〜(C)参照)。オトガイ接触部Fが存在しても、使用時の使用者のオトガイの高さは、オトガイ接触部Fが低反発ウレタン又は柔らかい材質の為、実質的に、第1支持部Eの高さH4になる。
【0094】
オトガイを支持する第1支持部Eの長さL11は約30〜80mmが好ましいが、オトガイを載せるために十分な面積が確保できれば、これには限られない。鎖骨付近の胸部の高さを維持する第2支持部Dの長さL10は約50〜80mmが好ましく、第2の部分Cの長さL9は、末端(第1支持部Eに対して反対側)が使用者の肋骨を少し出る程度で、通常、約100〜300mm程度に設定される。尚、第1支持部Eと第2支持部Dは、一体的に形成されていてもよく、互いに別体であってもよい。また、別体である場合、製造上の理由等により、両者の境界は図示される位置に限られない。例えば、第1支持部Eが第2支持部Dの下方に位置するように形成しても良い(図19及び図20の第1支持部E’を参照)。この場合、第2支持部Dの厚さがH2から(H2−H4)に変更され、第1支持部Eの長さがL11から(L10+L11)に変更される。
【0095】
腹臥位補助マット60の幅W4を人の胸部横径程度に設定し、鎖骨付近をH2の高さ(40〜100mm程度)に維持すると、腹臥位で寝たとき両肩が落ち、上記した理想的な腹臥位姿勢、即ち、大仏のような姿勢に近づく。さらに、頚椎と胸椎の間の角度が約15度に保持されるとさらに理想的な腹臥位姿勢に近づくが、これは以下のようにして実現される。
【0096】
第1または第2実施形態の敷き寝具10、20では、顔面が真下(0度)を向いた状態で顔面を敷き寝具と平行にすると、顔面は、硬度100N未満または反発弾性率30%未満のブロック体に沈み込むが、この場合の頚椎と胸椎の角度は、理想的な15度よりも浅くなる。しかし、第3実施形態の腹臥位補助マット60を用いると、あごの位置が第1支持部Eによって高く保持される。硬度100N未満または反発弾性率30%未満のオトガイ接触部Fにオトガイを載せても、オトガイ接触部Fの下の第1支持部Eは、硬いので沈み込まない(尚、腹臥位補助マット60は、その大部分が本体11、21上に位置するため、第1支持部Eが軟質または低反発性のブロック体A、A’上に位置しても、これに大きく沈み込むことはない。また、ブロック体A、A’上においても、腹臥位補助マット60の材料の厚みで力は分散され、さらに、ブロック体A、A’との接触面積に比例して圧力が分散され、負荷は減少する。)この為、あごの位置が高い状態で額が寝具(ブロック体B、B’)に接触する。このとき、鎖骨付近は第2支持部Dによって高さが維持されているので、頚椎と胸椎の間の角度を理想的な15度またはそれに近い角度にすることができる。第2の部分Cは、鎖骨下の胸部に接し、低反発性材料(反発弾性率30%未満)又は柔らかい材質(硬度100N未満)であるので胸部の隙間を埋め、特に女性の乳房の凹凸も吸収して、理想的な腹臥位姿勢を保持できる。
【0097】
また、オトガイが直接、またはオトガイ接触部Fを介して、第1支持部Eに載せられると、歯茎に圧力がかからない状態で腹臥位になることができる。従って、長時間歯茎に圧力が掛かることにより歯に悪影響が及ぼされることがない。本実施形態の腹臥位補助マット60は歯への圧力を軽減し、長時間の快適な腹臥位姿勢維持を可能にするという効果もある。
【0098】
腹臥位補助マット60の、特に第2の部分Cに関する効果を説明するため、座布団、枕、クッション等の従来の小道具50を用いた通常の敷き寝具200における腹臥位姿勢の例を、図16に概略的に示す。従来、腹臥位姿勢で睡眠する際、図16に示すような寝姿勢で小道具50が使用される場合がある。図16の例では、身体の右側を敷き寝具200に接触させ、左側で小道具50を挟み込んでいる。
【0099】
図17は、図16の小道具50の使用状態をさらに説明するために、使用者の頭部及び胸部付近を小道具50と共に、使用者の頭部側から示した図である。図17の例では、使用者から見て左側で、クッション50等が身体の下に置かれている。図示の状態では、使用者は、使用者から見て右側の敷き寝具200上面と、左側のクッション50等の上面から圧力を受ける。身体は左右の接触部の間でブリッジ状態になり、安定感に欠ける。
【0100】
長時間の睡眠では人は自然に寝返りするものであるが、図17の状態から左右の手と足の位置を変え、体位変換して対照的な姿勢になろうとすると、小道具50も左右に入れ替えることが必要になる。無意識の状態でこのような体位変換を行うことは非常に困難である。
【0101】
従来の小道具50に代えて、第3実施形態の腹臥位補助マット60を使用し、図16と同様の寝姿勢(左腕は胴部から離れた前方位置におかれ、左脚は身体を持ち上げるように腹部に向けて折り曲げられている)をとると、第2の部分Cが使用者の胸部から腹部にかけての体圧で沈み込み、一方、第1の部分D、Eは使用前の高さを実質的に維持するので、腹臥位補助マット60は、全体に楔のように身体と敷き寝具200の間に食い込む。これにより、従来の小道具50と比較して身体との接触面積が広くなり、体圧分散が行われ
る。身体が、図17に示すようなブリッジ状態になることもない。これにより、快適で安定した腹臥位姿勢になることができる。この効果は、腹臥位補助マット60を、本体1、21が通常の敷き寝具と同等の硬度を有する第1、第2実施形態の敷き寝具10、20で用いた場合でも変わらない。
【0102】
図18は、図17に対応する、本実施形態の腹臥位補助マット60の使用状態を説明する図である。図18では、身体の左側(図18の右側)が大きく開き、一見、不安定のように見えるが、図16に示すように、左腕は胴部から離れた前方位置におかれ、左脚は身体を持ち上げるように腹部に向けて折り曲げられて身体を支える位置にあるため、非常に安定した姿勢である。
【0103】
図16に示すような手足を折り曲げた姿勢ではなく、水平な腹臥位姿勢(使用者の頭側から見た場合に胸部付近が水平である腹臥位姿勢)で用いることもできる。この場合、胸部全体の凹凸の間隙が第2の部分Cで埋められ、快適な腹臥位補助具となる。又、上記したように、頚椎と胸椎の角度が約15度で両肩が落ちた、理想的な腹臥位姿勢を維持しやすい。
【0104】
図16とは反対に右腕を胴部から離れた位置で折り曲げ、右脚の膝を腹部の方に折り曲げると、腹臥位補助マット60を移動させなくても、図18に対して左右対照的な位置をとることができ、安定した腹臥位姿勢を維持できる。このように、本実施形態の腹臥位補助マット60は、一般的なクッション等の小道具50と異なり、左右の寝返りをしても入れ替え(差し替え)などする必要がない。寝返りのたびに差し替える必要がない本実施形態の腹臥位補助マット60は、特に、筋肉の拘縮をされている人、身体の弱い人にとって有用である。
【0105】
尚、健常者は本実施形態の腹臥位補助マット60を用いることなく、第1または第2実施形態の敷き寝具10、20のみで、手足の位置により胸部の角度を変えることができ、顔面(頭部)の角度も変えることができ、快適な腹臥位姿勢をとることができる。しかし、本実施形態の腹臥位補助マット60を用いることにより、頚椎と胸椎の理想的な角度が保持され、且つ、胸部から腹部にかけての全体が寝具にフィットする、より安楽な腹臥位姿勢をとることができる。
【0106】
図19は、図14に示す腹臥位補助マット60のさらなる変形例を示し、図14に示すものと実質的に同一である要素は、同一の参照符号で示されている。図19(A)は平面図、(B)は(A)のY4−Y4線に沿って見た断面図、(C)及び(D)は、長さ方向から見た端面図である。図19に示す腹臥位補助マット61は、主に、第2支持部D’の形状が図14の腹臥位補助マット60の第2支持部Dとは異なっている。尚、腹臥位補助マット60と同様に、使用者のオトガイ部を支持する第1支持部E’と使用者の鎖骨付近を支持する第2支持部D’は、互いに別体であるが、腹臥位補助マット61では、製造上の理由から、第1支持部E’は、第2支持部D’の下方まで延びている。これにより、第1支持部E’の上面の一部が、オトガイ支持面E1を構成している。
【0107】
図19の腹臥位補助マット61では、第2支持部D’の、第1支持部E’側の長さ方向端面(換言すれば、オトガイ支持面E1に隣接する又は使用者の頭部側に位置する、長さ方向端面)には、腹臥位補助マット61の長さ方向に窪んだ凹部Gが形成されている。凹部Gは、第2支持部D’の上面に開口しており、これにより、腹臥位姿勢にある使用者の咽喉の付け根付近が圧迫されることを防止することができ、使用者は、より快適な腹臥位姿勢を長時間維持できる。従って、凹部Gは、第2支持部D’の幅方向に対して実質的に中央に位置決めされており、使用者の咽喉の付け根付近が、実質的に第2支持部D’に接触しない程度の平面寸法及び第2支持部D’の上面からの深さを有することが好ましい。さらに、体圧分散の目的から、凹部Gの平面寸法は、使用者と第2支持部D’との望ましい接触面積が確保できるように、必要以上に大きくされないことが好ましい。本実施形態では、凹部Gは、平面形状が略V字形の切欠きの形態を有し、第2支持部D’を厚さ方向に貫通している。尚、図19の例では、図14に示すようなオトガイ接触部Fを有していない。上記したように、オトガイ接触部Fは、オトガイへの感触を良くするためのものであり、あごの高さ維持のためには必ずしも必要ではない。しかし、図19のオトガイ支持面E1上にオトガイ接触部Fを設けていてもよい。
【0108】
さらに、本発明の腹臥位補助マットは、腹臥位姿勢にある使用者の胸部中央から左右方向に及び/又は使用者の胸部から腹部に向けて減少する高さを有していてもよい。図20(A)乃至(D)に示す腹臥位補助マット62は、腹臥位姿勢にある使用者の胸部中央から左右方向に及び使用者の胸部から腹部に向けて減少する高さを有している。図20(A)は平面図、(B)は(A)のY5−Y5線に沿って見た断面図、(C)及び(D)は、長さ方向から見た端面図である。また、図19に示すものと実質的に同一である要素は、同一の参照符号で示されている。図20に示す腹臥位補助マット62では、図19の腹臥位補助マット61とは異なり、第1の部分の第2支持部D’’、及び第2の部分C’は、それぞれ、上下に重ねて配置される複数の板状部分を備えている。図20の例では、第2支持部D’’は、2つの板状部分D’’1、D’’2から形成されている。板状部分D’’1、D’’2は、幅方向に対して互いに異なる寸法を有しており、第2支持部D’’の高さが、腹臥位補助マット62の幅方向中央部から両側に(換言すれば、腹臥位姿勢にある使用者の胸部中央から左右方向に)段階的に減少するように、第1支持部E’上に重ねられている(図示されるように、第2支持部D’’の下部に位置する板状部分D’’2の幅は、第1支持部E’の幅よりも小さくされている)。第2の部分C’は、3つの板状部分C’1、C’2、C’3から形成されている。板状部分C’1、C’2、C’3は、幅方向及び長さ方向に対して互いに異なる寸法を有しており、第2の部分C’の高さが、腹臥位補助マット62の幅方向中央部から両側に向けて(換言すれば、腹臥位姿勢にある使用者の胸部中央から左右方向に)段階的に減少すると共に腹臥位補助マット62の長さ方向に(換言すれば、使用者の胸部から腹部に向けて)段階的に減少するように、上下に重ねられている。板状部分D’’1、板状部分D’’2、第1支持部E’は、それぞれ、板状部分C’1、板状部分C’2、板状部分C’3と同一の厚さを有しており、それぞれ、板状部分C’1、板状部分C’2、板状部分C’3と長さ方向端面で接合されている。
【0109】
第2支持部D’’及び第2の部分C’を構成する板状部分の数は特に限られない。腹臥位補助マット62の高さを段階的に減少させることにより、腹臥位姿勢にある使用者の身体を腹臥位補助マットによりフィットさせ、自然な腹臥位姿勢を維持することができる。尚、第2支持部D’’及び第2の部分C’は、それぞれ、互いに別体の板状部分から形成されていなくてもよく、上記のような段階的に減少する高さを有する、単一部材であってもよい。また、上記変形例では、腹臥位補助マット62の高さは、複数の板状部分によって段階的に減少させられているが、腹臥位補助マット62は、一定の傾きで連続的に減少する高さを有する、例えば、全体に角錐台形状の形態を有していてもよい。
[第4実施形態]
【0110】
さらに本発明によれば、眼科手術後の腹臥位になるときに好適な、目の保護をするアイマスクが提供される。第1実施形態、第2実施形態の敷き寝具10、20では、ブロック体B、B’上面の接触面が柔らかく、又、顔面の傾きのために目の部分は接触面と斜めに接するため、健常者の場合は、目の部分がブロック体B、B’に接触しても悪影響はない。しかし、目の術後の人が第1、第2実施形態の敷き寝具を使用する場合には、目に圧力がかからないように、本実施形態のアイマスクを使用することが有用である。
【0111】
図21(A)〜(C)及び図22に、第4実施形態のアイマスク70を示す。図21(A)は平面図、(B)は、アイマスク70を、(A)の下側(使用者の顎側)から見た側面図、(C)は左右端面図、図22は、図21(A)のZ1−Z1線に沿った断面図である。本実施形態のアイマスク70は、特に、第1、第2実施形態の敷き寝具10、20と共に好適に用いることができる。アイマスク70は、所定の厚みH5を有しており、使用者の目を保護する眼帯を受け入れるための第1の空間71と、使用者の鼻を受け入れる、第1の空間から連続的に形成された第2の空間72とを備えている。
【0112】
アイマスク70は、使用者の眼帯の上から装着または使用することができる。厚さH5は、アイマスク70を装着または使用し、ブロック体B、B’に顔面を載せた時に眼帯にブロックB、B’が当接して圧力が掛からないようにするために十分な厚みがあれば良く、アイマスク70の材質(例えば、ブロック体B、B’と同様の低反発性または硬度100N未満の軟質樹脂)の硬さにより変わり得るが、一般に、約30mm〜80mmである。図22に示すように、厚さH5は三層構造とすることができ、厚さ方向に沿った中央層73と中央層73の上下に位置する上層及び下層74は、実質的に同一の硬度を有していても、互いに異なる硬度を有していても良いが、硬度の範囲は、60N〜500N(JIS K6400−2)に設定される。三層構造のうち、上層及び下層74には、空間75が設けられている。この空間75はアイマスク70を装着または使用して腹臥位になった使用者の、健康な眼球への圧力を避ける為である。これにより、アイマスク70の上下いずれの面も、顔面と接触する面にすることができる。三層構造にした場合は、例えば、空間75の存在によって異なる外形を有する中央層73と上層、下層74を別個に成形した後、互いに接合することにより、アイマスク70を製造することができる。しかし、アイマスク70は、例えば、均一な硬度を有する単層構造にしてもよい。左右方向の長さL12は顔面が幅方向に充分に覆われる程度に決められ、250mm以上500mm以下が好ましい。上下方向の幅W5は、約100mm〜250mmに設定することができる。
【0113】
ただし、上下部分74の硬度が60N〜150Nである場合は、空間75は形成しなくてもよい。
【0114】
空間71の位置及び寸法は、使用者の眼帯をした目を受け入れるのに十分であればよいが、図21(A)に示されるように、例えば、長さL15=100mm、幅W6=80mmの平面寸法を有する空間71を、アイマスク70の上端からの距離W7=45mmの位置に形成することができる。また、空間72の位置及び寸法は、使用者の鼻を受け入れるのに十分であればよいが、例えば、空間71から始まって、アイマスク70の長さ方向中央から左右方向に距離L13=30mm、L14=50mmの位置まで延びるように形成することができる。
【0115】
図23にアイマスク70の装着状態の例を概略的に示し、図24に、アイマスク70を装着した使用者が、第1実施形態の敷き寝具10に腹臥位で横たわったときの状態を概略的に示す。図23に示すように空間71内に受け入れられた眼帯90をした手術後の目は、図24に示すように、アイマスク70の厚さH5によってブロック体Bとの接触から保護される。空間72には鼻91が受け入れられ、これにより、アイマスク70で呼吸が妨げられることを防止することができる。さらに、空間75の位置に正常な眼が位置するようにアイマスク70を顔面に対して位置決めし、2本のマジックテープ(登録商標)81をつけた紐80等で顔面(頭部)に固定し、使用する。
【0116】
しかし、アイマスク70を顔面に固定するための紐80等は、必ずしも設ける必要はない。アイマスク70は、紐80等の固定手段を使用することなく、単に敷き寝具10、20のブロック体B、B’上に置いて使用することもできる。
【0117】
尚、図21(A)〜図23では、空間71は、平面形状が略正方形に示されているが、他の形状であっても良い。また、空間72の形状も図示されるものに限られない。さらに、アイマスク70の外形も、図示される略矩形状ではなく、湾曲部を有する他の平面形状であってよい。
【0118】
第1、第2実施形態の敷き寝具10、20は、アイマスク70の使用を考慮して、第2の部分2、22の厚さ(高さ)が、第1の部分1、21の厚さ(高さ)より小さくされてもよい。即ち、図24に示すように、第2の部分の厚さ(高さ)は、アイマスク70の所定の厚さH5に相当する分だけ、H1より小さくされてよい。
【0119】
図25及び図26にアイマスク70の変形例を示す。図21に示すものと実質的に同一である要素は、同一の参照符号で示されている。図25(A)は、アイマスク80の平面図、(B)は、アイマスク80を、(A)の下側から見た側面図、(C)は、左右端面図、図26は、(A)のZ2−Z2線に沿った断面図である。図25及び図26の変形例に示すアイマスク80は、図22に示すような中央層73を有しておらず、これにより、上層及び下層74は、連続して、単一の層77を形成し、上層及び下層74に設けられていた空間75は、互いに連通して、単一の空間76を形成している点が、アイマスク70と異なっている(特に図26を参照)。
【0120】
上記したように、本発明のアイマスクの厚さは、眼帯に圧力が掛からないようにするため、一般に約30mm〜80mmである。しかし、使用者の目を保護するための高さが必要である一方で、顔面の高さを低くして理想的な腹臥位姿勢を維持するために、アイマスクは薄い方が好ましい。アイマスク70では、空間75を備える上層及び下層74の間に設けられる中央層73は、アイマスク70の強度を増す効果がある。しかし、図26のように中央層73を省略することにより、アイマスク80の厚さを小さくしてもよい(H6 < H5)。この場合、上記したように、中央層73の上下に位置する上層及び下層74は、連続して、単一の層77を形成することとなり、上層及び下層74に設けられていた空間75は、互いに連通して、単一の空間76を形成する。アイマスク80を介してブロック体B、B’に顔面を載せた時に眼帯にブロック体B、B’が当接しないようにするためには、通常、アイマスク80の厚さは、アイマスク80の材質の硬さにより変わり得るが、低反発性または硬度100N未満の軟質樹脂である場合、約60mm以上であることが好ましい。中央層73を省略することにより、眼帯をした目を保護するために必要な厚さを確保しつつ、アイマスクの厚さをできるだけ薄くすることができる。
【0121】
また、アイマスク80における、使用者の健常な目(換言すれば、眼帯を装着していない目)を受け入れる空間76は、アイマスク80を厚さ方向に貫通しているため、健常な目が中央層73に接触して圧迫されるおそれを完全に防止できる。
[第5実施形態]
【0122】
さらに、本発明によれば、目の健常者が使用する、腹臥位姿勢の使用者の顔面を支持する腹臥位用枕が提供される。
【0123】
図27及び図28に本実施形態の腹臥位用枕の例を示す。図27(A)は腹臥位用枕300の平面図、(B)は(A)の下側(使用者の顎側)から見た側面図、(C)は左右端面図、図28は、図27(A)のZ3−Z3線に沿った断面図である。本実施形態の腹臥位用枕300は、通常の枕と同程度の長さ(L16=約300mm以上)と、約150mm〜300mm程度の幅(W9)を有し、従来の敷き寝具または第1、第2実施形態の敷き寝具10、20上で用いることができるものである。腹臥位用枕300は、使用者の顔面を支持する少なくとも一つの支持面301に、一対の穴部302を有している。図示の例では、各穴部302は、腹臥位用枕300の厚さ(H7)方向に凹んだ溝の形態を有しており、腹臥位姿勢の使用者の両目に対応する位置に形成されている。換言すれば、一対の穴部302は、支持面301に、一般的な使用者の左右の目と目の間の距離(または瞳孔間距離)に対応する間隔をおいて形成され、これにより、腹臥位姿勢にある使用者の両目の眼球が、支持面301によって圧迫されることを防止することができる。この目的から、穴部302の深さは、腹臥位姿勢にある使用者の両目の眼球が、穴部(図の例では溝)302の底部によって圧迫されないように、好ましくは、穴部(溝)302の底部に全く接触しないように決められる。
【0124】
従来の腹臥位用枕の多くは、使用者の頭部と枕との接触部が額のみにあるが、本実施形態の腹臥位用枕300では、一対の穴部302が互いに独立して設けられており、穴部302の間には、支持面301が存在する。従って、目の周りを含む頭蓋骨と接触することができるため、使用者の頭部と枕との接触部が額のみにある従来の腹臥位用枕と比較して、頭部の接触面積が著しく大きくなる。これにより、頭部の圧力が分散され、使用者は、長時間、より快適に腹臥位姿勢を保持することができる。
【0125】
尚、上記の例では、一対の穴部302は、腹臥位用枕300の一方の支持面301にのみ形成されているが、支持面301に対向する他方の支持面(符号省略)に同様の一対の穴部302を形成することもできる。さらに、各穴部302は一方の支持面301から他方の支持面にかけて、腹臥位用枕300の厚さ方向に、腹臥位用枕300を貫通して延びていてもよい。そのような貫通穴としての穴部302は、打ち抜き加工により容易に製造することができる。
【0126】
さらに、腹臥位用枕300は、図27(A)における下方(使用者の顎側)に開口する切欠き303を有している。切欠き303は、使用者の鼻を受け入れることができる位置に形成されている。これにより、腹臥位姿勢にある使用者の鼻が腹臥位用枕300によって圧迫されることがなく、従って、使用者は、顔面を90度横に傾けることなく、真下又は斜め下等に向けたまま楽に呼吸することができる。さらに、図27の例では、切欠き303は、切り口面(図27(A)において、切欠き303を形成する、腹臥位用枕300の下側の面)によって腹臥位姿勢にある使用者の口周辺及び頬が圧迫されないような平面寸法(一例として、L17=L18=約100mm程度)に形成されている。さらに、図27に示されるように、腹臥位用枕300は、使用者の顎の部分を支持する面を有していない。顎の支持面を有しないことにより、呼吸のための空間を大きくし且つ使用者の歯根にかかる圧力を軽減することができる。さらに、上記実施形態の腹臥位補助マット60、61、62と併用すれば、腹臥位補助マットの第1支持部E、E’によってオトガイ部が支持され、腹臥位時の使用者の胸椎と頚椎との間の角度を理想的な角度に維持することができる。
【0127】
腹臥位用枕300の材質は、使用者の頭部に柔らかくフィットし、大きな接触面積により圧力を分散させるように、30%未満の反発弾性率を有する又は100N未満の硬度を有する軟質樹脂であることが好ましい。
【0128】
腹臥位用枕300の厚さH7(敷き寝具上面からの高さ)は、約40mm〜120mmに設定されることが好ましい。さらに、上記したように、あごの位置を高くして腹臥位時の使用者の胸椎と頚椎との間の角度を最適な値(約15度)に近づけるように、本実施形態の腹臥位用枕300は、腹臥位補助マット60、61、62と併用することが好ましい。腹臥位補助マット60等と併用することにより、体型の個人差による胸椎と頚椎との間の角度調整が容易になる。具体的には、所定の高さの腹臥位補助マットに対し、複数種類の厚みの腹臥位用枕300を用意することにより、様々な体型の使用者に対応できる。例えば、標準体型の男子に腹臥位補助マット60を単独で用いる場合に、第2支持部Dの高さH2を、通常、約60mmに設定するのに対し、標準体型の男子に腹臥位補助マット60と腹臥位用枕300を併用する場合は、腹臥位用枕300の実質沈み込み高さを約20mm及び約40mmの二種類を用意しておくと体型の個人差に対応することができる。さらに、タオル等の使用により、微調整を行なうことができる。
【0129】
さらに、敷き寝具10、20上に腹臥位用枕300と腹臥位補助マット60、61、62を使用すると、敷き寝具10、20の有する溝D1、D2における使用者の顔面の位置が高くなり、より楽に呼吸することができる。さらに、以下のような理由により、腹臥位姿勢での睡眠中に生じるよだれ等の排出物の処理が容易になる。上記したように、敷き寝具10、20上で腹臥位姿勢になると、ブロック体A、A’、B、B’の切り口面(換言すれば、ブロック体の長さ方向端面または溝D1、D2を形成する面)を含むブロック体A、A’、B、B’の顔面接触部は、全体に使用者の顔面構造に沿って凹む。このとき、溝D1、D2における、ブロック体A、A’、B、B’の切り口面の間の空間は、使用者の鼻中央から顎の部分によってほぼ完全に埋められる。しかし、敷き寝具10、20上に腹臥位用枕300及び腹臥位補助マット60、61、62を載置すると、腹臥位用枕300の支持面301及び腹臥位補助マット60等の第1支持部E、E’によって、使用者の顔面の位置は全体的に少し高くなり、ブロック体A、A’、B、B’と顔面との間の水平方向の空間にゆとりができる。従って、使用者の鼻が溝D1、D2内に収まり、敷き寝具10、20の上面より下にある状態であっても、口周辺や頬が寝具によって圧迫されにくく、これにより、よだれ等の排出がされ易くなる。
【0130】
尚、腹臥位用枕300は従来の平坦な敷き寝具上でも使用できるが、従来の平坦な敷き寝具には呼吸するための溝が存在しないため、呼吸するための空間を確保するために、腹臥位用枕300及び腹臥位補助マット60、61、62の高さを大きくすることが好ましい。一方、上記実施形態の敷き寝具10、20と使用すれば、腹臥位枕300及び腹臥位補助マット60、61、62の高さを低く抑えることができ、安定した無理のない腹臥位姿勢を維持できる。
【0131】
尚、図27及び図28に示す腹臥位用枕300は、平面形状が実質的に矩形状に示されているが、他の平面形状、例えば略楕円形状等の、湾曲部を有する平面形状であってもよい。
【産業上の利用分野】
【0132】
本願発明の敷き寝具は、必要に応じて本願発明の腹臥位補助マット及び/又はアイマスク又は腹臥位用枕と共に、腹臥位療法による呼吸器疾患等の治療に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0133】
1 第1の部分
1’外皮
2 第2の部分
2’外皮
3 第1の部分
4 第2の部分
10 敷き寝具
11、12 本体
A、B ブロック体
13 連結部
14 防水シート
20 敷き寝具
21、22 本体
23 外皮
23a、23b 袋状部分
24 縫合線
25 外皮
31、32 凹部
A’、B’ ブロック体
60、61、62 腹臥位補助マット
C、C’ 第2の部分
D、D’、D’’ 第2支持部(第1の部分)
C’1〜C’3、D’’1、D’’2 板状部分
E、E’ 第1支持部(第1の部分)
E1 オトガイ支持面
F オトガイ接触部
G 凹部
50 小道具
70、80 アイマスク
71、72 空間
73 中央層
74 上層、下層
75、76 空間
77 単一層
80 紐
81 マジックテープ(登録商標)
90 眼帯
91 鼻
100 床面
200 敷き寝具
300 腹臥位用枕
301 支持面
302 穴部
303 切欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の長さを有する第1の部分と第2の部分を備える敷き寝具であって、前記第1の部分と第2の部分は、互いに別体であり、それぞれ、前記所定の長さの方向に沿って窪んだ凹部を有する本体と該凹部内に収容されるブロック体とを備えており、
前記ブロック体は、前記本体よりも低い硬度、または低反発弾性率のいずれか一方を有しており、前記第1の部分と前記第2の部分は、前記第1の部分の前記ブロック体と前記第2の部分の前記ブロック体が互いに対向する位置にあるように配置される、敷き寝具。
【請求項2】
請求項1に記載の敷き寝具であって、前記第1の部分と第2の部分は、それぞれ、所定の幅を有しており、前記第1の部分のブロック体は、前記第1の部分の幅方向中央部に位置しており、前記第2の部分のブロック体は、前記第2の部分の幅方向中央部に位置しており、前記ブロック体の各々が、200〜300mmの幅を有している、敷き寝具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の敷き寝具であって、前記本体が100N以上の硬度を有しており、前記ブロック体が、100N未満の硬度または30%未満の反発弾性率を有している、敷き寝具。
【請求項4】
請求項1または2に記載の敷き寝具であって、前記ブロック体が上層と下層を備えており、前記上層は、100N未満の硬度または30%未満の反発弾性率を有しており、前記下層は100N以上300N以下の硬度を有している、敷き寝具。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の敷き寝具であって、前記第1の部分の凹部が50〜100mmの長さ方向寸法を有しており、前記第2の部分の凹部が80〜300mmの長さ方向寸法を有している、敷き寝具。
【請求項6】
請求項5に記載の敷き寝具であって、前記第1の部分のブロック体は、50〜100mmの長さ方向寸法を有しており、前記第2の部分のブロック体は、80〜300mmの長さ方向寸法を有している、敷き寝具。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の敷き寝具であって、前記第1の部分のブロック体は、前記第1の部分の凹部の長さ方向寸法より小さい長さ方向寸法を有しており、前記第2の部分のブロック体は、前記第2の部分の凹部の長さ方向寸法より小さい長さ方向寸法を有している、敷き寝具。
【請求項8】
請求項7に記載の敷き寝具であって、前記第1の部分のブロック体の長さ方向寸法は、前記第1の部分の凹部の長さ方向寸法より0〜30mm小さく、前記第2の部分のブロック体の長さ方向寸法は、前記第2の部分の凹部の長さ方向寸法より10〜60mm小さい、敷き寝具。
【請求項9】
所定の長さを有する第1の部分と第2の部分を備える敷き寝具であって、
前記第1の部分と第2の部分は、互いに対して別体であり、
前記第1の部分と第2の部分の少なくとも上面が、100N未満の硬度または30%未満の反発弾性率のいずれか一方を有している、敷き寝具。
【請求項10】
請求項9に記載の敷き寝具であって、前記第1の部分と第2の部分は、それぞれ、前記所定の長さの方向に沿って窪んだ凹部を有しており、前記第1の部分と前記第2の部分は、前記第1の部分の前記凹部と前記第2の部分の前記凹部が互いに対向する位置にあるように配置される、敷き寝具。
【請求項11】
請求項10に記載の敷き寝具であって、前記第1の部分の前記凹部は、0〜30mmの長さ方向寸法を有しており、前記第2の部分の前記凹部は、10〜60mmの長さ方向寸法を有している、敷き寝具。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の敷き寝具であって、前記第1の部分と前記第2の部分は、それぞれ、外皮に挿入されており、前記第1の部分が挿入される外皮と前記第2の部分が挿入される外皮は、互いに連結可能な別体である、敷き寝具。
【請求項13】
請求項7、8、10または11のいずれか一項に記載の敷き寝具であって、前記第1の部分と前記第2の部分は、共に、単一の外皮に挿入されており、前記外皮は、縫合線により連結された第1の袋状部分と第2の袋状部分を備えている、敷き寝具。
【請求項14】
軟質発泡樹脂体からなる腹臥位補助マットであって、第1の部分(D、E)と第2の部分(C)を備えており、前記第2の部分(C)は、前記第1の部分(D、E)よりも低い硬度、または低反発弾性率のいずれか一方を有しており、
前記第1の部分(D、E)は、互いに異なる高さを有する第1支持部(E)と第2支持部(D)とを備え、
腹臥位姿勢にある使用者の頚椎と胸椎の間の角度を維持するように、前記第1支持部(E)は前記使用者のオトガイ部を支持するようになされており、前記第2支持部(D)は前記使用者の鎖骨付近を支持するようになされており、
前記第2の部分(C)は、前記第2支持部(D)から連続的に延びて、前記第2支持部(D)と共に、前記使用者の胸部から腹部にかけて接触するようになされている、腹臥位補助マット。
【請求項15】
請求項14に記載の腹臥位補助マットにおいて、前記第2の部分(C)は、100N未満の硬度または30%未満の反発弾性率を有する、腹臥位補助マット。
【請求項16】
請求項14または15に記載の腹臥位補助マットであって、前記第2支持部(D’)における、前記第1支持部(E’)側の長さ方向端面には、前記腹臥位補助マットの長さ方向に窪んだ凹部(G)が形成されており、前記凹部(G)は、前記第2支持部(D’)の上面に開口している、腹臥位補助マット。
【請求項17】
請求項14乃至16のいずれか一項に記載の腹臥位補助マットであって、前記第2支持部(D’’)と前記第2の部分(C’)は、前記腹臥位補助マットの幅方向中央部から両側に向けて減少する高さを有しており、前記第2の部分(C’)は、さらに、前記腹臥位補助マットの長さ方向に減少する高さを有している、腹臥位補助マット。
【請求項18】
請求項17に記載の腹臥位補助マットであって、前記第2支持部(D’’)は、幅方向に対して互いに異なる寸法を有する複数の板状部分から形成されており、前記第2の部分(C’)は、幅方向及び長さ方向に対して互いに異なる寸法を有する複数の板状部分から形成されている、腹臥位補助マット。
【請求項19】
アイマスクであって、所定の厚さを有しており、使用者の目を保護する眼帯を受け入れるように形成された第1の空間と、前記使用者の鼻を受け入れるように、前記第1の空間から連続的に形成された第2の空間とを備えている、アイマスク。
【請求項20】
請求項19に記載のアイマスクと共に使用される、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の敷き寝具であって、前記第2の部分の高さが、前記第1の部分の高さより、前記アイマスクの前記所定の厚さに相当する分小さくされている、敷き寝具。
【請求項21】
請求項19に記載のアイマスクであって、さらに、第3の空間を備えており、前記第3の空間は、前記使用者の健常な目を受け入れるように形成されており、前記第1の空間、前記第2の空間及び前記第3の空間は、前記アイマスクの厚さ方向に貫通している、アイマスク。
【請求項22】
腹臥位姿勢にある使用者の顔面を支持する少なくとも一つの支持面を備える腹臥位用枕であって、前記少なくとも一つの支持面は、前記使用者の両目を受け入れる一対の穴部を有しており、且つ、前記使用者の鼻を受け入れる切欠き部を有している、腹臥位用枕。
【請求項23】
請求項22に記載の腹臥位用枕であって、前記一対の穴部は、前記腹臥位用枕の厚さ方向に前記腹臥位用枕を貫通して延びている、腹臥位用枕。
【請求項24】
請求項22に記載の腹臥位用枕であって、請求項14乃至18のいずれか一項に記載の腹臥位補助マットと共に使用される、腹臥位用枕。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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