説明

膜ユニットの支持構造

【課題】濾過膜装置において、膜ユニットを固定するための部品点数を少なくとともに、前記膜ユニットの固定作業を作業性の良好な所で行えるようにする。
【解決手段】濾過膜装置1において、膜ユニット2を支持体3によって水平向きに支持する膜ユニットの支持構造であって、前記支持体3として第一支持体11および第二支持体12を備え、これら各支持体11,12は、前記膜ユニット2の外周側面を挟着支持し基台13上に固定される第一縦向き支持柱14,15および第二縦向き支持柱16,17をそれぞれ備え、これら第一縦向き支持柱14,15および前記第二縦向き支持柱16,17の相互に対向する面のそれぞれには、前記膜ユニット2を嵌めて挟着する第一膜ユニット受部20および第二膜ユニット受部21が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体に溶解しているたとえばイオンや分子或いは混入している不純物等を液体から取り除く膜エレメントをベッセル内に収容した膜ユニットを上下方向に複数備えている濾過膜装置において、前記膜ユニットを支持体によって支持する膜ユニットの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
液体に溶解しているたとえばイオンや分子あるいは混入している不純物などを液体から取り除く手段として、液体は透過させるが、液体内に溶解しているたとえばイオンや分子あるいは混入している不純物などを透過させない性質を持つ半透膜からなるスパイラル構造の膜エレメントをベッセル内に収容した膜ユニットが使用されている。
【0003】
このような膜ユニットを上下に複数備えている濾過膜装置の従来の構造例を、図6を参照して説明する。この図6に示す濾過膜装置50は、基枠51の上に直方体状をした装置筐体52が縦向きに立設されている。この装置筐体52の一方の広面53には、半透膜からなるスパイラル構造の膜エレメント(図示省略)を筒状のベッセル54内に収容した構造の膜ユニット55が、水平向きで上下に複数本(図6では、4本)平行に配置されている。これら各膜ユニット55は、それぞれ長手方向の両端寄りの部分が、略U字形状の取付金具56によって前記装置筐体52に固定されている。
【0004】
前記各膜ユニット55にあっては、前記ベッセル54の一端側に有する管状の被処理液供給口部57から被処理液を供給し、前記膜エレメントを透過した処理液を前記膜エレメントの軸心部に配置した処理液収集管(図示省略)へ収集して前記ベッセル54の他端側に有する管状の処理液導出口部58から導出し、また前記膜エレメントを透過しなかった濃縮液を前記ベッセル54の他端側に有する管状の濃縮液導出口部59から導出する構造になっている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
前記膜ユニット55についてさらに説明すると、この膜ユニット55の長手方向の両端は、閉鎖蓋60,61でそれぞれ塞がれている。前記閉鎖蓋60,61のうち、被処理液供給側に取り付けられる閉鎖蓋60には、前記被処理液供給口部57が設けられている。一方、処理液導出側に取り付けられる閉鎖蓋61には、前記処理液導出口部58と前記濃縮液導出口部59とが設けられている。
【0006】
平行に配置された前記各膜ユニット55は直列に接続されている。接続構造について具体的に説明すると、前記各膜ユニット55にあっては、平行に配置され、隣り合う一方の膜ユニット55と他方の膜ユニット55とが互いに接続されている。さらに詳細には、前記一方の膜ユニット55の被処理液供給口部57と前記他方の膜ユニット55の濃縮液導出口部59とを向かい合わせにして、前記一方と他方の膜ユニット55が平行に配置されている。そして、向かい合わせとなっている前記被処理液供給口部57と前記濃縮液導出口部59とが接続器具(図示省略)を用いて直結あるいは短い接続用配管(図示省略)を用いて接続されている。そして、まず一番下に配置された膜ユニット55へ被処理液が供給され、この膜ユニット55から導出された濃縮液が、被処理液としてその上に配置された膜ユニット55へ供給される。そして、順次下側の膜ユニット55から導出された濃縮液が被処理液として上側の膜ユニットへ供給される。一方、前記各膜ユニット55の前記処理液導出口部58からそれぞれ導出された処理液は、途中で合流し、給水対象の機器へ供給される。
【0007】
一番下の膜ユニット55へは、前記基台52上に設置された給水ポンプ(図示省略)によって加圧された被処理液が供給されるようになっている。そして、前記各膜ユニット55から導出され合流した後の処理液の流量が流量センサ(図示省略)によって検出され、その検出値に基づいて処理液の流量が一定になるように、インバータ(図示省略)によって前記給水ポンプの回転数が制御されるようになっている。
【特許文献1】特開2006−272280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前記濾過膜装置50では、前記膜ユニット55毎に前記取付け金具56が必要になるため、前記取付金具56の使用本数が増え、前記各膜ユニット55を固定するための部品点数が多くなる問題点がある。また、上方の膜ユニット55を前記装置筐体52に固定する時には、固定箇所が高い位置になるため作業性が悪い問題点がある。
【0009】
この発明が解決しようとする課題は、濾過膜装置において、膜ユニットを固定するための部品点数を少なくとともに、前記膜ユニットの固定作業を作業性の良好な所で行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、濾過膜装置において、膜ユニットを支持体によって水平向きに支持する膜ユニットの支持構造であって、前記支持体は、前記膜ユニットの外周側面を挟着支持し基台上に固定される少なくとも一対の縦向き支持柱を備え、この縦向き支持柱の相互に対向する面のそれぞれには、前記膜ユニットを嵌めて挟着する膜ユニット受部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の前記膜ユニット受部は、前記一対の縦向き支持柱の相互に対向する面のそれぞれに長手方向に所定の間隔をあけて複数設けられ、複数の前記膜ユニットが、それぞれ前記各膜ユニット受部に嵌められて挟着され上下方向に並んで支持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、前記膜ユニットは前記膜ユニット受部に挟着され、前記一対の縦向き支持柱で支持されているので、従来のような多数の取付金具が不要になり、このため前記膜ユニットを固定するための部品点数を少なくすることができる。また、この濾過膜装置では、前記一対の縦向き支持柱のうち、一方の縦向き支持柱を前記膜ユニット受部側を上向きにして寝かせておき、この膜ユニット受部の上に前記膜ユニットを構成するベッセルを載せ、このベッセルの上に他方の縦向き支持柱を前記膜ユニット受部側を下向きにし、対向する前記膜ユニット受部に前記ベッセルを挟着させて前記一対の縦向き支持柱で前記ベッセルを挟着支持させ、このようにして前記ベッセルを挟着支持させた前記一対の縦向き支持柱を前記基台に縦向きに立設することができて、前記膜ユニットの固定作業を作業性の良好な所で行うことができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、前記膜ユニットを複数備えていても、これら各膜ユニットは、前記一対の縦向き支持柱において前記各膜ユニット受部に挟着されて支持されているので、従来のような多数の取付金具が不要になり、このため前記各膜ユニットを固定するための部品点数を少なくすることができる。また、この濾過膜装置では、前記一対の縦向き支持柱のうち、一方の縦向き支持柱を前記各膜ユニット受部側を上向きにして寝かせておき、これら各膜ユニット受部の上に前記各膜ユニットを構成するベッセルをそれぞれ載せ、これら各ベッセルの上に他方の縦向き支持柱を前記各膜ユニット受部側を下向きにし、対向する前記各膜ユニット受部に前記各ベッセルを挟着させた後、このようにして前記各ベッセルを挟着支持させた前記一対の縦向き支持柱を前記基台に縦向きに立設することができて、前記各膜ユニットの固定作業を作業性のよいところで行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
つぎに、この発明の実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る膜ユニットの支持構造を有する濾過膜装置を示す斜視図、図2は、図1に示す濾過膜装置の平面図、図3は、図1に示す濾過膜装置において平行に配置され直列に接続された膜ユニットを示す図、図4は、膜ユニットを構成するベッセルを縦向き支持柱で挟着支持するときの組立過程を示す図、図5は、図1に示す濾過膜装置において、ベッセルから膜エレメントを引き出した状態を示す斜視図である。
【0015】
本発明に係る膜ユニットの支持構造を有する濾過膜装置1では、膜ユニット2が支持体3によって水平向きに支持されている。この実施形態では、前記膜ユニット2として、第一膜ユニット4,第二膜ユニット5,第三膜ユニット6,第四膜ユニット7の4つの膜ユニットを有している。また、前記濾過膜装置1は、後述する第一支持体11側に、給水ポンプ8およびインバータボックス9を備えている。さらに、前記濾過膜装置1は、後述する第二支持体12側に、これら各膜ユニット4,5,6,7の一端部を共通に覆う開閉扉10を備えている。
【0016】
この実施形態では、前記支持体3として、第一支持体11と第二支持体12とを備え、これら各支持体11,12により前記各膜ユニット4,5,6,7の両端近くの外周側面が支持されている。前記第一支持体11は、基台13上に固定される一対の第一縦向き支持柱14,15を有し、また前記第二支持体12は、前記基台13上に固定される一対の第二縦向き支持柱16,17を備えている。そして、前記第一縦向き支持柱14,15および前記第二縦向き支持柱16,17により、前記各膜ユニット4,5,6,7の外周側面が挟着支持されている。
【0017】
前記第一縦向き支持柱14,15および前記第二縦向き支持柱16,17は、一面が開口した箱型形状となっており、開口部が相互に向かい合うようにして前記基台13上に固定されている。また、前記第一縦向き支持柱14,15は、3本の第一連結ボルト18,18,18によって連結され、前記第二縦向き支持柱16,17は、3本の第二連結ボルト19,19,19によって連結されている。そして、前記第一縦向き支持柱14,15の相互に対向する面のそれぞれには、前記各膜ユニット4,5,6,7をそれぞれ嵌めて挟着する第一膜ユニット受部20が、長手方向に所定の間隔,具体的には、隣り合う前記各膜ユニット4,5,6,7同士の間に所定の間隔があくようにして4つ設けられている。この第一膜ユニット受部20は、この実施形態では円弧状の凹部によって構成されている。また、前記第二縦向き支持柱16,17の相互に対向する面のそれぞれにも、前記各膜ユニット4,5,6,7をそれぞれ嵌めて挟着する第二膜ユニット受部21が前記第一膜ユニット受部20と同様にして設けられている。
【0018】
前記各支持体11,12についてさらに詳しく説明すると、前記第一縦向き支持柱14,15は、第一固定ボルト22によって前記基台13に固定され、前記第二縦向き支持柱16,17は、第二固定ボルト23によって前記基台13に固定されている。そして、前記第一縦向き支持柱14,15には、略L字形状の第一ベッセル抑え部材24が取り付けられている。また、前記第二縦向き支持柱16,17には、前記第一ベッセル抑え部材24と同一形状の第二ベッセル抑え部材25が取り付けられている。前記第一ベッセル抑え部材24は、前記第一連結ボルト18,18,18を、前記第一ベッセル抑え部材24および前記第一縦向き支持柱14,15に貫通させ、外側から第一ナット26,26,26を締め付けることにより、前記第一縦向き支持柱14,15に取り付けられている。また前記第二ベッセル抑え部材25は、前記第二連結ボルト19,19,19を、前記第二ベッセル抑え部材25および前記第二縦向き支持柱16,17に貫通させ、外側から第二ナット27,27,27を締め付けることにより、前記第二縦向き支持柱16,17に取り付けられている。前記各ベッセル抑え部材24,25は、前記各支持体11,12によって支持された前記膜ユニット2を構成する筒状のベッセル36(後述)の開口端部と当接するように取り付けられており、これによりこのベッセル36へ膜エレメント37(後述)を出し入れするとき、前記ベッセル36が移動しないようになっている。ここで、前記各ベッセル抑え部材24,25は、前記閉鎖蓋38,39の取り外しおよび取り付けや、前記ベッセル36への前記膜エレメント37の出し入れの妨げとならず、なおかつこの膜エレメント37の出し入れの際に前記ベッセル36が移動しない程度に、前記ベッセル36の開口端部と当接している。ちなみに、ここでは図示しないが、前記各ベッセル抑え部材24,25は、前記閉鎖蓋38,39の取り外しおよび取り付けや、前記ベッセル36への前記膜エレメント37の出し入れの妨げとならないように、前記ベッセル36の開口端部に沿って切り欠かれていてもよい。また、前記各ベッセル抑え部材24,25の前記第一縦向き支持柱14,15または前記第二縦向き支持柱16,17への取り付けにあっては、前記第一連結ボルト18,18,18および前記第二連結ボルト19,19,19
によるのではなく、別のボルト(図示省略)によって前記第一縦向き支持柱14,15および前記第二縦向き支持柱16,17に取り付けられていてもよい。
【0019】
また、前記第一支持体11にあっては、前記第一縦向き支持柱14,15の間に介在する第一梁部材28を備えている。この第一梁部材28は、前記第一縦向き支持柱14,15内へこれらの開口部から挿入され、前記第一縦向き支持柱14,15の上端と第一ボルト29で固定されている。さらに、前記第二支持体12にあっては、前記第二縦向き支持柱16,17の間に介在する第二梁部材30を備えている。この第二梁部材30は、前記第二縦向き支持柱16,17の上端と第二ボルト31(図4参照)で固定されている。前記各梁部材28,30には、装置の組立てのとき(後述)に、前記膜ユニット2を支持した状態の前記各支持体11,12を吊り上げるための第一アイボルト32および第二アイボルト33が取り付けられている。前記各アイボルト32,33は、前記各梁部材28,30にそれぞれ設けられた第一取付孔34および第二取付孔35(それぞれ図4参照)に挿入され、ナット(図示省略)を締め付けることにより前記各梁部材28,30に取り付けられている。
【0020】
ここで、前記各梁部材28,30の長さは、前記第一縦向き支持柱14,15の間隔および前記第二縦向き支持柱16,17によって前記膜ユニット2を挟着支持することができる長さに設定されている。
【0021】
前記膜ユニット2は、特許文献1に記載されたものと同一の構成となっており、筒状のベッセル36内にスパイラル構造の膜エレメント37(図5参照)が収容され、前記ベッセル36の両端開口部に閉鎖蓋38,39が着脱可能に取り付けられている。
【0022】
前記膜ユニット2にあっては、前記閉鎖蓋38,39のうち、被処理液供給側に取り付けられる前記閉鎖蓋38には、図3に示すように管状に構成される被処理液供給口部40(図1においては図示省略)が設けられている。
【0023】
また、処理液導出側に取り付けられる前記閉鎖蓋39には、管状に構成される処理液導出口部41と濃縮液導出口部42とが設けられている(図1,図2においては、それぞれ図示省略)。
【0024】
このように構成された前記各膜ユニット4,5,6,7は、直列に接続されている。前記各膜ユニット4,5,6,7の接続構造について説明する。前記各膜ユニット4,5,6,7にあっては、平行に配置された隣り合う一方の膜ユニット2と他方の膜ユニット2とが互いに接続されている。具体的には、前記一方の膜ユニット2の被処理液供給口部40と前記他方の膜ユニット2の濃縮液導出口部42とを向かい合わせにして、前記一方と他方の膜ユニット2が平行に配置されている。そして、向かい合わせとなっている前記被処理液供給口部40と前記濃縮液導出口部42とが接続器具(図示省略)を用いて直結あるいは短い接続用配管(図示省略)を用いて接続されている。
【0025】
前記各膜ユニット4,5,6,7の前記処理液導出口部41には、それぞれ処理液配管(図示省略)が接続され、これら各処理液配管は途中で合流している。前記各膜ユニット4,5,6,7から導出され合流した処理液の流量は、流量センサ(図示省略)によって検出されるようになっている。
【0026】
前記給水ポンプ8は、前記膜ユニット2へ給水を加圧して供給するものであり、この実施形態では一番下に配置された前記第一膜ユニット4の被処理液供給口部40と接続されている(配管は図示省略)。そして、前記給水ポンプ8から前記第一膜ユニット4へ供給された被処理液は、順次下側から上側の膜ユニット2へ,すなわち前記第二膜ユニット5,前記第三膜ユニット6および前記第四膜ユニット7の順で供給されるようになっている。
【0027】
前記インバータボックス9は、前記第一縦向き支持柱14,15のそれぞれに、コの字形状の取付具43,43によって取り付けられている。前記インバータボックス9内には、前記給水ポンプ8と接続された(接続ケーブルなどは図示省略)インバータ(図示省略)が収容されている。そして、前記流量センサで検出された流量に基づいて、前記各膜ユニット4,5,6,7から導出され合流した処理液の流量が目標流量になるように、前記インバータからの出力周波数によって前記給水ポンプ8の回転数が制御されるようになっている。
【0028】
前記開閉扉10の内側には、前記インバータと接続された(接続ケーブルなどは図示省略)制御用基盤(図示省略)が固定されている。そして、前記開閉扉10の上部は、前記第二縦向き支持柱16,17の上端に固定具44によって固定された固定板45に扉取付板46を介して取り付けられている。この扉取付板46は、一端側が前記固定板45に固定されており、他端側において前記開閉扉10の上部が開閉自在に枢支されている。一方、前記開閉扉10の下部は、前記基台13に開閉自在に枢支されている。
【0029】
ここで、前記固定板43には、前記第二アイボルト33を貫通させるための孔(図示省略)が設けられており、前記アイボルト33は前記固定板43を貫通し、この固定板43上に突出した状態で前記第二梁部材30に取り付けられている。
【0030】
さて、このように構成された前記濾過膜装置1の組み立て作業について説明する。前記濾過膜装置1にあっては、前記第一支持体11および前記第二支持体12を組み立てて前記膜ユニット2を支持させ、これら第一支持体11および第二支持体12を前記基台13上に固定する。具体的には、図4に示すように、まず一方の第一縦向き支持柱14および一方の第二縦向き支持柱16を、開口部側,すなわち前記各膜ユニット受部20,21側を上向きにして所定間隔をあけて寝かせる。寝かせた前記各縦向き支持柱14,16の間隔は、前記膜ユニット2の両端近くの外周側面を支持できる間隔になっている。このとき、前記各縦向き支持柱14,16には、それぞれ前記各ベッセル抑え部材24,25を前記各連結ボルト18,19と前記各ナット26,27とによって取り付けておく。これにより、前記各縦向き支持柱14,15の開口部側には、それぞれ前記各連結ボルト18,19が突出した状態になる。
【0031】
つぎに、前記各膜ユニット受部20,21の上に、前記各膜ユニット4,5,6,7のベッセル36をそれぞれ嵌めて載せる。このとき、前記各ベッセル36内は、前記膜エレメント37を収容していない状態であり、前記閉鎖蓋38,39も取り付けていない状態である。また、前記各ベッセル36の開口端部に、前記各ベッセル抑え部材24,25が当接した状態にする。そして、前記各ベッセル36の上に、他方の第一縦向き支持柱15および他方の第二縦向き支持柱17を、前記各膜ユニット受部20,21側を下向きにしてこれら各膜ユニット受部20,21に前記各ベッセル36を嵌めるようにして載せる。このとき、前記第一縦向き支持柱14と前記第一縦向き支持柱15の間に、これら第一縦向き支持柱14,15の空洞部に入った状態で前記第一梁部材28を挟む。また、前記第二縦向き支持柱16と前記第二縦向き支持柱17の間にこれら第二縦向き支持柱16,17の空洞部に入った状態で前記第二梁部材30を挟む。
【0032】
前記第一縦向き支持柱15を前記各ベッセル36の上に載せるときには、前記第一縦向き支持柱14の開口部側に突出した状態で前記第一縦向き支持柱14と前記第一ベッセル抑え部材24とを取り付けている前記第一連結ボルト18を貫通させるようにして前記第一縦向き支持柱15を前記各ベッセル36の上に載せる。また、前記第二縦向き支持柱17を前記各ベッセル36の上に載せるときには、前記第二縦向き支持柱16と前記第二ベッセル抑え部材25とを取り付け、前記第二縦向き支持柱16の開口部側に突出する前記第二連結ボルト19を貫通させるようにして前記第二縦向き支持柱17を前記各ベッセル36の上に載せる。
【0033】
つぎに、前記第一縦向き支持柱15に、別の前記第一ベッセル抑え部材24を、前記第一連結ボルト18を貫通させるようにしてあてがうとともに、前記第二縦向き支持柱17に、別の前記第二ベッセル抑え部材25を、前記第二連結ボルト19を貫通させるようにしてあてがう。このとき、前記各ベッセル抑え部材24,25は、前記前記ベッセル36の開口端部に当接した状態にする。そして、前記第一ベッセル抑え部材24上に突出する前記第一連結ボルト18に、前記第一ナット26を締め付け、また前記第二ベッセル抑え部材25上に突出する前記第二連結ボルト19に、前記第二ナット27を締め付ける。これにより、前記各膜ユニット4,5,6,7が前記第一縦向き支持柱14,15および前記第二縦向き支持柱16,17に挟着支持された状態になる。
【0034】
また、前記第一縦向き支持柱14,15の間で挟まれた前記第一梁部材28を、前記第一ボルト29によって前記第一縦向き支持柱14,15の上端に固定する。さらに、前記第二縦向き支持柱16,17の間で挟まれた前記第二梁部材30を、前記第二ボルト31によって前記第二縦向き支持柱16,17の上端に固定する。
【0035】
つぎに、前記第一梁部材28に、前記第一アイボルト32(図4においては図示省略)を取り付ける。また、前記扉取付板46が取り付けられた前記固定板45(図4においてはそれぞれ図示省略)を前記第二縦向き支持柱16,17の上端に前記固定具44(図4においては図示省略)によって固定する。そして、前記第二アイボルト33(図4においては図示省略)を前記固定板45を貫通するようにして前記第二梁部材30に取り付ける。
【0036】
つぎに、前記第一縦向き支持柱14,15および前記第二縦向き支持柱16,17によって前記各膜ユニット4,5,6,7を挟着支持し、一体になった前記各支持体11,12を、前記基台13に縦向きに立設する。具体的には、前記各アイボルト32,33に、吊り上げ用の装置のフックを引っ掛けて、前記各膜ユニット4,5,6,7を支持する前記各支持体11,12を吊り上げ、これを前記基台13上に載置する。そして、前記第一固定ボルト22により前記第一縦向き支持柱14,15を前記基台13に固定するとともに、前記第二固定ボルト23により前記第二縦向き支持柱16,17を前記基台13に固定する。
【0037】
このようにして前記基台13に前記各支持体11,12を固定した後、前記各ベッセル36における前記第一縦向き支持柱14,15側の端部に、それぞれ前記閉鎖蓋38または前記閉鎖蓋39のいずれかを取り付ける。そして、前記各ベッセル36内に、前記第二縦向き支持柱16,17側の開口部から、それぞれ前記膜エレメント37を挿入する。そして、前記膜エレメント37が挿入された前記ベッセル36の前記第二縦向き支持柱16,17側の端部に、前記閉鎖蓋38または前記閉鎖蓋39を取り付ける。その後、向かい合わせとなっている前記被処理液供給口部40と前記濃縮液導出口部42とを前記接続器具(図示省略)を用いて直結あるいは前記接続用配管(図示省略)を用いて接続する。また、前記各処理液導出口部41に前記処理液配管(図示省略)を接続する。
【0038】
このようにして、前記膜ユニット2を組立て、前記各膜ユニット2同士の接続が完了した後、前記開閉扉10の取付けを行う。また、前記インバータボックス9を、前記第一縦向き支持柱14,15に前記取付具43,43によって取り付ける。さらに、前記給水ポンプ8を前記基台13に固定する。
【0039】
以上のように、前記基台13への前記膜ユニット2の固定作業にあたっては、前記第一縦向き支持柱14,15および前記第二縦向き支持柱16,17を寝かせた状態でこれらによって前記膜ユニット2を挟着支持させてから、前記第一縦向き支持柱14,15および前記第二縦向き支持柱16,17を前記基台13に縦向きに立設することができて、前記膜ユニット2の固定作業を作業性の良好な所で行うことができる。
【0040】
つぎに、以上のようにして組み立てられた前記濾過膜装置1における前記膜エレメント37の交換について図5を参照して説明する。前記濾過膜装置1において、前記膜エレメント37は、膜の劣化などが原因で交換が必要になる。この場合、前記開閉扉10を開けた状態で、前記膜エレメント37における前記開閉扉10側の前記閉鎖蓋38または前記閉鎖蓋39を外し、前記ベッセル36内から前記膜エレメント37を引っ張り出す。そして、新しい膜エレメント37を前記ベッセル36内に挿入した後、再び前記閉鎖蓋38または前記閉鎖蓋39を前記ベッセル36に取り付け、前記開閉扉10を閉じる。
【0041】
以上説明した前記濾過膜装置1における膜ユニットの支持構造によれば、前記膜ユニット2の固定作業を作業性の良好な所で行うことができるとともに、前記膜ユニット2は、前記各膜ユニット受部20,21に挟着支持され、前記第一縦向き支持柱14,15および前記第二縦向き支持柱16,17で支持されているので、従来のような多数の取付金具が不要になり、このため前記膜ユニット2を固定するための部品点数を少なくすることができる。
【0042】
以上、この発明を前記実施形態によって説明したが、この発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。たとえば、前記実施形態では、2対の縦向き支持柱(前記第一縦向き支持柱14,15および前記第二縦向き支持柱16,17)を用いた例について説明したが、この発明はこれに限定されるものではない。たとえば、2対以上であってもよく、また1対の縦向き支持柱をそれぞれ幅広とし、この1対の縦向き支持柱で前記膜ユニット2の長手方向の中央側を挟着支持させてもよい。
【0043】
また、前記膜ユニット2を4本使用した例で示したが、前記膜ユニット2は1本以上であれば必要本数でよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る膜ユニットの支持構造を有する濾過膜装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す濾過膜装置の平面図である。
【図3】図1に示す濾過膜装置において平行に配置され直列に接続された膜ユニットを示す図である。
【図4】膜ユニットを構成するベッセルを縦向き支持柱で挟着支持するときの組立過程を示す図である。
【図5】図1に示す濾過膜装置において、ベッセルから膜エレメントを引き出した状態を示す斜視図である。
【図6】従来の濾過膜装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1 濾過膜装置
2 膜ユニット
3 支持体
11 第一支持体
12 第二支持体
13 基台
14,15 第一縦向き支持柱
16,17 第二縦向き支持柱
20 第一膜ユニット受部
21 第二膜ユニット受部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過膜装置において、膜ユニットを支持体によって水平向きに支持する膜ユニットの支持構造であって、
前記支持体は、前記膜ユニットの外周側面を挟着支持し基台上に固定される少なくとも一対の縦向き支持柱を備え、この縦向き支持柱の相互に対向する面のそれぞれには、前記膜ユニットを嵌めて挟着する膜ユニット受部が設けられていることを特徴とする膜ユニットの支持構造。
【請求項2】
前記膜ユニット受部は、前記一対の縦向き支持柱の相互に対向する面のそれぞれに長手方向に所定の間隔をあけて複数設けられ、複数の前記膜ユニットが、それぞれ前記各膜ユニット受部に嵌められて挟着され上下方向に並んで支持されていることを特徴とする請求項1に記載の膜ユニットの支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−246396(P2008−246396A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91944(P2007−91944)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】