説明

膜ろ過処理装置の運転制御装置および運転支援装置

【課題】複数系列を有する膜ろ過処理装置であっても、前処理装置と排水処理装置まで含めた浄水場の運転費があらかじめ設定した範囲内となるような制御を可能とする運転制御装置を提供すること。
【解決手段】上記課題を達成するために、本発明では、複数系列を有する膜ろ過処理装置の運転制御装置において、前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の膜差圧,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報,前記膜ろ過処理装置の運転費目標値とに基づき、前記膜ろ過処理装置の系列毎の流量配分を計算する運転条件計算部と、流量配分の計算結果に基づき各系列の流量を制御する流量制御装置と、流量配分の計算結果である系列毎の配分流量情報を画面に表示する表示装置とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原水に含まれる濁質や病原性原虫などの分離除去のために設置される浄水場向け膜ろ過処理装置の運転制御装置および運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
膜ろ過処理は、有機物やセラミック等の膜面で濁質や有機物を漉し取り除去する単位操作である。必要とする水量が増減した場合には、ろ過ポンプの圧力調整や起動・停止により対応が可能であり、かつ同水質の処理水を継続して得ることが可能である特徴を持つ。従って、水量変化に対する運転管理が容易である。一方、既存の浄水場に広く適用されている急速ろ過法は、凝集剤と濁質の化学反応とフロック沈降の物理現象を利用しており、必要な処理水量が変わった場合には処理水質が変動する。従って、水量変化に対する運転管理は容易ではなく、現在の多くの浄水場では水量が急変しないよう、できるだけ一定となるように運転計画が策定されている。しかしながら、実際には需要量の日間変動や年間の需要水量変動があるため、一定の幅ではあるが流量を制御する場合がありうる。さらに、今後は夜間電力の積極活用による運転費低減や複数の浄水場の広域連携運転による省エネルギー運転が検討される方向にあり、浄水場ではこれまで以上に流量変動に対応した運転が要求されることが想定される。この点において、膜ろ過処理は急速ろ過法などの処理方式に比べて有利になりつつある。
【0003】
浄水場に導入される膜ろ過処理装置は、一般に複数の処理系列を有する。1つの系列には複数の膜ろ過処理ユニットが備えられ、1つの膜ろ過処理ユニットには複数の膜モジュールが備えられる。それぞれの系列にはろ過ポンプが備えられ、このろ過ポンプを起動/停止することで流量を制御できる。また、定流量弁やろ過ポンプの回転数制御を系列ごとに備えた膜ろ過処理装置も多く見られる。処理系列が1系列の場合には、必要な水量に対する適切な制御方法を決定することは容易である。しかし、複数の処理系列があり、かつ各系列で膜差圧など膜ろ過処理装置の特性条件が異なる場合、各系列の流量と制御方式,制御目標値の最適な組合せを知ることは容易ではない。
【0004】
複数系列を有する膜ろ過処理装置の流量を制御する方式や技術に関しては、UF膜や
MF膜を用いた例としては見当たらない。RO膜を用いた膜ろ過処理装置の運転であれば、例えば非特許文献1の記載がある。これは高圧RO設備の生産水量に関する内容であり、生産水量は高圧ROユニットの運転台数の調整により設定すると述べられている。
【0005】
【非特許文献1】“会社案内”、[高圧RO設備]、協和機電工業株式会社、[平成15年8月8日検索]、インターネット<URL:http://www.kyowa-kk.co.jp/info/prev.asp?fol_id=2463>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の凝集沈殿ろ過処理に比べ、膜ろ過処理は多量の電力を消費する。この中でも膜にろ過圧力を加えるろ過ポンプが消費する電力が大きく、この動力費の低減が運転費抑制につながる。
【0007】
非特許文献1で述べられるように、膜ろ過処理の流量を変更する場合には、運転する系列や台数の増減により対応することが一般的な手段の一つである。しかし、運転系列数の増減による流量制御では、例えば計画水量が少ない場合、利用しない系列が一部生じることになる。すなわち、有効に利用できない膜モジュールが生じるため、非効率である可能性がある。また、定流量弁を用いた流量の制御では、弁での圧力損失が生じ、効率が低下する。回転数制御を用いた流量制御ではインバータでの損失が生じるが、定流量弁より損失は小さい。従って動力費の面では、定流量弁より回転数制御のほうが好ましい。その場合でも、各系列の膜差圧が等しくない場合、あるいは系列の一部の膜ユニットが休止している場合には、各系列に設定すべき最適な流量、および回転数を知る技術はなかった。
【0008】
さらに、回転数制御で各系列の流量を適正化できた場合でも、流量が異なる場合には膜の目詰まり進行状況が異なる。目詰まりは流量が多い系列ほど早く進行する。その結果、逆洗工程への適切な切替タイミングも系列により異なる。しかし、流量が時間的に変化する場合に、ろ過ポンプの動力費を最小とするような逆洗工程への切替タイミングを求める技術はこれまで無かった。
【0009】
このように、膜の目詰まりはろ過する水量の影響を受けるが、これに加えて前処理装置の運転状況の影響も受ける。例えば、前処理装置として凝集処理が用いられる場合がある。その場合、凝集剤注入量がどの程度であれば膜の目詰まりを抑制でき、ろ過ポンプの動力費をどの程度低減できるか、流量が時間的に変化する場合に予測する技術もこれまで無かった。
【0010】
上記では簡単のためろ過ポンプの動力費のみについて述べたが、「運転費」には逆洗ポンプ動力費,循環ポンプ動力費,薬品費,汚泥処分費,膜の薬品洗浄費,膜交換費などの項目が含まれる。従って、これらの項目を全て考慮するためには排水処理装置の運転費も含めた考慮が必要となるが、この点を含めて評価できる技術もこれまで無かった。
【0011】
本発明の目的は上記の従来技術の問題点に鑑み、複数系列を有する膜ろ過処理装置であっても、前処理装置と排水処理装置まで含めた浄水場の運転費があらかじめ設定した範囲内となるような制御を可能とする運転制御装置および運転支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明は、複数系列を有する膜ろ過処理装置の運転制御装置において、前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の膜差圧,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報、前記膜ろ過処理装置の運転費目標値とに基づき、前記膜ろ過処理装置の系列毎の流量配分を計算する運転条件計算部と、流量配分の計算結果に基づき各系列の流量を制御する流量制御装置と、流量配分の計算結果である系列毎の配分流量情報を画面に表示する表示装置とを備えたことを特徴とする。
【0013】
あるいは、複数系列を有する膜ろ過処理装置の運転制御装置において、前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の膜差圧,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報とに基づき、前記膜ろ過処理装置の系列毎の流量配分を求め、前記膜ろ過処理装置のろ過ポンプの動力費を含む運転費を計算し、該運転費と前記膜ろ過処理装置の運転目標値とを比較判定して、前記運転費が前記運転目標範囲内となる条件を計算する運転条件計算部と、流量配分の計算結果に基づき各系列の流量を制御する流量制御装置と、流量配分の計算結果である系列毎の配分流量情報を画面に表示する表示装置とを備えたことを特徴とする。
【0014】
あるいは、複数系列を有する膜ろ過処理装置の運転制御装置において、前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の膜差圧,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報に基づき、前記膜ろ過処理装置の系列毎の流量配分を計算する運転条件計算部と、前記膜ろ過処理装置のろ過ポンプの動力費を含む運転費が、前記膜ろ過処理装置の運転目標範囲内となる条件を抽出する運転条件判定部と、前記運転条件判定部の判定結果に基づき各系列の流量を制御する流量制御装置と、前記運転条件判定部の判定結果である系列毎の配分流量情報を画面に表示する表示装置とを備えたことを特徴とする。
【0015】
あるいは、複数系列を有する膜ろ過処理装置の運転制御装置において、前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報,各系列の前記膜ろ過処理装置の膜差圧および過去からの膜差圧上昇量またはろ過流量の減少量に基づき、逆洗時間とろ過時間を含んだ膜ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の流量配分を計算する運転条件計算部と、前記膜ろ過処理装置のろ過ポンプの動力費を含む運転費が、前記膜ろ過処理装置の運転目標範囲内となる条件を抽出する運転条件判定部と、前記運転条件判定部の判定結果である前記膜ろ過処理装置推奨運転操作量の計算値に基づき、各系列のろ過ポンプと逆洗ポンプの起動と停止を制御するろ過・逆洗制御部と、前記運転条件判定部の判定結果に基づき各系列の流量を制御する流量制御装置と、前記運転条件判定部の判定結果である膜ろ過処理装置推奨運転操作量と系列毎の配分流量情報を画面に表示する表示装置とを備えたことを特徴とする。
【0016】
あるいは、複数系列を有する膜ろ過処理装置の運転制御装置において、前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報,原水の濁度計測値に基づき、逆洗時間とろ過時間を含んだ膜ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の流量配分を計算する運転条件計算部と、前記膜ろ過処理装置のろ過ポンプの動力費を含む運転費が、前記膜ろ過処理装置の運転目標範囲内となる条件を抽出する運転条件判定部と、前記運転条件判定部の判定結果である膜ろ過処理装置推奨運転操作量の計算値に基づき、各系列のろ過ポンプと逆洗ポンプの起動と停止を制御するろ過・逆洗制御部と、前記運転条件判定部の判定結果に基づき各系列の流量を制御する流量制御装置と、前記運転条件判定部の判定結果である膜ろ過処理装置推奨運転操作量と系列毎の配分流量情報を画面に表示する表示装置とを備えたことを特徴とする。
【0017】
あるいは、膜ろ過処理装置の膜差圧上昇を抑制する前処理装置を備え、複数系列を有する前記膜ろ過処理装置の運転制御装置において、前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報,原水の濁度計測値に基づき、前処理装置運転操作量,逆洗時間とろ過時間を含んだ膜ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の流量配分を計算する運転条件計算部と、前記膜ろ過処理装置のろ過ポンプの動力費を含む運転費が、前記膜ろ過処理装置の運転目標範囲内となる条件を抽出する運転条件判定部と、前記運転条件判定部の判定結果である前処理装置運転操作量の計算値に基づき、前記前処理装置の運転を制御する前処理装置制御装置と、前記運転条件判定部の判定結果である膜ろ過処理装置推奨運転操作量の計算値に基づき、各系列のろ過ポンプと逆洗ポンプの起動と停止を制御するろ過・逆洗制御部と、前記運転条件判定部の判定結果である流量配分の計算値に基づき各系列の流量を制御する流量制御装置と、前記運転条件判定部の判定結果である前処理装置運転操作量,ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の配分流量情報を画面に表示する表示装置とを備えたことを特徴とする。
【0018】
あるいは、膜ろ過処理装置の膜差圧上昇を抑制する機能を有する前処理装置と、前記膜ろ過処理装置の逆洗排水を高濁度分と低濁度分に分離する排水処理装置とを備え、複数の系列を有する前記膜ろ過処理装置の運転制御装置において、前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報,原水の濁度計測値に基づき、前処理装置運転操作量,逆洗時間とろ過時間を含んだ膜ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の流量配分,排水処理装置運転操作量を計算する運転条件計算部と、前記膜ろ過処理装置のろ過ポンプの動力費を含む運転費が、前記膜ろ過処理装置の運転目標範囲内となる条件を抽出する運転条件判定部と、前記運転条件判定部の判定結果である前処理装置運転操作量の計算値に基づき、前処理装置の運転を制御する前処理装置制御部と、前記運転条件判定部の判定結果である膜ろ過処理装置推奨運転操作量の計算結果に基づき、各系列のろ過ポンプと逆洗ポンプの起動と停止を制御するろ過・逆洗制御部と、前記運転条件判定部の判定結果である流量配分の計算値に基づき各系列の流量を制御する流量制御装置と、前記運転条件判定部の判定結果である排水処理装置運転操作量の計算値に基づき、排水処理装置の運転を制御する排水処理装置制御部と、前記運転条件判定部の判定結果である前処理装置運転操作量,ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の配分流量情報,排水処理装置運転操作量を画面に表示する表示装置とを備えたことを特徴とする。
【0019】
あるいは、複数系列を有する膜ろ過処理装置の運転支援装置において、前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の膜差圧,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報に基づき、前記膜ろ過処理装置の系列毎の流量配分を計算する運転条件計算部と、前記膜ろ過処理装置のろ過ポンプの動力費を含む運転費が、前記膜ろ過処理装置の運転目標範囲内となる条件を抽出する運転条件判定部と、該運転条件判定部の判定結果である系列毎の配分流量情報を画面に表示する表示装置とを備えたことを特徴とする。
【0020】
あるいは、複数系列を有する膜ろ過処理装置の運転支援装置において、前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報,各系列の前記膜ろ過処理装置の膜差圧および過去からの膜差圧上昇量またはろ過流量の減少量に基づき、逆洗時間とろ過時間を含んだ膜ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の流量配分を計算する運転条件計算部と、前記膜ろ過処理装置のろ過ポンプの動力費を含む運転費が、前記膜ろ過処理装置の運転目標範囲内となる条件を抽出する運転条件判定部と、該運転条件判定部の判定結果である膜ろ過処理装置推奨運転操作量と系列毎の配分流量情報を画面に表示する表示装置とを備えたことを特徴とする。
【0021】
あるいは、複数系列を有する膜ろ過処理装置の運転支援装置において、前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報,原水の濁度計測値に基づき、逆洗時間とろ過時間を含んだ膜ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の流量配分を計算する運転条件計算部と、前記膜ろ過処理装置のろ過ポンプの動力費を含む運転費が、前記膜ろ過処理装置の運転目標範囲内となる条件を抽出する運転条件判定部と、該運転条件判定部の判定結果である膜ろ過処理装置推奨運転操作量と系列毎の配分流量情報を画面に表示する表示装置とを備えたことを特徴とする。
【0022】
あるいは、膜ろ過処理の膜差圧上昇を抑制する機能を有する前処理装置を備え、複数の系列を有する膜ろ過処理装置の運転支援装置において、前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報,原水の濁度計測値に基づき、前処理装置運転操作量,逆洗時間とろ過時間を含んだ膜ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の流量配分を計算する運転条件計算部と、前記膜ろ過処理装置のろ過ポンプの動力費を含む運転費が、前記膜ろ過処理装置の運転目標範囲内となる条件を抽出する運転条件判定部と、該運転条件判定部の判定結果である前処理装置運転操作量,ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の配分流量情報を画面に表示する表示装置とを備えたことを特徴とする。
【0023】
あるいは、膜ろ過処理装置の膜差圧上昇を抑制する機能を有する前処理装置と、前記膜ろ過処理装置の逆洗排水を高濁度分と低濁度分に分離する排水処理装置とを備え、複数の系列を有する前記膜ろ過処理装置の運転支援装置において、前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報,原水の濁度計測値に基づき、前処理装置運転操作量,逆洗時間とろ過時間を含んだ膜ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の流量配分,排水処理装置運転操作量を計算する運転条件計算部と、前記膜ろ過処理装置のろ過ポンプの動力費を含む運転費が、前記膜ろ過処理装置の運転目標範囲内となる条件を抽出する運転条件判定部と、前記運転条件判定部の判定結果である前処理装置運転操作量,ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の配分流量情報,排水処理装置運転操作量を画面に表示する表示装置とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、複数系列を有する膜ろ過処理装置全体としての運転費を低減できるような前処理装置の制御と、膜ろ過処理装置の各系列のろ過ポンプの流量制御およびろ過・逆洗切替制御と、排水処理装置の制御を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
複数系列を有する膜ろ過処理装置であっても、前処理装置と排水処理装置まで含めた浄水場の運転費があらかじめ設定した範囲内となるような制御を可能とするという目的を、簡単な手法で実現した。
【実施例1】
【0026】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各実施例を通して同一の符号は同等のものを示している。
【0027】
図1は本発明の第1の実施例による膜ろ過処理装置の運転制御装置の構成で、複数系列を有する膜ろ過処理装置の各系列の膜差圧情報に基づいた計算により、膜ろ過処理装置の流量を制御する装置の機能ブロック図を示す。
【0028】
各系列の膜ろ過処理装置1における1次側と2次側の圧力計測値の差で求められる各系列膜差圧2の値は、運転条件計算部6に与えられる。運転条件計算部6には、浄水場全体としての計画水量3の値と、各系列膜ろ過処理装置運転/休止情報5が与えられる。これらの値は、オペレータがその都度マンマシンインタフェイスから入力しても良く、あるいは別途存在するソフトウェアやハードウェアの出力値として与えられても良い。運転条件計算部6では、後述するアルゴリズムを用いて運転条件に対する運転費が計算される。この計算結果である運転条件と運転費計算結果20は、運転条件判定部16に与えられる。運転条件判定部16には、運転費目標範囲4の値が与えられ、運転費目標範囲4を満足する運転条件と運転費計算結果20を抽出する。抽出した結果のうち、系列ごとの流量配分7の値は、表示装置8と各系列の流量制御装置9に与えられる。表示装置8は系列ごとの流量配分7の値、あるいは系列ごとの流量配分7の値を比率に換算した値を画面に表示する。各系列の流量制御装置9は、系列ごとの流量配分7の値に基づき、各系列の膜ろ過処理装置1の流量を制御する。
【0029】
運転条件計算部6と運転条件判定部16において、系列ごとの流量配分7の値を計算する手法の一例を以下に述べる。
【0030】
懸濁物質を含む水をろ過する場合、流束Jv(m/s)は次式で与えられる。
【0031】
(数1)
Jv=ΔP/(μ・(Rm+Rc)) …(1)
【0032】
(数2)
Q=A・Jv …(2)
ここで、Jv:ろ過流束(m/s),A:膜面積(m2),ΔP:ろ過時の膜差圧(Pa),μ:水の粘性係数(Pa・s),Rm:膜のろ過抵抗(1/m),Rc:ケーク抵抗
(1/m),Q:ろ過流量(m3/s)である。
【0033】
式(1)と式(2)からJvを消去すると、式(3)が得られる。
【0034】
(数3)
ΔP=μ・(Rm+Rc)・Q/A …(3)
一般に、ポンプの動力は送液流量とヘッド(吐出圧)に比例し、式(4)で計算される。
【0035】
(数4)
kW=0.163・γ・W・H/(η1・η2) …(4)
ここで、kW:ポンプ所要動力(kW),γ:液比重(g/m3),W:送液流量(m3/min),H:ヘッド(kg/cm2),η1:電動機効率(−),η2:ポンプ効率(−)である。
【0036】
式(3)のQを式(4)のWに、式(3)のΔPを式(4)のHに単位換算し、係数をCとおくと式(5)が導出される。
【0037】
(数5)
kW=C・Q2 …(5)
ここで、C:係数(kW・s2/m6)であり、この値は(Rm+Rc)の値に比例し、膜面積Aの値に反比例する。この式(5)に示すように、膜ろ過で消費されるろ過ポンプの動力は流量の二乗に比例することが分かる。
【0038】
係数CにはRmおよびRcが含まれているため、膜ろ過処理装置,膜ろ過処理ユニット,膜ろ過処理モジュールが異なると値が異なる。また、Rcの値はろ過工程や逆洗工程に伴い経時的に変化するため、Cの値は時間的にも値が変わる。さらに、Cには水の粘性係数μや液比重γが含まれているため、水温が変化しても値が変化する。
【0039】
今、図2で示すように4系列から構成される膜ろ過処理装置を想定する。これが図1の膜ろ過処理装置1に相当する。ある時刻での各系列の流量をQ1,Q2,Q3,Q4とする。系列1のろ過ポンプにおいて消費される動力kW1は式(6)で示される。
【0040】
(数6)
kW1=C1・Q12 …(6)
同様にして、系列2から系列4までの動力も求められる。各系列膜差圧2の比率がa1:a2:a3:a4であった場合、係数C1,C2,C3,C4の比率もa1:a2:a3:a4となる。従って、全系列で消費される動力の総和は次式で表される。
【0041】
(数7)
kWtotal=C1・Q12+C2・Q22+C3・Q32+C4・Q42
=C0・(a1・Q12+a2・Q22+a3・Q32+a4・Q42) …(7)
ここで、kWtotal:全系列で消費される動力の総和(kW)、C0:定数(kW・s2/m6)である。これに対し、この膜ろ過処理装置の計画水量をQtotal(m3/s)とすると、次式が成立する。
【0042】
(数8)
total=Q1+Q2+Q3+Q4 …(8)
通常、浄水場では需要予測の値などに基づき計画水量Qtotal が定められる。これが図1の計画水量3に相当する。この計画水量Qtotal を確保した上で、ろ過ポンプの動力費を含んだ運転費をできるだけ低くすることが施設を運転する側からは望ましい。運転費にはろ過ポンプの動力費のほかに、逆洗ポンプの動力費,膜の薬品洗浄費,膜の交換費,逆洗時に添加する薬品費なども含まれ得るが、以下では簡単のためろ過ポンプの動力費を運転費の評価指標とした実施例について述べる。なお、動力費は動力に費用原単位である電力量料金単価を乗じた値で求められ、動力費は動力と比例関係にあるとする。
【0043】
ろ過ポンプの動力をできるだけ抑制する条件を得るためには、式(8)の制約条件下で式(7)のkWtotal の値を最小化できるようQ1〜Q4の配分を決定する最適化演算を実施する必要がある。運転条件計算部6には、上記計算式と最適化演算を実施するモジュールが組み込まれる。最適化演算のアルゴリズムとしては総当り法,遺伝アルゴリズム,非線形計画法,最急勾配法などの数学的手段を使っても良いし、あらかじめ設定した複数の運転パターンから最適な1つを選択する手段でも良い。以下、具体的な数値を用いて最適化演算を実施した結果を記す。
いま、系列1と系列2の膜差圧に対し、系列3と系列4の膜差圧が1.3 倍であった場合を想定する。すなわち、a1〜a4の値が1.0,1.0,1.3,1.3であるとする。最も簡単な流量制御として、各系列の流量を等しく設定した場合の動力の総和は、式(7)から0.288・C0・Qtotal2と求められる。これに対し、流量の最適化計算を総当り法によって実施した。
【0044】
動力費が最小となる条件を探索する最適化演算フローの一例を図3に示す。最適化すべき変数はQ1〜Q4の4つであり、ここではそれぞれの値をQtotal の1/100ずつ変更して動力総和kWtotalを計算する。総当り法の例であるので、試行するQ1の値は0〜
total,Q2〜Q3の値も0〜Qtotalとなり、今回のフローでの計算回数は1004 回となる。より高速に解を得る必要がある場合には、この他の最適化計算手法を選択することが望ましい。図3ではループ計算に用いる中間変数として、Q1_tmp〜Q4_tmpを用いた。ボックス(a)の比較演算において、より小さい値のkWtotal が得られれば、その都度ボックス(b)の処理演算においてkWtotalとQ1_tmp〜Q4_tmpを、最小値sum_minおよびその最小値を与えるQ1_min〜Q4_minに置換する。このような手順をQ1〜Q4のとりうる全条件に対して反復することで、最終的に動力費が最小となる条件を得ることができる。
【0045】
本フローに従って動力費が最小となる条件を探索した結果、Q1_min=0.283・
total,Q2_min=0.283・Qtotal,Q3_min=0.217・Qtotal,Q4_min
0.217・Qtotal、との値が求められた。これが図1で示した系列ごとの流量配分7の値に相当する。この場合の動力の総和は0.283・C0・Qtotal2となり、ろ過ポンプの動力を1.7% 低減できる。膜ろ過モジュールには適正な使用流量範囲が定められているのが一般的であり、その制約条件やインバータ効率および使用可能範囲も加味して流量の適正化計算を実施することになる。
【0046】
このように求められた系列ごとの流量配分7の値は流量制御装置9に与えられ、実際の運転制御が実施される。流量制御装置としては、高効率にポンプの回転数制御を実施できる装置、例えばインバータ装置が望ましい。
【0047】
また、膜破断やメンテナンスのため、系列の膜ろ過処理ユニットを1ユニットだけ休止するなどのケースが現実的にはありうる。これは、図1の各系列膜ろ過処理装置運転/休止情報5として与えられる。系列1において、系列1に備えられた膜ろ過処理ユニット全体の膜面積に対し、系列1で運転可能な膜ろ過処理ユニットの膜面積の割合をn(−)とすると、式(7)は次式に変形できる。
【0048】
(数9)
kWtotal=C1・n・Q12+C2・Q22+C3・Q32+C4・Q42
=C0・(a1・Q12/n+a2・Q22+a3・Q32+a4・Q42)…(9)
いま、系列1に5つの膜ろ過処理ユニットがあり、そのうち1ユニットが休止状態であるとする。すなわち、n1=0.8とする。最も簡単な流量制御として、各系列の流量を等しく設定した場合の動力の総和は、式(7)から0.266・C0・Qtotal2と求められた。これに対し、流量の適正化計算を実施した結果、Q1=0.211・Qtotal,Q2
0.263・Qtotal,Q3=0.263・Qtotal,Q4=0.263・Qtotal、 との値が求められた。この場合の動力の総和は0.263・C0・Qtotal2となり、流量を適正化することでろ過動力を1.0%低減できた。
【0049】
次に、計画水量が季節や時間ごとに変化する場合を考える。例えば計画水量を膜全体での定格値の75%に減らした場合を考える。最も簡単な流量制御として、4系列ある膜ろ過処理装置のうち1系列を停止し、3系列のみを運転する方法がある。a1〜a4の値を全て等しく1.0として、系列1の流量Q1=0とした計算を実施すると、動力の総和は
0.188・C0・Qtotal2と求められた。これに対し、流量の適正化計算を実施した結果、全ての系列を用いる場合の動力の総和が最も小さく、Q1=0.1875・Qtotal,Q2=0.1875・Qtotal,Q3=0.1875・Qtotal,Q4=0.1875・Qtotal、との値が求められた。この場合の動力の総和は0.141・C0・Qtotal2となり、流量を適正化することでろ過動力を25%低減できた。
【0050】
以上の例では、ろ過ポンプの動力を最小化する計算結果について述べた。この内容をまとめて図4に示す。
【0051】
ろ過動力は最小値でなくても、その近傍の値が得られる運転条件であれば現実的に問題の無い場合も多いため、その範囲に関する情報を運転費目標範囲4として運転条件判定部16に与える。動力費が目標範囲内となる条件を探索する最適化演算フローの一例を図5に示す。図3との違いは、ボックス(c)(d)(e)にて変数flagを有する点、ボックス(f)での判定条件、ボックス(g)での演算処理、ボックス(h)(i)での結果表示である。ここで、変数flagは初期値を0としている。目標範囲内となる条件が1つでも存在すれば、変数flagの値は1となり、ボックス(g)や(i)の処理を実行する。逆に、目標範囲内となる条件が1つも存在しない場合には、ボックス(h)の処理を実行し、目標範囲の最小値Z1と最大値Z2の値を変更するメッセージを表示する。
【0052】
図6に表示装置8の画面例を示す。表示装置8には系列ごとの流量配分7の値、あるいは系列ごとの流量配分7の値を比率に換算した値が示される。表示装置の具体的な実現手段としては、PC,計装盤,グラフィックパネル,情報携帯端末,携帯電話のいずれでも良い。
【0053】
以上の構成により、第1の実施例では複数系列を有する膜ろ過処理装置の各系列の膜差圧情報に基づき、ろ過に必要な動力を目標範囲内に抑制できるような流量分配条件を計算して各系列の流量を制御するとともに、その制御値を操作員に提示することが可能となる。
【実施例2】
【0054】
図7は本発明の第2の実施例による膜ろ過処理装置の運転制御装置の構成で、複数系列を有する膜ろ過処理装置の各系列の膜差圧情報に基づいた計算により、膜ろ過処理装置の各系列の流量とろ過・逆洗工程の切替えを制御する装置の機能ブロック図を示す。
【0055】
第1の実施例と異なり、運転条件計算部6には膜ろ過処理装置1から、過去からの差圧上昇量あるいはろ過流量減少量10が与えられる。また、運転条件判定部16からは膜ろ過処理装置推奨運転操作量11が出力され、表示装置8とろ過・逆洗制御部12に与えられる。ろ過・逆洗制御部12は膜ろ過処理装置推奨運転操作量11に基づいてろ過・逆洗ポンプ起動/停止信号13を膜ろ過処理装置1に与える。それ以外の点については第1の実施例と同様の機能を有する。
【0056】
式(1)で示したケーク抵抗Rcの値は、ろ過工程の開始後次第に増大する。このケーク蓄積現象を簡単な式で表すと式(10)となる。
【0057】
(数10)
dRc/dt=c・Jv …(10)
ここで、c:単位ろ液量に含まれるケーク抵抗成分比率(1/m2)である。
【0058】
単位ろ液量に含まれるケーク抵抗成分比率cは、異なった2時刻の動力費とその場合の流束Jvあるいはろ過流量の変化と式(10)に基づき決定することができる。すなわち図7の、過去からの差圧上昇量またはろ過流量減少量10の情報により決定することができる。
【0059】
式(10),式(2),式(3),式(4)から、ろ過ポンプで消費される動力は流量の関数として次式で示される。
【0060】
【数11】

ここで、kWf:ろ過ポンプの消費動力(kW),D:比例係数である。
【0061】
次に、逆洗モデルを式(12),式(13)のように仮定する。
【0062】
(数12)
Jvb=ΔPb/(μ・Rm) …(12)
【0063】
(数13)
Qb=A・Jvb …(13)
ここで、Jvb:逆洗流束(m/s),ΔPb:逆洗時の膜差圧(Pa),Qb:逆洗流量(m3/s )である。また、逆洗を開始した瞬間に膜面のケークが全量剥離すると仮定した。式(12)と式(13)からJvbを消去すると式(14)が得られる。
【0064】
(数14)
ΔPb=μ・Rm・Qb/A …(14)
従って、逆洗ポンプで消費される動力は逆洗流量Qbの二次関数として次式で示される。
【0065】
(数15)
kWb=D・Qb2・Rm …(15)
1サイクルにおけるろ過時間をtf、逆洗時間をtbとすると、ろ過工程と逆洗工程から構成される1サイクルでの実ろ過流量Qrealは式(16)で示される。
【0066】
【数16】

式(16)の実ろ過流量を得るために消費される動力kWsumは式(11)と式(15)の和となる。
【0067】
【数17】

式(16)と式(17)は、ろ過時間tf,逆洗時間tb,ろ過ポンプの流量Q,逆洗ポンプの流量Qbにより値が変動する。これらのうち、逆洗ポンプの流量Qb以外の項目は運転操作量として調整でき場合が多い。そこで、式(17)で示される動力kWsum の全系列での和kWtotal を評価指標として、各系列のろ過時間tf,逆洗時間tb,ろ過ポンプの流量Qの値を最適化する最適化演算アルゴリズムを運転条件計算部6に備える。ただし、制約条件として式(16)の各系列の値の総和が、式(8)に示す膜ろ過処理装置での計画水量の総和Qtotalを満足することが必要である。
【0068】
最適化演算アルゴリズムには総当り法,遺伝アルゴリズム,非線形計画法,最急勾配法などの数学的手段を使っても良いし、あらかじめ設定した複数の運転パターンから最適な1つを選択する手段でも良い。上記実施例では少なくともろ過時間tfと逆洗時間tbとろ過ポンプの流量Qを適正化する一例を示したが、本発明の範囲はこのアルゴリズムに限定されない。過去の実績運転データを用いて同様の指標、すなわち実ろ過流量と動力を算出し、そのデータを基にろ過時間tf,逆洗時間tb,ろ過ポンプの流量Qを適正化するアルゴリズムを用いても良い。
【0069】
運転条件判定部16の出力のうち、各系列のろ過時間tf,逆洗時間tbは膜ろ過処理装置推奨運転操作量11として、ろ過・逆洗制御部12に与えられる。ろ過・逆洗制御部12にはスイッチが含まれており、ろ過・逆洗ポンプ起動/停止信号13を膜ろ過処理装置に与えてろ過ポンプと逆洗ポンプの制御を実施する。膜ろ過処理装置推奨運転操作量
11は表示装置8にも与えられる。運転条件判定部16の出力のうち、ろ過ポンプの流量Qは系列ごとの流量配分7として、表示装置8と流量制御装置9に与えられる。
【0070】
以上の構成により、第2の実施例では、複数系列を有する膜ろ過処理装置の各系列の膜差圧情報に基づき、必要な動力を目標範囲内に抑制できるような流量分配条件とろ過・逆洗工程の切替条件を計算して各系列の流量とろ過・逆洗工程の切替えを制御するとともに、その制御値を操作員に画面上で提示することが可能となる。
【実施例3】
【0071】
図8は本発明の第3の実施例による膜ろ過処理装置の運転制御装置の構成で、複数系列を有する膜ろ過処理装置の各系列の膜差圧情報と原水水質の情報に基づいた計算により、膜ろ過処理装置の各系列の流量とろ過・逆洗工程の切替えを制御する装置の機能ブロック図である。
【0072】
第2の実施例と異なり、運転条件計算部6の入力情報として、過去からの差圧上昇量またはろ過流量減少量10ではなく、原水濁度14の情報を用いる。それ以外の点については第2の実施例と同様の機能を有する。
【0073】
第2の実施例では、過去からの差圧上昇量またはろ過流量減少量10を用いてパラメータを同定したが、第3の実施例では単位ろ液量に含まれるケーク抵抗成分比率cの値を原水水質の情報に基づいて求める。このcの値は原水濁度14や、有機物,溶解性Mn濃度の影響を受ける。Cの値は、例えば原水濁度14の値をTu0 として式(18)で示される。
【0074】
(数18)
c=k5・Tu0 …(18)
あるいは、膜ろ過水の濁度をTufとすると式(19)で示され、このほうがより正確である。
【0075】
(数19)
c=k5・(Tu0−Tuf) …(19)
紫外線吸光度E260やTOCとして計測した有機物濃度の指標や溶解性Mn濃度との相関関係を使い、cの値を推算することも良い。これ以外の水質項目や水温、pHなどによってもcの値が異なることもあるが、その場合には係数k5の同定で対応可能である。このようにして、式(11)から式(17)までを第2の実施例と同様に計算することができる。
【0076】
以上の構成により、第3の実施例では、複数系列を有する膜ろ過処理装置の各系列の膜差圧情報と原水水質の情報に基づき、必要な動力を目標範囲内に抑制できるような流量分配条件とろ過・逆洗工程の切替条件を計算し、各系列の流量とろ過・逆洗工程の切替えを制御するとともに、その制御値を操作員に画面上で提示することが可能となる。
【実施例4】
【0077】
図9は本発明の第4の実施例による膜ろ過処理装置の運転制御装置の構成で、複数系列を有する膜ろ過処理装置の各系列の膜差圧情報と原水水質の情報に基づいた計算により、膜ろ過処理装置の各系列の流量とろ過・逆洗工程の切替えとその前段の前処理装置の運転を制御する装置の機能ブロック図である。
【0078】
第3の実施例と異なり、運転条件判定部16からは前処理装置運転操作量15が出力され、前処理装置17が制御される機能が付加される。原水濁度14は前処理装置17へ流入する原水の情報として取り扱う。それ以外の点については第3の実施例と同様の機能を有する。
【0079】
膜ろ過処理装置1は単独で用いられることもあるが、原水を河川など表流水から取水している浄水場の場合には、凝集処理,凝集沈殿処理,凝集沈殿ろ過処理,高速繊維ろ過処理など、膜ろ過処理の膜差圧上昇を抑制する機能を有する前処理装置17と組合せて用いられることが多い。
【0080】
濁質は前処理装置17でも膜ろ過処理装置1でも除去できるため、前処理装置17で十分除去して膜ろ過処理装置1の負荷を低減する方法や、前処理装置17の処理を軽減し、膜ろ過処理装置1に負荷をかける方法など運転方法の選択肢がありうる。第4の実施例は、膜ろ過処理装置の各系列の流量とろ過・逆洗工程の切替えに加え、前処理装置17と膜ろ過処理装置1の負荷配分を適正化して、浄水場全体の処理費用の合計をあらかじめ設定した範囲内に抑制するものである。
【0081】
前処理装置運転操作量15を出力するため、運転条件計算部6の中には膜ろ過処理装置1の処理を模擬するアルゴリズムが備えられる。この中身はあらかじめ蓄積していたテーブルに基づいて計算するアルゴリズムでも良いし、物理化学現象をモデル化したシミュレータによる計算アルゴリズムでも良い。前処理装置17の処理を模擬するアルゴリズムの出力は、前処理装置の処理費用と前処理後の水の水質条件である。前処理後の水の水質条件の計算結果はその後段の膜ろ過処理装置の計算アルゴリズムに与えられ、練成計算が実施される。一方、前処理装置の処理費用は膜ろ過処理装置の処理費用と合算され、運転費目標範囲4を満足する費用であるかを運転条件判定部16にて判定する。
【0082】
以上の構成により、第4の実施例では、原水水質の情報と、複数系列を有する膜ろ過処理装置の各系列の膜差圧情報に基づき、運転費を目標範囲内に抑制できるような前処理装置の運転条件と、膜ろ過処理装置の流量分配条件とろ過・逆洗工程の切替条件を計算し、前処理装置の運転操作量、膜ろ過処理装置の各系列の流量とろ過・逆洗工程の切替えを制御するとともに、それぞれの制御値を操作員に画面上で提示することが可能となる。
【実施例5】
【0083】
図10は本発明の第5の実施例による膜ろ過処理装置の運転制御装置の構成で、複数系列を有する膜ろ過処理装置の各系列の膜差圧情報と原水水質の情報に基づいた計算により、膜ろ過処理装置の各系列の流量とろ過・逆洗工程の切替えとその前段の前処理装置の運転と排水処理装置の運転を制御する装置の機能ブロック図である。
【0084】
第4の実施例と異なり、運転条件判定部16から排水処理装置運転操作量18が出力され、排水処理装置19が制御される機能が付加される。それ以外の点については第4の実施例と同様の機能を有する。
【0085】
膜ろ過処理装置1の逆洗工程では、高濁度の逆洗排水が発生する。この排水は排水処理装置19により高濁度分と低濁度分の排水に分離処理されることが一般的である。このうち低濁度分の排水は原水あるいは前処理水あるいは膜ろ過水に混合される。一方、高濁度分は濃縮・脱水工程を経た汚泥となり、産業廃棄物として廃棄処分されることが多い。
【0086】
汚泥の主要成分は原水に含まれる粒子、例えば濁質が中心的であるが、前処理装置17で凝集剤を用いる場合、汚泥に凝集剤が無視できない割合で含まれる。従って運転費として汚泥処分費まで考慮する場合には、前処理装置17の運転条件と膜ろ過処理装置1の運転条件を排水処理装置19の運転条件と練成した計算が必要となる。第5の実施形態は、膜ろ過処理装置の各系列の流量とろ過・逆洗工程の切替えに加え、前処理装置17と膜ろ過処理装置1と排水処理装置19の負荷配分を適正化して、浄水場全体の処理費用の合計をあらかじめ設定した範囲内に抑制するものである。
【0087】
排水処理装置運転操作量18を出力するため、運転条件計算部6の中には排水処理装置19の処理を模擬するアルゴリズムが備えられる。この中身はあらかじめ蓄積していたテーブルに基づいて計算するアルゴリズムでも良いし、物理化学現象をモデル化したシミュレータによる計算アルゴリズムでも良い。アルゴリズムの出力項目は汚泥処分費を含む処理費用である。この処理費用は前処理装置の処理費用、および膜ろ過処理装置の処理費用と合算され、運転費目標範囲4を満足できる費用であるか運転条件判定部16において判定される。
【0088】
以上の構成により、第5の実施例では、原水水質の情報と、複数系列を有する膜ろ過処理装置の各系列の膜差圧情報の情報に基づき、運転費を目標範囲内に抑制できるような前処理装置の運転条件と、膜ろ過処理装置の流量分配条件とろ過・逆洗工程の切替条件と、排水処理装置の運転条件を計算し、前処理装置の運転操作量、膜ろ過処理装置の各系列の流量とろ過・逆洗工程の切替え、排水処理装置の運転操作量を制御するとともに、それぞれの制御値を操作員に画面上で提示することが可能となる。
【実施例6】
【0089】
図11は本発明の第6の実施例による膜ろ過処理装置の運転支援装置の構成で、複数系列を有する膜ろ過処理装置の各系列の膜差圧情報に基づいた計算により、膜ろ過処理装置の流量配分を計算して表示する装置の機能ブロック図を示す。
【0090】
第1の実施例と異なり、運転条件判定部16から出力される系列ごとの流量配分7の情報は表示装置8のみに与えられ、自動制御は実施せず、操作員に計算結果を示す機能のみに限定される。それ以外の点については第1の実施の形態と同様の機能を有する。また、自動制御は実施しないため、膜ろ過処理装置1から与えられる各系列膜差圧2は直接回線などで与えられる必要はなく、オペレータがキーボードから入力することでも良い。さらに、運転支援装置であるため、単に適正な運転条件を出力するのみではなく、その都度オペレータが入力した設定値に対する運転費を表示する機能が付加されていることが望ましい。
【0091】
図12に表示装置8の画面例を示す。表示装置8には系列ごとの流量配分7の値、あるいは系列ごとの流量配分7の値を比率に換算した値が示される。表示装置の具体的な実現手段としては、PC,計装盤,グラフィックパネル,情報携帯端末,携帯電話のいずれでも良い。
【0092】
以上の構成により、第6の実施例では複数系列を有する膜ろ過処理装置の各系列の膜差圧情報に基づき、ろ過に必要な動力を目標範囲内に抑制できるような流量分配条件を計算し、その条件を操作員に提示することが可能となる。
【実施例7】
【0093】
図13は本発明の第7の実施例による膜ろ過処理装置の運転支援装置の構成で、複数系列を有する膜ろ過処理装置の各系列の膜差圧情報に基づいた計算により、膜ろ過処理装置の各系列の流量配分とろ過・逆洗工程の切替えを計算して表示する装置の機能ブロック図を示す。
【0094】
第2の実施例と異なり、運転条件判定部16から出力される系列ごとの流量配分7の情報と膜ろ過処理装置推奨運転操作量11は表示装置8のみに与えられ、自動制御は実施せず、操作員に計算結果を示す機能のみに限定される。それ以外の点については第2の実施例と同様の機能を有する。また、自動制御は実施しないため、膜ろ過処理装置1から与えられる各系列膜差圧2は直接回線などで与えられる必要はなく、オペレータがキーボードから入力することでも良い。さらに、運転支援装置であるため、単に適正な運転条件を出力するのみではなく、その都度オペレータが入力した設定値に対する運転費を表示する機能が付加されていることが望ましい。
【0095】
以上の構成により、第7の実施例では、複数系列を有する膜ろ過処理装置の各系列の膜差圧情報に基づき、必要な動力を目標範囲内に抑制できるような流量分配条件とろ過・逆洗工程の切替条件を計算し、その条件を操作員に提示することが可能となる。
【実施例8】
【0096】
図14は本発明の第8の実施例による膜ろ過処理装置の運転支援装置の構成で、複数系列を有する膜ろ過処理装置の各系列の膜差圧情報と原水水質の情報に基づいた計算により、膜ろ過処理装置の各系列の流量配分とろ過・逆洗工程の切替えを計算して表示する装置の機能ブロック図である。
【0097】
第3の実施例と異なり、運転条件判定部16から出力される系列ごとの流量配分7の情報と膜ろ過処理装置推奨運転操作量11は表示装置8のみに与えられ、自動制御は実施せず、操作員に計算結果を示す機能のみに限定される。それ以外の点については第3の実施例と同様の機能を有する。また、自動制御は実施しないため、膜ろ過処理装置1から与えられる各系列膜差圧2は直接回線などで与えられる必要はなく、オペレータがキーボードから入力することでも良い。さらに、運転支援装置であるため、単に適正な運転条件を出力するのみではなく、その都度オペレータが入力した設定値に対する運転費を表示する機能が付加されていることが望ましい。
【0098】
以上の構成により、第8の実施例では、複数系列を有する膜ろ過処理装置の各系列の膜差圧情報と原水水質の情報に基づき、必要な動力を目標範囲内に抑制できるような流量分配条件とろ過・逆洗工程の切替条件を計算し、その条件を操作員に提示することが可能となる。
【実施例9】
【0099】
図15は本発明の第9の実施例による膜ろ過処理装置の運転支援装置の構成で、複数系列を有する膜ろ過処理装置の各系列の膜差圧情報と原水水質の情報に基づいた計算により、膜ろ過処理装置の各系列の流量とろ過・逆洗工程の切替えと前段に設けられた前処理装置の運転操作量を計算して表示する装置の機能ブロック図である。
【0100】
第4の実施例と異なり、運転条件判定部16から出力される系列ごとの流量配分7の情報と膜ろ過処理装置推奨運転操作量11と前処理装置運転操作量15は表示装置8のみに与えられ、自動制御は実施せず、操作員に計算結果を示す機能のみに限定される。それ以外の点については第4の実施例と同様の機能を有する。また、自動制御は実施しないため、膜ろ過処理装置1から与えられる各系列膜差圧2は直接回線などで与えられる必要はなく、オペレータがキーボードから入力することでも良い。さらに、運転支援装置であるため、単に適正な運転条件を出力するのみではなく、その都度オペレータが入力した設定値に対する運転費を表示する機能が付加されていることが望ましい。
【0101】
以上の構成により、第9の実施例では、原水水質の情報と、複数系列を有する膜ろ過処理装置の各系列の膜差圧情報の情報に基づき、運転費を目標範囲内に抑制できるような前処理装置の運転条件と、膜ろ過処理装置の流量分配条件とろ過・逆洗工程の切替条件を計算し、その条件を操作員に提示することが可能となる。
【実施例10】
【0102】
図16は本発明の第10の実施例による膜ろ過処理装置の運転支援装置の構成で、複数系列を有する膜ろ過処理装置の各系列の膜差圧情報と原水水質の情報に基づいた計算により、膜ろ過処理装置の各系列の流量とろ過・逆洗工程の切替えとその前段の前処理装置の運転操作量と排水処理装置の運転操作量を計算して表示する装置の機能ブロック図である。
【0103】
第5の実施例と異なり、運転条件判定部16から出力される系列ごとの流量配分7の情報と膜ろ過処理装置推奨運転操作量11と前処理装置運転操作量15と排水処理装置運転操作量18は表示装置8のみに与えられ、自動制御は実施せず、操作員に計算結果を示す機能のみに限定される。それ以外の点については第5の実施の形態と同様の機能を有する。また、自動制御は実施しないため、膜ろ過処理装置1から与えられる各系列膜差圧2は直接回線などで与えられる必要はなく、オペレータがキーボードから入力することでも良い。さらに、運転支援装置であるため、単に適正な運転条件を出力するのみではなく、その都度オペレータが入力した設定値に対する運転費を表示する機能が付加されていることが望ましい。
【0104】
以上の構成により、第10の実施の形態では、原水水質の情報と、複数系列を有する膜ろ過処理装置の各系列の膜差圧情報の情報に基づき、運転費を目標範囲内に抑制できるような前処理装置の運転条件と、膜ろ過処理装置の流量分配条件とろ過・逆洗工程の切替条件と、排水処理装置の運転条件を計算し、その条件を操作員に提示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の第1の実施例を示し、複数系列を有する膜ろ過処理装置の流量を制御する装置の機能ブロック図。
【図2】4系列を有する膜ろ過処理装置の説明図。
【図3】総当り法による流量の最適化演算フロー図(運転費最小化条件探索)。
【図4】膜ろ過処理装置の流量制御に対する計算結果の一覧表。
【図5】総当り法による流量の最適化演算フロー図(設定運転費範囲内条件探索)。
【図6】膜ろ過処理装置の流量を制御する装置の画面出力例を示す説明図。
【図7】本発明の第2の実施例を示し、複数系列を有する膜ろ過処理装置の流量とろ過・逆洗工程の切替えを制御する装置の機能ブロック図。
【図8】本発明の第3の実施例を示し、原水水質の情報に基づき、複数系列を有する膜ろ過処理装置の流量とろ過・逆洗工程の切替えを制御する装置の機能ブロック図。
【図9】本発明の第4の実施例を示し、複数系列を有する膜ろ過処理装置の流量とろ過・逆洗工程の切替えとその前段の前処理装置の運転を制御する装置の機能ブロック図。
【図10】本発明の第5の実施例を示し、複数系列を有する膜ろ過処理装置の流量とろ過・逆洗工程の切替えとその前段の前処理装置の運転と排水処理装置の運転を制御する装置の機能ブロック図。
【図11】本発明に第6の実施例を示し、複数系列を有する膜ろ過処理装置の流量制御を支援する装置の機能ブロック図。
【図12】膜ろ過処理装置の流量制御を支援する装置の画面出力例を示す説明図。
【図13】本発明の第7の実施例を示し、複数系列を有する膜ろ過処理装置の流量とろ過・逆洗工程の切替制御を支援する装置の機能ブロック図。
【図14】本発明の第8の実施例を示し、原水水質の情報に基づき、複数系列を有する膜ろ過処理装置の流量とろ過・逆洗工程の切替制御を支援する装置の機能ブロック図。
【図15】本発明の第9の実施例を示し、複数系列を有する膜ろ過処理装置の流量とろ過・逆洗工程の切替えとその前段の前処理装置の運転制御を支援する装置の機能ブロック図。
【図16】本発明の第10の実施例を示し、複数系列を有する膜ろ過処理装置の流量とろ過・逆洗工程の切替えとその前段の前処理装置の運転と排水処理装置の運転制御を支援する装置の機能ブロック図。
【符号の説明】
【0106】
1…膜ろ過処理装置、2…各系列膜差圧、3…計画水量、4…運転費目標範囲、5…各系列膜ろ過処理装置運転/休止情報、6…運転条件計算部、7…系列ごとの流量配分、8…表示装置、9…流量制御装置、10…過去からの差圧上昇量またはろ過流量減少量、
11…膜ろ過処理装置推奨運転操作量、12…ろ過・逆洗制御部、13…ろ過・逆洗ポンプ起動/停止信号、14…原水濁度、15…前処理装置運転操作量、16…運転条件判定部、17…前処理装置、18…排水処理装置運転操作量、19…排水処理装置、20…運転条件と運転費計算結果。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数系列を有する膜ろ過処理装置の運転制御装置において、
前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の膜差圧,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報に基づき、前記膜ろ過処理装置の系列毎の流量配分を計算する運転条件計算部と、
前記膜ろ過処理装置のろ過ポンプの動力費を含む運転費が、前記膜ろ過処理装置の運転目標範囲内となる条件を抽出する運転条件判定部と、
前記運転条件判定部の判定結果に基づき各系列の流量を制御する流量制御装置と、
前記運転条件判定部の判定結果である系列毎の配分流量情報を画面に表示する表示装置とを備えたことを特徴とする膜ろ過処理装置の運転制御装置。
【請求項2】
複数系列を有する膜ろ過処理装置の運転制御装置において、
前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報,各系列の前記膜ろ過処理装置の膜差圧および過去からの膜差圧上昇量またはろ過流量の減少量に基づき、逆洗時間とろ過時間を含んだ膜ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の流量配分を計算する運転条件計算部と、
前記膜ろ過処理装置のろ過ポンプの動力費を含む運転費が、前記膜ろ過処理装置の運転目標範囲内となる条件を抽出する運転条件判定部と、
前記運転条件判定部の判定結果である前記膜ろ過処理装置推奨運転操作量の計算値に基づき、各系列のろ過ポンプと逆洗ポンプの起動と停止を制御するろ過・逆洗制御部と、
前記運転条件判定部の判定結果に基づき各系列の流量を制御する流量制御装置と、
前記運転条件判定部の判定結果である膜ろ過処理装置推奨運転操作量と系列毎の配分流量情報を画面に表示する表示装置とを
備えたことを特徴とする膜ろ過処理装置の運転制御装置。
【請求項3】
複数系列を有する膜ろ過処理装置の運転制御装置において、
前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報,原水の濁度計測値に基づき、逆洗時間とろ過時間を含んだ膜ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の流量配分を計算する運転条件計算部と、
前記膜ろ過処理装置のろ過ポンプの動力費を含む運転費が、前記膜ろ過処理装置の運転目標範囲内となる条件を抽出する運転条件判定部と、
前記運転条件判定部の判定結果である膜ろ過処理装置推奨運転操作量の計算値に基づき、各系列のろ過ポンプと逆洗ポンプの起動と停止を制御するろ過・逆洗制御部と、
前記運転条件判定部の判定結果に基づき各系列の流量を制御する流量制御装置と、
前記運転条件判定部の判定結果である膜ろ過処理装置推奨運転操作量と系列毎の配分流量情報を画面に表示する表示装置とを
備えたことを特徴とする膜ろ過処理装置の運転制御装置。
【請求項4】
膜ろ過処理装置の膜差圧上昇を抑制する前処理装置を備え、複数系列を有する前記膜ろ過処理装置の運転制御装置において、
前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報,原水の濁度計測値に基づき、前処理装置運転操作量,逆洗時間とろ過時間を含んだ膜ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の流量配分を計算する運転条件計算部と、
前記膜ろ過処理装置のろ過ポンプの動力費を含む運転費が、前記膜ろ過処理装置の運転目標範囲内となる条件を抽出する運転条件判定部と、
前記運転条件判定部の判定結果である前処理装置運転操作量の計算値に基づき、前記前処理装置の運転を制御する前処理装置制御装置と、
前記運転条件判定部の判定結果である膜ろ過処理装置推奨運転操作量の計算値に基づき、各系列のろ過ポンプと逆洗ポンプの起動と停止を制御するろ過・逆洗制御部と、
前記運転条件判定部の判定結果である流量配分の計算値に基づき各系列の流量を制御する流量制御装置と、
前記運転条件判定部の判定結果である前処理装置運転操作量,ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の配分流量情報を画面に表示する表示装置とを
備えたことを特徴とする膜ろ過処理装置の運転制御装置。
【請求項5】
膜ろ過処理装置の膜差圧上昇を抑制する機能を有する前処理装置と、前記膜ろ過処理装置の逆洗排水を高濁度分と低濁度分に分離する排水処理装置とを備え、複数の系列を有する前記膜ろ過処理装置の運転制御装置において、
前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報,原水の濁度計測値に基づき、前処理装置運転操作量,逆洗時間とろ過時間を含んだ膜ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の流量配分,排水処理装置運転操作量を計算する運転条件計算部と、
前記膜ろ過処理装置のろ過ポンプの動力費を含む運転費が、前記膜ろ過処理装置の運転目標範囲内となる条件を抽出する運転条件判定部と、
前記運転条件判定部の判定結果である前処理装置運転操作量の計算値に基づき、前処理装置の運転を制御する前処理装置制御部と、
前記運転条件判定部の判定結果である膜ろ過処理装置推奨運転操作量の計算結果に基づき、各系列のろ過ポンプと逆洗ポンプの起動と停止を制御するろ過・逆洗制御部と、
前記運転条件判定部の判定結果である流量配分の計算値に基づき各系列の流量を制御する流量制御装置と、
前記運転条件判定部の判定結果である排水処理装置運転操作量の計算値に基づき、排水処理装置の運転を制御する排水処理装置制御部と、
前記運転条件判定部の判定結果である前処理装置運転操作量,ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の配分流量情報,排水処理装置運転操作量を画面に表示する表示装置とを
備えたことを特徴とする膜ろ過処理装置の運転制御装置。
【請求項6】
複数系列を有する膜ろ過処理装置の運転支援装置において、
前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の膜差圧,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報に基づき、前記膜ろ過処理装置の系列毎の流量配分を計算する運転条件計算部と、
前記膜ろ過処理装置のろ過ポンプの動力費を含む運転費が、前記膜ろ過処理装置の運転目標範囲内となる条件を抽出する運転条件判定部と、
該運転条件判定部の判定結果である系列毎の配分流量情報を画面に表示する表示装置とを備えたことを特徴とする膜ろ過処理装置の運転支援装置。
【請求項7】
複数系列を有する膜ろ過処理装置の運転支援装置において、
前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報,各系列の前記膜ろ過処理装置の膜差圧および過去からの膜差圧上昇量またはろ過流量の減少量に基づき、逆洗時間とろ過時間を含んだ膜ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の流量配分を計算する運転条件計算部と、
前記膜ろ過処理装置のろ過ポンプの動力費を含む運転費が、前記膜ろ過処理装置の運転目標範囲内となる条件を抽出する運転条件判定部と、
該運転条件判定部の判定結果である膜ろ過処理装置推奨運転操作量と系列毎の配分流量情報を画面に表示する表示装置とを
備えたことを特徴とする膜ろ過処理装置の運転支援装置。
【請求項8】
複数系列を有する膜ろ過処理装置の運転支援装置において、
前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報,原水の濁度計測値に基づき、逆洗時間とろ過時間を含んだ膜ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の流量配分を計算する運転条件計算部と、
前記膜ろ過処理装置のろ過ポンプの動力費を含む運転費が、前記膜ろ過処理装置の運転目標範囲内となる条件を抽出する運転条件判定部と、
該運転条件判定部の判定結果である膜ろ過処理装置推奨運転操作量と系列毎の配分流量情報を画面に表示する表示装置とを
備えたことを特徴とする膜ろ過処理装置の運転支援装置。
【請求項9】
膜ろ過処理の膜差圧上昇を抑制する機能を有する前処理装置を備え、複数の系列を有する膜ろ過処理装置の運転支援装置において、
前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報,原水の濁度計測値に基づき、前処理装置運転操作量,逆洗時間とろ過時間を含んだ膜ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の流量配分を計算する運転条件計算部と、
前記膜ろ過処理装置のろ過ポンプの動力費を含む運転費が、前記膜ろ過処理装置の運転目標範囲内となる条件を抽出する運転条件判定部と、
該運転条件判定部の判定結果である前処理装置運転操作量,ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の配分流量情報を画面に表示する表示装置とを
備えたことを特徴とする膜ろ過処理装置の運転支援装置。
【請求項10】
膜ろ過処理装置の膜差圧上昇を抑制する機能を有する前処理装置と、前記膜ろ過処理装置の逆洗排水を高濁度分と低濁度分に分離する排水処理装置とを備え、複数の系列を有する前記膜ろ過処理装置の運転支援装置において、
前記膜ろ過処理装置で処理すべき計画水量,各系列の前記膜ろ過処理装置の運転/休止情報,原水の濁度計測値に基づき、前処理装置運転操作量,逆洗時間とろ過時間を含んだ膜ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の流量配分,排水処理装置運転操作量を計算する運転条件計算部と、
前記膜ろ過処理装置のろ過ポンプの動力費を含む運転費が、前記膜ろ過処理装置の運転目標範囲内となる条件を抽出する運転条件判定部と、
前記運転条件判定部の判定結果である前処理装置運転操作量,ろ過処理装置推奨運転操作量,系列毎の配分流量情報,排水処理装置運転操作量を画面に表示する表示装置とを
備えたことを特徴とする膜ろ過処理装置の運転支援装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−105644(P2007−105644A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299545(P2005−299545)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】