説明

腹部冷え症予防並びに改善剤

【課 題】 腹部冷え症の改善に有効な冷え症改善剤及び腹部冷え症改善剤用健康食品を提供し、腹部冷え症の改善を図る。
【解決手段】プロアントシアニジンを含有する摂取可能な形状の製剤乃至は飲食物を製造、摂取することにより、腹部冷え症の改善が図られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロアントシアニジン(Proanthocyanidin)を有効成分とする腹部冷え症予防または改善剤に関する。又、本発明はプロアントシアニジンを有効成分とする腹部冷え症予防または改善用健康食品に関する。
【背景技術】
【0002】
プロアントシアニジンは植物中に含有されているポリフェノールの一種であって、抗酸化作用などの種々の活性を有するものであることが知られている。
例えば、プロアントシアニジン就中、ブドウ果実の種子、皮から抽出したプロアントシアニジンには、血液の流動性を改善する性質があるとされており、又、プロアントシアニジンとカロテノール、ビタミンP様物質、クルクミン、ユビキノン等の抗酸化剤との併用による血液の流動性改善が明らかにされている(特許文献1及び2参照)。
【0003】
又、プロアントシアニジンには、血小板凝集抑制作用に基づく血栓形成抑制作用があること(特許文献3参照)、プロアントシアニジンの一種と目されているカテキン乃至はエピカテキンからなるプロシアニジンを含むカイガンショウ(maritime pine)の抽出物に血小板凝集抑制作用があること(特許文献4参照)が知られている。
【0004】
一方、冷え症の改善を目的とした冷え症改善剤や健康食品としても、プロアントシアニジンが注目されており、例えば松樹皮抽出物を含有することを特徴とする冷え症改善剤や健康食品が提供されている(特許文献5)。
その他に、冷え症の改善のため、茶葉に含まれ、お茶の旨味成分といわれているテアニンが、冷え症、更年期障害、自律神経失調症等の恒常状態低下に伴う症状の改善に有効であることが知られている(特許文献6)。又、静脈血流、取り分け、末梢循環不全を改善し、虚弱体質、疲労、冷え症等の疾患の改善、治療のために、熟地黄のアルコール抽出物が有効であることが知られている(特許文献7)。
【特許文献1】特開2003−128560号公報
【特許文献2】特開2004−123707号公報
【特許文献3】特開2004−238289号公報
【特許文献4】特許第388117号公報
【特許文献5】特開2003−238428号公報
【特許文献6】特開2000−247878号公報
【特許文献7】特開平6−305976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したとおり、冷え症の改善については、種々提案されてはいるが、いずれにあっても静脈血流、取り分け末梢血流の促進によって、冷え症を改善しようとするものであって、本発明の腹部冷え症改善とは趣をことにするものである。
腰や手足など身体の表面に冷えを感じ、一般的に冷え症と呼ばれているところの冷え症の病体やその発症のメカニズムは、十分に解明されてはおらず、従ってその治療においても、殆どが末梢血流の不全を、物理的には、マッサージ、軽度の運動(例えば、ウオーキング)、締め付けの解放等により、科学的には、末梢血流を促進する薬物(例えば、ビタミンE、又はその誘導体等)の投与により改善して、冷え症の予防、治療に向けている状況にあるといえる。
【0006】
一方、東洋医学においては,裏寒と称し、体の表面に感じる冷えではなく内部、特に内臓の冷え、取り分け胃や腸の冷えに注目し、裏寒が原因となって起こる新陳代謝や働きの低下を重要視し、これの改善によって、裏寒を原因として様々な状態で現れる多くの症状、例えば、風邪様症状、発熱、頭痛、喉の痛み、鼻水、咳、眠気、不眠、腹痛、手足の冷え、下痢と便秘、腰痛、冷えのぼせ、むくみ等の改善を図ることが考えられている。これには、生体における生命維持に必要な多くの反応が酵素の働きに依っていることから、僅かな温度の変化であっても、酵素は働きの適切さを失うこととなることに注目して、内蔵の温度の上昇を図り、酵素の活性化を向上させ、特に、胃や腸の冷え、新陳代謝や働きの低下を改善して、冷え症を予防、治療しようとする考え方が採られているのである(http://homopage1.nifty.com/clicli/sp_inf/s_info01.htm)。
本発明は、斯かる東洋医学的考え方のもと、内臓の冷え、取り分け腹部(胃や腸)の冷えを改善することができる新規な腹部冷え症改善剤を提供することを目的とするものである。又、新規な腹部冷え症改善用健康食品を提供することをも目的としているものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者らは、本発明の目的達成に向けた種々の研究を行っている中において、既に血液流動改善効果や血栓形成抑制・血小板凝集抑制の作用があることが知られているプロアントシアニジン(proannthocyanidin)が意外にも腹部の冷えを改善する作用をもっていることを初めて見い出した。
本発明は斯かる新規な知見に基づいてなされたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、
〔1〕 プロアントシアニジンを有効成分として含有することを特徴とする腹部冷え症予防または改善剤、
〔2〕 プロアントシアニジンが、オリゴメリックプロアントシアニジンであることを特徴とする〔1〕記載の腹部冷え症予防または改善剤、
プロアントシアニジン
〔3〕 プロアントシアニジンが松樹皮由来抽出物であることを特徴とする〔1〕記載の腹部冷え症予防または改善剤、
〔4〕 錠剤、ピル、カプセル、顆粒、粉末、散剤又は液剤の形態であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の腹部冷え症予防または改善剤、
〔5〕 プロアントシアニジンを有効成分として含有することを特徴とする腹部冷え症予防または改善用健康食品、
〔6〕 プロアントシアニジンが松樹皮由来抽出物であることを特徴とする〔5〕記載の腹部冷え症予防または改善用健康食品、
〔7〕 健康食品が固形食品、ゲル状食品、又は飲料の形態であることを特徴とする〔5〕又は〔6〕記載の腹部冷え症予防または改善用健康食品、および
〔8〕 プロアントシアニジンが、オリゴメリックプロアントシアニジンであることを特徴とする〔5〕記載の腹部冷え症予防または改善用健康食品、
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により提供されるプロアントシアニジンを含有する新規な腹部冷え症予防または改善剤及び腹部冷え症予防または改善用健康食品は、腹部(内臓、取り分け胃や腸)の温度の上昇に寄与することができるので、冷え症を根本から改善することができ、更に、腹部冷えが原因で発症する、又は、していると考えられる諸症状の予防、治療に功を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において「腹部冷え症」とはヒトの核心温である前額部深部温(おでこの中心の深部温)よりも腹部深部温(鳩尾の部分の温度)が低下している症状を指しており、従って、当該部分の温度を測定することにより、症状の有無、改善の判断を行うこととする。なお、深部温の測定には、体表面から深部温を測定することができる深部体温計(テルモ株式会社製)が好適に使用できる。
【0011】
本発明で使用されるプロアントシアニジンとは、フラバン−3−オールおよび/またはフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2以上、好ましくは2〜10量体、さらに好ましくは2〜4量体の縮重合体からなる化合物群、誘導体およびそれらの立体異性体を指称する。プロアントシアニジンのうち、フラバン−3−オールおよび/またはフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2〜4の縮重合体をOPC(オリゴメリックプロアントシアニジン;oligomeric proanthocyanidin)という。OPCは強力な抗酸化物質であり(参照:特公平3−7232)、植物の葉、樹皮、果物の皮もしくは種子の部分に豊富に含有されている。具体的には、ブドウ、松(例えば、フランス海岸松、黒松、赤松、ひめこまつ、チョウセンマツ、りゅうきゅう松等)の樹皮、ピーナッツの薄皮、イチョウ、ニセアカシアの果実、コケモモ、ブルーベリー、イチゴ、アボガド、大麦、小麦、大豆、黒大豆、カカオなどに含まれている。また、西アフリカのコーラナッツ、ペルーのラタニアの根にもOPCが含まれていることが知られている。OPCはヒトの体内では生成することができない物質である。
【0012】
本発明に係る腹部冷え症改善剤などの組成物に含有されるプロアントシアニジンとしては、原料の由来あるいは原料の利用部分、製造法、精製法については何ら制限されることなく、上記の樹皮、果実もしくは種子の粉砕物、またはこれらの抽出物のような食品原料を使用して、取り出すことができる。特に松樹皮、さらに好ましくはOPCが豊富に含まれているフランス海岸松樹皮の抽出物を用いることが好ましい。フランス海岸松樹皮はプロアントシアニジンの原料として好ましく用いられる。
【0013】
プロアントシアニジンは、公知の方法[例えば、特公平3−7232号公報に記載の方法あるいは松の樹皮からの抽出法;アール・ダブル・ヘミングウェイ(R.W.Hemingway)ら、フィトケミストリー(Phytochemistry),1983年,第22巻、p.275−281]あるいはそれに準じた方法を採用することによって上記各種植物体から容易に得ることができる。
【0014】
以下、OPCを豊富に含む松樹皮の抽出物を例にあげて、プロアントシアニジンの調製方法を説明する。即ち、松樹皮抽出物は、松樹皮を水または有機溶媒で抽出して得られる。水を用いる場合には、温水または熱水が用いられる。有機溶媒を用いる場合における有機溶媒としては、食品あるいは薬剤製造に許容される有機溶媒が用いられ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、エチレングリコール、グリセリンン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,2−トリクロロエタンなどがあげられる。これらの水および有機溶媒は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。特に、熱水、含水エタノール、含水プロピレングリコールが好適に用いられる。
【0015】
松樹皮からプロアントシアニジンを抽出する方法は、特に限定されないが、例えば、加温抽出法、超臨界流体抽出法などが用いられる。
【0016】
超臨界流体抽出法は、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)などが用いられ、とりわけ二酸化炭素が好適に用いられる。
【0017】
超臨界流体抽出法は、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程および目的成分と超臨界流体とを分離する分離工程からなる。分離工程は、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、または吸着剤、吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
【0018】
また、エントレーナー添加法による超臨界流体抽出を行ってもよい。この方法は、超臨界流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n−ヘキサン、アセトン、トルエンなどを2〜20%程度添加し、得られた抽出流体で超臨界流体抽出を行うことによって、OPCなどの被抽出物の抽出流体に対する溶解度を飛躍的に上昇させる、あるいは分離の選択性を増強させる方法であり、効率的に松樹皮抽出物を得る方法である。
【0019】
松樹皮からの抽出は、上記の方法以外に、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法などにより行ってもよい。
【0020】
以上のようにして得られたプロアントシアニジンは、液状もしくは半固形状の形態で得られるが、このものから抽出溶媒を、減圧留去、スプレードライ、凍結乾燥等の公知の方法によって除去すれば、そのままプロアントシアニジン含有濃縮物や乾燥物として使用することができるものが得られる。さらに精製するには、カラムクロマトグラフィー、向流分配法等の公知の精製手段を採用して、精製の目的を達成することができる。
【0021】
かくて得られたプロアントシアニジンは、水によく溶解し、生体への吸収性が良く、酸性、中性、アルカリ性のいずれの条件においても安定性が高いので、その機能を維持した状態で飲食物に配合することが容易である。また、摂取開始後短期間で効果が期待でき、少量の摂取でも十分な効果を得ることができるため、飲食物としての摂取許容量および摂取形態に制限のある幼児や老人等への食事素材としても利用価値が高い。
【0022】
本発明の腹部冷え症改善剤乃至は腹部冷え症改善用健康食品は、格別の形態のものである必要はなく、摂取可能な形態のものであれば良い。例えば、腹部冷え症改善剤としては、錠剤、ピル、カプセル、顆粒、粉末、散剤、液剤等の固形または溶液の形態のものが挙げられ、これらは公知の方法により適宜調製することができる。即ち、本発明の腹部冷え症改善剤としての固形製剤または液状製剤は、プロアントシアニジンと所望により種々の添加剤とを混合し、従来充分に確立された公知の製剤製法を用いることにより製造される。例えば賦形剤、pH調整剤、清涼化剤、懸濁化剤、希釈剤、消泡剤、粘稠剤、溶解補助剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤または香料などから適宜選択して、混合し、加工した組成物として用いることができる。
【0023】
上記賦形剤としては、例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール或いはキシリトールなどの糖アルコール、ブドウ糖、白糖、乳糖或いは果糖などの糖類、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、リン酸水素カルシウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、βーシクロデキストリン、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、またはメタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0024】
上記pH調整剤としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、リン酸水素ナトリウムまたはリン酸二カリウムなどが挙げられる。
上記清涼化剤としては、例えばl−メントールまたはハッカ水などが挙げられる。
上記懸濁化剤としては、例えば、カオリン、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、メチルセルロースまたはトラガントなどが挙げられる。
上記希釈剤としては、例えば精製水、エタノール、植物油または乳化剤等が挙げられる。
上記消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサンまたはシリコン消泡剤などが挙げられる。
【0025】
上記粘稠剤としては、例えばキサンタンガム、トラガント、メチルセルロースまたはデキストリンなどが挙げられる。
上記溶解補助剤としては、例えばエタノール、ショ糖脂肪酸エステルまたはマクロゴールなどが挙げられる。
上記崩壊剤としては、例えば低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチまたは部分アルファー化デンプンなどが挙げられる。
【0026】
上記結合剤としては、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、プルラン、アルファー化デンプン、カンテン、トラガント、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸プロピレングリコールエステルなどが挙げられる。
【0027】
上記滑沢剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル、セタノール、タルク、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン、ミツロウまたはサラシミツロウなどが挙げられる。
上記抗酸化剤としては、例えばアスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール、アスコルビン酸またはクエン酸などが挙げられる。
【0028】
上記コーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタアクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタートジエチルアミノアセテートまたはセラックなどが挙げられる。
上記着色剤としては、例えばウコン抽出液、リボフラビン、酸化チタンまたはカロチン液などが挙げられる。
【0029】
上記矯味矯臭剤としては、例えばクエン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、果糖、D−ソルビトール、ブドウ糖、サッカリンナトリウム、単シロップ、白糖、ハチミツ、アマチャ、カンゾウ、クエン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、オレンジ油、トウヒチンキ、ウイキョウ油、ハッカまたはメントールなどが挙げられる。
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン、ポリソルベート類、ラウリル硫酸ナトリウム、マクロゴール類またはショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
上記可塑剤としては、例えばクエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、トリアセチンまたはセタノールなどが挙げられる。
上記香料としては、例えば、動物性香料或いは植物性香料等の天然香料、または単離香料或いは純合成香料等の合成香料などが挙げられる。
【0030】
製剤中のプロアントシアニジンの量は、製剤重量に対して、通常約1〜80重量%、好ましくは約2〜50重量%である。
腹部冷え症改善用健康食品の調製は、食品として摂取可能な形態のものであれば良く、固形形状、液体形状、ゼリー状形状等のいずれの形態であっても良い。これら飲食品は、その製造時においてプロアントシアニジンまたは上記プロアントシアニジン含有製剤を配合することにより製造される。例えば、パン、チューインガム、クッキー、チョコレート、シリアル等の固形食品、ジャム、アイスクリーム、ヨーグルト、ゼリー等のジャム状、クリーム状またはゲル状食品、ジュース、コーヒー、ココア、緑茶、ウーロン茶、紅茶等の飲料等あらゆる食品形態にすることが可能である。また、調味料、食品添加物等に配合することもできる。飲食品への配合量は特に限定されないが、プロアントシアニジンとして、通常約0.0001〜80重量%、好ましくは約0.005〜50重量%である。また、特に飲料の場合は、その含有量が1mg/L〜20g/L、好ましくは2mg/L〜10g/Lである。
【0031】
本発明の腹部冷え症改善剤の投与方法は、経口でも非経口であってもよい。また、本発明の腹部冷え症改善剤の投与量は、その剤型、また患者の年令、体重、適応症状などによって異なるが、例えば内服の場合は、成人1日1〜数回、1回量約1〜500mg、好ましくは3〜300mg程度のプロアントシアニジンが摂取できることを目安として投与するのがよい。また健康食品として摂取する場合も、副作用の心配がないことから内服の場合と同等の量を目安として摂取すると良い。
【実施例】
【0032】
以下実施例を記述して、本発明を具体的に詳述するが、これによって本発明が限定されるものではない。
尚、本発明において、核心温である前額深部温及び腹部深部温の測定は、おでこの中心及び鳩尾の局所に深部体温計(コアテンプCM−210 テルモ株式会社製)を適用して測定した。
【0033】
実施例1
フランス海岸松樹皮抽出物(プロアントシアニジンを40重量%以上(OPCとして20重量%以上)含有し、且つカテキンを5重量%以上含有する)を8重量%、乳糖66重量%、結晶セルロース22重量%、ショ糖エステル3重量%、二酸化ケイ素1重量%を乳鉢を用いて混合し、得られた混合物から、日本薬局方記載の錠剤の製法に準じて、1錠の重さが250mgの錠剤を製造した。
【0034】
実施例2
室温(25℃)一定の環境下において、前額深部温及び腹部深部温の測定により、腹部深部温が前額深部温より低い21才から46才の健常女性を7名選び、実施例1で得た錠剤を一人当たり4錠摂取せしめた後、2時間後に再度、前額深部温及び腹部深部温の測定を行い較差の変化量を算出し、腹部冷え症の改善の程度の指標とした。
結果を表1、2及び図1に示した。
【0035】
表1は、実験開始直前の被験者の腹部深部温、前額深部温及びその較差を示す。表2は実施例2に基づく錠剤摂取2時間後の腹部深部温、前額深部温及びその較差を示す。(単位:℃)
【表1】

【0036】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る冷え症改善剤及び冷え症改善剤用健康食品は、冷え症に悩む人々の冷え症を根本から改善することに功を奏するものであり、従って、斯かる分野における産業上利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は表1および表2に記載された実験結果をグラフ化したものである。preは実験開始直前の温度較差を、2hrsは摂取2時間後の温度較差を示す。数字1〜7は被験者番号を示す。図中*は摂取前(実験開始直前)に対する有意差P<0.05を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロアントシアニジンを有効成分として含有することを特徴とする腹部冷え症予防または改善剤。
【請求項2】
プロアントシアニジンが、オリゴメリックプロアントシアニジンであることを特徴とする請求項1記載の腹部冷え症予防または改善剤。
プロアントシアニジン
【請求項3】
プロアントシアニジンが松樹皮由来抽出物であることを特徴とする請求項1記載の腹部冷え症予防または改善剤。
【請求項4】
錠剤、ピル、カプセル、顆粒、粉末、散剤又は液剤の形態であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の腹部冷え症予防または改善剤。
【請求項5】
プロアントシアニジンを有効成分として含有することを特徴とする腹部冷え症予防または改善用健康食品。
【請求項6】
プロアントシアニジンが松樹皮由来抽出物であることを特徴とする請求項5記載の腹部冷え症予防または改善用健康食品。
【請求項7】
健康食品が固形食品、ゲル状食品、又は飲料の形態であることを特徴とする請求項5又は6記載の腹部冷え症予防または改善用健康食品。
【請求項8】
プロアントシアニジンが、オリゴメリックプロアントシアニジンであることを特徴とする請求項5記載の腹部冷え症予防または改善用健康食品。


【図1】
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【公開番号】特開2006−143654(P2006−143654A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−336415(P2004−336415)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000001904)サントリー株式会社 (319)
【Fターム(参考)】